JP4826566B2 - 排気ガスセンサの素子温度制御装置 - Google Patents

排気ガスセンサの素子温度制御装置 Download PDF

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本発明は、排気ガスセンサの素子温度制御装置に関する。
内燃機関の排気ガスの空燃比あるいはNOx濃度などを検出するための排気ガスセンサが広く用いられている。排気ガスセンサは、酸素イオン伝導性の固体電解質よりなる固体電解質層と、この固体電解質層を挟んで対向するように設けられた二つの電極とを有するセンサ素子と、このセンサ素子を加熱するためのヒータとを備えている。
このような排気ガスセンサでは、良好な検出精度を得るためには、センサ素子の温度を適温(活性温度)に維持する必要がある。センサ素子の温度と、センサ素子のインピーダンスとの間には、相関が認められる。そこで、従来、例えば特開2000−65780号公報には、センサ素子のインピーダンスが所定の目標インピーダンスになるようにヒータへの通電をフィードバック制御するシステムが開示されている。ここで、目標インピーダンスは、活性温度下でのセンサ素子のインピーダンスである。
特開2000−65780号公報 再表2005/022141号公報 特開2000−180400号公報
エミッション規制の強化に伴い、排気ガスセンサには、更なる検出精度の向上が求められている。排気ガスセンサの検出精度を向上する方法として、排気ガスセンサの製造時に、センサ素子に通常使用時の印加電圧よりも高い電圧を印加して電流を流すことにより、センサ素子の電極や電極界面に存在する抵抗物質(付着物)を除去する処理(以下「高電圧印加処理」という)を施すことが検討されている。高電圧印加処理が施された排気ガスセンサでは、センサ電流が初期から安定するとともに、低温時の特性も安定化するなどの効果が得られ、検出精度の向上に寄与する。
しかしながら、本発明者の知見によれば、高電圧印加処理が施された排気ガスセンサは、未処理のセンサと比べて、センサ素子のインピーダンス特性が初期に大きく変化するという性質を有している。排気ガスセンサでは、上述したように、センサ素子のインピーダンスを検出してセンサ素子温度を制御している。このため、センサ素子のインピーダンス特性に初期的変化が生ずると、センサ素子温度を正確に制御できなくなり、センサ素子の過昇温等が引き起こされるおそれがある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、高電圧印加処理が施されたセンサ素子にインピーダンス特性の初期的変化が生ずる場合であっても、センサ素子の温度を高精度に制御することのできる排気ガスセンサの素子温度制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、酸素イオン伝導性の固体電解質よりなる固体電解質層と、該固体電解質層を挟んで対向するように設けられた二つの電極とを有するセンサ素子を備える排気ガスセンサの素子温度を制御する装置であって、
前記センサ素子を加熱するヒータと、
前記センサ素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段と、
前記センサ素子の温度を目標温度とするべく、前記インピーダンス検出手段により検出されるインピーダンスが目標インピーダンスに近づくように前記ヒータへの通電を制御するヒータ制御手段と、
前記センサ素子が受ける熱ストレスに相関するパラメータである熱ストレスパラメータを取得する熱ストレスパラメータ取得手段と、
前記熱ストレスパラメータに基づいて、前記センサ素子が受けた総熱ストレス量に相関する熱的履歴パラメータを算出する熱的履歴パラメータ算出手段と、
前記センサ素子のインピーダンス特性の初期的変化の影響を排除するべく、前記熱的履歴パラメータの増加に伴って前記目標インピーダンスが大きくなるようにする補正を行う目標インピーダンス補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記熱ストレスパラメータは、内燃機関の燃料噴射量、内燃機関の吸入空気量、排気ガス温度、前記ヒータへの供給電力、車両の走行距離、および、内燃機関の動作履歴のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記目標インピーダンス補正手段は、前記熱的履歴パラメータが所定値を超えた以降は、前記目標インピーダンスを補正しないことを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記排気ガスセンサは、その製造時および/または使用途中で、通常使用時の印加電圧よりも高い電圧を前記センサ素子の両電極間に印加する高電圧印加処理を施されるものであることを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記熱的履歴パラメータ算出手段は、前記高電圧印加処理が施されたときからの熱的履歴を表す熱的履歴パラメータを算出することを特徴とする。
また、第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記センサ素子のインピーダンス特性の初期的変化は、前記高電圧印加処理によって前記固体電解質層の結晶に生じた歪みが熱ストレスの影響で回復することに起因して生ずるものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、排気ガスセンサのセンサ素子が受ける熱ストレスに関する熱ストレスパラメータに基づいて、センサ素子が受けた総熱ストレス量に相関する熱的履歴パラメータを精度良く算出することができる。そして、その熱的履歴パラメータの増加に伴って目標インピーダンスが大きくなるようにする補正を行うことにより、センサ素子のインピーダンス特性の初期的変化の影響を精度良く排除することができる。このため、センサ素子の温度を高精度に制御することができる。
第2の発明によれば、内燃機関の燃料噴射量、内燃機関の吸入空気量、排気ガス温度、ヒータへの供給電力、車両の走行距離、および、内燃機関の動作履歴のうちの少なくとも一つを熱ストレスパラメータとして使用することにより、センサ素子の熱的履歴パラメータを高い精度で算出することができる。
第3の発明によれば、熱的履歴パラメータが所定値を超えた以降は、素子インピーダンス特性の初期的変化が終了したものとして、目標インピーダンスを補正しないようにする。このため、素子インピーダンス特性の初期的変化期間内において、適切に目標インピーダンスを補正することができる。
第4の発明によれば、排気ガスセンサの製造時あるいは使用途中で実施される高電圧印加処理の後に、センサ素子のインピーダンス特性の初期的変化が生ずる場合であっても、その影響を回避することができるので、センサ素子の温度を高精度に制御することができる。
第5の発明によれば、高電圧印加処理が施されたときからの熱的履歴を表す熱的履歴パラメータに基づいて目標インピーダンスを補正することにより、素子インピーダンス特性の初期的変化の進行程度に合わせて、目標インピーダンスを適切に補正することができる。
第6の発明によれば、高電圧印加処理によって固体電解質層の結晶に生じた歪みが熱ストレスの影響で回復することに伴って素子インピーダンス特性の初期的変化が生ずる場合において、目標インピーダンスを適切に補正することができるので、センサ素子の温度を高精度に制御することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1のハードウェア構成]
図1は、本発明の実施の形態1において用いられる排気ガスセンサ10の構成を説明するための図である。図1に示す本実施形態の排気ガスセンサ10は、内燃機関の排気通路に配置され、排気ガスの空燃比を検出する限界電流式の空燃比センサである。排気ガスセンサ10は、カバー12を備えており、このカバー12が排気ガスに晒されるように排気通路に組み付けられる。
カバー12には、その内部に排気ガスを導くための孔(図示せず)が設けられている。カバー12の内部には、センサ素子14が配置されている。センサ素子14は、一端(図1における下端)が閉じられた管状の形状をなしている。このセンサ素子14は、拡散律速層16と、排気側電極18と、固体電解質層20と、大気側電極22とが外側から内側へこの順で積層された構造を有している。
拡散律速層16は、アルミナ等の耐熱性の多孔質物質であり、センサ素子14の表面付近における排気ガスの拡散速度を律する働きを有している。排気側電極18および大気側電極22は、例えばPtのように触媒作用の高い貴金属で構成された電極であり、それぞれ後述する制御回路と電気的に接続されている。固体電解質層20は、ジルコニア(ZrO2)などを含む焼結体であり、酸素イオンの通過を許容する特性を有している。
センサ素子14の内側には、大気に開放された大気室24が形成されている。センサ素子14は、例えば700℃程度の活性温度において安定した出力特性を示す。大気室24には、センサ素子14を活性温度にまで加熱するためのヒータ26が配置されている。
図2は、排気ガスセンサ10の制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、センサ素子14には、センサ素子駆動回路28が接続されている。センサ素子駆動回路28には、センサ素子14に対して所望の電圧を印加するためのバイアス制御回路と、センサ素子14を流れる電流を検出するためのセンサ電流検出回路とが含まれている。
センサ素子制御回路28が備えるバイアス制御回路には、ローパスフィルタ(LPF)30およびD/Aコンバータ32を介してマイクロコンピュータ34が接続されている。マイクロコンピュータ34は、それらの要素を介して、バイアス制御回路に、センサ素子14に印加すべき電圧を指令することができる。
バイアス制御回路は、マイクロコンピュータ34の指令に従い、センサ素子14に対して、空燃比検出用のバイアス電圧と、インピーダンス検出用電圧とを選択的に印加することができる。空燃比検出用のバイアス電圧がセンサ素子14に印加されている場合には、排気ガスの空燃比に応じたセンサ電流がセンサ素子14に流れる。このため、そのセンサ電流を検出することにより、排気ガスの空燃比を検出することができる。
センサ素子14に印加される電圧が、空燃比検出用のバイアス電圧からインピーダンス検出用電圧に変更されると、印加電圧の変化に対応してセンサ電流に変化が生ずる。この際、印加電圧の変化量とセンサ電流の変化量との比は、センサ素子14のインピーダンスに相当する値となる。このため、インピーダンス検出用電圧の印加に伴って生ずるセンサ電流を検出すれば、センサ素子14のインピーダンス(以下「素子インピーダンス」ともいう)を検出することが可能である。
センサ素子制御回路28が備えるセンサ電流検出回路には、D/Aコンバータ36を介してマイクロコンピュータ34が接続されている。マイクロコンピュータ34は、D/Aコンバータ36を介して、センサ電流検出回路によって検出されたセンサ電流を読み込むことができる。従って、マイクロコンピュータ34は、センサ素子14に空燃比検出用電圧が印加されている状況下では、センサ電流に基づいて排気ガスの空燃比を検出することができる。また、センサ素子14にインピーダンス検出用電圧が印加されている状況下では、センサ電流に基づいて素子インピーダンスを検出することができる。
図2に示すように、ヒータ26には、ヒータ制御回路38が接続されている。また、ヒータ制御回路38には、マイクロコンピュータ34が接続されている。ヒータ制御回路38は、マイクロコンピュータ34から供給される指令を受けて、その指令に応じた駆動信号をヒータ26に供給し、ヒータ26に所望の熱量を発生させることができる。
素子インピーダンスは、センサ素子14の温度(以下「素子温度」ともいう)に応じて変化する性質がある。すなわち、素子温度が高くなるほど、素子インピーダンスは小さくなる。この相関関係を利用して、マイクロコンピュータ34は、素子温度が所定の目標温度(例えば700℃)に維持されるように、フィードバック制御を行う。すなわち、マイクロコンピュータ34は、後述する手法に従って設定される目標インピーダンスと、前述した手法によって検出される実際の素子インピーダンスとの偏差に基づいて、ヒータ26への通電量を補正することにより、実際の素子インピーダンスが目標インピーダンスに近づくように制御する。
[実施の形態1の特徴]
本実施形態における排気ガスセンサ10には、製造時に、センサ素子14の排気側電極18と大気側電極22との間に高電圧を正・負両方向に印加して電流を流す処理(以下「高電圧印加処理」という)が施されている。高電圧印加処理では、通常使用時の印加電圧(例えば0.4V程度)よりも高い電圧(例えば1.0V程度)が印加される。この高電圧印加処理によれば、両電極18,22や、両電極18,22と固体電解質層20との界面に製造過程で付着した例えばSiやO2等の抵抗物質を除去することができる。このため、センサ使用時に、電極界面での酸素分子のイオン化を促進することができる。その結果、高電圧印加処理を施した排気ガスセンサ10では、実際の内燃機関での使用開始初期からセンサ電流が安定したり、センサ電流特性が低温から安定化(低温活性)したりして、センサ電流の変動が小さいという利点がある。
これに対し、高電圧印加処理を施していない排気ガスセンサ(以下「未処理センサ」という)では、電極や電極界面の付着物がセンサ使用過程で徐々に除去されていくことにより、センサ電流の変動が大きくなる。このため、高電圧印加処理を施した排気ガスセンサ10(以下「高電圧印加処理センサ」という)を用いる本実施形態のシステムでは、未処理センサを用いたシステムと比べて、空燃比検出精度を向上することができる。
本発明者の知見によれば、高電圧印加処理を施すと、素子インピーダンスが低下方向にシフトするという現象が生ずる。図3は、素子インピーダンス特性(素子温度と素子インピーダンスとの関係)を示す図である。図3中、実線Aは、高電圧印加処理センサの当初の素子インピーダンス特性を示し、二点鎖線Bは、未処理センサの当初の素子インピーダンス特性を示す。この図に示すように、高電圧印加処理を施すことにより、素子インピーダンスは、二点鎖線Bから実線Aへと低下する。
そして、本発明者の知見によれば、高電圧印加処理センサは、実際の内燃機関での使用開始後、比較的短期間のうちに、素子インピーダンスが未処理センサの素子インピーダンスとほぼ同じレベルにまで戻るという性質がある。高電圧印加処理センサにおけるこのような素子インピーダンスの変化を以下「素子インピーダンス特性の初期的変化」と称する。
一方、素子インピーダンスは、センサ素子14の劣化に伴い、増加方向に緩やかにシフトする。図3中の一点鎖線Cは、長期間耐久後の素子インピーダンス特性を示す。高電圧印加処理センサおよび未処理センサは、共に、センサ素子14の劣化に伴い、素子インピーダンス特性が図3中の一点鎖線Cへと徐々に変化する。このような変化を以下「素子インピーダンス特性の長期的変化」と称する。
すなわち、未処理センサを用いたシステムの場合には、実際の内燃機関での使用開始後、素子インピーダンス特性は、図3中の二点鎖線Bから一点鎖線Cへと長期的に変化する。これに対し、本実施形態のシステムのように、高電圧印加処理センサを用いたシステムの場合には、実際の内燃機関での使用開始後、素子インピーダンス特性は、まず図3中の実線Aから二点鎖線Bへと初期的(短期的)に変化し、その後、一点鎖線Cへと長期的に変化することとなる。
高電圧印加処理センサにおいて上述したような素子インピーダンス特性の初期的変化が生ずる理由は、本発明者の知見によれば、次のようなものであると考えられる。図4は、高電圧印加処理センサおよび未処理センサのそれぞれのコールコールプロットを示す図である。図4に示すように、高電圧印加処理を施すと、電極や電極界面の付着物が除去されることにより電極界面の抵抗が低下するが、それと同時に、ジルコニアからなる固体電解質層20の抵抗も低下する。この固体電解質層20の抵抗の低下は、高電圧印加処理によってジルコニア結晶に歪みが生ずることに起因すると考えられる。そして、そのジルコニア結晶の歪みが、実際の内燃機関での使用に伴って元に戻ることにより、素子インピーダンス特性の初期的変化(素子インピーダンスの増大)が生ずると考えられる。この場合、ジルコニア結晶の歪みを回復させる最大の要因は、排気ガスやヒータ26によってセンサ素子14に加えられる熱ストレスである。
以上説明したように、高電圧印加処理センサを用いたシステムにおいては、上述したような素子インピーダンス特性の初期的変化が生ずるため、素子温度を正確に制御する上では、その影響を考慮する必要がある。図5は、素子温度が所定の目標温度となるときの素子インピーダンスと、実際の内燃機関で排気ガスセンサが使用開始されてからの耐久時間との関係を示す図である。図5中のZAおよびZBは、図3中のZAおよびZBに対応している。
図5に示すように、未処理センサの場合には、素子温度が目標温度となるときの素子インピーダンスは、使用開始初期はほぼ一定(ZB)であり、その後、センサ素子14の劣化に伴い、緩やかに増加していく。これに対し、高電圧印加処理センサの場合には、素子温度が目標温度となるときの素子インピーダンスは、使用開始初期の短期間(耐久時間で例えば数十時間〜100時間程度)のうちに、ジルコニア結晶の歪みが回復することにより、大きく変化する(ZA→ZB)。その後は、未処理センサの場合と同様に、センサ素子14の劣化に伴い、緩やかに増加していく。
このように、高電圧印加処理センサの場合には、未処理センサと比べ、使用開始初期に素子インピーダンスの経時変化が大きいという性質がある。このため、高電圧印加処理センサを用いたシステムでは、例えばZAを目標インピーダンスに設定して素子温度を制御した場合には、素子インピーダンスが初期的変化するのに伴い、目標インピーダンスが適正値より低くなってしまう。このため、素子温度が目標温度を超えて上昇してしまうという事態が生ずる。また、ZBを目標インピーダンスに設定して素子温度を制御した場合には、素子インピーダンスの初期的変化が終了する前においては、目標インピーダンスが適正値より高くなってしまうので、素子温度を目標温度まで上昇させることができないという事態が生ずる。
そこで、本実施形態では、高電圧印加処理が施された排気ガスセンサ10に素子インピーダンスの初期的変化が生ずるのに合わせて、その影響を排除するべく、目標インピーダンスを補正する処理を実行することとした。前述したように、素子インピーダンスの初期的変化は、ジルコニア結晶の歪みの回復によって生じ、ジルコニア結晶の歪みを回復させる主因は、排気ガスやヒータ26によってセンサ素子14に加えられる熱ストレスである。よって、素子インピーダンスが初期的変化している途中におけるインピーダンス変化量は、センサ素子14がそれまでに受けた熱ストレスの履歴(熱的履歴)によって決定される。そして、センサ素子14が受ける熱ストレスは、例えば内燃機関の吸入空気量等のパラメータを基礎として、精度良く推定することが可能である。よって、本実施形態では、センサ素子14の熱ストレスを示すパラメータに基づいて、センサ素子14が受けた熱的履歴を検出し、その熱的履歴に基づいて、目標インピーダンスを補正することとした。
[実施の形態1における具体的処理]
図6は、上記の機能を実現するために本実施形態においてマイクロコンピュータ34が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。図6に示すルーチンによれば、まず、内燃機関の始動時であるか否かが判別される(ステップ100)。
上記ステップ100で、内燃機関の始動時であると判定された場合には、バックアップRAMに記憶されている熱的履歴パラメータesumstrsbが読み込まれる(ステップ102)。バックアップRAMに記憶されている熱的履歴パラメータesumstrsbは、前回の内燃機関の停止時までにセンサ素子14が受けた総熱ストレス量に比例する値である。このステップ102では、バックアップRAMから読み出された熱的履歴パラメータesumstrsbの値が、熱的履歴パラメータを表す変数esumstrsに代入される。
上記ステップ100で、内燃機関の始動時ではない(すなわち内燃機関が運転中である)と判定された場合、あるいは、上記ステップ102が実行された場合には、ステップ104が実行される。ステップ104では、まず、センサ素子14が受ける熱ストレスと相関するパラメータ(以下「熱ストレスパラメータ」という)estrsが取得される。本実施形態では、内燃機関の吸気通路に設けられたエアフロメータ40によって検出される吸入空気量が熱ストレスパラメータestrsとして取得されるものとする。内燃機関の吸入空気量が多量であるということは、排気ガスセンサ10の周囲を流通した排気ガスが多量であることを意味し、排気ガスセンサ10の周囲を流通した排気ガスが多量であるほど、センサ素子14が受ける熱ストレスは大きくなる。よって、吸入空気量は、熱ストレスパラメータestrsとして用いることができる。
ステップ104では、更に、取得された熱ストレスパラメータestrsを熱的履歴パラメータesumstrsの前回値に足し合わせることにより、熱的履歴パラメータesumstrsを更新する処理が実行される。この更新は、単位時間毎(例えば1秒毎)に実行される。
上記のようなステップ104の処理から分かるように、熱的履歴パラメータesumstrsは、センサ素子14がそれまでに受けた熱ストレスの積算値に比例する。よって、素子インピーダンス特性の初期的変化がどの程度まで進行しているかは、熱的履歴パラメータesumstrsの値と精度良く相関する。このため、素子温度制御における目標インピーダンスeimptgを熱的履歴パラメータesumstrsに応じて定めることにより、素子インピーダンス特性の初期的変化の途中において、素子温度が目標温度となるときの素子インピーダンスに目標インピーダンスeimptgが精度良く一致するように、目標インピーダンスeimptgを適切に設定することができる。
図7は、熱的履歴パラメータesumstrsに基づいて目標インピーダンスeimptgを算出するために、本実施形態においてマイクロコンピュータ34が予め記憶しているマップの一例である。図6に示すルーチンでは、上記ステップ104で熱的履歴パラメータesumstrsが算出されると、続いて、その算出された熱的履歴パラメータesumstrsに基づき、図7に示すマップに従って目標インピーダンスeimptgを算出する処理が実行される(ステップ106)。
図7に示すマップによれば、熱的履歴パラメータesumstrsが大きい場合ほど、つまり素子インピーダンス特性の初期的変化が進行している場合ほど、目標インピーダンスeimptgが大きくなるように補正することができる。よって、素子インピーダンス特性の初期的変化の進行程度に応じて、目標インピーダンスeimptgを適切に設定することができる。このため、素子インピーダンス特性の初期的変化期間内においても、センサ素子14の温度が目標温度となるように正確に制御することができる。
図6に示すルーチンによれば、上記ステップ106の処理に続いて、内燃機関の停止時であるか否かが判別される(ステップ108)。そして、内燃機関の停止時であると判別された場合には、現在の熱的履歴パラメータesumstrsの値がesumstrsbとしてバックアップRAMに記憶される。
ところで、素子インピーダンス特性の初期的変化は、図5に示すように、ある時点で終了する。その終了時は、センサ素子14が受けた熱ストレスの積算値によって決まるので、熱的履歴パラメータesumstrsの値によって判定することが可能である。図7に示すマップの場合には、熱的履歴パラメータesumstrsが60000に達した時点で、素子インピーダンス特性の初期的変化が終了したと判断することができる。そこで、本実施形態では、熱的履歴パラメータesumstrsが60000に達した以降は、本ルーチンによる目標インピーダンスeimptgの補正は行われなくなる。
なお、素子インピーダンス特性の初期的変化終了後における、センサ素子14の劣化に伴う素子インピーダンスの長期的変化に対応するための目標インピーダンスeimptgの補正に関しては、公知の手法により行うことができる。
また、本実施形態では、内燃機関の吸入空気量を熱ストレスパラメータestrsとして用いているが、熱ストレスパラメータestrsは吸入空気量に限定されるものではない。例えば、(1)内燃機関の燃料噴射量、(2)排気ガス温度(推定値または検出値)、(3)ヒータ26への供給電力、(4)車両の走行距離、(5)内燃機関の動作履歴(負荷や回転数の履歴)のうちの何れか、またはこれらの組み合わせを熱ストレスパラメータestrsとして用いることもできる。
また、本実施形態では、高電圧印加処理が排気ガスセンサ10の製造段階で実施される場合を例に説明したが、排気ガスセンサ10が実際の内燃機関において使用されている途中で、センサ素子14の電極や電極界面に付着した酸素や未燃成分等を除去するために、高電圧印加処理を定期的に実施することも考えられる。本発明は、そのように排気ガスセンサ10の使用途中で実施される高電圧印加処理の後に素子インピーダンス特性が初期的(短期的)変化することに対応するための目標インピーダンスeimptgの補正に適用することも可能である。そのような場合には、高電圧印加処理時に熱的履歴パラメータesumstrsをリセットし、高電圧印加処理後、熱ストレスパラメータestrsに基づく熱的履歴パラメータesumstrsの算出を新たに始めるようにすればよい。
また、上述した実施の形態1においては、マイクロコンピュータ34が、ヒータ制御回路38を介してヒータ26への通電をフィードバック制御することにより前記第1の発明における「ヒータ制御手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「熱ストレスパラメータ取得手段」および「熱的履歴パラメータ算出手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「目標インピーダンス補正手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1において用いられる排気ガスセンサの構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1における排気ガスセンサの制御装置の構成を示すブロック図である。 素子温度と素子インピーダンスとの関係を示す図である。 高電圧印加処理センサおよび未処理センサのそれぞれのコールコールプロットを示す図である。 素子インピーダンスと耐久時間との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 熱的履歴パラメータに基づいて目標インピーダンスを算出するためのマップの一例を示す図である。
符号の説明
10 排気ガスセンサ
12 カバー
14 センサ素子
16 拡散律速層
18 排気側電極
20 固体電解質層
22 大気側電極
24 大気室
26 ヒータ
28 センサ素子駆動回路
34 マイクロコンピュータ
38 ヒータ制御回路

Claims (3)

  1. 酸素イオン伝導性の固体電解質よりなる固体電解質層と、該固体電解質層を挟んで対向するように設けられた二つの電極とを有するセンサ素子を備える排気ガスセンサの素子温度を制御する装置であって、
    前記センサ素子を加熱するヒータと、
    前記センサ素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段と、
    前記センサ素子の温度を目標温度とするべく、前記インピーダンス検出手段により検出されるインピーダンスが目標インピーダンスに近づくように前記ヒータへの通電を制御するヒータ制御手段と、
    前記センサ素子が受ける熱ストレスに相関するパラメータである熱ストレスパラメータを取得する熱ストレスパラメータ取得手段と、
    前記熱ストレスパラメータに基づいて、前記センサ素子が受けた総熱ストレス量に相関する熱的履歴パラメータを算出する熱的履歴パラメータ算出手段と、
    前記センサ素子のインピーダンス特性の初期的変化の影響を排除するべく、前記熱的履歴パラメータの増加に伴って前記目標インピーダンスが大きくなるようにする補正を行う目標インピーダンス補正手段と、
    を備え
    前記目標インピーダンス補正手段は、前記熱的履歴パラメータが所定値を超えた以降は、前記目標インピーダンスを補正せず、
    前記排気ガスセンサは、その製造時および/または使用途中で、通常使用時の印加電圧よりも高い電圧を前記センサ素子の両電極間に印加する高電圧印加処理を施されるものであり、
    前記センサ素子のインピーダンス特性の初期的変化は、前記高電圧印加処理によって前記固体電解質層の結晶に生じた歪みが熱ストレスの影響で回復することに起因して生ずるものであることを特徴とする排気ガスセンサの素子温度制御装置。
  2. 前記熱ストレスパラメータは、内燃機関の燃料噴射量、内燃機関の吸入空気量、排気ガス温度、前記ヒータへの供給電力、車両の走行距離、および、内燃機関の動作履歴のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の排気ガスセンサの素子温度制御装置。
  3. 前記熱的履歴パラメータ算出手段は、前記高電圧印加処理が施されたときからの熱的履歴を表す熱的履歴パラメータを算出することを特徴とする請求項1または2記載の排気ガスセンサの素子温度制御装置。
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