JP4028289B2 - NOx分解電極及びNOx濃度測定装置 - Google Patents

NOx分解電極及びNOx濃度測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、NOxに対する分解/還元能力があるか、あるいは高い電極であって、NOxを分解し、その際に酸素を発生させるNOx分解電極と、例えば、車両の排出ガスや大気中に含まれるNOxを測定するNOx濃度測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃焼ガス等の被測定ガス中のNOxを測定する方法として、ジルコニア等の酸素イオン導伝性の固体電解質上にPt−Rhの合金とセラミック成分からなるサーメット電極のNOx分解電極を形成したセンサを用い、前記NOx分解電極に発生する起電力を測定するようにした手法が知られている(特開平11−183434号公報参照)。
【0003】
前記手法では、前記NOx分解電極のPtとRhの比率を、重量比で、Pt:Rh=10:90〜99:1又はPt:Rh=25:75〜75:25としているため、Rhの酸化反応と還元反応とが有効に抑制される。そのため、前記NOx分解電極の使用時間が増加しても、前記NOx分解電極と前記固体電解質の基板との接触面積の低下によるインピーダンスの増加を抑制することができる。従って、該NOx分解電極を用いたNOx濃度測定装置では、前記センサの使用中におけるポンプセルのインピーダンスの安定化とNOx測定感度の安定化を図ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記NOx分解電極に求められる性能としては、高いNOxの分解能力と、酸化反応及び還元反応の抑制とがある。前記分解能力を向上させるためには、前記Pt−Rhの合金におけるRhの比率をPtよりも大きくすることが必要である。一方、前記酸化反応と前記還元反応を抑制するためには、前記Pt−Rhの合金におけるPtの比率をRhよりも大きくすることが必要である。従って、前記NOx分解電極においては、NOxの分解能力の向上と酸化反応と還元反応の抑制とを両立させることは困難である。
【0005】
また、前記NOx分解電極は、700℃〜800℃の高温でNOxを測定するため、前記NOx分解電極には絶えず、膨張と収縮とが繰り返し発生する。膨張と収縮とが繰り返されると、固体電解質からNOx分解電極が剥離するおそれがある。また、前記固体電解質からの前記NOx分解電極の剥離によって、該NOx濃度測定装置のNOx測定能力が悪化するおそれもある。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、サーメット電極を、PtとRhとの比率が異なる合金とセラミック成分との多層構造のサーメット電極層とすることによって、NOxの分解能力を高め、かつ、膨張と収縮とを抑制することにより、高い信頼性と耐久性を有するNOx分解電極及びNOx濃度測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るNOx分解電極は、NOxに対する分解/還元能力があるか、あるいは高い電極であって、NOxを分解し、その際に酸素を発生させるNOx分解電極であって、Pt−Rhの合金とセラミック成分とからなる複数のサーメット電極層の多層構造で構成され、PtとRhとの比率は、前記各サーメット電極層で異なることを特徴としている。前記セラミック成分としては、部分安定化ZrO2又は完全安定化ZrO2が好ましく、安定化剤としては、Y23、MgO、CaO、CeO2等があるが、低温焼成の観点からY23が好ましい。
【0008】
上記したNOx分解電極の多層構造は、セラミック基板上に形成され、前記各サーメット電極層におけるPtの割合が、前記セラミック基板に直接形成された最下層のサーメット電極層から、最上層のサーメット電極層に至るにつれて、減少していることが好ましい。この場合、前記セラミック基板の材料としては、前記NOx分解電極と同じ材料であることが好ましく、部分安定化ZrO2又は完全安定化ZrO2が好ましく、安定化剤としては、Y23、MgO、CaO、CeO2等があるが、低温焼成の観点からY23が好ましい。
【0009】
即ち、上層のサーメット電極層と比較して、下層のサーメット電極層ではPtの比率が高い。そのため、前記最下層のサーメット電極層の酸化還元反応が抑制され、前記セラミック基板からNOx分解電極が剥離される問題は解決される。
【0010】
一方、上層に位置するサーメット電極層の比率は、下層のサーメット電極層における比率と比較すると、Rhが多い比率となっているので、該サーメット電極層におけるNOxの分解能力を高めることが可能となる。
【0011】
従って、本発明に係るNOx分解電極では、下層に位置するサーメット電極層によってNOx測定における酸化反応と還元反応の抑制を達成し、上層に位置するサーメット電極層によってNOx測定におけるNOx分解能力の向上を達成するので、高信頼性と長寿命とを有するNOx分解電極を実現することが可能となる。
【0012】
特に、前記NOx分解電極の多層構造を、少なくとも第1のサーメット電極層と、前記第1のサーメット電極層上に形成された第2のサーメット電極層とし、前記第1のサーメット電極層におけるPtとRhの比率を、重量比で、Pt:Rh=100:0〜25:75とし、前記第2のサーメット電極層におけるPtとRhの比率を、重量比で、Pt:Rh=25:75〜0:100とすれば、前記NOx分解電極の剥離が発生しにくくなる。具体的には、従来技術に係るNOx分解電極と比較して、本発明に係るNOx分解電極の寿命は2倍以上となる。
【0013】
このとき、前記各サーメット電極層におけるRhの平均粒径を、10〜20μmとする。10μm未満の平均粒径を有するRhを用いた場合、NOx分解電極の積層体を1300℃以上の高温で焼結すると、Rhが多いペーストの内部から、Rhが少ないペーストの内部にRhが移動し、各サーメット電極層のPtとRhの比率が同じになるからである。
【0014】
また、従来の技術に係るNOx分解電極において、セラミック基板からのサーメット電極層の剥離は、サーメット電極層の縁端部で発生する。また、前記NOx分解電極を構成するサーメット電極層の幅は約数百μmであり、前記NOx分解電極が有する約数十μmの膜厚に対して十分に長い。そのため、前記NOx分解電極におけるPtとRhの比率の変化を、前記NOx分解電極の膜厚の方向である厚み方向に加え、前記各サーメット電極層の幅の方向である前記セラミック基板の表面に沿った方向(平面方向で変化させた方が、前記セラミック基板と前記サーメット電極層との付着力の強化の点から望ましいといえる。
【0015】
そこで、前記NOx分解電極の多層構造を、前記セラミック基板上で該セラミック基板の表面に沿った方向に直接形成し、前記各サーメット電極層におけるPtの割合が、中央のサーメット電極層から外側のサーメット電極層に至るにつれて増加するように構成する。
【0016】
具体的には、前記各サーメット電極層の中心の方でRhが多くなるようにする。このようにすると、前記各サーメット電極層の縁端部では、NOx測定における酸化反応と還元反応とが抑制されて、該サーメット電極層の膨張と収縮とが抑制されるので、前記セラミック基板からNOx分解電極が剥離される問題が回避される。
【0017】
このように、前記NOx分解電極の中心部では、前記縁端部よりもRhが多いので、NOx測定におけるNOx分解能力は向上する。
【0018】
特に、前記NOx分解電極の多層構造を、少なくとも第1のサーメット電極層と、前記第1のサーメット電極層の外側に形成された第2のサーメット電極層とし、前記第1のサーメット電極層におけるPtとRhの比率を、重量比で、Pt:Rh=25:75〜0:100とし、前記第2のサーメット電極層におけるPtとRhの比率を、重量比で、Pt:Rh=100:0〜25:75とすれば、前記NOx分解電極の剥離が発生しにくくなる。具体的には、従来技術に係るNOx分解電極と比較して、本発明に係るNOx分解電極の寿命は2倍以上となる。
【0019】
そして、上記した本発明に係るNOx分解電極において、各サーメット電極層における前記Pt−Rhの合金と前記セラミック成分の比率は、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=50:50〜70:30とすることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係るNOx濃度測定装置は、被測定ガス存在空間より酸素イオン導伝性固体電解質であるジルコニアからなる基体内に形成された第1の内部空所内に導かれた被測定ガス中の酸素分圧を所定の値に制御せしめる第1の酸素ポンプ手段と、前記第1の内部空所から前記基体内に形成された第2の内部空所内に導かれた前記酸素分圧が制御された被測定ガスより、該被測定ガス中の酸素を汲み出し、かかる雰囲気中の酸素分圧を、NOx成分が還元乃至は分解され得る所定の値に制御して、該第2の内部空所内の雰囲気中に存在するNOx成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素をも同時に汲み出すようにした第2の酸素ポンプ手段とを有し、該第2の酸素ポンプ手段のポンプ作動によって流れるポンプ電流を検出することにより、被測定ガス中に存在するNOx濃度を求めるようにしたNOx濃度測定装置であって、前記第2の酸素ポンプ手段のNOx成分を還元乃至は分解せしめるNOx分解電極は、前記基体を構成するセラミック基板における前記第2の内部空所を形づくる表面に直接形成されたPt−Rhの合金とセラミック成分とからなる複数のサーメット電極層の多層構造であって、前記多層構造は前記セラミック基板上で該セラミック基板の表面に沿った方向に形成され、PtとRhとの比率は前記各サーメット電極層で異なり、かつ、中央のサーメット電極層から外側のサーメット電極層に至るにつれて、前記各サーメット電極層におけるPtの割合が増加していることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係るNOx濃度測定装置10の好適な実施の形態を図1〜図9を参照しながら説明する。
【0024】
NOx濃度測定装置10は、図1に示すように、ZrO2等の酸素イオン導伝性固体電解質を用いたセラミックスよりなる、例えば6枚の固体電解質層12a〜12fが積層されて構成された基体14を有する。
【0025】
基体14には、固体電解質層12b、12c、12dによって、酸化物測定の基準となる基準ガス、例えば大気が導入される空間(基準ガス導入空間16)が形成されている。
【0026】
また、基体14には、被測定ガス中の酸素分圧を調整するための第1室18と、被測定ガス中の酸素分圧を微調整し、更に被測定ガス中の酸化物、例えば窒素酸化物(NOx)を測定するための第2室20とが形成されている。
【0027】
そして、このNOx濃度測定装置10において、固体電解質層12eの第1室18の前端開口は、第1の拡散律速部22を構成する。また、前記第1室18と前記第2室20は、第2の拡散律速部24を介して連通されている。
【0028】
ここで、第1及び第2の拡散律速部22及び24は、第1室18及び第2室20にそれぞれ導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与するものであり、図1では、被測定ガスを導入することができる所定の断面積を有した縦長のスリットとして形成されている。これら縦長のスリットは、共に固体電解質層12eの幅方向ほぼ中央部分に形成されている。
【0029】
なお、第2の拡散律速部24を構成するスリット内に、ZrO2等からなる多孔質体を充填、配置して、前記第2の拡散律速部24の拡散抵抗を第1の拡散律速部22の拡散抵抗よりも大きくするようにしてもよい。第2の拡散律速部24の拡散抵抗は第1の拡散律速部22のそれよりも大きい方が好ましいが、小さくても問題はない。
【0030】
そして、前記第2の拡散律速部24を通じて、第1室18内の雰囲気が所定の拡散抵抗の下に第2室20内に導入されることとなる。
【0031】
前記第2の拡散律速部24は、前記第1の拡散律速部22と同様に、後述する補助ポンプセル54に一定電圧Vp3を印加した際に、被測定ガス中の酸素が測定空間(第2室20)に拡散流入する量を絞り込んで、前記補助ポンプセル54に流れるポンプ電流Ip3を抑制する働きをしている。
【0032】
また、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10においては、第1室18の内壁面に形成された多孔質サーメット電極(例えばAu1wt%を含むPt−ZrO2のサーメット電極)からなる内側ポンプ電極26が形成され、前記固体電解質層12fの上面のうち、前記内側ポンプ電極26に対応する部分に、外側ポンプ電極28が形成されており、これら内側ポンプ電極26、外側ポンプ電極28及び固体電解質層12d、12e、12fにて電気化学的なポンプセル、即ち、主ポンプセル30が構成されている。
【0033】
そして、前記主ポンプセル30における内側ポンプ電極26と外側ポンプ電極28間に、外部の可変電源32を通じて所望の制御電圧(ポンプ電圧)Vp1を印加して、外側ポンプ電極28と内側ポンプ電極26間に、正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip1を流すことにより、前記第1室18内における雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは外部空間の酸素を第1室18内に汲み入れることができるようになっている。
【0034】
また、前記固体電解質層12dの下面のうち、基準ガス導入空間16に露呈する部分に基準電極34が形成されており、内側ポンプ電極26と基準電極34と固体電解質層12dによって、電気化学的なセンサセル、即ち、制御用酸素分圧検出セル36が構成されている。
【0035】
この制御用酸素分圧検出セル36は、第1室18内の雰囲気と基準ガス導入空間16内の基準ガス(大気)との間の酸素濃度差に基づいて、内側ポンプ電極26と基準電極34との間に発生する起電力を、電圧計38にて測定することにより、前記第1室18内の雰囲気の酸素分圧が検出できるようになっている。
【0036】
即ち、内側ポンプ電極26及び基準電極34間に生じる電圧V1は、基準ガス導入空間16に導入される基準ガスの酸素分圧と、第1室18内の被測定ガスの酸素分圧との差に基づいて生じる酸素濃淡電池起電力である。電圧V1を電圧計38によって測定することで、第1室18内の酸素分圧を検出することができる。
【0037】
前記検出された酸素分圧値は可変電源32のポンプ電圧をフィードバック制御系40を通じて制御するために使用され、具体的には、第1室18内の雰囲気の酸素分圧が、次の第2室20において酸素分圧の制御を行い得るのに十分な低い所定の値となるように、主ポンプセル30のポンプ動作が制御される。
【0038】
なお、前記内側ポンプ電極26及び外側ポンプ電極28は、第1室18内に導入された被測定ガス中のNOx、例えば、NOに対する触媒活性が低い不活性材料により構成される。
【0039】
また、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10においては、前記固体電解質層12dの上面のうち、前記第2室20を形づくる上面であって、かつ第2の拡散律速部24から離間した部分に、平面ほぼ矩形状の多孔質サーメット電極からなる検出電極42が形成され、この検出電極42を被覆するように、第3の拡散律速部44を構成するアルミナ膜が形成されている。そして、該検出電極42、前記基準電極34及び固体電解質層12dによって、電気化学的なポンプセル、即ち、測定用ポンプセル46が構成される。
【0040】
そして、前記基準電極34と前記検出電極42と前記測定用ポンプセル46との間に、直流電源48を通じて一定電圧Vp2が印加されることによって、第2室20内の雰囲気中の酸素を基準ガス導入空間16に汲み出せるようになっている。この測定用ポンプセル46のポンプ動作によって流れるポンプ電流Ip2は、電流計50によって検出されるようになっている。この検出電極42についての詳細は後述する。
【0041】
前記直流電源48は、第3の拡散律速部44により制限されたNOxの流入下において、測定用ポンプセル46の分解時に生成した酸素のポンピングに対して限界電流を与える大きさの電圧を印加できるようになっている。
【0042】
一方、前記固体電解質層12fの下面のうち、前記第2室20の内壁面に形成された多孔質サーメット電極(例えばAu1wt%を含むPt−ZrO2のサーメット電極)からなる補助ポンプ電極52が形成されており、該補助ポンプ電極52、前記固体電解質層12d、12e、12f及び基準電極34にて補助的な電気化学的ポンプセル、即ち、補助ポンプセル54が構成されている。
【0043】
前記補助ポンプ電極52は、前記主ポンプセル30における内側ポンプ電極26と同様に、被測定ガス中のNO成分に対する還元能力を弱めた、あるいは還元能力のない材料を用いている。
【0044】
そして、補助ポンプセル54における補助ポンプ電極52と基準電極34間に、外部の直流電源56を通じて所望の一定電圧Vp3を印加することにより、第2室20内の雰囲気中の酸素を基準ガス導入空間16に汲み出せるようになっている。
【0045】
これによって、第2室20内の雰囲気の酸素分圧が、実質的に被測定ガス成分(NOx)が還元又は分解され得ない状況下で、かつ目的成分量の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値とされる。この場合、第1室18における主ポンプセル30の働きにより、この第2室20内に導入される酸素の量の変化は、被測定ガスの変化よりも大幅に縮小されるため、第2室20における酸素分圧は精度よく一定に制御される。
【0046】
従って、前記構成を有するNOx濃度測定装置10では、前記第2室20内において酸素分圧が制御された被測定ガスは、検出電極42に導かれることとなる。
【0047】
また、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10においては、固体電解質層12bの下部に、外部からの給電によって発熱するヒータ58が埋設されている。このヒータ58は、酸素イオンの導伝性を高めるために設けられるもので、該ヒータ58の上下面には、固体電解質層12a、12bとの電気的絶縁を得るために、アルミナ等の絶縁層60が形成されている。
【0048】
前記ヒータ58は、第1室18から第2室20の全体にわたって配設されており、これによって、第1室18及び第2室20がそれぞれ所定の温度に加熱され、併せて主ポンプセル30、制御用酸素分圧検出セル36及び測定用ポンプセル46も所定の温度に加熱、保持されるようになっている。
【0049】
そして、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10の検出電極42は、図2に示すように、基板である固体電解質層12dに直接形成された第1のサーメット電極層62と、第1のサーメット電極層62上に形成された第2のサーメット電極層64とを有している。第1のサーメット電極層62と第2のサーメット電極層64とは、Pt−Rhの合金とZrO2とからなる多孔質サーメットのセラミック成分から構成される。
【0050】
このとき、第1のサーメット電極層62及び第2のサーメット電極層64の前記Pt−Rhの合金と前記セラミック成分との比率は、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=50:50〜70:30であることが好ましい。
【0051】
また、第1のサーメット電極層62と第2のサーメット電極層64とは、PtとRhとの比率を異なるようにして形成されている。好ましくは、第1のサーメット電極層62において、PtとRhとの比率は、重量比で、Pt:Rh=100:0〜25:75とする。一方、第2のサーメット電極層64において、PtとRhとの比率は、重量比で、Pt:Rh=25:100〜0:100とする。
【0052】
このように、第1及び第2のサーメット電極層62及び64におけるPtとRhの比率を比較すると、第2のサーメット電極層64よりも第1のサーメット電極層62においてPtが多い。そのため、固体電解質層12dからの検出電極42の剥離が抑制される。一方、第1のサーメット電極層62と比較して、第2のサーメット電極層64ではRhが多いので、該第2のサーメット電極層64のNOx分解能力が向上する。
【0053】
なお、上記した本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10の基本的な動作は、特開平11−183434号公報のNOx濃度測定装置と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
ここで、2つの実験例を示す。
【0055】
第1の実験例は、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10の動作と停止とを高温で繰り返したとき、繰り返し回数に対する固体電解質層12d(図2参照)からの検出電極42の剥離、即ち、NOx濃度測定装置10の不良率F(t)が、第1のサーメット電極層62におけるPtとRhとの比率に対してどのように変化するかを調べたものである。
【0056】
この第1の実験例では、図3に示すように、PtとRhとの比率が異なる第1のサーメット電極層62を有する本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)と、従来の技術に係る検出電極を有するNOx濃度測定装置(比較例1)とを作製した。
【0057】
次に、第1の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)の作製方法について説明する。
【0058】
まず、第1のサーメット電極層62のペーストを調製する。Pt−Rhの合金としては、RhとPtの比率が、重量比で図3に示す比率の合金を用いる。そして、前記Pt−Rhの合金とZrO2(セラミック成分)の比率を、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=60:40に調合する。更に、調合された前記Pt−Rhの合金とZrO2に、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤を加え、第1のサーメット電極層62のペーストを調製する。
【0059】
次いで、第2のサーメット電極層64のペーストを調製する。この場合、Pt−Rhの合金としては、PtとRhの比率が、重量比で、Pt:Rh=10:90の合金を用いる。そして、前記Pt−Rhの合金とZrO2との比率を、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=60:40の比率で調合する。更に、調合された前記Pt−Rhの合金とZrO2に、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤を加え、第2のサーメット電極層64のペーストを調製する。
【0060】
次いで、固体電解質層12dのグリーンシートを作製する。前記グリーンシートは、部分安定化ジルコニア又は完全安定化ジルコニアの粉末と、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤とを混合し、ドクターブレード法等によって作製する。
【0061】
次いで、第1のサーメット電極層62のペーストを、スクリーン印刷法によって、固体電解質層12dのグリーンシート上に5〜15μmの厚さで塗布することにより、第1のサーメット電極層62のパターンを形成する。
【0062】
次いで、第2のサーメット電極層64のペーストを、スクリーン印刷法によって、第1のサーメット電極層62上に15〜25μmの厚さで塗布することにより、第2のサーメット電極層64のパターンを形成する。
【0063】
次いで、検出電極42の全体を覆うように、スクリーン印刷法によって、厚さ20〜50μmのアルミナペーストを塗布する。
【0064】
なお、固体電解質層12dのグリーンシート上には、前記検出電極42のパターンの他に、基準電極34のパターンを形成する。そして、固体電解質層12fのグリーンシート上には、内側ポンプ電極26、外側ポンプ電極28及び補助ポンプ電極52の各パターンを形成する。更に、上記したグリーンシートを積層して積層体を得る。
【0065】
次いで、前記積層体を、1300℃以上の高温で焼成し、基体14を得る。この焼成によって、基体14には、検出電極42を始めとする上記した電極が形成される。
【0066】
次いで、図1では図示しなかったハウジング、保護カバー、コネクタ等を基体14に取り付け、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)を得る。
【0067】
一方、従来の技術に係る検出電極を有するNOx濃度測定装置(比較例)では、重量比で、Pt:Rh=10:90であるPt−Rhの合金を用いている。前記検出電極のペーストとしては、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=60:40となるように調合して、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤を加えて調製する。そして、前記検出電極のペーストを、スクリーン印刷法によって、ZrO2のグリーンシート上に、20〜40μmの厚さで塗布し、検出電極のパターンを形成する。そして、前記検出電極のパターンを焼成して検出電極を得る。従って、従来の技術に係るNOx濃度測定装置(比較例1)は、検出電極の作製方法を除き、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)と同様の方法によって作製する。
【0068】
次に、第1の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)の不良率F(t)の測定方法について説明する。
【0069】
本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)を電気炉の内部に配置する。次いで、該電気炉の内部を高温の雰囲気に保持し、該NOx濃度測定装置10(実施例1〜4)を700〜800℃に保持した状態で、NOx濃度測定装置10の主ポンプセル30、測定用ポンプセル46、補助ポンプセル54及びヒータ58の動作と停止とを繰り返す。前記動作の期間は5分間とし、前記停止の期間は5分間とする。
【0070】
上記した動作と停止の繰り返し回数が1000サイクルまでの場合は、100サイクル毎に検出電極42のNOx感度、即ち、ポンプ電流Ip2を電流計50によって測定する。前記繰り返し回数が1000サイクル以上の場合では、500サイクル毎に検出電極42のNOx感度を測定する。
【0071】
測定されたNOx感度が、実験を行う前に予め測定したNOx感度の20%未満になったとき、固体電解質層12dからの検出電極42の剥離が発生して第3の拡散律速部44のアルミナ膜にクラックが発生し、第1の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)が劣化したものと判断する。そして、劣化したNOx濃度測定装置10は分解され、電子顕微鏡による検出電極42の断面観察によって前記クラックの有無を確認する。
【0072】
そして、分解されたNOx濃度測定装置10の個数に対して、クラックの発生が確認されたNOx濃度測定装置10の個数を不良率F(t)と定義して、図4に示すようなワイブルプロットを作成した。
【0073】
なお、従来の技術に係るNOx濃度測定装置(比較例1)の不良率F(t)は、上記した第1の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)と同じ測定方法によって測定された。
【0074】
図4では、劣化と判定された第1の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)又は従来の技術に係るNOx濃度測定装置(比較例1)のうち、最も低いサイクルで劣化と判定された前記実施例1〜4又は前記比較例1をプロットしている。
【0075】
比較例1では約70サイクルでF(t)=0.1%となるが、実施例1では約200サイクルでF(t)=0.1%となる。また、実施例2では約700サイクルでF(t)=0.1%となり、実施例3では約1200サイクルでF(t)=0.1%となり、実施例4では約3000サイクルでF(t)=0.1%となる。即ち、実施例1〜4は、比較例1よりも不良率F(t)が小さく、長寿命である。
【0076】
また、図3において、第1のサーメット電極層62に占めるPtの割合は、実施例1<実施例2<実施例3<実施例4の順序で大きくなっている。図4に示す実験結果と合わせて検討すると、第1のサーメット電極層62に占めるPtの割合が多い程、固体電解質層12dから検出電極42の剥離は発生しないことが分かる。従って、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10は、高信頼性と長寿命を有するNOx濃度測定装置となる。
【0077】
次に、第2の実験例は、図5に示すように、固体電解質層12dの表面に直接形成された第3及び第4のサーメット電極層66及び68を有する検出電極42を備えたNOx濃度測定装置10の不良率F(t)が、第4のサーメット電極層68を構成するPt−Rhの合金におけるPtとRhの比率の変化に対してどのように変化するかを調べたものである。
【0078】
第2の実験例では、図6に示すように、PtとRhの比率が異なる第3及び第4のサーメット電極層66及び68を有する本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10(実施例5〜8)と、従来の技術に係る検出電極を有するNOx濃度測定装置(比較例2)とを作製した。
【0079】
まず、第3のサーメット電極層66のペーストを調製する。Pt−Rhの合金としては、RhとPtの比率が、重量比でPt:Rh=10:90の合金を用いている。そして、前記Pt−Rhの合金とZrO2(セラミック成分)の比率を、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=60:40に調合する。更に、調合された前記Pt−Rhの合金とZrO2に、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤を加え、第3のサーメット電極層66のペーストを調製する。
【0080】
次いで、第4のサーメット電極層68のペーストを調製する。この場合、Pt−Rhの合金としては、PtとRhの比率が、重量比で図6に示す比率の合金を用いる。そして、前記Pt−Rhの合金とZrO2との比率を、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=60:40の比率で調合する。更に、調合された前記Pt−Rhの合金とZrO2に、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤を加え、第4のサーメット電極層68のペーストを調製する。
【0081】
次いで、固体電解質層12dのグリーンシートを作製する。前記グリーンシートの作製方法は、第1の実験例と同様の方法であるので、その詳細な説明は省略する。
【0082】
次いで、第3のサーメット電極層66のペーストを、スクリーン印刷法によって、固体電解質層12dのグリーンシート上に20〜50μmの厚さで塗布することにより、第3のサーメット電極層66のパターンを形成する。
【0083】
次いで、第4のサーメット電極層68のペーストを、スクリーン印刷法によって、第3のサーメット電極層66の側面を囲むようにして、20〜50μmの厚さで固体電解質層12dのグリーンシート上に塗布することにより、第4のサーメット電極層68のパターンを形成する。
【0084】
次いで、検出電極42の全体を覆うように、スクリーン印刷法によって、厚さ20〜50μmのアルミナペーストを塗布し、その後、固体電解質層12dのグリーンシート上に、基準電極34のパターンを形成し、固体電解質層12fのグリーンシート上に、内側ポンプ電極26、外側ポンプ電極28及び補助ポンプ電極52の各パターンを形成する。更に、上記したグリーンシートを積層して積層体を得る。最後に、前記積層体を1300℃以上の高温で焼成し、基体14を得る。前記アルミナペースト以降におけるNOx濃度測定装置10の作製工程は、第1の実験例と同様の作製工程であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0085】
一方、従来の技術に係る検出電極を有するNOx濃度測定装置(比較例2)では、重量比で、Pt:Rh=10:90であるPt−Rhの合金を用いている。前記検出電極のペーストとしては、体積比で、Pt−Rhの合金:セラミック成分=60:40となるように調合して、有機バインダー、可塑剤及び有機溶剤を加えて調製する。そして、前記検出電極のペーストを、スクリーン印刷法によって、ZrO2のグリーンシート上に、20〜50μmの厚さで塗布し、前記検出電極のパターンを形成する。そして、前記検出電極のパターンを焼成して前記検出電極を得る。従って、従来の技術に係るNOx濃度測定装置(比較例2)は、前記検出電極の作製方法を除き、第2の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例5〜8)と同様の方法によって作製する。
【0086】
また、第2の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例5〜8)及び従来の技術に係るNOx濃度測定装置(比較例2)の不良率F(t)の測定方法は、第1の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例1〜4)と同様の測定方法を用いる。
【0087】
図7では、劣化と判定された第2の実験例に係るNOx濃度測定装置10(実施例5〜8)又は従来の技術に係るNOx濃度測定装置(比較例2)のうち、最も低いサイクルで劣化と判定された実施例5〜8又は比較例2をプロットしている。
【0088】
比較例2では約70サイクルでF(t)=0.1%となるが、実施例5では約600サイクルでF(t)=0.1%となる。また、実施例6では約1200サイクルでF(t)=0.1%となり、実施例7では約3000サイクルでF(t)=0.1%となり、実施例8では約6000サイクルでF(t)=0.1%となった。即ち、比較例2よりも実施例5〜8が不良率F(t)が小さく、長寿命である。
【0089】
また、実施例5〜8では、第4のサーメット電極層68におけるPtの割合が、比較例2におけるPtの割合よりも高い。そのため、前記実施例5〜8は、比較例2と比較して、固体電解質層12dからの検出電極42の剥離は発生しにくいことが分かる。
【0090】
また、図7において、第4のサーメット電極層68に占めるPtの割合は、実施例5<実施例6<実施例7<実施例8の順序で大きくなっている。図6に示す実験結果と合わせて検討すると、第4のサーメット電極層68に占めるPtの割合が多い程、固体電解質層12dから検出電極42の剥離は発生しにくいことが分かる。
【0091】
従来の技術に係るNOx分解電極においては、セラミック基板からのサーメット電極層の剥離は、サーメット電極層の縁端部で発生していた。また、前記NOx分解電極を構成するサーメット電極層の幅は約数百μmであり、前記NOx分解電極が有する約数十μmの膜厚に対して十分に長い。
【0092】
そのため、第2の実験例に示すように、検出電極42におけるPtとRhの比率の変化を、検出電極42の膜厚の方向である厚み方向から、検出電極42の幅の方向である固体電解質層12dの平面方向で変化させた方が、酸化還元反応の抑制の観点から望ましい。
【0093】
第3のサーメット電極層66では、第4のサーメット電極層68と比較して、Rhが多いので、NOx分解能力は向上する。一方、第4のサーメット電極層68では、第3のサーメット電極層66と比較して、Ptが多いので、固体電解質層12dからの検出電極42の剥離が抑制される。
【0094】
従って、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10は、高信頼性と長寿命を有するNOx濃度測定装置となる。
【0095】
上述した第1及び第2の実験例では、検出電極42を構成するサーメット電極層が2層構造である場合について説明したが、該検出電極42のサーメット電極層を3層以上の多層構造に形成し、第1の実験例の場合では上層のサーメット電極層に向かうに従い、該サーメット電極層に占めるRhの割合が増加し、第2の実験例の場合では、内側のサーメット電極層に向かうに従い、該サーメット電極層に占めるRhの割合が増加するようにしてもよい。
【0096】
また、固体電解質層12dからの検出電極42の剥離は、第1のサーメット電極層62の縁端部から発生しやすいので、例えば、図2における第1のサーメット電極層62の縁端部において、PtがRhよりも多くなるような構成にすると、第1のサーメット電極層62の酸化還元反応は抑制され、固体電解質層12dから検出電極42が剥離するという問題を解決できる。
【0097】
そこで、検出電極42を、図8に示すように、第1のサーメット電極層62上に、前記第1のサーメット層62よりも幅の狭い第2のサーメット電極層64を形成し、更に、第1のサーメット電極層62を覆うように、第5のサーメット電極層70を形成するようにした構成であっても構わない。このとき、第5のサーメット電極層70の合金は、Ptから構成されるようにする。
【0098】
更に、第1及び第2のサーメット電極層62及び64の中央部から、第1及び第2のサーメット電極層62及び64の縁端部の方向に、該第1及び第2のサーメット電極層62及び64のPt−Rhの合金におけるRhの割合が減少している拡散層72を形成する。
【0099】
第1のサーメット電極層62の幅は約数百μmであり、検出電極42の数十μmの膜厚と比較して十分に長い。そのため、Rhの拡散層72を容易に形成することができる。
【0100】
このように、第1及び第2のサーメット電極層62及び64の縁端部では、PtがRhよりも多くなるように構成され、第5のサーメット電極層70では合金がPtから構成されているので、検出電極42の縁端部における酸化反応と還元反応とが抑制される。前記酸化反応と前記還元反応とが抑制されることで、検出電極42の膨張と収縮とが抑制される。そのため、セラミック材料(ZrO2)から構成される固体電解質層12dと検出電極42が剥離するという問題が解決される。
【0101】
また、第1及び第2のサーメット電極層62及び64の中央部では、RhがPtよりも多くなるように構成されているので、検出電極42におけるNOxの分解能力を向上することができる。
【0102】
また、本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10の更なる変形例として、図9に示すように、第2室20及び第2の拡散律速部24が、多孔質体で充填せしめられる空間にて構成されていてもよい。
【0103】
より具体的には、図1に示される本実施の形態に係るNOx濃度測定装置10における第2室20及び第2の拡散律速部24の構成に代えて、図9に示される如き構成が採用され得るのである。即ち、第1室18に接するように、該第1室18に続く空所内に、多孔質アルミナ等の多孔質体からなる第2の拡散律速部24が充填せしめられ、これによって、同時に第2室20が構成されており、以って内部空所形状が簡略化されているのである。
【0104】
なお、ここでは、第2の拡散律速部24の拡散抵抗は、第1の拡散律速部22の拡散抵抗よりも大きくなるように構成されており、第1室18の雰囲気が、第2室20の雰囲気の影響を受けないようにされている。
【0105】
なお、本発明のNOx分解電極及びNOx濃度測定装置は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るNOx分解電極及びNOx濃度測定装置によれば、セラミック基板に直接形成された前記NOx分解電極のサーメット電極層を、PtとRhの比率が異なる合金とセラミック成分との多層構造のサーメット電極層としたので、該NOx分解電極におけるNOx分解能力が向上し、該NOx分解電極の膨張と収縮とが抑制されるので、高い信頼性と耐久性を有するNOx分解電極及びNOx濃度測定装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るNOx濃度測定装置を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態に係るNOx分解電極を示す縦断面図である。
【図3】第1の実験例におけるNOx分解電極の第1のサーメット電極層におけるPtとRhの比率を示す表である。
【図4】第1の実験例に係るNOx濃度測定装置の不良率を示すワイブルプロットである。
【図5】第2の実験例に係るNOx分解電極を示す縦断面図である。
【図6】第2の実験例におけるNOx分解電極の第4のサーメット電極層におけるPtとRhの比率を示す表である。
【図7】第2の実験例に係るNOx濃度測定装置の不良率を示すワイブルプロットである。
【図8】本実施の形態に係るNOx分解電極の変形例を示す縦断面図である。
【図9】本実施の形態に係るNOx濃度測定装置の変形例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10…NOx濃度測定装置 12a〜12f…固体電解質層
14…基体 16…基準ガス導入空間
18…第1室 20…第2室
22…第1の拡散律速部 24…第2の拡散律速部
26…内側ポンプ電極 28…外側ポンプ電極
30…主ポンプセル 32…可変電源
34…基準電極 36…制御用酸素分圧検出セル
38…電圧計 40…フィードバック制御系
42…検出電極 44…第3の拡散律速部
46…測定用ポンプセル 48…直流電源
50…電流計 52…補助ポンプ電極
54…補助ポンプセル 56…直流電源
58…ヒータ 60…絶縁層
62…第1のサーメット電極層 64…第2のサーメット電極層
66…第3のサーメット電極層 68…第4のサーメット電極層
70…第5のサーメット電極層 72…拡散層

Claims (5)

  1. NOxに対する分解/還元能力がある電極であって、NOxを分解し、その際に酸素を発生させるNOx分解電極において、
    Pt−Rhの合金とセラミック成分とからなる複数のサーメット電極層の多層構造であって、かつ、PtとRhとの比率は、前記各サーメット電極層で異なり、
    前記多層構造は、セラミック基板上で該セラミック基板の表面に沿った方向に形成され、
    前記各サーメット電極層におけるPtの割合が、中央のサーメット電極層から外側のサーメット電極層に至るにつれて増加している
    ことを特徴とするNOx分解電極。
  2. 請求項1記載のNOx分解電極において、
    前記多層構造は、少なくとも第1のサーメット電極層と、前記第1のサーメット電極層の外側に形成された第2のサーメット電極層とからなり、
    前記第1のサーメット電極層におけるPtとRhの比率は、重量比で、
    Pt:Rh=25:75〜0:100
    であり、
    前記第2のサーメット電極層におけるPtとRhの比率は、重量比で、
    Pt:Rh=100:0〜25:75
    である
    ことを特徴とするNOx分解電極。
  3. 請求項1又は2記載のNOx分解電極において、
    前記各サーメット電極層における前記Pt−Rhの合金と前記セラミック成分の比率は、体積比で、
    Pt−Rhの合金:セラミック成分=50:50〜70:30
    である
    ことを特徴とするNOx分解電極。
  4. 請求項3記載のNOx分解電極において、
    前記各サーメット電極層におけるRhの平均粒径は、10〜20μmである
    ことを特徴とするNOx分解電極。
  5. 被測定ガス存在空間より酸素イオン導伝性固体電解質であるジルコニアからなる基体内に形成された第1の内部空所内に導かれた被測定ガス中の酸素分圧を所定の値に制御せしめる第1の酸素ポンプ手段と、前記第1の内部空所から前記基体内に形成された第2の内部空所内に導かれた前記酸素分圧が制御された被測定ガスより、該被測定ガス中の酸素を汲み出し、かかる雰囲気中の酸素分圧を、NOx成分が還元乃至は分解され得る所定の値に制御して、該第2の内部空所内の雰囲気中に存在するNOx成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素をも同時に汲み出すようにした第2の酸素ポンプ手段とを有し、該第2の酸素ポンプ手段のポンプ作動によって流れるポンプ電流を検出することにより、被測定ガス中に存在するNOx濃度を求めるようにしたNOx濃度測定装置において、
    前記第2の酸素ポンプ手段のNOx成分を還元乃至は分解せしめるNOx分解電極は、前記基体を構成するセラミック基板における前記第2の内部空所を形づくる表面に直接形成されたPt−Rhの合金とセラミック成分とからなる複数のサーメット電極層の多層構造であって、
    前記多層構造は前記セラミック基板上で該セラミック基板の表面に沿った方向に形成され、
    PtとRhとの比率は前記各サーメット電極層で異なり、かつ、中央のサーメット電極層から外側のサーメット電極層に至るにつれて、前記各サーメット電極層におけるPtの割合が増加している
    ことを特徴とするNOx濃度測定装置。
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