JP5653955B2 - ガスセンサ用のセンサ素子の製造方法、電気的特性検査方法、および前処理方法 - Google Patents

ガスセンサ用のセンサ素子の製造方法、電気的特性検査方法、および前処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスセンサ用のセンサ素子の製造方法に関し、特に電極方法に関する。
従来より、被測定ガス中の所望のガス成分の濃度を知るために、各種のガスセンサが用いられている。例えば、燃焼ガス等の被測定ガス中のNOx濃度を測定する装置として、ジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質を用いて形成したセンサ素子を備えるNOxセンサが公知である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1および特許文献2に開示されているNOxセンサをはじめとする、ガスセンの状態を安定させるサのセンサ素子は、測定電極において測定対象ガス成分(対象成分)をその触媒活性作用によって分解させると、その際に発生する酸素イオンの量が測定電極と基準電極とを流れる電流に比例することを利用して、該測定対象ガス成分の濃度を求めるようになっている。具体的には、対象成分の濃度が既知の混合ガスを用いて個々のセンサ素子における濃度値と電流値(出力信号値)との関係(感度特性、濃度プロファイル)をあらかじめ求めておき、実際の使用時には、測定される電流値を感度特性に基づいて濃度値に換算することで、対象成分の濃度値を知るようになっている。
それゆえ、理想的には、被測定ガス中に対象成分が存在しない状態においては電流値はゼロになるべきであるが、実際には、被測定ガス中にもともと存在しており、対象ガス成分の分解に先立ち除去されるもののわずかに残存している酸素の分解が生じるなどして、わずかに電流が流れる。よって、通常は、使用に先立って、対象成分が存在しない状況での電流値(残存酸素などに由来する)をオフセット値として特定しておき、対象成分が存在する状態において得られる電流値から該オフセット値を差し引いた値を、ガス濃度に比例する電流値として用いるようになっている。
なお、上述した感度特性は、それぞれのガスセンサの使用開始前(例えば出荷前)に決定され、通常は、その後のガスセンサの使用において変更されることなく固定的なものとして取り扱われる。このことは、ガスセンサを使用している間に実際の感度特性が変動しないことが前提となっている。係る実際の感度特性が経時的に変化してしまうと、ガスセンサの使用を継続するにつれて出荷時に決定した感度特性に基づいて算出される濃度値の信頼性がなくなり、やがては、ガスセンサが仕様として定められた測定精度を有しないことになってしまう。
ところが、素子焼成時の酸化度合とその後のリッチ雰囲気でのエージングによる還元度合が一定でないことや、エージング後のセンサ素子内部に残留していたリッチ成分が突発的に分解することなどが理由で、エージング処理後のセンサ素子における電極の状態は不安定である。これは、換言すれば、出荷前のセンサ素子においては、測定電極の有する触媒活性作用にばらつきがあることを意味している。係る不安定な状態のもとで素子特性検査あるいはさらに感度特性の決定を行うと、本来であれば良品のセンサ素子が不良品と判定してしまう誤判定が生じ得るため、結果として製品歩留まりが低下してしまう。この点を鑑み、素子特性検査を行うに先立ってあらかじめ、前処理として、センサ素子を実使用環境に類似する混合ガス雰囲気中で所定の時間だけ駆動する処理を行うことによって、電極の状態を安定させる技術が、既に公知である(例えば、特許文献3参照)。
特開2006−284223号公報 特許第3537983号公報 特開2011−145285号公報
特許文献3に開示された手法でのプレ処理は、センサ素子の電極を安定化させる効果はあるものの、その効果が必ずしも一定ではなく、製品歩留まりの向上に限界があるという問題がある。また、たとえ10分程度とはいえ、混合ガス雰囲気中でセンサ素子を駆動する必要があることから、センサ素子の生産性という点からみれば、必ずしも十分な手法とはいえないという問題もある。また、当該プレ処理は素子特性検査装置で行うようにすることも可能であるが、この場合、プレ処理を行う時間は素子特性検査が行えないので、センサ素子の生産性の面からは必ずしも好ましい態様とはいえない。一方で、専用の装置を用いてプレ処理を行おうとすると、ガスを用いるために、装置が大型化してしまい、コストがかかるという問題が生じる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、素子特性検査に先立って行う電極の安定化を従来よりも短時間でかつより確実に行えるセンサ素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサ用のセンサ素子の製造方法であって、前記センサ素子が、酸素イオン伝導性固体電解質層と、前記酸素イオン伝導性固体電解質層の表面に形成された第1の電極と、前記酸素イオン伝導性固体電解質層の内部に設けた空所に形成された第2の電極と、を有する電気化学的ポンプセルを含んで構成されるものであり、酸素イオン伝導性固体電解質であるセラミックスを主成分とするグリーンシートに導電性ペーストからなる配線パターンを印刷形成する印刷工程と、前記印刷工程を経た複数のグリーンシートを積層し一体化する積層工程と、前記積層工程によって得られた積層体から複数の素子体を切り出す切断工程と、前記切断工程によって切り出された素子体を焼成する焼成工程と、前記焼成工程を経た素子体を還元雰囲気で加熱するエージング工程と、前記エージング工程を経た素子体に備わる前記第1の電極と前記第2の電極との間にのみ、外部電源によって電圧を印加することによって、前記第2の電極に付着した前記エージング工程の雰囲気ガスを分解除去する分解除去工程と、前記分解除去工程を経た素子体の電気的特性を検査する検査工程と、を含むことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のセンサ素子の製造方法であって、前記分解除去工程においては、前記第1の電極を前記外部電源の負極と接続し、かつ、前記第2の電極を前記外部電源の正極と接続したうえで、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記電気化学的ポンプセルによって前記空所から酸素が汲み出される向きに直流電圧を印加する、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサ用のセンサ素子の電気的特性を検査する方法であって、前記センサ素子が、酸素イオン伝導性固体電解質層と、前記酸素イオン伝導性固体電解質層の表面に形成された第1の電極と、前記酸素イオン伝導性固体電解質層の内部に設けた空所に形成された第2の電極と、を有する電気化学的ポンプセルを含んで構成されるものであり、前記センサ素子に備わる前記第1の電極と前記第2の電極との間にのみ、外部電源によって電圧を印加することによって、前記第2の電極に付着したガス成分を分解除去した後に、電気的特性を検査する、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載のセンサ素子の電気的特性検査方法であって、前記ガス成分の分解除去の際には、前記第1の電極を前記外部電源の負極と接続し、かつ、前記第2の電極を前記外部電源の正極と接続したうえで、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記電気化学的ポンプセルによって前記空所から酸素が汲み出される向きに直流電圧を印加する、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサ用のセンサ素子の、電気的特性の検査に先立って行う前処理方法であって、前記センサ素子が、酸素イオン伝導性固体電解質層と、前記酸素イオン伝導性固体電解質層の表面に形成された第1の電極と、前記酸素イオン伝導性固体電解質層の内部に設けた空所に形成された第2の電極と、を有する電気化学的ポンプセルを含んで構成されるものであり、前記センサ素子に備わる前記第1の電極と前記第2の電極との間にのみ、外部電源によって電圧を印加することによって、前記第2の電極に付着したガス成分を分解除去する、ことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載のセンサ素子の前処理方法であって、前記ガス成分の分解除去の際には、前記第1の電極を前記外部電源の負極と接続し、かつ、前記第2の電極を前記外部電源の正極と接続したうえで、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記電気化学的ポンプセルによって前記空所から酸素が汲み出される向きに直流電圧を印加する、ことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1または請求項2に記載のセンサ素子の製造方法であって、
前記電気化学的ポンプセルが、前記第1の電極を外部電極とし、前記第2の電極を測定電極とする測定用ポンプセルであり、前記ガスセンサにおいては、前記空所に存在する前記被測定ガス中の前記所定のガス成分が前記第2の電極において分解されることで前記測定用ポンプセルを流れる電流に基づいてガス成分濃度が求められる、ことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項3または請求項4に記載のセンサ素子の電気的特性検査方法であって、前記電気化学的ポンプセルが、前記第1の電極を外部電極とし、前記第2の電極を測定電極とする測定用ポンプセルであり、前記ガスセンサにおいては、前記空所に存在する前記被測定ガス中の前記所定のガス成分が前記第2の電極において分解されることで前記測定用ポンプセルを流れる電流に基づいてガス成分濃度が求められる、ことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項5または請求項6に記載のセンサ素子の前処理方法であって、前記電気化学的ポンプセルが、前記第1の電極を外部電極とし、前記第2の電極を測定電極とする測定用ポンプセルであり、前記ガスセンサにおいては、前記空所に存在する前記被測定ガス中の前記所定のガス成分が前記第2の電極において分解されることで前記測定用ポンプセルを流れる電流に基づいてガス成分濃度が求められる、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項の発明によれば、センサ素子の電気的特性の検査である素子特性検査を行うに先立ち、センサ素子に備わる第1の電極と第2の電極との間にのみ電圧を印加することによって第2の電極に付着したガス成分を分解除去することで、電極の状態を安定させたうえで、素子特性検査を行うことができる。これにより、素子特性検査において本来であれば良品のセンサ素子を不良品と判定してしまう誤判定が防止されるとともに、信頼性のある感度特性を確実に決定することができる。すなわち、製品歩留まりを向上させることができるとともに、信頼性の高いガスセンサを実現することが出来る。
ガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。 ポンプ電流Ip2とNOx濃度との関数関係(感度特性)を例示する図である。 センサ素子101を作製する際の処理の流れを示す図である。 検査工程の流れを示す図である。 素子特性検査に用いる検査装置1000を例示する模式図である。 素子特性検査において検査装置1000に導入する検査用ガスの濃度プロファイルの一例を示す図である。 図6に示す濃度プロファイルにて検査用ガスを導入したときに得られる、NOx電流Ip2のプロファイルを例示する図である。 センサ素子101に対し行うプレ処理の様子を概略的に示す図である。 外側ポンプ電極23と測定電極44との間に印加する電圧の値と印加時間とを種々に違えた場合の、投入エネルギーと差分値ΔIとの関係を示す図である。 同一の製造ロットに属する複数のセンサ素子101について、印加電圧と印加時間とを種々に違えてプレ処理を行ったときの、|ΔI|の値をプロットした図である。 プレ処理が施されたセンサ素子101に対して素子特性検査を行った場合の、NOx電流Ip2のプロファイルのIp2=0近傍の拡大図である。 プレ処理を行うことなく素子特性検査を行った場合のNOx電流Ip2のプロファイルのIp2=0近傍の拡大図である。 プレ処理を行ったうえで素子特性検査を行った場合についての、ΔIの値のヒストグラム図である。 ガスプレ処理を行ったうえで素子特性検査を行った場合についての、ΔIの値のヒストグラム図である。
<ガスセンサの概略構成>
図1は、ガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
センサ素子101の一先端部であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第2内部空所40に至る部位をガス流通部とも称する。
また、ガス流通部よりも先端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気が導入される。
大気導入層48は、多孔質アルミナからなる層であって、大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内や第2内部空所40内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。
ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。
第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。
緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。
第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。
被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。
第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとジルコニアとのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるようにVp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定される。
第2内部空所40では、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整が行われるようになっている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101と外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。
なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
測定用ポンプセル41は、第2内部空所40内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面であって第3拡散律速部30から離間した位置に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。
測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。さらに、測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。
第4拡散律速部45は、アルミナ(Al23)を主成分とする多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うとともに、測定電極44の保護膜としても機能する。
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の有する触媒活性作用による、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流(NOx電流ともいう)Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧V2が一定となるように可変電源の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42を組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
図2は、係るポンプ電流Ip2とNOx濃度との関数関係(感度特性)を例示する図である。理想的には、NOxが存在しない状態においてはIp2の値は0となるはずであるが、実際には、被測定ガスから酸素は完全には除去されず、測定電極にまで達した被測定ガス中にも酸素はわずかに残存するので、NOxが存在しない状態においても係る酸素が分解されて生じた酸素イオンによって、電流が流れることになる。係るNOx濃度がゼロのときのNOx電流Ip2を特にオフセット電流Ip2ofsと称する。
図2に示したような感度特性(具体的にはオフセット電流Ip2ofsとグラフの傾き)は、個々のセンサ素子101ごとに使用に先立ってあらかじめ特定される。実際のNOxの検出に際しては、Ip2の値が絶えず測定され、先に特定されていた感度特性をもとに、個々の測定値に対応するNOx濃度が求められることになる。
なお、センサ素子101においては、外側ポンプ電極23と基準電極42との間に生じる起電力Vrefを測定することにより、センサ素子101外部の酸素分圧を知ることもできるようになっている。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74、圧力放散孔75とを備えている。
ヒータ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータ電極71と接続されており、該ヒータ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
<センサ素子の製造方法>
次に、上述のような構造を有するセンサ素子101を製造するプロセスについて説明する。概略的にいえば、本実施の形態においては、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含む複数枚のグリーンシートに所定のパターンを形成した上でそれらの積層体を形成し、該積層体を切断・焼成することによってセンサ素子101を作製する。
以下においては、図1に示した6つの層からなるセンサ素子101を作製する場合を例として説明する。係る場合、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6とに対応する6枚のグリーンシートが用意されることになる。
図3は、センサ素子101を作製する際の処理の流れを示す図である。センサ素子101を作製する場合、まず、パターンが形成されていないグリーンシートであるブランクシート(図示せず)を複数枚用意する(ステップS1)。ブランクシートは、印刷時や積層時の位置決めに用いる複数のシート穴が設けられている。係るシート穴は、パターン形成に先立つブランクシートの段階で、パンチング装置による打ち抜き処理などで、あらかじめ形成されている。なお、対応する層が内部空間を構成するグリーンシートの場合、該内部空間に対応する貫通部も、同様の打ち抜き処理などによってあらかじめ設けられる。また、センサ素子101の各層に対応するそれぞれのブランクシートの厚みは、全て同じである必要はない。
各層に対応したブランクシートが用意できると、それぞれのブランクシートに対して種々のパターンを形成するパターン印刷・乾燥処理を行う(ステップS2)。具体的には、外側ポンプ電極23、内側ポンプ電極22、補助ポンプ電極51、測定電極44、基準電極42などの電極パターンや、電極保護層45や、大気導入層48や、図示を省略している内部配線などが形成される。なお、センサ素子101の最表面である第2固体電解質層6を構成することになるグリーンシートに対しては、後工程において積層体を切断するときに切断位置の基準とされるカットマークも印刷される。
各々のパターンの印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してブランクシートに塗布することにより行う。印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。乾燥処理は、例えば75℃〜90℃の温度で大気雰囲気にて行うのが好適な一例である。
パターン印刷が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う(ステップS3)。接着用ペーストの印刷には、公知のスクリーン印刷技術を利用可能であり、印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。係る乾燥処理についても、例えば75℃〜90℃の温度で大気雰囲気にて行うのが好適である。
続いて、接着用ペーストが塗布されたグリーンシートを所定の順序に積み重ねて、所定の温度・圧力条件を与えることで圧着させ、一の積層体とする圧着処理を行う(ステップS4)。具体的には、図示しない所定の積層治具に積層対象となるグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ積み重ねて保持し、公知の油圧プレス機などの積層機によって積層治具ごと加熱・加圧することによって行う。加熱・加圧を行う圧力・温度・時間については、用いる積層機にも依存するものであるが、良好な積層が実現できるよう、適宜の条件が定められればよい。
上述のようにして積層体が得られると、続いて、係る積層体の複数個所を切断してセンサ素子101個々の単位(素子体と称する)に切り出す(ステップS5)。切り出された素子体を、所定の条件下で焼成することにより、素子体中の有機物成分の蒸発やセラミックス成分の焼結さらには電極金属の焼結などが進行する(ステップS6)。焼成は、例えば1350℃〜1400℃の焼成温度で大気雰囲気下にて行うのが好適な一例である。
焼成後の素子体に対しては、焼成によって酸化された電極の還元を目的として、リッチ雰囲気下でのエージング処理(ステップS7)が施される。リッチ雰囲気の形成には、例えば、COや、CH4、C26、あるいはC38などを含むガスが用いられる。
そして、エージング処理を経た後の素子体は、検査工程に付される(ステップS8)。図4は、検査工程の流れを示す図である。検査工程においては、初めに、外観検査が行われる(ステップS8a)。外観検査においては、例えば表面に異物が付着している素子体などが、NGと判断される。外観検査をクリアした素子体は、プレ処理(ステップS8b)が施されたうえで、素子特性検査(ステップS8c)に供される。
素子特性検査は、エージング処理後の素子体をセンサ素子101としてガスセンサ100の本体部に組み込むに先立ち、各ポンプセルや各センサセルがあらかじめ規格として定められた範囲内の特性を有することを確認するために、実際に検査用ガスを流した状態で行う、電気的特性の検査である。また、プレ処理は、センサ素子の電極を安定化させる目的で行う、素子特性検査の前処理である。プレ処理および素子特性検査の詳細については後述する。なお、以降においては、説明の簡単のため、エージング処理後の素子体を検査における合否に関わらず単にセンサ素子101と表記することがある。
そして、全ての検査に合格した素子体が、センサ素子101として所定のハウジングに収容され、ガスセンサ100の本体(図示せず)に組み込まれる。
<素子特性検査装置>
続いて、素子特性検査に用いる検査装置について説明する。図5は、素子特性検査に用いる検査装置1000を例示する模式図である。検査装置1000は、混合ガスを所望の混合比にて供給する混合ガス供給装置102と、混合ガス供給装置102から混合ガスが導入される測定チャンバ103と、測定チャンバ103に配置したセンサ素子101の所定位置にプローブ104を接続することにより、所定の電気的測定を行える測定装置105と、を備える。測定装置105としては、検査内容に見合った測定が行える測定器等が適宜に用いられればよい。
図5においては図示の単純化のために混合ガス供給装置102に対して1つの測定チャンバ103が接続される場合を例示しているが、混合ガス供給装置102からの供給配管を分岐させることにより、複数の測定チャンバ103が一の混合ガス供給装置102に接続される態様であってもよい。係る場合、複数のセンサ素子101に対する測定が同時並行的に行えるようになっていることが好ましい。
また、図5においては図示の簡単のため、2つのプローブ104によってセンサ素子101の端部を挟む態様にてプローブ104がセンサ素子101に接続される場合を例示しているが、実際のプローブ104の個数や接続態様はこれに限られるものではない。センサ素子101の具体的構造および素子特性検査の検査内容に応じて適宜に用意された、電圧印加用、通電用、さらには電流検出用のプローブ104が、適宜の位置(それぞれの電極に対応する図示しない端子位置)に接続される。
混合ガス供給装置102は、窒素供給系110と、水供給系120と、酸素供給系130と、NO供給系140とを備えている。それぞれの供給系には、それぞれの物質の供給源(ボンベもしくはタンクなど)として、窒素供給源111と、水供給源121と、酸素供給源131と、NO供給源141とを備えている。また、流量調整を行うためのマスフローコントローラー112、122、132、および142と、バルブ113、123、133、および143が、それぞれの供給路114、124、134、および144の途中に備わっている。
これら4つの供給系のうち、窒素供給系110の供給路114と水供給系120の供給路124とは、気化器150に接続されている。気化器150においては、水供給系120から供給される水が気化され、水蒸気とされて、窒素供給系110から供給される窒素と混合される。なお、気化器150には、内部の雰囲気を加熱することができるヒータH1が付設されている。ヒータH1は図示しない温度コントローラによって制御される。
気化器150における水蒸気と窒素との混合は、ヒータH1によって気化器150内の雰囲気を100℃から120℃程度の範囲で加熱した状態で行われる。これによって、水が気化することなく残留することが好適に防止される。混合された水蒸気と窒素の混合ガスは、気化器150から第1予備混合路160に流出される。
一方、酸素供給系130とNO供給系140とは、合流点C1で合流し、両者から供給される酸素とNOとの混合ガスが、第2予備混合路170を流れるようになっている。
そしてさらに、第2予備混合路170は合流点C2で第1予備混合路160に合流するようになっている。これにより、両者から供給されるガスの混合ガス、つまりは、4つの供給系からの全てのガスの混合ガスが、混合ガス供給路180を流れることになる。なお、混合ガス供給路180の合流点C2の近傍には、ガスミキサー181が設けられており、混合ガスは、ガスミキサー181による十分な混合を経た上で、混合ガス供給路180の端部の供給口183から測定チャンバ103へと供給されるようになっている。また、混合ガス供給路180にはバルブ182が設けられており、バルブ182によって、測定チャンバ103へと供給される混合ガスの流量が調整される。
ガスミキサー181としては、いわゆるスタティックミキサー(静止型混合器)を用いるのが好適な一例であるが、ダイナミックミキサーを用いる態様であってもよい。
また、混合ガス供給路180には、ヒータH2が付設されている。なお、好ましくは、測定チャンバ103にもヒータH3が設けられる。ヒータH2およびヒータH3は図示しない温度コントローラによって制御される。これらのヒータH2およびヒータH3によって、測定チャンバ103内の雰囲気は、100℃から120℃程度の範囲で保たれる。
測定チャンバ103は、その一方端側は混合ガス供給装置102の供給口183に接続されているが、他方端側は外部と連通する開口部103aとなっており、この開口部103aからから測定チャンバ103の内部にセンサ素子101が挿入される。なお、測定装置105による測定に際し、センサ素子101は、ガス導入口10の備わる側を測定チャンバ103に挿入させ、端子電極151および152が備わる側を測定チャンバ103外に突出させる態様にて配置される。図5には、係る状態が例示されている。
なお、図5においては、窒素供給源111から供給路114、第1予備混合路160さらには混合ガス供給路180の供給口183に至る供給経路がコの字型に図示されているが、これはあくまで便宜上のものであって、実際の混合ガス供給装置102における配管配置を示すものではない。
<素子特性検査>
次に、上述の検査装置1000を用いて行う素子特性検査について説明する。素子特性検査は、概略、検査装置1000の測定チャンバ103にセンサ素子101をセットした後、NOx濃度が既知の検査用ガスを測定チャンバ103に流しながら、センサ素子101のNOx電流Ip2を測定することによって行う。
図6は、素子特性検査において検査装置1000に導入する検査用ガスの濃度プロファイルの一例を示す図である。図6に示す場合においては、検査開始(時刻0)から所定時刻t1が経過するまでは、NOx濃度が0の検査用ガスが導入される。そして、時刻t1から時刻t2の間は、NOx濃度がc1(ppm)の検査用ガスが導入される。さらに、時刻t2から時刻t3の間は、NOx濃度がc2(ppm)の検査用ガスが導入される(ただしc2>c1)。そして、時刻t3から時刻t4の間は再びNOx濃度がc1(ppm)の検査用ガスが導入される。時刻t4が経過すると、以降は、NOx濃度が0の検査用ガスが導入され、時刻t5で検査が終了となる。
図7は、図6に示す濃度プロファイルにて検査用ガスを導入したときに得られる、NOx電流Ip2のプロファイルを例示する図である。素子特性検査においては、例えば図7のように得られたNOx電流Ip2のプロファイルにおいて、所定の合格基準がみたされる場合に、検査対象となったセンサ素子101(素子体)が合格品と判断される。
<プレ処理とその効果>
次に、本実施の形態において行うプレ処理について説明する。
上述したように、センサ素子101の各電極は、センサ素子101を製造する過程において行う焼成によって形成されるが、その際にそれぞれの電極はいくぶん酸化するので、係る酸化した電極を還元させるためにエージング処理が行われる。しかしながら、エージング処理後の測定電極44や該測定電極44を被覆する電極保護層45(以下、測定電極44等とも称する)においては、COや、CH4、C26、あるいはC38などのリッチ成分が吸着して残留することがある。
仮に、このようにリッチ成分が付着したままで素子特性検査を行うと、NOxの分解のみが生じることを想定としている検査の途中においてリッチ成分の分解が不規則に起こり、NOxの分解を阻害し得ることから、結果として、電気化学的ポンプセルにおける酸素ポンピング能や測定電極におけるNOx還元能などが一定でない不安定な状態のままで、検査が進行することとなる。また、係る場合、混合ガスが流れない状況におけるNOx電流Ip2の値に再現性が得られないことになる。
また、測定電極44等へのリッチ成分の付着の程度は、個々のセンサ素子101ごとおよび電極ごとにまちまちである。これはすなわち、測定電極44の初期状態がセンサ素子101の個体間で異なることを意味している。センサ素子101の品質ばらつきを抑制するうえにおいては、少なくとも同一ロット間において、測定電極44の状態の個体差が少ないことが好ましい。
以上の点を鑑み、本実施の形態においては、素子特性検査に先立ち、測定電極44を安定化させるためのプレ処理を行うようにする。ただし、本実施の形態でいうプレ処理とは、概略、センサ素子101の外側ポンプ電極23と測定電極44との間に電圧を印加することによって、測定電極44等に付着してなるリッチ成分を強制的に分解除去する処理である。
なお、本実施の形態において、プレ処理がその効果を奏するとは、定性的には、上述のように測定電極44等からリッチ成分が除去されることで測定電極44が安定化されることを意味するが、実際の判断基準としては、プレ処理の後に行う素子特性検査において、NOxを含む検査用ガスを導入する前と導入した後のそれぞれにおける、NOx電流Ip2の値の差の絶対値が、0.02μA以下となればよい。以下、これを、プレ処理判定基準と称する。係るプレ処理判定基準がみたされる場合、素子特性検査を経た測定電極44の状態を、検査前とほぼ同一であるとみなすことができる。
なお、このプレ処理判定基準を採用した場合、厳密にいえば、プレ処理前からリッチ成分の吸着がないセンサ素子については実際にプレ処理の効果が無くとも効果があるものと判断されるが、そもそもリッチ成分の吸着がなければ本実施の形態において問題となる不具合は生じないので、そのような場合を含めても差し支えはない。ただし、実際上は、そのような場合が生じるのは極めて希であると考えられる。
例えば、図6および図7に示すように、NOxを含む検査用ガスを流し始める時刻t1から一定時間(例えば60秒)だけ遡った時刻tαでのNOx電流Ip2の値Iαと、検査の終了時刻t5でもある時刻tβでのNOx電流Ip2の値Iβとの差分値ΔI=Iα−Iβについて、−0.02μA≦ΔI≦0.02μAが成り立つ場合、あるいは、絶対値|ΔI|について、|ΔI|≦0.02μAが成り立つ場合に、プレ処理が効果を奏したものと判定することができる。もちろん、これは一例であって、センサ素子101に求められる性能に応じて、異なるプレ処理判定基準が設定されてもよい。
図8は、本実施の形態においてセンサ素子101(厳密には外観検査に合格した素子体)に対し行うプレ処理の様子を概略的に示す図である。なお、図8においては、センサ素子101を簡略化して示している。また、図8においては、図示の簡略化のため、外部電源Voutと外側ポンプ電極23および測定電極44が直接に接続されるようになっているが、実際には、係る接続は、それぞれの電極に対応する図示しない端子位置において行われる。
図9は、外側ポンプ電極23と測定電極44との間に印加する電圧の値と印加時間とを種々に違えた場合の、印加電圧値と印加時間との積によって表される投入エネルギーと差分値ΔIとの関係を示す図である。ただし、内部空所から酸素の汲み出しが起こるように外側ポンプ電極23と測定電極44との間に電圧を印加する場合に印加電圧が正であるとし、内部空所に酸素が汲み入れられるように電圧を印加する場合に印加電圧が負であるとする。それゆえ、図9において投入エネルギーが負であるのは、印加電圧が負の場合である。
図9からは、印加電圧が正である場合に、差分値ΔIの値が0に近くなることがわかる。それゆえ、プレ処理の際の電圧の印加は、図8に示すように、検査用の外部電源Voutを直流電源とし、外側ポンプ電極23を外部電源Voutの負極と接続し、かつ、測定電極44を外部電源Voutの正極と接続することによって行うのが好ましい。その際は、外側ポンプ電極23の側を接地するのがよい。プレ処理における電圧の印加の仕方はこれに限られず、交番電圧やパルス電圧の印加なども可能ではあるが、実効性の点からは、上述した態様での直流電圧の印加が好ましい。
図8に示す態様にて外側ポンプ電極23と測定電極44との間に電圧を印加すると、エージング処理の際に測定電極44等に吸着してなる、CO、CH4、C26、あるいはC38などのリッチ成分が電気分解される。これにより、測定電極44等に吸着していたリッチ成分が分解除去された状態が実現される。
ただし、リッチ成分の付着状態は、個々のセンサ素子101ごとに異なり得る。それゆえ、理想的には、上述のプレ処理判定基準をみたすための好適なプレ処理の条件は、個々のセンサ素子101ごとに設定されるのが望ましい。しかしながら、スループットやコストの観点から、量産プロセスにおいて係る対応を取ることは現実的ではない。そこで、本実施の形態では、製造ロットごとにプレ処理の条件を定めるものとする。このようにすれば、同一ロットに属するセンサ素子101の少なくとも85%以上がプレ処理判定基準をみたす。具体的な条件の設定は、例えば、同一の製造ロットに属するセンサ素子101を複数個抽出し、それぞれに印加電圧値または印加時間を違えたプレ処理を行った結果に基づいて行うようにすればよい。
図10は、プレ処理基準を設定するために、同一の製造ロットに属する複数のセンサ素子101について、印加電圧と印加時間とを種々に違えてプレ処理を行ったときの、|ΔI|の値をプロットした図である。
図10に示す結果においては、印加電圧が0.4Vの場合に、他の印加電圧の場合よりも比較的広い印加時間の範囲でプレ処理判定基準がみたされている。そして、印加時間が30secのときに、|ΔI|が最小となっている。係る場合であれば、当該製造ロットのセンサ素子101に対し、印加電圧が0.4V、印加時間が30secというプレ処理条件でプレ処理を行うのが好適であると判断される。
図11および図12は、プレ処理の効果を示すための図である。具体的には、図11は、プレ処理が施されたセンサ素子101に対して素子特性検査を行った場合の、NOx電流Ip2のプロファイルのIp2=0近傍の拡大図である。図12は、比較のために示す、プレ処理を行うことなく素子特性検査を行った場合のNOx電流Ip2のプロファイルのIp2=0近傍の拡大図である。
図11および図12のいずれも、12個のセンサ素子101について、素子特性検査を行ったときの結果を示している。また、プレ処理条件は、印加電圧を1V、印加時間を60secとした。なお、図11および図12では、時刻t0よりも前の時点と、時刻tβの直前でNOx電流Ip2の値が変動しているが、これらは、本実施の形態で対象としている素子特性検査とは無関係な理由で生じているものである。
図11と図12とを対比すると、まず、NOxを含む検査用ガスを導入する前の時刻t0から時刻tαの間、および、素子特性検査が終了した時刻tβ近傍におけるNOx電流Ip2の安定性に、大きな違いがある。すなわち、プレ処理を行わなかった場合よりもプレ処理を行った場合の方が変動が小さくなっている。また、プレ処理を行った場合の方がロット間の値のばらつきが小さくなっている。そして、図11に示す場合、全てのセンサ素子101においてプレ処理判定基準がみたされている。
以上の結果は、プレ処理を行うことが測定電極44の安定化および個体間ばらつきの抑制にとって効果的であることを示している。電極が安定しないうちに素子特性検査を行ってしまうと、安定状態であれば良品と判定されるであろうセンサ素子101を不良品と判定してしまうことになるため、プレ処理の実施は、このような誤判定の防止に有効であるといえる。
また、図12に示したような変動があるなかで感度特性を決定してしまうと、その後のガスセンサ100の使用の際に係る感度特性が再現されない可能性があるため、係る感度特性に基づいて算出したNOx濃度は、必ずしも十分な信頼性を有しているとはいえないこととなるが、プレ処理を行った場合には、図12に示したような変動は見られないことから、信頼性のある感度特性を確実に決定することができる。
なお、図12に示したようなプレ処理を行わないセンサ素子101の場合も、素子特性検査の過程で長時間、センサ素子101を駆動するようにすれば、やがては電極の状態が安定することが確認されているが、安定状態に達するまでの時間は個々のセンサ素子101ごとにまちまちである。そのような対応は、できるだけ短時間でかつルーチン的に行うことが求められる素子特性検査にはなじまず、非効率である。
また、電極の安定化を図るという点にのみに着目すれば、原理的には、上述のようなプレ処理を行っていないセンサ素子101をガスセンサ100の本体部に組み込んだ後において、プレ処理を行うという態様でも、同様の目的を達することは出来る。ただし、不良品であって早期に除外されるべきセンサ素子101を後段の組み立て工程にまで流してしまうことが起こり得る点には留意が必要である。
なお、本実施の形態において行うプレ処理と同様の効果を狙ったものとして、特許文献3に開示しているような、素子特性検査を行うに先立ってあらかじめ、前処理として、センサ素子を実使用環境に類似する混合ガス雰囲気中で所定の時間だけ駆動する処理(以下、ガスプレ処理と称する)を行うという手法がある。図13および図14はそれぞれ、本実施の形態に係るプレ処理を行ったうえで素子特性検査を行った場合と、ガスプレ処理を行ったうえで素子特性検査を行った場合とについての、ΔIの値のヒストグラム図である。なお、プレ処理条件は、印加電圧が1V、印加時間が60secである。また、ガスプレ処理におけるセンサ素子101の駆動時間も60secとした。また、いずれの場合も、300個のセンサ素子101について評価を行った。
図13と図14とを対比すると、本実施の形態に係るプレ処理を行った場合の方が、ガスプレ処理の場合よりも、|ΔI|が小さくなる傾向がある。より具体的には、本実施の形態に係るプレ処理を行った場合は、プレ処理判定基準をみたすセンサ素子101が評価した全センサ素子のうちの98%にも達したのに対し、ガスプレ処理の場合は、76%に過ぎなかった。ガスプレ処理の場合においても、センサ素子101の駆動時間をより長くすればプレ処理判定基準をみたすセンサ素子101の比率が増大するものの、係る結果は、プレ処理の方がガスプレ処理よりも効率的に測定電極44を安定化させることが出来ることを意味している。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、センサ素子の電気的特性の検査である素子特性検査を行うに先立って、外側ポンプ電極と測定電極との間に電圧を印加することにより、測定電極等に付着しているリッチ成分を強制的に分解除去して測定電極の状態を安定させたうえで素子特性検査を行うことができる。これにより、素子特性検査において本来であれば良品のセンサ素子を不良品と判定してしまう誤判定が防止されるとともに、信頼性のある感度特性を確実に決定することができる。すなわち、本実施の形態によれば、製品歩留まりを向上させることができるとともに、信頼性の高いNOxセンサを実現することが出来る。
1 第1基板層
2 第2基板層
3 第3基板層
4 固体電解質層
5 スペーサ層
6 固体電解質層
10 ガス導入口
11 第1拡散律速部
12 緩衝空間
13 第2拡散律速部
20 第1内部空所
21 主ポンプセル
22 内側ポンプ電極
23 外側ポンプ電極
30 第3拡散律速部
40 第2内部空所
41 測定用ポンプセル
42 基準電極
43 基準ガス導入空間
44 測定電極
45 拡散律速部
45 電極保護層
48 大気導入層
50 補助ポンプセル
51 補助ポンプ電極
100 ガスセンサ
101 センサ素子
102 混合ガス供給装置
103 測定チャンバ
104 プローブ
105 測定装置
1000 検査装置
Vout 外部電源

Claims (9)

  1. 被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサ用のセンサ素子の製造方法であって、
    前記センサ素子が、
    酸素イオン伝導性固体電解質層と、
    前記酸素イオン伝導性固体電解質層の表面に形成された第1の電極と、
    前記酸素イオン伝導性固体電解質層の内部に設けた空所に形成された第2の電極と、
    を有する電気化学的ポンプセルを含んで構成されるものであり、
    酸素イオン伝導性固体電解質であるセラミックスを主成分とするグリーンシートに導電性ペーストからなる配線パターンを印刷形成する印刷工程と、
    前記印刷工程を経た複数のグリーンシートを積層し一体化する積層工程と、
    前記積層工程によって得られた積層体から複数の素子体を切り出す切断工程と、
    前記切断工程によって切り出された素子体を焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程を経た素子体を還元雰囲気で加熱するエージング工程と、
    前記エージング工程を経た素子体に備わる前記第1の電極と前記第2の電極との間にのみ、外部電源によって電圧を印加することによって、前記第2の電極に付着した前記エージング工程の雰囲気ガスを分解除去する分解除去工程と、
    前記分解除去工程を経た素子体の電気的特性を検査する検査工程と、
    を含むことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載のセンサ素子の製造方法であって、
    前記分解除去工程においては、前記第1の電極を前記外部電源の負極と接続し、かつ、前記第2の電極を前記外部電源の正極と接続したうえで、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記電気化学的ポンプセルによって前記空所から酸素が汲み出される向きに直流電圧を印加する、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の製造方法。
  3. 被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサ用のセンサ素子の電気的特性を検査する方法であって、
    前記センサ素子が、
    酸素イオン伝導性固体電解質層と、
    前記酸素イオン伝導性固体電解質層の表面に形成された第1の電極と、
    前記酸素イオン伝導性固体電解質層の内部に設けた空所に形成された第2の電極と、
    を有する電気化学的ポンプセルを含んで構成されるものであり、
    前記センサ素子に備わる前記第1の電極と前記第2の電極との間にのみ、外部電源によって電圧を印加することによって、前記第2の電極に付着したガス成分を分解除去した後に、電気的特性を検査する、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の電気的特性検査方法。
  4. 請求項3に記載のセンサ素子の電気的特性検査方法であって、
    前記ガス成分の分解除去の際には、前記第1の電極を前記外部電源の負極と接続し、かつ、前記第2の電極を前記外部電源の正極と接続したうえで、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記電気化学的ポンプセルによって前記空所から酸素が汲み出される向きに直流電圧を印加する、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の電気的特性検査方法。
  5. 被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサ用のセンサ素子の、電気的特性の検査に先立って行う前処理方法であって、
    前記センサ素子が、
    酸素イオン伝導性固体電解質層と、
    前記酸素イオン伝導性固体電解質層の表面に形成された第1の電極と、
    前記酸素イオン伝導性固体電解質層の内部に設けた空所に形成された第2の電極と、
    を有する電気化学的ポンプセルを含んで構成されるものであり、
    前記センサ素子に備わる前記第1の電極と前記第2の電極との間にのみ、外部電源によって電圧を印加することによって、前記第2の電極に付着したガス成分を分解除去する、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の前処理方法。
  6. 請求項5に記載のセンサ素子の前処理方法であって、
    前記ガス成分の分解除去の際には、前記第1の電極を前記外部電源の負極と接続し、かつ、前記第2の電極を前記外部電源の正極と接続したうえで、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記電気化学的ポンプセルによって前記空所から酸素が汲み出される向きに直流電圧を印加する、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の前処理方法。
  7. 請求項1または請求項2に記載のセンサ素子の製造方法であって、
    前記電気化学的ポンプセルが、前記第1の電極を外部電極とし、前記第2の電極を測定電極とする測定用ポンプセルであり、
    前記ガスセンサにおいては、前記空所に存在する前記被測定ガス中の前記所定のガス成分が前記第2の電極において分解されることで前記測定用ポンプセルを流れる電流に基づいてガス成分濃度が求められる、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の製造方法。
  8. 請求項3または請求項4に記載のセンサ素子の電気的特性検査方法であって、
    前記電気化学的ポンプセルが、前記第1の電極を外部電極とし、前記第2の電極を測定電極とする測定用ポンプセルであり、
    前記ガスセンサにおいては、前記空所に存在する前記被測定ガス中の前記所定のガス成分が前記第2の電極において分解されることで前記測定用ポンプセルを流れる電流に基づいてガス成分濃度が求められる、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の電気的特性検査方法。
  9. 請求項5または請求項6に記載のセンサ素子の前処理方法であって、
    前記電気化学的ポンプセルが、前記第1の電極を外部電極とし、前記第2の電極を測定電極とする測定用ポンプセルであり、
    前記ガスセンサにおいては、前記空所に存在する前記被測定ガス中の前記所定のガス成分が前記第2の電極において分解されることで前記測定用ポンプセルを流れる電流に基づいてガス成分濃度が求められる、
    ことを特徴とするガスセンサ用のセンサ素子の前処理方法。
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