本特許出願は、2005年12月20日に出願された米国出願番号60/752,267、2006年10月5日に出願された米国出願番号60/849,543、および2005年12月20日に出願された米国出願番号60/752,150の優先権を主張し、そのすべては本明細書によって、その全体が引用される。本願はまた、2006年12月19日にPCT出願された代理人整理番号(Attorney Docket Number)10739で「安定なタンパク質製剤」と題する特許出願の全体も引用する。
本明細書に引用されたすべての特許、特許出願および公報は、本明細書によってその全体が引用される。
この特許開示は、著作権保護に付される資料を含む。米国特許商標庁の特許包袋(patent file)または特許記録(patent record)に記載されているので、著作権者は、誰が特許文書または特許開示を複製(facsimile reproduction)しても異存はないが、それ以外は、いずれの、およびすべての著作権を留保する(reserve)。
発明の背景
細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)は免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、活性化T細胞によって発現される分子である。CTLA4は、T細胞補助刺激分子CD28に類似し、両分子は、抗原掲示細胞(APC)上のB7−1(CD80)およびB7−2(CD86)に結合する。しかしながら、CTLA4はT細胞に阻害シグナルを伝達するのに対し、CD28は刺激性シグナルを伝達する。
CTLA4−Ig分子は、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)のリガンド結合ドメインと、免疫グロブリン(Ig)重鎖定常部との融合タンパク質である。この可溶性分子は、様々な抗原掲示細胞(APC)の表面上のB7抗原(CD80およびCD86)に結合し、そのため、B7−1およびB7−2と、T細胞の表面上のCD28との機能的相互作用を遮断することによって、その生理的効果を発揮する。この遮断は、T細胞活性化の抑制をもたらし、それゆえ、免疫応答の抑制をもたらす。したがって、CTLA4−Ig分子は、組織および/または臓器移植拒絶反応の阻害方法、並びに一般には不統制な免疫応答、例えば自己免疫に関する疾患または障害の治療用途を提供しうる。例えば、CTLA4−Ig分子は、
抗二本鎖DNA抗体の産生を抑制し、狼瘡になりやすいマウスの腎炎を軽減し;
タンパク尿症を軽減し、進行性腎炎を有するマウスの生存を延長し;並びに
乾癬および関節リウマチについての臨床成績を改善しうる。
CTLA4−Ig分子の治療上の有用性を改善するため、例えば、B7抗原についての分子の結合活性および効力を増大させることによって、T細胞刺激の阻害剤としての分子の有効性が亢進しうる分子改変を決定することが重要である。CTLA4−Ig分子の結合活性および効力を増大させることによって、CTLA4−Ig分子の少ない量を患者に投与して、目的の治療効果(すなわち、低用量の投与)を達成することが可能となりうる。またCTLA4−Ig分子の結合活性および効力を増大させることによって、患者に投与される用量の回数または用量の頻度を減少させて、目的の治療効果を達成しうる。
発明の概要
本発明は、改善された組成物およびCTLA4−Ig組成物の製造方法に関する。本発明は、CTLA4−Ig分子、CTLA4−Ig分子を含む改善された組成物、並びにCTLA4−Ig分子および他の組換えタンパク質の改善された生成方法(大量生産を含む)に関する。
単独でまたは特定の組合せもしくは順列で記載されているかどうかにかかわらず、本発明には、本明細書に記載されたいずれの要素および特徴のいずれの順列および/または組合せも含まれる。
細胞:本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供する。本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、各細胞には30またはそれ以上のコピーのCTLA4−Ig発現カセットが含まれる。本発明はまた、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団も提供し、各細胞には30またはそれ以上のコピーのCTLA4−Ig発現カセットが含まれ、その中で、30またはそれ以上のコピーは各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれている。本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、CTLA4−Ig発現カセットは約105継代にわたって安定である。一つの態様において、CTLA4−Igは、その全体が本明細書に引用されるKoduri R., et al. (Gene, 2001, 280:87-95)並びに米国特許番号6,800,457および6,521,419に記載されている核酸配列を含む発現カセットによってコードされている。別の態様において、CTLA4−Igは、その全体が本明細書に引用されるKoduri R., et al. (Gene, 2001, 280:87-95)並びに米国特許番号6,800,457および6,521,419に記載されている特定の部位で、細胞集団から細胞ゲノムに組み込まれている発現カセットによってコードされている。一つの態様において、集団には、33またはそれ以上のコピーのCTLA4−Ig発現カセットを含む細胞の亜集団が含まれ、その中で、33またはそれ以上のコピーは、亜集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれている。
本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、少なくとも75%の細胞集団は、30またはそれ以上のコピーのCTLA4−Ig発現カセットを有しており、30またはそれ以上のコピーは、75%の集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれている。本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、少なくとも85%の集団は、30またはそれ以上のコピーのCTLA4−Ig発現カセットを有しており、30またはそれ以上のコピーは、85%の集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれている。本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、少なくとも95%の集団は、30またはそれ以上のコピーのCTLA4−Ig発現カセットを有しており、30またはそれ以上のコピーは、95%の集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれている。一つの態様において、培養液1リットルあたり、細胞集団は、0.5グラムまたはそれ以上のCTLA4−Igタンパク質を産生することができ、その中で、CTLA4−Igは、シアル酸対CTLA4−Igのモル比が、1,000Lまたはそれ以上の培養スケールで約6から約14である、許容される糖(炭水化物)の特徴を示す。別の態様において、細胞集団は、無血清の既知組成培地に適合されている。別の態様において、細胞集団の培養液から産生されるCTLA4−Igは、1.00±0.05 AU mL cm-1 mg-1の吸光係数(extinction coefficient)を有する。別の態様において、細胞集団は、培養液内で成長する場合、CTLA4−Igポリペプチドを産生することができ、その中で:
(a)約90%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基27でメチオニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ;
(b)約10%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号26でアラニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ;
(c)約4%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号383でリジンで終わる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ、
(d)約96%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号382でグリシンで終わる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ;および適宜、
(e)約1%未満のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号25でメチオニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれる。
本発明は、クローン細胞の子孫細胞を提供し、その中で子孫細胞はCTLA4−Igを産生する。一つの態様において、子孫細胞は、少なくとも5世代にわたってクローンの親細胞を培養することで得られる。別の態様において、子孫細胞は、少なくとも10世代にわたって、少なくとも20世代にわたって、少なくとも40世代にわたって、少なくとも50世代にわたって、少なくとも75世代にわたって、または少なくとも100世代にわたって細胞を培養することで得られる。本発明は、クローン細胞から生じた細胞株を提供する。一つの態様において、細胞株はクローンである。本発明は:
(a)配列番号:10のアミノ酸配列(アミノ酸位置27でメチオニン、およびアミノ酸位置382でグリシン;図1Aおよび1B)を有するCTLA4−Ig融合タンパク質;
(b)配列番号:7のアミノ酸配列(アミノ酸位置27でメチオニン、およびアミノ酸位置383でリジン;図1Aおよび1B)を有するCTLA4−Ig融合タンパク質;
(c)配列番号:9のアミノ酸配列(アミノ酸位置26でアラニン、およびアミノ酸位置382でグリシン;図1Aおよび1B)を有するCTLA4−Ig融合タンパク質;
(d)配列番号:6のアミノ酸配列(アミノ酸位置26でアラニン、およびアミノ酸位置383でリジン;図1Aおよび1B)を有するCTLA4−Ig融合タンパク質;
(e)配列番号:8のアミノ酸配列(アミノ酸位置25でメチオニン、およびアミノ酸位置382でグリシン;図1Aおよび1B)を有するCTLA4−Ig融合タンパク質;または
(f)配列番号:5のアミノ酸配列(アミノ酸位置25でメチオニン、およびアミノ酸位置383でリジン;図1Aおよび1B)を有するCTLA4−Ig融合タンパク質を産生することができる細胞株を提供する。別の態様において、細胞株は、CTLA4−Ig融合タンパク質を産生することができ、その中で:
(a)約90%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基27でメチオニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ;
(b)約10%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号26でアラニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ;
(c)約4%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号383でリジンで終わる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ、
(d)約96%のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号382でグリシンで終わる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれ;および適宜、
(e)約1%未満のCTLA4−Igポリペプチドには、残基番号25でメチオニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれる。
一つの態様において、細胞株の培養液から産生されるCTLA4−Ig融合タンパク質は、1.00±0.05 AU mL cm-1 mg-1の吸光係数を有する。本発明は、クローン細胞株由来の細胞集団を提供する。態様において、最初の(original)クローン細胞株と比較して、細胞集団は少なくとも一つの別の遺伝子変化からなり、その中で生じた細胞集団は、CTLA4−Igを産生することができる。別の態様において、細胞集団は、親細胞と比較して、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、または少なくとも20個の別の遺伝子変化からなり、その中で生じた細胞集団は、CTLA4−Igを産生することができる。一つの態様において、遺伝子変化には、細胞ゲノム中、またはCTLA4−Igをコードする組換え発現カセット中、少なくとも一つの非保存的な変異が含まれる。別の態様において、遺伝子変化には、細胞内に少なくとも一つの別の組換え核酸が含まれる。さらなる態様において、変化には細胞ゲノムの変異が含まれる。別の態様において、変化には、細胞ゲノムに核酸を加えるか、またはトランスフェクトした核酸(trans nucleic acid)として加えることが含まれ、それは抗アポトーシスのポリペプチドをコードする。別の態様において、抗アポトーシスのポリペプチドは、グリコシル化に関連する。別の態様において、遺伝子変化には、細胞ゲノムの少なくとも一つの変異、またはCTLA4−Igをコードする組換え発現カセットの少なくとも一つの変異が含まれる。
組成物:本発明は、約6から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマー(二量体)または分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約8から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約11から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約12から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約13から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約14から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約15から約17の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約16の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、95%超の分子はCTLA4−Igダイマーである。一つの態様において、98%超の分子はCTLA4−Igダイマーである。別の態様において、99%超の分子はCTLA4−Igダイマーである。別の態様において、99.5%超の分子はCTLA4−Igダイマーである。別の態様において、約95%から約99.5%の分子はCTLA4−Igダイマーであり、約0.5%から約5%の分子はCTLA4−Igテトラマーまたは高分子量種である。別の態様において、約98.6%の分子はCTLA4−Igダイマーであり、約1.2%の分子はCTLA4−Igテトラマーまたは高分子量種であり、約0.7%未満の分子はCTLA4−Igモノマー(単量体)である。本発明は、CTLA4−Igダイマーからなる群を提供する。本発明はCTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、集団にはCTLA4−Igモノマーが実質的に含まれない。本発明はCTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、分子の集団にはCTLA4−Igテトラマーが実質的に含まれない。本発明は、CTLA4−Igダイマーおよびテトラマーが実質的に含まれないCTLA4−Igモノマー分子の集団を提供する。一つの態様において、各CTLA4−Igダイマーの各モノマーは、少なくとも3個のシアル酸残基を有する。別の態様において、各CTLA4−Igダイマーの各モノマーは、少なくとも3個のシアル酸残基から少なくとも8個のシアル酸残基を有する。本発明は、生成されたCTLA4−Igテトラマー分子の集団を提供し、集団にはCTLA4−Igダイマーが実質的に含まれず、適宜その中で、集団には約100グラム超の量が含まれる。本発明は、生成されたCTLA4−Igテトラマー分子の集団を提供し、集団にはCTLA4−Igモノマーが実質的に含まれず、適宜その中で、集団には約100グラム超の量が含まれる。一つの態様において、各テトラマー分子には、2対のCTLA4−Igポリペプチドが含まれ、その中で、各ポリペプチドは配列番号:5〜10からなる群より選択されるアミノ酸配列を有しており、ポリペプチド対の各メンバーは、他のメンバーと共有結合しており、2対のポリペプチドは互いに非共有結合している。別の態様において、各テトラマー分子は、CD80またはCD86に結合することができる。さらなる態様において、各テトラマー分子は、CTLA4−Igダイマー分子と比較して、少なくとも2倍の大きさのCD80またはCD86についての結合活性を有する。別の態様において、各テトラマー分子は、CTLA4−Igダイマー分子と比較して、少なくとも2倍の大きさのT細胞増殖または活性化の阻害を有する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、組成物には、等電点電気泳動で決定されるように、5.1未満またはそれと等しい等電点,pIを有する、CTLA4−Igの等電点電気泳動ゲル上で視覚化できる支配的なアイソフォーム(優勢アイソフォーム)が含まれる。一つの態様において、本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、組成物には、等電点電気泳動で決定されるように、5.8未満またはそれと等しい等電点,pIを有する、CTLA4−Igの等電点電気泳動ゲル上で視覚化できる支配的なアイソフォームが含まれる。一つの態様において、pIはノイラミニダーゼ処理の後に増大する。一つの態様において、組成物には、等電点電気泳動で決定されるように、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、または4.5未満またはそれと等しい等電点,pIを有する、CTLA4−Igの等電点電気泳動ゲル上で視覚化できる支配的なアイソフォームが含まれる。別の態様において、少なくとも40%のCTLA4−Ig分子は、等電点電気泳動で決定されるように、約5.1未満またはそれと等しい等電点を示す。別の態様において、少なくとも70%のCTLA4−Ig分子は、等電点電気泳動で決定されるように、約5.1未満またはそれと等しい等電点を示す。別の態様において、少なくとも90%のCTLA4−Ig分子は、等電点電気泳動で決定されるように、約2.5未満またはそれと等しい等電点を示す。本発明は、約2.0±0.2から約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約4.0±0.2から約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約4.3±0.2から約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約3.3±0.2から約4.7±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、組成物の製造方法を提供し、組成物には、約2.0±0.2から約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子が含まれ、該方法は:
(a)CTLA4−Ig分子の混合物を等電点電気泳動ゲル電気泳動に付し、その中で、ゲル上の一つのバンドは、特定のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を表し、および
(b)組成物を製造するために、約2.0±0.2から約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を単離することを特徴とする。
本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比の特徴を有する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、約1.7から約3.6の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比の特徴を有する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、約8から約17の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比の特徴を有する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、約3.5から約8.3の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのフコースの平均モル比の特徴を有する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、約7.2から約22の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのマンノースの平均モル比の特徴を有する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、約6から約12の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。
本発明は:
(a)約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;並びに
(b)約6から約12の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は:
(a)約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約1.7から約3.6の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;並びに
(c)約6から約12の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は:
(a)約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約1.7から約3.6の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約8から約17の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;並びに
(d)約6から約12の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は:
(a)約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約1.7から約3.6の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約8から約17の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約3.5から約8.3の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのフコースの平均モル比;並びに
(e)約6から約12の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は:
(a)約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約1.7から約3.6の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約8から約17の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約3.5から約8.3の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのフコースの平均モル比;
(e)約7.2から約22の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのマンノースの平均モル比;並びに
(f)約6から約12の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、組成物は約9.589+/−0.3のNGNAクロマトグラムピークおよび約10.543+/−0.3のNANAクロマトグラムピークを示す。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA−Ig分子は、図68に示される糖プロフィール(炭水化物プロフィール)(carbohydrate profile)を示す。本発明は、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供し、その中で、CTLA4−Ig分子は、ドメインI〜V(例えば、I〜IV)の糖プロフィールを示し、ドメインIには、a−シアル酸付加オリゴ糖(a−シアル化オリゴ糖、a−シアリル化オリゴ糖)を表すピークが含まれ、ドメインIIには、モノシアル酸付加オリゴ糖(モノ−シアル化オリゴ糖、モノ−シアリル化オリゴ糖)を表すピークが含まれ、ドメインIIIには、ジシアル酸付加オリゴ糖(ジ−シアル化オリゴ糖、ジ−シアリル化オリゴ糖)を表すピークが含まれ、およびドメインIVには、トリシアル酸付加オリゴ糖(トリ−シアル化オリゴ糖、トリ−シアリル化オリゴ糖)を表すピークが含まれる。ドメインVには、テトラシアル酸付加オリゴ糖(テトラ−シアル化オリゴ糖、テトラ−シアリル化オリゴ糖)を表すピークが含まれる。一つの態様において、ドメインIにおける第1ピークと、ドメインIIにおけるメインピークとの間のN結合型オリゴ糖の保持時間の差は、約22から約28分である。本発明は、CTLA4−Igダイマー分子を含む組成物を提供し、その中で、少なくとも0.5%のCTLA4−Igダイマー分子はシステイン付加(cysteinylate)されている。一つの態様において、少なくとも1.0%のCTLA4−Igダイマー分子はシステイン付加されている。本発明は、CTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、集団は図8および10に示される質量分析プロフィールを示す。本発明は、CTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、集団は図20および21に示されるキャピラリー電気泳動プロフィールを示す。本発明は、約6から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーの平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の組成物を提供する。本発明は、本明細書に記載されるいずれの方法によっても得られるCTLA4−Ig組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、該分子は、配列番号:2の102位のアスパラギンアミノ酸残基で、配列番号:2の134位のアスパラギンアミノ酸残基で、配列番号:2の233位のアスパラギンアミノ酸残基で、配列番号:2の155位のセリンアミノ酸残基で、または配列番号:2の165位のセリンアミノ酸残基でグリコシル化される。
本発明は、CTLA4−Ig分子の集団を提供し、その中で、分子の集団は:
(a)約15から約35の、CTLA4−IgダイマーまたはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約1.7から約3.6の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約8から約17の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約3.5から約8.3の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのフコースの平均モル比;
(e)約7.2から約22の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのマンノースの平均モル比;
(f)約6から約12の、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;
(g)約2.4±0.2から約5.0±0.2の範囲で等電点電気泳動ゲルについての可視化から決定されるpI;
(h)5ppm未満またはそれと等しいMCP−1;
(i)3.0%未満のテトラマー(例えば、2.5% 高分子量種またはテトラマー、2.0% 高分子量種またはテトラマー);
(j)0.5%未満のモノマー;
(k)配列番号:2〜8のいずれとも少なくとも95%同一のアミノ酸を有する集団のCTLA4−Igポリペプチド;
(l)その中で、集団中のCTLA4−Ig分子がCD80およびCD86に結合することができる特徴を有する。
組成物:本発明は、本発明のCTLA4−Ig分子の有効量および医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。本発明は、2005年12月20日に出願された米国出願番号60/752,150に記載された賦形剤を含む組成物を提供する。一つの態様において、組成物にはCTLA4−Igが含まれる。一つの態様において、組成物にはさらに医薬的に許容される希釈剤、添加剤または担体が含まれる。別の態様において、組成物にはさらに、マルトース、リン酸二水素ナトリウム一水和物(sodium phosphate monobasic monohydrate)、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、および滅菌水が含まれる。別の態様において、組成物には、ショ糖、ポロキサマー、リン酸二水素ナトリウム一水和物、無水リン酸水素二ナトリウム(sodium phosphate dibasic anhydrous)、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、および滅菌水が含まれる。
製剤およびキット:本発明は、少なくとも95%のCTLA4−Igダイマー、および多くて5%のCTLA4−Igテトラマーを含む凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。一つの態様において、混合物には、少なくとも98%のCTLA4−Igダイマーおよびわずか2%のCTLA4−Ig高分子量種もしくはテトラマーが含まれる。別の態様において、混合物には、少なくとも99%のCTLA4−Igダイマーおよびわずか1%のCTLA4−Ig高分子量種もしくはテトラマーが含まれる。別の態様において、混合物には、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたり少なくとも8.0モルのシアル酸が含まれる。別の態様において、混合物には、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたり約15.7から約31モルのGlcNAcが含まれる。別の態様において、混合物には、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたり約1.6から約3.2モルのGalNAcが含まれる。別の態様において、混合物には、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたり約9.3から約15.5モルのガラクトースが含まれる。一つの態様において、混合物には、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたり約3.6から約7.9モルのフコースが含まれる。一つの態様において、混合物には、CTLA4−Igダイマーまたは分子1モルあたり約9.7モルのマンノースが含まれる。本発明はまた:
(a)本発明の凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を含む容器;および
(b)凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を注射用溶液へと再構成するための指示書を含む医薬キットも提供する。
治療方法の例:本発明は、T細胞増殖(または活性化)の阻害方法、T細胞を本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量と接触させることを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における免疫応答の阻害方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における抗原への免疫寛容の誘導方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における炎症の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする関節リウマチの治療方法を提供する。本発明は、患者における乾癬の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者におけるループスの治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者におけるアレルギーの治療または予防方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における移植片対宿主病の治療または予防方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における移植器官の拒絶の治療または予防方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における多発性硬化症の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者におけるクローン病の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者におけるI型糖尿病の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における炎症性腸疾患の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における卵巣炎の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における糸球体腎炎の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者におけるアレルギー性脳脊髄炎の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における重症筋無力症の治療方法、本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
本発明は、免疫障害の治療的および/または予防的処置のための薬物の製造において、約6から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団の使用を提供する。本発明は、関節リウマチの治療におけるその使用のための指示書と共に、包装した抗関節リウマチ薬の製造において、約6から約18の、シアル酸残基対CTLA4−Igダイマーまたは分子の平均モル比を有するCTLA4−Ig分子の集団の使用を提供する。
併用療法の例:本発明は、T細胞増殖(または活性化)の阻害方法、メトトレキセートと併用してT細胞を本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量と接触させることを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における免疫応答の阻害方法、メトトレキセートと併用して本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。本発明は、患者における抗原への免疫寛容の誘導方法、メトトレキセートと併用して本発明のCTLA4−Ig組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
CTLA4−Igの製造方法:本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞(哺乳動物細胞)を増殖(expand)させ、ここで該増殖は種培養(seed culture)から液体培養(液体培養物)へ行われ、組換えタンパク質の濃度は少なくとも0.5グラム/L(培養液)であり;並びに
(b)培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とする。培養液は、少なくとも1,000L、少なくとも5,000L、少なくとも10,000L、少なくとも15,000L、少なくとも20,000L、少なくとも25,000L、少なくとも30,000L、少なくとも40,000Lでありうる。一つの態様において、増殖段階(a)は:
(i)1mLあたり少なくとも約1.0×105個の生細胞の細胞密度が得られるように、少なくとも4回継代して無血清の既知組成培地中で細胞を培養し、その中で、各播種段階(seed stage)を1mLあたり約2×105個で開始し、1mlあたり100〜200万個の細胞まで行い;
(ii)少なくとも約0.5g/Lで培養液から産生するのに十分な時間、培養液中の細胞を維持することを特徴とする。一つの態様において、タンパク質は糖タンパク質である。一つの態様において、タンパク質はCTLA4−Igタンパク質である。一つの態様において、哺乳類細胞は、CTLA4−Ig融合タンパク質を生ずることができるCHOクローン細胞株の子孫であり、その中で、CHO細胞はそのゲノム中に少なくとも30コピーのCTLA4−Ig発現カセットを安定に組み込んでいる。一つの態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が30%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が40%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が50%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が60%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が70%、80%、90%または95%を下回らない時間である。
さらなる態様において、少なくとも4回の継代は:
(i)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、少なくとも50mLの培養容積中で細胞を成長させ;
(ii)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、少なくとも10Lの培養容積中で細胞を成長させ;
(iii)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、少なくとも100Lの培養容積中で細胞を成長させ;および
(iv)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、200Lの培養容積中で細胞を成長させることを特徴とする。一つの態様において、ガラクトースを無血清の既知組成培地に加える。一つの態様において、該維持は、
(i)37±2℃から34±2℃に培養液の温度を下げ;および
(ii)34±2℃から32±2℃に培養液の温度を下げることを特徴とする。別の態様において、少なくとも5日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも6日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも7日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも8日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも9日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも10日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも11日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも12日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも13日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも14日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも15日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも16日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも17日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも18日間、温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、18日間まで温度を32±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、培養液の細胞密度が、培養液1mLあたり約30×105から約79×105個の細胞になるまで、温度を32±2℃の範囲内に保つ。
本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質の濃度が少なくとも0.5グラム/Lの培養液となるように、組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞を種培養から液体培養へ増殖させ;並びに
(b)培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、その中で、単離は、培養液がCTLA4−Igタンパク質またはダイマー1モルあたり約6.0モル超またはそれと等しいNANAを含む場合のみ起こる。本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質の濃度が少なくとも0.5グラム/Lの培養液となるように、組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞を種培養から液体培養へ増殖させ;並びに
(b)培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、その中で、単離は、培養液が1mLあたり約33×105から約79×105個の細胞の細胞密度を有する場合のみ起こる。本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質の濃度が少なくとも0.5グラム/Lの培養液となるように、組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞を種培養から液体培養へ増殖させ;並びに
(b)培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、その中で、単離は、培養液における細胞生存率が、約20%、約30%、または約38%を下回っていない場合に起こる。本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質の濃度が少なくとも0.5グラム/Lの培養液となるように、組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞を種培養から少なくとも10,000Lの液体培養へ増殖させ;並びに
(b)培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、その中で、単離は、エンドトキシンが培養液1mLあたり約76.8EU未満またはそれと等しい場合のみ起こる。本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質の濃度が少なくとも0.5グラム/Lの培養液となるように、組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞を種培養から少なくとも10,000Lの液体培養へ増殖させ;並びに
(b)少なくとも10,000Lの培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、その中で、単離は、バイオバーデンが培養液1mLあたり1コロニー形成単位未満である場合のみ起こる。本発明の培養液は、少なくとも5,000L、少なくとも10,000L、少なくとも15,000L、少なくとも20,000L、少なくとも25,000L、少なくとも30,000L、少なくとも40,000L、少なくとも50,000L、少なくとも60,000Lの容積でありうる。
本発明は、組換えタンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えタンパク質の濃度が少なくとも0.5グラム/Lの培養液となるように、組換えタンパク質を分泌する哺乳類細胞を種培養から液体培養へ増殖させ;並びに
(b)培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、その中で、単離は、以下の条件の少なくとも2つが満たされた場合のみ起こる:
(i)培養液が、タンパク質1モルあたり約6.0モル超またはそれと等しいNANAを含み、
(ii)培養液が、1mLあたり約33×105から約79×105個の細胞の細胞密度を有しており、
(iii)培養液中の細胞生存率が、約20%、または約38%を下回っておらず、
(iv)培養液中のCTLA4−Igの量が0.5g/Lを超えている。一つの態様において、該単離は:
(i)細胞培養液の上澄みを得;
(ii)上澄みを陰イオン交感クロマトグラフィーに供して、溶離(溶出)したタンパク質産物を得;
(iii)濃縮したタンパク質産物が得られるように、段階(ii)の溶離したタンパク質生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し;
(iv)濃縮したタンパク質産物をアフィニティークロマトグラフィーに供して、溶離し、濃縮したタンパク質産物を得;および
(v) (iv)の溶離し、濃縮したタンパク質産物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供することを特徴とする。別の態様において、段階(iii)で得られる濃縮したタンパク質産物は、いずれの高分子量の混入物(contaminant)の割合も25重量%未満であるという特徴を有している。別の態様において、約75mM ヘペス、および約360mM NaClを含み、約8.0のpHを有する洗浄緩衝液(洗浄バッファー)を用いて、段階(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約25mM ヘペス、および約325mM NaClを含み、約7.0のpHを有する溶離緩衝液を用いて、段階(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約25mM ヘペス、および約850mM NaClを含み、約7.0のpHを有する単一洗浄緩衝液を用いて、段階(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約25mM トリス、および約250mM NaClを含み、約8.0のpHを有する洗浄緩衝液を用いて、段階(iv)のアフィニティークロマトグラフィーを行う。別の態様において、約100mM グリシンを含み、約3.5のpHを有する溶離緩衝液を用いて、段階(iv)のアフィニティークロマトグラフィーを行う。別の態様において、約25mM ヘペス、および約120mM NaClから約130mM NaClを含み、約8.0のpHを有する洗浄緩衝液を用いて、段階(v)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約25mM ヘペス、および約200mM NaClを含み、約8.0のpHを有する溶離緩衝液を用いて、段階(v)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、一級、二級、三級、または四級アミン官能基を有する陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて、段階(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、樹脂は四級アミン官能基を有する。別の態様において、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を用いて、段階(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーを行う。別の態様において、官能基はフェニル官能基である。別の態様において、タンパク質Aを含むカラムを用いて、段階(iv)のアフィニティークロマトグラフィーを行う。
本発明は、CTLA4−Igの製造方法を提供し、該方法は、精製したCTLA4−Igが、
(a)CTLA4−Igダイマー1mgあたり約38ngのMCP−1を有しており、および
(b)2.5重量%未満のCTLA4−Ig高分子量種(例えば、テトラマー)を含むように、細胞培養液からCTLA4−Igを精製することを特徴とする。本発明は、CTLA4−Igの製造方法を提供し、該方法は:
(a)CTLA4−Igを産生することができる子孫細胞またはCHO細胞を増殖させ、ここで該増殖は種培養から少なくとも10,000Lの液体培養へ行われ、CTLA4−Igの濃度は少なくとも0.5グラム/L(培養液)であり;並びに
(b)少なくとも10,000Lの培養液からCTLA4−Igを単離し、その中で
、クロマトグラフィーを少なくともフェニル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を有するカラムについて行い、単離は、約25mM ヘペス、および約850mM NaClを含み、約7.0のpHを有する単一洗浄緩衝液を用いて行われる疎水性相互作用クロマトグラフィーの段階を含むことを特徴とする。
CTLA4−Ig分子には、ベータポリペプチド分子が含まれる。CTLA4A29YL104E−Igはベータポリペプチド分子である。本発明は、ベータポリペプチド組成物もしくはベータポリペプチド分子組成物、および改良された組成物の生産方法(大量生産を含む)に関する。本発明は、ベータポリペプチド分子、ベータポリペプチド分子を含む改良された組成物、並びにベータポリペプチド分子および他の組換え糖タンパク質の改良された生産方法(大量生産を含む)に関する。
ベータポリペプチドおよび他の糖タンパク質の生産方法:本発明は、組換え糖タンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換え糖タンパク質を分泌する哺乳類細胞を増殖させ、ここで該増殖は種培養から少なくとも約10,000Lの液体培養へ行われ、組換えタンパク質の濃度は少なくとも0.5g/L(培養液)であり;増殖は:
(i)1mLあたり少なくとも約1.0×105個の生細胞の細胞密度が得られるように少なくとも4回継代して無血清の既知組成培地中で細胞を培養し、その中で、各播種段階を1mLあたり約2×105個で開始し、1mlあたり100万〜200万個の細胞になるまで行い、培養は:
(1)約15日から約25日間、無血清の既知組成接種培地中で細胞を培養し;次いで
(2)1mLあたり少なくとも約400万個の細胞の細胞密度に達するまで、無血清の既知組成基本培地中で細胞を培養することを特徴とし;並びに
(ii)培養液から少なくとも約0.5g/Lの組換えタンパク質を産生するのに十分な時間、培養液中で細胞を維持することを特徴とし;並びに
(b)少なくとも約10,000Lの培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とする。
本発明は、組換え糖タンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換え糖タンパク質を分泌する哺乳類細胞を増殖させ、ここで該増殖は種培養から少なくとも約10,000Lの液体培養へ行われ、組換えタンパク質の濃度は少なくとも0.5g/L(培養液)であり;増殖は:
(i)1mLあたり少なくとも約1.0×105個の生細胞の細胞密度が得られるように少なくとも4回継代して無血清の既知組成培地中で細胞を培養し、その中で、各播種段階を1mLあたり約2×105個で開始し、1mlあたり約100〜200万個の細胞まで行い;並びに
(ii)培養液から少なくとも約0.5g/Lの組換えタンパク質を産生するのに十分な時間、培養液中で細胞を維持することを特徴とし、維持は:
(1)37±2℃から34±2℃に培養液の温度を下げ;および
(2)ポリアニオン性化合物を培養液に加えることを特徴とし;並びに
(b)少なくとも約10,000Lの培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とする。
本発明は、組換え糖タンパク質の製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換え糖タンパク質を分泌する哺乳類細胞を増殖させ、ここで該増殖は種培養から少なくとも約10,000Lの液体培養へ行われ、組換えタンパク質の濃度は少なくとも0.5g/L(培養液)であり;並びに
(b)少なくとも約10,000Lの培養液から組換えタンパク質を単離することを特徴とし、単離は:
(i)段階(a)の培養液の可溶性画分を得;
(ii)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、溶離したタンパク質産物を得;
(iii)溶離し、濃縮したタンパク質産物が得られるように、段階(ii)の溶離したタンパク質産物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供し;並びに
(iv)濃縮したタンパク質産物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、濃縮したタンパク質産物を得ることを特徴とする。
本発明の一つの態様において、タンパク質にはCTLA4−Igが含まれる。別の態様において、タンパク質にはベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子が含まれる。別の態様において、タンパク質には、配列番号:11、12、13、14、15、または16を有するベータポリペプチドが含まれる。
本発明の一つの態様において、少なくとも4回の継代は:
(i)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、少なくとも50mLの培養容積中で細胞を成長させ;
(ii)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、少なくとも10Lの培養容積中で細胞を成長させ;
(iii)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、少なくとも100Lの培養容積中で細胞を成長させ;および
(iv)1mLあたり約100万から約250万個の細胞の細胞密度に達するまで、200Lの培養容積中で細胞を成長させることを特徴とする。
本発明の一つの態様において、単離は:
(i)段階(a)の培養液の可溶性画分を得;
(ii)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、溶離したタンパク質産物を得;
(iii)溶離し、濃縮したタンパク質産物が得られるように、段階(ii)の溶離したタンパク質産物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供し;並びに
(iv)濃縮したタンパク質産物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、濃縮したタンパク質産物を得ることを特徴とする。
一つの態様において、段階(iv)で得られる濃縮したタンパク質産物は、いずれの高分子量マルチマー(多量体)の割合も25重量%未満であるという特徴を有している。別の態様において、約50mM ヘペス、および約135mM NaClを含み、約7のpHを有する洗浄緩衝液を用いて、段階(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約50mM ヘペス、および約200mM NaClを含み、約7のpHを有する溶離緩衝液を用いて、段階(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約50mM ヘペス、および約1.2M (NH4)2SO4を含み、約7のpHを有する洗浄緩衝液を用いて、段階(iv)の疎水性相互作用クロマトグラフィーを行う。別の態様において、約25mM NaH2PO4、および約150mM NaClを含み、約7.5のpHを有する洗浄緩衝液を用いて、段階(ii)のアフィニティークロマトグラフィーを行う。別の態様において、約250mM グリシンを含み、約3のpHを有する溶離緩衝液を用いて、段階(ii)のアフィニティークロマトグラフィーを行う。別の態様において、一級、二級、三級、または四級アミン官能基を有する陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて、段階(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーを行う。別の態様において、樹脂は四級アミン官能基を有する。別の態様において、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を用いて、段階(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーを行う。別の態様において、官能基はフェニル官能基である。別の態様において、タンパク質Aを含むカラムを用いて、段階(ii)のアフィニティークロマトグラフィーを行う。
別の態様において、増殖は:
(i)1mLあたり少なくとも約1.0×105個の生細胞の細胞密度が得られるように、少なくとも4回継代して無血清の既知組成培地中で細胞を培養し、その中で、各播種段階を1mLあたり約2×105個で開始し、1mlあたり100〜200万個の細胞まで行い;並びに
(ii)少なくとも約0.5g/Lで培養液から組換えタンパク質を産生するのに十分な時間、培養液中の細胞を維持することを特徴とする。別の態様において、培養は:
(i)約15日から約25日間、無血清の既知組成接種培地中で細胞を培養し;次いで
(ii)1mLあたり少なくとも約400万個の細胞の細胞密度に達するまで、無血清の既知組成基本培地中で細胞を培養することを特徴とする。
別の態様において、維持は:
(i)37±2℃から34±2℃に培養液の温度を下げ;並びに
(ii)ポリアニオン性化合物を培養液に加えることを特徴とする。一つの態様において、ポリアニオン性化合物はデキストラン硫酸であり、その中で、デキストラン硫酸を約50mg/mLの最終濃度で培養液に加える。別の態様において、少なくとも5日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも6日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも7日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも8日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも9日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも10日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも11日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも12日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも13日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも14日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも15日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも16日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも17日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも18日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも19日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも20日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも21日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも22日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも23日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも24日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも25日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも26日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも27日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、少なくとも28日間、温度を34±2℃の範囲内に保つ。別の態様において、28日間まで、温度を34±2℃の範囲内に保つ。培養液の細胞密度が、培養液1mLあたり約30×105から約79×105個の細胞になるまで、温度を34±2℃の範囲内に保つ。
一つの態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が30%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が40%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が50%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が60%を下回らない時間である。別の態様において、十分な時間は、それによって細胞の生存率が70%、80%、90%または95%を下回らない時間である。
一つの態様において、ガラクトースを無血清の既知組成培地に加える。別の態様において、単離は、培養液がタンパク質1モルあたり約6モル超またはそれと等しいシアル酸を含む場合に起こる。別の態様において、単離は、培養液がタンパク質1モルあたり約5.2から約7.6モルのシアル酸を含む場合に起こる。別の態様において、単離は、培養液が1mLあたり約33×105から約79×105個の細胞の細胞密度を有する場合に起こる。別の態様において、単離は、培養液中の細胞生存率が約37%を下回っていない場合に起こる。別の態様において、単離は、エンドトキシンが培養液1mLあたり約4.8EU未満またはそれと等しい場合に起こる。別の態様において、単離は、バイオバーデンが培養液1mLあたり約1未満のコロニー形成単位(cfu/mL)である場合に起こる。別の態様において、単離は、以下の条件の少なくとも2つが満たされた場合に起こる:
(i)培養液が、タンパク質1モルあたり約6モル超またはそれと等しいシアル酸を含み、
(ii)培養液が、1mLあたり約33×105から約79×105個の細胞の細胞密度を有しており、
(iii)培養液中の細胞生存率が、約37%を下回っておらず、
(iv)培養液中の糖タンパク質の量が0.46g/Lから0.71g/Lである。
一つの態様において、哺乳類細胞は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子のいずれの組合せも産生するチャイニーズハムスター卵巣クローン細胞株の子孫であり、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16が含まれ、各チャイニーズハムスター卵巣細胞は、そのゲノム中に配列番号:3を含む発現カセットの少なくとも30コピーを安定に組み込んでいる。一つの態様において、培養液には、本発明の産生細胞株の細胞または子孫細胞が含まれる。
本発明は、本発明によって提供される方法で得られる配列番号:11、12、13、14、15、または16を含むベータポリペプチドを提供する。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、本発明によって提供される方法で得られる配列番号:11、12、13、14、15、または16が含まれる。本発明は、本発明によって提供される方法で得られるベータポリペプチドを提供する。
細胞:本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子をコードする核酸を含むクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞を提供する。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供する。一つの態様において、ベータポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16が含まれる。本発明は、配列番号:11、12、13、14、15、または16のアミノ酸配列をコードする発現カセットを含む核酸を含むクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞を提供する。一つの態様において、発現カセットには、配列番号:3が含まれる。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、ベータポリペプチドは、2000年6月19日にブダペスト条約の規定の下でアメリカ培養細胞系統保存期間(ATCC), 10801 University Blvd., Manassas, VA, 20110に寄託されたATCC受入番号PTA−2104を有するプラスミド由来のヌクレオチド配列から発現される。
本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、各細胞には、30またはそれ以上のコピーのベータポリペプチド発現カセットが含まれる。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、各細胞には、30またはそれ以上のコピーのベータポリペプチド発現カセットが含まれ、その中で、30またはそれ以上のコピーは各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれている。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、ベータポリペプチド発現カセットは約105継代にわたって安定である。一つの態様において、ベータポリペプチドは、細胞ゲノムに組み込まれる発現カセットでコードされる。
本発明は、ベータポリペプチドを産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、少なくとも75%の細胞集団は、1細胞あたり30またはそれ以上のコピーのベータポリペプチド発現カセットを有しており、30またはそれ以上のコピーは、75%の集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれる。本発明は、ベータポリペプチドを産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、少なくとも85%の細胞集団は、1細胞あたり30またはそれ以上のコピーのベータポリペプチド発現カセットを有しており、30またはそれ以上のコピーは、85%の集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれる。本発明は、ベータポリペプチドを産生するクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供し、その中で、少なくとも95%の細胞集団は、1細胞あたり30またはそれ以上のコピーのベータポリペプチド発現カセットを有しており、30またはそれ以上のコピーは、95%の集団の各細胞のゲノム中の単一部位に組み込まれる。一つの態様において、発現カセットは、ATCC受入番号PTA−2104として寄託されているプラスミドに由来する。別の態様において、発現カセットには、配列番号:3の配列を有する核酸が含まれる。一つの態様において、細胞集団は、培養液1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのベータポリペプチドを産生し、その中で、ベータポリペプチドは、1,000Lまたはそれ以上の培養スケールで約5.5から約8.5の、シアル酸対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子のモル比を有する。別の態様において、細胞集団は、培養液1リットルあたり少なくとも5、少なくとも10または少なくとも20グラムのベータポリペプチドを産生する。別の態様において、ベータポリペプチドは、1,000Lまたはそれ以上の培養スケールで約5から約10の、シアル酸対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子のモル比を有する。別の態様において、細胞集団は、無血清の既知組成培地に適合されている。別の態様において、細胞集団の培養液から産生したベータポリペプチドは、1.0±0.05 AU mL cm-1 mg-1の吸光係数を有する。別の態様において、細胞集団は、培養液中で成長する場合、ベータポリペプチドを産生し、その中で:
(a)約90%または約80%のベータポリペプチドには、残基27でメチオニンから始まる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;
(b)約10%または約20%のベータポリペプチドには、残基番号26でアラニンから始まる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;
(c)約4%から約8%のベータポリペプチドには、残基番号383でリジンで終わる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;
(d)約92%から約96%のベータポリペプチドには、残基番号382でグリシンで終わる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;および適宜、
(e)約1%未満のベータポリペプチドには、残基番号25でメチオニンから始まる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれる。
本発明は、本発明の細胞集団の子孫細胞を提供し、その中で、子孫細胞はベータポリペプチドを産生する。一つの態様において、子孫細胞は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75世代にわたる細胞の培養から得られる。別の態様において、子孫細胞は、27世代の細胞の培養から得られる。
本発明は、本発明によって提供されるいずれの細胞からも産生される細胞株を提供する。一つの態様において、細胞株はクローンである。一つの態様において、細胞株は:
(a)配列番号:16のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置27でメチオニン、およびアミノ酸位置382でグリシン)を有するベータポリペプチド;
(b)配列番号:13のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置27でメチオニン、およびアミノ酸位置383でリジン)を有するベータポリペプチド;
(c)配列番号:15のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置26でアラニン、およびアミノ酸位置382でグリシン)を有するベータポリペプチド;
(d)配列番号:12のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置26でアラニン、およびアミノ酸位置383でリジン)を有するベータポリペプチド;
(e)配列番号:11のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置25でメチオニン、およびアミノ酸位置383でリジン)を有するベータポリペプチド;
(f)配列番号:14のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置25でメチオニン、およびアミノ酸位置382でグリシン)を有するベータポリペプチド;または
(g)そのいずれの組合せも産生する。一つの態様において、細胞株は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を産生し、その中で:
(a)約90%または約80%のベータポリペプチドには、残基27でメチオニンから始まる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;
(b)約10%または約20%のベータポリペプチドには、残基番号26でアラニンから始まる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;
(c)約4%から約8%のベータポリペプチドには、残基番号383でリジンで終わる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;
(d)約92%から約96%のベータポリペプチドには、残基番号382でグリシンで終わる配列番号:4のアミノ酸配列が含まれ;および適宜、
(e)約1%未満のベータポリペプチドには、残基番号25でメチオニンから始まる配列番号:2のアミノ酸配列が含まれる。一つの態様において、細胞株の培養から産生されるベータポリペプチドは、1.0±0.05 AU mL cm-1 mg-1の吸光係数を有する。
本発明は、本発明の細胞由来の細胞集団を提供する。一つの態様において、集団の細胞には、集団が生じた本発明の細胞と比較して、少なくとも一つの別の遺伝子変化が含まれ、その中で、細胞はベータポリペプチドを産生する。別の態様において、集団の細胞には、集団が生じた本発明の細胞と比較して、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも20個の別の遺伝子変化が含まれ、その中で、細胞はベータポリペプチドを産生する。一つの態様において、遺伝子変化には、細胞ゲノム中またはベータポリペプチドをコードする発現カセット中に、少なくとも一つの非保存的変異が含まれる。別の態様において、遺伝子変化には、細胞内に少なくとも一つの別の組換え核酸が含まれる。別の態様において、遺伝子変化には、細胞ゲノムの変異が含まれる。別の態様において、遺伝子変化には、細胞ゲノムに核酸を加えるか、またはトランスフェクトした核酸として加えることが含まれ、その中で、核酸は抗アポトーシスのポリペプチドをコードする。別の態様において、抗アポトーシスのポリペプチドはグリコシル化に関連する。別の態様において、遺伝子変化には、細胞ゲノムの、またはベータポリペプチドをコードする発現カセットの少なくとも一つの変異が含まれる。別の態様において、培養液中で成長する場合、細胞集団は:
(a)配列番号:16のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置27でメチオニン、およびアミノ酸位置382でグリシン)を有するベータポリペプチド;
(b)配列番号:7のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置27でメチオニン、およびアミノ酸位置383でリジン)を有するベータポリペプチド;
(c)配列番号:15のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置26でアラニン、およびアミノ酸位置382でグリシン)を有するベータポリペプチド;
(d)配列番号:12のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置26でアラニン、およびアミノ酸位置383でリジン)を有するベータポリペプチド;
(e)配列番号:11のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置25でメチオニン、およびアミノ酸位置383でリジン)を有するベータポリペプチド;
(f)配列番号:14のアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸位置25でメチオニン、およびアミノ酸位置382でグリシン)を有するベータポリペプチド;または
(g)そのいずれの組合せも産生する。
組成物:本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、約5から約10の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比を有する、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。一つの態様において、約5.5から約8.5の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比。一つの態様において、約5.2から約7.6の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比。本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、約6の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比を有する、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、95%超のポリペプチドはダイマーに形成される。一つにおいて、98%超、99%超、または99.5%超のポリペプチドはダイマーに形成される。別の態様において、約95%から約99.5%のポリペプチドはダイマーに形成され、約0.5%から約5%のポリペプチドはテトラマーまたは高分子量種に形成される。別の態様において、約98.6%のポリペプチドはダイマーに形成され、約1.2%のポリペプチドはテトラマーまたは高分子量種に形成され、約0.7%未満のポリペプチドはモノマーである。別の態様において、約95%のポリペプチドはダイマーに形成され、約4%のポリペプチドはテトラマーまたは高分子量種に形成され、約1%のポリペプチドはベータポリペプチドダイマーの単離した集団であり、その中で、各ポリペプチドモノマーには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。一つの態様において、集団には、ベータポリペプチドモノマーが実質的に含まれていない。別の態様において、集団には、ベータポリペプチドテトラマーが実質的に含まれていない。本発明は、ベータポリペプチドダイマーおよびテトラマーが実質的に含まれていないベータポリペプチドモノマーの単離した集団を提供する。一つの態様において、各ベータポリペプチドダイマーの各モノマーは、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列を含み、少なくとも2.5 シアル酸残基を有する。
本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、CTLA4−Ig標準物質(standard)と比較して、B7結合アッセイにおいて約70%から約130%の効力を有する配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、アッセイには表面プラズモン共鳴の測定が含まれる。本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、標準物質と比較して、ヒト細胞IL−2阻害アッセイにおいて約50%から約150%の効力を有する配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。本発明は、ベータポリペプチドテトラマーまたは高分子量種の精製した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドモノマーには配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、集団にはベータポリペプチドダイマーが実質的に含まれず、および適宜、集団には約100グラム超の量が含まれる。本発明は、ベータポリペプチドテトラマーまたは高分子量種の精製した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドモノマーには配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、集団にはベータポリペプチドモノマーが実質的に含まれず、および適宜、集団には約100グラム超の量が含まれる。一つの態様において、各テトラマー分子には2対のベータポリペプチドが含まれ、その中で、各ポリペプチドモノマーには配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチド対の各メンバーは他のメンバーと共有結合しており、2対のポリペプチドは互いに非共有結合している。一つの態様において、各テトラマー分子はCD80またはCD86と結合することができる。一つの態様において、各テトラマー分子は、ベータポリペプチドダイマーと比較して、CD80またはCD86について少なくとも2倍の大きさの結合活性を有しており、その中で、ダイマーの各ポリペプチドモノマーには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。別の態様において、各テトラマー分子は、配列番号:2の配列を含むCTLA4−Igテトラマー分子と比較して、CD80またはCD86について少なくとも2倍の大きさの結合活性を有する。別の態様において、各テトラマー分子は、ベータポリペプチドダイマーと比較して、少なくとも2倍の大きさのT細胞増殖または活性化の阻害を有しており、その中で、ダイマーの各ポリペプチドモノマーには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。別の態様において、各テトラマー分子は、配列番号:2の配列を含むCTLA4−Igテトラマー分子と比較して、少なくとも2倍の大きさのT細胞増殖または活性化の阻害を有する。
本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、組成物には、等電点電気泳動で決定されるように、5.5未満またはそれと等しい等電点,pIを有する、等電点電気泳動ゲル上で視覚化できる支配的なアイソフォームが含まれる。一つの態様において、pIは、ノイラミニダーゼ処理の後に増大する。一つの態様において、少なくとも40%のベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子は、等電点電気泳動で決定されるように、約5.3未満またはそれと等しい等電点を示す。一つの態様において、少なくとも70%のベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子は、等電点電気泳動で決定されるように、約5.3未満またはそれと等しい等電点を示す。一つの態様において、少なくとも90%のベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子は、等電点電気泳動で決定されるように、約5.3未満またはそれと等しい等電点を示す。本発明は、約2.0±0.2から約5.2±0.2のpIを有するベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の単離した集団を提供する。本発明は、約4.5±0.2から約5.2±0.2のpIを有するベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の単離した集団を提供する。本発明は、約4.7±0.2から約5.1±0.2のpIを有するベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の単離した集団を提供する。本発明は、組成物の製造方法を提供し、組成物には、約2.0±0.2から約5.2±0.2のpIを有するベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子が含まれ、その中で、各ポリペプチドには配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、該方法は:
(a)ベータポリペプチドの混合物を等電点電気泳動ゲル電気泳動に付し、その中で、ゲル上の一つのバンドは、特定のpIを有するベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の集団を表し、並びに
(b)約2.0±0.2から約5.2±0.2のpIを有するベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の集団を単離して、組成物を製造することを特徴とする。
本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、約6.4から約7.0の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのフコースの平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、約14から約16の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのマンノースの平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、該分子は、約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、該分子は、約5から約10の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;並びに
(b)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、該分子は:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;並びに
(c)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、該分子は:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;並びに
(d)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約6.4から約7.0の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのフコースの平均モル比;並びに
(e)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約6.4から約7.0の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのフコースの平均モル比;
(e)約14から約16の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのマンノースの平均モル比;並びに
(f)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約8から約17の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(b)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;並びに
(c)図8と実質的に同一の糖プロフィールの特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約8から約17の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(b)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;
(c)図8と実質的に同一の糖プロフィール;並びに
(d)約5%未満のベータポリペプチドテトラマー含有率の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;並びに
(b)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(b)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;並びに
(c)約5%未満のベータポリペプチドテトラマー含有率の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;並びに
(b)図8と実質的に同一の糖プロフィールの特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;並びに
(b)図8と実質的に同一の糖プロフィールの特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;並びに
(b)約5%未満のベータポリペプチドテトラマーまたは高分子量種の含有率の特徴を有する。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは:
(a)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;並びに
(b)約5%未満のベータポリペプチドテトラマーまたは高分子量種の含有率の特徴を有する。
本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、図8と実質的に同一の糖プロフィールを示す。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、ドメインI〜IVの糖プロフィールを示し、ドメインIにはa−シアル酸付加オリゴ糖を表すピークが含まれ、ドメインIIにはモノシアル酸付加オリゴ糖を表すピークが含まれ、ドメインIIIにはジシアル酸付加オリゴ糖を表すピークが含まれ、およびドメインIVにはトリシアル酸付加オリゴ糖を表すピークが含まれる。一つの態様において、ドメインIにおける第1ピークとドメインIIにおけるメインピークとの間のN結合型オリゴ糖の保持時間の差は、約11から約13分である。一つの態様において、ドメインIIIおよびIVの和には、全糖プロフィールの約25%から約36%が含まれる。
本発明は、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子を含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドモノマーには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、少なくとも約0.5%の分子はシステイン付加されている。本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、集団は図11に示される質量分析プロフィールを示す。本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団またはベータポリペプチド分子を提供し、その中で、各ポリペプチドには、約5.5から約8.5の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比を有する配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子は、産生細胞株の細胞から産生される。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、ポリペプチドは、配列番号:4の102位のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号:4の134位のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号:4の233位のアスパラギンアミノ酸残基でグリコシル化される。本発明は、ベータポリペプチドを含む単離された組成物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、該分子は:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約6.4から約7.0の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのフコースの平均モル比;
(e)約14から約16の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのマンノースの平均モル比;
(f)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;
(g)約2.4±0.2から約5.2±0.2の範囲にある等電点電気泳動ゲル上の可視化から決定されるpI;
(h)5ppm未満またはそれと等しいMCP−1;
(i)5%未満のテトラマーまたは高分子量種;
(j)1%未満のベータポリペプチドモノマー;並びに
(k)配列番号:4、11、12、13、14、15、または16のいずれとも少なくとも95%同一のアミノ酸を有する集団のベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の特徴を有しており、その中で、集団内のベータポリペプチドはCD80およびCD86と結合することができる。本発明は、ベータポリペプチドの単離した集団を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、分子の集団は:
(a)約24から約28の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGlcNAcの平均モル比;
(b)約2.7から約3.6の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのGalNAcの平均モル比;
(c)約11から約13の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのガラクトースの平均モル比;
(d)約6.4から約7.0の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのフコースの平均モル比;
(e)約14から約16の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのマンノースの平均モル比;
(f)約5.5から約8.5の、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比;
(g)約2.4±0.2から約5.2±0.2の範囲にある等電点電気泳動ゲル上の可視化から決定されるpI;
(h)5ppm未満またはそれと等しいMCP−1;
(i)5%未満のベータポリペプチドテトラマーまたは高分子量種;
(j)1%未満のモノマー;並びに
(k)配列番号:4、11、12、13、14、15、または16のいずれとも少なくとも95%同一のアミノ酸を有する集団のベータポリペプチドの特徴を有しており、その中で、集団内のベータポリペプチド分子はCD80およびCD86;またはその医薬的な同等物と結合することができる。
本発明は、本発明のベータポリペプチドの有効量および医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。本発明は、2005年12月20日に出願された米国出願番号60/752,150に記載された賦形剤を含む組成物を提供する。一つの態様において、組成物にはベータポリペプチド分子が含まれる。一つの態様において、組成物にはさらに、医薬的に許容される希釈剤、添加剤または担体が含まれる。一つの態様において、組成物にはさらに、ショ糖、リン酸二水素ナトリウム一水和物、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、および滅菌水が含まれる。別の態様において、組成物には、ショ糖、ポロキサマー、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、および滅菌水が含まれる。一つの態様において、組成物は凍結乾燥されている。本発明は、本発明のベータポリペプチドの有効量、ショ糖、リン酸二水素ナトリウム一水和物、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、および塩酸を含む凍結乾燥した組成物を提供する。
製剤およびキット:本発明は、少なくとも95% ベータポリペプチドダイマー、および多くて5% ベータポリペプチドテトラマー(高分子量種)を含む凍結乾燥したベータポリペプチド混合物を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれる。一つの態様において、混合物には、少なくとも98%のベータポリペプチドダイマーおよびわずか2%のベータポリペプチドテトラマー(高分子量種)が含まれる。一つの態様において、混合物には、少なくとも99%のベータポリペプチドダイマーおよびわずか1%のベータポリペプチドテトラマー(高分子量種)が含まれる。一つの態様において、混合物には、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたり少なくとも5モルのシアル酸が含まれる。一つの態様において、混合物には、ベータポリペプチドダイマー(高分子量種)1モルあたり約24から約28モルのGlcNAcが含まれる。一つの態様において、混合物には、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたり約2.7から約3.6モルのGalNAcが含まれる。一つの態様において、混合物には、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたり約11から約13モルのガラクトースが含まれる。一つの態様において、混合物には、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたり約6.4から約7.0モルのフコースが含まれる。一つの態様において、混合物には、ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子1モルあたり約14から約16モルのマンノースが含まれる。本発明はまた:
(a)本発明の凍結乾燥したベータポリペプチド混合物を含む容器、および
(b)凍結乾燥したベータポリペプチド混合物を注射用溶液へと再構成するための指示書を含む医薬キットも提供する。
治療方法の例:T細胞増殖、活性化またはその両方の阻害方法(該方法は、T細胞を、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量と接触させることを特徴とする)。本発明は、患者における免疫応答の阻害方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における免疫障害の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における抗原に対する免疫寛容の誘導方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。該方法は、患者における炎症の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。該方法は、関節リウマチの治療方法を提供し、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における乾癬の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者におけるループスの治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者におけるアレルギーの治療または予防方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における移植片対宿主病の治療または予防方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における移植器官の拒絶の治療または予防方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における移植組織の拒絶の治療または予防方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における移植細胞の拒絶の治療または予防方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。一つの態様において、移植細胞は骨髄細胞である。別の態様において、移植細胞は島細胞である。別の態様において、移植細胞はインスリン産生膵島細胞である。本発明は、患者における多発性硬化症の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者におけるクローン病の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者におけるI型糖尿病の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、炎症性腸疾患 患者におけるの治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における卵巣炎の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における糸球体腎炎の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者におけるアレルギー性脳脊髄炎の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における重症筋無力症の治療方法を提供し、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。
本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の集団の使用を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号:11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、集団は、免疫障害の治療的および/または予防的処置のための薬物の製造において、約5から約10の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比を有する。本発明は、ベータポリペプチドまたはベータポリペプチド分子の集団の使用を提供し、その中で、各ポリペプチドには、配列番号11、12、13、14、15、または16の配列が含まれ、集団は、関節リウマチの治療におけるその使用のための指示書と共に、包装した抗関節リウマチ薬の製造において、約5から約10の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比を有する。一つの態様において、集団は、約5.5から約8.5の、シアル酸残基対ベータポリペプチドダイマーまたはベータポリペプチド分子の平均モル比を有する。
併用療法の例:本発明は、T細胞増殖、活性化またはその両方の阻害方法を提供し、該方法は、メトトレキセートと併用して、T細胞を本発明のベータポリペプチド組成物の有効量と接触させることを特徴とする。本発明は、患者における免疫応答の阻害方法を提供し、該方法は、メトトレキセートと併用して、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。本発明は、患者における抗原に対する免疫寛容の誘導方法を提供し、メトトレキセートと併用して、該方法は、本発明のベータポリペプチド組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを特徴とする。
CTLA4−Ig分子は、自己免疫およびアレルギーなどの異常な免疫増殖性および免疫反応性の現象に関連する障害を含めた様々な障害を治療するために用いることができる。本発明は、たとえば特定のグリコシル化修飾、特定の炭水化物プロフィールもしくは特徴、特定の多量体構造、および/または特定の結合力の強度を有するCTLA4−Ig分子の集団を含むCTLA4−Ig組成物を提供する。やはりCTLA4−Ig分子、その使用および方法について記載している、本明細書中に参考としてその全体を組み込む文献には、米国特許第5,434,131号;第5,851,795号;第5,885,796号;第5,885,579号;および第7,094,874号が含まれる。
本発明はまた、本明細書中に提供する大量産生および培養方法によって大量のCTLA4−Ig分子を産生することができる細胞系も提供する。本発明の1つの特定の細胞系は、CTLA4−Ig分子が特定のグリコシル化および炭水化物プロフィールを有するように、それを大量産生するために用いることができるクローン細胞系である。ATCC寄託番号68629号を有する異種および非クローン細胞集団と比較して(参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている米国特許第5,434,131号参照)、本発明のクローン細胞系は、より一貫したまたはより均一なグリコシル化または炭水化物プロフィールを有するCTLA4−Ig分子の集団を分泌することができる。さらに、ATCC寄託番号68629号を有する異種および非クローン細胞集団と比較して、本発明のクローン細胞系は、本クローン細胞系は高コピー数のCTLA4−Ig発現カセットが細胞のゲノム中の単一の部位内に組み込まれているように選択されていることが部分的な原因で、より大量のCTLA4−Ig分子を分泌することができる。
本発明は、CTLA−4結合ドメインのB7結合領域中に2つのアミノ酸置換、すなわち(i)配列番号2の位置29アラニンをチロシンで置換(A29Y)すること、および(ii)配列番号2の位置104のリシンをグルタミン酸で置換すること(L104E)を行うことによって、CTLA4−Ig(配列番号2)の結合力および力価を増加できるという発見を提供する。本発明は、「βポリペプチド分子」と呼ばれるCTLA4−Ig分子の亜属を提供し、これは、B7結合活性を有しており、免疫グロブリン定常領域またはその一部分に連結した配列番号24のアミノ酸配列(A29YおよびL104Eの突然変異を有するCTLA4細胞外ドメイン)を含み得るβポリペプチドを含む。
[配列番号24]
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
[配列番号18]−CTLA4細胞外ドメイン
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
用語
本明細書中で使用する用語「クローン」とは、単一の細胞から増大させた細胞集団をいう。CTLA4−Ig分子を発現することができるクローン細胞系またはクローン細胞集団に関して、クローン細胞系または集団は、CTLA4−Ig分子をコードしている発現ベクターで形質移入した細胞の集団から単離した単一の細胞から増大させる。形質移入した細胞の集団は異種集団であることができる。クローン細胞系または集団は、集団中のすべての細胞が単一の形質移入に由来するという意味で、同種であるとみなすことができる。
本明細書中で使用する用語「B7−1」とはCD80をいい;用語「B7−2」とはCD86をいい;用語「B7」とは、B7−1およびB7−2(CD80およびCD86)の両方またはどちらかをいう。用語「B7−1−Ig」または「B7−1Ig」とはCD80−Igをいい;用語「B7−2−Ig」または「B7−2Ig」とはCD86−Igをいう。
本明細書中で使用する用語「CTLA4−Ig」または「CTLA4−Ig分子」または「CTLA4Ig分子」または「CTLA4−Igタンパク質」または「CTLA4Igタンパク質」は、互換性があるように使用し、CTLA4細胞外ドメインと免疫グロブリン定常領域またはその一部分とを有するCTLA4−Igポリペプチドを少なくとも含むタンパク質分子をいう。一部の実施形態では、たとえば、CTLA4−Igポリペプチドは、少なくとも配列番号18のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CTLA4細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定常領域またはその一部分は、野生型、または突然変異体もしくは修飾体であることができる。突然変異CTLA4−Igポリペプチドは、突然変異CTLA4細胞外ドメインを含むCTLA4−Igポリペプチドである。突然変異CTLA4Ig分子は突然変異CTLA4−Igポリペプチドを少なくとも含む。一部の実施形態では、CTLA4細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定常領域またはその一部分は、ヒトまたはマウスを含めた哺乳動物のものであることができる。一部の実施形態では、突然変異CTLA4細胞外ドメインは、図1または配列番号18に示すCTLA4細胞外ドメインと少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有することができる。一部の実施形態では、突然変異免疫グロブリン定常領域またはその一部分は、図1に示す免疫グロブリン(g)定常領域と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有することができる。ポリペプチドは、さらなるタンパク質ドメインをさらに含むことができる。CTLA4−Ig分子は、CTLA4−Igポリペプチドの単量体をいうことができ、また、二量体、四量体、および六量体等(または他の高分子量種)などのポリペプチドの多量体をいうこともできる。また、CTLA4−Ig分子は、CD80および/またはCD86と結合することができる。CTLA4−Ig分子には、「βポリペプチド分子」、たとえばCTLA4A29YL104E−Igなどの突然変異CTLA4Ig分子が含まれる。たとえば、CTLA4−IgはCTLA4−Ig分子を含み、CTLA4A29YL104E−Igはβポリペプチド分子を含む(突然変異CTLA4−Ig分子の例)。
本明細書中で使用する用語「CTLA4細胞外ドメイン」とは、B7−1(CD80)および/またはB7−2(CD86)と結合する、配列番号18に示すアミノ酸配列の全体または一部分を含むタンパク質ドメインをいう。一部の実施形態では、CTLA4細胞外ドメインは、配列番号18に示すアミノ酸と同一である配列番号2のアミノ酸27〜150と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことができる。配列番号2のアミノ酸151は接合アミノ酸である。
本明細書中で使用する用語「βポリペプチド」とは、(1)位置29のアミノ酸がチロシンに突然変異しており、位置104のアミノ酸がグルタミン酸に突然変異しており、所望により様々な追加の突然変異を有する配列番号18のアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常領域またはその一部分とを含み;(2)CD80および/またはCD86と結合することができる突然変異CTLA4−Igポリペプチドをいう。一部の実施形態では、たとえば、βポリペプチドは、CTLA4A29YL104E−Igの細胞外ドメインのアミノ酸配列(配列番号24に示す)を少なくとも含む。βポリペプチドの非限定的な例には、ベラタセプトならびに配列番号4および11〜16が含まれる。特定の実施形態では、免疫グロブリン定常領域またはその一部分は、野生型、突然変異体もしくは修飾体であることができる。特定の実施形態では、免疫グロブリン定常領域またはその一部分は、ヒトまたはマウスを含めた哺乳動物のものであることができる。βポリペプチドのさらなる非限定的な例には、免疫グロブリン定常領域またはその一部分中に1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含むβポリペプチド(たとえば、配列番号4のシステイン120の置換)、および配列番号18のアミノ酸位置25、30、93、96、103または105の1つまたは複数でさらなる突然変異を含むβポリペプチドが含まれる。βポリペプチド分子はβポリペプチドを含む。βポリペプチド分子とは、βポリペプチドの単量体ならびに二量体、四量体および六量体等のβポリペプチドの多量体などをいうことができる。たとえば、ベラタセプトはβポリペプチド分子を含む。βポリペプチド分子は、参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている、2006年10月5日出願の米国仮出願第60/849,543号にさらに記載されている。
本明細書中で使用する用語「グルタメート」および「グルタミン酸」は互換性があるように使用する。
本明細書中で使用する用語「二量体」とは、連結または結合した2個のCTLA4−Igポリペプチドまたは単量体からなる、CTLA4−Igタンパク質またはCTLA4−Ig分子をいう。二量体の単量体間の連結は、非共有結合もしくは相互作用、共有結合もしくは相互作用、または両方であることができる。CTLA4−Ig二量体の例を図4に示す。2つの同一の単量体からなるCTLA4−Igタンパク質またはCTLA4−Ig分子は、ホモ二量体である。CTLA4−Igホモ二量体には、配列がわずかに異なり得る2つの単量体を含む分子も包含される。ホモ二量体には、結合した単量体が実質的に同じ配列である二量体が包含される。ホモ二量体を構成する単量体は、相当の構造的相同性を共有する。たとえば、配列の差異は、単量体のN末端プロセシング修飾によるものであり得る。
本明細書中で使用する「保存的突然変異」とは、あるアミノ酸を同じクラスの別のアミノ酸で置換する核酸配列の変化をいう(たとえば、イソロイシン、バリン、ロイシン、もしくはメチオニンなど、ある無極性アミノ酸を別の無極性アミノ酸で置換すること;またはリシンをアルギニンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、もしくはアスパラギンをグルタミンで置換することなど、ある極性アミノ酸を別の極性アミノ酸で置換すること)。
本明細書中で使用する「非保存的突然変異」とは、あるアミノ酸を異なるクラスのアミノ酸で置換する核酸配列の変化をいう(たとえば、リシン、アルギニンまたはヒスチジンなどのある塩基性アミノ酸をアスパラギン酸またはグルタミン酸などの酸性アミノ酸で置換すること)。たとえば、アミノ酸は、アミノ酸の大きさ、荷電、極性、反応性または他の同様の特徴に基づいて、別のアミノ酸と生化学的に相違することができる。
本明細書中で使用する「単離した」とは、そのネイティブ環境から取り出し、分子が天然に存在する環境とは異なる環境にある分子、または物質(たとえばタンパク質)が、生じる組成物、混合物、もしくは構成成分のコレクション中に存在する主な種(たとえばタンパク質種)であるように(たとえば、モル濃度に基づいて、組成物中の任意の他の個々の種よりも豊富である)その環境の他の構成成分から部分的にもしくは完全に回収もしくは分離された物質(たとえばタンパク質)をいう。たとえば、調製物は、約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94または95%を超える単離したCTLA4−Igからなり得る。「単離した」とは、CTLA4−Ig分子と分子が天然に存在する環境由来の他のCTLA4−Ig分子との混合物を排除しない。「単離した」とは、細胞培養物、バッチ培養物、またはバイオリアクターなどのその環境から回収したCTLA4−Igと組み合わせた医薬上許容される賦形剤を排除しない。本明細書中で使用する「単離すること」とは、単離したCTLA4−Ig分子を得るためにプロセスまたは方法を実施することをいう。
本明細書中で使用する用語「可溶性CTLA4」とは、インビボで循環することができる分子または細胞膜に結合していないCTLA4を意味する。たとえば、可溶性CTLA4には、Igに連結したCTLA4の細胞外領域を含めたCTLA4−Igが含まれることができる。
本明細書中で使用する用語「細胞培養物の可溶性画分」とは、細胞、細胞膜および核などの細胞培養物の不溶性、粒子状もしくは固形の構成成分以外の、またはそれを実質的に含まない、細胞培養物の液体部分をいう。可溶性画分は、たとえば、細胞培養物の遠心分離後に生じる上清、または細胞培養物の濾過後に生じる濾液であり得る。
本明細書中で使用する用語「発現カセット」とは、ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列と作動可能に連結された5’制御領域(たとえばプロモーター)を少なくとも有し、かつ所望により非翻訳3’終止領域(たとえば、ストップコドンおよびポリアデニル化配列)を有する核酸をいう。適切な条件下では、発現カセットによってコードされているポリペプチドを発現カセットによって産生させる。また、発現カセットは、発現カセットを宿主細胞のゲノム中の特異的部位内に組み込むことを標的とする、1つまたは複数のヌクレオチド配列も有し得る(たとえば、Koduri et al., (2001) Gene 280:87-95参照)。たとえば、ATCC寄託番号PTA−2104号として寄託されているプラスミドに由来するCTLA4A29YL104E−Igポリペプチド発現カセットは、CTLA4A29YL104E−Igをコードしている発現カセットの一例である。
本明細書中で使用する用語「実質的に精製した」とは、その天然の環境から取り出した(たとえば単離した)CTLA4−Ig分子またはCTLA4−Ig分子の選択した集団を含む組成物をいい、細胞物質または培地などのそれが天然で関連している他の構成成分を少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%含まない。たとえば、組換えによって産生したCTLA4−Igタンパク質分子に関しては、用語「実質的に精製した」とは、タンパク質分子が目的の配列番号2のポリペプチドまたは配列番号2の突然変異ポリペプチドではないタンパク質分子を少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%含まないように産生環境から取り出した、CTLA4−Igタンパク質分子を含む組成物をいうこともできる。「実質的に精製した」とは、他のCTLA4−Ig分子(四量体など)とのCTLA4−Ig分子(二量体など)の混合物を排除しない。「実質的に精製した」とは、そのネイティブ環境から取り出したCTLA4−Ig分子と組み合わせた医薬上許容される賦形剤または担体を排除しない。
本明細書中で使用する用語「大スケールプロセス」とは、用語「工業スケールプロセス」と互換性があるように使用する。用語「培養容器」は、「バイオリアクター」、「反応器」および「タンク」と互換性があるように使用する。
「液体培養物」とは、支持体上で増殖させた、または液体栄養培地中で懸濁させて増殖させた細胞(たとえば、細菌、植物、昆虫、酵母、または動物細胞)をいう。
「種培養物」とは、より大容量の培地に接種するために増殖させた細胞培養物をいう。種培養物を用いて、培養物中で増殖させる細胞(たとえば懸濁液中で増殖させる細胞)の数を増大させるために、より大容量の培地に接種することができる。
本明細書中で使用する「培養」とは、1個または複数個の細胞をインビトロで、定義または調整された条件下で増殖させることをいう。定義することができる培養条件の例には、温度、気体の混合、時間、および培地の配合が含まれる。
本明細書中で使用する「増大」とは、培養物中により多数の細胞を得ることを目的として1個または複数個の細胞をインビトロで培養することをいう。
本明細書中で使用する「集団」とは、1つもしくは複数の測定可能もしくは検出可能な特性が存在することまたは存在しないことによって特徴づけられた、2つ以上の分子(「分子の集団」)または細胞(「細胞の集団」)の群をいう。同種集団では、集団中の分子または細胞は、同一または実質的に同一の特性によって特徴づけられている(たとえばクローン細胞系の細胞)。異種集団では、集団中の分子または細胞は、同一または実質的に同一である少なくとも1つの特性によって特徴づけられており、細胞または分子も同一でない特性を示し得る(たとえば、実質的に類似の平均シアル酸含有率を有するが、類似していないマンノース含有率を有するCTLA4−Ig分子の集団)。
本明細書中で使用する「高分子量凝集体」とは「高分子量種」と互換性があるように使用し、少なくとも3つのCTLA4−Ig単量体を含むCTLA4−Ig分子をいう。たとえば、高分子量凝集体は、四量体、五量体または六量体であり得る。
「パーセント(%)収率」とは、実収率を理論収率で割り算し、その値に100を掛けた値をいう。実収率は重量グラムまたはモル(たとえばモル収率)として得ることができる。理論収率は理想的または数学計算した収率として得ることができる。
本明細書中で使用する「MCP−1の量」とは、(1)一定量の単独のMCP−1(単球走化性タンパク質−1、特にハムスターMCP−1)、または(2)一定量のMCP−1を含めた「MCP−1様」タンパク質と、MCP−1に相同的なタンパク質、MCP−1の断片、および/もしくはMCP−1に相同的なタンパク質の断片とを合わせた量(たとえば、前述の事例のそれぞれにおいて、MCP−1を検出するための抗体(たとえばポリクローナルELISA)アッセイと交叉反応性を有し得る)をいう。MCP−1の量の範囲に関して下限を提供していない場合は、MCP−1(ならびに/またはMCP−1に相同的なタンパク質、MCP−1の断片、および/もしくはMCP−1に相同的なタンパク質の断片)が存在しないことも企図される。
本明細書中で使用する「グリコシル化の含有率」とは、CTLA4−Ig分子に似た糖タンパク質などのタンパク質分子と共有結合した一定量のN結合型またはO結合型糖残基をいう。
本明細書中で使用する用語「シアル酸対タンパク質のモル比」とは、タンパク質(CTLA4−Ig分子)または二量体1モルあたりのシアル酸分子のモル数として計算して求める。
本明細書中で使用する用語「糖タンパク質」とは、1つまたは複数の糖残基の含めた1つまたは複数の炭水化物の付加によって修飾されたタンパク質をいう。
本明細書中で使用する用語「シアリル化」とは、シアル酸残基を、糖タンパク質を含めたタンパク質に付加することをいう。
本明細書中で使用する用語「糖タンパク質アイソフォーム」とは、等電点電気泳動(IEF)、ゲル電気泳動または混合物中の様々なタンパク質をその分子量、荷電、および/もしくは他の特徴によって識別するための他の適切な方法によって決定された、炭水化物およびシアル酸の含有率によって特徴づけられた分子をいう。たとえば、IEFゲルで観察されるそれぞれの明確なバンドが特定の等電点(pI)を有し、したがって同じ正味荷電を有する分子を表す。糖タンパク質アイソフォームは、IEFゲル上に観察される明確なバンドであることができ、それぞれのバンドが特定のpIを有する分子の集団であることができる。
「免疫寛容」とは、ある人が通常応答性である特定の抗原または抗原の群に対する非応答状態をいう(たとえば、T細胞がもはや抗原に応答しなくなる状態)。
「力価」とは、リガンド濃度の関数としての応答の尺度をいう。たとえば、アゴニストの力価は、最大効果の半量を生じるリガンドの濃度(EC50)として定量する。力価の非限定的な薬理学的定義には親和性および有効性の要素が含まれ、有効性とは、結合した後に薬物が応答を誘起する能力である。力価は親和性に関連するが、力価および親和性は薬物作用の異なる尺度である。
本明細書中で使用する「医薬上許容される担体」とは、薬理学的に活性のある薬剤のためのビヒクルをいう。担体は、薬剤の機能を終わらせることなく活性剤の標的部位へのデリバリーを行うことを容易にする。担体の適切な形態の非限定的な例には、液剤、クリーム、ゲル、ゲル乳剤、ゼリー、ペースト、ローション、膏薬、スプレー、軟膏、散剤、固形混合物、エアロゾル、乳剤(たとえば、油中水または水中油)、ゲル水溶液、水溶液、懸濁液、リニメント、チンキ剤、および局所投与に適したパッチが含まれる。
本明細書中で使用する語句「医薬上許容される組成物」(または「医薬組成物」)とは、人間などへの医薬投与が許容される組成物をいう。このような組成物には、任意の活性剤(または複数の活性剤)に加えて、医薬投与に許容されるレベルを超えないレベルで不純物である物質を含めてもよく(そのようなレベルには、そのような不純物が存在しないことが含まれる)、また、投与を容易にするために医薬上許容される賦形剤、ビヒクル、担体および他の不活性成分を含めて、たとえば、そのような組成物を配合することができる。たとえば、医薬上許容されるCTLA4−Ig組成物には、MCP−1またはDNAを、それらの物質がヒトへの投与に許容されるレベルである限りは、含めることができる。
「薬物物質」とは、医薬組成物中に含まれる活性医薬成分である。用語「薬物物質」には、溶液および/または緩衝形態中の活性医薬成分が含まれる。「薬物製品」とは、医薬投与のために配合された薬物物質を含む医薬組成物である。薬物物質および/または薬物製品に言及し得る本明細書中の実施例および他の箇所に含まれるアッセイ目的には、アッセイを行い得る例示的な薬物物質および薬物製品は以下のとおりである。
配列番号2、5、6、7、8、9、10または18を含むCTLA4Ig分子の例示的な薬物物質は、緩衝水溶液(25mMのリン酸ナトリウム、50mMの塩化ナトリウム、pH7.5)中、50mg/mlの濃度のCTLA4−Igタンパク質である。
配列番号2、5、6、7、8、9、10または18を含むCTLA4Ig分子の例示的な薬物製品は、250mgの凍結乾燥したCTLA4−Igタンパク質、500mgのマルトース、17.2mgの一塩基性リン酸ナトリウム、および14.6mgの塩化ナトリウム、pH7.0〜8.0;または
緩衝水溶液(25mMのリン酸ナトリウム、10mMの塩化ナトリウム、pH7.5)中に25mg/mlの濃度のCTLA4−Igタンパク質である。
凍結乾燥したCTLA4−Igタンパク質(250mg/バイアル)薬物製品の組成
配列番号4、11、12、13、14、15、16または24を含むCTLA4Ig分子の例示的な薬物製品:
凍結乾燥したCLTA4
A29YL104E−Igの100mg/バイアルの薬物製品の組成
本明細書中で使用する用語「培地」および「細胞培地」および「フィード培地」および「発酵培地」とは、細胞、特に哺乳動物細胞を増殖または維持するために用いる栄養液をいう。限定せずに、これらの溶液は通常、以下の分類の1つまたは複数からの少なくとも1つの構成成分を提供する:(1)通常はグルコースなどの炭水化物の形態のエネルギー源;(2)すべての必須アミノ酸、ならびに通常は基本の20種のアミノ酸およびシステイン;(3)ビタミンおよび/または低濃度で必要な他の有機化合物;(4)遊離脂肪酸または脂質、たとえばリノール酸;(5)微量元素(微量元素とは、典型的には非常に低い濃度、通常はマイクロモル濃度の範囲で必要な、無機化合物または天然に存在する要素として定義される)。栄養液には、以下の分類のうちの任意のものからの1つまたは複数の構成成分を随意で添加することができる:(1)血清、インスリン、トランスフェリン、および表皮成長因子などのホルモンおよび他の成長因子;(2)塩、たとえば、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびリン酸塩;(3)HEPESなどのバッファー;(4)アデノシン、チミジン、およびヒポキサンチンなどのヌクレオシドおよび塩基;(5)タンパク質および組織加水分解物、たとえば、精製ゼラチン、植物材料、または動物副産物から得ることができるペプトンまたはペプトン混合物;(6)ゲンタマイシンなどの抗生物質;(7)細胞保護剤、たとえばプルロニックポリオール;(8)ガラクトース。
本明細書中で使用する用語「接種」とは、培養を開始するために細胞を培地に加えることをいう。
本明細書中で使用する用語、細胞培養の「増殖期」とは、細胞が主に迅速に分裂する指数関数的な細胞増殖の期間(たとえば対数期)をいう。この期間中、生細胞密度の増加速度は任意の他の時点よりも高い。
本明細書中で使用する用語、細胞培養の「産生期」とは、細胞増殖が静止している、またはほぼ一定レベルに保たれている期間をいう。生細胞密度は所定の期間にわたってほぼ一定にとどまる。対数細胞増殖は終わっており、タンパク質産生が産生期の主な活動である。タンパク質産生の持続を支援するために、および所望の糖タンパク質生成物を得るために、この時点で一般的に培地を補充する。
本明細書中で使用する用語「発現」または「発現する」とは、細胞内で起こる転写および翻訳をいうために用いる。宿主細胞中の遺伝子産物の発現レベルは、細胞中に存在するmRNAに対応する量もしくは細胞によって産生される遺伝子産物によってコードされているタンパク質の量、または両方に基づいて決定することができる。
本明細書中で使用する「グリコシル化」とは、ポリペプチド鎖内の特異的部位でタンパク質に複合オリゴ糖構造を付加することをいう。タンパク質のグリコシル化および続く付加した炭水化物プロセシングは、タンパク質の折り畳みおよび構造、タンパク質半減期を含めたタンパク質安定性、ならびにタンパク質の機能的特性に影響を与えることができる。タンパク質のグリコシル化は、修飾が起こる配列の状況によって2つのクラス、すなわちO結合型グリコシル化およびN結合型グリコシル化に分類することができる。O結合型多糖類は、ヒドロキシル基、通常はセリンまたはスレオニン残基のどちらかのヒドロキシル基に連結している。O−グリカンはすべてのセリンおよびスレオニン残基には付加されない。O結合型オリゴ糖は通常一または二分岐である、すなわち、これらは1つまたは最大2つの分枝鎖(アンテナ)を含み、1つずつ付加される1〜4種類の異なる糖残基を含む。N結合型多糖類は、アスパラギンのアミド窒素に付着している。2つのトリペプチド配列の一方、すなわちアスパラギン−X−セリンまたはアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)のどちらかの一部であるアスパラギンのみが、グリコシル化の標的である。N結合型オリゴ糖は、一分岐、二分岐、三分岐、四分岐と呼ばれる1〜4つの分枝鎖を有することができる。N結合型およびO結合型オリゴ糖の構造およびそれら中に見つかる糖残基は異なる。その違いにもかかわらず、N結合型およびO結合型多糖の双方のそれぞれの分枝鎖上の末端残基をシアル酸分子によって修飾することができ、これはシアル酸キャッピングと呼ばれる修飾である。シアル酸とは、独特な9個の炭素の単糖ファミリーの一般名であり、他のオリゴ糖と連結することができる。2つのファミリーメンバーは、Neu5AcまたはNANAと略記されるN−アセチルノイラミン酸、およびNeu5GcまたはNGNAと略記されるN−グリコリルノイラミン酸である。ヒトにおけるシアル酸の最も一般的な形態はNANAである。N−アセチルノイラミン酸(NANA)は、CTLA4−Ig分子中に存在する主なシアル酸種である。しかし、微量であるが検出可能なレベルのNグリコリルノイラミン酸(NGNA)もCTLA4−Ig分子中に存在することに留意されたい。さらに、本明細書中に記載の方法を用いてNANAおよびNGNAのどちらのシアル酸モル数も決定することができ、したがって、NANAおよびNGNAのどちらのレベルも、CTLA4−Ig分子について決定および報告されている。N結合型およびO結合型オリゴ糖は異なる数の分枝鎖を有し、これにより、シアル酸分子が付着することができる位置が異なる数で提供される。N結合型オリゴ糖は4つまでのシアル酸の付着位置を提供することができ、一方で、O結合型オリゴ糖はシアル酸の付着に2つの部位を提供することができる。
本明細書中で使用する用語「大スケールプロセス」は、用語「工業スケールプロセス」と互換性があるように使用することができる。さらに、用語「培養容器」は、「バイオリアクター」、「反応器」および「タンク」と互換性があるように使用することができる。
本明細書中で使用する語句「使用溶液」とは、方法で用いる溶液をいう。使用溶液の非限定的な例にはバッファーが含まれる。
本明細書中で使用する「基準物質」とは、方法中で標準として用いる物質をいう。たとえば、基準物質を、実験試料を比較する標準として用いることができる。
物質の量の範囲に関して下限を提供していない場合は、そのような物質が存在しないことも企図される。
細胞培養物に関して本明細書中で使用する言及した温度は、バイオリアクターの温度を制御する装置の温度設定をいう。もちろん、液体培養物自体の温度は、バイオリアクターの温度を制御する装置で設定した温度となる。インキュベータ内の棚上で維持する細胞培養物を指す場合は、温度とはインキュベータの棚温度を指す。
本発明の非限定的な実施形態
本発明は、CTLA4−Ig分子の組成物およびCTLA4A29YL104E−Igなどの突然変異CTLA4−Ig分子の組成物を提供する。本発明は、特定量の細菌内毒素、汚染微生物数、特定の範囲内のpI(もしくは特定の範囲のpI内の特定のIEFバンド)、特定量の単量体(単鎖)、二量体もしくは高分子量種(四量体など)、特定のトリプシンペプチドプロフィール、SDS−PAGE上の主要なバンドのある組、特定のDNA含有率、特定の最大値を超えない量のMCP−1、特定の最大値を超えない量の細胞タンパク質、特定の最大値を超えない量のTritonX−100、特定の最大値を超えない量のタンパク質A、特定のN結合型炭水化物プロフィール、特定のアミノ単糖組成物(GlcNac、GalNAc)、特定の中性単糖組成物(ガラクトース、フコース、マンノース)、特定量のB7結合、IL−2阻害細胞アッセイにおける特定量の活性、および/または特定のシアル酸組成(NANA、NGNA)などの特定の特徴を有する組成物を提供し、それぞれの場合で、前記特定量は範囲または複数の範囲であることができる。本発明は、前述の特徴の任意の1つ、または前述の特徴の複数を有する組成物から、前述の特徴のすべてを任意かつすべての可能な順列または組合せが含まれるものまでを提供する。本発明には、単離もしくは実質的に精製した形態、または単離していないもしくは実質的に精製していない形態の、本発明の組成物すべてが含まれる。本発明は、医薬組成物である組成物を提供する。
一態様では、本発明は、CTLA4−Ig分子の単離した集団を含む組成物を液体培地から得る方法であって、前記培地がCTLA4−Ig分子の初期集団を含み、(1)初期集団のCTLA4−Ig分子が1つまたは複数のシアル酸残基を有し、(2)CTLA4−Ig分子1個あたりのシアル酸残基の数が初期集団内で異なり、(3)初期集団がCTLA4−Ig二量体および高分子量凝集体を含み、前記方法は(a)CTLA4−Ig分子を発現している哺乳動物細胞の培養物から液体培地を収集する工程と;(b)CTLA4−Ig分子を細胞成分から分離する工程と;(c)CTLA4−Ig二量体をCTLA4−Ig高分子量凝集体から分離する工程と;(d)CTLA4−Ig分子を2つ以上の画分に分離する工程であって、少なくとも1つの画分のシアル酸対CTLA4−Ig分子のモル比は少なくとも1つの他の画分よりも大きい工程とを含み、工程(b)、(c)および(d)を同時にまたは任意の順序で実施して、前記組成物を得る方法を対象とする。
本発明の方法の一実施形態では、工程(a)の収集は、液体培養物の可溶性画分を得ることを含む。別の実施形態では、本方法の工程(c)および(d)は、カラムクロマトグラフィーを使用して異なるシアル酸含有率を有するCTLA4−Ig分子の画分を得ることを含む。さらに別の実施形態では、本方法は、カラムクロマトグラフィーを使用して、組成物中のMCP−1の含有率を低下させることをさらに含む。
本発明の方法の一部の実施形態では、CTLA4−Ig分子は、配列番号2、5、6、7、8、9、または10を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。他の実施形態では、CTLA4−Ig分子は、配列番号4、11、12、13、14、15または16を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。
本発明の方法の一部の実施形態では、より大きなシアル酸対CTLA4−Ig分子のモル比を有する(d)の画分は約8〜約14のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比を示す。具体的な実施形態では、平均モル比は約8〜約11、約8〜約10、または約8〜約9である。
本発明は、(i)CTLA4−Ig分子を含む組成物を産生する哺乳動物細胞を含む液体培養物の可溶性画分を得る工程と;(ii)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出された組成物を得る工程と;(iii)工程(ii)の組成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮された組成物を得る工程と;(iv)(iii)の組成物をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含むさらに濃縮された組成物を得る工程と;(v)(iv)の組成物を陰イオン交換クロマトグラフィー供する工程とを含む、CTLA4−Ig分子を単離する方法を提供する。一実施形態では、工程(ii)で得られた組成物は、(a)CTLA4Ig分子1モルあたりのNANAが平均6.0〜10.1モルであり;(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が25.7面積%以下であることによって特徴づけられている。別の実施形態では、工程(iii)で得られた組成物は、(a)CTLA4Ig分子1モルあたりのNANAが平均6.8〜11.4モルであり;(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.5面積%以下であることによって特徴づけられている。さらなる実施形態では、工程(iv)で得られた組成物は、(a)CTLA4−Ig分子1モルあたりのNANAが平均8.0〜11.0モルであり;(b)CTLA4−Ig高分子量種が2.5面積%以下であることによって特徴づけられている。別の実施形態では、工程(v)で得られた組成物は、(a)CTLA4−Ig分子1モルあたりのNANAが平均8.0〜11.9モルであり;(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出(SPD)によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.0面積%以下であることによって特徴づけられている。一実施形態では、SPDの一例はA280nmのものであることができる。
本発明はまた、(i)CTLA4−Ig分子を産生する哺乳動物細胞を含む液体培養物の可溶性画分を得る工程と、任意の順序の、(ii)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(iii)可溶性画分を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(iv)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(v)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程とを含む、CTLA4−Ig分子の組成物を単離する方法も提供する。別の態様では、本発明は、(i)CTLA4−Ig分子を産生する哺乳動物細胞を含む液体培養物の可溶性画分を得る工程と;(ii)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出された組成物を得る工程と;(iii)工程(ii)のタンパク質生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮された組成物を得る工程と;(iv)(iii)のタンパク質生成物をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含むさらに濃縮された組成物を得る工程と;(v)(iv)のタンパク質生成物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む組成物を単離する工程とを含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を単離する方法を提供する。
一実施形態では、本方法の工程(ii)で得られたCTLA4−Ig分子を含む組成物は、(a)NANA対CTLA4Ig分子の平均モル比が6.0〜10.1であり、(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.5面積%以下であることによって特徴づけられている。別の実施形態では、本方法の工程(iii)で得られたCTLA4−Ig分子を含む組成物は、(a)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が約2.5面積%未満であり、(b)細胞タンパク質が約95ng/ml未満であり、(c)MCP−1が約5ppm未満であることによって特徴づけられている。さらなる実施形態では、本方法の工程(iii)で得られたCTLA4−Ig分子を含む組成物は、(a)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が6.8〜11.4であり、(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.5面積%以下であることによって特徴づけられている。さらなる実施形態では、本方法の工程(iv)で得られたCTLA4−Ig分子を含む組成物は、(a)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が8.0〜11.0であり、(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.5面積%以下であることによって特徴づけられている。さらに別の実施形態では、本発明の工程(iii)で得られた組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.5%面積%未満であることによって特徴づけられている。さらに別の実施形態では、本方法の工程(v)のCTLA4−Ig分子を含むタンパク質組成物は、(a)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が8.0〜11.9であり、(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が2.0面積%以下であることによって特徴づけられている。
別の態様では、本発明はまた、(i)CTLA4−Ig分子を産生する哺乳動物細胞を含む液体培養物の可溶性画分を得る工程と、任意の順序の、(ii)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(iii)可溶性画分を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(iv)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(v)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程とを含み、工程(iii)で得られた組成物が、CTLA4−Ig高分子量種の割合が約2.5面積%未満であり、細胞タンパク質の割合が95ng/ml未満であり、MCP−1の割合が約5ppm未満であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の組成物を単離する方法も提供する。
さらに別の態様では、本発明は、(i)CTLA4−Ig分子を産生する哺乳動物細胞を含む液体培養物の可溶性画分を得る工程と、任意の順序の、(ii)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(iii)可溶性画分を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(iv)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程と;(v)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む濃縮かつ溶出された組成物を得る工程とを含み、工程(iii)で得られた組成物が、CTLA4−Ig高分子量種の割合が約2.5面積%未満であり、細胞タンパク質の割合が95ng/ml未満であり、MCP−1の割合が約5ppm未満であり、NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8.0〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の組成物を単離する方法を提供する。
一実施形態では、本方法の工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約75mMのHEPESおよび約360mMのNaClを含み、pHが約8.0の洗浄バッファーを用いて実施する。別の実施形態では、本発明の工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約850mMのNaClを含み、pHが約7.0の溶出バッファーを用いて実施する。さらなる実施形態では、本方法の工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約850mMのNaClを含み、pHが約7.0の単一の洗浄バッファーを用いて実施する。さらなる実施形態では、本方法の工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、約25mMのトリスおよび約250mMのNaClを含み、pHが約8.0の洗浄バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、本方法の工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、約100mMのグリシンを含み、pHが約3.5の溶出バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、本方法の工程(v)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約120mMのNaCl〜約130mMのNaClを含み、pHが約8.0の洗浄バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、本方法の工程(v)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約200mMのNaClを含み、pHが約8.0の溶出バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、本方法の工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、第一級、第二級、第三級、または第四級アミン官能基を含む陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて実施する。具体的な実施形態では、樹脂は第四級アミン官能基を含む。さらに別の実施形態では、本方法の工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を含む疎水性相互作用樹脂を用いて実施する。具体的な実施形態では、官能基はフェニル官能基を含む。さらに別の実施形態では、本方法の工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、タンパク質Aを含むアフィニティークロマトグラフィー樹脂を用いて実施する。
さらに別の態様では、本発明は、CTLA4−Ig分子を液体細胞培養物から精製することを含み、精製したCTLA4−Ig組成物が、(a)1mgのCTLA4−Ig分子あたりに医薬上許容される量のMCP−1と、(b)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定して2.5面積%未満のCTLA4−Ig高分子量種とを含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を調製する方法を提供する。一実施形態では、医薬上許容されるMCP−1の量は約40〜約0.5ng/mgのCTLA4−Ig分子を含む。別の実施形態では、医薬上許容されるMCP−1の量は約35〜約0.5ng/mgのCTLA4−Ig分子を含む。さらなる実施形態では、医薬上許容されるMCP−1の量は約10〜約0.5ng/mgのCTLA4−Ig分子を含む。さらなる実施形態では、本方法の工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、溶出されたタンパク質生成物中のMCP−1を減少させることができる樹脂を含むカラムを用いて実施する。さらに別の実施形態では、本方法の工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、疎水性相互作用樹脂を用いて実施し、樹脂は、(a)CTLA4−Ig二量体をCTLA4−Ig高分子量種から分離すること;(b)溶出されたCTLA4−Ig分子のシアル酸含有率を増加させること;または(c)(a)および(b)両方を行う能力を有する。さらに別の実施形態では、工程(ii)もしくは工程(iv)の陰イオン交換クロマトグラフィー、または両方は、陰イオン交換樹脂を用いて実施し、樹脂は、(a)溶出された組成物のCTLA4−Ig高分子量凝集体の含有率を減少させること;(b)溶出された組成物のシアル酸含有率を増加させること;または(c)(a)および(b)両方を行う能力を有する。
別の態様では、本発明は、(i)CTLA4−Ig分子を産生する哺乳動物細胞を含む液体培養物の可溶性画分を得る工程と、任意の順序の;(ii)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出された組成物を得る工程と;(iii)可溶性画分を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出かつ濃縮された組成物を得る工程と;(iv)可溶性画分を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出かつ濃縮された組成物を得る工程とを含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を単離する方法を提供する。一実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー工程を最初に行う。別の実施形態では、本方法の工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、タンパク質Aを含む樹脂を用いて実施する。さらなる実施形態では、工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、グアニジンを含む溶出バッファーを用いて実施する。さらなる実施形態では、工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、尿素を含む溶出バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーによりCTLA4−Ig分子を含む溶出された組成物中のCTLA4−Ig二量体の増加がもたらされる。
さらに別の態様では、本発明は、(i)収集した液体の可溶性画分を得る工程と;(ii)可溶性画分をアフィニティークロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出された組成物を得る工程と;(iii)工程(ii)の組成物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含む溶出かつ濃縮された組成物を得る工程と;(iv)工程(iii)の組成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、CTLA4−Ig分子を含むさらに濃縮された組成物を得る工程とを含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を哺乳動物細胞培養物から収集した液体から単離し、細胞がCTLA4−Ig分子を産生する方法を提供する。一実施形態では、本方法の工程(iv)で得られた組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定された高分子量種の割合が約2.5面積%未満であり、細胞タンパク質の割合が約95ng/ml未満であり、MCP−1の割合が約5ppm未満であることによって特徴づけられている。別の実施形態では、工程(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約50mMのHEPESおよび約135mMのNaClを含み、pHが約7の洗浄バッファーを用いて実施する。さらなる実施形態では、工程(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約50mMのHEPESおよび約200mMのNaClを含み、pHが約7の溶出バッファーを用いて実施する。具体的な実施形態では、工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を含む疎水性相互作用樹脂を用いて実施する。さらなる実施形態では、工程(iv)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、約50mMのHEPESおよび約1.2Mの(NH4)2SO4を含み、pHが約7の洗浄バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、約25mMのNaH2PO4および約150mMのNaClを含み、pHが約7.5の洗浄バッファーを用いて実施する。さらに別の実施形態では、工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、約250mMのグリシンを含み、pHが約3の溶出バッファーを用いて実施する。別の実施形態では、工程(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、第一級、第二級、第三級、または第四級アミン官能基を含む陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて実施する。具体的な実施形態では、樹脂は第四級アミン官能基を含む。
一実施形態では、工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を含む疎水性相互作用樹脂を用いて実施する。一実施形態では、官能基はフェニル官能基を含む。一実施形態では、工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、タンパク質Aを含む樹脂を用いて実施する。本発明は、本発明の方法のいずれかによって得られたCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、配列番号2、5、6、7、8、9または10を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。一実施形態では、組成物は、配列番号4、11、12、13、14、15または16を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。本発明は、配列番号17の核酸配列を有するCTLA4−Ig発現プラスミドを提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Igタンパク質の平均モル比が約5.5〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5〜約10である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約12である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約11である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約7〜約12である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約7〜約11である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約12〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約13〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約14〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約17である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約16である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約10である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。一実施形態では、シアル酸はN−アセチルノイラミン酸(NANA)である。本発明は、CTLA4−Ig分子のNANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約12である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.5以下である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のNGNA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約0.5〜約1.5である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のNGNA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.0〜約1.5である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。
本発明は、分子のそれぞれのポリペプチドが配列番号11、12、13、14、15または16の配列を含み、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子1モルあたりのシアル酸のモル比を酸加水分解およびHPLCによって決定する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子は、配列番号2、5、6、7、8、9または10を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。
一実施形態では、CTLA4−Ig分子は、配列番号4、11、12、13、14、15または16を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。本発明は、CTLA4−Ig分子の95%以上がCTLA4−Ig二量体である、CTLA4−Ig分子を含む実質的に精製した組成物を提供する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の98%以上がCTLA4−Ig二量体である。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の99%以上がCTLA4−Ig二量体である。
一実施形態では、CTLA4−Ig分子の99.5%以上がCTLA4−Ig二量体である。一実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の約95%〜約99.5%がCTLA4−Ig二量体であり、分子の約0.5面積%〜約5面積%がCTLA4−Ig高分子量種である。一実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定された分子の約98.6%がCTLA4−Ig二量体であり、分子の約1.2面積%がCTLA4−Ig高分子量種であり、分子の約0.7面積%未満がCTLA4−Ig単量体である。一実施形態では、分子の0.3%未満が5個以上のCTLA4−Ig単量体を含む多量体である。本発明は、本質的にCTLA4−Ig二量体からなる組成物を提供する。本発明は、集団がCTLA4−Ig単量体を実質的に含まない、本質的にCTLA4−Ig分子からなる組成物を提供する。本発明は、集団がCTLA4−Ig高分子量種を実質的に含まない、本質的にCTLA4−Ig分子からなる組成物を提供する。本発明は、本質的にCTLA4−Ig単量体からなり、CTLA4−Ig二量体および高分子量種を実質的に含まない組成物を提供する。一実施形態では、それぞれのCTLA4−Ig二量体のそれぞれの単量体は、少なくとも3個のシアル酸基を有する。一実施形態では、それぞれのCTLA4−Ig二量体のそれぞれの単量体は、少なくとも2.5個のシアル酸基を有する。一実施形態では、それぞれのCTLA4−Ig二量体のそれぞれの単量体は、少なくとも3個のシアル酸基〜少なくとも8個のシアル酸基を有する。
一実施形態では、それぞれのCTLA4−Ig二量体のそれぞれの単量体は、少なくとも2.5個のシアル酸基〜少なくとも5個のシアル酸基を有する。一実施形態では、それぞれの二量体は、2個のCTLA4−Igポリペプチドを含み、それぞれのポリペプチドは配列番号5〜16からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。一実施形態では、組成物は、配列番号2、5、6、7、8、9または10を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。一実施形態では、組成物は、配列番号4、11、12、13、14、15または16を有する1つまたは複数のポリペプチドを含む。本発明は、CTLA4−Ig二量体を実質的に含まない、CTLA4−Ig四量体を含む単離した組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig単量体を実質的に含まない、CTLA4−Ig四量体を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、組成物は約100グラムを超える量として存在する。一実施形態では、それぞれの四量体は、2対のCTLA4−Igポリペプチドを含み、それぞれのポリペプチドは配列番号5〜10からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。一実施形態では、それぞれの四量体は、2対のCTLA4−Igポリペプチドを含み、それぞれのポリペプチドは配列番号11〜16からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。一実施形態では、それぞれの四量体は、CD80またはCD86と結合することができる。本発明は、MCP−1を実質的に含まない、CTLA4−Ig分子を含む医薬上許容される組成物を提供する。本発明は、約25ppmを超えないMCP−1を含む、CTLA4−Ig分子を含む医薬上許容される組成物を提供する。一実施形態では、組成物は10ppmを超えないMCP−1を含む。一実施形態では、組成物は約0.2ng/mlのMCP−1〜約10ng/mlのMCP−1を含む。一実施形態では、本発明は、(a)約0.2ng/mlのMCP−1〜約10ng/mlのMCP−1および(b)25ng/mlを超えないCHOタンパク質または10ng/mlを超えないCHOタンパク質を含む、CTLA4−Ig分子を含む医薬上許容される組成物を提供する。一実施形態では、組成物は約20pg/mlを超えないDNAを含む。
本発明は、約10mg/kgの静脈内用量で対象に投与した場合にCTLA4−Ig分子が、曲線下面積(AUC)、約44400μg.h/ml;分布容量、約0.09L/kg;ピーク濃度(Cmax)、約292μg/ml;クリアランス速度、約0.23ml/h/kgを示すことができる、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。本発明は、等電点電気泳動によって決定して5.1±0.2以下の等電点、すなわちpIを有する、等電点電気泳動ゲル上で可視化可能なCTLA4−Ig分子の優勢アイソフォームを含む、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、組成物の平均pIはノイラミニダーゼ処理後に増加する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも40%が、等電点電気泳動によって決定して約5.1±0.2以下の等電点を示す。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも70%が、等電点電気泳動によって決定して約5.1±0.2以下の等電点を示す。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも90%が、等電点電気泳動によって決定して約5.1±0.2以下の等電点を示す。本発明は、約3.0±0.2〜約5.0±0.2のpIを有する、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。本発明は、約4.3±0.2〜約5.0±0.2のpIを有する、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。
本発明は、約3.3±0.2〜約4.7±0.2のpIを有する、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、組成物は実質的に精製されている。本発明は、約3.0±0.2〜約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を調製する方法であって、(a)CTLA4−Ig分子の混合物を等電点ゲル電気泳動に供する工程であって、ゲル上の単一のバンドが特定のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を表す工程と、(b)約3.0±0.2〜約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を単離して組成物を調製する工程とを含む方法を提供する。本発明は、等電点電気泳動によって決定して5.5±0.2以下の等電点、すなわちpIを有する、等電点電気泳動ゲル上で可視化可能な優勢アイソフォームを含む、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、組成物の平均pIはノイラミニダーゼ処理後に増加する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも40%が、等電点電気泳動によって決定して約5.3±0.2以下の等電点を示す。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも70%が、等電点電気泳動によって決定して約5.3±0.2以下の等電点を示す。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも90%が、等電点電気泳動によって決定して約5.3±0.2以下の等電点を示す。本発明は、約3.0±0.2〜約5.2±0.2のpIを有する、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。
本発明は、約4.5±0.2〜約5.2±0.2のpIを有する、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。本発明は、約4.7±0.2〜約5.1±0.2のpIを有する、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、組成物は実質的に精製されている。
本発明は、(a)CTLA4−Ig分子の混合物を等電点ゲル電気泳動に供する工程であって、ゲル上の単一のバンドが特定のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を表す工程と、(b)約3.0±0.2〜約5.2±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を単離して組成物を調製する工程とを含む、約2.0±0.2〜約5.2±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を調製する方法を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約17〜約28であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約17〜約25であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、分子のそれぞれのポリペプチドが配列番号11、12、13、14、15または16の配列を含み、CTLA4−Ig分子が、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約24〜約28であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、分子のそれぞれのポリペプチドが配列番号11、12、13、14、15または16の配列を含み、CTLA4−Ig分子が、GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約2.7〜約3.6であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子が、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、分子のそれぞれのポリペプチドが配列番号11、12、13、14、15または16の配列を含み、CTLA4−Ig分子が、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約3.5〜約8.3であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、分子のそれぞれのポリペプチドが配列番号11、12、13、14、15または16の配列を含み、CTLA4−Ig分子が、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6.4〜約7.0であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約7.7〜約22であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、分子のそれぞれのポリペプチドが配列番号11、12、13、14、15または16の配列を含み、CTLA4−Ig分子が、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約14〜約16であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
一実施形態では、GlcNAc対CTLA4−Ig分子のモル比をキャピラリー電気泳動によって決定する。一実施形態では、GalNAc対CTLA4−Ig分子のモル比をキャピラリー電気泳動によって決定する。一実施形態では、ガラクトース対CTLA4−Ig分子のモル比をキャピラリー電気泳動によって決定する。
一実施形態では、フコース対CTLA4−Ig分子のモル比をキャピラリー電気泳動によって決定する。一実施形態では、マンノース対CTLA4−Ig分子のモル比をキャピラリー電気泳動によって決定する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子が1つまたは複数の炭水化物と分子との酵素的結合によって得られる。本発明は、分子が、インビトロで酵素的に分子と結合した炭水化物残基を含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(d)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(d)フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(d)フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約7.2〜約22であり;(f)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約24〜約28であり;(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約24〜約28であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約2.7〜約3.6であり;(c)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約24〜約28であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約2.7〜約3.6であり;(c)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(d)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約24〜約28であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約2.7〜約3.6であり;(c)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(d)フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6.4〜約7.0であり;(e)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約24〜約28であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約2.7〜約3.6であり;(c)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(d)フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6.4〜約7.0であり;(e)マンノース対CTLA4−Igタンパク質の平均モル比が約14〜約16であり;(f)シアル酸対CTLA4−Igタンパク質の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子が、配列番号2もしくは4の位置102のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号2もしくは4の位置134のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号2もしくは4の位置233のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号2もしくは4の位置155のセリンアミノ酸残基、または配列番号2もしくは4の位置165のセリンアミノ酸残基でグリコシル化されている、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子がグリコシル化されており、グリコシル化の全質量の少なくとも約2%がO結合型グリコシル化である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、約9.6±0.3のNGNAクロマトグラムピークおよび約10.5±0.3のNANAクロマトグラムピークを示す、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が図68と実質的に同じ炭水化物プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA−Ig分子が図68に示す炭水化物プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子がドメインI〜IVの炭水化物プロフィールを示し、ドメインIがa−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインIIがモノ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインIIIがジ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインIVがトリ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインVがテトラ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、プロフィールとは、CTLA4−Igから放出されるオリゴ糖のクロマトグラムである、本質的にCTLA4−Ig分子からなる組成物を提供する。一実施形態では、ドメインI中の最初のピークとドメインII中の主要ピークとの間のN結合型オリゴ糖の保持時間の差は約10〜約12分である。一実施形態では、ドメインI中の最初のピークとドメインII中の主要ピークとの間のN結合型オリゴ糖の保持時間の差は約11〜約13分である。一実施形態では、ドメインIIIおよびIVのグリコシル化は、HPAECによって測定して約25%〜約36%のN結合型グリコシル化を含む。一実施形態では、ドメインIのグリコシル化は、HPAECによって測定して約24.5%〜約35.2%のN結合型グリコシル化を含む。一実施形態では、ドメインIIのグリコシル化は、HPAECによって測定して約26.3%〜約34.1%のN結合型グリコシル化を含む。一実施形態では、ドメインIIIのグリコシル化は、HPAECによって測定して約21.9%〜約31.5%のN結合型グリコシル化を含む。一実施形態では、ドメインIVおよびドメインVのグリコシル化は、HPAECによって測定して約7.9%〜約18.6%のN結合型グリコシル化を含む。
一実施形態では、(a)ドメインIが少なくとも約31の面積%を示すか;(b)ドメインIIが少なくとも約33の面積%を示すか;(c)ドメインIIIが少なくとも約24の面積%を示すか;(iv)ドメインIVが少なくとも約9.4の面積%を示すか;(v)ドメインVが少なくとも約67の面積%を示すか;または、面積はCTLA4−Igから放出されるオリゴ糖のクロマトグラムから測定する。
一実施形態では、(a)ドメインIが少なくとも約5個のピークを示すか;(b)ドメインIIが少なくとも約5個のピークを示すか;(c)ドメインIIIが少なくとも約5個のピークを示すか;(d)ドメインIVが少なくとも約6個のピークを示すか;または(e)ドメインVが少なくとも約6個のピークを示し、ピークはクロマトグラム上に示される。第1のピークの最小面積が約4.5%であり、最大面積が約11.2%であり、第2のピークの最小面積が約8.7%であり、最大が約11.8%である、少なくとも2つのピークをドメインIが示す組成物。
一実施形態では、ドメインIIIおよびIVは、HPAECによって測定して約25%〜約36%の面積%を示す。一実施形態では、ドメインIは、HPAECによって測定して約24.5%〜約35.2%の面積%を示す。一実施形態では、ドメインIIは、HPAECによって測定して約26.3%〜約34.1%の面積%を示す。一実施形態では、ドメインIIIは、HPAECによって測定して約21.9%〜約31.5%の面積%を示す。一実施形態では、ドメインIVは、HPAECによって測定して約7.9%〜約18.6%の面積%を示す。
本発明は、(a)ポリペプチドの約80%が二分岐のN結合型グリコシル化を有し;(b)ポリペプチドの約14%が三分岐のN結合型グリコシル化を有し;(c)ポリペプチドの約6%が四分岐のN結合型グリコシル化を有する、CTLA4−Igポリペプチドを含む組成物を提供する。一実施形態では、N結合型グリコシル化を、パルスアンペロメトリック検出を備えた高pH陰イオン交換クロマトグラフィー(HPEAC−PAD)によって決定する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(b)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、
(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(b)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種の面積%が約3%未満であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(b)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(c)NGNA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.5以下であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(b)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量凝集体の含有率が約3面積%未満であり;(d)炭水化物プロフィールが図68と実質的に同じであることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(b)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量凝集体の含有率が約3面積%未満であり;(d)HPAECによって決定されるドメインIII、IVおよびV中のグリコシル化の含有率が少なくとも約29.8%〜約50.1%のN結合型グリコシル化であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(b)NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定してCTLA4−Ig高分子量種が約3面積%未満であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、分子は、NANA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約12であることによってさらに特徴づけられている。
一実施形態では、分子は、(a)約80%の二分岐のN結合型グリコシル化;(b)約14%の三分岐のN結合型グリコシル化;および(c)約6%の四分岐のN結合型グリコシル化によってさらに特徴づけられている。一実施形態では、分子は、(a)配列番号10のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);(b)配列番号7のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置383のリシン);(c)配列番号9のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);ならびに(d)配列番号6のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置383のリシン)の1つまたは複数の任意の組合せをさらに含む。一実施形態では、(a)分子の約90%が、残基27のメチオニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)分子の約10%が、残基番号26のアラニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(c)分子の約4%が、残基番号383のリシンで終わる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(d)分子の約96%が、残基番号382のグリシンで終わる配列番号2のアミノ酸配列を含む。本発明は、(a)ポリペプチドの約80%が二分岐のN結合型グリコシル化を有し;(b)ポリペプチドの約14%が三分岐のN結合型グリコシル化を有し;(c)ポリペプチドの約6%が四分岐のN結合型グリコシル化を有し;(d)NGNA対CTLA4−Ig分子の平均モル比が1.5以下である、CTLA4−Igポリペプチドを含む組成物を提供する。本発明は、(a)ポリペプチドの約80%が二分岐のN結合型グリコシル化を有し;(b)ポリペプチドの約14%が三分岐のN結合型グリコシル化を有し;(c)ポリペプチドの約6%が四分岐のN結合型グリコシル化を有し;(d)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35である、CTLA4−Igポリペプチドを含む組成物を提供する。本発明は、(a)ポリペプチドの約80%が二分岐のN結合型グリコシル化を有し;(b)ポリペプチドの約14%が三分岐のN結合型グリコシル化を有し;(c)ポリペプチドの約6%が四分岐のN結合型グリコシル化を有し;(d)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6である、CTLA4−Igポリペプチドを含む組成物を提供する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種が約5面積%未満であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり、
(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種の含有率が約5面積%未満であり;(d)炭水化物プロフィールが図68と実質的に同じであることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が5.5〜約9.5であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種の含有率が約5面積%未満であり;(d)HPAECによって決定されるドメインIII、IVおよびV中のグリコシル化の含有率が少なくとも約29.8%〜約50.1%のN結合型グリコシル化であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、(a)ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約11〜約13であり;(b)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5.5〜約9.5であり;(c)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig高分子量種の含有率が約5面積%未満であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、分子は、(a)約80%の二分岐のN結合型グリコシル化;(b)約14%の三分岐のN結合型グリコシル化;および(c)約6%の四分岐のN結合型グリコシル化によってさらに特徴づけられている。別の実施形態では、分子は、(a)配列番号16のアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);(b)配列番号13のアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置383のリシン);(c)配列番号15のアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);ならびに(d)配列番号12のアミノ酸配列(配列番号4のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置383のリシン)の1つまたは複数の任意の組合せをさらに含む。別の実施形態では、(a)分子の約90%が、残基27のメチオニンから始まる配列番号4のアミノ酸配列を含み;(b)分子の約10%が、残基番号26のアラニンから始まる配列番号4のアミノ酸配列を含み;(c)分子の約4%が、残基番号383のリシンで終わる配列番号4のアミノ酸配列を含み;(d)分子の約96%が、残基番号382のグリシンで終わる配列番号4のアミノ酸配列を含む。本発明は、(a)ポリペプチドの約80%が二分岐のN結合型グリコシル化を有し;(b)ポリペプチドの約14%が三分岐のN結合型グリコシル化を有し;(c)ポリペプチドの約6%が四分岐のN結合型グリコシル化を有し;(d)CTLA4−Igタンパク質1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約24〜約28である、CTLA4−Igポリペプチドを含む組成物を提供する。本発明は、(a)ポリペプチドの約80%が二分岐のN結合型グリコシル化を有し;(b)ポリペプチドの約14%が三分岐のN結合型グリコシル化を有し;(c)ポリペプチドの約6%が四分岐のN結合型グリコシル化を有し;(d)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約2.7〜約3.6である、CTLA4−Igポリペプチドを含む組成物を提供する。別の実施形態では、組成物は実質的に精製した組成物である。本発明は、CTLA4−Ig分子の約2.5%以下が酸化されている、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子の約2.0%以下が脱アミド化されている、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig二量体分子の少なくとも0.5%がシステイン化されている、CTLA4−Ig二量体分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、CTLA4−Ig二量体分子の少なくとも1.0%がシステイン化されている。本発明は、集団が図64、65または67と実質的に同じ質量分析プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、集団が図48と実質的に同じキャピラリー電気泳動プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
本発明は、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)ガルカトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(d)フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約7.2〜約22であり;(f)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(g)等電点電気泳動ゲル上での可視化によって決定されたpIが約2.4±0.2〜約5.0±0.2の範囲であり;(h)MCP−1が3ppm以下であり;(i)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定された高分子量種が2.5面積%未満であり;(j)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定された単量体が0.5面積%未満であり;(k)CTLA4−Igポリペプチドが配列番号5〜10のいずれかと少なくとも95%同一のアミノ酸を有し;(l)CTLA4−Ig分子がCD80およびCD86と結合することができることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、分子の集団が、(a)GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約15〜約35であり;(b)GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)ガルカトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約8〜約17であり;(d)フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約7.2〜約22であり;(f)シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約12であり;(g)等電点電気泳動ゲル上での可視化によって決定されたpIが約3.4±0.2〜約5.0±0.2の範囲であり;(h)MCP−1が5ppm以下であり;(i)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定された高分子量種が2.5面積%未満であり;(j)サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定された単量体が0.5面積%未満であり;(k)CTLA4−Igポリペプチドが配列番号5〜10のいずれかと少なくとも95%同一のアミノ酸を有し;(l)CTLA4−Ig分子がCD80およびCD86と結合することができることによって特徴づけられているCTLA4−Ig分子を含む組成物;またはその医薬的な等価物を提供する。
本発明は、免疫原性の発生率が7.4%以下である、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性の発生率は約2.1%〜約7.4%である。一実施形態では、免疫原性の発生率は3.7%以下である。一実施形態では、免疫原性の発生率は3.0%以下である。一実施形態では、免疫原性の発生率は約2.8%〜約3.0%である。本発明は、組成物をヒトに投与した後、CTLA4−Ig分子と結合する抗体の産生が、ヒトにおいて7.4%以下の発生率で起こる、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、発生率は約2.1%〜約7.4%である。一実施形態では、発生率は3.7%以下である。一実施形態では、発生率は3.0%以下である。一実施形態では、発生率は約2.8%〜約3.0%である。本発明は、組成物をヒトに投与した後、CTLA4−Ig分子のCTLA4部分と結合する抗体の産生が、ヒトにおいて4.9%以下の発生率で起こる、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、発生率は約0.5%〜約4.9%である。一実施形態では、発生率は1.2%以下である。一実施形態では、発生率は1.0%以下である。一実施形態では、発生率は約0.9%〜約1.0%である。一実施形態では、発生率を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で測定する。一実施形態では、発生率を電気化学発光アッセイ(ECL)で測定する。
本発明は、組成物をヒトに投与した後、CTLA4−Ig分子を中和する抗体の産生が、CTLA4−Ig分子のCTLA4部分と結合する抗体を有するヒトの75%以下の発生率で起こる、CTLA4−Ig分子を含む単離した組成物を提供する。一実施形態では、発生率は40〜75%である。一実施形態では、発生率は40%以下である。一実施形態では、発生率を細胞に基づいたルシフェラーゼレポーターアッセイで測定する。
本発明は、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物が、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたり約6.0モル以上のNANAを示した場合に、単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法を提供する。本方法は、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物が、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたり約5.2〜約7.6モルのシアル酸を示した場合に、単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本方法は、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物が液体培養物1mLあたり約33×105個の生細胞〜液体培養物1mLあたり約79×105個の細胞の細胞密度を有する場合に単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本発明はまた、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物中の細胞生存度が約38%を下回らない場合に単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本発明はまた、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物中の細胞生存度が約37%を下回らない場合に単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本方法は、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物のアリコートを評価することによって決定された内毒素が液体培養物の約76.8EU/mL以下である場合に単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本方法は、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物のアリコートを評価することによって決定された内毒素が液体培養物の約4.8EU/mL以下である場合に単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本発明はまた、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、液体培養物のアリコートを評価することによって決定された汚染微生物数が液体培養物1mLあたり1コロニー形成単位未満である場合にのみ単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本発明はまた、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、以下の条件、すなわち(i)液体培養物がCTLA4−Ig二量体もしくはCTLA4−Ig分子1モルあたり約6.0モル以上のNANAを含むこと;(ii)液体培養物が、液体培養物1mLあたり約33×105個の生細胞〜液体培養物1mLあたり約79×105個の生細胞の細胞密度を有すること;(iii)液体培養物中の細胞生存度が約38%を下回らないこと;または(iv)CTLA4−Igタンパク質の収率が液体培養物1リットルあたり約0.5グラムを超えるCTLA4−Igタンパク質であること[ただし、(i)のNANA濃度および(iv)の収率は、液体培養物のアリコートを評価することによって決定すること]のうちの少なくとも2つが満たされている場合にのみ単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。本発明はまた、(a)CTLA4−Igタンパク質を産生する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、液体培養物のアリコートを評価することによって決定してCTLA4−Igタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.5グラムのCTLA4−Igタンパク質の収率で産生されるまで行う工程と;(b)CTLA4−Igタンパク質を少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、以下の条件、すなわち(i)液体培養物がCTLA4−Ig二量体もしくはCTLA4−Ig分子1モルあたり約5.2〜約7.6モルのシアル酸を含むこと;(ii)液体培養物中の細胞生存度が約37%を下回らないこと;または(iii)CTLA4−Igタンパク質の収率が液体培養物1リットルあたり約0.5グラムを超えるCTLA4−Igタンパク質であること[ただし、(i)のシアル酸含有率および(iii)の収率は、液体培養物のアリコートを評価することによって決定する]のうちの少なくとも2つが満たされている場合にのみ単離を行う工程とを含む、CTLA4−Igタンパク質を産生する方法も提供する。
配列:
配列番号1[CTLA4−Igヌクレオチド配列、図1参照]
配列番号2[CTLA4−Igアミノ酸配列、図1参照]
配列番号3[CTLA4
A29YL104E−Igヌクレオチド配列は、図2に示す核酸配列のヌクレオチド79〜1149を含む]
配列番号23は図2に示す完全ヌクレオチド配列である。このヌクレオチド配列には、プロ配列のコード配列が含まれる。
配列番号4[CTLA4
A29YL104E−Igアミノ酸配列、図3、プロ配列なし]
配列番号5[配列番号2のアミノ酸25〜383]
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配列番号6[配列番号2のアミノ酸26〜383]
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配列番号7[配列番号2のアミノ酸27〜383]
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配列番号8[配列番号2のアミノ酸25〜382]
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配列番号9[配列番号2のアミノ酸26〜382]
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配列番号10[配列番号2のアミノ酸27〜382]
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配列番号11[配列番号4のアミノ酸25〜383]
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配列番号12[配列番号4のアミノ酸26〜383]
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配列番号13[配列番号4のアミノ酸27〜383]
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配列番号14[配列番号4のアミノ酸25〜382]
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配列番号15[配列番号4のアミノ酸26〜382]
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配列番号16[配列番号4のアミノ酸27〜382]
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配列番号17
配列番号18[CTLA4細胞外ドメイン配列]
5'-AGAAAAGGGGCTGGAGAGATGGCTCAGTGGTTAAGAGCA-3'
配列番号20〜22
配列番号20−5'-GTACTCAGG
配列番号21−AGTCAGAGAC
配列番号22−CGGCAGATCTCTGTGAGTTTGAGGCCAGCCTGGTCTACAAAGCAAGTT-3'
CTLA4−Igの単量体および多量体
特定の実施形態では、本発明は、配列番号1を含む発現カセットを有する細胞系を提供する(図1A)。そのような発現カセットは、CHO細胞を含めた哺乳動物細胞中で発現させた場合、発現カセットから産生されたタンパク質が、(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、もしくは(iv)配列番号2の27〜382、または所望により(v)配列番号2の25〜382、もしくは(vi)配列番号2の25〜383の残基のアミノ酸配列(図1A)を有することができるような、NおよびC末端変異体の産生をもたらすことができる。これらのタンパク質は、本明細書中で「配列番号2の単量体」、または「配列番号2の配列を有する」単量体と呼ぶことができる。これらの配列番号2の単量体は、二量体の組合せに、たとえば、(i)と(i);(i)と(ii);(i)と(iii);(i)と(iv);(i)と(v);(i)と(vi);(ii)と(ii);(ii)と(iii);(ii)と(iv);(ii)と(v);(ii)と(vi);(iii)と(iii);(iii)と(iv);(iii)と(v);(iii)と(vi);(iv)と(iv);(iv)と(v);(iv)と(vi);(v)と(v);(v)と(vi);および(vi)と(vi)が含まれることができるように、二量体化することができる。これらの様々な二量体の組合せは、互いに会合して四量体CTLA4−Ig分子を形成することもできる。これらの単量体、二量体、四量体、および他の多量体は、本明細書中で「配列番号2のタンパク質」または「配列番号2の配列を有する」タンパク質と呼ぶことができる。細胞系は翻訳後すぐにこれらの変異体を産生することができるが、変異体は、より典型的には細胞内での翻訳後の活動の産物であることができる。細胞系は、CTLA4−Ig分子も分泌する。アバタセプトとは、配列番号2のタンパク質をいう。
CTLA4−Ig分子には、たとえば、CTLA4−Igタンパク質の単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、または他の多量体が含まれることができる。CTLA4−Ig分子は、少なくともCTLA4の細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定常領域と融合したタンパク質を含むことができる。CTLA4−Ig分子は、たとえば、CTLA4細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定常領域の配列に関して、野生型配列または突然変異配列を含むことができる。CTLA4−Igの単量体は単独で、または二量体、四量体もしくは他の多量体として、グリコシル化されていることができる。
一部の実施形態では、本発明は、少なくとも特定の割合の二量体または他の多量体分子を有する、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。たとえば、本発明は、CTLA4−Ig二量体が90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%を超える、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。一実施形態では、本発明は、約95%〜約99.5%のCTLA4−Ig二量体および約0.5%〜約5%のCTLA4−Ig四量体を含む、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の集団は、約98%のCTLA4−Ig二量体、約1.5%のCTLA4−Ig四量体および約0.5%のCTLA4−Ig単量体を含む。
一実施形態では、本発明は、集団がCTLA4−Ig単量体分子を実質的に含まない、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。CTLA4−Ig単量体分子を実質的に含まないとは、1%、0.5%、または0.1%未満の単量体を有するCTLA4−Ig分子の集団をいうことができる。
一実施形態では、本発明は、集団が、四量体、六量体等(たとえば高分子量種)などの二量体よりも大きいCTLA4−Ig多量体を実質的に含まない、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。二量体よりも大きいCTLA4−Ig多量体分子を実質的に含まないとは、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の二量体よりも大きいCTLA4−Ig多量体(たとえば高分子量種)を有する、CTLA4−Ig分子の集団をいうことができる。
CTLA4−Ig単量体分子は、たとえば、(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382(iii)配列番号2の27〜383、もしくは(iv)配列番号2の27〜382、または所望により(v)配列番号2の25〜382、もしくは(vi)配列番号2の25〜383のアミノ酸配列を有することができる。配列番号1の核酸配列を含む発現カセットをCHO細胞中で発現させた場合、発現された主な単量体はメチオニンのN末端アミノ酸残基を有し(配列番号2の残基27)これは野生型ヒトCTLA4のN末端アミノ酸残基に対応する。しかし、配列番号1にはオンコスタチンMシグナル配列のコード配列も含まれるので(配列番号1のヌクレオチド11〜88)、配列番号1から発現されたタンパク質はオンコスタチンMシグナル配列を含む。シグナル配列は、細胞質からのタンパク質輸出、または細胞からの分泌のプロセス中に発現されたタンパク質から切断される。しかし、切断は、配列番号2のアミノ酸残基26と27の間の切断(残基27のN末端をもたらす)と対照的に、配列番号2のアミノ酸残基25と26の間の切断(残基26のN末端、すなわち「Ala変異体」をもたらす)、または配列番号2のアミノ酸残基24と25の間(残基25のN末端、すなわち「Met−Ala変異体」をもたらす)などのN末端変異をもたらすことができる。たとえば、Met−Ala変異体はCTLA4−Ig分子の混合物中に約1%で存在することができ、Ala変異体はCTLA4−Ig分子の混合物中に約8〜10%で存在することができる。さらに、配列番号1から発現されたタンパク質は、不完全プロセシングによるC末端変異を有することができる。主なC末端は、配列番号2の残基382のグリシンである。CTLA4−Ig分子の混合物中では、C末端にリシンを有する単量体(配列番号2の残基383)が、たとえば約4〜5%で存在することができる。
一実施形態では、CTLA4−Ig分子は、以下の配列番号5のアミノ酸配列を有する(これは配列番号2のアミノ酸25〜383と同一である):
[配列番号5]
MAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK;
別の実施形態では、CTLA4−Ig分子は、以下の配列番号6のアミノ酸配列を有する(これは配列番号2のアミノ酸26〜383と同一である):
[配列番号6]
AMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK;
別の実施形態では、CTLA4−Ig分子は、以下の配列番号7のアミノ酸配列を有する(これは配列番号2のアミノ酸27〜383と同一である):
[配列番号7]
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK;
別の実施形態では、CTLA4−Ig分子は、以下の配列番号8のアミノ酸配列を有する(これは配列番号2のアミノ酸25〜382と同一である):
[配列番号8]
MAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG;
一実施形態では、CTLA4−Ig分子は、以下の配列番号9のアミノ酸配列を有する(これは配列番号2のアミノ酸26〜382と同一である):
[配列番号9]
AMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG;
一実施形態では、CTLA4−Ig分子は、以下の配列番号10のアミノ酸配列を有する(これは配列番号2のアミノ酸27〜382と同一である):
[配列番号10]
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG.
CTLA4−Ig単量体分子は、ヒトCTLA4の細胞外ドメインを含むことができる。一実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号2のアミノ酸27〜151をコードしている配列番号1のヌクレオチド89〜463のヌクレオチド配列を含むことができる。別の実施形態では、細胞外ドメインは、ヒトCTLA4の突然変異配列を含むことができる。別の実施形態では、細胞外ドメインは、保存的アミノ酸変化が行われるように、配列番号1のヌクレオチド89〜463へのヌクレオチド変化を含むことができる。別の実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号1のヌクレオチド89〜463と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含むことができる。
CTLA4−Ig単量体分子は、ヒト免疫グロブリンの定常領域を含むことができる。この定常領域は、定常領域の一部分であることができ;この定常領域は野生型配列または突然変異配列を有することができる。定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDまたはIgE由来であることができる。定常領域は、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖由来であることができる。定常領域がIgG、IgD、またはIgA分子由来である場合は、定常領域は、以下の定常領域ドメイン、すなわちCL、CH1、ヒンジ、CH2、またはCH3の1つまたは複数を含むことができる。定常領域がIgMまたはIgE由来である場合は、定常領域は、以下の定常領域ドメイン、すなわちCL、CH1、CH2、CH3、またはCH4の1つまたは複数を含むことができる。一実施形態では、定常領域は、IgG、IgD、IgA、IgMまたはIgE由来の1つまたは複数の定常領域ドメインを含むことができる。
一実施形態では、CTLA4−Ig二量体は2つの単量体からなり、それぞれの単量体は同一または異なるアミノ酸配列を有することができ、配列は、(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383のアミノ酸配列であることができる。そのようなCTLA4−Ig単量体は、配列番号2の位置146のシステインアミノ酸残基を介してヒトCTLA4配列の細胞外ドメインによって二量体化することができる。
CTLA4−Ig分子は、IgMまたはIgA定常領域ドメインとJ鎖タンパク質との相互作用によって多量体化することができる。IgMおよびIgAは通常、追加のポリペプチド鎖であるJ鎖と会合した多量体として産生される。五量体IgMでは、単量体は、ジスルフィド結合によって、CH3ドメインで互いに架橋結合されており、CH4ドメインでJ鎖と架橋結合されている。また、IgMも、J鎖を欠く六量体を形成することができ、多量体化は、それぞれに対するジスルフィド結合によって達成される。二量体IgAでは、単量体は、そのCH3ドメインを介してJ鎖とジスルフィド結合を有するが、互いに対しては有さない。したがって、一実施形態では、本発明は、Ig部分がIgM定常領域もしくはその一部分またはIgA定常領域もしくはその一部分を含む、二量体、五量体、および六量体を含めたCTLA4−Ig多量体を提供する。IgMまたはIgAに基づいたそのようなCTLA4−Ig多量体には、J鎖が含まれることができる。
一実施形態では、CTLA4−Ig単量体分子(CTLA4 GenBank寄託番号I13253号)は、修飾されたヒトIgG1ヒンジ領域(配列番号1のヌクレオチド464〜508;配列番号2のアミノ酸152〜166)を含み、配列番号2のアミノ酸残基156、162、および165のセリンが、野生型配列中に存在するシステインから遺伝子操作されている。
一実施形態では、CTLA4−Ig単量体分子は、修飾されたヒトIgG1 CH2領域および野生型CH3領域を含む(修飾されたヒトIgG1 CH2ドメインは配列番号1のヌクレオチド509〜838および配列番号2のアミノ酸167〜276を有し;ヒトIgG1 CH3ドメインは配列番号1のヌクレオチド839〜1159および配列番号2のアミノ酸277〜383を有する)。
一実施形態では、CTLA4−Ig分子の集団は、そのそれぞれが参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている、2002/0182211A1号の図7、8、または9のいずれか1つまたは複数、米国特許出願第20030083246号および同第20040022787号に示されている配列を有する単量体を含む。
一実施形態では、CTLA4−Ig四量体分子は、CTLA4−Igポリペプチドを2対または2つの二量体含み、それぞれのポリペプチドは、以下のアミノ酸配列の1つを有する:(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383。ポリペプチド対または二量体のそれぞれのメンバーは他方のメンバーと共有結合しており、2対のポリペプチドが互いに非共有結合的に会合して四量体を形成している。そのような四量体分子は、CD80またはCD86と結合することができる。別の実施形態では、そのような四量体分子は、CTLA4−Ig二量体(その単量体は上記アミノ酸配列の1つを有する)のCD80またはCD86に対する結合力よりも少なくとも2倍高い結合力で、CD80またはCD86と結合することができる。別の実施形態では、そのような四量体分子は、野生型CTLA4のCD80またはCD86に対する結合親和性または結合力よりも少なくとも2倍高い結合力で、CD80またはCD86と結合することができる。そのようなより高い結合力は、免疫障害および下に記載する他の疾患の治療、ならびに組織および/または実質臓器の移植片拒絶の阻害において、より高い有効性に貢献することができる。さらに、より高いまたは向上した結合力は、より高い薬物力価をもたらすことができる。たとえば、CTLA4−Ig四量体を含む治療組成物はより高い結合力を有するので、したがって、CTLA4−Ig単量体を有する同じ量の治療組成物よりも高い力価を有する。別の実施形態では、そのような四量体分子は、CTLA4−Ig二量体(その単量体は上記アミノ酸配列の1つを有する)と比較して、T細胞増殖に対して少なくとも2倍高い阻害を有することができる。別の実施形態では、そのような四量体分子は、野生型CTLA4分子と比較して、T細胞増殖に対して少なくとも2倍高い阻害を有することができる。
CTLA4A29YL104E−Igの単量体、二量体、および多量体
CTLA4A29YL104E−Igとは、CTLA4−Igの修飾された形態である(図1A;配列番号1〜2)。修飾は、図2に示すように、2つのアミノ酸置換(L104EおよびA29Y)をもたらす点変異からなる(図3のアミノ酸位置55および130に対応;配列番号4)。CTLA4−Igと比較して、CTLA4A29YL104E−Ig(たとえば配列番号5〜10)は、約2倍高い結合力でCD80(B7−1)と結合し、約4倍高い結合力でCD86(B7−2)と結合する。CTLA4A29YL104E−Igは、T細胞増殖、サイトカイン産生、およびナチュラルキラー細胞による標的細胞のCD28依存性の死滅の阻害において、CTLA4−Igよりも約10倍有効である。CTLA4A29YL104E−Igは、B7−1に媒介されるT細胞増殖の中程度の阻害を引き起こすが、B7−2に媒介されるT細胞増殖の遮断においてCTLA4−Igよりも顕著に強力である。力価の増加はB7−2だけを遮断するのか、B7−1およびB7−2をどちらも遮断するのかにかかわらず匹敵し、これは、CTLA4A29YL104E−Igの免疫調節活性の増強が、B7−2を遮断する力価の増強に起因する可能性が高いことを示唆している。
CTLA4A29YL104E−Igとは、修飾されたヒトCTLA−4の機能的結合ドメインおよびIgG1クラスのヒト免疫グロブリンのFcドメインからなる、遺伝子操作した融合タンパク質である(図3A〜B)。2つのアミノ酸置換をCTLA−4ドメインのB7結合領域中に行って(L104EおよびA29Y)、CTLA4A29YL104E−Ig分子を作製する。CTLA4A29YL104E−Ig二量体は、2つのグリコシル化されたCTLA4A29YL104E−Ig鎖からなる。これは、鎖間ジスルフィド結合によって連結された共有結合性の二量体として存在する。CTLA4A29YL104E−Ig分子の分子モデルを図4に示す。CTLA4A29YL104E−Ig分子は、マトリックス支援レーザー脱離−イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析によって決定された平均質量が約91,800Daである。
特定の実施形態では、本発明は、配列番号3を含む発現カセットを有する細胞系を提供する。そのような発現カセットは、哺乳動物細胞、たとえばCHO細胞中で発現させた場合、発現カセットから産生されたポリペプチドが、(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382;(iii)配列番号4の27〜383、もしくは(iv)配列番号4の27〜382、または所望により(v)配列番号4の25〜382、もしくは(vi)配列番号4の25〜383の残基のアミノ酸配列を有することができるような、NおよびC末端変異体の産生をもたらすことができる。これらのポリペプチドは、本明細書中で「配列番号4の単量体」、または「配列番号4の配列」を有する単量体と呼ぶことができる。
これらの配列番号4の単量体は、たとえば、(i)と(i);(i)と(ii);(i)と(iii);(i)と(iv);(i)と(v);(i)と(vi);(ii)と(ii);(ii)と(iii);(ii)と(iv);(ii)と(v);(ii)と(vi);(iii)と(iii);(iii)と(iv);(iii)と(v);(iii)と(vi);(iv)と(iv);(iv)と(v);(iv)と(vi);(v)と(v);(v)と(vi);および、(vi)と(vi)が含まれることができるように、二量体化することができる。これらの様々な二量体の組合せは、互いに会合して四量体CTLA4A29YL104E−Ig分子を形成することもできる。これらの単量体、二量体、テラマー、および他の多量体は、本明細書中で「配列番号4のポリペプチド」または「配列番号4の配列」を有するポリペプチドと呼ぶことができる。細胞系は翻訳後すぐにこれらの変異体を産生することができるが、変異体は、より典型的には細胞内での翻訳後の活動の産物であることができる。二量体は、一緒に共有結合しているか、一緒に非共有結合しているか、または両方行うことができる。本発明は、共有結合した二量体から本質的になる組成物を提供する。たとえば、本発明は、少なくとも50%のCTLA4−Ig二量体が、共有結合した単量体からなる組成物を提供する。本発明はまた、少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCTLA4−Ig二量体が、共有結合した単量体からなる組成物も提供する。本発明はまた、分子が主に二量体であり、二量体が主に共有結合によって形成される、CTLA4−Ig分子の組成物も提供する。たとえば、本発明は、CTLA4−Ig二量体の大多数が共有結合している組成物を提供する。組成物中のCTLA4−Ig二量体の一部分が非共有結合している可能性もある。
CTLA4A29YL104E−Ig分子には、たとえば、CTLA4A29YL104E−Igの単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、または他の多量体が含まれることができる。CTLA4A29YL104E−Ig分子は、少なくとも修飾されたCTLA4の細胞外ドメイン(配列番号18)および免疫グロブリン定常領域と融合したタンパク質を含むことができる。CTLA4A29YL104E−Ig分子は、たとえば、修飾されたCTLA4細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定常領域の配列に関して、突然変異配列を有することができる。CTLA4A29YL104E−Igの単量体は単独で、または二量体、四量体または他の多量体として、グリコシル化されていることができる。
一部の実施形態では、本発明は、少なくとも特定の割合の二量体または他の多量体分子を有する、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。たとえば、本発明は、CTLA4A29YL104E−Ig二量体が90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%を超える、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。一実施形態では、本発明は、約95%〜約99.5%のCTLA4A29YL104E−Ig二量体および約0.5%〜約5%のCTLA4A29YL104E−Ig四量体を含む、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約95%〜約99.5%のCTLA4A29YL104E−Ig二量体、約0.5%〜約2.5%のCTLA4A29YL104E−Ig単量体、および約0.5%〜約5%のCTLA4A29YL104E−Ig四量体を含む、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団は、約96%のCTLA4A29YL104E−Ig二量体、約2.5%のCTLA4A29YL104E−Ig四量体、および約0.5%のCTLA4A29YL104E−Ig単量体を含む。
一実施形態では、本発明は、集団がCTLA4A29YL104E−Ig単量体を実質的に含まない、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。CTLA4A29YL104E−Ig単量体を実質的に含まないとは、1%、0.5%、または0.1%未満の単量体を有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団をいうことができる。
別の実施形態では、本発明は、集団が、四量体、六量体などの二量体よりも大きいCTLA4A29YL104E−Ig多量体を実質的に含まない、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。二量体よりも大きいCTLA4A29YL104E−Ig多量体を実質的に含まないとは、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の二量体よりも大きいCTLA4A29YL104E−Ig多量体を有する、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団をいうことができる。
CTLA4A29YL104E−Ig単量体は、たとえば、(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382(iii)配列番号4の27〜383、もしくは(iv)配列番号4の27〜382、または所望により(v)配列番号4の25〜382、または(vi)配列番号4の25〜383のアミノ酸配列を有することができる。配列番号3または23の核酸配列を含む発現カセットをCHO細胞中で発現させた場合、発現された主な単量体はメチオニンのN末端アミノ酸残基を有し(配列番号4の残基27)、これはヒトCTLA4のN末端アミノ酸残基に対応する。しかし、配列番号23にはオンコスタチンMシグナル配列のコード配列も含まれるので(配列番号23のヌクレオチド11〜88)、配列番号23から発現されたタンパク質はオンコスタチンMシグナル配列を含む。
シグナル配列は、細胞質からのタンパク質輸出、または細胞からの分泌のプロセス中に発現されたタンパク質から切断される。しかし、切断は、配列番号4のアミノ酸残基26と27の間の切断(アミノ酸位置27のMet残基から始まるN末端をもたらす)と対照的に、配列番号4のアミノ酸残基25と26の間の切断(残基26のN末端、すなわち「Ala変異体」をもたらす)、または配列番号4のアミノ酸残基24と25の間(残基25のN末端、すなわち「Met−Ala変異体」をもたらす)などのN末端変異体をもたらすことができる。たとえば、Met−Ala変異体はCTLA4A29YL104E−Ig分子の混合物中に約1%で存在することができ、Ala変異体はCTLA4A29YL104E−Ig分子の混合物中に約10〜20%で存在することができる。
さらに、配列番号3を含む核酸から発現されたタンパク質は、不完全プロセシングによるC末端変異を有することができる。主なC末端は配列番号4の残基382のグリシンである。CTLA4A29YL104E−Ig分子の混合物中では、C末端にリシンを有する単量体(配列番号4の残基383)が、たとえば約4〜8%で存在することができる。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、以下の配列番号11のアミノ酸配列を含む(これは配列番号4のアミノ酸25〜383と同一である):
[配列番号11]
MAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK.
別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、以下の配列番号12のアミノ酸配列を含む(これは配列番号4のアミノ酸26〜383と同一である):
[配列番号12]
AMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK.
さらなる実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、以下の配列番号13のアミノ酸配列を含む(これは配列番号4のアミノ酸27〜383と同一である):
[配列番号13]
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK.
別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、以下の配列番号14のアミノ酸配列を含む(これは配列番号4のアミノ酸25〜382と同一である):
[配列番号14]
MAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG.
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、以下の配列番号15のアミノ酸配列を有する(これは配列番号4のアミノ酸26〜382と同一である):
[配列番号15]
AMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG.
さらなる実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、以下の配列番号16のアミノ酸配列を有する(これは配列番号4のアミノ酸27〜382と同一である):
[配列番号16]
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG.
CTLA4A29YL104E−Ig単量体は、2つのアミノ酸置換がCTLA−4ドメイン内に行われている(L104EおよびA29Y)、ヒトCTLA4の細胞外ドメインを含むことができる(図5)。一実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号4のアミノ酸27〜151をコードしている配列番号23のヌクレオチド89〜463のヌクレオチド配列を含むことができる。別の実施形態では、細胞外ドメインは、ヒトCTLA4の突然変異配列を含むことができる(配列番号4のアミノ酸27〜151中に1箇所、2箇所、および3箇所の部位突然変異)。別の実施形態では、細胞外ドメインは、保存的アミノ酸変化が行われるように、配列番号23のヌクレオチド89〜463へのヌクレオチド変化を含むことができる。さらなる実施形態では、細胞外ドメインは、非保存的アミノ酸変化が行われるように、配列番号23のヌクレオチド89〜463へのヌクレオチド変化を含むことができる。別の実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号23のヌクレオチド89〜463と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含むことができる。
CTLA4A29YL104E−Ig単量体は、ヒト免疫グロブリンの定常領域を含むことができる。この定常領域は、定常領域の一部分であることができる。この定常領域は、野生型配列または突然変異配列を有することもできる。定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDまたはIgE由来であることができる。定常領域は、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖由来であることができる。定常領域がIgG、IgD、またはIgA分子由来である場合は、定常領域は、以下の定常領域ドメイン、すなわちCL、CH1、ヒンジ、CH2、またはCH3の1つまたは複数を含むことができる。定常領域がIgMまたはIgE由来である場合は、定常領域は、以下の定常領域ドメイン、すなわちCL、CH1、CH2、CH3、またはCH4の1つまたは複数を含むことができる。一実施形態では、定常領域は、IgG、IgD、IgA、IgMまたはIgE由来の1つまたは複数の定常領域ドメインを含むことができる。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig二量体は2つの単量体からなり、それぞれの単量体は同一または異なるアミノ酸配列を有することができ、配列は、(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383のアミノ酸配列であることができる。そのようなCTLA4A29YL104E−Ig単量体は、配列番号4の位置146システインアミノ酸残基(または図5の位置120のシステインアミノ酸残基)を介してヒトCTLA4配列の細胞外ドメインによって二量体化することができる。
CTLA4A29YL104E−Ig分子は、IgMまたはIgA定常領域ドメインとJ鎖タンパク質との相互作用によって多量体化することができる。IgMおよびIgAは通常、追加のポリペプチド鎖であるJ鎖と会合した多量体として産生される。五量体IgMでは、単量体は、ジスルフィド結合によって、CH3ドメインで互いに架橋結合されており、CH4ドメインでJ鎖と架橋結合されている。また、IgMも、J鎖を欠く六量体を形成することができ、多量体化は、それぞれに対するジスルフィド結合によって達成される。二量体IgAでは、単量体は、そのCH3ドメインを介してJ鎖とジスルフィド結合を有するが、互いに対しては有さない。したがって、一実施形態では、本発明は、Ig部分がIgM定常領域もしくはその一部分またはIgA定常領域もしくはその一部分を含む、二量体、五量体、および六量体を含めたCTLA4A29YL104E−Ig多量体を提供する。IgMまたはIgAに基づいたそのようなCTLA4A29YL104E−Ig多量体には、J鎖が含まれることができる。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig単量体は、修飾されたヒトIgG1ヒンジ領域(配列番号23のヌクレオチド464〜508;配列番号4のアミノ酸152〜166)を含み、配列番号4の位置156、162、および165のセリン残基が、野生型配列中に存在するシステイン残基から遺伝子操作されている。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig単量体は、修飾されたヒトIgG1 CH2領域および野生型CH3領域を含む(修飾されたヒトIgG1 CH2ドメインは配列番号1のヌクレオチド509〜838および配列番号2のアミノ酸167〜276を有し;ヒトIgG1 CH3ドメインは配列番号1のヌクレオチド839〜1159および配列番号2のアミノ酸277〜383を有する)。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団は、そのそれぞれが参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている、米国特許出願第2002/0039577号、同第2003/0007968号、同第2004/0022787号、同第2005/0019859号および同第2005/0084933号、ならびに米国特許第7,094,874号に示されている配列を有する単量体を含む。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig四量体は、CTLA4A29YL104E−Ig分子を2対または2つの二量体含み、それぞれのポリペプチドは、以下のアミノ酸配列の1つを有する:(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383。ポリペプチド対または二量体のそれぞれのメンバーは他方のメンバーと共有結合しており、2対のポリペプチドが互いに非共有結合的に会合して四量体を形成している。そのような四量体分子は、CD80またはCD86と結合することができる。別の実施形態では、そのような四量体分子は、CTLA4A29YL104E−Ig二量体(その単量体は上記アミノ酸配列の1つを有する)のCD80またはCD86に対する結合力よりも少なくとも2倍高い結合力で、CD80またはCD86と結合することができる。
そのようなより高い結合力は、免疫障害および下に記載する他の疾患の治療、ならびに組織および/または実質臓器の移植片拒絶の阻害において、より高い有効性に貢献することができる。さらに、より高いまたは向上した結合力は、より高い薬物力価をもたらすことができる。たとえば、CTLA4A29YL104E−Ig四量体を含む治療組成物はより高い結合力を有するので、したがって、CTLA4A29YL104E−Ig単量体を有する同じ量の治療組成物よりも高い力価を有する。別の実施形態では、そのような四量体分子は、CTLA4A29YL104E−Ig二量体(その単量体は上記アミノ酸配列の1つを有する)と比較して、T細胞増殖に対して少なくとも2倍高い阻害を有することができる。別の実施形態では、そのような四量体分子は、CTLA4−Ig四量体分子と比較して、T細胞増殖に対して少なくとも2倍高い阻害を有することができる。
CTLA4−IgおよびCTLA4A29YL104E−Ig分子の特徴づけ
T細胞増殖は、当分野で知られている標準のアッセイを用いて測定することができる。たとえば、T細胞増殖を評価する最も一般的な1つは、抗原または作用性抗体を介して、T細胞をTCRに対して刺激して、たとえば、増殖T細胞中におけるトリチウム標識したチミジン(3H−TdR)の取り込み、または増殖T細胞によって培養物へと放出されるサイトカインの量を測定することである。これにより、T細胞を活性化または増殖させた際のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の阻害効果を測定することができる。
CTLA4−Ig分子の親和性とは、分子の、CD80、CD86、もしくはCD80Igを含めた単一リガンド、またはCD86Ig融合タンパク質に対する結合の強度である。CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igのリガンドに対する親和性は、たとえば、表面プラズモン技術に基づいた結合相互作用分析(BIA)を用いることによって測定することができる。結合強度を測定する以外にも、会合および解離速度定数などの結合力学の実時間での決定を可能にする。表面マトリックスを共有結合させた、薄い金属フィルムでコーティングしたスライドガラスからなるセンサーチップを、相互作用剤の1つ、すなわち、CTLA4−Ig、CTLA4A29YL104E−Ig、またはリガンドの1つでコーティングする。他の相互作用剤を含む溶液をその表面の上に流す。連続光線を表面の反対側に向け、その反射角度を測定する。CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igがリガンドと結合する際、光線の共鳴角度が変化する(これは、これがセンサーの反応性の側に近い培地の屈折率に依存し、それは立ち代って培地中に溶けた物質の濃度に直接相関するからである)。続いて、これをコンピュータによって補助して分析する。
一実施形態では、CTLA4−Ig結合実験は、BIAcore装置(BIAcore AG、スウェーデンUppsala)上での表面プラズモン共鳴(SPR)によって行うことができる。CTLA4−Igを第一級アミン基によってBIAcoreセンサーチップ上のカルボキシメチル化デキストランマトリックスと共有結合させ、それによりCTLA4−Igをセンサーチップに固定することができる。あるいは、抗定常領域抗体を用いて、Ig断片を介してCTLA4−Igをセンサー表面に間接的に固定することができる。その後、リガンドをチップに加えて、リガンドと結合するCTLA4−Igを結合する。親和性の測定は、たとえば、参考としてその全体で本明細書中に組み込まれているvan der Merwe, P. et al., J. Exp. Med. (1997) 185 (3):393-404に記載のように行うことができる。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig結合実験は、上述の表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いて行うことができる(図6;実施例21参照)。
CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の結合力も測定することができる。結合力とは、2つの分子または細胞が複数の部位で互いに結合する強度の総計として定義することができる。結合力は、分子上の一部位とそのリガンドとの結合の強度である親和性とは異なる。理論に縛られずに、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子のより高い結合力は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子によるT細胞の増殖および活性化に対する阻害の力価の増加をもたらすことができる。結合力は、たとえば、2種類の固相アッセイ、すなわちa)競合的阻害アッセイ、およびb)溶出アッセイによって測定することができる。これらのどちらにおいても、リガンドを固体支持体に付着させる。競合的阻害アッセイでは、その後、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子を溶液中の固定濃度で、様々な濃度の遊離リガンドと共に加え、固相結合を50%阻害するリガンド量を決定する。必要なリガンドが少ないほど、結合力が強い。溶出アッセイでは、リガンドを溶液に加える。平衡状態を得た後、カオトロープまたは変性剤(たとえばイソチオシアネート、尿素、もしくはジエチルアミン)を様々な濃度で加えて、CTLA4−Ig/リガンドの相互作用またはCTLA4A29YL104E−Ig/リガンドの相互作用を乱す。その後、溶出に抵抗するCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの量をELISAで決定する。結合力が高いほど、特定の量のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igを溶出させるためにより多くのカオトロピック剤が必要である。CTLA4−Ig分子またはCTLA4A29YL104E−Igの異種混合物の相対的結合力を結合力指標(AI)として表すことができ、これは、結合したCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の50%を溶出させるために必要な溶出剤の濃度に等しい。データの精密分析は、様々な溶出剤の濃度で溶出されたCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの割合を決定することによって行うことができる。
Phenyl Sepharose 4 Fast Flowカラムクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、プロセスを用いて、HIC精製工程で溶出されるCTLA4−Ig高分子量種の量を減少させることができる(実施例15参照)。したがって、HICカラムのクリーニングピークはCTLA4−IgHMW種が濃縮されている。たとえば、調製用単一または直列カラムSEC HPLCを用いて、二量体、四量体および多量体部分集合をHICクリーニングピーク物質から精製することができる。一実施形態では、精製された構成成分は、CTLA4−Ig二量体、四量体、および六量体である。HICクリーニングピーク中に存在するCTLA4−Igの高分子量構成成分の特徴づけは、静的および動的光散乱法技術によって実施することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)プロセス工程追跡で採取した試料により、様々なサンプリング点で二量体、四量体、および多量体の存在が明らかとなった。六量体種は、「クリーニングピークの開始」および「クリーニングピーク最大OD」に対応する試料中でのみ検出することができる。十量体種は「クリーニングピーク最大OD」中でのみ検出された。モル質量および流体力学半径形成は、準弾性光散乱(QELS)検出と組み合わせた多角度光散乱(MALS)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を介して分画によって決定することができる。
細胞系から産生させたCTLA4−Ig分子に関して、SECは、タンパク質Aの溶出液が多量体、四量体、および二量体の構成成分の混合物であることを示している。調製用直列SECカラム上でのこの混合物の分画により、多量の多量体、四量体および二量体種の単離が可能となる。単離した画分のSEC分析におけるそれぞれの構成成分の面積%回収率により、それぞれの画分について93〜98%の均一性がもたらされる。一態様では、個々の構成成分の精製により、CTLA4−IgHMW物質の構成成分とCTLA4−Ig二量体の構成成分との物理化学的特性の比較が可能となる。図7は、動的光散乱法検出(DSL)を用いたSECおよびSEC上の保持時間によって決定された、CTLA4−IgHICクリーニングピークの多量体、四量体、および二量体画分に対応する見かけ上の分子量を示す。一実施形態では、HICクリーニングピークから精製した構成成分の生体特異的結合活性は、BIAcoreに基づいた固定B7−1Ig結合アッセイによって決定された結合活性に匹敵する。別の態様では、HICクリーニングピークから単離した構成成分のシアル酸モル比は4.9〜7.6の範囲であり、CTLA4−Ig分子または二量体(HICクリーニングピーク中でない)のシアル酸モル比は8〜10の範囲である。IEFゲルによる分析により、CTLA4−Ig二量体の移動と比較してHICクリーニングピークから精製したCTLA4−Igアイソフォームの移動度が減少していることが示された。これは、CTLA4−IgHICクリーニングピーク画分で観察されるシアル酸モル比がより低いことと一貫している(図8)。
細胞培養条件の選択は、組換えタンパク質生成物の単鎖(すなわち単量体)および高分子量種(すなわち、二量体、四量体など)の形成に影響を与えることができる。また、それだけには限定されないが培地組成を含めた増殖条件も、単鎖の形成およびシステイン化に影響を与えることができる要素である。これは、ジスルフィド結合の減少をもたらす薬剤の存在の結果である可能性が高い。システインを直接、またはシステイン含有培地を、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igを分泌する細胞に添加することにより、単鎖および高分子量種の迅速な形成をもたらすことができる。この速度は加えたシステインの量に正比例する。別の実施形態では、遊離スルフヒドリルと反応する化合物であるヨードアセトアミドを添加することで、ジスルフィド結合に依存するCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの高分子量種の形成が遮断される。
たとえば、ヨードアセトアミドに感受性および非感受性の高分子量経路は、CTLA4−Ig中で高分子量種が形成されることができる2つの主要かつ明確に異なる機構を強調する。高い塩濃度(0.5M)をCTLA4−Ig溶液に添加することにより、持続的かつ迅速な速度の高分子量形成がもたらされる。EDTA、ConAcidSol II、およびイーストレート(yeastolate)は、単鎖形成を中程度に増加させる(実施例5参照)。
特定の実施形態では、本発明は、高分子量CTLA4−Igの集団を作製する方法を提供する、主にCTLA4−Igの単量体または二量体を含む混合物に、混合物の塩濃度が約0.3、0.4、0.45、0.5、または0.6Mを超えるように、高塩を添加する。一実施形態では、そのような方法により、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のCTLA4−Ig四量体分子を有するCTLA4−Igの集団を含む混合物が作製される。
一実施形態では、本発明は、Cys146がシステイン化されているように修飾を含む、CTLA4−Ig単鎖種の集団を提供する(実施例4参照)。システイン化とは、ポリペプチド鎖内のシステインがジスルフィド結合を介した別のシステインの付着によって修飾されている、翻訳後修飾である。タンパク質のシステイン化は、MHCクラスI制限ウイルス決定因子の免疫原性および抗原性を含めたタンパク質生物活性の改変に関係づけられている。一実施形態では、本発明は、少なくとも1、5、10、15、20、25、50、75、90、または95%のシステイン化単鎖CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明の別の実施形態では、CTLA4−Igの集団は、約1%を超えないCTLA4−Ig単量体分子を有し、または別の実施形態、0.6%未満のCTLA4−Ig単量体を有する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のシアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5〜約18である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17であり、Yは約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18である。他の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは約4.0、4.5、5.0、5.5または6.0であり、Yは約8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0である。他の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは約6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5または9.0であり、Yは約11.0、11.5、12.0、12.5または13.0である。他の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約6〜約14、約7〜約13、約8〜約12、または約9〜約11である。他の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約5〜約9、約5.5〜約9.5、約6〜約9、約6〜約10、または約7〜約10である。他の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、5以上、または8以上である。特定の実施形態では、シアル酸はN−アセチルノイラミン酸(NANA)である。
本発明は、CTLA4−Ig分子のN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)対CTLA4−Ig分子の平均モル比が2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、または0.5以下である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の93.0面積%以上、93.5面積%以上、94.0面積%以上、94.5面積%以上、95.0面積%以上、95.5面積%以上、96.0面積%以上、96.5面積%以上、または97.0面積%以上がCTLA4−Ig二量体である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の95.0面積%以上がCTLA4−Ig二量体であり、4.0面積%以下が高分子量種であるCTLA4−Ig分子を含む。一部の実施形態では、組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の95.0面積%以上がCTLA4−Ig二量体であり、5.0面積%以下が高分子量種であるCTLA4−Ig分子を含む。
本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の2.0面積%以下、1.5面積%以下、1.0面積%以下、または0.5面積%以下がCTLA4−Ig単量体(すなわち単鎖)である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の5.0面積%以下、4.5面積%以下、4.0面積%以下、3.5面積%以下、3.0面積%以下、2.5面積%以下、2.0面積%以下、1.5面積%以下、1.0面積%以下、または0.5面積%以下がCTLA4−Ig高分子量種(たとえば四量体)である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、特にCTLA4−Ig分子を含む濃縮組成物に関与するものでは(たとえば皮下投与用の組成物など)、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出によって決定されたCTLA4−Ig分子の10面積%以下、9面積%以下、8面積%以下、7面積%以下、6面積%以下がCTLA4−Ig高分子量種である。
本発明は、組成物が50ppm以下、40ppm以下、38ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、10ppm以下、5ppm、4ppm以下、3ppm以下、2ppm以下または1ppm以下の量のMCP−1またはMCP−1様物質を含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、組成物が50ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、40ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、38ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、30ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、20ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、10ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、5ng/mg以下、4ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、3ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、2ng/mg以下のCTLA4−Ig分子または1ng/mg以下のCTLA4−Ig分子でMCP−1またはMCP−1様物質を含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、前記組成物が医薬上許容される組成物である、CTLA4−Ig分子および一定量のMCP−1(MCP−1が存在しない場合を含む)を含む組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約6〜約19である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Yであり、Xは約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18であり、Yは約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19である。他の実施形態では、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)であり、Xは約6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0であり、Yは約12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、または16.0である。他の実施形態では、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは約6.0、6.5、7.0、7.5または8.0であり、Yは約15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、または19.0である。他の実施形態では、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約7〜約15、約8〜約14、約9〜約13、約10〜約12である。他の実施形態では、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約7〜約18、約8〜約17、約9〜約17、約9〜約16、または約10〜約15である。他の実施形態では、ガラクトース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は8以上である。
本発明は、CTLA4−Ig分子のフコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約0.5〜約12である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5または4.5であり、Yは約7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0または10.5である。他の実施形態では、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)であり、Xは約2.9、3.1、3.3、3.5、3.7、3.9、または4.1であり、Yは約7.9、8.1、8.3、8.5、8.7、8.9、または9.1である。他の実施形態では、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)であり、Xは約1.0、1.5、1.7、1.9、2.1、2.3または2.5であり、Yは約8.7、8.9、9.1、9.3、9.6、9.9、10.1、10.3または10.5である。他の実施形態では、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約約3.3〜約8.5、約3.5〜約8.3、約3.7〜約8.1、約3.9〜約7.9である。他の実施形態では、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約1.5〜約9.5、約1.7〜約9.3、約1.9〜約9.1、または約2.1〜約8.9である。他の実施形態では、フコース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は1.7以上である。
本発明は、CTLA4−Ig分子のマンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約5〜約25である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、シアル酸対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21であり、Yは約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24である。他の実施形態では、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)であり、Xは約6.5、7.0、7.5、7.7、7.9、8.1、8.3、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5または12.0であり、Yは約17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、22.5、23、23.5または24.0である。他の実施形態では、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)、Xは約8、8.5、9.0、9.5、10.0または11.0であり、Yは約17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5または20.0である。他の実施形態では、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約約6〜約23、約7〜約22、約7.7〜約22、約8〜約21、約9〜約20、約10〜約19、約11〜約19、および約11〜約17である。他の実施形態では、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約8〜約19、約9〜約18、約10〜約17、または約11〜約16である。他の実施形態では、マンノース対CTLA4−Ig分子の平均モル比は7以上である。
本発明は、CTLA4−Ig分子の5.0面積%以下、4.5面積%以下、4.0面積%以下、3.5面積%以下、3.0面積%以下、2.5面積%以下、2.0面積%以下、1.5面積%以下、1.0面積%以下、または0.5面積%以下が酸化した種である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子の5.0面積%以下、4.5面積%以下、4.0面積%以下、3.5面積%以下、3.0面積%以下、2.5面積%以下、2.0面積%以下、1.5面積%以下、1.0面積%以下、または0.5面積%以下が脱アミド化した種である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、CTLA4−Ig分子の3.5面積%以下が酸化した種であり、2.5面積%以下が脱アミド化した種であるCTLA4−Ig分子を含む。
本発明は、組成物が細菌内毒素LALを0.7EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.6EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.5EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.42EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.4EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.35EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.3EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.25EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.20EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、0.15EU/mg以下のCTLA4−Ig分子、または0.05EU/mg以下のCTLA4−Ig分子で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、組成物が汚染微生物数を2CFU/10mL以下、1.5CFU/10mL以下、1CFU/10mL以下、または0.5CFU/10mL以下で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、組成物がDNAを25pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、20pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、15pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、10pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、5.0pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、4.0pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、3.5pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、3.0pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、2.5pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、1.5pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、1.0pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、または0.5pg/mg以下のCTLA4−Ig分子、または0.20pg/ml以下のCTLA4−Ig分子で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、組成物が細胞タンパク質(たとえばCHOタンパク質すなわちCHOP)を200ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、150ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、125ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、100ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、90ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、80ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、70ng/mgのCTLA4−Ig分子、60ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、50ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、40ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、30ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、25ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、20ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、15ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、10ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、または5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、組成物が細胞タンパク質を200ppm以下、150ppm以下、125ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、25ppm以下、20ppm以下、15ppm以下、10ppm以下、または5ppm以下で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、組成物がTriton−X(たとえばTritonX−100)を4.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、3.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、3.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、2.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、2.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、1.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、1.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、または0.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、組成物がTriton−Xを4.0ppm以下、3.5ppm以下、3.0ppm以下、2.5ppm以下、2.0ppm以下、1.5ppm以下、1.0ppm以下、または0.5ppm以下で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、組成物がタンパク質Aを8.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、7.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、7.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、6.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、6.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、5.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、5.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、4.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、4.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、3.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、3.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、2.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、2.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、1.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、1.0ng/mg以下のCTLA4−Ig分子、または0.5ng/mg以下のCTLA4−Ig分子で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、組成物がタンパク質Aを8.0ppm以下、7.5ppm以下、7.0ppm以下、6.5ppm以下、6.0ppm以下、5.5ppm以下、5.0ppm以下、4.5ppm以下、4.0ppm以下、3.5ppm以下、3.0ppm以下、2.5ppm以下、2.0ppm以下、1.5ppm以下、1.0ppm以下、または0.5ppm以下で含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、CTLA4−Ig分子のGlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約10〜約40である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは10〜39の任意の整数であり、Yは11〜40の任意の整数である。他の実施形態では、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)であり、Xは約12、14、14、15、16または17であり、Yは約32、33、34、35、36または37である。他の実施形態では、GlcNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約12〜約35、約13〜約35、約14〜約35、約15〜約35である。
本発明は、CTLA4−Ig分子のGalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比が約0.5〜約7.0である、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜約Y(XおよびYを含む)であり、Xは0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0であり、Yは3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、6.0、7.0または8.0である。他の実施形態では、GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約X〜Y(XおよびYを含む)であり、Xは約0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0であり、Yは約3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1または4.2である。他の実施形態では、GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約0.7〜約4.1、約0.8〜約4.0、約0.9〜約3.9、または約1.0〜約3.8、または約1.1〜約3.7である。他の実施形態では、GalNAc対CTLA4−Ig分子の平均モル比は、約1.6〜約3.7、約1.7〜約3.6、約1.8〜約3.5、または約1.9〜約3.4である。
本発明は、CTLA4−Ig組成物が等電点電気泳動ゲル(IEFゲル)で決定されたpI範囲で以下のバンド、すなわち、約4.3〜約5.6のpI範囲に約10〜約22個のバンド;約4.3〜約5.3のpI範囲に約90%〜約110%の累積バンド強度、および約4.5〜約5.2のpI範囲に約3個の主要なバンドを示す、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、約4.3〜約5.6の範囲のバンドは、約5〜約30個、約6〜約29個、約7〜約28個、約8〜約27個、約9〜約26個、約10〜約25個、約11〜約24個、約12〜約23個、約13〜約22個、約14〜約21個、約15〜約20個、約16〜約19個、約17〜約20個、約18〜約19個である。
グリコシル化されたCTLA4−IgおよびCTLA4A29YL104E−Igの分子ならびにその集団
限定せずに、グリコシル化とは、ポリペプチド鎖内の特異的部位でタンパク質に複合オリゴ糖構造を付加することをいうことができる。タンパク質のグリコシル化および続く付加した炭水化物プロセシングは、タンパク質の折り畳みおよび構造、タンパク質半減期を含めたタンパク質安定性、ならびにタンパク質の機能的特性に影響を与えることができる。タンパク質のグリコシル化は、修飾が起こる配列の状況によって2つのクラス、すなわちO結合型グリコシル化およびN結合型グリコシル化に分類することができる。O結合型多糖類は、ヒドロキシル基、通常はセリンまたはスレオニン残基のどちらかのヒドロキシル基に連結している。O−グリカンはすべてのセリンおよびスレオニン残基には付加されない。O結合型オリゴ糖は通常一または二分岐である、すなわち、これらは1つまたは最大2つの分枝鎖(アンテナ)を含み、1つずつ付加される1〜4種類の異なる糖残基を含む。
N結合型多糖類は、アスパラギンのアミド窒素に付着している。2つのトリペプチド配列の一方、すなわちアスパラギン−X−セリンまたはアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)のどちらかの一部であるアスパラギンのみが、グリコシル化の標的である。N結合型オリゴ糖は、一分岐、二分岐、三分岐、四分岐と呼ばれる1〜4つの分枝鎖を有することができる。N結合型およびO結合型オリゴ糖の構造およびそれら中に見つかる糖残基は異なる。その違いにもかかわらず、N結合型およびO結合型多糖の双方のそれぞれの分枝鎖上の末端残基をシアル酸分子によって修飾することができ、これはシアル酸キャッピングと呼ばれる修飾である。シアル酸とは、独特な9個の炭素の単糖ファミリーの一般名であり、他のオリゴ糖と連結することができる。2つのファミリーメンバーは、Neu5AcまたはNANAと略記されるN−アセチルノイラミン酸、およびNeu5GcまたはNGNAと略記されるN−グリコリルノイラミン酸である。
ヒトにおけるシアル酸の最も一般的な形態はNANAである。N−アセチルノイラミン酸(NANA)は、CTLA4−Ig分子中に存在する主なシアル酸種である。しかし、微量であるが検出可能なレベルのN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)もCTLA4−Ig分子中に存在することに留意されたい。さらに、本明細書中に記載の方法を用いてNANAおよびNGNAのどちらのシアル酸モル数も決定することができ、したがって、NANAおよびNGNAのどちらのレベルも、CTLA4−Ig分子について決定および報告されている。N結合型およびO結合型オリゴ糖は異なる数の分枝鎖を有し、これにより、シアル酸分子が付着することができる位置が異なる数で提供される。N結合型オリゴ糖は4つまでのシアル酸の付着位置を提供することができ、一方で、O結合型オリゴ糖はシアル酸の付着に2つの部位を提供することができる。
その多くが組換えDNA技術の方法によって産生されたグリコシル化されたタンパク質(糖タンパク質)は、診断剤および治療剤として非常に興味がもたれている。細胞表面および分泌悦タンパク質となる運命にある多くの真核膜貫通タンパク質は、翻訳後修飾されてN結合型およびO結合型炭水化物基を取り込む。N結合型オリゴ糖は、ペプチドモチーフAsn−X−Ser/Thr(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸であることができる)の一部である場合はアスパラギン残基に付着している。O結合型オリゴ糖はセリンまたはスレオニン残基に付着している。N結合型およびO結合型オリゴ糖、ならびにそれぞれ中に見つかる糖残基の構造は異なることができる。両方に共通して見つかる糖の一種は、N−アセチルノイラミン酸(NANA;本明細書中でシアル酸と呼ぶ)である。通常、シアル酸は、N結合型およびO結合型オリゴ糖の両方の末端残基である。糖タンパク質は、その負荷電が原因で、酸性特性を示すことができる。
グリコシル化されたタンパク質は、タンパク質折り畳みの増強、細胞の分別および細胞内輸送の調節、タンパク質凝集の予防、細胞−細胞接着の媒介、およびタンパク質分解に対する耐性の増加において役割を果たすことを意図する。真核生物では、グリコシル化の性質および程度は、受容体に媒介されるエンドサイトーシスおよびクリアランスに関与するプロセスによる糖タンパク質治療学の循環半減期および生物活性に著しい影響を与えることができる。受容体に媒介される系は、オリゴ糖の様々な糖構成成分を認識することによって血清糖タンパク質を除去することにおいて、主要な役割を果たすと考えられている。糖タンパク質の末端シアル酸基は、吸収、半減期、および血清クリアランスに影響を与えることができる。したがって、グリコシル化されたタンパク質の末端シアル酸構成成分を維持する糖タンパク質産生戦略は、タンパク質の生体利用度および血清半減期をより良好に増加させることができる。組換え糖タンパク質合成、特に様々な産生戦略における培地組成および温度シフトの影響に関して、いくつかの産生プロセスパラメータが調査されている。
(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、または(vi)配列番号2の25〜383の残基のアミノ酸を有する単量体からなるCTLA4−Ig二量体は、約78,000〜約79,000ダルトンの推定理論MWを有することができる。しかし、MALDI−TOFによって得られたこのような二量体のMWは約91,000ダルトンである。この約13,000〜14,000ダルトンのMWの差異は、少なくとも部分的にグリコシル化に原因があり、これは、一実施形態ではこの特定のCTLA4−Ig単量体分子質量の約15%を占める。上記で特定した単量体は、配列番号2の残基102、134、および233のアスパラギンで起こることがペプチドマッピングによって確認されている3つのN結合型グリコシル化部位を有する。アスパラギンによって連結されている炭水化物分子は、酵素ペプチド−NグリコシダーゼF(PNGase F)を用いて選択的に切断することができる。一例では、配列番号2の27〜383を有する単量体をPNGase Fで処理することにより、約80,200ダルトンのMWを有する種がもたらされた。この単量体の理論MWは約80,200であるので、この処理により、不明の1,400ダルトン(80,200−78,800=1,400)はO結合型グリコシル化が原因である可能性があることが示唆された。グリコシル化部位となる潜在性を有する数々のセリンおよびスレオニン残基が存在するが、2つのO結合部位のみ、すなわち配列番号2のSer155およびSer165が同定されている。一実施形態では、これら2つの部位に付着している主なグリカンはHexNAc−Hex−NeuAcである。
たとえば、図9は、配列番号2からの配列(すなわち、以下の配列のうちの1つを有する単量体:(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、または(vi)配列番号2の25〜383)を有する単量体からなるCTLA4−Ig分子上におけるN結合型およびO結合型炭水化物の構造の全体像を表し、一実施形態では、示した炭水化物特徴を有するこのような分子は、実施例14〜15に記載し、図10にも示した産生方法に従った本発明の細胞系またはその子孫によって産生する。それぞれの部位について記載した主要な構造は、直交技法に基づいている(本明細書参照)。それぞれの構造について、これらの実験中に観察されたその構造の推定割合を記載する。これらの割合は、直交技法からの最良推定を表す。
(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、または(vi)配列番号4の25〜383の残基のアミノ酸配列を有する単量体からなるCTLA4A29YL104E−Ig二量体は、約78,000〜約79,000ダルトンの推定理論MWを有することができる。しかし、MALDI−TOFによって得られたこのような二量体のMWは約91,500ダルトンである。この約12,000〜13,000ダルトンのMWの差異は、少なくとも部分的にグリコシル化に原因がある。上記で特定した単量体は、配列番号4の残基102、134、および233のアスパラギンで起こることがペプチドマッピングによって確認されている3つのN結合型グリコシル化部位を有する(図4のN76、N108、およびN207)。アスパラギンによって連結されている炭水化物分子は、酵素ペプチド−NグリコシダーゼF(PNGase F)を用いて選択的に切断することができる。グリコシル化部位となる潜在性を有する数々のセリンおよびスレオニン残基が存在するが、3つのO結合部位のみ、すなわち配列番号4のSer149、Ser155、およびSer165が同定されている(実施例22の表25参照)。一実施形態では、これらの部位に付着している主なグリカンはHexNAc−Hex−NeuAcである。
特定の実施形態では、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子は、本発明の培養方法によって産生することができる糖タンパク質である。一実施形態では、CTLA4−Ig糖タンパク質は、分子の約15%(w/w)を表すオリゴ糖によって修飾されている。これらのオリゴ糖は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質の薬物動態学(PK)パラメータに重要な役割を果たすことができる。さらに、様々なオリゴ糖プロフィールがタンパク質の安定性および分解に影響を与えることができる。たとえば、O結合型オリゴ糖は、免疫グロブリン定常領域のヒンジ領域での自己融解を妨げることによってCTLA4A29YL104E−Ig分子の安定性を増強し得る。
CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団のオリゴ糖分布は、細胞培養およびプロセスの複雑さが原因で、性質が不均一な場合がある。不均一性はグリコシル化部位が完全に占有または非占有されていること、および任意の特異的部位に多くの異なるオリゴ糖構造を存在させることができることが原因で存在することができ、これは、シアル酸修飾パターンの変動をさらに示すことができる。
一実施形態では、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の第一級シアル酸部分はN−アセチルノイラミン酸(NeuAc、NANA)であり、第二級シアル酸部分はN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)である。シアル酸および複合シアル酸含有構造の荷電性質によりCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igそれぞれの複数のアイソフォームが生じることができ、そのようなアイソフォームは等電点電気泳動(IEF)プロフィールで明らかにすることができる。たとえば、CTLA4−IgのIEFプロフィールには図11および実施例3を参照されたい。さらに、CTLA4A29YL104E−IgのIEFプロフィールには図12および実施例22を参照されたい。
一実施形態では、本発明は、優勢のCTLA4−Igアイソフォームが5.1または5.0以下の等電点(pI)を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供し、これは、たとえばIEFによって決定することができる。別の実施形態では、優勢のCTLA4A29YL104E−Igアイソフォームが5.5以下の等電点(pI)を有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供し、これは、たとえばIEFによって決定することができる(図12)。
一実施形態では、本発明は、約4.2〜約5.7のpI、約4.25〜約5.5、約4.3〜約5.3、または約4.5〜約5.2を有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、約4.45〜約5.30のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約4.3〜約5.1のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。特定の実施形態では、本発明は、約4.45〜約5.0のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。一実施形態では、本発明は、IEFによって決定して集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が約5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4.4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または2.1以下の等電点を示す、CTLA4−Ig分子の集団を提供する(これらの値は±0.2の標準偏差を有することができる)。一実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig分子の集団をIEFゲル電気泳動に供し(ゲル上の単一のバンドが特定のpIを有するCTLA4−Ig分子の部分集団を表す)、バンドをゲルから切り取ることによって特定のpIを有するCTLA4−Ig分子の部分集団を単離し、続いて切り取ったゲルバンドからタンパク質を精製することを含む、約4.45〜約5.30、または約4.45〜約5.1、または約4.45〜約5.0のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を調製する方法を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、約4.5〜約5.2のpIを有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、約4.7〜約5.1のpIを有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、約2.0〜約5.2のpIを有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。一実施形態では、本発明は、IEFによって決定して集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が約5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4.4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、または3.0以下の等電点を示す、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する(これらの値は±0.2の標準偏差を有することができる)。一実施形態では、本発明は、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団をIEFゲル電気泳動に供し(ゲル上の単一のバンドが特定のpIを有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の部分集団を表す)、バンドをゲルから切り取ることによって特定のpIを有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の部分集団を単離し、続いて切り取ったゲルバンドからタンパク質を精製することを含む、約4.5〜約5.2;約4.7〜約5.1;約2.0〜約5.2のpIを有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を調製する方法を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、シアル酸基のモル数対CTLA4−Ig分子のモル数の平均モル比が約6〜約32、約8〜約32、約11〜約30、約12〜約20、約13〜約19、約14〜約18、約15〜約17、約6〜約16、約8〜約16、約8〜約14、約8〜約12である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
一部の実施形態では、≦25ppm〜≦10ng/mgの最大の許容可能なCHO宿主細胞タンパク質が、CTLA4−Ig分子の組成物を特徴づける。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、≦2.5pg/mg〜≦1.0pg/mgのレベルの宿主細胞DNAによって特徴づけられている。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、≦1.0ng/mgまたは≦1.0ppmのレベルのTritonX−100によって特徴づけられている。TritonX−100の濃度は、Waters OASIS−HLB固相抽出を用いてTritonX−100を抽出し、次いで水で洗浄して残留タンパク質を除去することによって、決定することができる。結合したTritonX−100は、アセトニトリルを用いた溶出によって除去する。アセトニトリル溶出液は、SAS Hypersil 5μmカラムおよびアセトニトリル:水(80:20)からなる移動相を用いた逆相クロマトグラフィーによって分析する。検出は225nmでのUV吸光度による。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、≦2.5面積%の酸化および≦2.0面積%の脱アミド化によって特徴づけられている。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、≦3.0面積%の酸化および≦2.5面積%の脱アミド化によって特徴づけられている。トリプシンペプチドマッピング方法を用いて酸化および脱アミド化を定量した。%酸化のデータは、CTLA4−Igタンパク質中のMet85からメチオニンスルホキシドへの酸化の面積%を定量するRP−HPLCトリプシンマッピングアッセイを用いることによって決定した。本方法の%酸化は、Met85を含む残基84〜93からなるT6トリプシンペプチド、およびMet(O)85を含む対応する酸化されたトリプシンペプチドであるT6oxについて、RP−HPLCトリプシンマップ中のUVピーク面積を測定することによって得られる。Met85からMet(O)85への酸化の面積%は、T6oxピークの面積%に正比例する:%酸化=100*AT6ox/(AT6ox+AT6)、AT6=T6トリプシンペプチドのピーク面積、(84〜93)、AT6ox=T6oxトリプシンペプチドのピーク面積、Met(O)85(84〜93)。酸化および脱アミド化の面積%を定量するRP−HPLCトリプシンマッピングアッセイを用いることによって得られた%脱アミド化のデータは、Asn294を含む残基281〜302からなるT26トリプシンペプチド、およびisoAsp294を含む対応する脱アミド化されたトリプシンペプチドであるT26deam1について、RP−HPLCトリプシンマップ中のUVピーク面積を測定することによって得られる。したがって、Asn294からisoAsp294への脱アミド化の面積%は、T26deam1ピークの面積%に正比例する:AT26=T26のピーク面積、(281〜302)、AT26deam1=T26deam1のピーク面積、isoAsp294(281〜302)。AT26deam2=T26deam2のピーク面積、Asp299(281〜302)。AT26deam3=T26deam3のピーク面積、Asp294(281〜302)。AT26deam4=T26deam4のピーク面積、Asu294(281〜302)。
別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、15〜35モルのN−アセチルグルコサミン(GlcNAc):CTLA4−Igタンパク質1モル、または1.7〜3.6モルのN−アセチルガラクトサミン(GalNAc):CTLA4−Igタンパク質1モルによって特徴づけられている。アミノ単糖は、酸加水分解によるタンパク質の放出後にキャピラリー電気泳動(CE)によって定量する。放出されたアミノ単糖は、その検出および定量を容易にするために再アセチル化し、アミノピレントリスルホン酸(APTS)で蛍光標識する。内部標準として役立たせるためにN−アセチルマンノサミンを試料およびアミノ単糖標準に加える。内部標準を用いて試料中のアミノ単糖のピーク面積を正規化し、標準中のそのそれぞれの正規化したアミノ単糖のピーク面積と比較することによって定量する。その後、それぞれの単糖のCTLA4−Ig分子に対するモル比を計算する。
一実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、以下のN結合型オリゴ糖プロフィールの明細によって特徴づけられている:
一実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物は、組成物が以下の比を有する中性単糖によって特徴づけられている:
ガラクトース:8.0〜17モル:CTLA4−Igタンパク質1モル
フコース:3.5〜8.3モル:CTLA4−Igタンパク質1モル
マンノース:7.7〜22モル:CTLA4−Igタンパク質1モル、または
ガラクトース:9.0〜17モル:CTLA4−Igタンパク質1モル
マンノース:11〜19モル:CTLA4−Igタンパク質1モル。
別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig組成物の単糖モル比範囲は以下のとおりである:約10〜20モルのマンノース/タンパク質1モル;約4.2〜7.0モルのフコース/タンパク質1モル;および約9.2〜17モルのガラクトース/タンパク質1モル。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig組成物は、約5.0〜10.0モルのNANA/タンパク質1モルのNANAモル比によって特徴づけられている。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig組成物は、<1.5モルのNGNA/タンパク質1モルのNGNAモル比によって特徴づけられている。一部の実施形態では、シアル酸のモル比の%偏差は≦15%または≦20%または≦30%である。
一実施形態では、CTLA4−Ig分子の集団は、それぞれが少なくとも3個のシアル酸基を有するCTLA4−Ig単量体を含むことができる。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の集団は、それぞれが3〜8個のシアル酸基を有するCTLA4−Ig単量体を含む。
一実施形態では、本発明は、集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が約5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4.4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、または3.0以下の等電点を示す、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、NANAのモル数対CTLA4−Ig分子または二量体のモル数の平均モル比が約6〜約16、約6〜約14、約6〜約12、約8〜約12、約8〜約14、約8〜約16である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
他の実施形態では、本発明は、NGNAのモル数対CTLA4−Ig分子または二量体のモル数の平均モル比が約2、1.8、1.6、1.5、1.4、1.0、0.8、または0.5以下である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、シアル酸基のモル数対CTLA4A29YL104E−Ig分子または二量体のモル数の平均モル比が約5.5〜約8.5である、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、シアル酸基のモル数対CTLA4A29YL104E−Ig分子または二量体のモル数の平均モル比が約5〜約10である、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団は、それぞれが少なくとも2.5個のシアル酸基を有するCTLA4A29YL104E−Ig単量体を含むことができる。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団は、それぞれが2.5〜5個のシアル酸基を有するCTLA4A29YL104E−Ig単量体を含む。
他の実施形態では、本発明は、集団のアミノ単糖および/または中性単糖および/またはシアル酸のモル数対CTLA4−Ig分子または二量体のモル数の平均モル比によって識別される、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。特定の実施形態では、本発明は、集団のアミノ単糖および/または中性単糖および/またはシアル酸のモル数対CTLA4A29YL104E−Ig分子または二量体のモル数の平均モル比によって識別される、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。アミノ単糖にはN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)およびN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が含まれる。中性単糖にはマンノース、フコース、およびガラクトースが含まれる。シアル酸にはN−アセチルノイラミン酸(NANA)およびN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)が含まれる。
一実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcのモル数の平均モル比が約10〜約40、約15〜約35、約15〜約25、または約15〜約20であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGlcNAcのモル数の平均モル比が約40、38、35、30、25、20、18、または15以下であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
別の実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGalNAcのモル数の平均モル比が約1.5〜約8.5、約1.7〜約3.0、約1.7〜約4.0、約1.7〜約5.0、約1.7〜約6.0、約1.7〜約7.0、約1.7〜約8.0、または約1.7〜約8.3であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのGalNAcのモル数の平均モル比が約8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4.0、3.8、3.6、3.5、3.0、2.5、2.0、1.7、または1.5以下であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのガラクトースのモル数の平均モル比が約7.5〜約20.0、約8.0〜約19.0、約8〜約18.0、約8.0〜約17.0、約8.5〜約17.0、または約9.0〜約17.0であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのガラクトースのモル数の平均モル比が約20.0、19.0、18.0、17.0、16.0、15.0、14.0、13.0、12.0、11.0、10.0、9.0、8.5、8.0または7.5以下であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのフコースのモル数の平均モル比が約3〜約8.5、約3.5〜約8.5、約3.5〜約8.3、約3.5〜約8.0、約3.5〜約7.5、または約3.5〜約7.0であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのフコースのモル数の平均モル比が約8.5、8.3、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.2、または3.0以下であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたりのマンノースのモル数の平均モル比が約7〜約23、約7.5〜約23、約7.7〜約23、約7.7〜約22.5、約7.7〜約22、約7.7〜約20、約7.7〜約18、約7.7〜約16、約8.0〜約16.0、約9.0〜約17.0、約10〜約19.0、または約11〜約19.0であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、集団内の分子の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%が、CTLA4−Ig分子もしくは二量体1モルあたりまたはCTLA4−Ig分子1モルに対するのマンノースのモル数平均モル数が約23、22.5、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9.5、9、8.5、8、7.7、7.5、7.3または7以下であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
一実施形態では、本発明は、生物活性を保持したままで血清からのクリアランスが低下することにより生じるまたはそれによって実証されるものなど、曲線下面積(AUC)によって測定される曝露の増加などのPK値の増加を示す、グリコシル化されたCTLA4−Igの集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、生物活性を保持したままで血清からのクリアランスが低下することによって実証される、薬物動態学(PK)値の増加を示すグリコシル化されたCTLA4A29YL104E−Igの集団を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、さらなるグリコシル化部位を有する可溶性CTLA4−Ig分子の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、さらなるグリコシル化部位を有する可溶性CTLA4A29YL104E−Ig分子の類似体を提供する。さらなるグリコシル化部位は、シアル化されていることができるさらなる炭水化物構造の付着点を提供する。シアル酸含有率の増加は、PK値の増加および/または糖タンパク質安定性の増加をもたらすことができる。より高いシアル酸含有率が有益である。本発明のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子のさらなる実施形態を生じるために、さらなるシアル酸を付加させるために酵素を用いるインビトロの精製後方法を行うことができる。
本発明の実施形態には、本明細書中に開示した任意の1つの範囲が、本明細書中に開示した任意の1つまたは複数の範囲と組み合わせて含まれる。本発明の実施形態には、本明細書中に開示した任意の1つのCTLA4−Igの特徴または特性が、本明細書中に開示した任意の1つまたは複数のCTLA4−Igの特徴または特性と組み合わせて含まれる。
CTLA4−IgおよびCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を分析および単離する方法
本明細書中に記載の以下の方法を用いて、それだけには限定されないが、集団のアミノ単糖および/または中性単糖および/またはシアル酸のモル数のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの分子または二量体1モルあたりの平均モル比を含めた様々な糖プロフィールに基づいて、特定のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を識別、同定、または単離することができる。
培養細胞から分泌された糖タンパク質を培地または上清から単離することができる。細胞によって産生された糖タンパク質を、所望に応じて、全細胞培養期間の終わりに、当分野で知られており実施されている、または本明細書中に記載の単離および精製方法を用いて、採取、回収、単離、および/または精製もしくは実質的に精製する。一実施形態では、細胞によって発現されるが細胞によって分泌されない本発明の糖タンパク質も、たとえば、細胞溶解液を作製して糖タンパク質を単離すること、および/または以下にさらに記載する当分野で知られており実施されている方法を用いることによって、細胞から回収することができる。
本発明の細胞培養プロセスによって産生された糖タンパク質は、炭水化物分析の様々な技術によって分析することができる複合炭水化物を含む。たとえば、当分野で周知のレクチンブロッティングなどの技術により、末端マンノース、またはガラクトースなどの他の糖の割合が明らかになる。一、二、三、または四分岐のオリゴ糖がシアル酸で終止することは、無水ヒドラジンまたは酵素的方法を用いたタンパク質からの糖の放出、およびイオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、または当分野で知られている他の方法によるオリゴ糖の分画によって、確認することができる。
2種類の主なグリコシド結合、すなわちN結合型およびO結合型が糖タンパク質中に見つかる。N−グリコシル化は、グリカンとアスパラギン残基のアミド窒素との共有結合によって作製される。O−グリコシド結合は、セリン、スレオニン、ヒドロキシリシンまたはヒドロキシプロリンのヒドロキシル基とグリカンとの共有結合によって作製される。糖タンパク質の炭水化物部分は、宿主−病原体相互作用、血清からのクリアランスおよび様々な組織の標的化を含めた数々の分子認識現象に関与している。CTLA4−IgおよびCTLA4A29YL104E−Ig分子に関して、炭水化物部分は、少なくとも、CTLA4−Ig分子とCD80もしくはCD86との結合、またはCTLA4A29YL104E−Ig分子とCD80もしくはCD86との結合に影響を与えることができる。
炭水化物構造は、典型的には発現されたタンパク質上でN結合型またはO結合型炭水化物として存在する。N結合型およびO結合型炭水化物は、主にその核構造が異なる。N結合型グリコシル化とは、炭水化物部分がGlcNAcを介してペプチド鎖中のアスパラギン残基に付着することをいう。一実施形態では、N結合型炭水化物はすべて共通のMan1−6(Man1−3)Manβ1−4Glc−NAcβ1−4GlcNAcβ−R核構造を含み、この核構造中、Rはアスパラギン残基を表す。生じたタンパク質のペプチド配列はアスパラギン−X−セリン、アスパラギン−X−スレオニン、およびアスパラギン−X−システインを含み、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である。
対照的に、O結合型炭水化物は、スレオニンまたはセリンのヒドロキシル基に付着したGalNAcを含む共通の核構造によって特徴づけられている。N結合型およびO結合型炭水化物のうち、最も重要なのは複合N結合型およびO結合型炭水化物である。そのような複合炭水化物はいくつかの分岐構造を含む。一、二、三、および四分岐構造は、末端シアル酸の付加に重要である。そのような外鎖構造は、タンパク質生成物の炭水化物を含む特定の糖および結合の追加の部位を提供する。
治療的糖タンパク質はしばしば、組換えDNA細胞培養技術を用いて産生する。細胞培養物中のタンパク質のグリコシル化分布は、pH、細胞密度、栄養素の濃度、および代謝物の濃度の変動によって影響を受ける場合がある。環境効果に対するグリカン分布の感受性が原因で、再現可能な産物が製造されることを確実にするために、産物の開発および産生中にグリカン分布を注意深く監視することが必要となる。
治療的使用のための組換え由来の糖タンパク質の開発により、その炭水化物構造の特徴づけおよびプロファイリングを行う方法の要求が高まっている。ネイティブタンパク質と比較するための組換えタンパク質の最初の特徴づけを行って、存在するオリゴ糖構造を同定し、オリゴ糖組成の一貫性を監視し、細胞培養物または産生プロセスの変更の結果生じる可能性がある変化を評価し、かつ様々な細胞系中での発現の結果生じるグリコシル化の変化を同定するために、オリゴ糖マッピングが用いられている。
炭水化物構造的の分布を評価するために様々な技術が利用可能である。これらには、広範囲の検出技術と組み合わせたゲル濾過、クロマトグラフィーおよび電気泳動分離美術が含まれる。試料の量が限られている場合は、検出を向上させるために、糖タンパク質をしばしば2−アミノ安息香酸および2−アミノピリジンなどの蛍光試薬で誘導体化する。しかし、誘導体化および誘導体の精製は時間がかかる場合がある。試料の大きさが問題でない場合は、炭水化物構造的の分布の直接評価が可能である。
糖タンパク質のオリゴ糖含有率の分析
特定の糖タンパク質は、炭水化物の不均一性を示すことができる。不均一性はいくつかのレベルで見られる場合があり、グリコシル化部位は完全に占有されている状態から占有されていない状態まで変動することができ、任意の特異的部位を多くの異なるオリゴ糖構造が占めていることができ、それぞれの構造はNANAまたはNGNAなどのシアル酸分子によって修飾されていることができる。
本発明のタンパク質の炭水化物含有率は、本明細書中の実施例中に記載した方法を含めた当分野で知られている方法によって分析することができる。グリコシル化分析のためにいくつかの方法が当分野で知られており、本発明のコンテキストで有用である。これらの方法は、産生されたペプチドに付着したオリゴ糖が何であるかおよびその組成に関する情報を提供する。本発明に関連して有用な炭水化物分析の方法には、それだけには限定されないが、レクチンクロマトグラフィー;荷電に基づいてオリゴ糖を分離するために高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いるパルスアンペロメトリック検出と組み合わせた高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD);NMR;質量分析;HPLC;多孔性黒鉛化炭素(GPC)クロマトグラフィーが含まれる。
オリゴ糖を放出させる方法が知られている。これらの方法には、1)一般的にペプチド−N−グリコシダーゼF/エンド−α−ガラクトシダーゼを用いて行われる酵素的方法;2)厳しいアルカリ環境を用いて主にO結合型構造を放出させるβ−排除方法;ならびに3)無水ヒドラジンを用いてN結合型およびO結合型オリゴ糖をどちらも放出させる化学的方法が含まれる。分析方法は以下の工程を含むことができる:1.試料を脱イオン水に対して透析してすべてのバッファー塩を除去し、次いで凍結乾燥を行う工程。2.無水ヒドラジンを用いてインタクトのオリゴ糖鎖を放出させる工程。3.インタクトのオリゴ糖鎖を無水メタノールHClで処理して個々の単糖をO−メチル誘導体として遊離させる工程。4.任意の第一級アミノ基をN−アセチル化する工程。5.ペル−O−トリメチルシリルメチルグリコシドを得るために誘導体化する工程。6.CP−SIL8カラム上のキャピラリーガス−液体クロマトグラフィー(GLC)によってこれらの誘導体を分離する工程。7.既知の標準と比較したGLCおよび質量分析からの保持時間によって個々のグリコシド誘導体を同定する工程。8.内部標準(13−O−メチル−D−グルコース)を用いてFIDによって個々の誘導体を定量する工程。
中性およびアミノ糖の存在は、パルスアンペロメトリック検出と組み合わせた高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD炭水化物システム;Dionex Corp.)を用いることによって決定することができる。たとえば、糖を、20%(v/v)のトリフルオロ酢酸中、100℃、6時間での加水分解によって放出させることができる。その後、加水分解物を凍結乾燥によってまたはSpeed−Vac(Savant Instruments)を用いて乾燥させる。その後、残渣を1%の酢酸ナトリウム三水和物溶液に溶かし、HPLC−AS6カラムで分析する(Anumula et al., 1991, Anal. Biochem., 195:269-280に記載のように)。
あるいは、免疫ブロット炭水化物分析を行うことができる。この手順では、Haselbeck et al. (1993, Glycoconjugate J., 7:63)に記載の酸化的免疫ブロット手順に基づいた市販のグリカン検出系(Boehringer)を用いて、タンパク質に結合した炭水化物を検出する。製造者に推奨される染色プロトコルを次いで行うが、ただし、タンパク質をニトロセルロース膜の代わりにポリ二フッ化ビニリデン膜に移し、遮断バッファーは10mMのトリスバッファー中に5%のウシ血清アルブミン、pH7.4(0.9%の塩化ナトリウムを含む)を含む。検出は、アルカリ性リン酸コンジュゲートと連結した抗ジゴキシゲニン抗体(Boehringer)、ホスファターゼ基質を用いてトリス緩衝生理食塩水中に1:1000の希釈液、塩化4−ニトロブルーテトラゾリウム、0.03%(w/v)ならびに100mMのトリスバッファー中に5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル−ホスフェート0.03%(w/v)、pH9.5(100mMの塩化ナトリウムおよび50mMの塩化マグネシウムを含む)を用いて実施する。炭水化物を含むタンパク質バンドは、通常約10〜15分間で可視化される。
タンパク質と会合した炭水化物は、ペプチド−N−グリコシダーゼFを用いた消化によっても切断することができる。この手順によれば、残渣を、0.18%のSDS、18mMのβ−メルカプトエタノール、90mMのリン酸、3.6mMのEDTA、pH8.6を含む14μLのバッファーに懸濁させ、100℃で3分間加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を2つのほぼ同量の部分に分割する。それ以上処理しない一方の部分は、対照として役割を果たす。他方の部分は約1%のNP−40洗剤に調節し、次いで0.2単位のペプチド−N−グリコシダーゼF(Boehringer)を加える。どちらの部分も37℃で2時間温め、その後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析する。
糖タンパク質のグリカンマッピングは次第に受け入れられている。本明細書中に記載の方法は、グリカンの種類、シアリル化の程度および炭水化物の非還元末端の分枝鎖の数に関して、オリゴ糖の迅速な特徴づけを可能にする。したがって、特定の実施形態では、本発明は、特定のオリゴ糖プロフィールによって特徴づけられているCTLA4−Igの集団を提供する。オリゴ糖プロファイリングは、典型的には、オリゴ糖のクロマトグラフィー分離、次いで検出および相対定量によって行う。クロマトグラフィープロファイリングの代替方法は、オンライン脱塩後のESIインフュージョンによるオリゴ糖の直接分析である。
PGCによるオリゴ糖プロファイリングを用いて、N結合型オリゴ糖をCTLA4−Ig分子から特徴づけることができる。CTLA4−Ig分子(配列番号2)から同定されたオリゴ糖の構造クラスは31個存在し、これにはO−アセチル化したシアル酸基を含む構造クラスも含まれる。構造クラスの立証はMS/MSおよび陽性イオンモードのMSを使用することによって達成される。構造クラスの相対定量は、206nmでのUV追跡を積分することによって可能である。個々のN結合部位からの部分集団プロフィールの比較が知られており、N結合部位間で顕著な集団差異が明らかとなっている。PGCを用いたオリゴ糖プロファイリングは、HPAECなどのより伝統的なプロファイリング方法に代わる便利かつ情報に富んだ代替方法を提供する。
配列番号2の単量体を含むCTLA4−Ig分子中のN結合型構造
CTLA4−Ig多量体または二量体上には鎖1本あたり(すなわち単量体1個あたり)3つのN結合型グリコシル化部位が存在し、単量体は配列番号2の配列、たとえば、(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、または(vi)配列番号2の25〜383を有する。部位によるグリコシル化の変異は、タンパク質のトリプシン消化からのN結合型グリカンを含むペプチド断片を単離することによって分析する。タンパク質上のN結合型グリコシル化部位はAsn102、Asn134およびAsn233に位置し、それぞれトリプシン断片5、7、および14に含まれる。単離したペプチド断片からのN結合型オリゴ糖の酵素的放出、次いで放出されたオリゴ糖のPGCプロファイリングにより、図13に示すプロフィールがもたらされる。Asn233(トリプシン断片14、T14)から放出されたグリカンのプロフィールから、このオリゴ糖集団がアシアロ構造に富むことが明らかである(構造はシアル酸を有さない)。Asn102およびAsn134(T5およびT7)で付着したグリカンからのオリゴ糖プロフィールは、大量のシアル化された構造を含む。
糖タンパク質から放出された単離したオリゴ糖を多孔性黒鉛化炭素LC/UV/MSシステムに直接注入する。図14および15は、酸性および塩基性添加剤を含むアセトニトリル勾配によって作製した典型的なPGCプロフィールのTICおよびUVクロマトグラムを示す。ほとんどの場合、単一のクロマトグラフィーピークからの質量スペクトルは単一のオリゴ糖の質量ピークを含む。TFAを含む溶出プロフィールから30個のオリゴ糖構造クラスが同定される。NH4OHを含む溶出プロフィールからは16個のオリゴ糖構造クラスしか同定されない。それぞれの構造クラス内には、N−アセチルノイラミン酸(NANA)の代わりにN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)の置換を含む変異構造および様々な度合のシアル酸アセチル化が存在する。オリゴ糖クラスのイオン計数の比較からは定性的情報しか得られないが、4つのドメインのそれぞれ内の主要な構造クラスがP2100、P2111、P2122、およびP3133であることは明らかである。これは、206nmでのUV追跡から得られた積分値と一貫している。さらなる構造的立証は、陽イオン質量スペクトルから得ることができる。陽イオンモードのイオン化は、オリゴ糖源の主にグリコシド結合での断片化を促進する。陰イオン質量スペクトルによって決定されたオリゴ糖の分離が良好であるので、陽イオンモードからの断片化スペクトルは陽イオンMS/MSスペクトルを模倣する。ドメインIII(ジ−シアル化構造)は顕著な量のO−アセチル化した構造P2122−Acを含む。陽イオンm/sデータは、構造上のシアル酸の1つのO−アセチル化を支持する。シアル酸残基の最も一般的なO−アセチル化部位は、C−7およびC−9位置のものである(Shi WX, Chammas R., Varki A., J. Biol. Chem. 271 (1996) 15130-15188)。生理的な細胞外pHでは、C−7でのO−アセチルエステルはC−9へと自発的に遊走する。したがって、最も可能性の高いO−アセチル化部位はC−9である。
N結合型オリゴ糖含有率の分析:分析技術は、カラムクロマトグラフィーによるN結合型オリゴ糖の切断および単離を含むことができ、非限定的な実施形態ではHypercarbカラムを用いる。Hypercarbクロマトグラフィーに供したグリカンを単離し、HPAEC−PADによって分析することができ、この分析により特定の糖タンパク質を修飾する炭水化物の種類が決定される。N結合型オリゴ糖の分析的特徴づけは、多孔性黒鉛化炭素(PGC)を用いた液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によっても達成することができる。炭水化物分析には、炭水化物構造を含むペプチドを決定するためのトリプシン、Asp−N、およびトリプシン/キモトリプシンペプチドマッピングが含まれることもできる。
N結合型オリゴ糖構造は、一連の直交型質量分析およびHPAEC−PAD技術を用いて分析することができる(実施例参照)。これらの技術には、いくつかのエンドペプチダーゼ切断、次いでLC/MS/MS分析が含まれる。配列番号2からの配列を有するCTLA4−Ig単量体に関して、N結合型グリコシル化の3つの主要な部位はLC/MSおよびLC/MS/MSエレクトロスプレーイオン化を用いて特徴づけ、それぞれのN結合部位での主要な構造を決定した。これらのデータを図9に要約する。N結合型オリゴ糖にはAsn102、Asn134、およびAsn233での少なくとも3つの主要な付着点が存在する。さらに、Asn233は、約80%の場合でシアル酸基の存在が含まれない、N結合型構造の集団を含むことが見出された。
糖ペプチドのLC/MS、オリゴ糖のLC/MS、およびHPAEC−PADによって決定されたCTLA4−IgのN結合型オリゴ糖構造:N結合型炭水化物は、Asn−X−Ser/Thrのコンセンサス配列モチーフと会合している。この配列は、以下の配列のうちの1つを有するCTLA4−Ig単量体鎖上に3回現れる:(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383。コンセンサス配列モチーフは、配列番号2中にAsn102Leu103Thr104;Asn134Gly135Thr136;およびAsn233Ser234Thr235で現れる。コンセンサス配列に基づいて、二量体分子1個あたり6個の、以下の単量体配列のうちの任意の1つまたは2つからなるN結合型炭水化物部位が存在する:(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383。
N結合型炭水化物は、3つの一般的な種類、すなわち、高マンノース、ハイブリッドおよび/または複合体からなることができる。糖ペプチドを分析するためのLC/MS技術が開発されている。単量体のトリプシンタンパク質内分解的切断((i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383の配列の1つを有する)は、N結合型グリコシル化を含む3つのペプチドをもたらす。3つのN結合部位すべてを炭水化物構造が占めている。配列番号2のアミノ酸65〜109に対応するトリプシン断片T5は、Asn102上にグリコシル化を含む。配列番号2のアミノ酸120〜154に対応するトリプシン断片T7は、Asn134上にグリコシル化を含む。配列番号2のアミノ酸229〜237に対応するトリプシン断片T14は、Asn233上にグリコシル化を含む。
それぞれの部位上のグリコシル化の具体的な種類を決定するために、タンパク質消化のスケールを増加し、T5、T7、およびT14ペプチドを分離、次いで採取することによって、それぞれの特異的部位から炭水化物を得た。目的のトリプシンペプチドピークをPNGase Fで処理し、Hypercarbカラム上のLC/MSによる分析用に処理した。結果により、それぞれの部位で複合二、三、および四分岐構造の異種集団が示された。これらは図13に見ることができ、クロマトグラフィーにより糖が5つのドメイン、すなわち、アシアロ、モノ−シアロ、ジ−シアロ、トリ−シアロ、およびテトラ−シアロ構造(それぞれドメインI、II、III、IV、およびVと呼ぶ)に分離された。Asn
102(T5)炭水化物のクロマトグラム(図13パネルA)は、この部位での一連のモノ−およびジ−シアロ構造を例示する。Asn
134(T7)のクロマトグラム(図13パネルB)は、2つの主なジ−シアロ構造をモノ−シアロ構造の集団と共に例示する。Asn
233(T14)のクロマトグラム(図13パネルC)はわずかなシアリル化を例示する。N結合型炭水化物部位のそれぞれについて、MSスペクトルおよび対応する構造をそれぞれのクロマトグラムの主要なピークについて示す(図13、パネルE、F、H参照)。図13、パネルDでは、CTLA4−Igの全N結合型炭水化物プロフィールをクロマトグラム中に示す。選択したピークの質量および構造を表1に示す。オリゴ糖LC/MSデータは、ペプチドマップの詳細分析によって支援した。Asn
102(T5ペプチド)が最も高い度合の炭水化物不均一性を有し、二分岐の非シアル化構造から四分岐のテトラ−シアル化構造までの範囲であった。Asn
134(T7ペプチド)は主に二分岐構造を含む。この部位はAsn
102部位よりもはるかに少ない不均一性を含む。Asn
233(T14ペプチド)部位はわずかなシアリル化を含む。第3の分析技術であるHPAEC−PADも、2つの直交型LC/MSの発見を支援するために用いた。
*アシアロ種はTFA付加物として検出される。
全N結合型炭水化物の集団を、HPAEC−PADを用いて分析した。この方法によって得られたデータを表2および3に示す。表2では、アシアロ対トリ−シアロドメインの相対面積%をそれぞれの部位内に記載した(配列番号2のAsn
102、Asn
134、およびAsn
233)。表3では、オリゴ糖ドメインの面積%をオリゴ糖の集団全体の分率として示した。
完全なグリコシル化を仮定する。
糖ペプチドのLC/MS、オリゴ糖のLC/MS、およびHPAEC−PADによって決定されたCTLA4A29YL104E−Ig分子のN結合型オリゴ糖構造:N結合型炭水化物は、Asn−X−Ser/Thrのコンセンサス配列モチーフと会合している。この配列は、以下の配列のうちの1つを有するCTLA4A29YL104E−Ig単量体鎖上に3回現れる:(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383。コンセンサス配列モチーフは、配列番号4中にAsn102Leu103Thr104;Asn134Gly135Thr136;およびAsn233Ser234Thr235で現れる。コンセンサス配列に基づいて、二量体分子1個あたり6個の、以下の単量体配列のうちの任意の1つまたは2つからなるN結合型炭水化物部位が存在する:(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383。
N結合型炭水化物は、3つの一般的な種類、すなわち、高マンノース、ハイブリッドおよび/または複合体からなることができる。糖ペプチドを分析するためのLC/MS技術が開発されている。単量体のトリプシンタンパク質内分解的切断((i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383の配列の1つを有する)は、N結合型グリコシル化を含む3つのペプチドをもたらす(実施例22の表25参照)。3つのN結合部位すべてを炭水化物構造が占めている。配列番号4のアミノ酸65〜109に対応するトリプシン断片T5は、Asn102上にグリコシル化を含む。配列番号4のアミノ酸120〜154に対応するトリプシン断片T7は、Asn134上にグリコシル化を含む。配列番号4のアミノ酸229〜237に対応するトリプシン断片T14は、Asn233上にグリコシル化を含む(実施例22の表25参照)。
それぞれの部位上のグリコシル化の具体的な種類を決定するために、タンパク質消化のスケールを増加し、T5、T7、およびT14ペプチドを分離、次いで採取することによって、それぞれの特異的部位から炭水化物を得た。目的のトリプシンペプチドピークをPNGase Fで処理し、Hypercarbカラム上のLC/MSによる分析用に処理した。結果により、それぞれの部位で複合二、三、および四分岐構造の異種集団が示された。これらは図16に見ることができ、クロマトグラフィーにより糖が4つのドメイン、すなわち、アシアロ、モノ−シアロ、ジ−シアロ、およびトリ−シアロ構造(それぞれドメインI、II、III、およびIVと呼ぶ)に分離された。分析し、グリコシル化された分子間、またはグリコシル化された分子を含む集団もしくは組成物間で比較することができる炭水化物プロフィールの特徴には、ピーク面積%、ドメイン面積%、谷間距離、またはピーク間距離が含まれる。
CTLA4−IgのN結合型オリゴ糖のLC/MS特徴づけ
LC/MS多孔性黒鉛化炭素(PGC)クロマトグラフィーとは、高pH陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)を超えるいくつかの利点を提供することができる、N結合型オリゴ糖をプロファイリングする方法である。これらの利点の一部には、消化混合物からの直接プロファイリングにより試料の損失および分解が最小限となること;直接MS界面によりオリゴ糖の迅速に特徴づけおよび分析する方法が提供されること;PGCクロマトグラフィーによる分解能の増加によりドメイン間の比較およびより細かいドメイン内分析がどちらも可能になることが、含まれる。
LC/MS PGC方法は、グリカンの種類、ならびに炭水化物の非還元末端上のシアリル化および分枝鎖の程度を決定することに関して、オリゴ糖の迅速なプロファイリングおよび特徴づけを可能にする。その後、負イオンモードMSスペクトルにより最小限のオリゴ糖断片化で解釈が簡単なデータが生じ、陽性モードのイオン化は構造クラスの立証を可能にする。ここで記載した方法は、誘導体化を行う必要なしに、糖タンパク質の全消化混合物、および事前に単離したオリゴ糖試料に適用することができる。用いたクロマトグラフィー移動相は、より詳細な特徴づけのためのさらなる操作なしで、プリファイリングからのピークの採取および濃縮乾固を可能にする。一実施形態では、CTLA4−Ig N結合型オリゴ糖を特徴づけるためにこの方法を用いる。LC/MS PGC方法を用いて、31個の明確なオリゴ糖クラスを、配列番号2からの配列、たとえば、配列番号5、6、7、8、9、または10を有する単量体からなるCTLA4−Ig分子で同定することができる。
高pH陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)は、誘導体化を行う必要なしに糖タンパク質から放出されたオリゴ糖のプロファイリングを行うために大規模に用いられてきた。HPAECの高分解能ならびに分離が存在する糖残基の種類、結合の種類およびグリカンの大きさによって影響を受けることが、この技術が広範に用いられる理由である。分離の重要因子は荷電であり、高荷電のオリゴ糖は低荷電のグリカンよりも後に溶出される。クロマトグラフィープロフィールはしばしば、グリカン上の荷電種、典型的にはシアル酸残基の数によって定義されたドメインへと分割される(図17)。
未知のオリゴ糖の構造についてさらなる情報を得るために、HPAECピークを採取し、脱塩し、MSおよび/またはNMRによって特徴づけることができる。オリゴ糖分布のHPAEC−PADプロファイリングに関する1つの考慮すべき事項は、検出モード特有のばらつきである。電気化学的細胞老化および電極表面汚損はプロフィールのばらつきをもたらす。パルスアンペロメトリック検出を備えたHPAEC(HPAEC−PAD)を用いた場合に、オリゴ糖の構造およびシアリル化の度合が検出細胞間のばらつきをもたらす場合があることも報告されている。このばらつきは、プロセス変化の効果を評価するまたはバッチ間の一貫性を決定するために用いる定量および相対定量の結果に影響を与える場合がある。その速度および特異性により、質量分析(MS)が、糖タンパク質のオリゴ糖プロファイリングを評価するための技術として人気を得ている。MSプロフィールはアノマー立体配置または分枝鎖パターンを直接決定するために用いることはできないが、MSデータを用いて構造クラスを同定し、糖型の分布の定性的変化を検出することができる。
酵素的に放出させたN結合型オリゴ糖の多孔性黒鉛化炭素(PGC)クロマトグラフィープロファイリング方法では、酵素消化混合物から直接または単離したオリゴ糖から、N結合型オリゴ糖のプロファイリングおよび特徴づけを行うために、紫外線(UV)および質量分析(MS)検出をどちらも用いる。この方法を用いて、CTLA4−Ig糖タンパク質から放出されたオリゴ糖のプロファイリングおよび特徴づけを行うことができる。LC/MS PGC方法により、産生プロセスから生じるオリゴ糖分布の一貫性、およびプロセスの改変から生じるオリゴ糖分布の任意の変化を評価することができる。CTLA4−Ig分子のN結合型オリゴ糖のクロマトグラフィー微量分析では、酵素的に放出させたN結合型オリゴ糖をPGCカラムによって、シアリル化が増えていき、大きさが増えていく順序で容易に分離することができる。存在する構造の範囲およびそれぞれの構造クラスの相対量は、MSおよびUV分析組合せによって決定する(実施例3)。
LC/MS PGC方法を最適化するために、質量分析条件の最適化が有用な場合がある。最適化には、オリゴ糖検出に対する溶媒組成およびMSイオン化パラメータの効果を評価するための、一組の表面マッピング実験が含まれることができる。評価のための溶媒組成パラメータは、アセトニトリルの割合(容量による)ならびに溶出液添加物(トリフルオロ酢酸および水酸化アンモニウム)を含む。評価のために評価したMSイオン化パラメータには、エレクトロスプレー源の脱溶媒和温度、キャピラリー電位およびコーン電位の設定が含まれる。
イオン化パラメータはシグナル応答において顕著な役割を果たすことができる。表面マッピングの決定から生じるモデルを用いて、クロマトグラフィー決定中のイオン化パラメータを設定した。脱溶媒和温度およびコーン電位をどちらも高い値にした場合は、より大きな応答がもたらされた。キャピラリー電位の最適値は溶出液の添加物に応じて変化し、TFAを含む溶媒系はわずかに高い最適キャピラリー電位を有する。最も大きな効果を有する因子はアセトニトリルの容量%であり、より高いアセトニトリル含有率がより大きな応答をもたらす。
多孔性黒鉛化炭素クロマトグラフィー
多孔性黒鉛化炭素(PGC)は、オリゴ糖の固相抽出脱塩に用いられてきた。また、PGCは、酸性および塩基性の溶出条件のどちらの下でのオリゴ糖分離においても、有効なクロマトグラフィー媒体としても知られている。配列番号2からの単量体配列を有するCTLA4−Ig分子から酵素的に放出させたオリゴ糖の酸性および塩基性プロファイリングをどちらも行うためのクロマトグラフィー条件が開発されている。それぞれの条件は、UVおよびMS検出のどちらにも適合性がある。インフュージョン実験で観察されたように、酸性溶出条件は塩基性条件よりも高いMS感度をもたらす。酸性条件下で溶出させ、TFA付加物として検出された中性オリゴ糖のMS応答は、塩基性条件下で溶出させた対応するピークの強度の5〜9倍である。シグナル応答の差異は、酸性オリゴ糖ではこれほど劇的ではなく、モノシアル化されたグリカンで平均3倍のシグナル応答であり、ジ−シアル化グリカンで同等のシグナル応答である。NH4OHで溶出させたクロマトグラム(図15A〜B)と比較して、TFAで溶出させたクロマトグラム(図14A〜B)においてピークの数が増加していることは、オリゴ糖のアノマーの分離の結果である。TFA勾配から溶出させた個々のピークの採取および濃縮により、再注入の際に単一のピークが同一質量の2つのピークへと分裂することがもたらされる。PGCカラムからのオリゴ糖の塩基性溶出により、より単純なプロフィールがもたらされる(図15A〜B)。塩基性溶出条件は完全なアノマー分離をもたらさないが、顕著なピークの広幅化が観察される。ピークの分解能は、カラム温度を上げてアノマーの相互交換を加速することによって増大することができる(Itoh S., et al., J. Chromatogr. A. 2002 968(1-2), 89-100)。しかし、検出されたオリゴ糖の感度(イオン計数)は、酸性溶出条件よりも低いままである。酢酸アンモニウムなどの塩を添加することで感度を増加できることが報告されている。(Churms SC, J. Chromatogr. A. 500 (1990) 555-583.)
酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウムまたはギ酸アンモニウムの添加は応答の増加をもたらすが、非対称のピークの広幅化ももたらす。生じるピークの広幅化および加えた塩とUV検出との潜在的な干渉により、塩の添加は魅力的でない選択肢となった。アノマー分離を排除する代替手順は、オリゴ糖を対応するアルジトールへと還元することである。
より高い感度およびクロマトグラフィー分解能により、酸性溶出条件がオリゴ糖プロファイリングに有利となる。特定のプロファイリング系は、2つの二位置の6ポート弁を介してHypercarb 5μMカラム(100×4.6mm)と連結したLuna C18カラムからなる。Hypercarbカラムは、UV検出器(Waters 2996 PDA)に、標準のESIプローブを備えたQ−ToF Micro(Micromass)と直列で連結されている。適切なスイッチコントロールを介して、Hypercarbカラムを単独で用いて事前に精製したCTLA4−Ig試料のプロファイリングを行うことができるか、または、消化混合物をHypercarbカラムと直列のLuna C18に直接注入することによって消化混合物のプロファイリングを行うことができる。典型的には、プロフィールは10〜20nmolesのタンパク質から放出されたN結合型オリゴ糖から得られる。
特定の実施形態では、本発明は、代表的なピークを有するクロマトグラムのうちの任意の1つまたは複数に従ったクロマトグラムを有する、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。配列番号2からの配列を有する単量体を有するCTLA4−Ig分子の代表的なオリゴ糖プロフィールクロマトグラムを図13、図14A〜B、図15A〜B(PGC)、図17(HPAEC/PAD)、および図18A〜Bに示す。これらのクロマトグラフィープロフィールはどちらも、後に溶出されるドメインでシアリル化の度合が増加しているオリゴ糖構造を含む、4つの明確なドメインに分割することができる。PGCクロマトグラフィー系は、質量検出器との直接界面を可能にする。質量分解能および信号対雑音比は、低い割合で存在するオリゴ糖にも許容されるものであった。個々のオリゴ糖構造のクロマトグラフィー分解能は、HPAECよりもPGCクロマトグラフィー分離でより高いように見える。
HPAEC方法からのピークの採取には脱塩が必要であり、用いた高pHにより、ピークの正確な構造的同定と干渉し得る剥離反応の可能性が導入される。PGCクロマトグラフィーで用いたクロマトグラフィー条件は塩を含まないので、溶出されたオリゴ糖ピークを最小限の操作で採取および濃縮することができる。これにより、溶出させたピークを採取および濃縮すること、次いで採取したオリゴ糖をHPAEC系に注入することが可能となる。採取したオリゴ糖をHPAEC−PAD系に再注入することにより、HPAECプロフィール中に存在するピークの一部の構造的割当てが可能となる(図17)。陰イオン交換カラムでの不完全なピーク分解能が原因で、単離したピークのすべてをHPAECプロフィールにマッピングすることができなかった。
消化混合物の直接注入により生じたプロフィールおよび同じタンパク質試料からの単離したオリゴ糖のプロフィールは同一ではない。直接注入により生じたプロフィール(図18A〜B)は異なるアノマー比を有し、これは、採取されたオリゴ糖の濃度がアノマー化の増加をもたらしていることを示唆している。より重要なことに、直接注入により生じたプロフィールは、テトラ−シアル化構造に対応するピークを含む。この構造は採取および単離したオリゴ糖のプロフィールでは同定されていない。アッセイ時間の短縮に加えて、消化混合物から直接プロファイリングを行うことにより、採取および濃縮中のグリカン分解を回避することによってオリゴ糖分布をより正確に表すことができる。
相対定量
インフュージョン試料で行った表面マッピングにより、アセトニトリルの容量%が溶出されるオリゴ糖のイオン化効率に顕著な影響を与えることが示されている。シグナル強度が移動相中のアセトニトリル含有率に依存することで、MSによるオリゴ糖の相対定量が溶出ピークの保持時間に依存性となる。カラム条件の変化はPGCカラムでの溶出時間に影響を与えることができる。このため、イオンクロマトグラム溶出プロフィールから一貫した相対定量を得るのは困難であろう。206nmでのUV追跡は、イオン追跡と同程度までは溶媒組成によって影響を受けないはずである。UV追跡を用いて相対定量を行い、イオン追跡は特徴づけおよび定性的比較にのみ用いた。単一の糖タンパク質ロットから単離したオリゴ糖の反復注入により、定量した4つのオリゴ糖ドメインのそれぞれについて4%未満の%相対標準偏差(%RSD)がもたらされた。
配列番号2の単量体を含むCTLA4−Ig分子中のO結合型構造
N結合型炭水化物に加えて、CTLA4−Ig分子はO結合型炭水化物を含むことができる。O結合型オリゴ糖構造は、一連の直交型質量分析技術を用いて分析することができる。これらの技術には、いくつかのエンドペプチダーゼ切断、次いでLC/MS/MS分析が含まれる。
配列番号5、6、7、8、9または10からの配列を有する単量体から形成されるCTLA4−Ig分子に関して、O結合型グリコシル化の2つの主要な部位を、正確な質量エレクトロスプレーイオン化を用いて特徴づけ、それぞれのO結合部位での主要な構造を決定した。これらのデータを図9に要約する。3つの主要なO結合型構造が存在し、データは一貫している:(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1;(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2;(GalNAc)1(GlcNac)1(Gal)2(NeuAc)2。それぞれの構造は、それぞれの部位で異なる量で観察される。これらの量は相対定量的であり、複数の分析から得られたデータを表す。O結合型オリゴ糖は相当量のシアル酸をCTLA4−Igに提供する。鎖1本あたり2つの主要なO結合型オリゴ糖付着点が存在する。O結合型オリゴ糖発生の第1部位はSer165であり、約95%の確率で占有されている。O結合型オリゴ糖発生の第2部位はSer155/156であり、25%の確率で占有されている。本明細書中に提示する直交データは、そのようなCTLA4−Ig分子上に存在する主な炭水化物構造の概要を提供し、図9に要約されている。
一般に、O結合型炭水化物は、N結合型炭水化物中に存在するよりもはるかに多い構造の不均一性を有する。さらに、O結合型の結合にはコンセンサス配列が存在しない。したがって、O結合型オリゴ糖の構造的特徴づけで用いるために一連の直交型技術、すなわちLC/MSインタクト分析およびLC/MS糖ペプチド分析が開発された。
エドマン分解およびMALDIに基づいて、O結合部位がSer165であることが報告された(配列番号2に関して)。Ser165グリコシル化の存在の直接データを得るために、T9ペプチドにb’およびy’’イオンシリーズを用いたMS/MS配列決定を行った(表4および表5参照)。表4は、4つの異なるグリコシル化状態のT9ペプチドのイオンシリーズを示す。4つの状態すべてで、b’イオンシリーズ、b1...b6イオンは一致している。しかし、b’イオンシリーズ、b7...b最大は、b7での異なるグリコシル化状態によって異なっている(Ser165)。確認として、対応するy’’イオンシリーズを報告した。4つのy’’イオンシリーズすべてで、y1...y19イオンは完全に一致している。しかし、y’’イオンシリーズ、y20...y最大は、y20での異なるグリコシル化状態によって異なっている(Ser139)。b’およびy’’イオンシリーズは、一緒になって、Ser139がT9ペプチド上の主なO結合型グリコシル化の部位であるというエドマン配列決定の暗示を支持している。T9とは、いくつかのセリンおよびスレオニン残基を含むペプチドである。
表4は、(GalNAc)
1(Gal)
1(NeuAc)
1のO結合型ラダーを有するまたは有さないT9ペプチドのLC/MS/MSのb’およびy’’イオンを表す。b’イオンシリーズはすべてのスペクトルでb7まで同一であり、その後は、スペクトルはそれぞれのシリーズの上部に示したO結合型炭水化物構造により異なる。y’イオンシリーズはすべてのスペクトルでy19まで同一であり、その後は、スペクトルはそれぞれのシリーズの上部に示したO結合型炭水化物構造により異なる。
Ser165でのO結合型炭水化物構造は、3つの主要な種の異種集団を表す。図19では、T9糖ペプチドが逆重畳積分したスペクトルで観察される。2689.2amuでベースピークが存在し、これはこのペプチドの理論質量である2689.11amuと一致する。スペクトルは、3つの主要なO結合型構造を例示する。スペクトルは、O結合型構造(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1と一貫した、糖ラダーを有するベースペプチドを例示する。スペクトルの拡大した太字部分は10倍拡大しており、(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2および(GalNAc)1(GlcNAc)1(Gal)2(NeuAc)2と一貫した、2つの追加のO結合型構造を同定している。
質量分析を用いて、それぞれのO結合型種の相対存在量を評価した。図19では、(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1グリカンは、(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2グリカンと10:1比で、(GalNAc)1(GlcNAc)1(Gal)2(NeuAc)2グリカンと30:1比で観察された。したがって、一実施形態では、本発明は、10:1比の(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1グリカン対(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2グリカンを有する、CTLA4−Ig分子を含む集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、30:1比の(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1グリカン対(GalNAc)1(GlcNAc)1(Gal)2(NeuAc)2グリカンを有する、CTLA4−Ig分子を含む集団を提供する。(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2グリカンは、(HexNAc)2(Gal)2(NeuAc)2グリカンと20:1の比で観察される。別の実施形態では、本発明は、20:1比の(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2グリカン対(HexNAc)2(Gal)2(NeuAc)2グリカンを有する、CTLA4−Ig分子を含む集団を提供する。別の実施形態では、本発明は、本段落中の前記比のすべてを含む、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。さらに、陰イオンエレクトロスプレースペクトルにより、これら3つの主な構造が確認され;それぞれの相対存在量を図9に示す。
配列番号2の単量体を含むCTLA4−Ig分子に関して、Ser165部位に加えて、第2のO結合部位がSer155またはSer156で観察される。この部位は、Ser155/156と呼ばれる。Ser155/156を含むD8ペプチドをAspN消化から作製し、これは配列番号2のアミノ酸150〜156に対応する。ペプチドを分離し、LC/MSによって検出する。D8 O結合型糖ペプチドのスペクトル(示さず)は、理論質量790.8amuと一致する790.2amuのベースピークを示す。スペクトルは、ペプチドイオンおよび構造と一貫した一連のイオン、(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1を例示する。ペプチドは主に非グリコシル化されており;グリコシル化された(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1種は約22%ピーク面積を構成する。
CTLA4−Ig単鎖のO結合型オリゴ糖構造は、一連の直交型質量分析技術を用いて特徴づけた。これらの技術には、エンドペプチダーゼ切断およびそれぞれのO結合部位での主な構造を決定するためにエレクトロスプレーイオン化を用いた2つの主なO結合型グリコシル化の部位のLC/MS分析が含まれる。これらのデータを図20に要約する。4つの主なO結合型構造、すなわち、(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1;(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2;(HexNAc)2(Gal)2(NeuAc)2;(HexNAc)2(Gal)2,(NeuAc)3が存在することができる。これらの構造は、それぞれの部位について異なる量で検出される。95%を超えるCTLA4−Ig単鎖が少なくとも(HexNAc)2(Gal)2(NeuAc)2を有する。
O結合型炭水化物を確認し、より優勢でない構造を探すために、別のアッセイが開発された。この技術では、トリプシンおよびキモトリプシンの同時消化を利用して、MS/MSによってTHTSPPSPAPELL(配列番号2のアミノ酸159〜171)であることが確認されたペプチドを生じる。このペプチドにより、1個のモノシアル化、2個のジ−シアル化および1個のトリ−シアル化されたO結合型種の同定が可能となった。トリ−シアル化種には決定的な構造が解明されていないが、2つの可能性が提案されており、それらは、3つのシアル酸を有する核2の構造または2つの異なるアミノ酸残基上に存在する2つの核1の構造を含むペプチドである。
相補的技術、MSによるインタクト分析を用いて、CTLA4−Ig分子の異種O結合型グリコシル化の存在を確認した。CTLA4−Ig二量体およびCTLA4−Ig単鎖をPNGase Fで処理してN結合型オリゴ糖を除去した。その後、質量分析装置によって分子を検出し、対応するイオンの逆重畳積分を行ってスペクトルとした。単鎖物質では、主なグリカン組成は(HexNAc)2(Hex)2(NeuAc)2であり、参照は主に(HexNAc)1(Hex)1(NeuAc)1である。グリコシル化の組成は、LC/MSペプチド分析で観察されたものと一致している。O結合型グリコシル化パターンの変化に加えて、第2の主要な修飾が観察された。単鎖非還元種と還元CTLA4Ig標準との間で113±4uの質量シフトが観察される。113±4uの質量シフトは、DTTを用いた還元の際に消失した。二量体物質では、生じたイオンエンベロープの逆重畳積分を行ってスペクトルとし(示さず)、これは79944amuで主要なピークを有し、これは2(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1構造の存在に対応する。次に大きな80600amuのピークは、3つのO結合型構造または最大で一分枝鎖状のO結合型構造の組合せに対応する。3番目に大きなピークは、4つのO結合型構造または最大で二分枝鎖状のO結合型構造の組合せのどちらかに対応する。
シアル酸含有率の決定
糖タンパク質の特徴づけの別の態様は、シアル酸の決定である。シアル酸含有率は、糖タンパク質に特徴的な指標であることができる。本発明の糖タンパク質のシアル酸含有率は慣用の方法によって評価することができる。たとえば、シアル酸は、少なくとも3つ組の試料を用いて、直接比色方法(Yao et al., 1989, Anal. Biochem., 179:332-335)によって別々に決定することができる。シアル酸決定の別の方法は、Warren et al., 1959, J. Biol. Chem., 234:1971-1975に記載のように、チオバルビツール酸(TBA)の使用を含む。さらに別の方法は、H. K. Ogawa et al., 1993, J. Chromatography, 612:145-149に記載などのように、高速クロマトグラフィーを含む。
一実施形態では、N−アセチルノイラミン酸(NANA)およびN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)の量を決定する一方法は、目的の糖タンパク質の酸加水分解処理によるものである(たとえば、実施例3参照)。この方法では、NANAおよびNGNAを酸加水分解によってタンパク質から切断する。一実施形態では、糖タンパク質を、その精製に適した方法によって実質的に精製する。放出されたNANAおよびNGNAをRezex単糖RHMカラム上のHPLCによって分離し、UV吸光(206nm)によって検出する。同時に流すNANAおよびNGNA標準の応答係数に基づいて、NANAおよびNGNAを定量する。結果は、タンパク質に対するNANAおよびNGNAのそれぞれのモル比(MR)として報告することができる。
シアル酸含有率を測定する酸加水分解方法の目的は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig試料中のタンパク質に対する全シアル酸(NANAおよびNGNA)の量を測定することである(モル比)。しかし、これらのシアル酸モル比には、結合および遊離のNANAおよびNGNAがどちらも含まれることに留意することが重要である。モル比の結果は、加水分解したCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig試料対加水分解していないNANAおよびNGNA標準からのNANAおよびNGNAのピーク面積の比較に基づいて得られる。NANAおよびNGNAの加水分解した標準も用いることができる。
たとえば、配列番号2のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig分子についてモル比を得た。加水分解なしでは、NANAおよびNGNA標準のクロマトグラム中の目的のピークは単一のピークとして現れる。NANA標準およびCTLA4−Ig試料を加水分解した場合、生じるクロマトグラムはNANAを主要なピークとして示し、小さな肩のピークがすぐに続く(主要なピーク面積の<10%;「分解NANA」と呼ぶ);加水分解を行ったおよび行わなかった同濃度のNANA標準は、分解物を含めて非常に近いピーク面積をもたらした。分解NGNA種については、クロマトグラム中に明らかに見えるピークは存在しないが、加水分解したNGNA標準中のNGNAピークの面積計数は、約8〜9%低下することが見られた。質量分析(MS)実験により、「NANA分解物」は、加水分解したNANA標準および加水分解したCTLA4−Ig試料のどちらにおいても、NANAからの18ダルトン(水)の損失から生じることが実証された。したがって、本方法には、加水分解したCTLA4−Ig中のNANAピークの積分に小さな肩のピークが適切に含まれる。また、MS実験により、NGNAは、加水分解の際に18ダルトンを損失して分解したことも実証された。NGNA分解物はNANAおよびNANA分解物の間で溶出されたので、UVによって検出されなかった。CTLA4−Ig物質では、NGNA含有率はNANA含有率の約5%であり、その結果、NGNA分解物の同時溶出によりNANAピーク面積の0.5%未満の変化が引き起こされ、これは、NANAピーク面積のばらつきの範囲内である。この方法では、NGNAの結果に分解NGNAの面積を含めることができない;したがって、NGNAの結果は<10%低くあることができ、これも、本方法のばらつきの範囲内である。
NGNAはNANAよりも免疫原性であると考えられているので、低いモル比のNGNAを含む組換え治療剤が臨床的に好まれる。本発明の一実施形態では、CTLA4−Ig分子の集団中のシアル酸の優勢はNGNAではなくNANAであり、この集団中、CTLA4−Ig分子または二量体1モルあたりのシアル酸のモル数のモル比は約5〜約18である。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団中のシアル酸の優勢なNGNAではなくNANAであり、この集団中、CTLA4A29YL104E−Ig分子または二量体1モルあたりのシアル酸のモル数のモル比は約5.5〜約8.5である。
CTLA4−IgおよびCTLA4A29YL104E−Ig発現カセット
本発明は、一実施形態では発現カセットである、CTLA4−Ig分子をコードしている核酸を提供する。本発明はまた、CTLA4A29YL104E−Ig分子をコードしている核酸も提供する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子をコードしている核酸は発現カセット内に含まれている。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子をコードしている核酸は、配列番号17のヌクレオチド配列を有するプラスミドに由来する発現カセット内に含まれている。さらなる実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子をコードしている核酸は発現カセット内に含まれている。特定の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子をコードしている核酸は、ATCC寄託番号PTA−2104号として寄託されているプラスミドに由来する発現カセット内に含まれている。
本発明の核酸は、天然のプロモーターもしくはその誘導体または完全に異種のプロモーターから発現させることができる、発現カセットなどの発現可能な形態の目的のcDNA、cDNA様、DNAまたはRNA核酸分子であることができる。あるいは、目的の核酸はアンチセンスRNAをコードすることができる。目的の核酸はタンパク質(たとえば、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質などの糖タンパク質)をコードすることができ、イントロンを含んでいても含んでいなくてもよい。
一実施形態では、CTLA4活性を有するペプチドをコードしている核酸は、T細胞ゲノムDNAまたは活性Tリンパ球中に存在するmRNAから得ることができる。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igをコードしている核酸も、T細胞ゲノムDNAまたは活性Tリンパ球中に存在するmRNAから得ることができる。本発明の別の実施形態では、目的のタンパク質、たとえばCTLA4またはCTLA4A29YL104E−Igをコードしている遺伝子は、ゲノムライブラリまたはcDNAのどちらかから、当業者が実施する標準のプロトコルに従ってクローニングすることができる。たとえばCTLA4またはCTLA4A29YL104E−IgをコードしているcDNAは、全mRNAを適切な細胞系から単離することによって得ることができる。当分野で知られている方法を用いて、二本鎖cDNAを全mRNAから調製することができ、続いて適切なバクテリオファージベクターまたはプラスミド内に挿入することができる。遺伝子は、当分野で十分に確立されているPCR技術を用いてクローニングすることもできる。一実施形態では、CTLA4またはCTLA4A29YL104E−Igをコードしている遺伝子は、本発明によって提供されるヌクレオチド配列情報に従ってPCRを介してクローニングすることができる。
別の実施形態では、CTLA4またはCTLA4A29YL104E−IgのcDNAを含むDNAベクターは、PCR反応の鋳型として働くことができ、目的の領域を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、その領域を包含する単離したDNA断片を得ることができる。本発明の特定の実施形態では、CTLA4のcDNA中で標的とされた目的領域は、ヒトCTLA4の細胞外ドメインを含めたCTLA4の細胞外ドメインであることができる。特定の実施形態では、CTLA4A29YL104E−IgのcDNA中で標的とされた目的領域は、配列番号2のアミノ酸位置55および130でアミノ酸変化を有するCTLA4の細胞外ドメインであることができ(たとえば配列番号18参照)、これには上述のアミノ酸変化を保有するヒトCTLA4の細胞外ドメインが含まれる。
本発明のコンテキストで融合タンパク質を発現させるために、一実施形態のキメラ遺伝子融合(たとえば、CTLA4−免疫グロブリン(CTLA4−Ig)融合タンパク質またはCTLA4A29YL104E−Ig融合タンパク質コードしている遺伝子)には、キメラ遺伝子が転写および翻訳された際に、新しく合成された融合タンパク質の分泌を指示するシグナル配列をコードしている、ヌクレオチド配列が含まれる。一実施形態では、ネイティブCTLA4シグナル配列(たとえば、Harper, K., et al. 1991, J. Immunol. 147,1037-1044に記載のヒトCTLA4シグナル配列)を用いることができる。本発明の代替実施形態では、異種シグナル配列を用いてCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの分泌を指示することができる(たとえば、オンコスタチン−Mシグナル配列(Malik N., et al., 1989, Mol Cell Biol 9(7), 2847-2853)または免疫グロブリンシグナル配列)。当業者は、CTLA4をコードしている核酸配列の5’末端でシグナル配列のインフレームライゲーションを行うことなどの標準の組換えDNA技術によって、シグナル配列に対応するヌクレオチド配列をキメラ遺伝子融合体内に挿入できることを理解されよう。
ブダペスト条約の規定の下、CTLA4−Ig融合タンパク質に対応するアミノ酸配列をコードしているDNAは、American Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Blvd.、バージニア州Manassas、20110に、1991年5月31日に寄託されている。これにはATCC寄託番号68629号が割り当てられている。さらに、CTLA4A29YL104E−Igに対応するアミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む発現プラスミドは、ブダペスト条約の規定の下、2000年6月19日にATCCに寄託されている。寄託したプラスミドにはATCC寄託番号PTA−2104号が割り当てられている。寄託したプラスミドは、pD16 LEA29YおよびpD16 L104EA29Yとも呼ぶ。CTLA4A29YL104E−Igは、そのすべてが参考として本出願中にその全体で組み込まれている、米国特許第7,094,874号ならびに同時係属中の米国特許出願第09/579,927号、第60/287,576号、および第60/214,065号、ならびに国際特許公開WO01/923337A2号にさらに記載されている。
本発明の発現ベクターを用いて、真核(たとえば、酵母、哺乳動物、もしくは昆虫細胞)または原核のどちらかの細胞の形質移入を行って、ベクターのヌクレオチド配列によってコードされているタンパク質(たとえば、CTLA4−Ig、CTLA4A29YL104E−Ig分子などの融合タンパク質)を産生させることができる。当業者は、原核生物中での所望のタンパク質生成物の発現は、ほとんどの場合、イー・コリ中で、構成的または誘導性プロモーターを含むベクターを用いて実施することを理解されよう。一部のイー・コリ発現ベクター(当分野で融合ベクターとしても知られている)は、いくつかのアミノ酸残基を、通常は発現された組換えタンパク質のN末端に付加するように設計されている。前記融合ベクターは、3つの機能、すなわち、1)所望の組換えタンパク質の溶解度を増加させること;2)目的の組換えタンパク質の発現を増加させること;および3)親和性精製においてリガンドとして働くことによって組換えタンパク質の精製を補助することを果たすことができる。融合発現ベクターの一部の例には、それだけには限定されないが、a)グルタチオンS−トランスフェラーゼを所望のタンパク質と融合するpGEX(Amrad Corp.、オーストラリア、Melbourne);b)6x−Hisを目的の組換えタンパク質と融合するpcDNA(商標)3.1/V5−His A、BおよびC(Invitrogen Corp、カリフォルニア州Carlsbad);ならびにc)マルトースE結合タンパク質を標的組換えタンパク質と融合するpMAL(New England Biolabs、マサチューセッツ州Beverly)が含まれる。
本発明のプロセスおよび方法に従った培養に適した細胞は、プラスミドなどの導入した発現ベクター(構築体)を保有することができる。発現ベクター構築体は、形質移入、リポフェクション、形質転換、注入、電気穿孔、または感染によって導入することができる。発現ベクターは、培養プロセス中で発現および産生させるタンパク質をコードしているコード配列、またはその一部分を含むことができる。そのような発現ベクターには、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な構成成分が含まれることができる。産生されるタンパク質およびポリペプチドをコードしている配列、ならびに適切な転写および翻訳調節要素を含む発現ベクターは、当業者に周知かつ当業者に実施される方法を用いて作製することができる。これらの方法には、J. Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y.およびF. M. Ausubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y.に記載されているインビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝的組換えが含まれる。
ベクターを保有する細胞に耐性を与えるために、選択マーカーを、細胞のゲノム内に安定して組み込まれている組換え発現ベクター(たとえばプラスミド)中で用いることができる。これにより、適切な選択培地中でそれらを選択することが可能となる。それだけには限定されないが、それぞれhgprt−、tk−、またはaprt−細胞で用いることができる、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV TK)、(Wigler et al., 1977, Cell, 11:223)、(Szybalska and Szybalski, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)、(Lowy et al., 1980, Cell, 22:817)遺伝子を含めた、いくつかの選択系を用いることができる。
発現ベクター内に含めることができるマーカー遺伝子の以下の非限定的な例も、代謝拮抗剤耐性を選択する根拠として用いることができる:ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt(Mulligan and Berg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:2072);メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wigler et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:357;およびO'Hare et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:1527);ハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Santerre et al., 1984, Gene, 30:147);ならびにアミノグリコシドG418に対する耐性を与えるneo(Clinical Pharmacy, 12:488-505;Wu and Wu, 1991, Biotherapy, 3:87-95;Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 32:573-596;Mulligan, 1993, Science, 260:926-932;Anderson, 1993, Ann. Rev. Biochem., 62:191-21;May, 1993, TIB Tech, 11 (5):155-215)。当分野で一般的に知られている組換えDNA技術をルーチン的に適用して、所望の組換え細胞クローンを選ぶことができる。そのような技術は、たとえば、参考として本明細書中にその全体で組み込まれているAusubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993);Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY;Chapters 12 and 13, Dracopoli et al. (eds), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY (1994);Colberre-Garapin et al., 1981. J. Mol. Biol., 150:1に記載されている。
発現されたタンパク質分子の発現レベルは、発現ベクターの増幅によって増加することができる(総説には、Bebbington and Hentschel, "The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning", Vol. 3, Academic Press, New York, 1987を参照)。目的のタンパク質を発現している発現ベクター系中のマーカーが増幅可能な場合は、宿主細胞の培地中に存在する阻害剤のレベルの増加により、マーカー遺伝子のコピー数が増加する。増幅した領域はタンパク質をコードしている遺伝子に関連しているので、タンパク質の産生も同時に増加する(Crouse et al., 1983, Mol. Cell. Biol., 3:257)。選択マーカーのグルタミン合成酵素(GS)またはジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードしている核酸配列を保有するベクターは、それぞれ薬物のメチオニンスルホキシミンまたはメトトレキサートの存在下で増幅することができる。そのようなベクターの利点は、それぞれグルタミン合成酵素陰性およびジヒドロ葉酸還元酵素陰性である細胞系、たとえば、ネズミ骨髄腫細胞系、NSOおよびチャイニーズハムスター卵巣、CHO、細胞系DG44が利用可能であることである。
本発明の一実施形態では、可溶性CTLA4またはCTLA4A29YL104E−Ig融合タンパク質分子をコードしている核酸配列を、真核宿主中で外来配列を発現させるために設計された発現ベクター内に挿入できる。ベクターの制御要素は、使用に選択した真核宿主に応じて変化することができる。可溶性CTLA4またはCTLA4A29YL104E−Igを真核宿主細胞中で発現させるために用いるベクターには、タンパク質の発現を最適化するためのエンハンサー配列が含まれることができる。
哺乳動物細胞(BHK細胞、VERO細胞、CHO細胞など)は、発現ベクターを適切な宿主細胞内に導入することによって、発現ベクター(たとえば、CTLA4−Ig融合タンパク質またはCTLA4A29YL104E−Ig融合タンパク質をコードしている遺伝子を含むもの)を保有することができる。したがって、本発明は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig融合タンパク質をコードしている核酸配列を含む発現ベクターを包含し、当分野で知られている方法によってそのような発現ベクターを内部に導入することができる宿主細胞を包含する。本明細書中に記載のように、本発明の発現ベクターには、宿主細胞中でヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で少なくとも1つの調節配列と連結した、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig融合タンパク質をコードしているヌクレオチド配列が含まれることができる。当業者には、調節配列は周知であり、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Dieg, Calif. (1990)に記載のように、適切な宿主細胞中で目的のタンパク質の発現を指示するように選択することができる。調節配列は、エンハンサー、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、および他の発現調節要素を含むことができる。当業者は、発現ベクターの設計は、形質移入する宿主細胞の選択ならびに/または発現させる所望のタンパク質の種類および/もしくは量などの要素に依存する場合があることを、理解されよう。
クローニングおよび発現プラスミド(たとえば、pcSDおよびpiLN)は、実施例11に記載のように構築する。本発明の一実施形態では、プラスミドpSV2dhfr−からの単離したDNA断片をpcDNA3ベクター主鎖とライゲーションし、発現ベクターpcSDを作製する。ベクターpcSDは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、次いで多重クローニング部位(MCS);ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列;選択および増幅のためのマウスdhfr cDNA配列;アンピシリン耐性遺伝子;ならびにエシェリキア・コリの選択および維持のためのpUC複製起点の特長からなる。実施例11のヒトCTLA4受容体の細胞外ドメインの断片に対応するアミノ酸配列の一部分をコードしているcDNAを含むベクターpiLNを構築し、第1のアミノ酸配列をコードしているcDNAは、発現されたCTLA4タンパク質の溶解度を変化させることによってCTLA4受容体遺伝子の発現を可能にするIgC領域に対応する、第2のアミノ酸配列をコードしているDNAと結合している(CTLA4の細胞外部分およびIgG1の定常領域に対応する残基については、図1および図1の簡単な説明を参照)。一実施形態では、オンコスタチンMシグナルペプチド配列は、CTLA4の細胞外ドメインに対応するアミノ酸配列と融合していることができ、これは続いて、図1に既に記載のように、Igドメイン(たとえばヒトIgCγ1ドメイン)に対応する第2のアミノ酸配列と融合している。オンコスタチンMシグナル配列は、CTLA4遺伝子(たとえばCTLA4−Ig)タンパク質生成物の可溶形の産生を可能にする。
CTLA4−免疫グロブリン融合タンパク質をコードしている遺伝子を含むpcSD発現ベクターを構築するために、当分野で知られている方法(たとえば制限部位サブクローニング)を用いることができる。本発明の一実施形態の出発物質は、実施例11に記載のクローニングベクターpiLNからの消化かつ切除したDNA断片であることができる。別の実施形態では、前記ベクターからの切除したDNA断片は、オンコスタチンMシグナル配列およびCTL4Ig融合タンパク質のアミノ酸配列を含み、前記DNA断片は消化したpcSDベクターとライゲーションしている。オンコスタチンM−CTLA4−IgDNA断片は、CMVプロモーターとBGHポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列を含むカセットとの間に挿入することができる。これにより、CTLA4−Ig遺伝子産物が、pcSDhuCTLA4−Igと命名したプラスミド中のCMVプロモーターの制御下に置かれる(図21;配列番号17)。
さらに、クローニングおよび発現プラスミド(たとえばpD16LEA29Y)は、InvitrogenプラスミドpcDNA3に由来することができる。ベクターpD16LEA29Y(図22)は、pcDNA3からのネオマイシン耐性遺伝子がエンハンサーなし(弱化)SV40プロモーターの制御下にあるネズミジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子で置き換えられていること;CTLA4A29YL104E−Igをコードしている遺伝子がCMVプロモーターから発現され、ポリアデニル化シグナルがウシ成長ホルモン遺伝子に由来すること;目的の遺伝子の発現カセットが転写終止配列に隣接している、すなわち、プロモーターの5’側およびポリA部位の3’側にあること;ベクターが2つの明確な制限部位ポリリンカーを含み、一方は目的の遺伝子をクローニングするためのプロモーターの3’側にあり、他方は形質移入前にベクターを直鎖化するためのプロモーターの5’側にあること;ベクターがアンピシリン耐性遺伝子およびイー・コリ中のプラスミド増殖のためのColE1複製起点を含むこと;CTLA4A29YL104E−Ig配列(配列番号3)がオンコスタチンMシグナルペプチドの後にあり、ベクターpD16LEA29Yとして知られている発現ベクター中でアセンブルされることの特長を含む。
ヒトCTLA4受容体の細胞外ドメインの断片に対応するアミノ酸配列に一部分をコードしているcDNAを含むベクターを構築し(配列番号2)、位置55のアミノ酸Alaはアミノ酸Tyrによって置き換えられており、位置130のアミノ酸Leuはアミノ酸Gluによって置き換えられている(図3)。これらのアミノ酸変化を、配列番号4を有するCTLA4A29YL104E−Igアミノ酸配列に示す。第1のアミノ酸配列(たとえばCTLA4A29YL104E−Igをコードしている配列)をコードしているcDNAは、配列番号3を有する発現されたCTLA4A29YL104E−Igタンパク質の溶解度を変化させることによってCTLA4A29YL104E−Ig受容体遺伝子の発現を可能にするIgC領域に対応する、第2のアミノ酸配列をコードしているDNAと結合している(修飾されたCTLA4の細胞外部分およびIgG1の定常領域に対応する残基については、図3および図3の簡単な説明を参照)。
一実施形態では、オンコスタチンMシグナルペプチド配列は、CTLA4の細胞外ドメインに対応するアミノ酸配列と融合していることができ、これは続いて、図3に既に記載のように、Igドメイン(たとえばヒトIgCγ1ドメイン)に対応する第2のアミノ酸配列と融合している。オンコスタチンMシグナル配列は、CTLA4遺伝子(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig)タンパク質生成物の可溶形の産生を可能にする。
細胞系を作製するための安定した形質移入
目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、糖タンパク質など)をコードしているDNAを含むベクターを適切な宿主細胞(たとえば細菌細胞)中に導入し形質転換して、大量のクローニングしたDNAを産生することができる。形質転換用の細菌細胞の一部の非限定的な例には、細菌細胞系イー・コリ株DH5αまたはMC1061/p3(Invitrogen Corp.、カリフォルニア州San Diego)が含まれ、これは、当分野で実施される標準の手順を用いて形質転換させることができ、その後、コロニーを適切なプラスミド発現についてスクリーニングすることができる。
哺乳動物細胞などの真核細胞用の発現ベクターには、哺乳動物細胞に適合性のあるプロモーターおよび制御配列が含まれることができる。本発明の一実施形態では、これらの調節要素は、たとえば、pcSDもしくはpD16LEA29Yベクター中に見つかるCMVプロモーター、またはpiLNベクター中に位置するトリ肉腫ウイルス(ASV)であることができる。他の一般的に用いられる初期および後期プロモーターには、それだけには限定されないが、シミアンウイルス40(SV40)由来のもの(Fiers, et al., 1973, Nature 273:113)、またはウシパピローマ、ポリオーマ、およびアデノウイルス2ウイルスに由来するものなどの他のウイルスプロモーターが含まれる。当分野で知られている他のものに加えて、調節可能なプロモーター、hMTII(Karin, et al., 1982, Nature 299:797-802)を用いることもできる。培養昆虫細胞(たとえばSF9細胞)中での組換えタンパク質の発現のための、利用可能な一部のバキュロウイルスベクターには、pVLシリーズ(Lucklow, V. A., and Summers, M. D., 1989, Virology 170:31-39)およびpAcシリーズ(Smith et al., 1983, Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)が含まれる。また、当業者は、エンハンサー領域(非コードDNA領域中、プロモーター領域の上流または下流に見つかる配列)も発現の最適化に重要であることも理解されよう。必要な場合、たとえばプラスミドDNAの導入に原核宿主を利用する場合、ウイルス源由来の複製起点を用いることができる。しかし、染色体の組み込みは、真核生物におけるDNA複製の共通の機構である。
本発明の一実施形態では、所望のタンパク質(たとえば、融合タンパク質、糖タンパク質など)を発現させるために哺乳動物宿主細胞(CHO細胞など)を用いるが、他の真核生物も宿主として用い得る。出芽酵母サッカロマイセス・セレビシエの実験室株(パン酵母またはビール酵母としても知られる)、および分裂酵母シゾサッカロマイセス・ポンベなどの他の酵母株を用いることができる。目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig等の糖タンパク質など)をコードしているDNAを保有する酵母ベクターは、Broach, Meth. Enz. 101:307 (1983)の2μ複製起点、または酵母に適合性のある他の複製起点(たとえば、Stinchcomb et al., 1979, Nature 282:39;Tschempe et al., 1980, Gene 10:157;およびClarke et al., 1983, Meth. Enz. 101:300)を利用することができる。酵母ベクター内に含まれる調節要素は、糖分解酵素を合成するためのプロモーターであることができる(Hess et al., 1968, J. Adv. Enzyme Reg. 7:149;Holland et al., 1978, Biochemistry 17:4900)。
当業者は、増殖条件により前記調節可能な遺伝子の転写を調節することができる他のプロモーターも利用することができ、これには、イソチトクロームC、アルコール脱水素酵素2、マルトースおよびガラクトース利用を担う酵素、酸ホスファターゼ、および窒素代謝に関連する分解酵素の非限定的な例が含まれることができる。哺乳動物発現系と同様、ここでも酵母発現ベクター中にターミネーター配列がコード配列の3’末端にあることが望ましく、3’非翻訳領域中、酵母由来の遺伝子中のオープンリーディングフレームに続いて見つかる。酵母内(たとえばエス・セレビシエ内)での組換えタンパク質発現に適した酵母ベクターの一部の非限定的な例には、pMFa(Kurjan and Herskowitz, (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz et al., 1987, Gene 54:113-123)、pYepSec1(Baldari, et al., 1987, Embo J. 6:229-234)、pYES2(Invitrogen Corporation、カリフォルニア州San Diego)、および酵母ベクターのpRSファミリーに属するものが含まれる。
その後、上述のように得た、目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、糖タンパク質など)をコードしているDNAを含むクローン、たとえば細菌クローンを、所望の産物を発現させるために哺乳動物細胞などの適切な宿主細胞内に形質移入し得る。形質移入技術は、前記宿主細胞に適した当分野で確立されている標準の技術を用いて実施し、形質移入技術は用いる宿主細胞に依存する。たとえば、哺乳動物細胞の形質移入は、リポフェクション、プロトプラスト融合、DEAE−デキストラン媒介の形質移入、CaPO4共沈殿、電気穿孔、直接微量注入、ならびに、擦過、直接取り込み、浸透圧もしくはスクロースショック、リゾチーム融合もしくは赤血球融合、赤血球に媒介される技術などによる間接微量注入、および/または宿主細胞を電流に供することを含むことができる当分野で知られている他の方法を用いて達成することができる。遺伝情報を宿主細胞内に導入する他の技術が開発されていくので、上述の形質移入方法のリストは完全であるとみなされない。
多細胞生物に由来する真核宿主細胞(たとえば哺乳動物由来)中での目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、糖タンパク質など)をコードしているDNAの発現を、本発明のコンテキストで特に利用する(Tissue Cultures, Academic Press, Cruz and Patterson, Eds. (1973))。多細胞生物に由来する宿主細胞はイントロンをスプライシングして切り出す能力を有するので、ゲノムDNA断片を発現させるために直接用いることができる。既に述べたように、有用な宿主細胞系には、それだけには限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、BHK細胞、サル腎臓(COS)、VEROおよびHeLa細胞が含まれる。本発明では、目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、糖タンパク質など)を安定して発現する細胞系を用いる。一実施形態では、哺乳動物細胞系(CHO細胞系など)を、目的の糖タンパク質をコードしているDNA配列を含む発現ベクター(たとえば、pcSDhuCTLA4−Ig、pD16LEA29Yなど)を用いて、(たとえば電気穿孔によって)形質移入する。一実施形態では、目的の糖タンパク質は、配列番号1のヌクレオチド配列の一部分によってコードされている配列番号2に含まれるアミノ酸配列を有するCTLA4−Igタンパク質(または複数のタンパク質)を含めたCTLA4−Igタンパク質であることができる。別の実施形態では、目的の糖タンパク質は、配列番号23のヌクレオチド配列の一部分によってコードされている配列番号4に含まれるアミノ酸配列を有するCTLA4A29YL104E−Igを含めたCTLA4A29YL104E−Igであることができる。
CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igなどの組換えタンパク質は、哺乳動物細胞(たとえば、CHO、BHK、VERO、もしくはNS0細胞)、昆虫細胞(たとえばバキュロウイルスベクターを用いて)、または酵母細胞などの真核宿主細胞中で発現させることができる。当業者は、本発明のコンテキスト中で既に記載したものなどの他の適切な宿主細胞を用いることができる。一実施形態では、組換え融合タンパク質(CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igなどの)の発現に原核ではなく真核を用いる。CHO細胞などの真核細胞中でのヒトCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igなどの真核組換えタンパク質の発現は、部分的および/または完全なグリコシル化、ならびに鎖内または鎖間ジスルフィド結合の形成をもたらすことができる。所望のタンパク質の一過性増幅および発現には、目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig等の糖タンパク質など)をコードしているDNAを保有するベクターは、当分野で知られている形質移入方法によって真核細胞内にデリバリーを行うが、細胞のゲノム内に組み込まれない。形質移入した遺伝子の発現は16〜96時間以内に測定することができる。哺乳動物細胞(COS細胞など)をpCDM8などのベクターと併せて用いて、所望のタンパク質を一過的に発現させることができる(Gluzman, Y., 1981, Cell 23:175-182;Seed, B., 1987, Nature 329:840)。
哺乳動物細胞が安定して形質移入されるために、細胞の小画分がDNAをそのゲノム内に組み込むことができ、組み込みの成功は利用する発現ベクターおよび形質移入方法に依存する場合があることは、当分野で理解されている。所望のタンパク質の安定した増幅および発現、目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig等の糖タンパク質など)をコードしているDNAを保有するベクターを真核細胞(哺乳動物細胞など)のゲノム内に安定して組み込ませ、その結果、形質移入した遺伝子の安定した発現がもたらされる。目的のタンパク質をコードしている遺伝子を安定して発現するクローンを同定および選択するために、選択マーカー(たとえば抗生物質に対する耐性)をコードしている遺伝子を、目的の遺伝子と共に宿主細胞内に導入することができる。当業者によって用いられる選択マーカーは、G418およびハイグロマイシンなどの薬物に対する耐性を与えるものであることができる。選択マーカーをコードしている遺伝子は、別のプラスミド上で宿主細胞内に導入するか、または目的の遺伝子と同じプラスミド上で導入することができる。目的の遺伝子を含む細胞は、薬物選択によって同定することができ、選択マーカー遺伝子が組み込まれた細胞は前記薬物の存在下で生存し、一方で選択マーカー遺伝子が組み込まれなかった細胞は死滅する。その後、生存細胞を、所望のタンパク質(たとえば、CTLA4−Igタンパク質またはCTLA4A29YL104E−Ig)の産生についてスクリーニングすることができる。
既に記載のように、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子の発現が欠損したCHO細胞は、ヌクレオシドを添加した場合にのみ生存することができる。前記細胞がdhfr遺伝子を保有するDNAベクターで安定して形質移入されている場合、細胞は必要なヌクレオシドを産生することができる。dhfrを選択マーカーとして用いることによって、当業者は、代謝拮抗剤メトトレキサートの存在下で、dhfrおよび形質移入した目的の遺伝子(たとえば、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig)の遺伝子増幅が容易に起こることを理解されよう。本発明の一実施形態では、CHOdhfr−細胞などの哺乳動物細胞を、pcSDhuCTLA4−Ig(実施例11〜13)またはpD16LEA29Yなどの発現ベクターで形質移入して、安定して増幅させることができ、かつ所望のタンパク質生成物(それぞれCTLA4−IgまたはβpCTLA4A29YL104E−Igポリペプチド)を安定して発現することができる細胞の集団を作製する。別の実施形態では、dhfr−陰性細胞系DG44(Invitrogen Corp.カリフォルニア州Carlsbad)を安定した形質移入に用いることができる。本発明の別の実施形態では、形質移入は電気穿孔によって起こることができる。
当分野で容易に実施されているように、形質移入した哺乳動物細胞(たとえばdhfr−陰性CHO細胞)は、血清を含む非選択培地中で形質移入後1〜2日間維持する。その後、細胞をトリプシンで処理し、選択圧(たとえばメトトレキサートなどの薬物)の存在下で血清含有培地中に再度プレートする。細胞を選択的血清含有培地で2〜3週間、細片および死細胞を排除するために選択培地を頻繁に変えながら、明確なコロニーを見ることができるまで培養する。その後、個々のコロニーをトリプシン処理して、ELISAまたは免疫沈降などの当分野で確立されている方法によって高レベルの所望のタンパク質(たとえば、融合構築体、糖タンパク質など)を発現する産生株を同定するために、選択培地の存在下でさらに増殖および増幅させるためにマルチウェルプレートに入れることができる。本発明の一実施形態では、上述の方法は、目的の組換えタンパク質(たとえばCTLA4−Igタンパク質)を発現する安定した細胞系を確立するために、dhfr−陰性CHO細胞(たとえばDG44細胞)の形質移入に実施した(たとえば実施例12〜13参照)。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igを発現する安定した細胞系を確立した(実施例23参照)。
本発明の安定したCHO系は、CTLA4−Igタンパク質分子を、(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383の配列を有するCTLA4−Ig単量体として、安定して発現する。この細胞系は、配列番号2の異なる単量体配列を有することができる多量体(二量体、四量体など)として存在することができるCTLA4−Ig分子の集団を分泌することができる。この細胞系内に組み込まれている発現カセットは配列番号1を含み、pcSDhuCTLA4−Ig内に含まれる。
本発明はまた、CTLA4A29YL104E−Igを安定して発現する安定したCHO系も提供する。一実施形態では、細胞系は、(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383の配列を有するCTLA4A29YL104E−Ig単量体を発現する。別の実施形態では、細胞系は、配列番号4の異なる単量体配列を有することができる多量体(二量体、四量体など)として存在することができるCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を分泌することができる。この細胞系内に組み込まれている発現カセットは配列番号3を含み、pD16LEA29Y内に含まれる。
細胞のクローン集団を作製するためのサブクローニング
所望のタンパク質(たとえば、融合構築体、糖タンパク質など)の産生株であると同定された細胞を細胞培養物から単離し、続いて、培地が血清を含むことができる、産生に等価な条件下で増幅する。それだけには限定されないが軟寒天クローニングなどの当分野で知られているサブクローニング方法を用いることができる。その後、得られた安定した組換え細胞クローンを血清および動物製品を含まない条件下でさらに増殖させることができる。本発明によれば、所望のタンパク質生成物(たとえば、CTLA4−Ig、CTLA4A29YL104E−Ig)を発現する安定した細胞クローンは、組換えた最初の細胞クローンを血清含有培地中で培養した後に得られた細胞培養物から組換え細胞クローンを得て、細胞を血清および動物製品を含まない培地に再度適応させることによって獲得する。一実施形態では、CTLA4−Igを発現する細胞クローンを、血清および動物製品を含まない培地中で少なくとも50世代にわたって培養し続けることができる。本発明の別の実施形態では、細胞クローンは、上述のように少なくとも75世代にわたって培養し続けることができる。本発明によれば、細胞クローンは、血清および動物製品を含まない培地中で少なくとも100世代にわたって培養し続けることができる。
さらなる実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igを発現する細胞クローンは、血清および動物製品を含まない培地中で少なくとも27世代にわたって培養し続けることができる。別の実施形態では、細胞クローンは、上述のように少なくとも75世代にわたって培養し続けることができる。さらに、細胞クローンは、血清および動物製品を含まない培地中で少なくとも100世代にわたって培養し続けることができる。
一実施形態では、本発明は、配列番号2の単量体を含むCTLA4−Ig分子を産生する細胞系を提供し、細胞系は100世代を超えて安定であり、細胞系の安定性は、(1)100世代目での倍加時間が約24.5±2.6時間未満であること;(2)100世代目での細胞生存度が95%を超えること、(3)5Lバイオリアクター内でのCTLA4−Igの産生力価が100世代目で1.69mg/mLを超えること;(4)105世代目でのタンパク質に対するシアル酸のモル比が約9.3〜約11.0であることを含む。
本発明の安定した組換え細胞クローンは単離した形態で存在し、単離は当分野で実施される方法(たとえば、軟寒天クローニングまたは限界希釈クローニングなど)に従って行うことができる。本発明では、安定した組換え細胞クローンは、目的の組換えタンパク質(たとえば、融合構築体、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig等の糖タンパク質など)をコードしているDNA配列を含む、懸濁液中または接着して増殖することができる組換え哺乳動物細胞(たとえばCHO細胞)に由来する。本発明の細胞系によって発現される組換えタンパク質は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igなどの治療的糖タンパク質であることができる。本発明によれば、真核細胞(哺乳動物CHO細胞、DG44細胞、またはdhfr−陰性CHO細胞など)に由来し、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igなどの組換え糖タンパク質をコードしているDNA配列を含み、数世代にわたって組換え糖タンパク質を安定して発現することができる、安定した組換え細胞クローンが有用である。
本発明の一実施形態では、目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig等の糖タンパク質など)を安定して発現する哺乳動物宿主細胞の集団を、血清および動物製品を含まない条件下で、安定して形質移入した細胞を増幅することによって得る。本発明によれば、その後、組換え細胞クローンは、たとえば、無血清かつ動物製品を含まない培養培地中で少なくとも105世代にわたって安定していることを特徴とすることができる。
本発明の一実施形態では、細胞のクローン集団はCTLA4−Ig分子を産生する。このCTLA4−Ig分子の集団の具体的な特徴の一部を以下の表6に示す。CTLA4−Ig分子の集団には、少なくとも、それぞれが以下の配列のうちの1つを有することができる2つの単量体分子を含む、CTLA4−Ig二量体分子が含まれていることができる:(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の27〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383。したがって、CTLA4−Ig分子の集団には、主にホモ二量体またはヘテロ二量体が含まれていることができる。集団には、ホモ二量体およびヘテロ二量体がどちらも含まれていることができる。一実施形態では、本発明は、表6に示す特徴を有するCTLA4−Ig分子の集団またはその医薬的均等物を提供する。本明細書中で使用する医薬的均等物とは、分子の集団が、FDAなどの政府機関に了解された、患者の治療において最初の集団(標準集団)と等価な安全性および有効性のプロフィールを有するものである。たとえば、本発明のCTLA4−Igの集団は、表6に示す特徴を有することができる。別の実施形態では、本発明のCTLA4−Ig分子の集団は、表6に示す特徴またはその均等物を、単独でまたはその任意の組合せもしくは順列で有することができる。
別の実施形態では、目的のクローンは、発現された組換え産物およびその生化学的特徴に従って特徴づけることもできる(たとえば特定の消光係数値を有するCTLA4−Ig)。消光係数値(吸光率値(as)とも呼ばれる)は、理論的または実験的に導き出すことができる。280nmでは、CTLA4−Igの吸光率値(as)は、以下に詳述するMach, et al. (Analytical Biochemistry, Vol. 200, pp. 74-80, 1992)の方法を用いて、1.01mLmg-1cm-1であると決定された。
方程式1を用いてモル吸光率(ε)を決定した。
方程式1:ε=[(ジスルフィド結合の数×134)+(トリプトファン残基の数×5,540)+(チロシン残基の数×1,480)]
CTLA4−Igは9個のジスルフィド結合、8個のトリプトファン残基および32個のチロシン残基を有し、方程式2に示すように92,886M-1cm-1のモル吸光率(ε)が得られた。
方程式2:ε=(9×134)+(8×5,540)+(32×1,480)]=92,886M-1cm-1
吸光率定数(as)は、モル吸光率(ε)を分子量で割ることによって計算し、分子量は方程式3に示すようにMALDI−TOFによって決定した。
方程式3:as=ε/分子量=92,886M-1cm-1/92,278Da=1.01mLmg-1cm-1
2つのロットのCTLA4−Ig(配列番号2を含む)物質の、理論的に導き出した吸光率値と実験的に決定した吸光率値の比較を、アミノ酸分析を用いて実施した。実験的に決定した吸光率定数の平均は1.00±0.05mLmg-1cm-1である。実験値により、理論値の1.01mLmg-1cm-1が実験による決定の誤差範囲内にあることが確認された。したがって、一実施形態では、本発明は、約1.00±0.05mLmg-1cm-1の吸光率値または消光係数を有するCTLA4−Ig分子を産生する細胞系を提供する。
本発明によれば、目的の組換えクローンは、目的のタンパク質(たとえば、融合構築体、CTLA4−Ig等の糖タンパク質など)をコードしているDNA配列が宿主細胞ゲノム内に組み込まれている部位の数に従って特徴づけることもできる。当業者は、標準のサザンハイブリダイゼーション技術によりそのような分析が可能となることを理解されよう。本発明の一実施形態では、本発明の組換え細胞クローンから調製したゲノムDNAのEcoRIおよびXbaI制限消化のそれぞれで約1.2kbの単一のハイブリッド形成断片が検出され、これは、CTLA4−Ig遺伝子の予測した大きさと一貫している(サザンハイブリッド;図23)。図は、プラスミドに単一の組み込み部位があること、およびCTLA4−Ig遺伝子中にサザンハイブリダイゼーション分析によって検出可能な挿入または欠失が存在しないことと一貫している。
一実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig分子を産生することができるCHO細胞集団を提供し、集団のそれぞれの細胞がCTLA4−Igタンパク質をコードしている核酸を少なくとも30コピー含み、30以上のコピーが直列で細胞のゲノム中の単一の部位に組み込まれており、細胞の集団はクローンである。他の実施形態では、CTLA4−Ig分子を産生することができるCHO細胞集団は、集団中の細胞の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または99%がCTLA4−Igタンパク質をコードしている核酸を少なくとも30コピー含む集団を含む。
別の実施形態では、本発明は、図10または実施例14による条件下で培養した場合に、配列番号2からなるCTLA4−Ig分子を、産生段階で細胞培養物1リットルあたり少なくとも1.0、1.3、1.6、1.8、2.0、または2.5グラムのCTLA4−Ig分子の一定量で産生する細胞系を提供する。
本発明によれば、懸濁培養で増殖させた場合に、培養上清中に分泌される分子の集団を産生することができる、所望のタンパク質(たとえばCTLA4−Igタンパク質)を発現する哺乳動物細胞系(たとえばdhfr陰性CHO細胞系)を作製する。この分子の集団は、たとえば、表6に記載の以下の特徴の1つもしくは複数またはすべてを有することができる。
表6によれば、CTLA4−Ig二量体の%、HMW種(たとえば四量体などのCTLA4−Ig多量体)の%、およびLMW種(たとえばCTLA4−Ig単量体)の%は、CTLA4−Ig分子の集団に対するものである。表6に記載の糖のモル数およびシアル酸のモル数は、CTLA4−Ig分子または二量体のモル数に対するものである。表6に見られるB7結合の%は、既に記載したBIAcore装置での表面プラズモン共鳴(SPR)によって行ったCTLA4−Ig結合実験に言及し、割合は、CTLA4−Ig対照に対するB7結合との比較である。
一実施形態では、哺乳動物細胞系(dhfr陰性CHO細胞系など)は、表6の特徴属性1〜5を示すCTLA4−Ig分子の集団を作製する。本発明の別の実施形態では、哺乳動物細胞系は、表6の特徴属性1〜10を有するCTLA4−Ig分子の集団を作製する。他の実施形態では、哺乳動物細胞系は、表6の特徴属性1〜15を示すCTLA4−Ig分子の集団を作製する。さらなる実施形態では、CTLA4−Ig上の遊離スルフヒドリル基の量は、1分子あたり約≦0.20個の遊離チオールである。
形質移入した哺乳動物細胞(たとえばdhfr陰性CHO細胞)の集団によって分泌された所望のタンパク質(たとえばCTLA4−Igタンパク質)を含む細胞培養上清を精製する際、分子の集団はさらなる特徴を有することができる。表6に記載した特徴に加えて、この分子の集団は、たとえば、以下の特徴、すなわち、pH範囲が約7.0〜8.0であること;ヒト細胞のIL−2活性を50〜150%阻害する能力;単球走化性タンパク質(MCP−1)が精製した最終産物中に≦5ng/mgのCTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子で存在すること;精製した最終産物中に存在するDNAの濃度が≦2.5pg/mgのCTLA4−Ig二量体であること;CHO宿主細胞タンパク質が精製した最終産物中に≦50ng/mgのCTLA4−Ig二量体で存在すること;精製した最終産物中に存在するTritonX−100の濃度が≦1.0ppmであること;タンパク質Aの量が≦5ng/mgのCTLA4−Ig二量体であること;精製した最終産物中の細菌内毒素の量が≦0.3EU/mgのCTLA4−Ig二量体であること;精製した最終産物中の汚染微生物の量が≦3.0CFU/10mlであることの、1つもしくは複数またはすべてを有することができる。
一実施形態では、単球走化性タンパク質(MCP−1)は精製した最終産物中に≦3ng/mgのCTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子で存在し;精製した最終産物中に存在するDNAの濃度は≦1.0pg/mgのCTLA4−Ig二量体であり;精製した最終産物中に存在するCHO宿主細胞タンパク質は≦10ng/mgのCTLA4−Ig二量体であり;タンパク質Aの量は≦1ng/mgのCTLA4−Ig二量体であり;精製した最終産物中の細菌内毒素の量は≦0.15EU/mgのCTLA4−Ig二量体であり;精製した最終産物中の汚染微生物の量は≦1.0CFU/10mlであり;pH範囲は約7.2〜7.8である。特定の実施形態では、単球走化性タンパク質(MCP−1)は精製した最終産物中に≦1ng/mgのCTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子で存在する。さらなる実施形態では、CTLA4−Ig分子はヒト細胞のIL−2活性を60〜140%阻害する。
本発明の別の実施形態では、細胞のクローン集団はCTLA4A29YL104E−Ig分子を産生する。このCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団の具体的な特徴の一部を表7に記載する。CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団には、少なくとも、それぞれが以下の配列のうちの1つを有することができる2つの単量体分子を含む、CTLA4A29YL104E−Ig二量体分子が含まれていることができる:(i)配列番号4の26〜383、(ii)配列番号4の26〜382、(iii)配列番号4の27〜383、(iv)配列番号4の27〜382、(v)配列番号4の25〜382、および(vi)配列番号4の25〜383。したがって、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団には、主にホモ二量体もしくはヘテロ二量体、またはその任意の混合物が含まれていることができる。一実施形態では、本発明は、表7に示す特徴を有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団またはその医薬的均等物を提供する。本明細書中で使用する医薬的均等物とは、分子の集団が、FDAなどの政府機関に了解された、患者の治療において最初の集団(標準集団)と等価な安全性および有効性のプロフィールを有するものである。たとえば、本発明のCTLA4A29YL104E−Igの集団は、表7に示す特徴を有することができる。別の実施形態では、本発明のCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団は、表7に示す特徴またはその均等物を、単独でまたはその任意の組合せもしくは順列で有することができる。
一実施形態では、本発明は、CTLA4A29YL104E−Ig分子を産生することができるCHO細胞集団を提供し、集団のそれぞれの細胞がCTLA4A29YL104E−Igタンパク質をコードしている核酸を少なくとも30コピー含み、30以上のコピーが直列で細胞のゲノム中の単一の部位に組み込まれており、細胞の集団はクローンである。他の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子を産生することができるCHO細胞集団は、集団中の細胞の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または99%がCTLA4A29YL104E−Igをコードしている核酸を少なくとも30コピー含む集団を含む。
別の実施形態では、本発明は、図24または実施例19〜20による条件下で培養した場合に、配列番号4からなるCTLA4A29YL104E−Ig分子を、産生段階で細胞培養物1リットルあたり少なくとも22、22.5、23、27.5、または28グラムのCTLA4A29YL104E−Ig分子の一定量で産生する細胞系を提供する。
本発明によれば、懸濁培養で増殖させた場合に、培養上清中に分泌される分子の集団を産生することができる、所望のタンパク質(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig)を発現する哺乳動物細胞系(たとえばdhfr陰性CHO細胞系)を作製する。この分子の集団は、たとえば、表7に記載の以下の特徴の1つもしくは複数またはすべてを有することができる。
表7によれば、CTLA4A29YL104E−Ig二量体の%、HMW種(たとえば四量体などのCTLA4A29YL104E−Ig多量体)の%、およびLMW種(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig単量体)の%は、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団に対するものである。表7に記載の糖のモル数およびシアル酸のモル数は、CTLA4A29YL104E−Ig分子または二量体のモル数に対するものである。表7に見られるB7結合の%は、既に記載したBIAcore装置での表面プラズモン共鳴(SPR)によって行ったCTLA4A29YL104E−Ig結合実験に言及し、割合は、CTLA4A29YL104E−Ig対照に対するB7結合との比較である。
一実施形態では、哺乳動物細胞系(dhfr陰性CHO細胞系など)は、表7の特徴属性1〜5を示すCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を作製する。本発明の別の実施形態では、哺乳動物細胞系は、表7の特徴属性1〜10を有するCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を作製する。他の実施形態では、哺乳動物細胞系は、表7の特徴属性1〜13を示すCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を作製する。
形質移入した哺乳動物細胞(たとえばdhfr陰性CHO細胞)の集団によって分泌された所望のタンパク質(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig)を含む細胞培養上清を精製する際、分子の集団はさらなる特徴を有することができる。表7に記載した特徴に加えて、この分子の集団は、たとえば、以下の特徴、すなわち、単球走化性タンパク質(MCP−1)が精製した最終産物中に≦5ng/mgのCTLA4A29YL104E−Ig二量体で存在すること;精製した最終産物中に存在するDNAの濃度が≦2.5pg/mgのCTLA4A29YL104E−Ig二量体であること;および精製した最終産物中に存在するCHO宿主細胞タンパク質が≦50ng/mgのCTLA4A29YL104E−Ig二量体であることの、1つもしくは複数またはすべてを有することができる。
細胞系の一般的培養
本発明によれば、当業者に慣用に知られているように哺乳動物細胞を培養して糖タンパク質を含めた所望のタンパク質を産生する。目的の糖タンパク質を発現する哺乳動物細胞は、十分な条件下でグリコシル化に最も適切な翻訳後修飾がインビボで起こるような適切な酵素を発現すべきである、または発現するように操作すべきである。酵素には、N結合型オリゴ糖についてHubbard and Ivatt, Ann. Rev. Biochem., 50:555-583(1981)に記載されているものなど、N結合型およびO結合型炭水化物の付加および完成に必要なものが含まれる。酵素には、所望により、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、α−グルコシダーゼI、α−グルコシダーゼII、ERα(1,2)マンノシダーゼ、ゴルジα−マンノシダーゼI(Golgi alpha-mannodase I)、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI、ゴルジα−マンノダーゼII、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII、α(1,6)フコシルトランスフェラーゼ、β(1,4)ガラクトシルトランスフェラーゼ、および適切なシアリルトランスフェラーゼが含まれる。
アポトーシス(プログラム細胞死)の遅延は、細胞培養プロセス中に細胞生存度を高める効果を有する場合がある。アポトーシスの低下、ひいては特定の細胞の寿命の増加により、細胞培養からのタンパク質産生が増加する場合がある。細胞のアポトーシス事象は、細胞(哺乳動物細胞、昆虫細胞、または酵母細胞など)内にアポトーシス経路の正確な時点で細胞のアポトーシスを阻害する1つまたは複数の抗アポトーシスタンパク質を導入することによって、阻害することができる。アポトーシスを阻害する別の方法は、細胞内のミトコンドリアからのプロアポトーシス分子の放出を阻害することである。カスパーゼ−9の優勢−陰性形態などの当分野で知られているプロアポトーシスタンパク質の変異体を、細胞のアポトーシスの阻害剤として用いることができる。プログラム細胞死を遅延させるために、このような変異タンパク質を細胞内に導入することができる。細胞のアポトーシスの阻害は、立ち代って、特定の細胞がタンパク質を産生する期間を延長し、その結果、特定の細胞による所望のタンパク質の産生が全体的に増加する。カスパーゼ阻害剤(アポトーシスのX連鎖阻害剤(XIAP)もしくはその変異体など)または抗アポトーシス遺伝子(たとえば、Bcl−2およびBcl−xLもしくはその変異体)をコードしているいくつかの遺伝子を、遺伝子操作した哺乳動物細胞(CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞など)内に形質移入することができる(Sauerwald, T. et al., 2003, Biotechnol Bioeng. 81:329-340;Sauerwald, T. et al., 2002, Biotechnol Bioeng. 77:704-716;Mastrangelo, A., et al., 2000, Biotechnol Bioeng. 67:544-564;Kim, N., et al., 2002, J Biotechnol. 95:237-248;Figueroa, B., et al., 2001, Biotechnol Bioeng. 73:211-222)。
一実施形態では、組換えタンパク質を産生する哺乳動物細胞を、抗アポトーシス遺伝子(bcl−2など)を含むベクターで形質移入することができる。別の実施形態では、組換え哺乳動物細胞を、カスパーゼ阻害剤をコードしている遺伝子、もしくは上述のプロアポトーシス分子の変異体をコードしている遺伝子、抗アポトーシス活性を有することが当業者に知られているタンパク質をコードしている遺伝子、またはそれらの任意の組合せを含むプラスミドで形質移入することができる。
別の実施形態では、所望の組換えタンパク質(治療的タンパク質など)の全体的な生成物品質(たとえばグリコシル化の増強)を増強することができる。組換えタンパク質のグリコシル化を増加させるためには、哺乳動物細胞(たとえば、CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞など)を、タンパク質のグリコシル化に関与している1つまたは複数の酵素(α2,3−シアリルトランスフェラーゼ、β1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼなど)をコードしている核酸で形質移入することができる(Weikert et al., 1999, Nature Biotechnol 17:1116-21)。一実施形態では、β1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードしているプラスミドを、目的のタンパク質を発現する哺乳動物細胞内に導入することができる。別の実施形態では、α2,3−シアリルトランスフェラーゼをコードしているプラスミドを、目的のタンパク質を発現する哺乳動物細胞内に導入することができる。
培養する宿主細胞に関して様々な培養パラメータを用いることができる。哺乳動物細胞の適切な培養条件は当分野で周知であるか(Cleveland et al., J. Immunol. Methods, 56: 221-234 (1983))、または当業者が決定することができ(たとえば、Animal Cell Culture: A Practical Approach 2nd Ed., Rickwood, D. and Hames, B. D., eds. (Oxford University Press: New York, 1992)参照)、選択した特定の宿主細胞に応じて変化する。
限定せずに、細胞培地(接種培地、フィード培地、基本培地など)とは、細胞用の、特に哺乳動物細胞を増殖および/または維持するために用いる栄養液をいうことができる。これらの溶液は通常、以下の分類の1つまたは複数からの少なくとも1つの構成成分を提供する:(1)通常はグルコースなどの炭水化物の形態のエネルギー源;(2)すべての必須アミノ酸、ならびに通常は基本の20種のアミノ酸およびシステイン;(3)ビタミンおよび/または低濃度で必要な他の有機化合物;(4)遊離脂肪酸または脂質、たとえばリノール酸;(5)微量元素(微量元素とは、典型的には非常に低い濃度、通常はマイクロモル濃度の範囲で必要な、無機化合物または天然に存在する要素として定義される)。栄養液には、以下の分類のうちの任意のものからの1つまたは複数の構成成分を随意で添加することができる:(1)血清、インスリン、トランスフェリン、および表皮成長因子などのホルモンおよび他の成長因子;(2)塩、たとえば、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびリン酸塩;(3)HEPESなどのバッファー;(4)アデノシン、チミジン、およびヒポキサンチンなどのヌクレオシドおよび塩基;(5)タンパク質および組織加水分解物、たとえば、精製ゼラチン、植物材料、または動物副産物から得ることができるペプトンまたはペプトン混合物;(6)ゲンタマイシンなどの抗生物質;(7)細胞保護剤、たとえばプルロニックポリオール;(8)ガラクトース。基本培地の例は、細胞増殖基本培地であることができる。接種培地の例は、接種細胞増殖基本培地であることができる。フィード培地の例は、産生バイオリアクターフィード培地であることができる。
市販の培地を利用することができ、たとえば、最小必須培地(MEM、Sigma、モンタナ州St.Louis);ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma);ハムF10培地(Sigma);HyClone細胞培地(HyClone、ユタ州Logan);RPMI−1640培地(Sigma);および特定の細胞種用に配合された既知組成(CD)培地、たとえば、CD−CHO培地(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)が含まれる。これらの培地の任意のものに、必要に応じて、必要または所望に応じた適切な濃度または量の任意選択の構成成分を含めた、事前に定義された添加構成成分または成分を添加することができる。本発明で用いることができる哺乳動物細胞培養物は、培養する特定の細胞に適した培地中で調製する。一実施形態では、細胞培地は、任意の哺乳動物源由来の血清(たとえばウシ胎児血清(FBS))を一般に含まない、前述のものの1つであることができる。本発明の別の実施形態では、哺乳動物細胞培養物は、表15に指定した追加の構成成分を添加した市販の既知組成(CD)−CHO培地中で増殖させることができる。さらなる実施形態では、哺乳動物細胞培養物は、表20または21に指定した追加の構成成分を添加したCD−CHO培地中で増殖させることができる。
本発明の方法には、数々の細胞種の培養が含まれる。本発明の一実施形態では、細胞は動物または哺乳動物である。別の実施形態では、細胞は大量の所望のタンパク質を発現および分泌することができる。本発明の別の実施形態では、細胞は大量の目的の糖タンパク質を発現して培地中に分泌することができる。動物または哺乳動物細胞はまた、目的のタンパク質を発現および分泌するように分子修飾されていることもできる。宿主細胞によって産生されたタンパク質は、宿主細胞に内在性または同種であることができる。また、タンパク質は宿主細胞に異種(たとえば外来)であることもでき、目的のタンパク質をコードしている遺伝情報は、当分野で標準の方法によって(たとえば、電気穿孔、形質移入などによって)宿主細胞内に導入する。一実施形態では、哺乳動物糖タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞によって産生されて培地中に分泌されることができる。
一部の実施形態では、本発明は、実施例14に記載し、図10に示した大量産生方法を含めた本明細書中に記載の産生方法によって産生した、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。このプロセスは、高分子量(HMW)のCTLA4−Ig分子の産生をもたらすことができる(たとえば、実施例14および15参照)。別の実施形態では、実施例19および20に記載し、図24に示した大量産生方法などの本明細書中に記載の産生方法によって産生した、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団を提供する。このプロセスは、高分子量(HMW)のCTLA4A29YL104E−Ig分子の産生をもたらすことができる(たとえば、実施例19および20参照)。一部の実施形態では、HMW種は、既知組成(CD)−CHO1発酵プロセスを含めた産生方法によって産生された分子または二量体の約15〜25%であることができる。他の実施形態では、本発明は、CD−CHO1発酵プロセスによって産生したCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−IgHMW構成成分の単離、精製および特徴づけを行う方法を提供する。CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−IgHMW構成成分は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig二量体よりも大きな分子量を有する多量体(すなわち、四量体、六量体など)である。
後に単離および/または精製する大量の目的の糖タンパク質を保有し、発現し、培地中に分泌することができる動物または哺乳動物宿主細胞には、それだけには限定されないが、CHO−K1(ATCC CCL−61号)、DG44(Chasin et al., 1986, Som. Cell Molec. Genet, 12:555-556;Kolkekar et al., 1997, Biochemistry, 36:10901-10909;およびWO01/92337A2)、ジヒドロ葉酸還元酵素陰性CHO細胞(CHO/dhfr−、Urlaub and Chasin, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216)、ならびにdp12.CHO細胞(米国特許第5,721,121号)などのチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO);SV40によって形質転換させたサル腎臓CV1細胞(COS細胞、COS−7、ATCC CRL−1651号);ヒト胎児腎細胞(たとえば、293細胞、または懸濁培養中での増殖用にサブクローニングした293細胞、Graham et al., 1977, J. Gen. Virol., 36:59);ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL−10号);サル腎細胞(CV1、ATCC CCL−70号);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587号;VERO、ATCC CCL−81号);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980, Biol. Reprod., 23:243-251);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL−2号);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL−34号);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL−75号);ヒト肝細胞癌細胞(HEP−G2、HB8065号);マウス乳癌細胞(MMT060562、ATCC CCL−51号);バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL−1442号);TRI細胞(Mather, 1982, Annals NY Acad. Sci., 383:44-68);MCR5細胞;FS4細胞が含まれる。本発明の一態様では、CHO細胞、特にCHO/dhfr−およびCHO DG44細胞が利用される。
本発明の方法によって産生することができる哺乳動物糖タンパク質の例には、それだけには限定されないが、融合タンパク質またはキメラタンパク質を含めた、サイトカイン、サイトカイン受容体、成長因子(たとえば、EGF、HER−2、FGF−α、FGF−β、TGF−α、TGF−β、PDGF、IGF−1、IGF−2、NGF、NGF−β);成長因子受容体が含まれる。他の例には、それだけには限定されないが、成長ホルモン(たとえば、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン);インスリン(たとえば、インスリンA鎖およびインスリンB鎖)、プロインスリン;エリスロポエチン(EPO);コロニー刺激因子(たとえば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF);インターロイキン(たとえば、IL−1からIL−12);血管内皮成長因子(VEGF)およびその受容体(VEGF−R);インターフェロン(たとえば、IFN−α、β、またはγ);腫瘍壊死因子(たとえば、TNF−α、TNF−β)およびその受容体、TNFR−1およびTNFR−2;トロンボポエチン(TPO);トロンビン;脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP);凝固因子(たとえば、VIII因子、IX因子、フォンウィルブランド因子など);抗凝固因子;組織プラスミノーゲン活性化剤(TPA)、たとえば、ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型TPA;卵胞刺激ホルモン(FSH);黄体形成ホルモン(LH);カルシトニン;CDタンパク質(たとえば、CD3、CD4、CD8、CD28、CD19など);CTLAタンパク質(たとえばCTLA4);T細胞およびB細胞受容体タンパク質;骨形態形成タンパク質(BNP、たとえば、BMP−1、BMP−2、BMP−3など);神経栄養因子、たとえば、骨由来神経栄養因子(BDNF);ニューロトロフィン、たとえば3〜6;レニン;リウマチ因子;RANTES;アルブミン;リラキシン;マクロファージ阻害タンパク質(たとえば、MIP−1、MIP−2);ウイルス性タンパク質または抗原;表面膜タンパク質;イオンチャネルタンパク質;酵素;調節タンパク質;抗体;免疫調節タンパク質(たとえば、HLA、MHC、B7ファミリー);ホーミング受容体;輸送タンパク質;スーパーオキシドジスムターゼ(SOD);G−タンパク質共役型受容体タンパク質(GPCR);神経修飾タンパク質;アルツハイマー病関連のタンパク質およびペプチド(たとえば、A−β)、ならびに当分野で知られている他のものが含まれる。本発明の方法によって産生することができる適切なタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドには、それだけには限定されないが、前述のタンパク質およびポリペプチドの任意のものの融合タンパク質、ポリペプチド、キメラタンパク質、ならびに断片もしくは部分、または突然変異体、変異体、もしくは類似体が含まれる。
本発明の方法を用いて、配列番号5、6、7、8、9、または10の変異体であるCTLA4−Ig分子を産生することもできる。一実施形態では、CTLA4−Ig分子は、残基55(A55Y)および130(L130E)に1つまたは複数の変化を有する単量体を含むことができる(言及した残基は配列番号2のものである)。参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2002/0182211A1号に記載のCTLA4−Igの変異体および突然変異体の説明を参照されたい。別の実施形態では、CTLA4−Ig変異体は、CTLA−4領域内に突然変異を有する、もしくはIg領域に突然変異を有する、それらの任意の組合せを有するCTLA4−Ig分子を含むことができる。一実施形態では、CTLA4−Ig変異体分子は、配列番号5、6、7、8、9または10と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%同一のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig分子を含む。一実施形態では、CTLA4−Ig変異体分子はCD80またはCD86と結合することができる。別の実施形態では、変異体は二量体を形成することができる。さらなる実施形態では、変異体は、非突然変異したCTLA4−Ig分子の集団によって示されるものと類似の炭水化物プロフィールを示す。一実施形態では、CTLA4−Ig変異体分子は、配列番号2中に存在するものと同じ潜在的なN結合型およびO結合型グリコシル化部位を有する。別の実施形態では、CTLA4−Ig変異体分子は、配列番号2中に存在するものと同じN結合型およびO結合型グリコシル化部位を有し、さらなるグリコシル化部位を有する。突然変異には、それだけには限定されないが、ヌクレオチドの欠失、挿入、付加;アミノ酸の欠失、置換、付加;核酸のフレームシフトが含まれることができ;置換は、非保存的置換(たとえば、グリシンがトリプトファンで置換)または保存的置換(たとえば、ロイシンでイソロイシンを置換)のどちらかであることができる。
CTLA4−Ig変異体分子には、それだけには限定されないが、CTLA4−L104EA29YIg(配列番号2に従った残基の番号付けを用いて、CTLA4−L104EA29YIgは本明細書中ではCTLA4−L130EA55YIgと呼ばれる)、ならびに、米国特許出願第09/865,321号(米国特許出願公開第2002/0182211号)、第60/214,065号および第60/287,576号;WO01/92337A2;米国特許第6,090,914号、第5,844,095号および第5,773,253号;R. J. Peach et al., 1994, J Exp Med, 180:2049-2058に記載のCTLA4−Ig変異体分子が含まれる。一実施形態では、本方法で産生したCTLA4−Ig変異体分子は、CTLA4−Ig変異タンパク質をコードしている発現ベクターを含む細胞から分泌させることができる。
CTLA4−Ig変異体であるL130EA55Yigは、構造がCTLA4−Ig分子に類似の遺伝子操作した融合タンパク質である。L130EA55Y−Igは、修飾されたヒトCTLA−4の機能的細胞外結合ドメインおよびIgG1クラスのヒト免疫グロブリンのFcドメインを有する。2つのアミノ酸修飾、すなわち、配列番号2の位置130に対応する、L104EA29Y変異体の位置104のロイシンからグルタミン酸(L104E)、および配列番号2の位置55に対応する、L104EA29Y変異体の位置29のアラニンからチロシン(A29Y)を、CTLA−4ドメインのB7結合領域に行って、L130EA55Yを作製した。L130EA55Y−Igは、それぞれ約45,700ダルトンの2つの相同的なグリコシル化されたポリペプチド鎖を有することができ、これらは鎖間ジスルフィド結合および非共有相互作用によって結合されている。L130EA55Y−IgをコードしているDNAは、L104EA29Y−IgをコードしているDNAとして、ブダペスト条約の規定の下、2000年6月20日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託した。これは、ATCC寄託番号PTA−2104号が与えられている。L104EA29Y−Ig(本出願ではL130EA55Y−Igに対応)は、そのすべてが参考として本出願中にその全体で組み込まれている、同時係属中の米国特許出願第09/579,927号、同第60/287,576号および同第60/214,065号、ならびに同第09/865,321号およびWO/01/923337A2にさらに記載されている。
組換えタンパク質L130EA55Y−Igは、配列番号2のアミノ酸位置55でAlaを有し、アミノ酸位置130でLeuを有するCTLA4−Ig単量体と比較して2つのアミノ酸(アミノ酸位置55のTyrおよびアミノ酸位置130のGlu)でのみ異なり、かつこれら2つの突然変異はN結合型またはO結合型グリコシル化に影響を与えないので、L130EA55Y−Igを含むCTLA4−Ig変異体分子の集団は、野生型CTLA4−Igを含む集団と同じプロフィールまたは非常に類似したグリコシル化プロフィールを有し得る。さらに、組換えタンパク質L130EA55Y−Igは、配列番号2のアミノ酸位置55でAlaを有し、アミノ酸位置130でLeuを有するCTLA4−Ig単量体と比較して2つのアミノ酸(アミノ酸位置55のTyrおよびアミノ酸位置130のGlu)でのみ異なるので、本発明の本方法は、表6に記載のものに類似の特徴属性を有するL130EA55Y−Igが産生できるはずである。
本発明の方法を用いて、配列番号11、12、13、14、15、または16の変異体であるCTLA4A29YL104E−Ig分子を産生することもできる。一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igは、配列番号3中に1つまたは複数の変化を有する単量体を含むことができる。たとえば、他のCTLA4A29YL104E−Ig分子の説明は、参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている、米国特許出願公開第2002/0039577号、同第2003/0007968号、同第2004/0022787号、同第2005/0019859号、および同第2005/0084933号、ならびに米国特許第7,094,8874号に記載されている。
一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igは、CTLA−4領域(配列番号18)内に1つまたは複数の突然変異を含む、もしくはIg領域内に1つの突然変異を含む、またはそれらの任意の組合せを含む。他の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、配列番号11、12、13、14、15、または16と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%同一のアミノ酸配列を有するCTLA4A29YL104E−Igを含む。さらなる実施形態では、上述のCTLA4A29YL104E−Ig分子はCD80またはCD86と結合することができる。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igは二量体を形成することができる。さらなる実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igは、非突然変異したCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団によって示されるものと類似の炭水化物プロフィールを示す。さらに他の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子は、配列番号4中に存在するものと同じ潜在的なN結合型およびO結合型グリコシル化部位を有する。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Igは、配列番号4中に存在するものと同じN結合型およびO結合型グリコシル化部位を有し、さらなるグリコシル化部位を有する。突然変異には、それだけには限定されないが、ヌクレオチドの欠失、挿入、付加;アミノ酸の欠失、置換、付加;核酸のフレームシフトが含まれることができ;置換は、非保存的置換(たとえば、グリシンがトリプトファンで置換)または保存的置換(たとえば、ロイシンでイソロイシンを置換)のどちらかであることができる。
本発明の一実施形態では、CTLA4−Ig変異体分子の集団は、所望のタンパク質(たとえばL130EA55Y−Igタンパク質など)をコードしている遺伝子を発現する、本発明の大量産生方法に従って懸濁液中で増殖させた、哺乳動物細胞(たとえばdhfr陰性CHO細胞)によって産生させることができる。本発明によれば、哺乳動物細胞によって産生させた組換えCTLA4−Ig変異タンパク質は、本明細書中に記載の収集パラメータに従って回収することができる。他の実施形態では、哺乳動物細胞によって産生させた組換えCTLA4−Ig変異タンパク質は、本発明に記載の精製スキームに従って精製することができる(実施例15)。
本発明の一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子の集団は、所望のタンパク質(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig)をコードしている遺伝子を発現する、本発明の大量産生方法に従って懸濁液中で増殖させた、哺乳動物細胞(たとえばdhfr陰性CHO細胞)によって産生させることができる。本発明によれば、哺乳動物細胞によって産生させた組換えCTLA4A29YL104E−Igは、本明細書中に記載の収集パラメータに従って回収することができる。他の実施形態では、哺乳動物細胞によって産生させた組換えCTLA4A29YL104E−Igは、本発明に記載の精製スキームに従って精製することができる(実施例19〜20)。
細胞培養の種類および一般培養プロセス
目的のタンパク質、たとえば糖タンパク質、融合タンパク質などは、所望のタンパク質生成物を発現する細胞を様々な細胞培養条件下で増殖させることによって産生させることができる。当業者は、タンパク質を産生するための細胞培養および培養の実行には、それだけには限定されないが、3つの一般的な種類、すなわち、連続培養、バッチ培養、流加培養が存在することを理解されよう。連続培養プロセスでは、新鮮な培地の補充(たとえばフィード培地)を、培養期間中、古い培地を除去しながら細胞に供給する。連続培養中に産生された産物は、たとえば、毎日または連続的に収集することもできる。細胞が生存している限りは、かつ環境および培養条件が維持されている限りは、連続培養プロセスにおいて所望する限り細胞の培養を保つことができる。
バッチ培養プロセスでは、細胞を最初に培地中で培養し、この培養培地は、交換も除去も補充もしない。細胞には、培養の実行中またはそれの終了前に新しい培地を「供給」せず、したがって、栄養素が消耗されるまで培養が続く。培養の実行の最後にタンパク質組成物を収集する。
流加培養プロセスには、実行中、培地に1日に1回もしくは複数回(または連続的に)、新鮮な培地を補充することによって、培養の実行時間を増加することができる。このプロセスでは、培養期間中、細胞に新鮮な培地、すなわち「フィード培地」を補充する。流加培養には、たとえば、毎日、2日毎、隔日など;1日1回より多く、または1日1回より少なくなど、既に記載した様々な供給スケジュールが含まれることができる。流加培養では、フィード培地を連続的に供給することもできる。その後、培養/産生の実行の終わりに、目的のタンパク質生成物を収集する。
哺乳動物宿主細胞によって産生される糖タンパク質を含めたタンパク質の小または大スケール産生の細胞培養系は、本発明のコンテキスト内で有用である。当業者は、実験室スケールの培養方法では、組織培養皿、スピナーフラスコ、およびT−フラスコが典型的に用いられることを理解されよう。より大きなスケール(たとえば、500L、5000L、10,000L、20,000Lなど)の培養に用いることができるプロセスには、それだけには限定されないが、中空繊維バイオリアクター、流動床バイオリアクター、攪拌タンクバイオリアクター系、またはローラーボトル培養物が含まれる。最後の2つのプロセスは、マイクロキャリアを用いてまたは用いずに利用することができる。
系は、バッチ、フィードバッチ、または連続モードで運用することができる。産生スケールの培養には、攪拌タンクバイオリアクターが、その柔軟性の故、好まれる系である。これらの反応器は、気泡スパージを備えた機械的攪拌またはインペラーによって細胞を懸濁に保つ。攪拌タンクバイオリアクターは、大量産生スケールの容量(たとえば20,000リットル)までスケールアップすることができ、異なるフィードモードで運用することができる。これらの系は、細胞増殖のための大きな表面積、代謝廃棄物、酸素、および栄養素の効率的な移送、ならびに反応器での連続攪拌または構成成分の混合によって細胞が底に沈むことを防止することによって反応器全体にわたって均一な環境を維持することを提供する。所望の糖タンパク質の産生には、本発明は、攪拌タンクバイオリアクター内に維持する、D−ガラクトースを含むフィード培地を毎日供給する、大スケールのフィードバッチ細胞培養物を具体化する。別の実施形態では、フィードバッチ細胞培養物は、適切な濃度のグルコースおよびグルタミンなどのタンパク質のグリコシル化に重要な限界細胞培養栄養素を含むフィード培地を毎日供給する、攪拌タンクバイオリアクター内で維持することもできる(Chee et al., 2005, Biotechnol. Bioeng. 89:164-177)。
目的のタンパク質を産生する培養物の細胞は、特定の哺乳動物宿主細胞および企図する特定の産生計画に最も適した任意のスキームまたはルーチンに従って増殖させることができる。細胞培養条件は、細胞培養の増殖期における哺乳動物宿主細胞の集団の増大または増殖が、そのような増大および増殖のために最大にした一定期間の間増強されるように、開発することができる。細胞培養の増殖期は、細胞が主に迅速に分裂する指数関数的な細胞増殖の期間(たとえば対数期)を含む。この期間の間、生細胞密度の増加速度は任意の他の時点よりも高い。
また、細胞培養条件は、細胞培養の産生期中の一定期間、タンパク質産生が増強されるように開発することができる。細胞培養の産生期は、細胞増殖が静止している、またはほぼ一定レベルに保たれている期間を含む。生細胞密度は所定の期間にわたってほぼ一定にとどまる。対数細胞増殖は終わっており、タンパク質産生が産生期の主な活動である。タンパク質産生の持続を支援するために、および所望の糖タンパク質生成物を得るために、この時点で一般的に培地を補充する。
温度、pH、溶解酸素(DO2)などの培養条件は、当業者には理解される、哺乳動物宿主細胞の培養に用いられるものである。CHO細胞などの哺乳動物宿主細胞の培養に適切な温度範囲は30〜40℃であり、一実施形態では約37℃である。pHは、一般に、酸または塩基のどちらかを用いて約6.5〜7.5のレベルに調節する。適切なDO2は空気飽和の5〜90%である。これらの培養条件は、所望のタンパク質または糖タンパク質生成物を産生する哺乳動物細胞の培養を促進するために用いることができる。
哺乳動物宿主細胞集団は、増殖期の培養で増大および増殖させることができ、場合によっては保管から外した細胞を、増殖および高生存度の促進に許容される培養培地に接種する。その後、新鮮な培養培地を宿主細胞培養物に加えることによって細胞を適切な期間、産生期に維持することができる。産生期中、タンパク質産生を増強するために細胞を様々な温度シフトに供することができる。複数温度シフトの培養プロセスは、2003年12月18日出願の米国特許出願第10/742,564号、および2003年12月18日出願の米国特許出願第10/740,645号に記載されている。これら出願の内容は、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている。本発明では、細胞培養プロセスを含む2つ以上の温度シフトは、プロセスまたは産生の実行の終わりまで培養物中で生存する生細胞の数の増加をもたらすことができる。培養の産生期中、より多くの細胞数が生存することは、より大量のタンパク質または糖タンパク質生成物が産生される結果となる場合があり、プロセスの終わりのタンパク質生成物の量が増加する。
本発明の特定の態様は、細胞に目的の糖タンパク質を産生させるためにD−ガラクトースを含む、毎日供給するまたは表14、15に記載のフィード培地を供給する、フィードバッチの大スケール(たとえば、500L、5000L、10000Lなど)の哺乳動物細胞培養物を具体化する。本実施形態で産生されるタンパク質の品質を上げるために、2つ以上の温度シフトを培養期間中に用いて、タンパク質の産生期を、温度シフトを用いない場合、または1つの温度シフトのみを用いる場合を超えて延長することができる。別の実施形態では、本発明は、細胞に目的の糖タンパク質(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig)を産生させるためにD−ガラクトースを含む、表22に記載のフィード培地を1日に1回または複数回を供給する、フィードバッチの大スケール(たとえば、500L、5000L、10000Lなど)の哺乳動物細胞培養物を伴う。また、糖タンパク質の品質を上げるために、1回または複数回の温度シフトを培養期間中に用いて、タンパク質産生期を、温度シフトを用いない場合を超えて延長することもできる。あるいは、硫酸デキストランを培養物に加え、同時に温度シフトを行うことができる。
バイオリアクターでの組換えタンパク質の大量産生
本発明は、真核細胞の慣用の攪拌タンクバイオリアクターによる培養方法、特にそのような細胞によって発現される所望のタンパク質生成物を大スケールまたは工業的な量で産生させるための方法を提供する(たとえば20000Lの細胞培養容量)。培養プロセスは、懸濁液中で増殖させる真核細胞のフィードバッチ培養プロセスであり、培養上清の収集を伴い、目的のタンパク質を発現する真核細胞、たとえば哺乳動物細胞が所望のタンパク質生成物を培地中に分泌する。
哺乳動物細胞の大スケール培養方法、特にそのような細胞によって発現される大量の所望のタンパク質生成物を産生させるための方法を、本発明で具体化する。この方法は、
(i)細胞を、無血清培地を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)に接種し、種培養物(たとえば、より大きな容量を接種するために用いる開始培養物)を少なくとも細胞が最小限の交差接種密度に達するまで増殖させる工程であって、密度は、細胞が続く培養容量で十分に増殖するために必要な、事前に決定した値である工程と;
(ii)培養物を増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地を含むより大きな培養容器(たとえば、ローラーボトルまたは細胞バッグ)に移す工程と;
(iii)細胞培養物をさらに増殖させるために、増大させた種培養物を、無血清培地を含む大スケール培養容器に移す工程と;
(iv)大スケール培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地中で、少なくとも前記細胞が標的密度に達成するまでまたは特定の生化学的特徴を示すまで維持する工程と
を含む工程によって実施することができる。
一部の実施形態では、この方法は、(iv)培地を収集し、その培地を新鮮な培地で交換する工程を含むことができる。
他の実施形態では、哺乳動物細胞の大スケール培養方法は、
(i)細胞を、無血清培地(たとえば接種培地)を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)に接種し、種培養物(たとえば、より大きな容量を接種するために用いる開始培養物)を少なくとも細胞が最小限の交差接種密度に達するまで増殖させる工程であって、密度は、細胞が続く培養容量で十分に増殖するために必要な、事前に決定した値である工程と;
(ii)培養物を増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地(たとえば接種培地)を含むより大きな培養容器(たとえば、ローラーボトルまたは細胞バッグ)に移す工程と;
(iii)細胞培養物をさらに増殖させるために、増大した種培養物を、無血清培地(たとえば基本培地)を含む大スケール培養容器(1000Lバイオリアクターなど)に移す工程と;
(iv)大スケール培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地(たとえばフィード培地)中で、少なくとも前記細胞が標的密度に達成するまでまたは特定の生化学的特徴を示すまで維持する工程と
を含む工程によって実施することができる。
本発明の一部の実施形態では、この方法は、
(v)培地を収集し、消費した培地を新鮮な培地で交換する工程
を含むことができる。
本発明は、大スケール量の所望のタンパク質生成物を産生するための動物由来の構成成分を欠く培地の任意の配合物中の任意の細胞種に適用可能であり、a)マイクロキャリアプロセスもしくはb)懸濁細胞プロセスの2つプロセス、またはその変形のいずれかを利用することができる。細胞、たとえば哺乳動物細胞の培養では、どちらかのプロセスを利用することができ、2つの明確な期、増殖期および産生期で運用する。本発明の別の実施形態では、動物由来の構成成分(一部の非限定的な例はウシ血清アルブミン(BSA)またはFBSである)を含む培地の任意の配合物も、上述のような大スケールタンパク質の量の産生に用いることができる。
当業者は、マイクロキャリアプロセスは標準のマイクロキャリアプロセスまたは灌流マイクロキャリアプロセスには限定されず、また、細胞がマクロ多孔性担体上に付着および/または固定されている細胞培養に用いることができることを、理解されよう。標準のマイクロキャリアプロセスでは、細胞を、無血清培地を含む種培養容器内に接種し、細胞が最低播種密度に達するまで増殖させる。続いて、増殖した種培養物を、無血清培地およびマイクロキャリアを含む大スケール培養容器に移す。この増殖期では、たとえば、マクロ多孔性担体を用いたプロセスの場合では担体内に遊走する細胞によって、担体が完全にコロニー形成されるまで、細胞をマイクロキャリア上で増殖させる。
培地の交換は、マイクロキャリアが培養容器の底に沈んだ際に行うことができ、タンク容量の事前に決定した割合を除去し、タンク容量の対応する割合の新鮮な培地を容器に加える。その後、マイクロキャリアを培養培地に再懸濁させる。当業者は、培地の除去および交換のプロセスを、事前に決定した間隔、たとえば24時間毎に繰り返すことができ、交換する培地の量は細胞密度に依存し、典型的にはタンク容量の25%〜80%であることができることを、理解されよう。タンク内のタンク培地の60〜95%を、細胞密度がタンパク質の発現に適した事前に決定した値に達した際に、24時間毎に変えることができる。当業者はしばしば、産生期にわたっても前述の培地交換%の値を用いる。
産生期中、培地は、マイクロキャリアをタンクの底に沈めさせ、タンク容量の選択した%を除去し、タンク容量の対応する%、たとえば前述に記載のように60〜95%の新鮮な培養培地を容器に加えることによって交換することができる。その後、マイクロキャリアを培養培地に再懸濁させ、培地の除去および交換プロセスを毎日繰り返すことができる。
マイクロキャリア灌流プロセスは標準のマイクロキャリアプロセスに似ており、これも増殖/増大期および産生期で運用する。2つのプロセスの主な違いは、培地を変えるのに用いる方法である。標準のマイクロキャリアプロセスでは、定義された量のタンク容量、たとえば全タンク容量の60〜95%を一度に変えるが、灌流プロセスでは、培地を連続的に加える。本質的に、培地が容器から出ることを可能にするがマイクロキャリアをタンク内に保持する分離装置(または灌流装置)を用いることによってマイクロキャリアを容器内に保ちながら、タンク容量の一定%の培地を、事前に決定した時間をかけて徐々に変える。このプロセスの増殖期は、徐々に培地を交換する以外は標準のマイクロキャリアプロセスに記載のとおりである。
懸濁細胞プロセスの2つの非限定的なオプションには、懸濁細胞灌流プロセスおよび懸濁細胞バッチプロセスが含まれる。灌流プロセスでは、培養培地中の細胞を担体に固定せずに自由に懸濁させ、マイクロキャリアプロセスと同様、2つの明確な期(たとえば、増殖期および産生期)で運用することができる。懸濁細胞灌流プロセスの増殖期中、細胞を、無血清培地を含む種培養容器内に接種し、標的交差接種密度に達するまで増殖させる。その後、増殖した種培養物を、培養動物由来の構成成分を欠く培地を含む大スケール培養容器に移すことができる、タンパク質の発現に適した事前に決定した細胞密度の値に達するまで増殖させる。新鮮な培地を用いた培養容器の連続灌流を行って培地交換プロセスを実施する。
懸濁細胞バッチプロセスでは、細胞培養は、a)単純バッチプロセスまたはb)フィードバッチプロセスの非限定的な様式によって実施することができる。単純バッチプロセスでは、細胞を動物由来の構成成分を欠く培地を含む種培養容器に接種し、細胞が事前に決定した交差接種密度に達するまで増殖させる。続いて、増殖した種培養物を、無血清培地を含む大スケール培養容器に移し、培地中の栄養素が消耗されるまで培養容器を稼動する。フィードバッチプロセスでは、栄養素の濃縮溶液(たとえばフィード培地)をタンクに供給することにより、この培養プロセスの培地の栄養素供給を延長することができ、したがってプロセス時間が延長され、最終的には培養容器内の所望のタンパク質の産生の増加がもたらされる。フィード培地を加える方法は様々であることができる。培地は、単一のパルスボーラス(1日1回、2回、3回など)として加えるか、または24時間の期間にわたって徐々に供給することができる。この供給により、細胞が大スケール培養容器内で増殖することが可能となり、実行の終わりにどの栄養素も消耗されてしまう前に、分泌された目的のタンパク質生成物を含んでいることができる培地を収集することが可能となる。容器の内容物をすべて除去する代わりに、当業者は、タンク容量の一部のみ(約80%であることができる)を除去する。
フィードバッチプロセスの任意選択の態様は、温度シフトの使用である。このプロセスでは、産生期中に運用温度として用いる温度は、増殖期中に用いる温度よりも低い。フィードバッチプロセス、たとえば本発明で用いるプロセスの前記温度範囲は、使用する特定の細胞系の増殖に適した温度での最初の増殖期、次いで事前に決定した細胞密度での運用温度の低下からなることができる。
一実施形態では、大スケール流加培養プロセスのプロセスは、(i)細胞を、無血清培地を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)に接種し、増殖に適した温度で、細胞が少なくとも事前に決定した交差接種密度に達するまで種培養物を増殖させる工程と;(ii)培養物を適した温度で増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地を含むより大きな培養容器(たとえば、ローラーボトルまたは細胞バッグ)に移す工程と;(iii)細胞培養物を適切な温度でさらに増殖させるために、増大した種培養物を、無血清培地を含む大スケール培養容器に移す工程と;(iv)大スケール培養物をタンパク質の発現に適した下げた温度で、新鮮なフィード培地で毎日交換しながら、少なくとも前記細胞が標的密度に達するまでまたは臨界期間の間、動物由来の構成成分を欠く培地中に維持する工程とを含む。
(iv)の新鮮なフィード培地で交換する工程は、事前に決定した容量、たとえばタンク容量の80%を除去し、同じ容量の新鮮なフィード培地で交換することを伴うことができる。
さらなる実施形態では、大スケール流加培養プロセスのプロセスは、(i)細胞を、無血清培地を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)に接種し、増殖に適した温度で、細胞が少なくとも事前に決定した交差接種密度に達するまで種培養物を増殖させる工程と;(ii)培養物を適した適切な温度で増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地を含むより大きな培養容器(たとえば、ローラーボトルまたは細胞バッグ)に移す工程と;(iii)細胞培養物を適切な温度でさらに増殖させるために、増大した種培養物を、無血清培地を含む大スケール培養容器(たとえば1000Lバイオリアクター)に移す工程と;(iv)大スケール培養物をタンパク質の発現に適した下げた温度で、新鮮なフィード培地で毎日交換しながら、少なくとも前記細胞が標的密度に達するまでまたは臨界期間の間、動物由来の構成成分を欠く培地中に維持する工程とを含む。
(iv)の新鮮なフィード培地で交換する工程は、事前に決定した容量、たとえばタンク容量の約80%を除去し、同じ容量の新鮮なフィード培地で交換することを伴うことができる。
本発明の一実施形態では、フィードバッチプロセスで培養する細胞は、所望のタンパク質生成物を発現する哺乳動物細胞、たとえばCHO細胞である。哺乳動物細胞を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)内に接種し(実施例13)、増殖に適した温度で、たとえば約35〜39℃で3〜4日間、細胞が事前に決定した交差接種密度に達するまで増殖させる(たとえば、≧6.0×106個の生細胞を有する、または最終培養物生存度≧80%であるまで)。その後、適切な温度(たとえば約35〜39℃)で約3〜4日間増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地を含む大きな培養容器(たとえばローラーボトル)に移す。細胞培養物を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地を含むより大きな培養容器(たとえば、20Lの細胞バッグ、100Lの細胞バッグなど)中で、増殖に適した温度、たとえば約35〜39℃で3〜4日間、細胞が標的播種密度に達するまでさらに増大させる(たとえば、≧1〜2×106個の生細胞/mlを有する、または最終培養物生存度≧80%であるまで)。一実施形態では、接種剤の増大は、最低4継代を含む。本発明の別の実施形態では、接種剤の増大は20継代を越えない。
その後、増大させた種培養物を用いて無血清培地(たとえばCD−CHO培地)を含む大スケール培養タンク(たとえば、1000L、4000Lのバイオリアクターなど)に接種して、細胞培養物を適切な温度、たとえば約35〜39℃で3〜6日間、細胞が標的播種密度に達するまで、さらに増殖させることができる(たとえば、≧1〜2×106個の生細胞/mlを有する、または最終細胞培養物生存度≧80%であるまで)。続いて、大スケール培養物(たとえば、バイオリアクター中に10,000L、15,000L、20,000Lの培養物など)を、タンパク質の発現および分泌されたタンパク質生成物の産生に適した増殖温度よりも低い温度(たとえば33〜35℃またはその近辺で3〜4日間、および31〜33℃またはその近辺で6〜8日間)で無血清培地中に維持し、培地はフィード培地(たとえばeRDF培地、実施例14)である。フィード培地は新鮮なフィード培地で毎日交換し、タンクを新鮮なフィード培地で交換することは、事前に決定した容量、たとえばタンク容量の80%を除去し、タンクを同じ容量の新鮮なフィード培地で置き換えることを伴う。商業用スケールの培養は、前記細胞が、それだけには限定されないが、時間の長さ、標的細胞密度、または生化学的タンパク質特徴(既に記載したNANAのモル比など)であることができる産生パラメータの標的値に達するまで維持し、生細胞密度は3.0〜8.0×106個の細胞/mlであることができ;NANAのモル比は≧6.0であることができ;最終細胞培養物生存度は≧30%であることができ;最終タンパク質生成物力価は≧0.5g/Lであることができる。
本発明の特定の実施形態では、フィードバッチプロセスで培養する細胞は、所望のタンパク質生成物(たとえばCTLA4−Ig分子)を発現する哺乳動物細胞、たとえばCHO細胞である。CHO細胞を、無血清培地を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)内に接種し、たとえばCD−CHO培地、増殖に適した温度、たとえば約37℃で3〜4日間、細胞が事前に決定した交差接種密度に達するまで増殖させる(たとえば、≧10.0×106個の生細胞を有する、または最終培養物生存度≧84%であるまで)。その後、適切な温度(約37℃)で約4日間増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地を含む大きな培養容器(たとえばローラーボトル)に移す。細胞培養物を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地を含むより大きな培養容器(たとえば、20Lの細胞バッグ、100Lの細胞バッグなど)中で、4日間、増殖に適した温度で(たとえば約37℃で)、細胞が標的播種密度に達するまでさらに増大させる(たとえば、≧1〜2×106個の生細胞/mlを有する、または最終培養物生存度≧91%であるまで)。接種剤の増大は、最低7継代を含むことができる。
その後、細胞培養物を適切な温度、たとえば約37℃で5〜6日間、細胞が標的播種密度に達するまでさらに増殖させるために、増大させた種培養物を用いて、無血清培地(たとえばCD−CHO培地)を含む大スケール培養タンク(たとえば4000Lバイオリアクターなど)に接種する(たとえば、≧1〜2×106個の生細胞/mlを有する、または最終細胞培養物生存度≧86%であるまで)。続いて、商業用スケールの培養物(たとえばバイオリアクター中に20,000Lの培養物)を、タンパク質の発現および分泌されたタンパク質生成物(たとえばCTLA4−Ig)の産生に適した増殖温度よりも低い温度で無血清培地中に維持し、培地はフィード培地(たとえばeRDF培地)である。商業用スケールの培養物を最初に約37℃から約34℃まで4日間下げ、その後、温度を約34℃から約32℃まで8日間下げることによって第2の温度シフトに供する。フィード培地は新鮮なフィード培地で毎日交換し、バイオリアクタータンク内のフィード培地を交換することは、事前に決定した容量、たとえばタンク容量の80%を除去し、同じ容量の新鮮なフィード培地で交換することを伴う。商業用スケールは、前記CHO細胞および/または分泌されたタンパク質生成物が、生細胞密度4.0〜7.0×106個の細胞/ml;NANAのモル比≧8.0;最終細胞培養物生存度≧38%;および最終タンパク質生成物力価≧0.6g/Lの非限定的な産生パラメータの標的値に達するまで維持する。
本発明の別の実施形態では、フィードバッチプロセスで培養する細胞は、所望のタンパク質生成物を発現する哺乳動物細胞、たとえばCHO細胞である。哺乳動物細胞を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)内に接種し(実施例19)、増殖に適した温度、たとえば約35℃〜約39℃で約3〜4日間;または約36℃〜約38℃で約4日間まで、細胞が事前に決定した交差接種密度に達するまで増殖させる(たとえば、1.5×106以上の細胞密度を有する、または最終培養物生存度が約80%以上であるまで)。その後、適切な温度(たとえば、約35℃〜約39℃、または約36℃〜約38℃)で約3〜4日間または約4日間まで増大させるために、増殖した種培養物を、動物由来の構成成分を欠く培地を含む大きな培養容器(たとえばローラーボトル)に移す。細胞培養物を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地を含むより大きな培養容器(たとえば、20Lの細胞バッグ、100Lの細胞バッグなど)中、増殖に適した温度、たとえば約35℃〜約39℃、または約36℃〜約38℃で、約3〜4日間または約4日間まで、細胞が標的播種密度に達するまでさらに増大させる(たとえば、少なくとも約1.5×106個の生細胞/mlを有する、または最終培養物生存度が80%以上であるまで)。一実施形態では、接種剤の増大は、最低4継代を含む。本発明の別の実施形態では、接種剤の増大は20継代を越えない。一部の実施形態では、CD−CHO培地はCD−CHO接種培地である。
その後、細胞培養物を適切な温度、たとえば約35℃〜約39℃、または約36℃〜約38℃で約3〜約6日間、または約4〜約5日間、または約4.7日間、または約113時間以下、細胞が標的播種密度に達するまで、さらに増殖させるために、増大させた種培養物を用いて、無血清培地(たとえば、CD−CHO接種培地および/またはCD−CHO基本培地などのCD−CHO培地)を含む大スケール培養タンク(たとえば、1000L、4000Lのバイオリアクターなど)に接種することができる(たとえば、約2.3×106個の生細胞/mlを有する、または最終細胞培養物生存度が少なくとも約88%であるまで)。
続いて、商業用スケールの培養物(たとえば、バイオリアクター中に10,000L、15,000L、20,000L、30,000Lの培養物など)を、タンパク質の発現および分泌されたタンパク質生成物の産生に適した約35℃〜約39℃の温度で約3〜約6日間、または約4〜約5日間、無血清培地中に維持し、培地はフィード培地である(たとえば、eRDF培地、実施例19)。あるいは、以下および参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開番号2005/0019859号に記載のように、ポリアニオン化合物(たとえば硫酸デキストランなど)を、無血清培地中に維持している培養物に加えることができ、培地はフィード培地である(たとえば、eRDF培地、実施例19)。培養物を、同時に、単一工程の温度低下(たとえば、32℃もしくはその近辺〜36℃またはその近辺で約3〜約14日間、または約10〜約13日間、または約234〜約304時間)に供することができる。
本発明の一実施形態では、培養物を、同時に、複数工程の温度低下(たとえば、33℃またはその近辺〜35℃またはその近辺で約3〜6日間、および31℃またはその近辺〜33℃またはその近辺で約6〜8日間)に供することもできる。上述の処理したものは、タンパク質の発現および分泌されたタンパク質生成物の産生に適している。
上述の例のフィード培地は、毎日(1日1回、2回、3回など)または数日毎に、新鮮なフィード培地で交換することができる。タンクを新鮮なフィード培地で交換することは、事前に決定した容量、たとえばタンク容量の80%を除去し、タンクを同じ容量の新鮮なフィード培地で置き換えることを伴う。商業用スケールの培養は、前記細胞が、それだけには限定されないが、時間の長さ、標的細胞密度、または生化学的タンパク質特徴(既に記載したNANAのモル比など)であることができる産生パラメータの標的値に達するまで維持し、生細胞密度は3.0〜8.0×106個の細胞/mlであることができ;NANAのモル比は≧5.0、または約6、または約5.2〜約7.6であることができ;最終細胞培養物生存度は約30%以上または約37%以上であることができ;最終タンパク質生成物力価は約0.46〜約0.71g/L、0.5g/L以上、または20g/L以上であることができる。
本発明に従って、ポリアニオン化合物を遅れて加えることを含む細胞培養プロセスを提供する。このプロセスは、接種後の時点(たとえば、培養プロセスの増殖期中または産生期中)でポリアニオン化合物を細胞培養物に加えることを含む。ポリアニオン化合物を遅れて加えることにより、細胞生存度の増加が達成される。一実施形態では、本発明は、目的のタンパク質を発現する宿主細胞を培養し、接種後の時点でポリアニオン化合物を細胞培養物に加えることを含む細胞培養プロセスを対象とする。
ポリアニオン化合物には、それだけには限定されないが、硫酸デキストラン(Sigma−Aldrich、モンタナ州St.Louisから入手可能)、ヘパリン(Sigma−Aldrichから入手可能)、ヘパラン硫酸(Sigma−Aldrichから入手可能)、マンナン硫酸、コンドロイチン硫酸(Sigma−Aldrichから入手可能)、デルマタン硫酸(Sigma−Aldrichから入手可能)、ケラタン硫酸(Sigma−Aldrichから入手可能)、ヒアルロン酸(Sigma−Aldrichから入手可能)、ポリ(硫酸ビニル)(Sigma−Aldrichから入手可能)、κ−カラゲナン(Sigma−Aldrichから入手可能)、およびスラミン(Sigma−Aldrichから入手可能)が含まれる。化合物は、記載した購入源から容易に入手可能であるか、または当業者に知られている手段によって容易に獲得可能である。これらの化合物は、しばしば、それだけには限定されないがナトリウム塩を含めた塩の形態で入手可能であるが、非塩形態でも用い得る。ポリアニオン化合物には、それだけには限定されないがナトリウム塩などの塩形態を含めた、そのすべての形態が含まれる。
本発明のポリアニオン化合物の特に有用な非限定的な例には、ポリ硫酸化化合物、すなわち、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、マンナン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ポリ(硫酸ビニル)、κ−カラゲナン、およびスラミンが含まれる。一実施形態では、ポリアニオン化合物は硫酸デキストランである。硫酸デキストランは5,000〜500,000Daの平均分子量を有し得る。本発明の別の実施形態では、5,000Daの分子量を有する硫酸デキストランを用いる。
本発明の方法によれば、ポリアニオン化合物を細胞培養物に、指定した細胞培養期間中(たとえば、増殖期または産生期中などの接種後の時点)、1回、2回、3回、または任意の回数加え得る。1つまたは複数のポリアニオン化合物を組み合わせて用い得る。たとえば、ポリアニオン化合物の任意の単一添加には、1つまたは複数の他のポリアニオン化合物の添加が含まれ得る。同様に、ポリアニオン化合物の複数の添加が存在する場合、異なるポリアニオン化合物を異なる時点の添加で加え得る。ポリアニオン化合物を含めたさらなる化合物および物質を、指定した期間中またはそれ以外の時に、ポリアニオン化合物を加える前、それと同時に、またはその後に培養物に加え得る。特定の実施形態では、単一の、たとえば1回のポリアニオン化合物の添加が存在する。別の実施形態では、1つのポリアニオン化合物を加える。
ポリアニオン化合物は、任意の手段によって細胞培養物に加え得る。ポリアニオン化合物を加える手段には、それだけには限定されないが、水に溶かして、培地に溶かして、フィード培地に溶かして、適切な培地に溶かして、およびそれが得られた形態で加える手段が含まれる。具体的には、ポリアニオン化合物は水に溶かして加える。本発明に従って、培養物中の濃度が適切なレベルになるまでポリアニオン化合物を加える。非限定的な例として、ポリアニオン化合物を1〜1000mg/L、1〜200mg/L、1〜100mg/L、または25〜75mg/Ln濃度まで加える。細胞培養物に加えるポリアニオン化合物の特に有用な濃度には、それだけには限定されないが、約25〜200mg/L;約25〜100mg/L;および約50〜100mg/Lが含まれる。本発明の一実施形態では、培養物に加えるポリアニオン化合物の濃度は約50mg/Lである。別の実施形態では、培養物に加えるポリアニオン化合物の濃度は約100mg/Lである。
本発明の方法は、培養はポリアニオン化合物を加えた後に任意の期間実行し得ることを提供する。培養実行時間は、回収可能なタンパク質の量および品質、ならびに、目的のタンパク質の回収率を悪化させる、細胞溶解から生じる上清中の汚染細胞種(たとえば、タンパク質およびDNA)のレベルなどの関連する要素に基づいて当業者が決定し得る。細胞培養プロセスの一部の実施形態では、ポリアニオン化合物を接種後の時点(たとえば、細胞培養プロセスの増殖期中または細胞培養プロセスの産生期)で加える。ポリアニオン化合物は、増殖期の終わりまたはその近辺中の接種後の時点で加える。具体的には、ポリアニオン化合物は、産生期中、たとえば、産生期の始まりの接種後の時点で加える。
本発明の特定の実施形態では、フィードバッチプロセスで培養する細胞は、所望のタンパク質生成物(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig分子)を発現する哺乳動物細胞、たとえばCHO細胞である。CHO細胞を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地(CD−CHO接種培地など)を含む種培養容器(たとえばT−175フラスコ)内に接種し、増殖に適した温度、たとえば約37℃で約3〜4日間、細胞が事前に決定した交差接種密度に達するまで増殖させる(たとえば、≧1.5×106個の生細胞を有する、または最終培養物生存度≧80%であるまで)。その後、適切な温度(約37℃)で約4日間増大させるために、増殖した種培養物を動物由来の構成成分を欠く培地を含む大きな培養容器(たとえばローラーボトル)に移す。細胞培養物を、無血清培地、たとえばCD−CHO培地(CD−CHO接種培地など)を含むより大きな培養容器(たとえば、20Lの細胞バッグ、100Lの細胞バッグなど)中で、約4日間、増殖に適した温度で(たとえば約37℃で)、細胞が標的播種密度に達するまでさらに増大させる(たとえば、≧1.5×106個の生細胞を有する、または最終培養物生存度≧80%であるまで)。接種剤の増大は、最低7継代を含むことができる。
その後、細胞培養物を適切な温度、たとえば約37℃で約5〜6日間、細胞が標的播種密度に達するまでさらに増殖させるために、増大させた種培養物を用いて、無血清培地(たとえば、CD−CHO基本培地などのCD−CHO培地)を含む大スケール培養タンク(たとえば、1000L、4000Lのバイオリアクターなど)に接種する(たとえば、約2.3×106個の生細胞/mlを有する、または最終細胞培養物生存度≧88%である)。続いて、商業用スケールの培養物(たとえばバイオリアクター中に10,000L、15,0000L、または20,000Lの培養物など)を無血清培地中で、タンパク質の発現および分泌されたタンパク質生成物(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig)の産生に適した、増殖温度よりも低い温度で維持し、培地はフィード培地である(たとえばeRDF培地)。
商業用スケールの培養物を、たとえば、約37℃から約34℃まで約4日間下げる。温度を下げた際にポリアニオン化合物を同時に培養物に加え得る。あるいは、商業用スケールの培養物を約35℃〜37℃から約32℃〜36℃まで約12日間下げ、温度が下がるにつれてポリアニオン化合物を培養物に同時に加える。
上述の例のフィード培地は、毎日(1日1回、2回、3回など)または数日毎に、新鮮なフィード培地で交換することができる。タンクを新鮮なフィード培地で交換することは、事前に決定した容量、たとえばタンク容量の80%を除去し、タンクを同じ容量の新鮮なフィード培地で置き換えることを伴う。一実施形態では、フィード培地は、約2〜3日間毎日、たとえばグルコース濃度が1g/Lまで下がるまで加える。別の実施形態では、フィード培地は、8時間毎に、たとえばグルコース濃度が1g/Lに達した場合に加える。商業用スケールは、前記CHO細胞および/または分泌されたタンパク質生成物が、NANAのモル比約6.0、または約5.2〜約7.6;最終細胞培養物生存度≧37%;および最終タンパク質生成物力価約0.46〜約0.71g/Lの非限定的な産生パラメータの標的値に達するまで維持する。
本発明の一実施形態では、培養する細胞は、それだけには限定されないが、CHO(たとえばATCC CCL61号)、HEK293(たとえばATCC CRL1573号;Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)、COS−1(たとえばATCC CRL1650号)、DG44(CHO細胞系)(Cell, 33: 405, 1983およびSomatic Cell and Molecular Genetics 12: 555, 1986)、ならびにベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系を含めた、哺乳動物細胞または確立された哺乳動物細胞系であることができる。他の有用な非限定的な例は、骨髄腫、3T3細胞、ナマルワ(Namalwa)細胞、および骨髄腫と他の細胞との融合物である。一部の実施形態では、細胞は、たとえば、それが由来する細胞種とは異なる範囲の、タンパク質の翻訳後修飾を触媒する酵素(たとえば、プロペプチドなどのプロセシング酵素またはグリコシルトランスフェラーゼおよび/もしくはグリコシダーゼなどのグリコシル化酵素)を発現する細胞などの、突然変異または組換え細胞であることができる。本発明特定の一態様では、CHO/dhfr−細胞を特に利用する。
細胞培養物の増大に用いる培養容器は、それだけには限定されないが、エルレンマイヤーフラスコ、T−175フラスコ、ローラーボトル、および細胞バッグであることができる。大スケール培養容器は、たとえば、容器の底から空気を導入する手段によって攪拌を得るエアリフト反応器、または慣用のインペラーの型の手段によって攪拌を得る慣用の攪拌タンク反応器(CSTR)であることができる。指定した限界内で調整するパラメータには、とりわけ、温度、pH、および溶解酸素圧(DOT)が存在する。この系の温度制御媒体は水であり、必要に応じて加熱または冷却することができる。水は、細胞培地に浸けたパイプコイルまたは容器を取り巻くジャケットを通すことができる。pHは、たとえば、必要な場合に細胞培地に塩基を加えることによって、またはヘッドスペースの気体中のCO2濃度を変化させることによって調節することができる。DOTは、純粋な酸素もしくは空気またはその混合物をスパージすることによって維持することができる。
したがって、本発明は、少なくとも2つの工程、すなわち、(a)組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで増大させる工程(すなわち、哺乳動物細胞が通常発現または過剰発現しないタンパク質であり、組換えタンパク質は、細胞または細胞の親に形質移入した発現ベクターまたは構築体によって細胞内で発現される)と、(b)少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、タンパク質を液体培養物から精製する前に組換えタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも0.5グラムの濃度で産生されるように、用いることができる。別の実施形態では、本発明による方法は、タンパク質を液体培養物から精製する前に組換えタンパク質が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.46〜約0.71グラムの濃度で産生されるように、用いることができる。
一実施形態では、増大工程は、(i)少なくとも約1.0×105個の生細胞/mLの細胞密度を得るために、細胞を無血清培地中で少なくとも4継代培養する工程と、(ii)組換えタンパク質の少なくとも約0.5を産生するのに十分な期間、細胞の培養を維持する工程とを含むことができる。一実施形態では、継代の数は36継代を超えない。別の実施形態では、組換えタンパク質をコードしている核酸のコピー数、細胞生存度、および倍加時間に関して細胞が世代にわたって安定している場合、継代の数は36継代を超えることができる。
少なくとも約0.5〜約1.3g/Lの組換えタンパク質を産生させるために十分な時間は、細胞生存度が5%、10%、25%、30%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%を下回らない限り、かつ/または細胞の世代数が50、75、100、105、もしくは125世代を超えない限りは、任意の長さの時間であることができる。維持工程は、培養物の温度を最初に37±2℃から34±2℃まで下げ、後に34±2℃から32±2℃まで下げるなどの温度シフト工程を含むことができる。32±2℃の温度は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、30、50、または100日間維持することができる。32±2℃の温度は、少なくとも20、50、75、または100細胞世代維持することができる。32±2℃の温度は、培養物の細胞密度が液体培養物1mLあたり約30〜約100×105個の細胞となるまで維持することができる。
他の実施形態では、本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)液体培養物が、(i)タンパク質1モルあたり(この場合は糖タンパク質)約6.0モル以上のNANAを含み;(ii)約33〜約79×105個の細胞/mLの細胞密度を有し;(iii)液体培養物中の細胞生存度が38%を下回らないもしくは約38%以上であり;(iv)内毒素が液体培養物の約76.8EU/mL以下であり;かつ/または(v)汚染微生物数が液体培養物1mLあたり1コロニー形成単位未満である場合に、少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを少なくとも含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。
さらなる実施形態では、増大工程は、(i)少なくとも約1.0×106個の生細胞/mLの細胞密度を得るために細胞を無血清培地中で少なくとも4継代培養する工程と、(ii)液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.46〜約0.71グラムの組換えタンパク質を産生するのに十分な期間、細胞の培養を維持する工程とを含むことができる。一実施形態では、継代の数は36継代を超えない。別の実施形態では、組換えタンパク質をコードしている核酸のコピー数、細胞生存度、および倍加時間に関して細胞が世代にわたって安定している場合、継代の数は36継代を超えることができる。
約0.46〜約0.71g/Lの組換えタンパク質を産生させるために十分な時間は、細胞生存度が5%、10%、25%、30%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%を下回らない限り、かつ/または細胞の世代数が27、50、75、100、105、または125世代を超えない限りは、任意の長さの時間であることができる。維持工程は、培養物の温度を最初に37±2℃から34±2℃まで下げるなどの温度シフト工程を含むことができる。34±2℃の温度は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、30、50、または100日間維持することができる。あるいは、維持工程は、培養物の温度を37±2℃から34±2℃まで下げるなどの温度シフト工程であることができる。
ポリアニオン化合物は、温度低下が始まったら培養物に加えることができる。培養物に加えるポリアニオン化合物の濃度は、約1mg/L、5mg/L、10mg/L、12.5mg/L、15mg/L、25mg/L、50mg/L、75mg/L、100mg/L、200mg/L、250mg/L、500mg/L、750mg/L、または1000mg/Lであることができる。32±2℃の温度は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、30、50、または100日間維持することができる。34±2℃の温度は、少なくとも20、27、50、75、または100細胞世代維持することができる。
さらなる実施形態では、本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1リットルあたり少なくとも約0.46〜約0.71グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで、組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)液体培養物が、(i)タンパク質1モルあたり(この場合は糖タンパク質)約6モルのNANAを含み;(ii)液体培養物中の細胞生存度が約37%を下回らず;(iii)内毒素が液体培養物の約4.8EU/mL以下であり;かつ/または(iv)汚染微生物数が液体培養物1mLあたり1コロニー形成単位未満である場合に、少なくとも10,000Lの液体培養物の培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを少なくとも含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。
本発明のこれらの方法によって産生した組換えタンパク質は、分泌されたタンパク質、糖タンパク質、サイトカイン、ホルモン、CTLA4−Igタンパク質、またはCTLA4A29YL104E−Igタンパク質であることができる。一実施形態では、哺乳動物細胞は、本発明によって提供される細胞の子孫またはサブクローンである。別の実施形態では、哺乳動物細胞は、本発明の細胞系に由来する細胞の子孫またはサブクローンである。さらなる実施形態では、哺乳動物細胞は、配列番号1を含む発現カセットで形質移入した細胞からのクローン集団である。特定の実施形態では、配列番号3を含む発現カセットで形質移入した細胞からのクローン集団である。
培養物から組換えタンパク質を精製する一般的技術
細胞培養プロセスのタンパク質産生期に次いで、目的のタンパク質、たとえば糖タンパク質を、当業者に理解される技術を用いて、細胞培地から回収する。具体的には、目的のタンパク質は培地から分泌されたポリペプチドとして回収するが、宿主細胞溶解液から回収することもできる。細胞細片および粒子状物質を除去するために培地または溶解物を最初に遠心分離する。続いて、所望のタンパク質を汚染物質のDNA、可溶性タンパク質、およびポリペプチドから、SDS−PAGE;硫安塩析;エタノール沈降;免疫親和性カラムまたはイオン交換カラム上での分画;逆相HPLC;シリカまたはQAEもしくはDEAEなどの陰イオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー;等電点電気泳動;たとえばSephadex G−75(商標)カラムを用いたゲル濾過;およびIgGなどの汚染物質を除去するためのタンパク質A Sepharose(商標)カラムの、当分野でよく確立された非限定的な精製手順を用いて精製する。フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)などのプロテアーゼ阻害剤、またはプロテアーゼ阻害剤カクテル混合物の添加も、精製中にタンパク質分解を阻害するために有用である場合がある。当業者は、目的のタンパク質、たとえば糖タンパク質に適した精製方法は、組換え細胞培養物中での発現の際に起こるタンパク質の特徴の変化のために、変更を要する場合があることを、理解されよう。
糖タンパク質の炭水化物基を選択する精製技術および方法も、本発明のコンテキスト内で有用性である。たとえば、そのような技術には、どの炭水化物について選択を行うかに応じてより塩基性またはより酸性の画分が採取される、HPLCまたは陽イオンもしくは陰イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィーが含まれる。また、そのような技術の使用は、汚染物質を同時に除去する結果にもなり得る。
本発明では、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig融合タンパク質を産生することができるCHO細胞は、CHO特異的培地中で懸濁液として、事前に決定した細胞密度まで増殖させる。無血清発現培地中に懸濁液中で増殖させたCHO細胞は、続いてCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子を産生し、これらはCHO細胞によって培地中に分泌される。細胞懸濁液は遠心分離によって清澄にすることができ、その後、CTLA4−Ig分子を清澄にした培養上清から標準の精製技術によって分離することができる。より高い純度および均一性のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igを得るための適切な精製手順の非限定的な例は、個別にまたは組み合わせて、セファロース上のアフィニティークロマトグラフィー;陰イオン交換カラム(AEC)上の分画;および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)である。
一部の実施形態では、CTLA4−Ig分子または他のタンパク質(糖タンパク質を含む)を本明細書中に記載の産生方法から単離することは、(i)細胞培養上清を得る工程と;(ii)上清を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、溶出タンパク質生成物を得る工程と;(iii)工程(ii)の溶出タンパク質生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、濃縮されたタンパク質生成物を得る工程と;(iv)濃縮されたタンパク質生成物をアフィニティークロマトグラフィーに供して、溶出かつ濃縮されたタンパク質生成物を得る工程と;(v)(iv)の溶出かつ濃縮されたタンパク質生成物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供する工程とを、少なくとも含むことができる。工程(iii)で得られた濃縮されたタンパク質生成物は、たとえば、任意のHMWタンパク質または汚染物質の割合が5、10、15または25%未満であることを特徴とすることができる。工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、たとえば、約25〜100mMのHEPESおよび約300〜900mMのNaClを含み、pHが約7.0〜8.0の洗浄バッファーを用いることによって実施することができる。工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、たとえば、pH約7.0を有し、約25mMのHEPESおよび約850mMのNaClを含む単一の洗浄バッファー;またはpH約8.0を有し、約25mMのトリスおよび約250mMのNaClを含む洗浄バッファーを用いることによって実施することができる。工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、たとえば、pH約3.5を有し、約100mMのグリシンを含む溶出バッファーを用いることによって実施することができる。工程(v)のアフィニティークロマトグラフィーは、たとえば、pH約8.0を有し、約25mMのHEPESおよび約120mMのNaCl〜約130mMのNaClを含む洗浄バッファー、またはpH約8.0を有し、約25mMのHEPESおよび約200mMのNaClを含む洗浄バッファーを用いることによって実施することができる。工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、第一級、第二級、第三級、または第四級アミン官能基を有する陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて実施することができる。工程(iii)の疎水性相互作用カラムは、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を用いて実施することができる。
他の実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig分子または他のタンパク質(糖タンパク質を含む)を本明細書中に記載の産生方法から単離することは、(i)細胞培養上清を得る工程と;(ii)上清をアフィニティークロマトグラフィーに供して、溶出タンパク質生成物を得る工程と;(iii)工程(ii)の溶出タンパク質生成物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、濃縮されたタンパク質生成物を得る工程と;(iv)濃縮されたタンパク質生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、高分子量(HMW)タンパク質複合体が減少した溶出かつ濃縮されたタンパク質生成物を得る工程とを少なくとも含むことができる。工程(iv)で得られた濃縮されたタンパク質生成物は、たとえば、任意のHMWタンパク質または汚染物質の割合が5、10、15または25%未満であることを特徴とすることができる。工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、たとえば、pH約3.0を有し、約250mMのグリシンを含む溶出バッファーを用いることによって実施することができる。工程(ii)のアフィニティークロマトグラフィーは、たとえば、pH約7.5を有し、約25mMのNaH2PO4および約150mMのNaClを含む洗浄バッファーを用いることによって実施することができる。工程(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、たとえば、約50mMのHEPESおよび約135mMのNaClを含み、pHが約7.0の洗浄バッファーを用いることによって実施することができる。工程(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、たとえば、約50mMのHEPESおよび約200mMのNaClを含み、pHが約7.0の溶出バッファーを用いることによって実施することができる。工程(iv)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、たとえば、pH約7.0を有し、約50mMのHEPESおよび約1.2Mの(NH4)2SO4を含む洗浄バッファーを用いることによって実施することができる。工程(iii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、第一級、第二級、第三級、または第四級アミン官能基を有する陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて実施することができる。工程(iv)の疎水性相互作用カラムは、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を用いて実施することができる。
一実施形態では、本発明は、精製したCTLA4−Igが単球走化性タンパク質−1(MCP−1)を実質的に含まないように、CTLA4−Ig分子を液体細胞培養物から精製する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、0.5ppmを超えないMCP−1、1ppmを超えないMCP−1、2ppmを超えないMCP−1、3ppmを超えないMCP−1、4ppmを超えないMCP−1、5ppmを超えないMCP−1、6ppmを超えないMCP−1、7ppmを超えないMCP−1、8ppmを超えないMCP−1、9ppmを超えないMCP−1または10ppmを超えないMCP−1を含む、CTLA4−Ig分子の医薬上許容される組成物を提供する。別の実施形態では、組成物中、MCP−1の量は、精製したCTLA4−Igの重量の1%、0.5%、または0.1%を超えることができない。別の実施形態では、CTLA4−Ig分子の組成物はMCP−1を実質的に含まず、QFF溶出液中には50、45、40、38、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1ng/mL未満のMCP−1しか存在しない。別の実施形態では、本発明は、精製したCTLA4−IgがMCP−1を実質的に含まず、2.5%未満のCTLA4−Ig四量体を含むように、CTLA4−Ig分子を液体細胞培養物から精製する方法を提供する。
組成物中の単球走化性タンパク質1(MCP−1)の量は、ELISA方法を用いて定量することができる。コーティング抗体はヤギ抗マウスMCP−1IgG抗体である。二次抗体はウサギ抗ラットMCP−1IgG抗体である。検出は、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgG抗体および基質TMBを用いて達成する。西洋ワサビペルオキシダーゼ試薬は、捕捉されたタンパク質の量に比例して発色する比色反応を生じる。ELISAでは、物質の検量線に対してMCP−1レベルを定量する。一実施形態では、MCP−1を組成物中で定量し、MCP−1レベルは0〜0.097ng/mgおよび0.014 0.154ng/mgの範囲であった。
別の実施形態では、本発明は、精製したCTLA4A29YL104E−Igが単球走化性タンパク質−1(MCP−1)を実質的に含まないように、CTLA4A29YL104E−Ig分子を液体細胞培養物から精製する方法を提供する。一実施形態では、MCP−1の量は、精製したCTLA4A29YL104E−Igの重量の1%、0.5%、または0.1%を超えることができない。別の実施形態では、CTLA4A29YL104E−IgはMCP−1を実質的に含まず、HIC溶出液中には50、45、40、38、35、または30ng/mL未満のMCP−1しか存在しない。さらなる実施形態では、本発明は、精製したCTLA4A29YL104E−IgがMCP−1を実質的に含まず、2.5%未満のCTLA4A29YL104E−Ig四量体を含むように、CTLA4A29YL104E−Ig分子を液体細胞培養物から精製する方法を提供する。
細胞培養および精製からの糖タンパク質の回収
本発明は、糖タンパク質(たとえば、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig)を不純な細胞培養上清、目的の糖タンパク質(CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igなど)を含むタンパク質プールおよび望ましくない汚染物質から分離するための一連の工程を記載する。不純な細胞培養上清は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を精製するための出発物質として用いることができる。
本発明の一実施形態では、CTLA4−Ig糖タンパク質および望ましくない汚染物質を含む不純な細胞培養上清を陰イオン交換培地に施用する。不純な細胞培養上清中に存在するCTLA4−Ig糖タンパク質は陰イオン交換培地と結合する。その後、陰イオン交換培地を洗浄して、任意の未結合の物質を陰イオン交換培地から除去する。未結合の物質を除去した後にCTLA4−Ig糖タンパク質を溶出させ、溶出液を採取する。
本発明の一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質および望ましくない汚染物質を含む不純な細胞培養上清をアフィニティークロマトグラフィー培地に施用する。不純な細胞培養上清中に存在するCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質はアフィニティークロマトグラフィー培地と結合する。その後、アフィニティークロマトグラフィー培地を洗浄して、任意の未結合の物質を陰イオン交換培地から除去する。未結合の物質を除去した後にCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を溶出させ、溶出液を採取する。
本発明の特定の実施形態では、たとえばQ−Sepharose XLカラム(GE Healthcare)を用いたQ−Sepharose陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)を用いて、CTLA4−Ig糖タンパク質を収集物質から分離する、かつバルク汚染物質を減少させる。このカラムは、哺乳動物細胞培養物からのCTLA4−Ig糖タンパク質の精製の初期工程として、収集した細胞培地の分画に用いることができる。別の実施形態では、Q−Sepharose陰イオン交換クロマトグラフィー、たとえばQ−Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)は、アフィニティークロマトグラフィー精製工程後に用いることができる。陰イオン交換カラムの非常に高い流動特性により、CTLA4−Ig糖タンパク質がカラムに結合するように条件を調節することによって、続くSP−SepharoseまたはHICなどのクロマトグラフィー工程の前に、大容量のCTLA4−Ig糖タンパク質または収集した細胞培地を容易に濃縮することが可能となる。pH約pH5〜9、具体的には約8の洗浄バッファーには、75mMのHEPESおよび360mMのNaClの濃度が有用である。典型的には、pH約pH5〜8、具体的には約7の溶出バッファーには、25mMのHEPESおよび325mMのNaClの濃度が有用である。
CTLA4−Ig糖タンパク質を収集した培養培地から分離するために適切な樹脂は、固定アミン官能基を有するものであった。第四級アンモニウムリガンドが高空隙率の架橋結合したアガロースと結合している第四級アミン官能基樹脂、たとえばGE HealthcareのQ−Sepharose Fast Flow樹脂上のものが最も有用である。また、第三級ジエチルアミノエチルリガンドが高空隙率の架橋結合したアガロースと結合している第一級、第二級および第三級アミン官能基樹脂、たとえばGE HealthcareのDEAE Sepharose Fast Flow樹脂上のものも、有用である。
本発明の別の実施形態では、陰イオン交換培地からのCTLA4−Ig糖タンパク質含有溶出液を採取し、その後、疎水性相互作用樹脂と接触させる。以下に記載のように、CTLA4−Ig糖タンパク質含有容量をHICカラムに通し、その後、さらに精製することができる採取したプールを、陰イオン交換樹脂と結合させる。
HICは、所望のCTLA4−Ig糖タンパク質二量体を哺乳動物細胞培養物由来の高分子量物質および他のタンパク質不純物から分離するために有用である。たとえば、CTLA4−Igを発現しているCHO細胞培養物はCTLA4−Ig糖タンパク質の高分子量凝集体を含む。また、CHO細胞タンパク質不純物も哺乳動物細胞培地中に見つかる。これらの望ましくない生成物は患者において望ましくない抗原性応答を生じて、生成物の品質または活性の不良の一因となる可能性がある。HICは、疎水性変異体、CTLA4−Ig糖タンパク質二量体をCTLA4−Ig糖タンパク質HMW複合体およびCHOタンパク質不純物から、後者の生成物がHIC樹脂と結合すること、およびCTLA4−Ig糖タンパク質二量体をカラムに通すことによって、有効に分離する。したがって、これらの種を実質的に含まず、陰イオン交換クロマトグラフィーなどの別のクロマトグラフィー工程に特に適したCTLA4−Ig糖タンパク質プールを得ることができる。HICで用いるためのCTLA4−Ig糖タンパク質混合物源は、哺乳動物細胞培養物、たとえばCHO細胞培養物である。具体的には、既に記載したように、培養物を少なくとも1つの事前の精製工程に供することができる。
本発明の別の実施形態では、HIC方法は、他の糖タンパク質(たとえばCTLA4−IgHMW複合体)のプールを採取するために変更することができる。HMW凝集体は、HIC樹脂(たとえばCTLA4−Ig四量体などを含むもの)と結合することができる。これらのHMW複合体はより高い結合力を有し、CTLA4−Ig二量体単独よりもインビボでより効率的に結合する。したがって、当業者は、CTLA4−IgのプールをHICから溶出させることによって、CTLA4−IgHMW凝集体のプールを得ることができる。
CTLA4−Ig糖タンパク質形態を分離するために最も有用なHIC樹脂は、固定フェニル官能基を有するものである。フェニル−HIC樹脂のうち、GE HealthcareのPhenyl Sepharose Fast Flow High Sub(高置換)が最も有用である。TosoHaasのPhenyl ToyopearlおよびTSK Phenyl 5PWが、用いることができる他のフェニル−HIC樹脂の非限定的な例である。他のHIC官能基には、それだけには限定されないが、プロピル、オクチル、アルコキシル、ブチル、およびイソアミル部分が含まれる。
たとえば、Phenyl Sepharose 4 Fast Flowカラムクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)プロセスを用いて、HIC精製工程で溶出されるCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig高分子量種の量を減少させることができる(実施例15および実施例20参照)。したがって、HICカラムからのクリーニングピークにはCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−IgHMW種が濃縮されている。
HIC精製工程からのCTLA4−Ig糖タンパク質を含む未結合の画分をアフィニティークロマトグラフィーなどのさらなる精製方法に供することができ、その後、生じる溶出液を陰イオン交換培地に施用することができる。CTLA4−Ig糖タンパク質は陰イオン交換樹脂と結合し、続いてこれを洗浄して未結合のタンパク質を除去することができる。未結合のタンパク質が除去された後、CTLA4−Ig糖タンパク質を第2の陰イオン交換樹脂から溶出させる。溶出液を採取し、さらに濃縮することができる。
本発明の別の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー、たとえばrProtein A Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)を用いて、CTLA4−Ig糖タンパク質をさらに濃縮し、次いでさらに陰イオン交換クロマトグラフィー工程、たとえばQ−Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)を行うことができる。アフィニティークロマトグラフィー工程は、CHOタンパク質および単球走化性タンパク質(MCP−1、ケモカイン)不純物のレベルを低下させることもできる。アフィニティークロマトグラフィーは、精製する目的分子、たとえばCTLA4−Ig糖タンパク質が何らかのマトリックスまたは樹脂上に固定したリガンドと特異的かつ可逆的に結合する、吸着分離を含む。親和性精製カラムの一部の非限定的な例には、レクチン;親和性タグ(たとえば、GSTカラムもしくは6X−Hisカラム);ストレプトアビジン;ヘパリン;または抗体(たとえば、タンパク質Aカラムもしくはタンパク質Gカラム)が含まれる。具体的には、本発明は、CTLA4−Ig糖タンパク質の結合にタンパク質A樹脂を利用する。pH約5〜9、より有効には約8の洗浄バッファーには、25mMのトリスおよび250mMのNaClの濃度が有用である。pH約2〜5、より有効には約3.5の溶出バッファーには、100mMのグリシンの濃度が有用である。その後、アフィニティークロマトグラフィー溶出液を中和し、陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに載せることができ、Q−Sepharose Fast Flowが最も有用である。
前述の回収/最初の精製工程後の生成物中のタンパク質A、DNA、および所望しないCTLA4−Ig糖タンパク質種のレベルをさらに下げるために、別のイオン交換工程を精製手順に組み込むことができる。本発明では、GE HealthcareのQ−Sepharose Fast Flowカラム、またはやはりGE HealthcareのDEAE Sepharose Fast Flowカラムなどの市販のイオン交換カラムを用いることができる。本明細書中で決定したように、CTLA4−Ig糖タンパク質を収集した培養培地から分離するために最も適切な樹脂は、固定アミン官能基を有するものであった。他の有用な基は、第四級アンモニウムリガンドが高空隙率の架橋結合したアガロースと結合している第四級アミン官能基樹脂、たとえばGE HealthcareのQ−Sepharose Fast Flowカラム中のものである。また、第三級ジエチルアミノエチルリガンドが高空隙率の架橋結合したアガロースと結合している第一級、第二級および第三級アミン官能基樹脂、たとえばGE HealthcareのDEAE Sepharose Fast Flowカラム中のものも、有用である。本発明の特定の実施形態では、Q−Sepharose Fast Flowカラムなどの強力な陰イオン交換体を利用するカラムを利用する。
本発明の一実施形態では、CTLA4−Ig糖タンパク質溶出液を、陰イオン交換カラム、たとえばQ−Sepharose Fast Flowに載せる。カラムを洗浄し、続いてCTLA4−Ig糖タンパク質を陰イオン交換カラムから溶出させる。pH約5〜9、一実施形態ではpH8の洗浄バッファーには、25mMのHEPESおよび100〜140mMのNaClの濃度が有用である。pH約5〜9、または別の実施形態ではpH8の溶出バッファーには、25mMのHEPESおよび200mMのNaClの濃度が有用である。陰イオン交換培地から溶出させたCTLA4−Ig糖タンパク質を、ダイアフィルトレーションまたは当業者に知られている他の適切な方法によって回収、濃縮、洗浄して、最終の精製CTLA4−Ig糖タンパク質生成物が得られる。本発明のプロセスに従って調製したCTLA4−Ig糖タンパク質生成物は高純度であり、たとえば≧95%のCTLA4−Ig二量体を含み、≦5%のCTLA4−IgHMW生成物を含み、かつ≦1%のCTLA4−Ig単量体を含む。
この精製方法は、哺乳動物細胞系の細胞培地中に潜在的に存在し得るウイルスおよび/またはレトロウイルスを失活させるおよび/または除去するさらなる工程を、さらに含むことができる。著しい数のウイルスクリアランス工程が利用可能であり、それだけには限定されないが、尿素もしくはグアニジンなどのカオトロープを用いた処理、洗剤、さらなる限外濾過/ダイアフィルトレーション工程、イオン交換もしくはサイズ排除クロマトグラフィーなどの慣用の分離、極度のpH、熱、プロテアーゼ、有機溶媒またはそれらの任意の組合せが含まれる。
本発明の別の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー、たとえばMabSelect Protein A Sepharose樹脂(GE Healthcare)を用いて、CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を捕捉し、次いでさらに陰イオン交換クロマトグラフィー工程、たとえばQ−Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)を行うことができる。アフィニティークロマトグラフィー工程は、CHOタンパク質および単球走化性タンパク質(MCP−1、ケモカイン)不純物のレベルを低下させることもできる。アフィニティークロマトグラフィーは、精製する目的分子、たとえばCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質が何らかのマトリックスまたは樹脂上に固定したリガンドと特異的かつ可逆的に結合する、吸着分離を含む。親和性精製カラムの一部の非限定的な例には、レクチン;親和性タグ(たとえば、GSTカラムもしくは6X−Hisカラム);ストレプトアビジン;ヘパリン;または抗体(たとえば、タンパク質Aカラムもしくはタンパク質Gカラム)が含まれる。具体的には、本発明は、CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質の結合にタンパク質A樹脂を利用する。pH約5〜9、より有効には約約7.5の洗浄バッファーには、25mMのトリス、25mMのNaH2PO4、および250mMのNaClの濃度が有用である。pH約2〜5、より有効には約約3.5の溶出バッファーには、100〜300mMのグリシンの濃度が有用である。その後、アフィニティークロマトグラフィー溶出液を中和し、陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに載せることができ、Q−Sepharose Fast Flowが最も有用である。
前述の回収/最初の精製工程後の生成物中のタンパク質A、DNA、および所望しないCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質種のレベルをさらに下げるために、イオン交換工程を精製手順に組み込むことができる。本発明では、GE HealthcareのQ−Sepharose Fast Flowカラム、Q−Sepharose XLカラム(GE Healthcare)、またはやはりGE HealthcareのDEAE Sepharose Fast Flowカラムなどの市販のイオン交換カラムを用いることができる。CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を分離するために最も適切な樹脂は、固定アミン官能基を有するものである。他の有用な基は、第四級アンモニウムリガンドが高空隙率の架橋結合したアガロースと結合している第四級アミン官能基樹脂、たとえばGE HealthcareのQ−Sepharose Fast Flowカラム中のものである。また、第三級ジエチルアミノエチルリガンドが高空隙率の架橋結合したアガロースと結合している第一級、第二級および第三級アミン官能基樹脂、たとえばGE HealthcareのDEAE Sepharose Fast Flowカラム中のものも、有用である。本発明の特定の実施形態では、Q−Sepharose Fast Flowカラムなどの強力な陰イオン交換体を利用するカラムを利用する。
本発明の一実施形態では、CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質溶出液を、陰イオン交換カラム、たとえばQ−Sepharose Fast Flowに載せる。カラムを洗浄し、続いてCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を陰イオン交換カラムから溶出させる。pH約5〜9、一実施形態ではpH7の洗浄バッファーには、25〜55mMのHEPESおよび100〜140mMのNaClの濃度が有用である。pH約5〜9、または別の実施形態ではpH7の溶出バッファーには、25〜50mMのHEPESおよび200mMのNaClの濃度が有用である。
本発明の別の実施形態では、陰イオン交換培地からのCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質含有溶出液を採取し、その後、疎水性相互作用樹脂と接触させる。HICは、所望のCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質二量体を哺乳動物細胞培養物由来の高分子量物質および他のタンパク質不純物から分離するために有用である。たとえば、CTLA4A29YL104E−Igを発現しているCHO細胞培養物はCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質の高分子量凝集体を含む。また、CHO細胞タンパク質不純物も哺乳動物細胞培地中に見つかる。これらの望ましくない生成物は患者において望ましくない抗原性応答を生じて、生成物の品質または活性の不良の一因となる可能性がある。
HICは、疎水性変異体、CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質二量体をCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質HMW複合体およびCHOタンパク質不純物から、後者の生成物がHIC樹脂と結合すること、およびCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質二量体をカラムに通すことによって、有効に分離する。したがって、これらの種を実質的に含まないCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質プールを得ることができる。HICで用いるためのCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質混合物源は、哺乳動物細胞培養物、たとえばCHO細胞培養物である。具体的には、既に記載したように、培養物を少なくとも1つの事前の精製工程に供することができる。
本発明の別の実施形態では、HIC方法は、他の糖タンパク質(たとえばCTLA4A29YL104E−IgHMW複合体)のプールを採取するために変更することができる。HMW凝集体は、HIC樹脂(たとえばCTLA4A29YL104E−Ig四量体などを含むもの)と結合することができる。これらのHMW複合体はより高い結合力を有し、CTLA4A29YL104E−Ig二量体単独よりもインビボでより効率的に結合する。したがって、当業者は、CTLA4A29YL104E−IgのプールをHICから溶出させることによって、CTLA4A29YL104E−IgHMW凝集体のプールを得ることができる。
HIC培地から溶出させたCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質を、ダイアフィルトレーションまたは当業者に知られている他の適切な方法によって回収、濃縮、洗浄して、最終の精製CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質生成物が得られる。本発明のプロセスに従って調製したCTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質生成物は高純度であり、たとえば≧95%のCTLA4A29YL104E−Ig二量体を含み、≦5%のCTLA4A29YL104E−IgHMW生成物を含み、かつ≦1%のCTLA4A29YL104E−Ig単量体を含む。
CTLA4A29YL104E−Ig糖タンパク質形態を分離するために最も有用なHIC樹脂は、固定フェニル官能基を有するものである。フェニル−HIC樹脂のうち、GE HealthcareのPhenyl Sepharose Fast Flow High Sub(高置換)が最も有用である。TosoHaasのPhenyl Toyopearl培地およびTSK Phenyl 5PWが、用いることができる他のフェニル−HIC樹脂の非限定的な例である。他のHIC官能基には、それだけには限定されないが、プロピル、オクチル、アルコキシル、ブチル、およびイソアミル部分が含まれる。
この精製方法は、哺乳動物細胞系の細胞培地中に潜在的に存在し得るウイルスおよび/またはレトロウイルスを失活させるおよび/または除去するさらなる工程を、さらに含むことができる。著しい数のウイルスクリアランス工程が利用可能であり、それだけには限定されないが、尿素もしくはグアニジンなどのカオトロープを用いた処理、洗剤、さらなる限外濾過/ダイアフィルトレーション工程、イオン交換もしくはサイズ排除クロマトグラフィーなどの慣用の分離、極度のpH、熱、プロテアーゼ、有機溶媒またはそれらの任意の組合せが含まれる。
一態様では、濃縮し、ダイアフィルトレーション工程に供した精製CTLA4−Ig分子を2LのBiotainer(登録商標)ボトル、50Lのバイオプロセスバッグまたは任意の他の適切な容器に満たすことができる。そのような容器中のCTLA4−Ig分子は、凍結前に約60日間、2°〜8℃で貯蔵することができる。精製したCTLA4−Igを2°〜8℃で延長して貯蔵した場合、CLTA4−Ig四量体の割合の増加がもたらされ得る。したがって、長期貯蔵には、CTLA4−Ig分子は貯蔵前に約−70℃で凍結し、約−40℃の温度で貯蔵することができる。凍結温度は約−50℃から約−90℃で変動することができる。凍結時間は変動することができ、CTLA4−Ig分子を含む容器の容量、冷凍庫内に入れる容器の数に大きく依存する。たとえば、一実施形態では、CTLA4−Ig分子は2LのBiotainer(登録商標)ボトル中にある。4本未満の2LのBiotainer(登録商標)ボトルを冷凍庫内に入れる場合、約14〜少なくとも18時間の凍結時間を要し得る。少なくとも4本のボトルを入れる場合、約18〜少なくとも24時間の凍結時間を要し得る。凍結したCTLA4−Ig分子を有する容器は、約−35℃〜約−55℃の温度で貯蔵する。
約−35℃〜約−55℃の温度の貯蔵時間は変動することができ、18時間ほどの短い時間であることができる。凍結したCTLA4−Ig分子は、調整した様式で解凍することができる。凍結したCTLA4−Ig分子の解凍は調整されており、インキュベータ内、約20℃〜約24℃の温度で行うことができる。解凍工程の期間は、インキュベータへの負荷に依存し、4本未満の2LのBiotainer(登録商標)ボトルを入れる場合は、約24時間未満の解凍時間を要し得る。4本の2LのBiotainer(登録商標)ボトルを入れる場合は、約18時間を要し得る。CTLA4−Ig分子を含む解凍した溶液は、潜在的な濃度勾配を回避するために混合することができる。したがって、解凍は、CTLA4−Igを含む容器の振盪を可能にする、温度調整されたインキュベータ内で行うことができる。振盪速度は約40〜約80rpmであることができる。解凍したCTLA4−Ig分子は、さらに5〜10分間、約3rpmの回転速度でさらに混合することができる。解凍したCTLA4−Ig分子は、CTLA4−Igを含む医薬組成物の生産中、2°〜8℃で貯蔵し、分けて、凍結乾燥することができる。
本発明はさらに、大スケールで産生する治療的糖タンパク質の他の非限定的な例の精製に適用することができる。本発明のプロセスは、哺乳動物細胞培養物中に複数のグリコシル化された変異体を有する他の糖タンパク質の産生に適用可能である場合がある。当業者は、例示した方法を様々な糖タンパク質の産生に適応させる過程で変更が必要となる可能性があることを理解されよう。
配合物およびキット
本発明はまた、凍結乾燥した混合物としての記載した任意のCTLA4−Ig分子も提供する。凍結乾燥するCTLA4−Igを含む配合物は、(1)他の組換えタンパク質または小分子(免疫抑制剤など)を含めた追加の活性成分(または複数の追加の活性成分)、(2)賦形剤(または複数の賦形剤)および(3)溶媒(または複数の溶媒)の3つの基本構成成分をさらに含む。賦形剤には、良好な凍結乾燥したケーク特性を提供するため(充填剤)、ならびにタンパク質の凍結乾燥保護および/または凍結保護を提供するため(「安定化剤」)、pHを維持するため(緩衝化剤)、生物活性(タンパク質安定性などの活性成分安定性を含む)の実質的な保持が維持されるような貯蔵中のタンパク質の適切なコンホメーションを提供するための、医薬上許容される試薬が含まれる。賦形剤に関して、配合物の例には、緩衝化剤(もしくは複数の緩衝化剤)、充填剤(もしくは複数の充填剤)、タンパク質安定化剤(もしくは複数のタンパク質安定化剤)および抗菌剤(もしくは複数の抗菌剤)の1つまたは複数が含まれることができる。糖またはポリオールを、溶液中ならびに凍結解凍および凍結乾燥中の非特異的なタンパク質安定化剤として用いることができる。ポリマーを、溶液中ならびに凍結解凍および凍結乾燥中にタンパク質を安定化させるために用いることができる。1つの人気のあるポリマーは血清アルブミンであり、これは凍結保護剤および凍結乾燥保護剤のどちらとしても用いられている。一実施形態では、本発明は、アルブミンを含まない配合物を提供する。様々な塩を充填剤として用いることができる。例示的な塩充填剤には、たとえば、NaCl、MgCl2およびCaCl2が含まれる。特定のアミノ酸を凍結保護剤および/または凍結乾燥保護剤および/または充填剤として用いることができる。用いることができるアミノ酸には、それだけには限定されないが、グリシン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、L−セリン、グルタミン酸ナトリウム、アラニン、アルギニンおよび塩酸リシンが含まれる。広いpH範囲をカバーする多くの緩衝化剤が、配合物での選択に利用可能である。緩衝化剤には、たとえば、酢酸塩、クエン酸塩、グリシン、ヒスチジン、リン酸塩(ナトリウムまたはカリウム)、ジエタノールアミンおよびトリスが含まれる。緩衝化剤には、凍結乾燥前に溶液のpHを許容される範囲に維持する薬剤が包含される。配合物は、参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている、2005年12月20日出願の米国特許出願第60/752,150号に既に記載されている。
一実施形態では、本発明は、少なくとも90%、95%、99%、または99.5%のCTLA4−Ig二量体を含む、凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。一実施形態では、本発明は、少なくとも90%、95%、99%、または99.5%のCTLA4−Ig二量体を含み、5%、4%、3%、2%、または1%を超えないCTLA4−Ig四量体を含む、凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。別の実施形態では、本発明は、少なくとも90%、95%、99%、または99.5%のCTLA4−Ig二量体、および5%、4%、3%、2%、または1%を超えないCTLA4−Ig四量体を含み、2%、1.5%、1.0%、0.8%、0.5%、または0.3%を超えないCTLA4−Ig単量体を含む、凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、CTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig分子1モルあたり少なくとも8.0モルのシアル酸を含む、凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。別の実施形態では、本発明は、CTLAIg分子もしくは二量体1モルあたり約15〜約35モルのGlcNac;CTLA4−Ig二量体もしくはCTLA4−Ig分子1モルあたり約1〜約5モルのGalNac;CTLA4−Ig二量体もしくはCTLA4−Ig分子1モルあたり約5モル〜約20モルのガラクトース;CTLA4−Ig二量体もしくはCTLA4−Ig分子1モルあたり約2〜約10モルのフコース;および/またはCTLA4−Ig二量体もしくはCTLA4−Ig分子1モルあたり約5〜15モルのマンノースを含む、凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。
CTLA4A29YL104E−Ig薬物物質は、25mMのリン酸ナトリウムおよび10mMの塩化ナトリウムのバッファー、pH〜7.5中に約25mg/mL(22.5〜27.5mg/mL)の濃度の水溶液として利用可能である。CTLA4A29YL104E−Igは、水溶液中で高分子量種を形成する傾向にある。したがって、薬物製品中で形成され得る高分子量種のレベルを最小限にするために、凍結乾燥した生成物を開発した。マルトース、スクロース、および塩酸L−アルギニン等のアミノ酸などの様々な賦形剤を、CTLA4A29YL104E−Igの凍結乾燥中の潜在的な凍結乾燥保護剤としてスクリーニングした。スクロースが最も有効な凍結乾燥保護剤であることが見出された。スクロース対タンパク質の比を増加することによりタンパク質の安定性が向上したことが、さらに観察された。凍結乾燥するタンパク質溶液には2:1のスクロース:タンパク質比(重量:重量)を選択した。凍結乾燥した薬物製品は十分な安定性および満足できる構成挙動を有する。
治療方法
本発明によれば、T細胞とB7陽性細胞との相互作用によって媒介される疾患は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの医薬上許容される配合物を受けることによって治療することができる。遺伝子操作された哺乳動物細胞系(たとえば、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−IgをコードしているDNAを保有するdhfr−陰性チャイニーズハムスター卵巣細胞系)によって分泌されたCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子は、特定のグリコシル化プロフィールを有する分子の集団であることができる。本明細書中に記載したように、特定のグリコシル化プロフィールは、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子がT細胞の活性化および/または増殖に対してより大きな阻害をもたらすことができるように、CD80および/またはCD86に対するCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igの結合に影響を与えることができる。本明細書中に記載したように、特定のグリコシル化プロフィールは、細胞系および産生方法によって影響を受けることができる。したがって、本発明の特定の実施形態では、本発明は、それだけには限定されないが、一般に任意のT細胞依存性リンパ球増殖性疾患または障害および任意のT細胞依存性自己免疫疾患または障害、より具体的には;T細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、精巣血管中心性T細胞リンパ腫、良性リンパ性脈管炎、移植片対宿主病(GVHD)、移植片移植拒絶に関連する免疫障害、乾癬、炎症、アレルギー、卵巣炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、脳脊髄炎、橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、クローン病、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、原発性粘液水腫、悪性貧血、自己免疫萎縮性胃炎、関節リウマチ、インスリン依存性真性糖尿病、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症、天疱瘡、多発性硬化症、交感性眼炎、自己免疫ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少症、原発性胆汁性肝硬変、慢性作用肝炎、潰瘍性大腸炎、強皮症、多発性筋炎、および混合結合組織病を含めた、T細胞関連の疾患または障害を治療するための、細胞系によって本明細書中に記載の産生方法中で産生されたCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子を提供する。
本発明は、T細胞の増殖または活性化を阻害する方法、対象においてまたはインビトロで免疫応答を阻害する方法、および対象において免疫障害を治療するまたは対象において抗原に対する免疫寛容を誘発させる方法における、開示した任意のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の使用を提供する。免疫寛容とは、特定の抗原に対するリンパ組織の特異的な非反応性が発生する免疫学的応答の一種であり、寛容が存在しない場合には、抗原は免疫応答を誘発させることができる。一実施形態では、本発明のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子および組成物を用いて、寛容を誘発させ、拒絶の可能性を低下させるために、移植を受けた対象を治療することができる。別の実施形態では、移植は、器官移植、組織移植または細胞移植である。別の実施形態では、細胞移植は骨髄細胞または島細胞を含む。
本発明は、上述の任意の疾患または障害を治療するための医薬品の製造における、開示した任意のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の使用を提供する。本発明はまた、上述の疾患または障害を治療するための別の薬剤と同時投与する、開示した任意のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の使用も提供する。本発明のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子は、対象に、たとえば、静脈内、皮下、および/または吸入によって投与することができる。静脈内または皮下投与に適用可能なCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig配合物は、参考としてその全体で本明細書中に組み込まれている、2005年12月20日出願の米国特許出願第60/752,150号に記載されている。CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig配合物には、リポソームがCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子を標的細胞または組織にデリバリーすることができる、リポソーム系配合物が含まれることもできる。また、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子は、CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig遺伝子発現カセットを含むウイルスベクターを投与することによっても、標的細胞または組織にデリバリーすることができる。CTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子の集団の投与および用量は、すべて本明細書中にその全体で参考として組み込まれている、米国特許出願公開第20030083246号および同第20040022787号、ならびに2005年4月6日出願の係属中の米国特許出願第60/668,774号に記載されている。
本明細書中に記載のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Ig分子は、それだけには限定されないが、液体の液剤または懸濁液、錠剤、丸薬、散剤、坐薬、高分子マイクロカプセルまたは微小胞、リポソーム、および注射用または輸液用の液剤が含まれる様々な剤形であり得る。形態は投与様式および治療応用に依存する。本発明の分子に有効な投与様式および用量レジメンは、疾患の重篤度および経過、対象の健康および治療に対する応答、ならびに治療する医師の判断に依存する。したがって、分子の用量は個々の対象に応じて判定すべきである。mg/m2の表面積に基づいた、様々な大きさおよび種の動物ならびにヒトにおける用量の相互関係は、Freireich, E. J., et al. (Quantitative Comparison of Toxicity of Anticancer Agents in Mouse, Rat, Hamster, Dog, Monkey and Man. Cancer Chemother, Rep., 50, No.4, 219-244, May 1966)に記載されている。阻害応答を増大させるために、用量レジメンの調節を行い得る。
用量は、状況に応じて、分割して毎日投与するか、または用量を比例的に減少させ得る。たとえば、いくつかの分割した用量を毎日もしくは月1回投与してもよく、または特定の治療状況に示されるように、用量を比例的に減少させ得る。一実施形態では、投与は、月1回、年4回、1日1回、1日2回日、約10時間毎、約6時間毎、約4時間毎、約2時間毎、約1時間毎である。本発明の実施によれば、対象を治療するための有効量は、対象の体重1kgあたり約0.1〜約10mgであり得る。また、有効量は、対象の体重1kgあたり約1〜約10mgの一定量であり得る。また、本発明のCTLA4−IgまたはCTLA4A29YL104E−Igは、インビボの臨床応用を有する。これらは、免疫不全の一部の状態の診断または予後診断におけるB7陽性細胞の計数、白血病およびリンパ腫の表現型決定、ならびに臓器移植後の免疫学的変化の監視に用いることができる。
本明細書中に記載の組成物のデリバリーは、注射、経口デリバリー、スプレーまたは他の特定の分散系の吸入、皮下注射、静脈内デリバリー、局所的デリバリー、坐薬、眼球デリバリー、経鼻または経口デリバリーによって達成し得る。組成物は、リポソームまたは他の膜様デリバリービヒクル中にカプセル封入することによってデリバリーすることができる。組成物は、事前に組成物で処理し、その後対象に輸液する血液または他の流体によってデリバリーすることができる。
配列表
配列番号17は、pcSDhuCTLA4Igをコードしているヌクレオチド配列である。
配列番号18は、ヒトCTLA4の細胞外ドメインのアミノ酸配列である。
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
さらなる非限定的な実施形態
本発明は、CTLA4−Igを産生することができるクローンのチャイニーズハムスター卵巣細胞集団を提供する。一実施形態では、細胞集団は、液体培養物1リットルあたり0.5グラム以上を超えるCTLA4−Igタンパク質を産生することができ、CTLA4−Igは、1,000L以上の培養スケールで約6〜約14のシアル酸対CTLA4−Ig二量体のモル比を示す。一実施形態では、細胞集団は無血清の既知組成培地に適応している。別の実施形態では、細胞集団の培養物から産生させたCTLA4−Igは1.00±0.05AUmLcm-1mg-1の消光係数を有する。さらなる実施形態では、細胞集団は、培養で増殖させた場合に、(a)約90%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基27のメチオニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)約10%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号26のアラニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(c)約4%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号383のリシンで終わる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(d)約96%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号382のグリシンで終わる配列番号2のアミノ酸配列を含み;所望により、(e)約1%未満のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号25のメチオニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含む、CTLA4−Igポリペプチドを産生することができる。
本発明は、CTLA4−Igを産生する、上述の細胞の子孫細胞を提供する。一実施形態では、子孫細胞は、細胞を少なくとも5世代にわたって培養することで得る。別の実施形態では、子孫細胞は、細胞を少なくとも10世代にわたって培養することで得る。別の実施形態では、子孫細胞は、細胞を少なくとも20世代にわたって培養することで得る。別の実施形態では,子孫細胞は、細胞を少なくとも40世代にわたって培養することで得る。別の実施形態では、子孫細胞は、細胞を少なくとも50世代にわたって培養することで得る。別の実施形態では、子孫細胞は、細胞を少なくとも75世代にわたって培養することで得る。別の実施形態では、子孫細胞は、細胞を少なくとも100世代にわたって培養することで得る。
本発明は、任意の上述の細胞から作製した細胞系を提供する。一実施形態では、細胞系はクローンである。別の実施形態では、細胞系は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);(b)配列番号5のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置383のリシン);(c)配列番号7のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);(d)配列番号4のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置383のリシン);(e)配列番号4のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置25のメチオニンおよびアミノ酸位置383のリシン);または(f)配列番号6のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置25のメチオニンおよびアミノ酸位置382のグリシン)を産生することができる。
別の実施形態では、細胞系は、(a)約90%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基27のメチオニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(b)約10%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号26のアラニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(c)約4%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号383のリシンで終わる配列番号2のアミノ酸配列を含み;(d)約96%のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号382のグリシンで終わる配列番号2のアミノ酸配列を含み;所望により、(e)約1%未満のCTLA4−Igポリペプチドが、残基番号25のメチオニンから始まる配列番号2のアミノ酸配列を含む、CTLA4−Ig融合タンパク質を産生することができる。
一実施形態では、細胞系を培養することから産生するCTLA4−Ig融合タンパク質は、1.00±0.05AUmLcm−1mg−1の消光係数を有する。一実施形態では、本発明は、本発明の細胞に由来する細胞集団を提供する。一実施形態では、細胞集団は、最初に形質移入した細胞と比較して少なくとも1つの追加の遺伝子変化からなり、誘導した細胞集団はCTLA4−Igを産生することができる。他の実施形態では、細胞集団は、最初に形質移入した細胞と比較して少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26個の追加の遺伝子変化からなり、誘導した細胞集団はCTLA4−Igを産生することができる。一実施形態では、遺伝子変化は、細胞ゲノムまたはCTLA4−Igをコードしている組換え発現カセット中に少なくとも1つの非保存的突然変異を含む。
一実施形態では、遺伝子変化は、細胞内に少なくとも1つの追加の組換え核酸を含む。一実施形態では、変化は細胞ゲノムの突然変異を含む。一実施形態では、変化は、細胞ゲノムへの、または抗アポトーシスポリペプチドをコードするトランス核酸としての、核酸の付加を含む。一実施形態では、抗アポトーシスポリペプチドはグリコシル化に関連する。
一実施形態では、遺伝子変化は、細胞ゲノムまたはCTLA4−Igをコードしている組換え発現カセットの少なくとも1つ突然変異を含む。一実施形態では、細胞集団は、培養で増殖させた場合に、(a)配列番号8のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);(b)配列番号5のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置27のメチオニンおよびアミノ酸位置383のリシン);(c)配列番号7のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置382のグリシン);(d)配列番号4のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置26のアラニンおよびアミノ酸位置383のリシン);(e)配列番号4のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置25のメチオニンおよびアミノ酸位置383のリシン);または(f)配列番号6のアミノ酸配列を有するCTLA4−Ig融合タンパク質(配列番号2のアミノ酸位置25のメチオニンおよびアミノ酸位置382のグリシン)を産生することができる。
本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約6〜約18である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約8〜約18である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約11〜約18である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約12〜約18である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約13〜約18である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約14〜約18である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約15〜約17である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約16である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。
本発明は、95%を超える分子がCTLA4−Ig二量体である、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。一実施形態では、98%を超える分子がCTLA4−Ig二量体である。一実施形態では、99%を超える分子がCTLA4−Ig二量体である。一実施形態では、99.5%を超える分子がCTLA4−Ig二量体である。一実施形態では、約95%〜約99.5%の分子がCTLA4−Ig二量体であり、分子の約0.5%〜約5%がCTLA4−Ig四量体である。一実施形態では、約98.6%の分子がCTLA4−Ig二量体であり、約1.2%の分子がCTLA4−Ig四量体であり、約0.7%未満の分子がCTLA4−Ig単量体である。本発明は、CTLA4−Ig二量体からなる集団を提供する。本発明は、CTLA4−Ig単量体を実質的に含まない、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、CTLA4−Ig四量体を実質的に含まない、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、CTLA4−Ig二量体および四量体を実質的に含まない、CTLA4−Ig単量体分子の集団を提供する。一実施形態では、それぞれのCTLA4−Ig二量体のそれぞれの単量体が少なくとも3個のシアル酸基を有する。
一実施形態では、それぞれのCTLA4−Ig二量体のそれぞれの単量体は少なくとも3個のシアル酸基〜少なくとも8個のシアル酸基を有する。本発明は、CTLA4−Ig二量体を実質的に含まず、所望により約100グラムを超える量が含まれる、CTLA4−Ig四量体分子の精製した集団を提供する。本発明は、CTLA4−Ig単量体を実質的に含まない、所望により約100グラムを超える量が含まれる、CTLA4−Ig四量体分子の精製した集団を提供する。一実施形態では、それぞれの四量体分子は2対のCTLA4−Igポリペプチドを含み、それぞれのポリペプチドは配列番号3〜8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、ポリペプチド対のそれぞれのメンバーは他方のメンバーと共有結合しており、2対のポリペプチドは互いに非共有的に会合している。一実施形態では、それぞれの四量体分子はCD80またはCD86と結合することができる。一実施形態では、それぞれの四量体分子は、CTLA4−Ig二量体分子と比較して、少なくとも2倍高いCD80またはCD86に対する結合力を有する。一実施形態では、それぞれの四量体分子は、CTLA4−Ig二量体分子と比較して、少なくとも2倍高いT細胞の増殖または活性化の阻害を有する。
本発明は、等電点電気泳動によって決定して5.1以下の等電点、すなわちpIを有し、等電点電気泳動ゲル上で可視化可能なCTLA4−Igの優勢アイソフォームを含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、pIはノイラミニダーゼ処理後に増加する。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも40%が、等電点電気泳動によって決定して約5.1以下の等電点を示す。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも70%が、等電点電気泳動によって決定して約5.1以下の等電点を示す。一実施形態では、CTLA4−Ig分子の少なくとも90%が、等電点電気泳動によって決定して約2.5以下の等電点を示す。本発明は、約2.0±0.2〜約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約4.3±0.2〜約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、約3.3±0.2〜約4.7±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、(a)CTLA4−Ig分子の混合物を等電点ゲル電気泳動に供する工程であって、ゲル上の単一のバンドが特定のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を表す工程と、(b)約2.0±0.2〜約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子の集団を単離して組成物を調製する工程とを含む、約2.0±0.2〜約5.0±0.2のpIを有するCTLA4−Ig分子を含む組成物を調製する方法を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約17〜約25であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのガルカトースの平均モル比が約8〜約17であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのフコースの平均モル比が約3.5〜約8.3であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのマンノースの平均モル比が約7.2〜約22であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのガルカトースの平均モル比が約8〜約17であり;(d)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのガルカトースの平均モル比が約8〜約17であり;(d)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのフコースの平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子が、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのガルカトースの平均モル比が約8〜約17であり;(d)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのフコースの平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのマンノースの平均モル比が約7.2〜約22であり;(f)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。
本発明は、約9.589+/−0.3のNGNAクロマトグラムピークおよび約10.543+/−0.3のNANAクロマトグラムピークを示す、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA−Ig分子が図7に示す炭水化物プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。本発明は、CTLA4−Ig分子がドメインI〜IVの炭水化物プロフィールを示し、ドメインIがa−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインIIがモノ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインIIIがジ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含み、ドメインIVがトリ−シアル化オリゴ糖を表すピークを含む、CTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、ドメインI中の最初のピークとドメインII中の主要ピークとの間のN結合型オリゴ糖の保持時間の差が約22〜約28分である。本発明は、CTLA4−Ig二量体分子の少なくとも0.5%がシステイン化されている、CTLA4−Ig二量体分子を含む組成物を提供する。別の実施形態では、CTLA4−Ig二量体分子の少なくとも1.0%がシステイン化されている。本発明は、図8および10に示す質量分析プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、図20および21に示すキャピラリー電気泳動プロフィールを示す、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約6〜約18であり、CTLA4−Ig二量体を市販の細胞系の細胞から産生させる、CTLA4−Ig分子の組成物を提供する。本発明は、本発明の任意の方法によって得られたCTLA4−Ig組成物を提供する。本発明は、分子が配列番号2の位置102のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号2の位置134のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号2の位置233のアスパラギンアミノ酸残基、配列番号2の位置155のセリンアミノ酸残基、または配列番号2の位置165のセリンアミノ酸残基でグリコシル化されている、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのガルカトースの平均モル比が約8〜約17であり;(d)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのフコースの平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのマンノースの平均モル比が約7.2〜約22であり;(f)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であり;(g)等電点電気泳動ゲル上での可視化によって決定されたpIが約2.4±0.2〜約5.0±0.2の範囲であり;(h)MCP−1が5ppm以下であり;(i)四量体が2.5%未満であり;(j)単量体が0.5%未満であり;(k)集団のCTLA4−Igポリペプチドが配列番号2〜8のいずれかと少なくとも95%同一のアミノ酸を有し;(l)集団内のCTLA4−Ig分子がCD80およびCD86と結合できることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団を提供する。本発明は、(a)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGlcNAcの平均モル比が約15〜約35であり;(b)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのGalNAcの平均モル比が約1.7〜約3.6であり;(c)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのガルカトースの平均モル比が約8〜約17であり;(d)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのフコースの平均モル比が約3.5〜約8.3であり;(e)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのマンノースの平均モル比が約7.2〜約22であり;(f)CTLA4−Ig二量体1モルあたりのシアル酸の平均モル比が約6〜約12であり;(g)等電点電気泳動ゲル上での可視化によって決定されたpIが約2.4±0.2〜約5.0±0.2の範囲であり;(h)MCP−1が5ppm以下であり;(i)四量体が2.5%未満であり;(j)単量体が0.5%未満であり;(k)集団のCTLA4−Igポリペプチドが配列番号2〜8のいずれかと少なくとも95%同一のアミノ酸を有し;(l)集団内のCTLA4−Ig分子がCD80およびCD86と結合できることによって特徴づけられた、CTLA4−Ig分子の集団、またはその医薬的な等価物を提供する。本発明は、有効量のCTLA4−Ig分子および医薬上許容される担体を含む組成物を提供する。本発明は、一定量のマルトース一水和物をさらに含む、有効量のCTLA4−Ig分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、医薬上許容される希釈剤、アジュバントまたは担体をさらに含む。一実施形態では、組成物は、マルトース、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、および滅菌水をさらに含む。一実施形態では、組成物は、スクロース、ポロキサマー、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム無水物、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、および滅菌水をさらに含む。
本発明は、少なくとも95%のCTLA4−Ig二量体、および5%を超えないCTLA4−Ig四量体を含む、凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を提供する。一実施形態では、混合物は、少なくとも98%のCTLA4−Ig二量体および2%を超えないCTLA4−Ig四量体を含む。一実施形態では、混合物は、少なくとも99%のCTLA4−Ig二量体および1%を超えないCTLA4−Ig四量体を含む。一実施形態では、混合物は、CTLA4−Ig二量体1モルあたり少なくとも8.0モルのシアル酸を含む。一実施形態では、混合物は、CTLA4−Ig二量体1モルあたり約15.7〜約31モルのGlcNAcを含む。一実施形態では、混合物は、CTLA4−Ig二量体1モルあたり約1.6〜約3.2モルのGalNAcを含む。一実施形態では、混合物は、CTLA4−Ig二量体1モルあたり約9.3〜約15.5モルのガラクトースを含む。一実施形態では、混合物は、CTLA4−Ig二量体1モルあたり約3.6〜約7.9モルのフコースを含む。一実施形態では、混合物は、CTLA4−Ig二量体1モルあたり約9.7モルのマンノースを含む。本発明は、(a)請求項1に記載の凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を含む容器;および(b)凍結乾燥したCTLA4−Ig混合物を注射用溶液へと再構成するための指示書を含む医薬キットを提供する。
本発明は、T細胞を有効量のCTLA4−Ig組成物と接触させることを含む、T細胞の増殖(または活性化)を阻害する方法を提供する。本発明は、それを必要としている対象に有効量の組成物を投与することを含む、対象において免疫応答を阻害する方法を提供する。本発明は、疾患または障害を治療するために対象に本発明の組成物を一定量で投与することによる、対象において抗原に対する免疫寛容を誘発させる方法、対象において炎症を治療する方法、関節リウマチを治療する方法、対象において乾癬を治療する方法、対象においてループスを治療する方法、対象においてアレルギーを治療または予防する方法、対象において移植片対宿主病を治療または予防する方法、対象において移植器官の拒絶を治療または予防する方法、対象において多発性硬化症を治療する方法、対象においてI型糖尿病を治療する方法、対象において炎症性腸疾患を治療する方法、対象において卵巣炎を治療する方法、対象において糸球体腎炎を治療する方法、対象においてアレルギー性脳脊髄炎を治療する方法、または対象において重症筋無力症を治療する方法を提供する。組成物は医薬上許容される担体と組み合わせ得る。本発明は、免疫障害の治療的および/または予防的処置を行うための医薬品の製造における、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約6〜約18であるCTLA4−Ig分子の集団の使用を提供する。本発明は、抗関節リウマチ剤と、それと一緒に梱包したそれを関節リウマチの治療で使用するための指示書の製造における、シアル酸基対CTLA4−Ig二量体の平均モル比が約6〜約18であるCTLA4−Ig分子の集団の使用を提供する。本発明は、T細胞を、有効量の本発明の組成物と、メトトレキサートと組み合わせて接触させることを含む、T細胞の増殖(または活性化)を阻害する方法を提供する。本発明は、それを必要としている対象に、有効量の本発明の組成物を、メトトレキサートと組み合わせて投与することを含む、対象において免疫応答を阻害する方法を提供する。本発明は、それを必要としている対象に、有効量の請求項1から64のいずれかに記載の組成物を、メトトレキサートと組み合わせて投与することを含む、対象において抗原に対する免疫寛容を誘発させる方法を提供する。本発明は、(a)組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程であって、増大が種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物までであり、組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムである工程と;(b)少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。一実施形態では、工程(a)の増大は、(i)少なくとも約1.0×105個の生細胞/mLの細胞密度を得るために細胞を無血清の既知組成培地中で少なくとも4継代培養する工程であって、それぞれの播種段階は約2×105/mlで開始し、1〜200万個の細胞/mlまで到達する工程と;(ii)培養物から少なくとも約0.5g/Lを産生するのに十分な期間、細胞の培養を維持する工程とを含む。一実施形態では、タンパク質は糖タンパク質である。一実施形態では、タンパク質はCTLA4−Igタンパク質である。一実施形態では、哺乳動物細胞は子孫細胞である。一実施形態では、哺乳動物細胞はCTLA4−Ig融合タンパク質産生することができるCHOクローン細胞系の子孫であり、CHO細胞には少なくとも30コピーのCTLA4−Ig発現カセットをそのゲノム内に安定して組み込まれている。一実施形態では、十分な時間とは、細胞の生存度が30%未満まで下がらない時間である。一実施形態では、十分な時間とは、細胞の生存度が40%未満まで下がらない時間である。一実施形態では、十分な時間とは、細胞の生存度が50%未満まで下がらない時間である。一実施形態では、十分な時間とは、細胞の生存度が60%未満まで下がらない時間である。一実施形態では、十分な時間とは、細胞の生存度が70%、または80%または90%または95%未満まで下がらない時間である。一実施形態では、少なくとも4継代は、(i)細胞密度が約100万〜約250万個の細胞/mlに達するまで、細胞を少なくとも50mLの培養容量で増殖させること、(ii)細胞密度が約100万〜約250万個の細胞/mlに達するまで、細胞を少なくとも10Lの培養容量で増殖させること;(iii)細胞密度が約100万〜約250万個の細胞/mlに達するまで、細胞を少なくとも100Lの培養容量で増殖させること;および(iv)細胞密度が約100万〜約250万個の細胞/mlに達するまで、細胞を200Lの培養容量で増殖させることを含む。一実施形態では、ガラクトースを無血清の既知組成培地に加える。一実施形態では、維持は、(i)培養物の温度を37±2℃から34±2℃まで下げること;および(ii)培養物の温度を34±2℃から32±2℃まで下げることを含む。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも5日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも6日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも7日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも8日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも9日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも10日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも11日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも12日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも13日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも14日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも15日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも16日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも17日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で少なくとも18日間保つ。一実施形態では、温度を32±2℃の範囲内で18日間まで保つ。一実施形態では、培養物の細胞密度が液体培養物1mLあたり約30×105〜約79×105個の細胞となるまで温度を32±2℃の範囲内で保つ。本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)液体培養物がタンパク質1モルあたり約6.0モル以上のNANAを含む場合にのみ、少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)液体培養物の細胞密度が約33×105〜約79×105個の細胞/mLである場合にのみ、少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。
本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)液体培養物中の細胞生存度が約20%、または約30%、または約38%未満まで下がっていない場合に、少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)内毒素が液体培養物の約76.8EU/mL以下である場合にのみ、少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)汚染微生物数が液体培養物1mLあたり1コロニー形成単位未満である場合にのみ、少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。本発明は、(a)組換えタンパク質の濃度が液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムであるように、種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物まで組換えタンパク質を分泌する哺乳動物細胞を増大させる工程と;(b)少なくとも10,000Lの液体培養物から組換えタンパク質を単離する工程であって、以下の条件、すなわち(i)液体培養物がタンパク質1モルあたり約6.0モル以上のNANAを含むこと、(ii)液体培養物の細胞密度が約33×105〜約79×105個の細胞/mLであること、(iii)液体培養物中の細胞生存度が約20%、もしくは約38%未満まで下がらないこと、または(iv)培養物中のCTLA4−Igの量が0.5g/Lを超えることのうち少なくとも2つが満たされている場合にのみ単離を行う工程とを含む、組換えタンパク質を産生する方法を提供する。一実施形態では、単離は、(i)細胞培養上清を得る工程と;(ii)上清を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、溶出タンパク質生成物を得る工程と;(iii)工程(ii)の溶出タンパク質生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、濃縮されたタンパク質生成物を得る工程と;(iv)濃縮されたタンパク質生成物をアフィニティークロマトグラフィーに供して、溶出かつ濃縮されたタンパク質生成物を得る工程と;(v)(iv)の溶出かつ濃縮されたタンパク質生成物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供する工程とを含む。一実施形態では、工程(iii)で得られた濃縮されたタンパク質生成物は、任意の高分子量多量体の割合が25重量%未満であることを特徴とする。一実施形態では、工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約75mMのHEPESおよび約360mMのNaClを含み、pHが約8.0の洗浄バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約325mMのNaClを含み、pHが約7.0の溶出バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約850mMのNaClを含み、pHが約7.0の単一の洗浄バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、約25mMのトリスおよび約250mMのNaClを含み、pHが約8.0の洗浄バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、約100mMのグリシンを含み、pHが約3.5の溶出バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(v)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約120mMのNaCl〜約130mMのNaClを含み、pHが約8.0の洗浄バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(v)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、約25mMのHEPESおよび約200mMのNaClを含み、pHが約8.0の溶出バッファーを用いて実施する。一実施形態では、工程(ii)の陰イオン交換クロマトグラフィーは、第一級、第二級、第三級、または第四級アミン官能基を有する陰イオン交換樹脂を有するカラムを用いて実施する。一実施形態では、樹脂は第四級アミン官能基を有する。一実施形態では、工程(iii)の疎水性相互作用クロマトグラフィーは、フェニル、オクチル、プロピル、アルコキシ、ブチル、またはイソアミル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を用いて実施する。一実施形態では、官能基はフェニル官能基である。一実施形態では、工程(iv)のアフィニティークロマトグラフィーは、タンパク質Aを含むカラムを用いて実施する。一実施形態では、精製したCTLA4−Igが(a)CTLA4−Ig二量体1mgあたり約38ngのMCP−1を有し、(b)2.5重量%未満のCTLA4−Ig四量体を含むように、液体細胞培養物からCTLA4−Igを調製することを含む、CTLA4−Igを調製する方法。一実施形態では、液体細胞培養物は、本発明の細胞または子孫細胞を含む。本発明は、(a)CTLA4−Igを産生することができる任意の市販の細胞系またはCHO細胞の子孫細胞を増大させる工程であって、増大は種培養物から少なくとも10,000Lの液体培養物までであり、CTLA4−Igの濃度は液体培養物1Lあたり少なくとも0.5グラムである工程と;(b)CTLA4−Igを少なくとも10,000Lの液体培養物から単離する工程であって、クロマトグラフィーは少なくとも1つのフェニル官能基を有する疎水性相互作用樹脂を用いたカラム上であり、単離は、約25mMのHEPESおよび約850mMのNaClを含み、pHが約7.0の単一の洗浄バッファーを用いて実施する疎水性相互作用クロマトグラフィーの工程を含む工程とを含む、CTLA4−Igを産生する方法を提供する。
発明の実施例
以下、本発明に対する理解をさらに深められるように多数の実施例を示す。下記の実施例は、本発明の典型的な製造および実施方法を説明するものである。しかしながら、これらの実施例は、説明を目的としているに過ぎず、本発明の範囲は実施例に開示された実施態様に限定されるわけではないため、代替的方法を用いて同様の結果を得ることも可能である。
下記実施例は、配列番号2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16のうちの1つまたはそれ以上の配列を含むCTLA4−Ig分子について説明している。これらの実施例は、限定を意図したものではなく、当業者であれば、実施例を、他のCTLA4−Ig分子、他の糖タンパク質、およびIg−スーパーファミリータンパク質の一部に関連しているかまたはそれらを含む他のタンパク質に拡大または適合させ得ることは容易に理解できるはずである。
以下の表は、CTLA4−IgおよびCTLA4
A29YL104E−Igに関する実施例を示す。
略語:
15N 15ナノメートル
A280 280nmでの吸光度
CTLA4−Ig 細胞傷害性Tリンパ球抗原−4免疫グロブリン;CTLA−4 Ig
API 医薬有効成分
AU 吸光度単位
B7 CTLA−4受容体リガンド
cfu コロニー形成単位
CHO チャイニーズハムスター卵巣
CHOP チャイニーズハムスター卵巣宿主細胞タンパク質
CV カラム容量
薬剤物質充填 薬剤物質濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階
ELISA 酵素結合イムノソルベント検定法
EU 内毒素単位
Fc 抗体の定常域
GalNAc N−アセチル−ガラクトサミン
GlcNAc N−アセチル−グルコサミン
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸
HIC 疎水性相互作用クロマトグラフィー;フェニルセファロース(Sepharose、登録商標)高流速(Fast Flow)
HMW 高分子量
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IgG1 クラスG1の免疫グロブリン
IPC 製造過程の対照
LAL カブトガニアメーバ様細胞ライゼート
MBR(s) マスター・バッチ・レコード(複数も可)
MCP−1 単球走化性タンパク質1
MTX メトトレキセート
MW 分子量
N/A 適用不可
NANA N−アセチルノイラミン酸;シアル酸;SA
NMWC 名目分子量カットオフ
OD 光学密度
PAR 検証許容範囲
Planova ウイルス除去フィルター、孔サイズ15nm
PP(s) 製造パラメーター(複数も可)
PQ 性能適格性評価
psi 重量ポンド毎平方インチ
psid 重量ポンド毎平方インチ、差圧
psig 重量ポンド毎平方インチ;ゲージ圧
QFF Q Sepharose(登録商標、セファロース)高流速
QXL Q セファロース高結合容量(Extreme Load)
rPA 組換えプロテインAセファロース高流速
SA シアル酸;N−アセチルノイラミン酸;NANA
SDS−PAGE ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
SOP 標準操作手順
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
トリトンX−100 t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール;ポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテル
UF 限外濾過
UV 紫外線
v/v 体積/体積
VF ウイルス濾過;ナノメートル濾過
VI ウイルス不活化
実施例1:プラスミドpcSDhuCTLA4−IgにおけるCTLA4−Igコーディング配列の確認
pcSDhuCTLA4−Igに存在するCTLA4−Ig遺伝子の注釈した核酸配列およびCTLA4−Igの対応する推定アミノ酸配列を図1に示す。pcSDhuCTLA4−Ig核酸を、CHO細胞へトランスフェクションすることにより、CTLA4−Ig分子を発現し得る安定したトランスフェクタントを作製した(実施例12参照)。トランスフェクタントをスクリーニングにかけ、ある一定のトランスフェクタントをサブクローニングまたは増大させることにより、クローンセルラインを作製した。
DNA配列データの解析により、プラスミド構築中に形成された連結点が設計どおりであること、およびポリメラーゼ連鎖反応で使用した合成オリゴヌクレオチドプライマーによりCTLA4−Ig配列の上流に正確なオンコスタチンMシグナル配列が作製されていることを確認した。融合タンパク質のヒンジ領域ではシステインからセリンへの所望の改変(配列番号2の156、162および165位)を確認した。図1ではこれらのアミノ酸残基をアステリスク付きの太字で示している。また、配列番号2の174位におけるプロリンからセリンへのさらなるアミノ酸改変も検出された。この改変は、ポリメラーゼ連鎖反応によるIgG1 cDNA合成中に導入された。また、このアミノ酸残基も図1においてアステリスク付きの太字で示している。
DNA配列データ解析により、ヒトCTLA4およびヒトIgG1定常域の公開されたヌクレオチド配列と比較したとき、さらに1つの差異が同定された。CTLA4コーディング領域のアミノ酸110でのコドンは、GCC(アラニン)ではなくACC(トレオニン)として同定された。
実施例2:CTLA4−Ig製剤
CTLA4−Ig注射用組成物、250mg/バイアルは、静脈内(IV)投与用滅菌非発熱性凍結乾燥物である。CTLA4−Ig分子の集団を、15ccI型フリント管系ガラスバイアルに詰める。各バイアルに20mm Daikyo グレイブチルD−21−7−S/B2−TRフルオロ樹脂コーティングストッパーで栓をし、20mmアルミニウム、白色フリップ-オフシールで密閉する。
各1回量バイアルは、注射用滅菌水、USPで構成され、使用時に0.9%塩化ナトリウム注射液、USPでさらに希釈されるCTLA4−Ig組成物250mgを含む。CTLA4−Igの注射用組成物、250mg/バイアル、および各成分の機能を下表に列挙する。
bこれらの成分はCTLA4−Ig組成物溶液中に存在する
CTLA4−Ig組成物は、25mMのリン酸ナトリウム緩衝液および50mMの塩化ナトリウム(pH7.5)中に約50mg/mLのCTLA4−Igを含む。初期展開中に、pH、緩衝液タイプ、緩衝液濃度および塩化ナトリウム濃度の関数としてのCTLA4−Igの物理的および化学的安定性の評価に基づいて、この緩衝系を選択した。CTLA4−Ig溶液の安定性を5〜9のpH範囲で調べた。結果は、高分子量種の形成はpH依存的であり、最大安定性のpH範囲は7と8の間であることを示した。別の測定で、緩衝液タイプおよび濃度の影響を調べたところ、CTLA4−Ig組成物はpH8のリン酸ナトリウムまたはトリス緩衝液中で同等に安定していることが見出された。さらに、濃度10〜100mM間の緩衝液濃度は、2°〜8℃でのCTLA4−Ig組成物の安定性に全く影響を及ぼさなかった。同様に、濃度30〜500mM間の塩化ナトリウムの存在は、2〜8℃で貯蔵したCTLA4−Ig組成物の溶解状態安定性に全く影響を及ぼさなかった。
これらの結果に基づき、25mMのリン酸ナトリウム緩衝液および50mMの塩化ナトリウム(pH7.5)中10mg/mLのCTLA4−Ig組成物を50mg/バイアル強度での処方用に選択した。後で、CTLA4−Ig濃度を、同緩衝液組成物中50mg/mLに変えると、200〜250mg/バイアル強度でのCTLA4−Ig組成物が生成され得た。
注射用CTLA4−Igを、リン酸ナトリウム緩衝液および塩化ナトリウムに加え、マルトースを用いて処方する。この製品で使用する賦形剤の機能を上表に列挙する。
無機塩、例えば塩化ナトリウムおよびリン酸ナトリウム緩衝液成分の存在により、冷凍系のガラス転移温度(Tg’)は低下した。さらに、pH7.5でin situで形成される二塩基性リン酸ナトリウムは、冷凍中に結晶化が起こり易いため、冷凍液の微環境pHが低下する。これらの理由に基づいて、塩化ナトリウムおよびリン酸ナトリウム緩衝液の最小量を選択することにより、凍結乾燥過程に対するそれらの影響を最小限にとどめた。マルトースは、凍結乾燥中および後続の薬剤製品の貯蔵時にそれぞれ低温および冷凍保護剤として作用する安定剤として添加される。CTLA4−Ig注射用組成物、250mg/バイアルは、抗微生物保存剤を含まない滅菌1回量バイアルである。
実施例3:CTLA4−Ig組成物の炭水化物含有量分析
本方法の目的は、CTLA4−Ig N−結合型オリゴ糖のクロマトグラフィープロフィールを提供することである。この手順を用いることにより、CTLA4−Ig試料中におけるN−アセチルノイラミン酸(NANA)およびN−グリコシルノイラミン酸(NGNA)対タンパク質のモル比が得られる(結合+遊離の合計)。NANAおよびNGNAは、シアル酸の2形態である。CTLA4−Igタンパク質に対するグリコシル化は、N−結合型オリゴ糖を含む。例えば、これらのオリゴ糖は、22時間にわたる ペプチド−N−グリカナーゼ Fでの酵素的加水分解により遊離され得る。電気化学的検出法を用いる高pHアニオン交換クロマトグラフィーを用いて、遊離オリゴ糖をプロファイリングする。N−結合型オリゴ糖に関する炭水化物プロフィールを、パルスドアンペロメトリー検出器を用いた高pHアニオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD)を用いて評価した。これらのプロフィールを確認し、MSと共に多孔質グラファイトカーボン(PGC)クロマトグラフィーを用いて構造情報を得た。両技術および結果をこの項で記載する。この手順は配列番号:のCTLA4−Igについて典型的なものである。
N−結合型オリゴ糖単離:CTLA4−Igからのアスパラギン結合(N−結合型)オリゴ糖の開裂を、ペプチド−N−グリカナーゼFを用いる酵素加水分解により実施した。脱グリコシル化を行うため、まずCTLA4−Igを還元し、変性させた;0.5%SDSおよび1%ベータ−メルカプトエタノールを含む5mMのリン酸ナトリウム緩衝液176μL中1〜2mgのCTLA4−Igを、100℃で2分間加熱し、次いで周囲温度に放冷した。冷却混合物に、16μLの10%NP−40を添加した。試料を十分に混合し、40μLのペプチド−N−グリカナーゼ F(50000U/mL、50mMリン酸ナトリウム緩衝液中)を添加した。試料を十分に混合し、38℃で24時間インキュベーションした。1.0mL/分の流速で Thermo HyperCarb カラム(4.6×100mm;5μL)と連結した Phenomenex Luna C18カラム(4.6×150mm;5μL)を用いる逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、酵素放出オリゴ糖(グリカン)を精製した;単離に使用したクロマトグラフは、Waters 2996検出器を備えた Waters Alliance 2695であった。まず、カラムを0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)により平衡させた。試料の注入後、アセトニトリルの勾配を開始し、15分で12%アセトニトリル中0.05%TFAの溶媒組成物で終結させた。次いで、グリカンを60%アセトニトリル中0.05%TFAへの段階勾配により HyperCarb カラムから溶離した。206nmでのUV吸光度により観察しながら、グリカンを集め、真空中で濃縮乾固した。後続の注入前に、Luna C18カラムを、40%アセトニトリル、40%イソプロパノール、20%水中の0.05%TFAにより洗浄した。
NANA保存液(N−アセチルノイラミン酸)(1mg/mL)の調製。要点:秤量前、NANA標準液を室温まで温めておく。それを怠ると、標準液中での水分凝縮が起こる。所望の量が得られる程度の期間開口し、次いで瓶を固く再密閉し、冷凍庫に戻し、乾燥剤と共に貯蔵する。3〜10mg間のN−アセチルノイラミン酸を正確に秤量する。0.1mg単位まで記録する。秤量用ペーパー/ボートを用いて秤量する場合、適切な大きさの容器に移す。十分な量のHPLCグレードの水を加えることにより、1mg/mL溶液の濃縮液を得る。溶解するまで撹拌棒または渦状に撹拌することにより混合する。ポリプロピレン管中で3ヶ月までの間2〜8℃で貯蔵する。
NGNA保存液(N−グリコリルノイラミン酸)(1mg/mL)の調製。要点:秤量前、NGNA標準を室温まで温めておく。それを怠ると、保存液中での水分凝縮が起こる。所望の量が得られる程度の期間開口し、次いで瓶を固く再密閉し、冷凍庫に戻し、乾燥剤と共に貯蔵する。3〜10mg(0.1mg単位まで記録)間のN−グリコリルノイラミン酸を正確に秤量する。0.1mg単位まで記録する。秤量用ペーパー/ボートを用いて秤量する場合、適切な大きさの容器に移す。適切な量のHPLCグレードの水を加えることにより、1mg/mL溶液の標的濃縮液を得る。溶解するまで撹拌棒または渦状に撹拌することにより混合する。ポリプロピレン管中で3ヶ月までの間2〜8℃で貯蔵する。
システム適合溶液。1mg/mLのNANAおよびNGNA保存液各々0.050mLを、適切な容器に入れたHPLCグレードの水0.900mLに加える。撹拌することにより混合する。3ヶ月までの期間2〜8℃で貯蔵する。N−アセチルノイラミン酸使用液(N−アセチルノイラミン酸作業溶液)(N-Acetyl Neuraminic Acid working solution)(0.050mg/mL)。1mg/mLのNANA保存液0.050mLを正確に測定し、0.950mLのHPLCグレードの水に加える。撹拌することにより混合する。使用時にデュプリケイトで製造する。N−グリコリルノイラミン酸使用液(0.050mg/mL)。0.050mLの1mg/mLのNGNA保存液を正確に測定し、0.950mLのHPLCグレードの水に加える。撹拌することにより混合する。使用時にデュプリケイトで製造する。
試料および加水分解ブランクの製造。試験成績書(COA)からCTLA4−Ig材料についてのタンパク質濃度を入手する。1.5mL微量遠心分離管にHPLCグレードの水0.190mLを加えることにより、加水分解ブランクの単一試料を製造する。HPLCグレードの水を用いて試料およびCTLA4−Ig基準物質の1mg/mL溶液をデュプリケイトで製造する。撹拌することにより混合する。
試料、CTLA4−Ig基準物質および加水分解ブランクの加水分解。1.5mL微量遠心分離管中で基準物質および試料のデュプリケイト調製物に対して加水分解を行う。注:ヒートブロックへ完全に適合する微量遠心分離管を使用することが重要である。0.010mLの1MのH2SO4を、0.190mLの試料およびCTLA4−Ig基準物質の1mg/mL希釈液、および加水分解ブランクに加える。撹拌することにより混合し、蓋ロックまたはテープにより蓋を固く締める。80℃±2℃ヒートブロックに1時間±2分間微量遠心分離管を置く。インキュベーション後、ヒートブロックから管を除去し、微量遠心分離機中に管を置き、回転させて試料を管の底部へ追いやる。加水分解溶液をアリコートに分けてオートサンプルバイアル中へ入れ、オートサンプラーに入れて注入する。
器具条件。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムの製造。以下の条件を設定する。0.6mL/分の流速および40℃の温度で少なくとも1時間カラムを平衡状態にする。
システム適合性。器具ブランクとしての移動相の注入により分析を開始し、均一かつ安定しているべきシステムベースラインを評価する。ベースラインが均一かつ安定したものではない場合、追加のブランク注入をするべきである。注:ベースラインのシフトは、0.25AUを超えるべきではない。システム適合溶液の注入を6回反復実施する。分離度(R)および理論段(N)を計算する。
第1システム適合注入を用いることにより、以下の等式を用いて理論段数(N)を計算する:
式中:
N=理論段数
t=NANAピークの保持時間、分
W=ベースラインでのNANAピーク幅、分
CTLA4−Ig基準物質および試料中におけるNANAおよびNGNAのモル数を計算する。NANAおよびNGNA標準を、各作業の開始および終了時に注入する。NANAおよびNGNAの繰り返し注入についての面積数を平均化する。以下の等式でこの面積を用いる:
X=7.3.1の項で計算した使用液中のNANAまたはNGNAのモル数
Y=各調製物に関するアバタセプト基準物質または試料中のNANAまたはNGNAの面積数(注:NANAについて統合する際のピークについては7.2項および図3参照)
Z=使用液中における反復NANAまたはNGNAの平均面積
一実施態様において、NGNAおよびNANAピーク間の分離度は1.3より大でなくてはならない。理論段数は4000またはそれより大でなくてはならない。NANAピークの面積数のRSD%として評価されるシステム適合注入再現性は3%またはそれ以下でなくてはならない。理論段数は4000またはそれより大でなくてはならない。NANAピークの面積数のRSD%として評価されるシステム適合注入再現性は3%またはそれ以下でなくてはならない。
パルスドアンペロメトリー検出器を用いた高pHアニオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD)によるN−結合型オリゴ糖プロファイリング:単離オリゴ糖のHPAECについては、Dionex CarboPack PA1(4×250mm)アニオン交換カラムおよび Dionex CarboPack ガードカラムを用いる Waters 464 電気化学的検出器を備えた Waters Alliance から成るクロマトグラフィーシステムで実施した。200mM水酸化ナトリウム中の酢酸ナトリウム勾配(酢酸ナトリウム濃度を、注入時の0mMから60分後の225mMまで増加させる)を用いてオリゴ糖試料を溶離した。電気化学的検出器を、パルス電位差E1=0.05V(t1=0.4秒)、S=0.75V(t2=0.2秒)、E3=−0.15V(t3=0.4秒)によるパルス方式で稼動させた。検出セルは、金作用電極、ステンレス鋼カウンター電極および銀/塩化銀参照電極により構成された。
本方法では、CTLA4−Ig試料中のタンパク質から放出されたN−結合型オリゴ糖のHPAEC(高pHアニオン交換クロマトグラフィー)オリゴ糖プロフィールを測定する手順について説明する。本方法の目的は、CTLA4−Ig、例えば、CTLA4−Ig分子の種々の組成物間における比較分析に使用され得るCTLA4−Ig薬剤物質N−結合型オリゴ糖のクロマトグラフィープロフィールを提供することである。CTLA4−Igタンパク質におけるグリコシル化は、N−結合型オリゴ糖を含む。これらのオリゴ糖は、22時間にわたるPNGase F(ペプチド:N−グリコシダーゼF)による酵素加水分解により遊離される。電気化学的検出法を用いる高pHアニオン交換クロマトグラフィーを用いて、遊離オリゴ糖をプロファイリングする。
薬剤物質のオリゴ糖プロフィールを、基準物質の同時実施試料に対して評価する。参照標準液(参照標準)(reference standard)における同一ピークからの選択されたドメインおよびピークの偏差値パーセントとして結果を記録する。
アニオン交換クロマトグラフィーによるオリゴ糖プロフィールについてのクロマトグラフィー条件
注:約2時間、または注入を行う前にベースラインが安定するまで、分析流速で初期移動相によりカラムおよび検出器を平衡状態にする。
HPAECオリゴ糖炭水化物プロファイリング用の移動相の製造
HPAEC溶離液1:500mMの酢酸ナトリウム(NaOAc)。400mLのHPLCグレードの水を含む500mLメスシリンダーへ20.51±0.05gの酢酸ナトリウム(無水)を秤量して注ぐ。HPLCグレードの水で容量を500mLにし、プラスチック製セロロジカルピペットを用いて完全混合するまで5分間撹拌する。溶液を0.2μmナイロンフィルターで濾過する。1Lの溶離液びんへ移す。びんのキャップを緩く締め、20分間ヘリウムを噴霧する。キャップを固く締め、ヘリウムでびんを加圧する。3週間までの間ヘリウム下室温で溶液を貯蔵する。
HPAEC溶離液2:400mMの水酸化ナトリウム(NaOH)。1Lのメスシリンダーを用いて、960mLのHPLCグレードの水を計量し、清潔な1Lの溶離液びんに移す。セロロジカルプラスチックピペットを用いて、40.0mLの10N NaOHを直接溶離液びんに添加し、溶離液を撹拌することにより混合する。びんのキャップを緩く締め、ヘリウムを20分間噴霧する。キャップを固く締め、ヘリウムでびんを加圧する。3週間までの間ヘリウム下室温で溶液を貯蔵する。
HPAEC溶離液3:HPLCグレードの水。約1LのHPLCグレードの水で1Lの溶離液びんを満たす。溶離液びんをシステムに配置し、キャップを緩く締め、約20分間噴霧する。キャップを固く締め、ヘリウムで加圧する。3週間までの間ヘリウム下室温で溶液を貯蔵する。
50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム、pH=7.5。
NaH2PO4・H2O 6.9g
NaN3 0.2g
H2O 1.0リットル最終容量
6.9g±0.1gのNaH2PO4・H2Oおよび0.2gのNaN3を秤量し、マグネチックスターラーで連続混合しながら1L試薬びん中の800mLのHPLC用H2Oに溶かす。pH計を用いて、10MのNaOHで溶液のpHを7.5に調節する。1Lメスシリンダーを用いて最終容量を1.0リットルにする。溶液を6ヶ月までの間室温で貯蔵する。
50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム(pH=7.5)中のPNGase F酵素使用原液(PNGase F酵素希釈標準保存液)(PNGase F Enzyme Working Stock)
50mMリン酸ナトリウム緩衝液
0.02%アジ化ナトリウム、pH=7.5 1.8mL
キット、カタログ番号P0704LからのPNGase F 0.2mL
1.8mLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム(pH7.5)をピペットで1.8mL凍結保存バイアルに注ぐ。キットからの0.2mLのPNGase Fを添加し、十分に混合する。溶液を6ヶ月までの間−20℃またはそれ未満で貯蔵する。冷凍前に溶液をアリコートに分け得る。
外部システム適合性標準。スタキオース保存液(1.25mg/mL)。0.125gのスタキオースを薬包紙で秤量する。分析天秤を用いて、100mL計量フラスコに移す。HPLCグレードの水で印まで満たし、十分に混合する。2mL分量のアリコートに分けて Nalgene 凍結保存バイアルに入れる。溶液を6ヶ月までの間−20℃またはそれ未満で貯蔵する。
スタキオースシステム適合性標準(12.5μg/mL)。1mLの1.25mg/mL保存液を100mL計量フラスコにピペットで入れる。HPLCグレードの水で印まで満たし、十分に混合する。200μL分量のアリコートを0.65mL微量遠心管に入れる。適切なラベルを貼った貯蔵箱に管を入れる。システム適合溶液を6ヶ月までの間−20℃またはそれ未満で貯蔵する。
標準および試料調製
基準物質調製。1mgの凍結乾燥 RapiGest SFを含むバイアルに、0.02%アジ化ナトリウム、pH7.5を含む625μLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液を加える。0.65mLのエッペンドルフ管に、RapiGest SF 含有緩衝液120μLを加える。40μLの基準物質(〜50mg/mL)を加える。最終 RapiGest SF 濃度は0.12%w/vとするべきである。40μLのPNGase F使用原液を加え、十分に混合し、試料をスピンダウンし、22±2時間38±2℃で置いておく(水浴または Alliance オートサンプラー区画)。試料を Microcon YM−10遠心式フィルター中へピペットで移し、30分間13000gでの遠心分離にかける。フィルター中に200μLのHPLCグレードの水を注ぎ、13000gでさらに30分間遠心分離することにより濾液中ですすぐ。濾液を合わせ、15秒間撹拌し、試料を10秒間遠心分離にかける。ピペットを用いて、生成した溶液(〜380μL)をHPLC全回収オートサンプラーバイアル(アイテム1.15)へ移す。
試料調製。0.65mLエッペンドルフ管に、RapiGest SF 含有緩衝液120μLを加える。40μLのタンパク質試料(この容量は、1〜2mgのCTLA4−Igと同等であるとみなすべきである)を加える。最終 RapiGest SF 濃度は0.12%w/vとするべきである。40μLのPNGase F使用原液を加え、10秒間撹拌することにより十分に混合する。試料をスピンダウンし、22±2時間38±2℃で置いておく(水浴または Alliance オートサンプラー区画)。試料をマイクロコンYM−10遠心式フィルターへピペットで移し入れ、30分間13000gでの遠心分離にかける。フィルター中に200μLのHPLCグレードの水を注ぎ、13000gでさらに30分間遠心分離することにより濾液中へすすぐ。濾液を合わせ、15秒間撹拌し、試料を10秒間遠心分離にかける。生成した溶液(〜380μL)を全回収HPLCオートサンプラーバイアル(アイテム1.15)へ移す。
システム適合性
電気化学的検出器セル安定化。30μLの外部スタキオースシステム適合標準(12.5μg/mL)を注入する。確実に、スタキオースについてのピーク高が800nAまたはそれ以上であるようにする。確実に、セルからの過剰の電気ノイズが無く、ベースラインが均一であるようにする。典型的なシステム適合性クロマトグラムを図2に示す。スタキオース感度またはベースラインが許容され得ない場合、緩衝液組成物を検査し、電極を洗浄するかまたは電極を取り替える。過剰のノイズが存在する場合、セルを検査して、確実に気泡が全て除去されているようにする。セルを再び安定させ、スタキオース標準を再注入する。
理論段(N)。下式を用いて、スタキオースピークに基づく理論段数(N)を測定する。Empower データ解析システムを通してこれを行うか、または手技でも実施し得る。
N=16(t/W)2、式中:
t: 注入時点から最大高でのピーク溶離時まで測定された保持時間
W:両側からベースラインへの延長によるピークの幅
N 6000またはそれより大でなくてはならない。段数が6000未満である場合、実施勾配を調節するか、カラムを取り替える。
テーリング係数(T)。下式を用いて、スタキオースピークに基づきカラムテーリング係数(T)を測定する。Empower データ解析システムを通してこれを行うか、または手技でも実施し得る。T=(W0.05/2f)、式中:
W0.05:高さ5%でのピーク幅(0.05時間)
f: W0.05でのピークの端からピークの軸までの測定値(幅)
Tは1.2またはそれ以下でなくてはならない。テーリング係数が1.2より大きい場合、示された要領で緩衝液組成物を確認するか、カラムを取り替えるか、またはカラムを洗浄し、システム適合標準を再注入する。
スタキオースシステム適合標準保持時間の確認。保持時間はシステムにより異なる。スタキオースシステム適合標準液は、18.5±2.0分の保持時間を呈するべきである。CTLA4−Ig標準物質。試料注入前に注入した第1群(ブラケット)の基準物質からの炭水化物プロフィールを観察する。炭水化物プロフィールは、当然図1に示されたものと類似している。絶対保持時間はシステム依存的である。確実に、ドメイン1における第1ピーク(ピーク1A)およびドメインIIIにおける主要ピーク(ピーク3)間の保持時間の差異が22分〜28分であるようにする。ピーク形状が図1で得られたものと類似していない場合、適切な行動(例、器具機能の確認、カラムの清掃、緩衝液の確認/取替え、カラムの取替え)をとり、再評価する。以下の手順を用いて、カラムを清掃し得る:セルを閉じ、5分間80%溶離液1、20%溶離液2、次いで10分間50%溶離液1、50%溶離液2でカラムを洗浄する。開始条件でカラムおよびセル(セルを開ける)を再び平衡させ、再評価する。
注入順序
以下のとおり、単離オリゴ糖の注入順序を設定する:
スタキオース標準液(30μL)
基準物質(60μL)
試料(複数も可)(60μL)
基準物質(60μL)
基準物質注入群間で使用する試料は5またはそれ以下であることを薦める。
データ分析
クロマトグラムを処理する。Empower で基準物質および試料についてのクロマトグラムを処理する。ピーク形状およびベースラインが図76に示したものと類似するように統合パラメーターを設定し、統合の線を手技で設ける必要があり得る。示された相対ドメイン面積および相対ピーク面積について計算を実施する。繰り返し注入を行った場合、CTLA4−Ig物質および各試料についてのこれらのパラメーターに関する平均値を測定する。基準物質については、全繰り返し測定の平均に関して各繰り返し測定に関するドメインI、II、III、ピーク1Aおよび1Bについて相対偏差値を測定する。
試料のプロフィールと基準物質のプロフィールの比較。視覚的比較。試料および基準物質の両方が同数のドメインおよび1次ピークを有するか否かを測定する。1次ピークは、図76で標識したピーク(ピーク1A、1B、1C、1D、2、3および4)である。相対的定量比較。試料の相対面積(ドメインI、II、およびIIIおよびピーク1A、および1B;繰り返し注入を試料から行った場合、それらの平均値を使用する)とCTLA4−Ig注入群からの平均相対面積を比較する。平均CTLA4−Ig物質値からのこれらの面積の相対差異を測定する。計算−ドメイン面積%(相対ドメイン面積)。基準物質および試料に関するプロフィールのドメインについてドメイン面積%を計算する。ドメイン面積のパターンについては図76を参照。図76における実施例にしたがって、以下の情報および式を用いることにより、ドメインパーセント比を計算する(保持時間はシステム依存的であり、図76で結果を反映している):
ドメインI:おおよその保持時間18〜24分でのピーク面積の和(ピーク1A〜1E)
ドメインII :26〜38分でのピークの和
ドメインIII :39〜50分でのピークの和
ドメインIV : 51〜64分でのピークの和
ドメインV :65〜75分でのピークの和
注:ドメインについての保持時間ウインドウは、日々のクロマトグラフィー性能の変動に応じてシフトする。それに応じて時間を調節する。
また、ドメインI〜IIIについても、基準物質注入群での平均値、および繰り返し注入実施の場合は試料での平均値を計算する。
ピーク面積%(相対ピーク面積)。基準物質および試料に関するプロフィールのピーク1A、1B、1Cおよび3についてのピーク面積%を計算する。ピーク面積のパターンについては図1参照。保持時間はシステムに左右される。以下の情報および式を用いることにより、ピークパーセント比を計算する:
ピーク1Aおよび1Bの各々についても、基準物質注入群での平均値、および繰り返し注入実施の場合は試料での平均値を計算する。平均基準物質値からの差異パーセントの計算。下式を用いて、基準物質の場合と比べた試料のドメインI〜III、ピーク1Aおよび1Bの平均相対面積における差異パーセントを計算する。
差異%=|RM−S|/RM×100
式中:
RM=基準物質に関する興味の対象である平均相対面積値
S=試料に関する興味の対象である平均相対面積値
| |=絶対値
模範値(模範的値)(exemplary value)。測定が許容できるものであるためには、模範値は条件を満たすものでなくてはならず、試料に直接関連する注入は全てうまく行われなければならない。さらに、基準物質注入群の各々について、ドメインI、II およびIIIに関するドメイン面積%およびピーク1Aおよび1Bのピーク面積%は、それらの平均値の15%以内でなくてはならない。
HPAEC−PADによる分析:N−結合型オリゴ糖をCTLA4−Ig分子から開裂し、HPAEC−PADにより分析した。オリゴ糖は、存在するシアル酸の量に基づき4ドメインに溶出する。ドメインを、オリゴ糖標準物質の移動に基づいて確立し、MSにより確認した。ドメインIは非シアル化(asialylated)のものを表す。ドメインII、IIIおよび IVは、それぞれモノ−、ジ−およびトリ−シアル化されたものを表す。3つのN−結合型部位でのオリゴ糖の構造を特性確認するため、ペプチドT5、T7およびT14を個々に単離した(これらのペプチドの同一性については表59参照)。CTLA4−Igのトリプシン消化を用い、これら3ペプチドに対応するピークを手技的に集めることにより、これを実施した。
単離したペプチドを、PNGase Fで処理することにより、オリゴ糖を放出させ、それに続いてそれらを精製し、HPAEC−PADにより分析した。ペプチドT5は、その極度の疎水性故に精製が困難であるため、良好なプロフィールを生じなかった。開裂されたオリゴ糖の量は、トリプシン消化後の逆相クロマトグラフィー段階からのこのペプチドの収率が低いことから低レベルである。
ND 検出されず
NE トリプシン消化から予測されず(これらの質量は消化物、非特異的開裂から予測されなかった)
a トリプシンペプチドT5、T7およびT14は、N−結合型グリコシル化を有する。列挙した質量は、グリコシル化を伴わないペプチドのものである。
b トリプシンペプチドT8およびT9は、O−結合グリコシル化を有する。列挙した質量は、グリコシル化を伴わないペプチドのものである。
c グリコシル化ペプチドの異なる糖形態に対応する幾つかの異なる質量が観察された。
CTLA4−Igおよび3ペプチドからの全N−結合型炭水化物についてのHPAEC−PADプロフィールを図55A〜Dに示す。パネルAは、CTLA4−Ig分子のN−結合型オリゴ糖プロフィールを示し、パネルB、CおよびDは、それぞれT5、T7およびT14のプロフィールを示す。ペプチドの各々について注入したオリゴ糖の量は、製造工程故によって異なる。ペプチドT5で検出されたオリゴ糖の大多数は、モノ−およびジ−シアル化オリゴ糖により構成される。T7のプロフィールは、主としてモノ−、ジ−グリカン類を含み、一部はa−およびトリ−シアル化グリカン類を含む。ごく少量のトリ−シアル化構造がT5から検出され得る。ペプチドT14は、主として非シアル化オリゴ糖および少量のモノ−およびジ−シアル化オリゴ糖により構成される。
HPAEC−PADにより得られる結果からは、部位特異的N−結合型グリコシル化に関する情報が得られる。CTLA4−IgのCTLA4領域からのN−結合型オリゴ糖は、CTLA4−IgのFc領域からのものより高い比率でシアル化糖類を含む。
CTLA4−Igのトリプシン、Asp−N、およびトリプシン/キモトリプシンペプチドマッピング:
CTLA4−Igを、6Mグアニジンおよび5mMジチオトレイトール(DTT)を含む50mMのトリス緩衝液(pH8.0)中で変性させ、還元した。50℃で20分間インキュベーションした後、ヨードアセトアミド(IAA)を加えて10mMの最終濃度にし、遊離チオールをアルキル化し、インキュベーションを暗所において50℃でさらに20分間続行した。還元およびアルキル化混合物を、脱塩カラム(Amersham NAP-5)にローディングし、次いで50mMのトリス、10mMのCaCl2、pH8または50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で空隙容量中へ溶離した。脱塩後、還元/アルキル化CTLA4−Igを2種の異なるプロテアーゼ:トリプシンおよびAsp−Nを用いて消化した。トリプシン+キモトリプシン消化については、CTLA4−Igは還元もアルキル化もされない。
トリプシン消化については、シークエンスグレードのトリプシン(Roche、2%、w/w、酵素/タンパク質)を加え、37℃で4時間インキュベーションした。Asp−N消化については、シークエンスグレードのAsp−N(Roche、4%、w/w、酵素/タンパク質)を加え、37℃で16時間インキュベーションした。トリプシン/キモトリプシン消化については、シークエンスグレードのトリプシン(Promega、4%、w/w、酵素/タンパク質)を加え、37℃で4時間インキュベーションし、次いでa−キモトリプシンを加え(Sigma、4%、w/w、酵素/タンパク質)、37℃で16時間インキュベーションした。消化後全試料を冷凍庫に入れた。
生成したペプチド混合物を、0.120mL/分で、Waters Alliance HPLC ワークステーションにおける Waters Atlantis(登録商標)M dC18カラム(2.1×250mm)からの勾配溶離により分離した。カラムを、マススペクトル収集用のイオンスプレーソースを備えた Waters Micromass Q-Tof micro(登録商標)M質量分析計に直接連結した。ペプチド混合物も、同HPLCワークステーションを用いて、0.7mL/分で、Varian Polaris C18 カラム(4.6×250mm)で分離した。カラムを溶媒A(水中0.02%TFA)で平衡させ、溶媒B(水中95%アセトニトリル/0.02%TFA)の濃度を高めることによりペプチドを溶離した。ポスト-カラムスプリッターのバルブを用いて、流れの15%を、プラスTOFモード(m/z100〜2000)で稼動させている Q-Tof ワークステーションへ指向させた。使用した典型的なイオンスプレー電圧は3000Vであった。
MSによるCTLA4−Ig分析:CTLA4−Igを、100mMのトリス、25mMのNaCl、pH8で0.7mg/mLの最終濃度に希釈した。PNGase(New England Biolabs)を、100mMのトリス、25mMのNaCl、pH8で30倍希釈することにより、17U/μLの最終濃度とした。等容量(各々60μL)の希釈精製発酵試料および希釈グリコシダーゼ溶液を混合し、37℃で4時間インキュベーションした。
生成した脱グリコシル化CTLA4−Ig(2μg)を、ポリマーベースの(ポリスチレンおよびポリN−ビニル−2−ピロリジノンのコポリマー)Waters Oasis(登録商標)逆相抽出カートリッジカラム(2.1×20mm)にローディングした。充填したカラムを流速0.2mL/分で5分間、5%溶媒B(溶媒A:水中1%蟻酸、溶媒B:アセトニトリル中1%蟻酸)で洗浄することにより脱塩し、溶離液の流れを変えて排出した。5分経過した時点で、急速勾配(10分で5%溶媒Bから95%溶媒B)により、カラムからのCTLA4−Igの溶離を開始させた。次いで、流路を分岐後、溶離液を、45μL/分で質量分析計(Waters Micromass Q-Tof micro(登録商標)M)へ注いだ(使用したクロマトグラフィーシステムは、Waters 2996検出器を備えた Waters Alliance 2695であった)。
Q-Tof micro(登録商標)Mについてのキャピラリー電圧を3kVに、試料コーン電圧を40Vに設定した。0.9秒ごとのスキャンを1スキャンに平均化した。スキャン間隔は0.1秒であった。Q-Tof 分析装置は、m/z800〜2500を走査する。半最大ピーク高より高い部分に対応するスペクトル(TICクロマトグラムで)を、Waters MassLynx(登録商標)Mソフトウェアにより合わせる。合わせたスペクトルを、Waters MaxEnt1デコンボルーションにかけた。分離度を1Da/チャンネルに設定し、均一ガウスダメージモデルを選択し、半高での幅を0.5〜1Daに設定した。左ピークおよび右ピークについての最小強度比率を両方とも50%に設定した。
多孔質グラファイトカーボン(PGC)を用いた液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)によるN−結合型オリゴ糖分析:単離したオリゴ糖を、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器を備えたWaters Alliance 2695HPLCシステムを用いて多孔質グラファイトカラム(Thermo Hypercarb;4.6×100mm)で分離した。0.05%TFA中のアセトニトリルの比率を増大させる2段階勾配を用いて、オリゴ糖分離を遂行した。勾配の第1段階では、アセトニトリルパーセンテージは、注入時点での9.6%から80分時点での24%の範囲であった。勾配の第2段階では、アセトニトリルパーセンテージは、80分時点での24%から110分時点での60%の範囲であった。終始0.2mL/分の流速を使用した。溶出の流れを206nmでのUV検出により観察し、質量同定用 Waters MicroMass Q-Tof micro(登録商標)Mを用いる質量分析法により分析した。
LC/MS PGC方法による炭水化物分析:タンパク質の脱グリコシル化によるオリゴ糖単離を、PNGase F(New England Biolabs、ベバリー、マサチューセッツ)を用いる酵素加水分解により実施した。脱グリコシル化については、0.15%(w/v)Rapigest SF(Waters Corporation)を含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液160μL中1〜2mgの糖タンパク質を、2分間100℃で加熱することにより変性させた。冷却した溶液を混合し、40μLのPNGase F(50000U/mL、50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5中)を加えた。試料を撹拌後、38℃で24時間インキュベーションした。酵素放出されたオリゴ糖を高速液体クロマトグラフィーにより精製した。逆相液体クロマトグラフィーを、1.0mL/分の流速で、Thermo HyperCarb 5μL(4.6×100mm、Phenomenex、トランス、カリフォルニア)と連結した Phenomenex Luna 5μL C18カラム(4.6×150mm、Phenomenex、トランス、カリフォルニア)で実施した。注入前に、カラムを0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡させた。試料注入後(150μLの消化物混合物)、アセトニトリル勾配を開始し、15分後12%アセトニトリル中0.05%TFAの溶媒組成物で終結した。次いで、60%アセトニトリル中0.05%TFAで洗浄することにより、グリカンを HyperCarb カラムから溶離した。206nmでのUV吸光度によりグリカンが検出された。Hypercarb 洗浄液から溶離したピークを集め、減圧下で濃縮乾固した。後続の注入前、Luna C18カラムを、40%アセトニトリル、40%イソプロパノール、20%水中の0.05%TFAにより洗浄した。
PGCによる単離オリゴ糖のプロファイリング
単離オリゴ糖のPGCクロマトグラフィーに使用するシステムは、Hypercarb カラム(2.1×100mm)を用いる Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器を備えた Waters Allianceにより構成された。アセトニトリル勾配を用いてオリゴ糖試料を溶離した。
酸性移動相溶離:0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)中でのアセトニトリル勾配。アセトニトリルを増加させる2段階勾配を、オリゴ糖のクロマトグラフィー分離に用いた。アセトニトリル容量パーセンテージを注入時の9.6%から80分時点での24%に増加させる初回直線勾配の後、アセトニトリル容量パーセンテージを80分時点での24%から110分時点での60%(アセトニトリル)に増加させる第2勾配を続ける。勾配全体を通して0.15ml/分の流速を用いた。溶出の流れを206nmで Waters UV検出器により観測し、質量同定用 MicroMass Q-Tof Micro により分析した。ESIプローブに関するイオン化パラメーターを以下のとおり設定した:キャピラリー電圧=3kV、コーン電圧=45V、ソース温度80℃、および脱溶媒和温度175℃。
塩基性移動相溶離:0.4%水酸化アンモニウム(NH4OH)中のアセトニトリル勾配を、オリゴ糖のクロマトグラフィー分離に用いた。0.15mL/分の流速で注入時での10.4%から150分後での28%にアセトニトリル容量パーセンテージを増加させる直線勾配を用いてプロフィールを作製した。溶出の流れを206nmで Waters UV検出器により観測し、質量同定用 MicroMass Q-Tof Micro により分析した。ESIプローブについてのイオン化パラメーターを以下のとおり設定した:キャピラリー電圧=3kV、コーン電圧=45V、ソース温度80℃、および脱溶媒和温度175℃。
PGCによるオリゴ糖消化物混合物の直接プロファイリング:オリゴ糖消化物混合物のPGCクロマトグラフィーに使用したシステムは、Luna C18 および Hypercarb 多孔質グラファイトカラム(4.6×100mm、Thermo)の両方を備えた Waters Allianceにより構成された。このシステムを、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器およびQ-ToF Micro(Micromass)とインターフェースで連結した。タンパク質の脱グリコシル化を、PNGase Fを用いる酵素加水分解により実施した。脱グリコシル化については、0.15重量% Rapigest SF(Waters Corporation)を含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液160μL中の1〜2mgの糖タンパク質を、2分間100℃で加熱することにより変性させた。冷却した溶液を十分に混合し、40μLのPNGase F(50000U/mL、50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5中)を加えた。試料を混合し、次いで38℃で24時間インキュベーションした。酵素放出されたオリゴ糖を、高速液体クロマトグラフィーによりプロファイリングした。逆相液体クロマトグラフィーを、1.0mL/分の流速で、Thermo HyperCarb 5μL(4.6×100mm)と連結した Phenomenex Luna 5μL C18カラム(4.6×150mm)で実施した。カラムを0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡させた。試料注入後(150μLの消化物混合物)、アセトニトリル勾配を開始し、11分後9%アセトニトリル中0.05%TFAの溶媒組成物で終結した。カラムスイッチを用いて Hypercarb カラムを分離し、次いで、グリカンを、アセトニトリルパーセンテージを増加させる直線勾配で HyperCarb カラムから溶離した。注入時での9%から160分後での36%へとアセトニトリル容量パーセンテージを増加させる初回勾配を用いた。第2の勾配では、アセトニトリル容量パーセンテージを160分時点での36%から170分時点での60%(アセトニトリル)へと増加させた。溶離勾配全体を通して0.15mL/分の流速を使用した。206nmでのUV吸光度、および400〜3000m/zの質量範囲をMS走査することによりグリカンが検出された。MSパラメーターを以下の値に設定した:キャピラリー3kV、コーン45V。後続の注入前、Luna C18カラムを、40%アセトニトリル、40%イソプロパノール、20%水中の0.05%TFAにより洗浄した。
多孔質グラファイトカーボンクロマトグラフィーによる分析:ドメインI〜IVのオリゴ糖の構造を、多孔質グラファイトカーボンクロマトグラフィー(PGC)/MSにより調べた。N−結合型オリゴ糖をCTLA4−Igから単離し、上記HPAEC−PADの項で記載した要領で精製した。Hypercarb(PGC)カラムを用いて、UV検出器、次いでQ−TOF ESI/MSを用いてオリゴ糖を分析した。PNGase F消化によりCTLA4−IGから放出されたN−結合型オリゴ糖についてのPGCプロフィールを図56に示す。溶離の順序は、HPAEC−PADで観察されたものと同じである。得られた構造を表60に示す。
灰色がかった領域は、N−結合型オリゴ糖コア構造を示しており、PはPNGase F消化を表し、後続のディジットは、それぞれマンノース(丸)、フコース(下向きの三角)、ガラクトース(右向きの三角)およびシアル酸残基(星)の番号をそれぞれ記載している。N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)は四角で表されている。
ドメインIでは、3つの非シアル化オリゴ糖(構造P2100、P2110、P2120)に対応する、6つのピークが同定された。予測構造および実測質量間における113ダルトンの質量差は、トリフルオロ酢酸(TFA)付加物の検出に起因する。P2100に対応する、1463の同一質量による異なるピークは、それらが異なるアノマーだと思われることを示している。
ドメインIIでは、各々1個のシアル酸残基を含む(N−アセチルノイラミン酸、NANA)、3種の2分枝および3分枝オリゴ糖(それぞれ構造P2111、P2121およびP3131)に対応する6つのピークが同定された。
ドメインIIIでは、各々2個のシアル酸残基を含む(NANA)、3種の2分枝、3分枝および4分枝オリゴ糖(それぞれ構造P2122、P3132およびP4142)に対応する6つのピークが同定された。
ドメインIVでは、各々3個のシアル酸残基を含む(NANA)、2種の3分枝および4分枝オリゴ糖(それぞれ構造P3133およびP4133)に対応する2つのピークが同定された。
CTLA4−Ig分子の酸加水分解処理によるシアル酸モル数対CTLA4−Ig分子または2量体モル数のモル比の測定(図25および26参照):この方法では、NANAおよびNGNAを、酸加水分解によりタンパク質から開裂する。放出されたNANAおよびNGNAを、Rezex Monosaccharide RHM カラムでのHPLCにより分離し、UV吸光度(206nm)により検出する。NANAおよびNGNAを、同時泳動のNANAおよびNGNA標準液の応答係数に基づいて定量する。試験結果を、タンパク質に対するNANAおよびNGNAのそれぞれのモル比(MR)として記録する。この検定は、シアル酸の結合および未結合のモル総数を測定する。
検定で使用する試薬、器具およびクロマトグラフィー条件:1Mの硫酸H2SO4(保存液)および5mMのH2SO4移動相泳動用緩衝液;1mg/mlのNANA標準液;1mg/mlのNGNA標準液。Alliance クロマトグラフィーシステム−オートサンプラーを組み込んだ Waters Corporation 2695 Separations Module;Rezex 単糖RHMカラム−8マイクロメートル、7.8×300mm、Phenomenex、7.8×50mmガードカラム、Phenomenex を装備;検出器−Waters Corporation 996フォトダイオードアレイ検出器またはWaters Corporation 2487 2波長吸光度検出器。クロマトグラフィーパラメーター:流速--0.600mL/分;移動相--5mM H2SO4;注入容量--5マイクロL;標的濃度--1mg/ml;泳動時間--25分;カラム温度--40℃;オートサンプラー温度--4℃;波長--206nm;保持時間NANA(システム依存的)−10..8分(+または−1分)、保持時間NGNA(システム依存的)−9.8分(+または−1分)。
システム適合性標準:適切な容器中の900μLのH2Oに、1mg/mLのNANAおよびNGNA各々50μLを加える。3ヶ月までの間4℃で貯蔵する;N−アセチルノイラミン酸使用標準(0.05mg/mL);N−グリコリルノイラミン酸使用標準(0.05mg/mL)。
試料およびCTLA4−Ig標準物質の加水分解:試料およびCTLA4−Ig標準物質を、加水分解用にH2O中1mg/mLに希釈する。CTLA4−Ig試料およびCTLA4−Ig標準物質を、1mg/mL希釈試料およびCTLA4−Ig190μLに10μLの1M H2SO4を加えることにより加水分解する。加水分解を1.5mL微量遠心分離管においてデュプリケイトで実施する。蓋ロックまたはテープで蓋を確実に締める。管を撹拌混合し、1時間80℃のヒートブロックに置く。インキュベーション後、管をヒートブロックから除去し、3分間室温で冷まし、遠心管中に入れ、高速スピンすることにより試料を管の底部に集める。管から、50μL分量の加水分解溶液のアリコートを取り分けて試料バイアルに分配し、冷却したオートサンプラーに入れて注入する。1.5mL微量遠心分離管中で10μLの1M H2SO4を190μLの水に加えることにより、加水分解ブランクを単一調製物として製造する。ブランクを試料と同様に処理する。
システム適合性:システム適合性を調べるため、システム適合性標準の注入液(各々5μL)で6回繰り返し注入を実施し、次いで加水分解ブランク(5μL)の1回注入を行った。最後のシステム適合性標準注入液を用いて、許容され得る値が1.3よりも高い分離度(R)、および許容され得る理論段数が少なくとも4000でなくてはならない理論段(N)をそれぞれ計算した。最後のシステム適合性の5回繰り返し測定を用いて、NANAカウントの再現性を計算し、加水分解ブランクを評価した。
分離度:最後のシステム適合性標準液注入を用いて、次の等式によりピーク分離度を計算した:R=2(T2−T1)/(W2+W1)[式中、Rは分離度であり、T2はNANAピーク(ピーク2)の保持時間であり、T1はNGNAピーク(ピーク1)の保持時間であり、W2はピーク2の両端へ引いた接線のベースラインでの幅であり、W1はピーク1の両端へ引いた接線のベースラインでの幅である]。図25は、典型的システム適合性注入を示す。
理論段(N):最後のシステム適合性標準注入を用いて、理論段数(N)を次の等式により計算した:N=16(RT2/W)(式中、Nは理論段数であり、RTはNANAピークの保持時間(分)であり、WはNANAピークの両端へ引いた接線のベースラインでの幅である)。
システム適合性標準の最後5回の注入を用いて、NANAに関する平均面積数およびそれらの標準偏差を計算した。相対標準偏差は3%またはそれ未満であった。加水分解ブランクは、NANAおよびNGNAの保持時間をもつ重要なピークを含んでいなかった。
注入順序:NANAおよびNGNA使用標準を各々1回注入し、次いで加水分解CTLA4−Ig試料物質(デュプリケイト試料)、次いで加水分解CTLA4−Ig物質の注入を行った。CTLA4−Ig泳動を完了させた後、NANAおよびNGNA使用標準を各々1回注入した。
使用標準液で注入されたNANAまたはNGNAのモル数を測定するため、以下の等式を用いる:NANAまたはNGNAのモル=(C)(P)(I)/MW[式中、Cは、使用標準液中のNANAおよびNGNAの濃度であり、Pは標準液の純度であり、Iは注入容量であり、MWは分子量である(NANAについては309.2g/モル、およびNGNAについては325.3g/モル)]。
CTLA4−Ig試料中のNANAおよびNGNAのモル数を測定するため、以下の等式を用いる:試料中のNANAまたはNGNAのモル=(X)(Y)/Z(式中、XはNANAおよびNGNAの使用標準液でのモル数であり、YはCTLA4−Ig試料中のNANAおよびNGNAの平均数であり、Zは使用標準液中におけるデュプリケイトのNANAおよびNGNAの平均面積である)。標準液のデュプリケイト注入から、NANAおよびNGNA標準の面積数についてのRSDは10%未満でなくてはならない。
各試料中の注入量を測定するため、以下の等式を用いる:タンパク質モル数=(C)(D)(I)/MW[式中、CはCTLA4−Ig2量体の濃度(g/ml)(UV分析から得られた)であり、Dは加水分解用の希釈率(0.95)であり、Iは注入容量(0.005ml)であり、MWは、質量分析法で測定されたCTLA4−Ig2量体の分子量である(92439g/モル)]。
CTLA4−Igタンパク質に対するNANAまたはNGNAのモル比(MR)を次の等式により計算する:MR=A/B(式中、AはNANAまたはNGNAのモル数であり、BはCTLA4−Ig分子または2量体のモル数である)
CTLA4−Igタンパク質に対するシアル酸、NANAおよびNGNAのモル比(MR)を次の等式により計算する:MR=(A+B)/C(式中、AはNANAのモル数であり、BはNGNAのモル数であり、CはCTLA4−Ig分子または2量体のモル数である)。CTLA4−Ig試料およびCTLA4−Ig標準物質のデュプリケイトは、NANAについてのモル比において10%未満のRSDを示さなくてはならない。
シアル酸含有量の加水分解測定方法により測定した応答の直線性:NANA応答は、0.5μg/mL(〜0.1%名目NANA標準=NANA〜QL)〜98.7μg/mL(−200%名目NANA標準)の範囲におけるNANA標準濃度に関して線形であることが立証された。NGNA応答は、5.0μg/mL(−10%名目NGNA標準)〜82.0μg/mL(−160%名目NGNA標準)の範囲におけるNGNA標準濃度に対して線形であることが立証された。
加水分解CTLA4−Ig物質からのNANAの応答は、0.25mg/mL(25%名目CTLA4−Ig充填量)〜2.0mg/mL CTLA4−Ig(200%名目CTLA4−Ig充填量)の範囲におけるタンパク質濃度に関して線形である。加水分解CTLA4−Ig物質からのNGNAの応答は、0.25mg/mL(25%名目CTLA4−Ig充填量)〜2.0mg/mL CTLA4−Ig(200%名目CTLA4−Ig充填量)の範囲におけるタンパク質濃度に対して線形である。
シアル酸含有量の加水分解測定方法の真度:NANAまたはNGNA標準液でスパイクしたCTLA4−Ig物質(1mg/mL)について正確さを立証した。
シアル酸含有量の加水分解測定方法の精度:確認実験により、器具の精度(RSD%<3%)、試料調製についての併行精度(RSD%<4%)および種々の試料調製物、相異なる日数、種々の器具および相異なる分析者全体に及ぶ再現精度(NANAについてRSD%<6%、NGNAについてRSD<12%)が立証された。NANAおよびNGNAモル比は、それぞれ報告された結果の10%〜20%の範囲内で正確であるとみなされた。
シアル酸含有量の加水分解測定方法に範囲:この検定法に関する試験範囲は、0.49mg/mL〜3.87mg/mLのCTLA4−Ig物質であることが示された。
シアル酸含有量の加水分解測定方法の検出限界(DL):フォトダイオードアレイ検出器(PDA;HPLCシステム1)を用いたNANAおよびNGNA標準に関する個々のDL値は、それぞれ0.464μg/mLおよび0.402μg/mLであった。2波長検出器(HPLCシステム2)を用いたNANAおよびNGNAに関する個々のDL値は、それぞれ0.131μg/mLおよび0.111μg/mLであった。最低感度の検出器の使用に基づいた両シアル酸類についての方法DLは、NANAおよびNGNAについて0.5μg/mLであった。
シアル酸含有量の加水分解測定方法の定量限界(QL):フォトダイオードアレイ検出器(PDA;HPLCシステム1)を用いたNANAおよびNGNA標準に関する個々のQL値は、それぞれ1.68μg/mLおよび1.52μg/mLであった。2波長検出器(HPLCシステム2)を用いたNANAおよびNGNAに関するQL値は、それぞれ0.48μg/mLおよび0.41μg/mLであった。最低感度の検出器の使用に基づいた両シアル酸類についての方法QLは、NANAおよびNGNAについて1.7μg/mLであった。
堅牢性/頑健性:本方法は、試料の48時間冷蔵保存溶液安定性、異なるカラムの使用、異なるNANAおよびNGNAロットの使用および±5%濃度改変を伴う移動相の使用に関して頑健であることが立証された。
IEFゲル電気泳動:ノイラミニダーゼ処理によるシアル酸除去の前および後に、糖タンパク質のpIを測定し得る。ノイラミニダーゼ処理後のpIの増加は、糖タンパク質におけるシアル酸の存在を示す。IEFゲルを用いることにより、等電点、CTLA4−Igのイソ型の数を測定し得る。IEFゲル電気泳動に適切なシステムは、Multiphore II 電気泳動システム、およびpH4.0〜6.5のIEFゲル(Amersham Biosciences)である。陽極性緩衝液は次の組成を有する:0.5Mリン酸中0.1Mのグルタミン酸。陰極性緩衝液は次の組成を有する:0.1Mベータ−アラニン。IEFゲルを、電圧が300V以上に達するまで、一定電力(25ワット)および電流(25ミリアンペア)下で前もって集束させておく。適切な濃度のIEFキャリブレーション標準および試料をローディングし、2.5時間最大2000Vで一定電力(25ワット)および電流(ミリアンペア)下においてゲルを泳動させた。IEFゲルを固定し、クーマシーブルー染色した後、タンパク質バンドをデンシトメーターにより可視化する。CTLA4−Ig2量体調製物の典型的IEFゲルを図11に示す。
実施例4:CTLA4−Igの1本鎖(単量体)の単離および特性確認
天然1本鎖CTLA4−Igの製造:本発明方法により製造されたCTLA4−Ig組換えタンパク質の試料を、タンデムで2本の21.5×300mm TSK Gel(登録商標)G3000SWXL分取カラム(Tosoh Bioscience、モントゴメリー、ペンシルベニア)での2695 Alliance HPLC(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ)を用いる非変性SECにより分離した。〜50mg/mLの試料の30注入液(各々1.0mL)を、1.0mL/分の流速で0.2MのNaH2PO4、0.9%NaCl、pH7.0から成る移動相を用いる無勾配条件下で分離した。Waters 2996PDA 検出器を用いて280nmの吸光度で試料を観察した。Waters Millennium 4.0(登録商標)および Empower Pro(著作権)ソフトウェアを用いて分析を行った。Foxy 200自動フラクションコレクターで90〜150分間フラクション(各々1.0mL)を集めた。フラクション16〜39(105mLで開始し、129mLで終わる)をプールし、カットオフ3500MWの Centricon 濃縮装置で濃縮した。
AKTAexplorer(登録商標)(Amersham Biosciences)で移動相として200mM NaH2PO4、6.0Mグアニジン塩酸塩(pH6.0)を用いる、2.0mL/分の無勾配流速での HiLoad 26/60 Superdex 200 Prep グレードカラム(Amersham Biosciences、ピスキャタウェイ、ニュージャージー)を用いた変性条件下、試料(〜4mg/mLで2.0mL)をさらにクロマトグラフィーにかけた。フラクション12〜16を集め、プールし、HiPrep 26/10脱塩カラム(Amersham Biosciences)を用いて200mMのNaH2PO4(pH6.0)中へ緩衝液交換を行い、最後に濃縮した。
誘導1本鎖CTLA4−Igの製造:本発明方法により製造されたCTLA4−Ig組換えタンパク質の変性、還元およびアルキル化により、誘導1本鎖CTLA4−Igを製造した。グアニジン塩酸塩(0.684g)を秤量して1.5mLのエッペンドルフ遠心分離管に入れ、512μLの200mMのNaH2PO4、pH6.0を加え、グアニジン塩酸塩が完全に溶解するまで撹拌した。239μLのCTLA4−Ig物質(濃度:50mg/mL)を上記管に加えることにより、CTLA4−Ig組換えタンパク質を変性させ、撹拌することにより、6.0Mグアニジン塩酸塩中〜10.0mg/mLのCTLA4−Ig最終濃度とした。1.0MのDTT2.6μLを加え、37℃で90分間インキュベーションすることにより、変性タンパク質を還元した。次いで、試料混合物中へ0.047gのヨードアセトアミドを加え、撹拌し、暗所で60分間、37℃でインキュベーションすることにより還元タンパク質をアルキル化した。試料(各注入について〜4.0mg/mLで2.0mL)を、AKTAexplorer(登録商標)で200mM NaH2PO4、6.0Mグアニジン塩酸塩(pH6.0)を用いる、2.0mL/分の無勾配流速での HiLoad 26/60 Superdex 200 Prep グレードカラムを用いた変性条件下でクロマトグラフィーにかけた。生成した1本鎖フラクション(9〜12)を集め、プールし、HiPrep 26/10脱塩カラムにおいて200mMのNaH2PO4(pH6.0)中へ緩衝液交換を行い、濃縮した。
天然(ナイーブ)および誘導1本鎖CTLA4−IgのMALDI−TOF質量分析法:1本鎖試料(20μL)を脱塩し、C4 ZipTips(Millipore、ビレリカ、マサチューセッツ)で濃縮し、次いでシナピン酸で飽和させた0.1%TFA含有の80%アセトニトリル20μLで溶離した。混合物(1.0μL)をMALDI試料プレートのウェルにスポットし、質量分析計に置く前に風乾した。窒素レーザー(337nm)を用いる OmniFlex 質量分析計(Bruker Daltonics、マサチューセッツ)でMALDI−MSスペクトルを得た。20kVの加速電圧および200nsの遅延時間を用いる遅延型抽出による反射式陽イオンモードで試料を分析した。合計250の単ショットスペクトルを各試料について集めた。トリプシノーゲン(23982m/z)、プロテインA(44613m/z)およびウシアルブミン(66431m/z)の混合物を用いて外部キャリブレーションを行った。
変性(グアニジンHCl)サイズ排除クロマトグラフィーを用いる1本鎖分析:試験期間中異なる時点で集めた細胞培養物からのCTLA4−Ig上清をHPLC分析用に調製する。0.65mLエッペンドルフ遠心分離管中で0.114gグアニジン塩酸塩(Mallinckrodt Baker Inc.)を秤量し、125μLの経時CTLA4−Ig試料を加え、撹拌してグアニジンHClを完全溶解させることにより、試料を調製する。直後に、1.8μLの250mMヨードアセトアミドを加え、混合し、37℃で30分間インキュベーションする。
タンデムTSK-GEL(登録商標)G3000SWXLサイズ排除カラム(7.8mm内径×30cm)を TSK カラムガード(SWXL、6.0mm内径×4.0cm)と共に、2996フォトダイオードアレイ検出器を備えた Waters 2695分離モジュールで実施する1本鎖SEC分析に使用する。移動相として200mMリン酸ナトリウム、6.0Mグアニジン塩酸塩pH6.0で平衡させたカラムへ各試料25μLを注入する。タンパク質を流速0.5mL/分でカラムにおいて分離し、得られたクロマトグラムを60分ウィンドウにわたって集める。個々のピーク(単量体、1本鎖など)の集積および定量を、Empower Pro ソフトウェアを用いて実施する。確実にHPLCシステムを正しく作動させるため、試料注入の前および後に、注入を移動相、タンパク質試料緩衝液、システム適合性標準液、および現CTLA4−Ig物質で行う。システム適合性標準クロマトグラムにおけるピーク分離度および段数を計算する。
LC/MSペプチド解析によるCTLA4−Ig1本鎖のシステイニル化の分析:CTLA4−Igを変性させ、6Mグアニジンおよび5mMジチオトレイトール(DTT)を含む50mMトリス緩衝液(pH8.0)中で還元した。50℃で20分のインキュベーション後、ヨードアセトアミド(IAM)を加えて10mMの最終濃度とし、遊離チオールをアルキル化し、暗所中50℃でインキュベーションをさらに20分間続行した。還元およびアルキル化混合物を、脱塩カラム(Amersham、NAP−5)に充填し、次いで50mMトリス、10mMのCaCl、pH8.0または50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5で溶媒容量中へ溶離した。脱塩後、還元/アルキル化CTLA4−Igを、2種の相異なるプロテアーゼ:トリプシンまたはAsp−Nを用いて消化した。またCTLA4−Ig物質については、還元およびアルキル化せずにトリプシン/キモトリプシンで消化した。
トリプシン消化については、シークエンスグレードのトリプシン(Promega、2%、w/w、酵素/タンパク質)を加え、混合物を37℃で4時間インキュベーションした。Asp−N消化については、シークエンスグレードのAsp−N(Roche、2%、w/w、酵素/タンパク質)を加え、混合物を37℃で16時間インキュベーションした。トリプシン/キモトリプシン消化については、シークエンスグレードのトリプシン(Promega、4%、w/w、酵素/タンパク質)を加え、混合物を37℃で4時間インキュベーションし、次いでa−キモトリプシンを加え(Sigma、4%、w/w、酵素/タンパク質)、混合物を37℃で16時間インキュベーションした。消化後試料を全て冷凍(−20℃)した。
生成したペプチド混合物を0.12mL/分で、Waters Alliance HPLC ワークステーションにおける Waters Atlantis(登録商標)M dC18カラム(2.1×250mm)からの勾配溶離により分離した。カラムを、マススペクトル収集用のイオンスプレーソースを備えた Waters Micromass Q-Tof micro(登録商標)M質量分析計に直接連結した。ペプチド混合物も、同HPLCワークステーションを用いて、0.70mL/分で、Varian Polaris C18 カラム(4.6×250mm)で分離した。カラムを溶媒A(水中0.02%TFA)で平衡させ、溶媒B(水中95%アセトニトリル/0.02%TFA)の濃度を高めることによりペプチドを溶離した。ポスト-カラムスプリッターのバルブを用いて、流れの15%を、プラスTOF(飛行時間)モード(m/z100〜2000)で稼動させている Q-Tof ワークステーションへ指向させた。使用した典型的なイオンスプレー電圧は3000Vであった。
還元時の113±4uの減損は、共有結合的ジスルフィド修飾がタンパク質に加えられていることを示唆している。システイニル化について予測されるシフトは119.14uである。しかしながら、111.14uの実際の質量減損は、1本鎖物質の還元時に予測されている。119.4uの減損はシステインの除去によるものであり、8uの増加は、8個の鎖内システイン(配列番号2のCys47,74,92,118,197,157,303,361)の還元時における8プロトンの付加によるものである。すなわち、無傷の質量に対する追加の113±4uは、システインアミノ酸によるシステイニル化に対応する。鎖間ジスルフィド結合は、無傷MALDIデータに基づいた1本鎖物質には存在しないため、最も修飾されていると思われるシステインはCys146である。LC/MSペプチド分析を用いて、Cys146を含むペプチドを調べると、還元および非還元物質は、1本鎖物質とは異なる保持時間および質量を示すことがわかる。システイニル化を確認するため、Cys146を含む1本鎖ペプチドを集め、MALDIを用いて分析した。
集めたCys146含有ピークは、1787.48uの質量を有し、Cys146のシステイニル化を伴うペプチドについて予測された質量1787.51uと一致している(図27、パネルA)。このペプチドは、還元された後、システインの喪失である119.14uの予測される減損と一致する119.11uを減損している(図27、パネルB)。次いで、この物質をヨードアセトアミドでさらに操作することにより、57.03uの予測される質量増加と一致する56.99uのシフトがもたらされる(図27、パネルC)。
実施例5:単量体または多量体CTLA4−Ig形成の操作
1本鎖形成に対する培地および培地成分のアゴニスト効果:1本鎖形成について種々の培地および培地成分のアゴニスト作用を測定する。CTLA4−Ig分子を37℃で様々な培地および個々の培地構成成分と60時間にわたってインキュベーションし、タンデムカラム変性SECにより1本鎖形成について分析し得る。1本鎖形成についての圧倒的なアゴニスト応答は、10mMシステインを調製緩衝液に添加したときに見出される。1本鎖形成の急速な上昇があり、システイン添加の約6時間後にピークに達する。この応答は、残り56時間にわたって徐々に減少する。さらに、+30%のgal飼料は、1本鎖形成の徐々にではあるが、依然として比較的速い増加に影響を及ぼした。+30%gal飼料は、ガラクトースおよび117Eの組成物である。この混合物を毎日添加し、細胞に供給した。この実験では、システインは、117Eとは関係なく人為的に大量で導入されたが、117E成分のうちのどれが1本鎖形成に関与し得るのかを測定する必要がある。
117Eおよび他の培地の特定成分を、60時間にわたってCTLA4−Igとインキュベーションし、タンデムカラム変性SECにより1本鎖形成について分析した。この培地に関する研究は、可能なジスルフィド還元成分および/または阻害剤にほぼ集中しており、鎖間ジスルフィドが存在しないことを示す以前の実験に基づいた1本鎖情報に影響を及ぼすことになる。ジスルフィドに対してある程度の還元作用を有することが知られている117Eの構成成分を試験した:リポ酸、シスチン、システイン、メチオニンおよびグルタチオン。また、システインを調製緩衝液に添加したとき、1本鎖形成についての圧倒的なアゴニスト応答が見出される。1本鎖形成の急速な応答が生じ、システイン添加のほぼ6時間後にピークに達する。この応答は、残り56時間にわたって徐々に減少する。主たる1本鎖形成は、システイン含有培地:システイン、イーストレートおよび発酵培地により行われる。他の硫黄含有成分、例えばメチオニン、およびグルタチオンは、1本鎖形成に全くまたはほとんど影響を及ぼさない。塩化アンモニウムの影響は全く観察されない。
したがって、本発明は、タンパク質、すなわち2量体および1本鎖形態で存在し得るタンパク質の1本鎖:2量体形態の比率を提供する方法であって、(1)上記タンパク質を発現する細胞を培養するための液体細胞培養培地を供給および/または維持(例えば段階(2)の間)し、ただし、2量体形成を還元または阻害し得る薬剤の濃度を、上記比率を提供するように選択するものとし、次いで(2)細胞を培養してタンパク質を発現させる段階を含む方法を包含する。液体細胞培養培地においてかかる薬剤(例えばシステイン)を添加および/またはその濃度を高めると、上記タンパク質の1本鎖:2量体形態の比率が高くなり、液体細胞培養培地中で上記薬剤(例えばシステイン)を除去、減少または排除すると、上記タンパク質の1本鎖:2量体形態の比率は低くなる。
本方法の一実施態様では、上記タンパク質は、鎖間ジスルフィド結合の形成を通じて2量体を形成させ得る糖タンパク質、例えば本発明のCTLA4−Ig分子である。
高分子量形成に対する高(濃度)塩のアゴニスト作用:精製過程中、CTLA4−Igを、様々な期間高塩濃度に暴露する。高塩濃度の影響を、高分子量形成について測定する。CTLA4−Ig(〜50mg/mL)を、500nMのリン酸ナトリウム、pH=6.0の存在下37℃でインキュベーションする。高濃度のリン酸ナトリウムではアゴニスト作用が存在し、高分子量形態、主として4量体では、100時間にわたって持続的で急速な増加が観察される。
したがって、本発明は、タンパク質、すなわち凝集体および2量体形態で存在し得るタンパク質の凝集体:2量体形態の比率を上記タンパク質の処理(例えば精製)期間中低下させる方法であって、非凝集性塩溶液である1種またはそれ以上の液体の使用を含む方法を包含する。「非凝集性塩溶液」とは、高濃度の塩を含む同一液体と比べて、凝集体形成における促進性が低い濃度の上記塩が溶解した液体をいう。
本方法の一実施態様では、上記タンパク質は、鎖間ジスルフィド結合の形成を通じて2量体を形成させ得る糖タンパク質、例えば本発明のCTLA4−Ig分子である。
1本鎖形成に対するアンタゴニスト作用:以前のモデリング実験は、システイン含有成分の添加による1本鎖形成に対する多大かつ急速な影響を立証した。システインは、遊離スルフヒドリルを含むアミノ酸である。スルフヒドリルが1本鎖の形成に含まれる場合、拮抗性化合物の使用によりそれを遮断するべきである。かかる一化合物がヨードアセトアミドである。ヨードアセトアミドは、急速な形で遊離スルフヒドリルと反応して、不可逆的チオエーテル結合を形成する水溶性化合物である。CTLA4−Igを37℃で様々な培地、システインおよびヨードアセトアミドと60時間にわたってインキュベーションし、タンデムカラム変性SECにより1本鎖形成およびタンデムカラム非変性SECによりHMWについて分析する。ヨードアセトアミドは1本鎖形成を遮断するだけでなく、CTLA4−Ig組成物および高塩の両方における凝集体形成についても遮断する。ヨードアセトアミドは、低シアル酸単量体における凝集体形成については遮断しない。しかしながら、低シアル酸物質で形成される凝集体の量は、CTLA4−Ig組成物で形成される量と同等である。
モデルにより、これまで十分には解明されていなかった機構に対する理解が深められた。CTLA4−Ig製造過程における凝集体形成の少なくとも2つの主要経路が確認されたと思われる。第一経路では、大量の凝集体が生じ、遊離スルフヒドリルシステインが1本鎖物質の形成についてのアゴニストとして作用する。システインのアゴニスト作用は、ヨードアセトアミドの添加により遮断され得る。驚くべきことに、ヨードアセトアミドは、1本鎖形成および高分子量形成の両方に関するアンタゴニストである。ただし、上記プロセスは、下流精製中における発酵と比べて多量のシアル酸を含む組成物を生成するように設計されているものとする。凝集体をそれほど生じない第二経路では、少量のシアル酸を含む副物質(subspecies)が、1本鎖または凝集体の形成についてヨードアセトアミドによる影響を受けることはない。
したがって、本発明は、タンパク質、すなわち2量体および1本鎖形態で存在し得るタンパク質の1本鎖:2量体形態の比率を減少させる方法であって、(1)上記タンパク質を発現する細胞を培養するための液体細胞培養培地を供給および/または維持(例えば段階(2)の間)し、ただし、上記培地は1本鎖形成に対する拮抗作用物質(例えばヨードアセトアミド)を含むものとし、次いで(2)細胞を培養してタンパク質を発現させる段階を含む方法を包含する。
また本発明は、タンパク質、すなわち凝集体および2量体形態で存在し得るタンパク質の凝集体:2量体形態の比率を減少させる方法であって、(1)上記タンパク質を発現する細胞を培養するための液体細胞培養培地を供給および/または維持(例えば段階(2)の間)し、ただし、上記培地は凝集鎖形成および/または1本鎖形成に対する拮抗作用物質(例えばヨードアセトアミド)を含むものとし、次いで(2)細胞を培養してタンパク質を発現させる段階を含む方法を包含する。
本方法の一実施態様では、上記タンパク質は、鎖間ジスルフィド結合の形成を通じて2量体を形成させ得る糖タンパク質、例えば本発明のCTLA4−Ig分子である。
これらのデータに基づき、凝集体形成への少なくとも2つの経路がCTLA4−Igで誘導されていることを想像するのは難しくない。主要経路では、1本鎖が、未だ完全には解明されていない機構を通して凝集体の形成に関与している。1本鎖形成とは関係の無い第2の副経路は、凝集体の形成に関与している。これらの経路は、クロマトグラフィーにより分離され得る少なくとも3形態の高分子量物質が存在する理由を説明するのに役立ち得る。これらはモデルであるため、実際の影響(あるとすれば)およびその影響の大きさを測定するために、実際の発酵過程中に試験しなければならない。このデータに基づいて、現発酵過程およびシステインを欠く発酵について試験する際に熟慮するべきである。
実施例6:CTLA4−Ig二量体および四量体
B7−1 IgへのCTLA4−Ig二量体および四量体結合
本発明は、B7−1 IgへのCTLA4−Ig二量体および四量体結合の評価方法を提供する。物理特性(例、拡散係数、分子量、結合価)および器具作動パラメーター(例、流速、チップ密度)は、Biacore 検定結果に影響を及ぼし得る。質量転移制限下では、四量体の結合速度は、同一モル濃度の場合二量体よりも約20%遅い。特定流速の場合、四量体分子は二量体ほど効率良くマトリックスを貫通しない可能性がある。高密度B7−1 Ig固定化チップ下において、四量体および二量体の競合的結合は、同等の阻害曲線を呈する。これは、四量体(4)対二量体(2)の理論的価がB7−1 Igへの結合に全く影響しないことを示している。四量体のモル濃度は、二量体標準曲線に基づいて算出され得る。この方法を用いることにより、B7−1 Igへの四量体の結合は、二量体と比べた場合同等の用量依存的応答を有することが見出された。
四量体および二量体の結合能の比較は、標準および試料の製造に使用する測定ユニットにより影響される。四量体および二量体試料は、2000ng/mLの濃度で比較され得る。質量(ng/mL)に基づくと、各物質は、同一物質の標準曲線を用いたとき約100%の結合能を示す。しかしながら、四量体の結合能は、二量体標準曲線で測定したときには半減しており、二量体の結合能は四量体標準曲線で測定したときの2倍を超えていた。Biacore 装置は、質量に基づいて分子間相互作用を検出するため、同一濃度(ng/mL)の四量体および二量体からのシグナル共鳴単位(RU)は当然同一である。検出システムは質量の関数であるが、分子間相互作用はモルに基づいて行われる。したがって、CTLA4−Ig二量体およびVTLA4−Ig四量体のモル濃度は、2000ng/mLでそれぞれ21.6nMおよび10.8nMである。モル濃度を用いると、CTLA4−Ig二量体およびCTLA4−Ig四量体試料は両方とも、二量体標準曲線に基づいた同等の結合能を示す。CTLA4−Ig四量体標準曲線での同一モル濃度方法を用いると、CTLA4−Ig二量体試料は、四量体試料と比べて結合能のさらなる30%増加を示す。この観察結果は、所定の開始結合速度について高い理論濃度をもたらす、高濃度での四量体標準曲線の傾きの減少に起因する。この観察結果についての一つの説明は、質量転移の影響である。
質量転移制限実験は、CTLA4−Ig四量体の開始結合速度が、同数の分子についてCTLA4−Ig二量体よりも約20%遅い(すなわち、四量体の結合速度は0.8の係数により二量体との差異を示す)ことを示している。観察されたこの差異は、2物質の分子量およびチップ表面への分子の拡散に対するその影響によるものである。分子の拡散係数は、分子量の立方根に可逆的に比例している。拡散係数が低いということは、分子の動きが遅いことを示す。各分子量に基づくと、CTLA4−Ig四量体の理論拡散係数は、CTLA4−Ig二量体の係数の0.8倍であり、または逆に言えば二量体の同係数は、四量体の1.25倍である。実験データは、CTLA4−Ig二量体が、モル濃度を用いてCTLA4−Ig四量体標準曲線から計算された133%の能力を示すこの観察結果と一致する。高密度チップでの質量転移制限は、低い流速および低い被分析試料濃度では影響が大きい。流速が増すと、二量体は、四量体よりも速い開始結合速度を示す。したがって、四量体の高い分子量および低い拡散係数が、二量体と比べた場合の開始結合速度差異の一因となっている。
B71 IgへのCTLA4−Ig四量体および二量体の競合的結合は、四量体および二量体が質量転移制限条件下では類似した結合価を示すことを実証している。最初に二量体または四量体と結合させたB7−1 Igチップへの追加四量体の影響は、低い結合ポテンシャルを示す。追加二量体は最初にCTLA4−Ig二量体またはCTLA4−Ig四量体と結合させたB7−1 Igチップに結合し得るため、この観察結果は結合部位利用能の制限によるものではない。マトリックスへの貫通の制限は、観察された四量体結合の減少の説明となり得る。
分子が Biacore で結合する際の性質は、結果の解釈に影響を及ぼす。四量体および二量体分子は、質量転移制限条件下ではそれらの分子サイズが異なるため、異なる速度で拡散する。さらに、高密度チップの表面での立体障害は、マトリックスへの後続分子の貫通に影響を及ぼす。
Biacore で濃度分析を実施するとき、物理特性、例えば分子量、拡散係数、および各物質の結合性を考慮に入れる必要がある。興味の対象である被分析試料との比較に使用する標準物質は、同一材料から成るべきである。しかしながら、分子サイズが考慮されるモル基準で標準および試料の両方が表される場合でも、四量体は依然として二量体標準に対して分析され得る。提示されたデータは、B7−1 IgへのCTLA4−Ig二量体およびCTLA4−Ig四量体の結合が同等であることを示している。
CTLA4−Ig二量体および四量体は両方とも、類似した会合速度(kon)を示す。しかしながら、四量体は、結合部位数の増加ゆえに結合活性に起因すると考えられる遅い解離速度(koff)を示す。
2タンパク質、例えばリガンドおよび受容体間の結合速度分析は、最大結合能力(Rmax)が50〜150RUの範囲になるように、約600〜800RUの低密度のリガンドで固定化したチップを用いて Biacore で実施され得る。低密度チップの目的は、結合活性および質量輸送の影響を最小限にすることである。個々の結合部位の解離が行われるとき利用可能なリガンドが極めて接近しているため多価被分析試料がチップ表面に結合した状態である場合、結合活性が観察される。チップ表面およびバルク溶液間における被分析試料濃度に著しい差異があるとき、質量輸送が観察される。
一具体例では、CTLA4−Ig分子は、単一鎖間ジスルフィド結合により結合された2本の1本鎖分子から成る二量体であり、B7分子に関する2個の結合部位を含む。別の具体例では、光散乱、SECおよびSDS−PAGEにより確認されたところによると、CTLA4−Ig四量体の形成は、潜在的に結合部位をもつ分子をもたらす。精製単量体および二量体の結合速度を、CTLA4−Ig四量体物質と統計比較する。kon速度に有意差は無い(p値>0.05)。四量体のkoff速度は、二量体のkoff速度と著しく異なる。HICクリーニングピークから精製された二量体のkoff速度は、CTLA4−Ig二量体物質のkoff速度とはあまり異ならない。したがって、四量体は二量体よりゆっくりと解離することから、結合活性の影響は1分子あたりの結合部位の数の増加に起因することがわかる。
四量体は、折りたたまれておらず、グアニジン処理により二量体に解離され得る。このグアニジン処理CTLA4−Ig二量体を分析したところ、結果は、その結合速度特性が生理学的条件下で形成されたCTLA4−Ig二量体の場合と類似していることを示す。この観察結果は、観察された二量体および四量体間のkoff速度差異が、分子の結合価および結合活性が結合速度論においてある一定の役割を演じる特異的 Biacore 方法独特の性質と関連しているという仮説を裏付けるものである。
HICクリーニングピークからのCTLA4−Ig物質のアフィニティー精製:
プロテインA−Sepharose アフィニティークロマトグラフィー:500mLのHICクリーニングピークを、0.22ミクロンの1Lフィルターシステム(Corning、コーニング、ニューヨーク、パート番号430517)で濾過し、pH7.4のリン酸緩衝食塩水(Sigma、セントルイス、ミズーリ、P−4417)で予め平衡させておいた、rProtein A−Sepharose カラム(5cm×15cm)に充填した。カラムを700mLのPBS、pH7.4で洗浄し、100mMのグリシン、pH3.5で溶離した。収集している間0.5mLの2.0Mトリス、pH10を収集管に添加することにより、各50mLのフラクションを中和した。フラクションを280nm吸光度で検定し、プールし、Centriprep YM−3カートリッジ(Millipore Corporation、ベッドフォード、マサチューセッツ、パート番号4203)を用いて濃縮した。精製タンパク質溶液を−70℃で貯蔵した。
PROSEP−rA(組換えプロテインA)アフィニティークロマトグラフィー:500mLのHICクリーニングピークを、0.22ミクロンの1Lフィルターシステム(Corning、コーニング、ニューヨーク、パート番号430517)で濾過し、250mMの塩化ナトリウムを含むpH8.0の25mMトリスで予め平衡させておいた、PROSEP-rA High Capacity(Millipore Corporation、ベッドフォード、マサチューセッツ)カラム(25mm×28cm)に流速25mL/分で充填した。Waters 2767試料マネージャーおよびWaters 2996フォトダイオードアレイ検出器を備えた Waters PrepLC システムをこのクロマトグラフィーに使用した。カラムを30分間25mL/分の流速で25平衡緩衝液により洗浄し、25mL/分の流速で30分間、100mM酢酸溶液、pH3.0で溶離した。前もって管に加えておいた50μlの2.0Mトリス、pH10において収集することにより溶離中各10mLのフラクションを中和した。280nmの高い吸光度を有するフラクションをプールし、Centriprep YM−3カートリッジ(Millipore Corporation、ベッドフォード、マサチューセッツ、パート番号4203)を用いて濃縮した。精製タンパク質溶液を−70℃で貯蔵した。
サイズ排除クロマトグラフィー:Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器(ミルフォード、マサチューセッツ)、および Millennium32バージョン3.20またはEmpower ソフトウェアにより制御される Foxy 200フラクションコレクターを備えた Waters Alliance 2695分離モジュールでサイズ排除クロマトグラフィーを実施した。タンデム TOSOH BIOSCIENCE(モントゴメリー、ペンシルベニア)TSK G3000 SW(21.5mm×300mm)およびタンデムTSK G3000 SWxL(7.8mm×300mm)カラムを、分取および分析的SECにそれぞれ使用した。溶離したタンパク質を280nmでのUV吸光度により観察した。
二量体、四量体および多量体の分取的単離をプロテインA精製HICクリーニングピーク物質のSECにより行った。プロテインA溶離液の13試料(各々〜10mg)を、1mL/分の流速で0.9%塩化ナトリウムを含む100mM一塩基性リン酸ナトリウム緩衝液pH7.0の移動相を用いることにより分取タンデムSECカラムに注入した。フラクションを13注入液の各々について90〜160分間毎分収集した。単一注入液についての泳動時間は180分であった。
各フラクションをタンデムカラム分析的サイズ排除HPLCにより調べた。フラクション13〜15(多量体を含む)、フラクション22および23(四量体を含む)およびフラクション43〜49(二量体を含む)をプールした。精製した多量体、四量体および二量体フラクションを、動的光散乱検出(DSL)による分析用2カラムSECで調べた。
HICクリーニングピークのCTLA4−Ig成分および精製成分の固定化B7−1 Igへの生物特異的(biospecific)結合分析:CTLA4−Igの固定化B7−1 Ig(CM5カラム上)への生物特異的結合を、SPRベースのBIAcore Cバイオセンサー(BIAcore、AB、ピスキャタウェイ、ニュージャージー)を用いて測定した。CTLA4−Ig物質を用いて、標準曲線を作成した。B7−1 Igを、活性化CM5センサーチップ上に5000〜10000共鳴単位(RU)の密度で固定させた。CTLA4−Ig基準標準液、品質対照(品質コントロール)(quality control)、および試料を、B7−1 Igセンサーチップ表面全体に20μL/分の流速で注入することにより、センサーグラムを作成した。固定化B7−1 IgへのCTLA4−Igの開始結合速度(RU/s)を、高密度B7−1 Ig表面での拡散制限条件下で測定したところ、これは試料中のCTLA4−Igの活性濃度と直接相関関係を示した。標準、品質対照試料および未知試料濃度を、125〜8000ng/mLの名目範囲でRU対CTLA4−Ig濃度をプロットすることにより作成した標準曲線から補外した。最終結果を結合パーセント(未知試料の平均濃度/試料/2000)×100として表した。
モル質量および流体力学的半径の測定:SEC分離をTSK3000 SWXLカラムおよび対応するガードカラムにより実施した。移動相は、25mMのHEPES、850mMのNaCl、pH7.0により構成され、0.8mL/分での溶離用に無勾配条件を使用した。HPLC分析を周囲温度で実施し、試料を分析中4℃に維持した。モル質量測定は、15の異なる散乱角度を用いるWyatt Dawn EOSを組み込むことにより、各物質に関する光散乱の角度変化を測定した。Zimm プロット形式をモル質量測定に用い、各物質の薄片をモル質量について平均化した。絶対モル質量を計算するのに使用する示差屈折率増分(dn/dc)値は、a)および Optilab DSP 干渉計(RI)を用いて得られた0.189であった。フローセルに対し約90°の角度で設置した光子相関装置 QELS 検出装置と直線に並べて流体力学的半径(Rh)測定を実施した。並進拡散定数をこのシグナルから測定し、アインシュタイン-ストークス関係を用いてRhを計算する。Wyatt Technology からの Astra ソフトウェアバージョン4.90を用いて、データ解析を実施した。
二量体および四量体物質に関する分子量および流体力学的半径の値は、それぞれ86〜91kDaおよび172〜199kDaであることが見出された。クリーニングピーク試料は、分子量により六量体および十量体に対応するさらなるHMW物質を含むことが観察された。二量体物質に関する流体力学的半径の範囲は、3.8〜4.7nmである。異種四量体物質の流体力学的半径の範囲は5.7nm〜6.2−6.3nmであった。
表面プラスモン共鳴を用いたB7−1 IgへのCTLA4−Ig二量体および四量体の結合:濃度分析:B7−1 Igに対する様々なCTLA4−Ig物質の濃度分析を、わずかな修正を加えたメソッド7441−42にしたがって、Biacore 3000装置(Biacore、ピスキャタウェイ、ニュージャージー)で実施した。修正は以下の内容を含む:Biacore CではなくBiacore 3000を使用した。流速は、20μL/分ではなく10μL/分であった。試料を15秒とは異なり60秒間注入した。センサーチップ表面を、30μL/分で100mMのNaClを含む、10mMクエン酸ナトリウム、pH4.0(再生緩衝液)の3回の短い30秒(15μL)パルス、次いで水の1回30秒パルスにより再生した。
CMセンサーチップを、6000〜12000共鳴単位(RU)の目標密度に向けて、酢酸緩衝液、pH5.0中20μg/mLの濃度でB7−1 Igにより固定化した。HBS−EP緩衝液中でCTLA4−Ig物質を62.5〜8000ng/mL(0.675〜86.3nM)の濃度に、二量体を125〜16000ng/mL(0.675〜86.3nM)の濃度に系列希釈することにより、標準液を調製した。単量体または二量体から成る試験試料を、〜2000ng/mLの目標濃度に希釈し、Biacoreで分析した。BIAevaluationソフトウェア(バージョン4.0.1)によりCTLA4−Ig物質(>98%単量体)または精製二量体の標準曲線を用いて濃度を測定した。Biacore で測定した濃度をA280nmにより測定した濃度で割ったパーセンテージとして結合能を計算する。
所定の表面への分子の結合速度は濃度の関数であり、未知濃度の測定を可能にする。CTLA4−Ig二量体は、濃度(ng/mL)の関数としてCTLA4−Ig四量体と比べると高い結合速度を呈する。
CTLA4−Ig二量体および四量体の結合能を表7にまとめる。ng/mLに基づき、二量体試料の結合能を二量体標準曲線から計算したところ、99.5%であることがわかった。また、これと同等の四量体試料の濃度は47.2%である。逆に、二量体試料の結合能を、四量体標準曲線から計算したところ、266%であることが見出され、これと同等の四量体試料の濃度は103%である。しかしながら、二量体および四量体をモル濃度(nM)として表すとき、両物質の結合能は類似している。二量体標準曲線から計算した二量体および四量体試料の結合能は、それぞれ99.4%および94.3%である。四量体標準曲線では、それはそれぞれ133%および103%である。二量体および四量体の標準曲線は、モル濃度に基づくと類似している。
結合価:CTLA4−Ig二量体(25〜1600nM)または四量体(25〜400nM)をB7−1 Igと様々なモル比で3分間予め混合した後、30μLの混合物を、9392RUの密度で固定化したB7−1 Igチップ全体に10μL/分の流速で注入した。再生緩衝液の3回30秒パルス、次いで水の1回30秒パルスによる各注入後チップは再生された。各注入の最後に得られたRUを比較した。
理論的には、二量体分子の結合価は2である。各1本鎖は1個の結合部位から成る。四量体分子は、2個の二量体分子から成るため、その結合価は4である。二量体および四量体の見かけ上の結合価を測定するため、競合検定法を設計し、Biacore 300で実施した。実験では、被分析試料をB7−1 Igと様々なモル比で3分間予め混合した後、混合物をB7−1 Igチップ(9392RU)へ1分間10μL/分の流速で注入した。表10は、モル量を増加させたB7−1 Igにより競合的に阻害された二量体または四量体のパーセンテージを示す。1.25(B7−1 Ig)対1(二量体または四量体)のモル比では、96.1%での単量体および84.9%での二量体による競合的阻害において著しい差異が観察された。しかしながら、二量体および四量体が類似した阻害曲線を呈することから、結合価はほぼ等しいことが示唆されている。さらに、二量体および四量体は、低密度チップを用いると両方とも類似した阻害プロフィールを示した。
B7−1Igチップの飽和:まずCTLA4−Ig二量体または四量体(200、1000または8000ng/mL)を、高密度B7−1Igチップ(6738RU)全体に10μL/分で1分間注入し、次いで単量体または二量体(200、1000または8000ng/mL)の一連の7回1分注入を行った。再生緩衝液の4回25μL注入、次いで水の25μL注入による各条件の後、チップは再生された。各注入の最後に得られたRUを比較した。
表面再生をせずに二量体または四量体で予めコーティングしておいたB7−1Ig表面全体に二量体または四量体を繰り返し注入した。四量体との最初の結合により、二量体の後続注入による結合が妨げられることはないが、しかしながら、追加の四量体注入は、二量体注入と比較して結合速度の著しい減少をもたらした。二量体との最初の結合、それに続く二量体の注入により、結合は飽和に向かって増加する。それに続いて二量体プレコーティングチップへ四量体を注入すると、結合の緩やかな減少が見られることから、チップから分子が解離し、マトリックスへ四量体が貫通していないことがわかる。200ng/mLまたは8000ng/mLのCTLA4−Ig分子を最初に注入しても類似した結果が観察される。
CTLA4−Ig四量体はB7−1Ig受容体への高い結合活性を有する:精製カラム、例えばHICおよびQFFカラムのクリーニングピークの廃棄部分を含むCTLA4−Ig物質を、精製し、それらの結合速度を Biacoreで分析した。
HICクリーニングピークからのCTLA4−Ig物質:HICカラムをCTLA4−Igプロセスで使用することにより、高分子量物質、例えばDNAを除去する。HICカラムからのクリーニングピークからのCTLA4−Ig物質は、後続の精製および速度分析に使用され得る。HICクリーニングピークをプロテインAカラムに通すことにより、CTLA4−Ig物質を全て捕獲し、存在し得る他の不純物を除去した。全CTLA4−Ig物質(すなわち、二量体、四量体、六量体、多量体)の混合物から成るプロテインAカラムからの溶離液は、CTLA4−Ig二量体標準と同等である見かけ上のkonおよびkoff速度を示した。2−カラムSECによるプロテインA溶離液の分離により、表11にまとめたkonおよびkoff速度を有する、3種のCTLA4−Ig物質:二量体、四量体および六量体/多量体が生じた。HICクリーニングピークからの精製二量体のシアル酸含有率は、CTLA4−Ig二量体と比べて低かった。
表11では、75〜200nMの試料濃度をB7−1Igチップ(694RU)で試験した。HICクリーニングピークから精製したCTLA4−Ig物質は、CTLA4−Ig基準と比べて低い結合性を示した。分解される四量体は、CTLA4−Ig基準と同等のk
onおよびk
of速度をもたらした。
CTLA4−Ig二量体標準の7観察結果および精製二量体および四量体の14観察結果に基づいたスチューデントのt検定を用いて、データの統計分析を実施した。CTLA4−Ig二量体標準と精製二量体または四量体を比べても、kon速度に差異は無かった。しかしながら、基準液を精製四量体と比較したとき、koff速度およびKDは統計的に有意であった(表12)。精製四量体を精製二量体と比較すると、konおよびkoff速度およびKDは両方とも統計的に異なっていた。データを二量体および四量体にグループ分けしたが、試料を分類すると(すなわち、前端、後方など)、個々にそれらの結合速度論に影響を及ぼし得る僅かに異なる特性を有し得ることが当然指摘される。二量体については、konおよびkoff速度は、平均するとそれぞれ3.3±1.0×105M-1s-1および8.8±3.5×10-3s-1であった。四量体のkonおよびkoff速度はそれぞれ2.6±0.8×105M-1s-1および3.1±1.4×10-3s-1であった。
表12では、二量体(n=14)および四量体(n=14)およびCTLA4−Ig二量体標準(n=7)を分析した。
QFFクリーニングピークからのCTLA4−Ig物質:QFFカラムは、生成物からの残留不純物の除去には最も使用されない精製カラムである。2−カラムSEC方法を用いて、CTLA4−Ig物質をQFFカラムのクリーニングピークから単離し、Biacore 3000で分析した。データは、この「QFFクリーニングピーク」試料の結合速度論は、CTLA4−Ig二量体標準と類似していることを示した。さらに、QFFクリーニングピークから精製された二量体および四量体は両方とも、組成物から精製したものと比べた場合類似した結合速度論をもたらした。さらに、精製単量体フラクションのシアル酸含有率は、CTLA4−Ig二量体標準よりも大きかった。
グアニジン処理(四量体の二量体化):四量体を、グアニジン処理により二量体に変換し、次いでリン酸緩衝液へ透析すると、分析的SECにより二量体として存在することが確認され得る。HICクリーニングピークからの「二量体化」四量体の速度論分析は、そのkonおよびkoff速度がCTLA4−Ig二量体の場合と類似していることを示した。
実施例7:MSエレクトロスプレーイオン化(ESI)によるインタクト分析
CTLA4−Igを、100mMのトリス、25mMのNaCl、pH8により最終濃度0.7mg/mLに希釈した。PNGase F(New England Biolabs)を、100mMのトリス、25mMのNaCl、pH8で30倍に希釈して、最終濃度17単位/μLとした。等量(各60μL)の希釈試料および希釈グリコシダーゼ溶液を混合し、37℃で4時間インキュベーションした。
生成した脱グリコシル化CTLA4−Ig(2μL)を、Waters Oasis(登録商標)逆相抽出カートリッジカラム(2.1×20mm)に充填した。充填したカラムを流速0.2mL/分で5分間、5%溶媒B(溶媒A:水中1%蟻酸、溶媒B:アセトニトリル中1%蟻酸)で洗浄することにより脱塩し、溶離液の流れを変えて排出した。5分経過した時点で、急速勾配(10分で5%溶媒Bから95%溶媒B)により、カラムからのCTLA4−Igの溶離を開始させた。次いで、流路を分岐後、溶離液を、45μL/分で質量分析計(Waters Micromass Q-Tof micro(登録商標)M)へ注いだ(使用したクロマトグラフィーシステムは、Waters 2996検出器を備えた Waters Alliance 2695であった)。
Q-Tof micro(登録商標)Mについてのキャピラリー電圧を3kVに、試料コーン電圧を40Vに設定した。0.9秒ごとのスキャンを1スキャンに平均化した。スキャン間隔は0.1秒であった。Q-Tof 分析装置は、m/z800〜2500を走査する。半最大ピーク高より高い部分に対応するスペクトル(TICクロマトグラムで)を、Waters MassLynx(登録商標)Mソフトウェアにより合わせた。合わせたスペクトルを、Waters MaxEnt1デコンボルーションにかけた。分離度を1Da/チャンネルに設定し、均一ガウスダメージモデルを選択し、半高での幅を0.5〜1Daに設定した。左ピークおよび右ピークについての最小強度比率を両方とも50%に設定した。
実施例8:マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型(MALDI−TOF)
窒素レーザー(337nm)を用いる OmniFlex(登録商標)(Bruker Daltonics、マサチューセッツ)でMALDI−MSスペクトルを得た。タンパク質試料を脱塩せずに使用するか、またはC4 ZipTip(登録商標)ピペット先端形態(Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ)で固相抽出を用いて脱塩した。ピペット先端をアセトニトリル−水(1:1v/v)で湿らし、使用前0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)により平衡させた。次に、ピペットから試料10μLを3回吸引および放出することにより、ピペット先端部に充填した。充填した試料を10μLの0.1%TFAで3回洗浄した。脱塩タンパク質試料を、アセトニトリル対水(1:1v/v)10μLによりピペットから溶出させた。1μL試料(脱塩または緩衝液含有)を1μLのマトリックス溶液と混合し、1μLの混合物をステンレス鋼標的上に滴下することによりスポットした。マトリックス溶液は、0.1%TFA含有の1:1水対アセトニトリル(v/v)中のシナピン酸飽和溶液であった。混合物をMALDI試料プレートにスポットし、質量分析計に置く前に風乾した。20kVの加速電圧および200ナノ秒の遅延時間を用いる遅延型抽出による直線型陽イオンモードで全タンパク質試料を分析した。合計400の単ショットスペクトルを各試料から集積した。トリプシノーゲン(23982m/z)、プロテインA(44613m/z)およびウシアルブミン(66431m/z)を含む標準タンパク質の混合物を用いて外部キャリブレーションを行った。
ペプチドのMALDI−TOF MS分析
ペプチド混合物を逆相クロマトグラフィーにより分離し、クロマトグラフィーピークからのフラクションを集め、蒸発乾固した。試料を50μLの25mMリン酸緩衝液pH7.5中で再構成した。DTTを加えて5mMの最終濃度とし、フラクションを50℃で20分間インキュベーションした。還元後、10mMの最終濃度となるようにIAMを添加し、暗所中50℃でさらに20分間インキュベーションした。
窒素レーザー(337nm)を用いる OmniFlex(Bruker Daltonics、マサチューセッツ)でMALDI−MSスペクトルを得た。1μLの試料を1μLのマトリックス溶液と混合することにより、試料を調製した。マトリックス溶液は、0.1%TFA含有の1:1水対アセトニトリル中のa−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸飽和溶液であった。混合物をMALDI試料プレートのウェルにスポットし、質量分析計に置く前に風乾した。20kVの加速電圧および200ナノ秒の遅延時間を用いる遅延型抽出による反射式陽イオンモードで全ペプチドを分析した。合計100の単ショットスペクトルを各試料から集積した。アンギオテンシンII(1046.54m/z)、アンギオテンシンI(1296.68m/z)、物質P(1347.74m/z)、ボンベシン(1619.82m/z)、ACTHクリップ1〜17(2093.09m/z)、ACTHクリップ18〜39(2465.20m/z)およびソマトスタチン(3147.47m/z)を含む標準ペプチドの混合物を用いて外部キャリブレーションを行った。
実施例9:CTLA4−Ig1本鎖および多量体物質に対する培地および培地構成成分の影響の分析
CTLA4−Ig二量体、CTLA4−Igの低シアル酸サブフラクション、高シアル酸サブフラクション、単量体前端、および単量体物質を調製し、精製する。これらの試料を、0〜少なくとも60時間の期間にわたって1本鎖および高分子量形成に対する培地および培地構成成分の影響を測定するように設計された一連のモデリング実験で使用する。調製緩衝液、ヨードアセトアミド、リン酸ナトリウム、塩化アンモニウム、基礎培地、発酵ブロス、培地177e、培地濃縮酸溶液I、培地濃縮酸溶液II、インスリン、EDTA、システイン、リポ酸、グルタチオン、メチオニン、およびイーストレートを単独および組み合わせた場合の影響を試験する。
実施例10:サイズによるCTLA4−Ig分子の分析
変性条件を用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)方法は、異なるサイズのタンパク質物質の定量に使用され得る。一態様では、非変性条件を用いるタンデムSEC方法も、CTLA4−Ig1本鎖物質の定量に使用され得る。1本鎖CTLA4−Igは、鎖間ジスルフィド架橋を欠く物質であり得る。精製過程中に単離される1本鎖CTLA4−Ig物質を、天然1本鎖CTLA4−Igと称す。CTLA4−Ig二量体の還元およびアルキル化により製造される精製1本鎖を、誘導1本鎖と称す。天然および誘導1本鎖CTLA4−Igは、同じ特性を有する。
材料:
一塩基性リン酸カリウム(KH2PO4)ACSグレード
水酸化カリウム(KOH)45%w/w溶液ACSグレード
塩化ナトリウム(NaCl)ACSグレード
液量調節可能シングルピペッター、100_L
ライニン(Rainin)、(カタログ番号P−100)
水(H2O)HPLCグレード
2.0mLクライオバイアル Nalgene、(カタログ番号5000−0020)
濃塩酸(HCl)Fisher(カタログ番号A144−212)
水酸化ナトリウム、(NaOH)10N溶液
J.T.Baker(カタログ番号5674−02)
1000mLフィルターユニット0.22mm Corning、(カタログ番号430517)
ポリプロピレン15mL試験管 Falcon、(カタログ番号352097)
アジ化ナトリウム(NaN3)ACSグレード
一塩基性リン酸ナトリウム、一水和物(NaH2PO4/H2O)
水酸化カリウム(KOH)ペレット
器具および条件
HPLCシステム Waters 2695分離モジュール
カラム Toso Haas 5μTSK 3000SWXL、300mm×7.8mm内径(パート番号08541)
ガードカラム Toso Haas 5μTSK 3000 SWXL、40mm×6.0mm内径(パート番号08543)
検出器 Waters 2487 2波長検出器 波長280nm 流速1mL/分
統合システム Empower
注入量 20μL
検定目標濃度 10mg/mL
移動相0.2M KH2PO4、0.9%NaCl、pH6.8、KOH含有
検定泳動時間20分
カラム温度 周囲温度
試料温度 4℃
保持時間 単量体8.7分±1.0分、HMW物質7.5分±1.0分
存在するとすれば、MW物質は単量体ピーク後に溶離する。
試薬
4N 水酸化カリウム(4N KOH)(100mL)
下記製法の一つを使用:
40mLのHPLCグレードの水およびKOHの45%w/w溶液11.6mLを、100mLメスフラスコに加える。HPLCグレードの水で容量を100mLにする。
100mLメスフラスコに、80mLのHPLCグレードの水を加え、22.4グラムのKOHペレットを秤量して入れ、完全溶解するまで機械的に攪拌する。HPLCグレードの水で容量を100mLにする。
250mLガラス試薬瓶に溶液を注入する。転回させることにより十分に混合する。1年間までの期間室温で貯蔵する。
移動相(0.2M KH2PO4、0.9%NaCl、pH6.8)
27.2グラムのKH2PO4および9.0グラムのNaClを秤量して1000mLビーカーに入れる。
マグネチックスターラーでの連続混合を用いて、固体を800mLのHPLCグレードの水に溶かす。
pH計を用いて、4NのKOH溶液により溶液のpHを6.8に調節する。pHが6.8を超える場合、濃HClでそれを調節する。
1000mLメスシリンダーを用いて、最終容量を1リットルにする。溶液を0.22μmフィルターユニットにより濾過する。
1000mLのガラス製試薬瓶へ移し入れ、5+/−1分間真空脱気しながら超音波処理する。使用前に脱気する。
1ヶ月までの期間、室温で貯蔵する。
2N水酸化ナトリウム(2N NaOH)
20mLの10N NaOHを100mLのガラス製メスシリンダーに移し入れる。
HPLCグレードの水で容量を100mLにする。
250mLガラス製試薬瓶に溶液を移し入れる。転回させることにより十分に混合する。1年間までの期間室温で貯蔵する。
3.45グラムのNaH2PO4・H2Oおよび2.92グラムのNaClを秤量し、撹拌棒で混合することにより、900mLのHPLCグレードの水に溶かす。pH計を用いて、溶液のpHを2N NaOHにより7.4に調節する。pHが7.4を超える場合、それを濃HClにより調節する。
1000mLのメスシリンダーを用いて最終容量を1リットルにする。溶液を0.22μmフィルターユニットにより濾過する。
2〜8℃で6ヶ月までの期間貯蔵する。
カラム貯蔵緩衝液(0.05%w/vNaN3、水中)
50±5mgのアジ化ナトリウムを秤量し、それを1000mLのビーカーにマグネチックスターラーで添加する。
500mLのHPLCグレードの水をビーカーに加え、完全に溶解するまで撹拌する。
容量を水により1Lにする。溶液を0.22μmフィルターユニットにより濾過し、1000mLのHPLC試薬瓶に注入する。
6ヶ月までの期間室温で貯蔵する。
高分子量物質およびシステム適合性標準の製造
加熱〜非加熱CTLA4−Ig基準物質の3倍希釈液および15%〜30%高分子量物質面積パーセント量を製造する。15mLのFalcon 試験管で、CTLA4−Ig希釈緩衝液を用いて10.0±1.0mg/mLで約3mLの基準物質を調製する。CTLA4−Igの出発濃度はCOAからである。その値から10.0±1.0mg/mL希釈を行う。2.0mLクライオバイアル中で製造した1.0mLの希釈基準物質を、1mLピペッターを用いて移し入れ、それを45±2分間67±2℃の水浴中で加熱する。上記バイアルで製造した加熱基準物質を15mL試験管へ1mLピペッターで移し入れる。試験管の1mL容量の内容物を、合計10回静かにピペットを上下に操作して移し入れる。これがシステム適合性標準である。貯蔵条件:150μLアリコートのシステム適合性標準を2.0mLクライオバイアル中で調製し、1年までの期間−80±5℃で貯蔵する。出発濃度の基準物質を得、その値から10.0±1.0mg/mL希釈を行う。最小限の100μlの基準物質および適量の希釈緩衝液を用いることにより、最終濃度を10.0±1.0mg/mLとする。希釈については以下の等式を用いる:
CTLA4−Ig薬剤物質については、最少量の100μLアリコートの試料および適量の希釈緩衝液を用いて、タンパク質濃度から10.0±1.0mg/mLの希釈を行い、10.0±1.0mg/mLの最終濃度にする。希釈については以下の等式を用いる:
10.0±1.0mg/mLに希釈後、試料は24時間までの間2°〜8℃で貯蔵され得る。CTLA4−Ig薬品については、最少量の200μLアリコートの試料および適量の希釈緩衝液を用いて、タンパク質濃度から10.0±1.0mg/mLの希釈を行い、10.0±1.0mg/mLの最終濃度にする。希釈については、次の等式を用いる:
移動相を1個の溶媒レザーバーに、HPLCグレードの水を別のレザーバーに入れる。泳動前に超音波処理し、真空脱気する。検出器をつけ、作動前に15分間暖気する。新しいかまたは現用のカラムを分析に使用する前、カラムをHPLCグレードの水で少なくとも20分間洗い流し、次いで移動相緩衝液で少なくとも20分間平衡させる。1.0mL/分の流速を用いる。システム適合性標準の150μLアリコートを解凍し、それをオートサンプラーバイアルに添加し、オートサンプラーにバイアルを配置する。20μLの標準液を条件下で注入する。
約7.5分で溶離する高分子量物質のパーセンテージを、下式にしたがって測定する(下式では、単量体は実際には二量体をいう):
式中:
A=高分子量物質のピーク面積
B=単量体のピーク面積
高分子量物質の面積パーセントは15%未満であるべきではない。それが15%未満である場合、追加の濃縮高分子量物質を上記システム適合性標準に加える。分離度(R)を測定し、保持時間を評価する。20μLのシステム適合性標準を注入する。下記等式を用いて、高分子量物質(保持時間約7.5分)および単量体ピーク(保持時間約8.7分)間の分離度を計算する(下式では、「単量体」は実際には二量体をいう):
式中:
t
1=高分子物質の保持時間
t
2=単量体の保持時間
W
1=高分子量物質のピーク幅
W
2=単量体のピーク幅
ピークの両端から比較的直線的にベースラインへ延長した後、ピーク幅をピーク基部で測定する(分で)。保持時間およびピーク幅を同じユニットで測定する。一実施態様では、(R)は1.2以上でなくてはならず、ピークについての保持時間は8.7±1.0分であるべきである。
理論段数測定(N)
システム適合性標準クロマトグラムから、下記等式にしたがって理論段数(N)を計算することにより、カラムの効率を測定する:
式中、
t=単量体の保持時間(分)
w=ピークの両端からベースラインへ延長することにより得られた単量体のベースラインでの幅(分)。
CTLA4−Ig物質の合計6回の注入を行う。10mg/mL基準物質を200μL分量に分けてオートサンプラーバイアルに入れ、バイアルをオートサンプラーに設置し、6回注入する。クロマトグラムを処理し、各クロマトグラフに関して二量体ピーク面積を計算する。6クロマトグラフからの二量体ピーク面積を合計し、以下の等式にしたがって平均、標準偏差およびRSD%を計算する:
式中、
X
1,2,3...=一連のデータにおける模範値
n
x=一連の値(x)
5.4.4.2 以下の要領で標準偏差を計算する:
式中、
n=一連のデータにおける値(x)の数
x=一連のデータにおける一つの値
5.4.4.3 以下の要領で相対標準偏差(RSD)%を計算する:
注入順序の例:
ピークの統合
5.5〜11.8分までのクロマトグラムにおける全ピーク面積を統合する。クロマトグラムのベースラインを拡大することにより、確実に全LMWおよびHMW物質の総面積が統合値に含まれるようにする。対照におけるピークに対応する試料中のピークについては無視する。包含容量ピーク(11.8〜13.5分)および後のピークはこの計算では考慮されない。しかしながら、包含容量での面積が総面積の0.1%またはそれより大きい場合には注目するべきである。二量体ピークは8.7±1.0分で溶離し、高分子量物質ピークは7.5±1.0分で溶離し、低分子量物質(例、存在するとすれば単量体)は二量体ピーク後に溶離する。全ピーク面積の0.1%を超える面積で280nm吸光度を有する高分子量物質、二量体または低分子量物質以外のピークがあれば、それらにも注目するべきである。以下の要領で面積パーセンテージを計算する(この実施例における「アバタセプト単量体」とは、CTLA4−Ig二量体をいう):
単量体面積%=100−(HMW面積%+LMW面積%)
式中:
A=アバタセプト単量体ピーク面積
B=保持時間がアバタセプト単量体より少ない全ピークの総面積
C=保持時間がアバタセプト単量体ピーク(包含容量を除く)より多い全ピークの総面積
6.0×40mmガードカラムを用いて連続して設置した2本の7.8×300mm TSK Gel G3000SWXL(登録商標)カラム(Tosoh Biosep、モントゴメリー、ペンシルベニア)でのWater's Alliance(登録商標)2695(ミルフォード、マサチューセッツ)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーにより試料を分離した。各精製試料25マイクロリットルを注入し、1.0mL/分で0.1MのNa2HPO4、0.1MのNa2SO4、pH6.8を用いた無勾配条件下で分離した。996PDA(フォトダイオードアレイ)検出器(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ)を用いて280nmで試料を検出し、Millennium 4.0(登録商標)クロマトグラフィーソフトウェア(Waters、ミルフォード、マサチューセッツ)を用いて解析した。
変性分析的タンデムサイズ排除クロマトグラフィーからの天然および誘導1本鎖物質の重ねたクロマトグラムは、それぞれ27.96±0.02および27.99±0.02の平均保持時間(6回繰り返し測定)を示す。天然1本鎖についての平均ピーク面積は、495525.0±9589.6であり、誘導1本鎖については463311.8±7997.2であることが見出された(表13)。天然および誘導1本鎖物質の重ねたMALDI−TOFスペクトルは、約15000質量単位のベースライン幅をもつ非常に広いピークを有する。これは、両試料におけるグリコシル化の不均一性に起因するものと予測される。各質量スペクトルにおける1本鎖ピークの頂点を用いて、平均質量を計算した。天然および誘導CTLA4−Ig1本鎖の平均質量は、6繰り返し測定の分析結果に基づくとそれぞれ45694.426±297.735および45333.086±264.778質量単位である(表14)。天然1本鎖では、配列番号2のCys146のところに余分のシステイン(残基質量103ダルトン)があり、誘導1本鎖は、アセチル基(質量58ダルトン)を付加するアルキル化により1個の鎖間ジスルフィド架橋を選択的に還元した結果であるため、天然1本鎖質量は、誘導1本鎖質量より高いと予測される。
これらのデータは、天然および誘導物質が、タンデム変性SECクロマトグラフィーおよびMALDI−TOF分析により均等内容の結果をもたらすことを示している。これらの結果は、天然および誘導CTLA4−Ig1本鎖物質間の同等性を立証している。
ポリペプチド鎖内におけるシステインの存在により、分子内または分子間で二量体または多量体タンパク質複合体の形成を誘導し得るジスルフィド結合が形成され得る。CTLA4−Igは、二量体として存在し、前記二量体は、以下の配列のいずれか一つを有する2個の単量体が各鎖上のC146間における1個のジスルフィド結合により連結された形で構成される:(i)配列番号2の26〜383、(ii)配列番号2の26〜382、(iii)配列番号2の27〜383、(iv)配列番号2の26〜382、(v)配列番号2の25〜382、および(vi)配列番号2の25〜383。このジスルフィド結合の還元により、非共有結合的静電引力により連結される2個の均等タンパク質鎖が形成され得る。静電引力を圧倒するか、またはそれより影響力が大きい変性条件下におくと、上記CTLA4−Igは完全に解離して、約46kDaの2個の同一タンパク質構造を生じ得る。形成された構造は、1本鎖または単量体と称される。1本鎖の存在は、変性条件下で実施されるタンデムカラムサイズ排除クロマトグラフィーにより観測され得る。
CTLA4−Ig分子の部分集団は、Cys146上に修飾を含む。主要集団に存在するジスルフィド結合は、遊離システインアミノ酸に変換される(システイニル化と称す)。CTLA4−Ig二量体は、主として約92000の分子量をもつタンパク質である。それは、1個の鎖間ジスルフィド結合および非共有結合的相互作用により連結された2本のグリコシル化ポリペプチド鎖(CTLA4−Ig「二量体」とも称す)により構成される。精製タンパク質は、不均一集団として存在し、修飾、例えばN−およびC−末端にグリコシル化および変異を含む。
鎖間ジスルフィド結合連鎖を欠くCTLA4−Ig分子の異なる集団が存在する。この非共有結合的連結集団は、サイズ排除クロマトグラフィーにより生成された前端二量体ピーク内に存在する。前端二量体は、鎖間ジスルフィド結合を欠くことが見出された。鎖間ジスルフィド結合を欠くCTLA4−Ig物質は、Cys
146がシステイニル化により修飾されており、その修飾は、ESI−MSインタクトデータに基づくと99%を超える割合の1本鎖物質で起こる。Cys
146システイニル化およびO−結合炭水化物の濃厚化は、CTLA4−Ig1本鎖物質における2つの主要な修飾である。前端二量体を変性サイズ排除クロマトグラフィーにかけると、CTLA4−Ig1本鎖ピークが単離される。固相抽出(SPE)を実施および実施せずに、精製前端単量体物質を、CTLA4−Igと比較し、MALDIで分析した。精製前端単量体は、2種の優勢な物質を含む:主たる物質はSPE処理については47005uまたは非処理については46897u、小さい方の物質はSPE処理については95070uまたは非処理については96172u。CTLA4−Ig物質もまた、2種の優勢な物質を含む:主たる物質はSPE処理については91518uまたは非処理については91143u、小さい方の物質はSPE処理については45660uまたは非処理については46014u。
一具体例では、CTLA4−Ig組成物は、二量体、高MW物質、および低MW物質(例、単量体、1本鎖)のサイズ均一性(HPLC)分析によると以下の特性を有する。
≧97.0%二量体
≦2.0%HMW物質
≦0.5%LMW物質(例、単量体、1本鎖)
別の具体例では、CTLA4−Ig組成物は以下の特有な量の各物質を有する:
≧95.5%二量体
≦3.0%HMW物質
≦0.5%LMW物質(例、単量体、1本鎖)
プロセスCD−CHO1を用いて製造した薬剤物質について、単量体パーセントは98.4〜99.8%の範囲であり、平均値は99.4%であった。HMW物質のパーセンテージは0.2〜1.6%の範囲で変動した。平均値は0.6%であり、CVは45.7%であった。95%許容区間は、二量体については98.7%以上およびHMW物質については1.3%以下であった。バッチのHMW物質パーセントは、0.4%の最小値から2.1%の最大値の範囲で変動した。HMW物質平均パーセントは0.8%であり、CV%は40%であった。どの場合も、LMWまたは単量体物質は検出限界(DL=0.1%)未満であった。プロセスCD−CHO1により製造されたCTLA4−Igについての95%許容区間(母集団の99面積%についての適用範囲を提供する)は、HMW物質についてはそれぞれ1.3以下および1.8以下であった。プロセスCD−CHO1からの薬剤物質における二量体についての95%許容区間は、それぞれ98.7%および96.5%であった。
CTLA4−Igについて合わせたデータの要約
上表は、HMW物質のパーセントが0.2〜2.1%の範囲であり、平均は0.6%であったことを示す。二量体は94.8%〜99.8%の範囲であり、平均値は99.3%および精度は0.3%であった。二量体に関する部位間、部位内変動および全部位での変動は、0.3〜0.5%の範囲内であった。HMWについての部位間変動は26.4%であった。部位内および全部位変動は、HMW物質パーセントについてはそれぞれ44.2および51.4%であった。二量体(97.3%)およびHMW物質(1.8%)についての95%許容区間は明細の範囲内であった。
実施例11:ベクター構築
pcSD発現ベクターの構築:発現ベクター、pcSDを、図28に示した要領で市販のpcDNA3ベクター(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア)から構築した。制限エンドヌクレアーゼNaeIでの消化によりネオマイシン耐性遺伝子カセットをプラスミドpcDNA3から除去した。制限エンドヌクレアーゼNaeIは平滑末端を形成する。DNAフラグメントをアガロースゲル電気泳動により分離し、3.821kbのpcDNA3ベクターバックボーンをゲルから精製した。マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)をコードする遺伝子およびSV40プロモーターを含むDNAフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼPvuIIおよびBamH Iでのプラスミドの消化によりプラスミドpSV2−dhfrから単離した。dhfr遺伝子カセットに対応する1.93kbフラグメントを分離し、アガロースゲル電気泳動により精製した。BamH I消化により生成された3−プライム陥没末端を、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いて満たし、平滑末端を形成させた。この単離フラグメントを、平滑末端3.8kbのpcDNA3ベクターバックボーンに連結することにより、発現ベクターpcSDを作製した。この発現ベクターは、以下の特徴を有する:サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、次いで多重クローニング部位、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列、選択および増幅を目的とするマウスdhfr cDNA配列、およびエシェリキア・コリ(Escherichia coli)における選択および維持を目的とするアンピシリン耐性遺伝子およびpUC複製起点。
pcSDhuCTLA4−Ig発現ベクターの構築:CTLA4−Igタンパク質をコード化する配列を含む1.2キロ塩基(kb)のDNAフラグメントを、制限酵素HindIIIおよびXbaIでの消化によりプラスミドpCDM8−CTLA4−Igから単離した。1.2kbのHindIII/XbaIフラグメントを、制限酵素HindIIIおよびXbaIで予め消化しておいたベクターpiLNに連結した。piLN−huCTLA4−Igと命名した、生成したプラスミド構築物を図21に示す。piLN−huCTLA4−Igプラスミドを、最終発現ベクターpcSDhuCTLA4−Igの構築で使用されるCTLA4−Igコーディング配列の供給源として使用した。
CTLA4−Ig遺伝子発現用の最終ベクターを図29に示す要領で構築した。CTLA4−Ig遺伝子を含む1.2kbのDNAフラグメントを、2段階制限消化手順によりプラスミドpiLN−huCTLA4−Igから単離した。プラスミドpiLN−huCTLA4−Igをまず制限酵素HindIIIで消化した。生成した3−プライム陥没末端を、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント処理により満たした。次いで、プラスミドを制限酵素XbaIで消化することにより、CTLA4−Ig遺伝子を含む1.2kbフラグメントを放出させた。このフラグメントを精製し、pcSDの制限消化から単離したEcoR VおよびXbaIフラグメントに連結した。EcoRVおよびXbaI制限部位は、CMVプロモーターおよびウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列を含むカセット間のpcSDの多重クローニング部位に配置される。これによってCTLA4−Ig遺伝子フラグメントをCMVプロモーターの制御下に置いた。このプラスミドは、pcSDhuCTLA4−Igと命名され、配列番号1を含む。
実施例12:CTLA4−Ig発現ベクターのトランスフェクションにより安定したセルラインを得る
この実施例および実施例13では、個々のクローンが選択および増殖された細胞の新たにトランスフェクションされた集団について記載しており、そのため増殖されたクローンは、受入番号CRL−10762としてATCCに寄託された細胞とは異なっている。CTLA4−Igに対応するアミノ酸配列をコード化するDNA(ATCC受入番号68629を有するDNA)を含む発現ベクターをもつ以前のCHOセルラインは、米国特許第5434131号で報告されている。簡単に述べると、ATCC受入番号68629で寄託されたcDNAを含む発現プラスミド(例えば、pCDM8)を、標準手順を用いてリポフェクチンによりdhfr陰性CHO細胞へトランスフェクションすることにより、安定してCTLA4−Igを発現するセルラインを得た。培地中におけるB7結合活性についてB7陽性CHOセルラインを免疫染色の使用でスクリーニングすることにより、CTLA4−Igを発現する安定したトランスフェクタントを得た。トランスフェクション細胞のこの不均一集団を、チャイニーズハムスター卵巣セルライン、CTLA4−Ig−24と命名し、ATCC受入番号CRL−10762として1991年5月31日にブダペスト条約のもとATCCに寄託した。
チャイニーズハムスター卵巣セルライン、DG44は、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子の欠失を含む。発現プラスミドpcSDhuCTLA4−Igは、1コピーのジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(dhfr)を含む。DG44ゲノムへのプラスミドpcSDhuCTLA4−Igの挿入により、dhfr欠失が機能的に補完された。この機能的補完は、メトトレキセート(MTX)の存在下におけるトランスフェクタントの選択およびdhfrおよび近接遺伝子の増幅に使用され得る。
図29に示した要領により、pcSDhuCTLA4−Ig発現プラスミドでセルラインDG44をトランスフェクションすることにより、ヒトCTLA4−Ig分泌性セルライン1D5を構築した。当業界で公知の標準的手順を用いて電気穿孔によりプラスミドDNAをDG44細胞へ導入した。5%(v/v)透析胎児ウシ血清を補った最小必須培地(MEM;JRH Biosciences,Inc.、カンサス)を用いて、トランスフェクタントを選択した。サンドイッチELISA方法を用いて、トランスフェクタントからの培養上清を、ヒトIgG産生についてスクリーニングした。Fc−特異的ヤギ抗ヒトIgGを捕獲抗体として用いた。ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG抗体を用いて、ヒトIgGを検出した。高レベルのヒトCTLA4−Ig遺伝子を発現するトランスフェクタントをさらなる増幅用に選択した。
MTXを100nMの最終濃度で培養培地へ添加することにより、選択されたトランスフェクタントの遺伝子増幅を実施した。MTXは、ジヒドロ葉酸レダクターゼの競合的阻害剤として作用する葉酸類似体である。培地へのMTXの添加により、多コピーのdhfr遺伝子を含むトランスフェクタントが選択され得、ジヒドロ葉酸レダクターゼのレベルが上昇した。ヒトIgG特異的ELISA方法を用いて、多コピーの隣接CTLA4−Ig遺伝子を含むトランスフェクタントも同定した。1D5と命名したCTLA4−Ig産生クローンを、一部実施例13で記載した、さらなる展開用に選択した。
実施例13:安定したトランスフェクション細胞のサブクローニング
セルライン1D5を軟寒天クローニングにかけた。ELISA方法を用いて、軟寒天クローニングから誘導されたサブクローンをヒトIgG産生について分析した。選択されたサブクローンをCTLA4−Ig産生および成長特性について評価した。1D5−100A1と命名した先導サブクローンを選択した。
1D5−100A1セルラインを、動物由来の原材料を含むDE培地(JRH Biosciences,Inc.、カンサス)からCD−CHOと命名した化学的に特定された培地に適合させた(表15)。CD−CHO培地は、カリフォルニア、カールスバッドのInvitrogen Corporation により製造された専売の動物成分不含有培地である。
標準組織培養プロトコルにしたがって、セルライン1D5−100A1を、DE培地中で培養および継代した。次いで、細胞を、50%DE培地および50%CD−CHO培地から成る培地へ移した。この培地で数回継代後、細胞を、100%CD−CHO培地含有のT−フラスコへ移した。細胞を100%CD−CHO培地中で数継代増殖させた。次いで、適合した細胞を制限希釈によりクローニングにかけた。
CD−CHO適合化1D5−100A1セルラインからの細胞を、血清不含有培地を用いた制限希釈によりクローン化した。1D5−100A1細胞を、1細胞/ウェルの目標で補足MCDB培地を含む96ウェルのマイクロタイタープレートへ播種した。MCDBは、Sigma-Aldrich(セントルイス、ミズーリ)販売の化学的に特定された培地処方物である。MCDB培地に4mMのグルタミン、500μg/mLの組換えヒトインスリン、100nMのMTXおよび10%条件培地を補った。条件培地は、MCDB培地で増殖させたCD−CHO適合化1D5−100A1セルラインの培養物からのフィルター滅菌上清であった。
単コロニーを含むウェルを同定し、ELISA方法を用いてクローンをCTLA4−Ig産生について評価した。選択されたクローンを96ウェルのマイクロタイタープレートから6ウェルの培養プレートへ増殖させた。さらに培養物を25cm2T−フラスコ、次いでローラーボトルへ増殖させた。
ローラーボトル培養物を、CTLA4−Ig力価、CTLA4−Igシアル酸含有率および成長について評価した。3つのクローンを、バイオリアクターでのさらなる評価およびさらなる特性確認用に選択した。−80℃で貯蔵したクローンセルライン1D5−100A1.17の冷凍バイアル研究保存液を用いて細胞バンクを作製した。
実施例14:フィード-バッチ法によるバイオリアクターでのCTLA4−Igの製造
CTLA4−Igを発現する懸濁哺乳類細胞の商業規模培養:この実施例では、懸濁培養dhfr陰性CHO細胞からの、配列番号2単量体を含むCTLA4−Ig分子の製造について記載する。この実施例で記載した方法は、限定するわけではないが、分泌タンパク質、例えばサイトカインおよび他のホルモン、Igスーパーファミリーの構成員であるか、またはIgスーパーファミリータンパク質の一部分を構成する分泌タンパク質、およびCHO細胞で発現されるタンパク質全般を含む、他の組換えタンパク質の製造にも適合化および拡大され得る。CTLA4−Ig培養段階についての工程フローチャートを図10に示す。
培養フラスコ(例えば、T−175およびエルレンマイヤーフラスコ)、ローラーボトル、および細胞(培養)バッグを、CTLA4−Ig培養工程の接種材料増大段階に使用して、冷凍バイアルからの細胞を連続増殖させることにより、20000−Lバイオリアクターに接種するのに十分な数の生存しうる細胞を供給した。
単一バイアルの細胞を、液体窒素貯蔵冷凍庫の気相から取り出し、37℃の水浴中で解凍した。バイアルの内容物全体を、滅菌15mL円錐型遠心分離管に無菌状態で移した。CD−CHO培地を加えて、最終容量を10mLにする。細胞懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットを10mLのCD−CHO細胞培養培地に再懸濁した。再懸濁した細胞を、10mLのCD−CHO培地を含むT−175フラスコに移した。T−175フラスコ中における培養物の生細胞密度および生存能パーセントを測定する。≧84%というこの段階での生存能パーセント基準を確立した。CD−CHO培地をT−175フラスコに添加することにより、1.7〜2.6×105細胞/mLの目標生細胞密度を達成する。
T−175フラスコを、6%二酸化炭素の雰囲気中37℃で最大4日間インキュベーションすることにより、≧6×106生細胞という目標最終細胞数を達成する。T−175フラスコ段階後、図10に示したとおり、培養物を一連の振とうフラスコ、1−Lおよび2−Lローラーボトルを用いて増大させる。各継代では、細胞を2.0×105生細胞/mLの目標密度で播種し、培養物について最終培養細胞生存能が80%以上となるように目標を定めた。培養物を、37℃で6%二酸化炭素の雰囲気中最大4日間、CD−CHO培地中でインキュベーションする。
培養物の増大を一連の細胞(培養)バッグ(20−L、100−Lおよび200−L)で行うことにより、さらには1000−Lバイオリアクターに接種する。2−Lローラーボトル接種材料増大段階からの細胞培養材料をプールし、2.0×105生細胞/mLの目標播種密度で20−L細胞培養バッグに接種する。1.0〜2.0×106細胞/mLの2−Lローラーボトル接種材料増大段階での最終生細胞密度および80%以上の最小細胞生存能パーセントという条件を確立した。接種時、20−L細胞バッグ培養物を、6%二酸化炭素の雰囲気中37℃で最大4日間、CD−CHO培地中でインキュベーションする。各後続継代(100−Lおよび200−L細胞バッグ)について、細胞を2.0×105生細胞/mLの目標密度で播種し、培養物について最終培養細胞生存能が80%以上となるように目標を定めた。培養物を、6%二酸化炭素の雰囲気中37℃で最大4日間、CD−CHO培地中でインキュベーションする。1.0〜2.0×106細胞/mLの20−L、100−Lおよび200−L細胞バッグ接種材料増大段階での最終生細胞密度についての模範値および80%以上の最小細胞生存能パーセントを確立した。これらの模範値により、確実に1000−Lバイオリアクターへ接種するのに十分な数の生細胞が使用されることになる。
CTLA4−Ig製造過程の1000−Lおよび4000−Lシードバイオリアクター接種材料増大段階の目的は、20000−Lの生産型バイオリアクターに接種するのに十分な数の生細胞を供給することである。
CD−CHO細胞培養培地を用いて、シードバイオリアクターをバッチ方式で操作する。温度、pH、溶解酸素、圧力、振動、空気、酸素および二酸化炭素についての気流速度を、分散制御システム(DCS)により制御し、シードバイオリアクターにおける培養物の最適な増殖条件を提供させる。シードバイオリアクターを37℃で作動させる。生細胞密度、生存能パーセントおよび代謝物濃度の測定用に、培養試料をシードバイオリアクターから取り出す。
1000−Lシードバイオリアクターに、1.0〜3.0×105生細胞/mLの目標初回生細胞密度となるように200−L細胞バッグ増大段階からの接種材料を接種する。培養物を37℃で最大5日間、CD−CHO培地でインキュベーションする。1000−Lシードバイオリアクター接種材料増大段階での最終生細胞密度についての模範値は、1.0〜2.0×106細胞/mLであり、最小細胞生存能パーセントは80%以上である。
4000−Lシードバイオリアクターに、1.0〜3.0×105生細胞/mLの目標初回生細胞密度となるように1000−Lシードバイオリアクター増大段階からの接種材料を接種する。培養物を37℃で最大6日間、CD−CHO培地中でインキュベーションする。4000−Lシードバイオリアクター接種材料増大段階での最終生細胞密度についての模範値は、1.0〜2.0×106細胞/mLであり、最小細胞生存能パーセントは80%以上である。これらの模範値により、確実に20000−L生産型バイオリアクターへ接種するのに十分な数の生細胞が使用されることになる。
20000−Lシードバイオリアクターに、1.0〜1.8×105生細胞/mLの目標初回生細胞密度となるように4000−Lシードバイオリアクター増大段階からの接種材料を接種する。培養物を37℃で最大6日間、CD−CHO培地中でインキュベーションする。20000−Lシードバイオリアクター接種材料増大段階での最終生細胞密度についての模範値は、1.0〜2.0×106細胞/mLであり、最小細胞生存能パーセントは80%以上である。これらの模範値により、確実に20000−L生産型バイオリアクターで生産段階を開始する前に十分な数の生細胞が使用されることになる。
CTLA4−Igの商業規模生産:20000−L生産型バイオリアクターで行われる本発明の製造段階では、大量かつ高品質のCTLA4−Igタンパク質が生産され、2段階温度シフトを有する培養過程が含まれる。CD−CHO培地中37℃で最大6日間インキュベーション(上記と同様)した20000L培養物を、6日目(対数成長期の最後)に37℃から34℃までの温度シフト(T−シフト)にかける。37℃から34℃への温度シフトの12時間後、CD−CHO培地に修飾eRDF飼料培地(Invitrogen Corp.、カールスバッド、カリフォルニア、表16、17)を補足し、この飼料を生産用リアクターに毎日ボーラス(1%w/w)として供給する。
eRDF飼料培地を毎日補充するCD−CHO培地中で、20000L培養物を34℃で最大4日間インキュベーションする。10日目、20000L培養物を2回目の34℃から32℃へのT−シフトにかける。生産型バイオリアクター中の20000L生産培養物を、最大8日間32℃で維持した。18日目、培養試料を以下の模範値について分析した:20000−Lシードバイオリアクター製造段階での生細胞密度は3.0〜8.0×106細胞/mLである;最小細胞生存能パーセントは38%以上である;最終シアル酸モル比(他の箇所で記載)は6以上である;そして最終CTLA4−Igタンパク質生成物力価は0.5〜1.3g/Lである。これらの模範値により、確実に十分な品質および量のタンパク質製品が組換えCHOセルラインにより生産され、そして20000−L哺乳類細胞培養物を採取する準備ができていることになる。
製造段階におけるバイオリアクター中の培養物には、次の要領で改変eRDF培地を用いて日常のボーラス飼料を与える(表16、17):初回温度シフト(37℃から34℃)の12時間後に開始し、最小限1%培養容量を給餌培地として添加した;グルコースレベルが3g/L未満に落ちた場合、計算した量を添加することにより、グルコースレベルを3g/Lに戻す。
製造段階は、20000L規模で持続期間は18日であった。サンプルを毎日生産型バイオリアクターから分析用に採取した。例えば、細胞計数に使用する試料を、トリパンブルー(Sigma、セントルイス、ミズーリ)で染色した。血球計を用いて細胞数および細胞生存能の測定を実施することにより、顕微鏡下で生存可能な染色細胞を計数した。代謝物の分析については、追加の試料アリコートを20分間2000rpm(4℃)での遠心分離にかけて、細胞を沈降させた。当業界で常用されている技術およびプロトコルを用いて、上清をタンパク質力価、シアル酸、グルコース、ラクテート、グルタミン、グルタメート、pH、pO2、pCO2、アンモニア、およびLDHについて分析した。
実施例15:組換えCTLA4−Igの精製
CTLA4−Ig精製のためのQXLアニオン交換クロマトグラフィー:CTLA4−Ig製造におけるアニオン交換クロマトグラフィー段階では、Qセファロース高結合容量(QXL)アニオン交換クロマトグラフィー樹脂を用いる。この樹脂は、ウィスコンシン、ウォーケシャのGE Healthcare(元 Amersham Biosciences)により供給される。QXLクロマトグラフィー工程では、さらなる下流プロセッシングを行うための採取工程からの製造過程物質からのCTLA4−Ig二量体を捕捉および濃縮する。
1.0〜2.0m内径カラムに、約643L〜1018Lの体積に相当する、17〜30cmの高さまでQXL樹脂を充填する。充填カラムの理論段(HETP)および非対称性(As)と同等になる高さを測定することにより、カラムを使用に適したものにする。0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2のAsをQXLカラムの適格化に使用する。
周囲温度でQXLカラム操作を実施する。澄明な細胞培養ブロスを平衡させたQXLカラムに充填する。99.4L/分の最大流速を用いてQXLクロマトグラフィー工程を実施する。カラム引入圧を35psig未満に維持する。QXLカラムについての最大CTLA4−Igタンパク質充填量は、樹脂1リットルにつき28グラムのCTLA4−Igである。
QXLクロマトグラフィーカラムをまず1N水酸化ナトリウム溶液で無菌化する。2〜4カラム容量(CV)の1N水酸化ナトリウム溶液を用いて無菌化を実施する。カラム流出液の伝導性が169±33mS/cmに等しくなると無菌化は完了であり、カラムを60〜120分間保っておく。
無菌化工程後、カラムを75mMのHEPES、360mMの塩化ナトリウム、pH8.0緩衝液で平衡状態にする。最小限3CVの平衡緩衝液がカラムを通過し、流出液のpHが8.0±0.2であり、流出液の伝導性が13.4±1.0mS/cmになると、平衡に達したことになる。
採取操作工程からの製造過程物質を、QXLカラムに充填する。カラムを最小限10CVの洗浄緩衝液(75mMのHEPES、360mMのNaCl、pH8.0)で洗浄し、洗浄工程の最後にカラム流出液の280nmでの吸光度(A280)を測定する。次いで、25mMのHEPES、325mMのNaClまたは850mMのNaCl、pH7.0緩衝液によりカラムからCTLA4−Igを溶離する。A280が洗浄工程の最後の吸光度単位(AU)値を越えて0.02AU以上まで増加したとき、溶離液の流れを収集容器に向ける。溶離ピークのトレーリングエッジのA280が1.0AU以下の値に減少するまで溶離液を集める。
シアル酸モル数対CTLA4−Igタンパク質モル数のモル比が8以上であるCTLA4−Ig二量体生成物を集めると、CTLA4−Ig高分子量物質のプールは25.7%以下の割合で存在する。次いで、四量体を含むCTLA4−Ig高分子量物質をさらに精製することにより、本明細書記載の処理方法における単独物質として使用し得る。
CTLA4−Ig精製用のフェニルセファロースFF HIC:疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)工程では、フェニルセファロース高流速樹脂(ウィスコンシン、ウォーケシャのGE Healthcare(元 Amersham Biosciences))を使用する。HIC工程により、QXL生成物プールに存在するCTLA4−Ig高分子量物質のレベルは低下する。CTLA4−Ig二量体は、HIC工程に使用されるローディング条件下ではHIC樹脂に結合しない。
1.0〜2.0m内径カラムに、約680L〜852Lの体積に相当する、18〜22cmの高さまでフェニルセファロース高流速樹脂を充填する。充填したカラムのHETPおよびAsを測定することにより、カラムを使用に関して適格化する。0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2のAsをHICカラムの適格化に使用する。
周囲温度でHICカラム操作を実施する。QXLカラム工程からの溶離液プールを、それ以上処理せずに平衡HICカラムに充填する。65.4L/分の最大流速および13psig以下の引入圧でHIC工程を実施する。HICカラムに適用される最大CTLA4−Igタンパク質充填量は、樹脂1リットルにつき10.0gのCTLA4−Igタンパク質である。多サイクルのHIC工程が、QXL溶離液プール存在するCTLA4−Igタンパク質の量に基づいて使用され得る。
HICカラムをまず1N水酸化ナトリウム溶液で無菌化する。2〜4CVの1N水酸化ナトリウム溶液がカラムを通過したとき、無菌化は完了である。次いで、カラムを60〜120分間保っておくことにより、無菌化を確実にする。
無菌化工程後、カラムを75mMのHEPES、2.55Mの塩化ナトリウム、pH7.0緩衝液で平衡状態にする。最小限3CVの平衡緩衝液がカラムを通過し、流出液のpHが7.0±0.3であり、伝導性が71.5〜75.5mS/cmになると、平衡に達したことになる。
QXL工程からの溶離液を、平衡HICカラムに適用する。次いで、流出液のA280が0.8〜1.0AUに減少するまで、カラムをチェイス平衡緩衝液で洗浄する。HIC工程の各サイクルからのCTLA4−Igタンパク質含有流出液を、0.2μm酢酸セルロースフィルターを通して一般的なステンレス鋼収集容器中へ濾過する。このHIC生成物プールを2°〜8℃で収集容器に保つ。収集容器中での最大保管期間は3日である。
シアル酸モル数対CTLA4−Igタンパク質モル数のモル比が8以上であるCTLA4−Ig二量体生成物を集めると、CTLA4−Ig高分子量物質のプールは2.5%以下の割合で存在する。
CTLA4−Ig精製のための組換えプロテインAアフィニティークロマトグラフィー:下流CTLA4−Ig製造工程で使用する組換えプロテインAセファロース高流速アフィニティー樹脂(rPA)を、GE Healthcare(ウィスコンシン、ウォーケシャ(元 Amersham Biosciences))から入手する。rPAカラムクロマトグラフィー工程では、さらにCTLA4−Igタンパク質を精製する。この工程で、DNAおよび宿主細胞タンパク質、例えば単球走化性タンパク質1(MCP−1)を除去する。
80〜140cm内径カラムに、約339L〜372Lの容量に相当する、18〜25cmの高さまでrPA樹脂を充填する。充填したカラムのHETPおよびAsを測定することにより、カラムを使用に関して適格化する。0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2のAsをカラムの適格化に使用する。樹脂寿命試験で確立されたrPA樹脂についての最大使用回数は60である。
周囲温度でrPAカラム操作を実施する。ウイルス不活化生成物プールを、平衡rPAカラムに充填する。26.7L/分の最大流速および13psig以下の引入圧でrPA工程を実施する。rPAカラムに適用される最大CTLA4−Igタンパク質充填量は、樹脂1リットルにつき25gのCTLA4−Igタンパク質である。
rPAカラムを25mMのトリス、250mMのNaCl、pH8.0緩衝液で平衡状態にする。最小限3CVの平衡緩衝液がカラムを通過し、流出液のpHおよび伝導性の値がそれぞれ7.8〜8.2および23.0〜27.0mS/cmであるとき、平衡に達したことになる。
ウイルス不活化工程生成物プールを、平衡rPAカラムに適用する。rPAクロマトグラフィー工程は2回の洗浄工程を含む。最小限5CVの25mMトリス、250mMのNaCl、0.5%Triton X-100、pH8.0緩衝液を用いて、第一洗浄工程を実施し、rPAカラムから弱結合物質を除去する。25mMのトリス、250mMのNaCl、pH8.0緩衝液を用いて、第二洗浄工程を実施する。第二洗浄工程では、最小限5CVを用いることにより、残留したTriton X-100をrPAカラムから除去する。
100mMのグリシン、pH3.5緩衝液によりrPAクロマトグラフィーカラムからCTLA4−Igタンパク質を溶離する。A280がベースラインを越えて0.2AU以上まで増加したとき、溶離液の流れを収集容器に向ける。カラム流出液を0.2μm酢酸セルロースフィルターにより濾過し、アジテーターを備えた収集容器に集める。溶離ピークのトレーリングエッジのA280が0.2AU以下の値に減少するまで溶離液を集める。溶離液プールのpHを、2MのHEPES、pH8.0緩衝液によりpH7.5±0.2に調節する。rPAクロマトグラフィー工程生成物プールを最大3日間2°〜8℃に保つ。
シアル酸モル数対CTLA4−Igタンパク質モル数のモル比が8以上であるCTLA4−Ig二量体生成物を集める。CTLA4−Ig高分子量物質のプールは2.5%以下の割合で存在し、MCP−1のプールは38ng/mL以下の割合で存在する。
CTLA4−Ig精製のためのQFFアニオン交換クロマトグラフィー:下流CTLA4−Ig製造工程におけるアニオン交換クロマトグラフィー工程では、Qセファロース高流速(QFF)アニオン交換クロマトグラフィー樹脂(GE Healthcare、ウィスコンシン、ウォーケシャ(元 Amersham Biosciences))を使用する。QFFクロマトグラフィー工程の目的は、残留プロテインAレベルを低下させ、ウイルス濾過工程生成物プールから宿主細胞DNAをさらに減少させることである。また、QFFカラム工程を用いることにより、QFFクロマトグラフィー工程生成物プールのシアル酸対CTLA4−Igタンパク質モル比を制御し、製造過程CTLA4−Ig HMW物質レベルをさらに制御する。CTLA4−Ig HMW物質の低減化に関する主たる製造過程制御ポイントはHIC工程である。
60〜140cm内径カラムに、約536L〜667Lの容量に相当する、28〜35cmの高さまでQFF樹脂を充填する。充填したカラムのHETPおよびAsを測定することにより、カラムを使用に関して適格化する。0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2のAsをカラムの適格化に使用する。
周囲温度でQFFカラム操作を実施する。ウイルス濾過工程生成物プールを、平衡させたQFFカラムに充填する。38.7L/分の最大流速および35psig以下の引入圧でQFF工程を実施する。QFFカラムに適用される最大CTLA4−Igタンパク質充填量は、樹脂1リットルにつき25gのCTLA4−Igタンパク質である。
QFFクロマトグラフィーカラムをまず1N水酸化ナトリウム溶液で無菌化する。2〜4CVの1N水酸化ナトリウム溶液を用いて、無菌化を実施する。カラム流出液の伝導性が136〜202mS/cmに等しくなったとき、無菌化は完了であり、カラムを60〜120分間その状態で保つ。
無菌化工程後、カラムを25mMのHEPES、100mMの塩化ナトリウム、pH8.0緩衝液で平衡状態にする。最小限4CVの平衡緩衝液がカラムを通過し、流出液のpHが7.7〜8.3であり、伝導性が10.5〜12.9mS/cmになると、平衡に達したことになる。
バイオプロセス用バッグに含まれるウイルス濾過工程生成物プールを、滅菌ステンレス鋼収集容器に移す。
ウイルス濾過工程生成物プールを、平衡QFFカラムに適用する。QFFクロマトグラフィー工程は2回の洗浄工程を含む。最小限5.0CVの25mM HEPES、120mMのNaCl、pH8.0緩衝液を用いて、第一洗浄工程を実施する。最小限5.0CVの25mMのHEPES、130mMのNaCl、pH8.0緩衝液を用いて、第二洗浄工程を実施する。
25mM HEPES、200mMのNaCl、pH8.0緩衝液を用いて、CTLA4−Ig二量体をQFFクロマトグラフィーカラムから溶離する。流出液のA280が増加し始めたとき、溶離液採取を開始する。溶離中、カラム流出液を0.2μm酢酸セルロースフィルターに通してステンレス鋼収集容器中へ濾過する。溶離ピークのトレーリングエッジのA280がベースラインを超えて0.2AU以下に減少するまで溶離液を集める。次いで、収集容器を2°〜8℃に冷却する。2°〜8℃でのQFFクロマトグラフィー工程生成物プールについての最大保持期間は3日間である。
シアル酸モル数対CTLA4−Igタンパク質モル数のモル比が8以上であるCTLA4−Ig二量体生成物を集める。CTLA4−Ig高分子量物質のプールは2.5%以下の割合で存在し、CTLA4−Ig低分子量物質(例えばCTLA4−Ig単量体)のプールは0.5%以下の割合で存在し、MCP−1のプールは9.5ng/mL以下の割合で存在する。
Pall Filtron TFF システムを、下流CTLA4−Ig製造過程の濃縮およびダイアフィルトレーション工程で使用する。この工程の目的は、QFFクロマトグラフィー工程生成物プールを45〜55g/Lに濃縮し、QFFクロマトグラフィー工程で使用する溶離緩衝液をCTLA4−Ig組成物に使用する最終緩衝液と交換することである。濃縮CTLA4−Igタンパク質生成物プールを、0.2μmポリビニリデンフルオリドフィルターに通し、50−Lバイオプロセス用バッグへ移す。
実施例16:アミノ単糖のCTLA4−Igモル比測定
この実施例は、CTLA4−Ig試料中におけるアミノ単糖(N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン)対タンパク質のモル比を得る方法を提供する。
器具:キャピラリー電気泳動システム Beckman P/ACE MDQ CE システム;検出器 Beckman レーザー誘導蛍光(LIF)検出システム(P/ACE MDQ と結合);非コーティングキャピラリー(内径25μm;光学密度360μm)、全長27〜31cmで P/ACE MDQ または5510PolyMicro Technologies、カタログ番号TSP025375に適応させる;Maxi-Mix ミキサー Thermolyne、(VWRカタログ番号58810−185)
試薬:
加水分解溶液(4N HCl水溶液)
160mLの6N HClおよび80mLのHPLCグレードの水を、250mLガラス瓶に加える。
十分に撹拌混合する。
6ヶ月までの間、2〜8℃で貯蔵する。
誘導体化溶液I(0.1MのAPTS水溶液)
192μLのHPLCグレードの水を、ガラス製バイアル中の10mgのAPTSに添加する。
バイアルを5〜10秒間撹拌することにより、APTSを完全に溶解させる。
1年までの間、−20℃で貯蔵する。
誘導体化溶液II(1Mの酢酸および0.25MのNaBH3CN)
0.4mLの遠心管中で20μLの酢酸を320μLのHPLCグレードの水で希釈(17倍希釈)することにより、1M酢酸溶液を調製する。
2.0±0.5mgのNaBH3CNを秤量して凍結保存バイアルに入れる。
下式を用いて、適切な容量の1M酢酸溶液を加えることにより、0.25MのNaBH3CNを調製する。容量(μL)=103×(mgでのNaBH3CNの重量)/(62.84g/mol×0.25mol/L)
・水素化シアノホウ素ナトリウム(NaBH3CN)については、デシケーター中において暗所で貯蔵するべきである。・後続手順による当初の試薬瓶の開口の繰り返しを避けるために、試薬を貯蔵用の一連の2.0mLクライオバイアルに小分けすることが推奨される。・1.0g±0.2mgの水素化シアノホウ素ナトリウムを秤量して2.0mLクライオバイアルに入れる。この方法で当初の瓶から水素化シアノホウ素ナトリウムの全含有量をアリコートに分ける・堅固に蓋を絞め、試薬名、ロット番号および6ヶ月有効期限の日付を記した通し番号の(1、2、3など)ラベルを貼付する。・湿気を避けるため、バイアルをパラフィルムで密閉するべきである。・同一クライオバイアルからは3回のみ誘導体化溶液II用に水素化シアノホウ素ナトリウムを秤量する。このことおよびクライオバイアル連続番号を研究室のワークシートに書きとめておく。・クライオバイアルを繰り返し開口した後、またはその特定ロットの水素化シアノホウ素ナトリウムを使用した場合、CEプロフィールで試薬ピークが観察されるか、またはラベル表示が判りにくくなり得る。これが結果に影響する場合、使用されているクライオバイアルを廃棄し、次の連続番号のクライオバイアルまたは新しいロットの水素化シアノホウ素ナトリウムから試薬を秤量する。
再アセチル化緩衝液(25mMの重炭酸ナトリウム、pH9.5)
0.210±0.02gの重炭酸ナトリウムを秤量し、清潔な100mLガラス製ビーカーへ入れる。
90mLのHPLCグレードの水を加え、塩が完全に溶解されるまで撹拌プレートで混合する。
pHを10NのNaOHにより9.5±0.1に調節する。
HPLCグレード水を加えることにより、最終容量100mLにする。溶液を濾過(工程1.26)し、3ヶ月までの間室温で貯蔵する。
泳動緩衝液(60±5mMの四ホウ酸ナトリウム、pH9.25)
1.21±0.02gの四ホウ酸ナトリウムを秤量し、100mLの清潔なガラス製ビーカーに入れる。
90mLのHPLCグレードの水を加え、塩が完全に溶解されるまで撹拌プレートで混合する。
10NのNaOHでpHを9.25±0.10に調節する。
HPLCグレードの水を加えることにより、60±5mMの最終濃度にするため最終容量100mLにする。
55mM溶液については、1.11g(±0.02)の四ホウ酸ナトリウムを秤量し、溶解および滴定に関する上記の指示に従う。
65mM溶液については、1.31g(±0.02)の四ホウ酸ナトリウムを秤量し、溶解および滴定に関する上記の指示に従う。
3ヶ月までの期間室温で貯蔵する。ピーク分離を実施する場合(R値<1.0)、新鮮な緩衝液を調製する。
選択:120mLの超純水を80mLの150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液に加えることにより、四ホウ酸緩衝液(MicroSolv)を60mM(±5mM)の最終濃度に希釈する。10NのNaOHで滴定することにより、溶液pHを9.25(±0.1)にする。
55mM四ホウ酸溶液については、66mLの150mMの四ホウ酸ナトリウム緩衝液を114mLの超純水で希釈する。上記要領で滴定する。
65mM四ホウ酸溶液については、78mLの150mMの四ホウ酸ナトリウム緩衝液を102mLの超純水で希釈する。上記要領で滴定する。
室温で最大3ヶ月間貯蔵する。ピーク分離を実施する場合(R値<1.0)、新鮮な緩衝液を調製する。
キャピラリーすすぎ液
N NaOH溶液
9mLのHPLCグレードの水を含む15mL目盛り付きプラスチック管に10NのNaOH溶液1mLを加える。5〜10秒間撹拌することにより、十分混合する。
溶液を6ヶ月までの期間室温で貯蔵する。
N HCl溶液:
5mLのHPLCグレードの水を含む15mL目盛り付きプラスチック管に6NのHCl溶液1mLを加える。5〜10秒間撹拌することにより、十分混合する。
溶液を6ヶ月までの期間室温で貯蔵する。
3.6.3 80%メタノール溶液:
2mLのHPLCグレードの水を含む15mL目盛り付きプラスチック管にHPLCグレードのメタノール8mLを加える。5〜10秒間撹拌することにより、十分混合する。
溶液を6ヶ月までの期間室温で貯蔵する。
単糖標準保存液
N−アセチルグルコサミン(GalNAc)
5±1mgのGalNAcを正確に秤量して、2.0mL凍結保存バイアルに入れる。
1mLのHPLCグレードの水を加えて、溶解するまで撹拌することにより十分に混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
N−アセチルガラクトサミン(GlcNAc)
5±1mgのGlcNAcを正確に秤量して、2.0mL凍結保存バイアルに入れる。
1mLのHPLCグレードの水を加えて、溶解するまで撹拌することにより十分に混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
N−アセチルマンノサミン(ManNAc)
5±1mgのManNAcを正確に秤量して、2.0mL凍結保存バイアルに入れる。
1mLのHPLCグレードの水を加えて、溶解するまで撹拌することにより十分に混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
1年までの期間、単糖標準保存液を−20℃で貯蔵する。
単糖使用液I:内部標準使用液
1980μLのHPLCグレードの水を既に含む2mL凍結保存バイアル中に20μLのManNAc保存液を加えることにより、ManNAcの保存液をHPLCグレード水で100倍希釈する。約5〜10秒間撹拌する。
6ヶ月までの期間、内部標準使用液を2〜8℃で貯蔵する。
単糖使用液II:アミノ混合標準使用液
1960μLのHPLCグレードの水を含む2.0mL凍結保存バイアルに、20μLのGalNAcおよびGlcNAcの保存液をそれぞれ加える。約5〜10秒間撹拌する。
6ヶ月までの期間、アミノ混合標準使用液を2〜8℃で貯蔵する。
試料および基準物質溶液。
冷凍したタンパク質試料を2〜8℃で解凍し、転回させて緩やかに混合する。
試料および基準物質を両方ともHPLCグレードの水で約1.0mg/mLに希釈する。濃度を有効数字3桁まで書き留めておく。
CE実施条件
泳動緩衝液(工程2.5)60mMの四ホウ酸ナトリウム、pH9.25
キャピラリーカートリッジ温度25℃
電圧25〜30kV、プラスモード
検出器条件LIF検出器、励起:488nm、放射:520nm。
試料注入圧注入モード、0.5PSIで20s
泳動時間10分間
試料貯蔵10℃
手順
注:10μLピペッターおよびマイクロチップを用いて、10μL試料容量を移し、適切なサイズのピペッターで他の試薬を移す(工程2.10〜2.14の範囲参照)。
加水分解
0.65mL遠心管に、10μLのManNAc使用液および200μLの4N加水分解溶液(工程3.1)を添加する。これをシステムブランクとして使用する。
0.65mL遠心管に、10μLのManNAc使用液および10μLのアミノ混合標準溶液(工程3.9)を加える。さらに200μLの4N加水分解溶液を添加する。これを定量およびシステム適合性についての単糖標準として使用する。デュプリケイトで調製する。
0.65mL遠心管に、10μLのManNAc使用液および10μLのCTLA4−Ig基準物質溶液(約1mg/mL)を加える。
さらに200μLの4NのHCl溶液を添加する。デュプリケイトで調製する。
0.65mL遠心管に、10μLのManNAc使用液および10μLの試料溶液(約1mg/mL)を加える。さらに200μLの4NのHCl溶液を添加する。デュプリケイトで調製する。
試料を約10秒間撹拌し、約5〜10秒間遠心分離にかける。96本立てバイアルラックに試料を置き、6時間95℃のオーブンでインキュベーションする。
加水分解後、加水分解試料を−20℃で10分間放冷する。
凝縮体が管の底部に集められるまで(高速で5〜10秒)加水分解試料を短時間遠心分離にかける。試料を SpeedVac で蒸発乾固する。
注: SpeedVac 加熱を止め、蒸発速度を「低」に設定する。
各試料を100μLのHPLCグレードの水で再構成し、10〜15秒間撹拌する。試料をSpeedVacで蒸発乾固する。
注: SpeedVac 加熱を止め、蒸発速度を「低」に設定する。
再アセチル化
各試料を10μLのM6再アセチル化緩衝液で再構成し、5〜10秒間撹拌することにより、十分混合する。4μLのM3再アセチル化試薬を各管に加える。約5〜10秒間撹拌する。氷上で30分間インキュベーションする。
注: 再アセチル化緩衝液(M6)および試薬(M3)は、25mMの内部製造のNaHCO
3(20μL添加)および無水酢酸(4μL添加)によりそれぞれ置き換えられ得る。
試料を SpeedVac で蒸発乾固する。
注: SpeedVac 加熱を止め、蒸発速度を「低」に設定する。
各試料を100μLのHPLCグレードの水で再構成し、10〜15秒間撹拌する。試料を SpeedVac で蒸発乾固する。
注: SpeedVac 加熱を止め、蒸発速度を「低」に設定する。
誘導体化
微量遠心機をオーブンに入れ、55℃のオーブン温度に対して平衡させる。
各試料を10μLの誘導体化溶液I(0.1MのAPTS溶液、工程3.2)で再構成する。約5〜10秒間撹拌する。
5μLの誘導体化溶液II(1MのHAcおよび0.25MのNaBH
3CN、工程3.3)を加える。約5〜10秒間撹拌し、遠心分離にかける。
予め暖めておいた遠心機に試料バイアルを迅速にローディングし、遠心機を55℃オーブンに戻す。2000rpmで遠心分離しながら、3時間インキュベーションする。これにより、バイアル表面での溶媒の凝結を防ぐ。
器具の準備
新しいキャピラリーを設置し、以下の工程を用いて高圧モード(80PSI)ですすぐ:
1NのNaOHで20分間
HPLCグレード水で10分間
60mMの四ホウ酸ナトリウム緩衝液で10分間
操作
各操作前、洗浄/すすぎ連続工程を実施して、キャピラリーをすすぐ。
次いで、システム適合性標準(単糖標準)試験を実施して、システムが適切であることを確認する。
1NのNaOHを用いると、販売元によってはキャピラリーの内側が腐食することもあり、実施期間全体を通して移動時間の変動が誘発され得る。これが原因で最終ピーク(GlcNAc)の移動時間が10.0分を超える場合、工程2のすすぎについて1NのNaOHの代りに0.1NのNaOHまたはHPLCグレードの水を使用することが必要な場合もあり得る。
均等内容のキャピラリーおよび上記洗浄手順を使用しても十分ではないときに、最終ピーク(GlcNAc)の移動時間を模範値である10.0分以内に収めるためには80%メタノールおよび/または1NのHClの使用が必要な場合もあり得る。
注入用調製
誘導体化後、試料を室温に放冷する。凝縮体が管の底部に集められるまで、約10秒間室温で遠心分離する。
85μLのHPLCグレード水を各管に加え、各試料の最終容量を100μLにする。5〜10秒間撹拌する。
10μLの試料を各管からCEマイクロバイアルへ移し、190μLのHPLCグレード水を各管に加える。5〜10秒間撹拌する。
すすぎ工程および注入順序:
注:4回のどの注入についても、CE泳動緩衝液を新たに調製したCE泳動緩衝液と交換する(イオン枯渇作用のため)。40psiでキャピラリーをすすぐ。
システム適合性
注:特に断らなければ、システム適合性標準の初回注入を用いて、システム適合性の値を測定する。
初回システム適合性の電気泳動図は、当然図81に示したものと類似しており、図中、ピーク1はGalNAcであり、ピーク2はManNAcであり、ピーク3はGlcNAcである。
注: Beckman PACE MDO 以外のCE器具を使用するとき、分離キャピラリーを保持するカートリッジの形態も変わるため、キャピラリーの長さは本方法で具体的に示したものとは異なり得る。その結果、被分析試料移動時間およびピーク強度の変化が誘発される。
2つの近隣ピーク間の分離度を、以下の等式に従って器具により初回システム適合性標準について計算する:
式中:
R=分離度
t
2、t
1=それぞれ、2つの近隣ピークの移動時間
W
1、W
2=それぞれ、2つの近隣ピークのベースラインでのピーク幅
R値は1.0以上でなくてはならない。Rが1.0未満である場合、キャピラリーを洗浄/すすぎ連続工程ですすぐ。それでも問題が解決されない場合、古い緩衝液を新たに調製した泳動緩衝液と交換するか、またはキャピラリーを交換する。最後のシステム適合性注入については、次式を用いて、最後のピーク(GlcNAc)のテーリング係数はI.4より小でなくてはならない:
T=W0.05/2f
式中:
T=テーリング係数
W0.05=高さの5%でのピークの幅
f=最大ピークでのピーク前端の幅
Tが1.4以上である場合、キャピラリーを洗浄/すすぎ連続工程ですすぐ。それでも問題が解決されない場合、古い緩衝液を新たに調製した泳動緩衝液と交換するか、またはキャピラリーを交換する。
繰り返し注入により、以下の模範値が示される:
・GlcNAc対MaNAcのピーク面積比:RSD≦10%(工程7.1で計算)
・GlcNAcの移動時間は10.0分以下であるべき
・プロフィールは図81と均等内容であるべきで、3ピークが観察され、内部標準(ManNAc)は2番ピークである。
試料を試験する前に上記の模範値を満たしていないものがある場合、例えばGlcNAcの移動時間が10.0分より長い場合、まず電圧を高める。次に、ピーク面積比が10%より大である場合、新たにCE緩衝液を調製してそのpHを確実なものにするか、またはキャピラリーを交換する。器具を調整した後、システム適合性注入を繰り返す。ピークプロフィールを分析したときに、ManNacのピーク高が著しく減少している場合、LIFモジュールへの光ファイバーケーブルの取付けが正常であることを確認する。
内部標準および単糖標準成分のピーク面積比を比較することにより、単糖標準RSDパーセントを測定する。各単糖成分に関するピーク面積を、各単糖標準注入に関する内部標準のピーク面積で割る。2つの一括標準に関するGalNAcおよびGlcNAcについてのRSDパーセントを計算する。RSDは10%以下であるべきである。この平均した模範値を満たしていない場合、上記と同様キャピラリーをすすぐか交換するべきである。
計算
内部標準(ManNAc)に対するGalNAcおよびGlcNAcのピーク面積比を計算する。この計算法を、上記の模範値を満たすように初めの4システム適合性標準の繰り返し注入時に使用し、試料(複数も可)の前および後に注入したシステム適合性標準群の全てについて同計算法を実施する。
ピーク面積比=各単糖成分(GlcNAc、GalNAc)に関するピーク面積を、各システム適合性標準注入に関する内部標準(ManNAc)のピーク面積で割る。
システム適合性標準におけるGlcNAcおよびGalNAcに関するピーク面積比の平均を計算する。また、標準偏差(SD)および相対標準偏差パーセント(RSD%)も計算する。
模範値:GlcNAcのピーク面積比に関するRSD≦10%。
試料(複数も可)の前および後に注入した2システム適合性標準群:GlcNAcおよびGalNAcのピーク面積比についてのRDSパーセント≦10%。この平均した模範値が満たされていない場合(RSD>10%)、キャピラリーを上記すすぎ手順で再びすすぐ必要があり、試料および単糖標準群を再び電気泳動にかける必要がある。それでも平均した模範値が満たされていない場合、キャピラリーを交換し、すすぐ。試料および単糖標準群を再び電気泳動にかける。
式中:
n=試料における測定数
x=個々の測定値
GalNAc/タンパク質のモル比の計算:
式中:
R
GalNAc=GalNAc対タンパク質のモル比
A
GalNAc=試料におけるGalNAcのピーク面積(μV・秒)
A
ManNAc=試料におけるManNAcのピーク面積(μV・秒)
A
ManNAc0=単糖標準におけるManNAcのピーク面積(μV・秒)平均
A
GalNAc0=単糖標準におけるGalNAcのピーク面積(μV・秒)平均
V
GalNAc0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるGalNAcの容量(μL)
C
GalNAc0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるGalNAcの濃度(mg/mL)
Vp=加水分解に使用するタンパク質試料の容量(μL)
Cp=加水分解に使用するタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
Abatacept=試験成績書(COA)によるアバタセプト基準物質の分子量
MW
GlcNAc=GalNAcの分子量(221.2ダルトン)
標準群(ブラケット)
CTLA4−Ig物質および試料のモル比を計算するとき、8システム適合性標準群を全て使用する。この等式に入れるピーク面積の平均を出す。これを最初の3試料に使用するものとする。全ての他の試料のモル比計算については、常に次の4単糖標準群および先の4単糖標準群の平均ピーク面積を使用する。
GlcNAc/タンパク質のモル比の計算:
式中:
R
GlcNAc=GlcNAc対タンパク質のモル比
A
GlcNAc=試料におけるGlcNAcのピーク面積(μV・秒)
A
ManNAc=試料におけるManNAcのピーク面積(μV・秒)
A
ManNAc0=単糖標準におけるManNAcのピーク面積(μV・秒)平均
A
GlcNAc0=単糖標準におけるGlcNAcのピーク面積(μV・秒)平均
V
GlcNAc0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるGlcNAcの容量(μL)
C
GlcNAc0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるGlcNAcの濃度(mg/mL)
Vp=加水分解に使用するタンパク質試料の容量(μL)
Cp=加水分解に使用するタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MWCTLA4-Ig=CTLA4−Ig基準物質の分子量
MWGlcNAc=GlcNAcの分子量(221.2ダルトン)
模範値。2つのアミノシステム適合性標準群ピーク面積比に関するRSDパーセントは10%を超えるべきではない。基準物質におけるアミノ単糖に関する平均モル比は、直接下表で具体的に示した範囲内とするべきである。各成分については、4つの結果(デュプリケイト調製品のデュプリケイト注入)に関するRSD%は</25%でなくてはならない。
実施例17:キャピラリー電気泳動(CE)によるアミノ単糖類(GalNAcおよびGlcNAc)のモル比の測定
一実施態様において、CTLA4−Ig組成物は、タンパク質1モルにつき約15〜35モルのGlcNAcおよび約1.7〜3.6モルのGalNacを有するという特性を有する。以下の実施例では、これらのモル比の測定方法について記載する。
試薬:加水分解溶液(4NのHCl);誘導体化溶液I(0.1Mの8−アミノ−1,3,6,トリスルホン酸、三ナトリウム塩(APTS)水溶液);誘導体化溶液II(0.25MのNaBH3CN、1M酢酸中);再アセチル化緩衝液(25mMの重炭酸ナトリウム、pH9.5);泳動緩衝液(60±5mMの四ホウ酸ナトリウム、pH9.25);キャピラリーすすぎ液(1NのNaOH;1NのHCl;80%メタノール);5mg/ml濃度のGalNAc、GlcNAcおよびManNAcの単糖標準保存液;単糖使用液I;内部標準使用液は、ManNAc保存液の100倍希釈液である;単糖使用液II;アミノ混合標準使用液、GalNAcおよびGlcNAc保存液の100倍希釈液。
器具:CEシステムは、Beckman P/ACE MDQ CEシステムである;検出器:P/ACE MDQと連結したBeckmanレーザー誘導(LIF)検出システム;非コーティングキャピラリー(内径25μm、光学密度360μm)全長27〜31cmでP/ACE MDQに適応。
キャピラリー電気泳動実施条件:泳動緩衝液(60mMの四ホウ酸ナトリウム、pH9.25);キャピラリーカートリッジ温度:25℃;電圧:25〜30kV、プラスモード;検出器条件:LIF検出器、励起488nm、放射520nm;試料注入:加圧注入モード、0.5PSIで20秒;泳動時間:10分;試料貯蔵:10℃。
加水分解:10μLのManNAc使用液および200μLの4NのHClを混合し、システムブランクを作製した。ManNAc使用液10μLおよびアミノ混合標準溶液10μLを、200μLの4NのHClと混合することにより、単糖標準を調製した。10μLのManNAc使用液および10μLのCTLA4−Ig二量体(約1mg/ml)を200μLの4NのHClと混合し、試験試料を作製した。管を全て10秒間撹拌し、10秒間遠心分離にかけ、次いで95℃で6時間インキュベーションした。加水分解工程後、試料を−20℃で10分間放冷した。試料を SpeedVac で10秒間スピンさせ、蒸発乾固した。
再アセチル化:加水分解および乾燥した試料を、100μLのHPLCグレードの水で再構成した。再構成した試料を、10μLのM6再−N−アセチル化緩衝液(Glyko)および4μLのM3再アセチル化試薬(Glyko)を添加し、次いで混合し氷上でインキュベーション(30分)することにより再アセチル化した。試料をSpeedVac で10秒間スピンさせ、蒸発乾固した。
誘導体化:再構成試料(100μLのHPLCグレード水)を、55℃で平衡させ、次に10μLの誘導体化溶液Iを添加し、短時間混合し、5μLの誘導体化溶液IIを加えた。試料を予め暖めておいた遠心機にローディングし、2000rpmで遠心分離しながら55℃で3時間インキュベーションした。
CE注入:誘導体化後の試料の最終容量を、HPLCグレード水の添加により100μLにし、10μLの試料を、190μLのHPLCグレード水と共にCEマイクロバイアルに移した。試料注入前、CEカートリッジをHPLCグレード水で十分にすすぎ(実施時間1〜3分)、次いで泳動緩衝液ですすぎ、平衡させた(実施時間5分)。初回すすぎ後、単糖標準および分析試料を、CEカートリッジにおいて注入した(実施時間10分)。各標準または試験試料の注入実施後、CEカートリッジを、HPLCグレード水および泳動緩衝液ですすぎ、平衡させた。システム適合性の電気泳動図は当然図30と類似している。
計算:内部標準ManNAcに対するGalNAcおよびGLCNAcのピーク面積比を計算する。
ピーク面積比=単糖ピーク面積(GalNAcまたはGlcNAc)/ManNAcピーク面積
式中、ピーク面積比についての相対標準偏差(RSD)は10%またはそれ未満である。
単糖(例えばGalNAc)対CTLA4−Igタンパク質の比の計算:
比
GalNAc=(A
GalNAc×A
ManNAc0×V
GalNAc0×C
GalNAc0×MW
CTLA4-Ig二量体)/(A
ManNAc×A
GalNAc0×Vp×Cp×MW
GalNAc)
比
GalNAc=GalNAc対タンパク質のモル比
A
GalNAc=GalNAc試料におけるピーク面積(μV・秒)
A
ManNAc=ManNAc試料におけるピーク面積(μV・秒)
A
ManNAc0=単糖標準におけるManNAcのピーク面積(μV・秒)平均
A
GalNAc0=単糖標準におけるGalNAcのピーク面積(μV・秒)平均
V
GalNAc0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるGalNAcの容量(μL)
C
GalNAc0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるGalNAcの濃度(mg/mL)
Vp=加水分解に使用するタンパク質試料の容量(μL)
Cp=加水分解に使用するタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig=CTLA4−Ig二量体の分子量
MW
GalNAc=221.2ダルトン
実施例18:キャピラリー電気泳動(CE)による中性単糖類(マンノース、フコースおよびガラクトース)のモル比の測定
試薬:加水分解溶液(2Mのトリフルオロ酢酸(TFA));誘導体化溶液I(0.1Mの8−アミノ−1,3,6,トリスルホン酸、三ナトリウム塩(APTS)水溶液);誘導体化溶液II(0.25MのNaBH3CN、1M酢酸中);泳動緩衝液(60±5mMの四ホウ酸ナトリウム、pH9.25);キャピラリーすすぎ液(1NのNaOH;1NのHCl;80%メタノール);5mg/ml濃度のマンノース(Man)、フコース(Fuc)、ガラクトース(Gal)およびキシロース(Xyl)の単糖標準保存液;単糖使用液I;内部標準使用液は、Xyl保存液の100倍希釈液である;単糖使用液II;中性混合標準使用液、Man、FucおよびGal保存液の100倍希釈液。
器具:CEシステムは、Beckman P/ACE MDQ CEシステムである;検出器:P/ACE MDQと連結したBeckmanレーザー誘導(LIF)検出システム;非コーティングキャピラリー(内径25μm、光学密度360μm)全長27〜31cmでP/ACE MDQに適応。
キャピラリー電気泳動実施条件:泳動緩衝液(60mMの四ホウ酸ナトリウム、pH9.25);キャピラリーカートリッジ温度:25℃;電圧:25〜30kV、プラスモード;検出器条件:LIF検出器、励起488nm、放射520nm;試料注入:加圧注入モード、0.5PSIで20秒;泳動時間:10分;試料貯蔵:10℃。
加水分解:10μLのキシロース使用液および200μLの2MのTFAを混合し、システムブランクを作製した。キシロース使用液10μLおよび中性混合標準溶液10μLを、200μLの2MのTFAと混合することにより、単糖標準を調製した。10μLのキシロース使用液および10μLのCTLA4−Ig二量体(約1mg/ml)を200μLの2MのTFAと混合し、試験試料を作製した。管を全て10秒間撹拌し、10秒間遠心分離にかけ、次いで95℃で6時間インキュベーションした。加水分解工程後、試料を−20℃で10分間放冷した。試料を SpeedVac で10秒間スピンさせ、蒸発乾固した。
誘導体化:試料を100μLのHPLCグレードの水で再構成し、55℃で平衡させ、次に10μLの誘導体化溶液Iを添加し、短時間混合し、5μLの誘導体化溶液IIを加えた。試料を予め暖めておいた遠心機にローディングし、2000rpmで遠心分離しながら55℃で3時間インキュベーションした。
CE注入:誘導体化後の試料の最終容量を、HPLCグレードの水の添加により100μLにし、10μLの試料を、190μLのHPLCグレードの水と共にCEマイクロバイアルに移した。試料注入前、CEカートリッジをHPLCグレードの水で十分にすすぎ(実施時間1〜3分)、次いで泳動緩衝液ですすぎ、平衡状態にした(実施時間5分)。初回すすぎ後、単糖標準および分析試料を、CEカートリッジにおいて注入した(実施時間10分)。各標準または試験試料の注入実施後、CEカートリッジを、HPLCグレードの水および泳動緩衝液ですすぎ、平衡させた。システム適合性の電気泳動図は当然図30と類似している。
計算:内部標準キシロースに対するMan、GalおよびFucのピーク面積比を計算する。
ピーク面積比=単糖ピーク面積(Gal、FucまたはMan)/キシロースピーク面積
式中、ピーク面積比についての相対標準偏差(RSD)は10%またはそれ未満である。
単糖(例えばMan)対CTLA4−Igタンパク質の比の計算:
比
Man=(A
Man×A
Xyl0×V
Man0×C
Man0×MW
CTLA4-Ig二量体)/(A
Xyl×A
Man0×Vp×Cp×MW
Man)
比
Man=Man対タンパク質のモル比
A
Msn=試料中のManにおけるピーク面積(μV・秒)
A
Xyl=試料中のXylにおけるピーク面積(μV・秒)
A
Xyl0=単糖標準におけるXylのピーク面積(μV・秒)平均
A
Man0=単糖標準におけるManのピーク面積(μV・秒)平均
V
Man0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるマンノースの容量(μL)
C
Man0=加水分解に使用する単糖使用液に含まれるマンノースの濃度(mg/mL)
Vp=加水分解に使用するタンパク質試料の容量(μL)
Cp=加水分解に使用するタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig=CTLA4−Ig二量体の分子量
MW
Man=180.2ダルトン
実施例19:CTLA4
A29YL104E−Igの製造
CTLA4A29YL104E−Igは、遺伝子操作を加えた融合タンパク質であり、修飾ヒトCTLA4−Igの機能性結合ドメインおよびIgG1クラスのヒト免疫グロブリンのFcドメインにより構成される。CTLA4−IgドメインのB7結合領域に2つのアミノ酸置換(L104EおよびA29Y)を導入することにより、この分子を作製した。この分子は、各々357アミノ酸を有する2本のグリコシル化ポリペプチド鎖から成る。これは、鎖内ジスルフィド結合を介して連結された共有結合二量体として存在する。CTLA4A29YL104E−Igは、マトリックス支援レーザー脱離−イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析法を用いた測定によると約91800Daの平均質量を有する。
CTLA4A29YL104E−Igは、CTLA4−Igの修飾形態である。この修飾は、2つのアミノ酸置換(L104EおよびA29Y)をもたらす点突然変異により構成される。CTLA4−Igに対し、CTLA4A29YL104E−Igは、〜2倍高い結合力でCD80(B7−1)と結合し、〜4倍高い結合力でCD86(B7−2)と結合する。CTLA4A29YL104E−Igは、T細胞増殖、サイトカイン産生およびナチュラルキラー細胞による標的細胞のCD28依存的致死作用の阻害ではアバタセプトと比べてその約10倍有効である。CTLA4A29YL104E−Igは、B7−1介在T細胞増殖の緩い阻害を誘発するが、B7−2介在T細胞増殖の遮断では著しく強力である。この実施例では、配列番号4を含むCTLA4A29YL104E−Ig分子の製法を記載する。この実施例記載の方法は、限定するわけではないが、分泌タンパク質、例えばサイトカインおよび他のホルモン、Igスーパーファミリーの構成員であるか、またはIgスーパーファミリータンパク質の一部分を含む分泌タンパク質、およびCHO細胞で発現されるタンパク質全般を含む他の組換えタンパク質の製造についても適合化および拡大され得る。
CTLA4A29YL104E−Ig培養工程についての製造過程フローチャートを図24に示す。CTLA4A29YL104E−Igを、使用容量が約4000Lである5000−L生産バイオリアクターで製造する。1バッチの薬剤物質を、細胞バンクからの単一バイアルから誘導した単一生産型バイオリアクターから製造する。この製造過程は、接種材料の増大、生産細胞培養および下流精製から成る3段階を含む。動物成分不含有培地を用いて、接種材料増大段階を誘導する。また、D−ガラクトースの使用は例外として動物成分不含有培地で生産細胞培養段階を実施する。
細胞培養培地。適切なサイズの清潔な培地容器で全培地を調製し、滅菌濾過する。接種材料増大に使用する培地の組成を下表に示す。
接種材料の増大
細胞バンクからの凍結バイアルを制御温度で解凍し、遠心分離にかけることにより、低温保護培地を除去する。細胞を接種材料培地に再懸濁し、T−フラスコ中で回収する。解凍後の最小細胞生存能80%が模範値である。T−フラスコでのインキュベーション工程中、温度および二酸化炭素を制御する。1.0×107細胞の生菌数が得られるまで、T−フラスコをインキュベーションし、内容物を振とうフラスコに移す。一連の振とうフラスコを通じて培養物を増大させ、必要とされる接種材料容量を達成する。振とうフラスコ継代についての播種密度範囲は、1.0〜3.0×105生菌/mLである。振とうフラスコインキュベーション工程中、温度、二酸化炭素、および振とう速度を制御する。1.5〜3.0×106細胞/mLの生菌密度範囲に到達したとき、振とうフラスコ培養物を滅菌接種材料移入容器にプールする。最終振とうフラスコ接種材料増大工程からの約20リットルを、140−Lシードバイオリアクターに移すことにより、0.2〜1.0×106生細胞/mLの初期細胞密度範囲に到達させる。
シードバイオリアクター操作
使用容量が約90リットルである140−Lシードバイオリアクターをバッチ方式で稼動させる。分散制御システム(DCS)を用いて、140−Lシードリアクター中の温度、pH、圧力および溶解酸素濃度を監視および制御する。140−Lシードバイオリアクターから毎日試料を採取し、細胞成長を観察する。140−Lシードバイオリアクターの播種密度範囲は、0.2〜1.0×106生細胞/mLである。140−Lシードバイオリアクター培養物を用いて、生細胞密度が1.5×106細胞/mL以上に達したとき、1100−Lシードバイオリアクターに接種する。140−Lシードバイオリアクター工程の持続期間は約3日である。1100−Lシードバイオリアクターにおけるこの初期目標生細胞密度は、0.4〜1.5×106生細胞/mLである。
1100−Lシードバイオリアクターは、260リットルの初期培養容量を含む。1100−Lシードバイオリアクターをバッチ方式で稼動させる。DCSを用いて、1100−Lシードリアクター中の温度、pH、圧力および溶解酸素濃度を監視および制御する。生細胞密度が1.5×106細胞/mL以上に達したとき、培養物の容量を基礎培地により900リットルまで増量する。1100−Lシードバイオリアクターから毎日試料を採取し、細胞成長を観察する。1100−Lシードバイオリアクター培養物を用いて、生細胞密度が2.0×106細胞/mL以上に達したとき、5000−L生産型バイオリアクターに接種する。1100−Lシードバイオリアクター工程の持続期間は約4日である。5000−L生産型バイオリアクターにおけるこの初期目標生細胞密度は、0.4〜1.5×106生細胞/mLである。
生産型バイオリアクター操作
5000−L生産型バイオリアクターは、3000リットルの初期培養容量を含む。5000−L生産型バイオリアクターをフィード-バッチ方式で作動させ、温度、pH、圧力、および溶解酸素濃度をDCSにより監視および制御する。約72時間経過時、硫酸デキストランのボーラスを培養物に添加する。生産型バイオリアクターの作動中、144±8時間の時点で培養温度設定値を37°から34℃にシフトさせる。温度シフトおよび硫酸デキストラン添加を実行することにより、5000−L生産型バイオリアクター工程における高い細胞生存能の持続時間を長くする。試料をバイオリアクターから採取して、細胞の成長および生存能、グルコース、ラクテートおよびアンモニア濃度を監視する。また、CTLA4A29YL104E−Ig濃度およびシアル酸対CTLA4A29YL104E−Igタンパク質モル比についても試料を試験する。飼料培地をバイオリアクターに添加することにより、所望のグルコース濃度を維持する。生産型バイオリアクターについての主たる収穫基準は、シアル酸対CTLA4A29YL104E−Igタンパク質モル比である。6以上の目標シアル酸対CTLA4A29YL104E−Igタンパク質モル比で生産型バイオリアクターの収穫を行う。5000−L生産型バイオリアクター工程の持続期間は約14日間である。5000−L生産型バイオリアクターの収穫容量は約4000リットルである。
細胞除去および生成物濃縮
0.65μmの膜を用いたタンジェンシャルフロー精密濾過により、細胞を培養ブロスから除去する。30kDa名目分子量カットオフ(NMWCO)膜を用いるタンジェンシャルフロー限外濾過により、精密濾過透過液を濃縮する。精密濾過および限外濾過工程中、膜間圧力差および流速を制御する。次いで、一連のメンブランフィルターに濃縮液を通し、最終濾過では0.2μm使い捨てフィルターに通す。0.5Mトリス溶液の添加により濃縮液のpHを8.0に調節する。精密濾過および限外濾過フィルターは多用される。精密濾過フィルターを、次亜塩素酸ナトリウムおよび TritonX−100で掃除し、リン酸中で貯蔵する。限外濾過フィルターを次亜塩素酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムで掃除し、次いで水酸化ナトリウム中で貯蔵する。
実施例20:組み換えCTLA4
A29YL104E−Igの精製
実施例20−A:CTLA4
A29YL104E−Igの精製工程の一例を以下の流れ図において示し、精製工程の説明をこの実施例により提供する。
ウイルス不活性化
浄化、濃縮した採集物質のpHを、0.5M Tris溶液の添加により8.0に調整する。潜在的な迷入ウイルス物質を、最終濃度0.5%(v/v)になるよう20%Triton X−100を添加することにより不活性化する。Triton X−100で処理したタンパク質溶液を2時間以上混合する。
アフィニティークロマトグラフィー
MabSelectプロテインA樹脂のカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィー(以前にAmersham Biosciencesとして知られたGE Healthcare)を用いて、ウイルス不活性化段階から得た工程内(in-process)物質由来のCTLA4A29YL104E−Igタンパク質を捕捉し、不純物の大部分からベラタセプト(belatacept)タンパク質を分離する。
MabSelectプロテインAカラムを25mM NaH2PO4、150mM NaCl、pH7.5緩衝液で平衡化する。アフィニティー樹脂の動的結合能力は、350cm/時の直線速度で、樹脂1リットル当たりCTLA4A29YL104E−Igタンパク質25gである。157Lカラムベッドは、約3.9kgのCTLA4A29YL104E−Igタンパク質を結合することができる。
Triton X−100−処理工程内物質を、MabSelectプロテインAカラムに適用し、そのカラムを最小3カラム容量(CV)の平衡化緩衝液で洗浄して、わずかに残留した不純物を除去する。これらの不純物には、サイトカイン単球走化性タンパク質−1(MCP−1)およびTriton X−100が含まれる。次いで、CTLA4A29YL104E−Igタンパク質を250mMグリシン、pH3.0緩衝液を有するカラムから溶離させた。CTLA4A29YL104E−Igタンパク質は、約2〜3CVの溶離緩衝液において狭いピークとして溶出し、pHを急激に上昇させてそれによりベラタセプト高分子量種の生成を最小にするために2M HEPES(pH7.5)緩衝液を有するタンク中に集める。
陰イオン交換クロマトグラフィー
Q−Sepharose Fast Flow(QFF)樹脂(GE Healthcare)を用いる陰イオン交換クロマトグラフィーを、よりシアル化度の高い種のCTLA4A29YL104E−Igタンパク質の量を主に増やすために使用する。MabSelectプロテインAカラムから得た、pH調整したベラタセプト生産物プールを、QFFカラムに適用する前に注入用水(WFI)で約2倍に希釈する。
QFFカラムを、50mM HEPES、50mM NaCl、pH7.0緩衝液で平衡化する。pHおよび電気伝導度を調節したMabSelectプロテインA段階生産物プールをQFFカラムに適用し、カラムを最小3CVの平衡化緩衝液で洗浄して、弱く結合した不純物を除去する。次いで、このカラムを50mM HEPES、140mM NaCl、pH7.0緩衝液で洗浄して、シアル酸含量が低いCTLA4A29YL104E−Igタンパク質種を除去する。続いて、CTLA4A29YL104E−Igプロテインのシアル化度のより高い種を、5CV以下の50mM HEPES、200mM NaCl、pH7.0緩衝液を用いるカラムから溶出させる。
疎水性相互作用クロマトグラフィー
Toyopearl Phenyl 650M樹脂(Tosoh Biosciences)を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、QFFクロマトグラフィー段階から得た生産物プール中のCTLA4A29YL104E−Ig HMW種の量を主に低下させるために用いる。HICカラムにかける前に、QFFクロマトグラフィー段階生産物プールを、50mM HEPES、pH7.0緩衝液および50mM HEPES、3.6M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液を用いて希釈し、約135mS/cmの電気伝導度およびQFF生産物プール中1g/L以下のCTLA4A29YL104E−Ig濃度が達成される。
HICカラムを、50mM HEPES、1.2M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液で平衡化する。濃度および電気伝導度調節したCTLA4A29YL104E−Ig QFFクロマトグラフィー段階生産物プールを該カラムにかける。カラムは、次いで50mM HEPES、1.2M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液で洗浄して、弱く結合した不純物を除去する。CTLA4A29YL104E−Igタンパク質は、50mM HEPES、0.55M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液を用いるHICカラムから溶出させる。
ウイルス濾過
HIC段階から得たCTLA4A29YL104E−Ig生産物プールの濃縮およびダイアフィルトレーションを、限外濾過(UF)により達成する。UF段階は、30−kDa NMWCO膜および25mM NaH2PO4、10mM NaCl、pH7.5緩衝液を使用する。UF段階に続いて、15−nm Planova膜(Asahi Kasei)を用いるウイルス濾過段階を行う。次いで、CTLA4A29YL104E−Igタンパク質生産物プールを、30−kDa NMWCO膜を用いるUFによりタンパク質濃度25g/Lに調節する。
カラム浄化および保存
MabSelectプロテインAクロマトグラフィーカラムを0.1 N NaOH溶液で浄化し、25mM NaH2PO4、150mM NaCl、pH7.5緩衝液を用いて洗浄して、pHを低下させ、次いで20%エタノール中、2℃〜8℃で保存する。QFFクロマトグラフィーカラムを1 N NaOH溶液で浄化して、0.1N NaOH溶液中、室温で保存する。HICカラムを0.1N NaOH溶液で浄化し、20%エタノールで洗浄して、20%エタノール中、室温で保存する。
実施例20−B:このような精製法のさらに別の例は以下の通りである:
ウイルス不活性化
浄化し、濃縮した採集物質のpHを、0.5M Tris溶液の添加により8.0に調節する。潜在的迷入ウイルス物質を、最終濃度0.5%(v/v)になるよう20%Triton X−100を添加することにより不活性化する。Triton X−100で処理したタンパク質溶液を2時間以上混合する。
CTLA4A29YL104E−Ig精製のためのプロテインAアフィニティークロマトグラフィー:MabSelectプロテインA樹脂のカラム(以前にAmersham Biosciencesとして知られたGE Healthcare)を使用するアフィニティークロマトグラフィーを用いて、ウイルス不活性化段階から得た工程内物質由来のCTLA4A29YL104E−Igを捕捉し、不純物の大部分からCTLA4A29YL104E−Igを分離する。
内径140cmのカラムにMabSelect PrA樹脂を18〜25cmの高さ(約339〜372Lの容量を表す)まで充填する。充填カラムのHETPおよびAsを測定することによりカラムの使用のための適格性が判断される。カラム適格性のために0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2のAsが用いられる。
MabSelect PrAカラム操作は、周囲温度で行う。ウイルス不活性化生産物プールを平衡化MabSelect PrAカラム上に負荷する。MabSelect PrA段階は、最大流速26.7L/分および操作圧力13psig以下で操作する。MabSelect PrAカラムに適用される最大CTLA4A29YL104E−Igタンパク質負荷は、直線速度350cm/時で樹脂1リットル当たりのCTLA4A29YL104E−Igタンパク質25gである。カラムベッドは、約3.9kgのCTLA4A29YL104E−Igタンパク質を結合し得る。
MabSelect PrAカラムを、25mM NaH2PO4、150mM NaCl、pH7.5緩衝液で平衡化する。平衡化は、最小3CVの平衡化緩衝液がカラムを通過し、流出液のpHおよび電気伝導度の値が各々7.3〜7.7および14.5〜17.5mS/cmになったときに完了する。
Triton X−100−処理工程内物質を平衡化MabSelect PrAカラムに適用する。カラムを最小3CVの25mM NaH2PO4、150mM NaCl、0.5%Triton X−100、pH7.5緩衝液で洗浄して、弱く残留した不純物をMabSelect PrAカラムから除去する。これらの不純物には、サイトカイン単球走化性タンパク質−1(MCP−1)およびTriton X−100が含まれる。続く洗浄段階を、25mM NaH2PO4、150mM NaCl、pH7.5緩衝液を用いて行い、残存したTriton X−100をMabSelect PrAカラムから除去する。
CTLA4A29YL104E−Igを、250mMグリシン、pH3.0緩衝液を用いたMabSelect PrAクロマトグラフィーカラムから溶出させる。A280がベースラインより上に0.2AU以上に上昇した時に溶出液を回収容器へ移す。カラム流出液を、0.2μm酢酸セルロースフィルターで濾過して、攪拌装置を備えた回収容器に入れる。溶出ピークの立ち下りのA280が0.2AU以下の値に低下するまで、溶出液を回収する。CTLA4A29YL104E−Igは、約2〜3CVの溶離緩衝液において狭いピークとして溶出する。pHを急激に上昇させてそれによりCTLA4A29YL104E−Ig高分子量(HMW)種の生成を最小にするために、溶出プールのpHを2M HEPES、pH7.5緩衝液でpH7.5±0.2に調節する。MabSelect PrAクロマトグラフィー段階生産物プールを周囲温度で最大5日間保持する。生産物プールを保存のために冷却してもよく;CTLA4A29YL104E−Igの安定性プロファイルは5℃および22℃で同じであった。生産物は5日間まで保存してもよい。
シアル酸モルのCTLA4A29YL104E−Igタンパク質のモルに対するモル比が約6、または約5.2〜約7.6であるCTLA4A29YL104E−Ig二量体生産物を集める。
CTLA4A29YL104E−Ig精製に対するQFF陰イオン交換クロマトグラフィー:Q−Sepharose Fast Flow(QFF)樹脂(GE Healthcare)を用いる陰イオン交換クロマトグラフィーを、よりシアル化度の高い種のCTLA4A29YL104E−Igの量を主に増やし、同時に残存するプロテインAレベルを低下させるために使用する。MabSelectプロテインAカラムから得た、pH調整したCTLA4A29YL104E−Ig生産物プールを、QFFカラムに適用する前に注入用水(WFI)で約2倍に希釈する。
内径80cmのカラムにQFF樹脂を27〜35cmの高さ(約136〜176Lの容量を表す)まで充填する。充填カラムのHETPおよびAsを測定することによりカラムの使用のための適格性が判断される。カラムの適格性のために0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2の非対称性(asymmetry)Asが用いられる。
QFFカラム操作は、周囲温度で行う。QFFカラムを50mM HEPES、50mM NaCl、pH7.0緩衝液で平衡化する。pHおよび電気伝導度が調節されたMabSelectプロテインA段階生産物プールをQFFカラムに適用する。QFF段階を最大流速16.4L/分(196cm/h)および最大操作圧力35psiで操作する。
カラムを、使用の前後に1N NaOH溶液で浄化する。最小2カラム容量の水酸化ナトリウム溶液をカラムに通す。次いで、カラムを60〜120分間、静止保持する。溶液およびカラム流出液についての許容し得る電気伝導度範囲は、136〜202mS/cmである。
カラムを最小5カラム容量の50mM HEPES、50mM塩化ナトリウム、pH7.0緩衝液で平衡化する。この緩衝液に対するpHおよび電気伝導度範囲は各々6.8〜7.2および5.0〜7.0mS/cmである。これらの範囲は、カラムが平衡化されているか否かを測定するためにも用いる。
pHおよび電気伝導度が調節されたMabSelectプロテインA段階生産物プールをQFFカラムに適用し、このカラムを最小3CVの平衡化緩衝液で洗浄して、弱く結合した不純物を除去する。次いで、カラムを50mM HEPES、135mM NaCl、pH7.0緩衝液で洗浄して、シアル酸含量が低いCTLA4A29YL104E−Ig種を除去する。
よりシアル化度の高いCTLA4A29YL104E−Igの種は、50mM HEPES、200mM NaCl、pH7.0緩衝液を用いるQFFクロマトグラフィーカラムから溶出する。溶出物回収は、溶離緩衝液をカラムに最初に適用した時に開始する。溶出中、カラム流出液を0.2μmフィルターで濾過して回収容器に入れる。溶出ピークの立ち下りの吸光度がベースラインより上に0.2AU以下に低下するまで、溶出液を回収する。CTLA4A29YL104E−Igは、5CV以下の50mM HEPES、200mM NaCl、pH7.0緩衝液を用いるカラムから溶出する。次いで、回収容器を2℃〜8℃に冷却する。2〜8℃でのQFFクロマトグラフィー段階生産物プールの最大保持時間は、3日間である。
シアル酸モルのCTLA4A29YL104E−Igタンパク質モルに対するモル比が約6、または約5.2〜約7.6であるCTLA4A29YL104E−Ig二量体生産物を集める。
CTLA4A29YL104E−Ig精製のためのPhenyl Sepharose FF HIC:Toyopearl Phenyl 650M樹脂(Tosoh Biosciences)を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、QFFクロマトグラフィー段階から得た生産物プール中のCTLA4A29YL104E−IgのHMW種量を主に低下させるために使用する。
内径100cmのカラムにPhenyl Sepharose Phenyl 650M樹脂を18〜25cmの高さ(約141〜173Lの容量を表す)まで充填する。充填カラムのHETPおよびAsを測定することによりカラムの使用のための適格性を判断する。HICカラムの適格性のために0.02〜0.08cmのHETPおよび0.8〜1.2のAsが用いられる。
HICカラム操作は、周囲温度で行う。HICカラムに適用する前に、QFFクロマトグラフィー段階生産物プールを、50mM HEPES、pH7.0緩衝液および50mM HEPES、3.6M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液を用いて希釈し、QFF生産物プール中で約135mS/cmの電気伝導度および1g/L以下のCTLA4A29YL104E−Ig濃度を達成する。HIC段階は、最大流速22.7L/分(173cm/h)および最大操作圧力45psig以下で操作する。QXL溶出物プールに存在するCTLA4A29YL104E−Igの量に基づいてHIC段階の多サイクルを用いることができる。
HICカラムをまず1N水酸化ナトリウム溶液で浄化する。浄化は、2〜4CVの1N水酸化ナトリウム溶液がカラムを通過した時に完了する。次いで、浄化を確実にするためにカラムを60〜120分保持する。
浄化段階後、HICカラムを50mM HEPES、1.2M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液で平衡化する。平衡化は、最小3CVの平衡化緩衝液がカラムを通過し、流出液のpHが7.0±0.3、電気伝導度が約135mS/cmとなった時に平衡化は完了する。
濃度および電気伝導度を調節したCTLA4A29YL104E−IgのQFFクロマトグラフィー段階生産物プールをカラムに適用する。次いで、カラムを50mM HEPES、1.2M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液で洗浄して、弱く結合した不純物を除去する。CTLA4A29YL104E−Igを50mM HEPES、0.55M硫酸アンモニウム、pH7.0緩衝液を用いるHICカラムから溶出させる。このHIC生産物プールを回収容器中、2℃〜8℃で保持する。回収容器における最大保持時間は3日間である。
シアル酸モルのCTLA4A29YL104E−Igタンパク質モルに対するモル比が約6、または約5.2〜約7.6であるCTLA4A29YL104E−Ig二量体生産物;CTLA4A29YL104E−Ig高分子量物質のプールは2.5%以下で存在し;CTLA4A29YL104E−Ig低分子量物質(例えば、CTLA4A29YL104E−Ig単量体)のプールは0.5%以下で存在し;そしてMCP−1のプールは9.5ng/mL以下で存在する。
ウイルス濾過 HIC段階から得たCTLA4A29YL104E−Ig生産物プールの濃縮およびダイアフィルトレーションを、限外濾過(UF)により達成する。UF段階は、30−kDa NMWCO膜および25mM NaH2PO4、10mM NaCl、pH7.5緩衝液を使用する。UF段階に続いて、15−nm Planova膜(Asahi Kasei)を用いるウイルス濾過段階を行う。次いで、CTLA4A29YL104E−Ig生産物プールを、30−kDa NMWCO膜を用いるUFによりタンパク質濃度25g/Lに調節する。
下流CTLA4A29YL104E−Ig生産工程の濃縮およびダイアフィルトレーション段階においてPall Filtron TFF系を用いる。この段階の目的は、HICクロマトグラフィー段階生産物プールを45〜55g/Lに濃縮し、HICクロマトグラフィー段階で用いられる溶離緩衝液をCTLA4A29YL104E−Ig組成物に用いられる最終緩衝液と交換することである。濃縮されたCTLA4A29YL104E−Ig生産物プールを0.2μmポリフッ化ビニリデン膜を通して、50−Lバイオプロセスバッグ中に移す。
実施例21:生物活性−表面プラズモン共鳴によるCTLA4A29YL104E−IgのB7Ig共受容体への生体特異的結合の測定
表面プラズモン共鳴(B7結合)
この方法は、代表的なB7共受容体へのCTLA4A29YL104E−Igの結合を表面プラズモン共鳴により測定するものである。B7Igは、活性化CM5センサーチップの表面に、第一級アミノ基を介して高密度で固定化される。CTLA4A29YL104E−Ig物質、品質管理物、およびサンプルを0.125〜8ng/mLの濃度に希釈し、B7Ig表面上に注入し、結合センサーグラムを得る。固定化されたB7IgへのCTLA4A29YL104E−Ig結合の初速度(勾配)を、物質移動(拡散)律速条件下、このB7Ig表面上で測定する。1秒当たりの共鳴単位(RU/s)での最初の結合速度は、活性濃度と直接相関している。サンプルの結合速度を、CTLA4A29YL104E−Ig物質の結合速度を濃度に対してプロットしている参照標準曲線を用いて活性濃度に変換する。最終結果は、CTLA4A29YL104E−Ig物質と比較したサンプルの結合パーセントとしてどちらも表す。
CTLA4
A29YL104E−IgにおけるヒトIgG1 Fc領域の存在を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて検出した。SPRは、リアルタイムでの生体特異的相互作用の測定を可能にする。ヒトIgGのFc領域に特異的な抗体フラグメント(ヤギF
(ab')2抗ヒトIgG Fc)を共有結合によりセンサーチップの表面上に固定した。CTLA4
A29YL104E−Igサンプルの結合は、この表面上で得られる応答を、非修飾センサーチップ表面と比較して測定することにより検出した。工程B物質、工程C物質および共混合物(Co-mixture)に結合した共鳴単位における結果は、図6および表23に示すように比較される。
ヒト細胞IL2阻害アッセイ
この方法は、抗CD3およびB細胞で刺激したときの、CTLA4A29YL104E−IgによるT細胞からのIL-2産生の阻害に基づく。IL-2プロモーターの制御下の、ルシフェラーゼ遺伝子でトランスフェクションしたJurkat T細胞を、様々な濃度のCTLA4A29YL104E−Igの存在下にDaudi B細胞および抗CD3で共刺激する。この共刺激は、IL−2プロモーターを活性化し、順にルシフェラーゼタンパク質を産生する。得られた発光シグナルをルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定する。このシステムにおいて、CTLA4A29YL104E−Igは、ルシフェラーゼ活性の用量依存性の低下をもたらす。
工程Bロット000929−278、工程Cロット224818−2004−007および共混合物ロット55128−162についての結果は、表24に示すように比較することができる。EC
50値、勾配係数および漸近線上限および下限は、3つ全てのサンプルについて1標準偏差内で類似している。これは、工程C由来および工程B由来のCTLA4
A29YL104E−Igが、インビトロ効力アッセイにおいて同等に作用することを示している。
材料:
−センサーチップCM5、Biacore認定等級(カタログNo. BR−1000−13)
−HBS−EP緩衝液BIA認定10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%v/v
−界面活性剤P20 Biacore(カタログNo. BR−1001−88)
−アミンカップリングキットBIA認定115mg N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、750mg 1−エチル−3−(3 ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、10.5mLエタノールアミンHCl Biacore(カタログNo. BR−1000−50)
−PC互換性コンピューターBiacoreを伴うBiacore C機器(カタログNo. BR−1100−51)
−Biacore C機器と共に提供されるBiacore C制御ソフトウェアBiacore、バージョン1.0.1
アミンカップリングキットBIA認定:このキットは115mg NHS、750mg EDCおよび10.5mLエタノールアミンを有する各々1バイアルを有している。各バイアルを、製造者の使用説明に従い準備する。NHSおよびEDC溶液を、適当な大きさでキャップを有する個々のプラスチック/ガラスバイアル中に200μL容量に等分する。これら溶液は、−20℃で保存した場合に2ヶ月間安定である。エタノールアミンを適当な大きさでキャップを有する個々のプラスチック/ガラスバイアル中に200μL容量に等分する。この溶液は、製造者の使用説明に従い−2〜8℃で保存し、安定である。
フローセルへの良好な結合を確実にするために、フローセルは1週間または286注入の間(いずれか早い方)、使用されるであろう。新しいフローセルは各週の初めに固定化されるであろう。サンプル試験のための調製におけるB7.1 Igの固定化。注記:全ての溶液を分析のために7mmBiacoreチューブ中に200μLずつ等分する。B7.1 Igを含有する1バイアルを周囲温度で解凍する。B7.1 Igを10mM酢酸塩pH5.0緩衝液(1.7)を用いて希釈し、3000〜9000共鳴単位(RU)の表面質量を達成する。EDCおよびNHSの各々1バイアル(200μL)を周囲温度に解凍する。エタノールアミンHClを冷蔵庫から取り出し、室温に暖める。Biacoreソフトウェアから:「Immobilization Wizard」から選択される、公開された計画「B7 Ig Immobilization」を開く。公開ファイル「B7 Immob.blw」を開く。ウィザードにより進み、「Next」をクリックすることにより選択を確認または変更する。「User Information」のうち、フローセルを選択し、「Notebook」タブにおいて実験情報を与える。試薬およびリガンドバイアルを、概説されるようにサンプルラックに入れる。使用説明書を見直す。テンプレート・ファイルをB7 Immob BIOQC#Date Initials Chip#Flow cell#.blwとして保存する。「Start」をクリックすることにより固定化を開始する。結果ファイルをB7 Immob BIOQC#Date Initial chip#flow cell#.blrとして保存する。アッセイが終了したら、ウィザードの結果およびセンサーグラムを印刷する。
実施例22:CTLA4A29YL104E−Ig組成物の炭水化物含量分析、トリプシンペプチド・マッピングおよびIEF
トリプシン消化ペプチド・マッピング
このトリプシン消化法において、CTLA4A29YL104E−Igサンプルをグアニジン−HClを用いて変性させ、DTTおよびIAAを用いて還元およびアルキル化する。サンプルをNAP−5カラムを用いて脱塩し、トリプシンで消化する。消化混合物を逆相(C18)クロマトグラフィーにより分離し、ピークをUV吸光度により215nmで検出する。
試薬:移動相A溶液(水中0.02%トリフルオロ酢酸(TFA)(v/v));移動相B溶液(95%ACN(アセトニトリル)および5%水中0.02%TFA(v/v));アルキル化剤(200mMヨードアセトアミド(IAA));希釈緩衝液(100mM Tris、25mM NaCl、pH8.0);変性化緩衝液(8Mグアニジン、50mM TRIS、pH8.0);消化緩衝液(50mM TRIS、10mM CaCl2、pH8.0);還元剤(100mM DTT)。
装置:(同等の装置を用いてもよい)NAP−5カラム(Amersham、cat.#17−0853−02);HPLCカラムヒーター;カラムヒーターおよびUV検出器を備えたWater's Alliance HPLCシステム。
還元およびアルキル化:サンプル(例えば、CTLA4A29YL104E−Igなど)を水の添加により10mg/mlに希釈して、最終容量100μL(1mg)にした。560μLの変性化緩衝液および35μLの還元剤(100mM DTT)を100μLのサンプルに加え、混合し、微小遠心管中で3秒間遠沈させた。次いでサンプルを50℃で20分±2分間インキュベートした。次いで35μLのアルキル化剤(200mM IAA)を各サンプルに加え、再び混合し、そして微小遠心管中で3秒間遠沈させた。次いでサンプルをアルホイルで覆い、50℃で20±2分間インキュベートした。3カラム容量(約7〜8mL)の消化緩衝液を注ぐことによりNAP−5カラムが平衡化された後に、500μLの還元およびアルキル化された混合物をNAP−5カラム上に注ぎ、液体をカラムから流出させた。次いで1mLの消化緩衝液を用いてカラムからサンプルを溶離させることにより、サンプルをNAP−5カラムから集めた。
消化:サンプルを、20μLのトリプシン(0.5μg/μL)を用いて38℃の水浴中、4時間(±0.5時間)消化した。消化が完了したら、サンプルを2.5μLのTFAで酸性にした。次いでサンプルを、以降の分析のためにオートサンプラー・バイアルに入れた。
最初の注入の前に、カラムを100%移動相A緩衝液で25分間平衡化した。カラム温度を37℃に、オートサンプラーの温度を4℃に維持しながら、UV吸光度を215nmでモニターした。最初のシステム適合性標準の前に移動相A緩衝液ブランクを流し、その後に各サンプル1回の50μL注入を行った。参考物質の1注入で、各6サンプルの注入を一くくりにすべきである。
理論段数:理論段数として評価されるカラム効率は、以下の方程式に従い、保持時間とピーク幅を使用して定量的に測定することができる:
[式中:
「w」は、比較的直線状の両側をベースラインに外挿することにより計測されるベースラインでのピーク幅であり、「t」は注入時間からピーク最大値の溶出時間まで計測されたピークの保持時間である。
N<50000なら、カラムを再度平衡化する。
分離能:2ピーク間の分離能(R)の測定、例えば、図32に示されるピークT2およびピークT12の間の分離能は、以下の方程式を使用して決定することができる:
[式中、t
1、t
2=フラグメントピークT2およびピークT12各々の保持時間
w
1、w
2=保持時間が各々t
1およびt
2であるピークのベースラインでの、接線により規定されたピーク幅。]
R<1.5であるなら、カラムを再度平衡化すべきであり、問題が持続するならそのカラムを交換すべきである。
図32および表25は、CTLA4
A29YL104E−Igのトリプシン消化から得たペプチドフラグメントを示す。約50分でペプチドT7およびT9を示す領域は、不完全なサンプルの消化を反映することがあり、ピークは日によって異なる特性を示し得る;しかし、1溶出内で全てのサンプルは比較可能性を示す。
表25:CTLA4
A29YL104E−Igのトリプシンペプチドフラグメント
a N−結合炭水化物を有するペプチド
b O−結合炭水化物を有するペプチド
c T5、T7、T9およびT14の質量は、炭水化物部分を含まない質量である。
d 糖化ペプチドに対応する多くの質量が観察された。
等電点電気泳動法(アイソエレクトリックフォーカシング)
等電点電気泳動法(IEF)を用いて、製剤原料および製剤両方におけるCTLA4A29YL104E−Igの様々なイソフォームの等電点(pI)を評価する。この方法では、Pharmacia Biotech Ampholine(登録商標)PAGプレート(pH勾配4.0〜6.5)およびMultiphore II Flatbed電気泳動システムを使用する。サンプル(例えば、CTLA4A29YL104E−Igなど)をMilli−Q水中に希釈し、サンプル・アプリケーション・ストリップを用いてゲル上に負荷する。このゲルを、100mM β−アラニンに浸した陰極ストリップおよび100mMグルタミン酸/500mMリン酸に浸した陽極ストリップを用いて、電圧を上昇させながら2.5時間フォーカシングする。フォーカシング後、このゲルをスルホサリチル酸/トリクロロ酢酸を用いて固定化し、次いでクマシーブルー染色システムを用いて染色する。染色後に、湿ったゲルを、レーザーを用いた濃度計により4096レベルまでの光学密度分解能を有する空間分解能50または100μmでスキャンして、デジタル画像ファイルにする。CTLA4A29YL104E−Igは、pI4.5〜5.5の範囲の10〜15バンドにフォーカシングされる。
図12に示すように、ゲル(pH4.0〜6.5)上での天然のCTLA4A29YL104E−Igの等電点電気泳動法により、工程Cロット224818−2004−007、工程Bロット000929−287および共混合物ロット55128−162について、4.6〜5.5のpI範囲で同様のバンドパターンが生じる。この方法により、同じIEFゲル上で分析した場合に、工程BおよびCの物質が同等であることが示される。
等電点電気泳動標準物質は、バックグラウンドと容易に識別されるはずである(図12を参照)。
タンパク質標準 pI
レンチルレクチン 8.65
8.45
ウマ・ミオグロビン 7.35
6.85
コンアルブミン 5.90
ラクトグロブリン 5.20
大豆トリプシンインヒビター 4.55
アミログルコシダーゼ 3.50
CTLA4A29YL104E−Igは、約4.5〜約5.5のpI範囲を有する多数のバンド(>10)として同定される(図32)。
CTLA4A29YL104E−Igは、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)の修飾されたリガンド結合ドメインおよびヒトIgG1重鎖の定常領域からなる、第二世代のCTLA4−Ig融合糖タンパク質である。この新規分子は、免疫抑制剤としての治療適用性を有している。CTLA4A29YL104E−Igは、等電点電気泳動法(IEF)により分離され得る多数の電荷イソフォームを含んでいる。IEF法を用いて、CTLA4A29YL104E−Igの製剤原料および製剤両方の分析のためのIEF法が開発されてきた。この方法は、Ampholine(登録商標)PAGプレート(pH4.0〜6.5)Multiphore II平面電気泳動システムにおいてCTLA4A29YL104E−Igを分析するために使用される。CTLA4A29YL104E−Ig製剤原料、製剤および標準物質をMilli−Q水中に希釈し、ゲル上に直接負荷する。このゲルを、100mM β−アラニンに浸した陰極ストリップおよび100mMグルタミン酸/500mMリン酸に浸した陽極ストリップを用いて、電圧を上昇させながら2.5時間フォーカシングする。フォーカシング後、ゲルを固定化し、クマシーブルーで染色する。染色したゲルを、レーザーによる濃度測定法によりスキャンして、ゲルバンドの半定量分析をデジタル画像ファイル上で行う。
試薬調製:
陽極緩衝液溶液(100mL):0.5Mリン酸中0.1Mグルタミン酸;3.4mL 85%リン酸;1.47±0.02gグルタミン酸;Milli−Q水。グルタミン酸を50mLのMilli−Q水に加える。85%リン酸を十分量加えて100mLにして、攪拌混合する。6ヶ月の使用期限を指定して、4℃で保存する。
陰極緩衝液溶液(100mL):0.1M β−アラニン、0.9±0.02g β−アラニン、Milli−Q水。十分量の試薬をMilli−Q水で100mLにして、攪拌混合する。6ヶ月の使用期限を指定して、4℃で保存する。
固定液(2000mL):12%トリクロロ酢酸中の3.5%5−スルホサリチル酸、240±5.0gトリクロロ酢酸、70±2.0g 5−スルホサリチル酸、Milli−Q水。試薬および十分量のMilli−Q水を合わせて2000mLにする。3ヶ月の使用期限を指定して、室温で保存する。
装置およびゲル調製。Multiphore II電気泳動ユニットの冷却プラットフォームをMulti−Temp循環恒温槽に接続し、温度を10℃に設定する。循環槽を10±2℃に到達させる。ゲルを冷蔵庫から取り出す。ハサミを用いて、ゲル/ゲル支持体に切り込まないよう確認しながら包みの4辺全てに沿って注意深く切断する。約1.0mLのMilli−Q水を冷却プラットフォームの一端に加える。水がゲルの端全体を移動するように、ゲル/ゲル支持体の一端を水中に入れる。気泡の生成を避けながら、ゲルを冷却プラットフォームにわたるよう注意深く取り付ける。透明フィルムをゲル表面からとり除く。各電極ストリップを約3.0mLの適当な電極溶液(直下の表)に浸す。電極ストリップをゲルの上端および下端から約10mmに取り付ける。陰極ストリップを冷却プラットフォーム上の(−)マークの最も近くに、陽極ストリップを(+)マークの最も近くに置く。電極ストリップを取り付けたら、ゲル支持体との接触を避けながら、ストリップをゲルに適合するよう切断する。
サンプルアプリケーション・ピースを陰極ストリップの約10mm上に取り付ける。直前の表に定義した電気泳動パラメーターを用いて、電圧が300Vに達するまでゲルをプレフォーカシングする。
IEF pIマーカーおよび染色対照調製。IEF pIマーカーを100μLのMilli−Q水を用いて再構成する。炭酸脱水酵素II染色対照を1000μL Milli−Q水で再構成して、1.0mg/mL保存溶液を作る。10μLの保存溶液(1.0mg/mL)を90μL Milli−Q水に加えて、最終負荷濃度を0.10mg/mLにする。
サンプル調製。CTLA4A29YL104E−Ig参考物質およびサンプルを2mg/mLの濃度に希釈する。例:CTLA4A29YL104E−Igサンプルが25mg/mLの濃度を有しているなら、以下に示す希釈を用いて、2mg/mLの最終負荷濃度を調製する:
10μL(25mg/mL)+115μL Milli−Q水=2mg/mL
注:サンプル濃度が≦2.0mg/mLであるなら、サンプルを希釈せずに負荷する。
ゲル負荷。泳動パターンに基づきサンプル同定が容易になるようゲルに負荷する。ゲルに対称になるよう負荷しない。IEF pIマーカー、染色対照、CTLA4A29YL104E−Ig参考物質およびCTLA4A29YL104E−Igサンプルは直下の表にまとめた通りである。全てのサンプルをサンプルアプリケーション・ピース上に負荷する。
ゲル負荷パターン
* レーン1におけるIEF pIマーカーの負荷は、ゲルの方向性を規定するために必要である。2レーン内で負荷パターンを開始し、追加的サンプルについて負荷パターンを繰り返す。IEF pIマーカーは、少なくとも10レーン毎に負荷しなければならない(例:MRS
1S
2S
3S
4S
5S
6RM;M−マーカー−;R−参考物質、S
x−サンプル)。
ゲル処理。電極ホルダーをMultiphor IIユニット上に置き、電極をゲル上の電極ストリップの中心とそろえる。電極ホルダーの2つの電極をベースユニットに接続し、安全カバーを適所に置く。粘着テープを使用して、安全カバーの穴をふさぎ、ゲルが乾燥するのを防ぐ。電極を電源装置に接続する。電気泳動を適当な電圧、電流および電力で行う。電気泳動が完了したら、電源を切り、安全カバーおよび電極ホルダーを取り外す。電極ストリップおよびサンプルアプリケーション・ピースをゲルから注意深く取り出す。ゲルおよびゲル支持体全体を冷却板から取り出して、200mL固定溶液を有する280×180×40mm Pyrex(登録商標)皿中に入れる。その皿をプラスチックラップで覆い、室温で最小20分間オービタル・シェーカー上に置く。NOTE:ゲルは最大1時間染色すべきである。固定化が完了したら、ゲルを約200mLのMilli−Q水で5分ずつ3回洗浄する。GelCode Blue染色試薬溶液は、ボトルを数回転倒させることにより混合する。均一な試薬サンプルを用いることを確実にするために、分注前に染色試薬を混合することは重要である。約200mLの染色試薬を皿に加える。皿をプラスチックラップで覆い、室温で18〜20時間オービタル・シェーカー上に置いて、最適なバンド展開を達成する。染色が完了したら、染色試薬を約200mLのMilli−Q水で置き換えることにより、ゲルを洗浄する。最適な結果を得るために、1〜2時間で最小3回、水の交換を行う。
ゲルスキャンニングおよび分析。直前の表において規定されるスキャンパラメーターを用いてゲルをスキャンする。ゲルの分析は、スキャンされた画像ファイル上で行う。
ゲルスキャンニングおよび分析パラメーター
注:表3は、ゲル画像分析のための通常の指標を概説する。各バンドの検出パラメーターの適当な調整に関する詳細情報についてImageQuant TL(v2003.03)マニュアルおよび画面上の指示を参照。
ImageQuantTLにおける<1D Gel Analysis(1Dゲル分析)>からゲル画像ファイル(スキャンされた原データ)を開く。ツールバー上の<Contrast(コントラスト)>まで進み、<Image Histogram (画像ヒストグラム)>パラメーターを、全てのバンドがはっきりと見えるまで下げる。<Lane Creation(レーン作成)>を選択し、<Manual(マニュアル)>を選んで、分析すべき<Number of Lanes(レーン数)>を設定する。<Lane % Width(レーン幅%)>を100%まで調節して、ゲルレーンを覆う。必要ならば単一のレーンを適当にそろえる。<Rolling Ball>法を用いてバックグラウンドを差し引く。これは、IEFゲルの画像分析に決定的ではない。表3に列挙した初期<Minimum Slope(最小勾配)>、<Noise Reduction (ノイズ低減)>、および<% Maximum Peak(最大ピーク%)>設定を用いてバンドを検出する。これらの値の調節は、バンドを正確に同定するのに必要である。見逃されたバンドおよび誤認されたあらゆるバンドを手動で補正する。pH/pI 4.0〜6.5のゲルについて、System Suitability Section(システム適合性セクション)に列挙されたラベル化マーカー由来の標準pIマーカーを用いてバンドpI値を計算する。較正と正規化段階を行わない。さらに計算およびレポート作成のために、Measurements Window(測定ウィンドウ)内に含まれるデータをエクセルシートに転送する。結果報告用の定量分析を行うために、エクセルデータを有効な集計表に取り込む。
システム適合性。等電点電気泳動標準(pIマーカー)は、スキャンされたゲル画像の目視検査により、バックグラウンドから容易に識別され、示されるゆがみは限定的でなくてはならない(pIマーカー列挙のために直下の表を参照)。
注:ゲルのpH/pI範囲は4.0〜6.5であるから、等電点電気泳動標準の全てはゲル上に現れないであろう。3.50、4.55、5.20および5.85でのpIマーカーは、ゲル上で同定され、ラベルされるべきである。
CTLA4A29YL104E−Ig参考物質および被験物質のバンドパターンは、スキャンされたゲル画像の目視検査により、示されるゆがみは限定的でなくてはならない。一致したゲル染色が示されるように、炭酸脱水酵素II(pI5.4)の染色対照を低レベルのタンパク質の負荷(1.0μg)で用いる。バンドは、スキャンされたゲル画像の目視検査により、バックグラウンドと容易に識別されねばならない。CTLA4A29YL104E−Ig参考物質は、pI範囲4.5〜5.6内でバンド強度≧1.0%を有する8〜15バンドを有していなければならない。pI範囲4.5〜5.6内でのCTLA4A29YL104E−Ig参考物質バンドは、累積強度百分率≧95%を有していなければならない。
データ計算。以下の計算式を用いて、参考物質と比較したCTLA4A29YL104E−Igサンプルの累積強度百分率の計算を行う:
例:サンプルが95%のバンド強度%(pI4.5〜5.6)を有し、参考物質が100%のバンド強度(pI 4.5〜5.6)を有するなら、累積強度%は95%となるであろう。
ある態様において、CTLA4A29YL104E−Ig物質は、4.5〜5.6のpI範囲内で相対的バンド強度>1.0%を有するバンドを有するであろう。CTLA4A29YL104E−Ig物質は4.5〜5.6のpI範囲内でCTLA4A29YL104E−Ig参考物質のものと比較した累積強度%を有する。
実施例23:トランスフェクションおよび細胞株の生成
エレクトロポレーションの前に、発現ベクターpD16LEA29Yは、BstBI酵素を用いて線状化し、適合性の4bpオーバーハングを作成した。線状化ベクターおよびせん断ニシン精子キャリアDNA(担体として)をエタノールと共沈殿し、PF CHO培地(JRH Biosciences)中に無菌的に再懸濁して、DG44細胞中にエレクトロポレーションした。
エレクトロポレーション後、細胞を非選択培地中で回復させた。次いで細胞を、500ng/mLのrecombulin(Gibco)、4mM L−グルタミン(Gibco)およびメトトレキサート(ICN)を含有したPF CHOの選択培地において、96穴プレート中に播種した。
以下に示すように培養に添加するメトトレキサート(MTX)濃度を進行させて、このプレート培養(plating)から得たCTLA4A29YL104E−Ig産生細胞株を発現増幅のために選択した:
20nM→50nM→100nM→250nM→500nM→1μM MTX
CTLA4A29YL104E−Ig発現プラスミド全体を細胞ゲノムに組み込む。
産生細胞株選択
性能の最も良い、増幅された、元になる(master)ウェルの細胞株を2回限界希釈クローニングした後に、最終産生細胞株GF1.1.9を単離した。細胞株GF1.1.9は、増殖パターン、力価および他のクローンから生産された物質に比べて高分子量成分の量が低下し、シアル酸含量がより高い生産物に基づいて選択した。
実施例24:CTLA4A29YL104E−Igの遺伝子特性化
ゲノム安定性の検討
細胞バンクから得た細胞から単離したDNAおよびRNAを用いて、サザンおよびノーザンハイブリダイゼーション分析、およびCTLA4A29YL104E−Ig暗号配列に対するcDNAの配列決定を行った。これらの結果をCTLA4A29YL104E−Igから得た結果と比較した。
ノーザンハイブリダイゼーション分析、およびcDNA配列の配列決定の推定を以下に示す。
ノーザンハイブリダイゼーション分析
細胞バンクから得た細胞を播種した培養物を拡大して、ノーザンハイブリダイゼーション分析用にRNAを単離するために用いた。調製した培養物は、CTLA4A29YL104E−Ig生産工程において用いられるインビトロ細胞齢を約27代超えた細胞を表す。全RNAをCTLA4A29YL104E−Ig細胞バンクから得た細胞および拡大されたCTLA4A29YL104E−Ig細胞由来の細胞から抽出した。親CHO細胞株由来の全RNAを用いる対照もこれらの実験において用いた。約5μgの全RNAを、変性条件下でアガロースゲル電気泳動に供した。ゲル中のRNAを、ナイロン膜上にブロットし、CTLA4A29YL104E−Ig遺伝子を含有する32P−ラベル化1.2kb HindIII/XbaI DNAフラグメントとハイブリダイズした。プローブのために用いた1.2kb HindIII/XbaI DNAフラグメントは、プラスミドpD16LEA29Yから単離した。
CTLA4A29YL104E−Ig遺伝子プローブにハイブリダイズした約1.7キロベースのmRNA種を、図33に示すように細胞バンク由来の全RNAサンプルにおいて検出した。図33に示されるパネルAおよびパネルBは、エチジウムブロマイド染色されたアガロースゲルおよび対応するオートラジオグラムを各々表す。
これらの結果は、CTLA4A29YL104E−Igをコードしている唯一の転写物がCTLA4A29YL104E−Ig拡大細胞バンク由来の培養物中に発現されることを示す。さらに、細胞バンクを用いて得られた結果に比較して、これらのサンプルにおいてCTLA4A29YL104E−Ig mRNA転写物中にいかなる検出可能な変化も観察されなかった。
実施例25:サイズ排除クロマトグラフィー
CTLA4A29YL104E−Ig成分を分析するために、保護カラムを備えた7.8mm×300mm TosoHaas TSK−3000 SWXLカラムを用いて280nmでの検出を行うサイズ排除法が開発されている。CTLA4A29YL104E−Igを、単量体(一本鎖)、二量体または高分子量種(例えば、四量体)を含む生産物均一性について評価する。この方法は、名目濃度約10mg/mLで良好な精度(<2%)を示し、約0.5〜15mg/mLから直線状(r2=0.999)である。DL(検出限界)は、約2.26Φg/mLであり、QL(定量限界)は約7.53Φg/mLである。これらの可溶性CTLA4−Ig分子は、免疫抑制剤としての治療への応用可能性を有する、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)のリガンド結合ドメインおよびヒトIgG1重鎖の定常領域からなる融合タンパク質である。これらの化合物は、様々な抗原提示細胞(APC)の表面上のB7抗原(CD80およびCD86)への結合を通してそれらの生理学的効果を及ぼし、それによりB7.1およびB7.2のT細胞表面上のCD28との機能的相互作用を阻害する。この阻害は、T細胞活性化の抑制、ゆえに免疫応答の抑制をもたらす。LEA29YはCTLA4Igと2アミノ酸残基、Leu104−gluおよびAla29−Tryで異なるのみであるが、この分子は、B7.1およびB7.2抗原に対する親和性が著しく異なる。LEA29Yは、親CTLA4Igと比較して、ヒト型のB7.2(CD86)に対して5〜10倍高い親和性を示し、ヒトB7.1(CD80)に対して同様の親和性を示す。
保護カラムを備えたTSK−3000 SWXLカラム(7.8mm×300mm)によるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて280nmで検出することにより、CTLA4A29YL104E−Ig製剤原料を均一性について分析する。CTLA4A29YL104E−Ig二量体、高分子量(HMW)および低分子量(LMW)種が識別される。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、CTLA4A29YL104E−Igを生産物均一性について評価する。図34A〜Cは、工程B、工程Cおよび共混合物ロットについてのCTLA4A29YL104E−IgのSECクロマトグラムを示す。CTLA4A29YL104E−IgのSECにより、工程Cの物質は99.8面積パーセントが二量体、0.2面積パーセントがHMW種で、LMW種は検出不可能であることが示される。これらの結果は、工程Bの物質(二量体97.4面積パーセント、HMW 2.6面積パーセント、およびLMW<DL)と同程度である。
試薬:4N KOH(100mL);システム適合性標準(HPLC等級水に溶解した分子量マーカー);移動相流出緩衝液(0.2M KH2PO4、0.9%NaCl、pH6.8);4N NaOH;希釈緩衝液(25mM NaH2PO4−H2O、10mM NaCl、pH7.5)。
標準およびサンプル(10mg/ml)を、ラベル化オートサンプラーバイアル中で50ml容量として調製した。サンプルは、重複して調製した。
計算
分離能(R)測定および保持時間評価:20mLのシステム適合性標準を注入して、該標準を用いて得られたクロマトグラムの2ピーク(例えば、1つのピーク、ピーク1、保持時間約8.5分、および第二のピーク、ピーク2、保持時間約10分)間の分離能を以下の式を用いて計算する:
式中:
t
1=ピーク1の保持時間
t
2=ピーク2の保持時間
W
1=ピーク1のピーク幅
W
2=ピーク2のピーク幅
=2.12
ピーク幅は、比較的直線の両側をベースラインに外挿後の、ピークのベースでの幅(分)に等しい。保持時間およびピーク幅は、同じ単位で計測される。
Rは、≧1.3でなくてはならず、ピークの保持時間は約8.5±0.5分となるべきである。
理論段数の測定:システム適合性標準のクロマトグラムから、カラム効率は、以下の計算式に従う理論段数の計算により、測定することができる:
式中:
(t)は、ピーク2の保持時間(分)である。
(w)は、図1に見られるように、ピークの両側をベースラインに外挿することにより得られたピーク2のベースラインでの幅(分)である。
Nは≧2500でなくてはならない。
ピークの積分:クロマトグラムにおけるピーク面積を積分した(例えば、図34A−C)。CTLA4A29YL104E−Ig二量体ピークは約8.5分で、高分子量種ピークは約7.4分である。
範囲パーセントは、以下の計算式に従い計算することができる:
二量体の面積%=
100−(高分子量種の面積%+低分子量種の面積%)
式中:
A=CTLA4
A29YL104E−Ig二量体ピーク面積
B=CTLA4
A29YL104E−Ig二量体より小さい保持時間を有する全てのピークの全面積
C=CTLA4
A29YL104E−Ig二量体ピークより大きい保持時間を有する全てのピークの合計面積(封入(inclusion)容量を除く)。
全面積カウントの%RSD(封入容量を除く)を測定する。全面積カウントの%RSDは、2%以下でなくてはならない。面積が<2707面積カウントであるなら、#DL(検出限界)(約2.26μg/mL)として結果を報告する。面積カウントが2707〜9014であるなら、#QL(定量限界)(約7.53μg/mL)として報告する。面積カウントが≧9014であるなら、小数第一位までのパーセントとして結果を報告する。
実施例26:SDS−PAGEおよびジスルフィド結合
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
CTLA4A29YL104E−Ig分析のためのドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法を、純度試験として用いる。サンプルを、ジチオスレイトール(DTT)の存在下(還元)または非存在下(非還元)に、Tris−HCl(pH6.8)、SDS、ショ糖、およびブロモフェノール・ブルー・サンプル緩衝液中に調製する。サンプルを80℃水浴に2分間入れ、プレキャスト、勾配(4〜20%)ポリアクリルアミドSDSゲル中で、Tris−グリシンSDS泳動用緩衝液を用いて電気泳動する。電気泳動後、ゲルを固定化し、クマシーブルーまたは銀染色システムを用いて染色する。非還元CTLA4A29YL104E−Igは、約104kDの見かけのおよその分子量を有する1つの大きなバンドとして観察される。CTLA4A29YL104E−Igは、約53kDの見かけのおよその分子量を有する1つの主なバンドとして観察される。
工程Bロット000929−278、工程Cロット224818−2004−007および共混合物ロット551218−162のサンプルを、還元および非還元の両条件下に4〜20%勾配SDS-PAGEゲルを用いる電気泳動により分離した。図35および図36に示すように、ゲルをクマシーまたは銀染色のどちらかで別々に染色した。非還元CTLA4A29YL104E−IgのSDS−PAGEにより、無傷の単量体を表す約104kDaの主バンドが示された。より小さい3つのバンドは、電子的複製物上で見るのは容易でないが、約200、65および53kDaでも観察された。CTLA4A29YL104E−Igの還元サンプルは、一本鎖形を表す約53kDaでの主バンド、および約150kDaで小さいバンドを示す。この比較により、3つの試験物質は同じゲル上で分析した時に同等であることが示される。
ジスルフィド結合
ロット224818−2004−007を用いて工程Cの製剤原料についてジスルフィド結合を特性化した。CTLA4A29YL104E−Igの各鎖は、9個のシステインを含んでいる。これらはCys21、Cys48、Cys66、Cys92、Cys120、Cys171、Cys231、Cys277およびCys335である。還元および非還元CTLA4A29YL104E−Igの両方のオンラインLC/MS/MSによるペプチド・マッピングを用いて、CTLA4A29YL104E−Igにおける分子内および分子間ジスルフィド結合の部位を同定した。非還元CTLA4A29YL104E−Igのペプチド・マッピングから得たペプチドのリストを、予想および実測MWと共に表27に示す。
非還元ペプチドマップにおけるある種のピークの消失および還元ペプチドマップにおける新しいピークの出現は、3つのジスルフィド結合されたペプチドの証拠を与えた:Cys21−Cys92、Cys171−Cys231およびCys277−Cys335のジスルフィド結合に対応するT2−T6、T11−T17およびT25−T30。ペプチドT5およびT7は、比較的高い分子量を有しており、N−結合炭水化物を含むが、このことはジスルフィド結合の位置特定を難しくしている。より短く、炭水化物を含まないペプチドを得るために、CTLA4A29YL104E−Igをトリプシンおよびキモトリプシンの混合物で消化した。さらにキモトリプシンによる切断を行った結果、T7は35−アミノ酸ペプチドから15−アミノ酸ペプチドへと短くなり、これをT7'−T7'(N−結合炭水化物が除去されている)と称した。ジスルフィド結合したペプチドT7'−T7'は、非還元マップにおいて見出される(図37を参照)。T7'−T7'上でのMS/MSにより、その配列およびCys120−Cys120での鎖間ジスルフィド結合が確認された。
表27 非還元条件下でCTLA4
A29YL104E−Igのトリプシン消化から得たジスルフィド結合ペプチドのペプチド配列およびMW
aペプチドT5およびT7
-T7は、ジスルフィド結合の位置特定を困難にするN−結合グリコシル化の不均一性のために数個の質量を生じさせる。
また、トリプシンおよびキモトリプシン混合物での処理により、トリプシンのみによるCTLA4
A29YL104E−Igの加水分解で観察された他のジスルフィド結合ペプチドのより短い変化体に対応する、フラグメントが生成した。これらを表28に示す。
表28 消化(トリプシンおよびキモトリプシン)によるCTLA4
A29YL104E−Igのジスルフィド結合ペプチドのペプチド配列およびMW
トリプシンおよびキモトリプシン混合物でのCTLA4
A29YL104E−Igの消化は、T7−T7におけるジスルフィド対合を達成し、トリプシンのみでの消化により見られるジスルフィド結合を確認した。しかし、この酵素混合物は、同じく糖ペプチドであるペプチドT5に対していかなる効果も有していなかった。N−結合炭水化物をT5から除去するために、図38に示すように、CTLA4
A29YL104E−Igをトリプシンおよびエラスターゼ混合物で消化した。この酵素混合物は、T5を4つの異なる部位で加水分解し、表29に示すように(T5'−T5'')と称される、より短いペプチドを生じた。この得られたペプチドは、予測質量1259Daを有し、Cys46−Cys66に対応するジスルフィド結合を有していた。トリプシンおよびエラスターゼ混合物による非還元CTLA4
A29YL104E−Igの加水分解から得たペプチドマッププロファイルを、図38に示し、ペプチドT5'−T5''の配列を表29に示す。
表29:トリプシンおよびエラスターゼ混合物でのCTLA4
A29YL104E−Igの消化により得たペプチドT5'−T5''のペプチド配列およびMW
この結果は、CTLA4A29YL104E−Igが4つの分子内ジスルフィド結合をCys21−Cys92(T2−T6)、Cys48−Cys66(単一ペプチドT5に対応)、Cys171−Cys231(T11−T17)およびCys277−Cys335(T25−T30)の位置に有し、1つの鎖間ジスルフィド結合をCys120−Cys120(T7−T7)の位置に有することを示している。データは、全部で18個のシステイン残基を説明していた。いかなる誤対合も観察されなかった。
実施例27:CTLA4A29YL104E−Ig製剤
注射用CTLA4A29YL104E−Ig、100mg/バイアルは、無菌性の非発熱性凍結乾燥品である。製剤の組成を表30に示す。これは、灰色のブチル栓で蓋をし、アルミニウムシールで密封したI型ガラスバイアルに入れた、白からオフホワイトの完全またはフラグメント化ケーキである。この製品には、バイアル、針および注射器のホールドアップを計算に入れた10%の過剰充填が含まれている。
投与前に、注射用CTLA4A29YL104E−Ig、100mg/バイアルを4.2mLの注射用滅菌水(Sterile Water for Injection, USP)を用いて構成し、25mg/mLの濃度を得る。これをさらに5%注射用デキストロース(5% Dextrose Injection, USP)または0.9%注射用塩化ナトリウム(0.9% Sodium Chloride Injection, USP)で1mg/mLの低濃度に希釈することができる。構成され、希釈された溶液は、透明、無色および目視検査により粒子状物質が本質的に含まれていない。
a 各バイアルは再構成溶液のバイアル、針および注射器のホールドアップを計算に入れた10%の過剰充填を含む。
b 凍結乾燥中に除去
凍結乾燥されるべき凍結溶液のガラス転移温度は−28.9℃であることが測定された。凍結乾燥の検討は、生産物の品質を妥協することなく、第一の乾燥中に許容される最も高い可能な棚温度を決定するために様々な棚温度で行った。これらの検討に基づいて、−20℃の棚温度を、CTLA4A29YL104E−Igの凍結乾燥中、第一乾燥段階のために選択した。凍結乾燥サイクルの最後に、バイアルに減圧下で栓をする。
生産工程には、凍結乾燥機チャンバーにおける凍結乾燥のためのバルク溶液(適当な賦形剤と共に)を有するバイアルの凍結、次いで温度および圧力制御下での凍結水の昇華が含まれる。チャンバーにおける温度および圧力条件は、生産物品質を妥協することなく、効率的に昇華させるために最適化される。
様々な製品接触表面との溶液の適合性および包装材を検討した。溶液は、ステンレススチール316L、シリコンチューブ、AcrodiscTM、HT Tuffryn(ポリスルホン)、Millipore PVDF(フッ化ポリビニレン)フィルター膜および選択された容器密封システムと適合性であることが見出された。
注射用CTLA4A29YL104E−Ig、100mg/バイアルを、15cc I型フリントチューブガラスバイアルに入れ、20mm DaikyoグレーブチルD−21−7−S/B2−TRフルオロ樹脂被覆栓で蓋をし、20mmアルミニウム・フリップオフ・シールで密封した。
注射用CTLA4A29YL104E−Igのためのバイアル選択は、効率的な凍結乾燥を確実にするために、5.5mLの充填容量に基づいて行い、20mm DaikyoグレーブチルD−21−7−S/B2−TRフルオロ樹脂被覆栓の選択は、適合性データに基づいて行った。
長時間使用の適合性の検討を行った。注射用CTLA4A29YL104E−Ig 100mg/mLは、無菌水で注射用に25mg/mLに構成された場合、周囲室温で15℃〜25℃(華氏59〜77度)および室内光で24時間保存してよい。構成された溶液は、さらに0.9%注射用塩化ナトリウム(生理食塩水(Normal Saline/NS))または5%注射用デキストロース(D5W)を用いて1mg/mlまたは10mg/mLのどちらかに希釈され、PVCまたはIntra Via非PVCバッグ中、周囲温度15℃〜25℃(華氏59〜77度)、室内光で保存された場合に、24時間の間、効力の損失または高分子量種の増加がないことが示された。希釈された溶液は、投与前に0.2μmまたは1.2μm混合セルロース/アセテート・フィルターで濾過しなければならない。希釈された溶液は、0.2μmおよび1.2μm混合セルロース/アセテート・フィルターと適合性である。
生産物は、シリコンと非適合性である。それは、シリコンと相互作用して、目に見える粒子を形成する。ゆえに、シリコン化シリンジなどのシリコン処理表面との接触は避けるべきである。
実施例28:CTLA4−Ig生産工程
CTLA4−Igは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を用いた大規模細胞培養における分泌タンパク質として生産される。CTLA4−Ig生産工程は、一連のフラスコおよびシード(seed)・バイオリアクター接種物拡大段階を用いて開始される。最終シード・バイオリアクターの内容物を用いて、5000−L生産バイオリアクターに接種する。5000−L生産バイオリアクターから得た細胞培養採集物を浄化し、精密濾過および限外濾過により濃縮する。下流プロセシングのための調製において、細胞を含まない採集物質をpHおよび電気伝導度について調節する。CTLA4−Igは、一連のクロマトグラフィーおよび濾過段階を用いて精製する。下流CTLA4−Ig生産工程には、2つの陰イオン交換クロマトグラフィー段階、1つの疎水性相互作用クロマトグラフィー段階、および1つのアフィニティークロマトグラフィー段階が含まれる。これらの段階の目的は、CTLA4−Igタンパク質を精製し、高分子量CTLA4−Ig物質を除去してCTLA4−Ig製剤原料のシアル酸含量を制御することである。下流プロセシング段階には、ウイルス不活性化段階、および可能性ある迷入ウイルス物質を取り除くための濾過段階も含まれる。精製したCTLA4−Ig製剤原料を2−Lポリカーボネートボトルに充填し、標的温度−40℃で保存する前に標的温度−70℃で凍結した。凍結した製剤原料を解凍する。
N−アセチルノイラミン酸(NANA)は、CTLA4−Ig製剤原料中に存在する主なシアル酸種である。この章を通してシアル酸への言及は、特にこの種を指している。低レベルのN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)もCTLA4−Ig製剤原料中に存在する。NANAおよびNGNAの両レベルは、最終CTLA4−Ig製剤原料について測定される。CTLA4−Ig生産工程のための工程流れ図を以下に示す。
CTLA4−Igは、およその作業容量が4300Lである5000−L生産バイオリアクター中で生産される。1バッチのCTLA4−Ig製剤原料は、細胞バンクから得た1個のバイアル由来の1つの生産バイオリアクターから製造される。上流の細胞培養生産工程は、細胞バンクから得た1個の細胞バイアルを用いて開始される。バイアルを解凍し、全内容物を用いて細胞培養増殖培地を有するT−フラスコに播種する。次いで、細胞を一連のスピナーフラスコ中で拡大する。最終スピナーフラスコ接種物拡大段階から得たフラスコを用いて、140−Lシード・バイオリアクターに播種する。この140−Lシード・バイオリアクターは約100Lの作業容量を有している。140−Lシード・バイオリアクターの内容物を用いて、1100−Lシード・バイオリアクターに播種する。この1100−Lシード・バイオリアクターは約600Lの作業容量を有している。1100−Lシード・バイオリアクターの内容物を用いて、5000−L生産バイオリアクターに播種する。この細胞を5000−L生産バイオリアクターにおいて約14日間培養する。生産バイオリアクター段階に続いて、1つのバイオリアクター由来の細胞培養ブロスをさらに処理するために採集容器に移す。接線流精密濾過(MF)ユニットを用いて、分泌されたCTLA4−Igタンパク質を宿主細胞および細胞破砕物から分離する。CTLA4−Igタンパク質−含有MF濾液を、次いで限外濾過(UF)により濃縮し、最初のクロマトグラフィー段階のための調製においてpHおよび電気伝導度について調節する。
CTLA4−Ig製剤原料の精製および下流プロセシング段階は、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ウイルス不活性化、アフィニティークロマトグラフィー、接線流UF濃縮およびダイアフィルトレーション、ウイルス濾過、第二の陰イオン交換クロマトグラフィーおよびUF濃縮およびダイアフィルトレーションからなる。HIC段階は、処理されるCTLA4−Igの量に応じて、CTLA4−Igの1バッチ当たり多数のサイクルを使用する。多数のHIC段階サイクルから得た工程内物質を、続くウイルス不活性化段階のためにプールする。異なるロット由来の工程内物質はプールしない。多数のウイルスフィルターを、CTLA4−Igの1つのロットを処理するために平行して用いてもよい。ウイルス濾過に続いて、さらに処理するために濾液をプールする。
CTLA4−Igの各ロットを0.2μmフィルターで濾過して2−Lポリカーボネート(PC)ボトルに入れ、2〜8℃で一時的に保存する。CTLA4−Igの2−L PCボトルを−70℃の標的温度で凍結し、次いで−40℃の標的温度で保存する。製剤原料のボトルをインキュベーター中、22〜24℃で解凍し、出荷前に2〜8℃に冷却する。
生産
CTLA4−Igは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を用いる大規模細胞培養物中で生産される。CTLA4−Ig上流生産工程は、細胞バンク由来の凍結バイアルの解凍で開始される。培養物をT−フラスコ、次いで一連のスピナーフラスコ培養中で増殖させる。これらの培養物を140−Lシード・バイオリアクターに移す。140−Lシード・バイオリアクターから得た培養物を1100−Lシード・バイオリアクターに移す。1100−Lシード・バイオリアクターから得た培養物を用いて、5000−L生産バイオリアクターに播種する。生産バイオリアクターを、標的シアル酸のCTLA4−Igタンパク質に対するモル比に主に基づいて採集する。細胞培養採集物を、精密濾過(MF)および限外濾過(UF)の組み合わせを用いて浄化、濃縮する。最後に、濃縮した細胞不含採集物質を、下流プロセシングのための調製において、特定の電気伝導度およびpHを達成するよう調節する。
細胞培養およびフィード培地調製
固体および液体培地成分の重さを量り、計測する。2つの細胞培養培地をこの工程で用いる。培地127−Gを、T−フラスコ、スピナーフラスコ、シード・バイオリアクターおよび生産バイオリアクター段階において用いる。培地117−Eを、生産バイオリアクター段階におけるフィード培地として用いる。培地127−Gの組成を、直下の表に示す。
成分 濃度
CD-CHO 25×酸可溶物I 40.0mL/L
CD-CHO 25×酸可溶物II 40.0mL/L
CD-CHO 25×塩I 40.0mL/L
CD-CHO 25×塩II 40.0mL/L
L-グルタミン 0.585g/L
r-ヒトインスリン(10mg/mL溶液) 0.1mL/L
メトトレキサート(20mM溶液) 5μL/L
重炭酸ナトリウム 2.22g/L
注射用水 必要に応じて
1N HCl溶液 pH調製のために0〜5mL/L
10N NaOH溶液 pH調製のために0〜10mL/L
培地117−Eの組成を以下に示す。
成分 濃度
e-RDF-1培地 16.47g/kg
デキストロース 30.29g/kg
D-ガラクトース 12.38g/kg
L-グルタミン 4.02g/kg
r-ヒトインスリン(10mg/mL溶液) 0.98mL/L
TCイーストレート(Yeastolate) 4.90g/kg
注射用水 必要に応じて
1N HCl溶液 pH調製のために0〜5mL/L
10N NaOH溶液 pH調製のために0〜2mL/L
e−RDF−1培地の組成を以下に示す:
成分 濃度(mg/L)
硫酸銅5H2O 0.0008
硫酸第一鉄7H2O 0.220
硫酸マグネシウム(MgSO4) 66.20
硫酸亜鉛7H2O 0.230
ピルビン酸ナトリウム 110.0
DL-リポ酸チオクト 0.050
リノール酸 0.021
L-アラニン 6.68
L-アルギニン 581.44
L-アスパラギン 94.59
L-アスパラギン酸 39.93
L-シスチン2HCl 105.38
L-グルタミン酸 39.7
グリシン 42.8
L-ヒスチジンHCl-H2O 75.47
L-イソロイシン 157.40
L-ロイシン 165.30
L-リシンHCl 197.26
L-メチオニン 49.24
L-フェニルアラニン 74.30
L-プロリン 55.3
L-ヒドロキシプロリン 31.5
L-セリン 85.10
L-トレオニン 110.8
L-トリプトファン 18.40
L-チロシン2Na2H2O 108.10
L-バリン 108.9
パラアミノ安息香酸 0.51
ビタミンB12 0.339
ビオチン 1.00
D-Caパントテン酸塩 1.29
表(続き):
成分 濃度(mg/L)
塩化コリン 12.29
葉酸 1.96
i-イノシトール 46.84
ナイアシンアミド 1.47
ピリドキサールHCl 1.00
ピリドキシンHCl 0.420
リボフラビン 0.21
チアミンHCl 1.59
プトレシン2HCl 0.020
工程においてT−フラスコおよびスピナーフラスコ中で用いられる127−G細胞培養培地を、混合用攪拌機および容量測定のためのガラス窓を備えた培地容器において調製する。T−フラスコおよびスピナーフラスコ接種物拡大段階において用いる培地127−Gのバッチサイズは75Lである。培地127−Gは、注射用水(Water For Injection, WFI)を用いて調製する。固体および液体培地成分をWFIに加える。各成分の添加後、必要とされる時間の間に培地を混合する。WFIを加えて、培地を最終バッチ容量75Lにする。サンプルを最終培地調製物から取り、サンプルのグルコース濃度、pH、および浸透圧を測定して、その培地が規定された許容基準を満たすことを確認する。培地を0.2μmフィルターで濾過して、滅菌ポリエチレン・テレフタラート・グリコール(PETG)ボトルに分注する。T−フラスコおよびスピナーフラスコ接種物拡大段階のために調製した培地127−Gを2〜8℃で最大42日間保存する。140−Lおよび1100−Lシード・バイオリアクター段階のための培地127−Gを、混合用攪拌機を備えた容器中に調製する。140−Lシード・バイオリアクター段階において用いる培地127−Gのバッチサイズは120Lである。140−Lシード・バイオリアクター用培地の調製に用いる容器は、容量計測のための目盛り付きガラス窓を備えている。1100−Lシード・バイオリアクター段階において用いる培地127−Gのバッチサイズは600kgである。1100−Lシード・バイオリアクター用の培地の調製に用いる容器は、重量測定のための差圧伝送器を備えている。
培地127−Gの必要容量を、連続した0.2μmおよび0.1μmフィルターを通して140−Lおよび1100−Lシード・バイオリアクターに移す。140−Lおよび1100−Lシード・バイオリアクター段階のために調製した培地127−Gを、37℃で最大48時間保持してもよい。培地を4℃でさらに84時間保持してもよい。
5000−L生産バイオリアクター段階において用いる127−Gおよび117−E細胞培養培地の調製
5000−L生産バイオリアクター段階のための培地127−Gは、攪拌機および重量測定のための差圧伝送器を備えた培地調製容器中で調製する。5000−L生産バイオリアクター段階において用いる培地127−Gのバッチサイズは2900kgである。培地127−Gの必要容量を、連続した0.2μmおよび0.1μmフィルターを通して5000−L生産バイオリアクターに移す。5000−L生産バイオリアクター段階のために調製した培地127−Gを37℃で最大48時間保持してもよい。この培地を4℃でさらに84時間保持してもよい。
フィード培地117−Eは、混合のための攪拌機および重量測定のための差圧伝送器を備えた培地調製容器において調製する。5000−L生産バイオリアクター段階において用いる培地117−Eのバッチサイズは、1800kgである。培地117−Eの成分を、培地調製容器中のWFIの特定重量に加える。各成分の添加後の必要時間でこの培地を混合する。WFIを加えて、培地を特定の最終重量にする。サンプルを最終培地調製物から取り出し、培地が規定された許容基準を満たすことを確認するためにサンプルのグルコース濃度、pHおよび浸透圧を測定する。必要容量の培地117−Eは、連続した0.2μmおよび0.1μmフィルターを通してフィード培地含有タンクに移す。5000−L生産バイオリアクター段階のために調製した培地117−Eは37℃で最大2日間保持してもよい。培地を4℃でさらに4日間保持してもよい。
T−フラスコおよびスピナーフラスコ接種物拡大段階における接種物拡大段階
CTLA4−Ig生産工程のT−フラスコおよびスピナーフラスコ接種物拡大段階の目的は、細胞バンクのバイアル由来の細胞を連続的に増殖させて、140−Lシード・バイオリアクターに接種するための十分な数の生存細胞を得ることである。細胞バンクから得た1個のバイアルを液体窒素保存冷凍庫の気相から取り出し、水浴中37℃で解凍する。バイアルの全内容物を滅菌円錐形遠心管15−mLに無菌的に移す。培地127−Gを加えて最終容量を10mLにする。細胞懸濁物を遠心分離し、上清を捨てて、細胞ペレットを10mLの127−G細胞培養培地中に再懸濁する。再懸濁した細胞を、10mLの127−G培地を含有するT−175フラスコに移す。T−175フラスコ中の培養物の生存細胞密度および生存率パーセントを測定する。この段階での生存率パーセント≧84%が達成された。培地127−GをT−175フラスコに加えて、標的生存細胞密度2.1×105細胞/mLを達成する。
T−175フラスコを、6%二酸化炭素の雰囲気下、37℃で最大4日間インキュベートして、標的最終細胞数1.80×107生存細胞を達成する。T−175フラスコ段階に続いて、培養物を0.25−L、1−Lおよび3−Lの一連のスピナーフラスコ段階を用いて拡大する。各継代時に、細胞を標的密度2.0×105生存細胞/mLで播種する。スピナーフラスコ培養物を6%二酸化炭素下、37℃でインキュベートする。
最終3−Lスピナーフラスコ接種物拡大段階から得た細胞培養物質を、滅菌した20−L接種物移動容器中にプールする。3−Lスピナーフラスコ接種物拡大段階での最終生存細胞密度1.0〜2.0×106細胞/mLおよび細胞生存率最小パーセント≧80%が達成された。これらの例示的値は、十分な数の生存細胞が140−Lシード・バイオリアクターの播種に用いられることを確実にする。最終3−Lスピナーフラスコ接種物拡大段階から得た全容量12L〜18Lのプール細胞培養物を用いて、140−Lシード・バイオリアクターに播種する。
140−Lおよび1100−Lシード・バイオリアクター接種物拡大段階
CTLA4−Ig生産工程の140−Lおよび1100−Lシード・バイオリアクター接種物拡大段階の目的は、5000−L生産バイオリアクターに播種するための十分な数の生存細胞をもたらすことである。シード・バイオリアクターは、細胞培養培地127−Gを用いるバッチ様式で操作される。温度、pH、溶存酸素、圧力、空気のための攪拌および気体流速度、酸素、および二酸化炭素は、分散制御システム(DCS)により制御され、シード・バイオリアクター中の培養物の最適増殖のための条件が与えられる。シード・バイオリアクターは、37℃で操作する。サンプルは、シード・バイオリアクターから取り出し、生存細胞密度、生存率パーセントおよび代謝物の濃度を測定する。
140−Lシード・バイオリアクターに、3−Lスピナーフラスコ接種物拡大段階から得たプールされた接種物を用いて播種し、標的初期生存細胞密度2.0×105細胞/mLを得る。1100−Lシード・バイオリアクター接種物拡大段階で最終生存細胞密度1.0〜2.5×106細胞/mLおよび細胞生存率最小パーセント≧80%が達成された。これらの許容基準は、十分な数の生存細胞が5000−L生産バイオリアクターに播種するために用いられることを確保するものである。1100−Lシード・バイオリアクターから得た細胞培養物を5000−L生産バイオリアクターに移して、標的初期生存細胞密度1.5×105細胞/mLを達成する。
生産バイオリアクター段階
5000−L生産バイオリアクター段階の目的は、生存細胞の数を拡大し、CTLA4−Igタンパク質を生産させることである。生産バイオリアクター段階の期間は約14日間である。1100−Lシード・バイオリアクターから得た接種物を、細胞培養培地127−G含有5000−L生産バイオリアクターに接種する。生産バイオリアクターは、流加培養法で操作される。温度、pH、溶存酸素、圧力、空気のための攪拌および気体流速度、酸素、および二酸化炭素は、DCSにより制御され、生産バイオリアクター中の最適な培養物の増殖およびCTLA4−Igタンパク質の生産のための条件が与えられる。
5000−L生産バイオリアクター段階の間、細胞増殖およびCTLA4−Ig生産を最適にするために、3段階温度制御戦略を用いる。生産バイオリアクターの最初のインキュベーション温度を、37℃に制御して、最適な細胞増殖を達成させる。生産バイオリアクター中で生存細胞密度4.0×106細胞/mLが達成されたとき、または播種時から144時間のいずれか先に到達した時に、温度を34℃に低下させる。温度を240時間で32℃に低下させ、採集するまで32℃に維持する。毎日のサンプルは、5000−L生産バイオリアクターから得て、細胞増殖、細胞生存率、代謝物濃度、CTLA4−Ig力価およびCTLA4−Igタンパク質に対するシアル酸のモル比をモニターする。
生産バイオリアクターへの培地117−Eのフィーディングは、播種時から12〜24時間で開始する。培養物容量に対して1%(v/v)のフィード培地の到達目標を達成するよう117−E培地を毎日加えるか、またはグルコース濃度を3g/Lにするよう十分な容量のフィード培地117−Eを加える。このフィーディング戦略は、十分なレベルのグルコースおよび他の栄養素を培養物に与えて、生産バイオリアクター段階の間のCTLA4−Igタンパク質の生産を支持するものである。
培地117−EにD−ガラクトースを補って、CTLA4−Igタンパク質のグリコシル化の増大を促進させる。ガラクトース補充の結果、CTLA4−Igタンパク質の末端シアル酸含量が増大する。シアル酸のCTLA4−Igタンパク質に対するモル比は、CTLA4−Ig生産工程において重要な採集基準である。
また、生産バイオリアクター中の溶存酸素および攪拌速度を制御するために、3−段階戦略を用いる。初期攪拌速度30rpmにより、物理的状態の均一性が確保され、5000−L生産バイオリアクター内の細胞の沈殿が防止される。初期溶存酸素の設定値40%は、生産バイオリアクター中の培養物の増殖を支持する十分なレベルの溶存酸素の利用可能性を確保する。溶存酸素および攪拌速度の設定値は、播種時から96時間で各々50%および40rpmに上昇させる。播種時から120時間で、溶存酸素および攪拌速度のための設定値は、さらに各々60%および50rpmに上昇させる。この戦略は、生産バイオリアクター段階の間、細胞培養物を維持するために十分なレベルの溶存酸素を確保する。CTLA4−Igタンパク質の力価は、生産バイオリアクター段階の過程で増大する。この段階の過程を通して培養物生存率をモニターする。シアル酸のCTLA4−Igタンパク質に対するモル比を、播種後6日から採集時まで毎日2回モニターする。シアル酸のCTLA4−Igタンパク質に対するモル比は、播種時から約8日目で約10でピークに達し、次いで生産バイオリアクター段階の残りの時間、徐々に低下する。生産バイオリアクターの主な採集基準はシアル酸のCTLA4−Igタンパク質に対するモル比である。生産バイオリアクターは、標的シアル酸のCTLA4−Igタンパク質に対するモル比8.0で採集する。
さらに、最小細胞生存率値38%が、培養物の採集物について達成された。これらの採集基準は、CTLA4−Ig製剤原料への下流プロセシングのための工程内採集物質の一貫性を確保する。播種拡大開始からCTLA4−Ig上流生産プロセスにおける生産バイオリアクターの採集を通した細胞世代数の合計は約38世代である。該工程において用いられる細胞株は、細胞株安定性の検討において105世代の間安定であることが示された。
採集操作段階
採集操作段階の目的は、採集物質から細胞および細胞破砕物を取り出して、さらに下流プロセシングのためにCLTA4−Igタンパク質を含有する工程内ストリーム(stream)を濃縮することである。MFおよびUFシステムを採集物質の処理の前に浄化する。MFおよびUFシステムを、過酢酸溶液でフラッシュする。次いで、MFおよびUFシステムを漂白溶液および水酸化ナトリウム溶液で各々処理する。最後に、未透過物(retentate)および透過物中の電気伝導度≦3μS/cmが達成されるまで、MFおよびUFシステムをWFIでフラッシュする。5000−L生産バイオリアクターから得た細胞培養ブロスを採集容器に移す。0.65μmポリフッ化ビニリデン膜を有する接線流MFを用いて、CLTA4−Igタンパク質を含む工程内採集物質から細胞および細胞破砕物を除去する。細胞を含まないMF透過物を透過物容器中に集める。細胞を含まないMF透過物を、30キロダルトン(kDa)の名目分子量カットオフを有するポリエーテルスルホン膜を用いる接線流UFにより同時に濃縮する。UF透過物を、MF工程段階のためのダイアフィルトレーションの媒体として用いる。0.1Nリン酸溶液をMFシステムの保存に用いる。0.1N水酸化ナトリウム溶液をUFシステムの保存に用いる。MFおよびUF操作中、温度、透過物および非透過物の流速および膜間圧をモニターし、制御する。流速は、濾過スキッド上に存在するインライン流量計により測定する。センサーを用いて、圧力および温度を測定する。MF非透過物の流速163〜235L/分およびMF膜間圧≦3.8psigが達成された。これらの値は、採集操作段階の性能における一貫性を確保するものである。
採集操作における最終段階は、浄化、濃縮された工程内採集物質のpHおよび電気伝導度の調節である。最初の下流クロマトグラフィープロセシング段階の間、CLTA4−Igタンパク質を捕捉するために、濃縮された工程内採集物質のpHおよび電気伝導度を調節する。pHを、2M Tris溶液添加により8.0に調節し、WFIの添加により濃縮透過物の電気伝導度を10mS/cmに低下させる。次いで、濃縮および調節された工程内採集物質を、0.2μmディスポーザブルフィルターを有する3つの平行したそして1つの連続したフィルターハウジングで濾過し、下流精製領域におけるサージタンクに移す。
実施例29− CTLA4−Ig精製工程
実施例28に記載の採集操作段階から得た、最終のpH−および電気伝導度が調節された物質は、まず陰イオン交換クロマトグラフィー段階を用いて処理する。次いで、この最初の陰イオン交換クロマトグラフィー段階から得た生産物プールを、疎水性相互作用クロマトグラフィー段階を用いて処理する。次いで、CTLA4−Ig含有物質をTriton X−100で処理して、可能性ある迷入ウイルス物質を不活性化する。Triton X−100処理物質を組み換えプロテインAアフィニティークロマトグラフィー段階を用いて処理する。組み換えプロテインAクロマトグラフィー段階から得た生産物プールを濃縮して、ダイアフィルトレーションする。次いで、可能性ある迷入ウイルス物質除去のためのウイルス濾過段階を行う。濾液を、さらに第二の陰イオン交換クロマトグラフィー段階を用いて精製する。最後に、精製したCTLA4−Igタンパク質を濃縮してダイアフィルトレーションして、最終製剤原料緩衝液に入れる。
CTLA4−Igは、ヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原−4の機能性結合ドメインとIgG1クラスのヒトモノクローナル免疫グロブリンのFcドメインからなる遺伝子組み換えの融合タンパク質である。CTLA4−Ig二量体は、1個のジスルフィド結合により各々共有結合している約46kDaの2つの相同グリコシル化ポリペプチド鎖からなる。CTLA4−Ig生産工程の下流段階のための工程流れ図を示す。CTLA4−Igは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を用いる5000−L生産バイオリアクター中で生産される。下流CTLA4−Ig生産工程におけるクロマトグラフィーおよび濾過段階は、周囲温度で行う。処理段階の間、工程内物質を2〜8℃で保存する。下流工程は、採集操作段階からの工程内採集物質の受け入れから開始する。この物質を最初にQ Sepharose(登録商標) Extreme Load(QXL)樹脂を用いる陰イオン交換クロマトグラフィーカラムで処理する。QXLカラムはCLTA4−Igタンパク質を採集物質から捕捉するよう機能する。QXLカラム捕捉段階は、さらなる下流プロセシングのために容量の縮小も達成する。
QXL生産物プールは、Phenyl Sepharose Fast Flow樹脂を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムを通す。この段階の間、CLTA4−Ig高分子量(HMW)物質およびチャイニーズハムスター卵巣宿主細胞タンパク質(CHOP)をカラムに結合させる。CLTA4−Ig二量体タンパク質は、HIC樹脂に結合せず、カラムを通過する。HIC段階に続いて、Triton(登録商標)X−100界面活性剤を用いたウイルス不活性化(VI)を行い、可能性ある迷入ウイルス物質を不活性化する。次の段階は、組み換えプロテインA Sepharose Fast Flow(rPA)樹脂アフィニティーカラムを使用するものである。このクロマトグラフィー段階において、CHOPおよび単球走化性タンパク質1(MCP−1)のレベルは低下する。rPA段階は、ウイルス排除段階であると定義される。アフィニティークロマトグラフィー段階の後に、CLTA4−Igタンパク質を濃縮し、30kDa限外濾過(UF)膜を用いて透析し、Planova(登録商標)15nmフィルターを通して処理し、可能性ある迷入物質を除去する。ウイルス濾過(VF)段階が完了したら、CLTA4−Igタンパク質を第二の陰イオン交換カラム(Q Sepharose Fast Flow(QFF)樹脂を使用)で処理する。QFFクロマトグラフィー段階は、残存する組み換えプロテインAおよびDNAレベルを低下させる。QFF段階は、ウイルス排除段階であると定義される。最後に、CLTA4−Igタンパク質を濃縮し、ダイアフィルトレ−ション(25mMリン酸ナトリウム、50mM NaCl、pH7.5溶液に対して30kDa UF膜を使用)する。次いで、CLTA4−Ig製剤原料を、最終充填段階の前に0.2μmフィルターで濾過する。
工程関連の不純物CHOP、MCP−1、残存する組み換えプロテインA、DNAおよびTriton X−100を、CTLA4−Ig生産工程の特定の下流プロセシング段階で減少させる。処理限界を有するPPは、各不純物のための主な工程内制御ポイントで確立されている3。生産物プールCHOPおよびMCP−1をrPAクロマトグラフィー段階のためのPPとして同定する。生産物プールの残存組み換えプロテインAリガンド、DNAおよびTriton X−100をQFFクロマトグラフィー段階のためのPPとして同定する。インスリンの既知の構造およびクロマトグラフィー保持に基づいて、HIC、rPAおよびQFF段階は、相互作用の直交モード(orthogonal modes)に基づきインスリンの有意なクリアランスを与えるはずである。さらに、分子量5.8kDaを有するインスリンは、採集および下流工程における3つの30kDa濃縮/ダイアフィルトレーション段階により除去されるべきである。rPA段階は、メトトレキサート(MTX)の>3.0 log10クリアランスを与える。さらに、分子量0.455kDaを有するMTXは、採集および下流工程における3つの30kDa濃縮/ダイアフィルトレーション段階により除去すべきである。インスリンおよびMTXは発酵培地に一定量が加えられ、下流プロセシングの前の5000−L発酵工程の間、細胞代謝の関数として消費される。下流工程において多数の点でインスリンおよびMTXを測定する。これらの各点でのインスリンおよびMTXレベルは、完了した過去の実行の定量レベルより低かった。
緩衝液:緩衝液調製の目的は、例示的な値、処理限界およびアラート限界に適合する下流プロセシング緩衝液を製造することである。一貫した緩衝液品質は、再現性あるクロマトグラフィー性能を確保するために不可欠である。CTLA4−Ig工程CD−CHO1の下流段階は、17の緩衝液および溶液を必要とする。緩衝液および溶液は、調製されて1ロット内で特定のプロセシング段階のために使用される。CTLA4−Ig工程内物質と接触する緩衝液は、重要な工程緩衝液であると考えられる。生産物−接触緩衝液には、平衡化、洗浄、溶離および生産物プール調整緩衝液が含まれる。洗浄および浄化段階、およびクロマトグラフィー・スキッドにおける紫外吸光(UV)検出器の機能試験において用いる緩衝液および溶液は、広い指定範囲を有する。これらの緩衝液および溶液が広い指定範囲を有し、生産物の接触がないために、これらの緩衝液および溶液にはいかなるPPも指定されていない。10の生産物−接触緩衝液のために規定されたPPおよび対応する例示的な値を要約する。これらの緩衝液についての最大保持時間限界は3日であり、これは緩衝液溶液保持の検討9から得られ、緩衝液安定性の検討により支持されている。また生産物−接触緩衝液は、対応するアラート限界を有する指定PPを有している。これらの緩衝液についてのPPおよび対応するアラート限界を示す。CTLA4−Ig工程内物質と接触しない緩衝液および溶液は、アラートまたは処理限界を有する指定PPを有しており、それらを示す。非生産物−接触緩衝液および溶液はエンドトキシンに対して試験しないが、なぜならそれらは浄化溶液またはクロマトグラフィー樹脂洗浄緩衝液または溶液であって、その後にカラム浄化段階が存在するからである。
Q Sepharose Extreme Load陰イオン交換クロマトグラフィー段階
陰イオン交換クロマトグラフィーは、GE Healthcare(旧Amersham Biosciences)から得たQXL樹脂を用いて行う。1.0m内径カラムにQXL樹脂を17〜24cmの高さ(133〜188Lの容量を表す)まで充填する。カラムは、充填カラムの理論段(HETP)に相当する高さおよび非対称性(As)を測定することにより使用に適格とされる。HETP0.02〜0.08cmおよびAs0.8〜1.2は、QXLカラムの適格性のために必要である。QXLカラムは、CTLA4−Igタンパク質を工程内採集物質から捕捉するよう機能する。QXL捕捉段階は、さらなる下流プロセシングのために容量縮小も行う。QXLカラム操作は周囲温度で行う。浄化された細胞培養ブロスを平衡化QXLカラム上に充填する。QXLクロマトグラフィー段階は、最大流速28L/分を用いて行う。カラム入口圧力を35psig未満に維持する。QXLカラムに対する最大のアバタセプトタンパク質負荷は、樹脂1リットル当たりアバタセプト28グラムである。25mM HEPES、100mM NaCl、pH8.0緩衝液で平衡化することにより、カラムを調製する。カラム平衡化後、採集物質をカラム上に負荷し、流出物のUV吸収を280nmで連続的にモニターする。負荷適用後、カラムを25mM HEPES、120mM NaCl、pH8.0緩衝液で洗浄する。CTLA4−Igタンパク質を、25mM HEPES、850mM NaCl、pH7.0緩衝液を用いてカラムから溶離させる。直下の表は、Q Sepharose Extreme Loadクロマトグラフィー段階のための工程パラメーターを示す。
採集物保持時間は、確立されたアラート限界を有する工程一貫性を保証する。プレ濾過生産物プールのバイオバーデン・パラメーターは、一時的なアラートおよび処理限界が各々<10cfu/mLおよび<100cfu/mLに指定されている。処理限界により規定されている6つのQXL PPは、カラム高さ、流速、洗浄緩衝液電気伝導度、溶出ピーク端光学密度(OD)、段階収率(step yield)および負荷バイオバーデンである。カラム高さの範囲は、採集物質から生産物を捕捉するために十分な樹脂容量を得るよう確立された。このパラメーターに対する処理限界は、データから確立された。流速は、クロマトグラフィー段階の一貫性および性能を確保するために重要な因子である。それは、最大処理限界を有するPPとしてQXL段階のために規定される。洗浄緩衝液の電気伝導度は、弱く結合した不純物をQXL樹脂から除去するよう確立される。規模縮小範囲決定試験により、このパラメーターがQXL段階の一貫性の維持に重要な因子であることが確定された。溶出ピーク末端ODは、生産物プールにおけるCTLA4−Ig HMW物質のレベルを最小にするために規定される。CTLA4−Ig HMW物質は、溶出ピークの終端で溶出する。段階収率の処理限界は、QXL段階についての工程一貫性を確保する。流速、溶出ピーク末端ODおよび段階収率PPについての処理限界が確立された。負荷バイオバーデンは、処理限界<1cfu/mLに指定される。12のQXL PPは、示すようなアラート限界により規定される。
工程における緩衝液のpHおよび電気伝導度値をモニターする。調製時にpHおよび電気伝導度の例示的な値に適合しない緩衝液を排除して、その緩衝液ロットを捨てる。QXL段階のために、平衡化緩衝液の電気伝導度およびpH、洗浄緩衝液のpH、および溶離緩衝液の電気伝導度およびpHを規定する。カラム入口圧力は、結合−および−溶離クロマトグラフィー段階の間の一貫性を確保する。QXL段階は、最大圧力限界35psigで行う。製造者の仕様書に従い、QXL樹脂の圧縮を予防するために圧力限界35psigを用いる。生産物プールの電気伝導度は、アラート限界を有するPPである。QXL生産物プールにおけるCTLA4−Ig HMW物質およびCHOPがその後のHICカラムに効率的に結合することを確実にするために、生産物プールの電気伝導度はアラート限界が指定される。アラート限界58.5〜69.1mS/cmが確立された。肯定の一貫性を確保するために、生産物プール力価、シアル酸(SA) N−アセチルノイラミン酸(NANA)モル比、CTLA4−Ig HMW物質およびCHOPは、アラート限界が指定される。生産物プールの力価およびSAアラート限界が確立された。
採集操作段階から得た工程内物質をQXLカラム上に負荷する。カラムを最小10CVの洗浄緩衝液(25mM HEPES、120mM NaCl、pH8.0)で洗浄し、カラム溶出液の280nm(A280)での吸光度を洗浄段階の終わりに測定する。次いで、25mM HEPES、850mM NaCl、pH7.0緩衝液を用いてアバタセプトをカラムから溶離させる。A280が洗浄段階終了時の吸光度単位(AU)値の上方≧0.02AUに上昇したときに、溶出液を回収容器に移し替えた。溶出ピークの後縁のA280が≦1.0AUの値に低下するまで溶出液を集める。溶出液回収容器に溶離緩衝液を直接加えて、溶出液の標的重量600±10kgを達成する。溶出液回収容器中の攪拌速度30±5rpmを用いて、内容物の十分な混合を確保する。混合時間≧5分の後に、回収容器の内容物を0.2μm酢酸セルロースフィルターで濾過して、保持容器に直接入れる。さらに50kgの溶離緩衝液を回収容器に加え、次いで0.2μm酢酸セルロースフィルターで濾過して同じ保持容器に入れる。保持容器の内容物を2〜8℃で72時間まで保存する。
表5 Q Sepharose Extreme Loadクロマトグラフィー段階のための工程パラメーター
Phenyl Sepharose Fast Flow疎水性相互作用クロマトグラフィー段階
HIC段階の主な目的は、QXL生産物プールに存在するCTLA4−Ig高分子量種(例えば、四量体)のレベルを低下させることである。CTLA4−Ig四量体は、HIC段階に用いる負荷条件下でHIC樹脂に結合しない。
HIC段階は、Phenyl Sepharose Fast Flow樹脂(GE Healthcare)を用いて行う。このHICカラムはCTLA4−Ig HMW物質およびCHOPに結合し、ゆえにCTLA4−Igタンパク質流におけるそれらの濃度を低下させる。HICカラムは、25mM HEPES、850mM NaCl、pH7.0緩衝液を用いた平衡化により調製する。QXL段階から得たCTLA4−Ig生産物プールを平衡化カラムに適用する。負荷適用後、25mM HEPES、850mM NaCl、pH7.0緩衝液をカラムに適用する。CTLA4−Igを貫流(flowthrough)およびカラム追跡分画においてカラムから回収する。HICカラムは、QXL生産物プールにおけるCTLA4−Igの全質量に依存してCTLA4−Igの1個のロットを処理するために多サイクルで操作する。サイクルおよびロットの間でカラムを浄化して清浄にする。
HIC負荷バイオバーデンPPをアラートおよび処理限界により規定する。HIC負荷バイオバーデンPPは、一時的なアラートおよび処理限界が各々<10cfu/mLおよび<100cfu/mLに指定されている。カラムに対して規定された5つのHIC値は、カラムの高さ、流速、追跡終了OD、段階収率および負荷保持時間である。カラムの高さは、1ロット当たり1、2または3サイクルでQXLカラムから得た溶出プールを処理するために十分な樹脂容量を得るよう決定された。このパラメーターに対する処理限界は、データから確立された。流速は、クロマトグラフィー段階の一貫性および性能を確保するために重要な因子である。それは、最大処理限界を有する工程パラメーターとしてHIC段階のために規定される。追跡終了ODは、生産物プールにおけるCTLA4−Ig HMW物質のレベルを最小にするよう規定される。CTLA4−Ig HMW物質は、生産物ピークの終わりに溶出する。工程段階収率は、HIC段階のための工程一貫性を確保する。流速、追跡終了ODおよび段階収率PPに対する処理限界は、確立された。負荷保持時間に対する処理限界は、工程の一貫性を確保する。負荷保持時間PPについての処理限界≦5日は、生産物容器保持時間の検討および生化学的安定性の検討により支持されている。9つのHIC PPは、示すようにアラート限界により規定されている。下流工程における緩衝液のpHおよび電気伝導度パラメーターは、アラート限界を有するPPとして同定される。調製時にpHおよび電気伝導度の例示的な値に適合しない緩衝液を排除し、その緩衝液ロットを廃棄する。HIC段階のために、平衡化/追跡緩衝液の電気伝導度およびpHは、アラート限界を有するPPとして規定される。
カラム入口圧力は、クロマトグラフィー段階の間の一貫性を確保する。HIC段階は、最大圧力限界13psigで行う。製造者の仕様書に従い、HIC樹脂の圧縮を予防するために圧力限界13psigを用いる。生産物プール力価およびSAアラート限界は、工程一貫性を確保し、PARレポート12において確立された。生産物プールDNA、CHOPおよびMCP−1は、続くrPA段階におけるそれらの除去の定量化を容易にするためにこの段階でアラート限界が指定される。
表7 Phenyl Sepharose Fast Flow疎水性相互作用クロマトグラフィー段階のための工程パラメーター
表7 Phenyl Sepharose Fast Flow疎水性相互作用クロマトグラフィー段階のための工程パラメーター(続き)
ウイルス不活性化段階:HIC段階から得た生産物プール中の潜在的迷入ウイルス物質の不活性化は、最終濃度0.5%(v/v)までの20%Triton X−100の添加により達成される。次の段階に進む前に、界面活性剤処理された溶液を混合し、22±3℃で1〜4時間保持する。VI段階のために規定された5つのPPを示す。20%Triton X−100添加パラメーターの上限は3.8%である。ウイルス不活性化段階のための工程パラメーターを示す直下の表を参照。
表9 ウイルス不活性化段階のための工程パラメーター
組み換えプロテインA Sepharose Fast Flowアフィニティー段階
GE Healthcareから得た固定化rPA樹脂を用いてアフィニティークロマトグラフィーを行う。rPAクロマトグラフィー段階は、CHOP、MCP−1および潜在的迷入ウイルス物質のレベルを低下させることにより、さらにCTLA4−Igタンパク質を精製する。アフィニティークロマトグラフィーカラムを25mM Tris、250mM NaCl、pH8.0緩衝液で平衡化する。カラムの平衡化後、VI段階から得た、Triton X−100処理された物質をアフィニティークロマトグラフィーカラムに適用する。カラムを最初に25mM Tris、250mM NaCl、0.5%Triton X−100、pH8.0緩衝液で洗浄し、次いで25mM Tris、250mM NaCl、pH8.0緩衝液を用いて第二の洗浄を行う。CTLA4−Igタンパク質を、100mMグリシン、pH3.5緩衝液を用いてカラムから溶出させる。アフィニティーカラムから得た生産物プールのpHを、2M HEPES、pH8.0緩衝液を用いて7.5±0.2に調整する。rPA段階のために規定される4つのPPを表10に示す。rPAクロマトグラフィー段階はウイルス除去段階として同定され、ゆえに、カラムベッド高さは例示的な値21〜25cmを有する新しいPPとして確立された。生産物プールCHOPおよび生産物プールMCP−1は、rPA段階のためのPPとして既に同定された。これらの不純物を処理限界を有するPPとして再規定した。組み換えプロテインA Sepharose Fast Flowクロマトグラフィー段階のための工程パラメーターを示す直下の表を参照。
rPA段階のための3つのPPをアラートおよび処理限界の両方により規定し、示す。負荷保持時間は、PARレポートにおいて確立されたアラート限界を有する工程一貫性を確保する。負荷保持時間のための処理限界は工程一貫性を確保する。負荷保持時間PPに対する処理限界≦48時間は、生産物容器保持時間の検討および生化学的安定性の検討により支持される。範囲決定試験により、溶離緩衝液pHは、rPA生産物プールにおけるCTLA4−Ig HMW物質のレベルに影響を与える重要な因子として同定された。溶離緩衝液pHに対するアラート限界が確立された。溶離緩衝液pHに対する処理限界は、規模縮小範囲決定試験から確立された。rPA負荷バイオバーデンPPは、各々、一時的なアラートおよび処理限界<10cfu/mLおよび<100cfu/mLとして指定された。
処理限界により規定された7つのrPA PPは、カラム入口圧力、流速、段階収率、生産物プール初期pH、生産物プールHMW、生産物プールCHOPおよび生産物プールMCP−1である。製造者の仕様書に従い、rPA樹脂の圧縮を予防するために圧力限界≦13psigを用いる。流速は、クロマトグラフィー段階の一貫性および性能を確保するために重要な因子である。これは、最大処理限界を有するPPとしてrPA段階のために規定される。段階収率および生産物プール初期pHについての処理限界は、rPA段階のための工程一貫性を確保する。流速および生産物プール初期pHについての処理限界は確立された。ピーク溶出中のCTLA4−Ig HMW物質の可能な形成は、このパラメーターについての処理限界≦2.5%の規定を必要とする。処理限界範囲66〜108%は、rPA樹脂の1個のロットから得た平均±3標準偏差のデータを用いて確立された。この範囲は、樹脂の寿命試験において観察された段階収率と合致する。工程関連の不純物CHOPおよびMCP−1は、rPA段階についてのPPとして以前に同定されている。このレポートにおいて、これらの不純物は、処理限界を有するPPとして再規定された。生産物プールのCHOPおよびMCP−1は、これらの工程関連不純物の制御を確保するために、例示的な値を有するCQAsとして規定された。12個のrPA PPは、示すようにアラート限界により規定される。下流工程における緩衝液のpHおよび電気伝導度パラメーターは、アラート限界を有するPPとして同定される。調製時にpHおよび電気伝導度の例示的な値に適合しない緩衝液を排除し、その緩衝液ロットを廃棄する。rPA段階のために、平衡化/洗浄2緩衝液の電気伝導度およびpH、洗浄1緩衝液の電気伝導度およびpHおよび溶離緩衝液の電気伝導度は、アラート限界を有するPPとして規定される。
表11 組み換えプロテインA Fast Flowクロマトグラフィー段階のための工程パラメーター
表11 組み換えプロテインA Fast Flowクロマトグラフィー段階のための工程パラメーター(続き)
濃縮/ダイアフィルトレーションおよびウイルス濾過段階
rPAカラムからの溶出時に、生産物プールを濃縮して、CTLA4−Ig濃縮の限界内の標的容量を達成する。次いでこの濃縮物を、30kDa名目分子量カットオフ(NMWC)膜によるUFシステムを用いる、25mM HEPES、100mM NaCl、pH8.0緩衝液を使用するダイアフィルトレーションにかける。ダイアフィルトレーション後に、フィルター列を用いて、潜在的迷入ウイルス粒子を除去する。フィルター列は、0.2μmフィルター、0.1μmフィルターおよび15nm膜フィルター(Planova 15Nフィルター)からなる。VF段階(0.2μm、0.1μmおよび15nm)において用いるフィルターは、使い捨てのフィルターである。UF後のCTLA4−Ig濃度の範囲およびPlanova差圧の上限は、これらの条件を用いた、示されたウイルス除去に基づいて上昇した。ウイルス濾過段階のための工程パラメーターを示す下の表を参照。
Q Sepharose Fast Flow陰イオン交換クロマトグラフィー段階
QFFクロマトグラフィー段階の目的は、残存プロテインAレベルを低下させ、ウイルス濾過段階生産物プール由来の宿主細胞DNAのさらなる減少をもたらすことである。QFFカラム段階も用いて、QFFクロマトグラフィー段階生産物プールのシアル酸のCTLA4−Ig分子またはタンパク質に対するモル比を制御し、さらにHMW物質レベルを制御する。また、QFF陰イオン交換クロマトグラフィー段階は、残存する組み換えプロテインA、宿主細胞DNA、Triton X−100および潜在的迷入ウイルス物質を除去することができる。
陰イオン交換クロマトグラフィーは、GE Healthcareから得たQFF樹脂を用いて行う。QFFカラムを25mM HEPES、100mM NaCl、pH8.0緩衝液で平衡化する。カラム平衡化後、Planovaの濾液をQFFカラムに適用する。カラムをまず、25mM HEPES、120mM NaCl、pH8.0緩衝液で洗浄し、次いで第二の洗浄を25mM HEPES、130mM NaCl、pH8.0緩衝液を用いて行う。CTLA4−Igタンパク質は、25mM HEPES、200mM NaCl、pH8.0緩衝液を用いてカラムから溶出する。
QFF負荷バイオバーデン値は、各々<10cfu/mLまたは<100cfu/mLである。処理限界により規定される12のQFF PPは、流速、洗浄2緩衝液電気伝導度、溶離緩衝液電気伝導度、負荷保持時間、段階収率、およびQFF生産物プール中のl残存プロテインA、DNA、Triton X−100、SA、HMW、CHOPおよびMCP−1のレベルである。流速は、クロマトグラフィー段階の一貫性および性能の確保において考慮すべき因子である。これはQFF段階のために、PARレポートにおいて確立された最大処理限界を有する工程パラメーターとして規定される。洗浄2および溶離緩衝液の電気伝導度値は処理限界を有するPPであるが、なぜならそれらは段階収率および生産物品質の決定に重要であるからである。これらのパラメーターのための処理限界は、規模縮小QFF範囲試験中に決定された。負荷保持時間についての処理限界は、工程一貫性を確実にする。負荷保持時間PPについて処理限界≦5日は、生産物容器保持時間試験および生化学的安定性試験により支持される。段階収率は、QFF段階のための工程一貫性を確保する。品質パラメーター、生産物プールSA、HMW、CHOPおよびMCP−1は、最終クロマトグラフィー段階において厳しく制御されねばならない。段階収率、およびQFF生産物プールにおけるSA、CHOPおよびMCP−1のレベルの処理限界は確立された。工程関連の不純物である残存プロテインA、DNAおよびTriton X−100は、既にQFF段階のためのPPとして同定された。これらの不純物は、処理限界を有するPPとして再規定された。残存プロテインA、DNAおよびTriton X−100は、工程関連の不純物の制御を確実にするために、例示的な値を有するCQAとして規定される。この例において、生産物プールHMWについての処理限界は≦2.5から≦2.0%に修正された。
下流工程における緩衝液のpHおよび電気伝導度パラメーターは、アラート限界を有するPPとして同定される。調製時にpHおよび電気伝導度の例示的な値に適合しない緩衝液を排除し、その緩衝液ロットを廃棄する。QFF段階のために、平衡化緩衝液の電気伝導度およびpH、洗浄1緩衝液の電気伝導度およびpH、洗浄2緩衝液のpH、および溶離緩衝液のpHは、アラート限界を有するPPとして規定される。これらの限界は確立された。カラム入口圧力は、結合−および−溶出クロマトグラフィー段階の間の一貫性を確保する。QFF段階は、製造者の仕様書に従い、最大圧力限界35psigで行う。洗浄1緩衝液容量、洗浄2緩衝液容量、生産物プール力価および生産物プール容量は、工程一貫性を確保するためにアラート限界
12が指定される。
表15 Qセファロース高速(Q Sepharose Fast Flow)クロマトグラフィー段階のための工程パラメーター
表15 Qセファロース高速クロマトグラフィー段階のための工程パラメーター(続き)
濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階。QFF 陰イオン交換クロマトグラフィー段階から得た生産物プールを濃縮して、30kDa NMWC膜によるUFシステムを用いる25mMリン酸ナトリウム、50mM NaCl、pH7.5緩衝液を使用するダイアフィルトレーションにかける。ダイアフィルトレーションされた濃縮物を、0.2μmフィルターで濾過して、滅菌容器に入れ、2〜8℃で保存する。製剤原料は、必要なら−70℃で凍結させて、−40℃で保存してもよい。濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階のために規定された1個のPPを示す。製剤原料濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階のための工程パラメーターを示す、直下の表を参照。
UF II生産物プールバイオバーデンPPを、各々一時的なアラートおよび処理限界<10cfu/mLおよび<50cfu/mLに指定する。濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階のための処理限界により規定された6つのPPは、示すようにダイアフィルトレーション容量、濾液の電気伝導度およびpH、段階収率、負荷保持時間、および工程収率である。ダイアフィルトレーション容量の下限は、充填段階前の最終製剤原料緩衝液へのCTLA4−Igタンパク質の完全な緩衝液交換を確保するために確立された。濾液電気伝導度および濾液pHは、さらに一貫性ある製剤原料製剤化を確保する。段階収率は、濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階のための工程一貫性を確保する。ダイアフィルトレーション容量、濾液伝導度およびpH、および段階収率のための処理限界は、確立された。負荷保持時間についての処理限界は、工程一貫性を確保する。UF II負荷保持時間≦5日は、生産物容器保持時間試験および生化学的安定性試験により支持される。工程収率の処理限界20〜62%が推奨された。2つのPPは、示すようにその段階についての工程一貫性を確保するためにアラート限界により規定される。
表17 製剤原料濃縮/ダイアフィルトレーションおよび充填段階のための工程パラメーター
実施例30:製剤原料最終充填段階
CTLA4−Igの濃縮およびダイアフィルトレーションII段階の完了後に、CTLA4−Ig製剤原料を、300−Lバイオプロセスバッグから予め滅菌された2−Lおよび10−LBiotainer PCボトル中に、クラス100の環境内で充填する。
各ボトルの外側を70%イソプロパノール溶液で殺菌する。各ボトルのキャップの周りからシールを取り除き、充填前にボトルの風袋を計測する。バッチ記録において計算を記録して、確実に充填重量が2−Lボトルに対して500グラム〜1950グラムで、10−Lボトルに対して7500グラム〜10200グラムになるようにした。蠕動ポンプを用いて製剤原料を、使い捨て0.45/0.2μmフィルターおよびフィリング・ベル(filling bell)を通してBiotainerボトル中に分注する。ボトルにキャップをして、指定のトルク設定までキャップを締める。各充填ボトルのキャップにテープでシールをし、このテープに頭文字と日付を付ける。各ボトルに、識別情報ならびに充填日、ロット内の充填ボトルの連番およびオペレーターのイニシャルをラベルする。
充填工程中、空気および表面微生物のモニタリングおよび粒子計測を行う。製剤原料サンプルを充填操作中に得る。エンドトキシン試験のために最初のボトルの充填前に1つのサンプルを得る。エンドトキシン試験のためにさらなるサンプルを、充填工程の間および最後に得る。充填工程中に、サンプル製剤原料放出試験のためのサンプルを得る。
実施例31:免疫原性の試験
CTLA4−Igは、ヒト免疫グロブリン(Ig)G1の修飾Fc(ヒンジ、CH2およびCH3ドメイン)部分に連結したヒト細胞傷害性Tリンパ球−関連抗原4(CTLA−4)の細胞外ドメインからなる可溶性融合タンパク質である。これは完全なT細胞活性化に用いられるCD80/CD86:CD28共刺激シグナルを選択的に調節する、関節リウマチ(RA)治療のために承認された新しいクラスの薬物における最初のものである。RAにおいては、主要組織適合性複合体を介して未知の抗原が提示され、共刺激シグナルの存在下に自己反応性T細胞を活性化することが前提となる。続いて、活性化されたT細胞は下流免疫細胞を集めて活性化し、炎症および関節破壊をもたらす細胞性プロセスを組織化し永続させる(Choy and Panayi(2001) N Engl J Med, 344(12):907−916)。
組み換え生物学的治療薬、例えばCTLA4−Igは、免疫原性であり得、ゆえに抗体反応を引き出す可能性を有する。生物学的薬物に対する免疫原性は理論的に、安全性、有効性および薬物動態に影響を及ぼし得る。生物学的治療の抗体介在性クリアランスは、薬物レベルの低下をもたらし、結果として有効性を低下させ得る。また抗体反応は、薬物がその薬理学的標的に結合するのを妨げる可能性があり、これも有効性を低下させるであろう。これは、用量の経時的な段階的増大−いわゆる「用量クリープ(creep)」に対する必要性を導き得る。用量クリープは、RA治療における抗TNF抗体、インフリキシマブの使用の延長を伴うことが報告されており(Anderson(2005) Semin Arthritis Rheum, 34(5 Suppl1):19−22)、これはある種の患者において臨床効果の低下を導く抗インフリキシマブ抗体の結果であるとして最近示されている(Haraoui et al., (2006) J Rheumatol, 33(1):31−36)。
ここで、抗CTLA4−Igおよび抗CTLA−4抗体の生成、およびCTLA4−Ig治療の有効性および安全性に対するそれらの可能な効果が検討された。CTLA4−Igは、選択的共刺激調節物質としてのその活性および非臨床モデルにおいて観察される応答に基づいて、自身に対する免疫応答を阻害するようであるから、免疫原性のレベルに対する1〜2用量の欠如および治療の中断の効果も検討された。最後に、血清反応陽性サンプルを、抗体活性の中和のために試験した。
材料および方法
評価された試験
RAを有する患者においてCTLA4−Igが免疫原性の応答を引き起こすか否かを決定するために、抗体反応を、メトトレキサート(MTX)または抗TNF治療への反応が不十分であった患者を含む2,237人のRA患者における6つのDBおよび4つのOL試験期間からなる多数のIIおよびIII相臨床試験にわたって評価した。また1つの試験(IIa相)は、単剤治療としてのRA治療に対するCTLA4−Igを評価した(表40)。サンプルを、試験前、治療を通して、ならびにCTLA4−Igのクリアランスのための時間を与えるため最終投与後56および/または85日目に総合的に評価した。
RA=関節リウマチ;MTX=メトトレキサート;DB=二重盲検法;TNF=腫瘍壊死因子;DMARD=疾患修飾性抗リウマチ薬;ETAN=エタネルセプト;OL=非盲検;PK=薬物動力学的
*OL、非対照期間における被験者は、DB、プラセボ対照試験期間を終了したものの部分集合である。
事前に指定した注入周囲の有害事象(AE)、全体的AEおよび重篤AE(SAE)、および中止の発生率とタイプを、CTLA4−IgまたはCTLA−4に対する陽性抗体反応を発現した患者において調べた。また、有効性に対する免疫原性の影響を、陽性抗体反応を有する患者における米国リウマチ学会(ACR)20および健康状態質問票(Health Assessment Questionnaire)回答を評価することにより調べた。
免疫原性アッセイ
基本的なアッセイ形式:特にRA群においては、ヒト血清中のCTLA4−IgのFc部分に対して向けられた交差反応性が高く、既に存在するので、2つの直接−形式の酵素免疫吸着法(ELISA)を用いて、抗体反応を評価した。抗CTLA4−Igアッセイにより、分子の全ての部分に対する抗体反応が測定されたが、感受性は低かった。抗CTLA−4アッセイにより、CTLA−4部分のみ(Ig領域を除く)に対する抗体反応が測定され、これにより与えられた感受性は高かった。両アッセイを、終点力価(EPT)形式(アッセイA)またはスクリーニング形式(アッセイB)のどちらかで用いた。
アッセイA形式:II相二重盲検臨床免疫原性アッセイ法
II相RA試験中に用いられる抗CTLA4−Igアッセイおよび抗CTLA−4アッセイは、アッセイAと総称した。アッセイAにおいて、CTLA4−IgまたはCTLA−4を96穴マイクロタイタープレート上に吸着させ、次いでこれを試験血清(3倍連続希釈、1:10で開始)と共にインキュベートした。アルカリホスファターゼとコンジュゲート化した抗ヒト抗体カクテル(Southern Biotech、Birmingham、US)を用いて、結合した抗体を検出し、p−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)基質を用いて視覚化した。いかなるヒト抗CTLA4−Ig抗体または陽性対照血清も入手可能でなかったので、これらのアッセイは、カニクイザルにおいて得られたCTLA4−Ig−特異的抗血清を用いて有効なものとした。各アッセイから得た結果をEPT値として表した。患者は、彼/彼女のEPTが、個々の投与前(1日目)EPTと比較して、2またはそれ以上の連続希釈分(≧9倍)上昇したなら、セロコンバージョンしたと考えられた。
アッセイB形式:III相およびII相非盲検臨床免疫原性アッセイ法
III相試験、および2年II相OL期のために、抗CTLA4−Igおよび抗CTLA−4アッセイの両方を修飾して、非特異的バックグラウンドを低下させて、感受性を上昇させ、陽性決定方法を変更し、これをアッセイBと総称した。さらにこれらのアッセイは、カニクイザル抗血清から精製したCTLA4−Ig−特異的抗体を用いて有効なものとした。各ELISAのために、CTLA4−Ig(0.25μg/mL)またはCTLA−4(0.5μg/mL)でコーティングした96穴マイクロタイタープレートを1:400希釈した試験血清と共に22±5℃(抗CTLA4−Ig)で2時間、1:25希釈した試験血清と共に32〜40℃(抗CTLA−4)で2時間インキュベートした。第一のインキュベーション後、結合した抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート化抗ヒト抗体カクテル、次いでテトラメチルベンジジン基質を用いて検出した。
抗CTLA4−Igアッセイに対する結果を、投与後サンプルのOD値を同じプレート上で分析された対応する投与前サンプルOD値で割ることにより計算されたポスト/プレ比として表現した。陽性は、プラセボ処置したRA患者のサンプルを用いて確立されたカットオフ値を基にした。この比の値がカットオフより小さいなら、サンプルは陰性であるとみなされ、力価値<400として報告された。このカットオフを超えるいかなる値も条件的に陽性であるとみなされた。
抗CTLA−4アッセイに対する結果を、平均患者血清サンプルのODを同じプレート上の陰性対照の平均ODで割ることにより計算した「比1」値として表現した。陽性は、陰性対照としてプラセボ処置したRA患者から得たプール血清を用いて確立された値を基にした。値が特定のカットオフより小さいなら、サンプルは、陰性であるとみなされ、力価値<25として報告した。このカットオフを超えるいかなる値も条件的に陽性であるとみなされた。
確認分析
各アッセイ(抗CTLA4−Igおよび抗CTLA−4)および各アッセイ形式(アッセイAおよびB)において同定された条件的に陽性であるサンプルを、イムノデプレション(immunodepletion)アッセイにおいて評価し、反応の特異性を測定した。抗CTLA4−Ig陽性サンプルを約40μg/mLのCTLA4−Ig(分子のCTLA−4部分)、他の非関連Ig融合タンパク質(CD40Ig)または非関連タンパク質(オボアルブミン)のいずれかと共に予めインキュベートし、抗CTLA4−Ig反応性が向けられている可能性のある分子領域(CTLA−4、Igまたは結合領域)を同定した。抗CTLA−4陽性サンプルを、同様にCTLA4−Ig、CTLA−4部分またはオボアルブミンのいずれかと共に予めインキュベートして、抗CTLA−4反応性の特異性を確認した。事前インキュベーションに次いで、全てのサンプルを、上記の同じ元のアッセイ形式において再度分析した。事前インキュベーションの結果、未処理サンプルと比較して事前インキュベーションを行ったサンプルの≧30%のOD低下が生じたサンプルは、確認された陽性であるとみなされた。確認されたら、サンプルを滴定して、特定のアッセイのカットオフに等しい比の値をもたらす血清希釈を同定し、この値をEPTとして報告した。
中和−抗体活性評価
CTLA−4に対する薬物特異的抗体を有する患者サンプルの、CTLA4−Ig活性を阻害または中和(CD80/86への結合を阻害)する(T細胞表面上のCD80/86へのその結合を妨げることによる)能力を評価するために、バイオアッセイを行った。インターロイキン(IL)−2プロモーター制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現している安定なJurkat T細胞形質転換体に、抗CD3抗体の存在下でDaudi B細胞を用いて共刺激した。Jurkat T細胞上のCD28と、抗CD3抗体と組み合わせたDaudi B細胞上のCD80/86の間の相互作用により仲介されるこの共刺激は、IL−2プロモーターを活性化し、ルシフェラーゼ遺伝子の転写の増大をもたらし、ゆえにルシフェラーゼタンパク質の発現を増大させる。発光シグナルを、ルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定する。CTLA4−IgはCD80/86:CD28相互作用を阻害するので、CTLA4−Igの細胞混合物への添加はこのIL−2プロモーター活性化を阻害し、発光を低下させるが、中和抗体との事前インキュベーションは、共刺激相互作用を回復させ、発光の増大をもたらすであろう。
1:25の投与後血清反応陽性の血清の存在下のバイオアッセイにおいて0.1、0.25または0.5μg/mLの濃度でCTLA4−Ig反応を測定し、その対応する1日目のサンプル存在下の反応と統計学的に比較することにより、CTLA4−Ig中和抗体活性を評価した。バイオアッセイにおいてCTLA4−Ig−中和活性を有する抗ヒトCTLA−4マウスモノクローナル抗体(11D4)を、各分析実行における陽性対照として用いた。バイオアッセイ試験法に固有の限界のために、CTLA4−Igの存在レベル≦1μg/mLを有する投与後サンプルのみを評価することができたが、これはより高い薬物レベルは中和反応に干渉し、さらなるサンプル希釈はアッセイの感受性を低下させることになるからであった。
薬物動力学的評価
陽性免疫応答が確認されたII相/III相試験のDB期から得た患者由来の血清サンプルデートについて母集団薬物動態(POPPK)解析を行った。有効なPOPPKモデルを個々の患者血清濃度データに適用し、個々のPKパラメーター値の最大事後ベイズ推定値を得た。これらの患者についてのクリアランス、容量推定値、定常状態曲線下面積(AUC)値、および投与後体内の薬物の最低濃度(Cmin)値の分布を、免疫応答を発現しなかった同じ試験由来の患者の大きなデータセットにおけるこれらの値の分布と比較した。
結果
抗CTLA4−Igおよび抗CTLA−4反応の発生率
計2,237人の患者は、プレ−およびポスト−ベースライン血清サンプルの両方を有しており、評価のために適格であった。これらの、62(2.8%)人の患者は、アッセイAまたはBを用いて測定したときに、抗CTLA4−Igまたは抗CTLA−4反応の証拠を有していた(図39)。いかなる患者も、CTLA4−IgのFcおよびCTLA−4ドメインの両方に免疫応答を示さなかった。3人の患者は、結合領域への応答性を有していた。より感受性の高いアッセイBを用いたときに、CTLA4−Igに対する抗体反応が、1,990人の患者のうち60人で検出された(3.0%)(図39)。
III相試験(n=1,764)において評価された患者のうち、203人はDBまたはOL期の間にCTLA4−Ig治療を中止したか、または続くOL試験期間に入らず、治療の中止後56および/または85日目に血清を集めた。203人の患者のうち、15人(7.4%)はCTLA4−Ig(分子全体;n=5、2.5%)またはCTLA−4(n=10、4.9%;表42)のどちらかに免疫陽性反応を有していた。III相DB期を終了し、OL治療へと継続した残りの1,561人のRA患者のうち、40人(2.6%)はDBまたはOL期の間に陽性抗体反応を有していた(33人(2.1%)はCTLA4−Igに対して、7人(0.4%)はCTLA−4に対して)。興味深いことに、単剤治療としてのTLA4−IgのIIa相試験において、いかなる患者もCTLA4−Igまたは分子のCTLA−4部分に対してセロコンバージョンしなかったが;感受性の比較的低いアッセイA形式を用いた。
計191人の患者は、DBおよびOL期間への参加の間にCTLA4−Ig投与がない期間が30日を超えていた。これらの、3人(1.6%)の患者は、OL期の間にCTLA4−Igに対する陽性抗体反応を有し、1人(0.5%)の患者はCTLA−4に対する陽性抗体反応を有していた(表41)。さらに、試験薬物の1〜2投薬を欠落し、試験中のいずれかの時点で再開した587人のRA患者から得た血清を分析した。これらの患者のうち、15人(2.6%)は、CTLA4−Igに対する陽性抗体反応を示し、7人(1.2%)はCTLA−4に対する陽性抗体反応を有していた(表41)。
表41 CTLA4−Igの使用を中断した血清反応陽性患者数(%)
CTLA−4=細胞傷害性Tリンパ球関連抗原−4;DB=二重盲検法;OL=非盲検
併用メトトレキサートの免疫原性に対する効果
計2451人の患者はMTXを併用し、493人の患者は併用しなかった。全体として、CTLA-Igに対して陽性抗体反応を有する患者のパーセントは、MTX併用または非併用であっても概して同様であった(2.3%対1.4%)(表42)。
表42 メトトレキサート併用または非併用の、抗CTLA4−Igまたは抗CTLA−4反応を有する患者数(%)
CTLA−4=細胞傷害性Tリンパ球関連抗原−4
CTLA4−Igの安全性および有効性に対する免疫原性の影響
全ての陽性患者についてのAE、SAE、注入周囲AEの率を評価し、免疫原性と安全性の間のいかなる関係も観察されなかった。同様に、免疫原性と有効性の間のいかなる関係も示されなかったが;セロコンバージョンした患者数が限られているために、これらのデータの解釈は、限定的である。
抗CTLA−4抗体の中和活性
20人の患者から得た24の血清サンプルは、抗CTLA−4抗体スクリーニングアッセイにおいて抗CTLA−4反応性について陽性であることが確認された。これらのうち、14サンプル(13人の患者から集めた)は、中和バイオアッセイにおける評価のための例示的な値(≦1μg/mL CTLA4−Ig)に合致していた。これらの13サンプルのうち、1つは投与後56日目に陽性であって、10は85日目に陽性であった。14サンプル(8人の患者から得た)のうち9つは、中和抗体活性を示した。1人の患者の敗血症をのぞいて、医学的に重大ないかなるAEも、これらの8人の患者において治療関連または関連の可能性があると考えられるセロコンバージョンの時点またはその頃に、これらの患者において報告されなかった。非常に多くの数のサンプルが中和抗体の評価に適していた時期である、試験中断後の時期(中断後56日および85日目)、有効性データは集められなかった。このようにして、有効性に対する中和抗体の効果を評価することはできなかった。
薬物動力学的評価
II相/III相試験のDB期中、陽性抗体反応を有していた32人の患者のうち31人について薬物動力学的パラメーターを推定した。PK分析のための血清サンプルは、陽性免疫応答が記録された日に必ずしも集められたのではない。DB試験期から得た患者データの母集団PKモデル化により、31人の免疫陽性患者において予測されたPKパラメーターは陽性免疫応答を有していない患者のより大きな群(n=386)におけるものと比較され得ることが示唆された。セロコンバージョンが記録されたDB期中の試験日におけるトラフ血清濃度は、1.16〜24.21μg/mLの範囲であって、大多数の血清濃度は5〜20μg/mLの間であった。セロコンバージョンは、血清トラフレベルに影響を与えないようであった。免疫原性の状態による、クリアランスおよび中心コンパートメント容量の分布を図40に示す。
MSD電気化学発光測定法。薬物存在下での(薬物耐性)結合免疫原性アッセイの感受性および抗体検出能力およびを上昇させることを目指して、Meso−Scale Discovery(MSD)技術を用いることによりCTLA4−Igに対する抗薬物抗体をモニターするために新世代の免疫原性アッセイが開発されている。この新しい技術は、マイクロプレートの電極表面で生じる電気化学的刺激により発光するラベルを用いる。MSD形式は、ELISA形式と比較して薬物の存在下で抗体を検出する能力が増大し、感受性が上昇していることが示されている。この溶液−相技術は、ラベルされた薬物が血清中の薬物とより効率的に競合することを可能にし、より大きなダイナミックレンジ、ノイズに対するシグナル比を有し、ELISA形式よりも増大した表面能力を有している。分子のCTLA4部分または分子全体を捕捉試薬として使用する現在のELISAとは異なり、新しいアッセイは、アビジン被覆MSDプレートへの添加前に患者サンプルとインキュベートさせるビオチン化およびルテニウムラベル化CTLA4−Ig分子を用いる架橋アッセイである。ルテニウム標識により発光する電気化学発光シグナルをMSD装置を用いて測定する。有効なアッセイのカットポイントに基づいた陽性サンプルは、陽性を確認し、CTLA4−Ig分子のどの部分に免疫原性の反応が向けられているかを示すために、MSDアッセイにおいてCTLA4−Ig、CTLA4−TまたはCD40Igのいずれかを用いたイムノデプレッションによりさらに評価され、終点力価が規定される。
実施例32:サルにおける薬物動力学的パラメーター
1群当たり6匹の雌性カニクイザルに、CD−CHO1工程から生産されたCTLA4−Igの1回の静脈内10−mg/kg投与を行った。6匹の雌性サルからなる対照群には、生理食塩水(1ml/kg)を与えた。CTLA4−Igの生物活性を評価するために、全てのサルに、投与前30分以内に10mg/動物のT細胞依存性抗原キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を筋肉内注射により免疫した。
処置後6週間、動物を観察した。薬物動力学的プロファイルを測定して比較するために、血液サンプルを、各々、投与前;投与後3分および30分;1時間、2時間、4時間、8時間、24時間、および48時間;および4日、8日、11日、15日、22日、29日、36日、および43日目に得た。薬物動力学的レポートにおいて、これらの試験日は各々0日、1日、2日、3日、7日、10日、14日、21日、28日、35日および42日に対応する。血清サンプルを、ELISA法によりCTLA4−Igについて分析した。比較可能な血液サンプルを、同じ日に対照動物から集め、適当な場合には、抗KLH抗体反応を評価するために用いた。CTLA4−Ig−特異的抗体の形成の評価を、試験前およびその後毎週CTLA4−Ig−処理動物から得た血清について行った。KLH−特異的抗体の形成を、免疫前およびその後およそ毎週、免疫後4週間の間、全ての動物から得た血清サンプルについて測定した。評価のためのさらに例示的な値には、生存、臨床的兆候、身体診察(神経学的、呼吸数および聴診による評価を含む)、体重、体温、および摂餌量が含まれた。
試験前および45日目に臨床病理学的評価を行った。全ての動物は、試験終了後に保存のために戻された。
表43 本発明の工程から生産されたCTLA4−Igの薬物動力学的パラメーター
薬物−特異的抗体反応は、CD−CHO1工程物質で処理した6匹のサルのうち3匹において29日以降に生じた(表43;図41)。CD−CHO1工程物質で処置したサルにおいて血中尿素窒素(BUN)のわずかな上昇(20%)および血清カリウムの減少(14%)は、生理学的または毒性学的に重要なものではなく、これは値が従来の制御範囲のわずかに外側にあるだけで、BUNについては血清クレアチニンの付随する上昇が存在しなかったからである。臨床病理学的パラメーターにおいていかなる他の変化も示されなかった。KLH抗体反応(対照反応ピークの≧94%)の顕著な抑制が、CD−CHO1工程物質を投与したサルで観察された。免疫原性は、CTLA4−Ig血清レベルが29日以降に約1μg/mLの免疫抑制レベルより低くなるまで、著しく遅延した。
臨床病理学。投与前(−13日)および最後の薬物動力学的採血後(45日)に絶食動物の大腿静脈から血液サンプルを集めた。試験前(−13日)18時間、および最後の薬物動力学的サンプリング(45日)の後に集めた尿について尿検査を行った。以下の分析パラメーターを測定した:血液学:ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、平均赤血球容積平均、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度、網状赤血球数、総白血球数および白血球分画、血小板数の測定、および末梢血塗抹標本における細胞形態学の評価を行った。凝固:プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、および血漿フィブリノーゲンを測定した。血液生化学検査:尿素窒素、クレアチニン、グルコース、総コレステロール、総タンパク、アルブミン、グロブリン、アルブミン/グロブリン比、アラニン・アミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、トリグリセリド、ガンマ・グルタミルトランスフェラーゼ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロリド、およびリンを測定した。尿検査:量、比重、pH、色および外観を検査し、グルコース、タンパク質、ケトン、ビリルビン、潜血、およびウロビリノーゲンの定性的測定を行った。尿沈渣は、顕微鏡により検査した。
特異的抗体反応。同程度の強度の薬物−特異的抗体反応が、CD−CHO1工程物質で処置した6匹のサルのうち3匹において29日目以降に生じた。予想されたように、該工程物質による免疫原性は、CTLA4−Ig血清レベルが29日以降に約1μg/mLの免疫抑制レベルより低くなるまで、著しく遅延した。CD−CHO1工程物質を与えたサルについての平均CTLA4−Ig−特異的抗体反応は36日に陽性になり、43日目(評価した最終時点)にピークとなった。CD−CHO1工程物質を与えた個々のサルにおける抗体力価のピークは、23〜10,448の範囲であった。
実施例33:カラム上での分離
アフィニティークロマトグラフィー樹脂を通した分離工程は、有用であり、哺乳類細胞において生産される全てのIgG−Fcをベースとする組み換え分子に適用可能である。カオトロピック薬剤を使用して、高分子量タンパク質または物質を分解させることができる。分離は、このようなあらゆるタンパク質に対してカラム上で行うことができる。この実施例は、例示的な物質(すなわち、CTLA4−Ig)に対して分離工程を行う方法を与える。
生産バイオリアクターにおいて生産されるCTLA4−Ig高分子量(HMW)物質を、溶液中(バッチ様式)、またはアフィニティークロマトグラフィー段階(カラム上での様式)との組み合わせのどちらかでカオトロピック薬剤を使用することにより機能的CTLA4−Ig二量体に部分的に変換することができる。この工程を「分離(disaggregation)」と称する。分離されたCTLA4−Ig物質の分析的特性化試験に基づいて、分離された物質は、分離工程に供されなかった対照物質と生化学的に同等であると思われる。
本発明のCTLA4−Ig分子を生産する醗酵工程において、得られたCTLA4−Igタンパク質の約20〜25%は、HMW物質(すなわち、凝集体)の形態であり得る。ゆえに、この物質の一部を機能的二量体として回収することは、工程全体の収率を>10%上昇させる可能性を有している。
バッチ様式分離工程
適度な濃度のカオトロピック薬剤、例えば塩酸グアニジンまたは尿素を用いた処理、次いで分子がその天然の立体配座をとるのを助ける低塩リフォールディング緩衝液への急速な希釈による分離が、バッチ様式(溶液中)で示されている。
プロテインA(樹脂はMabSelectを使用)を用いて精製したCTLA4−Igを、これらのバッチ実験のための出発物質として用いるために、最終濃度約4〜5mg/mlに調整した。次いで、これを容量比1:1で2倍濃縮カオトロピック緩衝液と接触させて、最終カオトロピック薬剤の濃度1〜3M(塩酸グアニジンについて)および2〜7M(尿素について)を達成させた。塩酸グアニジン濃度>2Mおよび尿素濃度≧4Mは、CTLA4−Ig HMW物質の分離を生じさせるのに有効であった。これらの実験に用いた移動相は、pH範囲が6.5〜7.0のリン酸緩衝液系であった。分離反応を50mM Tris、25mM NaCl、pH8.5からなるリフォールディング緩衝液中への急速な希釈(容量比1:5で)によりクエンチした。バッチ分離実験において、HMW物質の50〜60%がCTLA4−Ig二量体に、>95%段階収率で変換される。分離段階後に観察されたHMW物質のレベルの低下を図42に示す。
カラム上での分離工程
バッチ分離工程のスケールアップ中の、可能性あるタンクおよび混合の限界を克服するために、プロテインA捕捉段階とこの分離段階を組み合わせる工程を評価した。この工程には、プロテインA段階のためにカオトロピック溶液を溶離緩衝液として使用し、次いで溶出プールをリフォールディング/希釈緩衝液中に回収することが含まれる。
分離効率における同様の性能が、バッチおよびカラム上での工程を用いて観察された。カラム上での分離工程は、処理段階数を低下させるための明らかな利点を有するであろう。カラム上での分離段階を用いるプロテインA段階のための実験の詳細を以下の表に要約する。使用樹脂:MAbSelect(GE Healthcareから得た);カラムベッド高さ:20〜25cm
下流工程への組み込みの実現可能性
サンプルの3−カラム精製列を実行し、カラム上でのプロテインA分離段階を使用して、および使用せずに最終工程物質を得た。2つの精製列から得たクロマトグラフィー段階収率を表44に示す。
表44 分離有りおよび分離なしの3カラム工程についてのクロマトグラフィーによる収率
サンプルの3カラム工程への分離段階の組み込みの結果、工程収率が約10%改善された。2つの工程列から得た生産物プールを分析して、得られたCTLA4−Ig物質の生化学的同等性を評価した。
2つの生産物プールのMALDI−TOFによるN−グリカン分析を図43に示す。この分析に基づいて、物質は同等であると思われる。このMALDI−TOFの結果は、HPLC−ベースのN−グリカンアッセイ法を用いて確認された。HPLC分析は、対照および分離最終工程物質の間で、二分岐のシアル酸ピークにおいて<1.7%の差異を示した。
また、2つの生産物プールについてトリプシンペプチド・マッピングを行い、精製物質に存在する脱アミド化および酸化ペプチドのパーセントを定量した。結果(表45に要約)により、2つのサンプルについての脱アミノ化および酸化レベルが同等であることが示された。
表45 ペプチドマップ結果
さらに、B7−結合アッセイの結果は、対照およびカラム上分離物質に対して、各々101%および98%であった。
IgG−Fcベースの組み換え分子、例えば哺乳類細胞により生産される分子を分離させる方法は、凝集形態にある該分子を含む組成物を、カオトロピック薬剤(例えば、塩酸グアニジンまたは尿素)と該凝集分子の少なくとも一部分を分離させるのに十分な量および時間、接触させ、場合により、次いで分子の該分離部分をリフォールディング剤および/またはクエンチ剤と接触させる(例えば、該分子が天然の立体配座をとるのを助けるための低塩リフォールディング緩衝液中への急速な希釈による)段階を含む。カオトロピック薬剤との接触は、例えば、バッチ、半−バッチまたは連続様式で、ならびに、例えば、溶液中(例えばバッチ様式で)、またはクロマトグラフィー段階と組み合わせて、例えばアフィニティークロマトグラフィー段階中に(カラム上での様式)行うことができる。
カラム上での精製、例えばプロテインA捕捉段階を、上述の分離法と組み合わせた工程は、全体の工程の効率性を上昇させることができ、本発明の他の態様である。ゆえに、本発明は、IgG−Fcベースの組み換え分子、例えば哺乳類動物により生産される分子を分離する方法であって、凝集形態にある該分子を含む組成物を、カオトロピック薬剤(例えば、塩酸グアニジンまたは尿素)と該凝集分子の少なくとも一部分を分離させるのに十分な量および時間接触させ、該接触はクロマトグラフィーカラム上で行う、例えば、該カオトロピック薬剤を該カラム溶出のための溶液(例えば、プロテインAカラムのための溶離緩衝液)中で用い、場合により、次いで分子の該分離部分をリフォールディング剤および/またはクエンチ剤と接触させる(例えば、該分子が天然の立体配座をとるのを助けるための低塩リフォールディング緩衝液中への急速な希釈による)段階を含む方法を包含する。
該カオトロピック薬剤と接触させるべき組成物は、IgG−Fcベースの組み換え分子を凝集形態で含むものに加えて、凝集形態以外の形態(例えば、一本鎖型または二量体)にある該分子を含み得る。
例示的なIgG−Fcベースの分子は、本発明のCTLA4−Ig分子などの糖タンパク質を含み得る。
実施例34:薬物動態
活性な関節リウマチを有し、メトトレキサートを使用している被験者に静脈投与されるCTLA4−Igの2つの異なる用量の安全性および臨床効果を評価するための2B相、多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照試験:この試験において、被験者に、2用量のCTLA4−Ig(2および10mg/kg)またはプラセボをMTXと組み合わせて与えた。CTLA4−Igは、本発明の工程に従い生産し、個々のバイアル(200mgのCTLA4−Igを含む)に供給した。CTLA4−Igを、被験者に1日目、15日目、および30日目、およびその後1年間30日毎にIV投与した。多用量PKを、部位−特異的PK副試験に登録された患者から60日目〜90日目の投与間隔の間に得た血清濃度対時間データから得た。PK副試験における被験者について、血液サンプルを60日目の投与前に集め、PKプロファイルは、60日目の30分(CTLA4−Ig注入の終了時に対応)に開始し、注入開始後4時間、およびその後90日目まで毎週行った。合計90人の被験者はPK副試験への参加が登録された。しかし、60〜90日目の投与間隔の間の完全なPKプロファイルは、29人の被験者(15人の被験者には2mg/kgを投与;14人の被験者には10mg/kgを投与)から得た。
PKパラメーターの要約を表46に示す。この試験から得た結果により、CmaxおよびAUC(TAU)(TAU=30日)の両方は、用量に比例した様式で上昇することが示された。1:5の比で増大する名目用量に対して、Cmaxの相乗平均は1:5.2の比で上昇し、AUC(TAU)の相乗平均 は1:5.0の比で上昇した。さらに、T−HALF、CLT、およびVss値は、用量に非依存性のようであった。これらのRA被験者において、平均T−HALF、CLT、およびVss値は、各々およそ13日、約0.2mL/h/kg、および約0.07L/kgであった。小さなVssは、CTLA4−Igが主に細胞外液の容量に限定されていることを示す。最初の注入の2週間および4週間後、その後1ヶ月に1回の投薬の投与計画に基づいて、CTLA4−Igの定常状態条件に、毎月投与の3回目で達した。さらに、投与計画の結果として、血清濃度は処置の最初の2ヶ月間、定常状態トラフ濃度を超えるものであった。60日、90日および180日目のトラフ(Cmin)値の比較は、CTLA4−Igが続く毎月の投薬を蓄積しないようであることを示していた。2および10mg/kg CTLA4−Igの毎月のIV投与を受けた全ての被験者に対する平均Cmin定常値の範囲は、各々4.4〜6.7μg/mLおよび22.0〜28.7μg/mLであった。
表46 関節リウマチ被験者における多数PK試験の概要
RA患者において、多回静脈内注入の後に、CTLA4−Igの薬物動態は、2mg/kg〜10mg/kgの用量範囲にわたり、CmaxおよびAUCの比例した増大を示した。10mg/kgで、血清濃度は、60日目までに平均(範囲)トラフ濃度24(1−66)mcg/mLを有する定常状態に達したようであった。RA患者において、毎月の間隔で10mg/kgを用いた連続的な繰り返し治療によって、CTLA4−Igの全身的蓄積は生じなかった。
RA患者における母集団薬物動力学的分析により、体重の増加に伴い、CTLA4−Igクリアランスがより高くなる傾向が存在することが明らかになった。年齢および性別(体重に対して補正した場合)は、クリアランスに影響を与えなかった。併用メトトレキサート(MTX)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルチコステロイド、およびTNF阻害薬はCTLA4−Igクリアランスに影響を与えなかった。
実施例35:CEによるマンノース、フコースおよびガラクトースのモル比の測定
キャピラリー電気泳動法は、LEA2 CTLA4A29YL104E−Ig中の中性単糖類含量の定量分析のために開発された。マンノース、フコース、およびガラクトースを含む中性単糖類は、高温条件での酸加水分解(2Mトリフルオロ酢酸、95℃で6時間)によりCTLA4A29YL104E−Igサンプルから放出される。次いで放出された中性単糖類を、触媒としての酢酸、および還元試薬としてのNaBH3CNの存在下に、アミノピレントリスルホン酸(APTS)で蛍光ラベルする(67mM APTS、330mM HAc、83mM NaBH3CN、55℃で3時間)。キシロースを各サンプルに加え、内部標準とする。内部標準に対する各中性単糖類のピーク面積の比を定量に使用する。
試薬:加水分解溶液(2Mトリフルオロ酢酸(TFA));誘導体化溶液I(0.1M 8−アミノ−1,3,6、トリスルホン酸、3ナトリウム塩(APTS)水溶液);誘導体化溶液II(1M酢酸中0.25M NaBH3CN);流出緩衝液(60±5mM四ホウ素ナトリウム、pH9.25);キャピラリーリンス溶液(1N NaOH;1N HCl;80%メタノール);10mg/ml濃度のマンノース(Man)、フコース(Fuc)、ガラクトース(Gal)およびキシロース(Xyl)の単糖類標準保存溶液;単糖類作業溶液I:内部標準作業溶液はXyl保存溶液の100倍希釈物である;単糖類作業溶液II:中性混合標準作業溶液、Man、FucおよびGal保存溶液の100倍希釈物。
装置:CEシステムはBeckman P/ACE MDQ CE sytemであり;検出器:P/ACE MDQと連結したBeckmanレーザー誘導(LIF)検出システム;P/ACE MDQに適応させるための非被覆キャピラリー(内径25μm、外径360μm)、全長27−31cm。
キャピラリー電気泳動泳動条件:泳動緩衝液(60mM四ホウ素ナトリウム、pH9.25);キャピラリーカートリッジ温度:25℃;電圧:25〜30kV、正(positive)モード;検出器条件:LIF検出器、488nmでの励起、520mでの発光;サンプル注入:圧力注入様式、0.5PSIで20s;泳動時間:10分;サンプル保存:10℃。
加水分解:10μLのキシロース作業溶液および200μLの2M TFAを混合して、システム・ブランクを作成した。10μLのキシロース作業溶液および10μLの中性混合標準溶液を200μLの2M TFAと混合して、単糖類標準を作成した。10μLのキシロース作業溶液および10μLのサンプル(例えば、CTLA4A29YL104E−Ig、約1mg/ml)を200μLの2M TFAと混合して、試験サンプルを作成した。全ての試験管を10秒間ボルテックスにかけ、10秒間遠心分離し、次いで95℃で6時間インキュベートした。加水分解段階後、サンプルを−20℃に10分間置いて、冷却した。サンプルを10秒間沈降させ、SpeedVac中で蒸発乾固した。
誘導体化:サンプルを10μLの誘導体化溶液Iを用いて再構成した。サンプルを軽く混合し、5μLの誘導体化溶液IIを加えた。サンプルを、予め暖めた遠心分離機中に負荷し、2000rpmで遠心分離しながら55℃で3時間インキュベートした。
CE注入:誘導体化後のサンプル最終容量を、HPLC等級の水の添加により100μLにして、10μLのサンプルを190μL HPLC等級の水を用いてCEマイクロバイアルに移した。サンプル注入前に、CEカートリッジをHPLC等級の水で広範囲にリンスし(泳動時間1〜3分)、次いで泳動緩衝液を用いて平衡化のためのリンスをした(泳動時間5分)。最初のリンス後、単糖類標準および分析用サンプルを、CEカートリッジに注入した(泳動時間15分)。各標準またはテストサンプルの注入泳動後、CEカートリッジを、HPLC等級の水および泳動緩衝液でリンスし、平衡化した(表51)。システム適合性のエレクトロフェログラムは、図45と同様であるはずであり、図中、ピーク1はマンノースであり;ピーク2はキシロースであり;ピーク3はフコースであり;そしてピーク4はガラクトースである。
システム適合性:
システム適合性のエレクトロフェログラムは、図45に示すものと同様であり得、ピーク1はマンノースであり;ピーク2はキシロースであり;ピーク3はフコースであり;そしてピーク4はガラクトースである。
Beckman MDQシステム以外のCE装置を使用する場合には、キャピラリーの長さは、この方法で指定されるものとは異なる可能性がある。これは、分析物の移動時間、ならびにピーク強度の変動の原因となるであろう。しかし、単糖類分析物のピークパターンは同じに留まるはずである。
最初のシステム適合性(System Suitability)標準について2つの隣接ピークの間の分離を、以下の式に従い計算することができる:
R=2(t2−t1)/(W1+W2)
(式中、
R:分離能
t2、t1:2つの隣接ピーク各々の移動時間
W1、W2:2つの隣接ピーク各々のベースラインでのピーク幅)。
R値は、≧1.0でなければならない。R<1.0なら、キャピラリーを洗浄/リンスの連続によりリンスする。問題が存続するなら、古い緩衝液を、新しく調製した泳動緩衝液と取り替えるか、またはキャピラリーを取り替える。
最後のシステム適合性注入について、最後のピーク(ガラクトース)は、以下の式を用いてテーリング係数<1.4を有していなければならない:
T=W0.05/2f
式中:T:テーリング係数
W0.05:高さの5%でのピーク幅
f:最大ピークでのピーク前部の幅。
T≧1.4であるなら、キャピラリーを洗浄/リンスの連続によりリンスし;問題が存続するなら、古い緩衝液を、新しく調製した泳動緩衝液と取り替えるか、またはキャピラリーを取り替える。ガラクトースとキシロースのピーク面積比は、RSD≦10%を有していなければならない。ガラクトースの移動時間は≦15.0分である必要がある。エレクトロフェログラムのプロファイルは、図45と同等であるはずである。
単糖類標準物のRSDパーセントは、各単糖類成分のピーク面積を各単糖類標準物注入に対する内部標準のピーク面積で割ることを通じて、内部標準と単糖類標準成分のピーク面積比を比較することにより測定することができる。RSDパーセントを、マンノース、フコース、およびガラクトースについて計算することができる。RSDは≦10%であるべきである。
タンパク質に対する中性単糖類のモル比の測定
タンパク質に対する各中性単糖類のモル比を測定するために、内部標準キシロースに比較した中性単糖類(例えば、Man、GalおよびFuc)のピーク面積比を、以下に示す式に従い計算することができる。例えば、ピーク面積比は、キシロースのピーク面積で割った単糖類ピーク面積(Gal、FucまたはMan)に等しく、ここでピーク面積比に対する相対標準偏差(RSD)は、10%と等しいかまたはそれより小さい。次の式を使用して、以下に示すものを計算することができる:
マンノース/タンパク質のモル比について:
[式中、
R
man:マンノース対タンパク質のモル比
A
man:サンプル中のマンノースのピーク面積(μV.sec)
A
xyl:サンプル中のキシロースのピーク面積(μV.sec)
A
xyl0:単糖類標準物中のキシロースのピーク面積(μV.sec)平均
A
man0:単糖類標準物中のマンノースのピーク面積(μV.sec)平均
V
man0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるマンノースの容量(μL)
C
man0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるマンノースの濃度(mg/mL)
V
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの容量(μL)
C
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの濃度(mg/mL)
MW
LEA29Y:LEA29Y(またはCTLA4
A29YL104E−Ig)の分子量(91,232Da)
マンノースのMW:180.2ダルトン]。
フコース/タンパク質のモル比について:
[式中、
R
fc:フコース対タンパク質のモル比
A
fuc:サンプル中フコースのピーク面積(μV.sec)
A
xyl:サンプル中キシロースのピーク面積(μV.sec)
A
xyl0:単糖類標準物中のキシロースピーク面積(μV.sec)平均
A
fuc0:単糖類標準物中フコースのピーク面積平均(μV.sec)
V
fuc0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるフコースの容量(μL)
C
fuc0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるフコースの濃度(mg/mL)
V
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの容量(μL)
C
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの濃度(mg/mL)
MW
LEA29Y:LEA29Y(またはCTLA4
A29YL104E−Ig)の分子量(91,232Da)
フコースのMW:164.2ダルトン]。
ガラクトース/タンパク質のモル比について:
[式中、
R
gal:ガラクトース対タンパク質のモル比
A
gal:サンプル中のガラクトースのピーク面積(μV.sec)
A
xyl:サンプル中のキシロースのピーク面積(μV.sec)
A
xyl0:単糖類標準物中のキシロースのピーク面積(μV.sec)平均
A
gal0:単糖類標準物中のガラクトースのピーク面積(μV.sec)平均
V
gal0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるガラクトースの容量(μL)
C
gal0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるガラクトースの濃度(mg/mL)
V
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの容量(μL)
C
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの濃度(mg/mL)
MW
LEA29Y:LEA29Y(またはCTLA4
A29YL104E−Ig)の分子量(91,232Da)
ガラクトースのMW:180.2ダルトン]。
表52:CTLA4
A29YL104E−Igタンパク質に対する単糖類の平均モル比
実施例36:CEによるGalNAcおよびGlcNAcのモル比の測定
キャピラリー電気泳動法は、CTLA4A29YL104E−Igにおけるアミノ単糖類、6N−結合グリコシル化部位および少なくとも1つのO−結合グリコシル化部位を有する糖タンパク質含量の定量分析のために開発された。N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)およびN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)を含むアミノ単糖類は、高温条件での酸加水分解(4N HCl、95℃で6時間)によりCTLA4A29YL104E−Igサンプルから放出される。放出されたアミノ単糖類を無水酢酸と氷上で30分間インキュベートすることにより、再アセチル化段階を行う。次いでそれらを触媒としての酢酸、および還元試薬としてのNaBH3CNの存在下に、アミノピレントリスルホン酸(APTS)で蛍光ラベルする(67mM APTS、330mM HAc、83mM NaBH3CN、55℃で3時間)。N−アセチルマンノサミンを各サンプルに加え、内部標準とする。内部標準に対する各アミノ単糖類のピーク面積の比を定量に使用する。
試薬:加水分解溶液(4N HCl);誘導体化溶液I(0.1M 8−アミノ−1,3,6,トリスルホン酸、3ナトリウム塩(APTS)水溶液);誘導体化溶液II(1M酢酸中、0.25M NaBH3CN);再アセチル化緩衝液(25mM重炭酸ナトリウム、pH9.5);泳動緩衝液(60±5mM四ホウ素ナトリウム、pH9.25);キャピラリーリンス溶液(1N NaOH;1N HCl;80%メタノール);10mg/ml濃度のGalNAc、GlcNAcおよびManNAcの単糖類標準保存溶液;単糖類作業溶液I:内部標準作業溶液はManNAc保存溶液の100倍希釈物である;単糖類作業溶液II:アミノ混合標準作業溶液、GalNAcおよびGlcNAc保存溶液の100倍希釈物。
装置:CEシステムはBeckman P/ACE MDQ CEシステムであり;検出器:P/ACE MDQと連結したBeckmanレーザー誘導(LIF)検出システム。
キャピラリー電気泳動泳動条件:泳動緩衝液(60mM四ホウ素ナトリウム、pH9.25);キャピラリーカートリッジ温度:25℃;電圧:25〜30kV、正(positive)モード;検出器条件:LIF検出器、488nmでの励起、520mでの発光;サンプル注入:圧力注入様式、0.5PSIで20s;泳動時間:10分;サンプル保存:10℃。
加水分解:10μLのManNAc作業溶液および200μLの4N HClを混合して、システム・ブランクを作成した。10μLのManNAc作業溶液および10μLのアミノ混合標準溶液を200μLの4N HClと混合して、単糖類標準を作成した。10μLのManNAc作業溶液および10μLのサンプル(例えば、CTLA4A29YL104E−Igサンプルなど;約1mg/ml)を200μLの4N HClと混合して、テストサンプルを作成した。全ての試験管を10秒間ボルテックスにかけ、10秒間遠心分離し、次いで95℃で6時間インキュベートした。加水分解段階後、サンプルを−20℃に10分間置いて、冷却した。サンプルを10秒間沈降させ、SpeedVac中で蒸発乾固した。
再アセチル化:加水分解し、乾燥したサンプルを20μLの再アセチル化緩衝液および4μLの無水酢酸で再構成し、次いで混合および氷上でインキュベートした(30分間)。サンプルを10秒間沈降させ、SpeedVac中で蒸発乾固した。サンプルを各々100μlのHPLC等級水で再構成し、SpeedVac中で蒸発乾固した。
誘導体化:再構成したサンプル(10μLの誘導体化溶液I HPLC)に、5μLの誘導体化溶液IIを加えた。混合後、サンプルを、予め暖めた遠心分離機中に負荷し、2000rpmで遠心分離しながら55℃で3時間インキュベートした。
CE注入:誘導体化後のサンプル最終容量を、HPLC等級の水の添加により100μLにして、10μLのサンプルを190μL HPLC等級の水を用いてCEマイクロバイアルに移した。サンプル注入前に、CEカートリッジをHPLC等級の水で広範囲にリンスし(泳動時間1〜3分)、次いで泳動緩衝液を用いて平衡化のためのリンスをした(泳動時間5分)。最初のリンス後、単糖類標準および分析用サンプルを、CEカートリッジに注入した(泳動時間10分)。各標準またはテストサンプルの注入泳動後、CEカートリッジを、HPLC等級の水および泳動緩衝液でリンスし、平衡化した。システム適合性のエレクトロフェログラムは、図46と同様となるはずであり、図中、ピーク1はGalNAcであり;ピーク2はManNAcであり;ピーク3はGlcNAcである。
システム適合性:
システム適合性のエレクトロフェログラムは、図46に示すものと同様であり得、ピーク1はGalNAcであり;ピーク2はManNAcであり;そしてピーク3はGlcNAcである。
Beckman MDQシステム以外のCE装置を使用する場合には、キャピラリーの長さは、この方法で指定されるものとは異なる可能性がある。これは、分析物の移動時間、ならびにピーク強度の変動の原因となるであろう。しかし、単糖類分析物のピークパターンは同じに留まるはずである。
最初のシステム適合性標準について2つの隣接ピーク間の分離を、以下の式に従い計算することができる:
R=2(t2−t1)/(W1+W2)
(式中、
R:分離能
t2、t1:2つの隣接ピーク各々の移動時間
W1、W2:2つの隣接ピーク各々のベースラインでのピーク幅)。
R値は、≧1.0でなければならない。R<1.0なら、キャピラリーを洗浄/リンスの連続によりリンスする。問題が存続するなら、古い緩衝液を、新しく調製した泳動緩衝液と取り替えるか、またはキャピラリーを取り替える。
最後のシステム適合性注入について、最後のピーク(GlcNAc)は、以下の式を用いてテーリング係数<1.4を有していなければならない:
T=W0.05/2f
式中:T:テーリング係数
W0.05:高さの5%でのピーク幅
f:ピーク最大でのピーク前部の幅。
T≧1.4であるなら、キャピラリーを洗浄/リンスの連続によりリンスし;問題が存続するなら、古い緩衝液を、新しく調製した泳動緩衝液と取り替えるか、またはキャピラリーを取り替える。GlcNAcとManNAcのピーク面積比は、RSD≦10%を有していなければならない。GlcNAcの移動時間は≦10.0分である必要がある。エレクトロフェログラムのプロファイルは、図46と同等であるはずである。
単糖類標準物のRSDパーセントは、各単糖類成分のピーク面積を各単糖類標準物注入のための内部標準のピーク面積で割ることを通じて、内部標準と単糖類標準成分のピーク面積比を比較することにより測定することができる。RSDパーセントを、GalNAcおよびGlcNAcについて計算することができる。RSDは≦10%であるべきである。
タンパク質に対するアミノ単糖類のモル比の測定
内部標準ManNAcに比較したアミノ単糖類(例えば、GalNAcおよびGlcNAc)のピーク面積比を、タンパク質に対する各アミノ単糖類のモル比を測定するための以下に示す式に従い計算することができる。例えば、ピーク面積比は、ManNAcのピーク面積で割った単糖類ピーク面積(GalNAcおよびGlcNAc)に等しく、ここでピーク面積比に対する相対標準偏差(RSD)は、10%と等しいかまたはそれより小さい。次の式を使用して、以下に示すものを計算することができる:
GalNAc/タンパク質のモル比について:
[式中、
R
GalNAc:GalNAc対タンパク質のモル比
A
GalNAc:サンプル中のGalNAcのピーク面積(μV.sec)
A
ManNAc:サンプル中のManNAcのピーク面積(μV.sec)
A
ManNAc0:単糖類標準物中のManNAcのピーク面積(μV.sec)平均
A
GalNAc0:単糖類標準物中のGalNAcのピーク面積(μV.sec)平均
V
GalNAc0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるGalNAcの容量(μL)
C
GalNAc0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるGalNAcの濃度(mg/mL)
V
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの容量(μL)
C
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの濃度(mg/mL)
MW
LEA29Y:LEA29Y(またはCTLA4
A29YL104E−Ig)の分子量(91,232Da)
GalNAcのMW:221.2ダルトン。
GlcNAc/タンパク質のモル比について:
[式中、
R
GlcNAc:GlcNAc対タンパク質のモル比
A
GlcNAc:サンプル中のGlcNAcのピーク面積(μV.sec)
A
ManNAc:サンプル中のManNAcのピーク面積(μV.sec)
A
ManNAc0:単糖類標準物中のManNAcのピーク面積(μV.sec)平均
A
GlcNAc0:単糖類標準物中のGlcNAcのピーク面積(μV.sec)平均
V
GlcNAc0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるGlcNAcの容量(μL)
C
GlcNAc0:加水分解に使用される単糖類作業溶液中に含まれるGlcNAcの濃度(mg/mL)
V
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの容量(μL)
C
p:加水分解に使用されるタンパク質サンプルの濃度(mg/mL)
MW
LEA29Y:LEA29Y(またはCTLA4
A29YL104E−Ig)の分子量(91,232Da)
GlcNAcのMW:221.2ダルトン。
表54:CTLA4
A29YL104E−Igタンパク質モルに対する単糖類モルの平均モル比
実施例37:高性能陰イオン交換クロマトグラフィーによるCTLA4A29YL104E−IgのN−結合オリゴ糖炭水化物プロファイリング
糖タンパク質上に存在する炭水化物構造は、それらの機能およびインビボでのクリアランスに影響を及ぼし得る。ゆえに、組み換え生産された糖タンパク質バッチの炭水化物の構造的一致性をモニターすることは重要である。ここでは、CTLA4A29YL104E−Ig上に存在するN−結合(アスパラギン−結合)炭水化物をモニターする。この方法において、オリゴ糖をPNGase F(ペプチド:N−Glycosidase F)を用いた酵素消化により開裂し、高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)により分離し、そして電気化学的検出(統合アンペロメトリー)によりモニターする。得られたクロマトグラムは、N−結合炭水化物プロファイルであり、ここでCTLA4A29YL104E−Igサンプルのプロファイルはそれと同様のはずである。
逆相および黒鉛炭素HPLCによるオリゴ糖単離のための移動相用試薬:溶離液1(HPLC等級水中0.05%トリフルオロ酢酸(TFA));溶離液2:(60%アセトニトリル(ACN)、40%HPLC水(60:40、ACN:H2O)中0.05%TFA;溶離液3:(40%アセトニトリル、40%イソプロパノール(IPA)、20%HPLC水(40:40:20、ACN:IPA:H2O)中0.05%TFA)。
HPAECオリゴ糖炭水化物プロファイリングのための移動層の調製用試薬:溶離液1:500mM酢酸ナトリウム(NaOAc);溶離液2:400mM 水酸化ナトリウム(NaOH);Milli−Q水;4M 水酸化ナトリウム(約4M NaOH);50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム、pH=7.5;50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム、pH=7.5中PNGase F酵素作業保存液;スタキオース保存溶液(1.25mg/mL);スタキオースシステム適合性標準(12.5μg/mL)。
装置および条件−(等価な装置を代用してもよい)
装置:
サンプル調製:1.7mLエッペンドルフチューブに、0.02%アジ化ナトリウム、pH7を含む80μLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液および80μLのサンプル(合計2mgのCTLA4A29YL104E−Igのために約25μg/μLなど)を加え、次いで16μLの10倍変性緩衝液(5%SDS、10%β−メルカプトエタノール)を加えた。サンプルを十分混合し、続いて2分間沸騰させてタンパク質を変性させた。バイアルを室温に冷却し、次いで16μLのNP40(10%)および40μLのPNGase F作業用保存液を加え、続いて混合した。サンプルを37℃で24±2時間インキュベートした後に、それらをHPLCオートサンプラーバイアル中に移し、HPLC装置への注入に備えた。
CTLA4A29YL104E−Igサンプルは、図47のクロマトグラムにおいて示される炭水化物プロファイルを有し得る。図47において同定される各ドメインの保持時間は、およそ次の通りとなるはずである:
ドメインI(ピーク1A、1B、1C、1Dおよび1E):10〜17分
ドメインII:21〜29分
ドメインIII:33〜43分
ドメインIV:48〜56分
保持時間はシステムに依存しており、スタキオースとして同様にシフトするはずである。
計算
理論段(N):理論段数(N)を、以下の式を用いてスタキオースのピークに基づき測定することができる。これは、Millenniumデータ分析システムにより行うか、または手作業で行ってもよい。
N=16(t/W)2
[式中:
t:注入時から最大高さのピーク溶出時間まで測定された保持時間。
W:両側をベースラインに外挿することによるピーク幅]。
Nは≧6000でなければならない。段数が6000より小さいなら、カラムを取り替えるべきである。
テーリング係数(T):以下の式を用いて、スタキオースピークに基づきカラムテーリング係数(T)を計算することができる。これは、Millenniumデータ分析システムにより行うか、または手作業で行ってもよい。
T=(W0.05/2f)
[式中:
W0.05:高さの5%(0.05h)でのピーク幅
f:W0.05でのピークの前端から最大高さのピーク中央までの測定値(幅)
Tは≦1.2でなければならない。テーリング係数が1.2より大きいなら、緩衝液組成を評価すべきであり、カラムを取り替えるかまたは洗浄すべきである。
ドメイン面積%:
ドメインI:保持時間約10〜15分での合計ピーク面積(ピーク1A−1E;例えば、図47)
ドメインII:21〜27分のピーク合計
ドメインIII:34〜40分のピーク合計
ドメインIV:45〜56分のピーク面積
主ピーク面積のパーセント:5つの主ピークの各々のピーク面積%を、以下のものについて下記の式を用いて計算することができる:ピーク1A、1B、1C、2(2つの非分解種)、3(2つの非分解種)、および4。
実施例38:製剤原料および製剤中のCTLA4A29YL104E−Igのキャピラリー電気泳動による同定
CTLA4A29YL104E−Igは、免疫抑制活性を有する水溶性糖タンパク質である。非被覆融合シリカキャピラリーを用いるキャピラリー電気泳動法を使用してCTLA4A29YL104E−Igを同定した。サンプル(例えば、CTLA4A29YL104E−Igなど)を70℃で5分間加熱し、次いで214nmに設定したUV検出により直ちに分析して、同定を確認する。
さらに、CTLA4A29YL104E−IgおよびCTLA4−Ig物質の1:1 混合物を混合し、注入して、2つのタンパク質が分離され、識別され得ることを確認した。この方法は、サンプルに対してCTLA4A29YL104E−Ig物質の移動時間を比較することによりCTLA4A29YL104E−IgとCTLA4−Igを識別することができる。
試薬および溶液:泳動緩衝液(14.4mMホウ酸ナトリウム;17.3mMドデシル硫酸ナトリウム;2.0%アセトニトリル);リン酸希釈緩衝液(22.3mMリン酸ナトリウム、二塩基性;4.2mMリン酸ナトリウム、一塩基性;53.4mM塩化ナトリウム);ホウ酸希釈緩衝液(83.5mM NaBO2、pH9.6);参考またはサンプル作業溶液(リン酸塩希釈緩衝液中10±1mg/mLサンプル);参考またはサンプル注入溶液(10.0μLサンプル+ 50μLのホウ酸希釈緩衝液);サンプル1:1 CTLA4−Ig−CTLA4A29YL104E−Ig混合溶液(10.0μL CTLA4−Igサンプル+10.0μL CTLA4A29YL104E−Igサンプル+50μLのホウ酸希釈緩衝液);注入溶液。
泳動条件:
* 全長:キャピラリー入口から出口まで
** 有効長:キャピラリー入口から検出ウィンドウまで
主ピークのCTLA4−Igサンプル移動時間は、約11.0±0.4分である。主ピークのCTLA4A29YL104E−Igサンプル移動時間は約12.0±0.4分である。各サンプル間の主ピーク移動時間は、少なくとも0.6分離れているはずである(図48)。
実施例39:CTLA4A29YL104E−IgにおけるN−アセチルノイラミン酸およびN−グリコリルノイラミン酸含量測定のための加水分解およびHPLC分析
組み換えタンパク質におけるシアリル化の程度は、薬物動態およびクリアランス速度に影響を及ぼし得る。CTLA4A29YL104E−Igは、N−およびO−結合炭水化物部位を有する組み換えタンパク質である。これらの部位を占めるグリカンは、シアリル化の様々な度合いを有している。そのシアリル化の構造的不均一性に加えて、個々のシアル酸含量はロット毎に変化し得る。ゆえに、タンパク質に対するシアル酸比の全体的な測定が得られる。
CTLA4A29YL104E−Igに存在するN−アセチルノイラミン酸(NANA)およびN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)含量を調べた。シアル酸を酸加水分解によりタンパク質から遊離させ、次いでDMBで蛍光ラベルする。ラベル化シアル酸をRP−HPLC C−18カラム上で分離し、同時に泳動するシアル酸標準の応答係数から定量する。データ分析および報告値(NANAまたはNGNAのタンパク質に対するモル比として)を、この実施例の方法内に明記する。この実施例は、CTLA4A29YL104E−Ig中に存在するN−アセチルノイラミン酸(NANA)およびN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)の量を測定するために用いられる方法について記載する。シアル酸を酸加水分解によりタンパク質から遊離させる。遊離したNANAおよびNGNAを、次いで、1,2,−ジアミノ−4,5−メチルオキシベンゼン(DMB)で蛍光ラベルする。ラベル化シアル酸を、RP−HPLC C−18カラム上で分離し、蛍光検出(Ex=373nm、Em=448nm)により検出する。NANAおよびNGNAを、同時に泳動するNANAおよびNGNA標準の応答係数に基づいて定量する。試験結果を、各々、タンパク質に対するNANAおよびNGNAのモル比(MR)として報告する。
試薬および溶液:1.0M H2SO4;50mM H2SO4;蛍光標識試薬(18mMヒドロ亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)、7%2−メルカプトエタノール、7mM 1,2−ジアミノ−4,5−メチレン−ジオキシベンゼン二塩酸塩(DMB));移動相移動緩衝液A(20%メタノール);移動相移動緩衝液B(70%メタノール);N−アセチルノイラミン酸標準溶液(1mg/mL);N−グリコリルノイラミン酸標準溶液(1mg/mL);システム適合性標準(900μLの水中の50μLのNANAまたはNGNA溶液);サンプル溶液(例えば、2mg/mlのCTLA4A29YL104E−Igなど);NANA作業用保存標準溶液(保存液を希釈して50μg/mLにする);NGNA作業用保存標準溶液(保存液を希釈して50μg/mLにする)。
加水分解:20μLの各NANA標準、NGNA標準、CTLA4A29YL104E−Igおよびシステム適合性標準溶液を、別々の1.5mL遠心分離管に等量ずつ入れ、200μLの50mM硫酸溶液を各バイアルに加えた。内容物を静かに混合し、80℃で1時間±5分インキュベートした。加水分解が完了したら、サンプルをすばやく遠心分離した。
蛍光ラベル化:蛍光標識試薬(200μL)を、各サンプルに加え、十分混合した。次いで、サンプルを暗所にて、80℃で45±5インキュベートし、続いて冷却した。
装置およびクロマトグラフィー条件(同等の装置で置き換えてもよい):
HPLCシステム:Waters 2690/2695分離モジュールまたは同等物
蛍光検出器:Waters 2475マルチ波長蛍光検出器または同等物
データ収集:Waters Millennium 32またはEmpower
カラム:Luna 5μ、C18、100A、150×4.6mm、Phenomenex、(カタログNo. 00F−4252−E0)
デジタル・ヒートブロックWVR、(カタログNo. 13259−056)または同等物。
ミニ遠心分離機WVR、(モデルNo. C−1200)または同等物。
移動相A:10%(v/v)MeOH/90%水
移動相B:70%(v/v)MeOH/30%水
流速:1mL/分
注入容量:10μL
実行時間:30分
カラム温度:室温
励起波長:373nm
発光波長:448nm
ゲイン:1
溶離勾配:
シアル酸標準物調製(約5mM)。N−アセチルノイラミン酸(NANA、MW=309.3)標準(約5mM)。N−アセチルノイラミン酸の154.5±1.0mgを正確に秤量し、100mLの容量フラスコに入れる。DI水を用いて溶解し、適量でその容量にして、よく混合する。等量ずつの溶液を2mLの低温バイアルに入れる。
P=NANAの純度−供給メーカーのCOAによる(例えば、99%=0.99)。
N−グリコリルノイラミン酸(NGNA、MW=325.7)標準(約0.25mM)。N−グリコリルノイラミン酸の8.0±1.0mgを正確に秤量して、100mL容量フラスコに入れる。DI水を用いて溶解し、適量でその容量にして、よく混合する。等量ずつの溶液を2mLの低温バイアルに入れる。
P=NGNAの純度−供給メーカーのCOAによる(例えば、99%=0.99)。等量ずつのシアル酸標準物は、−20℃で6ヶ月まで保存することができる。
シアル酸標準混合物調製。システム適合性および定量化のためのシアル酸標準混合物(50μM NANA、1μM NGNA)。1mLの5mM NANA、400μLの0.25mM NGNAを100mL容量フラスコに加える。DI水を適量用いてその容量にして、よく混合する。等量ずつのシアル酸標準混合物を2mLの低温バイアルに入れる。等量ずつのシアル酸標準混合物は、−20℃で6ヶ月まで保存することができる。
サンプルおよび参考物質調製。凍結したタンパク質サンプルを2〜8℃で解凍し、よく混合する。サンプルおよび参考物質の両方を希釈して、約0.5mg/mLのCTLA4A29YL104E−Igにする(例えば、タンパク質濃度=25.0mg/ml、50.0μLのタンパク質を2450μLの水に加える)。粒子状物質を除去するために、希釈した試験サンプルおよび参考物質を10,000rpmで5分間遠心分離する。
加水分解。ブランク:2.0mL遠心分離管に、50μLのDI水および200μLの50mM硫酸を加える。これをブランクとして使用する。システムの適合性および定量化のためのシアル酸標準物。2.0mL遠心分離管に、50μLのシアル酸標準混合物および200μLの50mM硫酸を加える。二重に調製する。Std1およびStd2として示す。参考物質:2.0mL遠心分離管に、50μLの希釈したCTLA4A29YL104E−Ig参考物質(約0.5mg/mL)、および200μLの50mM硫酸を加える。二重に調製し、RM1およびRM2として示す。試験サンプル:2.0mL遠心分離管に、50μLの希釈したCTLA4A29YL104E−Ig製剤原料(約0.5mg/mL)、および200μLの50mM硫酸を加える。二重に調製する。S1−1、S1−2;S2−1、S2−2;S3−1、S3−2等として示す。サンプルを約5秒間ボルテックスにかけ、約5〜10秒間遠心分離する。サンプルを加熱ブロック中に置き、80℃±5℃で1時間±5分インキュベートする。加水分解されたサンプルを室温に冷却する。加水分解されたサンプルを短時間遠心分離して、試験管内への凝縮を進めた(高速で約10秒間)。
誘導体化。加熱ブロックを80℃±5℃に予熱する。200μLの蛍光標識試薬を各々の加水分解されたサンプルに加える。約5秒間ボルテックスにかけ、約10秒間遠心分離する。サンプルを80℃±5℃加熱ブロックに40±5分間置く。ラベル化溶液は感光性であるので、加熱ブロックにアルミホイルで蓋をする。誘導体化したサンプルを室温に冷却する。サンプルをボルテックスにかけ、約10秒間遠心分離して、試験管内への凝縮を進めた。
注入のための調製。分析前にカラムを移動相で確実に平衡化させる。十分なサンプル(100〜200μL)を各遠心分離管から挿入部が制限されているオートサンプラーバイアル中に移す。10サンプル注入のための通常のオートサンプラー負荷は以下の通りである:
Std1およびStd2は、シアル酸標準混合溶液の調製物であり;RM1およびRM2は対照サンプルのための調製物であり;そしてSはサンプル注入である。最初の4つ(サンプル#2および3)のシアル酸標準(Std1)注入は、システム適合性の目的のために使用されるであろう。サンプル#3(Std1)およびサンプル#4(Std2)の4注入は、計算のために使用されるであろう。さらなるサンプル注入のために、オートサンプラー負荷5〜16を繰り返す。
システム適合性。システム適合性サンプルのクロマトグラムプロファイルは、図49に示すクロマトグラムと同様となるはずである。システム適合性標準(Std1)の最初の注入のために、NGNAおよびNANAについてのUSP分離能(R)は、≧1.5でなければならない。システム適合性標準(Std1)の4つの注入は、以下に示す例示的な値を満たすものでなくてはならない:NANAについてのピーク面積のRSDは、≦5%でなくてはならない。NGNAについてのピーク面積のRSDは、≦10%でなくてはならない。NGNAピークの移動時間は、11.3±2.0分に溶出されなくてはならない。NANAピークの移動時間は16.0±2.5分に溶出されなくてはならない。4つの標準物注入のピーク面積のRSD(Std1、サンプル#3)および(Std2、サンプル#4)は≦10%でなくてはならない。連続物の一括した全ての標準物注入のピーク面積のRSDは、≦15%でなくてはならない。
HPLCシステムの調製:カラムを98%緩衝液Aおよび2%緩衝液Bを用いて1mL/分で15分間平衡化した。10μLの蛍光ラベルされたシステム適合性溶液をシステムに注入した。次いで、ピークの分離能および理論段数を、以下の式を用いて計算することができる:
[式中:R=分離能
T1=N−グリコリルノイラミン酸の保持時間(分)
T2=N−アセチルノイラミン酸の保持時間(分)
W1=N−グリコリルノイラミン酸のベースラインでのピーク幅(分)
W2=NANAのベースラインでのピーク幅(分)
分離能値は1.5でなくてはならない。
理論段数は、以下の式を用いて計算することができる:
N=16(T2/W2)2
[式中:
N=理論段数
T2=N−アセチルノイラミン酸の保持時間(分)
W2=N−アセチルノイラミン酸のベースラインでのピーク幅(分)
理論段数は2000でなくてはならない。CTLA4A29YL104E−Ig加水分解プロファイルクロマトグラムは図49と同様になるはずである。
サンプルを、逆相HPLC(RP−HPLC)により、以下の順序で分析した:NANAおよびNGNA標準を最初に注入し、次いでサンプルを注入した(必要ならば二重に)(例えば、CTLA4A29YL104E−Igなど)。サンプル分析後、カラムを移動相Bを用いて0.5mL/分で20分間洗浄した。必要ならば、カラムを逆にすることができる。
シアル酸(NANAまたはNGNA)のタンパク質に対するモル比(MR)の測定
シアル酸のタンパク質に対するモル比をMillenniumまたはEmpowerソフトウェアにより計算することができる。
希釈係数:
[式中、
V
protein=加えたタンパク質保存溶液の容量(μl)、
V
water=加えた水の容量(μl)
タンパク質作業溶液(加水分解に使用したタンパク質)の濃度(μM):
[式中、
C
protein=タンパク質作業溶液の濃度(μM)、
C
A280=タンパク質保存溶液のA
280濃度(mg/ml)、
MW
CTLA4A29YL104E-Ig =CTLA4A29YL104E−Igの分子量、91232Da。
タンパク質作業溶液中のシアル酸濃度(μM):
[式中、
C
unknown=未知サンプル中のシアル酸(NANAまたはNGNA)の濃度
C
std=標準物中のシアル酸(NANAまたはNGNA)の濃度(μM)
A
u=未知サンプル中のシアル酸(NANAまたはNGNA)のピーク面積
A
std=標準物中のシアル酸(NANAまたはNGNA)のピーク面積
タンパク質に対するシアル酸(NANAまたはNGNA)のモル比(M.R.):
タンパク質に対するシアル酸の合計モル比(TSA)の計算:
TSA=NANAモル比+NGNAモル比
2つの一括したNANA標準物の面積カウントについての相対標準偏差は<10%となるべきである。2つの一括したNGNA標準物の面積カウントについての相対標準偏差は<10%となるべきである。2つの独立した加水分解物の面積カウントについての相対標準偏差は<10%となるべきである。
1つの態様において、CTLA4
A29YL104E−Ig中のシアル酸の平均モル比は、直下の表に特定する範囲内になければならない。
CTLA4
A29YL104E−Ig物質のモル比範囲
2つのサンプル調製物について、参考物質およびサンプル中のシアル酸のモル比の偏差値%は、≦15%、≦20%、≦25%、≦30%または≦35%でなければならない。
実施例40:CTLA4A29YL104E−Igについてのインビトロ細胞に基づくバイオアッセイ
T細胞は、活性化およびそれに続く増殖のために2つのシグナルを必要とする。最初のシグナルは、抗原ペプチドとTCR−CD3複合体の相互作用により得られる。第二の共刺激シグナルは、T細胞上のCD28と抗原提示細胞上のB7タンパク質の間の相互作用により生じる。これらの2つのシグナルを受けて、T細胞はサイトカインであるインターロイキン2(IL−2)を分泌する。IL−2の放出により、細胞の活性化および増殖が導かれる。また可溶性、免疫抑制性化合物であるCTLA4A29YL104E−Igは、抗原提示細胞上のB7タンパク質に結合し、ゆえにCD28との機能的相互作用を阻害し、IL-2産生に必要な共刺激シグナルを抑制する。
この方法において、IL−2プロモーターの制御下にある、ルシフェラーゼ遺伝子でトランスフェクションしたJurkat T細胞を、抗CD3の存在下でDaudi B細胞を用いて共刺激する。共刺激は、IL−2プロモーターを活性化し、次いでルシフェラーゼタンパク質を産生する。得られた発光シグナルを、ルシフェラーゼアッセイ系を用いて測定する。このシステムにおいて、CTLA4A29YL104E−Igは、ルシフェラーゼ活性の用量依存性の減少をもたらす。
この方法は、IL-2産生に必要な共刺激シグナルに与えるCTLA4A29YL104E−Igの効力を調べるものである。可溶性CTLA4A29YL104E−Igの存在は、T細胞と抗原提示細胞の間のシグナリングを妨げる。このシグナルがないなら、IL−2は産生されず、ゆえにT細胞のクローン性増殖を妨げる。ルシフェラーゼ遺伝子を有するベクターは、IL−2プロモーターを用いて創製した。次いでJurkat T細胞を、このリポーターベクターでトランスフェクションした。陽性クローン、Jurkat.CAを選択し、この方法において使用した。
このバイオアッセイには、トランスフェクションされたT細胞(Jurkat.CA)を抗CD3およびB細胞(Daudi)で刺激することが含まれる。B細胞によりもたらされる共刺激は、CTLA4A29YL104E−Igの添加により阻害される。Jurkat.CAおよびDaudi細胞を96穴、白色、不透明、平底プレートのウェル中に播種し、異なる濃度のCTLA4A29YL104E−Igの存在下に抗CD3で刺激する。37℃で16〜20時間のインキュベーション後、ウェルをルシフェラーゼ活性についてアッセイする。CTLA4A29YL104E−Igによる共刺激の阻害は、ルシフェラーゼ活性の用量依存的な減少として見られる。
試薬:Daudi細胞培養培地(RPMI 1640中、10%ウシ胎児血清、1%MEMピルビン酸ナトリウム);Jurkat.CA細胞培養培地(RPMI 1640中、10%仔ウシ血清、1%MEMピルビン酸ナトリウム、400μg/mLのジェネティシン);バイオアッセイ培地(Daudi細胞培養培地中0.2μg/mLの抗CD3抗体および1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液);アッセイシステムから得たBright−Gloルシフェラーゼ溶液(Promega、カタログ# E2620)。
装置:Nikon、Diaphot 200 Inverted顕微鏡;Packard TopCount NXT照度計;Tecan Genesis液体ハンドラー;Coulter Vi−Cell細胞計数器;Zymark RapidPlate−96。
作業溶液の調製:バイオアッセイ培地中の3mLのCTLA4A29YL104E−Ig溶液(5000ng/mL)
Daudi細胞培養培地。300mLのRPMI 1640を1L Corningフィルターユニットに加える。次いで、100mLのウシ胎児血清および10mLのMEMピルビン酸ナトリウムを加える。十分なRPMI 1640を加えて1リットルを作成する。濾過し、4℃で1ヶ月まで保存する。
Jurkat.CA細胞培養培地。300mLのRPMI 1640を1L Corningフィルターユニットに加える。次いで、100mLの仔ウシ血清、10mLのMEMピルビン酸ナトリウム、および8mLのジェネティシンを50mg/mLで加える(最終濃度は400μg/mL)。十分なRPMI 1640を加えて1リットルを作成する。濾過し、4℃で1ヶ月まで保存する。
バイオアッセイ培地。100mLのDaudi細胞培養培地(2.1)を100mL培地ボトルに加える。次いで、抗CD3抗体を0.2μg/mL濃度まで加え、そして1mLのペニシリン−ストレプトマイシン溶液(1.11)を加える。転倒によりおだやかに混合し、室温で8時間を超えずに保存する。
Bright−Gloルシフェラーゼ溶液。システム(1.21)に記載されているように、アッセイ緩衝液をルシフェラーゼ基質に加え、転倒混合により、溶液を調製する。試薬は、2時間以内に使用するかまたは−20℃で、遮光して4週間まで保存すべきである。
細胞株の維持。細胞計数器を用いた計測により、Jurkat.CAおよびDaudi細胞株の両方について1mL当たりの細胞数を測定する。細胞は1×105〜1.5×106細胞/mLの間であるべきである。12×106Jurkat.CA細胞および12×106Daudi細胞を無菌遠心分離管中で混合する。細胞を約125×gで10分間、室温で遠心分離する。いかなる細胞集塊も見えなくなるまで血清用ピペットを用いて繰り返し穏やかにピペッティングすることにより、細胞を9mLのDaudi細胞培養培地(2.1)中に十分に再懸濁して、濃度を2.7××106細胞/mLにする。細胞濃度を、細胞計数器において細胞を計数することにより検証する。この再懸濁した細胞を96穴プレート(1.3)のウェル中に、1ウェル当たり75mL(1ウェル当たり200,000細胞)で播種する。このプレートをインキュベーター(37℃、CO25%、および湿度85%の設定値)でインキュベートし、その間に標準、品質管理物およびサンプルを調製する。標準、品質管理物およびサンプル1および2のための名目濃度のCTLA4A29YL104E−Igの調製。標準曲線において使用するために、5000ng/mLのCTLA4A29YL104E−Ig物質作業溶液3mLをバイオアッセイ培地(2.3)中に調製する。品質管理曲線において使用するために、5000ng/mLのCTLA4A29YL104E−Ig物質作業溶液3mLをバイオアッセイ培地(2.3)中に調製する。サンプル曲線において使用するために、2つのCTLA4A29YL104E−Igサンプル作業溶液の各々3mLをバイオアッセイ培地(2.3)中5000ng/mLで調製する。(CTLA4A29YL104E−Igサンプルについておよその濃度を使用して、8点曲線を調製してもよく、測定された濃度が利用可能であるときに、5.5に記載のように比活性値を修正してもよい)。
8点曲線を、標準、品質管理物およびサンプルについて、アッセイにおける最終濃度についての以下の表55に示すように、CTLA4A29YL104E−Igを5000、200、100、50、25、10、5、および0.1ng/mLの濃度で調製し、プレートへの2倍希釈後に、2500、100、50、25、12.5、5、2.5、および0.05ng/mLの濃度になった。
2つのプレートマップを使用してもよい。ランダムプレートマップは、設定に液体ハンドラーの使用を必要とする。順序付けられたプレートマップは、隣接して三つ一組になっており、連続し順序付けられたレイアウトで添加された被験物質についての曲線の各点を有している。ランダムプレートマップについては、75μLの各溶液(4.8)を、以下のプレートマップに示すように細胞(4.5)を含むプレートの適当なウェルに加える。順序付けられたプレートマップについては、75μLの各溶液(4.8)を以下のプレートマップに示すように細胞(4.5)を含む2つのプレートの適当なウェルに加える。
プレートにTopSeal−A(1.22)でシールする。そのシールがしっかりと定位置にあるのを確認する。空気間隙があってはならない。プレートをインキュベーターで、37℃、CO25%、および湿度85%に設定して16〜20時間インキュベートする。プレートおよびBright−Gloルシフェラーゼ溶液(2.4)を装置温度に平衡化する。150μLのBright−Gloルシフェラーゼ溶液を各ウェルに同時に加えて、混合する。混合直後にプレートをTopCount NXTに置き、暗所で10分間平衡化する。発光シグナルをTopCount NXTにおいて1ウェル当たり1秒のインテグレーションを用いて、または使用する照度計の特定の型に応じて測定する。TopCount NXTからの出力を記録する。順序付けられたプレートマップを使用する場合には、2つのプレートが読み取られるであろう。最初のプレート(垂直)は、A1ウェルを左上角にして読み取られるであろう。第二のプレート(逆位)は、A1ウェルを右下角にして読み取られるであろう。
バイオアッセイのランダムプレートマップ設定:
Stnd:ウェル中最終濃度2500〜0.05ng/mLの標準物
QC:ウェル中最終濃度2500〜0.05ng/mLの品質管理物
Smp1、Smp2:ウェル中最終濃度2500〜0.05ng/mLのサンプル1〜2
バイオアッセイの順序付けられたプレートマップ設定:
Stnd:ウェル中最終濃度2500〜0.05ng/mLの標準物
QC:ウェル中最終濃度2500〜0.05ng/mLの品質管理物
Smp1、Smp2:ウェル中最終濃度2500〜0.05ng/mLのサンプル1〜2
96穴プレートの1ウェル当たり200,000細胞を加え、37℃、CO25%、および湿度85%でインキュベートした。12×106Jurkat.CA細胞および12×106Daudi細胞を無菌遠心分離管中で混合した。細胞を約125×g、室温で10分間遠心分離し、いかなる細胞集塊も見えなくなるまで血清用ピペットを用いて繰り返し穏やかにピペッティングすることにより、9mLのDaudi細胞培養培地中に十分に再懸濁して、濃度を2.7×106細胞/mLにする。表55からの各溶液75μLを、細胞を含む2つのプレートの適当なウェルに加える。プレートにTopSeal−Aでシールし、37℃、CO25%、および湿度85%で16〜20時間インキュベートした。プレートおよびBright−Gloルシフェラーゼ溶液を装置温度に平衡化した後に、150μLのBright−Gloルシフェラーゼ溶液を各ウェルに同時に加えて、混合した。次いで、混合直後にプレートをTopCount NXTに置き、暗所で10分間平衡化する。次いで、発光シグナルをTopCount NXTにおいてウェル当たり1秒のインテグレーションを用いて、または使用する照度計の特定の型に応じて測定した。
TopCount NXTからの出力を記録し、標準分析プログラム中に読み取り、そしてデータを、それらの対数を取ることにより変換した(底は10)。各試験物からの変換データを、以下の式で示すように、4パラメーターのロジスティックモデルに適合させた:
式1:
[式中:
Aは、曲線の最高部プラトーであり、Dは、曲線の最低部プラトーであり、Bは、傾き係数であり、そしてCはAとDの平均に等しい効果を生じさせる濃度である。
R2統計量、および不適合度F−検定を、各試験物について計算することができる。また、標準物質と比較した被験物質の最小値、最大値および傾きの比を計算することができる。さらに、比に対する信頼区間を算出することができる。
参考物由来のデータと組み合わせた、調べたい試験物から得たデータに1個の式を適合させることにより、各々の項目の比活性を測定した。
[式中:
A、BおよびDパラメーターは、参考および試験物の両方に共通であり、C
Rは、参考物パラメーター、C
Aは試験物パラメーター、そしてC
R/C
Aの比は、比活性である。上付き文字のIは、指示変数である。データが調べたい試験物由来であるならこれは1に等しく設定され、データが標準物由来であるなら0に等しく設定される。
各試験物の比活性は、パーセント換算に置き換えられ、該比活性はプログラムからの出力として与えられた。
およその濃度で得られた比活性値の調整:
サンプル受け取りと正確なタンパク質濃度を得ることに時間差があるために、サンプルをアッセイにおいておよその濃度で試験し、正確な濃度が決定されるときに結果を調整してもよい。この調整は、以下に示す式2を用い、測定したCTLA4
A29YL104E−Igサンプル濃度に対する、アッセイ構成のために用いたCTLA4
A29YL104E−Ig濃度の比を、アッセイにおいて測定された比活性に掛けて行う。
式2:
例:
アッセイにおいてタンパク質濃度25mg/mLでサンプルを試験した。
測定された比活性は105%であった。
測定されたCTLA4
A29YL104E−Ig濃度は、25.5mg/mLと決定された。
報告すべき比活性=(105×25)/25.5=103%
標準物:出力された標準物のEC50値は、5〜35ng/mLとなるべきである。2500ng/mLと0.05ng/mL濃度の標準物間の差異(範囲)は≧40,000カウント/秒(CPS)となるべきである。参考物についてのR−二乗値は、0.95より大きくなければならない。
表9における試験物の比活性値は、参考標準物の25〜175%でなくてはならず、これがアッセイの範囲である。比活性値がこの範囲の外にあるなら、この範囲内に入るようにサンプルを希釈するかまたは濃縮し、サンプルを再度分析しなければならない。
Daudi B細胞株:
供給源:Daudi細胞は、ATCCから得た。元となる貯蔵物(master bank)は、64バイアルから構成された。作業用貯蔵物は、元となる貯蔵物バイアルから、4継代後に作成した(注:継代0は解凍と見なし、次いで追加の3継代を、作業用貯蔵物生成前に行った)。
培地:Daudi細胞をRPMI 1640培地(HEPESおよびL−グルタミン含有、10%ウシ胎児血清および1%ピルビン酸ナトリウム追加)において増殖させる。
インキュベーター条件:細胞を通気式T−フラスコにおいて、37℃、CO25%、および湿度70〜90%で維持する。
解凍プロトコール:細胞のバイアルを液体窒素冷凍庫から取り出し、37℃水浴中で解凍する。内容物を10mLの培地と混合する。細胞を計数し、次いで125×gで10分間の遠心分離により集める。遠心分離後、上清を除去し、細胞を新鮮な培地に3×105生存細胞/mLで懸濁する。細胞はこの時点で継代0と定義する。
増殖特性:この細胞株は懸濁物中で増殖する。
継代培養:継代間が5日より長くならないよう、一週間に2回の継代により培養物を維持する。細胞を、新鮮な培地を有する通気式T−フラスコにおいて、0.5×105〜2×105生存細胞/mLに継代する。細胞は、1.5×106細胞/mLを超える密度に達してはならない。細胞は、トリパンブルー染色を用いた評価により80%を超えて存在しているべきである。継代後に、日付および継代数をT−フラスコ上にラベルすべきである。
倍加時間:倍加時間は18〜26時間の範囲にある。
継代限界:作業用貯蔵物から得た細胞を、バイオアッセイにおいて用いる前に3回継代すべきである、すなわち細胞は継代3またはそれ以上であるべきである。細胞は、20継代の間のみ培養物中に存続させるべきである。その時点で、新しい作業用バイアルを解凍すべきである。
凍結プロトコール:細胞をクリオバイアルにおいて、5〜10×106細胞/mLで凍結する。凍結保護培地は、完全培地に5%(v/v)DMSOを追加することにより調製する。細胞を、液体窒素温度(約190℃)に達するまで、1℃/分の速度で凍結する。
Jurkat.CA T細胞株:
供給源:Jurkat T細胞をCTLA4−Ig分子をコードするプラスミドでトランスフェクションした。作業用貯蔵物は、元となる貯蔵物バイアルから、3継代後に作成した(注:継代0は解凍と見なし、次いで追加の2継代を、作業用貯蔵物生成前に行った)。
培地:Jurkat CA細胞をRPMI 1640培地(HEPESおよびL−グルタミン含有、10%仔ウシ血清および1%ピルビン酸ナトリウム追加、およびジェネティシン(G418硫酸塩)を最終濃度400μg/mLで追加)において増殖させる。
インキュベーター条件:細胞を通気式T−フラスコにおいて、37℃、CO25%、および湿度70〜90%で維持する。
解凍プロトコール:細胞のバイアルを液体窒素冷凍庫から取り出し、37℃水浴中で解凍する。内容物を10mLの培地と混合する。細胞を計数し、次いで125×gで10分間の遠心分離により集める。遠心分離後、上清を除去し、細胞を新鮮な培地に3×105生存細胞/mLで懸濁する。細胞はこの時点で継代0と定義する。
増殖特性:この細胞株は懸濁物中で増殖する。
継代培養:継代間が5日より長くならないよう、一週間に2回の継代により培養物を維持する。細胞を、新鮮な培地を有する通気式T−フラスコにおいて、0.5〜2×105生存細胞/mLに継代する。細胞は、1.5×106細胞/mLを超える密度に達してはならない。細胞は、トリパンブルー染色を用いた評価により80%を超えて存在していなくてはならない。継代後に、日付および継代数をT−フラスコ上にラベルすべきである。
倍加時間:倍加時間は18〜26時間の範囲にある。
継代限界:作業用貯蔵物から得た細胞を、バイオアッセイにおいて用いる前に3回継代すべきである、すなわち細胞は継代3またはそれ以上であるべきである。細胞は、20継代の間のみ培養物中に存続させるべきである。その時点で、新しい作業用バイアルを解凍すべきである。
凍結プロトコール:細胞をクリオバイアルにおいて、5〜10×106細胞/mLで凍結する。凍結保護培地を、完全培地に5%(v/v)DMSOを追加することにより調製する。細胞を、液体窒素温度(約190℃)に達するまで、1℃/分の速度で凍結する。
実施例41:表面プラズモン共鳴(BIAcore)によるB7.1−Ig受容体へのCTLA4A29YL104E−Igの生体特異的結合の測定
B7.1Ig受容体へのCTLA4A29YL104E−Igサンプルの相対的結合を、BIAcore装置を用いた表面プラズモン共鳴により測定した。このアッセイにおいて、CTLA4A29YL104E−Igは、APC細胞膜タンパク質B7.1由来のB7.1Ig免疫グロブリン融合タンパク質に結合する。B7.1Ig受容体を、活性化センサーチップの表面上に高密度に固定化した後に、CTLA4A29YL104E−Ig物質、品質管理物、およびサンプルを、結合センサーグラムを得るために希釈する。固定化されたB7.1Ig表面へのCTLA4A29YL104E−Igの最初の結合速度(勾配)/結合した共鳴単位(RU)を、物質移動(拡散)律速条件下、この高密度B7.1Ig表面上で測定する。1秒当たりの共鳴単位(RU/s)における最初の結合速度は、生体活性濃度と直接相関している。サンプルの結合速度は、CTLA4A29YL104E−Ig物質の結合速度を、濃度に対してプロットしている参考標準曲線を用いて、活性濃度へと計算する。最終結果は、CTLA4A29YL104E−Ig物質に比較したサンプルの結合パーセントにより、または濃度として表す。
試薬:アミンカップリングキットBIA認定(キットは、各々1バイアルの115mg N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、750mg N−エチル−N'−(3−ジメチル)(EDC)、およびエタノールアミンを含む);再生緩衝液(10mMクエン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH4.0);
装置:PC互換性コンピューターを有するBIAcore C装置(BIAcore(カタログNo. BR−1100−51));Biacore C制御ソフトウェア、バージョン1.0.2;BIAcore評価ソフトウェア 1.0;BIAcore96穴マイクロタイタープレートU型BIAcore(カタログNo. BR−1005−03);BIAcore96穴マイクロプレートFoilsプレート・シーラー(カタログNo. BR−1005−78)。
試薬
アミンカップリングキットBIA認定。このキットは、各々1バイアルの115mg N−ヒドロキシスクシンイミド、750mg N−エチル−N'−(3−ジメチル)およびエタノールアミンを含む。各溶液を製造者の指示に従い等分し、以下に示すように保存する:
11.5mg/ml N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の等量ずつを−20℃で保存する。この凍結した等量物は、調製日から2ヶ月で期限が切れる。75mg/ml 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)の等量物を−20℃で保存する。この凍結した等量物は、調製日から2ヶ月で期限が切れる。1.0Mエタノールアミン−HCl pH8.5の等量物を−20℃で保存する。この凍結した等量物は、調製日から2ヶ月で期限が切れる。再生緩衝液(10mMクエン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH4.0)。1.5±0.1gクエン酸ナトリウムおよび2.9±0.1g NaClを分析的に量り分ける。500mL Milli−Q水に加え、1N HClを用いてpHを4.0に調整する。溶液を0.22μmフィルターで濾過し、次いで500mLを等分して45mL/50mL円錐管中に入れる。溶液は、2〜8℃で保存したときに調製日から6ヶ月で期限が切れる。
センサーチップの調製 新しいセンサーチップCM5を装置の検出器ユニット上のカセットポートに挿入する。BIAcore Cハンドブックに記載のように、HBS−EP緩衝液を用いて、システムの準備をする。
方法の機能のためのBIAcore C装置の操作 BIAcore C装置を、互換性PCコンピューターから、Microsoft Windows環境下にBIAcore C制御ソフトウェアを用いて制御する。BIAcore C装置の使用およびメンテナンスのために、作業指示書「Operation of BIAcore C Instrument(BIAcore C装置の操作)」および「Calibration and Maintenance of BIAcore C Instrument(BIAcore C装置の較正およびメンテナンス)」を参照。
B7.1Igの固定化法
B7.1Igの調製:B7.1Igを含むバイアルを22.5±5℃で解凍し、3000−9000RUを固定化する濃度に、希釈液として10mM酢酸pH5.0緩衝液を用いて希釈した。EDC、NHSおよびエタノールアミンのバイアルを、記載のようにアミンカップリングキットから各々解凍した。次いで、試薬およびリガンドバイアルを、BIAcoreプログラムにより指示されているようにサンプルラックに入れ、BIAcore装置指示書に従い固定化を開始した。
CTLA4A29YL104E−Ig標準曲線の作成
標準およびサンプル(例えば、CTLA4A29YL104E−Igなど)を室温で解凍した。標準曲線を得るために使用する標準物を、標準曲線の標的濃度(250、500、1000、2000、4000、および8000ng/mL)に希釈した。
濃度が25mg/mLである標準サンプル(CTLA4A29YL104E−Ig物質保存物など)の希釈のために、以下の希釈を行うことができるであろう:
i. 20μLを980μL HBS−EPに加えることにより、1/50(500μg/mL)に希釈する。
ii. 30μLの500μg/mLを908μL HBS−EPに加えることにより、16μg/mLに希釈する。
iii. 1/2段階(500μLの前希釈物+500μL HBS−EP)で連続希釈して、250ng/mLにする。
2つの勾配値が得られるであろう二重注入で、各標準を分析することができる。
品質管理サンプル CTLA4A29YL104E−Igの品質管理(QC)サンプルを、3つの標的濃度レベル750、2500、および5000ng/mLでHBS−EP緩衝液中に調製し、7mmプラスチックバイアル中に200μL等量ずつ−80℃で凍結する。QCサンプル中のCTLA4A29YL104E−Ig濃度は、この方法を用いて3つの独立した濃度分析実験において測定する。各実験において、全てのQCサンプル注入は、許容できる、名目濃度の±20%の検出でなくてはならない。適格とされた凍結QCサンプルは、調製後6ヵ月で期限が切れる。実験日に、3つのQCサンプルのうち各々1つのバイアルを室温で解凍する。QCサンプルを方法の操作ガイドに記載のようにサンプルラック位置に入れ、各QCを三重注入で分析する。あるいは、QCを分析日に新鮮に調製することができる。
CTLA4A29YL104E−Ig試験サンプル CTLA4A29YL104E−Igサンプルをアッセイの範囲内の濃度(750〜5000ng/mL)に希釈しなければならない。既知のおよそのCTLA4A29YL104E−Ig濃度を有するサンプルを標的濃度2000ng/mLに希釈すべきである。サンプルを室温で解凍後、それらを標的濃度2000ng/mLにHBS−EP緩衝液を用いて希釈する。サンプル希釈物を分析のためにBIAcore認定ポリプロピレン試験管または96穴マイクロタイタープレート中に調製することができる。以下に示すものは、CTLA4A29YL104E−Ig試験サンプルの希釈のための例である:
サンプルを室温で解凍後、CTLA4A29YL104E−Igサンプルをアッセイの範囲内の濃度(例えば、750〜5000ng/mL)に希釈した。既知のおよそのCTLA4A29YL104E−Ig濃度を有するサンプルを、HBS−EP緩衝液を用いてBIAcore認定ポリプロピレン試験管または96穴マイクロタイタープレート中に標的濃度2000ng/mLに希釈すべきである。
以下に示すものは、CTLA4A29YL104E−Igサンプル(濃度=25.0mg/mL)の希釈の例である:
i. 20μLを980μL HBS−EPに加えることにより、1/50(500μg/mL)に希釈
ii. 30μLの500μg/mLを720μL HBS−EPに加えることにより、1/25(20μg/mL)に希釈
iii. 100μLの20μg/mLを900μL HBS−EPに加えることにより、1/10(2μg/mL)に希釈
各希釈物をボルテックスに穏やかな速度で2〜4秒間かける。サンプルを三重(保存サンプル溶液から得た3つの独立した希釈物)に調製し、各希釈物を1注入で分析する。サンプルを三重(保存サンプル溶液から得た3つの独立した希釈物)に調製し、各希釈物を1注入で分析した。
BIAcore Cソフトウェアを用いた分析の開始:BIAcore C制御ソフトウェアを開き、File→Project→Published→8164−2→Concentration Analysis Wizardを選択し、「Next」をクリックして、行うべき分析に適当な公開テンプレート、例えば、「CTLA4A29YL104E−Ig Sample Concentration Analysis. blw」を選択する。計画した分析のためのサンプルの最大数を入力する。このサンプル数には、複製物が含まれるので、例えば、8サンプルを三重に分析するためには、24という数を入力すべきである。B7.1Igリガンドが固定化されているフローセル(1−4)を選択する。「Next」をクリックして、サンプルID、希釈係数、および複製の数を入力する。「Next」をクリックして、バイアルの位置をチェックする。この時点で、バイアルの位置を所望の配置に動かすことができる。「Next」をクリックして、「Preparation for Analysis」スクリーン上のアッセイのための設定および選択を確認する。「Next」をクリックして、下方へスクロールする。標準、QC、再生溶液、および試験サンプルを適当な位置に置く。「Start」をクリックして、分析を開始する。
データ評価。BIAcore Cソフトウェアを開始し、得られたBIAcore file***.blrを開く。次いで、「Wizard Results」を「View」メニューから選択して、データを評価する。
B7.1Ig表面についての例示的値
活性化フローセル上に固定化されたB7.1Igの質量を、RU(共鳴単位)として表した。表面質量は、最適なアッセイの性能のために3000〜9000RUであるべきである。表面質量がこの例示的値に合わないなら、活性化時間(EDC/NHS注入)またはB7.1Ig濃度の調整を行い、他のフローセルを固定化することができる。
ベースライン変動についての例示的値
各実施のベースライン変動を、リガンドの固定化表面質量に比較した各サイクル間のベースラインの変化パーセント(「絶対反応値」)として計算した。実行のあらゆる2サイクル間の最も大きなパーセント変化は≦5.0%でなくてはならない。例えば:サイクル20のベースライン=13500RU、サイクル23のベースライン=13650RU、およびB7.1Ig表面密度=6000RUであるなら、ベースライン変動=(13650−13500)/6000×100=2.5%である。
標準物についての例示的値
例示的値を、500ng/mL以上の標準曲線濃度に適用する。標準曲線を決定するために用いる各標準物濃度での各勾配値での値の変動係数(%CV)は、±10%以内でなければならない。各標準物濃度での平均算出濃度値(ng/mL)は標的(名目)値の15%以内でなければならない。算出濃度と標的(名目濃度)の間の差を、標的(名目)濃度で割って、100を掛ける。例えば、標準物500ng/mLで、BIAcore C算出濃度は510ng/mLである。偏差値%は、次のように計算されるであろう:(510ng/mL−500ng/mL)/500ng/mL×100%=2.0%。
QCサンプルについての例示的値:各QCサンプル標的濃度について3重に計算された濃度値の%CVは±10%以内でなくてはならない。QCサンプルの結果は、9つのQC測定のうち少なくとも7つについての各々の標的値の±15%以内でなくてはならない。2500ng/mLレベルでの最初および最後のQC注入の間の勾配値の差は、±5.0%以内でなければならない。例えば、最初の勾配値が10.366RU/sであって、最後の勾配値が10.230RU/sであるなら、その差のパーセントは次の通りとなろう:
(10.366−10.230)/10.366×100%=1.3%
試験サンプルについての例示的値
各テストサンプル標的濃度について得た3重の実測値の%CVは、20%以内でなければならない。サンプルについての勾配値は、この方法の範囲内になければならない:品質管理サンプル1での平均勾配≦サンプルの平均勾配≦品質管理サンプル3の平均勾配。
サンプル結果の計算
CTLA4A29YL104E−Ig物質に比較した試験サンプルの結合パーセントを測定するために、各試験サンプルについての濃度値を標準曲線からng/mLで計算する。BIAcore装置のResults Wizardにより、各サンプルについて入力した希釈因子に基づいて非希釈サンプル中のCTLA4A29YL104E−Ig濃度がmg/mLで計算される。
結合パーセントの測定:試験された各サンプルについて計算された平均濃度値に100をかけて、280nm(A280)で測定した吸光度により決定したサンプルの報告されたタンパク質濃度で割ることができる。次いで、その値を、標準サンプルに比較した結合パーセントとして四捨五入した整数に報告することができる。例えば、サンプルを希釈因子12,500(サンプルタンパク質濃度約25mg/mL)により希釈した。サンプルの3重注入から得た算出平均CTLA4A29YL104E−Ig濃度は25.3mg/mLである。サンプルのA280は、24.2mg/mLである。標準サンプルと比較した算出結合パーセントは、次の通りであり得る:25.3mg/mL/24.2mg/mL×100%=104.545%。
CTLA4
A29YL104E−Ig固定化ウィザードテンプレート
固定化注入パラメーター
実施例42:CTLA4-Igの炭水化物分析データと薬物動態データとの間の相関
CTLA4-Ig上の炭水化物構造はCTLA4-Ig治療組成物の薬物動態(PK)において重要な役割を果たす。これらの炭水化物構造を特徴づけるためにいくつかの方法が開発されている。次の二つの分析パラメーターがクリアランス速度とよく相関している:シアル酸(NANA)対CTLA4-Igタンパク質の比ならびに炭水化物プロファイルからのドメインIIIおよびIVのパーセンテージ。第三のパラメーター(単糖分析からのガラクトース対マンノースの比)もよく相関すると思われる。例えば、これらのパラメーターの明細は下記でありうる:
NANA:CTLA4-Igタンパク質比 ≧8.0
炭水化物プロファイル ドメインIIIおよびIV ≧25%(方法I)
ガラクトース:マンノース比 ≧0.65
CTLA4-Ig発酵プロセスにおける重要な段階は、本明細書において明記される特徴を含む最終生成物の収量(力価)を最大にする回収パラメーターの選択でありうる(表6参照)。パラメーターの一つ(NANA:タンパク質比)は回収パラメーターの一つとして用いるのに十分速やかで正確である。NANA対CTLA4-Igタンパク質の約8.0という標的モル比によって、確実にほとんどの回収物が>7.0のNANA比を有することになる。続いて、精製中の強化によりNANA比>9.0のCTLA4-Ig分子を生成することができる。
CTLA4-IgはいくつかのN-連結およびO-連結グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。N-連結炭水化物構造は典型的には2-または3-触角で、完全にシアリル化されている場合、末端は炭水化物NANA-Gal-GlcNAcである。ほとんどの分子は部分的にシアリル化されているにすぎず、末端がGalまたはGlcNAcのいくつかの炭水化物鎖を含む。末端シアル酸(NANA)残基がないと、血流からの曝露速度増大につながることになる。本実施例において、末端ガラクトースは急速なクリアランスからのいくらかの保護も提供することを明らかにするデータを示す。
グリコシル化を評価するために用いる第一のパラメーターはNANA:CTLA4-Igタンパク質モル比である。サルPK試験は、NANA比が6.9のCTLA4-Ig分子を用いて許容されるクリアランスが得られることを示している。サルで試験したプロセスY CTLA4-Ig材料の第一ロット(Yプロセスから得たCTLA4-Ig組成物)はNANA比7.1を有していた。驚くべきことに、これはNANA比6.9のCTLA4-Ig材料の二倍速く排出することが判明した。二つの試料の単糖分析を検討して、Xプロセス材料はCD-CHOプロセス材料よりも有意に多くのガラクトースを有することが明らかとなった。飼料中にガラクトースを含むプロセスが開発された(CD-CHO1)。このプロセスにより生成したCTLA4-IgはYプロセス材料よりも高いレベルのガラクトースおよびシアル酸の両方を有していた。CD-CHO1プロセスからの材料の分析およびPKデータについて以下に記載し、プロセスYおよびプロセスX材料と比較する。
分析法
炭水化物プロファイルアッセイは全炭水化物構造の酵素的除去およびアニオン交換クロマトグラフィによるそれらの分離からなる。炭水化物ピークは主に各構造におけるシアル酸残基の数に基づき4または5つの集団(「ドメイン」)に分かれる。ドメインIはほとんどシアリル化されておらず、ドメインIIはモノシアリル化されており、ドメインIIIはジシアリル化されており、ドメインIVはトリシアリル化されており、かつドメインVはテトラシアリル化されている。各ピークまたはドメイン下の面積をもとめ、すべてのピーク下の合計面積のパーセンテージとして報告することができる。
クリアランス速度を、サルに10mg/kgのCTLA4-Igを三重複で注射し、次いで28日間の血清濃度の低下を追跡することによりもとめた。クリアランス速度は「曲線下面積」すなわちAUCの測定値に関連している。AUCはクリアランスに関連し、より高いクリアランス速度が高いほどAUCは小さく、クリアランス速度が低いほどAUC値は大きくなる。値が高いほどCTLA4-Igのクリアランスは遅いことになる。
図50は、哺乳動物タンパク質で見られる多くのN-連結炭水化物構造のいくつかを示している。すべての鎖は2つのGlcNAcおよび3つのマンノース残基を含む共通の中核構造を有している。この中核から、−GlcNAc−Gal−NANA、−GlcNAc−Gal、または−GlcNAcの3つの構造の1つからなる2から4つの鎖が伸びている(図50、構造(1)、(2)、および(3))。末端シアル酸(NANA)がタンパク質の血流からのクリアランスを低下させる原因と仮定すると。NANA比が同じままであるにもかかわらず(表56−図51〜52のそれぞれ試料CTLA4-Ig S1およびCTLA4-Ig (-) Gal)、サルPK試験でCTLA4-Igのクリアランス速度が倍増した(表56)ことは驚きであった。異なる培地中で調製した試料間で観察された一つの差はガラクトース対タンパク質のモル比で、これはプロセスYよりもプロセスXで調製した試料の方が有意に高かった(CTLA4-Ig)。これはクリアランス速度が主に末端GlcNAc残基によって決定され、末端ガラクトースはいくらかの保護を提供することを示唆するものであった。CTLA4-Igのガラクトシル化を高めるために、Yプロセスの試料にガラクトースを加えた。新しいプロセス(CD-CHO1;図51〜52のCTLA4-Ig S2)はバイオリアクター中のCTLA4-IgのガラクトースおよびNANA両方のモル比を有意に増大させた。
さらなるサルPK試験を実施した。これらは3つの異なるプロセス(プロセスX、プロセスY、およびCD-CHO1プロセス;図51〜52のそれぞれCTLA4-Ig S1、CTLA4-Ig (-) Gal、およびCTLA4-Ig S2)によって生成したCTLA4-Ig生成物を含んでいた。加えて、NANA比が非常に低いCTLA4-Ig(精製手順における洗浄段階から回収;図62参照)を試験した。これまでに試験した試料すべての分析およびPKデータを表56に示している。最も最近のPK試験(表56)において、延長したプロセスY発酵運転から生成したCTLA4-Ig(CTLA4-Ig S3)を評価した。
図51は、4つの試験における試料すべてのNANA比とサルPK AUC値との間の相関を示している。Yプロセス(図51のCTLA4-Ig (-) Gal参照)およびCD-CHO1プロセス(図51のCTLA4-Ig S2)によって調製した試料はこれらのパラメーター間で強い相関を示し、NANA比はCTLA4Igのクリアランス速度に著しい影響を有することを示している。これらの点についての傾向線の分析は、NANA=9で、Y(CTLA4-Ig (-) Gal)またはCD-CHO1(CTLA4-Ig S2)プロセスによって調製したCTLA4-IgはプロセスX材料CTLA4-Ig S1)とほぼ同じ速度で排出されることを示している。NANA比を8に下げると、サルPK試験のAUCが約25%低下するが、比を10に上げるとAUCは約25%増大する。Y(CTLA4-Ig (-) Gal)およびCD-CHO1(CTLA4-Ig S2)プロセスに関してNANAとAUCとの間には強い相関があるが、NANA比が9のCD-CHO1材料(CTLA4-Ig S2)と同じクリアランス速度を示すX材料(CTLA4-Ig S1)のNANA=7であることに留意することが重要である。したがって、NANA比はCTLA4-Igのクリアランス速度を決定する唯一の原因ではない。
表56. CTLA4-Igの炭水化物評価。M-1はCTLA4-Ig材料を方法1を用いて分析したことを示し、M-2はCTLA4-Ig材料をわずかに異なる方法2を用いて分析したことを示している。「PA」は発酵ブロスからのタンパク質A精製試料である材料を示している。
もう一つのサルPK試験(表56)を実施して、3つの異なるプロセス(プロセスX、プロセスY、およびCD-CHO1プロセス)によって生成したCTLA4Igのクリアランス速度を比較した。加えて、NANA比が非常に低いCTLA4Ig(精製手順における洗浄段階から回収(PA))を試験に含めた。50Lまたは5000Lいずれかのバイオリアクター中でCD-CHOプロセスによって調製したCTLA4IgはXプロセス材料と近いNANAモル比を有し、PK試験において、いずれもプロセスX値の約半分のAUC値を有していた。CD-CHO1プロセスによって生成したCTLA4IgはプロセスX材料よりも高いNANA比(9.9対6.9)および約30%高いAUC値を有し、クリアランス速度が遅いことを示している。シアリル化およびガラクトシル化の程度が低い洗浄材料(NANA=2.3)は非常に速やかに排出された(プロセスX材料についてAUC=2337 hr-μg/ml対15753)。
もう一つのサルPK試験(表56)は、5000Lのバイオリアクター中CD-CHO1プロセスにより調製し、異なる日に回収したCTLA4Igを比較した。発酵運転中、NANA比は典型的にはほぼ第8日に最大となり、その後徐々に低下する。二つの運転から、一定量を第12、14、および16日に取り出し、精製した。精製後、NANA比は8.8から10.0の範囲であった。第12および14日の試料(NANA=それぞれ9.8および10.0)はプロセスX材料よりも20〜30%高いAUC値を有していた。第16日の試料(NANA=8.8)はプロセスX材料とほぼ等しいAUC値を有していた。
CTLA4-Igのグリコシル化を評価するためのもう一つの分析手段は炭水化物プロファイルである。全N-連結炭水化物構造を酵素的に除去し、アニオン交換HPLCで分離する。多数のピークが生じ、これらは4または5つのドメインに分かれる(図58〜62参照)。ドメインIおよびIIは大部分がシアリル化されていない構造と、モノシアリル化された構造で、一方、ドメインIIIおよびIVおよびVは大部分がジおよびトリおよびテトラシアリル化された構造である。
プロセスX材料を含む試料のすべてで、ドメインIIIおよびIVにおける全プロファイルのパーセンテージはAUCとよく相関することが経験的に観察された(図52)。これらのドメインにおける構造のほとんどは完全にシアリル化およびガラクトシル化されていると予想される。M-1群からのデータを用いて、ドメインIIIおよびIVの約29%というパーセンテージはプロセスX材料と同じクリアランス速度を有するはずである。方法2からのドメインIIIおよびIVのデータは方法1で得たデータよりも典型的に約4%低い(21%対25%)。
加えて、試料のすべてでドメインIおよびIIにおける全プロファイルのパーセンテージはAUCとよく相関することが観察された(図57)。これらのドメインにおける構造のほとんどは主にシアリル化されていない構造およびモノシアリル化された構造であると予想される。図57は、クリアランス速度は、ドメインIおよびIIのパーセンテージが低い試料では、ドメインIおよびIIのパーセンテージが高い試料よりも高かったことを示している。ドメインIおよびIIのグリコシル化の低下は、ドメインIIIおよびIVにおいてグリコシル化されたペプチドの存在がおそらく高まっていることに相関している。
CTLA4Igのクリアランス速度を予測するためにシアル酸のタンパク質に対するモル比が伝統的に用いられてきたが、サルPK試験において異なる発酵培地ではNANA比は同じであるが、クリアランス速度は異なる分子が得られている。クリアランス速度を予測するためのよりよい手段を開発するために、他の二組の分析データ(単糖分析および炭水化物プロファイル)を評価し、サルPKデータと比較した。最も予測的な分析パラメーターはCTLA4Igのガラクトシル化の程度であった。このアッセイの分析のばらつきを減らすために、ガラクトースのモル比をマンノースのモル比に規準化した。得られたGal:Man比は試料のすべてでサルPK試験からのAUC結果とよく相関していた。この結果は、CTLA4Igのクリアランス速度が主に分子上の露出した末端GlcNAc残基の数によって決まるモデルと一致している。このモデルが正しければ、ガラクトシル化の程度はシアリル化よりもクリアランス速度をよく予測するはずである。薬物動態による比較可能性を確実にするために(Xプロセスからの材料のAUC>75%)、Gal:Man>0.65というガラクトースとマンノースの比についての規格が精製CTLA4-Ig原薬バルク(BDS)のために推奨される。
YプロセスまたはCD-CHO1プロセスによって調製した材料だけを分析する場合、NANA対タンパク質のモル比はクリアランス速度を正確に予測することができる。しかし、この関連性はXプロセスで調製した材料には適用されない。Xプロセス材料と比較可能にするために、YプロセスまたはCD-CHO1プロセスによって調製したCTLA4-IgはNANA比が2単位高くなければならない(NANA=9のCD-CHO1はNANA=7のXプロセス材料と比較可能である)。シアル酸アッセイは正確で、所要時間が迅速であるため、発酵運転中のCTLA4Igの品質をモニターするための製造過程の分析ツールとして有用である。
比較可能な薬物動態(AUC>基準の75%)を維持するために、NANA>8という規格が精製BDSのために推奨される。この値は発酵運転を回収するための妥当な標的でもある。精製プロセスはシアル酸比を少なくとも2単位高めることができるため、回収標的をNANA=8に設定することで少なくともNANA=7の実際の回収値が確実になると思われる。精製プロセスはこの値を少なくともNANA=9に高めることができ、これはプロセスX材料と比較可能で、前述のBDSの推奨最小規格よりも十分に高い。
ドメインIIIおよびIV下の面積パーセントをAUCと比較する場合、炭水化物プロファイルもプロセスX材料およびプロセスY材料の両方でサルPK試験の結果をよく予測した。ドメインIIIおよびIVはほとんどが完全にシアリル化およびガラクトシル化された炭水化物構造からなる。
AUC値、NANA値、Gal値、ならびにドメインIIおよびIVのAUC合計の全パーセンテージの間の相関を示すよう、表56のデータをさらに提示することができる。下記参照:
上のこの表は、組成物のドメインIII(およびIV)の合計とPK結果との間に相関があることを示している。ドメインIIIおよびIVおよびVのAUCはNANAおよびGalのCTLA4-Igタンパク質のモル数に対するモル比に直接関連している。したがって、本発明は、それらの炭水化物プロファイルが18から約37 AUC%のドメインIIおよびIVの合計、またはドメインIII、IVおよびVの合計を含むことを特徴とする組成物を提供する。一つの態様において、ドメインII、IVおよびVの合計は約19から約36、約20から約35、約21から約34、約22から約33、約23から約32、約24から約31、約25から約30、約26から約29、約27から約28 AUC%である。一つの態様において、本発明は、ドメインIIIが合計19±4のAUC%を有し;ドメインIVが合計7±4のAUC%を有することを特徴とするCTLA4-Ig組成物を提供する。
実施例43:CTLA4-Igのトリプシンペプチドマッピング
形質移入したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来CTLA4-Igは分子質量約92500ダルトンの糖タンパク質である。ペプチドマッピングはタンパク質の一次構造の同一性を調べるための感度の高い方法であり、翻訳後修飾を検出する際に有用である。タンパク質をグアニジン-HClを用いて変性し、還元し、DTTおよびIAAを用いてアルキル化する。タンパク質をNAP-5カラムを用いて脱塩し、消化混合物を逆相(C18)クロマトグラフィで分析する。ピーク検出を215nmのUV吸収により行う。
試薬:移動相A溶液(水中の0.02%トリフルオロ酢酸(TFA)(v/v));移動相B溶液(95%ACN(アセトニトリル)および5%水中の0.02%TFA(v/v));アルキル化剤(200mMヨードアセトアミド(IAA));希釈緩衝液(100mMトリス、25mM NaCl、pH8.0);変性緩衝液(8Mグアニジン、50mMトリス、pH8.0);消化緩衝液(50mMトリス、10mM CaCl2、pH8.0);還元剤(100mM DTT)。
機器:(等価の機器を用いてもよい)NAP-5カラム(Amersham、cat. # 17-0853-02);HPLCカラムヒーター;カラムヒーターおよびUV検出器を備えたWater's Alliance HPLCシステム。
還元およびアルキル化:試料(例えば、CTLA4A29YL104E-Ig、標準など)を水を加えて1mg/mlに希釈し、最終量100μL(1mg)とした。変性緩衝液(560μl)および還元剤(100mM DTT、35μL)を試料(100μl)に加え、混合し、マイクロ遠心器で3秒間遠心分離した。次いで試料を50℃で20±2分間インキュベートした。次いで、アルキル化剤(200mM IAA、35μL)を各試料に加え、試料を再度混合し、マイクロ遠心器で3秒間遠心沈降した。続いて試料を50℃、暗所で20±2分間インキュベートした。NAP-5カラムにカラムの3倍量(約7〜8mL)の消化緩衝液を流して平衡化した後、還元し、アルキル化した混合物(500μl)をNAP-5カラムに加え、カラムを通して流出させた。次いで、消化緩衝液(1mL)で試料をカラムから溶出することにより、試料をNAP-5カラムから回収した。
消化:試料をトリプシン(0.5μg/μL、20μL)により、38℃の水浴中で4時間(±0.5時間)消化した。消化完了後、試料をTFA(2.5μL)で酸性化した。次いで、試料をその後の分析用のオートサンプラーバイアルに入れた。
カラムを最初の注入前に100%移動相A緩衝液で25分間平衡化した。カラム温度を37℃、オートサンプラー温度を4℃に維持しながら、UV吸収を215nmでモニターした。移動相A緩衝液のブランクを最初のシステム適合性標準の前に実行し、その後各試料50μLを1回注入した。基準物質の注入で試料注入6回ごとにブラケッティングすべきである。CTLA4-Ig試料のためのペプチドマップクロマトグラムを図53に示す。初期およびブラケッティング基準物質クロマトグラム間のピークT2、T3、T15、およびT19(図53および表57)の保持時間における差は±0.5分でなければならない。
表57. トリプシンで消化したCTLA4-Igの理論的に予想される断片
理論段数:理論段数で評価したカラムの有効性を、下記の式に従いピークの保持時間および幅を用いて定量的に測定することができる:
式中:
「w」は比較的直線の側部をベースラインに外挿することにより測定した、ベースラインにおけるピーク幅であり、「t」は注入時からピーク最高点の溶出時までを測定したピークの保持時間である。
N<50000の場合、カラムを再度平衡化する。
分解能:2つのピーク、例えば、図53に示すピークT30とピークT12との間の分解能(R)は下記の式を用いてもとめることができる:
式中:
t
1、t
2 = それぞれ断片ピークT30およびピークT12の保持時間
w
1、w
2 = それぞれ保持時間t
1およびt
2のピークのベースラインにおける接線により規定したピーク幅。
R<1.5の場合、カラムを再度平衡化すべきであり、問題が続く場合には、カラムを交換すべきである。
模範的値:試験品および基準物質のピークT3、T15、およびT19の相対ピーク面積間の差は≦10.0%でなければならない。ピークの相対ピーク面積は、ピークT2のピーク面積のパーセンテージで表すピーク面積と定義される。試験品および初期システム適合性基準の相対ピーク面積間の差を以下に示すとおりに得る。相対ピーク面積(RSX)を下記の式を用いて試験品のクロマトグラムにおけるピークT3、T15、およびT19それぞれについて計算することができる:
RSX = (AsX/AS2)*100
式中:
RSX = クロマトグラムにおけるピークXの相対ピーク面積
ASX = 試料中のピークXの面積
AS2 = 試料中のピークT2の面積。
同様に、相対ピーク面積(RRX)を標準のクロマトグラムにおけるピークT3、T15、およびT19それぞれについて計算することができる。続いて、試料および標準における相対ピーク面積間の差(DX)を下記の式を用いて計算することができる:
DX = [(RSX - RRX)/ (RRX)]*100.
試料にその他のピークが1つある場合、ピークT11に比べてのそのピークの相対ピーク高を下記の式を用いてもとめることができる:
相対ピーク高RT = (HT/H11)*100 式中
HT = 保持時間t分のピークの高さ
H11 = クロマトグラム中で最も高いピークであるピークT11の高さ
一つの態様において、新しいピークの相対ピーク高が≦5.0%の場合、プロファイルはCTLA4-Ig標準のプロファイルと一致すると考えられる。新しいピークの相対ピーク高が>5.0%の場合、プロファイルはCTLA4-Ig標準物質のプロファイルと一致しないと考えられる。
酸化パーセントデータを、タンパク質中のMet85のメチオニンスルホキシドへの酸化面積パーセントを定量する、RP-HPLCトリプシンマッピングアッセイを用いて得た。この方法の酸化パーセントは、Met85を含む残基84〜93からなるT6トリプシンペプチド、および対応するMet(O)85を含む酸化トリプシンペプチド、T6oxのRP-HPLCトリプシンマップにおけるUVピーク面積を測定することにより得る。Met85のMet(O)85への酸化面積パーセントはT6oxピークの面積パーセントに比例する:
酸化パーセント = 100 * AT6ox/ (AT6ox + AT6)
式中、
AT6 = T6トリプシンペプチド(84〜93)のピーク面積
AT6ox = T6oxトリプシンペプチド、Met(O)85(84〜93)のピーク面積
脱アミドパーセントデータを、アッセイにおける脱アミドの酸化面積パーセントを定量する、RP-HPLCトリプシンマッピングアッセイを用いて得、この脱アミドパーセントは、Asn294を含む残基281〜302を含むT26トリプシンペプチド、および対応するisoAsp294を含む脱アミドトリプシンペプチド、T26deam1のRP-HPLCトリプシンマップにおけるUVピーク面積を測定することにより得る。Asn294のisoAsn294への脱アミド面積パーセントはT26deam1ピークの面積パーセントに比例する:
式中、
A
T26 = T26(281-302)のピーク面積
A
T26deam1 = T26deam1、isoAsp
294(281〜302)のピーク面積
A
T26deam2 = T26deam2、Asp
299(281〜302)のピーク面積
A
T26deam3 = T26deam3、Asp
294(281〜302)のピーク面積
A
T26deam4 = T26deam4、Asu
294(281〜302)のピーク面積
実施例44:電気化学的検出を用いた高性能アニオン交換クロマトグラフィによるCTLA4-Ig N-連結オリゴ糖炭水化物プロファイリング
糖タンパク質上の炭水化物構造はそれらの機能およびインビボでのクリアランスに影響をおよぼしうる。したがって、組換えによって生成した糖タンパク質のバッチの炭水化物の構造的一貫性をモニターすることは重要である。CTLA4-IgはN-連結およびO-連結(セリン-連結)両方のグリコシル化部位を含む組換えタンパク質である。ここで、CTLA4-Ig上のN-連結(アスパラギン-連結)炭水化物をモニターする。この方法において、オリゴ糖をPNGアーゼF(ペプチド:N-グリコシダーゼF)での酵素消化により切断し、次いで2カラムシステムでの逆相HPLCにより単離し、高性能アニオン交換クロマトグラフィ(HPAEC)により分離し、電気化学的検出(統合アンペロメトリー)でモニターする。生成したクロマトグラムはN-連結炭水化物プロファイルで、ここでCTLA4-Ig試料のプロファイルはそのようなものに類似であるべきである。
この方法は、CTLA4-Ig試料から放出されたN-連結オリゴ糖のHPAECオリゴ糖プロファイルを評価するための手順を記載する。この方法の目的は、比較分析のために用いうるCTLA4-Ig原薬N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィプロファイルを提供することである。CTLA4-Ig上のグリコシル化はN-連結オリゴ糖を含む。これらのオリゴ糖はPNGアーゼFでの22時間かけての酵素加水分解により遊離される。遊離オリゴ糖は電気化学的検出を用いての高pHアニオン交換クロマトグラフィによりプロファイリングする。原薬のオリゴ糖プロファイルを基準物質の現在実行中の試料に対して評価する。結果を選択したドメインおよびピークの参照標準における同じピークからの偏差パーセントとして報告する。
材料。特に明記されないかぎり、等価の材料を代わりに用いてもよい。
機器および条件。特に明記されないかぎり、等価の機器を代わりに用いてもよい。
アニオン交換クロマトグラフィによるオリゴ糖プロファイルのためのクロマトグラフィ条件
注:注入を行う前に、初期移動相を用い、分析流速で約2時間、またはベースラインが安定するまでカラムを平衡化すること。
電極クリーニング(Waters 2465)。検出器マニュアルのクリーニングの説明に従う。電極表面を磨くためにフローセルキットに含まれるダイアモンドスラリーを用いる。研磨によって許容される結果が得られない場合、電極を新しいフローセルキットに代える。新しいスペーサー(50μm)を用いてフローセルを再生する。
試薬。注:部門の手順に従い、すべての試薬調製物にラベリングし、記録する。
HPAECオリゴ糖炭水化物プロファイリングのために移動相を調製する。
HPAEC溶離剤1:500mM酢酸ナトリウム(NaOAc)。無水酢酸ナトリウム(20.51±0.05g)をHPLC等級の水(400mL)を含む500mLメスシリンダーに秤量する。HPLC等級の水で500mLとし、プラスティック製メスピペットを用いて完全に混合するまで5分間撹拌する。溶液を0.2μmナイロンフィルターを通してろ過する。1L溶離剤ボトルに移す。ボトルのふたを緩く閉め、ヘリウムで20分間スパージする。ふたをきつく閉め、ボトルをヘリウムで加圧する。溶液をヘリウム雰囲気下、室温で3週間まで保存する。
HPAEC溶離剤2:400mM水酸化ナトリウム(NaOH)。1Lメスシリンダーを用い、HPLC等級の水(960mL)を量って1L溶離剤ボトルに移す。プラスティック製メスピペットを用い、10N NaOH(40.0mL)を溶離剤ボトルに直接加え、回旋により溶離剤を混合する。ボトルのふたを緩く閉め、ヘリウムで20分間スパージする。ふたをきつく閉め、ボトルをヘリウムで加圧する。溶液をヘリウム雰囲気下、室温で3週間まで保存する。
HPAEC溶離剤3:HPLC等級の水。1L溶離剤ボトルにHPLC等級の水(約1L)を充填する。溶離剤ボトルをシステム上に置き、ふたを緩く閉め、約20分間スパージする。ふたをきつく閉め、ボトルをヘリウムで加圧する。溶液をヘリウム雰囲気下、室温で3週間まで保存する。
50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム、pH = 7.5。アジ化ナトリウム(NaN3)は吸入(有毒)および皮膚への接触(刺激性)を避けるよう注意して取り扱うべきである。その他の要求についてはMSDSシートを参照されたい。NaN3秤量後、天秤のある場所を十分に清掃すべきである。
NaH2PO4・H2O 6.9g
NaN3 0.2g
H2O 最終量1.0リットル
NaH2PO4・H2O(6.9g±0.1g)およびNaN3(0.2g)を秤量し、1L試薬ボトル中のHPLC等級の水(800mL)に、磁気撹拌子で連続撹拌しながら溶解する。pH測定器を用い、10M NaOHで溶液のpHを7.5に調節する。1Lメスシリンダーを用い、最終量を1.0リットルとする。溶液を室温で6ヶ月まで保存する。50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム、pH = 7.5中のPNGアーゼF酵素希釈標準保存液。
50mMリン酸ナトリウム緩衝液
0.02%アジ化ナトリウム、pH = 7.5 1.8mL
キット、カタログNo. P0704LからのPNGアーゼF 0.2mL
50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02%アジ化ナトリウム、pH7.5(1.8mL)を1.8mL低温バイアル中にピペットで加える。キットからのPNGアーゼF(0.2mL)を加え、十分に混合する。溶液を-20℃以下で6ヶ月まで保存する。溶液を凍結前に分注してもよい。
外部システム適合性標準。スタキオース保存溶液(1.25mg/mL):スタキオース(0.125g)を秤量紙上に量る。分析用天秤を用い、100mLメスフラスコに移す。HPLC等級の水を標線まで加え、十分に混合する。Nalgeneクライオバイアル中に2mLずつ分注する。溶液を-20℃以下で6ヶ月まで保存する。
スタキオースシステム適合性標準(12.5μg/mL):1.25mg/mL保存溶液(1mL)を100mLメスフラスコにピペットで加える。HPLC等級の水を標線まで加え、十分に混合する。0.65mLマイクロ遠心管に200μLずつ分注する。遠心管を適当にラベリングした箱に入れる。システム適合性溶液を-20℃以下で6ヶ月まで保存する。
標準および試料調製
基準物質調製。凍結乾燥RapiGest SF(1mg)を含むバイアルに、0.02%アジ化Naを含む50mMリン酸Na緩衝液、pH7.5(625μL)を加える。注:一連の試料内ではすべての試料に対し単一プールのRapiGest SF含有緩衝液を用いるべきである。いくつかのバイアルのRapiGest SFを再構成し、混合して、十分な量を提供してもよい。0.65mLエッペンドルフチューブにRapiGest SF含有緩衝液(120μL)を加える。基準物質(約50mg/mL、40μL)を加える。最終RapiGest SF濃度は0.12% w/vであるべきである。PNGアーゼF希釈標準保存液(40μL)を加え、十分に混合し、試料を遠心沈降し、38±2℃で22±2時間放置する(水浴またはAllianceオートサンプラー室)。試料をマイクロコンYM-10遠心ろ過器にピペットで加え、13,000gで30分間遠心する。HPLC水(200μL)をろ過器に入れ、13,000gでさらに30分間遠心することにより、ろ液中に洗い込む。合わせたろ液を15秒間ボルテックスにかけ、試料を10秒間遠心する。ピペットを用いて、得られた溶液(約380μL)をHPLCトータルリカバリオートサンプラーバイアルに移す。
試料調製:0.65mLエッペンドルフチューブにRapiGest SF含有緩衝液(120μL)を加える。タンパク質試料(40μL、この量はCTLA4-Ig 1から2mgの間と等しくすべきである)を加える。最終RapiGest SF濃度は0.12% w/vであるべきである。PNGアーゼF希釈標準保存液(40μL)を加え、10秒間ボルテックスにかけて十分に混合する。試料を遠心沈降し、38±2℃で22±2時間放置する(水浴またはAllianceオートサンプラー室)。試料をマイクロコンYM-10遠心ろ過器にピペットで加え、13,000gで30分間遠心する。HPLC水(200μL)をろ過器に入れ、13,000gでさらに30分間遠心することにより、ろ液中に洗い込む。合わせたろ液を15秒間ボルテックスにかけ、試料を10秒間遠心する。得られた溶液(約380μL)をトータルリカバリHPLCオートサンプラーバイアルに移す。
電気化学的検出器セル安定化:外部スタキオースシステム適合性標準(12.5μg/mL、30μL)を注入する。スタキオースのピーク高を確実に≧800nAとする。確実にセルからの過剰な電気的ノイズがなく、ベースラインが平坦であるようにする。スタキオース感度またはベースラインが許容されない場合、緩衝液組成をチェックするか、電極をクリーニングするか、または電極を交換する。過剰のノイズがある場合、セルをチェックしてすべての気泡を確実に除去する。セルを再安定化し、スタキオース標準を再注入する。問題が続く場合には、他の適当な行動を取るか、または責任者に連絡する。
理論段(N):理論段数(N)をスタキオースピークに基づき下記の式を用いてもとめる。これはEmpowerデータ解析システムにより行うか、または手動で行ってもよい。
N = 16 (t / W)2
式中:
t:注入時からピーク最高点の溶出時までで測定した保持時間
W:両辺のベースラインまでの外挿によるピーク幅。
Nは≧6000でなければならない。段数が6000未満である場合、溶出勾配を調節するか、またはカラムを交換する。
テーリング係数(T):カラムテーリング係数(T)をスタキオースピークに基づき下記の式を用いてもとめる。これはEMPOWERデータ解析システムにより行うか、または手動で行ってもよい。
T = (W0.05 / 2f)
式中:
W0.05:5%の高さ(0.05h)のピーク幅
f:W0.05のピーク前端からピークの頂点までの測定値(幅)
Tは≦1.2でなければならない。テーリング係数が1.2よりも大きい場合、緩衝液組成をチェックするか、カラムを交換するか、またはカラムを洗浄し、システム適合性標準を再注入する。
スタキオースシステム適合性標準保持時間検証:保持時間はシステム依存性である。スタキオースシステム適合性標準は18.5±3.0分の保持時間を示すべきである。
CTLA4-Ig基準物質−試料注入前に注入した第一のブラケッティング基準物質からの炭水化物プロファイルを観察する。炭水化物プロファイルは図68に示すものと類似であるべきである。絶対保持時間はシステム依存性である。ドメインIの最初のピーク(ピーク1A)とドメインIIIの主ピーク(ピーク3)との間の保持時間の差が確実に22分から28分の間となるようにする。ピークの形が図68で得られたものと類似でない場合、適当な行動を取り(例えば、機器の機能をチェックする、カラムを洗浄する、緩衝液をチェック/交換する、カラムを交換する)、再評価する。以下の方法を用いてカラムを洗浄してもよい:セルを遮断し、カラムを溶離剤1 80%、溶離剤2 20%で5分間と、続いて溶離剤1 50%、溶離剤2 50%で10分間洗浄する。カラムおよびセル(セルをつないで)を初期条件で再度平衡化し、再評価する。
注入シーケンス
単離オリゴ糖の注入シーケンスを下記のとおりに設定する:
スタキオース標準(30μL)
基準物質(60μL)
試料(60μL)
基準物質(60μL)
ブラケッティング基準物質注入の間に分析する試料は5つ以下とすることが推奨される。
データ解析:クロマトグラムを加工する。EMPOWER中で基準物質および試料のクロマトグラムを加工する。ピークの形およびベースラインが図68に示すものに類似するよう、積分パラメーターを設定し、積分ラインは手動で設置する必要があることもある。相対ドメイン面積および相対ピーク面積について計算を行う(図68の簡単な説明に含まれる表およびこの実施例の最後の表を参照されたい)。重複注入を行った場合、基準物質および各試料のこれらのパラメーターについて平均値をもとめる。
基準物質について、ドメインI、II、III、ピーク1Aおよび1Bの各重複測定の相対偏差を、すべての重複測定の平均に関してもとめる。
試料のプロファイルの基準物質プロファイルとの比較
目視比較 試料および基準物質の両方が同じ数のドメインおよび主なピークを有するかどうかを調べる。主なピークは図68の説明中で命名したピーク(ピーク1A、1B、1C、1D、2、3および4)である。相対定量比較 試料の相対面積(ドメインI、II、III、ならびにピーク1Aおよび1B;試料の重複注入をした場合は、その平均値を用いる)をブラケッティング基準物質注入からの平均相対面積と比較する。これらの面積の基準物質平均値からの相対差をもとめる。
計算。ドメイン面積%(相対ドメイン面積):基準物質および試料についてプロファイルのドメインのドメイン面積%を計算する。ドメイン面積のパターンについては図68を参照されたい。図68の例に従い、以下の情報および式を用いてドメインパーセント比を計算する(保持時間はシステム依存性で、図68の結果を反映する:
ドメインI:近似保持時間18〜24分のピーク面積の合計(ピーク1A〜1E)
ドメインII:26〜38分のピークの合計
ドメインIII:39〜50分のピークの合計
ドメインIV:51〜64分のピークの合計
ドメインV:65〜75分のピークの合計
注:ドメインの保持時間ウィンドウは毎日のクロマトグラフィ性能のばらつきに応じてシフトすることになる。それに応じて時間を調節する。
重複注入をした場合は、ドメインI〜IIIについてブラケッティング基準物質注入、ならびに試料の平均値も計算する。
ピーク面積%(相対ピーク面積)。基準物質および試料についてプロファイルのピーク1A、1B、1C、および3のピーク面積%を計算する。ピーク面積のパターンについては図68を参照されたく;保持時間はシステム依存性である。以下の情報および式を用いてピークパーセント比を計算する:
重複注入をした場合は、ピーク1Aおよび1Bのそれぞれについてブラケッティング基準物質注入、ならびに試料の平均値も計算する。
基準物質平均値からの差パーセントの計算。以下の式を用いて、基準物質と比較しての試料の平均相対面積における差パーセントを計算する。
差% = |RM - S| / RM×100
式中:
RM = 基準物質の対象となる平均相対面積値
S = 試料の対象となる平均相対面積値
| | = 絶対値
結果:結果をドメインI、ドメインII、ドメインII、ピーク1Aおよびピーク1Bについて基準物質からの差パーセント計算値で報告する。基準物質および試料の両方について統合した代表的クロマトグラムを含む。試料および基準物質の両方についてドメインI〜III、ならびにピーク1Aおよび1Bの相対面積パーセンテージを10分の1パーセントまで含む(ブラケッティング注入の平均)。加えて、ブラケッティング基準物質注入のそれぞれについて、ドメインI、IIおよびIIIのドメイン面積%ならびにピーク1Aおよび1Bのピーク面積%はそれらの平均値の15%以内であるべきである。
図57〜62、68、76および82〜84は、本明細書に記載のN-連結オリゴ糖プロファイルから得たデータを示している。図68は典型的なN-連結オリゴ糖プロファイル(ロット平均の5%以内のドメインI、II、III、IVおよびV、ならびにピーク1Aおよび1B)を示している。ピーク1A、1Bおよび1CはG0、G1およびG2のアシアロN-連結オリゴ糖構造を示している。
図68はCTLA4-Ig組成物の典型的N-連結炭水化物プロファイルを示している。以下の表はCTLA4-IgのN-連結オリゴ糖プロファイルのデータを表にして示すものである。
以下の表はCTLA4-Igの観察範囲を示している。
実施例45:インビトロでのCTLA4-Igの細胞バイオアッセイ
T細胞は活性化およびその後の増殖のために2つのシグナルを必要とする。第一のシグナルは抗原ペプチドとTCR-CD3複合体との相互作用によって提供される。第二の共刺激シグナルはT細胞上のCD28と抗原提示細胞上のB7タンパク質との間の相互作用によって生じる。これら2つのシグナルを受け取った後、T細胞はサイトカイン、インターロイキン2(IL-2)を分泌する。IL-2の放出は細胞の活性化および増殖につながる。可溶性免疫抑制化合物であるCTLA4-Igは抗原提示細胞上のB7タンパク質にも結合し、したがってCD28との機能的相互作用を阻止し、IL-2産生に必要な共刺激シグナルを防止する。
この方法において、IL-2プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を形質移入したジャーカットT細胞を、抗CD3存在下でダウディB細胞と共刺激する。共刺激はIL-2プロモーターを活性化し、これは次いでルシフェラーゼタンパク質を産生する。得られた発光シグナルをルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定する。このシステムにおいて、CTLA4-Igはルシフェラーゼ活性の用量依存的低下を引き起こす。
この方法はIL-2産生に必要な共刺激シグナルに対するCTLA4-Igの効果を調べる。可溶性CTLA4-Igの存在はT細胞と抗原提示細胞との間のシグナル伝達を防止する。このシグナルなしでは、IL-2は産生されず、したがってT細胞のクローン増殖を防止する。ルシフェラーゼ遺伝子を伴うベクターをIL-2プロモーターを用いて作成した。次いで、ジャーカットT細胞にこのレポーターベクターを形質移入した。陽性クローンであるジャーカットCAを選択し、この方法で用いた。
このバイオアッセイは、抗CD3を形質移入したT細胞(ジャーカットCA)およびB細胞(ダウディ)を刺激することを含む。B細胞によって提供される共刺激は、CTLA4-Igの添加によって阻害される。ジャーカットCAおよびダウディ細胞を96穴白色不透明平底プレートのウェルに播種し、異なる濃度のCTLA4-Ig存在下、抗CD3で刺激する。37℃で16から20時間のインキュベーション後、ウェルをルシフェラーゼ活性についてアッセイする。CTLA4-Igによる共刺激の阻害はルシフェラーゼ活性の用量依存的低下として見られる。
試薬:ダウディ細胞培地(RPMI 1640中の10%ウシ胎仔血清、1% MEMピルビン酸ナトリウム);ジャーカットCA細胞培地(RPMI 1640中10%ウシ血清、1% MEMピルビン酸ナトリウム、400μg/mLジェネティシン);バイオアッセイ培地(ダウディ細胞培地中0.2μg/mL抗CD3抗体および1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液);アッセイシステムからのBright-Glo Luciferase Solution(Promega、カタログ# E2620)。
機器:ニコン、Diaphot 200倒立顕微鏡;Packard TopCount NXT Luminometer;Tecan Genesis Liquid Handler;Coulter Vi-Cell Cell Counter;Zymark RapidPlate-96。
作業溶液の調製:バイオアッセイ培地中のCTLA4-Ig溶液(5000ng/mL、3mL)。
プレートに2倍希釈した後、CTLA4-Ig 50、2、1、0.5、0.25、0.1、0.05、および0.001μg/mLのアッセイ最終濃度のために、下記の表58に示すとおり100、4、2、1、0.5、0.2、0.1、および0.002μg/mLの標準、品質コントロール、および試料について8点曲線を調製した。
96穴プレートのウェルごとに200,000細胞を加え、37℃、5%CO2、および湿度85%でインキュベートした。12×106ジャーカットCA細胞および12×106ダウディ細胞を滅菌遠心管中で混合した。細胞を約125×g、室温で10分間遠心し、ダウディ細胞培地(9mL)にメスピペットでゆっくりピペッティングを繰り返して細胞塊が見えなくなるまで十分再懸濁し、2.7×106細胞/mLの濃度とした。表58の各溶液(75μL)を、細胞を含むプレートの適当なウェルに加えた。次いで、プレートをTopSeal-Aで密封し、37℃、5%CO2、および湿度85%で16から20時間インキュベートした。プレートおよびBright-Gloルシフェラーゼ溶液を機器温度に平衡化し、Bright-Gloルシフェラーゼ溶液(150μL)を各ウェルに同時に加え、混合した。次いで、プレートを混合後ただちにTopCount NXTに入れ、暗所で10分間平衡化した。次いで、発光シグナルをTopCount NXT中、ウェル毎に1秒間の積分を用いて、または適宜用いる特定の型のルミノメーターに対して測定した。
TopCount NXTからの出力を記録し、標準解析プログラムに読み込み、データをそれらの対数(底10)を取ることにより変換した。各試験品からの変換データを、以下の式に示すとおり、4-パラメーターロジスティックモデルにあてはめた:
式中:
Aは曲線の上のプラトーであり、Dは曲線の下のプラトーであり、Bは傾き係数であり、CはAおよびDの平均に等しい効果を生じる濃度である。
R2統計量、および当てはまりの欠如F-検定を各試験品について計算することができる。試験品の最小、最大および傾きの標準物質に対する比を計算することもできる。加えて、比の信頼区間を計算することもできる。
各試験品の相対効力を、対象試験品からのデータを基準品からのデータと組み合わせて一つの式をあてはめることにより評価した。
式中:
A、BおよびDパラメーターは基準および試験品の両方に共通で、C
Rは基準パラメーターであり、C
Aは試験品パラメーターであり、C
R/C
A比は相対効力である。上付き文字Iは指標変数である。これは、データが対象試験品からのものである場合には1と設定され、データがCTLA4-Ig物質からのものである場合には0と設定される。
各試験品の相対効力をパーセンテージの尺度に書き換え、相対効力をプログラムからの出力として得た。
式3および4を用いて、それぞれ分析した8組のデータそれぞれからの出力の8つの相対効力結果を平均し、標準偏差を計算することができる。平均の結果は最も近い整数に丸めた「相対効力パーセント」として報告する。
式中:
8は効力測定の数であり
x = 個々の測定値である。
概算濃度で得た相対効力値の調節:試料受け取りから正確なタンパク質濃度を得るまでの時間にずれがあるため、試料をアッセイ中に概算濃度で試験し、結果を正確な濃度を定量した時点で調節してもよい。この調節は、下記の式5を用いて行い、ここでアッセイ中にもとめた相対効力に、アッセイを設定するために用いたCTLA4-Ig濃度と定量したCTLA4-Ig試料濃度の比を乗ずる。
式5:
例:
試料をアッセイ中にタンパク質濃度25mg/mLで試験した。
もとめた相対抗力は105%であった。
定量したCTLA4-Ig濃度は25.5mg/mLとなった。
報告可能な相対効力 = (105 * 25)/25.5 = 103%
試験品の相対効力値は参照標準の25から175%の間でなければならず、これはアッセイの範囲である。相対効力の値がこの範囲外である場合、試料をこの範囲内とするために希釈または濃縮して、再分析しなければならない。
実施例46:O-連結オリゴ糖の構造的特徴づけ
CTLA4-IgのO-連結グリコシル化をペプチドマッピングと続くESI-MS/MS、およびMALDI-TOFにより特徴づけた。
ペプチドマッピングおよびESI-MS/MSによるT8およびT9の分析
O-連結糖ペプチドT8およびT9を特徴づけるために、Finnigan Ion Trap質量分析計を用いてのインラインESI-MS/MSによるトリプシン消化法の改変手動型を実施した(ペプチド同一性については表59参照)。
図63はCTLA4-Igのトリプシンペプチドマップを示し、T8は溶媒前部の最後に溶出し、T9はT27の肩に溶出することを示している。
ペプチドT8の全質量スペクトルを図64に示し、ここで436.2のピークは一価の非修飾ペプチドT8の予想MWに対応し、1092.2のピークは一価のグリコシル化T8のMWに対応する。主要ピークに対応する質量とその構造(T8-HexNAc-Hex-NeuAc)を表61に示す。
表61.
ペプチドT9の全質量スペクトルを図65に示し、ここで糖ペプチドの二価および三価のイオンが現れ、不均一なグリコフォームの範囲に対応している。1115.9の主要ピークはHexNAc-Hex-NeuAcでグリコシル化された三価のT9のMWに対応している。1213.0および1334.8のピークはそれぞれHexNAc(NeuAc)-Hex-NeuAc、および(HexNAc-Hex-NeuAc)
2でグリコシル化された三価のT9の分子量に対応している(表62)。主となるグリコフォームはモノシアリル化T9-HexNAc-Hex-NeuAcであるが、他のグリコフォームははるかに少量で存在する。
表62.
O-連結部位を調べるために、CTLA4-Igのペプチドマッピングを実施例4で前述したとおりに行い、分画T8-9(トリプシンによる不完全な消化のため)を回収し、エドマン配列決定にかけた。配列決定データは、第一周期において、Serに加えてそれ以外のピークが現れることを示していた。このピークの保持時間は標準アミノ酸のいずれとも一致せず、T8の1位のSer(Ser 129)が修飾され、O-グリカンを含むことを示唆している。Serおよびそれ以外の両方のSerの出現は、Serが部分的に修飾されていることを示すものである。これはT8のMSデータとも一致している。配列決定実験は、T9のO-連結部位がSer 139であることも明らかにしている。結論として、二つのO-連結グリコシル化部位はアミノ酸残基セリン129およびセリン139と同定された。二つの部位に結合している主なグリカンはHexNAc-Hex-NeuAcである。
T9ペプチドのMALDI-TOF分析
ペプチドT9のMALDI-TOF分析は、いくつかのグリコフォームの存在を示している(図66)。MW 2690.8のピークはT9断片に一致している。MW 2893.7のピークはT9プラスHexNAcに相関している。MW 3055.7のピークはT9プラスHexNAc-Hexに相関している。MW 3345.8のピークはT9プラスHexNAc-Hex-NANAを示している。単糖分析に基づき、T9中にガラクトースおよびN-アセチルガラクトサミンが検出され、したがってT9における主要なO-連結種はGalNAc-Gal-NANAと推定される。ペプチドT8のMALDI-TOF分析は回収率が低いため実施しなかった。
実施例47:CTLA4-Igにおける酸化および脱アミド変異体
酸化および脱アミドはペプチドおよびタンパク質の共通の生成物変異体である。これらは発酵、回収/細胞清澄、精製、原薬/製剤保存、および試料分析中に起こりうる。
タンパク質の酸化は典型的には一つまたは複数の酸素原子のタンパク質への化学的付加によって特徴づけられる。いくつかのアミノ酸、Met、Cys、Try、HisおよびTrpは他の天然アミノ酸に比べて酸化を受けやすい。酸化に対する感受性が最も高いアミノ酸はメチオニンである。これまでに確認されているタンパク質酸化の大部分はメチオニンのスルホキシド変異体への酸化であった。タンパク質における酸化はいくつかの異なるメカニズムによって起こりうる。酸化の一般的メカニズムは光への曝露または遷移金属触媒から起こる。
脱アミドはタンパク質からNH3が失われることで、スクシンイミド中間体を生じ、これは加水分解を起こしうる。スクシンイミド中間体は親ペプチドの17uの質量減少を引き起こす。続く加水分解は18uの質量増加を引き起こす。スクシンイミド中間体の単離は水性条件下で不安定であるため難しい。したがって、脱アミドは典型的には1uの質量増加として検出可能である。アスパラギンの脱アミドはアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸のいずれかを生じる。脱アミドの速度に影響をおよぼすパラメーターにはpH、温度、溶媒誘電率、イオン強度、一次配列、局部ポリペプチド配座、および三次構造が含まれる。ペプチド鎖におけるAsnに隣接するアミノ酸残基は脱アミド速度に影響をおよぼす。タンパク質配列におけるAsnに続くGlyおよびSerは脱アミドに対する感受性を高めることになる。
材料と方法
試料:CTLA4-Ig標準
CTLA4-Igのトリプシン/Asp-N/トリプシンおよびキモトリプシンペプチドマッピング:タンパク質を6Mグアニジンおよび5mMジチオスレイトール(DTT)を含む50mMトリス緩衝液(pH8.0)中で変性し、還元した。50℃で20分間インキュベートした後、ヨードアセトアミド(IAM)を加えて最終濃度10mMとし、試料を50℃の暗所でさらに20分間インキュベートした。還元し、アルキル化した混合物をNAP-5カラムに導入し、次いで50mMトリス、10mM CaCl2、pH8.0で溶出した。配列決定等級のトリプシン(2% w/w、酵素:タンパク質)を加え、37℃で4時間インキュベートした。Asp-N消化の場合、配列決定等級のAsp-N(4% w/w、酵素:タンパク質)を加え、試料を37℃で16時間インキュベートした。
トリプシンおよびキモトリプシン消化の場合、タンパク質を50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5に入れた。配列決定等級のトリプシン(4% w/w、酵素:タンパク質)を加え、試料を37℃で4時間インキュベートした。キモトリプシン(4% w/w、酵素:タンパク質)を加え、試料を37℃で16時間インキュベートした。試料を消化後-20℃で保存した。
ペプチド混合物をWaters Alliance HPLC Workstation(Waters、Milford、MA)上のAtlantis C18 カラム(2.1×250mm)から0.120mL/分で勾配溶出により分離した。カラムをエレクトロスプレーイオン化スプレー供給源を装備したQ-Tof micro(Waters、Milford、MA)に直接接続し、質量スペクトルを収集した。Asp-Nペプチドマッピングの場合、同じHPLCワークステーションを用い、Varian C18カラム(4.6×250mm)から0.7mL/分でペプチド混合物を分離した。カラムを溶媒A(水中0.02% TFA)で平衡化し、ペプチドを溶媒B(水中95%アセトニトリル/0.02% TFA)の漸増濃度で溶出した。ポストカラムスプリッター弁を用いて、流れの15%をQ-Tof microに誘導した。機器をポジティブモード(m/z 100-2000)で実行した。キャピラリー電圧を3000Vに設定した。
ペプチドのMS/MS分析:逆相クロマトグラフィからの分画を集め、Q-Tof microに20μL/分の流速で注入した。個々のペプチドに対して最適化した衝突エネルギー(25から42eVの範囲)を用いて、MS/MSスペクトルを得た。
結果
CTLA4-Igの酸化:CTLA4-Igは1つの鎖に7つのメチオニンを有している:Met1、Met53、Met54、Met85、Met97、Met162およびMet338。ペプチドマッピングを用いて、これらの部位それぞれにおける酸化生成物変異体を同定した。Met1、Met85およびMet162の酸化はトリプシンペプチドマッピング技術を用いて同定する(図67A〜B)。Met338の酸化は検出されない。Met53、Met54またはMet97を含むトリプシン断片は不均一なN-連結炭水化物を含む大きいペプチドである。これらのペプチドは同定および酸化の相対的定量を行うことができない。したがって、短い、非グリコシル化ペプチドを生じる、複数の酵素を用いてのタンパク質分解を行った。Asp-NペプチドEVCAATYMMGN(46〜56)およびトリプシン/キモトリプシンペプチドMYPPPY(97-102)を用いてMet53、Met54およびMet97の酸化を調べる。メチオニン酸化の相対的定量を、抽出イオンクロマトグラムのピーク面積パーセントにより計算する。酸化ペプチドの相対量を表63に記載する。鎖1つあたり7つのCTLA4-Igメチオニンのうち6つで酸化が検出される。ピークAおよびBはペプチドEVCAATYMMGN(46〜56)(ピーク3)の1酸化型である。 ピーク2Aおよび2Bからのペプチドは同重で、非修飾ペプチド質量と比べて16uの質量増加が見られる。各ピークは異なるMetでの酸化を示している。酸化の程度は2つの部位で異なる。
表63. CTLA4-IgにおけるMetの酸化
*AT1酸化の寄与が小さいため、AT1酸化のパーセントはCTLA4-Ig酸化の推定量の計算に含まれていない。
CTLA4-Igメチオニン酸化の全推定量はCTLA4-Igに対して2.0%と計算される。これは、各部位の酸化の全パーセンテージを加え、メチオニンの総数、すなわち7で除することによって計算する。表63に示す酸化および天然ペプチドに対してMS/MS分析を行った。
D5を除くすべてのペプチドをMS/MSを用いて配列決定する。酸化アミノ酸をbおよびyイオンシリーズ内の質量差によって定量する。酸化および天然T1ペプチドのMS/MSスペクトルはm/z 741.4および733.4に二価の前駆イオンを伴う。質量差は8u(二価の状態)で、これは荷電状態で補正すると16uである。トリプシンペプチドT1(1〜14)はMet1残基を含む。天然ペプチドおよびその酸化誘導体は逆相クロマトグラフィで分離したベースラインである。T1およびその誘導体の二価イオンのイオンクロマトグラムを図67A〜Bに示す。bおよびyイオンシリーズは衝突誘導解離において生じる主となるイオンである。y6〜y13イオンは同じ修飾および非修飾イオン質量を有する。酸化ペプチドのb2イオンは天然ペプチドの対応するb2イオンよりも16u高い。bおよびyイオンシリーズはペプチド質量と共にメチオニン1をT1ペプチドにおいて修飾されたアミノ酸として同定する。同様に、AT1、T6、T10、およびMYPPPY(97〜102)ペプチドにおけるMet酸化を同定する。
CTLA4-Igの脱アミド:CTLA4-Igは鎖1つにつき15のアスパラギンを有する。3つのアスパラギンがN-連結炭水化物構造に結合していることが知られている。ペプチドマッピングを用いて、他の12のAsn残基で起こる脱アミドを同定し、相対的に定量した。Asn186、Asn225、Asn271、Asn294およびAsn344の脱アミドをLC/MSトリプシンペプチドマップによって同定する(表64)。アスパラギン脱アミドの相対定量を抽出イオンクロマトグラムのピーク面積パーセントにより計算する。脱アミドペプチドの相対量を表64に示す。CTLA4-Igアスパラギン脱アミドの全推定量はCTLA4-Igに対して0.3%と計算される。これは、各部位の脱アミドの全パーセンテージを加え、15で除することによって計算する。表64に示す脱アミドおよび天然ペプチドに対してMS/MS分析を行った。
表64. CTLA4-IgにおけるAsnの脱アミド
脱アミドアミノ酸をbおよびyイオンシリーズ内の質量差によって定量する。例えば、質量905.0uのペプチドT15について2つの脱アミドピークがある場合。ピーク1は本来のピークの前に溶出し;ピーク3は本来のピークの後に溶出する。トリプシンペプチドおよびその脱アミド体は逆相カラムで分離したベースラインである。MS/MS分析をトリプシンペプチドに対して実施し、脱アミドペプチドを表64に記載する。ピーク1〜3は同じy1およびy2イオンを含み、C末端アミノ酸が3つのピークすべてで同じであることを示しているが、ピーク1および3からのy3〜y14イオンはピーク2からの対応するイオンよりも1u高い。ピーク2のy2とy3との間の質量差は114uで、これはAsn残基に対応する。ピーク1および3の115uはAsn残基の質量に比べて1uの質量増加である。これはアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸に対応する。同様に、T12、T25、T26およびT30における脱アミドを同定し、断片イオンにより修飾部位を同定する。
アスパラギン脱アミドおよびメチオニン酸化を、CTLA4-Igのエンドペプチダーゼ切断のLC/MSおよびLC/MS/MS分析から評価する。修飾は、修飾ペプチドと非修飾ペプチドとの間の質量におけるシフトによって同定する。修飾アミノ酸はMS/MS配列決定によって同定する。わずかなパーセンテージのCTLA4-Igで、鎖1つあたり6つのメチオニン酸化および5つのアスパラギン脱アミドが見られる。CTLA4-Ig Met1、Met53、Met54、Met85、Met97、おおびMet162はすべて酸化されたことが判明している。CTLA4-Igから調べたこれらの酸化はすべてのCTLA4-Igメチオニンの2.5%未満であることが判明している。CTLA4-Ig Asn186、Asn225、Asn271、Asn294、およびAsn344はすべて少量が脱アミドされたことが判明している。CTLA4-Igから調べたこれらの脱アミドはすべてのCTLA4-Igアスパラギンの0.5%未満であることが判明している。
実施例48−CTLA4-IgおよびCTLA4A29YL104E-Igの細菌エンドトキシンアッセイ
一つの態様において、CTLA4-Ig組成物原薬は0.15EU/mg以下の細菌エンドトキシンを有する。USP<85>に基づきカブトガニアメーバ様細胞溶解物(LAL)ゲルクロット技術を用いて、CTLA4-Igを細菌エンドトキシンの有無についてアッセイする。アッセイの準備および適用において、肉眼的微生物混入を避けるための検体取り扱いにおける注意を遵守し、用いるいかなる容器または道具も、その表面に存在しうる外来性エンドトキシンを破壊するために、加熱乾燥器内で有効性確認された周期で加熱するなどの処理を行う。
LAL試薬:(Associates of Cape Cod, Inc.-または等価物)凍結乾燥カブトガニ(Limulus)
Pyrotellなどのアメーバ様細胞溶解物(LAL)試薬は製造者の指示に従って保存すべきである。再構成LAL試薬を1ヶ月以内は凍結状態で維持してもよく、解凍または凍結を複数回行うべきではない。
エンドトキシン標準:(Associates of Cape Cod, Inc.-または等価物)試験で用いる対照標準エンドトキシン(CSE)は追跡可能で、参照標準エンドトキシン(RSE)に対して標準化されていなければならない。再構成していないエンドトキシンの容器は冷蔵庫に保存し、いったん再構成したら、長期有効性確認が適当な反応性を示さないかぎり、2℃〜8℃で14日まで維持してもよい。
生産ロットの試験
各製剤について、LAL法の生成物阻害または増強がないことを確認すべきである。生産ロットの試験を、生産開始時、中間、および終了時にあたる3つの個々の単位を用いて実施する。これらの単位は個々に実行してもよく、または集めてもよい。溶解物のラベルに記載された感度の二倍量のCSE(またはRSE)を接種した、試験濃度の試料の代表的陽性生成物対照を有効性試験のために含まなければならない。最終生成物/溶解物溶液がpH6.0から8.0の範囲内に入るよう、エンドトキシンを含まない滅菌HCl、NaOHまたは適当な緩衝液を用いてpHを調節する。いくつかの場合には、pH調節の代わりにPyrosolなどの緩衝剤を用いることが有用でありうる。具体的使用については製造者の説明を参照されたい。
溶解物再構成のための緩衝剤の使用
試験用に用いる溶解物を再構成するためにPyrosol(Associates of Cape Cod, Inc.)などの緩衝剤を用い、溶解物の緩衝能を増幅するよう設計する。Pyrosolで再構成した溶解物を、そうしなければ酸もしくは塩基によるpH調節を必要とするか、またはpH調節により沈澱することもある試料の試験または試料希釈のために用いてもよい。試験試料と混合すると、Pyrosolで再構成した溶解物はピンク色を呈して、pHが有効性試験のための範囲内であることを示す。その範囲外である場合には、色は黄または紫となり、その場合、試験試料をさらにpH調節する必要がある。特定の方法は溶解物再構成のためにPyrosolの使用を必要とする。
溶解物再構成のためのグルカン阻害緩衝液の使用
試験用に用いる溶解物を再構成するためにGlucashield(Associates of Cape Cod, Inc.)などのグルカン阻害緩衝液を用い、可能性のあるグルカン干渉を阻止するよう設計する。Glucashieldで再構成した溶解物を、グルカン混入物を含みうる試料の試験または試料希釈のために用いてもよい。グルカン混入からの干渉は特定の試験材料では偽陽性を示すことがあり、したがってGlucashieldで再構成した溶解物の使用は干渉を阻止または低減し、偽陽性の数を減らすことができる。特定の方法は溶解物再構成のためにGlucashieldの使用を必要とする。
試料希釈
試料中のエンドトキシン濃度のレベルを近づける必要がある場合、エンドトキシンを含まない滅菌水中で適当な一連の試料希釈液を調製する。これをボルテックスにかけ、試験する各調製物の0.1mLを、エンドトキシンを含まない10×75mmガラス試験管2本それぞれに加える。
標準曲線のためのエンドトキシン標準溶液の調製
エンドトキシンのバイアルを製造者の指示に従ってエンドトキシンを含まない水で再構成する。バイアルをボルテックスミキサーで30分間断続的に激しく混合する。濃縮液を2℃〜8℃の冷蔵庫で4週間まで保存する。使用前にボルテックスミキサーを用いて3分間以上激しく混合する。エンドトキシン保存液の濃度を検証するために、製造者の分析証明書を参照し、以下の例などの、終点をブラケッティングするよう設計した一連の標準エンドトキシン希釈液を調製する:
0.5mL (1000EU/mL) + 9.5mL 無エンドトキシン水 = 50EU/mL
5.0mL (50EU/mL) + 5.0mL 無エンドトキシン水 = 25EU/mL
1.0mL (25EU/mL) + 9.0mL 無エンドトキシン水 = 2.5EU/mL
1.0mL (2.5EU/mL) + 9.0mL 無エンドトキシン水 = 0.25EU/mL
5.0mL (0.25EU/mL) + 5.0mL 無エンドトキシン水 = 0.125EU/mL
5.0mL (0.125EU/mL) + 5.0mL 無エンドトキシン水 = 0.06EU/mL
5.0mL (0.06EU/mL) + 5.0mL 無エンドトキシン水 = 0.03EU/mL
5.0mL (0.03EU/mL) + 5.0mL 無エンドトキシン水 = 0.015EU/mL
各希釈液を、次の希釈に進む前に確実に少なくとも30秒間激しくボルテックスにかける。用いる希釈液の陰性水対照を含む。これをボルテックスにかけ、0.125EU/mL、0.06EU/mL、0.03EU/mL、0.015EU/mL濃度(または別の曲線)および陰性水対照のそれぞれ0.1mLを、エンドトキシンを含まない10×75mmガラス試験管2本それぞれに加えて、2つの重複曲線を提供する。
LAL試薬溶液の調製
フリーザーから凍結乾燥LAL試薬を取り出す。エンドトキシンを含まない水(特定の方法により再構成緩衝液を使用するよう指示がないかぎり)5.0mLをバイアルに無菌的に加える。バイアルを旋回または回転して試薬を溶解する。
陽性生成物対照の調製
すべての生成物を陽性生成物対照で試験しなければならない。陽性対照の調製に対する説明に関して適用可能な特定の方法を参照する。説明がない場合、溶解物感度のレベルの2倍のエンドトキシンスパイクを、その試験レベルの生成物との組み合わせで含むよう、陽性生成物対照を調製する。注射用蒸留水または高品質加工水を試験する場合、試料に加えたときにエンドトキシン濃度がLAL溶液感度の2倍となるよう、再構成エンドトキシン標準の希釈液を用いる。例えば、溶解物感度 = 0.06EU/mLの場合、2.5EU/mLエンドトキシン溶液0.1mLを試験試料(LAL溶液に加えた形で)1.9mLに加え、0.125EU/mLとする。エンドトキシン溶液の量は0.1mL以下で、全体の希釈は1:20以上である。
試験手順
1. LAL試薬溶液(0.1mL)を各試験試料チューブおよびエンドトキシン標準チューブに、チューブ間で相互汚染しないよう注意しながら、無菌的に分散する。注:残りの試薬があれば、約-10℃から-25℃のフリーザーに入れる。
2. 生成物-溶解物混合物の混合に関する説明について、特定の溶解物添付文書を参照する。
3. 各チューブを37±1℃に維持した水浴または加熱ブロックなどのインキュベーティング装置に入れる。インキュベーション開始時間および水浴または加熱ブロックの温度を記録する。
4. 各チューブをかき混ぜずに60±2分間インキュベートする。
5. インキュベーション後、インキュベーション終了時間を記録し、各チューブをゆっくり180°反転させて観察する。陽性結果は、注意深く反転したときにも固いままの固いゲルで示され、陰性結果はそのようなゲルがないことによって、またはその完全性を維持しない粘稠ゲルの生成によって特徴づけられる。チューブを注意深く扱い、偽陰性の結果を引き起こしうる振動を避ける。
評価
一連の重複測定それぞれにおいて陽性結果を生じる最低濃度を終点と呼ぶ。以下の方法により、試験の終点の幾何平均を計算する:幾何平均 = ゲル化終点の対数和の逆対数を重複終点アッセイの数で除する。幾何平均終点がラベル記載の溶解物感度の二倍希釈内であり、陽性生成物対照が陽性であり、陰性水対照が陰性であるならば、試験は有効である。ラベル記載の溶解物感度を試験項目の希釈係数と関連した陽性または陰性結果と比較することにより、試験項目中または試験項目上の概算細菌エンドトキシンレベルをもとめる。個々の論文または明細において規定されるエンドトキシンのレベルで固いゲルの生成がない場合、この検査品は試験の要求を満たしている。
CTLA4A29YL104E-Igのための方法
この方法を用いて、CTLA4A29YL104E-Ig原薬および製剤の試料における細菌エンドトキシンを、動力学的比濁LAL法を用いて定量する。結果を等価の製剤EU/mLおよびEU/mgで報告する。
用語:
LAL - カブトガニアメーバ様細胞溶解物
CSE - 対照標準エンドトキシン
EU - 米国局方エンドトキシン単位
EU/mg - 米国局方エンドトキシン単位/ミリグラム
EU/mL - 米国局方エンドトキシン単位/ミリリットル
LRW - LAL試薬水
カブトガニアメーバ様細胞溶解物比濁(Pyrotell-T(登録商標))溶液。Pyrotell-T(登録商標)およびPyrosol(登録商標)のバイアルを開封前に30分間室温まで温める。Pyrotell-T(登録商標)から金属シールを除去し、ストッパーを無菌的に除去する。Pyrotell-T(登録商標)をPyrosol(登録商標)再構成緩衝液(5.0mL)で再構成する。ボトルをゆっくり旋回して完全に溶解するまで混合する。緩衝液を使用直前に再構成する。再構成したPyrotell-T(登録商標)は2〜8℃で24時間まで維持することができる。容器の上部をParafilm(登録商標)で覆う。
対照標準エンドトキシン溶液。CSE(1.2)のバイアルを開封前に30分間室温まで温める。バイアルから金属シールを除去し、ストッパーを無菌的に除去する。ストッパーを空気が入れるのにちょうど十分なだけ注意深く持ち上げ、それにより減圧状態を破る。対照標準エンドトキシン(CSE)をLRW(1.4)(5.0mL)で再構成する。Parafilm(登録商標)で密封する。室温で1分間を5〜10分間隔で30〜60分間、激しくボルテックスにかける。これでCSEは使用の準備ができている。Pyrotell-T(登録商標)の特定のロットに対するバイアルあたりのUSP-EUでの対照標準エンドトキシン(CSE)効力を得るために、製造者の分析証明書を参照する。バイアル中のCSEのUSP-EU/mLを計算する。再構成したCSEは2〜8℃で30日間維持することができる。それぞれの使用後、容器を新しいParafilm(登録商標)で密封する。
例:
LRW(5.0mL)で再構成した、6,000 USP-EU/バイアルの効力を有するバイアルについて、効力は1,200 USP-EU/mLとなる。
Pyrosoft-11(登録商標)ソフトウェアのアッセイパラメーターを設定する。一般的パラメーター。下記の表に示すとおり一般試験情報タブのパラメーターを設定する。
一般試験情報
オプション
チューブ割り当て−例
標準曲線濃縮液を調製する。4USP-EU/mLの対照標準エンドトキシン(CSE、2.2)希釈標準保存溶液を調製する。効力4EU/mLのCSEの希釈標準溶液を調製する。式1を用いて希釈に必要なLRWの量を計算する。ポリスチレンチューブ(1.9)中でCSE溶液(2.2)(20μL)を適当な量(式1)のLRW(1.4)に加える。希釈液を30秒間ボルテックスにかける。
例:
効力1,200EU/mLのCSE溶液のために、CSE溶液(20μL)をLRW(5,980μL)に加える。
0.64EU/mLのCSE希釈標準保存溶液を調製する。ポリスチレンチューブ中で4USP-EU/mLのCSE保存溶液(1,6mL)をLRW(8.4mL)に加えることにより、効力0.64USP-EU/mLのCSEの希釈標準溶液を調製する。30秒間ボルテックスにかける。
標準保存溶液を調製する。ポリスチレンチューブ中でCSEの希釈標準溶液から0.128、0.064、0.032、0.016、0.008、および0.004EU/mLの標準保存溶液を調製する。希釈後各チューブを30秒間ボルテックスにかける。希釈スキームを以下の表に示す。
標準保存溶液のための希釈スキーム
*最終二倍希釈が反応チューブ内で起こる。
試料調製。原薬試料調製。試料希釈液を0.25mg/mLに調製する。下記の式を用いて希釈に必要なLRWの量を計算する。試料容器の蓋を注意深くはずし、ポリスチレンチューブ中で試料(50μL)を適当な量(下記の式)のLRWに加えて、0.25mg/mL溶液とする。試料を30秒間ボルテックスにかける。試料容器の上部をParafilm(登録商標)の層で覆う。
例:
濃度24.7mg/mLの試料のために、試料(50μL = 0.05mL)を水(4.89mL)に加える。
式2:
製剤の凍結乾燥試料調製。注:単一の製剤ロットは3つの別の試料、すなわち「開始時」、「中間」、および「終了時」からなる。製剤のバイアルをLAL試薬水で製品識別(PI)仕様書に従って再構成する。再構成した試料を0.25mg/mLに希釈する。式2を用いて希釈に必要なLRWの量を計算する。試料容器の蓋を注意深くはずし、ポリスチレンチューブ中で試料(50μL)を適当な量(式2)のLRWに加えて、0.25mg/mL溶液とする。試料を30秒間ボルテックスにかける。試料容器の上部をParafilm(登録商標)で覆う。
製剤の即時使用可能な試料調製。試料を0.25mg/mLに希釈する。式3を用いて希釈に必要なLRWの量を計算する。試料容器の蓋を注意深くはずし、ポリスチレンチューブ中で試料(10μL)を適当な量(式3)のLRWに加えて、0.25mg/mL溶液とする。試料を30秒間ボルテックスにかける。試料容器の上部をParafilm(登録商標)で覆う。
例:
濃度125.0mg/mLの試料のために、試料(10μL = 0.01mL)を水(4.99mL)に加える。
式3:
製剤の即時使用可能なプラシーボ。プラシーボ(これが公称製剤タンパク質濃度125mg/mLであったかのごとく)を0.25mg/mLに希釈する。これは1:500希釈に等しい。式3を用いて希釈に必要なLRWの量を計算する。試料容器の蓋を注意深くはずし、ポリスチレンチューブ中で試料(10μL)を適当な量(式3)のLRWに加えて、0.25mg/mL等価溶液とする。
陽性水対照。反応チューブ中で0.032EU/mLの標準(100μL)をLRW(100μL)に加えることにより、標準曲線から陽性対照を調製する。
反応チューブの準備−例
Pyrotell-T(登録商標)試薬を加える。Pyrotell-T(登録商標)溶液(50μL)を各反応チューブ(陰性対照、標準、試料、スパイク試料、および陽性水対照)に反復ピペッターで加える。各チューブを1〜2秒間ボルテックスにかけ、これをPyros Kinetix装置の割り当てられたウェル(表1)に挿入する。
データ解析
分析。PyroSoft(登録商標)-11ソフトウェアはすべての標準、対照、および試料について自動分析を行い、分析完了時に試料結果をEU/mLで報告する。各重複試料は2つの平均値で報告される。重複対のチューブの一方の値がPyroSoft(登録商標)-11で検出されなければ、そのチューブはその後のデータ解析から除外され、結果は再計算される。スパイク回収(陽性試料対照)を試料中のエンドトキシンの量プラス試料にスパイクしたエンドトキシンの量(0.016EU/mL)に基づいて計算することになる
希釈した原薬または製剤試料のEU/mL値をEU/mg値に変換する。
生データをEU/mLで得、EU/mg(タンパク質)で報告する。EU/mLをEU/mgに変換するために、エンドトキシン値(EU/mL)をタンパク質濃度(0.125mg/mL)で除する。結果を有効数字1桁で報告する。
例:
アッセイ中の0.23EU/mLの試料について、報告可能なEU/mg値は2EU/mgとなる(1.8を1桁の有効数字に丸める)。
原薬試料の結果。結果を有効数字1桁でもとめる。アッセイのQLは0.02EU/mgである。試料が≦0.02EU/mgの場合、報告可能な結果は[<QL、(QL=0.02EU/mg)]である。製剤試料の結果。原薬の各ロットの3つの試料(「開始時」、「中間」、および「終了時」)の平均(EU/mg)が有効数字1桁での製剤試料の報告可能な結果である。あるロットの複数の試料が<QL(0.02EU/mg)である場合、0.02EU/mgの値を平均の計算に用いることになる。報告可能な結果の平均値が≦0.02EU/mgの場合、報告可能な結果は[<QL、(QL=0.02EU/mg)]である。
例:
この例について、製剤プラシーボを次のとおりに報告する:3EU/mL、公称製剤濃度125mg/mLでの0.02EU/mgと等価。
システム適合性。原薬試料はポリスチレン容器中、2〜8℃で受け取るべきである。試料を異なる容器、異なる温度で受け取ると、それらはアッセイで用いることができない。標準曲線定量の係数(r2)は≧0.99でなければならない。r2値が<0.99であれば、アッセイは有効ではなく、繰り返さなければならない。陰性対照のエンドトキシン濃度測定値の平均は<0.002EU/mLでなければならない。陰性対照が≧0.002EU/mLの場合、アッセイは有効ではなく、繰り返さなければならない。スパイクした試料の値は予想値の50〜200%の範囲内でなければならない。スパイク試料の値が予想値の≦49%または≧201%の場合、アッセイは有効ではなく、繰り返さなければならない。陽性水対照のエンドトキシン濃度測定値の平均は標準曲線における同じ濃度の50〜200%の範囲内でなければならない。陽性水対照値が予想値の≦49%または≧201%の場合、アッセイは有効ではなく、繰り返さなければならない。試料のエンドトキシン値はエンドトキシン標準曲線の範囲内(0.002から0.064USP-EU/mLまでの間)でなければならない。試料が<0.002EU/mLの場合、これらはアッセイのQLよりも低く、5.4項に従って報告する。試料が>0.064USP-EU/mLの場合、試料をアッセイの範囲内までさらに希釈しなければならない。
実施例49−CTLA4-Igの微生物限界試験(汚染微生物数)
この方法は、存在する好気性生菌数を推定するため、および指定の微生物種を含まないための試験法を提供する。一つの態様において、CTLA4-Ig組成物の汚染微生物数は≦1CFU/10mLのレベルであるべきである。試験の準備および適用において、検体を扱う際の無菌に関する注意を遵守する。「増殖」なる用語は生菌の存在および推定増殖と定義される。試験結果の有効性は主に、それらを適用する検体がそれ自体では試験条件下で存在しうる微生物の増殖を阻害しないことの立証に基づいている。この立証は、試験材料の適当に調製した検体を適当な攻撃微生物の別の生菌培養物で攻撃して、微生物が試験材料中に存在すると思われる場合には、試験がこれらの微生物群の増殖を阻害しないことを保証することを含むべきである。試験に用いる任意のベータラクタム生成物のその部分を、有効性確認された方法に従い、適量のペニシリナーゼで処理しなければならない。
希釈液と培地
1. 培地と希釈液の調製。培地および希釈液を調製してもよく、または製造者もしくは販売者の指示通りに再構成した場合に、類似の成分を有する、および/もしくは本明細書に示す調合法から得たものに匹敵する培地を生ずるとの条件で、脱水培地を用いてもよい。調合法による培地の調製において、可溶性の固体を水に、必要があれば加熱しながら溶解して完全な溶液とし、使用可能になれば、培地中で所望のpHを得るのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウムの溶液を加える。培地を有効性確認された滅菌法を用いてオートクレーブ内で滅菌する。滅菌後、25±2℃でpHを測定する。
増殖促進
a)オートクレーブにかけた培地の各バッチを、各培地の重複試験容器に100個未満の微生物を接種し、以下に規定する条件に従ってインキュベートすることにより、その増殖促進能力について試験する。微生物は、ATCCから受け取った培養物から5回よりも多く継代培養したものでなくてもよい。
b)試験培地は、増殖の証拠が細菌では48〜72時間以内、真菌では5日以内に現れれば良好である。増殖促進試験は試験中の材料の試験培地の使用と同時に行ってもよい。しかし、材料試験は、この増殖促進試験がうまくいかなければ、無効と考えられる。
総好気性菌数またはカビおよび酵母の総数の計測法
a)試料調製。特定の方法で指示されないかぎり、試験用の検体を下記のとおりに調製する。どの試験を実施しているかに応じて、培地およびインキュベーション法に関する追加情報は以下の適当な項を参照されたい。
i)バルク粉末および原料−試料(10gまたは10mL)を滅菌リン酸緩衝液pH7.2(20mL)に溶解または懸濁する。よく混合し、1.0mLを2つの滅菌ペトリ皿それぞれに移す。
ii)カプセル剤−2つのカプセル殻およびそれらの内容物を滅菌リン酸緩衝液pH7.2(20mL)に無菌的に移す。水浴(約45℃)中で約10分間加温する。懸濁液が均一になるまで激しく振盪し、1.0mLを2つの滅菌ペトリ皿それぞれに移す。
iii)懸濁液用散剤−試料をラベルの指示に従い、希釈液として滅菌リン酸緩衝液pH7.2を用いて再構成する。よく振盪し、1.0mLを2つの滅菌ペトリ皿それぞれに移す。
iv)液剤/懸濁剤−1.0mLを2つの滅菌ペトリ皿それぞれに移す。
v)錠剤−4錠(硬い錠剤はまず滅菌乳鉢および乳棒で粉砕すべきである)を滅菌リン酸緩衝液pH7.2(20mL)に移す。錠剤が完全に崩壊または溶解するまでよく振盪し、1.0mLを2つの滅菌ペトリ皿それぞれに移す。
vi)カプセル殻−25個のカプセル殻を滅菌リン酸緩衝液pH7.2(100mL)に移し、水浴(約45℃)中で約15分間加温し、断続的に振盪して溶解する。よく振盪し、1.0mLを2つの滅菌ペトリ皿それぞれに移す。
vii)軟膏−滅菌容器中に、ロット全体から取った3つの試料それぞれから約5mLを集め、混合する。この集めた試料0.1mLを10のペトリ皿それぞれに移す。試料を培地表面に滅菌ガラススプレッダー(ホッケースティック状)を用いて拡げる。各プレートには別の滅菌スプレッダーを用い、「総好気性菌数」に記載のとおりにインキュベートする。
b)膜ろ過。混釈平板法の代わりとして、適当な有効性確認された膜ろ過試験法を用いてもよい。これは阻害物質を含む生成物のために特に有用でありうる。
c)再試験。下記の方法のいずれかによる疑わしい結果を確認するために、最初の試料サイズの2.5倍(最小)を用い、適当に希釈液調節して、再試験を実施してもよい。
総好気性菌数計測試験
1. 試験する試料を記載のとおりに調製する。各プレートに、融解し、約45℃に冷却した滅菌TSA(15〜20mL)を加える。各皿に蓋をし、皿をゆっくり傾斜または回旋して試料を寒天と混合し、内容物を室温で固化させる。プレートを反転させ、30〜35℃で48から72時間インキュベートする。
2. インキュベーション後、Quebec Colony Counterなどの拡大器具を用いてプレートを増殖について調べ、コロニー数を計数し、材料の規格において指定されたとおり単位に基づき(1錠、1カプセル、mL、グラムなど)結果を計算し、材料の規格に対する許容性を評価する。
3. グラム染色および鏡検による形態学検査により細菌混入をさらに特徴づける。グラム陰性菌およびグラム陽性球菌を生化学試験(または代わりの適当な同定手段)に供する。
注:コロニーを計数する場合、コロニー増殖を試験中の材料から容易に区別できるように、微生物増殖を観察するための増強剤として塩化2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム(TTC)の2%溶液を時々用いることが望ましい。TTCは無色の酸化還元指示薬で、生細胞中で糖を還元することにより水素化されると赤色に変わり、それによりコロニーを深赤色に変える。TTCを用いるために、ペトリ皿に2%溶液(約1mL)を注ぎ、プレートを30〜35℃で約2時間インキュベートする。微生物コロニーはプレート上の他の材料からはっきりと目立ち、より容易に計数することができる。
C. カビおよび酵母の総数計測試験。1. 試験する試料を記載のとおりに調製する。各プレートに、融解し、約45℃に冷却した滅菌SDA(15〜20mL)を加える。各皿に蓋をし、皿をゆっくり傾斜または回旋して試料を寒天と混合し、内容物を室温で固化させる。プレートを反転させ、20〜25℃で5から7日間インキュベートする。[注:プレート内のカビの分散は実際よりも高い計測値をしめすことがあるため、インキュベーション中はプレートをかき混ぜてはならない。]
2. インキュベーション後、Quebec Colony Counterなどの拡大器具を用いてプレートを増殖について調べ、コロニー数を計数し、材料の規格において指定されたとおり単位に基づき(1錠、1カプセル、mL、グラムなど)結果を計算し、材料の規格に対する許容性を評価する。
3. 肉眼および鏡検による形態学検査により真菌混入をさらに特徴づける。適当な場合には、酵母を生化学試験(または代わりの適当な同定手段)に供する。
好ましくない微生物の非存在試験法
a)試料調製−特定の方法で指示されないかぎり、試験用の試料を総好気性菌数ならびにカビおよび酵母の総数の試料調製の項で前述したとおりに調製する。どの試験を実施しているかに応じて、追加情報は以下の適当な項を参照されたい。
b)膜ろ過−増菌法の代わりとして、適当な有効性確認された膜ろ過試験法を用いてもよい。これは阻害物質を含む生成物のために特に有用でありうる。
c)再試験。下記の方法のいずれかによる疑わしい結果を確認するために、最初の試料サイズの2.5倍(最小)を用い、適当に希釈液調節して、再試験を実施してもよい。
B. 黄色ブドウ球菌および緑膿菌の非存在試験。試料にTSBを加えて100mLとし、混合し、30〜35℃で24〜48時間インキュベートする。培地を増殖について調べ、もし存在すれば、接種ループを用いて一部を選択培地に画線し、インキュベートし、以下に記載する特徴について調べる(市販の同定キットを個々の反応試験の代わりに用いてもよい):
増殖が観察されない場合、または見られるコロニーのいずれも上の表に記載の特徴群に一致しない場合、試料はその微生物の非存在の条件を満たしている。
サルモネラ属菌および大腸菌の非存在試験
合計100mLのFluid Lactose Mediumを含むように試料を滅菌容器に移し、30〜35℃で24〜48時間インキュベートする。ゆっくり振盪し、増殖について調べる。(市販の同定キットを個々の反応試験の代わりに用いてもよい。)a)サルモネラ−Fluid Lactose Medium中に増殖が見られる場合:
1. 1.0mL部分をFluid Selenite-Cystine MediumおよびFluid Tetrathionate Mediumの10mLチューブに移し、混合し、30〜35℃で24〜48時間インキュベートする。
2. 接種ループを用いて、両方の培地から一部をBrilliant Green Agar Medium、Xylose-Lysine-Desoxycholate Agar Medium、およびBismuth Sulfite Agar Medium上に画線する。蓋をし、反転させ、30〜35℃で24〜48時間インキュベートして、以下に記載の形態学的特徴について調べる:
3. 疑わしいコロニーをTriple-sugar-Iron-Agar Mediumの高層傾斜チューブに、まず斜面の表面を画線し、次いで表面下をワイヤで穿刺することにより移して、さらなる同定を行ってもよい。30〜35℃で24〜48時間インキュベートし、調べる。アルカリ性(赤)斜面および酸(黄)高層部(同時に高層部の黒色化を伴う、または伴わない)の証拠を示すチューブがない場合、試料はサルモネラ属の非存在についての試験条件を満たしている。
b)大腸菌−Fluid Lactose Medium中で増殖が存在する場合:1. 接種ループを用いて一部をMacConkey Agar Mediumに画線する。蓋をし、反転させ、30〜35℃で24〜48時間インキュベートする。
2. 得られたコロニーのいずれも赤煉瓦色の外観を示さず(周囲に沈澱した胆汁帯を伴う可能性がある)、グラム陰性桿菌(球菌-桿菌)である場合、試料は大腸菌の非存在についての試験条件を満たしている。
3. コロニーがこの記載に適合する場合、これらをLevine-Eosin-Methylene Blue Agar Mediumに移す。皿に蓋をし、反転させ、30〜35℃で24〜48時間インキュベートする。反射光下で特徴的な金属的光沢と、透過光下で青-黒色の外観の両方を示すコロニーがない場合、試料は大腸菌の非存在についての試験条件を満たしている。
培地調合法
1. リン酸緩衝液pH7.2
a)保存溶液:第一リン酸カリウム34.0g;水(蒸留または脱イオン)1000mL;水酸化ナトリウムTS 175mL。第一リン酸カリウム(34g)を1000mLメスフラスコ中の水(約500mL)に溶解する。水酸化ナトリウムTS(約175mL)を加えてpH7.1〜7.3に調節し、分量まで水を加えて混合する。滅菌し、使用まで冷蔵(2〜8℃)保存する。
b)希釈標準溶液。使用のために、保存溶液を水で1対800の比で希釈し、滅菌する。
2. TSA(トリプチケースソイ寒天/ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天)。カゼインの膵消化物15.0g;ソイビーンミールのパパイン消化物5.0g;塩化ナトリウム5.0g;寒天15.0g;水1000mL;滅菌後のpH:7.3±0.2。
3. TSB(トリプチケースソイブロス/ソイビーン・カゼイン・ダイジェストブロス)。カゼインの膵消化物17.0g;ソイビーンミールのパパイン消化物5.0g;塩化ナトリウム5.0g;第二リン酸カリウム2.5g;デキストロース2.5g;水1000mL;滅菌後のpH:7.3±0.2;4. SDA(サブローデキストロース寒天);デキストロース40g;動物組織のペプシン消化物およびカゼインの膵消化物の等量混合物10.0g;寒天15.0g;水1000mL;混合し、煮沸して溶解する;滅菌後のpH:5.6±0.2。
5. FLM(液状ラクトース培地)。牛肉エキス3.0g;ゼラチンの膵消化物5.0g;ラクトース5.0g;水1000mL;滅菌後、できるだけ速やかに冷却する。滅菌後のpH:7.1±0.2。
実施例50−CTLA4-Igのゲル等電点電気泳動分析
本実施例の目的は、CTLA4-Igの等電点、アイソフォームの数、および微小不均一性を調べることである。
材料
IEF較正キット(pH3から10)、(Amersham Pharmacia、カタログ番号17-0471-01)
または(pH2.5から6.5)、(Amersham Pharmacia、カタログ番号17-0472-01)
アンフォラインPAGプレートゲル:pH4.0から6.5、(Amersham Pharmacia、カタログ番号80-1124-81)
IEF試料アプリケーター、(Amersham Pharmacia、カタログ番号80-1129-46)
IEF電極ストリップ、(Amersham Pharmacia、カタログ番号80-1104-40)
リン酸(85%)、(EMD、カタログ番号PX0995-6)
装置
Multiphor II電気泳動システム、(GE Healthcare、カタログ番号18-1018-06)
試薬の調製
陽極緩衝液(0.5Mリン酸中の0.1Mグルタミン酸)(これに浸漬した芯をスラムの(+)側に置く)
例:
85%リン酸3.4mL
グルタミン酸1.47g±0.02g
HPLC等級の水
上記の試薬を100mLメスシリンダー中で合わせ、HPLC等級の水で100mLとし、キャップし、数回反転させて混合する。
溶液を2〜8℃で6ヶ月まで保存する。
陰極緩衝液(0.1Mβ-アラニン)(これに浸漬した芯をスラムの(-)側に置く)
例:
β-アラニン0.9g±0.02g
HPLC等級の水
上記の試薬を100mLメスシリンダー中で合わせ、HPLC等級の水で100mLとし、キャップし、数回反転させて混合する。
溶液を2〜8℃で6ヶ月まで保存する。
固定溶液(12%トリクロロ酢酸中の3.5% 5-スルホサリチル酸)
例:
トリクロロ酢酸240g±5.0g
5-スルホサリチル酸70g±2.0g
HPLC水2000mL
上記の試薬を合わせて2000mL量とする。
溶液を室温で3ヶ月まで保存する。
染色溶液:
GelCode Blue Reagent溶液を使用直前にボトルを数回ゆっくり反転および回旋させて混合する。
注:確実に試薬の均一な試料を用いるために、染色試薬を注入および分散前に混合することが重要である。
染色対照の調製:
炭酸脱水酵素IIをHPLC等級の水で再構成して1.0mg/mL保存溶液とする。
保存溶液10μLをHPLC等級の水90μLと合わせて0.10μg/μL希釈標準溶液を得る。
0.10μg/μL溶液10μLをゲルにロードする(1.0μgロード)。
手順
試料希釈
HPLC水中で20μg/10μLの試料および基準物質の溶液を調製する。
器具およびゲル調製
Multiphor II電気泳動ユニットの冷却プレートをサーモスタットサーキュレーターに接続し、温度を10±2℃に設定する。
注:サーキュレーターを少なくとも20分間上記の温度に到達させる。
冷蔵庫からゲルを取り出す。ゲル/ゲル支持体を切断しないように、エンベロープの側面に沿って注意深く切断する。
HPLC等級の水(約1.0mL)を冷却プラットフォームの一端に加える。
ゲル/ゲル支持体の一端を水に入れると、毛管作用によって水がゲルの端全体に運ばれる。気泡が取り込まれないようにゆっくりと、ゲルを冷却プラットフォーム全体に添加する。必要があればHPLC等級の水を追加してもよい。
ゲル表面から透明フィルムを除去する。
一つの電極を陽極緩衝液に浸漬し、冷却プラットフォームの(+)マークに最も近いゲルの端に置く。
一つの電極を陰極緩衝液に浸漬し、冷却プレートの(-)マークに最も近いゲルの他端に置く。
電極ストリップを載せた後、ストリップがゲル支持体ではなくゲルの端で終わるように、新しいカミソリの刃を用いて過剰分を注意深く切断する。
試料添加片を冷却プラットフォームの(-)マークに最も近い側に載せ、試料添加片とゲルとがしっかり接触するようにする。注:IEF試料アプリケーターが陰極緩衝液浸漬ストリップに接触せず、陰極緩衝液を吸い上げず、確実に各試料が別々に泳動するよう十分に離れているよう確認する。試料アプリケーターはスラブゲル上にしっかり設置すべきである。
Multiphor IIユニットの電極ホルダーを設置し、電極をゲル上の電極ストリップの中心にそって配置する。電極ホルダーからの2つの電極をベースユニットに接続し、安全蓋を正しい位置に設置する。粘着テープを用いて、安全蓋の孔を覆い、ゲルの乾燥を防ぐ。電極を電源に接続する。
ゲルを下記のとおり設定した電源で、電圧が≧300Vに達するまで、前もって集束させる。
ゲルローディング
ゲルを前もって集束させた後、電源を切り、安全蓋をはずし、電極の接続を切り、電極ホルダーをMultiphor IIユニットからはずす。
試料を試料アプリケーターに特定の順序でロードする。この手順のために、(-)陰極緩衝液ストリップ側が分析者に最も近いことを確認する。
試料を右から左へロードする。まず、2つまたはそれ以上のIEF較正標準(レーン1&2)、1つの基準物質(レーン3)、1つの試験試料#1(レーン4)、1つの染色対照調製物(レーン5)、1つの試験試料#2(レーン6)、1つの基準物質(レーン7)、および1つのIEF較正標準(レーン8)を添加する。
1つの基準物質(レーン9)、1つの試験試料#3(レーン10)、1つの染色対照調製物(レーン11)、1つの試験試料#4(レーン12)、1つの基準物質(レーン13)および1つのIEF較正標準(レーン14)を添加して、第3および第4の試料を追加する。レーン15から20を用い、試料3および4と同じパターンを繰り返して、第5および第6の試料を添加する。試料ローディングパターンを表2に示す。
電気泳動。ゲルをロードする際、Multiphor IIユニットの電極ホルダーを設置し、電極をゲル上の電極ストリップの中心にそって配置する。電極ホルダーからの2つの電極をベースユニットに接続し、安全蓋を正しい位置に設置する。粘着テープを用いて、安全蓋の孔を覆い、ゲルの乾燥を防ぐ。電極を電源に接続する。適当な電圧、電流および電力を設定し、泳動を始める。
ゲルを泳動した後、電源を切り、安全蓋をはずし、電極の接続を切り、電極ホルダーをMultiphor IIユニットからはずす。注意深く電極ストリップおよび試料アプリケーターをゲルから取り出す。
注:スラブゲルを固定溶液に直接入れ、電極ストリップおよび添加片をゲルから浮き出させることもできる。
ゲル/ゲル支持体を冷却プレートから取り出し、十分な量の固定溶液を含む平皿において(段階3.3)ゲルを湿ったままに維持する。プラスティックラップで覆い、オービタルプラットフォームに置き、20〜60分間インキュベートする。開始および終了時間をIEFワークシートに記録する。
注:固定液にIEFゲルを長く放置しすぎると、離層することがある。これは固定時間を約1時間に制限することで回避される。
4.5 ゲル染色
固定後、ゲルを十分な量のHPLC等級の水で3×5分間洗浄し、ゲルを湿ったままに維持する。開始および終了時間をIEFワークシートに記録する。
使用前にGelCode Blue Stain Reagentを混合した(段階3.4)後、ゲルを十分な量の染色剤に入れ、ゲルを湿ったままに維持する。密封容器内で15〜24時間インキュベートし、試薬の蒸発を防ぐ。開始および終了時間をIEFワークシートに記録する。
染色溶液をHPLC等級の水と置き換えることにより、染色したゲルを脱染する。ゲルを1〜2時間かけて少なくとも3回水を換えて洗浄する。開始および終了時間をIEFワークシートに記録する。脱染後、ゲルは走査にかける準備ができている。
注:IEFゲル上のバックグラウンド染色を減らすために洗浄の追加が必要になることもある。
システム適合性
等電点電気泳動標準はバックグラウンドから容易に識別されるべきである。4.0から6.5の間のpI値まで泳動するタンパク質標準はゲル上で見ることができる。pIがこの範囲外であるタンパク質標準はゲル上で見ることができない。3.50、4.55、5.20、および5.85のpIマーカーを同定し、ゲル画像上でラベルする。
低レベルのタンパク質ローディング(1.0μg)での炭酸脱水酵素II標準(pI5.4)の染色対照を、ゲル染色の一貫性を可視化するために用いる。このバンドは走査したゲル画像の目視検査によりバックグラウンドから容易に識別できなければならない。
CTLA4-Ig基準物質は4.3から5.6のpI範囲内で10〜22のバンドが数えられるべきである。
CTLA4-Ig基準物質の最も顕著なバンドの強度累積パーセントは4.3から5.3のpI範囲内で≧90%であるべきである。
基準物質について、目視検査により4.5〜5.2のpIマーカーの間に集束された3つの主要なバンドがあることを確認する(主要なバンドパターンについては図面参照)。
ゲル走査および解析
電気泳動および染色の後、すべてのゲルを濃度計を用いて走査する。画像ファイルをコンピューターのローカルハードドライブ/ネットワークに保存し、ローカルエリアネットワークを介してアーカイブする。走査したゲル画像の解析をImageQuant TLソフトウェア(バージョン2003.03)を用いて行う。走査および解析パラメーターを表5に示す。走査は部門の手順を用いて行い、定量する。
注:上記の手順はゲル画像解析のための基本的な段階を示すものである。表に走査パラメーターを規定している。表のバンド検出パラメーターは初期設定を示している。ゲルの物理的特性の変化(染色/脱染後のゲルの収縮など)やゲルのバンドの形状および移動により、バンドを正確に同定するためにバンド検出パラメーターの調節が必要になることもある。検出されない、または誤認されるバンドがあれば、手動で補正する。
表に規定する走査パラメーターを用いてゲルを走査する。ゲルのすべての解析および評価は走査した画像から行う。ゲル画像ファイル(走査した生データ)をImageQuantTLの<1D Gel Analysis>から開く。ツールバーの<Contrast>をクリックし、<Image Histogram>パラメーターをすべてのバンドがはっきり見えるようになるまで下げる。<Lane Creation>を選択し、<Manual>を選んで解析する<Number of Lanes>を設定する。<Lane % Width>を100%まで調節してゲルレーンをカバーする。必要があれば個々のレーンを適切に配列する。<Rolling Ball>法を用いてバックグラウンドを差し引く。表3に示す<Minimum Slope>、<Noise Reduction>、<%Maximum Peak>の初期設定をを用いてバンドを検出する。正確にバンドを同定するために、これらの値の調節が必要である。システム適合性の項でpH/pI4.0〜6.5のゲルについて記載したラベルマーカーから標準pIマーカーを用いてバンドpI値を計算する。較正および規準化段階は省略する。4.3から5.6のpI範囲内でバンド数を数える。その後の文書化および報告のために、結果をExcelシートに送る。基準物質に対する試料の強度累積パーセントの計算。注:試料の強度累積%は、レーン内にあるすべてのバンド100%に対する、4.3〜5.3のpI範囲内に泳動するバンドのパーセンテージである。基準物質に対する試料の強度累積パーセントの計算には下記の式を用いるべきである:
注:ゲルローディングパターンを参照し、試料の隣の基準物質を計算に用いるべきである。基準物質の累積値が100%で、試料が95%の場合、試料の相対パーセントは95/100*100 = 95%である。基準の累積値が95%で、試料の値が100%の場合、試料の相対パーセントは100/95*100 = 105%である。
結果の報告
4.3〜5.6のpI範囲内で数えたバンドの数を報告する。4.3〜5.3のpI範囲内のCTLA4-Ig基準物質に対する累積強度パーセントを報告する(本方法で規定する定量的IEFゲル分析の報告の例については図面参照)。目視検査により、基準物質に比べて4.5〜5.2のpIマーカーの間に集束された3つの主要なバンドがあることを確認し(主要なバンドパターンについては図1参照)、4.5〜5.2のpIマーカーの間に観察された主要なバンドの数を報告する。目視検査により、基準物質に比べて4.5〜5.2のpIマーカーの間に新しい顕著なバンドがないことを確認する。
特定の態様において、本方法の結果は4.3〜5.6、または4.3〜5.3のpI範囲にバンドを示すことになり、そこで100から22のバンドが同定され、累積バンド強度は90〜110%である。もう一つの態様において、pI範囲は4.5〜5.2で、3つの主要バンドがある。もう一つの態様において、pI範囲は4.3〜5.6で、10から22のバンドがある。もう一つの態様において、pI範囲は4.3〜5.3で、累積バンド強度は95〜105%である。もう一つの態様において、pI範囲は4.5〜5.2で、2つの顕著バンドがある。
実施例51:CTLA4-IgのSDS-PAGE
本実施例はSDS-PAGEによる還元および非還元状態両方のCTLA4-Igの試験を示す。
材料
トリス-グリシン(Tris-Gly)SDS試料緩衝液2×(Invitrogen、カタログ番号LC2676)
NuPAGE試料還元剤10×(Invitrogen、カタログ番号NP0004)
4〜20%トリス-グリシンゲル−1.0mm×12ウェル(Invitrogen、カタログ番号EC60252BOX)
トリス-グリシンSDS泳動緩衝液10×(Invitrogen、カタログ番号LC2675)
Mark12(登録商標)ワイドレンジ未着色スタンダード(Invitrogen、カタログ番号LC5677)
GelCode Blue Stain Reagent(クーマシーブルー)、(Pierce、カタログ番号24590: 500mL、カタログ番号24592: 3.5L)
SilverSnap(登録商標)Stain Kit II(銀染色剤)(Pierce、カタログ番号24612)
機器:
Xcell SureLock Mini Cell(Invitrogen、カタログ番号EI0001)
電気泳動用電源(OWL Separation Systems、カタログ番号OSP-300)
試薬:
クーマシーブルー染色剤用の固定溶液(HPLC等級の水中の50%メタノールおよび7%酢酸)
例:
撹拌子を含む適当なサイズの目盛付き容器に:
メタノール500mLを加える。
酢酸70mLを加える。
HPLC等級の水で量を1000mLに調節する。
室温で6ヶ月まで保存する。
クーマシーブルー染色剤(GelCode Blue)。
容器から直接用いる。小さいトレイ中、ゲルを覆うのに十分な量、1つのミニゲル(10×10cm)に約50mLを加える。
2〜8℃で1年まで保存する。
銀染色剤固定溶液(HPLC等級の水中の30%エタノールおよび10%酢酸)
撹拌子を含む適当なサイズの目盛付き容器に:エタノール300mLを加える。酢酸100mLを加える。HPLC等級の水で量を1000mLに調節する。溶液を混合し、溶液を室温で6ヶ月まで保存する。ゲル洗浄液(10%エタノール)。
50mL遠心管に:エンハンサー(銀染色剤キット)1.0mLを加える。銀染色剤(銀染色剤キット)50mLを加える。チューブに蓋をし、3から5秒間緩やかにボルテックスにかけて混合する。展開剤希釈標準溶液。使用直前に調製する。
50mL遠心管に:エンハンサー(銀染色剤キット)1.0mLを加える。展開剤(銀染色剤キット)50mLを加える。チューブに蓋をし、3から5秒間緩やかにボルテックスにかけて混合する。1×トリス-グリシンSDS泳動緩衝液。使用当日に調製する。メスシリンダーに:HPLC等級の水900mLを加える。トリス-グリシン-SDS 10×泳動緩衝液100mLを加える。上記の試薬を合わせてパラフィルムで覆い、数回反転させて混合する。
染色対照。トリプシン阻害剤(染色対照)2mgを含むバイアルにHPLC等級の水1mLを加える。これは2μg/μL保存溶液となり、-20℃で6ヶ月間安定である。何度も凍結解凍を繰り返すことによる分解を防止するために、50μLの一定量を小さいチューブに移し、-20℃で保存する。保存溶液25μLをHPLC等級の水75μLに加えて、0.5μg/μLの溶液を得る。0.5μg/μL溶液40μLをHPLC等級の水160μLに加えて、0.1μg/μLの濃度とする。0.1μg/μL溶液10μL、2×TrisGly試料緩衝液50μL、およびHPLC等級の水40μLをミクロ遠心管に加える。トリプシン阻害剤染色対照の最終濃度は0.01μg/μLである。放出について分析し、クーマシーブルーで染色した試料を10μLあたり10mgの濃度でロードする。
クーマシーブルーゲル用に、基準物質および試料をHPLC等級の水中で10μg/μLの濃度に希釈する。例:50μg/μL基準物質試料溶液80μL+HPLC等級の水320μLを加える。非還元試料用に、10μg/μL濃度の溶液10μLを、ミクロ遠心管中の2×Tris-Gly試料緩衝液50μL、およびHPLC等級の水40μLに加える。還元試料用に、10μg/μL溶液10μLを、2×Tris-Gly試料緩衝液50μL、HPLC等級の水30μL、および10×還元剤10μLに加える。銀染色したゲル用に、10μg/μL溶液をHPLC等級の水中で1μg/μLにさらに希釈する。例:10μg/μL溶液40μL+HPLC等級の水360μLを加える。非還元試料用に、1μg/μL溶液10μLを、ミクロ遠心管中の2×Tris-Gly試料緩衝液50μL、およびHPLC等級の水40μLに加える。還元試料用に、1μg/μL溶液10μL、2×Tris-Gly試料50μL、HPLC等級の水30μL、および10×還元剤10μLをミクロ遠心管に加える。
ゲルをその包装から取り出し、外側をHPLC等級の水で洗浄して、ポリアクリルアミド片を除去する。注意深くウェルコームを取り出し、必要があればゲルローディングチップでウェルを確実にまっすぐにする。ウェルにHPLC等級の水を満たし、ウェルから水を除去するために軽く振る。ウェル洗浄をさらに2回繰り返す。5.2 ゲルをXCell装置に、短いプレート面が内部チャンバーに向くように挿入する。ゲルを1つだけ用いる場合、プレクシグラスプレートを反対側に挿入する。ゲルをきっちり押し込み、内部および外部チャンバーを形成する。内部チャンバーに1×トリス-グリシンSDS泳動緩衝液を充填する。もれがないかチェックし、次いで外部チャンバーに1×トリス-グリシンSDS泳動緩衝液を充填する。すべてのゲルは少なくとも1つのブランクレーンおよび1つの分子量マーカーレーンを含まなければならない。クーマシーブルー染色ゲルについてのみ染色対照を加える。ゲルローディングチップを用いる。還元および非還元試料の間に少なくとも1つの「ブランク」をロードする。分子量マーカーは還元試料として扱う。これは還元剤の浸出による非還元試料の還元を防ぐのに役立つ。Xcell装置の上部を取り付け、電極を電源に接続する。電流をゲル毎に25mAに調節し、電圧(v)および電力(w)を最大に設定する。2つのゲルを泳動する場合、電流を50mAに設定する。1つの装置、または同じ電源による複数のXcell装置で2つのゲルを泳動する場合、電流を調節する。60±5分間、または緩衝液の先端が可能な泳動距離の少なくとも80%移動するまで電気泳動する。開始時間および停止時間をワークシートに記録する。ゲルナイフではずすことによりゲルを支持している2つのプラスティックプレートを注意深く分離する。ゲルの分離後、染色の手順に従う。
クーマシーブルー染色−ゲルをクーマシーブルー固定溶液(50%メタノールおよび7%酢酸)(50mL)中に15分間置く。ゲルをHPLC等級の水約100mLで5分間を3回繰り返し、合計15分間洗浄する。クーマシーブルー染色剤をゲルに直接加え、15から24時間インキュベートする。クーマシーブルー染色試薬をHPLC等級の水100mLで置き換えることにより、染色したゲルを脱染する。脱染1時間後、ゲルは走査の準備ができている。
ゲル走査および解析。電気泳動および染色の後、ゲルを濃度計を用いて走査する。画像ファイルをコンピューターのローカルハードドライブおよび/またはネットワークに保存し、ローカルエリアネットワークを介してアーカイブする。走査したゲル画像の解析をImageQuant TLソフトウェア(バージョン2003.03)を用いて行う。走査は部門の手順を用いて行い、定量する。
目視検査により、還元CTLA4-Igの主要なバンドは55,400Daの分子量マーカー(グルタミン酸脱水素酵素)に近い位置に泳動する広幅バンドとして現れなければならない。
実施例52−CTLA4A29YL104E-Ig原薬におけるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞タンパク質不純物のELISAによる定量
本実施例は、試験試料中のCD-CHO1残留宿主細胞タンパク質(HCP)の混入レベルを定量するための、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を記載する。ウサギポリクローナル抗CD CHO1 HCP IgGをまずマイクロタイタープレートにコーティングする。HCP参照標準、品質コントロール、およびCTLA4A29YL104E-Ig原薬試料を結合ウサギ抗CD CHO1 HCP IgGと共にインキュベートする。マイクロタイタープレートを洗浄した後、ポリクローナルウサギ抗CD CHO1 HCPビオチンIgG抗体を加え、これは最初の段階で捕捉されたHCPに結合する。マイクロタイタープレートを洗浄して、結合していないポリクローナル抗体があれば除去する。ストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼを加え、マイクロタイタープレートを再度洗浄して結合していない接合抗体があれば除去する。次いで、TMB色素原を加えて、比色反応を起こす。反応を硫酸で停止し、吸光度を96穴マイクロプレート読み取り器内、450nmで測定する。捕捉HCPの量に比例して発色する。試料濃度を、4.11ng/mLから3000ng/mLの範囲で吸光度をHCP濃度に対してプロットすることにより作成した標準曲線に基づいてもとめる。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(DG44)をCTLA4A29YL104E-Igの産生において用いる。CD-CHO1タンパク質(HCP)産生のために、DG44細胞に組換えベクターpD16を安定に形質移入し、ガラクトースおよびリコンブリンを補足したCD-CHO1培地中で培養した。この版のELISAのためにポリクローナル抗体を、CD-CHO1 HCP材料の濃縮物で免疫化したニュージーランド白ウサギにおいて作成した。ウサギ抗体をアフィニティ精製し(タンパク質A)、次いでリン酸緩衝食塩水中に透析し、濃縮した。ウサギ抗CD-CHO1抗体のIgG画分(約50mg)を、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル化学反応を用いてビオチン化した。未修飾ウサギ抗CHO1抗体を用いて96穴マイクロプレートをコーティングする。これはCD-CHO1 HCPを捕捉し、ビオチン化ウサギ抗CD-CHO1抗体により検出される。ストレプトアビジンホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体はビオチンに結合し、TMB色素原との比色反応を用いてCD-CHO1 HCPを定量する、
この方法は、CTLA4
A29YL104E-Ig原薬材料の放出試験のために、ELISAによりCD-CHO1宿主細胞タンパク質の残留レベルを定量するために設計されている。
ウサギ抗CD-CHO1抗体を、ビオチン化試薬としてスルホスクシンイミジル-6(ビオチンアミド)ヘキサノートを含むビオチン化キットを用いてビオチン化する。Sulfo-NHS-LC-Biotinを含むPIERCEのビオチン化試薬(製品#21335)を用いることができる。抗体を、ビオチン化試薬に添付されているマニュアルの製造者の推奨に従ってラベルする。ラベルおよび供給されるサイズ排除カラムでの分離後、ビオチン取り込みを定量し、試料を50μL以下の一定量として-70℃以下で凍結する。最終生成物のビオチン/IgG比は2から4の間であるべきである。-70℃以下で保存する。
プレートコーティング。精製ウサギ抗CD-CHO1 HCP IgGの炭酸緩衝液中8μg/mL溶液を、マイクロプレートのコーティング用に用いるために調製する(マイクロプレート1枚につき溶液12mLが必要である)。この溶液100μLをImmulon 4マイクロプレートの各ウェルに、較正したマルチチャンネルピペッターを用いて加える。マイクロタイタープレートをパラフィルムで覆い、4℃で18±2時間インキュベートする。
プレート洗浄およびブロッキング。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄緩衝液で3回洗浄する。SeaBlock 300μLを各ウェルに、較正したマルチチャンネルピペッターを用いて加える。プレートを22.5±5℃で1時間インキュベートする。CD-CHO1タンパク質参照標準および品質コントロール試料の濃縮物を、15mL目盛付き滅菌ポリプロピレンチューブ内で調製する。基準物質および品質コントロール試料をTeknova Diluentを用いて希釈する(1.21)。標準濃縮物は実験当日に下記の例に示す濃度で調製する:
標準曲線試料のための希釈(毎日調製のための例)
CD-CHO1タンパク質の保存液濃度は5.7mg/mLである
希釈A: 26.3μL (5.7mg/mL) + 4.973mL PTB希釈液 = 30μg/ml
希釈B: 0.6mL (30μg/mL) + 5.4mL希釈液 3000ng/mL
2mL (3000ng/mL) + 4mL希釈液 1000ng/mL
2mL (1000ng/mL) + 4mL希釈液 333.3ng/mL
2mL (333.3ng/mL) + 4mL希釈液 111.1ng/mL
2mL (111.1ng/mL) + 4mL希釈液 37.0ng/mL
2mL (37.0ng/mL) + 4mL希釈液 12.3ng/mL
2mL (12.3ng/mL) + 4mL希釈液 4.11ng/mL
0 + 4mL希釈液 0ng/mL
QC濃度分析、保存、および有効期限
3つの異なる標的濃度(25、100、および700ng/mL)の品質コントロール(QC)試料を調製し、分析当日に新しく用いるか、または大量に調製して一定量を-70℃以下で凍結保存する。凍結した一定量を3つの独立の実験で分析する。3つのQC試料それぞれについて、3つの実験からの平均結果を分析証明書(COA)に報告する。実験当日、凍結QC試料を解凍し、下記のとおりに分析する。解凍後、各QC試料を中速で2〜4秒間ボルテックスにかける。凍結QC試料の有効期限は調製日の後6ヶ月間である。試料はCOAに報告した公称濃度で用いる。新しく調製したQCの有効期限は調製後24時間である.
品質コントロール(QC)試料の希釈(例)
希釈A: 26.3μL (5.7mg/mL) + 4.973mL希釈液 = 30μg/ml
233μL (30μg/mL) + 9.767mL希釈液 = 700ng/mL (QC 1)
1.43mL (700ng/mL) + 8.57mL希釈液 = 100ng/mL (QC 2)
2.5mL (100ng/mL) + 7.5mL希釈液 = 25ng/mL (QC 3)
試料調製。原薬試料を約12.5、6.25、および3.125mg/mLに希釈する。
希釈A: 400μL試料 (約25mg/mL) + 400μL希釈液 = 12.5mg/mL
希釈B: 400μL (約12.5mg/mL) + 400μL希釈液 = 6.25mg/mL
希釈C: 400μL (約6.25mg/mL) + 400μL希釈液 = 3.125mg/mL
プレート洗浄。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄緩衝液で3回洗浄する。ブロックし、洗浄したプレートのウェル毎に100μLの各標準濃度、試料、およびQC試料を三重複で加える。各QC濃度を二回、プレートあたり合計6つのウェルに加える。推奨される設置については、結合法のプレートマップを参照されたい。22.5±5℃で1時間インキュベートする。洗浄段階を5回繰り返す。ウサギ抗CD-CHO1 HCPビオチンをTeknova緩衝液中2μg/mLに希釈する。溶液を中速で2〜4秒間ボルテックスにかける。ウェル毎に100μL加える。22.5±5℃で1時間インキュベートする。洗浄段階を5回繰り返す。ストレプトアビジン-HRP(SA-HRP)をTeknova緩衝液中で適当に希釈する(例:1/20,000希釈により通常許容できる吸光度が得られる)。SA-HRP希釈溶液100μLを各ウェルに加え、22.5±5℃で1時間インキュベートする。TMB色素原を冷蔵庫から取り出し、プレート毎に最低10mLを適当な容器にデカントする。暗所で室温に戻す。洗浄段階を5回繰り返す。TMB色素原100μLを各ウェルに加え、22.5±5℃で約2分間インキュベートする。1N H2SO4 100μLを各ウェルに加えて色素原反応を停止する。停止溶液を色素原を加えたのと同じ順序でプレートおよびウェルに加え、各ウェルで色素原と酵素の反応時間が同じになるようにする。適当な96穴プレート読み取り器で、参照波長630nmの450nmで吸光度を測定する。
データ解析。Softmaxプログラムテンプレート「CHO1 Elisa template.ppr」を設定して平均値、標準偏差、%CV、濃度計算値、曲線当てはめパラメーターなどをもとめる。標準曲線。参照標準データを標準曲線に、4パラメーター曲線当てはめ関数を用いて当てはめる:
Y = ((A - D)/ (1+(X/C^B)) +D
式中:
Y = 吸光度(A450-A630)
A = 最小漸近線に対応する吸光度
D = 最大漸近線に対応する吸光度
C = 最大および最小漸近線値の間の絶対差の1/2に対応する吸光度(変曲点)
B = 曲線の変曲点での傾き
X = CD-CHO1 HCPの濃度
Softmaxプログラムテンプレート「CHO1 Elisa template.ppr」は、計算した平均値を用いて標準の回帰線の相関係数(R2)を決定する。
模範的値。標準、QC、および試料の結果が以下に記載する模範的値に合致するかどうかを調べる。標準の模範的値。標準曲線の相関係数(R2)は≧0.99でなければならない。ゼロng/mLの標準濃度の平均バックグラウンドは≦0.2吸光度でなければならない。ゼロおよびQL(12.3ng/mL)よりも低い濃度を除く、標準曲線の7つの公称濃度の2つ以上が条件6.1.4および6.1.5に適合しない場合、アッセイは無効と考えられ、繰り返さなければならない。ゼロおよびQL(12.3ng/mL)よりも低い濃度を除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度の計算値(ng/mL)の平均は標的(公称)値の20%以内でなければならない。ゼロおよびQL(12.3ng/mL)よりも低い濃度を除く、各標準濃度の三重複吸光度の変動係数(%CV)は20%未満でなければならない。確実に少なくとも二つの一致するデータポイントを計算用に利用可能とするために、標準、品質コントロールおよび試料を三重複ウェルにロードする。各三重複の値を別々に解析する。標的から最も遠い値を落とす。曲線を再計算し、模範的値を再解析する。
例:
標的値(ng/mL) 実際の値(ng/mL)
25 12
24
26
25ng/mLの標的値から最も遠い一つの値は12ng/mLである。三重複測定値から12ng/mLの値を除去することにより、残りの値の平均は模範的値すべてに適合する。残りの2つの値の平均がまだ模範的値に適合しないことが判明した場合、一つの点を除去し、曲線を再計算する。
例:
標的値(ng/mL) 実際の値(ng/mL)
25 5.0
5.5
10
平均値はどの値を除去するかにかかわらず標的から>20%であり、したがって、一つの点を曲線から落とし、曲線を再計算する。
QC試料の模範的値。QC試料は定まった濃度の6つのウェルの組である。QC試料の6つのウェルの少なくとも4つはQC試料が許容される公称値の20%以内でなければならない。3つのQC試料すべてが許容されなければならない。これらの模範的値が適合しない場合、アッセイを繰り返さなければならない。
試験試料の模範的値。アッセイした試験試料の吸光度は最も高いQCよりも低くなければならない。値が最も高いQCの値を越える場合は、試験試料の平均値が700と12.3ng/mLとの間となるよう、十分に希釈しなければならない。すべての希釈溶液の吸光度がアッセイのQLよりも低くないかぎり、3つの試料希釈溶液(12.5、6.25、および3.125mg/mL)の少なくとも一つは報告可能な結果のために標準曲線の範囲内に入らなければならない。その場合、試験試料を<QLと報告する。QLよりも大きく、アッセイの範囲内に入る、試料希釈溶液の三重複吸光度の平均は、20%未満のCVを示すべきである。
試料中のCD-CHO1 HCP濃度の計算および報告結果。試料中のCD-CHO1 HCP濃度の計算。試料結果の平均に適当な希釈係数(すなわち、2、4、および8)をかけて、各希釈溶液について希釈していない試料中のCD-CHO1 HCPの濃度をng/mLで得る。アッセイの範囲内に入る希釈溶液の結果について平均をもとめる。結果を報告されたCTLA4A29YL104E-Igタンパク質濃度(mg/mL)で除してCD-CHO1 HCPの濃度をCTLA4A29YL104E-Ig 1mgあたりのngで得る。
計算例:
試料結果平均:235ng CD-CHO1 HCP/mL = 9.4ng/mg
タンパク質濃度:25.0mg/mL
注:生成物1mgあたりのCD-CHO1 HCP ng(ng/mg)はppmに等しい。
実施例53:ELISAによるCTLA4A29YL104E-Ig中のタンパク質Aレベルの定量
この酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)はCTLA4A29YL104E-Ig試験試料中のタンパク質Aの混入レベルを定量する。ウサギ抗タンパク質Aをまずマイクロタイタープレートにコーティングする。タンパク質A参照標準、品質コントロール、回収コントロール、およびCTLA4A29YL104E-Ig試料を結合ウサギ抗タンパク質A IgGと共にインキュベートする。マイクロタイタープレートを洗浄した後、ビオチン化モノクローナル抗ウサギタンパク質A IgG抗体を加え、これは最初の段階で捕捉されたタンパク質Aに結合する。マイクロタイタープレートを洗浄して、結合していないモノクローナル抗体があれば除去する。次いで、1時間インキュベートした後、ストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼを加える。マイクロタイタープレートを再度洗浄して結合していない接合抗体があれば除去する。次いで、TMB色素原を加えて、比色反応を起こす。反応を硫酸で停止し、光学密度を96穴マイクロプレート読み取り器内、450nmで測定する。捕捉タンパク質Aの量に比例して発色する。試料濃度を、0.188ng/mLから12ng/mLの範囲で光学密度をタンパク質A濃度に対してプロットすることにより作成した標準曲線に基づいてもとめる。
捕捉抗体によるプレートコーティング。コーティング緩衝液中でウサギ抗タンパク質A抗体の1μg/mL溶液を調製し、溶液100μLをCostarマイクロタイタープレートの各ウェルに加える。4℃で18±2時間インキュベートする。
プレート洗浄およびブロッキング。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄溶液で3回洗浄する。SuperBlock(登録商標)200μLを各ウェルに加える。マイクロタイタープレートを室温で60分間インキュベートする。参照標準の調製 参照標準を、適当な量のタンパク質A基準物質を適当な量の酢酸緩衝液中に混合することにより調製する。溶液を中速で2〜4秒間ボルテックスにかける。参照標準、品質コントロール、および回収コントロール試料を室温で10分間インキュベートした後、マイクロタイタープレートに加える。
例:基準物質タンパク質A、保存液濃度2.3mg/mL
1:200 10μL (2.3mg/mL) + 1990μL (酢酸緩衝液) = 11500ng/mL
1:479 10μL (11500ng/mL) + 4780μL (酢酸緩衝液) = 24ng/mL
2mL (24ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 12ng/mL
2mL (12ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 6ng/mL
2mL (6ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 3ng/mL
2mL (3ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 1.5ng/mL
2mL (1.5ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 0.75ng/mL
2mL (0.75ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 0.375ng/mL
2mL (0.375ng/mL) + 2mL (酢酸緩衝液) = 0.188ng/mL
0mL + 2mL (酢酸緩衝液) = 0ng/mL
各標準濃度を三重複で分析する。試料を結合法に記載のとおりにマイクロタイタープレート上に設置する。品質コントロール試料の調製。タンパク質Aの品質コントロール(QC)試料を酢酸緩衝液中、0.5、2、および5ng/mLの3つの標的濃度レベルで調製する。これらは実験当日に新しく調製するか、または大量に調製して、750μLの一定量を≦-70℃で凍結する。凍結QC試料中のタンパク質A濃度をこの方法を用いて3つの独立のタンパク質A ELISA実験であらかじめ定量し、平均濃度結果を各QC試料の分析証明書で「公称」QC濃度として報告する。
実験当日、3つのQC試料のそれぞれ一つのバイアルを室温で解凍する。各QC濃度を2回分析する(1つの濃度につき2つの三重複分析)。QC試料を結合法に記載のとおりにマイクロタイタープレート上に設置する。
基準物質タンパク質A、2.3mg/mL
1:200 10μL (2.3mg/mL) + 1990μL (酢酸緩衝液) = 11500ng/mL
1:479 10μL (11500ng/mL) + 4780μL (酢酸緩衝液) = 24ng/mL
833.3μL (24ng/mL) + 3.166mL (酢酸緩衝液) = 5ng/mL (QC1)
1.600mL (5ng/mL) + 2.4mL (酢酸緩衝液) = 2ng/mL (QC2)
1mL (2ng/mL) + 3mL (酢酸緩衝液) = 0.5ng/mL (QC3)
試験試料の調製。ポリプロピレンチューブ中で酢酸緩衝液(pH3.5)を用いてCTLA4A29YL104E-Ig試験試料の2.5mg/mL、1.25mg/mL、および0.625mg/mLの濃度を調製する。試験試料を周囲温度で約10分間インキュベートした後、マイクロタイタープレートに加える。
プレート洗浄。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄溶液で3回洗浄する。プレート洗浄器は洗浄緩衝液300μLでウェルを満たし、浸漬時間ゼロに設定すべきである。各ウェルに100μLの各参照標準、品質コントロール、回収コントロール、および試験試料を加え、周囲温度で1時間インキュベートする。段階を繰り返す。ビオチン化抗タンパク質A抗体をTeknova希釈液で希釈し、それぞれ新しいロットの最適化により示される所望の濃度とする。例えば、モノクローナル抗タンパク質Aビオチン結合体のために1:64,000希釈を行い、中速でボルテックスにかけ、各ウェルに100μLをマルチチャンネルピペッターを用いて加える。周囲温度で1時間インキュベートする。
ストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼをTeknova緩衝液を用いてそれぞれ新しいロットの最適化により示される所望の濃度に希釈する。例えば、ストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼのために1:80,000希釈を行う。中速でボルテックスにかけ、各ウェルに100μLを加え、周囲温度で30分間インキュベートする。段階を繰り返して5回洗浄する。TMB色素原100μLを各ウェルに加える。室温で約2分間インキュベートする。標準曲線のための最も高い濃度で光学密度は0.980と1.400との間であるべきである。1N H2SO4 100μL/ウェルを加えて色素原反応を停止する。停止溶液を色素原を加えたのと同じ順序でプレートおよびウェルに加え、各ウェルで色素原と酵素の反応時間が同じになるようにする。適当な96穴プレート読み取り器で、参照波長630nmの450nmで吸光度を測定する。
データ解析。タンパク質A ELISAのためのSoftmaxプログラムテンプレートを参照して平均値、標準偏差、および%CVなどをもとめる。データ解析の項で行ったすべての計算はSoftMax Pro.のタンパク質A ELISA template.pprを用いて行うことになる。
アッセイした各基準および試料濃度について得た三重複吸光度(Abs)を平均する。タンパク質A 標準のデータを、下記の式の非加重の4パラメーター回帰を用いてモデリングする:
式中:
Abs = 吸光度
min = 最小漸近線に対応する吸光度
max = 最大漸近線に対応する吸光度
ED
50 = 最大および最小漸近線値の間の絶対差の1/2に対応する吸光度
B = 曲線当てはめの変曲点での傾き
C = タンパク質Aの濃度
模範的値。標準の模範的値。定量限界(QL)未満の値は曲線の極値を確立する補助のためにしか用いられないため、標準の模範的値はQL以上の値にあてはまる。標準曲線の定量の係数(R2)は≧0.99であるべきである。ゼロng/mLの標準の平均バックグラウンドは≦0.08吸光度であるべきである。ゼロおよびQLを除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度の計算値(ng/mL)の平均は標的(公称)値の15%以内でなければならない。標準曲線のQLの三重複吸光度の平均は20%未満の%CVを示さなければならず、標的の20%以内でなければならない。
実施例54−CTLA4A29YL104E-Ig中のMCP-1様タンパク質定量のためのELISA
本ELISAはCTLA4A29YL104E-Ig中のMCP-1様タンパク質の濃度を定量するために実施する。標準曲線の濃度(0.4から25.6ng/mL)、品質コントロール、および試験試料をヤギ抗マウスMCP-1吸着マイクロタイタープレートに添加し、周囲温度(22.5±5℃)で60分間インキュベートする。プレートを洗浄し、二次抗体(ウサギ抗ラットMCP-1 IgG)を加え、22.5±5℃で60分間インキュベートする。プレートを洗浄し、ヤギ抗ウサギIgGホースラディッシュペルオキシダーゼを各ウェルに加え、22.5±5℃で30分間インキュベートする。プレートを洗浄し、TMB色素原を加えて、比色反応を起こす。反応を1N H2SO4で停止した後、光学密度を96穴マイクロプレート読み取り器内、450nmで測定し、データを4-パラメーター回帰曲線を用いてモデリングする。次いで、MCP-1様タンパク質の濃度を各試験試料についてMCP-1基準物質に対して計算する。濃度を、標準曲線に対して得た結果および未希釈試料濃度を除することにより、試料1mgあたりのMCP-1様タンパク質のng(百万分率、ppm)で報告する。この方法により、製造過程、精製原薬、および製剤を含む細胞培養由来生体試料におけるMCP-1様不純物の定量が可能となる。MCP-1様タンパク質はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養中で産生される生体試料中に存在しうる。CHO細胞から精製したMCP-1様不純物に結合する2つのポリクローナル抗体を同定した。抗体はマウスおよびラットMCP-1(無損傷)に対するもので、いずれも本報告に示されるCHO細胞由来のMCP-1様タンパク質と交差反応する。
プレートコーティング。コーティングのために、ヤギ抗マウスMCP-1抗体をコーティング緩衝液で5μg/mLに希釈する。プレートを100μL/ウェルでコーティングする。プレートをプレートシーラーで覆い、22.5±5℃で12から18時間インキュベートする。プレート洗浄。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄溶液で3回洗浄する。洗浄器は3回洗浄、300μL/ウェル、浸漬時間ゼロに設定すべきである。または、プレートを手動で洗浄してもよい。溶液300μLを各プレートの各ウェルに、較正したマルチチャンネルピペッターを用いて加える。ウェルをシンクで軽く振って空にし、ペーパータオル上でゆっくり吸水させる。3回繰り返す。
プレートブロッキング。コーティング安定化剤&ブロック緩衝液300μLを各ウェルに、較正したマルチチャンネルピペッターを用いて加える。プレートを22.5±5℃で1から2時間インキュベートする。プレート洗浄および保存。プレートを4.2で記載したとおりに洗浄溶液で3回洗浄する。プレートのウェル毎にコーティング緩衝液300μLを加え、プレートシーラーで覆い、2〜8℃の暗所で1週間まで保存する。
標準の調製。MCP-1様タンパク質保存液から、PTB中25.6ng/mL溶液を調製し、そこからPTBを希釈液として用いて連続希釈段階(1:2)で12.8、6.4、3.2、1.6、0.8、0.4、および0ng/mLに希釈する。または、大量の標準を調製することにより、凍結標準を用いることもできる。一定量に分け、-70℃から-80℃で保存する。凍結/解凍の繰り返しは避ける。凍結標準は3つの独立のELISA分析で品質コントロールに対して認定する必要がある。凍結標準およびQCは各分析で許容できるものでなければならない。3つの許容できる分析完了後、分析証明書が発行される。凍結標準はその公称濃度で使用することになる。これらは調製日から3ヶ月間有効である。
保存液濃度0.97mg/mLのMCP-1基準のための例:
PTB中5200ng/mLを2.5mL調製する:
保存液13.4mL + 希釈液2.487mL
b) PTB中25.6ng/mLを160mL調製する:
保存液a 788mL + 希釈液160mL
チューブを約2〜3秒間ボルテックスにかけ、2〜3回ゆっくり反転させることにより、各溶液を混合する。
品質コントロール。品質コントロール(QC)はPTB中17.7ng/mL、5.3ng/mL、および1.2ng/mLの公称濃度で調製したMCP-1様タンパク質である。大量のQCを調製し、一定量に分け、-70℃から-80℃で3ヶ月まで保存する。凍結/解凍の繰り返しは避ける。品質コントロールは3つの独立のELISA分析で標準曲線に対して認定する。QCは各分析で許容できるものでなければならない。3つの許容できる分析完了後、各許容できるQCの平均結果を報告し、分析証明書が発行される。QCはその計算濃度で使用することになる。これらは調製日から3ヶ月間有効である。保存液濃度0.97mg/mLのMCP-1基準から凍結QC希釈溶液を調製するための例:
a)PTB中5200ng/mLを2.5mL調製する:
保存液13.4mL + 希釈液2.487mL
b) MCP-1様タンパク質品質コントロール試料の最終希釈溶液を以下のとおりに調製する:
各溶液を2〜3秒間ボルテックスにかけ、次いで2〜3回ゆっくり反転させることにより混合する。または、QCを分析当日に新しく調製することもできる。
試験試料。試験試料200μLをPTB200μLに加え、2〜4秒間ボルテックスにかけることにより、試験試料を調製する。参照標準、品質コントロール(×2)、および試験試料をプレートにウェル毎に100μL、三重複で加え、22.5±5℃で1時間インキュベートする(外側のウェルは用いない)。PTB緩衝液中2μg/mLの濃度の二次ウサギ抗ラットMCP-1抗体を、アッセイに用いるプレートに十分な量で調製する。溶液を約2〜4秒間ボルテックスにかける。洗浄を繰り返して5回洗浄する。二次抗体溶液100μLを各ウェルに加え、22.5±5℃で60分間インキュベートする。PTBを希釈液として用い、三次ヤギ抗ウサギHRP結合体溶液(例えば、1:20,000の希釈度または適当な希釈度)を調製する。溶液を約2〜4秒間ボルテックスにかける。洗浄を繰り返す。HRP結合体100μLを各ウェルに加え、22.5±5℃、暗所で30分間インキュベートする。洗浄を繰り返す。TMB 100μLを各ウェルに加え、22.5±5℃、暗所で3〜6分間、または適当な色が発色するまでインキュベートする。1N H2SO4 100μLを色素原の添加と同じ順序で加えて、色素原反応を停止する。適当な96穴プレート読み取り器で、参照波長630nmの450nmで吸光度を測定する。
データ処理
Softmax(登録商標)ソフトウェアをプロトコルファイルMCP-1.pprと共に用い、下式の非加重4パラメーター回帰を用いて標準曲線を作成する。
式中:
A = 最小漸近線に対応する吸光度
450
D = 最大漸近線に対応する吸光度
450
c = 最大および最小漸近線値の間の絶対差の1/2に対応する濃度
B = 曲線の直線部分のおおよその傾き
x = 参照標準の濃度
標準曲線、品質コントロール、および試験試料について、データが許容できる試料にのみ結果を報告する。
標準の模範的値。QL未満の値は曲線の極値を確立する補助のためにしか用いられないため、標準の模範的値はQL(0.8ng/mL)以上の値にあてはまる。平均バックグラウンド(ゼロng/mLの標準)は≦0.1吸光度であるべきである。標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度の逆算MCP-1濃度(ng/mL)の平均は標的(公称)値の15%以内でなければならない。標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度の三重複A450値の変動係数(%CV)は≦15%でなければならない。標準曲線のQLの三重複A450値の平均は≦20%の%CVを示さなければならず、逆算して標的(公称濃度、0.8ng/mL)の20%以内でなければならない。平均を計算するために用いる三重複の各値は別々に解析することになる。平均から最も遠い値を落とし、曲線を再計算し、模範的値を再解析する。残りの2つの値の平均がまだ模範的値に適合しないことが判明した場合、一つの点を除去し、曲線を再計算する。
QC試料の模範的値。QC試料は定まった濃度の3つのウェルの組と規定され、したがって本方法において記載の3つの公称濃度について合計6つのQC試料がある。QC試料の3つのウェルの少なくとも2つの逆算濃度はQC試料が許容されるようにあらかじめ決められた標的濃度(COA参照)の20%以内でなければならない。6つのQC試料の少なくとも4つが許容されなければならず;6つのQC試料の2つ(同じ濃度の2つではない)は許容されなくてもよく、18のQC試料ウェルの6つ以下はそれぞれの標的濃度から20%を越えて逸脱してもよい。これらの模範的値が適合しない場合、アッセイを繰り返さなければならない。
試験試料の模範的値。MCP-1濃度の平均計算値は最も高いQCよりも低くなければならない。MCP-1濃度の平均計算値が≧0.8ng/mL(QL)の場合は、三重複測定の%CVは≦20%でなければならない。この条件に適合しない場合、試料結果は有効ではなく、繰り返さなければならない。この基準に適合しない場合、平均MCP-1濃度を用いて最終結果を計算する。計算したMCP-1濃度が<0.8ng/mL(QL)の場合、試料は<QLと報告し、「<0.8ng/mL」の値を最終結果の計算に用いる。
実施例55−CTLA4A29YL104E-IgおよびCTLA4-IgにおけるCHO DNAの定量的ポリメラーゼ連鎖反応による検出
この方法は、実時間定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)アッセイを用いて原薬の試料中の残留CHO DNAを検出するために開発された。PCRはDNAの混合物の複製である。このアッセイは、特定のCHO PCR産物がアッセイ中に蓄積するため、これを検出するために蛍光発生プローブを用いる。PCR産物の増幅速度は試料中に存在する出発DNAの量に直接比例する。
DNA値のピコグラム/ミリグラムへの変換。pg/mL値を、280nmの吸光度でもとめた試料の濃度で除する。タンパク質濃度50mg/mLおよびBiorelianceからの報告値= 0.67fg/μLの試料についての計算例。段階1:pg/mLへの変換= 0.67pg/mL。段階2:pg/mgへの変換= (0.67pg/mL/50.0mg/mL) = 0.013pg/mg。
実施例56:CTLA4A29YL104E-IgのSDS-PAGEによる分析
この実施例はCTLA4A29YL104E-Ig原薬および製剤の純度評価のためのCTLA4A29YL104E-Igの分析を記載する。CTLA4A29YL104E-Igは、細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA4)の修飾リガンド結合ドメインおよびヒトIgGのFcγ1領域からなる遺伝子操作融合タンパク質である。CTLA4A29YL104E-Igは約92kDaの分子量および97kDa(非還元)または55kDa(還元)の見かけの分子量を有する。4〜20%勾配SDS-ポリアクリルアミドゲルでのCTLA4A29YL104E-Igの電気泳動により、高分子量種(凝集物、二量体、および高次多量体)からの主となる単量体種ならびに任意の低分子量種(分解断片)が分離される。クーマシーブルー染色したゲルの比重走査およびImageQuantTL(登録商標)定量により、タンパク質純度の尺度が得られる。結果を還元および非還元状態でのCTLA4A29YL104E-Igの純度パーセントで報告する。
試薬
注:すべての試薬は等価の代替物で置き換えてもよい。1×トリス-グリシン-SDS泳動緩衝液。トリス-グリシン-SDS 10×泳動緩衝液100mLを1リットルのメスシリンダーに加える。Milli-QまたはHPLC等級の水を適量加えて1リットルとする。蓋をし、数回反転させて混合する。この試薬はアッセイ当日に調製すべきである。注:必要があれば追加量を調製する。
クーマシーブルー染色試薬。GelCode Blue Stain Reagent溶液を使用直前に、ボトルを数回ゆっくり反転または傾斜および回旋させて混合する。3.5LのGelCode容器を手動ポンプ(カタログ番号24592)と共に用いる場合、そのような混合は特に重要である。溶液を混合するためにボトルを振盪してはならない。注:溶液を確実に均一にするために、分散前に染色試薬を混合することが重要である。
固定溶液:水中50%メタノール/7%酢酸。1リットルのメスシリンダー中でメタノール(500mL)および酢酸(70mL)を混合する。Milli-Q水を適量加えて1リットルとし、混合する。固定溶液は室温で6ヶ月まで安定である。注:固定溶液は換気フード内で調製すべきである。
染色コントロール調製。Milli-Q水を用いてトリプシン阻害剤を再構成し、2mg/mLの保存溶液を調製する。50μLに分注し、-30±10℃で6ヶ月まで凍結する。以下の希釈計画を用いて保存タンパク質溶液を希釈標準濃度に希釈する。
保存溶液25μL + Milli-Q水75μL = 0.5μg/μL
0.5μg/μL溶液40μL + Milli-Q水160μL = 100ng/μL
以下の表を用いて染色コントロールローディング溶液を調製する。
染色コントロール用の試料調製
染色コントロール調製物10μLのローディングにより100ngのタンパク質ロードが得られる。
標準および試料調製
固定プロセス、GLP/GMP原薬、製剤、または安定試料のためのローディングパターン。クーマシーブルー染色ゲル用の希釈。試験品および基準物質を1.0μg/mLの希釈標準濃度に希釈し、以下の表に記載のとおりに、還元および非還元の両方を分子量マーカーと共にロードする。
クーマシーブルー染色ゲルのための試料希釈およびゲルローディング
1 ブランク = 1× NR試料緩衝液10μLをロードする
注:システム適合性を評価するための目視検査用の走査ゲル画像に染色コントロールバンドが含まれる。ゲル報告の一貫性を維持するために切り取ったゲル画像には染色コントロールバンドはない。
試料調製および電気泳動。10μg/レーンのタンパク質ロードのための試料希釈。以下の方法に従い、10μg/10μLロードのための試料を調製する。Milli-Q水を希釈液として用い、試験試料および基準物質を10mg/mL CTLA4A29YL104E-Igに希釈する。計算のために概算濃度を用いてもよい。例えば:CTLA4A29YL104E-Ig原薬の試料の濃度が25mg/mLの場合、1:25希釈溶液を調製する(試料40μLをMilli-Q水60μLに加える)。下記の表に従い、電気泳動用の最終試料を調製する。これらの希釈溶液用に遠心チューブを用いる。
試験試料の希釈
注:タンパク質溶液およびMilli-Q水の量を必要に応じて調節し、最終量100μLとする。注:試料濃度が<10mg/mLの場合、最終試料を上記の表に従って調製する。タンパク質溶液および水の量を調節して、ゲル上のタンパク質ロードを最大にする。
試料加熱:試料希釈溶液の調製後、遠心チューブを閉じ、ボルテックスにかけて溶液を混合する。試料を80±5℃の水浴中で2.0±0.5分間(較正したタイマーを用いる)加熱する。試料を加熱から取り出し、室温まで冷却する。チューブを数回反転させて、チューブの上部および側部から濃縮物を除去する。
機器およびゲル調製。ゲルをその包装から取り出し、注意深くコームを取り出して、ウェルの壁を確実にまっすぐにする。必要があればウェルをゲルローディングチップでまっすぐにすることもできる。ゲルを電気泳動装置に、短いガラスプレートが内部チャンバーに向くように挿入する。ゲルを1つだけ泳動する場合、プレクシグラススペーサーを反対側に挿入する。ゲルをきっちり押し込み、内部チャンバーを外部チャンバーから密封する。内部チャンバーに1×トリス-グリシン-SDS泳動緩衝液を充填する。もれがないかチェックし、次いで外部チャンバーに1×トリス-グリシンSDS泳動緩衝液をウェルの底まで充填する。ウェルを1×トリス-グリシン-SDS泳動緩衝液でピペットを用いて緩やかに洗浄し、残留するアクリルアミドがあれば除去する。ウェルが完全に澄明で、境界がはっきりするまで、ウェル洗浄を繰り返す。
試料ローディング。ゲルローディングチップを用いて、各ウェルに試料10μLをロードする。すべてのブランクレーンに1×非還元試料緩衝液10μLを充填する。これは還元剤の浸出による非還元試料の還元を防ぐのに役立ち、ゲル全体で動揺の塩濃度を維持することになる。
電気泳動。ゲルボックスカバーを取り付け、電極を電源に接続する。電流を25mA/ゲルに調節し、電圧(v)および電力(w)を最大に設定する。注:電源設定は製造業者ごとに変動しうる。設定を25mA/ゲルとなるよう調節する。ゲルを60分間、または試料緩衝液色素の先端がゲルの底部に到達するまで電気泳動する。電源を切り、導線の接続を絶ち、ゲルを装置から取り出す。プラスティックプレートを注意深く分離する。染色技術用の適当な固定溶液上にゲルが付着したプラスティックプレートを保持する。ゲルを溶液に、ゲルがプラスティックプレートからはずれるまで沈める。
ゲル固定。注:段階はすべて室温でオービタルシェイカー上ゆっくり振盪しながら行う。注:染色は試薬の蒸発を防ぐためきっちり密封した容器内で行う。注:記載の量を用いることができるが、すべての段階でゲルを完全に覆うことが必須である。必要な量を決める際にゲルおよび染色トレイのサイズを考慮しなければならない。電気泳動後、固定溶液(50%メタノール/7%酢酸溶液)50mLを15分間で加える。ゲルを約100mLのMilli-Q水で5分間ずつ3回洗浄する。使用前にクーマシー染色試薬を混合し、8×10cmのミニゲルに50mL加える。大きいトレイを用いる場合には、試薬を追加する必要があることもある。トレイをオービタルシェイカーを用いて20±1時間ゆっくり振盪する。一貫性を得るために、すべてのゲルを同じ泳動で同じ期間染色する。クーマシー染色試薬をMilli-Q水100mLと入れ替えて脱染する。脱染1時間後、ゲルは走査の用意ができている。
走査および解析
電気泳動および染色の後、すべてのゲルを濃度計を用いて走査し、ImageQuantTL(登録商標)ソフトウェアを用いて解析する。画像ファイルをコンピューターのローカルハードドライブに保存し、ローカルエリアネットワークを介してアーカイブする。走査および解析パラメーターを以下の表に示す。
ゲル走査および解析パラメーター
注:染色/脱染後のゲル収縮などの、ゲルの物理的特性の相違またはゲルのバンド形状の相違により、バンドを正確に同定するために最大ピーク%の調節が必要になることもある。検出されない、または誤認されるバンドがあれば、手動で補正する。バンド検出パラメーターの詳しい情報については、ImageQuanTL(v2003.03)マニュアルおよびスクリーン上の説明を参照されたい。
上記の表に記載の走査パラメーターを用いてゲルを走査する。ゲルのすべての解析および評価は走査した画像から行うべきである。ゲル画像ファイル(走査した画像)をImageQuantTLソフトウェアの<1D Gel Analysis>から開く。ツールバーの<Contrast>をクリックし、<Image Histogram - High>パラメーターを0.3に設定して、すべてのバンドがはっきり見えるようにゲル画像を増強する。注:この段階はその後の解析のためにゲル画像を見やすくするためで、定量結果に影響はない。ゲルバンドの目視評価またはゲル報告の目的で増強したゲル画像を用いないこと。<Lane Creation>を選択し、<Manual>を選んで解析する<Number of Lanes>を設定する。<Lane % Width>を75%に設定する。必要があれば個々のレーンを適切に配列する。<Rolling Ball>法を用いてバックグラウンドを差し引く。バックグラウンドを正確に説明するために<Radius>を200に設定する。表4に示す<Minimum Slope>、<Noise Reduction>、および<%Maximum Peak>の初期設定をを用いてバンドを検出する。正確にバンドを同定するために、これらの値の調節が必要となることもある。検出されない、または誤認されるバンドがあれば、手動で評価する。下記の分子量マーカーを用いて、バンド分子量をもとめる。較正および規準化段階は省略する。分子量、バンド量、およびバンド%を含む結果を、その後の文書化および報告のためにExcelワークシートに送る。表5に示す12の分子量標準のうち11はバックグラウンドから容易に識別できると思われる(図79)。注:インスリンB鎖(3,500Da)およびインスリンA鎖(2,500Da)は1つの広幅バンドとして現れることもあり、またはインスリンA鎖はゲル上で目視により確認されないこともある。
12の分子量標準をマークする
本実施例において、非還元(単量体)および還元(一本鎖)両方の試験品の主要バンドはゲル上でCTLA4A29YL104E-Ig基準物質と同じ相対位置にあることになる。図79参照。100ng/ロードのダイズトリプシン阻害剤(21,500Da)標準の染色コントロールは走査ゲル画像上で見えなければならない(図79、レーン12)。55,400Daの分子量マーカーの近くでよく観察される非還元状態の小さいバンド(1本鎖)を除き、クーマシーブルー染色ゲルの任意の他のバンドの相対強度パーセントは基準物質では≦2%であるべきである。注:主なバンドの分子量の推定は、非正規分布のため正確にもとめることができない。還元基準物質の目視検査により、55,400Daの分子量マーカーに近い位置に泳動する1つの広幅バンドが見られる(図79参照)。還元主要バンドの純度パーセントは≧97%でなければならない。非還元基準物質主要バンドの目視検査により、97,400Daおよび116,300Daの分子量マーカーに近い位置に泳動する1つの広幅バンドが見られなければならない(図79、レーン2)。基準物質主要バンドの純度パーセントは≧97%でなければならない。非還元基準物質主要バンドの目視検査により、97,400Daおよび116,300Daの分子量マーカーに近い位置に泳動する1つの広幅バンドが見られなければならない(図79、レーン2)。基準物質主要バンドの純度パーセントは≧97%でなければならない。
実施例57−CTLA4A29YL104E-Ig中のトリトンX-100定量のためのHPLC法
HPLCによりトリトンX-100をCTLA4A29YL104E-Igのタンパク質試料において低い百万分率(ppm)レベルで定量する。この方法はトリトンX-100の固相抽出媒質への抽出と、その後の残留タンパク質を除去するための水洗およびアセトニトリルによるトリトンX-100の溶出を含む。アセトニトリル溶出物をPhenomenex Hypersil C1カラムと、アセトニトリル:水(80:20)からなる移動相を用いてクロマトグラフィにかける。検出は225nmでのUVによる。方法は1〜22ppmの間で直線で、検出限界は0.25ppmである。免疫抑制剤の可能性があるCTLA4A29YL104E-Igは、細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA4)のリガンド結合ドメインおよびヒトIgG1重鎖の定常領域からなる第二世代融合タンパク質である。非イオン性界面活性剤のトリトンX-100を、CTLA4A29YL104E-Igの精製におけるウイルス不活化のために用いる。トリトンX-100を除去しても、生成物の品質および規制の目的でタンパク質からの界面活性剤の残留レベルまたは非存在を確立する必要がある。そのために、痕跡レベルのトリトンX-100を検出および定量可能な方法が開発された。トリトンX-100をタンパク質からSPE媒質に抽出し、HPLCによる分析のためにアセトニトリルで溶出する。
標準調製
ブランク。この方法で以前に分析し、検出可能なレベルのトリトンX-100を含まないことが判明した、任意の試料または参照標準をブランクとして用いてもよい。ブランクおよび試料中のタンパク質濃度は類似であるべきである。ブランクを試料と共に分析すべきである。
保存標準溶液。10.0∀1.0mgのトリトンX-100を100mLの目盛付き容器に正確に秤量し、水で分量まで希釈し、混合する。注:トリトンX-100は水にゆっくり溶解する。使用前に完全に溶解しているか溶液を調べる(典型的には15分後)。トリトンX-100は水よりも粘性が高く、したがって溶解していない量は水存在下で目に見える。
希釈標準溶液。トリトンX-100保存標準溶液をCTLA4A29YL104E-Igブランク0.5mLに加える。ボルテックスまたは他の適当な手段で十分に混合する。この希釈標準溶液は約5ppm(または5μg/mL wt. vol.)のトリトンX-100を含む。注:標準溶液は毎日新しく調製すべきである。
試料調製。試料はそのまま用いる。ブランクを試料と共に分析すべきである。標準および試料溶液からのトリトンX-100の抽出。下記の抽出段階は3〜5インチHgの減圧下で実施する。
固相抽出(SPE)媒質の活性化。減圧マニホールドの蓋を上げ、マニホールド内部のラックに試験管を入れる。これらは「廃棄物」試験管である。蓋を代え、SPEチューブを減圧マニホールドに置き、各SPEチューブの下に「廃棄物」チューブがあることを確認する。アセトニトリル1mLを各チューブに加え、アセトニトリルがすべて媒質床を通過するまでチューブに減圧をかける。段階を繰り返す。標準/試料マトリックスからのSPE媒質上でのトリトンX-100濃縮。別の活性化SPEチューブに、希釈標準溶液、試料、およびブランクそれぞれ0.50mLをピペットで加える。溶液が媒質床を完全に通過するまでSPEチューブに減圧をかける。残留タンパク質のSPE床からの除去。水1mLを各SPEチューブに加え、水が媒質床を通過するまでチューブに減圧をかける。段階を繰り返す。トリトンX-100のSPE床からの溶出。マニホールドへの減圧を切り、装置を常圧に戻す。マニホールドの蓋を、標準および試料SPEチューブを取り付けたままでゆっくり持ち上げる。「廃棄物」試験管をあらかじめラベルした試験管(標準、ブランク、および試料)の組に代えて、以下の段階でSPE床から溶出しうるいかなるトリトンX-100も回収する。これらは溶出物試験管である。マニホールドの蓋を代え、各試料、ブランク、および標準SPE床の下にそれぞれの溶出物試験管があることを確認する。アセトニトリル0.50mLを各SPEチューブに加え、アセトニトリルがすべて媒質床を通過するまでチューブに減圧をかける。マニホールドへの減圧を切り、蓋を持ち上げて溶出物試験管を回収する。標準、試料、およびブランクのアセトニトリル溶出物を、クロマトグラフィシステムに注入するためのオートサンプラーバイアルに入れる。
システム適合性
注入を開始する前にカラム/システムを移動相で約1時間平衡化する。標準溶液のクロマトグラムを得る。トリトンX-100の保持時間は5∀1分であるべきである。理論段数として評価したカラムのトリトンX-100に対する効率は、下記の式によって計算した場合、>2000段/カラムでなければならない:
式中:
tはトリトンX-100ピークの保持時間であり、wはピークの側部をベースラインに外挿して得たトリトンX-100ピークのベースラインにおける幅である。標準溶液の注入は少なくとも3回行う。最後3回の注入の面積係数のRSDパーセントは3.0%を越えるべきではない。
ブランクのクロマトグラムを標準および試料のクロマトグラムから差し引き、下記の計算に進む。トリトンX-100の濃度(ppm) =
式中:
実施例58−CTLA4-Ig組成物CHO細胞DNA含量を定量するためのアッセイ
この方法は、実時間定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)アッセイを用いてCTLA4-Ig原薬の試料中の残留CHO DNAを検出するために開発された。PCRはDNA混合物の複製である。このアッセイは、特定のCHO PCR産物がアッセイ中に蓄積するため、これを検出するために蛍光発生プローブを用いる。PCR産物の増幅速度は試料中に存在する出発DNAの量に直接比例する。目的はCTLA4-Ig組成物の試料中のCHOゲノムDNAの量を検出することである。
試料を、定量的ポリメラーゼ連鎖反応分析で生体試料中のCHO DNAを検出することにより分析する。計算を行い、結果を2桁の有効数字によりpg/mgの単位で報告する。結果がアッセイの定量限界未満である場合、結果は<QLと報告し、アッセイのQLを記録する。DNA値のピコグラム/ミリグラムへの変換がある。pg/mL値を、280nmの吸光度でもとめた試料の濃度で除する。タンパク質濃度50mg/mLおよびBiorelianceからの報告値= 0.67fg/μLの試料についての計算例。段階1:pg/mLへの変換= 0.67pg/mL 段階2:pg/mgへの変換= (0.67pg/mL/50.0mg/mL) = 0.013pg/mg。
実施例59−生体試料およびCTLA4-Ig組成物中のMCP-1タンパク質の定量
本実施例は生体試料およびCTLA4-Igの試料中の残留MCP-1様タンパク質を定量するために用いる方法を述べる。
試薬
リン酸緩衝化食塩水(PBS、10mMリン酸緩衝液、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.3から7.5)。ボトルに記載の製造者の説明に従って調製する。十分なサイズの容器に、HPLC等級の水、PBSペレット、および撹拌子を加える。撹拌プレート上でペレットおよび塩が溶解するまで混合する。必要に応じて水酸化ナトリウムまたは塩酸でpH7.3から7.5に調節する。よく混合するまで撹拌する。使い捨ての0.22μmフィルター装置を通してろ過する。溶液を2〜8℃で調製日から30日まで保存する。
MCP-1(単球走化性タンパク質-1)は単球の傷害および感染部位への動員において役割を果たすヒトタンパク質である。タンパク質は相同性およびMCP-1に対する抗体との交差反応性に基づいてMCP-1様であると考えられる。ELISAにおいて用いた抗体は標的タンパク質の一部しか認識しなかったため、MCP-1の切断型は技術的に活性でないかもしれないが、アッセイ中に反応する可能性もある。したがって、アッセイ中に反応するハムスターMCP-1の任意の変異体を定量し、アッセイが全長MCP-1および正しいエピトープを含むMCP-1の任意の変異体を検出するようにする。ポリクローナル抗体混合物を用いることにより、いくつかのエピトープが提示される可能性が高くなることに留意されたい。
洗浄溶液(0.01% v/vトゥイーン20を含む、10mMリン酸緩衝液、137mM NaCl、0.27mM KCl、pH7.3から7.5)。蒸留またはHPLC等級の水4.0Lに撹拌子、PBS錠2錠、NaCl 28.8g、およびトゥイーン20 0.4mLを加える。すべての内容物が溶解するまでゆっくり混合する。必要に応じて水酸化ナトリウムまたは塩酸でpH7.3から7.5に調節する。2〜8℃で調製日から30日まで保存する。
希釈液(1% w/v BSA、および0.05% v/vトゥイーン20を含む、PBS、pH7.3から7.5)。(これは市販の希釈剤の使用に代わるものであることに留意されたい)。リン酸緩衝化食塩水4.0Lに撹拌子、BSA 40g、およびトゥイーン20 2mLを加える。すべての内容物が溶解するまでゆっくり混合する。0.22μmフィルターを通してろ過する。未開封の場合は2〜8℃で調製日から30日まで、または開封後7日間保存する。
プレートコーティング試薬。ヤギ抗マウスMCP-1抗体のいくつかのバイアルを製造者の説明に従い再構成し、数回ゆっくり反転させて混合し、合わせる。一定量に分け、-20℃で1年まで保存する(製造者の有効期限を越えないこと)。凍結解凍の繰り返しを避ける。または、凍結乾燥試料バイアルを-20℃で6ヶ月よりも長く保存することができる。再構成後、抗体を2〜4℃で1ヶ月間保存することができる。
二次試薬。ウサギ抗ラットMCP-1抗体の1つのバイアルを製造者の説明に従い再構成し、数回ゆっくり反転させて混合する。溶液を2〜8℃で4週間まで保存する。または、凍結乾燥試料バイアルは-20℃で1年よりも長く安定である。
三次試薬。ヤギ抗ウサギIgG (H+L) HRPのいくつかのバイアルを集め、数回ゆっくり反転させて混合する。一定量に分け、-20℃で2年まで保存する(製造者の有効期限を越えないこと)。凍結解凍の繰り返しを避ける。いったん解凍すれば、バイアルは2〜8℃で30日まで保存することができる。
標準の調製。MCP-1様タンパク質保存液から、希釈液中25.6ng/mL溶液を調製し、そこから連続希釈(2倍)段階で12.8、6.4、3.2、1.6、0.8、および0.4に希釈する。0ng/mLの標準は未希釈の希釈液である。
保存濃度0.97mg/mLのMCP-1基準物質を用いての標準調製例:
b)(溶液A)希釈液中5200ng/mLの2.5mLを調製する:
保存液13.4uL + 希釈液2.487mL
c)(溶液B)希釈液中25.6ng/mLの3.9mLを調製する:
保存液a 19.2uL + 希釈液3.881mL
残りの標準を以下に規定する量を用いて調製する:
最終
希釈標準 濃度
溶液 量(mL) 希釈液(mL) (ng/mL)
25.6ng/mL 1mL 0 25.6ng/mL
25.6ng/mL 1mL 1mL 12.8ng/mL
12.8ng/mL 1mL 1mL 6.4ng/mL
6.4ng/mL 1mL 1mL 3.2ng/mL
3.2ng/mL 1mL 1mL 1.6ng/mL
1.6ng/mL 1mL 1mL 0.8ng/mL
0.8ng/mL 1mL 1mL 0.4ng/mL
各溶液を中速設定で約2〜3秒間ボルテックスにかけ、次いで2〜3回ゆっくり反転させることにより混合する。
品質コントロール試料の調製。品質コントロール(QC)試料を希釈液中のMCP-1様タンパク質のバイアルから調製する。520ng/mLの溶液保存濃度を調製し、それから次の凍結用の品質コントロール試料を作成する:11.0ng/mL、5.3ng/mL、および1.2ng/mL。以下の表に記載のとおりに希釈する。
保存濃度0.97mg/mLのMCP-1基準物質を用いてのQC調製例:
a)(溶液A)希釈液中5200ng/mLの2.5mLを調製する:
保存液13.4uL + 希釈液2.487mL
b)(溶液B)希釈液中520ng/mLの5.0mLを調製する:
保存液a 500uL + 希釈液4.500mL
c)MCP-1様タンパク質QC試料の最終希釈溶液を下記のとおりに調製する:
各溶液を中速設定で約2〜3秒間ボルテックスにかけ、次いで2〜3回ゆっくり反転させることにより混合する。
試験試料の調製。各試験試料は希釈した試験品からなる。試験試料200μLを希釈液200μLに加えることにより試験試料を調製する。各溶液を中速設定で約2〜3秒間ボルテックスにかけ、次いで2〜3回ゆっくり反転させることにより混合する。
手順。プレートコーティング。ヤギ抗マウスMCP-1抗体をPBSで5μg/mLに希釈する。抗体とPBS溶液とを中速設定で約2〜3秒間ボルテックスにかけ、次いで2〜3回ゆっくり反転させることにより混合する。マルチチャンネルピペッターを用いて、この溶液100μLを各ウェルに加える。プレートをプレートシーラーで覆い、室温で12から18時間インキュベートする。プレート洗浄。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄溶液で3回洗浄する。洗浄器を3回洗浄、300μL/ウェル、浸漬時間ゼロに設定する。または、プレートを手動で洗浄してもよい。洗浄溶液300μLを各プレートの各ウェルにマルチチャンネルピペッターを用いて加える。ウェルをシンクで軽く振って空にし、ペーパータオル上でゆっくり吸水させる。3回繰り返す。プレートブロッキング。CSBB 300μLを各ウェルにマルチチャンネルピペッターを用いて加える。プレートを室温で60±10分間インキュベートする。試料の添加。参照標準、品質コントロール(各濃度2組)、および試験試料をプレートに三重複で100μL/ウェル加え、室温で約60±10分間インキュベートする。外側のウェルは用いない。二次ウサギ抗ラットMCP-1抗体をを調製する。希釈液中でウサギ抗ラットMCP-1抗体保存液を2μg/mLまたは適当な希釈度(ロット等価試験またはCOAによる)に、アッセイに用いるプレートに十分な量で調製する。溶液を中速で約2〜4秒間ボルテックスにかける。プレート洗浄を繰り返して5回洗浄する。マルチチャンネルピペットを用い、二次抗体溶液100μLを各ウェルに加え、室温で60±10分間インキュベートする。希釈液を用いて三次ヤギ抗ウサギHRP結合体溶液(0.5μg/mLまたは適当な希釈度)を調製する。HRP結合体を中速設定で約2〜3秒間ボルテックスにかけ、次いで2〜3回ゆっくり反転させて混合する。試薬認定のための部門SOPにより確立された濃度に希釈する。プレート洗浄を5回繰り返す。マルチチャンネルピペットを用い、HRP結合体100μLを各ウェルに加え、室温、暗所で約30±5分間インキュベートする。プレート洗浄を5回繰り返す。マルチチャンネルピペットを用い、TMB 100μLを各ウェルに加え、周囲温度、暗所で約2.5〜4分間インキュベートする。マルチチャンネルピペットを用い、1.0N H2SO4 100μLをTMBの添加と同じ順序で加えて、TMB反応を停止する。96穴プレート読み取り器で参照波長630nmの450nmで光学密度を測定する。
模範的値。定量限界(QL)(0.8ng/mL)未満の値は曲線の極値を確立する補助のためにしか用いられないため、標準の模範的値はQL以上の値にあてはまる。下記の計算を用いての平均バックグラウンド(ゼロng/mL標準)は≦0.1吸光度でなければならない。
式中:X
1,2,3 = データ組の特定の値
N = データ組における値の数
ゼロ、0.4およびQL(0.8ng/mL)を除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度は標的(公称)値の15%以内でなければならない。ゼロ、0.4およびQL(0.8ng/mL)以外の、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度での三重複AB450値の変動係数(%CV)は≦15%でなければならない。CTLA4-Ig組成物の試験試料の平均MCP-1濃度計算値は≦11.0ng/mLであるべきである。平均MCP-1濃度計算値が≧0.8ng/mL(アッセイQL)であれば、三重複定量の%CVを計算し、模範的値は≦20%でなければならない。模範的値が適合すれば、平均MCP-1濃度をppm計算に用いる。MCP-1濃度計算値が≦0.8ng/mL(アッセイQL)の場合、試料を<QLと報告し、値「<0.8ng/mL」をppm計算に用いる。三重複定量の%CVは考慮しない。
QC試料は定まった濃度の3つのウェルの組と規定され、したがって本方法において記載の3つの公称濃度について合計6つのQC試料がある。QC試料の3つのウェルの少なくとも2つの濃度はQC試料が許容されるように決められた公称濃度の20%以内でなければならない。18のQC試料定量値の少なくとも12はそれぞれの標的値の20%以内でなければならない。18のQC試料の6つ(同じ濃度の3つではない)はそれぞれの公称値から20%を越えて逸脱してもよい。6つのQC試料の少なくとも4つは許容されなければならない。2つは、両方が同じ濃度でないことを条件に、許容されなくてもよい。
データ評価。Softmax(登録商標)ソフトウェアをプロトコルファイルMCP-1.pprと共に用い、下式の非加重4パラメーター回帰を用いて標準曲線を作成する。
式中:
A = 最小漸近線に対応する吸光度
450
D = 最大漸近線に対応する吸光度
450
c = 最大および最小漸近線値の間の絶対差の1/2に対応する濃度
b = 曲線の直線部分のおおよその傾き
x = 参照標準の濃度
MCP-1様タンパク質の濃度の計算。試験試料中のMCP-1様タンパク質の量を、Softmax Plate Reader Softwareを用いて計算してもよい。以下の例はどのように最終結果を報告しうるかを例示する。各試料の2倍希釈物をアッセイする。濃度計算値に適当な希釈係数(2)をかけて、未希釈の試験品の濃度を得る。
例:
1)希釈した試験試料は10.0ng/mLである。
未希釈の試験品中のMCP-1様タンパク質濃度は:
10ng/mL×2 = 20ng/mL MCP-1
2)希釈した試料の結果は「<0.8ng/mL」である。
未希釈の試験品中のMCP-1様タンパク質濃度は:
「<0.8ng/mL」×2 = 「<1.6ng/mL」MCP-1
試料1mgあたりのng MCP-1様タンパク質(ppm)の最終結果を報告するために、上で得た結果を未希釈の試料濃度で除する。
例:
1)試験試料タンパク質濃度 = 50mg/mL
MCP-1様タンパク質濃度 = 200ng/mL:
200ng/mL MCP-1 / 50mg/mL = 4ng/mg
試料を4ppm(百万分率)
と報告する。
2)試験試料タンパク質濃度 = 50mg/mL
MCP-1様タンパク質濃度 = 「<1.6ng/mL」:
「<1.6ng/mL」MCP-1 / 50mg/mL = 「<0.032ng/mg」
試料を「<QL(<0.032ppm)」と報告する。
実施例60:CTLA4-Ig原薬材料放出試験のためのELISAによるCD-CHO1タンパク質の残留レベル定量アッセイ
炭酸緩衝液。撹拌子を含む適当な容器に、HPLC等級の水(200mL)、炭酸緩衝液カプセル2個の内容物を加える。撹拌プレートを用い、材料が溶液になるまで混合する。pH計を用い、必要に応じて1N NaOHまたはH2SO4のいずれかでpHを9.6に調節する。撹拌プレートを用い、溶液を最低5分間混合する。溶液を0.22μmフィルターを通してろ過する。溶液を2〜8℃で30日まで保存し、部門の手順によりラベルする。
洗浄緩衝液(0.05% v/vトゥイーン20を含むPBS、pH7.4)。4LボトルのHPLC等級の水に撹拌子、PBS錠20錠、トゥイーン20 20mLを加える。撹拌プレートを用い、材料が溶液になるまで混合する。pH計を用い、必要に応じて1N NaOHまたは1N HClのいずれかでpHを7.4に調節する。撹拌プレートを用い、溶液を最低5分間混合する。溶液を2〜8℃で30日まで保存し、部門の手順によりラベルする。
ストレプトアビジン-HRP。HPLC等級の水(0.5mL)をストレプトアビジン-HRPのバイアルに加える。混合するために、バイアルに蓋をし、約10秒間ゆっくりボルテックスにかける。グリセロール(0.5mL)をストレプトアビジン-HRPのバイアルに加える。混合する。溶液を清浄なパスツールピペットに吸い上げて溶液の透明性をチェックする。溶液が透明でなければ、溶液が透明になるまで3.3.2により混合し。3.3.5を繰り返す。部門の手順により、ストレプトアビジン-HRPのロットのために用いる適当な希釈スキームを決める。20μL量を0.5mLねじ蓋チューブに分注する。蓋をし、細胞保存箱に入れる。溶液を-20℃で365日まで保存し、部門の手順によりラベルする。
停止溶液(1N H2SO4)。換気フード内で、適当な容器を撹拌プレート上に置く。撹拌子を加える。HPLC等級の水(485.6mL)を加える。撹拌プレートをオンにし、水の撹拌を開始する。濃H2SO4(14.4mL)をゆっくり加える。溶液は室温で保存して90日間安定である。溶液を部門の手順によりラベルする。
手順。プレートコーティング。マイクロタイタープレートのコーティング用に用いる炭酸緩衝液中の精製ウサギ抗CD CD CHO1抗体8μg/mL溶液を調製する(マイクロタイタープレート1枚に10mLの溶液が必要である)。マルチチャンネルピペッターを用いて、この溶液100μLをImmulon 4マイクロタイタープレートの各ウェルに加える。マイクロタイタープレートをパラフィルムで覆い、2〜8℃で18±2時間インキュベートする。
プレート洗浄。プレートを、プレート洗浄器を用いて、洗浄溶液300μLで3回洗浄する。(または、プレートをマルチチャンネルピペッターを用いて手動で洗浄してもよい。)最後の洗浄後、プレートを逆さにし、硬い表面に置いたペーパータオルに軽打すべきである。
プレートブロッキング。マルチチャンネルピペットを用い、SeaBlock(300μL)を各ウェルに加える。プレートを室温、暗所で1時間(±6分間)インキュベートする。プレートをアルミホイルで包むか、またはキャビネットもしくは引き出しに入れてもよい。下記の希釈スキームに従い、15mL目盛付き滅菌ポリプロピレンチューブ内でTeknova Diluentを用いての標準曲線試料の調製。注:下記の希釈スキームはプレート5枚用である。アッセイにおけるプレートの数に対し必要に応じて量を調節する。分析証明書(COA)からCD-CHO1タンパク質参照標準(Ref Std)のタンパク質濃度を得る。CD-CHO1タンパク質Ref Stdの30μg/mL溶液を調製する。30μg/mL溶液を得るために必要なCD-CHO1タンパク質Ref Stdの量を計算する。CD-CHO1タンパク質Ref Stdの最小移動量は10μLである。
注:単位が適合性であることを確認する。
CD-CHO1タンパク質Ref Stdの必要量を所望の量から引くことにより希釈液の量を計算する。
式: (所望の量)-(Ref Std量) = (希釈液量)
例: 10.0mL - 0.012mL = 9.988mL希釈液
CD-CHO1タンパク質Ref Stdの計算量を、希釈液計算料を含む15mL滅菌チューブに加える。チューブに蓋をし、2〜4秒間の設定でボルテックスにかける。残りの標準を調製する。以下の表を例として示す。
各希釈段階後、チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかけ、その後次の希釈段階に進む。
下記の希釈スキームに従い、15mL目盛付き滅菌ポリプロピレンチューブ内でTeknova Diluentを用いて品質コントロール(QC)溶液を調製する。分析証明書(COA)からCD-CHO1タンパク質基準物質(Ref Mat)のタンパク質濃度を得る。CD-CHO1タンパク質参照標準(Ref Mat)の30μg/mL溶液を調製する。チューブに蓋をし、2〜4秒間の設定でボルテックスにかける。700、100、および25ng/mLの濃度のQC溶液を調製する。希釈スキームの例を以下に示す:
各QC溶液のチューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける。品質コントロール溶液はアッセイ当日に新しく調製することもでき、または一定量に分けて凍結することもできる。3つの独立の実験における3つのQC溶液の実際の濃度を定量する。各QC溶液について3つの実験からの結果を平均し、3つのQC溶液それぞれにCOAを発行する。これらの実験的にもとめたQC濃度を、CTLA4-Ig試料で分析を行う際の標的値として用いることになる。QC溶液をすぐに使用できる一定量として-70℃で保存する。QC溶液は調製後6ヶ月間有効である。アッセイ当日にQC溶液を保存庫から取り出し、室温で解凍する。使用前に解凍したQC溶液を中速で2〜4秒間ボルテックスにかける。
試料調製。分析する各CTLA4-Ig試料について希釈液中約12.5mg/mL溶液を、原薬試料250μLを希釈液750μLに加えることにより調製する。チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける。分析する各CTLA4-Ig試料について6.25mg/mL溶液を、12.5mg/mL溶液の400を希釈液400μLを含むチューブに加えることにより調製する。チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける。分析する各CTLA4-Ig試料について3.125mg/mL溶液を、6.25mg/mL溶液の400を希釈液400μLを含むチューブに加えることにより調製する。チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける。洗浄段階を繰り返してプレートを洗浄する。ウェル毎に100μLの各標準濃度、試料、およびQC溶液を、ブロックし、洗浄したプレートに三重複で加える。各QC溶液を2回、プレート毎に合計6つのウェルに加える。室温、暗所で1時間(±6分間)インキュベートする。洗浄を5回繰り返す。ストレプトアビジン-HRPをフリーザーから取り出し、室温に戻す。ウサギ抗CD-CHO1-ビオチン抗体をTeknova Buffer中で2μg/mLに希釈する。溶液を中速で約2〜4秒間ボルテックスにかける。マルチチャンネルピペットを用い、ウェル毎に100μLを加える。室温、暗所で1時間(±6分間)インキュベートする。ストレプトアビジン-HRPを、部門の手順により試薬ロットの認定に基づきアッセイに用いるために確立された濃度に希釈する。蓋をし、溶液を中速で約2〜4秒間ボルテックスにかける。マルチチャンネルピペットを用い、ストレプトアビジン-HRP希釈溶液100μLを各ウェルに加える。室温、暗所で1時間(±6分間)インキュベートする。繰り返す。マルチチャンネルピペットを用い、TMB色素原100μLを各ウェルに加える。周囲温度で約2分間(±12秒間)インキュベートする。マルチチャンネルピペットを用い、停止溶液(1N H2SO4)100μL/ウェルを加える。停止溶液を色素原を加えたのと同じ順序でプレートおよびウェルに加え、各ウェルで色素原と酵素の反応時間が同じになるようにする。SpectraMax Plusプレート読み取り器を用い、適当な96穴プレート読み取り器で参照波長630nmの450nmで吸光度を測定する。
データ評価。平均値、標準偏差、および%CVなどが得られるSoftmaxプログラムテンプレートを参照する。アッセイした各基準、QCおよび試料希釈溶液について得た三重複吸光度値を用いて各模範的値をもとめる。標準曲線を作成する。下記の式の4パラメーター回帰を用いて参照標準データをモデリングする:
式中:
AB = 450nmの吸光度
A = 最小漸近線に対応する吸光度
D = 最大漸近線に対応する吸光度
c = 最大および最小漸近線値の間の絶対差の1/2に対応する濃度
B = 曲線の直線部分のおおよその傾き
x = CD-CHO1基準物質の濃度
上の式を用いて計算した平均を用い、標準の回帰線の定量の係数(R
2)をもとめる。試料中のCD-CHO1濃度の計算。試料結果の平均に適当な希釈係数(すなわち、4、8、および16)をかけて元の試料中のCD-CHO1濃度をng/mlで得る。結果を報告されたCTLA4-Igタンパク質濃度(mg/ml)で除して、CTLA4-IgのCD-CHO1濃度をng/mgで得る。すべての結果の平均をもとめ、これらは標準曲線の範囲内に入る。未希釈試料中のCD-CHO1タンパク質濃度を、希釈係数を適用することにより計算する。CTLA4-Ig試料濃度に対してCD-CHO1タンパク質濃度をもとめるために、未希釈濃度で除する。
計算例:
注:ng CD CHOl mg積(ng/mg)は百万分率(ppm)に等しい。
模範的値。標準の模範的値。標準曲線の定量の係数(R2)は≧0.99であるべきである。ゼロng/mL標準の平均バックグラウンドは≦0.10吸光度であるべきである。ゼロおよびQL(12.3ng/mL)未満の濃度を除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度で計算した値の平均(ng/mL)は、ソフトウェアでもとめた標的(公称)値の20%以内でなければならない。ゼロおよびQL(12.3ng/mL)未満の濃度を除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度での三重複吸光度値の変動係数(%CV)は、ソフトウェアでもとめたとおり、20%未満でなければならない。少なくとも2つの一致するデータ点が確実に計算に利用可能であるように、標準、品質コントロールおよび試料を三重複のウェルにロードする。各三重複の値を別々に解析する。標的から最も遠い値を落とす。
例:
標的値 (ng/mL) 実際の値 (ng/mL)
50 25
48
49
50ng/mLの標的値から最も遠い1つの値は25ng/mLである。25ng/mLの値を三重複から除外することにより、残りの値の平均は模範的値のすべてに適合する。
残りの2つの値の平均がまだ模範的値に適合しない場合、1つの点を除外し、曲線を再計算する。
例:
標的値 (ng/mL) 実際の値 (ng/mL)
50 10
10.5
25
どの値を除外するかにかかわらず、平均値は標的から>20%で、したがって1つの点を曲線から落とし、曲線を再計算することになる。標準曲線上の2点だけを除外してもよい。
QC試料の模範的値。QC試料は定まった濃度の3つのウェルの組と規定され、したがって本方法において記載の3つの公称濃度について合計6つのQC試料がある。QC試料の3つのウェルの少なくとも2つはQC試料が許容されるための公称値の20%以内でなければならない。6つのQC試料の少なくとも4つはそれぞれの標的値の20%以内でなければならず;6つのQC試料の2つ(同じ濃度の2つではない)は、ソフトウェアで計算して、公称値から20%を越えて逸脱してもよい。18のQC試料ウェルの6つ以下はそれぞれの標的濃度の20%以下で逸脱してもよい。
試験試料の模範的値。アッセイした試験試料の平均吸光度は標準曲線の最高点未満でなければならない。試料の平均吸光度が3000ng/mL標準の平均吸光度を越える場合、試験試料を十分に希釈して、3000から12.3ng/mLの間の吸光度を得るようにする。すべての希釈溶液の平均吸光度がQL(12.3ng/mL標準)の平均吸光度よりも低くないかぎり、3つの試料希釈溶液(12.5、6.25、および3.125mg/ml)の少なくとも一つは報告可能な結果のために標準曲線の範囲内に入らなければならない。その場合、試験試料を<QLと報告する。QLよりも大きく、標準曲線の範囲内に入る、試料希釈溶液の三重複吸光度の平均は、ソフトウェアでもとめて、20%未満のCVを示さなければならない。三重複吸光度の1つを除外し、再計算した後に、CVがまだ>20%であるか、または2つの試料希釈溶液が20%を越える吸光度のCVを有し、標準曲線の範囲内に入る場合、この試料の解析を繰り返さなければならない。
実施例61-CTLA4-Ig組成物中のトリトンX-100の残留量アッセイ
試薬の調製
移動相調製。アセトニトリル:水(80:20)。1L調製用に、アセトニトリル(800mL)および精製水またはHPLC等級の水(200mL)を撹拌子で十分に混合する。0.2μmナイロンフィルターを通してろ過する。Allianceシステムなどのインライン脱気装置またはヘリウムスパージを用いて移動相を脱気する。毎日新しく調製する。
2N NaOH。固体NaOH(80±1g)を量り、1Lフラスコに定量的に移す。精製水またはHPLC等級の水を分量まで加える。撹拌子でよく混合し、0.22μmフィルター装置でろ過する。または、10N NaOH溶液を連続希釈する。室温で6ヶ月まで保存する。
原薬緩衝液。NaH2PO4・H2O(3.45g)およびNaCl(2.92g)を量り、1Lフラスコに定量的に移す。精製水またはHPLC等級の水(約800mL)を加える。撹拌子でよく混合し、精製水またはHPLC等級の水を分量まで加える。2N NaOHでpHを7.5に調節する。溶液を0.22μmフィルター装置でろ過する。4℃で4ヶ月まで保存する。
標準試料ブランクの調製。以前に分析して検出可能なレベルのトリトンX-100を含まないことが判明した、いかなるCTLA4-Ig試料または基準物質も試料ブランクとして使用しうる。試料ブランクタンパク質を試料と共に分析すべきである。トリトンX-100は水にゆっくり溶解する。使用前に完全に溶解しているか溶液を調べる(典型的には15分後)。トリトンX-100は水よりも粘性が高く、したがって溶解していない量は水存在下で目に見える。
10.0μg/mLのトリトンX-100保存標準溶液#1の調製。トリトンX-100(10.0±1.0mg)を100mLメスフラスコに正確に秤量し、分量まで水で希釈し、撹拌子でゆっくり混合する。TX100保存標準溶液Aとラベルする。TX100保存標準溶液A(10mL)を100mLメスフラスコに取る。分量まで水で希釈する。TX100保存標準溶液#1とラベルする。毎日新しく調製する。
10.0μg/mLのトリトンX-100保存標準溶液#2の調製。トリトンX-100(10.0±1.0mg)を100mLメスフラスコに正確に秤量し、分量まで水で希釈し、撹拌子でゆっくり混合する。TX100保存標準溶液Bとラベルする。TX100保存標準溶液B(10mL)を100mLメスフラスコに取る。分量まで水で希釈する。TX100保存標準溶液#2とラベルする。毎日新しく調製する。
TX100システム適合性評価溶液#1(SS#1)の調製。TX100保存標準溶液#1から、この溶液300μLをアセトニトリル300μLで希釈することにより5.0μg/mLのTX100システム適合性評価溶液を調製する。ピペッティングによりよく混合する。
TX100システム適合性評価溶液#2(SS#2)の調製。TX100保存標準溶液#2から、この溶液300μLをアセトニトリル300μLで希釈することにより5.0μg/mLのTX100システム適合性評価溶液を調製する。ピペッティングによりよく混合する。
TX100合格コントロール、限界標準、失敗コントロールの調製。TX保存標準溶液#1から、以下の表に記載の表液を調製する。
試料の調製。試料を濃縮または希釈せずに用いる。手順:標準および試料溶液からのトリトンX-100の抽出。警告:下記の抽出段階は3〜3.5インチHgの減圧下で行う。
固相抽出(SPE)媒質の活性化。減圧マニホールドの蓋を上げ、マニホールド内部のラックに空の12×75cmの試験管を入れる。これらは「廃棄物」試験管である。蓋を代え、SPEカートリッジを減圧マニホールドに置き、各SPEチューブの下に「廃棄物」チューブがあることを確認する。アセトニトリル1000μLを各SPEカートリッジに加え、アセトニトリルがすべて媒質床を通過するまで減圧をかける。アセトニトリル1000μLを追加して繰り返す。精製水またはHPLC等級の水500μLを各SPEカートリッジに加え、水がすべて媒質床を通過するまで減圧をかける。精製水またはHPLC等級の水500μLを追加して繰り返す。
限界標準およびコントロールのためのSPE媒質上でのトリトンX-100濃縮。別の活性化SPEカートリッジに、限界標準、合格コントロール、失敗コントロールブランク、および試料それぞれ500μLをピペットで加える。各溶液が媒質床を完全に通過するまでSPEチューブに減圧をかける。
残留タンパク質のSPE床からの除去。水1000μLを各SPEカートリッジに加え、水が媒質床を通過するまでチューブに減圧をかける。水1000μLを追加して段階を繰り返す。
トリトンX-100のSPE床からの溶出。マニホールドへの減圧を切り、装置の圧をゼロまで開放する。マニホールドの蓋を、SPEカートリッジを取り付けたままでゆっくり持ち上げる。「廃棄物」試験管をあらかじめラベルした「溶出物」試験管またはオートサンプラーバイアル(あらかじめラベルした限界標準、合格コントロール、失敗コントロール、ブランク、および試料)の組に代えて、SPE床から溶出するいかなるトリトンX-100も回収する。マニホールドの蓋を代え、各限界標準、合格コントロール、失敗コントロール、ブランク、および試料のSPEカートリッジの下にそれぞれの溶出物試験管、またはオートサンプラーバイアルがあることを確認する。アセトニトリル500μLを各SPEカートリッジに加え、アセトニトリルがすべて媒質床を通過するまでチューブに減圧をかける。マニホールドへの減圧を切り、蓋を持ち上げて溶出物試験管、またはオートサンプラーバイアルを回収する。溶出物試験管を用いる場合、限界標準、合格コントロール、失敗コントロール、ブランク、および試料のアセトニトリル溶出物を、クロマトグラフィシステムに注入するためのオートサンプラーバイアルに入れる。溶出物の回収にオートサンプラーバイアルを用いる場合、バイアルをクロマトグラフィシステムに直接入れる。
システム適合性
クロマトグラフィシステムを準備する:分析前にランプを予熱し、システムを移動相で少なくとも1時間平衡化する。SS#1を最低4回注入する。特に記載がないかぎり、2回目のSS#1注入をすべてのシステム適合性分析に用いる。トリトンX-100の保持時間は5.0±1分であるべきである。理論段数で評価したトリトンX-100に対するカラムの効率は、下記の式により計算した場合、≧2000段/カラムでなければならない:
式中:
t = 注入時からピーク最高点の溶出時までで測定したトリトンX-100ピークの保持時間。
w = ピークの側部をベースラインに外挿して測定したトリトンX-100ピークの幅。
トリトンX-100ピークと最も近い隣接ピーク(あれば)との間の分解能は≧1でなければならない。
式中:
t = 標準におけるトリトンX-100ピークおよび隣接ピークの保持時間。
w = ピークの側部をベースラインに外挿して得たピークの基部の対応する幅。
最後の3回のSS#1注入の反応係数を下記の式を用いて計算する:
式中:
A = トリトンX-100ピークの面積
W = 対応するTX100保存標準溶液の調製において用いたトリトンX-100の重量(mg)
最後の3回のSS#1注入の反応係数は≦10%の相対標準偏差(RSD)を有していなければならない。%RSDを下記の式を用いて計算する。
式中:
n = 試料における測定数
x = 個々の測定値
SS#2の1回の注入の反応係数をSS#1の最後の3回の注入の平均反応係数と比較する。SS#2反応係数と3回のSS#1注入の平均反応係数との間の差パーセントは≦10%でなければならない。差パーセントを下記の式を用いて計算する:
式中:
RF1 = 3回のSS#1注入の平均反応係数
RF2 = SS#2の反応係数
SPE後の試料ブランク1回注入を行う。トリトンX-100レベルが見られれば、試料ブランクをさらに2回注入する。トリトンX-100が含まれれば、CTLA4-Ig原薬を廃棄し、以前に分析して検出可能なレベルのトリトンX-100を含まないことが判明している、新しいロットのCTLA4-Ig原薬で新しい限界標準、およびコントロールを作成する。前述の模範的値に適合しない場合、カラムの平衡化をもう1時間延長し、標準溶液を再注入する。それでも模範的値に適合しない場合は、下記の段階を実行する。漏れがないか調べ、すべての管系の接続が確保されていることを確認する。平衡化を延長しても無効な場合は、移動相の有機相含有量を調節するか、または移動相の新しいバッチを調製し、SS#1およびSS#2を再調製する。平衡化の延長および/または移動相の調節をしても模範的値に適合しない場合、カラムを交換する。繰り返す前に少なくとも1時間平衡化する。
注入シーケンス。HPLCシステムの予備平衡化および前記の分析成功。SPE後原薬緩衝液の1回注入を行い、較正ブランクとして上の項を参照する。トリトンX-100反応がないか観察する。トリトンX-100ピークの保持時間にピークがある場合、反応がなくなるまでブランクの注入を続ける。SPE後CTLA4-Ig原薬の1回注入を行い、試料ブランクとして上の項を参照する。トリトンX-100反応がないか観察する。データ処理を行う前に、このクロマトグラムを標準、コントロールおよび試料クロマトグラムから差し引く。合格コントロール、限界標準、および失敗コントロールの重複注入を行う。原薬緩衝液の1回注入を行い、トリトンX-100反応が認められてはならない。試料の重複注入を行う。試料注入は限界標準の重複注入および原薬緩衝液の1回注入でブラケッティングし、限界標準および原薬のブラケッティング注入の間に試料注入を10回を越えて行わないようにする。分析の最後は限界標準の重複注入と、原薬緩衝液ブランクの1回注入で完了しなければならない。
データ処理。データ処理を進める前に、すべての標準、コントロール、および試料クロマトグラムから試料ブランク注入のクロマトグラムを差し引く。限界標準、コントロール、および試料クロマトグラム中のトリトンX-100ピークが適切に統合されていることを確認する。試料中にトリトンX-100ピークがある場合、これは限界標準と同じ保持時間ウィンドウ内でなければならない。重複注入の各組のピーク面積を平均する。重複注入のピーク面積における差%は≦10%でなければならない。限界標準、合格コントロール、または失敗コントロールの重複注入がこの基準に適合しない場合、分析全体が無効と考えられ、繰り返す必要がある。試料の重複注入がこの基準に適合しない場合、試料は無効と考えられ、繰り返す必要がある。すべての他の試料、コントロール、および標準は、それらが≦10%の基準に適合するかぎり、有効であると考えられる。最終注入を含む、すべてのブラケッティング限界標準におけるトリトンX-100ピークの平均ピーク面積は、限界標準の初期平均ピーク面積の10%以内でなければならない。いかなる中間限界標準も10%の比較条件に適合することができなければ、最後の合格限界標準後に分析したすべての試料は無効と考えられ、再分析しなければならない。
限界標準、合格コントロール、失敗コントロール試料の評価。限界標準、合格コントロール、失敗コントロールの平均トリトンX-100ピーク面積を比較する。失敗コントロール試料のピーク面積は限界標準のものよりも大きくなければならない。合格コントロール試料のピーク面積は限界標準のものよりも小さくなければならない。両方の条件に適合すれば、試料の評価を続けて行う。
試料の評価。限界標準の平均トリトンX-100ピーク面積を、下記のとおり、トリトンX-100保存標準溶液#1の調製において秤量した材料の量を考慮して補正しなければならない:
AL = ALS X (10.00mg/Wt.)
式中:
AL = 限界0.5μg/mLに補正したピーク面積
ALS = ブラケッティング限界標準の平均トリトンX-100ピーク面積
注:ALは限界0.5μg/mLでの補正面積であり、試料との比較に用いる。
試料からの平均トリトンX-100ピーク面積をALと比較する。ピーク面積が≦ALであれば、試料は規格に合格する。ピーク面積が>ALであれば、試料は規格に合格できない。結果を規格合格の場合「<0.50ppm」、もしくは規格合格失敗の場合「>0.50ppm」、またはそれ以外に報告の習慣により要求されるとおりに報告する。
実施例62-CTLA4-Ig原薬材料中の残留タンパク質Aの量を定量するアッセイ
試薬
炭酸塩コーティング緩衝液。適当な容器に、撹拌子を加える。HPLC等級またはMillipore水(500mL)を加える。炭酸塩カプセル5個の内容物を加える。よく混合するまで撹拌する。pHをチェックし、NaOH(1.16)またはHCl(1.23)を用いて9.6±0.1に調節する。溶液を500mLのフィルター滅菌システムに加える。減圧をかけて溶液を滅菌ろ過する。無菌条件下でフィルター装置を取り除き、ボトルに蓋をする。溶液は2〜8℃で保存した場合30日間安定である。溶液に「炭酸塩コーティング緩衝液」とラベルする。洗浄緩衝液:(PBS+0.05%トゥイーン20):HPLC等級またはMillipore水の4Lボトルに、撹拌子を加える。PBS錠20錠を加える。トゥイーン20(2.0mL)を加える。pHをチェックし、NaOHまたはHClを用いて7.4±0.1に調節する。撹拌プレートを用いて、よく混合するまで撹拌する。溶液は2〜8℃で保存した場合30日間安定である。溶液に「洗浄緩衝液」とラベルする。停止溶液(1N H2SO4)またはVWRからの1.000規定硫酸を希釈せずに用いる。換気フード内で、適当な容器を撹拌プレート上に置く。撹拌子を加える。HPLC等級またはMillipore水(485.6mL)を加える。撹拌プレートの電源を入れ、水の撹拌を開始する。濃H2SO4(14.4mL)をゆっくり加える。溶液は室温で保存した場合30日間安定である。容器に「停止溶液」とラベルする。
酢酸緩衝液(0.5M酢酸、0.1M塩化ナトリウム、0.1%トゥイーン20、pH3.5)。換気フード内で、適当な容器を撹拌プレート上に置く。撹拌子を加える。HPLC等級またはMillipore水(400mL)を加える。撹拌プレートの電源を入れ、水の撹拌を開始する。氷酢酸(14.8mL)をゆっくり加える。よく混合するまで撹拌する。塩化ナトリウム(2.9g)を加えた。よく混合するまで撹拌する。pHをチェックし、NaOHまたはHClを用いて3.5±0.1に調節する。トゥイーン20(0.5mL)を加える。よく混合するまで撹拌する。HPLC等級またはMillipore水で最終量500mLに調節する。よく混合するまで撹拌する。溶液は2〜8℃で保存した場合30日間安定である。容器に「酢酸緩衝液」とラベルする。
ウサギ抗タンパク質A抗体。バイアルを冷蔵庫から取り出し、室温に戻す。HPLC等級またはMillipore水(2.0mL)を加える。20μL量を0.5mLねじ蓋チューブに分注する。蓋をし、細胞保存箱に入れる。溶液は-20℃で保存した場合365日間安定である。ビオチン化抗タンパク質A抗体。バイアルを冷蔵庫から取り出し、室温に戻す。HPLC等級またはMillipore水(1.0mL)を加える。60μL量を2.0mLねじ蓋チューブに分注する。蓋をし、細胞保存箱に入れる。溶液は-20℃で保存した場合365日間安定である。
ストレプトアビジン-HRP。HPLC等級またはMillipore水(0.5mL)をストレプトアビジン-HRPのバイアルに加える。混合するために、バイアルに蓋をし、約10秒間ゆっくりボルテックスにかける。グリセロール(0.5mL)をストレプトアビジン-HRPのバイアルに加える。バイアルに蓋をし、バイアルを数回ゆっくり反転させる。溶液を清浄なパスツールピペットに吸い上げて溶液の透明性をチェックする。20μL量を0.5mLねじ蓋チューブに分注する。蓋をし、細胞保存箱に入れる。溶液は-20℃で保存した場合365日間安定である。
標準の調製。タンパク質A基準物質(ref mat)のタンパク質濃度を分析証明書(COA)から得る。タンパク質A保存溶液を室温で解凍し、タンパク質A ref matの11,500ng/mL溶液を調製する。11,500ng/mL溶液を得るためのタンパク質A ref matの必要量を計算する。最小移動量は10μLである。
注: 単位が適合性であることを確認する。
タンパク質A ref matの必要量を所望の量から引くことにより酢酸緩衝液(3.4)の量を計算する。
式: (所望の量)-(Ref Std量) = (希釈液量)
例: 10.0mL - 0.920mL = 9.180mL希釈液
タンパク質A ref matの計算量を、酢酸緩衝液計算料を含む15mL滅菌チューブに加える。チューブに蓋をする。2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける(Vortex Genie 2で設定4)。残りの標準を以下に示す量を用いて調製する。
各希釈段階後、チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかけ、その後次の希釈段階に進む。参照標準および品質コントロール試料を室温で10分間インキュベートした後、マイクロタイタープレートに加える。各標準濃度を三重複ウェルで分析する。
試験試料の調製。ポリプロピレンチューブ内でCTLA4-Ig試験試料の5mg/mL、2.5mg/mLおよび1.25mg/mL濃度を酢酸緩衝液を用いて調製する。CTLA4-Ig試料を室温で解凍した後、希釈溶液を調製するために用いる。5.0mg/mL溶液を得るための試験試料の必要量を計算する。最小移動量は10μLである。
5.1.3 試験試料の必要量を所望の量から引くことにより酢酸緩衝液の量を計算する。
式: (所望の量)-(試験試料量) = (希釈液量)
例: 1.0mL - 0.200mL = 0.800mL希釈液
試験試料の計算量を、酢酸緩衝液の計算料を含む15mL滅菌チューブに加える。チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける(Vortex Genie 2で設定4)。試料を室温で10分間インキュベートした後、マイクロタイタープレートに加える。
品質コントロール試料の調製。タンパク質A基準物質のタンパク質濃度をCOAから得る。タンパク質A ref matの11,500ng/mL溶液を調製する。品質コントロール(QC)試料を以下の表に記載のとおりに調製する。
700μL量を2.0mLねじ蓋チューブに分注する。蓋をし、細胞保存箱に入れる。溶液は-70℃以下で保存した場合180日間安定である。QC試料中のタンパク質A濃度を、この方法を用いて3つの独立したタンパク質A ELISAアッセイを行うことにより、あらかじめ定量することになる。18の結果(3つの独立したアッセイかけるアッセイ毎に6つのウェル)を平均する。各QC試料のタンパク質A濃度を各調製に割り当てる。実験当日、各QC試料の1つのバイアルを室温で解凍するか、またはQC試料をタンパク質Aの保存液バイアルから新しく調製する。2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける(Vortex Genie 2で設定4)。
手順。捕捉抗体によるプレートコーティング。ウサギ抗タンパク質A抗体のタンパク質濃度を製造者のCOAから得る。100μg/mL溶液10mLを得るためのウサギ抗タンパク質A抗体の必要量を計算する。最小移動量は10μLである。
注:単位が適合性であることを確認する。
ウサギ抗タンパク質A抗体の必要量を所望の量から引くことにより希釈液の量を計算する。
式: (所望の量)-(抗体量) = (希釈液量)
例: 3.0mL - 0.012mL = 2.988mL希釈液
ウサギ抗タンパク質A抗体の計算量を、希釈液の計算料を含む15mL滅菌チューブに加える。チューブに蓋をし、2〜4秒間ゆっくりボルテックスにかける。コーティング緩衝液中のウサギ抗タンパク質A抗体1μg/mL溶液を式を用いて調製する。溶液100μlをImmulon IVマイクロタイタープレートの各ウェルに加える。2〜8℃で18±2時間インキュベートする。プレートを、プレート洗浄器を洗浄緩衝液300μL、浸漬時間ゼロで用いて、洗浄溶液で3回洗浄する。または、プレートをマルチチャンネルピペットを用いて洗浄してもよい。マルチチャンネルピペットを用いてSuperBlock(登録商標)200μLを各ウェルに加える。マイクロタイタープレートを暗所、室温で60分間インキュベートする。参照標準、品質コントロール、および試験試料各100μLをアッセイプレートに加える。マイクロタイタープレートを暗所、室温で60分±10分間インキュベートする。洗浄を繰り返す。ビオチン抗タンパク質A抗体のタンパク質濃度を製造者のCOAから得る。希釈液中のビオチン抗タンパク質A抗体1.0mg/mL溶液1.0mLを調製する。中速でボルテックスにかける。1mg/mL溶液(7.9.1)50μLを希釈液0.950mLに加える。中速でボルテックスにかける。50μg/mL溶液(7.9.3)150μLを希釈液14.850mLに加える。マルチチャンネルピペッターを用いて100μLを各ウェルに加える。室温で60分±10分間インキュベートする。洗浄を繰り返す。ストレプトアビジン-HRPを下記のとおりに希釈する。ストレプトアビジン-HRP 10μLを希釈液0.990μLに加え、0.01mg/mLストレプトアビジン-HRPを得る。中速でボルテックスにかける。0.01mg/mLストレプトアビジン-HRP 80μLを希釈液39.920mLに加える。中速でボルテックスにかける。マルチチャンネルピペッターを用いて100μLを各ウェルに加える。室温で30分±5分間インキュベートする。TMBを冷蔵庫から取り出し、TMBのプレート毎に最低10mLを適当な容器にデカントする。暗所において室温に戻す。洗浄を繰り返し、5回洗浄する。TMB色素原100μLを各ウェルに加える。室温で約2分±1分間インキュベートする。100μL/ウェルの停止溶液を加えて色素原反応を停止する。停止溶液を色素原を加えたのと同じ順序でプレートおよびウェルに加え、各ウェルで色素原と酵素の反応時間が同じになるようにする。参照波長630nmの450nmで吸光度(AB)を測定する。
模範的値。標準曲線の模範的値。定量限界(QL)未満の値は曲線の極値を確立する補助のためにしか用いられないため、標準の模範的値はQL以上の値にあてはまる。標準曲線の定量の係数(R2)は、SoftMax PROソフトウェアでもとめて≧0.99であるべきである。ゼロng/mLの標準の平均バックグラウンドは≦0.08吸光度であるべきである。ゼロおよびQLを除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度の計算値(ng/mL)の平均は、ソフトウェアでもとめて標的(公称)値の15%以内でなければならない。ゼロおよびQLを除く、標準曲線をもとめるために用いた各標準濃度の三重複AB450値の変動係数(%CV)は、ソフトウェアでもとめて≦15%でなければならない。標準曲線のQLの三重複吸光度の平均は、ソフトウェアでもとめて、20%未満の%CVを示さなければならず、標的の20%以内でなければならない。少なくとも2つの一致するデータ点が確実に計算に利用可能であるように、標準、コントロールおよび試料を三重複のウェルにロードする。平均を計算するために用いた各三重複の値を別々に解析する。
例:
標的値 (ng/mL) 実際の値 (ng/mL)
2.5 1.2
2.3
2.5
2.5ng/mLの標的値から最も遠い1つの値は1.2ng/mLである。1.2ng/mLの値を三重複から除外することにより、残りの値の平均は模範的値のすべてに適合する。再計算後、もう1つの点が模範的値に適合しない場合、アッセイは有効ではなく、再度行わなければならない。残りの2つの値の平均がまだ模範的値に適合しない場合、1つの点(3つのウェルすべて)を除外し、曲線を再計算する。
QC試料の模範的値。QC試料は定まった濃度の3つのウェルの組と規定され、したがって本方法において記載の3つの公称濃度について合計6つのQC試料(合計18のウェル)がある。QC試料の3つのウェルの少なくとも2つはQC試料が許容されるための公称値の20%以内でなければならない。6つのQC試料の少なくとも4つは許容されなければならない;6つのQC試料の2つ(同じ濃度の2つではない)および18のQC試料ウェルの6つ以下はそれぞれの標的濃度の20%を越えて逸脱してもよい。
試験試料の模範的値。アッセイした試験試料の三重複の各値は、ソフトウェアでもとめて、その濃度の平均値の20%以内でなければならない。2つ以上の平均AB450値が標準曲線上の最も高い点よりも上にあるために計算不可能である場合、試料を、3つの値の少なくとも一つの2つが標準曲線上に載るまで希釈度を上げて再アッセイしなければならない。各試験試料標的濃度について得た三重複の知見の%CVは、ソフトウェアでもとめて≦20%でなければならない。
計算。平均値、標準偏差、および%CVが得られるタンパク質A ELISAのためのSoftmaxプログラムテンプレートを参照する。アッセイした各基準および試料濃度について得た三重複吸光度(AB)値を平均する。下記の式の非加重4パラメーター回帰を用いてタンパク質A標準のデータをモデリングする:
式中:
min = 最小漸近線に対応するAB値
max = 最大漸近線に対応するAB値
ED
50 = 最大および最小漸近線値の間の絶対差の1/2に対応するAB
B = 曲線の直線部分のおおよその傾き
C = タンパク質Aの濃度
試料中のタンパク質A濃度の計算。試料結果の平均に適当な希釈係数(すなわち、2、4、および8)をかけて元の試料中のタンパク質A濃度をng/mLで得る。結果を報告されたCTLA4-Igタンパク質濃度(mg/mL)で除して、CTLA4-Ig中のタンパク質A濃度をng/mgで得る。
計算例:
注:ngタンパク質A/mg CTLA4-Ig(ng/mg)は百万分率(ppm)に等しい。
試料のタンパク質A濃度(Ng/mL)の計算。試験試料中のタンパク質Aの量を、回帰式を用いる現行のSoftMaxソフトウェアを用いて計算する。各試料の3つの希釈溶液をアッセイする。計算した濃度に適当な希釈係数をかけて初期試験試料中の濃度を得る。
例:
試験試料の濃度は50mg/mLである。
試料希釈溶液 希釈係数
5mg/mL 10
2.5mg/mL 20
1.25mg/mL 40
5mg/mL試料-ELISAデータによりタンパク質Aの濃度は10ng/mLである
10ng/mL×10(希釈係数) = 100ng/mL(試験試料中のタンパク質A)
2.5mg/mL試料-ELISAデータによりタンパク質Aの濃度は5.0ng/mLである
5ng/mL×20(希釈係数) = 100ng/mL(試験試料中のタンパク質A)
1.25mg/mL試料-ELISAデータによりタンパク質Aの濃度は2.5ng/mLである
2.5ng/mL×40(希釈係数) = 100ng/mL(試験試料中のタンパク質A)
3つの値から平均濃度を計算する。
結果の報告。結果を「全タンパク質% w/w、ngタンパク質A/mg全タンパク質」、または「ppm」(w/w)と呼ぶもので報告してもよい。
例:
0.0001% w/w = 1ng/mg = 1ppm (w/w)
計算例:
AB450値がQL(0.188ng/mL)のAB450よりも小さい試料は「QL未満」と報告すべきである。AB450値がQL(0.188ng/mL)のAB450よりも大きい試料は百万分率(ppm)として最も近い整数で報告すべきである。
例:
試料濃度は50mg/mLである。分析した最も高い試料濃度は5mg/mLである(1/10希釈)。試料のAB450はQLよりも小さい。
QL = 0.188ng/mL
≦0.188ng/5 mg
≦0.04 ng/mg
「≦、QL = 0.04ppm」と報告する。
実施例63:CTLA4-Ig原薬試料中のアミノ単糖(N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン)のタンパク質に対するモル比をもとめる方法
試薬
加水分解溶液(4N HCl水溶液)。6N HCl(160mL)およびHPLC等級の水(80mL)を250mLのガラス瓶に加える。撹拌してよく混合する。2〜8℃で6ヶ月まで保存する。誘導体化溶液I(0.1M APTS水溶液)。HPLC等級の水(192μL)をガラスバイアル中のAPTS粉末(10mg)に加える。バイアルを5〜10秒間ボルテックスにかけ、APTSを完全に溶解する。-20℃で1年まで保存する。
誘導体化溶液II(1M酢酸および0.25M NaBH3CN)。0.4mL遠心管中で酢酸(20μL)をHPLC等級の水(320μL)で希釈(17倍希釈)し、1M酢酸溶液を調製する。NaBH3CN(2.0±0.5mg)を低温貯蔵バイアル中に秤量する。下記の式を用い、適当な量の1M酢酸を加えて0.25M NaBH3CNを調製する。量(μL) = 103×(NaBH3CNの重量mg)/(62.84g/mol×0.25mol/L)。注:使用直前に調製する。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)はデシケーター中で暗所に保存すべきである。元の試薬瓶の繰り返し開封を避けるため、下記のとおり、保存用に試薬を一連の2.0mL低温バイアル中に細分することが推奨される:シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.0g±0.2mg)を2.0mL低温バイアル中に秤量する。この様式で元の瓶からシアノ水素化ホウ素ナトリウムの全内容物を分注する。きつく密封し、低温バイアルに試薬名、ロット番号、および6ヶ月の有効期限と共に連番(1、2、3など)をラベル表記する。バイアルは水分を避けるためにパラフィルムで密封すべきである。誘導体化溶液IIのためにシアノ水素化ホウ素ナトリウムを同じ低温バイアルから3回以下で量り分ける。このことと、低温バイアルの連番を研究室のワークシートに書き留める。CEプロファイル中での試薬ピークの観察またはラベリングの劣化のいずれかが、低温バイアルの繰り返し開封後、またはシアノ水素化ホウ素ナトリウムの特定のロットで起こりうる。これが結果に影響をおよぼす場合、使用している低温バイアルを廃棄し、試薬を次の連番の低温バイアルから、または新しいロットのシアノ水素化ホウ素ナトリウムから秤量する。
再アセチル化緩衝液(25mM炭酸水素ナトリウム、pH9.5)。炭酸水素ナトリウム(0.210±0.02g)を清浄な100mLガラスビーカー中に秤量する。HPLC等級の水(90mL)を加え、撹拌プレート上で塩が完全に溶解するまで混合する。10N NaOHでpHを9.5±0.1に調節する。HPLC等級の水を加えて最終量100mLとする。溶液をろ過し、室温で3ヶ月まで保存する。泳動緩衝液(60±5mM四ホウ酸ナトリウム、pH9.25)。四ホウ酸ナトリウム(1.21±0.02g)を清浄な100mLガラスビーカー中に秤量する。HPLC等級の水(90mL)を加え、撹拌プレート上で塩が完全に溶解するまで混合する。10N NaOHでpHを9.25±0.1に調節する。HPLC等級の水を加えて最終濃度60±5mMの最終量100mLとする。55mM溶液のために、四ホウ酸ナトリウム(1.11±0.02g)を秤量し、前述の説明に従い溶解および滴定する。65mM溶液のために、四ホウ酸ナトリウム(1.31±0.02g)を秤量し、前述の説明に従い溶解および滴定する。室温で3ヶ月まで保存する。ピーク分解能(システム適合性の項で規定したとおり)が影響を受ける場合(R値<1.0)、緩衝液を新しく調製する。任意:最終濃度60mM(±5mM)のために、四ホウ酸塩緩衝溶液(MicroSolv)を、超純粋(120mL)を150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(80mL)に加えて希釈する。10N NaOHで滴定して、溶液pHを9.25(±0.1)とする。55mM四ホウ酸塩溶液のために、150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(66mL)を超純粋(114mL)中に希釈する。前述のとおりに滴定する。65mM四ホウ酸塩溶液のために、150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(78mL)を超純粋(102mL)中に希釈する。前述のとおりに滴定する。溶液を室温で最大3ヶ月保存する。ピーク分解能(システム適合性の項で規定したとおり)が影響を受ける場合(R値<1.0)、緩衝液を新しく調製する。
キャピラリー洗浄溶液。
1N NaOH溶液:10N NaOH溶液(1mL)をHPLC等級の水(9mL)を含む15mLの目盛付きプラスティックチューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。溶液を室温で6ヶ月まで保存する。
1N HCl溶液:6N HCl溶液(1mL)をHPLC等級の水(5mL)を含む15mLの目盛付きプラスティックチューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。溶液を室温で6ヶ月まで保存する。80%メタノール溶液:HPLC等級のメタノール(8mL)をHPLC等級の水(2mL)を含む15mLの目盛付きプラスティックチューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。溶液を室温で6ヶ月まで保存する。
単糖標準保存溶液:
N-アセチルグルコサミン(GalNAc)。GalNAc(5±1mg)を2.0mLの低温貯蔵バイアル中に正確に秤量する。HPLC等級の水(1mL)を加え、溶解するまでボルテックスにかけてよく混合する。溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
N-アセチルガラクトサミン(GlcNAc):GlcNAc(5±1mg)を2.0mLの低温貯蔵バイアル中に正確に秤量する。HPLC等級の水(1mL)を加え、溶解するまでボルテックスにかけてよく混合する。溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
N-アセチルマンノサミン(ManNAc):ManNAc(5±1mg)を2.0mLの低温貯蔵バイアル中に正確に秤量する。HPLC等級の水(1mL)を加え、溶解するまでボルテックスにかけてよく混合する。溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
単糖標準保存溶液を-20℃で1年まで保存する。
単糖希釈標準液I:内部標準希釈溶液。ManNAc保存溶液(20μL)を、HPLC等級の水(1980μL)をすでに含む2mLの低温貯蔵バイアル中に加えることにより、ManNAcの保存溶液をHPLC等級の水で100倍希釈する。約5から10秒間ボルテックスにかける。内部標準希釈溶液を2〜8℃で6ヶ月まで保存する。
単糖希釈標準液II:アミノ混合標準希釈溶液。HPLC等級の水(1960μL)を含む2.0mLの低温貯蔵バイアルに、GalNAcおよびGlcNAcの保存溶液をそれぞれ20μL加える。約5から10秒間ボルテックスにかける。アミノ混合標準希釈溶液を2〜8℃で6ヶ月まで保存する。
試料および基準物質溶液。凍結タンパク質試料を2〜8℃で解凍し、反転させてゆっくり混合する。試料および基準物質の両方をHPLC等級の水で約1.0mg/mLに希釈する。濃度を3桁の有効数字で記録する。
手順
加水分解。0.65mL遠心管中に、ManNAc希釈標準溶液(10μL)および4N加水分解溶液(200μL)を加える。これはシステムブランクとしてはたらく。0.65mL遠心管中に、ManNAc希釈標準溶液(10μL)およびアミノ混合標準溶液(10μL)を加える。さらに4N加水分解溶液(200μL)を加える。これは定量およびシステム適合性のための単糖標準としてはたらく。重複で調製する。0.65mL遠心管中に、ManNAc希釈標準溶液(10μL)およびCTLA4-Ig基準物質溶液(約1mg/mL)(10μL)を加える。さらに4N HCl溶液(200μL)を加える。重複で調製する。0.65mL遠心管中に、ManNAc希釈標準溶液(10μL)および試料溶液(約1mg/mL)(10μL)を加える。さらに4N HCl溶液(200μL)を加える。重複で調製する。試料を約10秒間ボルテックスにかけ、約5〜10秒間遠心分離する。試料を96本用バイアルラックに入れ、95℃の乾燥器内で6時間インキュベートする。加水分解後、加水分解した試料を-20℃に10分間おいて冷却する。加水分解した試料を、凝縮物があればチューブの底に沈澱させるまで短時間(高速で5〜10秒間)遠心分離する。試料をSpeedVacで蒸発させて乾燥する。各試料をHPLC等級の水(100μL)で再構成し、10〜15秒間ボルテックスにかける。試料をSpeedVacで蒸発させて乾燥する。
再アセチル化。各試料をM6再アセチル化緩衝液(10μL)で再構成し、10〜15秒間ボルテックスにかけてよく混合する。M3 再アセチル化試薬(4μL)を各チューブに加える。約5〜10秒間ボルテックスにかける。氷上で30分間インキュベートする。試料をSpeedVacで蒸発させて乾燥する。各試料をHPLC等級の水(100μL)で再構成し、10〜15秒間ボルテックスにかける。試料をSpeedVacで蒸発させて乾燥する。
誘導体化。マイクロ遠心機を乾燥器に入れて、55℃の乾燥器温度に平衡化する。各試料を誘導体化溶液I(0.1M APTS溶液)(10μL)で再構成する。約5〜10秒間ボルテックスにかける。誘導体化溶液II(1M HAcおよび0.25M NaBH3CN)(5μL)を加える。約5〜10秒間ボルテックスにかけ、遠心分離する。試料バイアルを予熱した遠心機に素早くロードし、遠心機を55℃の乾燥器に戻す。2000rpmで遠心分離しながら3時間インキュベートする。これはバイアル表面上への溶媒の凝縮を防ぐ。
機器の準備
5.4.1 新しいキャピラリーを設置し、高圧モード(80 PSI)で下記の段階を用いて洗浄する:1N NaOHで20分間;HPLC等級の水で10分間;60mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液で10分間。
毎日の操作
毎日の操作の前に、キャピラリーを洗浄するための洗浄/すすぎシーケンスを行う。
次いで、システム適合性標準(単糖標準)を泳動して、システムが適合していることを確認する。
1N NaOHを用いることで異なる供給業者からのキャピラリーの内部が腐蝕し、泳動中の移動時間のずれが生じることがある。これにより最後のピーク(GlcNAc)の移動時間が10.0分を越えることになる場合、段階2の洗浄の1N NaOHを0.1N NaOHまたはHPLC等級の水に代える必要があると考えられる。
等価のキャピラリーを用い、前述の洗浄法が十分でない場合、最後のピーク(GlcNAc)が10.0分の模範的値の範囲内となるために80%メタノールおよび/または1N HClの使用が必要になることもある。
注入の準備
誘導体化の後、試料を室温まで冷却する。凝縮物をチューブの底に沈澱させるまで、室温で約10秒間遠心分離する。
HPLC等級の水(85μL)を各チューブに加え、各試料の最終量を100μLとする。5〜10秒間ボルテックスにかける。
試料10μLを各チューブからCEマイクロバイアルに移し、HPLC等級の水190μLを各チューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかける。
洗浄段階および注入シーケンス:
注:注入4回ごとに、CE泳動緩衝液を新しく調製したCE泳動緩衝液と交換する(イオン減少効果のため)。キャピラリー洗浄を40psiで行う。
*注:シーケンスを3つの試料まで重複で繰り返し、単糖標準の各調製の2回の注入でブラケッティングする。3試料の群に入れた試料について8つのシステム適合性標準注入をすべて用いる。3試料よりも多く泳動する場合、追加の試料をライン19から始めて前述のシーケンスで示したとおり泳動する。表のライン47から53に示すとおり、システム適合性(単糖標準)を泳動してシーケンスを完了する。
**試料をCTLA4-Ig基準物質の各調製の2回の注入でブラケッティングする。
システム適合性 注:システム適合性値を、特に記載がないかぎり、システム適合性標準の最初の注入を用いてもとめる。最初のシステム適合性の電気泳動図は図1に示すものと類似であるべきで、ここでピーク1はGalNAcであり;ピーク2はManNAcであり;ピーク3はGlcNAcである。注:Beckman PACE MDO以外のCE装置を用いる場合、分離キャピラリーを支持しているカートリッジの形状が多様であるため、キャピラリーの長さがこの方法で明記したものと異なることがある。これにより分析物の移動時間、ならびにピーク強度が変動することになる。
2つの隣接ピークの分解能を、その装置による最初のシステム適合性標準について、下記の式を用いて計算する:
式中:
R = 分解能
t
2、t
1 = 2つの隣接ピークそれぞれの移動時間
W
1、W
2 = 2つの隣接ピークそれぞれのベースラインでのピーク幅
R値は≧1.0でなければならない。R<1.0であれば、キャピラリーを洗浄/すすぎシーケンスで洗浄し;問題が続く場合には、古い緩衝液を新しく調製した泳動緩衝液と交換するか、またはキャピラリーを交換する。
最後のシステム適合性注入について、最後のピーク(GlcNAc)は下記の式を用いてテーリング係数<1.4でなければならない:
T=W0.05/2f
式中:
T = テーリング係数
W0.05 = 高さの5%でのピーク幅
f = ピーク最高点でのピーク前部の幅
T≧1.4であれば、キャピラリーを洗浄/すすぎシーケンスで洗浄し;問題が続く場合には、古い緩衝液を新しく調製した泳動緩衝液と交換するか、またはキャピラリーを交換する。
6.1 システム適合性標準の重複注入は下記の模範的値に適合しなければならない:
・ GlcNAc対MaNAcのピーク面積比:RSD≦10%(段階7.1で計算)
・ GlcNAcの移動時間は≦10.0分であるべきである。
・ プロファイルは図1と等価であるべきで、ここで3つのピークが観察され、内部標準(ManNAc)は2番のピークである。
試料を試験する前に前述の模範的値のいずれかが適合しない場合、まずGlcNAcの移動時間が10.0分よりも長ければ電圧を上げる。次に、ピーク面積比が>10%であれば、新しいCE緩衝液を調製して、そのpHを確認するか、またはキャピラリーを交換する。装置の調節後、システム適合性注入を繰り返す。ピークプロファイルを分析している場合、ManNAcのピーク高に著しい低下が見られれば、LIFモジュールへの光ファイバーケーブルの調整不良がないかを確認する。
内部標準と単糖標準成分のピーク面積比を比較することにより、単糖標準RSDパーセントをもとめる。各単糖標準注入について、各単糖成分のピーク面積を内部標準のピーク面積で除する。2つのブラケッティング標準について、GalNAcおよびGlcNAcのRSDパーセントを計算する。RSDは≦10%であるべきである。この平均模範的値に適合しない場合、キャピラリーを前述のとおり洗浄または交換すべきである。
計算
GalNAcおよびGlcNAcの内部標準(ManNAc)に対するピーク面積比を計算する。模範的値に適合するように、最初の4回のシステム適合性標準の重複注入に対して用い、試料の前後に注入するブラケッティングしたシステム適合性標準すべてに対して同じ計算を行う。
ピーク面積比 = 各システム適合性標準注入について、各単糖成分(GlcNAc、GalNAc)のピーク面積を内部標準(ManNAc)のピーク面積で除する。
システム適合性標準中のGalNAcおよびGlcNAcのピーク面積比の平均を計算する。同様に標準偏差(S.D.)および相対標準偏差パーセント(%RSD)も計算する。
模範的値。GlcNAcのピーク面積比のRSD≦10%。試料の前後に注入する、2つのブラケッティングしたシステム適合性標準:GlcNAcおよびGalNAcのピーク面積比のRSDパーセント≦10%。
この平均模範的値が適合していない(RSD>10%)場合、キャピラリーを洗浄法により再洗浄する必要があり、これらの試料およびブラケッティングした単糖標準を再度泳動する必要がある。平均模範的値がまだ適合していない場合、キャピラリーを交換し、前述のとおりに洗浄する。試料およびブラケッティングした単糖標準を再度泳動する。
式中:
n = 試料における測定数
x = 個々の測定値
GalNAc/タンパク質のモル比を計算する:
式中:
R
GalNAc = GalNAc対タンパク質のモル比
A
GalNAc = 試料中のGalNAcのピーク面積(μV・sec)
A
ManNAc = 試料中のManNAcのピーク面積(μV・sec)
A
ManNAc0 = 単糖標準中のManNAcのピーク面積(μV・sec)平均
A
GalNAc0 = 単糖標準中のGalNAcのピーク面積(μV・sec)平均
V
GalNAc0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるGalNAcの量(μL)
C
GalNAc0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるGalNAcの濃度(mg/mL)
Vp = 加水分解に用いたタンパク質試料の量(μL)
Cp = 加水分解に用いたタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig = CTLA4-Ig基準物質の分子量
MW
GlcNAc = GalNAcの分子量(221.2ダルトン)
標準ブラケッティング。CTLA4-Ig基準物質および試料のモル比を計算する場合、ブラケッティングしたシステム適合性標準の8つすべてを用いる。この式に含むためにピーク面積を平均する。これを最初の3つの試料に用いることになる。すべての他の試料に対しては、モル比計算のために次の4つのブラケッティングした単糖標準および前の4つのブラケッティングした単糖標準の平均ピーク面積を常に用いる。
GlcNAc/タンパク質のモル比を計算する
式中:
R
GlcNAc = GlcNAc対タンパク質のモル比
A
GlcNAc = 試料中のGLcNAcのピーク面積(μV・sec)
A
ManNAc = 試料中のManNAcのピーク面積(μV・sec)
A
ManNAc0 = 単糖標準中のManNAcのピーク面積(μV・sec)平均
A
GlcNAc0 = 単糖標準中のGlcNAcのピーク面積(μV・sec)平均
V
GlcNAc0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるGlcNAcの量(μL)
C
GlcNAc0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるGlcNAcの濃度(mg/mL)
Vp = 加水分解に用いたタンパク質試料の量(μL)
Cp = 加水分解に用いたタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig = CTLA4-Ig基準物質の分子量
MW
GlcNAc = GlcNAcの分子量(221.2ダルトン)
模範的値。2つのブラケッティングしたアミノシステム適合性標準ピーク面積比のRSDパーセントは10%を越えない。基準物質中のアミノ単糖の平均モル比は規定の範囲内でなければならない。各成分について、4つの結果(重複調製の重複注入)の%RSDは</=25%でなければならない。
CTLA4-Ig基準物質のモル比の範囲
結果報告。CTLA4-Ig分子1個あたりのGalNAc分子の数およびCTLA4-Ig分子1個あたりのGlcNAc分子の数として平均結果を報告する。モル比の結果を2桁の有効数字で報告する。各成分について、4つの結果(重複調製の重複注入)の%RSDは</=25%でなければならない。
実施例64:CTLA4-Ig原薬試料中の中性単糖(マンノース、フコース、ガラクトース)のタンパク質に対するモル比をもとめる方法
試薬
加水分解溶液(2M TFA水溶液)。TFA(148μL)およびHPLC等級の水(852μL)を1.7マイクロ遠心管に加える。5〜10秒間ボルテックスにかける。必要に応じてスケールアップする。溶液は使用直前に調製する。
誘導体化溶液I(0.1M APTS水溶液)。HPLC等級の水(192μL)をガラスバイアル中のAPTS粉末(10mg)に加える。ボトルを5〜10秒間ボルテックスにかけ、APTSを完全に溶解する。-20℃で1年まで保存する。
誘導体化溶液II(1M酢酸および0.25M NaBH3CN)。0.4mL遠心管中で酢酸(20μL)をHPLC等級の水(320μL)で希釈(17倍希釈)し、1M酢酸溶液を調製する。NaBH3CN(2.0±0.5mg)を低温貯蔵バイアル中に秤量する。下記の式を用い、適当な量の1M酢酸溶液を加えて0.25M NaBH3CNを調製する。
量(μL) = 103×(NaBH3CNの重量mg)/62.84g/mol×0.25mol/L)。
・シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)はデシケーター中で暗所に保存すべきである。
・元の試薬瓶の繰り返し開封を避けるため、下記のとおり、保存用に試薬を一連の2.0mL低温バイアル中に細分することが推奨される:
・シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.0g±0.2mg)を2.0mL低温バイアル中に秤量する。この様式で元の瓶からシアノ水素化ホウ素ナトリウムの全内容物を分注する。
・きつく密封し、低温バイアルに試薬名、ロット番号、および6ヶ月の有効期限と共に連番(1、2、3など)をラベル表記する。
・バイアルは水分を避けるためにパラフィルムで密封すべきである。
・誘導体化溶液IIのためにシアノ水素化ホウ素ナトリウムを同じ低温バイアルから3回以下で量り分ける。このことと、低温バイアルの連番を研究室のワークシートに書き留める。
・CEプロファイル中での試薬ピークの観察またはラベリングの劣化のいずれかが、低温バイアルの繰り返し開封後、またはシアノ水素化ホウ素ナトリウムの特定のロットで起こりうる。これが結果に影響をおよぼす場合、使用している低温バイアルを廃棄し、試薬を次の連番の低温バイアルから、または新しいロットのシアノ水素化ホウ素ナトリウムから秤量する。
泳動緩衝液(60±5mM四ホウ酸ナトリウム、pH9.25)
四ホウ酸ナトリウム(1.21±0.02g)を清浄な100mLガラス瓶中に秤量する。
HPLC等級の水(90mL)を加え、撹拌プレート上で塩が完全に溶解するまで混合する。
10N NaOHでpHを9.25±0.1に調節する。
HPLC等級の水を加えて最終濃度60mM(±5mM)の最終量100mLとする。
55mM溶液のために、四ホウ酸ナトリウム(1.11±0.02g)を秤量し、前述の説明に従い溶解および滴定する。
65mM溶液のために、四ホウ酸ナトリウム(1.31±0.02g)を秤量し、前述の説明に従い溶解および滴定する。
室温で3ヶ月まで保存する。ピーク分解能(システム適合性の項で規定したとおり)が影響を受ける場合(R値<1.0)、緩衝液を新しく調製する。
任意:最終濃度60mM(±5mM)のために、四ホウ酸塩緩衝溶液(MicroSolv)を、超純粋(120mL)を150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(80mL)に加えて希釈する。10N NaOHで滴定して、溶液pHを9.25(±0.1)とする。
55mM四ホウ酸塩溶液のために、150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(66mL)を超純粋(114mL)中に希釈する。前述のとおりに滴定する。
65mM四ホウ酸塩溶液のために、150mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(78mL)を超純粋(102mL)中に希釈する。前述のとおりに滴定する。
溶液を室温で最大3ヶ月保存する。ピーク分解能(システム適合性の項で規定したとおり)が影響を受ける場合(R値<1.0)、緩衝液を新しく調製する。
キャピラリー洗浄溶液。
1N NaOH溶液:
10N NaOH溶液(1mL)をHPLC等級の水(9mL)を含む14mLの目盛付きプラスティックチューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液を室温で6ヶ月まで保存する。
1N HCl溶液:
6N HCl溶液(1mL)をHPLC等級の水(5mL)を含む15mLの目盛付きプラスティックチューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液を室温で6ヶ月まで保存する。
80%メタノール溶液:
HPLC等級のメタノール(8mL)をHPLC等級の水(2mL)を含む15mLの目盛付きプラスティックチューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液を室温で6ヶ月まで保存する。
単糖標準保存溶液:
マンノース(Man)
マンノース(5±1mg)を2.0mLの低温貯蔵バイアル中に正確に秤量する。
HPLC等級の水(1mL)を加え、5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
フコース(Fuc)
フコース(5±1mg)を2.0mLの低温貯蔵バイアル中に正確に秤量する。
HPLC等級の水(1mL)を加え、5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
ガラクトース(Gal)
ガラクトース(5±1mg)を2.0mLの低温貯蔵バイアル中に正確に秤量する。
HPLC等級の水(1mL)を加え、5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
キシロース(Xyl)
キシロース(5±1mg)を2.0mL中に正確に秤量する。
HPLC等級の水(1mL)を加え、5〜10秒間ボルテックスにかけてよく混合する。
溶液の正確な濃度(mg/mL)を記録する。
単糖標準保存溶液を-20℃で1年まで保存する。
単糖希釈標準液I:内部標準希釈溶液。内部標準希釈溶液を調製するために、キシロースの保存溶液(3.6.3)(20μL)をHPLC等級の水(1980μL)をすでに含む2mLの低温貯蔵バイアル中に加えることにより、キシロースの保存溶液をHPLC等級の水で100倍希釈する。約5から10秒間ボルテックスにかける。この内部標準希釈溶液を2〜8℃で6ヶ月まで保存する。
単糖希釈標準液II:中性混合標準希釈溶液。HPLC等級の水(1940μL)を含む2.0mLの低温貯蔵バイアルに、マンノース、フコース、およびガラクトースの保存溶液をそれぞれ20μL加える。約5から10秒間ボルテックスにかける。この内部標準希釈溶液を2〜8℃で6ヶ月まで保存する。
試料および基準物質溶液。凍結タンパク質試料を2〜8℃で解凍し、反転させてゆっくり混合する。試料および基準物質の両方をHPLC等級の水で約1.0mg/mLに希釈する。
手順
加水分解。0.65mL遠心管中に、キシロース希釈標準溶液(10μL)および2M TFA溶液(200μL)を加える。これはシステムブランクとしてはたらく。0.65mL遠心管中に、キシロース希釈標準溶液(10μL)および中性混合標準溶液(10μL)を加える。さらに2M TFA溶液(200μL)を加え、3〜4秒間ボルテックスにかける。これは定量およびシステム適合性のための単糖標準としてはたらく。重複で調製する。0.65mL遠心管中に、キシロース希釈標準溶液(10μL)およびCTLA4-Ig基準物質溶液(約1mg/mL)(10μL)を加える。さらに2M TFA溶液(200μL)を加え、3〜4秒間ボルテックスにかける。重複で調製する。0.65mL遠心管中に、キシロース希釈標準溶液(10μL)および試料溶液(約1mg/mL)(10μL)を加える。さらに2M TFA溶液(200μL)を加え、3〜4秒間ボルテックスにかける。重複で調製する。試料を約20秒間ボルテックスにかけ、約5〜10秒間遠心分離する。試料を96本用バイアルラックに入れ、95℃の乾燥器内で6時間インキュベートする。加水分解後、試料を-20℃に10分間おいて冷却する。加水分解した試料を、凝縮物があればチューブの底に沈澱させるまで短時間(高速で5〜10秒間)遠心分離する。試料をSpeedVacで蒸発させて乾燥する。各試料をHPLC等級の水(100μL)で再構成し、10〜15秒間ボルテックスにかける。試料をSpeedVacで蒸発させて乾燥する。
誘導体化。マイクロ遠心機を乾燥器に入れて、55℃の乾燥器温度に平衡化する。各試料を誘導体化溶液I(0.1M APTS溶液)(10μL)で再構成する。約5〜10秒間ボルテックスにかける。誘導体化溶液II(1M HAcおよび0.25M NaBH3CN)(5μL)を加える。約5〜10秒間ボルテックスにかけ、遠心分離する。試料バイアルを予熱した遠心機に素早くロードし、遠心機を55℃の乾燥器に戻す。2000rpmで遠心分離しながら3時間インキュベートする。これはバイアル表面上への溶媒の凝縮を防ぐ。
機器の準備:新しいキャピラリーを設置し、高圧モード(80 PSI)で下記の段階を用いて洗浄する:
1N NaOHで20分間
HPLC等級の水で10分間
60mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液で10分間
キャピラリーを洗浄するための洗浄/すすぎシーケンスを行う。次いで、システム適合性標準(単糖標準)を泳動して、システムが適合していることを確認する。1N NaOHを用いることで異なる供給業者からのキャピラリーの内部が腐蝕し、泳動中の移動時間のずれが生じることがある。これにより最後のピーク(ガラクトース)の移動時間が15.0分を越えることになる場合、段階2の洗浄の1N NaOHを0.1N NaOHまたはHPLC等級の水に代える必要があると考えられる。等価のキャピラリーを用い、前述の洗浄法が十分でない場合、最後のピーク(ガラクトース)が15.0分の模範的値の範囲内となるために80%メタノールおよび/または1N HClの使用が必要になることもある。
注入の準備:誘導体化の後、試料を室温まで冷却する。凝縮物をチューブの底に沈澱させるまで、室温で約10秒間遠心分離する。HPLC等級の水(85μL)を各チューブに加え、各試料の最終量を100μLとする。5〜10秒間ボルテックスにかける。試料10μLを各チューブからCEマイクロバイアルに移し、HPLC等級の水190μLを各チューブに加える。5〜10秒間ボルテックスにかける。
*注:シーケンスを3つの試料まで重複で繰り返し、単糖標準の各調製の2回の注入でブラケッティングする。3試料の群に入れた試料について8つのシステム適合性標準注入をすべて用いる。3試料よりも多く泳動する場合、追加の試料をライン19から始めて前述のシーケンスで示したとおり泳動する。
**試料をCTLA4-Ig基準物質の各調製の2回の注入でブラケッティングする。
システム適合性。最初のシステム適合性の電気泳動図は、ピーク1がマンノースであり;ピーク2がキシロースであり;ピーク3がフコースであり;ピーク4がガラクトースである場合と類似であるべきである。注:Beckman PACE MDQ以外のCE装置を用いる場合、分離キャピラリーを支持しているカートリッジの形状が多様であるため、キャピラリーの長さがこの方法で明記したものと異なることがある。これにより分析物の移動時間、ならびにピーク強度が変動することになる。
2つの隣接ピークの分解能を、その装置による最初のシステム適合性標準について、下記の式を用いて計算する:
式中:
R = 分解能
t
2、t
1 = 2つの隣接ピークそれぞれの移動時間
W
1、W
2 = 2つの隣接ピークそれぞれのベースラインでのピーク幅
R値は≧1.0でなければならない。R<1.0であれば、キャピラリーを洗浄/すすぎシーケンスで洗浄し;問題が続く場合には、古い緩衝液を新しく調製した泳動緩衝液と交換するか、またはキャピラリーを交換する。
最後のシステム適合性注入について、最後のピーク(ガラクトース)は下記の式を用いてテーリング係数<1.4でなければならない:
T=W0.05/2f
式中:
T = テーリング係数
W0.05 = 高さの5%でのピーク幅
f = ピーク最高点でのピーク前部の幅
T≧1.4であれば、キャピラリーを洗浄/すすぎシーケンスで洗浄し;問題が続く場合には、古い緩衝液を新しく調製した泳動緩衝液と交換するか、またはキャピラリーを交換する。
最初の4つのシステム適合性標準の重複注入は下記の模範的値に適合しなければならない:
・ ガラクトース対キシロースのピーク面積比:RSD≦10%
・ ガラクトースの移動時間は≦15.0分である必要がある。
・ プロファイルは図1と等価であるべきで、ここで4つのピークが観察され、内部標準(キシロース)は2番のピークである。
前述の模範的値のいずれかが適合しない場合、まずガラクトースの移動時間が15.0分よりも長ければ電圧を上げる。次に、ピーク面積比が>10%であれば、新しいCE緩衝液を調製して、そのpHを確認するか、またはキャピラリーを交換する。
装置の調節後、システム適合性注入を繰り返す。ピークプロファイルを分析している場合、キシロースのピーク高に著しい低下が見られれば、LIFモジュールへの光ファイバーケーブルの調整不良がないかを確認する。内部標準と単糖標準成分のピーク面積比を比較することにより、単糖標準RSDパーセントをもとめる。各単糖標準注入について、各単糖成分のピーク面積を内部標準のピーク面積で除する。2つのブラケッティング標準について、マンノース、フコース、およびガラクトースのRSDパーセントを計算する。RSDは≦10%であるべきである。この平均模範的値に適合しない場合、キャピラリーを前述のとおり洗浄または交換すべきである。試料およびブラケッティング単糖標準を繰り返す必要がある。
計算。Man、Fuc、およびGalの内部標準(キシロース)に対するピーク面積比を計算する。模範的値に適合するように、最初の4回のシステム適合性標準の重複注入に対して用い、試料の前後に注入するブラケッティングしたシステム適合性標準すべてに対して同じ計算を行う。ピーク面積比 = 各システム適合性標準注入について、各単糖成分(Man、Fuc、およびGal)のピーク面積を内部標準(キシロース)のピーク面積で除する。
システム適合性標準中のMan、Fuc、およびGalのピーク面積比の平均を計算する。同様に標準偏差(S.D.)および相対標準偏差パーセント(%RSD)も計算する。模範的値:ガラクトースのピーク面積比のRSD≦10%。試料の前後に注入する、2つのブラケッティングしたシステム適合性標準:
Man、Fuc、およびGalのピーク面積比のRSDパーセント≦10%。
この平均模範的値が適合していない(RSD>10%)場合、キャピラリーを洗浄法により再洗浄する必要があり、これらの試料およびブラケッティングした単糖標準を再度泳動する必要がある。平均模範的値がまだ適合していない場合、キャピラリーを交換し、洗浄する。試料およびブラケッティングした単糖標準を再度泳動する。
式中:
n = 試料における測定数
x = 個々の測定値
マンノース/タンパク質のモル比を計算する:
式中:
R
Man = マンノース(Man)対タンパク質のモル比
A
Man = 試料中のManのピーク面積(μV・sec)
A
Xyl = 試料中のキシロース(Xyl)のピーク面積(μV・sec)
A
Xyl0 = 単糖標準中のXylのピーク面積(μV・sec)平均
A
Man0 = 単糖標準中のManのピーク面積(μV・sec)平均
V
Man0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるManの量(μL)
C
Man0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるManの濃度(mg/mL)
Vp = 加水分解に用いたタンパク質試料の量(μL)
Cp = 加水分解に用いたタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig = 分析証明書(COA)によるCTLA4-Ig基準物質の分子量
MW
Man = マンノースの分子量(180.2ダルトン)
標準ブラケッティング。CTLA4-Ig基準物質および試料のモル比を計算する場合、ブラケッティングしたシステム適合性標準の8つすべてを用いる。この式に含むためにピーク面積を平均する。これを最初の3つの試料に用いることになる。すべての他の試料に対しては、モル比計算のために次の4つのブラケッティングした単糖標準および前の4つのブラケッティングした単糖標準の平均ピーク面積を常に用いる。
フコース/タンパク質のモル比を計算する:
式中:
R
Fuc = フコース(Fuc)対タンパク質のモル比
A
Fuc = 試料中のFucのピーク面積(μV・sec)
A
Xyl = 試料中のキシロース(Xyl)のピーク面積(μV・sec)
A
Xyl0 = 単糖標準中のXylのピーク面積(μV・sec)平均
A
Fuc0 = 単糖標準中のFucのピーク面積(μV・sec)平均
V
Fuc0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるFucの量(μL)
C
Fuc0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるFucの濃度(mg/mL)
Vp = 加水分解に用いたタンパク質試料の量(μL)
Cp = 加水分解に用いたタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig = 分析証明書(COA)によるCTLA4-Ig基準物質の分子量
MW
Fuc = フコースの分子量(164.2ダルトン)
ガラクトース/タンパク質のモル比を計算する:
式中:
R
Gal = ガラクトース(Gal)対タンパク質のモル比
A
Gal = 試料中のGalのピーク面積(μV・sec)
A
Xyl = 試料中のキシロース(Xyl)のピーク面積(μV・sec)
A
Xyl0 = 単糖標準中のXylのピーク面積(μV・sec)平均
V
Gal0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるGalの量(μL)
C
Gal0 = 加水分解に用いた単糖希釈標準溶液中に含まれるGalの濃度(mg/mL)
Vp = 加水分解に用いたタンパク質試料の量(μL)
Cp = 加水分解に用いたタンパク質試料の濃度(mg/mL)
MW
CTLA4-Ig = 分析証明書(COA)によるCTLA4-Ig基準物質の分子量
MW
Gal = Galの分子量(180.2ダルトン)
注:CTLA4-Ig基準物質および試料のモル比を計算する場合、最後のシステム適合性標準および次のブラケッティングしたシステム適合性標準調製を用いる。この式に含むためにピーク面積を平均する。これを最初の6つの試料に用いることになる。すべての他の試料に対しては、モル比計算のために2つのブラケッティングした単糖標準の平均ピーク面積を常に用いる。
模範的値。2つのブラケッティングした中性システム適合性標準ピーク面積比のRSDパーセントは10%を越えない。基準物質中の中性単糖の平均モル比は下記の表に規定する範囲内でありうる。各成分について、4つの結果(重複調製の重複注入)の%RSDは</=25%でなければならない。
CTLA4-Ig基準物質のモル比の範囲
結果報告。CTLA4-Ig分子1個あたりのマンノース分子の数、CTLA4-Ig分子1個あたりのフコース分子の数、およびCTLA4-Ig分子1個あたりのガラクトース分子の数として平均結果を報告する。モル比の結果を2桁の有効数字で報告する。各成分について、4つの結果(重複調製の重複注入)の%RSDは</=25%でなければならない。
実施例65−CTLA4-Ig酸化および脱アミドのトリプシンマッピング定量
この方法の目的は、手動トリプシンペプチドマッピング法をメチオニン酸化およびアスパラギン脱アミドの特定の検出および定量と共に用いて、CTLA4-Igのロット間の一貫性をモニターすることである。ペプチドマッピングは、明確なペプチド断片群を生成するためのタンパク質分解または他のタンパク質の断片化を含み、次いでこれらの断片を通常はHPLCにより分析する。クロマトグラムまたはペプチドマップはタンパク質の化学構造における非常に小さい変化にさえ感受性で、したがって翻訳後修飾を検出および特徴づけするために有用である。CTLA4-Igタンパク質試料を8Mグアニジン-HCl緩衝液中で変性し、シスチンジスルフィド架橋をジチオスレイトールで還元し、ヨードアセトアミドでS-アルキル化した後、タンパク質分解酵素、トリプシンで消化する。次いで、得られたトリプシンペプチドの混合物を逆相高性能液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)により、215および280nmのUV検出で分析する。いくつかの略語を以下に記載する:
化学物質および試薬
移動相A−HPLC等級の水中の0.1%TFA
TFAの1mLアンプルの全内容をHPLC等級の水(1000mL)に移し、十分に混合して0.1%TFA(移動相A)を調製する。0.1%TFAは室温で2ヶ月まで保存しうる。
移動相B−80%ACNおよび20%HPLC等級の水中の0.1%TFA
TFAの1mLアンプルの全内容をアセトニトリル(800mL)およびHPLC等級の水(200mL)に移し、十分に混合して80%ACN中の0.1%TFA(移動相B)を調製し、これは室温で2ヶ月まで保存しうる。
希釈緩衝液−100mMトリス、25mM NaCl、pH7.6
Trizma Pre-Set Crystal pH7.6(14.0g)およびNaCl(1.46g)をHPLC等級の水(1000mL)に、溶液を磁気撹拌プレート上で撹拌することにより溶解する。溶液を0.2μmフィルター装置を通してろ過する。溶液を2から8℃で2ヶ月まで保存する。
変性緩衝液−8Mグアニジン、50mMトリス、pH8.0
塩酸グアニジン(152.8g)およびTrizma Pre-Set Crystal pH8(1.4g)をHPLC等級の水(90mL)に、溶液を磁気撹拌プレート上で撹拌することにより溶解する。HClまたはNaOHのいずれかでpHを8.0に調節し、HPLC等級の水で最終量200mLとする。溶液を0.2μmフィルターを通してろ過する。溶液を室温で6ヶ月まで保存する。
消化緩衝液−50mMトリス、10mM CaCl2、pH7.6
Trizma Pre-Set Crystal pH7.6(7.0g)およびCaCl2(1.47g)をHPLC等級の水(1000mL)に、溶液を磁気撹拌プレート上で撹拌することにより溶解する。溶液を0.2μmフィルターを通してろ過する。溶液を2から8℃で2ヶ月まで保存する。
還元剤−200mMジチオスレイトール(DTT)
DTT(30.8±0.2mg)に水(1000μL)を使用直前に加え、溶解するまでボルテックスにかける。溶液は調製時から24時間有効である。
アルキル化試薬−400mMヨードアセトアミド(IAM)
ヨードアセトアミド(74.0±0.5mg)に水(1000μL)を使用直前に加え、溶解するまでボルテックスにかける。溶液は調製時から24時間有効である。
1.0M HCl
濃塩酸(8.7mL)をHPLC等級の水で100mLに希釈する。溶液を室温で2ヶ月まで保存する。
標準およびコントロール
T6oxペプチド標準、30μM
T6oxトリプシンペプチド合成標準はAla-Met(O)-Asp-Thr-Gly-Leu-Tyr-Ile-Cys-Lys・2TFA、FW 1358.4、純度約95重量%である。固体を-20℃できつく密封して保存し、水分の吸収を防ぐために常にデシケーター内で常温に戻す。T6ox(1.0±0.1mg)を秤量し、正確な重量を記録し、消化緩衝液(1.50mL)に溶解する。200mM DTT(40μL)を加え、37℃で20分間置く。室温に冷却し、400mMヨードアセトアミド(48μL)を加え、室温の暗所で30分間アルキル化する。消化緩衝液で最終量24.5mLに希釈し、30±3μM標準溶液を得る。30μM T6ox標準を1mLに分注し、-70℃で24ヶ月まで保存する。
T26deam1ペプチド標準、30μM
T26deam1トリプシンペプチド合成標準はGly-Phe-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ile-Ala-Val-Glu-Trp-Glu-Ser-isoAsp-Gly-Gln-Pro-Glu-Asn-Asn-Tyr-Lys・2TFA、FW 2773.7、純度約85重量%である。固体を-20℃できつく密封して保存し、水分の吸収を防ぐために常にデシケーター内で常温に戻す。T26deam1(1.0±0.1mg)を秤量し、正確な重量を記録し、消化緩衝液中30% v:vアセトニトリル(1mL)に溶解する。最終量10.7mLに希釈し、30±3μM標準溶液を得る。30μM T26deam1標準を1mLに分注し、-70℃で24ヶ月まで保存する。
標準および試料の調製
還元およびアルキル化
ペプチドマッピングのためのタンパク質濃度範囲は約20mg/mLである。タンパク質濃度が>20mg/mLであれば、試料を希釈緩衝液で最終濃度約20mg/mLに希釈する。少なくとも100μLの希釈溶液を調製する。1.7mL遠心管中、20mg/mLCTLA4-Ig溶液(試料または基準物質)(100μL、2mg)を変性緩衝液(550μL)に加える。200mM還元試薬(35μL)を加え、チューブを3〜5秒間ボルテックスにかけ、次いで約3秒間遠心分離する。チューブを37℃で20±2分間インキュベートする。400mMアルキル化試薬(38.5μL)を各チューブに加え、3〜5秒間ボルテックスにかけ、次いで約3秒間遠心分離する。試料を室温、暗所で20±2分間インキュベートする。NAP-5カラムをスタンドに設置する。試料毎に1つのカラムを用いる。試料をIAM中でインキュベートしながら、NAP-5カラムを消化緩衝液(7.5mL)で平衡化する。流出液を施設の手順により廃棄する。還元し、アルキル化した混合物(500μL)をNAP-5カラムに加え、液体をカラムを通して排液させる。流出液を施設の手順により廃棄する。消化緩衝液(1.0mL)をNAP-5カラムに加え、流出液を1.7mL遠心管に回収し、回収した流出液をゆっくり混合する。
消化。消化する試料または基準物質1mLにつき1つのトリプシンバイアル(20μg)、および1つの追加のトリプシンバイアルを、それぞれ86μLのトリプシン緩衝液(酵素と共に供給される)で再構成し、0.25μg/μLとする。トリプシンバイアルの内容を一緒に1つのバイアルにプールする。各試料を試料1mLにつき前述のプールしたトリプシン溶液80μLで、37℃で120±12分間消化する。消化完了後、試料を試料1mLにつき1.0M HCl 40μLで酸性化し、3〜5秒間ボルテックスにかける。試料の消化物および基準物質それぞれ100μLをピペットでオートサンプラーバイアルに加える。30μM T6oxペプチド標準5μLおよび30μM T26deam1ペプチド標準5μLと混合した基準物質消化物95μLを含む追加のシステム適合性コントロールを調製し、5%T6oxおよび5%T26deam1をスパイクした消化物を得る。すべてのバイアルをHPLC分析のために5±5℃のオートサンプラーに入れる。残りの消化試料はすべて-70℃で保存する。
クロマトグラフィ条件
以下の表は流速およびクロマトグラフィ勾配を示す。
最初の注入前に、カラムを100%移動相Aにより55℃で少なくとも25分間平衡化する。215nmおよび280nmでUV吸収をモニターする。カラムから検出器への配管は、拡散によるバンド広幅化を最小限にするために、≦0.01''の内径を有するべきである。カラム温度を55±2℃に維持する。オートサンプラー温度を5±5℃に維持する。移動相Aをブランク注入として用いる。試料(一度に10以下)を基準物質注入でブラケッティングする。以下の表はクロマトグラフィ分析のための注入シーケンスを示す。注入量はすべて25μLで、例外として5%T6oxおよび5%T26deam1ペプチド標準をスパイクした基準物質からなるコントロール試料は28μLを注入することに留意されたい:
模範的値
模範的値。基準物質のペプチドマッププロファイルは、215nmおよび280nm追跡の顕著なピークの数、相対サイズおよび溶出順序に関して、図1に示すクロマトグラムと目視により同等でなければならない。初期およびブラケッティング基準物質におけるピークT4、T25、およびT27の保持時間の差は±0.5分を越えるべきではない。理論段数(N)は≧100,000でなければならない。N<100,000であれば、カラムを再平衡化する。問題が続く場合にはカラムを交換する。T2およびT12ピークの分解能(R)は≧1.5でなければならない。R<1.5であれば、カラムを再平衡化する。問題が続く場合にはカラムを交換する。5%T6oxおよびT6deam1をスパイクした参照標準の280nmクロマトグラムは、図85に示すとおり、約33.0分に溶出するT6oxピークの増大を示さなければならない。5%T6oxおよびT6deam1をスパイクした参照標準の215nmクロマトグラムは、図87に示すとおり、約66.5分に溶出するT26deam1ピークの増大を示さなければならない。
試料模範的値。最初の基準物質注入および試料のクロマトグラムは、別に報告するT6oxおよびT26deamの酸化および/または脱アミドピークを除いて、図85のラベルしたピークについて示すとおり、215nmおよび280nm追跡の顕著なピークの数、相対サイズおよび溶出順序に関して目視により等価でなければならない。試料におけるピークT4、T25、およびT27の保持時間は、最初の基準物質注入の対応するピーク保持時間の±0.5分以内でなければならない。
計算。注:特に記載がないかぎり、これらの計算には215nmのデータを用いる。ブラケッティング基準物質泳動におけるピークT4、T25、およびT27(図85)の保持時間の差は0.5分を越えるべきではない(図85)。
理論段数。理論段数(N)として評価するカラムの効率を、基準物質泳動からのピークT27の保持時間および幅を用い、下記の式によって計算する:
式中:
w = 比較的直線の側部をベースラインに外挿することにより測定した、ベースラインでのピーク幅
t = 注入時からピーク最高点の溶出時までで測定した、ピークT27の保持時間
分解能。ピークT12およびピークT2(図85)の間の分解能(R)を下記の式を用いて計算する:
式中:
t
1、t
2 = それぞれピークT12およびピークT2の保持時間
w
1、w
2 = それぞれ保持時間t
1およびt
2のピークのベースラインでの接線により規定したピーク幅
すべての試料および標準について、下記のとおり280nmピーク面積データからのMet85の酸化パーセントを計算する:
酸化パーセント = 100 * AT6ox/ (AT6ox + AT6)
式中:
AT6 = 280nm追跡におけるT6、(84-93)のピーク面積
AT6ox = 280nm追跡におけるT6ox、Met(O)85(84-93)のピーク面積
すべての試料および標準について、図87に示すデータのとおり215nmピーク面積についてAsn294の脱アミドパーセントを計算する:
式中:
A
T26 = 215nm追跡におけるT26、(281-302)のピーク面積
A
T26deam1 = 215nm追跡におけるT26deam1、isoAsp
294(281-302)のピーク面積
A
T26deam2 = 215nm追跡におけるT26deam2、Asp
299(281-302)のピーク面積
A
T26deam3 = 215nm追跡におけるT26deam3、Asp
294(281-302)のピーク面積
A
T26deam4 = 215nm追跡におけるT26deam4、Asu
294(281-302)のピーク面積
* N-連結炭水化物を含む。
** O-連結炭水化物を含む。
実施例66−健常ヒト1回投与試験
1施設無作為1回投与試験を用いて、健常被験者におけるCTLA4-Ig(CD-CHO1により産生)プロセスの薬物動態を評価した。登録および除外の模範的値を満たした13名の被験者が臨床試験病棟に来院し、プロセスCD-CHO1により産生されたCTLA4-Igを30分かけての10mg/kgの1回静脈内注入で投与した。各被験者を臨床試験病棟で注入後24時間観察した。CTLA4-Igの定量のために、血液試料を投与後の指定の時間に71日間採取した。被験者を薬物動態について評価した:各被験者のCmax、Tmax、AUC (INF)、T-HALF、CLT、およびVssを時間に対する血清濃度データから誘導した。CTLA4-Igは200mg/バイアル製剤で供給を受けた。健常被験者に10mg/kg CTLA4-Igの30分間のIV注入を行った。PK、安全性、および免疫原性評価を投与後71日間、指定の時点で行った。
統計法:
サンプルサイズ:被験者13名のサンプルサイズは90%の信頼度を提供し、CTLA4-Igの幾何平均の比の推定値はCmaxの真の値の15%以内、およびAUC(INF)の真の値の10%以内であると思われる。統計解析:被験者の人口統計学、身体検査、検査データ、および生命徴候をまとめた。有害事象の発生率を、身体系および重症度により表にまとめた。CTLA4-IgのCmaxおよびAUC(INF)、プロセスCD-CHO1の人口幾何平均の比についての90%信頼区間を、log(Cmax)およびlog(AUC)の分散分析の結果から計算する。
薬物動態結果:薬物動態の結果を、有効性確認された非区画分析プログラムを用いて評価した。薬物動態パラメーターをプロセスCD-CHO1 CTLA4-Igを投与した13名の被験者から得た。以下の表は健常被験者におけるCTLA4-Igの薬物動態パラメーターを示す。下表はCTLA4-Ig薬物動態パラメーターの統計学概要を示す。
CTLA4-Igは健常被験者において約17日の平均T-HALF値を有し、乾癬被験者(10〜18日)および関節リウマチ患者(約13日)で得られた半減期と一致している。観察された0.09から0.10L/kgの平均Vssは、CTLA4-Igが主に血管系に限局され、血管外スペースにあまり分布していないことを示していた。
以下の表は被験者毎の血清濃度(ng/ml)を示す。
CTLA4-Igの血清アッセイ
血清試料を酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により合計25の分析でCTLA4-Igについて分析した。すべての分析結果は試料分析前に確立した模範的値に適合しており、ELISA法が試験試料中のCTLA4-Ig定量のために精度が高く正確であることを示していた。血清中のCTLA4-Igの標準曲線パラメーターおよび平均QCデータを表48に示す。CTLA4-Igの分析QCの分析間および分析内変動はそれぞれ4.5%および3.5%であった。分析QCの平均観察濃度の偏差は公称値から±8.9%未満であった(表48)。
表48:ヒト血清中CTLA4-Igのアッセイの品質コントロールデータの概要
CTLA4-Igの薬物動態
すべての被験者のプロセスによるCTLA4-Ig血清濃度の平均および標準偏差を以下の表に示す。71日間の時間プロファイルに対する平均CTLA4-Ig血清濃度を図44に示す。
薬物動態パラメーター(Cmax、AUC (INF)、CLT、Vss、Tmax、およびT-HALF)の統計学概要を表50に示す。結果は、本発明のプロセスから生じたCTLA4-Igは約17日(7〜25日の範囲)の平均T-HALF値を有することを示していた。観察された0.09から0.10L/kgの平均Vssは、CTLA4-Igが主に細胞外液量に限局されることを示していた。
表50:本発明のプロセスから生じたCTLA4-Igの薬物動態パラメーターの統計学概要
結果は、本発明のプロセスから生じたCTLA4-Igの平均T-HALFは約17日であることを示していた。クリアランスおよび分布量の値も表50に示す。
健常成人被験者に1回の10mg/kg静脈内注入後、およびRA患者に複数回の10mg/kg静脈内注入後のCTLA4-Igの薬物動態を表47に示す。
表47:10mg/kg静脈内注入後の健常被験者およびRA患者における薬物動態パラメータ(平均、範囲)
*複数回静脈内注入を第1、15、30日と、その後付き1回投与した。
実施例67−プラスミドpcSDhuCTLA4IgのDNA配列
上記の実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、21、28、29、30、31、32、33、34、42、44、45、46、47、48、49、50、51、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67は、特に配列番号:1、2、5、6、7、8、9、10または18を有するCTLA4−Igタンパク質に関連し、上記の実施例19、20、22、23、24、25、26、27、35、36、37、38、39、40、41、52、53、54、55、56、57は、特に配列番号:4、11、12、13、14、15または16を有するCTLA4−Igタンパク質に関連する。本明細書に記載されているように、実施例におけるこれらのタンパク質に関する方法およびその使用は、本発明の他のCTLA4−Igタンパク質に関する方法およびその使用の例証となる。
これらに限らないが、本発明のCTLA4−Ig分子を含む例示的な組成物には、以下のような組成物が含まれる:
(1)CTLA4−Ig分子は、配列番号:2、5、6、7、8、9、10または18のいずれか一つまたはそれ以上を含み、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出(実施例10に示される測定方法)で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率約5.0未満またはそれと等しいCTLA4−Ig高分子量種(またはCTLA4−Igテトラマー)である。とりわけ、本発明は、以下の特徴の一つまたはそれ以上をさらに有するような組成物を提供する:
以下の量を超えない:最大量のエンドトキシン量0.35EU/mg(CTLA4−Ig分子)または76.8EU/mL(この量ではエンドトキシンを不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例48に示されており;
以下の量を超えない:最大バイオバーデン量1CFU/10mLまたは1CFU/mL(この量ではバイオバーデンを不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例49に示されているが;
但し(CTLA4−Ig分子のように、または前記組成物のように)、
(a)約4.3から約5.6のpI範囲を有する約10から22個のバンド、約4.3から約5.3のpI範囲で90%〜110%の累積バンド強度(cumulative bands intensity)、および約4.5から約5.2のpI範囲で約3個の主要なバンド、あるいは
(b)5.1未満またはそれと等しいpIを有する主な(dominant)CTLA4−Igアイソフォームであり、並びに
少なくとも90%のCTLA4−Ig分子は、約5.3未満またはそれと等しいpIを示し;この特徴の測定方法は、実施例50に示されており;
面積百分率3.5未満またはそれと等しいCTLA4−Ig分子は、その酸化種(oxidized species)であり、面積百分率2.5未満またはそれと等しいCTLA4−Ig分子は、その脱アミド化種(deamidated species)であり;これらの特徴の測定方法は、実施例47に示されており;
サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率95.0超またはそれと等しいCTLA4−Igダイマーであり;この特徴の測定方法は、実施例10に示されており;
サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率5.0未満のCTLA4−Ig高分子量種(またはCTLA4−Igテトラマー)であり;この特徴の測定方法は、実施例10に示されており;
サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率0.5未満またはそれと等しい低分子量種(またはCTLA4−Igモノマー)であり、あるいはサイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出で決定されるように、面積百分率0.5未満の低分子量種(またはCTLA4−Igモノマー)であり;この特徴の測定方法は、実施例10に示されており;
以下の量を超えない:最大量のDNA量2.5ピコグラム/mg(CTLA4−Ig分子)または2.5ピコグラム/mg(CTLA4−Igダイマー)(この量ではDNAを不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例58に示されており;
以下の量を超えない:最大量のMCP−1量3.0ng/mg(全CTLA4−Ig分子)、5ppm、または5ng/mg(CTLA4−Igダイマー)(この量ではMCP−1を不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例59に示されており;
以下の量を超えない:最大量の宿主細胞タンパク質(細胞タンパク質としても公知)量25ng/mg(CTLA4−Ig分子)または50ng/mg(CTLA4−Igダイマー)(この量では宿主細胞タンパク質または細胞タンパク質を不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例60に示されており;
以下の量を超えない:最大量のトリトンX−100量1.0ng/mg(CTLA4−Ig分子)(この量ではトリトン−Xを不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例61に示されており;
以下の量を超えない:最大量のタンパク質A量5.0ng/mg(CTLA4−Ig分子)(この量ではタンパク質Aを不存在にできる);この特徴の測定方法は、実施例62に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約15から約35の、GlcNAc対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例63に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約1.7から約3.6の、GalNAc対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例63に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約8.0から約17の、ガラクトース対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例64に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約3.5から約8.3の、フコース対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例64に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約7.7から約22の、マンノース対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例64に示されており;
CTLA4−Ig分子は、8.0超またはそれと等しい、例えば約8.0から約12.0の、シアル酸対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例16に示されており;
CTLA4−Ig分子は、8.0超またはそれと等しい、例えば約8.0から約12.0の、NANA対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例16に示されており;
CTLA4−Ig分子は、ドメインIが約24.5%から約35.2%の面積百分率を示し、またはドメインIIが約26.3%から約34.1%の面積百分率を示し、またはドメインIIIが約21.9%から約31.5%の面積百分率を示し、またはドメインIVおよびドメインVが約7.9%から約18.6%の面積百分率を示すようなN結合型グリコシル化を有しており;この特徴の測定方法は、実施例44に示されており;
CTLA4−Ig分子は、1.5超またはそれと等しい、NGNA対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例16に示されている。
本発明は、単離されるか、または実質的に精製されたような組成物を提供する。本発明は、医薬組成物または医薬的に許容される組成物のような組成物を提供する。本発明は、これらの特徴のいずれの順列または組合せも有する組成物を提供する。
本発明は、単離されるか、または実質的に精製されたような組成物を提供する。本発明は、医薬組成物または医薬的に許容される組成物のような組成物を提供する。本発明は、これらの特徴のいずれの順列または組合せも有する組成物を提供する:
(2)CTLA4−Ig分子は、配列番号:4、11、12、13、14、15、16または24のいずれか一つまたはそれ以上(例えばCTLA4A29YL104E−Ig)を含み、サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出(実施例25に示される測定方法)で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率5.0未満またはそれと等しいCTLA4−Ig高分子量種(またはCTLA4−Igテトラマー)である。とりわけ、本発明は、以下の特徴の一つまたはそれ以上をさらに有するような組成物を提供する:
サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率95.0超またはそれと等しいCTLA4−Igダイマーであり;この特徴の測定方法は、実施例25に示されており;
サイズ排除クロマトグラフィーおよび分光光度検出で決定されるように、CTLA4−Ig分子は、面積百分率1.0未満またはそれと等しいCTLA4−Ig低分子量種(またはCTLA4−Igモノマー)であり;この特徴の測定方法は、実施例25に示されており;
但し(CTLA4−Ig分子のように、または前記組成物のように)、約4.5から約5.6のpI範囲を有する約8〜15個のバンド、および約4.5から約5.6のpI範囲で95%〜105%の累積バンド強度であり;この特徴の測定方法は、実施例22に示されており;
以下の量を超えない:最大量のDNA量約2.5pg/mg(CTLA4−Ig分子);この特徴の測定方法は、実施例55に示されており;
以下の量を超えない:最大量のタンパク質A量5ng/mg(CTLA4−Ig分子);この特徴の測定方法は、実施例53に示されており;
以下の量を超えない:最大量のMCP−1量5ng/mg(CTLA4−Ig分子);この特徴の測定方法は、実施例54に示されており;
以下の量を超えない:最大量の宿主細胞タンパク質(細胞タンパク質としても公知)量50ng/mg(CTLA4−Ig分子);この特徴の測定方法は、実施例52に示されており;
以下の量を超えない:最大量のエンドトキシン量0.42EU/mg(CTLA4−Ig分子);この特徴の測定方法は、実施例48に示されており;
以下の量を超えない:最大バイオバーデン量1CFU/mL;この特徴の測定方法は、実施例49に示されており;
以下の量を超えない:最大量のトリトンX−100量2ppm;この特徴の測定方法は、実施例57に示されており;
CTLA4−Ig分子は、5.0超またはそれと等しい、例えば約5.0から約9.0または約5.0から約10.0の、シアル酸対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例39に示されており;
CTLA4−Ig分子は、5.0超またはそれと等しい、例えば約5.0から約9.0または約5.0から約10.0の、NANA対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例39に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約0.8から約4.0の、GalNAc対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例36に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約14から約35の、GlcNAc対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例36に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約8.0から約14の、ガラクトース対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例35に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約1.7から約9.3の、フコース対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例35に示されており;
CTLA4−Ig分子は、約9から約18の、マンノース対CTLA4−Ig分子(またはCTLA4−Igダイマー)の平均モル比(モル/モル タンパク質として表される)を有しており;この特徴の測定方法は、実施例35に示されており;
本発明は、単離されるか、または実質的に精製されたような組成物を提供する。本発明は、これらの特徴のいずれの順列または組合せも有するタンパク質および組成物を提供する。
上記の実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、21、28、29、30、31、32、33、34、42、44、45、46、47、48、49、50、51、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67は、特に上記の(1)のCTLA4−Igタンパク質に関連するが、本明細書に記載されているように、これらの実施例におけるこのようなタンパク質に関する方法およびその使用は、本発明の他のCTLA4−Igタンパク質に関する方法およびその使用の例証となる。
上記の実施例19、20、22、23、24、25、26、27、35、36、37、38、39、40、41、52、53、54、55、56、57は、特に上記の(2)のCTLA4−Igタンパク質に関連するが、本明細書に記載されているように、これらの実施例におけるこのようなタンパク質に関する方法およびその使用は、本発明の他のCTLA4−Igタンパク質に関する方法およびその使用の例証となる。
図1A〜1Bは、CTLA4−Ig分子についての発現カセットの一部のヌクレオチド配列(配列番号:1)を表す。また核酸によってコードされるアミノ酸配列(配列番号:2)も示す。この発現カセットから産生しうるCTLA4−Ig分子には、残基のアミノ酸配列: (i)配列番号:2の26〜383、 (ii)配列番号:2の26〜382、 (iii)配列番号:2の27〜383、 (iv)配列番号:2の26〜382、 (v)配列番号:2の25〜382、および (vi)配列番号:2の25〜383を有する分子が含まれる。発現カセットには、以下の領域: (a)オンコスタチンMシグナル配列(配列番号:1のヌクレオチド11〜88;配列番号:2のアミノ酸1〜26); (b)ヒトCTLA4の細胞外ドメイン(配列番号:1のヌクレオチド89〜463;配列番号:2のアミノ酸27〜151); (c)ヒトIgG1定常部の改変部位(配列番号:1のヌクレオチド464〜1159;配列番号:2のアミノ酸152〜383)、例えば、改変ヒンジ領域(配列番号:1のヌクレオチド464〜508;配列番号:2のアミノ酸152〜166)、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン(配列番号:1のヌクレオチド509〜838;配列番号:2のアミノ酸167〜276)、およびヒトIgG1 CH3ドメイン(配列番号:1のヌクレオチド839〜1159;配列番号:2のアミノ酸277〜383)が含まれる。
図1A〜1Bは、CTLA4−Ig分子についての発現カセットの一部のヌクレオチド配列(配列番号:1)を表す。また核酸によってコードされるアミノ酸配列(配列番号:2)も示す。この発現カセットから産生しうるCTLA4−Ig分子には、残基のアミノ酸配列: (i)配列番号:2の26〜383、 (ii)配列番号:2の26〜382、 (iii)配列番号:2の27〜383、 (iv)配列番号:2の26〜382、 (v)配列番号:2の25〜382、および (vi)配列番号:2の25〜383を有する分子が含まれる。発現カセットには、以下の領域: (a)オンコスタチンMシグナル配列(配列番号:1のヌクレオチド11〜88;配列番号:2のアミノ酸1〜26); (b)ヒトCTLA4の細胞外ドメイン(配列番号:1のヌクレオチド89〜463;配列番号:2のアミノ酸27〜151); (c)ヒトIgG1定常部の改変部位(配列番号:1のヌクレオチド464〜1159;配列番号:2のアミノ酸152〜383)、例えば、改変ヒンジ領域(配列番号:1のヌクレオチド464〜508;配列番号:2のアミノ酸152〜166)、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン(配列番号:1のヌクレオチド509〜838;配列番号:2のアミノ酸167〜276)、およびヒトIgG1 CH3ドメイン(配列番号:1のヌクレオチド839〜1159;配列番号:2のアミノ酸277〜383)が含まれる。
図2は、CTLA4A29YL104E−Igに対応する核酸(上列)およびアミノ酸(下列)配列を表す。アミノ酸配列には、図1に示される配列からのアミノ酸変化が含まれ、その中で、配列番号:2のものと比較して、29位(AからY)および104位(LからE)で変化しており、アミノ酸残基の番号付けは「+1」で印を付けたメチオニン(M)から始まる。CTLA4A29YL104E−Igのヌクレオチド配列は、79位(すなわち、Mの下の「+1」で印を付けた位置)のAから始まり、ヌクレオチド1149位のAまでこの図に示される(配列番号:3)。特に、CTLA4A29YL104E−Igをコードするヌクレオチド配列は79位のヌクレオチドから1149位のヌクレオチドまでであり、配列番号:3と呼ばれる。図2に示される全ヌクレオチド配列は配列番号:23と呼ばれ、オンコスタチンMシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む。
図3は、オンコスタチンMプロ配列(ボールド体のイタリック体を参照)を含むCTLA4A29YL104E−Ig分子のアミノ酸配列(配列番号:4)を表す。CTLA4A29YL104E−Ig分子であり、産生されうるポリペプチドには、残基のアミノ酸配列: (i)配列番号:4の26〜383、 (ii)配列番号:4の26〜382、 (iii)配列番号:4の27〜383、 (iv)配列番号:4の26〜382、 (v)配列番号:4の25〜382、および (vi)配列番号:4の25〜383を有する分子が含まれる。
図4は、N結合型グリコシル化部位(N76、N108、およびN207)、C120−C120ジスルフィド結合、およびCTLA−4ドメインにおいてなされる2つのアミノ酸置換(L104EおよびA29Y)と共に示されるCTLA4A29YL104E−Igのモデルである。
図5は、CTLA4A29YL104E−Igの理論的なcDNA由来アミノ酸配列(配列番号:4)を表す。CTLA−4細胞外ドメインにおいて2つのアミノ酸置換を行って(L104EおよびA29Y)、CTLA4A29YL104E−Igを生成した。該配列は、N結合型グリコシル化部位と共に、オンコスタチンMのシグナルペプチド(プロ配列)を特定している。
図6は、CTLA4A29YL104E−Igサンプルの、ヤギ 抗ヒトIgG Fc抗体への結合を描くグラフである。未処理センサーチップ表面と比較して、この表面上で得られる応答を測定することによってCTLA4A29YL104E−Igサンプルの結合を検出した。様々なロット(lot)は、3つの異なるCTLA4A29YL104E−Igサンプルを表す。
図7は、動的光散乱検出(DSL)を有する2カラムSECのオーバーレイ(overlay)およびSECについての保持時間によって決定される、CTLA4−Ig HIC クリーニングピーク(cleaning peak)のマルチマー、テトラマー、およびダイマー画分に対応する明らかな分子量を示すグラフである。
図8A(上)および8B(下)は、HICクリーニングピークから単離および精製されたグリコシル化CTLA4−Ig分子(配列番号:2 モノマーを含む)の画分の代表的なIEFゲルを示す。上のゲルについてのローディングの順は: レーン1、pIマーカー(アマシャム); レーン2、CLTA4−Igダイマー標準物質; レーン3、タンパク質A溶離液; レーン4、マルチマー; レーン5、テトラマー; レーン6、ダイマーである。下のゲルについてのローディングの順は: レーン1、pIマーカー(アマシャム); レーン2、レーン2、CLTA4−Igダイマー標準物質; レーン3、テトラマー; レーン4、解離したテトラマーである。パネルは、テトラマーがダイマーよりもシアル酸付加(シアル化)されていないことを示す。
図8A(上)および8B(下)は、HICクリーニングピークから単離および精製されたグリコシル化CTLA4−Ig分子(配列番号:2 モノマーを含む)の画分の代表的なIEFゲルを示す。上のゲルについてのローディングの順は: レーン1、pIマーカー(アマシャム); レーン2、CLTA4−Igダイマー標準物質; レーン3、タンパク質A溶離液; レーン4、マルチマー; レーン5、テトラマー; レーン6、ダイマーである。下のゲルについてのローディングの順は: レーン1、pIマーカー(アマシャム); レーン2、レーン2、CLTA4−Igダイマー標準物質; レーン3、テトラマー; レーン4、解離したテトラマーである。パネルは、テトラマーがダイマーよりもシアル酸付加(シアル化)されていないことを示す。
図9は、配列番号:2のモノマーを含むCTLA4−Igダイマー上で認められる主な糖鎖構造および糖の相対量を示す。図中のアミノ酸残基の番号付けは、配列番号:2と一致していない。図中のアミノ酸残基の番号付けを配列番号:2と一致させるためには、数え方を26だけ増加させる必要があり、すなわち、N76はN102である。
図10 故意に残された白紙
図11は、配列番号:2 モノマーを含むCTLA4−Igダイマーの代表的なIEFゲル(pH4.0から6.5)を示す。レーン1および5は較正基準(calibration standard)を示し、レーン2、3、4は各々、20μg/μlのCLTA4−Igダイマーを示す。
図12は、配列番号:4 モノマーを含むCTLA4A29YL104E−Igダイマーの代表的なIEFゲル(pH4.0から6.5)を示す。レーン1および8は較正基準を示し、レーン2〜7は各々、10μg/μlのCTLA4A29YL104E−Igダイマーを示す。
図13は、配列番号:2のモノマーを含むCTLA4−Ig分子の集団のN結合型糖プロフィールを示す。糖を糖ペプチドから集め、LC/MS PGC N結合型オリゴ糖の技術を用いて分離した。クロマトグラムによって、N結合型の結合部位の各々について集団のプロフィールを得た。 A)T5ペプチドからのAsn76(配列番号:2のAsn102)の糖およびB)T7ペプチドからのAsn108(配列番号:2のAsn134)の糖は両方とも、モノシアル酸付加された種とマルチシアル酸付加(マルチシアル化)された種の間の分布を示す。 C)T14ペプチドからのAsn207(配列番号:2のAsn233)の糖は、主にシアル酸除去された種(asialylated species)からなる。 D)CTLA4−Ig分子についてのN結合型糖鎖の分布を示す。 E)T5ペプチドから選択された生スペクトルは、描写された二分岐のモノシアル酸付加構造に対応するメジャーピークを示す。 F)T14から選択された生スペクトルは、二分岐のアシアロ構造(シアル酸付加されていない構造)に対応するメジャーピークを示す。 G)選択された生スペクトルは、64.23分でのピークと共に共溶離する微量の種からなり、それは三分岐のジシアル酸付加構造に対応する。 H)選択された生スペクトルは、64.23分でのピークにおける主要な種を明らかにし、それは二分岐のジシアル酸付加構造に対応する。
図14A−Bは、酸性溶離条件下(0.05% TFA)での、PGCクロマトグラフィーからのCTLA4−Ig 配列番号:2 モノマーのN結合型オリゴ糖プロフィールのUVおよびTICトレースを示す。図14Aのトレースは、酸性溶離条件下(0.05% TFA)での、PGCクロマトグラムについての陰イオンの総数(TIC)を示す。
図14A−Bは、酸性溶離条件下(0.05% TFA)での、PGCクロマトグラフィーからのCTLA4−Ig 配列番号:2 モノマーのN結合型オリゴ糖プロフィールのUVおよびTICトレースを示す。図14Bのトレースは、酸性溶離下(0.05% TFA)での、PGCクロマトグラムについての206nmでのUVトレースを示す。
図15A−Bは、塩基性溶離条件下(0.4% NH4OH)での、PGCクロマトグラフィーからのCTLA4−Ig 配列番号:2 モノマーのN結合型オリゴ糖プロフィールのUVおよびTICトレースを示す。図15Aのトレースは、塩基性溶離条件下(0.4% NH4OH)での、PGCクロマトグラムについての陰イオンの総数(TIC)を示す。
図15A−Bは、塩基性溶離条件下(0.4% NH4OH)での、PGCクロマトグラフィーからのCTLA4−Ig 配列番号:2 モノマーのN結合型オリゴ糖プロフィールのUVおよびTICトレースを示す。図15Bのトレースは、塩基性溶離下(0.4% NH4OH)での、PGCクロマトグラムについての206nmでのUVトレースを示す。
図16は、配列番号:4を含むCTLA4A29YL104E−Ig分子についてのN結合型オリゴ糖の糖プロフィールの比較を表す。4つのオリゴ糖ドメインが観察される:ドメインIには、シアル酸付加されていない種が含まれ、一方、ドメインII、III、およびIVには、それぞれモノシアル酸付加、ジシアル酸付加およびトリシアル酸付加された種が含まれる。オリゴ糖をクロマトグラフ的に単離し、それらを質量分析で分析することによって、ドメインを決定した。
図17は、配列番号:2 モノマーを含むCTLA4−Ig分子のN結合型オリゴ糖のHPAEC−PADプロフィールを示す。オリゴ糖についてのシアル酸含量が増加する順にドメインを示す。ドメインI、II、III、およびIVには、それぞれ、0、1、2、および3個のシアル酸を有するオリゴ糖構造が含まれる。ピークラベルは、PGCプロファイリングから集めたピークのHPAEC−PADプロファイリングによって割り当てられたオリゴ糖構造を表す。糖鎖構造の構造同定は、以前の決定と一致している。
図18A−Bは、配列番号:2のモノマーを含むCTLA4−Ig分子のPGCプロフィールを示す。プロフィールは、実施例3に記載されるように製造された糖の消化混合物の直接注入から得られる。直接注入によって、130分で溶離するP4144構造の検出がもたらされる。テトラシアル酸付加されたP4144構造は、注入前に単離されるオリゴ糖のプロフィールにおいては観察されない。
図18A−Bは、配列番号:2のモノマーを含むCTLA4−Ig分子のPGCプロフィールを示す。プロフィールは、実施例3に記載されるように製造された糖の消化混合物の直接注入から得られる。直接注入によって、130分で溶離するP4144構造の検出がもたらされる。テトラシアル酸付加されたP4144構造は、注入前に単離されるオリゴ糖のプロフィールにおいては観察されない。
図19は、配列番号:2 モノマーのT9フラグメントについてのLC/MSデコンボリュートされたポジティブエレクトロスプレースペクトル(LC/MS deconvoluted positive electrospray spectrum)を表す。スペクトルは、3つの主要なO結合型構造を説明する。スペクトルは、O結合型構造(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)1と一致する糖鎖ラダー(sugar ladder)を有する塩基ペプチド(base peptide)を説明する。スペクトルのボールド体の部分は、スペクトルのボールド体でない部分に対して10倍に増強されており、(GalNAc)1(Gal)1(NeuAc)2および(GalNAc)1(GlcNAc)1(Gal)2(NeuAc)2を有する2つの別のO結合型構造を説明する。
図20は、配列番号:2 モノマー配列を有するCTLA4−Ig単鎖のO結合型糖鎖構造の結合点および相対的分子の集団(relative population)を示す。各部位での相対量は、2つまたはそれ以上のオーソゴナル法(orthogonal technique)で生成されたデータを示し、それは変異されやすい。また共有結合性のシステイン付加の位置も描かれている。
図21は、中間体プラスミドpiLN−huCTLA4−Igの地図を描く。このプラスミドには、両側に制限酵素部位HindIIIおよびXbaIがあるヒトCTLA4−Ig分子(huCTLA4−Ig)(すなわち、配列番号:1)をコードしうる配列が含まれる。
図22は、プラスミドpD16LEA29Yの地図を描く。このプラスミドには、ヒトCTLA4A29YL104E−Ig分子(すなわち、配列番号:4)をコードしうる配列が含まれる。
図23は、1D5−100A1(例えば、クローン17)由来のCTLA4−Ig発現カセットを発現するCHO細胞から抽出したDNAのサザンブロットの写真である。左から右へのゲルについてのレーンは: レーンM、DNA分子量マーカー; レーンN、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(5mg); レーン1、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(2.5μg)+pcSDhuCTLA4−Ig(1ng); レーン2、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(2.5μg)+pcSDhuCTLA4−Ig(0.5ng); レーン3、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(2.5μg)+pcSDhuCTLA4−Ig(0.25ng); レーン4、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(2.5μg)+pcSDhuCTLA4−Ig(0.125ng); レーン5、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(2.5μg)+pcSDhuCTLA4−Ig(0.0625ng); レーン6、EcoRI/XbaI消化した非形質導入CHO DNA(2.5μg)+pcSDhuCTLA4−Ig(0.03125ng); レーン7、EcoRI/XbaI消化したDNA:MCB(5.0μg); レーン8、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030618A−01(5.0μg); レーン9、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030712A−01(5.0μg); レーン10、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030801A−01(5.0μg); レーン11、EcoRI/XbaI消化したDNA:MCB(2.5μg); レーン12、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030618A−01(2.5μg); レーン13、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030712A−01(2.5μg); レーン14、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030801A−01(2.5μg); レーン15、EcoRI/XbaI消化したDNA:MCB(1.25μg); レーン16、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030618A−01(1.25μg); レーン17、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030712A−01(1.25μg); レーン18、EcoRI/XbaI消化したDNA:EPCBロット番号C20030801A−01(1.25μg)である。
図24は、生産スケールの培養工程の流れ図を描く。この工程は、25,000L生産バイオリアクター中での組換えタンパク質の大量生産を可能にする。
図25は、NGNAおよびNANAシステム適合性(system suitability)標準物質(standard)の代表的なクロマトグラムを示す。〜9.7分でのピークはNGNAであり、〜10.7分でのピークはNANAである。
図26は、配列番号:2 モノマーを含む加水分解CTLA4−Ig分子の代表的なクロマトグラムを示す。〜8.4分でのピークは、溶媒ピークである。〜9.6分でのピークはNGNAである。〜10.5分でのピークはNANAである。〜11.3分でのピークは、加水分解条件から生じる分解NANAである。NANAおよび分解NANAの面積カウント(area count)は、NANAモル比の計算に組み合わされる。
図27A、27B、および27Cは、CTLA4−Igシステイン付加ペプチドのMALDIスペクトルを示す。配列番号:2のCys146を含むCTLA4−Igトリプシン/キモトリプシン断片について、MALDIスペクトルを得た。図27Aは、システイン付加修飾を説明する単鎖ペプチドスペクトルを示す。
図27A、27B、および27Cは、CTLA4−Igシステイン付加ペプチドのMALDIスペクトルを示す。配列番号:2のCys146を含むCTLA4−Igトリプシン/キモトリプシン断片について、MALDIスペクトルを得た。図27Bは、還元後の単鎖ペプチドのスペクトルを示し、修飾がCys146で起こることを説明する。
図27A、27B、および27Cは、CTLA4−Igシステイン付加ペプチドのMALDIスペクトルを示す。配列番号:2のCys146を含むCTLA4−Igトリプシン/キモトリプシン断片について、MALDIスペクトルを得た。図27Cは、還元した単鎖ペプチドのアルキル化を示し、それは、システイン付加がCys146で起こることを説明する。
図28は、pcSDベクターの生成に有用なクローニングスキームを表す。pcDNA3を制限酵素NaeIで消化して、CMVプロモーター、アンピシリン耐性遺伝子、および大腸菌についての複製起点を含む3.821Kb断片を単離した。pSV2−dhfrを制限酵素PvuIIおよびBamHIで消化して、SV40プロモーターおよびdhfr遺伝子を含む1.93Kb断片を単離し、続いて平滑末端にした。pcSDを生成するために、両断片を連結した。プラスミドpcSDの地図を、図の下部に示す。
図29は、pcSDhuCTLA4−Ig発現ベクターを生成するのに有用なクローニングスキームを表す。pcSDを制限酵素EcoRVおよびXbaIで消化した。piLN−huCTLA4−Igを制限酵素HindIIIで消化し、平滑末端にし、次いで制限酵素XbaIで消化して、1.2Kb huCTLA4−Ig断片を単離した。pcSDhuCTLA4−Igを生成するため、CTLA4−Ig断片を消化したpcSDベクターに連結した。pcSDhuCTLA4−Igプラスミドの地図を、図の下部に示す。このプラスミドを直線化し、機能性dhfr遺伝子を有していないCHO細胞に形質移入した。該プラスミドは機能性dhfr遺伝子を含んでいるので、細胞生存に基づいて安定な形質移入体が選択されうる。pcSDhuCTLA4−Igは、CMVプロモーター、ヒトCTLA4−Ig分子(huCTLA4−Ig)(すなわち、配列番号:1)をコードしうる配列、およびBGHからのポリ(A)尾部配列を含む発現カセットを有する。
図30は、相対蛍光強度(relative fluorescence unit)(RFU) 対 時間(分)として描かれるシステム適合性アミノ単糖の電気泳動図を示す。
図31は、相対蛍光強度(RFU) 対 時間(分)として描かれるシステム適合性中性単糖の電気泳動図を示す。
図32は、ペプチドを標識したCTLA4A29YL104E−Igのトリプシンペプチド地図を表す。表23は、標識ペプチドと一致する。
図33は、CTLA4A29YL104E−Igのノーザンハイブリダイゼーション解析を示す。パネルAは、臭化エチジウム染色アガロースゲルを描き、その中で、 レーンMはRNAマーカーであり; レーン1は全CHO RNAであり; レーン2は全MCB RNAであり;および レーン3は全EPCB RNAである。パネルBは対応するオートラジオグラムであり、その中で、 レーンMはRNAマーカーであり; レーン1は全CHO RNAであり; レーン2は全MCB RNAであり;および レーン3は全EPCB RNAである。
図34A〜Cは、サイズ排除クロマトグラムを描き、それはCTLA4A29YL104E−Igダイマーと高および低分子量種とを識別する。
図34A〜Cは、サイズ排除クロマトグラムを描き、それはCTLA4A29YL104E−Igダイマーと高および低分子量種とを識別する。
図34A〜Cは、サイズ排除クロマトグラムを描き、それはCTLA4A29YL104E−Igダイマーと高および低分子量種とを識別する。
図35は、クマシーブルーで染色したCTLA4A29YL104E−IgのSDS−PAGE(還元型および非還元型)解析を示す。 レーン1には分子量マーカーをロードし; レーン2、7、および12はブランクであり; レーン3〜6はCTLA4A29YL104E−Igサンプル(還元型)であり; レーン8〜11はCTLA4A29YL104E−Igサンプル(非還元型)である。
図36は、銀染色に付したCTLA4A29YL104E−IgのSDS−PAGE(還元型および非還元型)解析を示す。 レーン1には分子量マーカーをロードし; レーン2、7、および12はブランクであり; レーン3〜6はCTLA4A29YL104E−Igサンプル(還元型)であり; レーン8〜11はCTLA4A29YL104E−Igサンプル(非還元型)である。
図37は、トリプシンおよびキモトリプシン消化の組合せを用いた、非還元型CTLA4A29YL104E−Igのペプチド地図を描く。
図38は、トリプシンおよびエラスターゼ消化の組合せを用いた、非還元型CTLA4A29YL104E−Igのペプチド地図を描く。
図39は、抗CTLA4−Igまたは抗CTLA−4応答を有する患者を描く図である。全CTLA4−Ig分子(CTLA−4部分およびIg部分)およびCTLA−4部分のみに応答する抗体を、実施例32に概説されるようにアッセイAおよびBを用いて決定した。
図40は、免疫原性状態によるクリアランス(clearance)および体循環コンパートメント容積(volume of central compartment)の分布を模式的に説明している。
図41は、本発明の工程によって生成した原体(薬剤物質)(drug substance)の10mg/kgを投与されたサルにおける、経時的な平均(SD)CTLA4−Ig血清中濃度のプロフィールを説明するグラフである。
図42は、コントロールおよび脱凝集CTLA4−Ig物質から精製したタンパク質A(MAbSelect)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)クロマトグラムのグラフである。
図43は、脱凝集処理した物質(ii)をコントロール(i)と比較した、N−グリカン分析のグラフである。
図44は、平均CTLA4−Ig血清中濃度[μg/mL] 対 時間(71日にわたる)を描くグラフである。
図45は、相対蛍光強度(RFU) 対 時間(分)として描いた中性単糖の電気泳動図を示す。
図46は、相対蛍光強度(RFU) 対 時間(分)として描いたアミノ単糖の電気泳動図を示す。
図47は、配列番号:4を含むCTLA4A29YL104E−Ig分子についてのN結合型オリゴ糖の糖プロフィールの比較を表す。4つのオリゴ糖ドメインが観察され、その中で、ドメインIにはシアル酸付加されていない種が含まれ、一方、ドメインII、III、およびIVには、それぞれモノシアル酸付加、ジシアル酸付加、およびトリシアル酸付加された種が含まれる。
図48は、CTLA4A29YL104E−Igと1:1で混合したCTLA4−Igのキャピラリー電気泳動分離のグラフである。メインピークの移動時間は、約0.8分離れている。
図49は、加水分解CTLA4A29YL104E−Ig物質のクロマトグラムであり、その中で、NANAのピークは3.4分に観察される。
図50は、哺乳類タンパク質に見られる様々なN結合型糖鎖構造のうちのいくつかを描く。すべての鎖は、2つのGlcNAcおよび3つのマンノース残基を含む共通のコア構造を共有する。
図51は、糖タンパク質のシアル酸付加(NANA比)の関数として、CTLA4−Ig露出(exposure)(AUC)を描くグラフである。
図52は、CTLA4−Igの糖プロフィールの関数として、CTLA4−Ig露出(AUC)を描くグラフである。多数のピークが陰イオン交換HPLCによって生成され、それは4つまたは5つのドメインに分割された。ドメイン1および2は、大部分はシアル酸付加されていない(シアル化されていない)(asialylated)構造、およびモノシアル酸付加構造であり、一方、ドメイン3および4は、大部分はジおよびトリシアル酸付加構造である。
図53は、ペプチドを標識したCTLA4A29YL104E−Igのトリプシンペプチド地図を表す。表56は、標識ペプチドと一致する。
図54は、配列番号:2を含むCTLA4−Ig分子についてのN結合型オリゴ糖の糖プロフィールの比較を表す。4つのオリゴ糖ドメインが観察され、その中で、ドメインIには、シアル酸付加されていない種が含まれ、一方、ドメインII、III、およびIVには、それぞれモノシアル酸付加、ジシアル酸付加およびトリシアル酸付加された種が含まれる。
図55A〜Dは、HPAEC−PADによる、CTLA4−IgおよびペプチドT5、T7、およびT14のオリゴ糖プロフィールを表すグラフである。
図55A〜Dは、HPAEC−PADによる、CTLA4−IgおよびペプチドT5、T7、およびT14のオリゴ糖プロフィールを表すグラフである。
図55A〜Dは、HPAEC−PADによる、CTLA4−IgおよびペプチドT5、T7、およびT14のオリゴ糖プロフィールを表すグラフである。
図55A〜Dは、HPAEC−PADによる、CTLA4−IgおよびペプチドT5、T7、およびT14のオリゴ糖プロフィールを表すグラフである。
図56は、PGC(ハイパーカーブ(Hypercarb))カラムから得られるCTLA4−Igの標識オリゴ糖プロフィールを描くグラフである。
図57は、サルAUCをY軸に示し、糖プロフィールからのドメインIおよびIIに示されるN結合型グリコシル化の割合をX軸に示す、薬物動態的データのグラフを描く。例えば、実施例3、44、22および37におけるN結合型糖プロフィールを決定する方法を参照せよ。ドメインIおよびIIの割合が増加するにつれ(ドメインIII、IVおよびVの割合が減少するにつれ)、クリアランスは増加する。ネガティブコントロール、すなわちシアル酸が少ないCTLA4−Igが非常に急速に除去されることに留意せよ。CTLA4−Ig変異体,LEA(CTLA4−IgA29YL104E−Ig)がこのグラフに含まれていることに留意せよ。
図58Aおよび58Bは、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。図58Aにおけるトレースは、培養液に加えられる追加のガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図58Aおよび58Bは、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。図58Bにおけるトレースは、培養液に加えられたガラクトースを用いるものである。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図59は、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。これは、8日目に培養液に加えられたガラクトースを用いる培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。このトレースは、培養液に加えられる追加のガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図60は、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。これは、14日目に培養液に加えられたガラクトースを用いる培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。このトレースは、培養液に加えられる追加のガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図61Aおよび61Bは、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。図61Aは、加えられるガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものであり、図61Bは、14日目にガラクトースを培養液に加えた分析からのものである。このトレースは、培養液に加えられる追加のガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図61Aおよび61Bは、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。図61Aは、加えられるガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものであり、図61Bは、14日目にガラクトースを培養液に加えた分析からのものである。このトレースは、培養液に加えられる追加のガラクトースのない培養方法で産生したCTLA4−Igの分析からのものである。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図62は、CTA4−Ig(実施例3、44、22および37に記載したような方法から得られる)から放出されるN結合型糖鎖のN結合型糖鎖クロマトグラムのトレースを描く。QFFカラムの洗浄段階から回収したCTLA4−Ig物質からこのトレースを得、それはシアル酸が少ないCTLA4−Ig物質の一部分を生成する。図61、60および59に示されるトレースと比較して、ドメインIおよびIIの相対量は増大し、ドメインIIIおよびIvは減少している。各ドメインにおけるN結合型糖鎖の割合を、挿入した表に示す。
図63は、溶媒前の終端(end of the solvent front)でT8が溶離し、T27の肩(shoulder)でT9が溶離することを表す、CTLA4−Igのトリプシンペプチド地図を示す。
図64は、CTLA4−Igからの糖ペプチドT8に対応するフルマススペクトルを表すグラフである。
図65は、CTLA4−Igからの糖ペプチドT9に対応するフルマススペクトルを表すグラフである。
図66は、CTLA4−IgからのT9ペプチド断片についてのMALDI−TOFデータを表すグラフである。
図67A−Bは、CTLA4−Igからの酸化型および天然のトリプシンペプチドのイオンクロマトグラムおよびマススペクトルを描く。
図67A−Bは、CTLA4−Igからの酸化型および天然のトリプシンペプチドのイオンクロマトグラムおよびマススペクトルを描く。
図68は、典型的なN結合型オリゴ糖プロフィールを描く(ドメインI、II、III、IVおよびV、並びにロット平均(Lot average)の5%以内にあるピーク1Aおよび1B)。ピーク1A、1Bおよび1Cは、G0、G1およびG2のアシアロN結合型オリゴ糖構造を表す。プロフィールについてのデータは、真下の表にある。実施例44を参照せよ。
図69は、CTLA4−Igの等電点電気泳動ゲルを描く。バンドは下表:
の特徴を有する。
図70は、CTLA4−Igの代表的な等電点電気泳動ゲルの定量的解析の報告を描く。ゲルの定量化を行い、データは下表:
のとおりである。
図71Aは、ガードカラムを備えたTOSO HAAS 3000 SWXLカラムにおけるシステム適合性標準物質の典型的な20μLの注入を描く。
図71Bは、ガードカラムを備えたTOSO HAAS 3000 SWXLカラムにおけるCTLA4−Ig対照物質(CTLA4−Ig基準物質)(CTLA4-Ig Reference Material)の20μLの注入を描く。
図72は、クマシーブルー染色したポリアクリルアミド(4−20)ゲル電気泳動による、CTLA4−IgのSDS−PAGE解析のデジタル方式で取得した画像の例である。
図73は、クマシーブルー染色したSDS−PAGEについての定量的解析の報告の例を描く。
図74は、図73における染色SDS−PAGEゲルの定量的解析を述べる表を示す。
図75は、分子量マーカーに対する主要なバンドおよび予想される小さなバンドの位置の移動を説明するために、CTLA4−Igクマシーブルー染色ゲルのSDS−PAGE解析の強調画像(enhanced image)の例を描く。
図76は、CTLA4−Ig対照/標準物質の代表的なN結合型糖プロフィールの描写である。これは、Watersシステム上で操作した代表的な糖プロフィールである。保持時間はシステム依存である。
図77は、代表的なスタキオースシステム適合性クロマトグラムの描写である。
図78は、加水分解CTLA4−Ig物質の代表的なクロマトグラムのトレースである。
図79は、CTLA4A29YL104E−Igクマシーブルー染色したポリアクリルアミド(4〜20%)ゲル電気泳動クマシーブルー染色のSDS−PAGE解析の走査ゲル画像(ccanned gel image)を描く。
図80は、収集段階(harvest step)の流れ図を描く。実施例28を参照せよ。
図81は、アミノ単糖のシステム適合性の電気泳動図を描く。実施例16を参照せよ。
図82は、サルAUCをY軸に示し、糖プロフィールからのドメインIおよびIIに示されるN結合型グリコシル化の割合をX軸に示す、薬物動態的データのグラフを描く。例えば、実施例3、44、22および37におけるN結合型糖プロフィールの決定方法を参照せよ。ドメインIおよびIIの割合が増加するにつれ(ドメインIII、IVおよびVの割合が減少するにつれ)、AUCは増加する。ネガティブコントロール、すなわちシアル酸が少ないCTLA4−Igが非常に急速に除去されることに留意せよ。変異体CTLA4−Ig分子、すなわちCTLA4−IgA29YL104E−Ig(LEAと呼ぶ)がこのグラフに含まれていることに留意せよ。
図83は、AUCをY軸に示し、ドメインIIIおよびIVに示されるN結合型グリコシル化の割合(N結合型糖プロフィールから決定される)をX軸に示す、薬物動態的データのグラフを描く。ドメインIIIおよびIVの割合が増加するにつれ、AUCは増加する。ネガティブコントロール、すなわちシアル酸が少ないCTLA4−Igが非常に急速に除去されることに留意せよ。例えば、実施例3、44、22および37におけるN結合型糖プロフィールの決定方法を参照せよ。変異体CTLA4−Ig分子、すなわちCTLA4−IgA29YL104E−Ig(LEAと呼ぶ)がこのグラフに含まれていることに留意せよ。
図84は、AUCをY軸に示し、糖プロフィールからのドメインIIIおよびIVに示されるN結合型グリコシル化の割合をX軸に示す、薬物動態的データの別のグラフを描く。ドメインIIIおよびIVの割合が増加するにつれ、AUCは増加する。ネガティブコントロール、すなわちシアル酸が少ないCTLA4−Igが非常に急速に除去されることに留意せよ。例えば、実施例3、44、22および37におけるN結合型糖プロフィールの決定方法を参照せよ。変異体CTLA4−Ig分子、すなわちCTLA4−IgA29YL104E−Ig(LEAと呼ぶ)がこのグラフに含まれていることに留意せよ。
図85は、CTLA4−Ig標準物質のトリプシン地図を描く。ピーク同定については実施例65の最後の表を参照せよ。T1+Aとラベル付けした小さなピークは、N末端アラニン残基によって伸長されたT1トリプシンペプチドである。T31+Kとラベル付けした小さなピークは、C末端リジン残基によって伸長されたT31トリプシンペプチドである。
図86は、CTLA4−Ig標準物質のトリプシン地図と、同じ位置に合わせた5モル%のT6oxインジケーターペプチド,Met(O)85(84〜93)のトリプシン地図についての280nmデータの重ね合わせ(overlay)を描く。実施例65を参照せよ。
図87は、CTLA4−Ig標準物質のトリプシン地図と、同じ位置に合わせた5モル%のT26deamlインジケーターペプチド,isoAsp294(281〜302)のトリプシン地図についての215nmデータの拡大図を描く。実施例65を参照せよ。