JP4035555B2 - ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP4035555B2
JP4035555B2 JP2006305863A JP2006305863A JP4035555B2 JP 4035555 B2 JP4035555 B2 JP 4035555B2 JP 2006305863 A JP2006305863 A JP 2006305863A JP 2006305863 A JP2006305863 A JP 2006305863A JP 4035555 B2 JP4035555 B2 JP 4035555B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
solid electrolyte
electrolyte layer
mass
alumina
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006305863A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007033464A (ja
Inventor
雅史 安藤
孝夫 小島
森  茂樹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2006305863A priority Critical patent/JP4035555B2/ja
Publication of JP2007033464A publication Critical patent/JP2007033464A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4035555B2 publication Critical patent/JP4035555B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Description

本発明はガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサに関する。更に詳しくは、新規な構造のガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサに関する。本発明のガスセンサ素子及びガスセンサは、全領域空燃比センサ(内燃機関の空燃比を全領域にわたって測定できるセンサ)及び可燃性ガスセンサ(一酸化炭素及び炭化水素ガス等を測定できるセンサ)等として好適である。
自動車等の内燃機関から排出される排気ガス中の有害物質(例えば、炭化水素ガス、一酸化炭素、窒素酸化物等)の排出量には、公害等の問題から厳しい規制が設けられ、その規制は年々厳しくなっている。また、地球温暖化等の問題から二酸化炭素の排出量を削減する必要が生じており、内燃機関で使用される燃料を更に削減できる方法が緊急に必要とされている。
こうした中、排気ガスの有害物質を削減し、燃料効率を向上させる上で欠かせないガスセンサへの要求も更に厳しいものとなり、高性能及び高信頼性に加えて、近年特に早期活性ができ、省電力であるガスセンサが要求されている。また、有害成分自体を直接感知できる一酸化炭素ガスセンサやHCガスセンサ等も注目されている。
自動車等の内燃機関の空燃比を全領域にわたって測定でき、内燃機関の省燃費を可能にするガスセンサ素子として、一対の電極を固体電解質層上に設けたポンプセルと、同構造の検出セルとを備える2セル型のガスセンサ素子が下記特許文献1や下記特許文献2等に開示されている。この種のガスセンサ素子では、酸素イオン等のイオンを固体電解質層内で移動させることを要する。このため、固体電解質層を加熱する発熱抵抗体をセルの近傍に配置し、例えば、ポンプセルは700℃以上の温度に正確に加熱保持する必要がある。しかし、固体電解質層を構成するセラミック材料は一般に熱伝導性が低く、加熱昇温させ、特に早期活性を行う上では効率的ではない。また、価格の高いジルコニア原料を多く用いる必要があるためガスセンサの価格が高く、優れた性能を発揮できるにも関わらず使用される範囲が限られてしまっている。
尚、下記特許文献3及び4には、ジルコニア質セラミックスとアルミナ質セラミックスとを同時に焼成するための技術が開示されている。更に、下記特許文献5にはマイグレーションを防止するための技術が開示されている。
特開昭62−148849号公報 特開平11−14594号公報 特開2001−66280号公報 特開2000−292406号公報 特開昭62−44971号公報
上記の問題のうち、加熱効率を向上させることができるガスセンサ素子として、発熱抵抗体を熱伝導性に優れるアルミナを主成分とするセラミック体内に埋設した基体を、ガスセンサ素子に配設するという技術が上記特許文献2等で開示されている。しかし、このガスセンサ素子は、基体にアルミナを用いるため、固体電解質材料として多用されるジルコニアと大きな熱膨張差があり、実際には基体と固体電解質層とを一体に焼成して接合しようとすると、固体電解質層にクラックや割れを生じるという問題がある。このため、市場に展開されるには至っていない。
本発明は、上記問題をも解決できるものであり、高温時及び冷熱間サイクルにおいて強度的に優れ、早期始動性に優れ、正確な測定を行うことができ、更には、低消費電力のガスセンサ素子を提供することを目的とする。
本発明のガスセンサ素子は以下に示す通りである。
(1)絶縁性基部と酸素をポンピングするポンプセルと酸素を検出する検出セルとを積層して備え、該絶縁性基部は絶縁性セラミック体及び該絶縁性セラミック体の表面又は内部に形成された発熱抵抗体を備え、該ポンプセルはポンプセル用固体電解質層及び該ポンプセル用固体電解質層の表面に接して形成された一対のポンプセル用電極を備え、該検出セルは検出セル用固体電解質層及び該検出セル用固体電解質層の表面に接して形成された一対の検出セル用電極を備え、且つ、該ポンプセルと該検出セルとの間に、律速導入部を介して被測定ガスが導入される拡散室が形成されたガスセンサ素子において、
上記一対のポンプセル用電極は、各々幅広なポンプセル用電極部と該ポンプセル用電極部から延設され該ポンプセル用電極部よりも幅狭なポンプセル用リード部とを備え、上記一対の検出セル用電極は、各々幅広な検出セル用電極部と該検出セル用電極部から延設され該検出セル用電極部よりも幅狭な検出セル用リード部とを備え、上記ポンプセル用電極部の一方と上記検出セル用電極部の一方とは、上記拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する対向した内壁の少なくとも一部を各々構成し、上記絶縁性基部は、上記検出セルの上記拡散室が形成されていない側で直接的に又は他部材を介して間接的に該検出セルと接合され、
上記絶縁性セラミック体はアルミナを主成分とし、上記ポンプセル用固体電解質層及び上記検出セル用固体電解質層は、安定化されたジルコニアとアルミナとを各々含有し、該ポンプセル用固体電解質層及び該検出セル用固体電解質層の各々の全体を100質量%とした場合に、安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で各々95質量%以上含有し、安定化されたジルコニアを各々20〜90質量%含有し且つアルミナを各々10〜80質%含有し、
上記ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は、上記検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より所定量少ないことを特徴とするガスセンサ素子。
(2)上記絶縁性基部、上記検出セル及び上記ポンプセルはこの積層順で一体に焼成されている上記(1)記載のガスセンサ素子。
(3)上記ポンプセル用固体電解質層及び上記検出セル用固体電解質層の各々に含有される上記アルミナの平均粒子径は各々1μm以下である上記(1)又は上記(2)に記載のガスセンサ素子。
(4)上記ポンプセル用固体電解質層は安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、該ポンプセル用固体電解質層及び上記検出セル用固体電解質層の各々の全体を100質量%とした場合に、該ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は、該検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より5〜60質量%少ない上記(1)乃至上記(3)のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
(5)上記ポンプセル用固体電解質層は安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、該ポンプセル用固体電解質層は該ポンプセル用固体電解質層全体を100質量%とした場合に安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上含有し、安定化されたジルコニアを60〜90質量%含有し且つアルミナを10〜40質量%含有し、上記検出セル用固体電解質層は該検出セル用固体電解質層全体を100質量%とした場合に安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上含有し、安定化されたジルコニアを40〜80質量%含有し且つアルミナを20〜60質量%含有し、該ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は該検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より10〜50質量%少ない上記(1)乃至上記(4)のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
(6)更に、上記ポンプセルと上記検出セルとの間に配設され、且つ上記拡散室を積層方向に平行な方向に区画する内壁を構成するスペーサを備え、該スペーサは安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、該スペーサ全体を100質量%とした場合に、安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上含有し、アルミナを80〜98質量%含有し且つ安定化されたジルコニアを2〜20質量%含有する上記(1)乃至上記(5)のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
(7)上記検出セル用電極を構成する一対の上記検出セル用電極部は、上記検出セル用固体電解質層の表面及び裏面に各々配置され、該検出セル用電極間に電圧を印加して酸素をポンピングした場合に、該絶縁性基部側に面する該検出セル用電極部内に酸素を蓄積でき、更に、該絶縁性基部側に面する該検出セル用電極部はその内部に外気が流入することを防止する外気流入防止連通部を介して外部と連通され、且つ、該絶縁性基部側に面する該検出セル用電極部は該外気流入防止連通部を除いて外部と連通しない上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
)上記検出セル用固体電解質層の厚さは200μm以下であり、且つ、該絶縁性基部側に位置する上記検出セル用電極部の厚さは20μm以下である上記(1)乃至上記()のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
)上記検出セル用電極部のうち上記拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する一方の内壁を構成する実検出セル用電極部と、上記ポンプセル用電極部のうち上記拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する他方の内壁を構成する実ポンプセル用電極部との間の最大距離は80μm以下である上記(1)乃至上記()のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
10)上記絶縁性セラミック体は、該絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合にアルミナを99質量%以上含有する上記(1)乃至上記()のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
11)上記絶縁性セラミック体は、該絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合にアルミナを70質量%以上且つ99質量%未満含有し、上記発熱抵抗体は、幅狭な発熱部と該発熱部から延設され該発熱部よりも幅広なリード部とを備え、且つ、上記絶縁性基部の表面又は内部に該発熱部と該リード部との境界における電位と同じか又は低い電位に保たれたマイグレーション防止導体を備える上記(1)乃至上記()のうちのいずれかに記載のガスセンサ素子。
12)上記マイグレーション防止導体と上記絶縁性基部の上記検出セルに面する一面との距離は、上記発熱抵抗体と該一面との距離よりも大きい上記(11)記載のガスセンサ素子。
本発明のガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)によると、発熱抵抗体に近い側に検出セルが配置され、検出セルの絶縁性基部に面する側とは反対側に拡散室(熱伝導し難い)が位置する。このため、検出セルの熱引き等を効果的に防止でき、検出セルの温度を安定させ易く、素子の測定(例えば、空燃比の測定)精度を向上させることができると共に早期活性もできる。更に、この構成により、ポンプセルは、絶縁性基部との間に検出セル及び拡散室を介することとなる。このため、ポンプセルは発熱抵抗体の急激な温度変化を受け難く、発熱抵抗体の急激な温度変化に対する緩衝作用が得られる。この緩衝作用が得られることでポンプセルでは正常値に対して過剰及び過少なポンピングが効果的に防止され、測定精度を向上させることができる。また、消費電力の少ない省電力型の素子を得ることができる。更に、このような素子を安価に得ることができる。
更に、ポンプセル及び検出セルの両方の固体電解質層が安定化されたジルコニアとアルミナとを高濃度に含有し、所定範囲の安定化されたジルコニア及びアルミナを含有することにより、絶縁性基部と各セル(特に各固体電解質層)との熱膨張差を緩和でき、高い耐久性を発揮することができる。また、使用時の各固体電解質層の相転移を効果的に抑制でき、信頼性の高いガスセンサを得ることができる。特に、一体焼成されたものでは各固体電解質層にクラック及び割れを生じない。
また、一体に焼成されていることにより、絶縁性基部と検出セルとは、非焼成用接合セメント等(熱伝導し難い)を用いずに接合されていることとなる。これにより、検出セルの熱引き等をより効果的に防止でき、検出セルの温度を更に安定させ易く、素子の測定(例えば、空燃比の測定)精度を向上させることができる。更には、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
更に、各固体電解質層に含有されるアルミナの平均粒子径が小さいことにより、使用時の各固体電解質層の相転移を極めて効果的に抑制でき、特に信頼性の高いガスセンサを得ることができる。特に、一体焼成されたものであっても固体電解質層にクラック及び割れを生じない。更に、使用時に各部の熱膨張差に起因して固体電解質層が剥がれたりクラックを生じたりすることを極めて効果的に防止することができる。
更に、ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量を検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より所定量少なくすることができる。これにより、多用されている制御方法である検出セルの測定データに基づくポンプセルのフィードバック制御を行う素子において、発熱抵抗体により各セルを昇温させる際(素子始動時等)に、検出セルとポンプセルとの温度差に起因するポンプセル用固体電解質層の破壊(ブラックニング)を防止できる。即ち、発熱抵抗体による昇温時には、絶縁性基部に近接する検出セルの方がポンプセルよりも速く昇温する。このため、ポンプセルが完全に活性化されていない場合にも検出セルからのフィードバックによりポンピングを行う制御がなされ、これを防止する外部回路等がないとポンプセルが破壊する場合がある。しかし、検出セルが、ポンプセルに含有されるよりもアルミナを所定範囲多く含有するものであることにより、検出セル用固体電解質層の内部抵抗(各固体電解質層自体の抵抗値)をポンプセル用固体電解質層よりも大きくでき、各セル間の内部抵抗(各セルの電極間抵抗)差を調整することができる。従って、特殊な外部回路等を要することなくポンプセル用固体電解質層の活性が不十分な場合にも過度な制御を行うことを防止することができ、ポンプセル用固体電解質層を保護することができる。また、発熱抵抗体による昇温過程において制御温度に到達する直前に検出セルが過度に高い温度まで昇温させられたとしても、検出セル用固体電解質層にアルミナの含有量が多いことで、過度な電子伝導を生じて起電力が低下することがなく、正確な測定を行うことができる。更に、各固体電解質層がアルミナを含有することで熱応力の影響を緩和することができ、素子全体の強度を効果的に向上させることができる。また、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
また、検出セル用固体電解質層がジルコニアを40〜80質量%含有し且つアルミナを20〜60質量%含有し、ポンプセル用固体電解質層がジルコニアを60〜90質量%含有し且つアルミナを10〜40質量%含有し、且つ、ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量が検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より10〜50質量%少ないことにより、各セルの優れた性能を維持しつつ、両セル間の電気的(固体電解質層の抵抗)なバランスを良好に保持し、優れた熱的強度を発揮させることができる。従って、正確な測定(例えば、空燃比の測定)精度を維持しながら、素子に優れた強度を付与することができる。更には、省電力な素子とすることができる。
更に、ポンプセルと検出セルとの間に拡散室の積層方向に平行な方向に区画する内壁を構成するスペーサを備え、スペーサがアルミナを80〜98質量%含有し且つジルコニアを2〜20質量%含有することにより、優れた熱伝導性を有しながら、ポンプセルと検出セルとを強固に接合することができる。従って、正確な測定(例えば、空燃比の測定)を行うことができると共に、素子に優れた強度を付与することができる。更には、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
また、一対の検出セル用電極部が検出セル用固体電解質層の表裏面に各々配置され、絶縁性基部側に面する検出セル用電極部内に酸素を蓄積でき、更に、絶縁性基部側に面する検出セル用電極部は外気流入防止部を介して外部と連通され且つ外気流入防止部を除いて外部と連通しない(即ち、大気導入経路を有さない)ことにより、構造が簡素となり素子全体の強度を向上させることができる。また、熱伝導を妨げ易い大気導入経路を有さないため発熱抵抗体からの熱を効率よく絶縁性基部から離れた側のセルにまで伝導させ易く、また、素子全体の均熱性も向上する。従って、正確な測定を行うことができる。更に、この素子をガスセンサとしてケース内に取り付けた場合に、ケース内(例えば、外筒内)に配設された素子以外の各種部材から高温時に発生する異種ガスを含む大気を基準ガスとして導入することが無いため、大気導入経路を用いた素子に比べて検出セルは高精度なものとすることができる。更には、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
更に、実検出セル用電極部の面積が実ポンプセル用電極部の面積の15〜80%であることによりポンピングされた後の拡散室内の酸素濃度をより確実に且つ正確に検出することができる。
また、検出セル用固体電解質層の厚さは200μm以下且つ絶縁性基部側に位置する検出セル用電極部の厚さが20μm以下であることにより、ポンプセルへの熱伝導性を向上させることができ且つ絶縁性基部と検出セルとをより強固に接合できる。従って、正確な測定(例えば、空燃比の測定)を行うことができ且つ素子に優れた強度を付与することができる。更には、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
更に、実ポンプセル用電極部と実検出セル用電極部との間の最大距離が80μm以下であることにより、特にポンプセルと検出セルとの温度差を小さく抑えることができる。また、ポンプセルによりポンピングされた酸素濃度をより同等に酸素検出することができる。従って、正確な測定(例えば、空燃比の測定)を行うことができる。更には、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
また、絶縁性セラミック体がアルミナを99質量%以上含有することにより、発熱抵抗体内の電流のリークを防止でき、且つ、絶縁性基部上に積層される各セルとの絶縁をより確実なものとすることができる。また、発熱抵抗体からの熱を各セルへ特に効率良く伝導させることができ、省電力な素子とすることができる。
更に、絶縁性セラミック体がアルミナを70質量%以上且つ99質量%未満含有し、マイグレーション防止導体を備えることにより、絶縁性セラミック体にアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン等が含有される場合に、これらがマイグレーション防止導体の周辺に移動(マイグレーション)し、発熱抵抗体の周辺に移動することを防止できる。従って、発熱抵抗体が細線化したり又は断線したりすることを確実に防止することができる。
また、マイグレーション防止導体と絶縁性基部の検出セルに面する一面との距離が、発熱抵抗体とその面との距離よりも大きいことにより、絶縁性セラミック体の絶縁性の低下が生じること、及び、絶縁性基部と固体電解質層との接合面を有する場合にその接合が経時的に低下すること等を特に効果的に防止することができる。
更に、本発明の他のガスセンサ素子によると、発熱抵抗体に近い側に検出セルが配置され、検出セルの絶縁性基部に面する側とは反対側に拡散室(熱伝導し難い)が位置する。このため、検出セルの熱引き等を効果的に防止でき、検出セルの温度を安定させ易く、素子の測定(例えば、空燃比の測定)精度を向上させることができる。更に、この構成により、ポンプセルは、絶縁性基部との間に検出セル及び拡散室を介することとなる。このため、ポンプセルは発熱抵抗体の急激な温度変化を受け難く、発熱抵抗体の急激な温度変化に対する緩衝作用が得られる。この緩衝作用が得られることでポンプセルでは正常値に対して過剰及び過少なポンピングが効果的に防止され、測定精度を向上させることができる。また、絶縁性セラミック体にアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン等が含有される場合に、これらがマイグレーション防止導体の周辺に移動(マイグレーション)し、発熱抵抗体の周辺に移動することを防止できる。従って、発熱抵抗体が細線化したり又は断線したりすることを確実に防止することができる。また、このような素子を安価に得ることができる。更には、早期活性でき、省電力な素子とすることができる。
また、マイグレーション防止導体と絶縁性基部の検出セルに面する一面との距離が、発熱抵抗体とその面との距離よりも大きいことにより、絶縁性セラミック体の絶縁性の低下が生じること、及び、絶縁性基部と固体電解質層との接合面を有する場合にその接合が経時的に低下すること等を特に効果的に防止することができる。
本発明について、以下詳細に説明する。
本発明のガスセンサ素子(以下、単に「素子」という)は、少なくとも絶縁性基部、ポンプセル(以下、「Ipセル」という)及び検出セル(以下、「Vsセル」という)を備え、更にIpセルとVsセルとの間に拡散室が形成されている。これら各部及び拡散室の配置は、絶縁性基部、Vsセル、拡散室、Ipセルの順である。素子内の各部の中でもVsセルの温度管理は重要であり、Vsセルの温度管理により測定精度等は変化する。このため、より温度を正確に制御し易い絶縁性基部側にVsセルが位置されることは測定精度の面から好ましい。また、後述するようにVsセル用固体電解質層は、アルミナ含有量をIpセル用固体電解質層よりも多くすることが可能である。従って、アルミナを主成分とする絶縁性基部との接合性に優れ、更には、絶縁性基部との熱膨張差を小さくすることができるため使用時の冷熱間サイクルに対して高い耐久性を発揮させることができる。尚、絶縁性基部とVsセルとの間に配設し得る他部材に関しては後述するが、通常、絶縁性基部とVsセルとの接合を助ける機能を有するものである。
更に、本発明の素子は、一体に焼成されたものであっても、焼成された各部が焼成を伴わずに接合されたものであってもよいが、一体に焼成されたものであることが好ましい。一体に焼成されたものとすることにより、素子全体を小さくすることができると共に、高い機械的強度をも付与でき、更には、高い耐久性を発揮させることができるからである。また、一体に焼成されていることにより、例えば、絶縁性基部とVsセルとの間に、焼成を伴わずに接合する場合に使用する接合用セメント及び/又は耐熱ガラス等の熱特性が異なる別部材を介する必要がない。このためアルミナを主成分とする熱伝導性に優れた絶縁性基部の特性を十分に発揮させることができ、各セルに熱をより効率よく伝導させることができる。従って、各セルを活性化させて測定を開始できるまでに要する時間はより短くできる。例えば、内燃機関からの排気ガス中の酸素濃度測定においてはセンサを始動後早期に使用を開始でき、排気ガスの浄化率を向上させることができる。特に近年問題となっている自動車等の排気ガスは、始動直後に燃焼効率を最適化することで大幅な浄化が可能であるため、暖気時間を少しでも短くできることは排気ガス浄化においては極めて重要である。また、一体に焼成されていることにより、特にVsセルの温度を正確に制御でき、測定精度を向上させることができる。
上記「絶縁性基部」は、絶縁性セラミック体と発熱抵抗体とを備える。この絶縁性基部は後述するVsセル及びIpセルを支持する基体であり、各セルを稼働させるためのヒータとしての役目も有する。この絶縁性基部は、絶縁性セラミック体及び発熱抵抗体以外にも他部を備えることができる。この他部としては、絶縁性基部の表面又は内部に形成されるマイグレーション防止導体、及び、このマイグレーション防止導体を保護するためのセラミック体等を挙げることができる。
上記「絶縁性セラミック体」は、絶縁性基部の主要構成部である。この絶縁性セラミック体は、アルミナを主成分とする。アルミナを主成分とすることにより、従来のヒータ素子の絶縁部分として多く使用されているジルコニア系材料に比べて高温における絶縁性に優れたものとなる。例えば、温度800℃において発熱抵抗体とVsセルとの間の電気抵抗値を1MΩ(好ましくは10MΩ)以上とすることができる。更に、絶縁性セラミック体がアルミナを主成分とすることにより熱伝導性を向上できセルを加熱するうえで有利である。
絶縁性セラミック体に含まれるアルミナは、絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合に、70質量%以上(より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%)であることが好ましい。70質量%未満であると十分に絶縁性、耐熱性及び耐熱衝撃性等を並立させることが困難になる場合がある。
一方、アルミナを除く残部は、絶縁性セラミック体に近接して積層される他部を構成する主要構成成分(例えば、Vsセル用固体電解質層の主要構成成分である安定化されたジルコニア等)を20質量%以下(より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%)含有することができる。これにより、焼成時にアルミナが過度に粒成長することを防止でき、絶縁性セラミック体とこれに接して積層される他部との熱膨張差を緩和することができる。
また、この絶縁性セラミック体はアルカリ金属成分(特にLi成分、Na成分及びK成分)及びアルカリ土類金属成分(特にMg成分、Ca成分及びBa成分)をほとんど含有しないことが好ましい。これらを過度に多く含有すると後述する発熱抵抗体の作動時にイオン化したアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンによるマイグレーションにより発熱抵抗体が細線化したり又は断線したりする場合があるため好ましくない。この絶縁性セラミック体に含有されるアルカリ金属成分及びアルカリ土類金属成分は、絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合に、各元素の酸化物換算合計量で1質量%以下であることが好ましい。
また、絶縁性基部は、未焼成の絶縁性セラミック体からなる単層未焼成シートを層状に積層して形成した未焼成積層体を焼成して得ることができる(但し、別途発熱抵抗体となる未焼成発熱抵抗体、後述するマイグレーション防止導体を備える場合には未焼成マイグレーション防止導体等は表面又は内部に形成されている。)。この場合、各単層未焼成シートは異なる組成比の材料から形成することができる。即ち、例えば、絶縁性基部と近接して形成されるVsセル用固体電解質層の主構成成分である安定化されたジルコニアを、未焼成積層体の内層側から外層側へ傾斜的に多く含有する構成とすることができる。これにより絶縁性基部とこれに直接接して形成される他部との同時焼結性を向上(従って、接合性を向上)させることができる。
上記「発熱抵抗体」は、通電により発熱するものであり、絶縁性基部の表面又は内部に形成されている。また、この発熱抵抗体は、通常、通電により発熱する発熱部(115)と、外部回路から印加された電圧をこの発熱部まで導通し自身はほとんど発熱しないリード部(116)とを備える。これら発熱部及びリード部の形状は各々特に限定されないが、通常、発熱部はリードよりも幅細であり、例えば、図3の発熱部(115)として示すように、リード部よりも密なパターンとなるように蛇行した形状とすることができる。その他、いずれかのセルの投影像の外周部(例えば、セルの備える電極部のうちのより大きい方の電極部の外周部)に沿うように配された蛇行しない形状(例えば、略U字形状等)とすることもできる。また、この発熱抵抗体の大きさも特に限定されないが、例えば、絶縁性基部側に配置されたVsセルの大きさ(セルの備える電極部のうちのより大きい方の電極部の大きさ)に対応するものとすることができる。
この発熱抵抗体を構成する材料は特に限定されず、例えば、貴金属、タングステン、モリブデン及びレニウム等を挙げることができる。更に、発熱抵抗体が白金を主成分とする場合には、製造時に固体電解質層と一体に焼成し易く好ましい。更にはロジウムを発熱抵抗体全体の5〜20質量%程度含有することができる。このようなロジウムを含有する発熱抵抗体は、これにより抵抗温度係数が低減され、より早期始動が可能となる。
発熱抵抗体は、上記材料を含有する原料粉末や原料有機金属化合物(液状物)、バインダ、可塑剤、分散剤及び溶剤等の必要な原材料を混合して得られるスラリー又はペーストを成形(印刷等)した後、乾燥させて得られる未焼成発熱抵抗体を焼成して得ることができる。
上記「マイグレーション防止導体」は、絶縁性基部の表面又は内部に形成された導体であり、発熱抵抗体の発熱部とリード部との境界における電位と同じか又は低い電位に保たれている導体である。このマイグレーション防止導体を備えることにより、絶縁性セラミック体内に含有される主にアルカリ金属及びアルカリ土類金属等がイオン化した場合に、イオンはマイグレーション防止導体に引き寄せられ、発熱抵抗体にはほとんど引き寄せられないものとすることができる。即ち、発熱抵抗体の細線化や断線を防止することができる。
マイグレーション防止導体は、発熱抵抗体とは無関係に単独で備えていてもよく、発熱抵抗体の一部から分岐して形成されていてもよい。単独で備える場合には、例えば、その導体を接地アース(例えば、1ボルト以下になるように)して、電気導通を行わないことによりマイグレーション防止導体とすることができる。また、発熱抵抗体の一部として備える場合には、例えば、発熱抵抗体の低電位側の端部から分岐させた導体を形成し、発熱抵抗体の高電位側とは導通させないことによりマイグレーション防止導体とすることができる{例えば、図3に示すマイグレーション防止導体(117)}。
マイグレーション防止導体の形状は特に限定されない。例えば、直線的に伸びる一本のパターンからなってもよく、蛇行する一本のパターンからなっていてもよく、発熱抵抗体と同様にその一部が密なパターンとなった(但し、一端側は発熱抵抗体等と接続されていない)形状等とすることができる。
また、マイグレーション防止導体は、絶縁性基部中又は絶縁性基部表面において、発熱抵抗体と異なる仮想平面に配置されていてもよく、発熱抵抗体と同一仮想平面に配置されていてもよいが、発熱抵抗体と異なる仮想平面に配置されることが好ましい。マイグレーション防止導体の周囲にイオンが集結した場合においても発熱抵抗体との絶縁をより十分なものとすることができるからである。
更に、マイグレーション防止導体は、マイグレーション防止導体と絶縁性基部のVsセルに面する一面との距離が上記発熱抵抗体とこの一面との距離よりも大きくなるように配置されても、小さくなるように配置されてもよいが、大きくなるように配置されることが好ましい。これにより絶縁性基部とVsセルとの間に不純物が析出することを防止でき、使用時においても絶縁性基部とVsセルとの接合を十分なものとすることができるからである。従って、耐久性を向上させることができる。
マイグレーション防止導体は、絶縁性セラミック体の組成には関係なく備えることができる。即ち、例えば、絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合にアルミナを99質量%以上含有する場合にも備えることができるが、特に、アルミナの含有量が70質量%以上且つ99質量%未満である場合に効果的であり、更には、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素を酸化物換算した場合の合計含有量が1質量%以上(更には3質量%以上、特に4質量%以上、通常10質量%以下)である場合により効果的である。尚、酸化物換算とはアルカリ金属元素の場合は、アルカリ金属元素をMとした場合にMOとして換算し、アルカリ土類金属元素の場合は、アルカリ土類金属元素をMとした場合にMOとして換算することを意味する。
また、マイグレーション防止導体を構成する材料は特に限定されないが、通常、発熱抵抗体を構成する材料をそのまま適用することができる。但し、発熱抵抗体とマイグレーション防止導体との各々の組成は同じであっても異なっていてもよい。
上記「Ipセル」は、拡散室内への酸素の出し入れと、この際に必要な電流量を出力できるセルである。このIpセルは、Ipセル用固体電解質層と一対のIpセル用電極とを備える。
上記「Vsセル」は、拡散室内の酸素濃度を電位差として出力することで、酸素濃度を検出できるセルである。このVsセルは、Vsセル用固体電解質層と一対のVsセル用電極とを備える。
上記「Ipセル用固体電解質層」及び上記「Vsセル用固体電解質層」は安定化されたジルコニアとアルミナとを含有する。安定化されたジルコニアとは、キュービック相(以下、単に「C相」という)及びテトラゴナル相(以下、単に「T相」という)のうちの少なくとも一方からなるジルコニアを意味する。安定化されたジルコニアの含有量及びアルミナの含有量の合計量は、各固体電解質層全体を100質量%とした場合に95質量%以上である。
この含有量は98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。この合計含有量が95質量%未満であると、通常、アルカリ金属成分及び/又はアルカリ土類金属成分が増加する傾向にある。過度なアルカリ金属成分及び/又はアルカリ土類金属成分を含有すると、前記絶縁性基部におけると同様にマイグレーションにより電極が浸食される場合があるため好ましくない。また、特にVsセル用固体電解質層では、絶縁性基部となる未焼成体絶縁性基部と一体に焼成した場合に、絶縁性基部とVsセル用固体電解質層との界面にガラスが析出し、接合強度を低下させる場合がある。
また、Ipセル及びVsセルを構成する各固体電解質層に含有される安定化されたジルコニアは、Ipセル用固体電解質層全体を100質量%とした場合に20〜90質量%(好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜90質量%)である。20質量%未満であると十分なイオン導電性を発揮させることが困難となる場合があり、90質量%を超えて含有されると、素子内のアルミナを主成分とする部材(絶縁性基部等)との接合及び一体焼成等が困難となり、更に、使用時の接合強度を十分に得難くなる場合がある。
これらのジルコニアの安定化成分は特に限定されないが、Y、Mg、Ca、Sc及び希土類元素のうちの少なくとも1種を挙げることができる。これらの安定化成分のなかでもYが好ましい。Yにより安定化されたジルコニア(以下、単に「YSZ」という)は、優れた酸素イオン導電性と優れた機械的強度とをバランスよく併せ有するためである。また、このYSZに含有されるYはYに換算して、各固体電解質層中に含有される安定化されたジルコニア全体を100モル%とした場合に2〜9モル%(より好ましくは4〜9モル%)であることが好ましい。Yの含有量がこの範囲内において、焼成工程や冷熱サイクルでの昇降温に伴うジルコニアの相転移が特に起こり難いからである。尚、Scを安定化成分として含有する場合はイオン導電性を向上させることができる。
更に、各固体電解質層はアルミナを含有する。これにより、素子内に配設されるアルミナを主成分とする部材(絶縁性基部等)との接合及び一体焼成等を行うことがより容易となり、更に、熱膨張差を緩和することができるために使用時の接合強度を十分に得ることができる。従って、素子全体として機械的強度及び熱的強度等を向上させることができる。
アルミナの含有量は、各固体電解質層全体に対して10〜80質量%(好ましくは10〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%)である。10質量%未満であると、素子内のアルミナを主成分とする部材(絶縁性基部等)との接合及び一体焼成等が困難となる場合があり、更に、使用時に安定化されたジルコニアの相転移を抑えることが困難となり、接合強度を十分に得難くなる場合がある。一方、80質量%を超えて含有されると固体電解質層として十分なイオン導電性を発揮させることが困難となる場合がある。
また、各固体電解質層に含有されるアルミナの粒子の平均粒径は1.0μm以下(より好ましくは0.05〜0.8μm、更に好ましくは0.1〜0.6μm)であることが好ましい。アルミナの含有量が上記範囲であり、更に、アルミナ粒子の平均粒径が上記の範囲であれば、特に効果的に熱膨張差が緩和され、絶縁性基部と同時焼成した場合には各固体電解質層にクラックや割れが生じることを防止できる。また、使用時の冷熱間サイクルにおいてもクラックや割れを生じることを防止できる。
これら各固体電解質層に含有されるアルミナの含有量及び平均粒径は上記各好ましい範囲等の組合せとすることができる。即ち、例えば、各々固体電解質層において、アルミナの含有量が10〜80質量%であり且つアルミナ粒子の平均粒径が1.0μm以下であることが好ましく、アルミナの含有量が10〜70質量%であり且つアルミナ粒子の平均粒径が0.05〜0.8μmであることがより好ましく、アルミナの含有量が10〜60質量%であり且つアルミナ粒子の平均粒径が0.1〜0.6μmであることが特に好ましい。
この所定含有量且つ所定の粒径以下でアルミナを含有することにより、YSZ粒子(T相を呈する粒子及びC相を呈する粒子の区別なく)の平均粒径は2.5μm以下(更には0.1〜2.3μm、特に0.3〜2.0μm)に抑えられる。更に、YSZ粒子の最大粒径を5μm以下(更には4.2μm以下、特に3.5μm以下、通常0.5μm以上)に抑えられる。このようなYSZであることにより、焼成工程やガスセンサとして使用した時の環境下における冷熱サイクルでの昇降温に伴う相転移が極めて効果的に抑制され、また、相転移が一部で生じたとしても応力が分散され易く、クラックの発生が防止される。
更には、YSZ粒子として含有される粒子であるT相を呈する粒子及びC相を呈する粒子うち、T相を呈する粒子の平均粒径を2.5μm以下(更には0.1〜2.3μm、特に0.3〜2.0μm)に抑えることができる。このT相は、特に、温度雰囲気が200℃付近である場合に単斜晶相(M相)へと相転移し易く、また、この相転移は多湿ほど進行し易く、且つ体積変化を伴うことが知られている。そこで、このT相の粒子の平均粒径を2.5μm以下に抑えることにより、焼成工程や冷熱サイクルでの昇降温に伴うYSZの相転移を大幅に抑制できる。
上記に述べた安定化されたジルコニアの含有量は、X線回折測定によりC相及びT相として観察される相の含有量を表す。この含有量は、以下の方法に従い算出するものとする。即ち、C相を呈するジルコニア及びT相を呈するジルコニア、アルミナ及びその他の結晶を含めてそれらの含有量が既知である焼結体を数種類作製する。その後、これらの焼結体をX線回折測定して得られるピークから、C相を呈するジルコニアのピーク及びT相を呈するジルコニアのピーク、アルミナのピーク並びにその他の結晶のピークの少なくとも3種にピークを分離し、これら3種のピーク強度から検量線を作成する。次いで、測定対象である固体電解質層の表面又は破面(固体電解質層が他部材により覆われている等のために表面が露出していない場合は破面を用いる)をX線回折測定して得られるピークを、上記と同様に少なくとも3種のピークに分離し、各3種のピーク強度を求める。その後、先に得られた検量線に基づいて、安定化されたジルコニア(即ち、C相を呈するジルコニア及びT相を呈するジルコニアの合計ピーク強度を用いる。)の含有量を求める。
また、アルミナの含有量は、通常使用される化学分析によって求めることができる他、電子顕微鏡写真の画像解析によっても求めることが可能である。例えば、電子顕微鏡により倍率5000倍で撮影した反射電子像(以下、単に「BEI像」という)を用い、これをスキャナー等により電子情報として取り込み、この電子情報を画像解析装置(例えば、ニレコ社製、型式「ルーゼックスFS」等)により、特定の組成の粒子間の面積率として算出し、この面積率より理論体積率を近似的に算出し、この理論体積率を含有率として置き換えることで算出することが可能である。
更に、アルミナの平均粒径は、固体電解質層の表面を、電子顕微鏡により倍率5000倍で撮影した写真(以下、単に「SEM写真」という)において計測する。このSEM写真におけるアルミナ粒子の最大粒径をそのアルミナ粒子の粒径とみなし、5×5cmの単位四方辺りに含まれるアルミナの全粒子より算出される粒径の平均値を第1平均粒径とする。同様な方法により、同じ固体電解質層上の異なる5視野(表面)において撮影した5枚のSEM写真から算出される第1平均粒径を、更に平均し、第2平均粒径を得る。この第2平均粒径を本発明における上記平均粒径というものとする。また、ジルコニアの平均粒径も同様な方法によって測定できる。但し、上記T相の粒子の平均粒径はBEI像を利用して他の相の粒子と判別できる。
Vsセル及びIpセルを構成する各固体電解質層の形状は特に限定されず、四角形(正方形、長方形及び台形等)及び円形などとすることができるが、通常、四角形である。また、各固体電解質層は、その表面に電極が形成された部分でイオン導電性が発揮されるため、各固体電解質層自体の大きさ(平面積)は特に限定されず、後述する電極部に適した面積を確保できる大きさであることが好ましい。従って、例えば、各固体電解質層は、積層された素子の一層全てを占める大きさで形成されていてもよく、一層の一部を占める大きさ(例えば、素子の長さ方向において被測定ガスと接触できる一端側)で形成されていてもよい。
また、各固体電解質層の厚さも特に限定されないが、通常、30〜400μmである。30μm未満であると十分なポンピング又は検知を行うことが困難な場合があり、400μmを超えて厚い必要はないからである。
各固体電解質層はこれまでに述べたような組成、性状、形状及び大きさ等の特性とすることができるが、各固体電解質層同士は各々の特性において同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各固体電解質層に特有の作用及び設置場所等に鑑みて各々に適したものとすることが好ましい。
例えば、Ipセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は、Vsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも少ない(好ましくは5〜60質量%少ない、より好ましくは5〜50質量%少ない、更に好ましくは10〜50質量%少ない、より更に好ましくは15〜50質量%少ない、特に好ましくは15〜40質量%少ない)ことが好ましい。
Ipセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層に比べて少ないこと、即ち、Vsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がIpセル用固体電解質層に比べて多いことにより、Vsセルの測定データに基づくIpセルのフィードバック制御を行う素子において、発熱抵抗体により各セルを昇温させる際(素子始動時等)に、VsセルとIpセルとの温度差に起因するIpセル用固体電解質層の破壊(ブラックニング)を防止できる。即ち、発熱抵抗体による昇温時には、絶縁性基部に近接するVsセルの方がIpセルよりも速く昇温する。このため、Ipセルが完全に活性化されていない場合にもVsセルからのフィードバックによりポンピングを行う制御がなされ、これを防止する外部回路等がないとIpセルが破壊する場合がある。しかし、Vsセルに所定範囲のアルミナが含有されることにより、Vsセル用固体電解質層の内部抵抗を大きくでき、特殊な外部回路等を要することなくIpセル用固体電解質層の活性が不十分な場合にも過度な制御を行うことを防止することができる。また、Vsセルが過度に高い温度まで昇温させられたとしても、Vsセル用固体電解質層がアルミナを多く含有しているために、過度な電子伝導を生じて起電力が低下することがない。更に、熱応力の影響を緩和することができるため、素子全体の強度を効果的に向上させることができる。従って、Ipセル用固体電解質層を保護することができ、正確な測定を行うことができ、更には、素子全体の強度を向上させることができる。
また、Ipセル用固体電解質層は、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が40〜90質量%であり、且つ、アルミナの含有量が10〜60質量%であることが好ましい。また、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が60〜90質量%であり、且つ、アルミナの含有量が10〜40質量%であることがより好ましい。更に、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が65〜90質量%であり、且つ、アルミナの含有量が10〜35質量%であることが更に好ましい。また、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が97質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が70〜90質量%であり、且つ、アルミナの含有量が10〜30質量%であることが特に好ましい。
更に、Vsセル用固体電解質層は、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が40〜85質量%であり、且つ、アルミナの含有量が15〜60質量%であることが好ましい。また、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が40〜80質量%であり、且つ、アルミナの含有量が20〜60質量%であることがより好ましい。更に、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が40〜75質量%であり、且つ、アルミナの含有量が25〜60質量%であることが更に好ましい。また、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が97質量%以上であり、安定化されたジルコニアの含有量が40〜70質量%であり、且つ、アルミナの含有量が30〜60質量%であることが特に好ましい。
これらのIpセル用固体電解質層の好ましい組成とVsセル用固体電解質層の好ましい組成とは各々の組合せとすることができる。
即ち、各固体電解質層は、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜60質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜85質量%であり、且つ、アルミナの含有量が15〜60質量%であることが好ましい。また、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が60〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜40質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜80質量%であり、且つ、アルミナの含有量が20〜60質量%であることがより好ましい。更に、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が65〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜35質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜75質量%であり、且つ、アルミナの含有量が25〜60質量%であることが更に好ましい。また、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が70〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜30質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜70質量%であり、且つ、アルミナの含有量が30〜60質量%であることが特に好ましい。
また、前記Ipセル用固体電解質層の好ましい組成、前記Vsセル用固体電解質層の好ましい組成、及び、前記Ipセル用固体電解質層とVsセル用固体電解質層との間のアルミナ含有量の差とは、これらの組合せとすることができる。
即ち、各固体電解質層は、安定化されたジルコニア及びアルミナの合計含有量が95質量%以上であり、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜60質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜85質量%であり、アルミナの含有量が15〜60質量%であり、且つ、Ipセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも5〜50質量%少ないことが好ましい。また、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が60〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜40質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜80質量%であり、アルミナの含有量が20〜60質量%であり、且つ、Ipセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも10〜50質量%少ないことがより好ましい。更に、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が65〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜35質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜75質量%であり、アルミナの含有量が25〜60質量%であり、且つ、Ipセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも15〜50質量%少ないことが更に好ましい。また、Ipセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が70〜90質量%であり、アルミナ含有量が10〜30質量%であり、Vsセル用固体電解質層中の安定化されたジルコニアの含有量が40〜70質量%であり、アルミナの含有量が30〜60質量%であり、且つ、Ipセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも15〜40質量%少ないことが特に好ましい。
上記「Ipセル用電極」は、Ipセル用固体電解質層の表面に接して形成される一対の電極である。この一対のIpセル用電極は、各々幅広なIpセル用電極部と、Ipセル用電極部に比べて幅狭なIpセル用リード部とを備える。
上記「Vsセル用電極」は、Vsセル用固体電解質層の表面に接して形成される一対の電極である。この一対のVsセル用電極は、各々幅広なVsセル用電極部と、Vsセル用電極部に比べて幅狭なVsセル用リード部とを備える。
各々の電極部に対して各々のリード部の幅の狭さの程度は特に限定されないが、通常、リード部の幅は電極部の幅の40%以下である。
これらの各電極部及びリード部のうち、Ipセル用電極部とVsセル用電極部とは、各々対向して配置されている。また、Ipセル用電極部の一方とVsセル用電極部の一方とは、拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する対向した内壁の少なくとも一部を各々構成する。即ち、Ipセル用電極部の一方とVsセル用電極部の一方とは、拡散室を介して対向し、拡散室内に露出している(一方のIpセル用電極部と一方のVsセル用電極部とは、拡散室を介して対向し、拡散室内に露出している)。
従って、対向した内壁のうちの一方はIpセル用電極部によりその全面が構成されていてもよく、また、その内壁の一部のみがIpセル用電極部により構成されていてもよい。この一方の内壁のうちの一部のみがIpセル用電極部により構成される場合には、このIpセル用電極部以外にも、例えば、Ipセル用固体電解質層及びIpセル用電極とIpセル用固体電解質層とを絶縁するための絶縁層等により残部が構成されていてもよい。同様に、内壁のうちの他方はVsセル用電極部によりその全面が構成されていてもよく、また、その内壁の一部のみがVsセル用電極部により構成されていてもよい。この他方の内壁のうちの一部のみがVsセル用電極部により構成される場合には、このVsセル用電極部以外にも、例えば、Vsセル用固体電解質層及びVsセル用電極とVsセル用固体電解質層とを絶縁するための絶縁層等により残部が構成されていてもよい。
また、Vsセルが備える電極のうちの拡散室内に表出しない電極(即ち、内壁を構成しない電極)は、通常、酸素濃度の基準となる基準電極として機能することを要する。このVsセル用電極を基準電極として機能させるには自己基準生成方式と基準ガス導入方式との2つの方法がある。即ち、自己基準生成方式とは、電極を緻密なセラミック体により気密に保持し、Vsセルの酸素ポンピング作用を利用して電極(例えば、図3における135)と緻密なセラミック体(例えば、図3における111)との間の空間や電極の多孔質空孔部等、に一定圧力の酸素雰囲気を形成させる方法である(例えば、図3における135等)。一方、基準ガス導入方式とは、酸素濃度の基準となる基準ガス(例えば、大気や不活性ガス等)を電極まで導くために、素子内を通る経路を設け、この電極に基準ガスを接触させる方法である。本発明の素子ではいずれの方法を用いてもよいが、発熱抵抗体からの熱伝導を妨げないこと、素子全体の機械的強度をより大きくできること及び素子の大きさを小さくできること等から自己基準生成法式を用いることが好ましい。
また、この自己基準生成方式を用い、少なくとも基準電極の電極部内に酸素を蓄積する場合には、この電極部に過剰な酸素が蓄積されることを防止するように一定圧以上(例えば、2気圧以上)の酸素は素子外へ漏出できる経路を有することが好ましい。但し、この経路から素子外の気体が基準電極の電極部内へ流入することは防止する必要がある。このため、一定圧以上の酸素は素子外へ漏出させ且つ素子外の気体は流入されない外気流入防止連通部を備えることが好ましい。この外気流入連通部は、基準電極とは別体に設けることもできるが、基準電極のリード部(即ち、Vsセル用電極のうち、拡散室の内壁を構成しない一方の電極のリード部)の気孔率を調整することにより、このリード部を外気流入防止連通部として利用することができる。また、この基準電極は、外気流入防止連通部を除いては素子外と遮断されていることが好ましい。即ち、大気導入孔等の経路を有さないことが好ましい。
各セルの備える各々の電極の電極部の大きさ及び厚さは特に限定されず、その大きさは各々1〜20mm(より好ましくは6〜10mm、更に好ましくは7〜9mm)であることが好ましい。1mm未満では十分なポンピング及び検出を行うことが困難となる場合があり、20mmを超えて大きいと素子が過度に大きくなる傾向にある。また、電極部及びリード部の厚さは各電極において5〜30μm(より好ましくは10〜25μm、更に好ましくは13〜20μm)であることが好ましい。5μm未満では薄すぎるために使用中に断線することがある。一方、30μmを超えて厚いと、この電極を介して接合される部材間で、素子外気がこの電極内へ流入することを防止できる程度に高い気密を確保し難くなる。
Ipセル用電極及びVsセル用電極の各々の電極部及びリード部は、上記範囲の大きさ及び厚さであればよく、Ipセル用電極(電極部及び/又はリード部)とVsセル用電極(電極部及び/又はリード部)とは同じ大きさ及び/又は厚さであってもよく、大きさ及び/又は厚さが異なっていてもよい。
しかし、各電極に特有の作用及び設置場所等に鑑みて各々に適したものとすることが好ましい。特に、前述のフィードバック制御を行う際に生じ得る不具合は、各固体電解質層に含有されるアルミナの含有量を調節することで、各固体電解質層間に内部抵抗(固体電解質層自体の内部抵抗)差を形成し、これによりセル間の内部抵抗(セルの電極間抵抗)差を形成して解決することができる。この際には、更に電極の大きさを変化させることが効果的である。即ち、実際に拡散室内に表出しているVsセル用電極部である実Vsセル用電極部(Vsセル用電極部の全部であってもよく、一部であってもよい。)の面積と、実際に拡散室内に表出しているIpセル用電極部である実Ipセル用電極部(Ipセル用電極部の全部であってもよく、一部であってもよい。)の面積とを比較した場合に、実Vsセル用電極部の面積は実Ipセル用電極部の面積よりも小さい(好ましくは15〜80%、より好ましくは15〜70%、更に好ましくは20〜65%、より更に好ましくは20〜60%、特に好ましくは25〜55%)ことが好ましい。この面積が15%未満であると実Vsセル用電極部が実Ipセル用電極部に対して過度に小さくなるために検出効率が低下する場合があり、80%を超えると各セル間の内部抵抗の調整には寄与させ難くなる。
この実Vsセル用電極部の面積と実Ipセル用電極部の面積差は、前記Ipセル用固体電解質層とVsセル用固体電解質層との間のアルミナ含有量の差との組合せとすることができる。即ち、実Vsセル用電極部の面積は実Ipセル用電極部の面積の15〜80%であり且つIpセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも5〜60質量%少ないことが好ましい。また、実Vsセル用電極部の面積は実Ipセル用電極部の面積の15〜70%であり且つIpセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも10〜60質量%少ないことがより好ましい。更に、実Vsセル用電極部の面積は実Ipセル用電極部の面積の20〜65%であり且つIpセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも10〜50質量%少ないことが更に好ましい。また、実Vsセル用電極部の面積は実Ipセル用電極部の面積の20〜60%であり且つIpセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも15〜50質量%少ないことがより更に好ましい。更に、実Vsセル用電極部の面積は実Ipセル用電極部の面積の25〜55%であり且つIpセル用固体電解質層中のアルミナ含有量がVsセル用固体電解質層中のアルミナ含有量よりも15〜40質量%少ないことが特に好ましい。
また、この一方の実Vsセル用電極は、拡散室を介して対向する一方の実Ipセル用電極の投影像内にその面積の少なくとも80%以上(より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、100%であってもよい)が位置することが好ましい。このような配置関係にあることにより、ポンピングにより変化する拡散室内の酸素濃度をより確実(迅速且つ正確)にVsセルで検知できる。
また、絶縁性基部に最も近接し、絶縁性基部と固体電解質層との間に配置されているVsセル用電極の厚さは20μm以下(より好ましくは18μm以下、更に好ましくは17μm以下、通常8μm以上)であることが好ましい。20μmを超えると、この電極を介して接合される部材間で、素子外気がこの電極内へ流入することを防止できる程度に高い気密を確保し難く、特に自己基準生成方式を用いた基準電極とすることが困難となる場合がある。また、Vsセル用固体電解質層の厚さは200μm以下であることが好ましい。200μmを超えると、一体焼成により本発明の素子を形成しようとすると、Vsセル用固体電解質層にクラックを生じる場合がある。尚、この一体焼成しようとした場合にVsセル用固体電解質層が過度に厚いとクラックを生じ易くなる理由は定かではないが、アルミナを含有することにより得られる一体焼成に適した種々の効果が、Vsセル用固体電解質層の体積の増加により発揮され難くなっていることが考えられる。
更に、Ipセル用電極及びVsセル用電極の各々を構成する導電材料は特に限定されず、各種の導電材料を用いることができる。この導電材料は、電気抵抗率が10−2Ω・cm以下(Ω・cmとは試料の大きさにおいて1×1×1cmあたりの抵抗値を示す)であることが好ましい。このような導電材料としては、貴金属や、遷移金属、及びこれらのうちの2種以上を含む合金等を挙げることができる。これらの中でも白金族に含まれる金属を主成分とするものが好ましい。この白金族に含まれる金属を主成分とする電極は耐熱性及び耐食性に優れ、また、固体電解質層との密着性に優れる。更に、電極は、接合されている固体電解質層を構成する主要構成成分を1つの電極全体を100質量%とした場合に5〜20質量%以下(特に10質量%以上)含有できる。これにより、更に固体電解質層との密着性が向上されたものとなる。
更に、これらのIpセル用電極及びVsセル用電極以外にも、Ipセル及びVsセルは他の電極を備えることができる。他の電極としては、電極の導通を補助する補助電極や、固体電解質層の抵抗値を測定するための抵抗参照電極等を挙げることができる。抵抗参照電極を備える場合は、この電極を用いて固体電解質層の抵抗値に関するデータをフィードバックし、このデータに基づいて発熱抵抗体への通電量を調整し、固体電解質層の温度を常に正確に制御できる。このため、固体電解質層の導電性を目的の状態に常時維持することができる。
上記「拡散室」は、素子内において区画形成され、後述する律速導入部を除いて外気と隔てられた部分である。拡散室には、被測定ガスが律速導入部から律速されて導入され、その内部で拡散される部分である。また、拡散室内は、空洞であってもよく、空洞でなくてもよく、一部のみが空洞であり他部が空洞でないものであってもよい。空洞でなく被測定ガスを拡散できる場合とは、例えば、連通多孔質材等からなる場合である。更に、拡散室の形状は特に限定されず、直方体形状及び立方体形状等の部屋状であってもよく、略同じ断面積の蛇行する経路等からなる経路状であってもよい。経路状である場合には経路長を調節することにより拡散速度を調節できる。
また、この拡散室は、IpセルとVsセルとに挟まれて配置され、更には、拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する対向した内壁のうちの一方は少なくともIpセル用電極部の一方により構成され、内壁のうちの他方は少なくともVsセル用電極部の一方により構成されているものである。即ち、Ipセル用電極部の一方とVsセル部用電極部の一方とにより少なくとも区画形成されている。
また、拡散室を積層方向に平行な方向に区画する内壁は、例えば、一面(拡散室が円筒形状)、二面、三面、四面及び五面等、何面の内壁から構成されていてもよいが、通常、四面で構成され、拡散室の平面形状は四角形となる。製造上簡易だからであり、また、強度的にも優れるからである。
この内壁を構成するものは特に限定されないが、例えば、図1に示すようにIpセル用固体電解質層とVsセル用固体電解質層との間に配置されたスペーサにより構成することができる。その他、図6に示すように、固体電解質層間絶縁層(158)を介して、Ipセル用固体電解質層及びVsセル用固体電解質層により構成することもできる。これにより、拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する対向した内壁を構成する実Ipセル用電極部と実Vsセル用電極部との間の最大距離をより小さくすることができる。
この拡散室の大きさは特に限定されないが、拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する対向した内壁を構成する実Ipセル用電極部と実Vsセル用電極部との間の最大距離が80μm以下(より好ましくは70μm以下、更に好ましくは65μm以下、通常20μm以上)であることが好ましい。この距離が80μmを超えるとIpセルとVsセルとの間の温度差を生じ易くなる場合があり、十分に正確な測定を行うことができない場合がある。また、拡散室の容積が大きくなるためポンピングすべき酸素量が多くなり、Ipセルのポンプ能力を長期にわたって維持することが困難となる場合がある。更に、素子内に大きな空間を有すると素子全体としての強度も低下しがちとなる。
上記「律速導入部」とは、被測定ガスを律速させて拡散室内に導入する部分である。律速導入部の形態は特に限定されず、例えば、拡散室と被測定雰囲気との間に律速が可能な気孔率の連通多孔質層を設けた形態や、拡散室と被測定雰囲気との間にスリット及び/又は細孔等(例えば、図4及び図5における142)を設けた形態等とすることができる。また、その配設場所も拡散室へ素子外気を導入できる位置であればよく特に限定されないが、図2及び図3に示すように素子の長手方向において拡散室が形成されている側の先端部に設けることができる。更に、図7に示すように、拡散室の両側面に設けることができる。また、図4及び図5に示すように素子の表裏面から拡散室内へかけて設けることができる。
上記「律速」とは、素子外における被測定ガスの流速に関係なく、拡散室内に被測定ガスが導入されるときには略一定の速度となるように、被測定ガスの流速を調節することをいう。
上記「スペーサ」は、IpセルとVsセルとの間に配設され拡散室を積層方向に平行な方向に区画する部材である。このスペーサの形状及び大きさは特に限定されない。また、スペーサを構成する材料も特に限定されないが、各セル間に配置されるため、これらのセルの両方と十分な接合性を有すると共に、セル間を絶縁するのに十分な絶縁性を有することが好ましい。このため、スペーサは安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、スペーサ全体を100質量%とした場合に、安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上(より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、100質量%であってもよい)含有し、アルミナを80〜98質量%(より好ましくは85〜97質量%、更に好ましくは86〜96質量%、特に好ましくは87〜95質量%)含有し且つ安定化されたジルコニアを2〜20質量%(より好ましくは3〜15質量%、更に好ましくは4〜14質量%、特に好ましくは5〜13質量%)含有することが好ましい。アルミナの含有量が80質量%未満となると十分な熱伝導性を発揮できない場合があり、98質量%を超えるとジルコニア含有量が低下することとなり十分な接合性が得られない場合がある。一方、ジルコニアの含有量が2質量%未満であると十分な接合性が得られない場合があり、20質量%を超えるとアルミナの含有量が低下することとなり十分な熱伝導性を発揮させることができない場合がある。
尚、安定化されたジルコニア及びアルミナの各々の含有量は前述の測定方法によるものである。
本発明の素子は、上記各部以外にも他部を備えることができる。即ち、例えば、絶縁性基部とVsセルとの間に配置される他部材等である。上記「他部材」としては、アルミナを主成分として構成される絶縁性基部とVsセルの主要構成部材である固体電解質層をなすジルコニア系材料等との接合性及び/又は熱膨張差等を緩和するために設けられる層等を挙げることができる。このような層は1層のみを備えていてもよく、2層以上を備えていてもよい。2層以上備える場合には、絶縁性基部側からセル側へ次第にアルミナの含有量が減少するように配置されたものとすることができる。
更に、この他部材以外にも、例えば、基準電極に大気導入方式を用いる場合には、大気導入孔を形成するための大気導入孔用のスペーサ等を設けることができる。尚、この大気導入孔形成用のスペーサを構成する材料は、前述の拡散室形成用のスペーサと同様とすることができる。
本発明の他のガスセンサ素子は、各々前述した絶縁性基部(11)、ポンプセル(12)、検出セル(13)、律速導入部(142)、拡散室(141)及びマイグレーション防止導体(117)を備え、るガスセンサ素子であって、絶縁性基部(11)と検出セル(13)とが、検出セル(13)の拡散室(141)が形成されていない側で接合されているものである。
また、この他の素子において、マイグレーション防止導体(117)と絶縁性基部の検出セル(13)に面する一面との距離が、発熱抵抗体(114)とこの一面との距離よりも大きいことが好ましいことは前述の通りである。
[4]ガスセンサ
本発明のガスセンサは、本発明の素子又は他の素子を備える。その他、ガスセンサが備える他の部分は特に限定されない。この他の部分としては、例えば、ガスセンサ素子を外部からの被水や衝撃等から保護するための外装(プロテクタ、外筒及びグロメット等)を備えることができる。また、ガスセンサを排気管等に取り付けるための螺子部等を有する主体金具を備えることができる。更に、この主体金具内にガスセンサ素子を保持固定するためのホルダや緩衝材(熱及び衝撃等の緩衝)等を備えることができる。また、ガスセンサ素子からの電気信号等を取り出し、発熱抵抗体に電圧を印加するためのリード体(リードフレーム、リード線等)を備えることができる。
以下、本発明を図1〜図3を用いて更に詳しく説明する。
尚、図1は、図3に示す素子(1a)のVsセル用電極部(133)を含む横断面(素子幅方向の断面)を表す模式図である。また、図2は、図3に示す素子(1a)のIpセル用リード部(127)、Vsセル用リード部(134)及びIpセル用電極Vsセル用電極兼用電極パッド(154)を含む縦断面(素子長手方向の断面)を表す模式図である。また、保護層(151)及び補強層(152)を備える側を上側とし、絶縁性セラミック体(113)を備える側を下側として説明する。
更に、以下では解かり易さのために各部の符号を焼成前後で同じにしている。また、素子1個を製造するかのように説明するが、実際の工程では長さ60mm、幅5mmの未焼成素子(焼成後は、長さ約47mm、幅約3.9mmとなる。)が10個切り出せる大きさの各未焼成シートに10個分の印刷パターンを形成し、積層後に未焼成素子を切り出している。また、各未焼成シートには周縁部に位置合わせ用の孔を形成し、この孔の各々に固定用ピンを挿通することで各々の未焼成シートの位置合わせを行っている。
[1]全領域空燃比センサ素子(1a)の製造
〈1〉未焼成絶縁性セラミック体(111、112及び113)の作製
(1)未焼成第1絶縁性セラミック体(111)の作製
アルミナ粉末(純度99.99%以上、以下のアルミナ粉末も同様)を配合したスラリーを調整し、このスラリーをドクターブレード法により、厚さ0.2mmのシートに成形し、乾燥させた後、スルーホールを孔設して未焼成第1絶縁性セラミック体(111)を得た。
(2)未焼成第2絶縁性セラミック体(112)の作製
上記(1)で用いたスラリーを用い、同様にして厚さ0.6mmのシートに成形し、乾燥させた後、スルーホールを孔設して未焼成第2絶縁性セラミック体(112)を得た。
(3)未焼成第3絶縁性セラミック体(113)の作製
上記(1)で用いたスラリーを用い、同様にして厚さ0.6mmのシートに成形し、乾燥させて未焼成第3絶縁性セラミック体(113)を得た。
〈2〉未焼成第1積層体の形成
(1)未焼成マイグレーション防止導体(117)の形成
白金粉末94質量部とアルミナ粉末6質量部とを配合したペーストを調製した。得られたペーストを上記〈1〉(2)で得られた未焼成第2絶縁性セラミック体(112)の下面に図3に示す形状(焼成後、一端子側が発熱抵抗体のマイナス極と接続され、他端子側は電気的に接続されない)にスクリーン印刷し、未焼成マイグレーション防止導体(117)を形成した。
(2)未焼成第3絶縁性セラミック体(113)の積層
ジルコニア粉末とアルミナ粉末との合計を100質量%とした場合にジルコニア粉末が5質量%であり、アルミナ粉末が95質量%となるように配合したスラリーを調製した。一方でバインダ、可塑剤及びアセトンを混合したバインダ溶液を用意し、このバインダ溶液をこのスラリーに加え、混練しながらアセトンを蒸散させてペーストを調製した。得られたペーストを用いて上記〈2〉(1)で得られた積層体のマイグレーション防止導体(117)が形成されている下面と、上記〈1〉(3)で得られた未焼成第3絶縁性セラミック体(113)の上面とを積層して圧着した。
(3)未焼成発熱抵抗体(114)の形成
上記〈2〉(2)までに得られた積層体の上面{未焼成第2絶縁性セラミック体(112)の上面}に上記〈2〉(1)で未焼成マイグレーション防止導体(117)の形成に用いたペーストを、図3に示す形状にスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成発熱抵抗体発熱部(115)及び未焼成発熱抵抗体リード部(116)を備える未焼成発熱抵抗体(114)を形成した。
(4)発熱抵抗体用パッド(156及び157)の形成
ジルコニア粉末(純度99.99%以上、以下のジルコニア粉末も同様)15質量部と白金粉末100質量部とを配合したペーストを調製した。得られたペーストを、上記〈2〉(3)までに得られた積層体のスルーホール内に流入されるようにスクリーン印刷し、乾燥させて、発熱抵抗体用パッド(156、負極用)、発熱抵抗体用パッド(157、正極用)を形成した。焼成後は、スルーホール内に流入されたペーストが焼成されてマイグレーション防止導体(117)の負極と発熱抵抗体(114)の負極と発熱抵抗体用パッド(156)とが電気的に接続される。また、同様に発熱抵抗体(114)の正極と発熱抵抗体用パッド(157)とが電気的に接続される(マイグレーション防止導体は接続されない)。
上記〈2〉(1)〜(4)を経て未焼成第1積層体を得た。
〈3〉未焼成第2積層体の形成
(1)未焼成Vsセル用電極(135)の形成(正電極となる)
ジルコニア粉末15質量部と白金粉末100質量部と配合したペーストを調製した。得られたペーストを未焼成第1絶縁性セラミック体(111)の上面に図3に示す形状で厚さ15μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Vsセル用電極部(136)と、焼成後に外気流入防止連通部(16)として機能する未焼成Vsセル用リード部(137)を備える未焼成Vsセル用電極(135)を形成した。この未焼成Vsセル用電極(135)の電極部(136)は、後述する未焼成Vsセル用電極(132)の電極部(133)と同じ大きさで形成されている。
(2)未焼成Vsセル用固体電解質層(131)の形成
ジルコニア粉末とアルミナ粉末との合計を100質量%とした場合にジルコニア粉末が65質量%であり、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)が35質量%となるように配合したスラリーを調製した。一方でバインダ、可塑剤及びアセトンを混合したバインダ溶液を用意し、このバインダ溶液をこのスラリーに加え、混練しながらアセトンを蒸散させてペーストを調製した。得られたペーストを上記〈3〉(1)までに得られた積層体の上面に未焼成Vsセル用電極(135)を覆うように積層体の全面に厚さ100μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Vsセル用固体電解質層(131)を形成した。
(3)未焼成Vsセル用絶縁層(138)の形成
ジルコニア粉末とアルミナ粉末との合計を100質量%とした場合にジルコニア粉末が5質量%であり、アルミナ粉末が95質量%となるように配合したスラリーを調製した。一方でバインダ、可塑剤及びアセトンを混合したバインダ溶液を用意し、このバインダ溶液をこのスラリーに加え、混練しながらアセトンを蒸散させてペーストを調製した。このペーストを上記〈3〉(2)までに得られた積層体の上面であって未焼成Vsセル用固体電解質層(131)の表面に図3に示す形状で厚さ20μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Vsセル用絶縁層(138)を形成した。
(4)未焼成Vsセル用電極(132)の形成(負電極となる)
上記〈3〉(1)で未焼成Vsセル用電極(135)の形成に用いたペーストを、上記〈3〉(3)までに得られた積層体の未焼成Vsセル用絶縁層(138)が形成されている上面に図3に示す形状で厚さ20μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Vsセル用電極部(133)及び未焼成Vsセル用リード部(134)を備える未焼成Vsセル用電極(132)を形成した。未焼成Vsセル用電極部(133)は未焼成Vsセル用固体電解質層(131)の表面に、未焼成Vsセル用リード部(134)は未焼成Vsセル用絶縁層(138)の表面に形成されている。また、この未焼成Vsセル用電極(132)の電極部(133)は素子長手方向の長さが3.5mmであり、素子幅方向の長さが1mmであり、焼成されて素子長手方向の長さが2.7mmであり、素子幅方向の長さが0.8mmとなる。
更に、図3に点線{Ipセル用電極部(126)の投影像を表す}で示すように焼成後には、未焼成Vsセル用電極(132)の電極部(133)は、後述するIpセル用電極(125)の電極部(126)の投影像内に配置され、Ipセル部用電極部(126)の面積の31%の面積となる。
(5)拡散室用焼失部の形成
カーボン粉末を配合したペーストを調製した。得られたペーストを上記〈3〉(4)までに得られた積層体の未焼成Vsセル用電極(132)の電極部(133)を覆うように図3に示す形状(素子長手方向に5mm、素子幅方向に2.3mm)に厚さ80μmでスクリーン印刷し、乾燥させて拡散室用焼失部を形成した。この拡散室用焼失部は、焼成時に焼失し、拡散室(141)となるものである。
(6)未焼成スペーサ(143)の形成
上記〈3〉(3)で未焼成Vsセル用絶縁層(138)の形成に用いたペーストを、上記〈3〉(5)までに得られた積層体の上面であって未焼成Vsセル用固体電解質層(131)上、未焼成Vsセル用電極(132)のリード部(134)上及び未焼成Vsセル用絶縁層(138)上に図3に示す形状となるように、厚さ80μmでスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成スペーサ(143)を形成した。
(7)未焼成律速導入部(142)の形成
アルミナ粉末とカーボン粉末(平均粒径5μm、アルミナ粉末に対する体積比が45体積%)とを配合したペーストを調製した。得られたペーストを上記〈3〉(6)までに得られた積層体の上面であって未焼成Vsセル用固体電解質層(131)の表面に図3に示す形状となるように、厚さ80μmでスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成律速導入部(142)を形成した。
(8)未焼成Vsセル用電極(132及び135)の引き出し
上記〈3〉(7)までに得られた積層体の未焼成スペーサ(143)の上面から未焼成Vsセル用電極(132及び135)の各々のリード部(134及び137)に通じるスルーホール内に、上記〈3〉(1)で未焼成Vsセル用電極(135)の形成に用いたペーストが流入するようにスクリーン印刷し、未焼成Vsセル用電極(132及び135)を未焼成スペーサ(143)の上面まで引き出した。これにより、焼成後にIpセル用電極Vsセル用電極兼用電極パッド(154)及びVsセル用電極パッド(155)へ各Vsセル用電極(132及び135)が電気的に接続できる。
上記〈3〉(1)〜(8)を経て未焼成第2積層体を得た。
〈4〉未焼成第3積層体の形成
(1)未焼成Ipセル用固体電解質層(121)の形成
ジルコニア粉末とアルミナ粉末との合計を100質量%とした場合にジルコニア粉末が85質量%であり、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)が15質量%となるように配合したスラリーを調製した。一方でバインダ、可塑剤及びアセトンを混合したバインダ溶液を用意し、このバインダ溶液をこのスラリーに加え、混練しながらアセトンを蒸散させてペーストを調製した。得られたペーストをドクターブレード法により、厚さ0.2mmのシートに成形し、乾燥させた後、スルーホールを孔設して未焼成Ipセル用固体電解質層(121)を得た。
(2)未焼成Ipセル用第1絶縁層(128)の形成
上記〈3〉(3)で未焼成Vsセル用絶縁層(138)の形成に用いたペーストを、上記〈4〉(1)で得られた未焼成Ipセル用固体電解質層(121)の下面に図3に示す形状で厚さ20μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Ipセル用第1絶縁層(128)を形成した。
(3)未焼成Ipセル用第2絶縁層(129)の形成
上記〈3〉(3)で未焼成Vsセル用絶縁層(138)の形成に用いたペーストを、上記〈4〉(2)を経た未焼成Ipセル用固体電解質層(121)の未焼成Ipセル用第1絶縁層(128)が形成されていない上面に図3に示す形状で厚さ20μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Ipセル用第2絶縁層(129)を形成した。この未焼成Ipセル用第2絶縁層の一部には、素子長手方向の長さが5mmであり、素子幅方向の長さが2.3mmである開口部(焼成されて素子長手方向の長さが3.9mm、素子幅方向の長さが1.8mmとなる)が設けられており、後述する未焼成Ipセル用電極(122)の電極部(123)が未焼成Ipセル用固体電解質層(121)と接触できるようになっている。
(4)未焼成Ipセル用電極(125)の形成
上記〈3〉(1)で未焼成Vsセル用電極(135)の形成に用いたペーストを、上記〈4〉(3)までに得られた積層体の未焼成Ipセル用第1絶縁層(128)が形成されている下面に図3に示す形状で厚さ30μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Ipセル用電極部(126)及び未焼成Ipセル用リード部(127)を備える未焼成Ipセル用電極(125)を形成した。この未焼成Ipセル用電極(125)の電極部(126)は素子長手方向の長さが5mmであり、素子幅方向の長さが2.3mmであり、焼成されて素子長手方向の長さが3.9mmであり、素子幅方向の長さが1.8mmとなる。
(5)Ipセル用電極(122)の形成
上記〈3〉(1)で未焼成Vsセル用電極(135)の形成に用いたペーストを、上記〈4〉(4)までに得られた積層体の未焼成Ipセル用第2絶縁層(129)が形成されている上面に図3に示す形状で厚さ30μmにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成Ipセル用電極部(123)及び未焼成Ipセル用リード部(124)を備える未焼成Ipセル用電極(122)を形成した。この未焼成Ipセル用電極(122)の電極部(123)は、未焼成Ipセル用電極(125)の電極部(126)と同じ大きさで形成されている。
(6)未焼成保護層(151)の形成
上記〈3〉(6)で未焼成律速導入部(142)の形成に用いたペーストを、上記〈4〉(5)までに得られた積層体の上面の未焼成Ipセル用電極(122)の電極部(123)を覆うように図3に示す形状に厚さ100μmでスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成保護層(151)を形成した。
(7)補強層(152)の形成
上記〈3〉(3)で未焼成Vsセル用絶縁層(138)の形成に用いたペーストを、上記〈4〉(6)までに得られた積層体の未焼成Ipセル用電極(122)が形成されている上面の未焼成保護層(151)が形成されていない部分に図3に示す形状で厚さ100μmにスクリーン印刷し、乾燥させて補強層(152)を形成した。
上記〈4〉(1)〜(7)を経て未焼成第3積層体を得た。
〈5〉各積層体の積層及び電極パッド(153、154及び155)の形成
(1)各積層体の積層
上記〈3〉(3)で未焼成Vsセル用絶縁層(138)の形成に用いたペーストを用い、未焼成第1積層体の発熱抵抗体(114)が形成されている上面と、未焼成第2積層体の未焼成第1セラミック体(111)の下面(未焼成Vsセル等が形成されていない側)とを積層し、圧着した。次いで、同じペーストを用いて、得られた積層体の未焼成第2積層体の拡散室用焼失材等が形成されている上面と、未焼成第3積層体の未焼成Ipセル用電極(125)が形成されている下面とを積層し、圧着した。
(2)電極パッド(153、154及び155)の形成
上記〈3〉(1)で未焼成Vsセル用電極(135)の形成に用いたペーストを、上記〈5〉(1)までに得られた積層体の上面側に形成されたスルーホール内に流入するようにスクリーン印刷し、乾燥させて、未焼成Ipセル用電極パッド(153)、未焼成Ipセル用電極Vsセル用電極兼用電極パッド(154)、未焼成Vsセル用電極パッド(155)を形成し、未焼成素子を得た。
〈6〉脱脂及び焼成
上記〈5〉までに得られた未焼成成形体を、大気雰囲気において、室温から420℃まで昇温速度10℃/時間で昇温させ、420℃で2時間保持し、脱脂処理を行った。その後、大気雰囲気において、1100℃まで昇温速度100℃/時間で昇温させ、更に、1520℃まで昇温速度60℃/時間で昇温させ、1520℃で1時間保持し焼成し全領域空燃比センサ素子(1a)を得た。
[2]全領域空燃比センサの製造
上記[1]〈6〉までに得られた全領域空燃比センサ素子(1a)を用いて図7(紙面上方を素子の上方、紙面下方を素子の下方とする)に示す全領域空燃比センサ(2)を製造した。
この全領域空燃比センサ(2)において、素子(1)は、ガスセンサを排気管等に取り付けるための螺子部(221)を有する主体金具(22)内に収められたアルミナ質セラミックからなる素子ホルダ(212)、タルク粉末等からなる緩衝材(212)及びセラミックからなるスリーブ(213)に支持されて固定されている。また、センサ素子(1)とスリーブ(213)との間にはリードフレーム(25)を介しており、センサ素子(1)の上端はスリーブ(213)内に配置されている。更に、主体金具(22)の下部には、センサ素子(1)の下部を覆う複数の孔を有する金属製の二重プロテクタ(23)が取設され、主体金具(22)の上部には外筒(24)が取設されている。また、外筒(24)の上部には、センサ素子(1)を外部回路と接続するためのリード線(26)を分岐挿通する貫通孔が設けられたセラミックからなるセパレータ(27)及び耐熱ゴムからなるグロメット(28)を備える。
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では未焼成第1絶縁性セラミック体、未焼成第2絶縁性セラミック体、未焼成第3絶縁性セラミック体及び未焼成Ipセル用固体電解質層の4種は、シート成形しているが、この他のパターン等もシート成形したものを積層圧着して形成することができる。また、上記4種をスクリーン印刷を複数回繰り返すことにより形成することもできる。
本発明の素子及び他の素子の一例(1a)の横断面を表す模式図である。 本発明の素子及び他の素子の一例(1a)の縦断面を表す模式図である。 本発明の素子及び他の素子の一例(1a)の模式的な分解斜視図である。 本発明の素子及び他の素子の他例(1b)の横断面を表す模式図である。 本発明の素子及び他の素子の他例(1c)の横断面を表す模式図である。 本発明の素子及び他の素子の他例(1d)の横断面を表す模式図である。 本発明の素子及び他の素子の他例(1e)の横断面を表す模式図である。 本発明のガスセンサの一例の断面図である。
符号の説明
1、(1a〜1e);ガスセンサ素子、11;絶縁性基部、111;第1絶縁性セラミック体、112;第2絶縁性セラミック体、113;第3絶縁性セラミック体、114;発熱抵抗体、115;発熱抵抗体発熱部、116;発熱抵抗体リード部、117;マイグレーション防止導体、12;Ipセル、121;Ipセル用固体電解質層、122、125;Ipセル用電極、123、126;Ipセル用電極部、124、127;Ipセル用リード部、128;Ipセル用第1絶縁層、129;Ipセル用第2絶縁層、13;Vsセル、131;Vsセル用固体電解質層、132、135;Vsセル用電極、133、136;Vsセル用電極部、134、137;Vsセル用リード部、138;Vsセル用絶縁層、141;拡散室、142;律速導入部、143;スペーサ、151;保護層、152;補強層、153;Ipセル用電極パッド、154;Ipセル用電極Vsセル用電極兼用電極パッド、155;Vsセル用電極パッド、156;発熱抵抗体用パッド(−極用)、157;発熱抵抗体用パッド(+極用)、158;固体電解質層間絶縁層、16;外気流入防止連通部、2;ガスセンサ、22;主体金具、221;取付螺子部、23;二重プロテクタ、24;外筒、211;素子ホルダ、212;緩衝材、213;スリーブ、25;リードフレーム、26;リード線、27;セパレータ、28;グロメット。

Claims (12)

  1. 絶縁性基部と酸素をポンピングするポンプセルと酸素を検出する検出セルとを積層して備え、該絶縁性基部は絶縁性セラミック体及び該絶縁性セラミック体の表面又は内部に形成された発熱抵抗体を備え、該ポンプセルはポンプセル用固体電解質層及び該ポンプセル用固体電解質層の表面に接して形成された一対のポンプセル用電極を備え、該検出セルは検出セル用固体電解質層及び該検出セル用固体電解質層の表面に接して形成された一対の検出セル用電極を備え、且つ、該ポンプセルと該検出セルとの間に、律速導入部を介して被測定ガスが導入される拡散室が形成されたガスセンサ素子において、
    上記一対のポンプセル用電極は、各々幅広なポンプセル用電極部と該ポンプセル用電極部から延設され該ポンプセル用電極部よりも幅狭なポンプセル用リード部とを備え、上記一対の検出セル用電極は、各々幅広な検出セル用電極部と該検出セル用電極部から延設され該検出セル用電極部よりも幅狭な検出セル用リード部とを備え、上記ポンプセル用電極部の一方と上記検出セル用電極部の一方とは、上記拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する対向した内壁の少なくとも一部を各々構成し、上記絶縁性基部は、上記検出セルの上記拡散室が形成されていない側で直接的に又は他部材を介して間接的に該検出セルと接合され、
    上記絶縁性セラミック体はアルミナを主成分とし、上記ポンプセル用固体電解質層及び上記検出セル用固体電解質層は、安定化されたジルコニアとアルミナとを各々含有し、該ポンプセル用固体電解質層及び該検出セル用固体電解質層の各々の全体を100質量%とした場合に、安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で各々95質量%以上含有し、安定化されたジルコニアを各々20〜90質量%含有し且つアルミナを各々10〜80質量%含有し、
    上記ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は、上記検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より所定量少ないことを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 上記絶縁性基部、上記検出セル及び上記ポンプセルはこの積層順で一体に焼成されている請求項1記載のガスセンサ素子。
  3. 上記ポンプセル用固体電解質層及び上記検出セル用固体電解質層の各々に含有される上記アルミナの平均粒子径は各々1μm以下である請求項1又は2に記載のガスセンサ素子。
  4. 上記ポンプセル用固体電解質層は安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、該ポンプセル用固体電解質層及び上記検出セル用固体電解質層の各々の全体を100質量%とした場合に、該ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は、該検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より5〜60質量%少ない請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  5. 上記ポンプセル用固体電解質層は安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、該ポンプセル用固体電解質層は該ポンプセル用固体電解質層全体を100質量%とした場合に安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上含有し、安定化されたジルコニアを60〜90質量%含有し且つアルミナを10〜40質量%含有し、上記検出セル用固体電解質層は該検出セル用固体電解質層全体を100質量%とした場合に安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上含有し、安定化されたジルコニアを40〜80質量%含有し且つアルミナを20〜60質量%含有し、該ポンプセル用固体電解質層中のアルミナ含有量は該検出セル用固体電解質層中のアルミナ含有量より10〜50質量%少ない請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  6. 更に、上記ポンプセルと上記検出セルとの間に配設され、且つ上記拡散室を積層方向に平行な方向に区画する内壁を構成するスペーサを備え、該スペーサは安定化されたジルコニアとアルミナとを含有し、該スペーサ全体を100質量%とした場合に、安定化されたジルコニア及びアルミナを合計で95質量%以上含有し、アルミナを80〜98質量%含有し且つ安定化されたジルコニアを2〜20質量%含有する請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  7. 上記検出セル用電極を構成する一対の上記検出セル用電極部は、上記検出セル用固体電解質層の表面及び裏面に各々配置され、該検出セル用電極間に電圧を印加して酸素をポンピングした場合に、該絶縁性基部側に面する該検出セル用電極部内に酸素を蓄積でき、更に、該絶縁性基部側に面する該検出セル用電極部はその内部に外気が流入することを防止する外気流入防止連通部を介して外部と連通され、且つ、該絶縁性基部側に面する該検出セル用電極部は該外気流入防止連通部を除いて外部と連通しない請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  8. 上記検出セル用固体電解質層の厚さは200μm以下であり、且つ、該絶縁性基部側に位置する上記検出セル用電極部の厚さは20μm以下である請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  9. 上記検出セル用電極部のうち上記拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する一方の内壁を構成する実検出セル用電極部と、上記ポンプセル用電極部のうち上記拡散室を積層方向に垂直な方向に区画する他方の内壁を構成する実ポンプセル用電極部との間の最大距離は80μm以下である請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  10. 上記絶縁性セラミック体は、該絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合にアルミナを99質量%以上含有する請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  11. 上記絶縁性セラミック体は、該絶縁性セラミック体全体を100質量%とした場合にアルミナを70質量%以上且つ99質量%未満含有し、上記発熱抵抗体は、幅狭な発熱部と該発熱部から延設され該発熱部よりも幅広なリード部とを備え、且つ、上記絶縁性基部の表面又は内部に該発熱部と該リード部との境界における電位と同じか又は低い電位に保たれたマイグレーション防止導体を備える請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  12. 上記マイグレーション防止導体と上記絶縁性基部の上記検出セルに面する一面との距離は、上記発熱抵抗体と該一面との距離よりも大きい請求項11記載のガスセンサ素子。
JP2006305863A 2006-11-10 2006-11-10 ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ Expired - Fee Related JP4035555B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006305863A JP4035555B2 (ja) 2006-11-10 2006-11-10 ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006305863A JP4035555B2 (ja) 2006-11-10 2006-11-10 ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002320479A Division JP4050593B2 (ja) 2002-11-01 2002-11-01 ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007033464A JP2007033464A (ja) 2007-02-08
JP4035555B2 true JP4035555B2 (ja) 2008-01-23

Family

ID=37792869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006305863A Expired - Fee Related JP4035555B2 (ja) 2006-11-10 2006-11-10 ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4035555B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102022105888A1 (de) 2021-03-31 2022-10-06 Ngk Insulators, Ltd. Keramischer Heizer, Verfahren zur Ansteuerung eines keramischen Heizers und Gassensor

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4050593B2 (ja) 2002-11-01 2008-02-20 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ
JP5139955B2 (ja) * 2008-11-04 2013-02-06 日本特殊陶業株式会社 セラミックヒータ、ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP5158009B2 (ja) * 2009-04-30 2013-03-06 株式会社デンソー ガスセンサ素子及びその製造方法、並びにガスセンサ
JP5166354B2 (ja) * 2009-06-05 2013-03-21 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP5322965B2 (ja) * 2010-02-02 2013-10-23 日本碍子株式会社 ガスセンサ及びその製造方法
JP6302419B2 (ja) * 2015-01-14 2018-03-28 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP6594230B2 (ja) 2015-03-06 2019-10-23 日本碍子株式会社 センサ素子及びガスセンサ
JP6988850B2 (ja) * 2019-03-14 2022-01-05 株式会社デンソー ガスセンサの製造方法
KR20220119705A (ko) * 2020-01-08 2022-08-30 나믹스 가부시끼가이샤 저항체 페이스트, 소성체 및 전기 제품
JP7402722B2 (ja) * 2020-03-25 2023-12-21 日本碍子株式会社 センサ素子及びガスセンサ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102022105888A1 (de) 2021-03-31 2022-10-06 Ngk Insulators, Ltd. Keramischer Heizer, Verfahren zur Ansteuerung eines keramischen Heizers und Gassensor

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007033464A (ja) 2007-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4050593B2 (ja) ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ
JP4035555B2 (ja) ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ
US20030146093A1 (en) Oxygen sensor
US6936148B2 (en) Gas sensor element having at least two cells
JP4093784B2 (ja) 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサ
JP3874690B2 (ja) 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサ
JP2003279528A (ja) 酸素センサ素子
JP3860768B2 (ja) 酸素センサ素子
JP2002357589A (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP4084593B2 (ja) 酸素センサ素子
JP3874691B2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP2005283285A (ja) 酸素濃度検出センサ
JP4007892B2 (ja) ガスセンサ素子及びこれを用いたガスセンサ
JP2003270202A (ja) 酸素センサ素子
JP4262764B2 (ja) 積層型ガスセンサ素子
JP2001041922A (ja) ヒータ一体型酸素センサ素子
JP2003075397A (ja) 酸素センサ
JP2003279529A (ja) 酸素センサ素子
JP2003107042A (ja) 酸素センサ
JP4698041B2 (ja) 空燃比センサ素子
JP2001242124A (ja) ガスセンサ素子及びこれを備えるガスセンサ
JP2004085493A (ja) 酸素センサ素子
JP2004226310A (ja) 酸素センサ
JP2002228622A (ja) 酸素センサおよびその製造方法
JP2004241148A (ja) セラミックヒータ構造体および検出素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070703

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071029

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4035555

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131102

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees