JP4821739B2 - 限界電流式空燃比センサの温度制御方法 - Google Patents

限界電流式空燃比センサの温度制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、排気ガスの空燃比にほぼ比例する限界電流を出力として生成する、限界電流式空燃比センサの温度制御方法に関する。
環境意識の高まりから、自動車における排出ガス規制は将来に亘ってさらに強化される方向にある。現実に、米国カルフォルニア州では、PZEV(Partial Zero Emission Vehicle)やLEVII等の厳しい排出ガス規制が制定されている。このような規制に対応するために、排気ガスシステムに使用される限界電流式空燃比センサ(以下、A/Fセンサ)の検出精度向上が求められている。
A/Fセンサの検出精度向上のためには、出力の安定化および適正な温度制御の必要性、という二つの主要な課題がある。出力の安定化とは、センサ製造後の初期の段階から長期の使用後においても一定の、安定した出力が得られるようにすることであり、このために、製造後のA/Fセンサに対して正、負の高電圧を印加してセンサに通電処理を施すことが行われている。その理由は詳細には解明されていないが、通電処理によって、電極および電極とセンサ材料との界面に存在する抵抗物質が除去されて電流が流れ易くなるため、初期時からの出力安定性、あるいは低温活性という効果が得られるものと考えられている。
上記A/Fセンサの出力安定性に関する一般的な技術水準を示す資料として、例えば、以下に示す特許文献1乃至3がある。
A/Fセンサにおける適正な温度制御の課題については、次の通りである。A/Fセンサは、例えば、ジルコニアの固体電解質に白金電極を設けたもので構成され、高温の活性温度において、排気ガス中の酸素濃度に比例した限界電流を出力する。したがって、精度の高いセンサ出力を得るためには、A/Fセンサを、例えば700℃程度の活性温度に維持して測定を行う必要があり、ヒータを設けてセンサがこの活性温度を維持できるように温度制御を行っている。A/Fセンサでは、素子抵抗(インピーダンス)が温度依存性を有するため、その素子インピーダンスからセンサの素子温を検出するようにしている。したがって、素子インピーダンス値をフィードバックしながら、ヒータのオン・オフ制御を行うことによって、A/Fセンサを活性温度に維持し、信頼性の高いセンサ出力を得るようにしている。
上記A/Fセンサの温度制御の一般的な技術水準を示す資料として、例えば、以下に示す特許文献4乃至9がある。
特開平6−342946 特開平9−101285 特開平9−274006 特許第3692640号 特開平6−174685 特開平6−174686 特開2000−258387 特開2004−69547 特開2006−214885
上記のように、限界電流式空燃比センサでは、センサの製作時から長期の使用後においても一定の、安定した出力特性を得るために、センサの使用前に、センサの両電極間に正、負方向に高電圧を印加して通電処理を施すことが行われている。この処理によって、電極および電極界面の付着物が除去されて電流が流れやすくなり、初期時からの出力安定性、あるいは低温活性という効果が得られる。ところが、このような処理を施したセンサでは、素子インピーダンスの経時変化が、未処理センサの場合より大きいことがわかっている。即ち、通電処理を行ったA/Fセンサでは、初期の素子インピーダンスが同温度における未処理センサのものより低いが、一方、使用に伴って急激に増加することがわかっている。
したがって、通電処理を施したA/Fセンサの使用前の素子インピーダンス特性に基づいて温度制御の目標値を設定した場合、センサの使用に伴う経時変化によって素子インピーダンス特性が変化し、同温度でのインピーダンスがより大きくなる。その結果、センサのインピーダンスを検出して素子温度を制御した場合、素子温度が活性温度を越えて高温に維持される事態が発生する。これによってセンサ出力の精度が低下し、またA/Fセンサの劣化が進む。
本発明は、通電処理を行ったA/Fセンサにおける上記のような問題点を解決する目的でなされたもので、素子インピーダンスの経時変化による影響を受けることが無い、A/Fセンサの素子温度制御方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、第1の発明では、正、負高電圧の印加による通電処理前の限界電流式空燃比センサの活性温度における素子インピーダンス値を求めるステップと、前記限界電流式空燃比センサに対して通電処理を行うステップと、通電処理を行った前記限界電流式空燃比センサに対して、通電処理前に求めた前記素子インピーダンス値に基づいて、当該センサの温度制御のための目標インピーダンス値を決定するステップと、を備えることを特徴とする、限界電流式空燃比センサの温度制御方法を提供する。
上記温度制御方法において、前記決定するステップは、前記通電処理前のセンサに対して求めた前記素子インピーダンス値を前記目標インピーダンス値として決定するようにしても良い。
また、前記決定するステップは、前記目標インピーダンス値を、前記通電処理前のセンサに対して求めた前記素子インピーダンス値と、前記通電処理を行ったセンサの活性温度における素子インピーダンス値との間のいずれかの値に決定するようにしても良い。
上記課題を解決するために、第2の発明では、正、負高電圧の印加による通電処理を行った限界電流式空燃比センサに印加される熱負荷の積算量と、前記センサの活性温度における素子インピーダンス値との関係を示すマップを形成するステップと、前記限界電流式空燃比センサのエンジンでの使用時において当該センサへの熱負荷の積算量を検出するステップと、前記マップを参照して、前記検出した熱負荷の積算量に対応する素子インピーダンス値を取得するステップと、前記取得した素子インピーダンス値を前記限界電流式空燃比センサの温度制御における目標インピーダンス値に設定して前記限界電流式空燃比センサの温度制御を行うステップと、を備える、限界電流式空燃比センサの温度制御方法を提供する。
上記方法において、前記熱負荷の積算量は、前記限界電流式空燃比センサが設けられたエンジンの積算吸入空気量に基づいて算出するようにしても良い。
上記課題を解決するために、第3の発明では、正、負高電圧の印加による通電処理を行った限界電流式空燃比センサに流入する電流の積算量と、前記センサの活性化温度における素子インピーダンス値との関係を示すマップを形成するステップと、前記限界電流式空燃比センサのエンジンでの使用時において前記センサに流入する電流の積算量を検出するステップと、前記マップを参照して、前記検出した電流の積算量に対応する素子インピーダンス値を取得するステップと、前記取得した素子インピーダンス値を前記限界電流式空燃比センサの温度制御における目標インピーダンス値に設定して前記限界電流式空燃比センサの温度制御を行うステップと、を備える、限界電流式空燃比センサの温度制御方法を提供する。
通電処理を行ったA/Fセンサの初期品のインピーダンス値は、センサをエンジン等に装着して使用している間に急激に上昇し、ある期間が経過するとほぼ一定値を取るようになる。この値は、通電処理を行わないA/Fセンサの初期品のインピーダンス値に極めて近い値である。したがって、第1の発明では、通電処理を行ったA/Fセンサの温度制御の目標値を、通電処理を行わないA/Fセンサで特定された活性温度における素子インピーダンスの値に基づいて決定することにより、通電処理を行ったA/Fセンサが経時変化によりそのインピーダンス特性を変化させた後でのセンサの過昇温を防止するようにしている。
この場合、通電処理を行ったA/Fセンサの温度制御の目標値を、通電処理を行わないA/Fセンサの初期品の活性温度における素子インピーダンス値に一致させても良いし、あるいは、この値に補正を加えるようにしても良い。補正を加える場合は、通電処理前のセンサに対して求めた活性温度における素子インピーダンス値と、通電処理を行ったセンサの活性温度における素子インピーダンス値との間の値を選択することによって、通電処理を行ったA/Fセンサにおいて、使用の初期に、センサが過剰に低温側に制御されることを防止することができる。
第2および第3の発明では、A/Fセンサに高電圧印加による通電処理を行った場合に発生するセンサ材料における結晶歪が、A/Fセンサへの熱の印加、あるいはA/Fセンサに電流を流すことによって徐々に回復することが、素子インピーダンスにおける経時変化の原因であるとの知見に基づいて、A/Fセンサへの熱負荷あるいはセンサ電流値(絶対値)の積算量と、センサの素子インピーダンス制御目標値との関係を示すマップを予め作成する。このマップに基づいて、例えば、エンジンの運転ごとに素子インピーダンス制御目標値を補正することによって、その刻々で精度の高いA/Fセンサの温度制御を行えるようにしている。
なお、通電処理を行ったA/Fセンサのインピーダンス変化には、電極、電極界面の抵抗変化が寄与しないため、センサの限界電流値には殆ど変化を与えないことがわかっている。したがって、上記第1乃至第3の発明によれば、通電処理によるセンサ出力の初期からの安定化と共に、インピーダンスの経時変化に影響されない適正な温度制御を達成することができる。
図1は、A/Fセンサ1に対する通電処理の概要を示す図である。A/Fセンサ1は、例えばジルコニアの固体電解質10にPt等の電極11、12を設けて構成される。このA/Fセンサ1の両電極11、12間に、正および負の電圧源13から高電圧を印加することによって、センサ1に通電処理を行う。この処理によって、電極および電極界面の付着物が除去されて電流が流れ易くなり、センサの初期品から出力電流が安定し、かつ低温でセンサが活性化されるという効果が生じる。
図2は、通電処理を行ったA/Fセンサ(曲線A)と通電処理を行わないA/Fセンサ(曲線B)の、空気中におけるセンサ電流の経時変化を示すグラフである。図の横軸は、各A/Fセンサをエンジン等の実機に搭載して使用した時間を示している。通電処理を行ったA/Fセンサでは、曲線Aに示すように初期時からセンサの出力電流が安定しており、一方、通電処理を行わないA/Fセンサでは、曲線Bに示すようにセンサの出力電流が時間の経過と共に変動することが理解される。
なお、通電処理を行わないA/Fセンサでは、長期間に亘ってセンサを使用することによって、その出力は通電処理を行ったA/Fセンサの値にマージし安定化する。これは、通電処理を行わないA/Fセンサであっても、センサ使用時の電圧印加により、電極および電極界面の付着物が徐々に除去されていき、かなりの時間を経過することによって通電処理を行った場合と同様の効果を生じるためと考えられる。
通電処理によって、A/Fセンサの出力電流特性は初期時から安定する効果が生じるが、一方で、その処理により初期品の素子インピーダンスが、処理を行わないセンサの初期品におけるインピーダンスと比べて低下し、時間の経過と共にその値が急激に増加するという特性のあることがわかっている。
図3は、通電処理を行ったA/Fセンサ(曲線A’)と通電処理を行わないA/Fセンサ(曲線B’)の、同温度での素子インピーダンスにおける経時変化を示すグラフである。図の横軸はA/Fセンサを例えば実機に搭載して使用した時間を示し、図の縦軸は素子インピーダンス値を示している。曲線A’に示すように、通電処理を行ったA/Fセンサでは、その初期品の素子インピーダンス値aが、通電処理を行わないA/Fセンサの諸気品の素子インピーダンス値bよりもかなり低い値を取る。ところが、実機での使用によって、素子インピーダンス値が急激に増加し、ある時間t以降、ほぼ一定値cを取るようになる。このインピーダンス値cは、通電処理を行わないA/Fセンサの初期品のインピーダンス値bと比較して大きな相違はない。
通電処理を行ったA/Fセンサにおける初期インピーダンスの低下とその後の急激な上昇の原因は次のように考えられる。高電圧印加による通電処理を施したA/Fセンサでは、センサの電極あるいは電極界面の付着物が除去され、酸素のイオン化が促進されることによって、センサ全体の抵抗(インピーダンス)が低下する。しかしながら、通電処理による素子抵抗の低下には、高電圧印加によるジルコニア結晶の歪みによって発生する抵抗変化も含まれており、この結晶の歪みが、センサ使用過程で正常な状態に戻ることによって、センサの素子抵抗(インピーダンス)が経時的に増加するものと考えられる。このような結晶歪みの戻りの結果、高電圧印加による通電処理を行ったA/Fセンサでは、通電処理を行わないA/Fセンサに比べて、センサ使用過程でのインピーダンス変化が大きくなる。
以上のように、通電処理を施したA/Fセンサでは、初期インピーダンスの値が同温度での耐久品のインピーダンス値に比べて低い値を取る。そのため、通電処理を施したA/Fセンサの初期品のインピーダンス−温度特性に基づいて、A/Fセンサの素子温度制御の目標値を設定すると、センサの使用過程におけるインピーダンスの増加に伴って素子温度が目標値よりかなり高温側に制御されることになる。
図4は、A/Fセンサの素子インピーダンスと素子温度との関係を示すグラフである。図の曲線A”は、通電処理を施したA/Fセンサの初期品におけるインピーダンス−温度特性を示し、図の曲線Cは同じA/Fセンサの相当時間の使用後のインピーダンス−温度特性を示す図である。通常の温度制御方法であれば、例えば、A/Fセンサの活性温度を750℃とする場合、曲線A”に基づいて得た素子インピーダンスz1を制御の目標値として、ヒータによるセンサの加熱制御を行う。
ところが、A/Fセンサの相当時間の使用によって素子インピーダンスが増加すると、そのセンサのインピーダンス−温度特性は図4の曲線Cに示すものとなるため、センサの素子インピーダンスがz1のとき、実際の素子温度は850℃となっている。したがって、初期品のインピーダンスを基にインピーダンスの制御目標値を決定した場合、相当時間の使用後のA/Fセンサ(耐久品)では、実際の素子温度が活性温度より遥かに高温となるように温度制御がなされる。この結果、A/Fセンサの検出感度が低下し、かつセンサの劣化が促進される。
[第1の実施形態]
したがって、上記のような不都合を回避するために、耐久品のインピーダンス−温度特性Cに基づいて素子インピーダンスの制御目標値を決定し、最初からこの目標値に基づいてA/Fセンサの素子温制御を行うようにする。図4の事例で示せば、例えば750℃が活性温度であるA/Fセンサの場合、耐久品の素子インピーダンス−温度特性Cに基づいて、活性温度750℃に対応する素子インピーダンス値z2を、A/Fセンサの初期品の素子温制御目標値に設定する。これによって、A/Fセンサを相当時間使用した後であっても、A/Fセンサの素子温は750℃に制御され、素子の過昇温を防止することができる。
しかしながら、耐久品の素子インピーダンス−温度特性を得ることは容易ではないので、本実施形態では、通電処理を行わないA/Fセンサに対して求めた素子インピーダンス−温度特性に基づいて、素子温の制御の目標値を決定する。図4の曲線B”は、通電処理を行わないA/Fセンサの初期品の素子インピーダンス−温度特性を示す。図3を参照して既に説明したように、通電処理を行わないA/Fセンサの初期インピーダンスの値bは、同温度において、通電処理を行ったA/Fセンサの耐久品のインピーダンス値cとあまり大きな変わりはない。
したがって、通電処理を行ったA/Fセンサの初期品の、例えば活性温度となるときの平均値、中央値を素子温の目標値(狙い値)とするのではなく、通電処理を行わないA/Fセンサの初期品の活性温度におけるインピーダンスの平均値あるいは中央値を素子温制御の目標値(狙い値)とする。これにより、高電圧を印加したセンサの素子温制御の温度ばらつきが低減し、制御性向上が図れると共に、センサの過昇温防止を図ることができる。
なお、図4のインピーダンス値z2を素子温制御の目標値とすることによって、通電処理を行ったA/Fセンサの使用の初期では、素子温度が活性温度である750℃よりも低い700℃に維持される。ところが、通電処理を行ったA/Fセンサは低温活性化され、広い温度範囲でセンサの出力特性、即ちセンサ電流が安定することが見出されている。さらに、通電処理を行った初期の段階ではセンサ出力は非常に安定しているので、この程度の温度低下によって、センサ出力が不安定となることはない。
しかしながら、使用初期における目標温度の低下を補償するために、初期の素子温制御の目標値を、例えば770℃程度にずらして置く処理を行っても良い。この場合、通電処理を行ったA/Fセンサの初期品の素子インピーダンスの制御目標値はz3(図4参照)となる。
図5は、第1の実施形態にかかるA/Fセンサの素子温制御方法の概略を示すブロック図である。まず、ブロック21に示すように、同一の製造工程で作成された複数のA/Fセンサを用意する。ブロック22では、ブロック1で用意された複数のA/Fセンサに対して素子インピーダンス−温度特性を測定し、活性温度における素子インピーダンスの平均値あるいは中央値から、制御目標値を決定する(ブロック23)。
次に、A/Fセンサに対して正、負の高電圧を印加して通電処理を行い(ブロック24)、A/Fセンサの出力特性の安定化を図る。通電処理後のA/Fセンサを例えばエンジンの排気部分に設置し、ブロック23で決定したインピーダンスの制御目標値を適用して制御系を構築し、エンジンの稼動と共にヒータのオン・オフ制御を行ってA/Fセンサが活性温度を維持するように温度制御する(ブロック25)。この結果、A/Fセンサは、センサを実機で相当時間使用した後であっても、素子温度の過昇温を招くことなく適切な温度に維持されることになり、常に、酸素濃度を高感度で測定することができる。
図6は、高電圧印加による通電処理を行ったA/Fセンサ(曲線P1、P2)と通電処理を行わないA/Fセンサ(曲線Q1、Q2)のコール・コールプロットを示す。図の縦軸は印加電圧の位相を、横軸は抵抗を示す。曲線P1およびQ1の部分は、ジルコニアの抵抗に基づくコール・コールプロットであり、曲線P2およびQ2の部分は電極界面の抵抗によるコール・コールプロットであると考えられる。
図6に示すように、通電処理を行ったA/Fセンサでは、界面抵抗が低下するが、同時にジルコニア素子の抵抗も低下する。ジルコニア素子の抵抗変化は、ジルコニア結晶が高電圧の印加によって歪みを生じたことによるものと思われる。この歪が、A/Fセンサを実機で使用中に元に戻ることで、インピーダンス変化が生じる。電極界面部は、通電処理により、初期の付着物が除去されているので、実機使用時には大きな変化がない。即ち、A/Fを検出する場合のセンサ限界電流の値には、大きな変化はない。
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態にかかるA/Fセンサの素子温度制御方法の動作手順を示すフローチャートであり、図8は、A/Fセンサに加えられる熱負荷の積算量と素子インピーダンスの制御目標値との関係を示すマップである。本実施形態では、通電処理によって低下した素子インピーダンスが、A/Fセンサの実機での使用によって回復する過程を予測して、素子インピーダンスの制御目標値を補正する制御方法を提案している。
図4に示したように、通電処理によって素子インピーダンスが低下した状態では、例えばA/Fセンサの活性温度750℃に対して、素子インピーダンスの制御目標値はz1であり、耐久品、あるいは通電処理を行わないA/Fセンサでの制御目標値はz2である。したがって、A/Fセンサの使用の初期から、温度制御のための目標素子インピーダンス値をz2に設定しておくと、上述したように、A/Fセンサが活性温度よりも低い値に制御されてしまうことになる。本実施形態では、このような不都合を解決するために、A/Fセンサの使用経過と共に、素子インピーダンスの制御目標値を補正し、A/Fセンサを常に正確な活性温度で動作させる制御方法を提案する。
通電処理に伴う素子インピーダンスの低下は高電圧印加によるセンサ材料の結晶歪みによって発生するものと考えられる。結晶歪みは、結晶に加えられる熱負荷の積算量に応じて徐々に回復する。したがって、本実施形態では、A/Fセンサに加えられる熱負荷の積算量と素子インピーダンスの制御目標値との関係を示すマップ(図8参照)を予め作成しておく。
図8のマップにおいて、SUMGAは、エンジンに供給される空気の積算量をグラム(g)で示し、IMPTGは、A/Fセンサの活性温度における素子インピーダンスの狙い値をオーム(Ω)で示している。なお、本実施形態では、熱負荷の積算値を、エンジンに供給される空気の積算量で推定する方法を取っている。図8のマップから、A/Fセンサを正確に活性状態とするためには、例えば、空気の積算量が500000gである場合、素子インピーダンスの制御目標値(狙い値)を260Ωに設定すれば良いことがわかる。
図7のフローチャートにおいて、素子インピーダンス目標値補正ルーチン(1)を開始する場合、ステップS10でバックアップRAMからA/Fセンサへの熱負荷推定値(SAMGAB)を読み出す。バックアップRAMは、エンジンの運転に伴って、その運転で使用した空気量を積算し保存している。したがって、ステップS10でバックアップRAMの値を読み出すことによって、これまでの運転でA/Fセンサにかかった熱負荷の積算値を知ることができる。なお、運転で使用する空気量は、例えばエアーフローメータの値から読み出すことができる。
ステップS11では、エンジンが始動後であるか否かを判定することによって、エンジンの運転開始を検出する。エンジンの始動は、例えばエンジンの回転数を監視することによって検出される。ステップS10ではさらに、センサが活性か否かが判定される。この判定は、例えばセンサの水温度、触媒の温度等を検出することで実行可能である。ステップS11でYESの場合、ステップS12において、センサへの熱負荷推定値、即ち空気量の積算を開始する。
この積算は、前回のSUMGABに今回の空気量Gaを加えることによって行われる。ステップS13において、ステップS12で得た積算値をバックアップRAMに書き込み、ステップS14において、例えば、図8に示すマップより、そのときの空気量の積算値における素子インピーダンス目標値(IMPTG)を取得し、センサ素子温制御の目標値に設定する。なお、ステップS11でエンジンが始動後でない場合、あるいはセンサが活性化されていない場合は、熱負荷推定値の積算、バックアップRAMへの書き込みを行わずにステップS14に移行し、ステップS10で読み出した前回の運転までの熱負荷の推定値に対応する素子インピーダンス目標値IMPTGをマップより読み出し、その値をセンサ素子温制御の目標値に設定する。
以上の制御によって、センサへの熱負荷の積算量に応じて制御の目標値を補正しながら、常に適正な素子温度制御を行うことができる。
[第3の実施形態]
図9および10は、本発明の第3の実施形態にかかるセンサ温度制御方法を示す図であり、図9は制御のフローチャートを、図10は制御に要するマップの一例を示す。前述の第2の実施形態が、センサへの熱負荷の積算量に応じて素子インピーダンス制御目標値を補正するものであったのに対して、本実施形態では、センサ電流の積算値に応じて素子インピーダンス制御目標値を補正する温度制御方法を提案している。
図9に示す素子インピーダンス目標値補正ルーチン(2)が開始されると、まず、ステップS20において、バックアップRAMからセンサ電流の積算値を読み出す(SUMAFI←SUMAFIB)。ステップS21において、エンジンが始動後であり、かつセンサが活性化されているか否かが判定される。この判定は、第2の実施形態の場合と同様に実行される。ステップS21でYESの場合、ステップS22でセンサ電流の積算を開始し(SUMAFI(前回値)+今回のセンサ電流値)、ステップS23で積算値をバックアップRAMに書き込む(SAMAFIB←SUMAFI)。
次に、ステップS24において、例えば図10に示すマップを参照して、センサ電流の積算からインピーダンス目標値IMPTGを取得し、センサ素子温の制御目標値に設定する。図10において、SUMAFI(A)は、センサ電流の積算値をアンペア(A)で示し、IMPTG(Ω)はセンサのインピーダンス目標値をオームで示している。したがって、図10のマップを参照することにより、センサ電流の積算値からその積算値に対応するインピーダンス目標値IMPTGを取得することができる。
なお、ステップS21でNOの場合は、ステップS22、23を実行することなくステップS24に移行して、センサ電流の前回の積算値から素子インピーダンスの目標値IMPTGを取得してこのルーチンを終了する。
A/Fセンサの通電処理を示す概略図。 通電処理を行ったA/Fセンサと通電処理を行わないA/Fセンサとにおけるセンサ電流の経時変化を示す図。 通電処理を行ったA/Fセンサと通電処理を行わないA/Fセンサにおける素子インピーダンスの経時変化を示す図。 通電処理を行ったA/Fセンサと通電処理を行わないA/Fセンサにおける素子インピーダンスと温度の関係を示す図。 第1の実施形態の制御方法を説明するためのブロック図。 通電処理を行ったA/Fセンサと、通電処理を行わないA/Fセンサのコール・コールプロットを示す図。 第2の実施形態の制御方法を説明するためのフローチャート。 第2の実施形態の制御方法において使用されるマップの一例を示す図。 第3の実施形態の制御方法を説明するためのフローチャート。 第3の実施形態の制御方法において使用されるマップの一例を示す図。
符号の説明
1 A/Fセンサ
10 固体電解質
11、12 電極
13 高電圧源

Claims (3)

  1. 正、負高電圧の印加による通電処理前の限界電流式空燃比センサの活性温度における素子インピーダンス値を求めるステップと、
    前記限界電流式空燃比センサに対して通電処理を行うステップと、
    通電処理を行った前記限界電流式空燃比センサに対して、通電処理前に求めた前記素子インピーダンス値に基づいて、当該センサの温度制御のための目標インピーダンス値を決定するステップと、を備えることを特徴とする、限界電流式空燃比センサの温度制御方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記決定するステップは、前記通電処理前のセンサに対して求めた前記素子インピーダンス値を前記目標インピーダンス値として決定することを特徴とする、限界電流式空燃比センサの温度制御方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記決定するステップは、前記目標インピーダンス値を、前記通電処理前のセンサに対して求めた前記素子インピーダンス値と、前記通電処理を行ったセンサの活性温度における素子インピーダンス値との間のいずれかの値に決定することを特徴とする、限界電流式空燃比センサの温度制御方法。
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