以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本第1実施形態のA/Fセンサについて図1〜図6を参照して説明する。本実施形態のA/Fセンサ10は、自動車の走行用のガソリンエンジン1の排気管2に配置されているガスセンサである。
具体的には、A/Fセンサ10のうち軸線方向一方側が排気管2に配置されている。A/Fセンサ10のうち軸線方向他方側の外壁が車両外側に露出している。軸線方向について後述する。
A/Fセンサ10は、排気管2内を流れるガソリンエンジン1の排気ガス中の酸素濃度と排気管2の外側(すなわち、車両の外側)の空気中の酸素濃度との比率を示す検出信号を出力する。本実施形態のA/Fセンサ10の検出信号は、ガソリンエンジン1の空燃比の制御に用いられる。
A/Fセンサ10は、図2に示すように、主体金具20、センサ素子22、保持金具24、ガラスシール25、下側カバー部27、上側カバー部29、接点部材31、リード部33a、33b、および蓋部35を備える。
主体金具20は、金属材料によって円筒状に形成されているハウジングである。以下、説明の便宜上、主体金具20の軸線Sが延びる方向を軸線方向という。主体金具20のうち軸線方向一方側が排気管2内に配置されている。主体金具20のうち軸線方向他方側が排気管2の外側に配置されている。このため、主体金具20のうち軸線方向他方側の外壁が車両外側に露出していることになる。
本実施形態の主体金具20は、筒部20a、20b、20cを備える。筒部20a、20b、20cは、それぞれの軸線が軸線Sに一致するように配置されている。筒部20aは、筒部20bに対して軸線方向他方側に配置されている。
筒部20a、20bは、連結されている。筒部20bは、筒部20cに対して軸線方向他方側に配置されている。筒部20b、20cは、連結されている。
ここで、筒部20aの内径寸法Raは、筒部20bの内径寸法Rb(<Ra)よりも大きくなっている。筒部20bの内径寸法Rbは、筒部20cの内径寸法Rc(<Rb)よりも大きくなっている。
主体金具20の筒部20bのうち外周面には、軸線Sを中心とする径方向内側に凹む凹部21dが形成されている。凹部21dは、軸線Sを中心とする周方向に亘って形成されている。凹部21dは、排気管2の貫通孔2a内に位置することになる。
主体金具20の筒部20aに対して軸線方向他方側には、リブ20hが設けられている。
リブ20hは、リング部23a、および突起部23bを備える。リング部23aは、筒部20aから軸線方向他方側に突起するように形成されている。
リング部23aは、軸線Sを中心とする円周方向に亘って形成されている。突起部23bは、リング部23aのうち軸線方向他方側から軸線Sを中心とする径方向外側に突起するように形成されている。
本実施形態では、リブ20hの厚み寸法raは、筒部20aの厚み寸法rb(<ra)に比べて小さくなっている。厚み寸法raは、リブ20hにおいて軸線Sを中心とする径方向の寸法である。厚み寸法rbは、筒部20aにおいて軸線Sを中心とする径方向の寸法である。
センサ素子22は、主体金具20内に配置されて、図3および図4に示すように、軸線方向に延びて軸線方向一方側と軸線方向他方側とに開口部を形成する円筒状に形成されている。具体的には、センサ素子22は、その軸線が主体金具20の軸線Sに一致するように配置されている。
センサ素子22のうち軸線方向一方側が主体金具20に対して軸線方向一方側に位置する。センサ素子22のうち軸線方向他方側が主体金具20に対して軸線方向他方側に位置する。
センサ素子22は、軸線方向一方側が排気管2内に配置されている。センサ素子22のうち軸線方向他方側が排気管2の外側に配置されている。センサ素子22は、保持金具24の底部24bの貫通孔24dを貫通した状態で、保持金具24内に配置されている。
本実施形態のセンサ素子22は、焼結体によって構成されて、排気管2内を流れる排気ガス中の酸素濃度(以下、排気ガス酸素濃度)と排気管2の外側の空気中の酸素濃度(以下、外気酸素濃度という)との比率を示す検出信号を出力する周知のセンサ素子である。
具体的には、センサ素子22は、軸線方向一方側の開口部から導入される排気ガス酸素濃度と軸線方向他方側の開口部から導入される外気酸素濃度との比率を示す検出信号を出力する。
保持金具24は、金属材料によって円筒状に形成されている保持部である。保持金具24は、図3に示すように、主体金具20内に配置されている。保持金具24は、その軸線が主体金具20の軸線Sに一致するように配置されている。
具体的には、保持金具24は、主体金具20の筒部20a内に配置されている。保持金具24は、図3に示すように、円筒状に形成されている側壁24aを備える。側壁24aは、その軸線が主体金具20の軸線Sに一致するように配置されている。側壁24aと筒部20aの内周面21aとの間には、空間40aが形成されている。
側壁24aのうち軸線方向他方側に位置する端部には、第1突起部としてのフランジ部24eが設けられている。フランジ部24eは、軸線Sを中心とする環状に形成されている。フランジ部24eは、リング部24gのうち軸線方向他方側端部から軸線Sを中心とする径方向外側(すなわち、主体金具20側)に突起するように形成されている。
フランジ25eのうち径方向外側は、主体金具20のうちリブ20hに対して軸線方向他方側に位置する。フランジ25hのうち径方向外側と主体金具20のうちリブ20hとは、軸線Sを中心とする周方向に亘って溶接によって接合されている。
このことにより、保持金具24の外周面と主体金具20の内周面との間に空間40aを形成することになる。側壁24aのうち軸線方向一方側には、底部24bが形成されている。底部24bには、軸線方向に貫通する貫通孔24dが形成されている。
底部24bは、軸線Sを中心とする径方向に拡がるように形成されている。保持金具24の底部24bと主体金具20の筒部20bのうち軸線方向他方側端部21bとの間には、空間40bが形成されている。
本実施形態では、主体金具20としては、例えば、SUS430等のフェライト系ステンレス綱等が用いられている。保持金具24としては、例えば、アルミナ、コバール等が用いられる。
保持金具24の線膨張率CTE2は、主体金具20の線膨張率CTE1よりも小さくなっている。ガラスシール25の線膨張率CTE3は、保持金具24の線膨張率CTE2よりも小さくなっている。
つまり、主体金具20の線膨張率CTE1、保持金具24の線膨張率CTE2、およびガラスシール25の線膨張率CTE3は、CTE1>CTE2>CTE3を満たす関係になっている。
ここで、空間40a、40bは、後述する衝撃緩和部としての空気を収容する収容部60を構成することになる。つまり、保持金具24および主体金具20は、収容部としての空間40a、40bを保持金具24および主体金具20の間に形成することになる。主体金具20の側壁24aのうち軸線方向他方側には、軸線方向他方側に開口する開口部24cが形成されている。
本実施形態では、衝撃緩和部としての空気の熱伝導率tc1Aは、主体金具20の熱伝導率tc2(>tc1A)に比べて小さく、かつ保持金具24の熱伝導率tc3(>tc1A)に比べて小さい。
ガラスシール25は、保持金具24内に配置されている。ガラスシール25は、保持金具24の側壁24aおよび底部24bとセンサ素子22との間を封止する。つまり、ガラスシール25は、保持金具24とセンサ素子22との間を密閉することになる。本実施形態のガラスシール25は、単層のガラスシールによって形成されている。
以下、このように主体金具20、センサ素子22、保持金具24、およびガラスシール25によって構成されるA/Fセンサ10のコア部を説明の便宜上、センサコア10Aとする。
下側カバー部27は、外側カバー部27aおよび内側カバー部27bを備える二重構造に構成されている。外側カバー部27aは、軸線Sを中心とする筒状に形成されている。内側カバー部27bは、軸線Sを中心とする筒状に形成されている。
内側カバー部27bは、センサ素子22のうち軸線方向一方側を径方向外側から囲むように形成されている。外側カバー部27aは、内側カバー部27bに対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。
外側カバー部27aのうち軸線方向他方側が主体金具20の筒部20cに対して軸線Sを中心とする径方向外側から囲むように形成されている。外側カバー部27aと主体金具20の筒部20cとが溶接によって接合されている。外側カバー部27aのうち軸線方向他方側が主体金具20の筒部20bの軸線方向他方側端部21cによって支持されている。
外側カバー部27aには、穴部36a、36b、36cが形成されている。穴部36a、36bは、外側カバー部27aのうち外側と内側との間を軸線Sを中心とする径方向に貫通している。穴部36cは、外側カバー部27aのうち外側と内側との間を軸線方向に貫通している。
内側カバー部27bは、主体金具20の筒部20cに対して軸線方向一方側に配置されている。内側カバー部27bは、穴部37が形成されている。
穴部37は、内側カバー部27bのうち外側と内側との間を軸線方向に貫通している。穴部37は、外側カバー部27aの穴部36c内に配置されている。外側カバー部27aの穴部36a、36bは、内側カバー部27bの穴部37に対して軸線方向他方側に位置する。
外側カバー部27aの穴部36a、36b、36cおよび内側カバー部27bの穴部37は、排気管2内を流れる排気ガスをセンサ素子22に導くガス流路を形成する。
本実施形態の外側カバー部27aおよび内側カバー部27bは、ガソリンエンジン1から排出される水等が直接、センサ素子22の軸線方向一方側に触れることを未然に抑制する。
上側カバー部29は、主体金具20の筒部20aおよび保持金具24に対して軸線方向他方側に配置されている。上側カバー部29は、軸線Sを中心とする円筒状に形成されている。
上側カバー部29のうち軸線方向一方側は、主体金具20の筒部20aに対して軸線Sを中心とする径方向外側から覆うように形成されている。上側カバー部29および主体金具20の筒部20aは、溶接等によって接合されている。
本実施形態の上側カバー部29は、センサ素子22のうち軸線方向他方側に対して軸線Sを中心とする径方向外側から囲むように形成されている。
接点部材31は、上側カバー部29内に配置されている。接点部材31のうち軸線方向一方側には、弾性力によってセンサ素子22を保持するためのセンサ保持部31aが設けられている。センサ保持部31aは、センサ素子22の正極端子、負極端子に接触した状態でセンサ素子22のうち軸線方向他方側を保持する役割を果たす。
リード部33a、33bは、それぞれの一端側が接点部材31に接続されている。リード部33a、33bは、それぞれ、蓋部35を貫通してA/Fセンサ10の外側に延出している。
接点部材31およびリード部33a、33bは、センサ素子22から出力される検出信号をA/Fセンサ10の外側に配置されている電子制御装置に伝える信号伝達経路を構成する。蓋部35は、上側カバー部29のうち軸線方向他方側の開口部を塞ぐ役割を果たす。
次に、本実施形態のA/Fセンサ10のセンサコア10Aの製造方法について図5、図6を参照して説明する。
第1工程(ステップS100)において、主体金具20、センサ素子22、保持金具24、およびペレット状のガラス材を独立して準備する。ガラス材は、ガラスシール25の材料の原料であり、ペレット状のガラスからなる。
次の第2工程(ステップS110)において、保持金具24の底部24bの貫通孔24dにセンサ素子22を貫通した状態で、ガラス材を保持金具24に入れる。
ここで、保持金具24の底部24bに対してセンサ素子22の位置を決めるためのアルミナスラリーを準備する。アルミナスラリーは、アルミナ粉体を主成分とするセラミックの原材料である。
具体的には、アルミナスラリーは、アルミナからなる粉体(或いは、粒体)、およびバインダーを溶剤内に含有して流動性を有するペースト材である。バインダーとは、アルミナ粒子同士を近づけるために用いられる樹脂材料からなる粉体(或いは、粒体)ことである。
本実施形態のバインダーを構成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、或いは熱固化性樹脂等の樹脂が用いられる。
これに加えて、図6に示すように、アルミナスラリー41を保持金具24の底部24bの外側に塗布する。アルミナスラリー41は、保持金具24の底部24bの外側とセンサ素子22とを繋ぐように配置される。アルミナスラリー41は、センサ素子22の外周を囲むように周方向に亘って形成されている。
その後、次の第3工程(ステップS120)において、センサ素子22、保持金具24、ガラス材、およびアルミナスラリー41を高温炉に入れて、センサ素子22、保持金具24、ガラス材、およびアルミナスラリー41を加熱する。
このとき、アルミナスラリー41が焼成されてアルミナの焼結体が成形される。この焼結体が保持金具24の底部24bに対するセンサ素子22の位置を決める。このため、焼結体が保持金具24の底部24bに対するセンサ素子22の位置を決めた状態で、保持金具24内でガラス材が加熱されて溶融されることになる。つまり、ガラス材が保持金具24内で軟化することになる。
ここで、センサ素子22、保持金具24、ガラス材、およびアルミナスラリー41を加熱する際に、高温炉内を雰囲気ガスで満たした状態にする。雰囲気ガスとしては、保持金具24に酸化反応が進むことを抑えるためのもので、例えば、不活性ガスとしてのアルゴンガス(すなわち、無酸化ガス)を用いることができる。
このため、保持金具24の内部および保持金具24の周囲に雰囲気ガスが満たされることにより、保持金具24の内部および保持金具24の周囲から空気(すなわち、酸素)を除いた状態で、保持金具24内のガラス材やアルミナスラリー41を加熱することになる。
次の第4工程(ステップS130)において、センサ素子22、保持金具24、ガラス材等が冷却される。このため、保持金具24内のガラス材が結晶化されて固化される。このため、ガラス材がセンサ素子22に接合するとともに、保持金具24にも接合することになる。
これにより、保持金具24の底部24bの貫通孔24dにセンサ素子22を貫通した状態で、保持金具24およびセンサ素子22の間にガラスシール25が形成されることになる。
このことにより、保持金具24に対するセンサ素子22の位置を決めた状態で、ガラスシール25を形成することができる。このため、保持金具24およびセンサ素子22の間がガラスシール25によって密閉されることになる。
その後、次の第5工程(ステップS140)において、センサ素子22、保持金具24、およびガラスシール25を主体金具20内に収容する。そして、保持金具24のフランジ部24eを主体金具20のうち軸線方向他方側の端部に対して周方向に亘って溶接によって接合する。
このことにより、保持金具24および主体金具20によって収容部60が形成されることになる。
以上により、主体金具20、センサ素子22、保持金具24、およびガラスシール25が一体化されてセンサコア10Aが完成する。
次に、本実施形態のA/Fセンサ10の作動について説明する。
まず、排気管2内の排気ガスが外側カバー部27aの穴部36a、36b、および内側カバー部27bの穴部(図示省略)を通して内側カバー部27b内に導かれる。排気管2内の排気ガスが内側カバー部27bの穴部37を通して内側カバー部27b内に導かれる。
このように内側カバー部27b内に導かれる排気ガスがセンサ素子22のうち軸線方向一方側に触れる。センサ素子22のうち軸線方向他方側は、排気管2の外側に配置されている。センサ素子22のうち軸線方向他方側は、排気管2の外側の空気に触れている。センサ素子22のうち軸線方向一方側とセンサ素子22のうち軸線方向他方側とは、ガラスシール25によって隔離されている。
このため、センサ素子22は、排気管2内の排気ガス中の酸素濃度と排気管2の外側の空気中の酸素濃度との比率を示す検出信号を出力する。この検出信号は、接点部材31およびリード部33a、33bを通して電子制御装置に伝えられる。
以上説明した本実施形態によれば、A/Fセンサ10は、筒状に形成されている主体金具20と、筒状に形成されている保持金具24とを備える。保持金具24は、主体金具20の軸線Sが延びる方向を軸線方向とした場合において、主体金具20内に配置されて、軸線方向一方側に配置されている底部24bを有し、かつ軸線方向他方側に開口部24cを形成する。
A/Fセンサ10は、保持金具24の底部4bの貫通孔24dを貫通した状態で軸線方向に延びるように形成されて、軸線方向一方側にて被測定ガスを検出するセンサ素子22を備える。
A/Fセンサ10は、保持金具24内に配置されて、ガラスによって構成されてセンサ素子22と保持金具24との間を封止するガラスシール25を備える。
主体金具20および保持金具24は、主体金具20の外側から保持金具24を通してガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和する空気(すなわち、衝撃緩和部)を主体金具20および保持金具24の間に収容する収容部60を構成する。
以上により、主体金具20の外側から衝撃が伝わっても、この衝撃が保持金具24を通してガラスシール25に伝わり難くなる。このため、主体金具20の外側からガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和することができる。
よって、ガラスシール25が衝撃によって破損することを未然に防ぐようにしたA/Fセンサ10、およびA/Fセンサ10に適した製造方法を提供することができる。
本実施形態では、リブ20hの厚み寸法raは、筒部20aの厚み寸法rb(<ra)に比べて小さくなっている。このため、筒部20aに比べてリブ20hの方が熱が伝わり難くなる。
これにより、主体金具20が水等で急冷された場合には、ガラスシール25から保持金具24を通して主体金具20に熱が伝わり難くなる。よって、主体金具20が水等が起因する熱衝撃を外側から受けても、ガラスシール25が割れることを未然に抑制することができる。
本実施形態では、主体金具20の線膨張率CTE1、保持金具24の線膨張率CTE2、およびガラスシール25の線膨張率CTE3は、線膨張率CTE1>線膨張率CTE2>線膨張率CTE3を満たす関係になっている。このため、主体金具20の熱膨張によって
主体金具20からガラスシール25に加わる力を保持金具24が吸収することができる。したがって、主体金具20の熱膨張によってガラスシール25が割れることを未然に抑制することができる。
ここで、主体金具20の線膨張率CTE1と保持金具24の線膨張率CTE2との差分である線膨張差(=CTE1ーCTE2)が6×10−6/℃以下になることが望ましい。これにより、主体金具20の熱膨張によって主体金具20からガラスシール25側に加わる力を保持金具24が吸収することができる。このため、主体金具20の熱膨張によって主体金具20からガラスシール25に加わる力によってガラスシール25が破損することを未然に防ぐことができる。
また、衝撃緩和部を設けていない従来のA/Fセンサでは、自動車のタイヤが路上の水溜りで跳ね上げた水が主体金具20にかかり、主体金具20が急冷すると、ガラスシール25の熱が急激に主体金具20に伝わる。このため、ガラスシール25に熱収縮が生じてガラスシール25が破損して保持金具24およびセンサ素子22の間の気密性を損なう虞がある。
これに対して、本実施形態の衝撃緩和部としての空気の熱伝導率tc1Aは、主体金具20の熱伝導率tc2(>tc1A)に比べて小さく、かつ保持金具24の熱伝導率tc3(>tc1A)に比べて小さい。
ここで、A/Fセンサ10の環境温度は、上述の如く、高温になるため、ガラスシール25の温度も高温になる。ここで、自動車のタイヤが路上の水溜りで跳ね上げた水が主体金具20にかかり、主体金具20が急冷しても、ガラスシール25の熱が保持金具24を通して主体金具20に伝わることを衝撃緩和部としての空気によって抑制することができる。
これにより、主体金具20の急冷が起因してガラスシール25が割れることを未然に抑えることができる。つまり、主体金具20にかかった水に起因して生じる熱衝撃でガラスシールが割れて気密性が損なわれることを未然に抑えることができる。
本実施形態では、保持金具24の内部および保持金具24の周囲に雰囲気ガスを満たした状態で、保持金具24内のガラス材を加熱する。このため、ガラス材の加熱に伴って保持金具24に酸化物が形成されることを未然に抑制することができる。
本実施形態では、主体金具20および保持金具24における溶接箇所の酸化反応を抑えるために溶接箇所の周囲に雰囲気ガスを満たした状態で、主体金具20および保持金具24を溶接する。これにより、主体金具20および保持金具24の溶接箇所の酸化反応が未然に抑えられるため、主体金具20および保持金具24の接合強度を確保することができる。
本実施形態では、保持金具24のうち軸線方向一方側に底部24bが設けれて軸線方向他方側に開口部24cが形成される筒状に形成されている。底部24bには、センサ素子22が貫通する貫通孔24dが設けられている。したがって、保持金具24がガラスシール25を容易に収容することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態のA/Fセンサ10では、保持金具24のうちフランジ部24eで主体金具20に接合した例について説明したが、これに加えて、保持金具24のうちリブ24fで主体金具20に接合する本第2実施形態について図7を参照して説明する。
本第2実施形態のA/Fセンサ10は、図7に示すように、上記第1実施形態のA/Fセンサ10において、リブ24fを追加した構成になっている。図7において、図2、図3と同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
リブ24fは、保持金具24の側壁24aから軸線Sを中心とする径方向外側(すなわち、主体金具20側)に突起する第2突起部を構成する。具体的には、リブ24fは、保持金具24の外表面が径方向外側に突起し、かつ保持金具24の内表面が径方向外側に突起することにより形成されている。
リブ24fは、軸線Sを中心とする円周方向に亘って形成されている。リブ24fは、軸線Sを中心とする径方向外側に進むほど断面の面積が小さくなるように形成されている。リブ24fの断面は、軸線方向に平行にリブ24fを切断した断面である。
リブ24fは、フランジ部24eに対して軸線方向一方側に配置されている。リブ24fのうち径方向外側の先端部が周方向に亘って主体金具20の内周面に溶接により接合されている。
このことにより、保持金具24が主体金具20に対してリブ24fの先端側とフランジ部24eの先端側とによって接合されることにより、保持金具24および主体金具20によって収容部60が構成されることになる。
なお、保持金具24のうちリブ24fの内側においても、ガラスシール25が配置されている。
以上説明した本実施形態によれば、A/Fセンサ10の保持金具24は、主体金具20内に配置されて軸線方向一方側に配置されている底部24bを有し、かつ軸線方向他方側に開口部24cを形成する。
A/Fセンサ10は、保持金具24の底部4bの貫通孔24dを貫通した状態で軸線方向一方側にて被測定ガスを検出するセンサ素子22を備える。A/Fセンサ10は、保持金具24内に配置されて、センサ素子22と保持金具24との間をガラス材によって封止するガラスシール25を備える。
主体金具20および保持金具24は、主体金具20の外側から保持金具24を通してガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和する空気を主体金具20および保持金具24の間に収容する収容部60を構成する。
以上により、上記第1実施形態と同様に、主体金具20の外側から衝撃が伝わっても、この衝撃が保持金具24を通してガラスシール25に伝わり難くなる。このため、主体金具20の外側からガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和するようにしたA/Fセンサ10を提供することができる。
本実施形態の保持金具24は、主体金具20に対してリブ24fとフランジ部24eとによって接合されている。このため、保持金具24および主体金具20の間を接合する強度を高めることができる。これにより、主体金具20および保持金具24の間に空間40a、40b(すなわち、収容部60)を確実に確保することができる。
本実施形態の保持金具24は、リブ24fは、軸線Sを中心とする径方向外側に進むほど断面の面積が小さくなるように形成されている。このため、主体金具20の外側からの衝撃がリブ24fに伝わる際に、衝撃のうち一部がリブ24fによって軸線方向一方側、および他方側に分散化させる。
これにより、主体金具20の外側から保持金具24を通してガラスシール25に伝わる衝撃を小さくすることができる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態のA/Fセンサ10では、保持金具24内にガラスシール25を構成した例について説明した。しかし、これに加えて、保持金具24内にて底部24bとガラスシール25との間に衝撃緩和部50を配置した本第3実施形態について図8を参照して説明する。
本実施形態のA/Fセンサ10は、上記第2実施形態のA/Fセンサ10において、衝撃緩和部50が追加されたものであり、A/Fセンサ10のうち衝撃緩和部50以外の構成は、同一である。図8において、図7中同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
衝撃緩和部50は、保持金具24のうちガラスシール25に対して軸線方向一方側に配置されている脆性部である。衝撃緩和部50は、底部24bとガラスシール25との間に配置されている第2衝撃緩和部である。衝撃緩和部50としては、ガラスシール25よりも脆い脆性を有する脆性材料が用いられる。本実施形態の衝撃緩和部50としては、例えば、粉体のタルクが固められたものが用いられる。
これにより、衝撃緩和部50は、底部24bの外側から衝撃から加わる場合には、衝撃を吸収することにより、ガラスシール25に伝わり難くすることができる。このため、衝撃によってガラスシール25を割れ難くすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、主体金具20および保持金具24は、主体金具20の外側から保持金具24を通してガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和する空気を主体金具20および保持金具24の間に収容する収容部60を構成する。
したがって、上記第1実施形態と同様に、主体金具20の外側から衝撃が伝わっても、この衝撃が保持金具24を通してガラスシール25に伝わり難くなる。
これに加えて、本実施形態では、衝撃緩和部50は、保持金具24内にて、底部24bとガラスシール25との間に配置されている。このため、保持金具24の底部24bにその外側から衝撃が伝わっても、この衝撃が保持金具24を通してガラスシール25に伝わり難くなる。
以上により、保持金具24の外側からの衝撃がガラスシール25に伝わることを緩和するようにしたA/Fセンサ10を提供することができる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、保持金具24と主体金具20との間にて、衝撃緩和部としての空気(すなわち、気体)を収容する収容部60を設ける例について説明した。
しかし、これに代えて、保持金具24と主体金具20との間に、タルクからなる衝撃緩和部44を追加した本第4実施形態について図9を参照して説明する。
本実施形態のA/Fセンサ10は、上記第3実施形態のA/Fセンサ10において、衝撃緩和部44が追加されたものであり、A/Fセンサ10のうち衝撃緩和部44以外の構成は、同一である。図9において、図8中同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
衝撃緩和部44は、主体金具20の筒部20aと保持金具24との間において軸線Sを中心とするリング状に形成されている。衝撃緩和部44は、保持金具24の内部にてガラスシール25を軸線方向他方側から覆うように形成されている。衝撃緩和部44は、保持金具24を軸線方向一方側から覆うように形成されている。
衝撃緩和部44は、主体金具20の筒部20bのうち軸線方向他方側端部21bによって支えられている。衝撃緩和部44は、主体金具20の外側から加わる衝撃がガラスシール25に伝わり難くすることができる。
本実施形態の衝撃緩和部44は、ガラスシールよりも脆い脆性を有する脆性材料によって構成されている。衝撃緩和部44は、粉体であるタルクが固められたものによって構成されている。衝撃緩和部44の熱伝導率tc1Tは、主体金具20の熱伝導率tc2(>tc1T)に比べて小さく、かつ保持金具24の熱伝導率tc3(>tc1T)に比べて小さい。
以上説明した本実施形態によれば、主体金具20および保持金具24は、主体金具20の外側から保持金具24を通してガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和する衝撃緩和部44を主体金具20および保持金具24の間に収容する。
したがって、上記第1実施形態と同様に、主体金具20の外側に小石等が衝突して主体金具20に衝撃が伝わっても、この衝撃を衝撃緩和部44が吸収する。このため、主体金具20から衝撃が保持金具24を通してガラスシール25に伝わり難くなる。
以上により、主体金具20の外側からの衝撃がガラスシール25に伝わることを緩和するようにしたA/Fセンサ10を提供することができる。
本実施形態の衝撃緩和部44の熱伝導率tc1Tは、主体金具20の熱伝導率tc2(>tc1T)に比べて小さく、かつ保持金具24の熱伝導率tc3(>tc1T)に比べて小さい。
このため、自動車のタイヤが路上の水溜りで跳ね上げた水が主体金具20にかかり、主体金具20が急冷しても、ガラスシール25の熱が保持金具24を通して主体金具20に伝わることを衝撃緩和部44によって抑制することができる。
これにより、上記第1実施形態と同様、主体金具20の急冷が起因してガラスシール25が割れることを抑えることができる。つまり、熱衝撃でガラスシールが割れて気密性が損なわれることを抑えることができる。
(第5実施形態)
本第5実施形態では、上記第4実施形態において、保持金具24の底部24bの厚み寸法D1を側壁24aの厚み寸法D2よりも大きくする例について図10、図11を参照して説明する。
本実施形態のA/Fセンサ10は、上記第4実施形態のA/Fセンサ10において、保持金具24の底部24bおよび側壁24aの厚み寸法の関係を変更しただけで、その他の構成は、同一である。図10において、図9中同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
保持金具24の底部24bの厚み寸法D1は、図11に示すように、側壁24aの厚み寸法D2(<D1)よりも大きくなっている。
次に、本実施形態のA/Fセンサ10のセンサコア10Aの製造工程について図5、図11を参照して説明する。
本実施形態の製造工程においても、上記第1実施形態と同様に、第1工程(ステップS100)を終了後、次の第2工程(ステップS110)において、図11に示すように、保持金具24の底部24bの外側とセンサ素子22とを繋ぐようにアルミナスラリー41が配置される。
その後、次の第3工程(ステップS120)において、このように組み付けられるセンサ素子22、保持金具24、ガラス材、およびアルミナスラリー41を高温炉に入れて、センサ素子22、保持金具24、ガラス材、およびアルミナスラリー41を加熱する。
このとき、アルミナスラリー41が焼成されてアルミナの焼結体が成形される。このため、焼結体が保持金具24の底部24bに対するセンサ素子22の位置を決めた状態で、保持金具24内でガラス材が溶融されることになる。
ここで、アルミナスラリー41が焼成される過程において、アルミナスラリー41に含まれる樹脂材料が溶融状態になる。
ここで、仮に、保持金具24の底部24bの厚み寸法D1が側壁24aの厚み寸法D2以下の寸法であると、溶融状態の樹脂材料が保持金具24の底部24bの貫通孔24dを通して保持金具24の内部に入る恐れがある。
ここで、保持金具24の内部においてセンサ素子22とガラスシール25の間に樹脂材料が浸入すると、樹脂材料が起因してガラスシール25の形成に支障を来してセンサ素子22および保持金具24の間に気密性が損なわれる虞がある。
これに対して、本実施形態の保持金具24の底部24bの厚み寸法D1は、図11に示すように、側壁24aの厚み寸法D2(<D1)よりも大きくなっている。このため、第3工程(ステップS120)において、溶融状態の樹脂材料が保持金具24内部に侵入することを未然に抑制することができる。
その後、第4工程(ステップS130)において、センサ素子22、保持金具24、およびガラスシール25を主体金具20の内部に収容する。そして、保持金具24のフランジ部24eの先端部を主体金具20のうち軸線方向他方側の端部に対して溶接によって接合する。これに加えて、リブ24fの先端部を主体金具20の内周面に溶接によって接合する。
以上により、主体金具20、センサ素子22、保持金具24、およびガラスシール25が一体化されてセンサコア10Aが完成する。
以上説明した本実施形態によれば、主体金具20および保持金具24は、主体金具20の外側から保持金具24を通してガラスシール25に衝撃が伝わることを緩和する衝撃緩和部44を主体金具20および保持金具24の間に収容する。
したがって、上記第1実施形態と同様に、主体金具20の外側から衝撃が伝わっても、この衝撃が保持金具24を通してガラスシール25に伝わり難くなる。以上により、主体金具20の外側からの衝撃がガラスシール25に伝わることを緩和するようにしたA/Fセンサ10を提供することができる。
本実施形態の保持金具24の底部24bの厚み寸法D1は、上述の如く、側壁24aの厚み寸法D2(<D1)よりも大きくなっている。このため、第3工程(ステップS120)において、アルミナの焼結体を成形する過程において、アルミナスラリー41の加熱に伴ってアルミナスラリー41のうち溶融状態の樹脂材料が保持金具24の底部24bの貫通孔24dを通してガラス材およびセンサ素子22の間に侵入することを未然に抑制することができる。
以上により、溶融状態の樹脂材料が保持金具24およびセンサ素子22の間の気密性を損なうことを未然に防ぐことができる。
(他の実施形態)
(1)上記第1〜第5の実施形態では、円筒状に形成されているセンサ素子22を用いた例に説明したが、これに代えて、図12に示すように、角柱状(或いは、立方体)に形成されているセンサ素子22を用いてもよい。
(2)上記第1〜第5の実施形態では、円筒状に形成されているセンサ素子22を用いた例に説明したが、これに代えて、図13に示すように、円柱状に形成されているセンサ素子22を用いてもよい。
(3)上記第1〜第5の実施形態では、被測定ガス中の酸素濃度と基準ガス中の酸素濃度との比率を示す検出信号を出力するA/Fセンサ10を本発明のガスセンサとして用いた例について説明した。
しかし、これに代えて、次の(a)(b)のガスセンサを本発明のガスセンサとして採用してもよい。
(a)被測定ガス中の検出対象ガスを酸素以外のガス(例えば、NOx)とし、被測定ガス中の検出対象ガス濃度と基準ガス中の検出対象ガス濃度濃度との比率を示す検出信号を出力するガスセンサを本発明のガスセンサとして採用してもよい。
(b)被測定ガス中の検出対象ガス濃度(例えば、酸素濃度)を検出するガスセンサを本発明のガスセンサとして採用してもよい。
(4)上記第1〜第5の実施形態では、自動車の走行用のガソリンエンジン1の排気管2に本発明のガスセンサを配置した例について説明したが、これに代えて、ディーゼルエンジンの排気管2に本発明のガスセンサを配置してもよい。
(5)上記第1〜第5の実施形態では、本発明のガスセンサを自動車に適用した例について説明したが、これに代えて、自動車以外の他の機器(例えば、自動二輪車、飛行機等の移動体)に本発明のガスセンサを適用してもよい。
(6)上記第4実施形態では、タルクによって衝撃緩和部44を構成した例について説明したが、これに代えて、タルク以外の他の無機材料や無機化合物(例えば、バーミキュライト)を用いて衝撃緩和部44を構成してもよい。
或いは、衝撃緩和部44としては、鉄、チタン等の金属粉末によって構成してもよい。また、衝撃緩和部44としては、金属材料や無機材料無機化合物を母材とするセラミックの粉末によって構成してもよい。
また、衝撃緩和部50としても、衝撃緩和部44と同様に、タルク以外の他の無機材料、金属粉末、或いは、セラミック粉末によって構成してもよい。
このような衝撃緩和部44としては、主体金具20や保持金具24に比べて、硬度が小さくなるように構成されることが好ましい。
(7)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24と主体金具20とを溶接によって接合した例について説明したが、これに代えて、次の(a)(b)のようにしてもよい。
(a)保持金具24と主体金具20とをろう付けによって接合する。
(b)金属材料によって構成されて、保持金具24と主体金具20とを密着させた状態で保持金具24と主体金具20とを弾性力によって保持するメタルシールを用いる。
(8)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24内のガラス材を加熱する際に、雰囲気ガスとしてのアルゴンを用いる例について説明したが、これに代えて、次の(c)(d)のようにしてもよい。
(c)ヘリウム、炭酸ガス、窒素等の無酸化ガスを雰囲気ガスとして用いてもよい。
(d)雰囲気ガスとしての還元性ガスを用いてもよい。この場合、還元性ガスとしては、水素、炭化水素ガス等を用いることができる。
(9)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24内のガラス材を溶融させる際に、保持金具24の内部および保持金具24の周囲に雰囲気ガスを満たした状態で保持金具24内のガラス材を加熱した例について説明した。しかし、これに代えて、次の(e)(f)のようにしてもよい。
(e)保持金具24内のガラス材を溶融させる際に、内部が真空状態の高温炉の内部にセンサ素子22、ガラス材、および保持金具24を収容した状態で、保持金具24内のガラス材を加熱してもよい。
(f)大気中で保持金具24内のガラス材を加熱してもよい。この場合、保持金具24の表面に酸化反応が進んで酸化物が形成された場合に、保持金具24内にガラスシール25を成形後に、保持金具24の表面から酸化物を取り除くことが好ましい。
(10)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24およびセンサ素子22の間を封止するために、単層のガラスシール25を用いた例について説明した。しかし、これに代えて、保持金具24およびセンサ素子22の間を封止するために、複数層のガラスによって構成されるガラスシール25を用いてもよい。
(11)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24内にガラスシール25を形成してから、保持金具24および主体金具20を溶接した例について説明した。しかし、これに代えて、保持金具24および主体金具20を溶接してから、保持金具24内にガラスシール25を形成してもよい。
(12)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24の線膨張率CTE2を主体金具20の線膨張率CTE1よりも小さくした例について説明した。しかし、これに限らず、保持金具24の線膨張率CTE2を主体金具20の線膨張率CTE1よりも大きくしてもよい。
例えば、保持金具24としては、SUS430等のフェライト系ステンレス綱等が用いて、主体金具20としては、アルミナ、コバール等を用いてもよい。
(13)上記第1〜第5の実施形態においては、保持金具24の底部24bに対してセンサ素子22の位置を決めるためのスラリーとしては、アルミナスラリーを用いた例について説明した。
しかし、これに代えて、保持金具24の底部24bに対してセンサ素子22の位置を決めるためのスラリーとしては、アルミナ以外の無機物の粉体(或いは、粒体)を含有するスラリーを用いてもよい。スラリーに用いる無機物としては、金属、或いは非金属を問わない。つまり、アルミナ以外の他の無機物の焼結体によって保持金具24の底部24bに対してセンサ素子22の位置を決めてもよい。
(14)上記第1〜第5実施形態においては、主体金具20および保持金具24が収容部60を構成する例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
これに代えて、主体金具20および保持金具24の間に金属部材が配置されており、主体金具20および金属部材の間に収容部60を構成してもよい。或いは、保持金具24および金属部材の間に収容部60を構成してもよい。
(15)上記第1〜第5の実施形態においては、主体金具20としては、円筒状に形成したものを用いた例について説明したが、これに代えて、主体金具20としては、角筒状に形成したものを用いてもよい。
(16)上記第1〜第5実施形態においては、保持金具24としては、筒状に形成したものを用いた例について説明したが、これに代えて、保持金具24としては、角筒状に形成したものを用いてもよい。
(17)上記第1〜第5実施形態においては、主体金具20軸線Sに保持金具24の軸線を一致させる例について説明したが、これに代えて、主体金具20軸線Sに対して保持金具24の軸線がずれるように保持金具24を配置してもよい。
或いは、主体金具20軸線Sに対して保持金具24の軸線が交差するように保持金具24を配置してもよい。
(18)上記第1〜第5実施形態においては、保持金具24の底部24bとしては、軸線Sを中心とする径方向に拡がるように形成されているものを用いる例について説明したが、これに代えて、(g)(h)のようにしてもよい。
(g)保持金具24の底部24bとしては、軸線Sを中心とする径方向外側から径方向中心側に向かうほど、軸線方向一方側に進むように形成してもよい。
(h)保持金具24の底部24bとしては、軸線Sを中心とする径方向外側から径方向中心側に向かうほど、軸線方向他方側に進むように形成してもよい。
(19)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記第1〜5実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、ガスセンサは、筒状に形成されているハウジングを備える。
ガスセンサは、ハウジングの軸線が延びる方向を軸線方向とした場合において、ハウジング内に配置されて、軸線方向に貫通する貫通孔を有する筒状に形成されている保持部を備える。
ガスセンサは、保持部の貫通孔を貫通した状態で軸線方向に延びるように形成されて、軸線方向の一方側にて被測定ガスを検出するセンサ素子と、保持部内に配置されて、ガラス材によって構成されてセンサ素子と保持部との間を封止するガラスシールとを備える。
ハウジングおよび保持部の間には、ハウジングの外側から保持部を通してガラスシールに衝撃が伝わることを緩和する衝撃緩和部が収容されている。
第2の観点によれば、ガスセンサにおいて、保持部は、軸線方向の一方側に底部が設けられて軸線方向の他方側に開口する筒状に形成されている。貫通孔が底部に設けられている。これにより、ガラスシールを容易に保持することができる。
第3の観点によれば、ガスセンサにおいて、衝撃緩和部の熱伝導率は、ハウジングの熱伝導率よりも小さくなっており、衝撃緩和部の熱伝導率は、保持部の熱伝導率よりも小さくなっている。
これにより、例えば、ハウジングの外側に水が触れてハウジングが急激に冷却された場合でも、ガラスシール側からハウジング側に熱が急激に移動することを衝撃緩和部が抑制することができる。このため、ガラスシールから急激に放熱してガラスシールが収縮して破損することを未然に抑えることができる。
つまり、ハウジングの外側から加わる熱衝撃によってガラスシールが破損することを未然に防ぐことができる。
第4の観点によれば、ガスセンサにおいて、衝撃緩和部は、空気、或いはタルクによって構成されている。
第5の観点によれば、ガスセンサにおいて、ハウジングおよび保持部の間には、衝撃緩和部を収容する収容部が構成されている。保持部には、ハウジング側に凸となる突起部が設けられている。突起部の先端側がハウジングに接合されることにより、収容部がハウジングおよび保持部によって構成されている。
第6の観点によれば、ガスセンサにおいて、突起部を第1突起部とした場合において、保持部には、第1突起部に対して軸線方向に配置されてハウジング側に凸となる第2突起部が設けられている。
収容部は、第1突起部の先端側がハウジングに接合され、かつ第2突起部の先端側がハウジングに接合されることによって構成されている。
これにより、ハウジングおよび保持部を強固に固定することができる。したがって、収容部をより確実に確保することができる。
第7の観点によれば、ガスセンサにおいて、衝撃緩和部を第1衝撃緩和部とした場合において、保持部のうちガラスシールに対して軸線方向一方側に配置され、保持部に対して軸線方向一方側から衝撃がガラスシールに伝わることを緩和する第2衝撃緩和部を備える。
これにより、保持部の底部側からに加わる衝撃がガラスシールに伝わることを抑制することができる。
第8の観点によれば、ガスセンサにおいて、第2衝撃緩和部は、前記ガラスシールに比べて脆い脆性部である。
第9の観点によれば、ガスセンサにおいて、センサ素子は、筒形状、或いは柱状に形成されている。
第10の観点によれば、ガスセンサにおいて、ガラスシールは、単層になるように構成されている。
第11の観点によれば、ガスセンサにおいて、ハウジングの線膨張率は、保持部の線膨張率に比べて大きくなっており、保持部の線膨張率は、ガラスシールの線膨張率に比べて大きくなっている。
これにより、ハウジングの熱膨張によりハウジングからガラスシール側に力が加わることを保持部が抑えることができる。
第12の観点によれば、ガスセンサにおいて、ハウジングの線膨張率と保持部の線膨張率との差分である膨張率差が6×10−6/℃以下である。
第13の観点によれば、ガスセンサにおいて、ハウジング、保持部、センサ素子、およびガラスシールが車両に適用されており、ハウジングの外壁が前記車両の外側に露出している。
第14の観点によれば、ガスセンサの製造方法において、筒状に形成されているハウジング、筒状に形成されている保持部、およびセンサ素子を準備することを含む。
ガスセンサの製造方法において、保持部の貫通孔にセンサ素子が貫通した状態で保持部とセンサ素子との間を封止するガラスシールを保持部内に形成することを含む。
ガスセンサの製造方法において、ハウジング内に保持部を配置してハウジングと保持部とを接合することにより、ハウジングおよび保持部の間に衝撃緩和部を収容するための収容部をハウジングおよび保持部によって構成することを含む。
第15の観点によれば、ガスセンサの製造方法において、保持部は、金属によって構成されており、保持部とセンサ素子との間をガラスシールを形成することは、貫通孔にセンサ素子が貫通した状態で、保持部内にガラス材を収容することとを含む。
ガスセンサの製造方法において、保持部の酸化反応を抑えるための雰囲気ガスを保持部の周囲に満たした状態でガラス材を加熱してガラス材を溶融させることを含む。
ガスセンサの製造方法において、ガラス材を溶融させた後で、ガラス材を固化して保持部とセンサ素子との間にガラスシールを形成することを含む。
第16の観点によれば、ガスセンサの製造方法において、保持部とセンサ素子との間にガラスシールを形成することは、無機物と樹脂とを含有して流動性を有するスラリーを準備して、保持部の貫通孔にセンサ素子が貫通した状態で、保持部の外側において保持部およびセンサ素子を繋ぐようにスラリーを配置することとを含む。
ガスセンサの製造方法において、保持部とセンサ素子との間をガラスシールを形成することは、スラリーの配置後、保持部内に収容されたガラス材、およびスラリーを加熱したとき、スラリーが焼成して無機物の焼結体が成形されて焼結体が保持部に対するセンサ素子の位置を決めた状態で保持部内のガラス材を溶融させることとを含む。
ガスセンサの製造方法において、溶融したガラス材を固化してガラスシールを形成することを含む。
これにより、保持部に対するセンサ素子の位置を精度よく保持した状態で、ガラスシールを形成することができる。
第17の観点によれば、ガスセンサの製造方法において、保持部は、筒状に形成されている側壁と、貫通孔を形成する底部と、を備える。
底部の厚み寸法が側壁の厚み寸法よりも大きくなっていることにより、スラリーを加熱したとき、スラリーに含まれる樹脂が溶融状態で貫通孔を通して保持部の内部に侵入することが抑制される。
これにより、保持部の内部に樹脂が侵入して保持部およびハウジングの間の気密性が損なうことを未然に抑えることができる。