JP4093784B2 - 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサに関する。更に詳しくは、新規な構造の積層型ガスセンサ素子及びこのような積層型ガスセンサ素子の製造方法並びにこのような積層型ガスセンサ素子を備えるガスセンサに関する。本発明の積層型ガスセンサ素子及びガスセンサは、自動車等に用いられる各種内燃機関の排気ガス中のガス成分の検知及び測定に使用されるガスセンサ素子及びガスセンサとして好適であり、特に空燃比を検出することができる空燃比センサ素子及び空燃比センサとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、濃淡電池とポンプセルとを備える2セル型のセンサ素子として空燃比センサ素子等が知られている。この空燃比センサ素子は、空燃比の測定を行うセンサ部と、このセンサ部を活性温度に保持するヒータ部とを備える。
このうちセンサ部は測定を行うための2つの固体電解質体と、これら各固体電解質体表面に各々形成された電極とを備える。固体電解質体は通常長方板状であり、電極が形成された部分のみが固体電解質特性を発揮できる。一方、電極が形成されていない部分は固体電解質としての利用はされず、センサ部を形作り、センサ全体を支える構造部材として利用されている(特開平11−14594号公報、及び特開平11−316211号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、内燃機関からの排気ガスの調査を内燃機関の始動直後から開始しようとするために、これらのガスセンサでは早期始動できることが強く望まれている。また、同時に更なる小型化も望まれている。
ガスセンサの早期始動を実現するためには、固体電解質体を活性温度にまで極短時間で昇温させる必要があるが、ヒータ部を構成することが多いアルミナ等に比べると固体電解質体の熱伝導率は低い。そのためセルを構成する固体電解質体を同時に構造部材としても使用することは、ヒータ部から発せられる熱を十分に効率よく伝えるという目的から考えると、最良の手段ではない。
また、上記のようにセルを構成する固体電解質体を構造部材として使用するには、固体電解質体自体が十分な機械的強度を発揮できるように固体電解質体を厚く形成する必要がある。しかし、このことも上記目的から考えると前述のとおり最良の手段ではない。更に、これら熱伝導に関する問題は2つの固体電解質体を備える積層型センサ素子では特に顕著となる。
【0004】
一方、この問題をヒータに流す電力量を増やしたり、ヒータを大型化することなどで解消することも考えられる。しかし、電力量を増やすとヒータの寿命が短くなり易いという問題が生じる。一方、ヒータを大型化することは小型化という目的には反する。更に、車載センサ類においては、今後、使用されるハーネス類が車体の軽量化の観点等から細くされる傾向にあり、この場合ハーネスの発熱等の危惧を生じることとなり好ましくない。
【0005】
また、現在のように固体電解質体の厚さが厚いと、厚さが薄い場合に比べて、電極間の抵抗値(濃淡電池の内部抵抗)が大きい。このため効率よくポンプ作業等をさせるためには大きな電力を要することとなる。しかし、電極間の内部抵抗が大きいにも関わらず、より効率を求めて過度に大きな電圧を印加すると固体電解質体は自身の酸素を消費して分解(ブラックニング)し、その特性を失うことになる。即ち、内部抵抗は小さい方がセンサ素子においては有利である。
【0006】
このように、従来から使用されている積層型ガスセンサ素子は、その構造に起因する制約を有しており、現在の構造が最良のものであるとは必ずしもいうことはできない。また、積層型センサ素子の更なる早期始動及び更なる小型化を実現しようとすると、現在の積層型センサ素子の構造のままでは困難であると考えられる。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セルを構成する固体電解質体を構造部材として用いる必要がなく、ヒータによる加熱開始後早期に測定を開始することが可能であり、電力消費量が少なく、高い耐熱性を有し、更には、従来に比べて小型化が容易である積層型ガスセンサ素子を提供することを目的とする。更に、このような積層型ガスセンサ素子を安定して確実に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。また、このような積層型ガスセンサ素子を備え、素子が有する上記特性を発揮できるガスセンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型ガスセンサ素子は、第1絶縁性基部と、第1セル部用固体電解質体並びに該第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第1セル部用電極を有する第1セル部と、検知室と、第2セル部用固体電解質体並びに該第2セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第2セル部用電極を有する第2セル部と、通気性を有する多孔質部を備える第2絶縁性基部と、をこの順に積層して備え、
該第1絶縁性基部の表面又は内部にヒータを有し、該第1セル部用電極の一方の電極は該検知室に面して配置され、該第1セル部用電極の他方の電極は該第1セル部用電極の該一方の電極に対向して配置され、該第2セル部用電極の一方の電極は該多孔質部を介して被測定ガスに接するように配置され、該第2セル部用電極の他方の電極は該検知室に面し且つ該第2セル部用電極の該一方の電極に対向して配置されており、
該第1セル部用固体電解質体及び該第2セル部用固体電解質体のうちの少なくとも一方の幅方向における寸法が、該検知室と同じである、又は該検知室より小さく、
上記第2絶縁性基部と、上記第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極との間に、該第2絶縁性基部の上記多孔質部と非多孔質部との境界を覆うように中間層が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の積層型センサ素子は、上記第2絶縁性基部と、上記第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極との間に、該第2絶縁性基部の上記多孔質部と非多孔質部との境界を覆うように中間層が形成されている。また、上記中間層の少なくとも一部が多孔質部により形成され、該中間部の多孔質部の外側周が、上記第2絶縁性基部が備える上記多孔質部の外側周と接しないものとすることができる。
更に、上記中間層の上記多孔質部の外側周が、上記検知室の外側周と接しないものとすることができる。
【0011】
本発明の製造方法は、本発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記第1絶縁性基部となる未焼成第1絶縁性シートの一面側に、上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体、上記一対の第1セル部用電極となる一対の未焼成第1セル部用電極を形成して、第1積層体を得る第1積層体形成工程と、上記第2セル部用固体電解質体となる未焼成第2セル部用固体電解質体、上記一対の第2セル部用電極となる一対の未焼成第2セル部用電極を形成して、第2積層体を得る第2積層体形成工程と、を行った後、得られた該第1積層体と該第2積層体とが、焼成後に上記検知室となる空間又は焼失する空間形成用部材を介して対向するように接合し、その後、一体に焼成することを特徴とする。
また、本発明のガスセンサは、本発明の積層型ガスセンサ素子を備えることを特徴とするガスセンサ。
【0012】
【発明の効果】
本発明の積層型ガスセンサ素子によると、第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体の各々の固体電解質体は自身で自立する必要がないため構造部材としての機能を有する必要がない。従って、各固体電解質体の厚さを薄くすることができる。また、固体電解質特性が必要な部位にのみ固体電解質体を形成することができる。
【0013】
これにより、従来の積層型ガスセンサ素子に比べて各固体電解質体を必要な温度にまで昇温させるための時間が短縮でき、より早期の始動が可能となる。更に、従来に比べてより小型の積層型ガスセンサ素子を容易に得ることができる。また、内部抵抗を低減させ消費電力を少なくできる。更に、内部抵抗の低減により印加電圧が低くなり、固体電解質体を分解(ブラックニング)させることなく広い範囲(例えば、A/F値において)での測定が可能となる。また、必要な部分にのみ固体電解質体を形成した場合には、電極リード部等における電流のリークを危惧する必要がなく、固体電解質体の一部表面に絶縁層等の絶縁手段を形成する必要がないため、製造工程上簡便である。
【0015】
本発明のガスセンサによると、本発明の積層型ガスセンサ素子を備えるために、従来のガスセンサに比べてより早期にガス濃度の測定を開始することができ、消費電力を少なくでき、更に、広い範囲(例えば、A/F値において)の測定が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[1]参考発明の積層型ガスセンサ素子について
参考発明の積層型ガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)は、第1絶縁性基部と、第1セル部と、検知室と、第2セル部とを備える。以下、これらの部分、及び、その他、参考発明の素子が備えることができる部分について説明する。
【0017】
(1)第1絶縁性基部
上記「第1絶縁性基部」は、ヒータを支持する部分であり、後述する第1セル部を支持する部分であり、更には、素子全体の強度を保障する部分である。
この第1絶縁性基部の形状及び大きさ等は特に限定されないが、通常、その厚さは0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)である。但し、ヒータを内部に有するためには、厚さは0.2mm以上であることが好ましい。この厚さが0.1mm未満であると第1セル部の支持や素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第1絶縁性基部となる未焼成体に他部材を積層する工程を行うことが困難となる場合がある。尚、第1絶縁性基部は単層であっても複層であってもよい。
【0018】
また、第1絶縁性基部は絶縁性セラミックスにより構成されて十分な絶縁性を発揮できる。例えば、温度800℃においてヒータと第1セル部用電極及び第2セル部用電極のうちのいずれもの電極との間の電気抵抗値が1MΩ(好ましくは10MΩ)以上となる程度の絶縁性を発揮できることが好ましい。このような絶縁性を発揮させることができる絶縁性セラミックスとしては、アルミナ、ムライト、スピネル、ステアタイト及び窒化アルミニウムのうちの1種又は2種以上を主成分とするものを挙げることができる。また、低温においては十分な絶縁性を発揮できるが、例えば800℃以上の高温においては十分な絶縁性を発揮できないジルコニア等は絶縁性セラミックスには含まれない。但し、上記の絶縁性が発揮される範囲内で副成分として含有されていてもよい。
【0019】
これらの絶縁性セラミックスを構成する成分の中でもアルミナは安価であり、加工が比較的容易であるため好ましい。このアルミナを用いる場合は十分な絶縁性及び耐熱性(耐熱衝撃性等)が発揮されるように、第1絶縁性基部は、その全体に対してアルミナを70質量%以上(より好ましくは80質量%以上、更に好ましく90質量%)含有するものであることが好ましい。
一方、残部として第1絶縁性基部に直接接して積層される部位(例えば、第1セル部用固体電解質体等)を構成する成分を1〜20質量%含有することができる。これにより第1絶縁性基部は、直接接して積層される部位との間の熱膨張差を緩和できる。
【0020】
しかし、第1絶縁性基部が、特に高い絶縁性を要する場合には、絶縁性セラミックス全体に対してアルミナを90質量%以上(より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99.99質量%以上)含有し、且つシリカを10000ppm以下(より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは50ppm以下)含有するか又はシリカを含有しない(測定限界以下)ものであることが好ましい。このような第1絶縁性基部であることにより、ヒータから第1セル部用電極及び第2セル部用電極のうちのいずれもの電極への電流のリークを確実に防止できる。
【0021】
(1−1)ヒータ
また、第1絶縁性基部が備える上記「ヒータ」は発熱部とヒータリード部とを備えることができる。このうち発熱部は電力の供給により実際に昇温する部位であり、ヒータリード部は外部回路からの電力を発熱部まで導く部位である。これらの形状は特に限定されないが、例えば、発熱部はヒータリード部と比較して幅細に形成することができる。
これら発熱部及びヒータリード部を構成する材質は特に限定されないが、例えば、貴金属、モリブデン及びレニウムの少なくとも1種により構成することができる。また、発熱部とヒータリード部とは同じ材質からなっていてもよく、異なる材質からなってもよい。
尚、このヒータは、第1絶縁性基部の表面又は内部に形成されているが、このうち表面に備える場合とは、例えば、後述する検知室内にあって、且つ後述する第1セル部用固体電解質体の脇に備える場合等を意味する。
【0022】
(2)第1セル部
上記「第1セル部」は、第1絶縁性基部に直接又は他部材を介して間接的に積層されて支持されている。また、第1セル部用固体電解質体と一対の電極である第1セル部用電極とを備え、所定のイオン又は気体を一方の電極の側から他方の電極の側へ移動させることができる部分である。この第1セル部は、例えば、被測定ガスの濃度を電位差として出力できる濃度検知セルや、一対の電極へ電圧を印加することにより一方の電極の側から他方の電極の側へ所定のイオン又は気体等を移動させることができるポンプセル等として機能させることができる。この第1セル部は、第1セル部用固体電解質体と一対の第1セル部用電極のみからなっていてもよいが、その他にも例えば、第1セル部用固体電解質体の内部抵抗を測定するための内部抵抗測定用電極等の他の部分を備えることができる。
尚、被測定ガスは、被測定雰囲気を構成するガスであって、参考発明の素子又は他の本発明の素子による測定目的ガスであり、1種又は2種以上の成分からなるものである。
【0023】
(2−1)第1セル部用固体電解質体
上記「第1セル部用固体電解質体」は、イオン導電性を有するものであり、その形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、その厚さは300μm以下(好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下、通常20μm以上)にすることができる。第1セル部用固体電解質体は300μmを超えて厚い場合であっても素子としての機能は失われないが、固体電解質体を薄くすることによる効果は得られ難くなる。一方、20μmより薄い場合には作製が困難となると共にイオン導電性が十分に得られ難くなる傾向にある。
【0024】
また、第1セル部用固体電解質体としては、例えば、ジルコニア系焼結体(イットリア等の安定化剤を含有できる)、LaGaO3系焼結体等を挙げることができる。これらの中でも、酸素イオンを導電させる場合には、酸素イオン導電性に特に優れたジルコニア系焼結体(イットリア等を安定化剤として含有)を用いることが好ましい。
【0025】
更には、第1セル部用固体電解質体を構成するジルコニア結晶は、キュービック相(以下、単に「C相」という)及びテトラゴナル相(以下、単に「T相」という)の2相を主体とするものであることが好ましい。特に、モノクリニック相(以下、単に「M相」という)は、下記式▲1▼を満たす程度に微量であるか又は測定限界以下であることが好ましい。
【数1】
【0026】
この第1セル部用固体電解質体は、第1絶縁性基部に直接接して積層されていてもよく、第1セル部用電極やその他の部材を介して間接的に積層されていてもよい。但し、第1セル部用固体電解質体が第1絶縁性基部に直接接して積層される場合には、第1セル部用固体電解質体全体の80質量%以下(より好ましくは50質量%以下)の第1絶縁性基部を構成する成分を含有させることができる。
【0027】
(2−2)第1セル部用電極
上記「第1セル部用電極」は、第1セル部用固体電解質体の表面に形成された電極である。この第1セル部用電極のうちの一方の電極は、後述する検知室内の雰囲気に接する電極である。また、第1セル部用電極のうちの他方の電極は、第1セル部用電極のうちの一方の電極に対向して配置され、通常、大気雰囲気や参照ガスと接し、後述する検知室内の雰囲気とは接しない電極である。
これら第1セル部用電極の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、例えば、幅広に形成された電極部と、幅細に形成された電極リード部とから構成することができる。
【0028】
これら第1セル部用電極を構成する材質は特に限定されないが、例えば、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRhのうちの少なくとも1種を主成分(通常、各電極全体の70質量%以上)にすることができ、通常、Ptを主成分とすることが好ましい。また、第1セル部用固体電解質体を構成する主成分を含有していてもよい。これら第1セル部用電極とは異なる材質からなるものであっても、同じ材質からなるものであってもよい。
【0029】
(3)検知室
上記「検知室」は、素子外の被測定雰囲気に含まれる特定の気体(例えば、酸素等)を後述する第2セル部の作用により導入でき、且つ、素子外の被測定雰囲気を構成する被測定ガスを、素子外における流速に関係なく略一定の速度で(このように導入することを以下、単に「律速」という)導入できる空間である。また、この検知室内の雰囲気に含まれる上記特定の気体は第2セル部の作用により素子外へ導出できる。
尚、被測定雰囲気を素子内に律速導入するためには、本発明の素子は、律速導入用多孔質部や律速導入用孔等を備える必要がある。これらについては後述する。
【0030】
この検知室の形状及び大きさは特に限定されないが、第1セル部用固体電解質体と後述する第2セル部用固体電解質体との間(通常、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極と第2セル部用電極のうちの検知室に面する電極との間)が1.0mm以下(より好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.1mm以下、通常0.02mm以上)となるものであることが好ましい。
更に、第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体は各々の電極を伴ってこの検知室の壁を形成していもよい(図1参照)。また、第1セル部用固体電解質体、第2セル部用固体電解質体、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極及び第2セル部用電極のうちの検知室に面する電極とは、検知室内に突出するように検知室の内側に形成されていもよい(図5、図6、図10及び図12参照)。
【0031】
(4)第2セル部
上記「第2セル部」は、第2セル部用固体電解質体と一対の電極である第2セル部用電極とを備え、所定のイオン又は気体を一方の電極の側から他方の電極の側へ移動させることができる部分である。この第2セル部も、第1セル部と同様に濃度検知セルや、ポンプセル等として機能させることができる。この第2セル部は、第2セル部用固体電解質体と一対の第2セル部用電極のみからなっていてもよいが、その他にも例えば、第2セル部用固体電解質体の内部抵抗を測定するための内部抵抗測定用電極等の他の部分を備えることができる。
【0032】
(4−1)第2セル部用固体電解質体
上記「第2セル部用固体電解質体」は、イオン導電性を有するものであり、その形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、その厚さは300μm以下(好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下、通常20μm以上)にすることができる。第2セル部用固体電解質体は300μmを超えて厚い場合であっても素子としての機能は失われないが、固体電解質体を薄くすることによる効果は得られ難くなる。一方、20μmより薄い場合には作製が困難となると共にイオン導電性が十分に得られ難くなる傾向にある。
【0033】
また、第2セル部用固体電解質体としては、第1セル部用固体電解質体におけると同様なイオン導電性を有する固体電解質体を用いることができる。中でも、酸素イオンを導電させる場合には、イットリアを安定化剤として含有するジルコニア系焼結体を用いることが好ましいことにおいても同様である。更に、第2セル部用固体電解質体を構成するジルコニア結晶についてもC相及びT相を主体とし、第1セル部用固体電解質体と同様にM相の含量が微量であるか又は測定限界以下であることが好ましいことについても同様である。
【0034】
また、第2セル部用固体電解質体には、第1セル部用固体電解質体におけると同様に副成分を含有することができる。副成分としては、例えば、後述する第2基部に直接接して積層される場合には、この第2基部を構成する成分を意味する。この第2基部を構成する成分を含有する場合には、第2セル部用固体電解質体全体の80質量%以下(より好ましくは50質量%以下)であることが好ましい。
【0035】
但し、第2セル部用固体電解質体に他部材を含有させる場合には、第2セル部用固体電解質体の一対の第2セル部用電極の間で測定される抵抗が、第1セル部用固体電解質体の一対の第1セル部用電極の間で測定される抵抗に比べて大きくならないように含有させることが好ましい。第2セル部用固体電解質体には、第1セル部用固体電解質体に比べてより大きな電流を流す場合があり、固体電解質体の内部抵抗が過度に高いと、過電圧により第2セル部用固体電解質体が分解し、ブラックニングと称される現象を生じることがあるためである。
【0036】
(4−2)第2セル部用電極
上記「第2セル部用電極」は、第2セル部用固体電解質体の表面に形成された電極である。この第2セル部用電極のうちの一方の電極は、被測定雰囲気と接する電極である。また、第2セル部用電極のうちの他方の電極は、検知室内の雰囲気と接するように検知室に面し、第2セル部用電極のうちの一方の電極と対向して配置された電極である。
これら第2セル部用電極の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、例えば、幅広に形成された電極部と、幅細に形成された電極リード部とから構成することができる。
更に、これら第2セル部用電極を構成する材質も特に限定されないが、第1セル部用電極と同様なものとすることができる。これら第2セル部用電極の各々の電極はそれぞれ異なる材質からなるものであっても、同じ材質からなるものであってもよく、また、第2セル部用固体電解質体を構成する主成分を含有していてもよい。
【0037】
(5)参考発明の素子が備えることができるその他の部分
参考発明の素子は、前述の第1絶縁性基部、第1セル部、検知室及び第2セル部以外にもその他の部分を備えることができる。これらその他の部分としては、例えば、第2基部、律速導入部、中間層及び層間調節層等を挙げることができる。
(5−1)第2基部
参考発明の素子は第2基部を備えることができる。第2基部は、第1絶縁性基部とこの第2基部との間に、第1セル部、検知室及び第2セル部の各々が配置されるように、第1絶縁性基部に対向して配置されるものである。
この第2基部の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、その厚さは0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)とすることができる。この厚さが0.1mm未満であると第2セル部の支持や素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、第1絶縁性基部と同様に製造時の積層が困難となる場合がある。更に、第2基部は単層物であっても複層物であってもよい。
【0038】
また、第1絶縁性基部は表面又は内部にヒータを備えるために、高温においても高い絶縁性を発揮できる必要がある。しかし、ヒータを備えない第2基部では、第1絶縁性基部において必要とされる程度の高い絶縁性は必要とされない。また、素子の最も外側に位置し、ヒータを備えない第2基部では、この第2基部の熱伝導性は素子内において特に影響しない。このため、第2基部は、前述の第1絶縁性基部を構成する絶縁性セラミックスにより構成することもできるが、高温においては十分な絶縁性を発揮し難いジルコニアを主成分とするセラミックスから構成することもできる。
【0039】
更に、ジルコニアを主成分とするセラミックスから構成した場合であっても、高い絶縁性を必要とする場合には、ジルコニアを主成分とするセラミックスの表面をアルミナ等の高温においても高い絶縁性を発揮できるセラミックスにより薄く覆うことにより十分な絶縁性を発揮できる第2基部を得ることもできる。
また、第2基部を、上記のように第1絶縁性基部に対向するように配置することで、第2セル部を支持し、更に、素子全体の強度を第1絶縁性基部と共に保障することができ、素子全体の機械的強度を向上させることができる。
【0040】
この第2基部を備える場合であって、この第2基部が、第2セル部用電極うちの被測定ガスに接する電極を覆うように配置される場合には、第2基部は第2セル部用電極うちの一方の電極が被測定ガスと接することを阻害しないように、多孔質部を備えることができる。この第2基部の多孔質部は十分な通気性を確保するために、気孔率は5〜80%(より好ましくは20〜80%、更に好ましくは40〜80%)であることが好ましい。気孔率が5%未満であると被測定雰囲気に含まれる測定目的気体の濃度が検知室内に反映されるまでに要する時間が長く成り過ぎる傾向にあり、応答性が十分に向上しない傾向にある。一方、80%を超えると機械的強度が十分に得られ難くなる傾向にある。
【0041】
(5−2)律速導入部
更に、参考発明の素子は、律速導入部を備えることができる。律速導入部は、被測定雰囲気を構成する被測定ガスを律速させて検知室内に導入することができる部分である。この律速導入部はどのように形成されていてもよく、例えば、被測定雰囲気を律速させて導入できる程度の通気性を有する律速導入用多孔質部(図1〜9等における161及び162参照)や、被測定雰囲気を律速させて導入できる程度に小さな律速導入用貫通孔(図10及び図11における16参照)等により形成することができる。
この様な律速導入用多孔質部としては、気孔率が5〜40%(より好ましくは5〜30%、更に好ましくは10〜20%)であるものを挙げることができる。一方、被測定雰囲気を律速させて導入できる程度に小さな貫通孔としては、素子外表面における開口面積が0.5mm2以下の貫通孔を挙げることができる。
【0042】
(5−4)中間層
また、参考発明の素子が、上記の多孔質部を有する第2基部を備える場合には、中間層(図1等参照)を備えることができる。中間層は第2基部と第2セル部との間に形成される層であり、通常、第2基部と直接接することとなる第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極が、第2基部の備える多孔質部と非多孔質部との境界に接触することで断線されたり、線幅が細ることを防止する機能を有する層である。これは以下の理由による。即ち、通常、第2基部の未焼成体はある程度の厚みをもつシート状に成形されるため、多孔質部と非多孔質部との境界に段差ができ易い。一方、中間層の未焼成体は印刷成形できるため、この段差を埋めることでき、段差を解消することができる。
【0043】
この中間層の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されないが、厚さは、例えば、5〜100μm(より好ましくは10〜60μm、更に好ましくは10〜50μm)とすることができる。更に、中間層は第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極に接して形成されるため、この中間層を構成する材質は十分な絶縁性を発揮できるものであることが好ましい。このような材質としては、第1絶縁性基部を構成する絶縁性セラミックス等を用いることができる。
【0044】
また、この中間層は、第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極と第2基部の多孔質部との間の通気性が保持されれば、多孔質体であっても、非多孔質体(第2基部の多孔質部を完全に覆わないように配置する等)であってもよい。また、中間層の大きさは特に限定されず、第2基部と第1ポンプ電極との間の全面に備えられていてもよく、第2基部の多孔質部と非多孔質部との境界のみを覆うように備えられていてもよい。
【0045】
(5−5)層間調節層
その他、参考発明の素子は、図1示すように層間を調節する層間調節層を備えることもできる。この層間調節層は各部における層間の高さを調節する等の効果を有する。例えば、図1においては、第1絶縁性基部11と律速導入用多孔質部161及び162等との層間の高さを第1セル部と同じ高さに保つために第1層間調節層124を備える。
【0046】
[2]参考発明の素子における各部分の相関について
これまでに述べたように、参考発明の素子は、上述の各部を備えることができるが、以下では、これらの各部の素子内での位置及び各部分の大きさの相関を説明する。
(1)ヒータと他の部分との相関
ヒータの大きさ及び配置は特に限定されない。しかし、発熱部からの熱を効率よく第1セル部及び第2セル部に伝導させることができるように配置されていることが好ましい。
【0047】
(2)第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体と他の部分との相関
第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体と検知室との相関においては、第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体のうちのうちの少なくとも一方の幅方向における寸法が、検知室と同じである(図4)、又は検知室より小さい(図1、図5〜8及び図10〜13参照)。これらの態様が好ましい理由は、固体電解質体は小さい方がヒータからの熱をより効率よく伝導させることができるためである(例えば、図2及び図3に比べると図1の固体電解質体は小さい)。また、固体電解質体が検知室である空洞と緻密である部分とを跨がない態様とすることにより、固体電解質体にクラックを生じる可能性をより抑えることができるためである。
【0048】
更に、上記の好ましい態様の中でも、第1セル部用固体電解質体と検知室とが同じ大きさであるものに比べて、第1セル部用固体電解質体が検知室よりも小さいものが好ましい。このような態様が好ましい理由は、検知室の外側周と第1セル部用固体電解質体の外側周とが接することを避けることができるからである。即ち、各部の接合部は素子内においてはクラックの起点となる可能性が他部に比べると高いが、これらの部分が素子内で分散されて存在することとなり、クラックや割れの防止に効果的であるからである。
【0049】
また、第1セル部用固体電解質体と第2セル部用固体電解質体との相関においては、例えば、素子の幅方向における第1セル部用固体電解質体の寸法が、第2セル部用固体電解質体の寸法に比べて小さいもの(図1、図5〜7及び図10〜13参照)、大きいもの(図2及び図3)、及び、第1セル部用固体電解質体と第2セル部用固体電解質体とが略同じ大きさであるもの(図8及び図9)等とすることができる。
これらの態様の中でも、第1セル部用固体電解質体が第2セル部用固体電解質体よりも大きいものに比べて、小さいもの又は第1セル部用固体電解質体と第2セル部用固体電解質体とが略同じ大きさであるものが好ましい。更には、第1セル部用固体電解質体が第2セル部用固体電解質体よりも小さいものがより好ましい。これらの態様が好ましい理由は、固体電解質体は小さい方がヒータからの熱をより効率よく伝導させることができるためである。
【0050】
(3)第1セル部用電極同士の相関及び他の部分との相関
第1セル部用電極である一対の電極は、第1セル部用固体電解質体の一面側に両電極を備える素子よりも、各々電極が濃淡電池用固体電解質体を挟んで形成されており、且つ各々の実電極領域が少なくとも一部で対向(好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上、より好ましくは全領域で対向)していることが好ましい。これにより、ヒータでの加熱を要する領域を小さくでき、始動直後から測定開始までの時間を短縮することができる。
更に、素子の幅方向における第1セル部用電極の寸法は、第1セル部用固体電解質体よりも大きくてもよく(図13参照)、第1セル部用固体電解質体と略同じ大きさであってもよく(図1等参照)、第1セル部用固体電解質体よりも小さくてもよい(図2等参照)。
【0052】
(4)素子が第2基部を備える場合
更に、本発明の素子が第2基部を備える場合に、この第2基部との相関においては、素子の幅方向における第2セル部用固体電解質体の寸法が、第2基部よりも小さくてもよく(図1〜4、図6等)、第2セル部用固体電解質体と第2基部とが略同じ大きさ(図5、図9及び図10等)であってもよい。これらの態様の中でも素子内の熱伝導率を向上させることができること等の理由から小さいことが好ましい。
【0053】
また、この第2基部が多孔質部を備える場合に、この第2基部の多孔質部との相関においては、素子の幅方向における第2セル部用固体電解質体の寸法が、第2基部の多孔質部よりも大きくてもよく(図5、図6及び図9〜11)、小さくてもよく(図1〜4、図8、図12及び図13)、第2セル部用固体電解質体と第2基部の多孔質部とが略同じ大きさ(図7)であってもよい。これらの態様の中でも、第2セル部用固体電解質体と第2基部の多孔質部とが略同じ大きさであるものに比べると、第2セル部用固体電解質体が第2基部の多孔質部よりも大きいか又は小さいことが好ましい。このような態様が好ましい理由は、各部の接合部は素子内においてはクラックの起点となる可能性が他部に比べると高いが、これらの部分が素子内で分散されて存在することとなり、クラックや割れの防止に効果的である(例えば、図1においては、第2基部の多孔質部151と非多孔質部152との接合部の投影像が、層間調節層144と第2セル部用固体電解質体141との接合部の投影像と重ならない)。
【0054】
(5)第2セル部用電極同士の相関及び他の部分との相関
一対の第2セル部用電極同士は、第2セル部用固体電解質体を挟んで形成されており、且つ各々の実電極領域が少なくとも一部で対向(好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上、より好ましくは全領域で対向)していることが好ましい。これにより、検知室内と素子外との酸素の移動を効率よく行うことができ、精度及び応答性に優れた素子とすることができる。
【0055】
また、第2セル部用固体電解質体との相関において、素子の幅方向における第2セル部用電極の寸法は、第2セル部用固体電解質体よりも大きくてもよく、第2セル部用固体電解質体と略同じ大きさであってもよく、第2セル部用固体電解質体よりも小さくてもよい。
【0056】
更に、第1セル部用電極との相関において、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極の実電極領域と、第2セル部用電極のうちの検知室に面する電極の実電極領域とは、少なくとも一部で対向(40%以上、更に好ましくは60%以上)していることが好ましく、このような態様の素子は応答性に優れ、測定雰囲気の変化が激しい場合であっても応答遅れを生じ難いものとなる。
【0057】
また、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極と、第2セル部用電極のうちの検知室に面する電極とは近い位置にあることが好ましい(各々の電極間の距離が1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.1mm以下であることが更に好ましい。通常0.02mm以上)。このような態様の素子は応答性に優れ、測定雰囲気の変化が激しい場合であっても応答遅れを生じ難いものとなる。
【0058】
(6)第2基部と他の部分との相関
参考発明の素子が第2基部を備える場合に、この第2基部と他の部分との相関はこれまでに他の部分の相関において述べた通りである。但し、第2基部が第2セル部用固体電解質体の被測定ガスと接する電極が被測定ガスと接触することを妨げないために、多孔質部を備える場合に、この第2基部の多孔質部の大きさは特に限定されない。しかし、第2基部の多孔質部が大きくなると、素子全体の強度が低下する傾向にあるため、過度に第2セル部を超えて大きく形成する必要はない。即ち、この多孔質部は第2基部のうち第2セル部を構成する第2セル部用電極の被測定ガスと接触する電極の実電極領域のみを覆うように形成されていることが好ましい。
【0059】
(7)中間層と他の部分との相関
また、参考発明の素子が中間層を備える場合であって、且つ、この中間層の少なくとも一部が多孔質部により形成されている場合に、第2基部の多孔質部との相関において、中間層の多孔質部の外側周は第2基部の多孔質部の外側周と接しないことが好ましい。更に、中間層の多孔質部の外側周は検知室の外側周と接しないことが好ましい。このような態様も、素子内においてクラックの起点となる可能性が他部に比べると高い部位が素子内で分散されて存在することとなり、クラックや割れの防止に効果的である。
【0061】
(8)素子の長手方向における各種の態様
上記[2](1)〜(7)における素子の幅方向における各種の態様は、素子の長手方向においても同様なものとすることができる。更に、各種の好ましい態様は素子の長手方向においても好ましい態様である。即ち、例えば、図14に示すように、参考発明の素子が第2基部を備える場合に、第2基部の多孔質部の外側周である第2基部の多孔質部と非多孔質部との境界153と、中間層の多孔質部の外側周である中間層の多孔質部と非多孔質部との境界191とは接しないことが好ましい(但し、図14では検知室の外側周と第2セル部用固体電解質体の外側周とは重なっている)。
尚、図14は図1のA−A’における模式的な断面図であり、図1は図14のB−B’における模式的な断面図である。
【0062】
[3]本発明の積層型ガスセンサ素子について
本発明の積層型ガスセンサ素子は、第1絶縁性基部と、第1セル部と、検知室と、第2セル部と、第2絶縁性基部とを備える。即ち、第2絶縁性基部を備える点において参考発明の素子と異なる。以下、これらの他の本発明の素子が備える部分、及び、その他、他の本発明の素子が備えることができる部分について、前述の参考発明の素子との相違点を主として説明する。
(1)第1絶縁性基部
本発明の素子における上記「第1絶縁性基部」を構成する絶縁性セラミックス及びヒータについては参考発明の素子と同様である。
【0063】
(2)第1セル部及び検知室
第1セル部及び検知室については、参考発明の素子と同様である。
(3)第2セル部
上記「第2セル部」の備える上記「第2セル部用固体電解質体」には、参考発明の素子の第2セル部用固体電解質体と同様に副成分を含有することができる。副成分としては、例えば、後述する第2絶縁性基部に直接接して積層される場合には、この第2絶縁性基部を構成する成分を意味する。この第2絶縁性基部を構成する成分を含有する場合には、第2セル部用固体電解質体全体の80質量%以下(より好ましくは50質量%以下)であることが好ましい。但し、第2セル部用固体電解質体の一対の第2セル部用電極の間で測定される抵抗が、第1セル部用固体電解質体の一対の第1セル部用電極の間で測定される抵抗に比べて大きくならないように含有させることが好ましいことは参考発明の素子と同様である。 更に、上記「第2セル部用電極」においても同様に第2絶縁性基部に直接接して積層される場合には、第2セル部用電極を構成する材質にも、第2絶縁性基部を構成する成分を含有することができる。
その他の本発明の素子の第2セル部、第2セル部用固体電解質体及び第2セル部用電極は、参考発明の素子と同様である。
【0064】
(4)第2絶縁性基部
上記「第2絶縁性基部」は、第1絶縁性基部と共に素子全体を支える部分である。この第2絶縁性基部の形状及び大きさ等は特に限定されない。また、この第2絶縁性基部の厚さも特に限定されないが、例えば、0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)とすることができる。この厚さが0.1mm未満であると第2セル部の支持や素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第2絶縁性基部となる未焼成体に他部材を積層する工程を行うことが困難となる場合がある。尚、第2絶縁性基部は単層であっても複層であってもよい。
【0065】
また、第2絶縁性基部は絶縁性セラミックスから形成される(第2絶縁性基部を構成する多孔質部と非多孔質部との両方がこの絶縁性セラミックスから形成されている)。この絶縁性セラミックスとしては、第1絶縁性基部と同様なものを用いることができるが、第1絶縁性基部と第2絶縁性基部を形成する絶縁性セラミックスは同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また、第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部(後述する多孔質部を除く部分)とを形成する絶縁性セラミックスは同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
【0066】
(4−1)第2絶縁性基部の多孔質部
上記「多孔質部」は、第2絶縁性基部の一部であって、第2セル部を構成する第2セル部用電極のうちの一方と素子外の被測定雰囲気とを接触させるための部分である。この多孔質部は、電極を構成する金属がリン、鉛及びケイ素等により被毒されることを防止する作用や、素子外における被測定ガスの流速に関わらず電極に接触する時点での被測定ガスの流速を略一定にする律速作用等を発揮することができる。多孔質部はこれらの作用を十分に発揮できるために、気孔率は5%以上(より好ましくは20%以上、更に好ましくは40%以上、通常80%以下)であることが好ましい。気孔率が5%未満であると、十分な気孔率の多孔質部を備える素子に比べると応答性が十分に向上しない傾向にある。一方、80%を超えると機械的強度が十分に得られ難くなる傾向にある。
【0067】
この第2絶縁性基部が備える多孔質部は、その側面の一部又は全部が第2絶縁性基部を構成する非多孔質部により囲まれたものとすることができる。ここでいう「側面の一部が取り囲まれる」とは、例えば、図16に示すように多孔質部151が多角形板状体(角部が丸みを帯びていてもよい)からなる場合に、その側面が素子における三方から非多孔質部152により囲まれている態様を挙げることができる。また、図17示すように多孔質部1651が多角形板状体からなる場合に、その側面が素子における対向する2方向から非多孔質部152により挟み込むように囲まれている態様を挙げることができる。これら図16及び図17にも示されているように、素子の各角部(一面と他面とが交わる部位)の頂部(3つの辺が交わる部位)は非多孔質部152により形成されていることが好ましく、更には、各角部も非多孔質部により形成されていることが好ましい。この頂部や角部は素子の使用時に最も激しい冷熱間サイクルに晒される部位の一つであるからである。頂部や角部が非多孔質部により形成されていることで、素子全体の熱的強度及び機械的強度を効果的に向上させることができる。
【0068】
また、例えば、図18に示すように多孔質部151が多角形板状体からなる場合に、その側面の全面が非多孔質部152により囲まれている態様を挙げることができる。このような多孔質部151の側面の一部又は全面を取り囲む枠部(図16〜18における154等)の幅は0.2mm以上であることが好ましい(素子の幅が2〜7mm程度において)。この枠部の最狭部における幅が0.2mm未満となると、焼成時や使用時の冷熱間サイクルや衝撃等に対する耐久性が十分に得られ難くなる傾向にある。また、製造時における未焼成体の取り扱いも難しくなる場合がある。
【0069】
この第2絶縁性基部は、少なくとも側面方向に通気できるように多孔質部を備え、更に、多孔質部の第1絶縁性基部と対向しない側の面の少なくとも端縁を覆う非多孔質部を備えるものとすることもできる。ここでいう「側面方向に通気できる」とは、例えば、図19〜21に示すように多孔質部151が素子の側面に露出するように形成されていることを意味する。但し、素子の側面の1方向のみに露出していてもよく、2方向に露出していてもよく(図19)、更には3方向に露出していてもよい(図20及び図21)。
【0070】
また、多孔質部の一面側は第1絶縁性基部に対向しているが、他面側は第1絶縁性基部には対向していない。この他面側における多孔質部の端縁の幅は、多孔質部151を第1絶縁性基部側へ押さえ込むための非多孔質部152が形成できる幅であれば特に限定されないが、0.2mm以上であることが好ましい。更に、少なくともこの端縁が非多孔質部により覆われていればよく(例えば、図19〜21)、また、多孔質部151の第1絶縁性基部に対向しない側の面の全面が非多孔質部により覆われていてもよい(例えば、図19及び図20)。
【0071】
尚、第2絶縁性基部の第1絶縁性基部と対向しない側に形成されている非多孔質部には、この非多孔質部の表面から多孔質部151を備える裏面まで貫通する凹部(図21における154)を備えることができる。この凹部を備えることにより、素子側面からだけでなく、素子の積層方向の一面側からも被測定ガスを導入することができ、被測定ガスが素子側面のみから律速導入される場合に比べると素子の応答性を向上させることができる。このような態様の素子としては、例えば、図21を例示することができる。
【0072】
また、本発明の素子は、参考発明の素子と異なり、一体に焼成されていなくても良い。即ち、例えば、焼成されて第1絶縁性基部となる未焼成第1絶縁性シート及び焼成されて第1セル部となる未焼成第1セル部を積層して備える未焼成第1積層体を焼成し、第1絶縁性基部及び第1セル部を備える焼成第1積層体を得る。更に、焼成されて第2絶縁性基部となる未焼成第2絶縁性シート及び焼成されて第2セル部となる未焼成第2セル部を積層して備える未焼成第2積層体を焼成し、第2絶縁性基部及び第2セル部を備える焼成第2積層体を得る。その後、検知室となる空間を介するように焼成第1積層体と焼成第2積層体とを接着して本発明の素子を得ることができる。このような素子は、一体に焼成されていない素子である。
【0073】
[4]本発明の素子における各部分の相関について
これまでに述べたように、本発明の素子は、上述の各部を備えることができるが、以下では、これらの各部の素子内での位置及び各部分の大きさの相関について、前述の参考発明の素子との相違点を主として説明する。
本発明の素子の備える(1)ヒータと他の部分との相関については参考発明の素子と同様である。また、(2)第1セル部用固体電解質体と他の部分との相関についても同様である。更に、(3)第1セル部用電極同士の相関及び他の部分との相関についても同様である。
【0074】
また、(4)第2セル部用固体電解質体と他の部分との相関についても、第2セル部用固体電解質体と第2基部との相関に関する以外は同様である。但し、本発明の素子は第2絶縁性基部を備える。第2セル部用固体電解質体とこの第2絶縁性基部との相関においては、素子の幅方向における第2セル部用固体電解質体の寸法が、第2絶縁性基部よりも小さくてもよく(図1〜4、図6等)、第2セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部とが略同じ大きさ(図5、図9及び図10等)であってもよい。これらの態様の中でも素子内の熱伝導率を向上させることができること等の理由から小さいことが好ましい。
【0075】
また、本発明の第2絶縁性基部は多孔質部を備える。第2セル部用固体電解質体とこの第2絶縁性基部の多孔質部との相関においては、素子の幅方向における第2セル部用固体電解質体の寸法が、第2絶縁性基部の多孔質部よりも大きくてもよく(図5、図6及び図9〜11)、小さくてもよく(図1〜4、図8及び図12)、第2セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部の多孔質部とが略同じ大きさ(図7)であってもよい。
これらの態様の中でも、第2セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部の多孔質部とが略同じ大きさであるものに比べると、第2セル部用固体電解質体が第2絶縁性基部の多孔質部よりも大きいか又は小さいことが好ましい。このような態様が好ましい理由は、参考発明の第2セル部用固体電解質体と第2基部の多孔質部との相関{上記[2](4)}における場合と同様である。
【0076】
(5)第2セル部用電極同士の相関及び他の部分との相関についても同様である。また、(6)第2絶縁性基部と他の部分との相関についてはこれまでに他の部分の相関において述べた通りである。但し、第2絶縁性基部の多孔質部に関しては、その大きさは特に限定されないが、第2絶縁性基部の多孔質部の大きさが大きくなると、素子全体の強度が低下する傾向にあるため、過度に第2セル部を超えて大きく形成する必要はない。即ち、この多孔質部は第2絶縁性基部のうち第2セル部を構成する第2セル部用電極の被測定ガスと接触する電極の実電極領域のみを覆うように形成されていることが好ましい。
【0077】
更に、(7)中間層と他の部分との相関についても、中間層と第2基部との相関に関する以外は同様である。但し、本発明の素子は中間層を備え、且つ、この中間層の少なくとも一部が多孔質部により形成されているが、第2絶縁性基部の多孔質部との相関において、中間層の多孔質部の外側周は第2絶縁性基部の多孔質部の外側周と接しないことが好ましい。更に、中間層の多孔質部の外側周は検知室の外側周と接しないことが好ましい。このような態様も、素子内においてクラックの起点となる可能性が他部に比べると高い部位が素子内で分散されて存在することとなり、クラックや割れの防止に効果的である。また、(8)素子の長手方向における各種の態様についても同様である。
【0078】
[5]参考発明の素子及び本発明の素子の製造方法に関して
本発明の製造方法における、上記「未焼成第1絶縁性シート」は、焼成後に絶縁性を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミナ、ムライト、スピネル、ステアタイト及び窒化アルミニウムのうちの1種又は2種以上を含有する所定量の原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをドクターブレード法等により、シート状に成形した後乾燥させたグリーンシートを所定の大きさに切り出して得ることができる。また、ヒータを内部に有する第1絶縁性基部を備える素子を得ることを目的とする場合には、ヒータを挟むために2層(又は3層以上であってもよい)の素シートを上記のグリーンシートから切り出し、このうちのいずれかの素シートの一面に未焼成ヒータを形成した後、他の素シートでヒータを挟むようにして積層し、乾燥させることで未焼成ヒータを内包する未焼成第1絶縁性シートを得ることができる。
【0079】
上記「未焼成第1セル部用固体電解質体」は、焼成後に酸素イオン導電性を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジルコニア及びイットリア等を含有する所定量の原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをドクターブレード法等により、薄膜上に成形した後乾燥させたグリーンシートを所定の大きさに切り出して得ることができる。また、同様にして得られたペーストをスクリーン印刷法等により、薄く塗布した後、乾燥させて得ることができる。
【0080】
また、上記「未焼成第1セル部用電極」は、焼成後に十分な導電性を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRhのうちの少なくとも1種を含有する所定量の原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをスクリーン印刷法等により、薄く塗布した後、乾燥させて得ることができる。
【0081】
上記「第1積層体」は、上記未焼成第1絶縁性シート、未焼成第1セル部用固体電解質体及び未焼成第1セル部用電極を前述の形状、大きさ及び位置関係等で備えるように形成されれば、その形成方法は特に限定されないが、通常、未焼成第1絶縁性シートを基体として、この基体に未焼成他部を形成することにより得られる。
【0082】
更に、第1セル部となる未焼成第1セル部用固体電解質体、未焼成第1セル部用電極は、順次、未焼成第1絶縁性シートに積層形成されてもよく、また、予め未焼成第1セル部用固体電解質体の表面に未焼成第1セル部用電極が形成された未焼成第1セル部用積層体を形成し、この未焼成第1セル部用積層体を未焼成第1絶縁性シートに積層してもよい。
【0083】
また、上記「未焼成第2セル部用固体電解質体」は、焼成後に酸素イオン導電性を発揮できるものであれば特に限定されず、また、上記「未焼成第2セル部電極」は、各々焼成後に十分な導電性を発揮できるものであれば特に限定されない。更に、未焼成第2セル部用固体電解質体は、未焼成第1セル部用固体電解質体と同様にして、また、未焼成第2セル部用電極は、未焼成第1セル部用電極と同様にして各々得ることができる。
上記「第2積層体」は、上記の未焼成第2セル部用固体電解質体、未焼成第2セル部用電極を前述の形状、大きさ及び位置関係等で備えるように形成されれば、その形成方法は特に限定されない。
【0084】
上記「検知室となる空間」は、焼成後に前記検知室として機能する空間として形成されればよく特に限定されない。この空間は、例えば、第1積層体と第2積層体とを接合する際に、その間にスペーサを介して接合することで空間を形成することができる。また、スペーサとしては、焼成後に第1絶縁性基部と同様な絶縁性を発揮できる未焼成体や、焼成後に律速導入部(図10及び図11参照)となる未焼成体等を用いることもできる。
上記「空洞形成用部材」は、焼成により焼失するものである。この空間焼失部材としては、炭素粉末及びテオブロミン等のキサンチン誘導体等の1種又はこれらの2種以上を含有するものを用いることができる。
【0085】
これまでに述べたことに加えて、参考発明及び他の本発明の素子を得る場合には、未焼成第1絶縁性シートの表面又は内部に焼成されてヒータとなる未焼成ヒータを形成する工程を備える。この未焼成ヒータは、焼成後に通電により発熱できるものであれば特に限定されないが、例えば、貴金属、モリブデン及びレニウムの少なくとも1種の金属を含有する原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをスクリーン印刷法等により、薄く塗布した後、乾燥させて得ることができる。
【0086】
また、参考発明の素子が第2基部を備える場合には、焼成されて第2基部となる未焼成第2シートを基体として、この基体に未焼成他部を形成することにより第2積層体を得ることができる。一方、本発明の素子は第2絶縁性基部を備えるため、通常、焼成されて第2絶縁性基部となる未焼成第2絶縁性シートを基体として、この基体に未焼成他部を形成することにより第2積層体を得る。
更に、このように未焼成第2シート又は未焼成第2絶縁性シートを基体として用いる場合には、第2セル部となる未焼成第2セル部用固体電解質体及び未焼成第2セル部用電極は、順次、未焼成第2絶縁性シートに積層形成されてもよく、また、予め未焼成第2セル部用固体電解質体の表面に未焼成第2セル部用電極が形成された未焼成第2セル部用積層体を形成し、この未焼成第2セル部用積層体を未焼成第2シート又は未焼成第2絶縁性シートに積層することもできる。
【0087】
また、参考発明の素子が第2基部を備え且つこの第2基部が多孔質部を備える場合には、焼成されて第2基部の多孔質部となる未焼成多孔質部を形成することができる。一方、本発明の素子は第2絶縁性基部の多孔質部を備えるため未焼成多孔質部を形成する。これらの未焼成多孔質部は、焼成後に十分な通気性を発揮できるものであれば特に限定されず、例えば、未焼成第1絶縁性シートと同様であるが、多孔質化させるためにペーストには焼失するカーボン等を含有させて得ることができる。また、焼失する成分を含有させることなく、セラミック原料粉末の粒径により調整することもできる。
【0088】
[6]参考発明の素子、本発明の素子及び製造方法における各未焼成体の焼成収縮
未焼成第1絶縁性シート(第1絶縁性基部となる)、未焼成第2シート(第2基部となる)、未焼成第2絶縁性シート(第2絶縁性基部となる)、未焼成第1セル部用固体電解質体(第1セル部用固体電解質体となる)及び未焼成第2セル部用固体電解質体(第2セル部用固体電解質体となる)の各々の焼成収縮率は特に限定されず、また、これらの焼成収縮率の相関も特に限定されない。従って、例えば、未焼成第1絶縁性シートの焼成収縮率と未焼成第2絶縁性シートの焼成収縮率とは同じであっても、異なっていてもよい。同様に、未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率と未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率とは同じであっても、異なっていてもよい。
【0089】
しかし、未焼成第1絶縁性シート、未焼成第2シート及び未焼成第2絶縁性シートの各々の焼成収縮率は、未焼成第1セル部用固体電解質体及び未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率よりも大きく(より好ましくは0.3〜6%大きく、更に好ましくは0.3〜3%大きく、特に好ましくは0.5〜1.5%大きく)することが好ましい。このような焼成収縮率の相関とすることにより、各絶縁性基部による残留応力を適度に固体電解質体に付加した状態を焼成後に保つことができ、クラックを及び割れの防止に極めて効果的である。
【0090】
尚、上記にいう焼成収縮率(%)とは、未焼成体の所定位置の長さをL1とし、温度1300〜1600℃において焼成して得られた焼成体の同じ位置の長さをL2とした場合に、下記式▲2▼から算出される割合X(%)をいうものとする。
X(%)={(L1−L2)/L1)}×100 ・・・ ▲2▼
また、上記にいう一方の焼成収縮率が他方の焼成収縮率よりもX3%大きいとは、未焼成第1絶縁性シート、未焼成第2シート又は未焼成第2絶縁性シートのうちの最も小さい焼成収縮率をX1%とし、未焼成第1セル部用固体電解質体及び未焼成第2セル部用固体電解質体のうちの大きい方の焼成収縮率をX2%とした場合に、X3=X2−X1であることをいうものとする。
【0091】
更に、未焼成第2シート及び未焼成第2絶縁性シートにおける、未焼成多孔質部と未焼成非多孔質部との焼成収縮率は、特に限定されず、同じであってもよく、異なっていてもよいが、未焼成多孔質部の焼成収縮率は、未焼成非多孔質部の焼成収縮率よりも小さく(より好ましくは0.3〜1.5%小さく、更に好ましくは0.3〜1.1%小さく、特に好ましくは0.3〜0.7%小さく)することが好ましい。未焼成多孔質部の焼成収縮率が未焼成非多孔質部の焼成収縮率よりも小さいことにより、焼成時に未焼成非多孔質部の方が未焼成多孔質部よりも大きく収縮するため、多孔質部と非多孔質部とがより強固に接合され、得られる素子全体の熱的強度及び機械的強度を他の場合に比べて向上させることができる。
尚、上記にいう焼成収縮率(%)とは、上記式▲2▼から算出される割合X(%)をいうものとする。また、上記にいう一方の焼成収縮率が他方の焼成収縮率よりもX3%小さいとは、未焼成多孔質部の焼成収縮率をX1%とし、未焼成非多孔質部の焼成収縮率をX2%とした場合に、X3=X2−X1であることをいうものとする。
【0092】
[7]本発明のガスセンサ
本発明のガスセンサは、本発明の積層型ガスセンサ素子を備える。その他、本発明のガスセンサについての構成は特に限定されないが、例えば、以下のようなものとすることができる。
即ち、素子1は、ホルダ211、タルク粉末等からなる緩衝材212及びスリーブ213(素子1とスリーブ213との間に、素子1と後述するリード線26とを電気的に接続するリードフレーム25を介する)等の熱による膨張収縮を緩和できる治具類に固定され、更に、これら全体が主体金具22に固定された構造とすることができる。また、主体金具22の一端側には被測定ガスを導入できる複数の孔を有し、且つ素子1の検知部(図22においては発熱部、第1セル部用固体電解質体及び第2セル部用固体電解質体等を備える一端側部)近傍を覆ってガスセンサ2の一端側を保護するプロテクタ23を配設し、主体金具22の他端側にはガスセンサ2の他端側を保護する外筒24を配設することができる。更に、外筒24の一端側からは、素子1を外部回路へと接続するためのリード線26を分岐挿通する貫通孔が設けられたセパレータ27及びガスセンサ2内への水等の侵入を防止するグロメット28を備えることができる。
【0093】
このようなガスセンサ2を用いて内燃機関から排出される排気ガスを測定しようとする場合には、例えば、主体金具22の側面に螺子形状などの取付部221を設けることにより排気ガスの流通する排気管に素子1の検知部が突出するように取り付け、素子1の検知部を被測定ガスに曝して測定を行うことができる。
【0094】
【実施例】
以下、本発明を図1、図14及び図15を用いて更に詳しく説明する。尚、以下では解かり易さのために各部の符号を焼成前後で同じにした。また、以下で製造する素子は、第1セル部を酸素濃度検出セルとして機能させ、第2セル部を酸素ポンプセルとして機能させる素子である。従って、第1セル部用電極のうちの検知室に面する電極は検知電極、この検知電極と対向する電極参照電極、第2セル部用電極のうちの被測定ガスに接する電極は第1ポンプ電極、第2セル部用電極のうちの検知室に面する電極は第2ポンプ電極と称する。
【0095】
[1]積層型ガスセンサ素子の製造(図1及び図14に示される模式的な断面構造を有する素子)
〈1〉第1積層体の作製(第1積層体形成工程)
(1)未焼成第1絶縁性シート11の作製
▲1▼ 素シート111及び112の作製
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。その後、このスラリーをドクターブレード法により厚さ0.5mmのグリーンシート2枚に成形した。次いで、一方のグリーンシートはそのまま未焼成第1絶縁性シートの一部である素シート112とした。他方のグリーンシートには、その一端側の所定位置に2つのスルーホール1111を設けて素シート111とした。
【0096】
▲2▼ 未焼成ヒータ113の形成
白金粉末とアルミナ粉末とを配合した混合粉末、ブチラール樹脂及びブチルカルビトールを用いてスラリーを得た。このスラリーを素シート111の一面に所定の形状でスクリーン印刷し、発熱部1131となる幅細の未焼成発熱部1131及びヒータリード部1132となる幅広の未焼成ヒータリード部1132を備える未焼成ヒータ113を形成した。
【0097】
▲3▼ 未焼成ヒータ電極取出パッド191の形成及び未焼成ヒータ113との接続
上記▲2▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成ヒータ113が形成された素シート111の一面とは反対の他面側に、スルーホール1111上を通過するようにスクリーン印刷し、未焼成ヒータ電極取出パッド191を形成した。
次いで、同様なスラリーをスルーホール1111内に流し込むようにして、未焼成ヒータリード部1132と未焼成ヒータ電極取出パッド191とを焼成後に導通できるように接続した。
【0098】
▲4▼ 素シート111及び112の張り合わせ
上記▲3▼までに得られた一方の素シート111の未焼成ヒータ113が形成された一面に、上記▲1▼で得られた他方の素シート112をその一面に第2ブタノールとブチルカルビトールとの混合液を塗布した後、積層し、圧着して未焼成ヒータ113を内部に備える未焼成第1絶縁性シート11を得た。
【0099】
(2)未焼成第1セル部12の形成
▲1▼ 未焼成参照電極122の形成
白金粉末とジルコニア粉末とを配合した混合粉末、ブチラール樹脂及びブチルカルビトールを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(1)で得られた積層体の素シート112の表面にスクリーン印刷し、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部とを備える未焼成参照電極122を形成した。
【0100】
▲2▼ 未焼成第1セル部用固体電解質体121の形成
ジルコニア粉末とアルミナ粉末とを配合した混合粉末、分散剤、ブチルカルビトール、ジブチルフタレート及びアセトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(2)▲1▼で形成された未焼成電極部上に30μmの厚さにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第1セル部用固体電解質体121を得た。
【0101】
▲3▼ 未焼成第1層間調節層124の形成
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(2)▲3▼で形成された未焼成第1セル部用固体電解質体121を除く、素シート112及び未焼成参照電極122の未焼成電極リード部上に、未焼成第1セル部用固体電解質体121の表面と高さが合うようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第1層間調節層124を得た。但し、後に未焼成参照電極122の未焼成電極リード部と未焼成参照電極電極取出パッド194と接続するためのスルーホール1241が形成されるように印刷を行った。
【0102】
▲4▼ 未焼成検知電極123の形成
上記(2)▲1▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成第1セル部用固体電解質体121及び未焼成第1層間調節層124の表面に印刷し、乾燥させて、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部(この未焼成電極部は未焼成第1セル部用固体電解質体121の表面に形成した)と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部(この未焼成電極リード部は未焼成第1層間調節層124の表面に形成した)を備える未焼成検知電極123を形成した。
このようにして未焼成第1セル部12を、未焼成第1絶縁性シート11上に積層し、上記(1)及び上記(2)により第1積層体を得た。
【0103】
〈2〉検知室13となる空間及び未焼成律速導入用多孔質部161及び162の形成
(1)未焼成第2層間調節層の形成
上記〈1〉(2)▲3▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記〈1〉(2)までに形成された第1積層体の未焼成検知電極123と第1層間調節層124上にスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第2層間調節層171及び172を得た。但し、後に未焼成検知電極123の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド193と接続するためのスルーホール17111が形成され、また、未焼成参照電極122の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド194と接続するためのスルーホール1712が形成されるように印刷を行った。更に、焼成後に検知室13となる空間13が形成されるように未焼成第2層間調節層は171と172との2つの部位に分け、その間に空間が形成されるように印刷を行った。
【0104】
(2)未焼成律速導入用多孔質部161及び162の形成
アルミナ粉末(焼成後に空隙を残存させることできる粒径)、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを第1積層体の第1層間調節層124上であって、未焼成第2層間調節層171及び172の形成されていない部分に図15に示すようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成律速導入用多孔質部161及び162を得た。尚、未焼成第2層間調節層171及び172並びに未焼成律速導入用多孔質部161及び162に囲まれた図15中の空間は検知室13となる。
【0105】
〈3〉第2積層体の作製(第2積層体形成工程)
(1)未焼成第2絶縁性シート15の作製
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いて非多孔質部用スラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法により厚さ500μmの非多孔質部用のグリーンシートに成形した。
一方、アルミナ粉末、カーボン粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いて多孔質部用スラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法により厚さ500μmの多孔質部用のグリーンシートに成形した。
これら2種のグリーンシートから図15に示すような非多孔質部となる未焼成非多孔質部152となるシートの一端側に多孔質部となる未焼成多孔質部151を備えるシートを形成した。次いで、スルーホール156となる孔を3つ設けて未焼成第2絶縁性シート15を得た。
【0106】
(2)未焼成中間層18の形成
上記〈3〉(1)と同様の多孔質部用及び非多孔質部用の2種のスラリーを得た。このうち多孔質部用のスラリーを、上記〈3〉(1)で得られた未焼成第2絶縁性シート15の備える未焼成多孔質部151を覆うようにスクリーン印刷し、乾燥させて中間層18の多孔質部181となる未焼成中間層多孔質部181を形成した。次いで、非多孔質部用のスラリーを未焼成第2絶縁性シート15上であって、未焼成中間層多孔質部181が形成されていない表面にスクリーン印刷し、乾燥させて中間層18の非多孔質部182となる未焼成中間層非多孔質部182を形成した。但し、後に未焼成参照電極122と未焼成電極取出パッド194とを接続するためのスルーホール1823が形成され、また、未焼成検知電極123及び未焼成第2ポンプ電極と未焼成電極取出パッド193とを接続するためのスルーホール1822が形成され、更に、未焼成第1ポンプ電極142と未焼成電極取出パッド192とを接続するためのスルーホール1821が形成されるように印刷を行った。
【0107】
(3)未焼成第2セル部14の形成
▲1▼ 未焼成第1ポンプ電極142の形成
上記〈1〉(2)▲1▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成中間層18の表面にスクリーン印刷し、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部を備える未焼成第1ポンプ電極142を形成した。
【0108】
▲2▼ 未焼成第2セル部用固体電解質体141の形成
上記〈1〉(2)▲2▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成第1ポンプ電極142の未焼成電極部上に30μmの厚さにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第2セル部用固体電解質体141を得た。
【0109】
▲3▼ 未焼成第3層間調節層144の形成
上記〈1〉(2)▲3▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成第2セル部用固体電解質体141を除く、未焼成中間層18及び未焼成第1ポンプ電極142の未焼成電極リード部上に、未焼成第2セル部用固体電解質体141の表面と高さが合うようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第3層間調節層144を得た。但し、後に未焼成参照電極122と未焼成電極取出パッド194とを接続するためのスルーホール1442が形成され、また、未焼成検知電極123及び未焼成第2ポンプ電極と未焼成電極取出パッド193とを接続するためのスルーホール1441が形成されるように印刷を行った。
【0110】
▲4▼ 未焼成第2ポンプ電極143の形成
上記〈1〉(2)▲1▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成第2セル部用固体電解質体141及び未焼成第3層間調節層144の表面に印刷し、乾燥させて、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部(この未焼成電極部は未焼成第2セル部用固体電解質体141の表面に形成した)と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部(この未焼成電極リード部は未焼成第3層間調節層144の表面に形成した)を備える未焼成第2ポンプ電極143を形成した。
このようにして、上記(1)〜(3)により第2積層体を得た。
【0111】
〈4〉第1積層体と第2積層体との接合
一面側に検知室13となる空間13と未焼成律速導入用多孔質部161及び162等が形成された第1積層体のこの面と、第2積層体の未焼成第2ポンプ電極143が形成された面とに、第2ブタノールとブチルカルビトールとの混合液を塗布した後、接合し、圧着して未焼成素子1を得た。
【0112】
〈5〉脱脂及び焼成
上記〈4〉までに得られた未焼成素子1を、大気雰囲気において、脱脂処理を行った。その後、大気雰囲気において1300〜1600℃で焼成し積層型ガスセンサ素子1を得た。
【0113】
〈6〉ガスセンサの製造
上記〈5〉までに得られた素子1を用いて図22に示すガスセンサ2を製造した。
このガスセンサ2において、素子1は主体金具22内に収められたセラミックホルダ211、タルク粉末212及びセラミックスリーブ213(センサ素子1とセラミックスリーブ213との間にはリードフレーム25を介し、センサ素子1の上端はセラミックスリーブ213内に位置する)に支持されて固定されている。この主体金具22の下部には、センサ素子1の下部を覆う複数の孔を有する2重構造の金属製のプロテクタ23が取設され、主体金具22の上部には外筒213が取設されている。また、外筒24の上部には、センサ素子1を外部回路と接続するためのリード線26を分岐挿通する貫通孔が設けられたセラミックセパレータ27及びグロメット28を備える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層型ガスセンサ素子の一例を示す幅方向における模式的な断面図であり、図14のB−B’における模式的な断面図である。
【図2】 本発明の積層型ガスセンサ素子の他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図3】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図4】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図5】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図6】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図7】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図8】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図9】 参考例の積層型ガスセンサ素子を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図10】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図11】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図12】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図13】 本発明の積層型ガスセンサ素子の更に他例を示す幅方向における模式的な断面図である。
【図14】 本発明の積層型ガスセンサ素子の一例を示す長手方向における模式的な断面図であり、図1のA−A’における模式的な断面図である。
【図15】 本発明の積層型ガスセンサ素子の一例であって、図1及び図14に示す模式的な断面図を有する積層型ガスセンサ素子の模式的な分解斜視図である。
【図16】 本発明の積層型ガスセンサ素子における第2絶縁性基部及びその多孔質部の形状の一例を模式的に示す斜視図である。
【図17】 本発明の積層型ガスセンサ素子における第2絶縁性基部及びその多孔質部の形状の他例を模式的に示す斜視図である。
【図18】 本発明の積層型ガスセンサ素子における第2絶縁性基部及びその多孔質部の形状の更に他例を模式的に示す斜視図である。
【図19】 本発明の積層型ガスセンサ素子における第2絶縁性基部及びその多孔質部の形状の更に他例を模式的に示す斜視図である。
【図20】 本発明の積層型ガスセンサ素子における第2絶縁性基部及びその多孔質部の形状の更に他例を模式的に示す斜視図である。
【図21】 本発明の積層型ガスセンサ素子における第2絶縁性基部及びその多孔質部の形状の更に他例を模式的に示す斜視図である。
【図22】 本発明のガスセンサの一例の模式的な断面図である。
【符号の説明】
1;積層型ガスセンサ素子、11;第1絶縁性基部、111;第1絶縁性基部第1層、1111;スルーホール、112;第1絶縁性基部第2層、113;ヒータ、1131;発熱部、1132;ヒータリード部、12;第1セル部、121;第1セル部用固体電解質体、122;第1セル部用電極(参照電極)、123;第1セル部用電極(検知電極)、124;第1層間調節層、1241;スルーホール、13;検知室、14;第2セル部、141;第2セル部用固体電解質体、142;第2セル部用電極(第1ポンプ電極)、143;第2セル部用電極(第2ポンプ電極)、144;第3層間調節層、1441及び1442;スルーホール、15;第2基部又は第2絶縁性基部、151;第2基部又は第2絶縁性基部の多孔質部、152;第2基部又は第2絶縁性基部の非多孔質部、153;第2基部又は第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部との境界、154;枠部、155;凹部、16;律速導入部、161及び162;律速導入用多孔質部、171及び172;第2層間調節層、1711及び1712;スルーホール、18;中間層、181;中間層の多孔質部、1821、1822及び1823;スルーホール、183;中間層の多孔質部と非多孔質部との境界、191;ヒータ取出パッド、192、193及び194;電極取出パッド、2;ガスセンサ、211;ホルダ、212;緩衝材、213;スリーブ、22;主体金具、23;プロテクタ、24;外筒、25;リードフレーム、26;リード線、27;セパレータ、28;グロメット。
Claims (6)
- 第1絶縁性基部と、第1セル部用固体電解質体並びに該第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第1セル部用電極を有する第1セル部と、検知室と、第2セル部用固体電解質体並びに該第2セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第2セル部用電極を有する第2セル部と、通気性を有する多孔質部を備える第2絶縁性基部と、をこの順に積層して備え、
該第1絶縁性基部の表面又は内部にヒータを有し、該第1セル部用電極の一方の電極は該検知室に面して配置され、該第1セル部用電極の他方の電極は該第1セル部用電極の該一方の電極に対向して配置され、該第2セル部用電極の一方の電極は該多孔質部を介して被測定ガスに接するように配置され、該第2セル部用電極の他方の電極は該検知室に面し且つ該第2セル部用電極の該一方の電極に対向して配置されており、
該第1セル部用固体電解質体及び該第2セル部用固体電解質体のうちの少なくとも一方の幅方向における寸法が、該検知室と同じである、又は該検知室より小さく、
上記第2絶縁性基部と、上記第2セル部用電極のうちの被測定ガスと接する電極との間に、該第2絶縁性基部の上記多孔質部と非多孔質部との境界を覆うように中間層が形成されていることを特徴とする積層型ガスセンサ素子。 - 上記中間層の少なくとも一部が多孔質部により形成され、該中間層の多孔質部の外側周が、上記第2絶縁性基部が備える上記多孔質部の外側周と接しない請求項1に記載の積層型ガスセンサ素子。
- 上記中間層の上記多孔質部の外側周が、上記検知室の外側周と接しない請求項1又は2に記載の積層型ガスセンサ素子。
- 焼成されて上記第1絶縁性基部となる未焼成第1絶縁性シート及び焼成されて上記第2絶縁性基部となる未焼成第2絶縁性シートの各々の焼成収縮率は、焼成されて上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体及び焼成されて上記第2セル部用固体電解質体となる未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率と同じか若しくは大きい請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
- 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記第1絶縁性基部となる未焼成第1絶縁性シートの一面側に、上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体、上記一対の第1セル部用電極となる一対の未焼成第1セル部用電極を形成して、第1積層体を得る第1積層体形成工程と、
上記第2セル部用固体電解質体となる未焼成第2セル部用固体電解質体、上記一対の第2セル部用電極となる一対の未焼成第2セル部用電極を形成して、第2積層体を得る第2積層体形成工程と、
を行った後、得られた該第1積層体と該第2積層体とが、焼成後に上記検知室となる空間又は焼失する空間形成用部材を介して対向するように接合し、その後、一体に焼成することを特徴とする積層型ガスセンサ素子の製造方法。 - 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子を備えることを特徴とするガスセンサ。
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