JP2003090820A - NOxガスセンサ - Google Patents

NOxガスセンサ

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JP2003090820A
JP2003090820A JP2001283305A JP2001283305A JP2003090820A JP 2003090820 A JP2003090820 A JP 2003090820A JP 2001283305 A JP2001283305 A JP 2001283305A JP 2001283305 A JP2001283305 A JP 2001283305A JP 2003090820 A JP2003090820 A JP 2003090820A
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昭夫 水谷
Hideki Matsubara
英樹 松原
Shinji Tanabe
真志 田辺
Mineji Nasu
峰次 那須
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 起動後のライトオフ時間を短く設定すること
ができ、また、センサ出力のS/N比の悪化を防ぐこと
ができるNOxガスセンサを提供すること。 【解決手段】 NOxガスセンサ1は、第1ポンプセル
11,酸素濃度検知セル12,第2ポンプセル13を、
アルミナを主体とする絶縁層14,15を介して積層し
た構造を有する。また、第2ポンプセル13に備えられ
る第2外側電極25bの周囲には、多孔質体からなる第
2拡散抵抗体17が形成されており、第2内側電極25
aと第2拡散抵抗体17との間には、第2室S2が形成
されている。そして、第2室S2の容積Vと第2内側電
極25a電極面積Aとからなる変数V/Aの値が0.0
1[mm]〜0.1[mm]に設定されたNOxガスセ
ンサは、ライトオフ時間を短縮し、かつS/N比の悪化
を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、燃焼器、
ボイラー等から排出される排ガス等の被測定ガス中に含
まれる特定成分の検出等に用いられるガスセンサであ
り、特にNOxの検出に用いるNOxガスセンサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガスセンサの一つとして、図
6に示すように、酸素イオン伝導性のある固体電解質層
に多孔質電極を形成することにより形成された第1酸素
ポンプセル111,酸素濃度測定セル112,第2酸素
ポンプセル113を絶縁層114,115を介して積層
した構造を有するセンサ本体110aと、センサ本体1
10aを加熱するヒータ110bとからなるガスセンサ
110が知られている。
【0003】即ち、センサ本体110aは、第1拡散抵
抗体116を介して被測定ガス空間(例えば、排気管
内)に連通する第1測定室S1、および第2拡散抵抗体
117を介して第1測定室S1に連通する第2測定室S
2を有し、第1酸素ポンプセル111および第2酸素ポ
ンプセル113により、第1測定室S1および第2測定
室S2の内部に存在する酸素のポンピング(汲み出し,
汲み入れ)をそれぞれ可能とし、酸素濃度測定セル11
2により、酸素濃度を一定に制御された酸素基準室11
8と第1測定室S1との酸素濃度差、つまり第1測定室
S1内の酸素濃度の測定を可能とするように構成されて
いる。
【0004】そして、このガスセンサ110を駆動する
駆動回路120は、ヒータ110bにてセンサ本体11
0aを活性温度(例えば750℃)まで加熱し、この状
態で、酸素濃度測定セル112の両端電圧Vsが予め設
定された一定電圧(例えば425mV)となるように第
1ポンプ電流Ip1を制御すると共に、第2酸素ポンプ
セル113に、第2測定室S2から酸素を汲み出す方向
に一定の第2ポンプ電圧Vp2(例えば450mV)を
印加し、この時、第2酸素ポンプセル113に流れる第
2ポンプ電流Ip2の検出を行う。
【0005】なお、検出すべき特定成分が酸化物(例え
ば、窒素酸化物,亜硫酸ガス,二酸化炭素,水など)で
ある場合には、第1測定室S1内の酸素濃度を低酸素濃
度(≒0%)に保持し、且つ第2ポンプ電圧Vp2を所
定の電圧に保持すると、第2測定室S2では、第2酸素
ポンプセル113を構成する多孔質電極の触媒作用によ
って、酸化物が分解し、その分解により得られた酸素が
第2測定室S2から抜き取られることにより第2ポンプ
電流Ip2が流れる。従って、第2ポンプ電流Ip2
は、特定成分の濃度に対応した大きさとなる。
【0006】一方、特定成分が還元性物質(例えば、一
酸化炭素,炭化水素,アルコールなど)である場合に
は、第2測定室S2内にて特定成分と酸素とが反応し、
その反応後の残存酸素が第2測定室S2から抜き取られ
ることにより第2ポンプ電流Ip2が流れる。この時、
第2測定室S2内を、特定成分が検出される最大量と同
程度(通常は、ppmオーダ)の一定酸素濃度に制御す
ることにより、特定成分の濃度が高いほど残存酸素の濃
度が低くなることから、この残存酸素の濃度に応じた大
きさとなる第2ポンプ電流Ip2に基づいて、特定成分
の濃度を求めることが可能となる。
【0007】つまり、いずれの場合でも、特定成分の濃
度を正確に検出するには、第2測定室S2の雰囲気を、
一定の低酸素濃度となるように制御する必要がある。な
お、特定成分としてNOxを検出するためのガスセンサ
は、NOxが還元反応することで発生する酸素の濃度を
検出することで、間接的にNOx濃度を検出するよう構
成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ここで、このようなガ
スセンサ110を用いて、例えば、内燃機関の排ガス中
の窒素酸化物(NOx)濃度を検出する場合を考える
と、ガスセンサ110の起動時に第2測定室S2を満た
しているガスは、前回の運転を停止してから、即ち排ガ
スの供給が途絶えてから今回の起動までの時間が長くな
るほど、大気雰囲気に近くなり酸素濃度が高くなる。
【0009】つまり、起動直後の第2酸素ポンプセル1
13は、起動前に第2測定室S2を満たしているガスに
含まれた残留酸素等をポンピングすることになるため、
本来測定すべき排ガス中の特定成分(NOx等)濃度に
関わらず、残留酸素による過大な第2ポンプ電流Ip2
が流れることになる。そして、この過大な第2ポンプ電
流Ip2は、第2酸素ポンプセル113による酸素の汲
出しにより、第2測定室S2内の雰囲気が所定の低酸素
濃度状態となるまで継続する。
【0010】このため、ガスセンサ110は、起動した
後、被測定ガス中の特定成分濃度を正確に測定可能な状
態(正常検出状態)となるまでの一定時間(ライトオフ
時間)の経過が必要となり、このライトオフ時間が経過
するまで待機する必要があるため、使い勝手が悪いとい
う問題があった。
【0011】こうした問題に対して、ライトオフ時間を
短縮するためには、第2測定室に存在する残留酸素の量
を減少させることが効果的であり、例えば、第2測定室
の容積を縮小することで、残留酸素の量を減少させるこ
とができる。しかし、第2測定室の容積を縮小した場
合、残留酸素の量が減少すると共に測定対象ガスの量も
減少することから、検出対象である特定成分(NOx
等)と第2酸素ポンプセルとの反応量が減少してしま
い、NOx検出時におけるガスセンサの出力が低下する
ことになる。
【0012】また、ガスセンサの構造によっては、第2
測定室の容積を縮小するにあたり、第2酸素ポンプセル
を構成する多孔質電極のうち、第2測定室に面する多孔
質電極の面積を縮小する必要が生じる場合がある。そし
て、多孔質電極の面積を縮小した場合、検出対象である
NOxとの反応量が減少してしまい、NOx検出時にお
けるガスセンサの出力が低下して、ガスセンサにおける
出力のS/N比が悪化することになる。
【0013】このように、ガスセンサの起動時の特性を
向上するためにライトオフ時間を短縮することと、ガス
センサの検出精度を向上するために出力S/N比を改善
することを両立することは難しいという問題がある。そ
こで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであ
り、起動後のライトオフ時間を短く設定することがで
き、また、センサ出力のS/N比の悪化を防ぐことがで
きるNOxガスセンサを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、第1拡散抵抗体
を介して被測定ガス空間に連通する第1室と、第2拡散
抵抗体を介して第1室に連通する第2室と、第1室内の
酸素濃度を測定するために第1室に面して配置される酸
素濃度検知セルと、第1室内の酸素をポンピングするた
めに第1室に面して配置される第1ポンプセルと、第2
室内の酸素をポンピングするために第2室に面して配置
される第2ポンプセルと、を備えたNOxガスセンサで
あって、第2ポンプセルは、酸素イオン伝導性を有する
固体電解質層と、この固体電解質層の表面に設けられた
一対の多孔質電極とを備えており、第2室の容積をVと
し、一対の多孔質電極のうち第2室に面している多孔質
電極の電極面積をAとした場合に、V/Aの値が0.0
1[mm]以上かつ0.1[mm]以下であることを特
徴とする。
【0015】なお、NOxガスセンサにおいては、第1
ポンプセルが、酸素濃度検知セルにて検出した酸素濃度
に基づいて、第1室内に導入された被測定ガス中の酸素
をポンピングすることで、第2室に導入される被測定ガ
ス中の酸素濃度を所定範囲に設定している。また、第2
ポンプセルは、第2室において被測定ガスに含まれるN
Oxが解離して発生する酸素をポンピングすることで、
NOx濃度に応じた電流を発生するよう構成されてい
る。
【0016】そして、請求項1に記載のNOxガスセン
サは、第2室の容積Vと多孔質電極の電極面積Aとから
なる変数V/Aの値が一定範囲内に規定されて構成され
ている点に特徴がある。ここで、NOxガスセンサは、
第2室の容積が小さいほどセンサ起動時における残留酸
素の量が少なくなることから、第2室の容積を縮小する
ことによりセンサ起動時のライトオフ時間を短く設定で
きる。
【0017】そして、ライトオフ時間については、単に
第2室の容積Vを縮小することに限らず、第2ポンプセ
ルを構成する多孔質電極の電極面積Aに対する第2室の
容積Vの割合を適切な割合に規定することでも、ライト
オフ時間の短縮を図ることができる。つまり、単位時間
あたりに第2ポンプセルの多孔質電極で反応する酸素量
は、多孔質電極の面積に比例することから、比較的大き
い容積の第2室を形成した場合でも、多孔質電極の電極
面積を大きく確保することで、残留酸素のポンピング
(汲み出し)に要する時間を短縮することができる。
【0018】ここで、後述する測定結果を示した図3に
よれば、第2室の容積Vと多孔質電極の電極面積Aとか
らなる変数V/Aとライトオフ時間との関係について
は、変数V/Aが小さい値となるほどライトオフ時間が
短くなることが判る。また、変数V/A=0.119
[mm]の場合のライトオフ時間に比べて、変数V/A
=0.098[mm]の場合のライトオフ時間が大幅に
短縮されていることから、変数V/Aを双方の値の略中
間値である0.1[mm]以下に設定することで、ライ
トオフ時間を実用上支障の無い値に設定できると考えら
れる。さらに、変数V/Aが0.098[mm]以下と
なる場合には、ライトオフ時間はほぼ一定の値を示すと
ともに最短となることから、変数V/Aの値を少なくと
も0.098[mm]以下に設定することで、ライトオ
フ時間を最短時間に設定することができる。
【0019】他方、第2室の容積Vを縮小した場合、残
留酸素の量を減らすことができると共に、第2室に導入
される被測定ガスの量についても減少することになり、
ひいては検出対象である特定成分の量も減少することか
ら、特定成分を検出した際のセンサ出力が低下してしま
う。
【0020】しかし、後述する測定結果を示す図4から
判るように、変数V/Aとセンサ出力との関係について
は、変数V/Aが大きくなるほどセンサ出力が大きくな
ることから、変数V/Aを一定値以上に設定すること
で、センサ出力の大きさを外部機器が識別可能な最低値
以上に設定することができる。
【0021】なお、第2拡散抵抗体を第2ポンプセルの
多孔質電極の表面全体に当接させて形成した場合には、
見かけ上は第2室が存在しない状態(容積V=0[mm
3 ]の状態)となるが、実際には、第2拡散抵抗体を形
成する多孔質物質の空孔部分が第2室として機能するた
め、第2ポンプセルによる特定成分の検出が可能であ
る。このとき、第2拡散抵抗体は、特定成分の検出に必
要な量の被測定ガスが透過可能な気孔率(例えば、40
[%]以上)の多孔質物質で形成することが必要であ
る。そして、特定成分の検出が可能な気孔率に設定され
た第2拡散抵抗体を用いてNOxガスセンサを形成した
場合、第2拡散抵抗体の空孔部分を第2室と見なして算
出される変数V/Aの値は、約0.01[mm]であ
る。このことから、変数V/Aが少なくとも0.01
[mm]以上となる場合には、外部機器において識別可
能な大きさのセンサ出力が得られることが判る。
【0022】よって、本発明(請求項1)のNOxガス
センサによれば、変数V/Aを0.01[mm]以上か
つ0.1[mm]以下とすることで、ライトオフ時間を
短縮することができると共に、センサ出力が低下してS
/N比が悪化するのを防ぐことができる。
【0023】また、請求項2に記載の発明は、第1拡散
抵抗体を介して被測定ガス空間に連通する第1室と、第
2拡散抵抗体を介して第1室に連通する第2室と、第1
室内の酸素濃度を測定するために第1室に面して配置さ
れる酸素濃度検知セルと、第1室内の酸素をポンピング
するために第1室に面して配置される第1ポンプセル
と、第2室内の酸素をポンピングするために第2室に面
して配置される第2ポンプセルと、を備えたNOxガス
センサであって、第2ポンプセルは、酸素イオン伝導性
を有する固体電解質層と、この固体電解質層の表面に設
けられた一対の多孔質電極とを備えており、第2室の容
積をVとし、多孔質電極のうち第2室に面している多孔
質電極の体積をBとした場合に、V/Bの値が0.5以
上かつ5以下であることを特徴とする。
【0024】なお、ここでは、多孔質電極に形成される
気孔の部分を含めた多孔質電極全体の体積を体積Bとし
て数値を規定する。ここで、多孔質電極は、一定の強度
を確保すると共に、形成可能な最薄限界を考慮して、そ
の厚さが10[μm]から40[μm]までの範囲内と
なるように形成するとよく、特に、20[μm]程度に
形成することが望ましい。
【0025】そして、ライトオフ時間の短縮およびセン
サ出力の低下防止を実現するべく変数V/Aを上記範囲
(0.01[mm]以上かつ0.1[mm]以下)にす
ると共に、多孔質電極の厚さ寸法を適切な値(20[μ
m])に設定するためには、多孔質電極の体積をBとし
た場合、比率V/Bの範囲を、0.5以上かつ5以下に
設定するとよい。
【0026】よって、本発明(請求項2)のNOxガス
センサによれば、比率V/Bを0.5以上かつ5以下と
することで、ライトオフ時間を短縮できると共にセンサ
出力が低下するのを防止でき、また、第2ポンプセルの
多孔質電極の強度を適切に維持することができる。
【0027】ところで、被測定ガスは、第2拡散抵抗体
を介して第2室に導入されるが、第2拡散抵抗体の気孔
率によって、第2室に導入される被測定ガスの量が異な
ることから、第2拡散抵抗体の気孔率がガスセンサの検
出精度に影響している。そこで、上述(請求項1または
請求項2)のNOxガスセンサは、請求項3に記載のよ
うに、第2拡散抵抗体が、気孔率が20[%]以上かつ
45[%]以下である多孔質物質からなるとよい。
【0028】つまり、図4に示す測定結果から、第2拡
散抵抗体の気孔率が20[%]以上であれば、変数V/
Aが0.01[mm]以上となる範囲においては、少な
くとも外部機器が識別可能な大きさのセンサ出力(図4
の測定においては、0.9[μA]以上のセンサ出力)
が得られることが判る。
【0029】また、第2拡散抵抗体の気孔率が大きすぎ
ると、第1室と第2室との間における被測定ガスの単位
時間あたりの移動量が過剰となるために、第1ポンプセ
ルによる酸素の除去が十分ではない被測定ガスが第2室
に流入することになる。このように被測定ガス中に酸素
が残っている場合、第2室を測定に適した雰囲気に維持
できず、ガスセンサとしての測定精度を低下させること
になるため、第2拡散抵抗体の気孔率は所定値以下(4
5[%]以下)にするとよい。
【0030】よって、本発明(請求項3)のNOxガス
センサによれば、第2室を測定に適した雰囲気に維持す
ることができるため、NOx検出を適切に行うことがで
き、また、センサ出力を一定値以上に維持できるため、
S/N比の低下を防ぐことができる。
【0031】また、図4に示す測定結果から、第2拡散
抵抗体の気孔率が30[%]よりも低い値である場合に
は、気孔率が低くなるほどセンサ出力の値が低下するこ
とから、気孔率が30[%]以下の領域では、第2室へ
の被測定ガス流入量が、第2拡散抵抗体によって制限さ
れていると判断できる。
【0032】これに対して、第2拡散抵抗体の気孔率が
30[%]以上となる場合には、気孔率の増加に伴いセ
ンサ出力の値が増加することはなく、センサ出力の値が
略一定の値を示しており、被測定ガスに含まれている実
際のNOx濃度に応じたセンサ出力としての最大値を示
していると判断できる。
【0033】そこで、上述(請求項1から請求項3のい
ずれか)のNOxガスセンサは、請求項4に記載のよう
に、第2拡散抵抗体が、気孔率が30[%]以上かつ4
5[%]以下である多孔質物質からなるとよい。このよ
うな気孔率の第2拡散抵抗体を備えることで、被測定ガ
スの流入量が第2拡散抵抗体によって必要以上に制限さ
れてセンサ出力が低下するのを防ぐことができ、また、
実際のNOx濃度に応じたセンサ出力としての最大値を
得ることができる。
【0034】また、後述の図5に示す測定結果から、気
孔率が30[%]以上であれば、第2拡散抵抗体の厚み
寸法のうち、本測定の全範囲において、外部機器が識別
可能な大きさのセンサ出力(図5の測定においては、
0.9[μA]以上のセンサ出力)を得られることが判
る。このことからも、気孔率が30[%]以上の第2拡
散抵抗体を用いることで、センサ出力を一定値以上に維
持することができ、S/N比の低下を防止できることが
判る。
【0035】よって、本発明(請求項4)のNOxガス
センサによれば、実際のNOx濃度に応じたセンサ出力
としての最大値が得られるため、さらに好適なS/N比
を実現することができる。なお、第2拡散抵抗体は、一
定量以上の被測定ガスの導入を可能とすると共に、第2
室を測定に適した雰囲気に安定させるためには、その厚
さ寸法が20[μm]から800[μm]までの範囲内
となるように形成するとよい。このとき、センサ出力を
大きくし最低限のS/N比を確保するには、第2拡散抵
抗体の厚さ寸法は200[μm]以下に設定するとよ
い。また、第2拡散抵抗体の強度を維持するためには、
厚さ寸法を20[μm]以上に設定すると良い。
【0036】ところで、第2ポンプセルは、多孔質電極
の電極面積の大きさによって出力する電流値の大きさが
異なることから、多孔質電極の電極面積が極度に小さく
なる場合には、出力電流値が過度に小さくなってしま
い、十分なS/N比を実現できない虞がある。
【0037】そこで、上述(請求項1から請求項4のい
ずれか)のNOxガスセンサにおいては、請求項5に記
載のように、第2ポンプセルに備えられる多孔質電極の
うち第2室に面している多孔質電極の電極面積が、1
[mm2 ]以上であるとよい。つまり、本出願の発明者
が実施した測定においては、1[mm2 ]以上の電極面
積を有する多孔質電極を有するNOxガスセンサを使用
しており、各測定結果から、少なくとも外部機器で識別
可能な大きさのセンサ出力が得られることが判る。これ
により、1[mm2 ]以上の電極面積を有する多孔質電
極を用いて構成したNOxガスセンサは、NOxの還元
反応に必要な最低限の領域を確保することができ、セン
サ出力を少なくとも一定値以上に維持できるため、好適
なS/N比を実現することができる。
【0038】よって、本発明(請求項5)のNOxガス
センサによれば、ライトオフ時間を短縮すると共に、好
適なS/N比を実現することができる。なお、第2ポン
プセルの多孔質電極のうち第2室に面している多孔質電
極の電極面積が0.5[mm 2 ]以下となる場合にば、
そのNOxガスセンサは、センサ出力が大きく減少する
ものと推定される。
【0039】また、上述(請求項1から請求項5)のN
Oxガスセンサは、請求項6に記載のように、第2ポン
プセルに備えられる多孔質電極のうち第2室に面してい
る多孔質電極の電極厚さが、10[μm]以上であると
よい。つまり、多孔質電極の厚さをこのように規定する
ことで、一定の強度を確保することができ、振動などに
よる多孔質電極の破損を防ぐことができる。
【0040】よって、本発明(請求項6)のNOxガス
センサによれば、振動等による多孔質電極の破損を防ぐ
ことができ、耐衝撃性に優れたNOxガスセンサを実現
することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面と共
に説明する。まず、本発明のNOxガスセンサ1につい
て、図1に示す内部構成図を用いて説明する。なお、こ
のNOxセンサは、自動車の内燃機関やボイラ等の各種
燃焼機器の排気ガス中のNOx濃度を検出するためのセ
ンサである。
【0042】そして、NOxガスセンサ1は、第1ポン
プセル11,酸素濃度検知セル12,第2ポンプセル1
3を、アルミナを主体とする絶縁層14,15を介して
積層した構造を有する。このうち、第1ポンプセル11
は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第1
固体電解質層11aと、第1固体電解質層11aを挟み
込むように配置された第1内側電極21aと第1外側電
極21bとからなる第1多孔質電極21とを備えて形成
されている。なお、第1内側電極21aおよび第1外側
電極21bは、白金で形成されており、第1内側電極2
1aの表面には、多孔質体からなる保護層22が形成さ
れている。
【0043】また、第2ポンプセル13は、酸素イオン
伝導性を有するジルコニアからなる第2固体電解質層1
3aと、第2固体電解質層13aの表面のうち絶縁層1
5に面する表面に配置された第2内側電極25aおよび
第2外側電極25bからなる第2多孔質電極25とを備
えて形成されている。なお、第2内側電極25aおよび
第2外側電極25bは、白金で形成されている。また、
第2内側電極25aの周囲には、多孔質体からなる第2
拡散抵抗体17が形成されており、第2内側電極25a
と第2拡散抵抗体17との間には、第2室S2が形成さ
れている。そして、第2内側電極25aは、第2室S2
に面する電極面積(表面積)が1[mm 2 ]であり、厚
さ寸法が20[μm]となるように形成されている。
【0044】さらに、酸素濃度検知セル12は、酸素イ
オン伝導性を有するジルコニアからなる検知用固体電解
質層12aと、検知用固体電解質層12aを挟み込むよ
うに配置された検知用電極23aと基準用電極23bと
からなる検知用多孔質電極23とを備えて形成されてい
る。なお、検知用電極23aおよび基準用電極23b
は、白金で形成されている。
【0045】そして、NOxガスセンサ1の内部には、
被測定ガスが導入される第1室S1が形成されており、
第1室S1には、第1ポンプセル11と酸素濃度検知セ
ル12との間に配置された第1拡散抵抗体16を介し
て、被測定ガスが導入される。なお、第1拡散抵抗体1
6は、被測定ガスが通過する方向に積層された2種類の
多孔質体で構成されている。また、第1室S1は、酸素
濃度検知セル12を貫通すると共に、第2拡散抵抗体1
7に至るように形成されており、第1室S1に面するよ
うに、第1ポンプセル11の第1内側電極21a、およ
び酸素濃度検知セル12の検知用電極23aが配置され
ている。
【0046】さらに、NOxガスセンサ1の内部のう
ち、酸素濃度検知セル12と第2ポンプセル13との間
には、基準酸素室18が形成されており、この基準酸素
室18に面するように、酸素濃度検知セル12の基準用
電極23bと、第2ポンプセル13の第2外側電極25
bとが配置されている。
【0047】このように構成されたNOxガスセンサ1
は、第1ポンプセル11により第1室S1の内部に存在
する酸素のポンピング(汲み出し)が可能であり、酸素
濃度検知セル12により、酸素濃度を一定に制御された
基準酸素室18と第1室S1との酸素濃度差、つまり第
1室S1の内部の酸素濃度を測定可能である。
【0048】なお、このNOxガスセンサ1は、図6に
示す駆動回路120と同様の構成の駆動回路により駆動
されるものであり、また、ヒータを一体に備える構成で
はなく、別個独立に備えられるヒータにより活性化温度
まで加熱される。そして、このNOxガスセンサ1を駆
動する駆動回路(図示省略)は、ヒータ(図示省略)を
駆動制御してNOxガスセンサ1を活性温度(例えば7
50℃)まで加熱し、この状態で、酸素濃度検知セル1
2の両端電圧Vsが予め設定された一定電圧(例えば4
25mV)となるように、第1ポンプセル11に流れる
第1ポンプ電流Ip1を制御する。また、駆動回路は、
第1ポンプ電流Ip1を制御すると共に、第2ポンプセ
ル13に、第2室S2から酸素を汲み出す方向に一定の
第2ポンプ電圧Vp2(例えば450mV)を印加し、
この時、第2ポンプセル13に流れる第2ポンプ電流I
p2の検出を行う。
【0049】なお、検出すべき特定成分がNOx(窒素
酸化物)であるため、第1室S1内の酸素濃度を低酸素
濃度(≒0%)に保持し、且つ第2ポンプ電圧Vp2を
所定の電圧に保持すると、第2室S2では、第2ポンプ
セル13を構成する第2多孔質電極25の触媒作用によ
って、NOxが分解(還元)され、その分解により得ら
れた酸素が第2室S2から抜き取られることにより第2
ポンプ電流Ip2が流れる。
【0050】つまり、第2ポンプ電流Ip2は、被測定
ガスに含まれるNOxの濃度に対応した大きさとなり、
本実施例のNOxガスセンサは、NOxが還元反応する
ことで発生する酸素濃度を検出することで、間接的にN
Ox濃度を検出するよう構成されている。
【0051】ここで、NOxガスセンサ1において、第
2室S2の容積Vと、第2多孔質電極25の第2内側電
極25aの表面のうち第2室S2に面する電極面積Aと
からなる変数V/Aの値を変化させたときの、第2拡散
抵抗体の気孔率とライトオフ時間との関係を測定した第
1実験の測定結果について説明する。
【0052】なお、ライトオフ時間とは、ガスセンサを
起動した後、被測定ガス中の特定成分濃度を正確に測定
可能な状態(正常検出状態)となるまでの時間である。
そこで、本実験では、ガスセンサの起動から600[se
c] 経過した後のセンサ出力値を安定値とみなし、起動
した後、センサ出力値がこの安定値に対して30[pp
m] 以内に収束するまでの時間をライトオフ時間と定義
して測定を実施した。
【0053】まず、第1実験では、第2室S2の容積V
と、第2多孔質電極25の第2内側電極25aの電極面
積Aとからなる変数V/Aの値が、それぞれ異なる4種
類(V/A=0.01,0.098,0.119,0.137[mm] )の
NOxガスセンサを用いた。そして、4種類のNOxガ
スセンサのそれぞれについて、第2拡散抵抗体17の気
孔率を変化させて、ライトオフ時間を測定した。
【0054】縦軸をライトオフ時間とし、横軸を第2拡
散抵抗体の気孔率とする座標平面に示した第1実験の測
定結果を、図3に示す。図3に示す測定結果から、第2
拡散抵抗体の気孔率を変化させた場合、気孔率が小さく
なるほどライトオフ時間が短縮されるが、気孔率の変化
量に対するライトオフ時間の短縮割合はあまり大きくな
いことが判る。
【0055】そして、測定結果を示した図3によれば、
第2室の容積Vと多孔質電極の電極面積Aとからなる変
数V/Aとライトオフ時間との関係については、変数V
/Aが小さい値となるほどライトオフ時間が短縮されて
おり、また、変数V/Aの変化量に対するライトオフ時
間の短縮割合が大きいことが判る。なお、変数V/A=
0.119[mm]の場合のライトオフ時間に比べて、
変数V/A=0.098[mm]の場合のライトオフ時
間が大幅に短縮されていることから、変数V/Aを双方
の値の略中間値である0.1[mm]以下に設定するこ
とで、ライトオフ時間を実用上支障の無い値に設定でき
ると考えられる。さらに、変数V/Aが0.098[m
m]以下となる場合には、ライトオフ時間はほぼ一定の
値を示すとともに最短となることから、変数V/Aを
0.098[mm]以下に設定することで、ライトオフ
時間を最短時間に設定することができる。
【0056】なお、変数V/Aを小さく設定することで
ライトオフ時間が短縮できるのは、第2内側電極25a
の電極面積Aに対する第2室S2の容積Vが小さくな
り、残留酸素の量が減少するためである。よって、第1
実験の測定結果によれば、NOxガスセンサのライトオ
フ時間を短縮するためには、変数V/Aの値を0.1
[mm]以下に設定すると良く、より好ましくは変数V
/Aの値を0.098[mm]以下に設定すると良いこ
とが判る。
【0057】次に、NOxガスセンサ1において、第2
室S2の容積Vと、第2多孔質電極25の第2内側電極
25aの表面のうち第2室S2に面する電極面積Aとか
らなる変数V/Aの値を変化させたときの、第2拡散抵
抗体の気孔率とセンサ出力値との関係を測定した第2実
験の測定結果について説明する。
【0058】なお、本測定は、NOxガスセンサを起動
した後ライトオフ時間が経過させて活性化し、活性化状
態のNOxガスセンサ1をNOx濃度が一定に設定され
た被測定ガス中に配置した際に、第2多孔質電極25か
ら出力される第2ポンプ電流Ip2を測定するという手
順で実施した。なお、測定結果を示す図4では、第2多
孔質電極25から出力される第2ポンプ電流Ip2を、
センサ出力と称して記載している。
【0059】第2実験では、第1実験と同様に、第2室
S2の容積Vと、第2多孔質電極25の第2内側電極2
5aの電極面積Aとからなる変数V/Aの値が、それぞ
れ異なる4種類(V/A=0.01,0.098,0.119,0.137
[mm] )のNOxガスセンサを用いた。そして、4
種類のNOxガスセンサのそれぞれについて、第2拡散
抵抗体17の気孔率を変化させて、センサ出力を測定し
た。また、各NOxガスセンサにおける第2拡散抵抗体
の厚さ寸法は、すべて60[μm]に設定されている。
【0060】縦軸をセンサ出力(第2ポンプ電流Ip
2)とし、横軸を第2拡散抵抗体の気孔率とする座標平
面に示した第2実験の測定結果を、図4に示す。そし
て、図4に示す測定結果から、第2拡散抵抗体の気孔率
が20[%]以上であれば、変数V/Aが0.01[m
m]以上となる範囲においては、少なくとも外部機器が
識別可能な大きさのセンサ出力(図4の測定において
は、0.9[μA]以上のセンサ出力)が得られること
が判る。
【0061】また、第2拡散抵抗体の気孔率が大きすぎ
ると、第1室と第2室との間における被測定ガスの単位
時間あたりの移動量が過剰となるために、第1ポンプセ
ルによる酸素の除去が十分ではない被測定ガスが第2室
に流入することになる。このように被測定ガス中に酸素
が残っている場合、第2室を測定に適した雰囲気に維持
できず、ガスセンサとしての測定精度を低下させること
になるため、第2拡散抵抗体の気孔率は所定値以下(4
5[%]以下)にするとよい。
【0062】よって、第2実験の測定結果によれば、セ
ンサ出力の低下によるS/N比の悪化を防ぐためには、
変数V/Aの値が0.01[mm]以上に設定されたN
Oxガスセンサを用いると良いことが判る。したがっ
て、第1実験および第2実験の測定結果から、変数V/
Aの値が0.01[mm]以上かつ0.1[mm]以下
となるNOxガスセンサを用いることで、ライトオフ時
間を短縮し、かつS/N比の悪化を防止することができ
ることが判る。
【0063】次に、第2実験の測定結果において、第2
拡散抵抗体の気孔率に着目すると、第2拡散抵抗体の気
孔率が20[%]以上となる場合には、外部機器が識別
可能な大きさのセンサ出力(図4の測定においては、
0.9[μA]以上のセンサ出力)が得られることが判
る。
【0064】しかしながら、第2拡散抵抗体の気孔率が
大きすぎると、第1室と第2室との間における被測定ガ
スの単位時間あたりの移動量が過剰となるために、第1
ポンプセルによる酸素の除去が十分ではない被測定ガス
が第2室に流入することになる。このように被測定ガス
中に酸素が残っている場合、第2室を測定に適した雰囲
気に維持できず、ガスセンサとしての測定精度を低下さ
せることになるため、第2拡散抵抗体の気孔率は45
[%]以下にするとよい。
【0065】よって、第2拡散抵抗体の気孔率が20
[%]以上かつ45[%]以下に設定されたNOxガス
センサによれば、第2室を測定に適した雰囲気に維持す
ることができるため、NOx検出を適切に行うことがで
き、また、センサ出力を一定値以上に維持できるため、
S/N比の低下を防ぐことができる。
【0066】さらに、第2実験の測定結果によれば、第
2拡散抵抗体の気孔率が30[%]以上となる場合に
は、気孔率の増加に伴いセンサ出力の値が増加すること
はなく、センサ出力の値が略一定の値を示しており、被
測定ガスに含まれている実際のNOx濃度に応じたセン
サ出力としての最大値を示していると判断できる。
【0067】このため、気孔率が30[%]以上の第2
拡散抵抗体を備えるNOxガスセンサを用いることで、
第2拡散抵抗体による不必要な制限を受けて被測定ガス
の通過量が減少するのを抑制でき、センサ出力が低下す
るのを防ぐことができる。また、このような第2拡散抵
抗体を用いることで、実際のNOx濃度に応じたセンサ
出力としての最大値を得ることができる。
【0068】次に、NOxガスセンサ1において、変数
V/Aの値を一定(V/A=0.098)とし、第2拡
散抵抗体17の気孔率を変化させたときの、第2拡散抵
抗体の厚さ寸法とセンサ出力値との関係を測定した第3
実験の測定結果について説明する。
【0069】なお、本測定は、起動開始時点からライト
オフ時間を経過させてNOxガスセンサを活性化し、活
性化状態のNOxガスセンサ1をNOx濃度が一定に設
定された被測定ガス中に配置して、このNOxガスセン
サ1の第2多孔質電極25から出力される第2ポンプ電
流Ip2(センサ出力)を測定するという手順で実施し
た。そして、第3実験では、第2拡散抵抗体17の気孔
率がそれぞれ異なる3種類(15,30,45[%])
のNOxガスセンサを用い、3種類のNOxガスセンサ
のそれぞれについて、第2拡散抵抗体17の厚さ寸法を
変化させて、センサ出力を測定した。
【0070】縦軸をセンサ出力(第2ポンプ電流Ip
2)とし、横軸を第2拡散抵抗体の厚さ寸法とする座標
平面に示した第3実験の測定結果を、図5に示す。図5
に示す測定結果から、第2拡散抵抗体の厚さ寸法を変化
させた場合には、厚さ寸法が小さくなるほどセンサ出力
が増大することが判り、また、第2拡散抵抗体の気孔率
を変化させた場合には、気孔率が大きくなるほどセンサ
出力が増大することが判る。
【0071】さらに、図5に示す測定結果によれば、気
孔率が30[%]以上である場合には、第2拡散抵抗体
の厚み寸法に拘わらず、外部機器が識別可能な大きさの
センサ出力(図5の測定においては、0.9[μA]以
上のセンサ出力)を得られることが判る。
【0072】よって、第2実験の測定結果のみならず、
第3実験の測定結果からも、気孔率が30[%]以上の
第2拡散抵抗体を用いることで、NOxガスセンサの出
力におけるS/N比の低下を防止でき、さらに好適なS
/N比を実現できることが判る。
【0073】なお、より確実に外部機器に識別可能とす
るには、センサ出力を1.0[μA]以上に設定するこ
とが望ましく、そのためには、第2拡散抵抗体の気孔率
が30[%]以上であり、かつ第2拡散抵抗体の厚さ寸
法が0.5[mm]以下であるNOxガスセンサを用い
ると良い。また、第2拡散抵抗体は、一定量以上の被測
定ガスの導入を可能とすると共に、第2室を測定に適し
た雰囲気に安定させるためには、その厚さ寸法が20
[μm]から800[μm]までの範囲内となるように
形成するとよい。このとき、センサ出力を大きくし最低
限のS/N比を確保するには、第2拡散抵抗体の厚さ寸
法は200[μm]以下に設定するとよい。また、第2
拡散抵抗体の強度を維持するためには、厚さ寸法を20
[μm]以上に設定すると良い。
【0074】ところで、本実施例のNOxガスセンサ
は、第2ポンプセル13の第2多孔質電極25の第2内
側電極25aが、1[mm2 ]の電極面積を有するよう
に形成されていることから、NOxの還元反応に必要な
領域を確保でき、センサ出力を一定値以上に維持するこ
とができる。このため、本実施例のNOxガスセンサ
は、好適なS/N比を実現することができる。
【0075】さらに、本実施例のNOxガスセンサに備
えられる第2内側電極25aは、厚さ寸法が20[μ
m]に形成されていることから、一定の強度を有してお
り、振動などによる破損が発生し難くなるため、振動な
どによる破損を防ぐことができ、本実施例のNOxガス
センサは耐衝撃性に優れている。
【0076】次に、本発明を適用した第2NOxガスセ
ンサのライトオフ時間と、従来の第3NOxガスセンサ
のライトオフ時間とを比較した第4実験について説明す
る。そして、本発明を適用した第2NOxガスセンサ4
は、第2拡散抵抗体の厚みが0.751[mm]、第2
拡散抵抗体の気孔率が45[%]、第2室の容積Vが
0.267[mm3 ]、第2ポンプセルのうち第2室に
面する多孔質電極の電極面積Aが3[mm2 ]となるよ
うに形成されている。なお、第2NOxガスセンサ4に
おいては、第2室の容積Vおよび第2ポンプセルの多孔
質電極の電極面積Aからなる変数V/Aの値は0.08
9である。
【0077】また、従来の第3NOxガスセンサ5は、
第2拡散抵抗体の厚みが0.550[mm]、第2拡散
抵抗体の気孔率が45[%]、第2室の容積Vが0.3
84[mm3 ]、第2ポンプセルのうち第2室に面する
多孔質電極の電極面積Aが3[mm2 ]となるように形
成されている。なお、第2NOxガスセンサ4において
は、第2室の容積Vおよび第2ポンプセルの多孔質電極
の電極面積Aからなる変数V/Aの値は0.128であ
る。
【0078】なお、NOxガスセンサの実使用環境下に
おいては、起動後40秒間は、第2ポンプセルに対して
高電圧を印加して、第2室の内部に存在する残留酸素を
強制的に排気する処理を実施しており、本実験において
も、起動後40秒間は、残留酸素の強制廃棄処理を実施
した上でライトオフ時間を測定した。
【0079】そして、第4実験の測定結果を図7に示
す。図7では、(a)に本発明を適用した第2NOxガ
スセンサ4の測定結果を示し、(b)に従来の第3NO
xガスセンサ5の測定結果を示している。なお、図7で
は、ガスセンサの起動後600[sec] 後のセンサ出力
値を基準 として、この基準に対する差分の大きさの変
化を縦軸とし、起動後の時間経過を横軸として測定結果
を示している。
【0080】図7に示す測定結果によれば、本発明を適
用した第2NOxガスセンサ4は、強制排気時間を含む
ライトオフ時間が61[sec] であり、強制排気時間を
除くライトオフ時間が21[sec] である。また、従来
の第3NOxガスセンサ5は、強制排気時間を含むライ
トオフ時間が176[sec] であり、強制排気時間を除
くライトオフ時間が136[sec] である。
【0081】よって、第4実験の測定結果から、本発明
を適用したNOxガスセンサは、従来のNOxガスセン
サに比べて、ライトオフ時間を短縮できることが判る。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、
こうした実施例に限定されることなく、種々の態様をと
ることができる。
【0082】例えば、NOxガスセンサの構造は、第1
実施例に示すNOxガスセンサのような構造に限ること
はなく、例えば、図2に示すような構造のNOxガスセ
ンサとして構成しても良い。つまり、図2に示す第4N
Oxガスセンサ3は、第1ポンプセル11,酸素濃度検
知セル12,第2ポンプセル13を絶縁層14,15を
介して積層した構造である点では、図1に示すNOxガ
スセンサ1と同様であるが、第2室S2および第2拡散
抵抗体17の形状が異なっている。すなわち、NOxガ
スセンサ1の第2室S2は、第2拡散抵抗体17に周囲
を囲まれて形成されるのに対し、第4NOxガスセンサ
3の第2室S2は、酸素濃度検知セル12、第2ポンプ
セル13、絶縁層15、第2拡散抵抗体17に囲まれて
形成されている。
【0083】このような構造の第4NOxガスセンサ3
においても、第2室S2の容積Vと第2ポンプセル13
の第2内側電極25aの電極面積Aとからなる変数V/
Aの値を適切に設定することで、ライトオフ時間を短縮
すると共に、センサ出力のS/N比の悪化を防ぐことが
できる。
【0084】また、上記実施例では、ライトオフ時間の
短縮およびセンサ出力の低下防止を実現するためのNO
xガスセンサとして、変数V/Aの値の範囲を規定して
いるが、さらに、NOxガスセンサの強度を維持するた
めに、第2多孔質電極25の厚さ寸法を適切な値(例え
ば、20[μm])に設定することが望ましい。そのた
め、ライトオフ時間の短縮およびセンサ出力の低下防止
を実現するべく変数V/Aを上記範囲にすると共に、第
2多孔質電極25の厚さ寸法を適切に設定するために
は、第2多孔質電極25の第2内側電極25aの体積を
Bとした場合に、比率V/Bの範囲を0.5以上かつ5
以下に設定するとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のNOxガスセンサの内部構成図であ
る。
【図2】 本発明の第4NOxガスセンサの内部構成図
である。
【図3】 NOxガスセンサにおいて、変数V/Aの値
を変化させたときの、第2拡散抵抗体の気孔率とライト
オフ時間との関係を測定した第1実験の測定結果であ
る。
【図4】 NOxガスセンサにおいて、変数V/Aの値
を変化させたときの、第2拡散抵抗体の気孔率とセンサ
出力値との関係を測定した第2実験の測定結果である。
【図5】 NOxガスセンサにおいて、変数V/Aの値
を一定とし、第2拡散抵抗体の気孔率を変化させたとき
の、第2拡散抵抗体の厚さ寸法とセンサ出力値との関係
を測定した第3実験の測定結果である。
【図6】 従来のNOxガスセンサの内部構成および駆
動回路との接続状態を表す説明図である。
【図7】 本発明を適用した第2NOxガスセンサのラ
イトオフ時間と、従来の第3NOxガスセンサのライト
オフ時間とを比較した第4実験の測定結果である。
【符号の説明】
1,3,4,5…NOxガスセンサ、11…第1ポンプ
セル、12…酸素濃度検知セル、13…第2ポンプセ
ル、14…絶縁層、15…絶縁層、16…第1拡散抵抗
体、17…第2拡散抵抗体、18…基準酸素室、21…
第1多孔質電極、23…検知用多孔質電極、25…第2
多孔質電極、S1…第1室、S2…第2室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 真志 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 那須 峰次 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1拡散抵抗体を介して被測定ガス空間
    に連通する第1室と、 第2拡散抵抗体を介して前記第1室に連通する第2室
    と、 前記第1室内の酸素濃度を測定するために前記第1室に
    面して配置される酸素濃度検知セルと、 前記第1室内の酸素をポンピングするために前記第1室
    に面して配置される第1ポンプセルと、 前記第2室内の酸素をポンピングするために前記第2室
    に面して配置される第2ポンプセルと、を備えたNOx
    ガスセンサであって、 前記第2ポンプセルは、酸素イオン伝導性を有する固体
    電解質層と、該固体電解質層の表面に設けられた一対の
    多孔質電極とを備えており、 前記第2室の容積をVとし、前記一対の多孔質電極のう
    ち前記第2室に面している多孔質電極の電極面積をAと
    した場合に、V/Aの値が0.01[mm]以上かつ
    0.1[mm]以下であること、 を特徴とするNOxガスセンサ。
  2. 【請求項2】 第1拡散抵抗体を介して被測定ガス空間
    に連通する第1室と、 第2拡散抵抗体を介して前記第1室に連通する第2室
    と、 前記第1室内の酸素濃度を測定するために前記第1室に
    面して配置される酸素濃度検知セルと、 前記第1室内の酸素をポンピングするために前記第1室
    に面して配置される第1ポンプセルと、 前記第2室内の酸素をポンピングするために前記第2室
    に面して配置される第2ポンプセルと、を備えたNOx
    ガスセンサであって、 前記第2ポンプセルは、酸素イオン伝導性を有する固体
    電解質層と、該固体電解質層の表面に設けられた一対の
    多孔質電極とを備えており、 前記第2室の容積をVとし、前記多孔質電極のうち前記
    第2室に面している多孔質電極の体積をBとした場合
    に、V/Bの値が0.5以上かつ5以下であること、 を特徴とするNOxガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記第2拡散抵抗体は、気孔率が20
    [%]以上かつ45[%]以下である多孔質物質からな
    ること、 を特徴とする請求項1または請求項2に記載のNOxガ
    スセンサ。
  4. 【請求項4】 前記第2拡散抵抗体は、気孔率が30
    [%]以上かつ45[%]以下である多孔質物質からな
    ること、 を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    NOxガスセンサ。
  5. 【請求項5】 前記第2ポンプセルに備えられる前記多
    孔質電極のうち前記第2室に面している多孔質電極の電
    極面積は、1[mm2 ]以上であること、 を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の
    NOxガスセンサ。
  6. 【請求項6】 前記第2ポンプセルに備えられる前記多
    孔質電極のうち前記第2室に面している多孔質電極の電
    極厚さは、10[μm]以上であること、 を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の
    NOxガスセンサ。
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