JP4990331B2 - エアバッグ展開開口部を形成するために予備弱体化される自動車用トリムピースを製造する方法 - Google Patents

Description

本発明は、エアバッグ装置の上に重なるインストルメントパネルおよびハンドルカバーなどのトリムピース（内装部品、構造）の製造に関し、特に、トリムピースの隠された（搭乗者から見えない）ドア部が分離して、トリムピース構造の隣接部分から揺動して出るようにすることにより、膨張するエアバッグが展開開口部を形成することができるように予備弱体化されるトリムピースの裏側にエアバッグキャニスタが取り付けられたトリムピースを製造する方法に関する。

エアバッグの上に重なる１つまたは複数の枢着された展開ドアパネルには、長年こうした自動トリムピースが組み込まれており、これらのトリムピースは、タブまたはその他の要素によって閉位置に保持され、エアバッグが展開するときに、膨張するエアバッグによって強制的に開放される。

最近、いわゆる「継目が見えない」装置が開発されたが、この場合、当初使用されていた可視的に輪郭を形成された個々のドアはなくなり、上に重なる円滑なカバーが、エアバッグが取り付けられるトリムピース位置上に延在する。

開口部は、エアバッグが起動されて、膨張するエアバッグ自体がトリムピースの一部分を貫通して出ることによりトリムピース内に形成される。これは、エアバッグ位置でトリムピースを予め弱体化しておき、膨張するエアバッグの圧力によりトリムピース内で「ドア」を破開して自由に開き、一方の側部に沿って枢支開放することにより達成される。

トリムピースは、多くの場合、剛性の基板パネルと上に重なる皮膜および発泡体の被覆層とを含む層として構成されるか、または皮膜が基板パネルに接着される。

先ず基板が成形され、次に皮膜および発泡体が追加される。

予備弱体化は、トリムピースおよび／またはトリムピース内に成形される被覆層に予備弱体化用の溝を形成するか、またはトリムピースもしくはその構成部品にレーザで刻み目を付けるなどの方法で溝を形成することから成る。

個々のドアパネルは、多くの場合、基板パネル内に成形された開口部に取り付けられるが、そのためにはさらに処理ステップが必要である。

基板パネルを貫通して切削してドアを形成する方法も実施されてきたが、この場合、比較的厚い基板を切断するために強力な切削装置が必要となり、サイクルタイムを増やす。また、レーザ切削の場合、基板材料の気化によって生じる副産物の処理が必要である。

本発明の目的は、エアバッグ用の継ぎ目が見えない展開ドア開口部を形成するために予備弱体化される自動車用トリムピースを製造するための単純な方法を提供することである。

上記の目的、並びに以下の詳細な説明（実施形態）および特許請求の範囲を読むと明らかになるその他の目的は、基板パネルを１つまたは複数の展開ドアパネルとともに予め形成する工程であって、各々のドアパネルが、一方の側部に沿って基板パネルの隣接部分に一体接続され、隙間によって、接続されていないドア側が隣接基板部から離間配置される工程により達成される。ドアパネルの接続側は、パネルが膨張エアバッグに接触するときにヒンジとして機能する。

１つまたは複数の位置で隙間を横断して延在するように、橋絡用のタブを任意に形成すると、他の基板パネルに関連して当該パネルを安定させることができる。

１つまたは複数の被覆層は、基板パネルに重なるように後で追加するか、または同時に形成する。被覆層には、隙間を貫通しかつ隙間に沿ってレーザ光線またはその他の刻み目形成もしくは切削作用物を供給し、これらの作用物がドアパターン内の隙間の経路をたどるようにするなどの方法で切削するかまたは刻み目を形成して、ドア部の自由な枢着されていない側部に対応するパターンで被覆層を予備弱体化することもできる。

本発明によれば、レーザ光線などにより刻み目を形成して自動車用トリムピースを予備弱体化し、エアバッグの膨張展開を容易にすることができる。

本発明の方法の一部により形成された二重展開ドアを有するトリムピースの斜視図であり、トリムピースは、概略的に示されたレーザ光線装置により予備弱体化される。 本発明の方法の一部により形成された単一ドア基板パネルの斜視図である。 本発明による方法の一部により形成され、ヒンジ補強部が追加された単一ドア基板パネルの斜視図である。 本発明による方法により形成されたトリムピースの斜視図である。 図４の線５−５に沿って切った断面図である。 図４の線６−６に沿って切った断面図である。 代替形式のタブ機構を有するトリムピースの断面図である。 被覆層を予備弱体化する代替形式を示す断面図である。

以下の詳細な説明では、分かりやすくするために特定の用語を使用し、米国特許法（３５ＵＳＣ）第１１２条に従って特定の実施形態を記載するが、これらの用語および実施形態は、制限的な意図はないし、そのように解釈すべきではなく、本発明は、特許請求の範囲の範囲内で多くの態様および変形を取ることができると考えるべきである。

添付図面を参照すると、図１には、トリムピース１０の構造上の完全性を提供し、したがって比較的剛性であるのに十分な厚さを有する基板パネル12から成るトリムピース１０の内側が示されている。

基板パネル１２は、適切なポリマーまたは木繊維などのような従来の材料を使用して、射出成形、注入成形および熱成形などのような従来の方法を用いて構成することができる。

図１に示す実施形態では、展開開口部は、側部１６の一方に沿って一体接続された一対のほぼ矩形の展開ドアパネル１４により画定され、側部１６は各々、ドアパネル１４が揺動運動するための平行なヒンジ軸を画定する。

ドアパネル１４の他の３つの側部の外周は、隙間パターン１８により画定され、隙間パターン１８は、基板パネル１２自体と同時に予備成形することができる。

基板パネル１２は、基板パネル１２の外側、つまり車内で見える露出したトリムピース１０の側に重なる１つまたは複数の被覆層２０を有する。被覆層２０は、ＴＰＯなどのプラスチックの可撓性皮膜で良く、発泡体層により支持することができる。被覆層２０、２２は、ドアパネル１４および隙間１８上に滑らかに延在して、ドアパネル１４が車内の乗員または運転者に見えないようにしている。基板パネルは、車内の剛性支持構造に一般に取り付けられる。

被覆層２０、２２の内側は周囲の隙間１８内で露出するため、予備弱体化用切削部１９は、トリムピースが完成した後に形成することができるので、予備弱体化された被覆層２０、２２をドアパネル１４と整合配置する必要がなくなる。

こうした予備弱体化は、本出願人に付与された米国特許第５，７４４，７７６号および第５．８８３，３５６号に詳細に記載されているレーザ光線を使用して行うことが好ましい。本出願人に譲渡された米国特許第５，２１７，２４４号に記載されている機械式ナイフなど、その他の方法を使用することもできる。

超音波、高温ナイフおよび水噴射機械加工は、使用可能なその他の方法である。

レーザ光線発生器２６を図１に示す。この発生器２６は、レーザ光線が隙間１８をたどるようにするための位置決め装置２４を備えているので、被覆層２０、２２に連続的または断続的に刻み目が形成され、上記米国特許に記載されているように予備弱体化が達成される。測定センサ（図示しない）を使用しても、特定の予備弱体化プログラムを行うことができる。レーザ発生制御装置２８は、レーザの出力および速度などを変えることができ、したがって刻み目または切削の深さまたは範囲を変えて、隙間パターン１８に沿って所望の程度の予備弱体化を達成することができる。

やはり図１に示すように、橋絡タブ３０は、選択した位置で隙間１８を横断して延在し、ドアパネル１４Ａ、１４Ｂを互いに、かつ基板パネル１４の隣接領域に接続することによりトリムピース１０に強度を与えることができる。

図２は、単一展開ドアパネル３２のみを有する基板パネル１２Ａに対する応用を示す。補強枠３４も示されているが、これは、隙間１８Ａおよびドアパネル３２の外周に取り付けられ、米国特許第５，３９３，０８８号に記載の目的で基板パネル１２Ａを補強するものである。

図３は、スクリムのシートなどのようなヒンジ補強部３６が追加された状態を示し、この補強部は、ドアパネル３０が自由に開かないように取り付けることができる。こうした補強部は、ドアパネル全体を被覆するように延在させることもできる。

図４〜図８は、本発明の方法により製造されるトリムピース１０の詳細をさらに示す。

被覆層は、ポリマー、レザーまたは織物の皮膜２０と、基板１２に重なる発泡プラスチック層２２とを含む。

タブ３０は、様々な設計形態を取ることができ、隙間１８を横断して延在する。このタブは、基板と一体成形するか、または図７に示すように別個に基板に取り付けることができる。ヒンジ１６は、基板パネル１２Ａのどちらかの表面から凹設された縮小断面積を有する。

１つまたは複数の弱体化用切削部１９は隙間１８と整合配置され、発泡層２２（図６）にのみ貫入するか、または切削部１９Ａは皮膜２０（図８）内に延出しても良い。

図７は、一体ではなくドアパネル１４の下に存在して、トリムピース１０の外側に加わる内側に押される力に対向する支持部となるタブ３０Ａを示す。

基板パネルの形成は、射出成形、注入成形または熱成形など、いくつかの方法で行うことができる。基板パネルに好適な材料は、熱硬化性および熱可塑性ポリマーを含むが、木繊維および金属など、その他の材料を使用することもできる。１つまたは複数のドアパネルは、基板パネルと一体製造する（つまりドアと基板とを１ピースとして同時に成形する）か、または個々に製造する（つまり基板パネルをドア開口部とともに成形して、その後ドアパネルを基板パネルに取り付ける（設ける））ことができる。１つまたは複数のドアパネル、および特にヒンジは、剛性または可撓性材料（硬質プラスチック、スクリム織物、金属など）でさらに補強することができる。こうした補強は、基板パネルを成形するときに行う。つまりスクリム織物と一体展開ドアヒンジとを同時成形するか、または基板ドアパネルの成形後に行うことができる。ドアパネルの側部と基板パネルとの間の隙間間隔は、２つのパネルまたは部分を結合する材料が存在しないことで形成することができる。基板パネルと一体であるか、または別個の任意の補強枠は、ドア開口部外周の外側および周囲に延在するように配置することもできる。あるいは、基板パネルは、ドア外周部の周囲に位置する固締具またはボルトでエアバッグキャニスタに取り付けることができる。

被覆層は可撓性でも剛性でも良く、発泡体、レザー、ビニ−ル／ＴＰＯ／ＴＰＥ／ＴＰＵ皮膜、織物および積層木材などで構成される。発泡体／皮膜構造の場合、皮膜と基板層との間にプラスチック発泡体を射出するには、ドア外周部の隙間を一時的に密閉して、発泡体が適切に膨張することができるようにする必要がある。１つまたは複数の被覆層の予備弱体化は、いくつかの接触または非接触刻み目形成- 切削技術（つまり機械式ナイフ、水噴射、超音波など）により行うことができる。好適な方法は、レーザ光線を使った切削または刻み目形成であり、迅速かつ正確に所望の構成およびパターンで（つまり連続または半連続的な溝、穿孔、切込みなどで）予備弱体化することができる。予備弱体化用の刻み目形成または切削は、基板パネルのどちらの側からも行うことができるが、内側から行うことが好ましい。

レーザ光線を使用する場合、トリムピース製造業者は、先ずトリムピースを組み立ててから、基板パネルと１つまたは複数のドアパネルとの間の間隔を貫通するかまたはこの間隔に沿って被覆層を予備弱体化することができるので、実質的な厚さとなる可能性がある基板パネルを貫通して切削する必要がない。

予備弱体化ステップでは、１つまたは複数の被覆層の厚さの測定を行うと、所望の量の被覆材料を除去するようにレーザをより適切に制御することができる。この測定は、超音波、赤外線および静電容量型センサなど、いくつかのタイプのセンサを使って、１つまたは複数の層のどちらかの側から行うことができる。

１０ トリムピース
１２ 基板パネル
１４Ａ、１４Ｂ ドアパネル
１６ 側部
１８ 隙間
２０、２２ 被覆層
２４ 位置決め装置

Claims (4)

1. あるパターンで予備弱体化された部分を有するトリムピースを構成し、前記トリムピースの予備弱体化部分により被覆される、エアバッグ装置用の１つまたは複数の展開ドアの形成を可能にする方法であって、
   剛性基板パネルを形成し、該基板パネルが前記基板パネルに設けられた１つまたは複数のドアパネルを有し、隙間が前記１つまたは複数のドアパネルの部分と前記基板パネルの縁部との間にあり、前記隙間が前記基板パネルを形成するのと同時に形成され、前記隙間が前記基板パネルを貫通して延出するようにするステップを備え、
   前記基板パネルを形成するステップが、
   前記１つまたは複数のドアパネルをその一側部に沿って前記基板パネルの残り部分に結合して、ヒンジを形成するステップと、
   その後、前記基板パネル及び前記ドアパネルを１つまたは複数の被覆層により被覆し、前記１つまたは複数の被覆層が前記基板パネルと前記１つまたは複数のドアパネルとを横断するように延出して、前記基板パネルと前記ドアパネルとの間の前記隙間を橋絡するようにするステップと、
   次に、前記被覆層の内側を、前記基板パネルに前もって形成された前記隙間を通して切断して、前記被覆した１つまたは複数の被覆層の内少なくとも１つを予備弱体化するステップと、を含む方法。
2. 前記１つまたは複数のドアパネルの周りに延在する補強枠を、前記隙間の縁に隣接する部分を有する前記基板パネルに貼り付け、前記基板パネルの前記縁部を補強するようにするステップをさらに含む請求項１記載の方法。
3. 前記１つまたは複数のドアパネルの他側部を前記基板パネルの前記縁部に取り付けて、前記隙間を横断して延在する橋絡タブを形成し、前記トリムピースを強くするようにするステップをさらに含む請求項２記載の方法。
4. 前記ヒンジ上及び前記１つまたは複数のドアパネルの上を覆うように延出して貼り付けられた補強シートを固定するステップをさらに含む請求項１記載の方法。

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