JP2720500B2 - エアーバッグ収納用カバー - Google Patents

エアーバッグ収納用カバー

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JP2720500B2
JP2720500B2 JP1042733A JP4273389A JP2720500B2 JP 2720500 B2 JP2720500 B2 JP 2720500B2 JP 1042733 A JP1042733 A JP 1042733A JP 4273389 A JP4273389 A JP 4273389A JP 2720500 B2 JP2720500 B2 JP 2720500B2
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R21/00Arrangements or fittings on vehicles for protecting or preventing injuries to occupants or pedestrians in case of accidents or other traffic risks
    • B60R21/02Occupant safety arrangements or fittings, e.g. crash pads
    • B60R21/16Inflatable occupant restraints or confinements designed to inflate upon impact or impending impact, e.g. air bags
    • B60R21/20Arrangements for storing inflatable members in their non-use or deflated condition; Arrangement or mounting of air bag modules or components
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は車両衝突時にその衝撃、変形等を感知するこ
とにより、動作膨張して展開するエアーバッグを収納す
るためのカバーに関するものである。
[従来の技術] この種のカバーとしては、エアーバッグ動作(膨張)
時に、それを収納しているカバーが破砕され、その破片
が飛散して乗員の顔又は目等に当って怪我をさせる危険
があることから、従来のものは、破片飛散防止を目的と
して補強材(ネット等)がインサートされているのが一
般的であった。(特開昭62−234764、特開昭50−12733
6、実開昭52−80928、実開昭50−43454、実開昭51−253
42号公報等)。
このようなネット状インサートを入れたカバーは、通
常、発泡ポリウレタン等の比較的低強度の材料でカバー
全体を作り、補強材ネットをこのカバー全体にインサー
トして製造されるが、この際エアーバッグ膨張時にこれ
がスムーズに展開してカバーが容易に破壊されるべく該
補強材ネットをインサートしないラインを設けるのが一
般的である。
一方、実開昭52−76042号公報には、表面をきれいに
仕上げるための硬質ウレタン発泡体からなる表皮層と、
カバー全体をやわらかくするため低密度(高倍率発泡)
ウレタン発泡体のコア層との2層からなり、該コア層か
ら表皮の一部に達するスリット(エアーバッグ膨張時に
スムーズに展開させるためのライン)を備えたエアーバ
ッグ収納用カバーが提案されている。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来のエアーバッグ収納用カバーのうち、ネット
状インサートを入れたエアーバッグ収納用カバーは、ネ
ット状の補強材をインサートするため、製作工数が多く
煩雑であり、また、たとえウレタン発泡成形(RIM)を
用いても高い精度で製造するのが困難であり、歩留まり
が低く、かつコスト高であるという問題があった。
また実開昭52−76042号公報に開示されるカバーは、
表皮が硬質ウレタン発泡体(ASTM−D2240、ショア硬度
が30〜40)であるため、車両運転中などに身体の一部が
当たると柔らかみが感じられずに不快感が催される。更
に、ウレタン系材料は衝撃強度が低く、補強材インサー
トがないため、エアーバッグ膨張時に破片が飛散するこ
とがあるという欠点もあった。
本発明は、上記従来のエアーバッグ収納用カバーの問
題点を解決し、表皮層は軟らかくソフト感を与え、コア
層は外圧に耐え得る形状を保持し、かつ、−40℃から+
80℃の温度範囲において、エアーバッグ動作膨張時には
容易に破壊されるが破片飛散することがないだけでな
く、実車装着を考慮し、110℃,500時間という長時間高
温下においた後においても上記温度範囲で同様の良好な
破壊性能を示し、外観変化も殆どないような品質を有す
るエアーバッグ収納用カバーであって、射出成形のよう
な簡易な成形法により、不良品の出ない方法で高い歩留
りにて、高精度に、かつ、高い生産性、良好な経済性を
もって供給することができるエアーバッグ収納用カバー
を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 第1の発明のエアーバッグ収納用カバーは、炭化水素
系ゴム用軟化剤を含有し、かつ、JIS−K6301のJIS−A
硬度が20〜90のオレフィン系熱可塑性エラストマー及び
/又はスチレン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層
と、JIS−K7203の曲げ弾性率が1000kg/cm2以上の熱可塑
性樹脂からなるコア層とを有し、該コア層は前記表皮層
より硬度が高く、かつ、該コア層には、エアーバッグ動
作開始のとき容易に開裂するための脆弱部分が付されて
おり、該表皮層は該コア層をその上部及び側部にわたっ
て被覆しているエアーバッグ収納用カバーであって、予
めコア層を成形し、該成形品を表皮層の空間を残した金
型に装着し、その表皮層空間部に表皮層材料を射出成形
するインサートインジェクション法、又は、コア層を成
形し、次いでキャビティ型を引離し、コア層成形品を金
型から取り出すことなく連続して表皮層空間を有する新
たなキャビティ型を被装して該表皮層空間部に表皮層材
料を射出成形するダブルインジェクション法により成形
されてなることを特徴とする。
第2の発明のエアーバッグ収納用カバーは、JIS−K63
01のJIS−A硬度が20〜90のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーか
らなる表皮層と、オレフィン系ゴムを含有し、かつ、JI
S−K7203の曲げ弾性率が1000kg/cm2以上の熱可塑性樹脂
からなるコア層とを有し、該コア層は前記表皮層より硬
度が高く、かつ、該コア層には、エアーバッグ動作開始
のとき容易に開裂するための脆弱部分が付されており、
該表皮層は該コア層をその上部及び側部にわたって被覆
しているエアーバッグ収納用カバーであって、予めコア
層を成形し、該成形品を表皮層の空間を残した金型に装
着し、その表皮層空間部に表皮層材料を射出成形するイ
ンサートインジェクション法、又は、コア層を成形し、
次いでキャビティ型を引離し、コア層成形品を金型から
取り出すことなく連続して表皮層空間を有する新たなキ
ャビティ型を被装して該表皮層空間部に表皮層材料を射
出成形するダブルインジェクション法により成形されて
なることを特徴とする。
第3の発明のエアーバッグ収納用カバーは、炭化水素
系ゴム用軟化剤を含有し、かつ、JIS−K6301のJIS−A
硬度が20〜90のオレフィン系熱可塑性エラストマー及び
/又はスチレン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層
と、オレフィン系ゴムを含有し、かつ、JIS−K7203の曲
げ弾性率が1000kg/cm2以上の熱可塑性樹脂からなるコア
層とを有し、該コア層は前記表皮層より硬度が高く、か
つ、該コア層には、エアーバッグ動作開始のとき容易に
開裂するための脆弱部分が付されており、該表皮層は該
コア層をその上部及び側部にわたって被覆しているエア
ーバッグ収納用カバーであって、予めコア層を成形し、
該成形品を表皮層の空間を残した金型に装着し、その表
皮層空間部に表皮層材料を射出成形するインサートイン
ジェクション法、又は、コア層を成形し、次いでキャビ
ティ型を引離し、コア層成形品を金型から取り出すこと
なく連続して表皮層空間を有する新たなキャビティ型を
被装して該表皮層空間部に表皮層材料を射出成形するダ
ブルインジェクション法により成形されてなることを特
徴とする。
即ち、本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭意検
討を重ねた結果、特定の表皮層と特定のコア層とを採用
し、かつ、コア層に開裂容易な部分、例えば脆弱形状を
施すことによって上記目的が達成されることを見出し、
本発明を完成させた。
以下に本発明を図面を参照して詳細に説明する。
第1図は本発明の実施例に係るエアーバッグ収納用カ
バーがエアーバッグに装着された状態を示す概略的な部
分断面正面図であり、第2図はエアーバッグ収納用カバ
ーの背面図である。
図中、1はエアーバッグ収納用カバー、2はエアーバ
ッグ、3はインフレーター、4はリングリテーナ、5は
ベースリテーナ、6はプレート、7はリベット、1Aは表
皮層、1Bはコア層、1Cはミシン目状スリットである。
図示の如く、本発明のエアーバッグ収納用カバー1
は、表皮層1Aとして、炭化水素系ゴム用軟化剤を含有
し、或いは含有せず、かつ、JIS−K6301のJIS−A硬度
が20〜90のオレフィン系熱可塑性エラストマー及び/又
はスチレン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層を用
いている。表皮層1Aの炭化水素系ゴム用軟化剤の含有量
は30重量%以下が適当である。
一方、コア層1Bとしては、オレフィン系ゴムを含有
し、或いは含有せず、かつ、JIS−K7203の曲げ弾性率が
1000kg/cm2以上の熱可塑性樹脂からなるコア層を用いて
いる。コア層1Bのオレフィン系ゴムの含有量は60重量%
以下が適当であり、熱可塑性樹脂としてはオレフィン系
樹脂が好適である。
このコア層1Bは表皮層1Aより硬度が高く、かつ該コア
層1Bには、エアーバッグ動作開始のとき容易に開裂する
ための部分として、脆弱形状1C、例えばノッチ状肉薄形
状、ミシン目状のスリット形状等が施されているもので
ある。また、コア層1Bはその上部及び側部にわたって表
皮層1Aで被覆されている。
本発明において、表皮層1Aの構成材料とする炭化水素
系ゴム用軟化剤を含有し、或いは含有せず、かつ、JIS
−K6301のJIS−A硬度が20〜90のオレフィン系熱可塑性
エラストマーとしては、オレフィン系ゴム、例えば、EP
M、EPDM、エチレン−ブテン−1共重合体ゴム等とオレ
フィン系樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等
を必要に応じて所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤、例え
ばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等と、更に、
場合により無機フィラー、例えば炭酸カルシウム、シリ
カ、タルク等の各種充填剤、着色剤、安定剤等を充填し
た複合物、又は、特開昭46−26838、特開昭52−13541、
特開昭52−37953、特開昭56−98248等に示された製法に
より製造される、部分的に架橋構造を有するものが好適
である。
また、表皮層1Aに用いることができる上記性能を有す
るスチレン系エラストマーとしては、モノビニル芳香族
炭化水素の重合体ブロックと共役ジエンのエラストマー
性重合体ブロックからなるブロック共重合体又はその水
素添加誘導体をベースポリマーとした熱可塑性エラスト
マーが挙げられる。これらのベースポリマーは、リチウ
ム系触媒を用いたリビング重合等の常法にて得ることが
できる。なかでもスチレン重合体ブロックとブタジエン
及び/又はイソプレンの重合体ブロックからなるものの
水素添加誘導体をベースポリマーとしたものが、耐候
性、耐熱老化性、柔軟調節性等の点で好ましい。
より具体的には、表皮層1Aを構成するスチレン系熱可
塑性エラストマーとしては、上記のベースポリマーに各
種熱可塑性樹脂、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系
樹脂等と、場合により、前記のオレフィン系エラストマ
ーと同様の所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤、無機フィ
ラー等を必要に応じて複合して硬度等の品質をコントロ
ールしたものが好適である。
表皮層1Aの構成材料としては、前記のオレフィン系、
スチレン系熱可塑性エラストマーをそれぞれ単独で用い
る場合に限らず、これらを適当な比率で混合して用いる
こともできる。
表皮層1Aの炭化水素系ゴム用軟化剤の含有量は、前述
の如く、30重量%以下が望ましいが、炭化水素系ゴム用
軟化剤が30重量%を越えるものは、110℃,500時間経時
後、外観不良(変形等)を起こし、また、−40℃でのエ
アーバッグ膨張時に破壊不良、即ち、所定の脆弱部以外
の箇所での破壊や破片の飛散等が発生するという問題が
ある。
炭化水素系ゴム用軟化剤の量としては、上述の問題点
の他、硬度(ソフト感)、成形加工性を考慮する必要が
あるが、これらを勘案した場合、好ましくは20重量%以
下、更に好ましくは10重量%以下の範囲であり、これを
添加する場合の下限値は、最終品質の点からみて、好ま
しくは1重量%、より好ましくは3重量%である。
本発明において、表皮層1Aを構成する熱可塑性ポリマ
ーとしては、JIS−A硬度で20〜90のものが選定される
が、硬度が上記範囲未満のものは、柔軟性に富むが、成
形加工性(例えば、射出成形性)、機械的強度に劣り破
損し易いという欠点がある。また、硬度が上記範囲を超
えるものは、成形加工性は問題ないが、ソフト感に劣り
実用的ではないという欠点を有する。硬度20〜90の範囲
内での硬度選択は、表皮層の肉厚によっても変化する
が、好ましくは硬度30〜70の範囲、より好ましくは硬度
40〜65の範囲とするのが望ましい。
表皮層1Aの肉厚は、通常カバー1の部位により異な
り、全体にわたって全く均一であることはないが、本発
明においては、表皮層1Aの表面積の70%以上の部分、好
ましくは80%以上の部分が厚さ0.5mm以上であることが
好適である。肉厚の上限は特にないが、デザイン、経済
面、ソフト感、エアーバッグの動作性能、成形加工面等
から10mm程度以下とするのが適当である。
また、表皮層1Aはソフト感、軽量化を改善する目的
で、3.0倍程度以下の発泡を施してあっても良い。
本発明において、コア層1Bの構成材料として用いる、
オレフィン系ゴムを含有し、或いは含有せず、JIS−K72
03の曲げ弾性率が1000kg/cm2以上で、かつ前記表皮層1A
の熱可塑性ポリマーより高い硬度を有する熱可塑性樹脂
としては、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンの
単独重合体又は共重合体等が好適である。また、オレフ
ィン系ゴムとしてはEPM、EPDM、エチレン、ブテン−1
共重合体ゴム等を挙げることができる。こららはそれぞ
れ単独で用いても良く、また2種以上をブレンドして用
いても良い。更に、上記弾性率及び硬度の範囲内である
限り、一般に広く行われている手法により、他の各種樹
脂、エラストマーやガラスファイバー、タルク、炭酸カ
ルシウム、シリカ、マイカ等の各種充填剤、着色剤、安
定剤等を充填したものであっても良い。
コア層1Bのオレフィン系ゴムの含有量は、前述の如
く、60重量%以下が適当であるが、オレフィン系樹脂と
オレフィン系ゴムの配合組成において、オレフィン系ゴ
ムが60重量%を超える場合には、成形加工性、成形保持
性に問題が生じる。
本発明において、コア層1Bを構成する熱可塑性樹脂の
曲げ弾性率が1000kg/cm2未満のもの或は硬度が表皮層1A
の熱可塑性エラストマーより低いものでは、十分な形状
保持が達成されず、外圧により変形しやすく、エアーバ
ッグ収納用カバーとして不適である。一方、曲げ弾性率
が10000kg/cm2を超えるものは、2層エアーバッグカバ
ーとしての全体の柔かさ及び−40℃におけるエアーバッ
グ動作時の破壊不良が起こり易い。よって、曲げ弾性率
は、カバー全体のソフト感、動作特性及び形状保持の点
から1000kg/cm2以上であって、10000kg/cm2以下、特に1
500kg/cm2〜7000kg/cm2であることが好ましい。とりわ
け好ましい範囲は2000kg/cm2〜5000kg/cm2である。
コア層1Bの肉圧は特に制限はないが、一般には、0.5
〜5mm程度、好ましくは1〜3mm程度の厚さとされる。
本発明においては、このような熱可塑性樹脂で構成さ
れるコア層1Bには、エアーバッグ動作開始の際に容易に
コア層1Bが開裂するための脆弱形状が施されている。こ
の脆弱形状は、ミシン目状のスリット形状1Cの他、ノッ
チ状肉薄形状、その他各種のものを採用することができ
る。また、その形成箇所、形成範囲等には特に制限はな
く、コア層1Bの形状、強度、エアバッグ動作時の応力等
に応じて適宜決定される。
このような本発明のエアーバッグ収納用カバーは、予
めコア層を成形し、該成形品を表皮層の空間を残した金
型に装着し、その表皮層部に熱可塑性ポリマーからなる
表皮層材料を射出成形するいわゆるインサートインジェ
クション法、又は、コア層を成形し、次いでキャビティ
型を引離し、コア層成形品を金型から取り出すことなく
連続して表皮層空間を有する新たなキャビティ型を被装
して表皮層材料を射出成形するいわゆるダブルインジェ
クション(二色成形)法により成形される。
この際、コア層1Bにはエアーバッグが動作開始のとき
容易に開裂するための前述の脆弱形状を施しておく必要
がある。脆弱形状としては、前述の如く、ノッチ状肉薄
形状やミシン目状のスリット形状等があるが、この形状
はコア成形品を成形するに際し、その形状を有する金型
で成形して施してもよく、また、コア成形品を成形した
後、このような形状を付与する加工を施してから表皮層
を積層するようにしても良い。
なお、本発明のエアーバッグ用カバーは、車両室内の
豪華さ、他の内装部品との色合せ、フィーリング等を向
上させるために、必要に応じて表皮層1Aを塗装すること
もできる。表皮層1Aの塗装は耐傷付性の点からも好まし
いものである。
[作用] 本発明のエアーバッグ収納用カバーにおいては、比較
的硬質なコア層がその上部及び側部にわたって軟質な表
皮層で被われていることから、該カバーに身体が当たっ
ても柔らかみがあり、不快に感ずることがない。また、
コア層が硬質であるため多少の外力が作用してもカバー
が変形したり、損壊したりすることがない。
また、本発明のカバーは、−40℃から+80℃の範囲に
て、車両衝突時等にカバー内のエアーバッグが膨張した
際に、予めコア層にもうけられたカバー開裂用の脆弱形
状に沿ってカバーが開裂するのであるが、このカバー開
裂時において、硬質なコア層がその上部及び側部にわた
って軟質な表皮層で密着して覆われていることから、カ
バー開裂破片が飛散することがない。
更に本発明のカバーは、実車装着を考慮した110℃,50
0時間経時後においても、上記温度範囲(−40℃〜+80
℃)で良好な破壊性能を示し、外観変化は殆ど認められ
ない良好なものである。
[実施例] 次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7、比較例1〜6 型締圧350トンのインラインスクリュー二色射出成形
機を用い、第1表に示すコア材料にて開裂用のミシン目
状スリット(約0.7cmの長さのものが29本)が入ったコ
ア層(厚さ1.0〜3.0mm)を成形し、次いでその上に第1
表に示す表皮材料にて表皮層を所定の肉厚になるように
射出成形し、第1図に示すエアーバッグ用モジュールカ
バー1を得た。
なお、実施例6においては、発泡表皮層を成形した。
発泡成形においては二色成形における表皮材料に炭酸ガ
ス系発泡剤マスターバッチ(三菱油化社製ファインブロ
ーS20N)を5部ドライブレンドして成形した。
また、実施例7においては、表皮層の塗装を行なっ
た。
塗装は、カバーの射出成形後に表皮層をイソプロピル
アルコールで拭き、次に坂井化学社製プライマー(MEX5
440とメチルエチルケトン1対1)を7〜10μmスプレ
ー塗布、室温にて10分間乾燥の後、坂井化学社製ウレタ
ントップコート(MEX−6047:硬化剤F−3:シンナー58u
=100:10:50)を20〜25μmスプレー塗布、室温にて10
分乾燥後、80℃で30〜45分焼き付けることにより行なっ
た。
得られた製品は、後述の方法により評価し、結果を第
1表に示した。
なお、第1表に示す使用材料は、下記の通りである。
[コア材料] PP−1:プロピレン−エチレンブロックコポリマー樹脂と
エチレン−プロピレンゴムとのブレンド物(三菱油化製
BC4/日本合成ゴム製EP07p−50/50(重量%)) BC4:MFR(230℃,2.16kg) 6.5g/10分 曲げ弾性率11600kg/cm2 EP07p:ML(100℃)70 プロピレン含量27% ブレンド物:曲げ弾性率2000kg/cm2 JIS−A硬度97 PP−2:プロピレン−エチレンブロックコポリマー樹脂と
エチレン−プロピレンゴムとのブレンド物(三菱油化製
BC4/日本合成ゴム製EP07p−60/40(重量%)) ブレンド物:曲げ弾性率4000kg/cm2 JIS−A硬度99 PP−3:プロピレンホモポリマー樹脂(三菱油化製MA−
4) MFR5g/10分 曲げ弾性率12000kg/cm2 JIS−A硬度100 PP−4:プロピレン−エチレンブロックコポリマー樹脂と
エチレン−プロピレンゴムとのブレンド物(三菱油化製
MA−4/日本合成ゴム製EP07p=30/70(重量%)) ブレンド物:曲げ弾性率500kg/cm2 JIS−A硬度86 PE−1:低圧法ポリエチレン樹脂(三菱油化製JX−10) MFR(190℃,2.16kg) 20g/10分 曲げ弾性率9000kg/cm2 JIS−A硬度100 PE−2:線状低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−プロピ
レンゴムとのブレンド物(三菱油化製UJ280/日本合成ゴ
ム製EP07p=40/60(重量%)) UJ280:MFR(190℃,2.16kg)30g/10分 曲げ弾性率2600kg/cm2 ブレンド物:曲げ弾性率400kg/cm2 JIS−A硬度82 [表皮材料] TPS−1:下記〜の4成分からなり、SEBS−1/SPX
9400/PIB−1/OIL=35/15/40/10(重量%)の配合組
成のもの100重量部に、安定剤としてチバガイギー製イ
ルガノックス1010を0.2重量部及びカーボンブラック0.5
重量部を加えて二軸押出機にて200℃で混練したもの。
JIS−A硬度=55 スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘
導体(SEBS−1);ブルックフィールド粘度20重量%
(トルエン溶液2000cps,25℃) プロピレン−エチレンブロックコポリマー(樹脂三菱
油化製SPX9400);MFR(230℃,2.16kg)6g/10分、曲げ弾
性率4500kg/cm2 ポリイソブチレン(PIB−1)(日本石油化学製テト
ラックス3T);粘度平均分子量30000 バラフィン系ゴム用軟化剤(OIL)(出光興産製pw38
0);40℃動粘度380cSt TPS−2:TPS−1と同様の方法で下記組成にて調製したも
の。
SEBS−1/SPX9400/PIB−1/OIL=35/15/30/20
(重量%) JIS−A硬度=45 TPS−3:スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素
添加誘導体(SEBS−2)を用い、TPS−1と同様の方法
で下記組成にて調製したもの。
SEBS−2/SPX9400/PIB−1/OIL=45/15/30/10
(重量%) JIS−A硬度=68 ただし、SEBS−2は、ブルックフィールド粘度20重
量%(トルエン溶液1500cps,25℃)である。
TPS−4:TPS−1と同様の方法で下記組成にて調製したも
の。
SEBS−1/SPX9400/OIL=35/5/60(重量%) JIS−A硬度=15 TPS−5:TPS−1と同様の方法で下記組成にて調製したも
の。
SEBS−1/BC−4/OIL/炭酸カルシウム=24/9/37/30(重量
%) JIS−A硬度=55 TPO−1:オレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱油化
製サーモラン3600B) JIS−A硬度=70 TPO−2:オレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱油化
製サーモラン3920B) JIS−A硬度=93 比較例7 比較例のため、高密度ウレタン発泡体の表皮層と低密
度ウレタンコア層の2層からなるエアーバッグ収納用カ
バーを製造し、その評価を行なった。
成形は、リムウレタン成形法によって予めコア層を低
発泡密度で成形してキュア(硬化)させた後、表皮層を
形成すべく金型に装着させ、更に同方法で表皮層を成形
するインサート成形法で行なった。表皮層成形のための
発泡材はフロンガスを使用した。この方法は、キュア工
程を2回必要とし、生産性が悪かった。
得られたエアーバッグ収納用カバーについて、実施例
1と同様な方法で評価を行ない、結果を第1表に示し
た。
比較例8 更に比較のため、補強用ネットを設けたエアーバッグ
収納用カバーを製造し、その評価を行なった。
このネット入りリムウレタン成形では、比較例7と同
様にして2層成形するにあたり、ポリエステル繊維をネ
ット状に編み、それをカバーの開裂に沿った形状に溶断
し、金具(フック)をつけた。これをリム金型に装着
し、ウレタンでリム成形した。この時、発泡材としてフ
ロンガスを使用し、脱型した後、100℃,30分でキュアさ
せた。この方法では、ネットをインサートすることによ
って、安全なスキン層を作ることが難しく、成形サイク
ルがあがらないなどの欠点があった。
得られたエアーバッグ収納用カバーについて、実施例
1と同様な方法で評価を行ない、結果を第1表に示し
た。
第1表より明らかなように、実施例1〜7に示された
本発明のエアーバッグ収納用カバーは、ソフト感、形状
保持性、−40℃の展開テスト、110℃,500時間の耐久性
テスト、生産性ともに非常に良好なものであった。
[評価方法] ソフト感 第1図の如く、エアーバッグ2とエアーバッグ収納用
カバー1及びリテーナー(取付金具)4,5とインフレー
ター3を組み付けたモジュールカバー又は、カバー1単
品を−20℃〜−80℃中にサンプルが雰囲気温度に達する
まで放置し、その時のカバーを10人の人間による手の感
触で評価。ソフト感を感じたものが10人中10人であれば
○、10人中8人であれば△、それ以下は×とした。
形状保持性 第1図の如く、エアーバッグ2とエアーバッグ収納用
カバー1及びリテーナー(取付金具)4,5とインフレー
ター3を組み付けたモジュールカバー又は、カバー1単
品を80℃〜110℃の高温状態で長時間(<1000hr)放置
又は、−40℃〜100℃の熱サイクルで10サイクル放置
し、テスト中又はテスト後に変形の状態を観察し、変形
の殆どないものはエアーバッグ収納用カバーとして好適
(○)とし、著しい変形のあるものはエアーバッグ収納
用カバーとして不適(×)とした。
−40℃展開テスト ,で組み付けたモジュールをステアリングに取付
け−40℃に雰囲気温度に達する程度の時間放置し、1分
以内に展開テストを実施し、その時にモジュールカバー
が割れて飛散したり、又は、カバーが鋭利な形状に割れ
てバッグを引き裂くなどのエアバッグとして正常な動作
がなかった場合を不適(×)とし、正常な動作がなされ
た場合を好適(○)とした。
110℃,500時間の耐久性テスト ギヤ式熱老化試験機にてモジュールカバーを上記条件
でエージングした後、のテスト方法に従い−40℃展開
テストを実施、更にエージング前後のモジュールカバー
外観を比較し、ソリ、変形、コア材への軟化剤のブリー
ド等著しい変化があるものは×、ないものは○とした。
生産性 連続して20個の製品を製造し、成形品の外観寸法、重
量をチェックし、全数合格レベルなら○とし、90%以上
なら△、それ以下は×とした。
[発明の効果] 以上詳述した通り、本発明のエアーバッグ収納用カバ
ーは、表皮層が軟質であるので身体の一部が当っても柔
らかみがあるため快適感が高い。また、コア層が比較的
硬質であるため、形状保持性に優れ耐久性が高い。そし
て、エアーバッグの動作時には、カバー開裂用の脆弱形
状により、カバーは速やかに開裂する。しかも、軟質な
表皮層によりカバーの開裂時のコア層の飛散が確実に防
止される上に、良好な破壊性能を示し、耐久性に著しく
優れる。
しかして、本発明のエアーバッグ収納用カバーは、合
理化された成形法であるインサートインジェクション法
又はダブルインジェクション法により成形されるため、
簡便かつ高精度に、不良品の発生も殆どなく、高い歩留
りにて確実かつ効率的に製造することが可能であり、製
品の大幅なコストダウンを図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るエアーバッグ収納用カ
バーがエアーバッグに装着された状態を示す概略的な部
分断面正面図であり、第2図はエアーバッグ収納用カバ
ーの背面図である。 1……エアーバッグ収納用カバー、1A……表皮層、1B…
…コア層、2……エアーバッグ、3……インフレータ
ー、4,5……リテーナ。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化水素系ゴム用軟化剤を含有し、かつ、
    JIS−K6301のJIS−A硬度が20〜90のオレフィン系熱可
    塑性エラストマー及び/又はスチレン系熱可塑性エラス
    トマーからなる表皮層と、 JIS−K7203の曲げ弾性率が1000kg/cm2以上の熱可塑性樹
    脂からなるコア層とを有し、 該コア層は前記表皮層より硬度が高く、かつ、該コア層
    には、エアーバッグ動作開始のとき容易に開裂するため
    の脆弱部分が付されており、該表皮層は該コア層をその
    上部及び側部にわたって被覆しているエアーバッグ収納
    用カバーであって、 予めコア層を成形し、該成形品を表皮層の空間を残した
    金型に装着し、その表皮層空間部に表皮層材料を射出成
    形するインサートインジェクション法、又は、コア層を
    成形し、次いでキャビティ型を引離し、コア層成形品を
    金型から取り出すことなく連続して表皮層空間を有する
    新たなキャビティ型を被装して該表皮層空間部に表皮層
    材料を射出成形するダブルインジェクション法により成
    形されてなることを特徴とするエアーバッグ収納用カバ
    ー。
  2. 【請求項2】コア層を構成する熱可塑性樹脂が、α−オ
    レフィンの単独重合体又は共重合体である請求項1に記
    載のエアーバッグ収納用カバー。
  3. 【請求項3】JIS−K6301のJIS−A硬度が20〜90のオレ
    フィン系熱可塑性エラストマー及び/又はスチレン系熱
    可塑性エラストマーからなる表皮層と、 オレフィン系ゴムを含有し、かつ、JIS−K7203の曲げ弾
    性率が1000kg/cm2以上の熱可塑性樹脂からなるコア層と
    を有し、 該コア層は前記表皮層より硬度が高く、かつ、該コア層
    には、エアーバッグ動作開始のとき容易に開裂するため
    の脆弱部分が付されており、該表皮層は該コア層をその
    上部及び側部にわたって被覆しているエアーバッグ収納
    用カバーであって、 予めコア層を成形し、該成形品を表皮層の空間を残した
    金型に装着し、その表皮層空間部に表皮層材料を射出成
    形するインサートインジェクション法、又は、コア層を
    成形し、次いでキャビティ型を引離し、コア層成形品を
    金型から取り出すことなく連続して表皮層空間を有する
    新たなキャビティ型を被装して該表皮層空間部に表皮層
    材料を射出成形するダブルインジェクション法により成
    形されてなることを特徴とするエアーバッグ収納用カバ
    ー。
  4. 【請求項4】コア層を構成する熱可塑性樹脂が、α−オ
    レフィンの単独重合体又は共重合体である請求項3に記
    載のエアーバッグ収納用カバー。
  5. 【請求項5】炭化水素系ゴム用軟化剤を含有し、かつ、
    JIS−K6301のJIS−A硬度が20〜90のオレフィン系熱可
    塑性エラストマー及び/又はスチレン系熱可塑性エラス
    トマーからなる表皮層と、 オレフィン系ゴムを含有し、かつ、JIS−K7203の曲げ弾
    性率が1000kg/cm2以上の熱可塑性樹脂からなるコア層と
    を有し、 該コア層は前記表皮層より硬度が高く、かつ、該コア層
    には、エアーバッグ動作開始のとき容易に開裂するため
    の脆弱部分が付されており、該表皮層は該コア層をその
    上部及び側部にわたって被覆しているエアーバッグ収納
    用カバーであって、 予めコア層を成形し、該成形品を表皮層の空間を残した
    金型に装着し、その表皮層空間部に表皮層材料を射出成
    形するインサートインジェクション法、又は、コア層を
    成形し、次いでキャビティ型を引離し、コア層成形品を
    金型から取り出すことなく連続して表皮層空間を有する
    新たなキャビティ型を被装して該表皮層空間部に表皮層
    材料を射出成形するダブルインジェクション法により成
    形されてなることを特徴とするエアーバッグ収納用カバ
    ー。
  6. 【請求項6】コア層を構成する熱可塑性樹脂が、α−オ
    レフィンの単独重合体又は共重合体である請求項5に記
    載のエアーバッグ収納用カバー。
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