JP4811131B2 - 排気ガスセンサの制御装置 - Google Patents

排気ガスセンサの制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4811131B2
JP4811131B2 JP2006150197A JP2006150197A JP4811131B2 JP 4811131 B2 JP4811131 B2 JP 4811131B2 JP 2006150197 A JP2006150197 A JP 2006150197A JP 2006150197 A JP2006150197 A JP 2006150197A JP 4811131 B2 JP4811131 B2 JP 4811131B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensor
fuel ratio
temperature
air
exhaust gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006150197A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007321587A (ja
Inventor
圭一郎 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006150197A priority Critical patent/JP4811131B2/ja
Publication of JP2007321587A publication Critical patent/JP2007321587A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4811131B2 publication Critical patent/JP4811131B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

この発明は、排気ガスセンサの制御装置に関する。更に具体的には、内燃機関の排気通路に搭載される排気ガスセンサの劣化を検出する制御装置として好適な排気ガスセンサの制御装置に関する。
特開平4−330348号公報には、内燃機関の排気ガス経路に配置された空燃比センサの制御装置が開示されている。この装置は、空燃比センサに流れる限界電流を検出することにより内燃機関の空燃比を検出する。この空燃比センサは、空燃比が理論空燃比近傍制御されている場合には、ほぼ0mAの出力を示す。また、空燃比センサの故障により空燃比センサに電流が流れない場合にも、その出力が0mAとなる。このため、上記従来技術の制御装置は空燃比センサの出力が0mAを示す場合に、その出力が空燃比センサの正常な出力であるか、空燃比センサの故障によるものであるかを検知する故障検知機能を有している。
具体的に、故障検知機能が機能すると、空燃比センサの出力が0mAを示す場合に、内燃機関の加・減速時でなく、かつ、空燃比が理論空燃比近傍に制御されていることが確認された後、燃料量の増量制御が行われる。そして、燃料量の増量分に対応して空燃比センサの出力が変化していない場合には、空燃比センサの故障の判断が行われる。これにより、上記従来技術によれば、空燃比センサが0mAを示す場合に、その出力が正常な出力であるか、センサの故障による出力であるかが判断され、異常な空燃比センサの出力に基づく空燃比制御を回避できるものとしている。
特開平4−330348号公報 特開2005−76612号公報
上記従来技術によれば、空燃比センサの出力が0mAを示す場合に、空燃比センサの出力の正常・異常を判定することができる。この故障検出においては、内燃機関の暖機後であり、加・減速中でなく、かつ、空燃比が理論空燃比近傍に制御されていることが条件とされる。しかしながら、このような条件下においても、排気ガス中に含まれる各成分ガスの割合は様々な要因の影響を受けて変化するため、これに応じて空燃比センサの出力も変化する。このため、上記従来技術のように単に燃料を増量して空燃比の出力を検出する場合、排気ガスの様々な要因による変化の影響を排除することができず、空燃比センサの出力に、センサの劣化とは無関係の出力のずれが含まれることとなる。従って、このような空燃比センサの出力に基づいて、空燃比センサの劣化の有無を高い精度で判断することは困難である。
また、上記従来技術は、空燃比センサの異常検出のため、一時的に燃料量を増量制御して空燃比をリッチに制御する。しかしながら、このように判定のために燃料をリッチにする制御は、燃料消費量の改善やエミッション特性の向上の観点からは好ましいものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、排気ガスセンサの劣化判定時の燃料増量制御を回避しつつ、排気ガスが変化する環境下においても、排気ガスセンサの劣化を確実に検出することができるように改良した排気ガスセンサの制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記目的を達成するため、内燃機関の排気通路に搭載される排気ガスセンサを制御する排気ガスセンサの制御装置であって、
前記排気ガスセンサは活性温度に達することで活性状態となるセンサ素子を備え、
前記センサ素子の温度を検出する素子温検出手段と、
前記センサ素子の活性開始を検出する活性開始検出手段と、
前記センサ素子の活性開始が検出された場合に、前記センサ素子の素子温が基準温度以下となっているか否かを判定する素子温判定手段と、
前記素子温が前記基準温度以下であると判定された場合に、前記内燃機関の目標空燃比が、基準空燃比の範囲に設定されているか否かを判定する空燃比判定手段と、
前記目標空燃比が前記基準空燃比の範囲に設定されていると判定された場合に、前記排気ガスセンサの出力の、基準出力に対する出力ずれを検出する出力ずれ検出手段と、
前記出力ずれに基づいて、前記排気ガスセンサの劣化を判定する劣化判定手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記素子温が活性温度以下か否かを判定する活性温度判定手段と、
前記素子温が前記活性温度以下と判定されている間の、前記出力ずれの積算値を算出する積算値算出手段と、
を備え、
前記劣化判定手段は、前記出力ずれの積算値が、劣化判定値よりも大きい場合に、前記排気ガスセンサが劣化しているものと判定することを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、
前記素子温が500℃以上、700℃以下か否かを判定する温度判定手段と、
前記素子温が500℃以上700℃以下であると判定されている間の、前記出力ずれの積算値を算出する積算値算出手段を備え、
前記劣化判定手段は、前記出力ずれの積算値が、劣化判定値よりも大きい場合に、前記排気ガスセンサが劣化しているものと判定することを特徴とする。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、
前回の前記内燃機関の停止から、前記素子温の活性開始までの経過時間を検出する経過時間検出手段と、
前記経過時間に応じて、前記劣化判定値を設定する劣化判定値設定手段と、
を備えることを特徴とする。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、
前記基準空燃比は、14.5以上、16.0以下であることを特徴とする。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、
前記内燃機関の冷却水の水温を検出する水温検出手段と、
前記水温が、基準水温以下であるか否かを判定する水温判定手段と、
を備え、
前記出力ずれ検出手段は、前記水温が前記基準水温以下であると判定された場合に、前記出力ずれの検出を行うことを特徴とする。
第1の発明によれば、排気ガスセンサのセンサ素子の活性開始時において、センサ素子の素子温が基準温度以下であって、かつ、内燃機関の目標空燃比が、基準空燃比の範囲に設定されている場合に、排気ガスセンサの出力の基準出力に対する出力ずれを検出し、これに基づいて、排気ガスセンサの劣化を判定する。センサ素子が冷却された後、暖機を開始した場合、劣化しているセンサの暖機中の、空燃比に応じた出力に対する出力ずれは大きなものとなる。従って、センサ素子が基準温度以下の間の出力ずれを検出することにより、排気ガス濃度等が変化する状態であっても、排気ガスセンサの劣化を検出することができる。
ところで、このようなセンサ暖機中のセンサ劣化に起因する出力ずれは、センサが活性温度に達するまでの間に顕著に表れる。従って、第2の発明によれば、素子温が活性温度以下の間、出力ずれの積算値を算出して、これに基づいて劣化判定を行う。これにより、より確実に排気ガスセンサの劣化を検出することができる。
また、センサ暖機中のセンサ劣化に起因する出力ずれは、素子温が500℃以上、700℃以下である場合に、更に顕著に表れる。従って、第3の発明によれば、素子温が500℃以上700℃以下の間の、出力ずれの積算値に基づいて劣化判定を行う。これにより、より確実に排気ガスセンサの劣化を検出することができる。
また、前回の内燃機関の停止から素子温の活性開始までの経過時間によって、出力ずれの大きさが異なるものとなる。従って、第4の発明によれば、劣化判定における劣化判定値を、前回の内燃機関停止から素子温の活性開始までの経過時間に応じて設定することとする。これにより、より確実に排気ガスセンサの劣化を検出することができる。
また、排気ガスセンサの劣化による出力ずれは、リッチ側へのずれ量として検出される。従って、第5の発明によれば、基準空燃比を14.5以上16.0以下の範囲とする。これにより、より確実にリッチ側への出力ずれを検出し、排気ガスセンサの劣化を判定することができる。
また、排気ガスセンサの劣化による出力ずれは、前回の内燃機関の運転停止後に、十分にセンサ素子が冷却された環境である場合に、より顕著に表れる。従って、第6の発明によれば、内燃機関の冷却水の水温が、基準水温以下である場合に、出力ずれの検出を行い、排気ガスセンサの劣化を判定する。これにより、内燃機関の停止後、内燃機関が十分に冷却され、センサ素子が十分に低温まで冷えた状態で、出力ずれを検出することができ、より確実に排気ガスセンサの劣化を判定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態.
[実施の形態の空燃比センサの構成]
図1は、この発明の実施の形態における空燃比センサの構成を説明するための図である。図1に示す空燃比センサ10(排気ガスセンサ)は、例えば内燃機関の排気通路に配置され、排気ガスの空燃比を検出するために用いられるセンサである。空燃比センサ10は、カバー12を備えており、カバー12が排気ガスに晒されるように排気通路に組み付けられる。カバー12には、その内部に排気ガスを導くための孔(図示せず)が設けられている。
カバー12の内部には、センサ素子14が配置されている。センサ素子14は、一端(図1における下端)が閉じられた環状の構造を有している。センサ素子14は、固体電解質層16と、その外周面に沿って形成された排気側電極18と、内周面に沿って形成された大気側電極20とを有している。固体電解質層16は、ZrO2などを含む焼結体であり、酸素イオンを伝導させる特性を有する。排気側電極18及び大気側電極20は、例えば、白金(Pt)等により形成されている。これらの電極18及び20は、固体電解質層16表面に接触する出力金属端子(図示せず)を介して、リード(図示せず)に接続されている。
排気側電極18の外表面には、保護皮膜22が形成されている。保護皮膜22は、例えば、スピネル(MgO・Al2O3)等の多孔質のセラミックスよりなり、この粉末を噴射原料としてプラズマ溶射することにより形成されている。保護皮膜22は、排気側電極18表面を排気中の有害物質から保護している。
空燃比センサ10の保護皮膜22の外表面には、触媒層24が形成されている。触媒層24は、例えば、アルミナ(γ-Al2O3やθ-Al2O3)に触媒金属(Pt、Pt-Rh等)を担持させて形成されている。触媒層24の触媒担持量は、空燃比センサ10の応答性を低下させない範囲で、水素(H2)の拡散を律速させるように調整されている。触媒層24は、排気ガス中に含まれる水素を保護皮膜22に達する前に酸化することで、水素の影響によるセンサの出力ずれを防止することができる。すなわち、排気ガス中に水素及び酸素(O2)が共に存在する場合、水素の拡散速度は酸素に比べて速い。このため、保護皮膜22が最外周に露出して排気ガスに晒されている場合、水素は、保護皮膜22を酸素より早く通過して排気側電極18表面に到達する。その結果、排気側電極18表面付近の雰囲気は、水素により実際の排気ガスよりもリッチな状態となる。その結果、空燃比センサ10の出力がリッチ側にずれることとなる。空燃比センサ10においては、このような、水素によるセンサの出力ずれを抑えるため、保護皮膜22の外表面に、水素の拡散を律速させる触媒層24が配置されている。
センサ素子14の内側には、大気室26が形成されている。大気室26は、大気に開放され、大気側電極20表面が大気に晒される構造となっている。大気室26内には、ヒータ28が配置されている。ヒータ28は、後述するヒータ制御回路と電気的に接続されており、この制御回路に制御されることにより、センサ素子14を適切な温度に加熱して維持する。なお、センサ素子14は、活性温度(例えば、700℃程度)に加熱されることにより、安定した出力特性を示す。
[空燃比センサの制御装置について]
図2は、空燃比センサ10の制御装置のブロック図である。図2に示すように、センサ素子14は、抵抗成分と起電力成分とを用いて、等価的に表すことができる。また、ヒータ28は抵抗成分を用いて等価的に表すことができる。センサ素子14には、リード等を介して、センサ素子駆動回路30が接続されている。センサ素子駆動回路30には、センサ素子14に対して、所望のバイアス電圧を印加するためのバイアス制御回路と、センサ素子14を流れる電流を検出するためのセンサ電流検出回路とが含まれている。
センサ素子駆動回路30が備えるバイアス制御回路には、ローパスフィルタ(LPF)及びD/Aコンバータ等を介して、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)32が接続されている。マイコン32は、これらの要素を介してバイアス制御回路にセンサ素子14に印加すべき電圧を指令することができる。センサ電流検出回路には、D/Aコンバータを介して、マイコン32が接続されている。マイコン32は、D/Aコンバータを介して、センサ電流検出回路によって検出されたセンサ電流を読み込むことができる。
バイアス制御回路は、マイコン32の指令に従い、センサ素子14に対して空燃比検出用のバイアス電圧とインピーダンス検出用電圧とを印加することができる。センサ素子14は、空燃比検出用バイアス電圧が印加されている場合には、排気ガスの空燃比に応じたセンサ電流を流通させる。マイコン32はこれを利用して、センサ素子14に空燃比検出用電圧が印加されている状況下で生ずるセンサ電流に基づいて、排気ガスの空燃比を算出することができる。
センサ素子14に対するバイアス電圧が、空燃比検出用のバイアス電圧からインピーダンス検出用電圧に変更されると、印加電圧の変化に対応してセンサ電流に変化が生じる。この際、印加電圧の変化量とセンサ電流の変化量との比は、センサ素子14の素子インピーダンスに相当する値となる。マイコン32は、これを利用して、インピーダンス検出用電圧が印加されている状況下で生ずるセンサ電流に基づいて、センサ素子14の素子インピーダンスを算出することができる。
ヒータ28には、ヒータ制御回路34が接続されている。ヒータ制御回路34には、マイコン32が接続されている。ヒータ制御回路34は、マイコン32から供給される指令を受けて、その指令に応じた駆動信号をヒータ28に供給し、ヒータ28に所望の熱量を発生させることができる。また、マイコン32は、ヒータ28に供給した電力量を測定し、ヒータ28へのヒータ通電積算電力量を測定することができる。
ここで、センサ素子14の素子温と、素子インピーダンスとには、一定の相関関係がある。本実施の形態において、マイコン32には、素子温に対応するインピーダンスが記憶されている。従って、マイコン32は素子インピーダンスに基づいて、センサ素子14の素子温を検出することができる。また、例えば、センサ素子14の暖機が行われる場合には、素子インピーダンスが目標インピーダンスと一致するように、ヒータ制御回路34を介して、ヒータ28への供給電力を制御する。その結果、センサ素子14を目標の活性温度付近に精度よく制御することができる。
内燃機関作動中においては、マイコン32は、センサ素子14に、正電圧と、素子インピーダンス測定用の電圧とを繰り返し切り替えながら印加する。そして、空燃比A/Fの検出と並行して、素子温検出のための素子インピーダンスの測定を行うことができる。
また、マイコン32には、エンジン制御用ECU(Electronic Control Unit)36が接続されている。マイコン32とECU36間では、センサ情報(空燃比センサ10の出力等)や、内燃機関の運転状態に関する情報(吸入空気量、水温等)が授受されている。ECU36は受信したセンサ情報を利用して、例えば、燃料噴射量の空燃比フィードバック制御を実行する。
[空燃比センサの劣化判定制御について]
上記のように内燃機関においては、検出された空燃比A/Fが目標空燃比と一致するように、燃料噴射量を増減補正する空燃比フィードバックが実行される。従って、空燃比センサ10の出力に異常が発生している場合、異常な出力に基づいて空燃比フィードバックが実行されることとなり、エミッション特性に大きな影響を与えることとなる。従って、空燃比センサ10に異常が発した場合には、直ちにその異常を検出することが好ましい。
しかし、内燃機関の通常運転中においては、その運転状態における様々な要因の影響を受けるため、内燃機関から排出される排気ガスの濃度等は一定とはならない。更に、排気ガス中の各種ガス成分の濃度にもバラツキがある。すなわち、内燃機関の運転中に排出される排気ガスの濃度等の状況には流動的に変化するバラツキがあり、それを特定することは困難である。このように排気ガスがバラツキを有する環境下では、空燃比センサ10の出力の異常を即座に発見することは困難である。つまり、空燃比センサ10の出力が空燃比制御値に応じた値から大きくずれている場合であっても、その出力ずれが排気ガスのバラツキによるものか、あるいは、空燃比センサ10の異常による出力ずれによるものかを的確に判断して、空燃比センサ10の劣化を判定することは困難となる。
特に、排気側電極18側に水素の拡散速度を律速させるための触媒層24を有する空燃比センサ10において、触媒層24は経時劣化を起こしやすい。触媒層24が劣化すると、水素を律速させる機能が発揮されなくなるため、センサ出力にずれが生じることとなる。この出力ずれは、排気ガス中の水素に起因するものであるが、上記のように排気ガスのバラツキにより、排気ガス中の水素濃度を特定することは困難である。従って、触媒層24が劣化に起因して空燃比センサ10の出力ずれが生じた場合にも、内燃機関の通常運転中に、その出力が正常であるか異常であるかを判定することは困難である。
ところで、内燃機関の始動直後、すなわちセンサ素子14の素子温が活性温度に達するまでの空燃比センサの暖機中においては、触媒層24が劣化していないセンサ(以下「触媒層正常センサ」とする)と触媒層24が劣化したセンサ(以下「触媒層劣化センサ」とする)との間に次のような傾向が見られる。図3は、内燃機関の始動開始後の、触媒層正常センサと、触媒層劣化センサとのセンサ出力の変化を説明するための図である。図3において、横軸は経過時間を表し、縦軸は空燃比センサの出力を表している。また、図3において、点線(a)は触媒層正常センサの出力により検出された空燃比A/F、実線(b)は触媒層劣化センサの出力により検出された空燃比A/F、細線(c)は空燃比制御値を表している。図3に示す例では、細線(c)に表すように、空燃比は理論空燃比近傍の一定値に制御されている。
図3に示すように、センサ素子14の暖機過程において、触媒層正常センサにより検出される出力の空燃比制御値に対するリッチずれは僅かである(点線(a))。これに対して、触媒層劣化センサにより検出される空燃比制御値に対するリッチずれは、大きなものとなっている(実線(b))。このようなセンサ素子14の暖機過程における出力のリッチずれは、センサ素子14の触媒層24の劣化が進行するほど大きくなる傾向がある。また、図3に示す傾向はセンサ素子14が活性温度に達する前、すなわちセンサ出力が空燃比に応じた出力に安定する前に現れる傾向であり、排気ガス中の各成分の濃度による強い影響を受けることなく、同じような出力ずれの傾向が現れる。発明者の知見によれば、このことは、以下に説明するように、センサ素子14が冷却された際のセンサ素子14に吸着する酸素の吸着量が、触媒層劣化センサと触媒層正常センサとで異なるためであると考えられる。
図4は、内燃機関の停止後と、始動時におけるセンサ素子14の状態を説明するための模式図であり、具体的に、図4(A)は内燃機関の停止後にセンサ素子14に排気ガス中の成分が吸着した様子を表し、図4(B)は吸着した成分が内燃機関の始動後に脱離する様子を表している。センサ素子14は、上記のように内燃機関の排気ガスの経路に配置され、排気側電極18側が排気ガスに晒される状態で用いられる。排気ガス中には、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)などの種々の成分が含まれている。センサ素子14が活性状態にあるときには、これらの成分は、排気側電極18付近に吸着せず、触媒層24、保護皮膜22を通過して排気側電極18に到達する。しかし、内燃機関の停止後、センサ素子14の温度が低下する過程で、これらの成分は排気側電極18側に化学的に吸着すると考えられる。
このような吸着反応は、センサ素子14の温度がある程度低下した吸着温度域内で起きやすい。内燃機関の停止後は、ヒータ28への通電が停止されることから、センサ素子14の温度は、必然的に、吸着を開始する吸着温度域まで低下する。このため図4(A)に示すように、内燃機関の停止後、不可避的に、排気ガス中の成分50が排気側電極18付近に吸着することになる。
上記のように、これらの排気側電極18付近に吸着する成分50には、酸素52が含まれるが、酸素52は主に触媒層24に吸着すると考えられる。更に、酸素52の触媒層24への吸着量は、センサ素子14が新品の状態においては多く、触媒層24が劣化するにつれて、その吸着量は減少するものと考えられる。
ここで、図4(B)に示すように、センサ素子14の素子温が低下した状態からセンサ素子14の暖機が開始されると、その暖機の過程で素子温が吸着温度域の下限を越える程度に加熱されることにより、吸着した成分50が脱離を開始する。ここで、触媒層24に吸着した酸素52が十分に多い場合には、酸素52と暖機時のリッチずれの要因となる成分とがある程度相殺されることで、空燃比センサ10の出力のリッチずれが小さく抑えられる。従って、空燃比A/Fが、例えば理論空燃比近傍に制御されている場合には、空燃比センサ10は理論空燃比近傍の値を表すものと考えられる(図3点線(a)参照)。一方、センサ素子14の触媒層24の劣化が進み、センサ冷却時の酸素52の吸着量が少なくなっている場合には、暖機時にリッチずれを引き起こす要因となる成分を相殺する作用が小さくなる。その結果、排気側電極18付近がリッチ雰囲気となり、空燃比センサ10の暖機過程における出力のリッチずれは大きくなる(図3実線(b)参照)。
このような現象を利用することにより、触媒層24の劣化を判定することができる。すなわち、センサ素子14の暖機過程において出力のリッチずれを検出し、そのずれ量が許容範囲を越える場合に、その空燃比センサ10を劣化判定すればよい。具体的には、内燃機関始動後、センサ素子14の暖機過程における劣化判定中に、空燃比センサ10の出力のリッチずれRSを、次式(1)のように算出する。
リッチずれRS=|実センサ出力 − 理論空燃比出力| ・・・・(1)
式(1)において、実センサ出力は、劣化判定中に空燃比センサ10により検出された出力値である。また、理論空燃比出力は、空燃比が理論空燃比の場合に対応する正常なセンサ出力値であり、予めマイコン32に記憶されている。なお、空燃比は必ずしも理論空燃比に制御されるものではないが、上記リッチずれRSはセンサ出力のずれを判定するための指標を算出するための値であるため、必ずしも現実の空燃比に対応する出力値を用いなくてもよい。そこで、劣化判定中は理論空燃比近傍の所定の範囲で空燃比制御が行われる状態であるため、ここでは、理論空燃比に応じた出力値と実センサ出力との差をリッチずれとして用いる。
次に、式(1)により算出されたリッチずれRSの合計を求め、合計値をリッチずれ指標SUMRSとする。ここでリッチずれ指標SUMRSが大きい場合、センサ素子14暖機前の冷却中の酸素吸着量が少なかったものと考えられる。つまり、センサ素子14の触媒層24が劣化しているものと考えられる。従って、リッチずれ指標SUMRSが所定の劣化判定値WRSよりも大きい場合に、触媒層24が劣化しているものと判断し、空燃比センサ10の異常を検出する。これに対して、リッチずれ指標SUMRSが劣化判定値WRSよりも小さい場合、センサ素子14に多くの酸素52が吸着され、リッチずれの要因となる成分の影響が相殺されている状態と考えられる。このため、空燃比センサ10は正常であると判定する。
劣化判定値WRSは、例えば、触媒層24が劣化したと認められる空燃比センサによる出力に応じて求められるリッチずれ指標の下限値を実験等に求めることにより設定すればよい。また、このような劣化判定値WRSは、前回の内燃機関の運転停止からの経過時間の影響を受ける。図5は、経過時間と劣化判定値との関係を説明するための図である。図5において、横軸は経過時間を表し、縦軸は劣化判定値を表している。
排気側電極付近に吸着した成分50の吸着量は、前回の内燃機関の運転停止からの経過時間が長くなるに連れて、吸着が飽和状態となるまでの間増加する。吸着量が増加すると、これら成分50のセンサ出力への影響は大きくなるため、リッチずれが大きくなるものと考えられる。従って、図5に示すように、経過時間が長くなるに連れて、劣化判定値WRSが大きくなるように設定される。マイコン32は、このような関係に基づいて劣化判定値WRSと経過時間との関係を定めたマップを予め記憶している。センサ素子14の劣化判定時には、このマップに従って、経過時間に応じた劣化判定値WRSが設定される。
また、この判定では、成分50の脱離に起因するリッチずれを検出する必要がある。すなわち、上記のリッチずれ指標SUMRSは、酸素52を含む吸着した成分50の脱離が起きる条件下で、その脱離に起因するものを特定して検出できることが好ましい。従って、以下の条件A〜条件Dが成立した場合にのみ、劣化判定を行うものとする。以下の条件A〜条件Dは、センサのリッチずれ量に影響を与えるものであるため、劣化判定値WRSのマップ設定においても、条件A〜条件Dの成立が前提とされる。
<条件A> 内燃機関の通常の運転後に運転が停止され、その後、内燃機関、センサ素子14が、共に十分に冷却した状態であること。
具体的には、始動時の内燃機関の冷却水の水温(始動時水温TW)が、0〜30℃程度の範囲内であること、及び始動直後のセンサ素子14の素子インピーダンスRstが基準インピーダンスRbase以下であることにより判断される。
つまり、排気ガス中の成分50がセンサ素子14に十分に吸着して、飽和状態、あるいはそれに近い状態となっていることを条件とする。すなわち、本実施の形態では、酸素52の吸着量の違いを利用して、リッチずれ量による劣化判定を行う。従って、より正確な劣化判定を行うためには、リッチずれが顕著に表れる条件であることが好ましく、従って、酸素52を含む、排気ガス中の成分50がより多く吸着した状態となることが好ましい。そこで、本実施の形態では、成分50の吸着量が多くなるように、十分にセンサ素子14及び内燃機関が冷却された状態であることを条件とする。すなわち、前回の通常運転において排出された排気ガス中に排気側電極18側が晒された状態でセンサ素子14が十分に冷却されたことが条件とされ、具体的には条件Aの成立が条件とされる。
また、例えば、極低温での始動の場合、空燃比センサ10の被水防止等の理由で、ヒータ28の通電制御を通常とは異なるものとし、素子温が通常よりも緩やかに昇温したりするように制御する場合がある。この場合には、空燃比センサ10の出力の挙動が安定しないため、劣化判定を行うことができない。従って、極低温の場合を除外するものとし、始動時水温は0℃以上であることが条件とされる。
<条件B> 劣化判定時、内燃機関始動後の目標空燃比が、A/F14.5〜16.0の範囲に制御されていること。
実施の形態のシステムは酸素52の吸着量の違いを利用して、センサ暖機時の出力のわずかなリッチずれに基づいて劣化判定を行う。従って、リッチずれが起きていることをより確実に検出するため、出力ずれを確実に確認できる環境である必要がある。従って、リッチずれが顕著となるように、排気ガスの空燃比A/Fは、理論空燃比近傍から若干リーンな空燃比の範囲に制御することが望まれる。従って、条件Bを満たすことを条件とする。
<条件C> 排気ガスの流量が安定していて、かつ再現性が見込める状態であること。
具体的には、劣化判定中の機関回転数及び吸入空気量が基準値以下であり、吸入空気量の積算値が基準値以下であることによりこれを判断する。つまり、ここではリッチずれRSの積算値SUMRSの大小により劣化判定を行うため、リッチずれRSの検出環境は、他の要因がセンサ出力の結果に大きな影響を与えないよう安定した状態であることが望まれる。また、リッチずれの積算値を算出し、劣化判定値との比較により劣化判定を行うため、リッチずれの検出環境は繰り返し再現される環境である必要がある。従って、このような条件を満たすよう、機関回転数、吸入空気量、積算吸入空気量等により判断される運転状態に関する条件Cの成立が条件となる。
<条件D> センサ素子14の素子温が、500℃〜750℃であること。
具体的に、検出される素子インピーダンスRtが、500〜750℃に対応する素子インピーダンス値R500〜R700の範囲内であることにより、これを判断する。センサ素子14の暖機過程であっても、素子温が始動直後の状態から500℃程度までの間は、成分50の脱離量が比較的少ないため、センサ出力への影響が少ない。また、センサ素子14が750℃程度の活性温度にまで達すると、成分50の脱離は終了し、成分50による出力ずれが起きなくなる。すなわち、センサの劣化による出力のずれは、成分50の脱離が開始した直後から脱離終了までの間に、最も顕著に表れる。そこで、本実施の形態では、出力ずれが大きい範囲のみを選択してセンサ出力を検出することで、より高い精度でリッチずれによる劣化判定を行うこととする。そこで、条件Dの成立が条件となる。
[実施の形態の制御のルーチン]
図6は、この発明の実施の形態において、システムが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図6に示すルーチンは、内燃機関の始動の際、繰り返し実行されるルーチンである。図6に示すルーチンにおいては、まず、ステップS102において、劣化判定中フラグがONとなっているか否かが判定される。劣化判定中フラグは、後述する工程において、空燃比センサ10の触媒層24の劣化判定が開始される条件Aが成立する場合にONとされるフラグである。ステップS102において劣化判定中フラグ=ONの成立が認められない場合、次に、内燃機関の始動が要求されているか否かが判定される(ステップS104)。内燃機関の始動が認められない場合、一旦この処理を終了する。
一方、ステップS104において、内燃機関の始動要求が認められた場合、始動時水温TWstが検出される(ステップS106)。始動時水温TWstは、内燃機関に配置された水温センサ(図示せず)の出力に応じて検出される。次に、始動時水温TWstが0℃以上30℃以下であるか否かが判定される(ステップS108)。つまり、ここでは、条件Aに説明したように、前回の運転停止から十分に内燃機関が冷却され、かつ極低温での始動ではないか否かが判定される。ステップS108において、0≦始動時水温TWst≦30の成立が認められない場合には、排気ガス中の成分50の吸着が十分でない、あるいは、センサ出力を安定した状態で検出できない状態であると考えられるため、センサ素子14の劣化判定は開始せず、一旦この処理を終了する。
一方、ステップS108において0≦始動時水温TWst≦30の成立が認められた場合、次に、始動時の素子インピーダンスRstが検出される(ステップS110)。始動時の素子インピーダンスRstは、センサ素子14に素子インピーダンス検出用の電圧を印加した場合のセンサ電流の変化を検出し、これに基づいて算出される。この素子インピーダンスは、センサ素子14の始動時の素子温に対応した値である。次に、検出された素子インピーダンスRstが基準インピーダンスRbase以下であるか否かが判定される(ステップS112)。ここでの基準インピーダンスRbaseは、素子温が十分に低いと判定できる素子温の上限温度に対応した値である。従って、始動時素子インピーダンスRst≦基準インピーダンスRbaseであることが認められない場合には、素子温が十分に低下していないものと判定され、一旦この処理が終了する。
一方、ステップS112において、素子インピーダンスRst≦基準インピーダンスRbaseの成立が認められた場合、素子温が十分に低下し、すなわち、センサ素子14が十分に冷却され排気ガス中の成分50が十分に吸着しているものと判定される。この場合、上記ステップS108及びステップS112の条件の成立が認められることにより、条件Aの成立が認められ、劣化判定フラグ=ONとされる(ステップS114)。
ステップS102において劣化判定フラグ=ONの成立が認められた場合、あるいは、ステップS114において、劣化判定フラグ=ONとされた場合、内燃機関の現在の運転状態に関する情報が検出される(ステップS116)。具体的には、例えば、現在の機関回転数、及び吸入空気量、始動開始から現在までの吸入空気量の積算値、現在の目標空燃比、現在の素子インピーダンスRt、及び冷却水の水温TW、前回内燃機関を停止してから今回始動するまでの経過時間等が検出される。
次に、現在の運転条件が、上記条件Bを満たすか否かが判定される(ステップS118)。つまり、目標空燃比が14.5〜16.0の間に設定され、この制御目標値で空燃比が制御されているか否かが判定される。条件Bの成立が認められた場合、次に、条件Cを満たすか否かが判定される(ステップS120)。すなわち、排気ガス流量が安定し再現性が見込める状態であるか否か、具体的には、エンジン回転数が基準回転数以下であり、吸入空気量が基準量以下、吸入空気量積算値が基準値以下であることが判定される。ステップS118において条件Bの成立が認められない場合、あるいはステップS120において条件Cの成立が認められない場合には、劣化判定を行う条件が成立していないため、劣化判定フラグ=OFFとされる(ステップS122)。次に、リッチずれ指標SUMRS=0とされ(ステップS124)、その後、今回の劣化判定処理を終了する。
一方、ステップS118及びS120において、条件B及び条件Cを満たすことが認められた場合、次に、センサ素子14の素子温が500℃以上否かが判定される(ステップS126)。具体的には、検出されたセンサ素子14の素子インピーダンスRtが、素子温500℃に対応する値であるインピーダンスR500以下である場合に、素子温が500℃以上であると判定される。ステップS126において素子温≧500℃の成立が認められない場合、一旦この処理が終了する。その後、このルーチンが繰り返し実行されると、ステップS102において、劣化判定フラグ=ONの成立が認められている間、ステップS126において素子温が500℃以上であることが認められるまで、ステップS116〜S124に従って、上記の処理が行われる。
一方、ステップS126において、センサ素子14の素子温≧500℃の成立が認められた場合、次に、素子温が750℃以下であるかが判定される(ステップS128)。具体的には、検出されたセンサ素子14の素子インピーダンスRtが、素子温750℃に対応する値であるインピーダンスR750以上である場合に、素子温≦750℃の成立が認められる。
ステップS128において、素子温≦750℃の成立が認められた場合、次に、リッチずれRSが算出される(ステップS130)。リッチずれRSは、上記式(1)に従って、現在の空燃比センサ10の出力から、理論空燃比に応じた出力を減算した値の絶対値として算出される。次に、リッチずれ指標SUMRSが算出される(ステップS132)。リッチずれ指標SUMRSは、前回までに算出された、リッチずれRSの積算値であるリッチずれ指標SUMRSに、今回ステップS130において算出されたリッチずれRSを加算することにより算出される。なお、前回までのリッチずれRSの積算値SUMRSは、初期値においてはSUMRS=0とされ、第1回目のリッチずれ指標SUMRSの算出においては、SUMRS=RS+0とされる。次に、ステップS130において算出されたリッチずれ指標SUMRSが記憶される(ステップS134)。その後この処理が一旦終了する。
内燃機関の始動時、このルーチンが繰り返し実行され、上記条件A〜Cの成立中、ステップS126において素子温≧500℃の成立が認められ、かつステップS128において素子温≦750℃の成立が認められる間、ステップS130〜ステップS134に従って、リッチずれRSに基づいてリッチずれ指標SUMRSが繰り返し更新され、記憶される。
一方、上記ルーチンが繰り返し実行される中で、ステップS128において、素子温≦750℃の成立が認められなくなった場合、ステップS136において前回記憶されたリッチずれ指標SUMRSが読み出される。次に、劣化判定値WRSが設定される(ステップS138)。劣化判定値WRSは、内燃機関が前回停止した後、今回始動を開始するまでの経過時間に応じて、マイコン32に予め記憶されたマップに従って設定される。
次に、リッチずれ指標SUMRSが劣化判定値WRS以下であるか否かが判定される(ステップS140)。ここでリッチずれ指標SUMRSが劣化判定値WRS以下であることが認められた場合、空燃比センサ10は正常であると判定される(ステップS142)。一方、リッチずれ指標SUMRS≦劣化判定値WRSの成立が認められない場合、触媒層24の劣化が認められ、空燃比センサ10の劣化が判定される(ステップS144)。その後、劣化判定フラグ=OFFとされ(ステップS146)、リッチずれ指標SUMRS=0とされる(ステップS148)。その後この処理が終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、センサ素子14冷却後、再び暖機が開始した場合のセンサ出力のリッチずれにより、触媒層24の劣化を判定する。従って、センサ素子14の排気側電極18側に、水素ガスによる出力ずれを抑制する触媒層24が設けられている空燃比センサ10についても、触媒層24の劣化による空燃比センサの異常を確実に判定することができる。また、このような制御によれば、劣化判定における燃料を増量する制御を回避することができる。
なお、本実施の形態において、センサ素子14の劣化判定において、始動時水温TWstが0〜30℃であることを条件とする場合について説明した。これは、内燃機関が十分に冷却されていることを判定するためであり、また、極低温等の特殊な環境での始動の場合に劣化判定の開始を避けるためである。しかし、この発明においては、始動時水温の範囲はこれに限るものではなく、内燃機関の冷却が確認できるものであれば、他の条件であってもよい。また、本発明では、少なくともセンサ素子14が冷却されていれば良いため、このような内燃機関の水温の判定を行わないものであってもよい。
また、本実施の形態において、センサ素子14の劣化判定を行う条件として、空燃比がA/F14.5〜16.0であることを条件Bとする場合について説明した。これは、上記のように理論空燃比近傍〜リーン雰囲気である場合に、より正確にリッチ側へのセンサの出力ずれが検出できるためである。しかし、この発明において空燃比の制御値は必ずしもこの範囲に限るものではなく、例えば、A/F14.0〜16.0程度としてもよい。またこの範囲に限るものではない。但し、リッチ側への出力ずれを検出できる範囲で、理論空燃比近傍〜リーン空燃比の範囲内であることが望ましい。
また、本実施の形態においては、センサ素子14の温度が500℃以上750℃以下の場合に、出力ずれを判定する場合について説明した。これは、空燃比センサ10の場合、センサ素子14の温度が500℃〜750℃において出力ずれが顕著となるためであり、この範囲におけるセンサ出力を選択的に検出することで、より的確に空燃比センサ10の劣化を判定できるためである。しかし、この発明において、劣化判定時のセンサ素子14の温度はこの範囲に限るものではなく、例えば、始動開始直後から活性温度到達までの間のセンサ出力に基づいて、リッチずれRS及びリッチずれ指標SUMRSを算出し劣化判定を行うものであってもよい。
また、本実施の形態においては、図1に示す空燃比センサ10を用いる場合について説明したが、この発明は空燃比センサ10に限るものではなく、他の排気ガスセンサに適用することもできる。他の排気ガスセンサに適用する場合、吸着種の脱離開始温度や脱離終了温度、活性温度は、用いるセンサごとに異なるものであり、例えば酸素センサの場合には、300℃程度で活性温度に達する。従って、条件Dにおける温度設定は、吸着した成分の脱離から脱離が終了するまでの間に、センサ出力が検出されるように、本発明が適用されるセンサごとに設定すればよい。
また、本実施の形態においては、空燃比センサの出力と、理論空燃比における出力との差をリッチずれRSとして求めて、リッチずれRSの積算値をリッチずれ指標SUMRSとし、このリッチずれ指標SUMRSが劣化判定値WRSより小さい場合に触媒層24の劣化を判定する場合について説明した。しかし、この発明において、劣化判定の手法はこれに限るものではなく、例えばリッチずれRSを求めて、これに基づいて判定の指標となる値を算出して、劣化判定をするものであってもよい。また、例えば、リッチずれRSは、実際の出力と理論空燃比に対する出力との差ではなく、実際の出力と、制御目標空燃比に応じた出力との差として求めてもよい。更に、空燃比センサ10の出力を判定のパラメータとして用いるものに限らず、例えば出力に基づいて空燃比を算出し、これをパラメータとして劣化の判定の指標としてもよい。
また、実施の形態においては、劣化判定値WRSを、経過時間に応じた値として設定する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば、一定の値として予め記憶したものであってもよい。
また、センサ素子14の素子温の検出、判定は、素子インピーダンスに基づいて行う場合について説明した。しかし、この発明において、センサ素子14の素子温検出、判定の方法はこれに限るものではなく、例えば、直接センサ素子14の素子温の温度を検出するものや、ヒータ28への通電量から推定するなど、他の手法により検出するものであってもよい。
また、センサ素子14の触媒層24、保護皮膜22の構成について具体的に説明したが、触媒層24は必ずしもこのような構成に限るものではなく、水素の拡散を律速する働きを有するものであれば、他の構成のものであってもよい。
なお、例えば、実施の形態において、ステップS110が実行されることにより、この発明の「素子温検出手段」が実現し、ステップS104が実行されることにより「活性開始検出手段」が実現し、ステップS112が実行されることにより「素子温判定手段」が実現し、ステップS118が実行されることにより「空燃比判定手段」が実現し、ステップS130が実行されることにより「出力ずれ検出手段」が実現し、ステップS140〜S144が実行されることにより「劣化判定手段」が実現する。
また、例えば、実施の形態においてステップS128が実行されることにより、この発明の「活性判定手段」が実現し、ステップS126及びS128が実行されることにより「温度判定手段」が実現し、ステップS132が実行されることにより「積算値算出手段」が実現し、ステップS138が実行されることにより「劣化判定値設定手段」が実現し、ステップS106が実行されることにより「水温検出手段」が実現し、ステップS108が実行されることにより「水温判定手段」が実現する。
この発明の実施の形態における空燃比センサを説明するための模式図である。 この発明の実施の形態における空燃比センサの制御装置について説明するための模式図である。 センサ素子暖機時における、空燃比センサの出力について説明するための図である。 この発明の実施の形態における、センサ素子冷却時とセンサ素子暖機時の状態を説明するための図である。 この発明の実施の形態における、内燃機関停止からの経過時間と劣化判定値との関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態1においてシステムが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。
符号の説明
10 空燃比センサ
12 カバー
14 センサ素子
16 固体電解質層
18 排気側電極
20 大気側電極
22 保護皮膜
24 触媒層
26 大気室
28 ヒータ
30 センサ素子駆動回路
32 マイコン
34 ヒータ制御回路
36 ECU
50 酸素
52 吸着種

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に搭載される排気ガスセンサを制御する制御装置であって、
    前記排気ガスセンサは活性温度に達することで活性状態となるセンサ素子を備え、
    前記センサ素子の温度を検出する素子温検出手段と、
    前記センサ素子の活性開始を検出する活性開始検出手段と、
    前回の前記内燃機関の停止から、前記センサ素子の活性開始までの経過時間を検出する経過時間検出手段と、
    前記センサ素子の活性開始が検出された場合に、前記センサ素子の素子温が活性温度以下となっているか否かを判定する素子温判定手段と、
    前記素子温が前記活性温度以下であると判定された場合に、前記内燃機関の目標空燃比が、基準空燃比の範囲に設定されているか否かを判定する空燃比判定手段と、
    前記目標空燃比が前記基準空燃比の範囲に設定されていると判定された場合に、前記排気ガスセンサの出力の、基準出力に対する出力ずれを検出する出力ずれ検出手段と、
    前記センサ素子の素子温が活性温度以下となっていると判定されている間の、前記出力ずれの積算値を算出する積算値算出手段と、
    前記経過時間に応じて、前記劣化判定値を設定する劣化判定値設定手段と、
    前記出力ずれの積算値が、前記劣化判定値よりも大きいか否かに基づいて、前記排気ガスセンサが劣化を判定する劣化判定手段と、
    を備えることを特徴とする排気ガスセンサの制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に搭載される排気ガスセンサを制御する制御装置であって、
    前記排気ガスセンサは活性温度に達することで活性状態となるセンサ素子を備え、
    前記センサ素子の温度を検出する素子温検出手段と、
    前記センサ素子の活性開始を検出する活性開始検出手段と、
    前回の前記内燃機関の停止から、前記センサ素子の活性開始までの経過時間を検出する経過時間検出手段と、
    前記センサ素子の活性開始が検出された場合に、前記センサ素子の素子温が500℃以上750℃以下となっているか否かを判定する素子温判定手段と、
    前記素子温が500℃以上750℃以下であると判定された場合に、前記内燃機関の目標空燃比が、基準空燃比の範囲に設定されているか否かを判定する空燃比判定手段と、
    前記目標空燃比が前記基準空燃比の範囲に設定されていると判定された場合に、前記排気ガスセンサの出力の、基準出力に対する出力ずれを検出する出力ずれ検出手段と、
    前記センサ素子の素子温が500℃以上750℃以下となっていると判定されている間の、前記出力ずれの積算値を算出する積算値算出手段と、
    前記経過時間に応じて、前記劣化判定値を設定する劣化判定値設定手段と、
    前記出力ずれの積算値が、前記劣化判定値よりも大きいか否かに基づいて、前記排気ガスセンサが劣化を判定する劣化判定手段と、
    を備えることを特徴とする排気ガスセンサの制御装置。
  3. 前記基準空燃比は、14.5以上、16.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガスセンサの制御装置。
  4. 前記内燃機関の冷却水の水温を検出する水温検出手段と、
    前記水温が、基準水温以下であるか否かを判定する水温判定手段と、
    を備え、
    前記出力ずれ検出手段は、前記水温が前記基準水温以下であると判定された場合に、前記出力ずれの検出を行うことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の排気ガスセンサの制御装置。
JP2006150197A 2006-05-30 2006-05-30 排気ガスセンサの制御装置 Expired - Fee Related JP4811131B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006150197A JP4811131B2 (ja) 2006-05-30 2006-05-30 排気ガスセンサの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006150197A JP4811131B2 (ja) 2006-05-30 2006-05-30 排気ガスセンサの制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007321587A JP2007321587A (ja) 2007-12-13
JP4811131B2 true JP4811131B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=38854639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006150197A Expired - Fee Related JP4811131B2 (ja) 2006-05-30 2006-05-30 排気ガスセンサの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4811131B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4952660B2 (ja) * 2008-06-10 2012-06-13 トヨタ自動車株式会社 空燃比センサの劣化判定装置及び方法
JP5594068B2 (ja) * 2010-11-04 2014-09-24 株式会社豊田自動織機 内燃機関において空燃比検出手段のばらつきを判定する方法および装置
CN103314205A (zh) * 2011-01-21 2013-09-18 丰田自动车株式会社 内燃机的控制装置
JP5998429B2 (ja) * 2011-04-07 2016-09-28 マツダ株式会社 ハイブリッド車両
US9004050B2 (en) * 2012-04-19 2015-04-14 Ford Global Technologies, Llc Gaseous fuel rail sensor diagnostics

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005140742A (ja) * 2003-11-10 2005-06-02 Toyota Motor Corp センサの劣化診断装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007321587A (ja) 2007-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10605763B2 (en) Method of reducing output degradation of gas sensor
WO2014112315A1 (ja) SOx濃度検出装置
JP4811131B2 (ja) 排気ガスセンサの制御装置
CN116569032A (zh) 气体传感器
JP2002071633A (ja) 空燃比センサのヒータ制御装置
JP2001141696A (ja) ガス検出装置
JP5767607B2 (ja) ガスセンサ制御装置
JP4826566B2 (ja) 排気ガスセンサの素子温度制御装置
US20170059510A1 (en) Method of recovering process for gas sensor
JP4894748B2 (ja) ガス濃度検出装置
JP2001133429A (ja) 車載用noxセンサのオフセット再校正方法
JP2001074693A (ja) ガス濃度センサのヒータ制御装置
JP2017053802A (ja) ガス濃度湿度検出装置及びガス濃度湿度検出方法
JP4784445B2 (ja) 排気温度測定装置及び排気温度測定方法
JP6805072B2 (ja) ガス濃度検出装置
KR101484113B1 (ko) 내연 기관의 제어 장치
JP2006200930A (ja) 排気ガスセンサの制御装置
JP5007689B2 (ja) ガス濃度検出装置
JP3352002B2 (ja) 窒素酸化物吸蔵触媒の機能低下検出方法及び装置
JP2011080992A (ja) ラムダゾンデの作動方法及びこの方法の実施のための装置
JP2004258033A (ja) ガスセンサのセンサ素子
JP2003090820A (ja) NOxガスセンサ
JP3431518B2 (ja) 窒素酸化物吸蔵触媒の機能状態検出方法及び装置
JP6455389B2 (ja) センサ制御装置
WO2023026899A1 (ja) ガスセンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110726

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110808

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4811131

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees