JP4262764B2 - 積層型ガスセンサ素子 - Google Patents
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Description
このうちセンサ部は測定を行うための2つの固体電解質体と、これら各固体電解質体表面に各々形成された電極とを備える。固体電解質体は通常長方板状であり、電極が形成された部分のみが固体電解質特性を発揮できる。一方、電極が形成されていない部分は固体電解質としての利用はされず、センサ部を形作り、センサ全体を支える構造部材として利用されている(特開平11−14594号公報、及び特開平11−316211号公報等)。
ガスセンサの早期始動を実現するためには、固体電解質体を活性温度にまで極短時間で昇温させる必要があるが、ヒータ部を構成することが多いアルミナ等に比べると固体電解質体の熱伝導率は低い。そのためセルを構成する固体電解質体を同時に構造部材としても使用することは、ヒータ部から発せられる熱を十分に効率よく伝えるという目的から考えると、最良の手段ではない。
また、上記のようにセルを構成する固体電解質体を構造部材として使用するには、固体電解質体自体が十分な機械的強度を発揮できるように固体電解質体を厚く形成する必要がある。しかし、このことも上記目的から考えると前述のとおり最良の手段ではない。更に、これら熱伝導に関する問題は2つの固体電解質体を備える積層型センサ素子では特に顕著となる。
更に、他の本発明の積層型ガスセンサ素子は、焼成されて上記第1絶縁性基部となる未焼成第1絶縁性シート及び焼成されて上記第2絶縁性基部となる未焼成第2絶縁性シートの各々の焼成収縮率は、焼成されて上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体及び焼成されて上記第2セル部用固体電解質体となる未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率と同じか若しくは大きいものとすることができる。
更に、他の本発明の積層型ガスセンサ素子において発熱部は、積層方向において、第1セル部用電極の一方の電極及び第2セル部用電極の一方の電極のうちの各々の実電極領域と重なることにより、早期始動性に優れたものとすることができる。また、未焼成第1絶縁性シート及び未焼成第2絶縁性シートの各々の焼成収縮率を未焼成第1セル部用固体電解質体及び未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率と同じか若しくは大きくすることで、クラック及び割れを特に生じ難いものとすることができる。
本発明の積層型ガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)は、第1絶縁性基部と、第1セル部と、検知室と、第2セル部とを備える。以下、これらの部分、及び、その他、本発明の素子が備えることができる部分について説明する。
上記「第1絶縁性基部」は、ヒータを支持する部分であり、後述する第1セル部を支持する部分であり、更には、素子全体の強度を保障する部分である。
この第1絶縁性基部の形状及び大きさ等は特に限定されないが、通常、その厚さは0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)である。但し、ヒータを内部に有するためには、厚さは0.2mm以上であることが好ましい。この厚さが0.1mm未満であると第1セル部の支持や素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第1絶縁性基部となる未焼成体に他部材を積層する工程を行うことが困難となる場合がある。尚、第1絶縁性基部は単層であっても複層であってもよい。
一方、残部として第1絶縁性基部に直接接して積層される部位(例えば、第1セル部用固体電解質体等)を構成する成分を1〜20質量%含有することができる。これにより第1絶縁性基部は、直接接して積層される部位との間の熱膨張差を緩和できる。
また、第1絶縁性基部が備える上記「ヒータ」は発熱部とヒータリード部とを備えることができる。このうち発熱部は電力の供給により実際に昇温する部位であり、ヒータリード部は外部回路からの電力を発熱部まで導く部位である。これらの形状は特に限定されないが、例えば、発熱部はヒータリード部と比較して幅細に形成することができる。
これら発熱部及びヒータリード部を構成する材質は特に限定されないが、例えば、貴金属、モリブデン及びレニウムの少なくとも1種により構成することができる。また、発熱部とヒータリード部とは同じ材質からなっていてもよく、異なる材質からなってもよい。
尚、このヒータは、第1絶縁性基部の表面又は内部に形成されているが、このうち表面に備える場合とは、例えば、後述する検知室内にあって、且つ後述する第1セル部用固体電解質体の脇に備える場合等を意味する。
上記「第1セル部」は、第1絶縁性基部に直接又は他部材を介して間接的に積層されて支持されている。また、第1セル部用固体電解質体と一対の電極である第1セル部用電極とを備え、所定のイオン又は気体を一方の電極の側から他方の電極の側へ移動させることができる部分である。この第1セル部は、例えば、被測定ガスの濃度を電位差として出力できる濃度検知セルや、一対の電極へ電圧を印加することにより一方の電極の側から他方の電極の側へ所定のイオン又は気体等を移動させることができるポンプセル等として機能させることができる。この第1セル部は、第1セル部用固体電解質体と一対の第1セル部用電極のみからなっていてもよいが、その他にも例えば、第1セル部用固体電解質体の内部抵抗を測定するための内部抵抗測定用電極等の他の部分を備えることができる。
尚、被測定ガスは、被測定雰囲気を構成するガスであって、本発明の素子又は他の本発明の素子による測定目的ガスであり、1種又は2種以上の成分からなるものである。
上記「第1セル部用固体電解質体」は、イオン導電性を有するものであり、その形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、その厚さは300μm以下(好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下、通常20μm以上)にすることができる。第1セル部用固体電解質体は300μmを超えて厚い場合であっても素子としての機能は失われないが、固体電解質体を薄くすることによる効果は得られ難くなる。一方、20μmより薄い場合には作製が困難となると共にイオン導電性が十分に得られ難くなる傾向にある。
上記「第1セル部用電極」は、第1セル部用固体電解質体の表面に形成された電極である。この第1セル部用電極のうちの一方の電極は、後述する検知室内の雰囲気に接する電極である。また、第1セル部用電極のうちの他方の電極は、第1セル部用電極のうちの一方の電極に対向して配置され、通常、大気雰囲気や参照ガスと接し、後述する検知室内の雰囲気とは接しない電極である。
これら第1セル部用電極の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、例えば、幅広に形成された電極部と、幅細に形成された電極リード部とから構成することができる。
上記「検知室」は、素子外の被測定雰囲気に含まれる特定の気体(例えば、酸素等)を後述する第2セル部の作用により導入でき、且つ、素子外の被測定雰囲気を構成する被測定ガスを、素子外における流速に関係なく略一定の速度で(このように導入することを以下、単に「律速」という)導入できる空間である。また、この検知室内の雰囲気に含まれる上記特定の気体は第2セル部の作用により素子外へ導出できる。
尚、被測定雰囲気を素子内に律速導入するためには、本発明の素子は、律速導入用多孔質部や律速導入用孔等を備える必要がある。これらについては後述する。
更に、第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体は各々の電極を伴ってこの検知室の壁を形成していもよい(図1参照)。また、第1セル部用固体電解質体、第2セル部用固体電解質体、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極及び第2セル部用電極のうちの検知室に面する電極とは、検知室内に突出するように検知室の内側に形成されていもよい(図5、図6、図10及び図12参照)。
上記「第2セル部」は、第2セル部用固体電解質体と一対の電極である第2セル部用電極とを備え、所定のイオン又は気体を一方の電極の側から他方の電極の側へ移動させることができる部分である。この第2セル部も、第1セル部と同様に濃度検知セルや、ポンプセル等として機能させることができる。この第2セル部は、第2セル部用固体電解質体と一対の第2セル部用電極のみからなっていてもよいが、その他にも例えば、第2セル部用固体電解質体の内部抵抗を測定するための内部抵抗測定用電極等の他の部分を備えることができる。
上記「第2セル部用固体電解質体」は、イオン導電性を有するものであり、その形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、その厚さは300μm以下(好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下、通常20μm以上)にすることができる。第2セル部用固体電解質体は300μmを超えて厚い場合であっても素子としての機能は失われないが、固体電解質体を薄くすることによる効果は得られ難くなる。一方、20μmより薄い場合には作製が困難となると共にイオン導電性が十分に得られ難くなる傾向にある。
上記「第2セル部用電極」は、第2セル部用固体電解質体の表面に形成された電極である。この第2セル部用電極のうちの一方の電極は、被測定雰囲気と接する電極である。また、第2セル部用電極のうちの他方の電極は、検知室内の雰囲気と接するように検知室に面し、第2セル部用電極のうちの一方の電極と対向して配置された電極である。
これら第2セル部用電極の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、例えば、幅広に形成された電極部と、幅細に形成された電極リード部とから構成することができる。
更に、これら第2セル部用電極を構成する材質も特に限定されないが、第1セル部用電極と同様なものとすることができる。これら第2セル部用電極の各々の電極はそれぞれ異なる材質からなるものであっても、同じ材質からなるものであってもよく、また、第2セル部用固体電解質体を構成する主成分を含有していてもよい。
本発明の素子は、前述の第1絶縁性基部、第1セル部、検知室及び第2セル部以外にもその他の部分を備えることができる。これらその他の部分としては、例えば、第2基部、律速導入部、中間層及び層間調節層等を挙げることができる。
(5−1)第2基部
本発明の素子は第2基部を備えることができる。第2基部は、第1絶縁性基部とこの第2基部との間に、第1セル部、検知室及び第2セル部の各々が配置されるように、第1絶縁性基部に対向して配置されるものである。
この第2基部の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、その厚さは0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)とすることができる。この厚さが0.1mm未満であると第2セル部の支持や素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、第1絶縁性基部と同様に製造時の積層が困難となる場合がある。更に、第2基部は単層物であっても複層物であってもよい。
また、第2基部を、上記のように第1絶縁性基部に対向するように配置することで、第2セル部を支持し、更に、素子全体の強度を第1絶縁性基部と共に保障することができ、素子全体の機械的強度を向上させることができる。
更に、本発明の素子は、律速導入部を備えることができる。律速導入部は、被測定雰囲気を構成する被測定ガスを律速させて検知室内に導入することができる部分である。この律速導入部はどのように形成されていてもよく、例えば、被測定雰囲気を律速させて導入できる程度の通気性を有する律速導入用多孔質部(図1〜9等における161及び162参照)や、被測定雰囲気を律速させて導入できる程度に小さな律速導入用貫通孔(図10及び図11における16参照)等により形成することができる。
この様な律速導入用多孔質部としては、気孔率が5〜40%(より好ましくは5〜30%、更に好ましくは10〜20%)であるものを挙げることができる。一方、被測定雰囲気を律速させて導入できる程度に小さな貫通孔としては、素子外表面における開口面積が0.5mm2以下の貫通孔を挙げることができる。
また、本発明の素子が、上記の多孔質部を有する第2基部を備える場合には、中間層(図1等参照)を備えることができる。中間層は第2基部と第2セル部との間に形成される層であり、通常、第2基部と直接接することとなる第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極が、第2基部の備える多孔質部と非多孔質部との境界に接触することで断線されたり、線幅が細ることを防止する機能を有する層である。これは以下の理由による。即ち、通常、第2基部の未焼成体はある程度の厚みをもつシート状に成形されるため、多孔質部と非多孔質部との境界に段差ができ易い。一方、中間層の未焼成体は印刷成形できるため、この段差を埋めることでき、段差を解消することができる。
その他、本発明の素子は、図1示すように層間を調節する層間調節層を備えることもできる。この層間調節層は各部における層間の高さを調節する等の効果を有する。例えば、図1においては、第1絶縁性基部11と律速導入用多孔質部161及び162等との層間の高さを第1セル部と同じ高さに保つために第1層間調節層124を備える。
これまでに述べたように、本発明の素子は、上述の各部を備えることができるが、以下では、これらの各部の素子内での位置及び各部分の大きさの相関を説明する。
(1)ヒータと他の部分との相関
ヒータの大きさ及び配置は特に限定されない。しかし、発熱部からの熱を効率よく第1セル部及び第2セル部に伝導させることができるように配置されていることが好ましく、例えば、発熱部の投影像は、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極のうちの実電極領域の投影像と少なくとも一部で重なっていることが好ましい。また、発熱部の投影像は、第2セル部用電極のうちの被測定ガスに接する電極のうちの実電極領域の投影像と少なくとも一部で重なっていることが好ましい。
第1セル部用固体電解質体と検知室との相関においては、例えば、素子の幅方向における第1セル部用固体電解質体の投影像が、検知室の投影像に比べて小さいもの(図1、図5〜8及び図10〜13参照)、大きいもの(図2、図3及び図9)、及び、第1セル部用固体電解質体の投影像と検知室の投影像とが略同じ大きさであるもの(図4)等とすることができる。
これらの態様の中でも、第1セル部用固体電解質体の投影像が検知室の投影像よりも大きいものに比べて、小さいもの又は第1セル部用固体電解質体の投影像と検知室の投影像とが略同じ大きさであるものが好ましい。これらの態様が好ましい理由は、固体電解質体は小さい方がヒータからの熱をより効率よく伝導させることができるためである(例えば、図2及び図3に比べると図1の固体電解質体は小さい)。また、固体電解質体が検知室である空洞と緻密である部分とを跨がない態様とすることにより、固体電解質体にクラックを生じる可能性をより抑えることができるためである。
これらの態様の中でも、第1セル部用固体電解質体の投影像が第2セル部用固体電解質体の投影像よりも大きいものに比べて、小さいもの又は第1セル部用固体電解質体の投影像と第2セル部用固体電解質体の投影像とが略同じ大きさであるものが好ましい。更には、第1セル部用固体電解質体の投影像が第2セル部用固体電解質体の投影像よりも小さいものがより好ましい。これらの態様が好ましい理由は、固体電解質体は小さい方がヒータからの熱をより効率よく伝導させることができるためである。
第1セル部用電極である一対の電極は、第1セル部用固体電解質体の一面側に両電極を備える素子よりも、各々電極が濃淡電池用固体電解質体を挟んで形成されており、且つ各々の実電極領域が少なくとも一部で対向(好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上、より好ましくは全領域で対向)していることが好ましい。これにより、ヒータでの加熱を要する領域を小さくでき、始動直後から測定開始までの時間を短縮することができる。
更に、素子の幅方向における第1セル部用電極の投影像は、第1セル部用固体電解質体の投影像よりも大きくてもよく(図13参照)、第1セル部用固体電解質体の投影像と略同じ大きさであってもよく(図1等参照)、第1セル部用固体電解質体の投影像よりも小さくてもよい(図2等参照)。
第2セル部用固体電解質体と検知室との相関においては、素子の幅方向における第2セル部用固体電解質体の投影像が、検知室の投影像よりも大きいもの(図5、図6及び図9〜11)、小さいもの(図1〜4、図8及び図12)、又は、第2セル部用固体電解質体の投影像と検知室の投影像とが略同じ大きさであるもの(図7)とすることができる。これらの中でも、第1セル部用固体電解質体と検知室との相関と同様な理由から、略同じ大きさであるものか又は小さいものが好ましい。更に、検知室の外側周と第2セル部用固体電解質体の外側周とが接しないことが好ましいため、第2セル部用固体電解質体の投影像は検知室の投影像よりも小さいことが特に好ましいことについても同様である。
一対の第2セル部用電極同士は、第2セル部用固体電解質体を挟んで形成されており、且つ各々の実電極領域が少なくとも一部で対向(好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上、より好ましくは全領域で対向)していることが好ましい。これにより、検知室内と素子外との酸素の移動を効率よく行うことができ、精度及び応答性に優れた素子とすることができる。
本発明の素子が第2基部を備える場合に、この第2基部と他の部分との相関はこれまでに他の部分の相関において述べた通りである。但し、第2基部が第2セル部用固体電解質体の被測定ガスと接する電極が被測定ガスと接触することを妨げないために、多孔質部を備える場合に、この第2基部の多孔質部の大きさは特に限定されない。しかし、第2基部の多孔質部が大きくなると、素子全体の強度が低下する傾向にあるため、過度に第2セル部を超えて大きく形成する必要はない。即ち、この多孔質部は第2基部のうち第2セル部を構成する第2セル部用電極の被測定ガスと接触する電極の実電極領域のみを覆うように形成されていることが好ましい。
また、本発明の素子が中間層を備える場合であって、且つ、この中間層の少なくとも一部が多孔質部により形成されている場合に、第2基部の多孔質部との相関において、中間層の多孔質部の外側周は第2基部の多孔質部の外側周と接しないことが好ましい。更に、中間層の多孔質部の外側周は検知室の外側周と接しないことが好ましい。このような態様も、素子内においてクラックの起点となる可能性が他部に比べると高い部位が素子内で分散されて存在することとなり、クラックや割れの防止に効果的である。
上記[2](1)〜(7)における素子の幅方向における各種の態様は、素子の長手方向においても同様なものとすることができる。更に、各種の好ましい態様は素子の長手方向においても好ましい態様である。即ち、例えば、図14に示すように、本発明の素子が第2基部を備える場合に、第2基部の多孔質部の外側周である第2基部の多孔質部と非多孔質部との境界153と、中間層の多孔質部の外側周である中間層の多孔質部と非多孔質部との境界191とは接しないことが好ましい(但し、図14では検知室の外側周と第2セル部用固体電解質体の外側周とは重なっている)。
尚、図14は図1のA−A’における模式的な断面図であり、図1は図14のB−B’における模式的な断面図である。
他の本発明の積層型ガスセンサ素子は、第1絶縁性基部と、第1セル部と、検知室と、第2セル部と、第2絶縁性基部とを備える。即ち、第2絶縁性基部を備える点において本発明の素子と異なる。以下、これらの他の本発明の素子が備える部分、及び、その他、他の本発明の素子が備えることができる部分について、前述の本発明の素子との相違点を主として説明する。
(1)第1絶縁性基部
他の本発明の素子における上記「第1絶縁性基部」は、本発明の素子が備える第1絶縁性基部が表面又は内部にヒータを必ず備えることに対して、ヒータを備えていてもよく、備えていなくてもよい点において異なっている。この第1絶縁性基部を構成する絶縁性セラミックス及びヒータを備える場合のそのヒータについては本発明の素子と同様である。
第1セル部及び検知室については、本発明の素子と同様である。
(3)第2セル部
上記「第2セル部」の備える上記「第2セル部用固体電解質体」には、本発明の素子の第2セル部用固体電解質体と同様に副成分を含有することができる。副成分としては、例えば、後述する第2絶縁性基部に直接接して積層される場合には、この第2絶縁性基部を構成する成分を意味する。この第2絶縁性基部を構成する成分を含有する場合には、第2セル部用固体電解質体全体の80質量%以下(より好ましくは50質量%以下)であることが好ましい。但し、第2セル部用固体電解質体の一対の第2セル部用電極の間で測定される抵抗が、第1セル部用固体電解質体の一対の第1セル部用電極の間で測定される抵抗に比べて大きくならないように含有させることが好ましいことは本発明の素子と同様である。
更に、上記「第2セル部用電極」においても同様に第2絶縁性基部に直接接して積層される場合には、第2セル部用電極を構成する材質にも、第2絶縁性基部を構成する成分を含有することができる。
その他の他の本発明の素子の第2セル部、第2セル部用固体電解質体及び第2セル部用電極は、本発明の素子と同様である。
上記「第2絶縁性基部」は、第1絶縁性基部と共に素子全体を支える部分である。この第2絶縁性基部の形状及び大きさ等は特に限定されない。また、この第2絶縁性基部の厚さも特に限定されないが、例えば、0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)とすることができる。但し、ヒータを内部に有するためには、厚さは0.2mm以上であることが好ましい。この厚さが0.1mm未満であると第2セル部の支持や素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第2絶縁性基部となる未焼成体に他部材を積層する工程を行うことが困難となる場合がある。尚、第2絶縁性基部は単層であっても複層であってもよい。
上記「多孔質部」は、第2絶縁性基部の一部であって、第2セル部を構成する第2セル部用電極のうちの一方と素子外の被測定雰囲気とを接触させるための部分である。この多孔質部は、電極を構成する金属がリン、鉛及びケイ素等により被毒されることを防止する作用や、素子外における被測定ガスの流速に関わらず電極に接触する時点での被測定ガスの流速を略一定にする律速作用等を発揮することができる。多孔質部はこれらの作用を十分に発揮できるために、気孔率は5%以上(より好ましくは20%以上、更に好ましくは40%以上、通常80%以下)であることが好ましい。気孔率が5%未満であると、十分な気孔率の多孔質部を備える素子に比べると応答性が十分に向上しない傾向にある。一方、80%を超えると機械的強度が十分に得られ難くなる傾向にある。
これまでに述べたように、他の本発明の素子は、上述の各部を備えることができるが、以下では、これらの各部の素子内での位置及び各部分の大きさの相関について、前述の本発明の素子との相違点を主として説明する。
他の本発明の素子の備える(1)ヒータと他の部分との相関については本発明の素子と同様である。また、(2)第1セル部用固体電解質体と他の部分との相関についても同様である。更に、(3)第1セル部用電極同士の相関及び他の部分との相関についても同様である。
これらの態様の中でも、第2セル部用固体電解質体の投影像と第2絶縁性基部の多孔質部の投影像とが略同じ大きさであるものに比べると、第2セル部用固体電解質体の投影像が第2絶縁性基部の多孔質部の投影像よりも大きいか又は小さいことが好ましい。このような態様が好ましい理由は、本発明の第2セル部用固体電解質体と第2基部の多孔質部との相関{上記[2](4)}における場合と同様である。
本発明の製造方法における、上記「未焼成第1絶縁性シート」は、焼成後に絶縁性を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミナ、ムライト、スピネル、ステアタイト及び窒化アルミニウムのうちの1種又は2種以上を含有する所定量の原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをドクターブレード法等により、シート状に成形した後乾燥させたグリーンシートを所定の大きさに切り出して得ることができる。また、ヒータを内部に有する第1絶縁性基部を備える素子を得ることを目的とする場合には、ヒータを挟むために2層(又は3層以上であってもよい)の素シートを上記のグリーンシートから切り出し、このうちのいずれかの素シートの一面に未焼成ヒータを形成した後、他の素シートでヒータを挟むようにして積層し、乾燥させることで未焼成ヒータを内包する未焼成第1絶縁性シートを得ることができる。
上記「第2積層体」は、上記の未焼成第2セル部用固体電解質体、未焼成第2セル部用電極を前述の形状、大きさ及び位置関係等で備えるように形成されれば、その形成方法は特に限定されない。
上記「空洞形成用部材」は、焼成により焼失するものである。この空間焼失部材としては、炭素粉末及びテオブロミン等のキサンチン誘導体等の1種又はこれらの2種以上を含有するものを用いることができる。
更に、このように未焼成第2シート又は未焼成第2絶縁性シートを基体として用いる場合には、第2セル部となる未焼成第2セル部用固体電解質体及び未焼成第2セル部用電極は、順次、未焼成第2絶縁性シートに積層形成されてもよく、また、予め未焼成第2セル部用固体電解質体の表面に未焼成第2セル部用電極が形成された未焼成第2セル部用積層体を形成し、この未焼成第2セル部用積層体を未焼成第2シート又は未焼成第2絶縁性シートに積層することもできる。
未焼成第1絶縁性シート(第1絶縁性基部となる)、未焼成第2シート(第2基部となる)、未焼成第2絶縁性シート(第2絶縁性基部となる)、未焼成第1セル部用固体電解質体(第1セル部用固体電解質体となる)及び未焼成第2セル部用固体電解質体(第2セル部用固体電解質体となる)の各々の焼成収縮率は特に限定されず、また、これらの焼成収縮率の相関も特に限定されない。従って、例えば、未焼成第1絶縁性シートの焼成収縮率と未焼成第2絶縁性シートの焼成収縮率とは同じであっても、異なっていてもよい。同様に、未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率と未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率とは同じであっても、異なっていてもよい。
X(%)={(L1−L2)/L1}}×100
・・・ 2
また、上記にいう一方の焼成収縮率が他方の焼成収縮率よりもX3%大きいとは、未焼成第1絶縁性シート、未焼成第2シート又は未焼成第2絶縁性シートのうちの最も小さい焼成収縮率をX1%とし、未焼成第1セル部用固体電解質体及び未焼成第2セル部用固体電解質体のうちの大きい方の焼成収縮率をX2%とした場合に、X3=X2−X1であることをいうものとする。
尚、上記にいう焼成収縮率(%)とは、上記式2から算出される割合X(%)をいうものとする。また、上記にいう一方の焼成収縮率が他方の焼成収縮率よりもX3%小さいとは、未焼成多孔質部の焼成収縮率をX1%とし、未焼成非多孔質部の焼成収縮率をX2%とした場合に、X3=X2−X1であることをいうものとする。
本発明のガスセンサは、本発明の積層型ガスセンサ素子を備える。その他、本発明のガスセンサについての構成は特に限定されないが、例えば、以下のようなものとすることができる。
即ち、素子1は、ホルダ211、タルク粉末等からなる緩衝材212及びスリーブ213(素子1とスリーブ213との間に、素子1と後述するリード線26とを電気的に接続するリードフレーム25を介する)等の熱による膨張収縮を緩和できる治具類に固定され、更に、これら全体が主体金具22に固定された構造とすることができる。また、主体金具22の一端側には被測定ガスを導入できる複数の孔を有し、且つ素子1の検知部(図22においては発熱部、第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体等を備える一端側部)近傍を覆ってガスセンサ2の一端側を保護するプロテクタ23を配設し、主体金具22の他端側にはガスセンサ2の他端側を保護する外筒24を配設することができる。更に、外筒24の一端側からは、素子1を外部回路へと接続するためのリード線26を分岐挿通する貫通孔が設けられたセパレータ27及びガスセンサ2内への水等の侵入を防止するグロメット28を備えることができる。
〈1〉第1積層体の作製(第1積層体形成工程)
(1)未焼成第1絶縁性シート11の作製
〔1〕 素シート111及び112の作製
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。その後、このスラリーをドクターブレード法により厚さ0.5mmのグリーンシート2枚に成形した。次いで、一方のグリーンシートはそのまま未焼成第1絶縁性シートの一部である素シート112とした。他方のグリーンシートには、その一端側の所定位置に2つのスルーホール1111を設けて素シート111とした。
白金粉末とアルミナ粉末とを配合した混合粉末、ブチラール樹脂及びブチルカルビトールを用いてスラリーを得た。このスラリーを素シート111の一面に所定の形状でスクリーン印刷し、発熱部1131となる幅細の未焼成発熱部1131及びヒータリード部1132となる幅広の未焼成ヒータリード部1132を備える未焼成ヒータ113を形成した。
上記〔2〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成ヒータ113が形成された素シート111の一面とは反対の他面側に、スルーホール1111上を通過するようにスクリーン印刷し、未焼成ヒータ電極取出パッド191を形成した。次いで、同様なスラリーをスルーホール1111内に流し込むようにして、未焼成ヒータリード部1132と未焼成ヒータ電極取出パッド191とを焼成後に導通できるように接続した。
上記〔3〕までに得られた一方の素シート111の未焼成ヒータ113が形成された一面に、上記〔1〕で得られた他方の素シート112をその一面に第2ブタノールとブチルカルビトールとの混合液を塗布した後、積層し、圧着して未焼成ヒータ113を内部に備える未焼成第1絶縁性シート11を得た。
〔1〕 未焼成参照電極122の形
白金粉末とジルコニア粉末とを配合した混合粉末、ブチラール樹脂及びブチルカルビトールを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(1)で得られた積層体の素シート112の表面にスクリーン印刷し、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部とを備える未焼成参照電極122を形成した。
ジルコニア粉末とアルミナ粉末とを配合した混合粉末、分散剤、ブチルカルビトール、ジブチルフタレート及びアセトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(2)〔1〕で形成された未焼成電極部上に30μmの厚さにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第1セル部用固体電解質体121を得た。
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(2)〔3〕で形成された未焼成第1セル部用固体電解質体121を除く、素シート112及び未焼成参照電極122の未焼成電極リード部上に、未焼成第1セル部用固体電解質体121の表面と高さが合うようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第1層間調節層124を得た。但し、後に未焼成参照電極122の未焼成電極リード部と未焼成参照電極電極取出パッド194と接続するためのスルーホール1241が形成されるように印刷を行った。
上記(2)〔1〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成第1セル部用固体電解質体121及び未焼成第1層間調節層124の表面に印刷し、乾燥させて、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部(この未焼成電極部は未焼成第1セル部用固体電解質体121の表面に形成した)と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部(この未焼成電極リード部は未焼成第1層間調節層124の表面に形成した)を備える未焼成検知電極123を形成した。
このようにして未焼成第1セル部12を、未焼成第1絶縁性シート11上に積層し、上記(1)及び上記(2)により第1積層体を得た。
(1)未焼成第2層間調節層の形成
上記〈1〉(2)〔3〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記〈1〉(2)までに形成された第1積層体の未焼成検知電極123と第1層間調節層124上にスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第2層間調節層171及び172を得た。但し、後に未焼成検知電極123の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド193と接続するためのスルーホール17111が形成され、また、未焼成参照電極122の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド194と接続するためのスルーホール1712が形成されるように印刷を行った。更に、焼成後に検知室13となる空間13が形成されるように未焼成第2層間調節層は171と172との2つの部位に分け、その間に空間が形成されるように印刷を行った。
アルミナ粉末(焼成後に空隙を残存させることできる粒径)、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを第1積層体の第1層間調節層124上であって、未焼成第2層間調節層171及び172の形成されていない部分に図15に示すようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成律速導入用多孔質部161及び162を得た。尚、未焼成第2層間調節層171及び172並びに未焼成律速導入用多孔質部161及び162に囲まれた図15中の空間は検知室13となる。
(1)未焼成第2絶縁性シート15の作製
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いて非多孔質部用スラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法により厚さ500μmの非多孔質部用のグリーンシートに成形した。
一方、アルミナ粉末、カーボン粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いて多孔質部用スラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法により厚さ500μmの多孔質部用のグリーンシートに成形した。
これら2種のグリーンシートから図15に示すような非多孔質部となる未焼成非多孔質部152となるシートの一端側に多孔質部となる未焼成多孔質部151を備えるシートを形成した。次いで、スルーホール156となる孔を3つ設けて未焼成第2絶縁性シート15を得た。
上記〈3〉(1)と同様の多孔質部用及び非多孔質部用の2種のスラリーを得た。このうち多孔質部用のスラリーを、上記〈3〉(1)で得られた未焼成第2絶縁性シート15の備える未焼成多孔質部151を覆うようにスクリーン印刷し、乾燥させて中間層18の多孔質部181となる未焼成中間層多孔質部181を形成した。次いで、非多孔質部用のスラリーを未焼成第2絶縁性シート15上であって、未焼成中間層多孔質部181が形成されていない表面にスクリーン印刷し、乾燥させて中間層18の非多孔質部182となる未焼成中間層非多孔質部182を形成した。但し、後に未焼成参照電極122と未焼成電極取出パッド194とを接続するためのスルーホール1823が形成され、また、未焼成検知電極123及び未焼成第2ポンプ電極と未焼成電極取出パッド193とを接続するためのスルーホール1822が形成され、更に、未焼成第1ポンプ電極142と未焼成電極取出パッド192とを接続するためのスルーホール1821が形成されるように印刷を行った。
〔1〕 未焼成第1ポンプ電極142の形成
上記〈1〉(2)〔1〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成中間層18の表面にスクリーン印刷し、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部を備える未焼成第1ポンプ電極142を形成した。
上記〈1〉(2)〔2〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成第1ポンプ電極142の未焼成電極部上に30μmの厚さにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第2セル部用固体電解質体141を得た。
上記〈1〉(2)〔3〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成第2セル部用固体電解質体141を除く、未焼成中間層18及び未焼成第1ポンプ電極142の未焼成電極リード部上に、未焼成第2セル部用固体電解質体141の表面と高さが合うようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第3層間調節層144を得た。但し、後に未焼成参照電極122と未焼成電極取出パッド194とを接続するためのスルーホール1442が形成され、また、未焼成検知電極123及び未焼成第2ポンプ電極と未焼成電極取出パッド193とを接続するためのスルーホール1441が形成されるように印刷を行った。
上記〈1〉(2)〔1〕と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成第2セル部用固体電解質体141及び未焼成第3層間調節層144の表面に印刷し、乾燥させて、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部(この未焼成電極部は未焼成第2セル部用固体電解質体141の表面に形成した)と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部(この未焼成電極リード部は未焼成第3層間調節層144の表面に形成した)を備える未焼成第2ポンプ電極143を形成した。
このようにして、上記(1)〜(3)により第2積層体を得た。
一面側に検知室13となる空間13と未焼成律速導入用多孔質部161及び162等が形成された第1積層体のこの面と、第2積層体の未焼成第2ポンプ電極143が形成された面とに、第2ブタノールとブチルカルビトールとの混合液を塗布した後、接合し、圧着して未焼成素子1を得た。
上記〈4〉までに得られた未焼成素子1を、大気雰囲気において、脱脂処理を行った。その後、大気雰囲気において1300〜1600℃で焼成し積層型ガスセンサ素子1を得た。
上記〈5〉までに得られた素子1を用いて図22に示すガスセンサ2を製造した。
このガスセンサ2において、素子1は主体金具22内に収められたセラミックホルダ211、タルク粉末212及びセラミックスリーブ213(センサ素子1とセラミックスリーブ213との間にはリードフレーム25を介し、センサ素子1の上端はセラミックスリーブ213内に位置する)に支持されて固定されている。この主体金具22の下部には、センサ素子1の下部を覆う複数の孔を有する2重構造の金属製のプロテクタ23が取設され、主体金具22の上部には外筒213が取設されている。また、外筒24の上部には、センサ素子1を外部回路と接続するためのリード線26を分岐挿通する貫通孔が設けられたセラミックセパレータ27及びグロメット28を備える。
Claims (4)
- 一体に焼成された積層型ガスセンサ素子であって、ヒータを表面又は内部に有する第1絶縁性基部と、第1セル部用固体電解質体並びに該第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第1セル部用電極を有する第1セル部と、検知室と、第2セル部用固体電解質体並びに該第2セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第2セル部用電極を有する第2セル部と、をこの順に積層して備え、
該第1セル部用電極の一方の電極は該検知室に面して配置され、該第1セル部用電極の他方の電極は該第1セル部用電極の該一方の電極に対向して配置され、該第2セル部用電極の一方の電極は被測定ガスと接するように配置され、該第2セル部用電極の他方の電極は該検知室に面し且つ該第2セル部用電極の該一方の電極に対向して配置されており、
上記第1セル部用電極の上記一方の電極と、上記第2セル部用電極の上記他方の電極が、少なくとも一部で対向しており、且つ上記第1セル部用電極の上記一方の電極の幅が上記第2セル部用電極の上記他方の電極の幅よりも小さいことを特徴とする積層型ガスセンサ素子。 - 第1絶縁性基部と、第1セル部用固体電解質体並びに該第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第1セル部用電極を有する第1セル部と、検知室と、第2セル部用固体電解質体並びに該第2セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第2セル部用電極を有する第2セル部と、通気性を有する多孔質部を備える第2絶縁性基部と、をこの順に積層して備え、
該第1絶縁性基部の表面又は内部にヒータを有し、該第1セル部用電極の一方の電極は該検知室に面して配置され、該第1セル部用電極の他方の電極は該第1セル部用電極の該一方の電極に対向して配置され、該第2セル部用電極の一方の電極は該多孔質部を介して被測定ガスに接するように配置され、該第2セル部用電極の他方の電極は該検知室に面し且つ該第2セル部用電極の該一方の電極に対向して配置されており、
上記第1セル部用電極の上記一方の電極と、上記第2セル部用電極の上記他方の電極とが、少なくとも一部で対向しており、且つ上記第1セル部用電極の上記一方の電極の幅が上記第2セル部用電極の上記他方の電極の幅よりも小さいことを特徴とする積層型ガスセンサ素子。 - 上記ヒータは発熱部を有し、素子の積層方向において、該発熱部は、上記第1セル部用電極の上記一方の電極及び上記第2セル部用電極の上記一方の電極と重なることを特徴とする請求項1又は2記載の積層型ガスセンサ素子。
- 焼成されて上記第1絶縁性基部となる未焼成第1絶縁性シート及び焼成されて上記第2絶縁性基部となる未焼成第2絶縁性シートの各々の焼成収縮率は、焼成されて上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体及び焼成されて上記第2セル部用固体電解質体となる未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率と同じか若しくは大きいことを特徴とする請求項2記載の積層型ガスセンサ素子。
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