JP2022527954A - 全tpoエアバッグ組み立て体 - Google Patents

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Abstract

自動走行車両用の全熱可塑性オレフィン(TPO)エアバッグ・システムであって、TPOエアバッグ・カバーまたはシュートと結合されたTPOエアバッグ・モジュール筐体を含み、特に前部エアバッグ・システムとして適しているシステム、およびその製造方法。エアバッグ・モジュール筐体は、複数の突起部や窓を通して、またはボルトを通して、シュートと結合していてもよい。【選択図】図1

Description

本明細書に記載の発明は、エアバッグ・モジュール、特に、自動車の前方車室用に設計されたエアバッグ・モジュールであって、エアバッグ・モジュール筐体とエアバッグ・シュートの両方が熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーから作られているエアバッグ・モジュール、加えてそのようなエアバッグ・モジュールの製造方法に関する。
自動車の内装、特にインストルメント・パネルにおける目立った傾向の1つは、外観上継ぎ目のない、つまりエアバッグが突破するための継ぎ目が車両の乗員からは見えない、助手席側エアバッグ・システムを利用することである。こうしたエアバッグ・システムでは、インストルメント・パネル、または多くの場合溶接によってインストルメント・パネルの底面に取り付けられたダッシュボードの下の、エアバッグ組み立て体を概して利用している。エアバッグ・システムは、エアバッグ・シュート、エアバッグ・モジュール筐体、折り畳まれたバッグとインフレータ(化学反応/推進剤用の金属筐体付き)、インフレータ筐体を自動車のクロスビームに接続する(ことによって、内部で膨張したバッグに乗員が接触することで始まる、展開事象の最中の全体の負荷経路に反応する)ブラケットを含め、一般的に知られているいくつかの部品からなっている。
一般的なエアバッグ組み立て体は、特にモジュール筐体を製造するには、かなり重くなりコスト高となる可能性がある。モジュール筐体は、折り畳まれたバッグとインフレータを、推進剤の初期反応物を含有するさらに小さな金属筐体とともに収容する。このモジュール筐体は一般的に、展開事象の最中にモジュール筐体に加わる力に耐えられる充分な機械的強度を有するようにするために、鋼、またはかなり高密度のガラス・ナイロン(または長ガラス・ポリプロピレン)複合材料から作られる。対照的に、エアバッグ・シュートは、熱可塑性オレフィン材料から作られることが多かったが、これは、そうした材料のさらなる軽量性と射出成形による製造の容易さを利用するためであった。
本発明の目的は、エアバッグ筐体から金属およびガラスの構成要素を削減する、または使用しないようにすることにより、そしてそれらをさらに軽量な熱可塑性材料に置き換えることにより、公知のエアバッグ組み立て体の重量を低減することである。
本発明のさらなる目的は、エアバッグ・モジュール筐体とエアバッグ・シュートを同一材料から形成することにより、エアバッグ組み立て体の製造の複雑さを軽減することである。
本発明のさらなる目的は、エアバッグのモジュール筐体とシュートを単一の組み合わせモールドにおいて形成することにより、それらの製造を簡略化する方法を提供することである。
これらおよび他の目的は本発明によって提供され、その第1の実施形態は、エアバッグ用の組み立て体を提供する。この組み立て体は、インストルメント・パネルに取り付けられるように構成されるエアバッグ・シュートと、エアバッグ・シュートに取り付けられたエアバッグ・モジュール筐体とを具備する。エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体はそれぞれ、少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む。
本発明の別の態様は、エアバッグ・モジュール筐体に関するものであり、このエアバッグ・モジュール筐体は、その全重量に対して、少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含むものである。
本発明の別の態様は、エアバッグ・シュートに関するものであり、このエアバッグ・シュートは、その全重量に対して、少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む。エアバッグ・シュートは、側壁を具備し、各側壁が複数の窓を形成している。各側壁は外面を有し、少なくとも2つの側壁がリブを有する。
本発明の別の態様は、エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体とを製造する工程に関する。この工程は、エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体とを、組み合わせ型具において射出成形により同時に形成するステップを含む。
図1は、前部エアバッグ・システムの位置を示す従来型のインストルメント・パネルの概略図を示すものであり、「先行技術」と標識されている。 図2Aは、本発明の一実施形態を示す助手席側の前部/上部エアバッグ組み立て体とインストルメント・パネルとの車体断面図を示す。 図2Bは、図2Aの機械的噛合部の平面図を示す。 図3Aは、本発明の一実施形態による、運転席または助手席のニー・エアバッグ(knee airbag)組み立て体の斜視図の表現である。 図3Bは、図3Aのエアバッグ組み立て体の断面を示す。 図4Aは、運転席側の前部/上部エアバッグ組み立て体の下面図を示す。 図4Bは、図4Aの運転席側の前部/上部エアバッグ組み立て体の側面図を示す。 図4Cは、図4Bの機械的噛合部の断面図を示す。 図5Aは、本発明の一実施形態による、モジュール筐体をエアバッグ・シュートに噛合させるのに使用される、TPOモジュール筐体壁上の機械的噛合部/締結具/フックと、シュート壁の窓の周りのリブ構造とを示す。 図5Bは、図5Aの構造体の断面図を示す。 図6Aは、本発明の一実施形態に準拠するエアバッグ・モジュール筐体の応力解析に使用されるモデルの斜視図を示す。 図6Bは、図6Aのモジュール筐体に嵌装させるように設計されたエアバッグ・シュートのモデルの上面斜視図である。 図6Cは、図6Aのモジュール筐体に嵌装させるように設計されたエアバッグ・シュートのモデルの下面斜視図である。 図7Aは、本発明の一実施形態に準拠する組み立て体に合体させたモジュール筐体とエアバッグ・シュートのモデルの斜視図を示す。 図7Bは、図7Aの組み立て体に合体させたモジュール筐体とエアバッグ・シュートのモデルの断面図を示す。 図8は、本発明の一実施形態に準拠するエアバッグ組み立て体の開口部の中を見下ろす、エアバッグ組み立て体の上面斜視図である。 図9は、本発明の一実施形態に準拠する、内圧を加える前のエアバッグ組み立て体の側面および下面の斜視図である。 図10は、高温(85℃)および高負荷速度(クロスヘッド試験速度10m/秒)でのTPO試料の設計上の高速引張り時応力-歪み応答を示す。 図11は、高温(85℃)および高負荷速度(クロスヘッド試験速度10m/秒)でのTPO試料の真の高速引張り時応力-歪み応答を示す。 図12Aは、本発明の一実施形態に準拠するエアバッグ組み立て体とインストルメント・パネルの、展開シミュレーションと動的応力解析を目的として加えられる、負荷力を例示する。 図12Bは、図12Aに示すモデルの展開シミュレーションと動的応力解析を目的とした負荷力の圧力対時間のプロットを示す。 図13Aは、本発明の一実施形態に準拠する、負荷のかかったエアバッグ・システム組み立て体のモデルのシミュレーションの、第1の側のスナップショットを示しており、インストルメント・パネル扉が開き始める際の、図12Bに示された負荷サイクルに入って6.5ミリ秒のところのものである。 図13Bは、図13Aの負荷のかかったエアバッグ・システム組み立て体の上面斜視スナップショットを示しており、負荷サイクルに入って6.5ミリ秒のところのものである。 図13Cは、図13Aの負荷のかかったエアバッグ・システム組み立て体の長手方向の下面斜視スナップショットを示しており、負荷サイクルに入って6.5ミリ秒のところのものである。 図14Aは、本発明の一実施形態に準拠する、負荷のかかったエアバッグ・システム組み立て体のモデルのシミュレーションの、第1の側のスナップショットを示しており、インストルメント・パネル扉が完全に開いている際の、図12Bに示された負荷サイクルに入って7.5ミリ秒のところのものである。 図14Bは、図14Aの負荷のかかったエアバッグ・システム組み立て体の上面斜視スナップショットを示しており、負荷サイクルに入って7.5ミリ秒のところのものである。 図14Cは、図14Aの負荷のかかったエアバッグ・システム組み立て体の長手方向の下面斜視スナップショットを示しており、負荷サイクルに入って7.5ミリ秒のところのものである。 図15Aは、負荷サイクルを経た後の図13A~Cおよび14A~Cのエアバッグ組み立て体の斜視図を示す。 図15Bは、負荷サイクルを経る前の図13A~Cおよび14A~Cのエアバッグ組み立て体の斜視図を示す。 図16は、エアバッグの展開の最中における時間の関数としての内面にかかる内圧の関数としての累積界面力のプロットを示しており、本発明の一実施形態のシミュレーションに準拠するものである。 図17は、ボルト締結された助手席エアバッグ組み立て体の断面図である。 図18は、開いた状態での図17のエアバッグ組み立て体である。 図19Aは、インストルメント・パネル基材の上面図であり、ボルト孔の場所を示す。 図19Bは、図19Aのインストルメント・パネル基材であり、下にある周方向張力リングの位置を示す。 図20Aは、関連する締結用部分品を伴うボルトの上面図である。 図20Bは、ボルトの分解図である。 図21Aは、インストルメント・パネル基材の側面図である。 図21Bは、図21Aの下面図を示す。 図22Aは、エアバッグ・シュートの側面図である。 図22Bは、図22Aの下面図を示す。 図23Aは、エアバッグ・モジュール筐体の側面図である。 図23Bは、図23Aの下面図を示す。 図24は、ネジ込みインサートを備えたエアバッグ・シュートの断面図を示す。
以下の記載では、「a」および「an」ならびに同類の語は、「1つまたは複数」の意味を担う。「からなる群から選択される」、「から選択される」および同類の語句は、指定された材料の混合物を含む。「を含有する」および同類などの用語は、特に明記しない限り、「少なくとも含む」を意味する非限定的な用語である。本書で言及されているあらゆる参考文献、特許、出願、試験、規格、文書、公開公報、パンフレット、テキスト、記事等は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。数値的な限界または範囲が記載されている場合には、終点もまた含まれる。また、数値的な限界または範囲の中にあるあらゆる値および部分範囲は、あたかも明示的に書き出されたかの如く具体的に含まれる。
本明細書の残りの部分では、熱可塑性オレフィン(TPO)材料について説明する。TPOという語句は、ポリオレフィン類から作られた熱可塑性エラストマーを意味すると理解されるべきである。
ポリオレフィン類は、エチレン、プロピレン、ブテン(類)、イソプレン(類)、ペンテン(類)などの比較的単純なオレフィン類のポリマーであり、Whittington’s Dictionary of Plastics, p.252(Technomic Publications, 1978)に開示されているコポリマーおよび修飾体を含む。あらゆるポリオレフィン類に共通する好ましくない特性は、非極性で非多孔性の不活性な表面であり、この表面は、適切なプライミングや特別な前処理をしなければ、金属、ガラス、極性プラスチック、およびその他の表面コーティングや接着剤材料には接着しない。
「熱可塑性」材料とは、加熱すると繰り返し軟化して流動性にすることのできる、そして室温に冷却すると硬い状態に戻ることのできる直鎖のまたは分岐したポリマーである。これは一般的には、ASTM D638の方法に準拠して10,000psiより大きい弾性率を有する。加えて、熱可塑性樹脂は、加熱して軟化状態にすると、モールド成形または押出成形を行って、いかなる所定の形状の物品にもすることができる。
「エラストマー」とは、張力下で元の長さの少なくとも2倍に引き伸ばすことができる、そして引っ張る力を解放すると元の寸法に急速に戻るゴム状のポリマーである。エラストマーは概して、ASTM D412の方法に準拠して、室温での未架橋状態で、約6,000psi未満の弾性率と、概して200%より大きい伸び率を有する。
熱可塑性エラストマー(TPE)は、エラストマーの特性を持ちながら、熱可塑性樹脂のように加工できる材料群である。TPEが上記のとおりポリオレフィン類から作られる場合、業界では熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO)として公知である。TPEやTPOは概して、2種類以上のポリマーを混合することにより、またはブロック・コポリマーやグラフト・コポリマーを合成することにより、作られる。いずれの場合でも、熱可塑性エラストマーは少なくとも2つのセグメントを含み、一方は剛性の高い、通常は半結晶性の熱可塑性プラスチックであり、他方は非晶質エラストマーである。
TPOは、異なる種類のポリマーを混合することにより作られる場合がある。これらのポリマーブレンドは、オレフィン系エラストマーとポリオレフィン系熱可塑性樹脂との間のギャップを橋渡しする独自の特性を実現することができる。例えば、エチレン-プロピレン・コポリマー・エラストマーまたはターポリマー・エラストマーを、ポリプロピレンと混合することができる。ポリプロピレンに対するエラストマーの比に応じて、ブレンド組成物の特性を、高弾性率、高硬度のグレードから、可撓性で軟質のグレードまで変化させることができる。他の成分を加えることにより、顧客の特定の要望に合わせたその他の修正を行って、有用な化合物を作ってもよい。
本開示の第1の態様では、インストルメント・パネルに取り付けられるように構成されるエアバッグ・シュートと、エアバッグ・シュートに取り付けられたエアバッグ・モジュール筐体とを具備するエアバッグ組み立て体が記載される。エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体は、それぞれの全重量に対して、それぞれ少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィン(TPO)または熱可塑性エラストマー(TPE)を含む。好ましくは、エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体は、それぞれの全重量に対して、それぞれ少なくとも60wt%、少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、より好ましくは少なくとも90wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む。しかし、特定の実施形態では、エアバッグ組み立て体は、50wt%未満の、例えば30~40wt%、または40~50wt%のTPOまたはTPEを含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアバッグ組み立て体は、シュートとモジュール筐体が、それぞれの全重量に対して、少なくとも95wt%、好ましくは少なくとも98wt%、より好ましくは少なくとも99wt%の熱可塑性オレフィンを含む、「全TPO」エアバッグ組み立て体であると見なしてもよい。いくつかの実施形態では、「全TPO」エアバッグ組み立て体は、本質的にTPOから成っていてもよく、実例としては、シュートとモジュール筐体の少なくとも99.9wt%、または少なくとも99.99wt%、または約100wt%がTPOを含む。
一実施形態では、エアバッグ・シュートおよび/またはエアバッグ・モジュール筐体は、ガラスフィラーを含む。ガラスフィラーは、エアバッグ・シュートおよび/またはエアバッグ・モジュール筐体の全重量に対して、50wt%以下、40wt%以下、30wt%以下、25wt%以下、20wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、5wt%以下の重量百分率で存在してもよい。さらなる実施形態では、ガラスフィラーは、ガラス繊維である。別の実施形態では、ガラスフィラーは、全重量に対して、多くても5wt%、多くても10wt%、多くても15wt%、多くても20wt%、多くても25wt%、または多くても30wt%の重量百分率で存在してもよい。しかし、別の実施形態では、エアバッグ・シュートおよび/またはエアバッグ・モジュール筐体は、ガラスフィラーを実質的に含まなくてもよいが、これは、エアバッグ・シュートおよび/またはエアバッグ・モジュール筐体が、全重量に対して、0.5wt%未満、好ましくは0.1wt%未満、より好ましくは0.01wt%未満、または約0wt%のガラスフィラーを含むことを意味する。
ガラスフィラーは、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスフレーク、粉砕繊維、またはガラスビーズの形態であってもよい。ガラス繊維の直径は特には限定されないが、3から25μmが好ましい。ガラス繊維の形態は特には限定されず、モールド成形された製造物に要求される形成方法または特性に応じて適切に選択することができる。例えば、チョップド・ストランド(chopped strand)、粗紡、マット、布地、または粉砕繊維であってもよい。ガラス粉末の粒径は特には限定されないが、1から100μmの粒子サイズを有するものが好ましい。ガラスフレークの厚さとアスペクト比は特には限定されないが、0.1から10μmの厚さおよび5から150のアスペクト比を有するものが好ましい。粉砕繊維は、粉砕繊維を製造する従来型方法により得てもよい。例えば、ガラス繊維ストランドをハンマーミルまたはボールミルにより粉砕して粉砕繊維を得てもよい。粉砕繊維の繊維径とアスペクト比は特には限定されないが、繊維径は5から50μm、アスペクト比は2から150であることが好ましい。ガラスビーズは、5から300μmの直径を有するものが好ましい。
好ましい実施形態では、エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体は、それぞれ同一材料から形成されており、実例としては、両方とも約85wt%のTPOを含んでもよく、または両方とも約100wt%のTPOを含んでもよい。この特徴は、シュートとモジュール筐体の両方を同時に形成してもよいという利点、実例として一実施形態では、シュートとモジュール筐体の両方を同時に射出成形してもよいという利点を有する。さらに、シュートとモジュール筐体の両方が、同様の形状およびサイズを有して同一材料で作られる場合には、シュートとモジュール筐体は、組み合わせ型具において同時に射出成形されてもよい。それ自体の射出成形型具と工程サイクルが必要な鋼または複合材料から作られたエアバッグ・モジュール筐体と比較して、TPOエアバッグ組み立て体は、コストと重量が大幅に削減される。さらには、本開示のTPOをエアバッグ組み立て体に使用することで、擦傷を生じやすい材料、例えばガラス繊維強化樹脂の射出成形に伴う追加の保守コストが不要になる。加えて、主にTPOを用いて形成されるエアバッグ組み立て体の全重量は、同様のエアバッグ組み立て体を使用した場合と比較して、1から1.2ポンドと見積もられ、これは、こんにち使用されている同様のエアバッグ組み立て体よりも軽く、約30%の軽量化を表すものである。これは、こんにちの基準によるエアバッグ組み立て体の大幅な軽量化を表し、さらには燃費の向上に転換できる。
一実施形態では、TPOは、ポリオレフィン系ポリプロピレン・マトリクス中に分散されたエラストマー・ドメインを含む。エラストマー・ドメインは、いずれのオレフィン系エラストマーであってもよく、実例として、エチレン-プロピレン・コポリマー・エラストマー、ポリイソプレン・エラストマー、もしくはターポリマー・エラストマー、またはTPOおよびTPEにおいて使用される他のいずれのエラストマー種のドメインであってもよい。さらなる実施形態では、TPOは、ポリオレフィン系ポリプロピレン・マトリクス中に分散された熱可塑性エラストマー・ドメインを含む。熱可塑性エラストマー・ドメインは、分散されたオレフィン系ゴム、例えばエチレン・プロピレン・ゴム(EPR)またはエチレン・プロピレン・ジエン・モノマー・ゴム(EPDM)を含んでもよい。熱可塑性エラストマー・ドメインは、TPOの全重量に対して、5~70wt%、好ましくは10~50wt%、より好ましくは20~40wt%の重量百分率でTPO中に存在してもよい。しかし、いくつかの実施形態では、熱可塑性エラストマー・ドメインは、5wt%未満の重量百分率、例えば1~3wt%、または3~5wt%で存在してもよく、または70wt%より大きい重量百分率、例えば75~85wt%、または85~95wt%でTPO中に存在してもよい。ポリオレフィン系ポリプロピレン・マトリクスは、TPOの全重量に対して、30~95wt%、好ましくは40~80wt%、より好ましくは45~70wt%の重量百分率でTPO中に存在してもよい。しかし、いくつかの実施形態では、ポリオレフィン系ポリプロピレン・マトリクスは、30wt%未満の重量百分率、例えば5~15wt%、または15~30wt%で存在してもよく、または95wt%より大きい重量百分率、実例としては、約97wt%で存在してもよい。いくつかの実施形態では、ポリオレフィン系ポリエチレン・マトリクスを、ポリオレフィン系ポリプロピレン・マトリクスの代わりに使用してもよく、または一緒に混合してもよい。
一実施形態では、エアバッグ組み立て体のTPOは、サーモランTT969NU(THERMORUN TT969NU)、サーモランTT969、サーモランTT1029、テファブロックTOSI 818(TEFABLOC TOSI 818)、TT875NUなどの製剤である。一実施形態では、エアバッグ組み立て体のTPOは、新しい高性能グレードであるTT969XX、サーモランTT1029XX、テファブロックTOSI 818を含め、現状のあらゆるサーモランのグレードなどの製剤であり、そして同等以上の性能を有する次世代の開発製造物も考えられる。サーモラン/テファブロックのグレードは、現地生産および全世界生産の両方が行われる場合があり、「XX」という接尾語により表される命名の違いを使用して色や現地生産を識別している。例えば、先に表示のTT969XXは、TT969NU(天然色、米国)、TT969BU(黒色、米国)、TT969NL(天然色、ラテンアメリカ)、TT969BL(黒色、ラテンアメリカ)、TT969NZ(天然色、中国)、TT969BZ(黒色、中国)等であるがこれらには限定されない指定を考慮している場合がある。好ましい実施形態では、TPOは、サーモランTT969NUである。一実施形態では、エアバッグ組み立て体は、エアバッグ組み立て体を他のポリプロピレン系材料とともに再生できる量および種類のTPOを含んでもよい。エアバッグ組み立て体のTPOは、少なくとも200MPa、好ましくは少なくとも400MPa、より好ましくは少なくとも500MPaの曲げ弾性率を有してもよい。TPOは、0.70~1.05g/cm、好ましくは0.85~0.95g/cm、より好ましくは0.88~0.9g/cm、さらに好ましくは0.885~0.89g/cmの密度を有してもよい。TPOは、少なくとも150%、好ましくは少なくとも200%、より好ましくは少なくとも300%、または少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、または少なくとも700%の破断伸度を有してもよい。一実施形態では、エアバッグ組み立て体のTPOは、低温での延性と靭性を保持しつつ、高温での強度と剛性を示す。
一実施形態では、TPOは、以下の構成成分(A)および(B)を含んでおり、100重量部の構成成分(A)に対して、10から300重量部の成分(B)を含んでもよい。構成成分(A)は、ポリプロピレン系樹脂であり、構成成分(B)は、エチレンから構成されるポリマー・ブロックと、エチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックとを含有するオレフィン系ブロック・コポリマーである。参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,359,498号を見られたい。
アルファ-オレフィン類(すなわちα-オレフィン類)は、化学式C2xを有するアルケン類(オレフィン類としても知られる)であり、一位すなわちアルファ(α)位に二重結合を有することによって識別される有機化合物群である。構成成分(A)は、90から100wt%のプロピレン単位含有量を有するポリプロピレン系樹脂であるが、プロピレン・ホモポリマーであってもよいし、またはプロピレン単位に加えて、プロピレンを除くα-オレフィン単位(本明細書で使用される「α-オレフィン」はエチレンも含む)、またはα-オレフィンを除くモノマー単位を10wt%以下の量で含有するプロピレン系コポリマーであってもよい。プロピレンを除くα-オレフィン単位は、エチレンと、炭素数4から20のα-オレフィンとを含む。炭素数が4から20のα-オレフィンには、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ヘキセン、2,2,4-トリメチル-1-ペンテン等が挙げられる。プロピレンを除くα-オレフィンとしては、エチレン、および炭素数4から10のα-オレフィンが好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンがより好ましい。
構成成分(A)のポリプロピレン系樹脂には、例えば、プロピレン・ホモポリマー、プロピレン-エチレン・コポリマー、プロピレン-1-ブテン・コポリマー、プロピレン-1-ヘキセン・コポリマー、プロピレン-1-オクテン・コポリマー、プロピレン-エチレン-1-ブテン・コポリマー、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン・コポリマー、およびプロピレン-エチレン-1-オクテン・コポリマーなどが挙げられる。プロピレン・ホモポリマー、およびプロピレンと、エチレンおよび炭素数4から10のα-オレフィンから選択される少なくとも1つのモノマーとのコポリマーが好ましい。また、構成成分(A)のポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン・ブロック・コポリマーであってもよく、とりわけ、低温での衝撃耐性と高温での強度の観点からは、第1のステップでプロピレン・ホモポリマーを重合し、次いで第2のステップでプロピレン-エチレン・コポリマーを重合させて得られるポリプロピレン・ブロック・コポリマーが、構成成分(A)として好ましい。
構成成分(A)中のプロピレン単位含有量は、成分(A)全体に対して、90から100wt%、好ましくは95から100wt%、より好ましくは98から100wt%である。構成成分(A)中のプロピレン単位含有量が上記の下限値以上である場合には、エアバッグ筐体カバーの耐熱性と剛性が向上する。ここで、構成成分(A)中のプロピレン単位含有量は、赤外分光法により決定することができる。
構成成分(A)のメルトフローレート(測定温度:230℃、測定負荷:21.18N)は、限定されないが、通常0.1g/10分以上であり、モールド成形体の外観の観点から、0.5g/10分以上、好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは30g/10分以上である。また、構成成分(A)のメルトフローレート(測定温度:230℃、測定負荷:21.18N)は、通常200g/10分以下であり、引張強度の観点から、好ましくは150g/10分以下、より好ましくは100g/10分以下である。構成成分(A)のメルトフローレートは、ISO1133に準拠して、測定温度230℃、測定負荷21.18Nの条件下で測定される。
構成成分(A)のプロピレン系樹脂の製造方法としては、公知のオレフィン重合触媒を用いた公知の重合方法が採用される。この方法としては、例えば、ジーグラー・ナッタ触媒を用いた多段重合法が挙げられる。多段重合法では、スラリー重合法、溶液重合法、バルク重合法、気相重合法等を用いてもよく、それらの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
加えて、本発明のエアバッグ筐体カバーに用いる構成成分(A)としては、関連する市販製造物を用いてもよい。市販のポリプロピレン系樹脂は、以下の製造元等から調達可能であり、適宜選択してもよい。入手可能な市販製造物としては、プライムポリマー社(Prime Polymer Co., Ltd.)のプリム・ポリプロ(Prim Polypro(登録商標))、住友化学株式会社のノブレン(NOBLEN)、サンアロマー社(Sun Allomer Ltd.)のプロピレン・ブロック・コポリマー、日本ポリプロピレン株式会社のノバテックPP(NOVATEC PP)、リヨンデルバーゼル社(Lyondell Basell)のモプレン(Moplen(登録商標))、エクソンモービル社(Exxon Mobil)のエクソンモービルPP(Exxon Mobil PP)、フォルモサ・プラスチックス(Formosa Plastics)のフォルモレン(Formolene(登録商標))、ボレアリス社(Borealis)のボレアリスPP(Borealis PP)、LGケミカル社(LG Chemical)のシーテックPP(SEETEC PP)、Aシュルマン社(A. Schulman)のASIポリプロピレン(ASI POLYPROPYLENE)、イネオス・オレフィン・アンド・ポリマーズ社(INEOS Olefins & Polymers)のイネオスPP(INEOS PP)、ブラスケム社(Braskem)のブラスケムPP(Braskem PP)、サムスン・トータル・ペトロケミカルズ社(SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS)のサムスン・トータル(Sumsung Total)、サウジ基礎産業公社(Sabic)のサビックPP(Sabic(登録商標) PP)、トータル・ペトロケミカルズ社(TOTAL PETROCHEMICALS)のトータル・ペトロケミカルズ・ポリプロピレン(TOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene)、SKグループのユープレン(YUPLENE)等が挙げられる。
一実施形態では、TPOは、測定温度230°C、測定負荷21.18Nで0.5~50g/10分のメルトフローレートを有する。
本発明で用いる熱可塑性エラストマー組成物を構成する構成成分(B)は、エチレンから構成されるポリマー・ブロックと、エチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックとを含有するオレフィン系ブロック・コポリマーである。構成成分(B)は、110から125℃に結晶融解ピークを有すること、そしてピークでの結晶融解熱量が20から60J/gであることが好ましい。ここで、構成成分(B)において、110から125℃の結晶融解ピークでの結晶融解熱量が20から60J/gである場合には、これは、構成成分(B)が結晶性エチレンから構成されるポリマー・ブロックを有することを示す指標である。さらに、構成成分(B)は、エチレンから構成されるポリマー・ブロックに基づく結晶性に加えて、エチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックに基づく非結晶性を有している。構成成分(B)は、そのような構造を有しており、これによって、高温での強度と低温での衝撃耐性の効果が本発明のエアバッグ筐体カバーに付与される。高温での強度の観点から、構成成分(B)の結晶融解熱量は、好ましくは20J/g以上であり、より好ましくは30J/g以上である。また、低温での衝撃耐性の観点から、化合物(B)の結晶融解熱量は、好ましくは60J/g以下、より好ましくは50J/g以下である。
構成成分(B)中の結晶性ポリマー・ブロックは、主にエチレンから構成されるが、エチレンに加えて別のモノマー単位を含有してもよい。他のモノマー単位には、例えば、1-プロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどが挙げられる。末端炭素原子に炭素-炭素二重結合を有し炭素数3から8のα-オレフィン、例えば1-プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが、好ましい。構成成分(B)において、1種類のα-オレフィンのみがエチレンと共重合していてもよいし、または2種類以上のα-オレフィンがエチレンと共重合していてもよい。構成成分(B)としては、1種類の構成成分のみを用いてもよいし、または2種類以上の構成成分を組み合わせて用いてもよい。
構成成分(B)のエチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックとしては、エチレン単位に加えて、例えば、1-プロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンを成分単位として有するものなどが挙げられる。末端炭素原子に炭素-炭素二重結合を有し炭素数4から8のα-オレフィン、例えば1-プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが、好ましい。構成成分(B)としては、1種類のα-オレフィンのみがエチレンと共重合していてもよいし、または2種類以上のα-オレフィンがエチレンと共重合していてもよい。構成成分(B)としては、1種類の構成成分のみを用いてもよいし、または2種類以上の構成成分を組み合わせて用いてもよい。
構成成分(B)中のエチレン単位含有量は、エチレン単位含有量とα-オレフィン単位含有量との全量に対して、50から80wt%であることが好ましい。構成成分(B)中のエチレン単位含有量は、構成成分(B)がブロッキングに起因して融合するのを防ぐよう大きいことが好ましく、本発明の熱可塑性エラストマーをモールド成形する際の低温での衝撃耐性の観点からは小さいことが好ましい。構成成分(B)中のエチレン単位含有量は、より好ましくは55wt%以上であり、さらに好ましくは60wt%以上である。また、エチレン単位含有量は、より好ましくは75wt%以下である。ちなみに、構成成分(B)中のエチレン単位の含有量、および炭素数4から8のα-オレフィン単位の含有量のそれぞれは、赤外分光法によって決定することができる。
構成成分(B)のエチレンα-オレフィンコポリマーは、エチレン単位および炭素数4から8のα-オレフィン単位に加えて、非共役ジエン系モノマー単位(非共役ジエン単位)などの別のモノマー単位を含有してもよい。非共役ジエンには、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン、およびシクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンなどの環状非共役ジエンなどが挙げられる。好ましいのは、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンである。
構成成分(B)が非共役ジエン単位などの別のモノマー単位を含む場合には、その含有量は通常、構成成分(B)全体に対して、10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。非共役ジエン単位またはプロピレン単位の含有量は、赤外分光法によって決定することができる。
本発明に用いる構成成分(B)には、具体的には、例えば、結晶性エチレン・コポリマー・ブロックとエチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックとを含有するブロック・コポリマー、例えばエチレン-1-ブテン・コポリマー、エチレン-1-ヘキセン・コポリマー、エチレン-1-オクテン・コポリマー、エチレン-プロピレン-1-ブテン・コポリマー、エチレン-プロピレン-1-ヘキセン・コポリマー、エチレン-プロピレン-1-オクテン・コポリマーなどが挙げられる。これらのブロック・コポリマーの1種を用いてもよいし、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。とりわけ、構成成分(B)は、エチレン・コポリマー・ブロックとエチレン-1-オクテン・コポリマー・ブロックとを含有するブロック・コポリマーであることが最も好ましい、すなわち、構成成分(B)は、エチレンから構成されるコポリマーのブロックとエチレン-1-オクテン・コポリマーのブロックとを含有するオレフィン系ブロック・コポリマーであることが最も好ましい。
構成成分(B)は、結晶性を有するエチレンから構成されるポリマー・ブロックを含有することに加えて、エチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックに起因する非結晶性を有する。非結晶性は、ガラス転移温度で表され、DSC法によるガラス転移温度は、好ましくは-80℃以上、より好ましくは-75℃以上であり、そして好ましくは-50℃以下、より好ましくは-60℃以下である。
構成成分(B)のメルトフローレート(測定温度:230℃、測定負荷:21.18N)は、特には限定されないが、通常10g/10分以下であり、強度の観点からは、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは5g/10分以下、さらに好ましくは3g/10分以下である。また、構成成分(B)のメルトフローレートは通常、0.01g/10分以上であり、流動性の観点からは、好ましくは0.05g/10分以上、より好ましくは0.10g/10分以上である。構成成分(B)のメルトフローレートは、ISO1133に準拠して、測定温度230℃、測定負荷21.18Nの条件下で測定される。
構成成分(B)の密度は、低温での衝撃耐性の観点から、好ましくは0.88g/cm以下、より好ましくは0.87g/cm以下である。一方、下限は特には限定されないが、通常0.85g/cm以上である。
構成成分(B)の製造方法については、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる特表2007-529617号公報(JP-T-2007-529617)(本明細書において使用される「JP-T」という用語は、PCT特許出願の公開された日本語訳を意味する)、特表2008-537563号公報、および特表2008-543978号公報に開示されている方法に従って、ポリマーを合成することができる。例えば、ポリマーは、第1のオレフィン・ポリマー触媒と、同等の重合条件下で第1のオレフィン重合触媒によって調製されたポリマーとは化学的または物理的性質が異なるポリマーを準備することのできる第2のオレフィン・ポリマー触媒と、連鎖移動剤とを組み合わせることによって得られる混合物または反応生成物を含有する組成物を準備するステップ、およびこの組成物に上記のエチレンおよびα-オレフィンを付加重合条件下で接触させるステップを通じて、製造することができる。
構成成分(B)の重合には、連続溶液重合法を適用することが好ましい。連続溶液重合法では、触媒構成成分、連鎖移動剤、モノマー、場合によっては溶媒、アジュバント、スカベンジャー、および重合助剤が反応領域に連続的に供給され、そこからポリマー生成物が連続的に取り出される。ブロックの長さは、触媒の比や種類、連鎖移動剤の比や種類、重合温度等を制御することによって変化させることができる。
ブロック・コポリマーの合成方法における他の条件が、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる特表2007-529617号公報、特表2008-537563号公報、および特表2008-543978号公報に開示されている。関連する市販製造物には、例えば、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)製のエンゲージ-XLT(Engage(登録商標)-XLT)シリーズやインフューズ(INFUSE)シリーズなどが挙げられる。ちなみに、構成成分(B)のうち、エチレン・オクテン・コポリマーブロックを含有するものは、ダウ・ケミカル社が2007年にインフューズシリーズの、そして2011年にエンゲージ-XLTシリーズの商業生産を開始するまで、製造物としては入手できなかった。
モジュール筐体、シュート、またはインストルメント・パネルが100wt%未満のTPOを含む実施形態では、モールド成形またはフォーミング加工の前に、他の添加剤または充填剤をTPOと混合してもよく、これらには、他のポリマーまたはエラストマー材料、シリカ、パーライト、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸水素ナトリウム、二酸化チタン、長石、セメント、リグノスルホナート、硝酸マグネシウム、酸化カルシウム、ベントナイト、ドロマイト、酸化スピネル、粘土、ベライト(2CaO-SiO)、エーライト(3CaO-SiO)、セライト(3CaO-Al)、またはブラウンミラライト(4CaO-Al-Fe)、雲母、他の炭酸塩、他のセラミックフィラー、カーボンブラック、繊維、ガラス繊維、金属水和物、他の酸化物、補強材、酸化防止剤、UV安定剤、離型剤、加工助剤、核剤、および顔料などが挙げられるが、これらには限定されない。一実施形態では、エアバッグ・シュートおよび/またはエアバッグ・モジュール筐体は、TPOではないTPEをさらに含む。一実施形態では、エアバッグ・シュートおよび/またはエアバッグ・モジュール筐体は、インサート成形された布またはスクリム(scrim)をさらに含む。スクリムは、綿、麻、ガラス繊維、炭素繊維、または何らかの他の繊維を含んでもよい。
前述のとおり、エアバッグ・モジュール筐体とエアバッグ・シュートは、様々な工程によって準備されてもよい。モジュール筐体およびシュートは、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、低圧射出成形、押出成形された後に、雄型または雌型の真空熱成形、射出圧縮成形、射出発泡成形、射出中空成形、圧縮成形のいずれかによって熱成形されてもよいし、または、まだ溶融しているTPO材料のブランケットを表皮発泡複合材の背面に低圧下で押圧して表皮を形成し、これを硬いTPO基材に接着する低圧成形などの複合工程によって準備されてもよい。射出成形の場合、モールド温度は、約100から約300℃、好ましくは約150から約280℃の範囲であってもよく、射出圧力は、通常約5から約150MPa、好ましくは約7から約100MPa、好ましくは約10から約80MPaの範囲であり、モールド温度は通常、約20から約80℃、好ましくは約20から約60℃の範囲である。他の実施形態では、エアバッグ・モジュール筐体またはシュートは、他の製造方法、例えば鋳造、フォーミング加工、マシニング加工、または2つ以上の部分品の接合によって形成されてもよい。
一実施形態では、モジュール筐体および/またはシュートの射出成形またはフォーミング加工に続いて、プライミング、溶媒エッチング、硫酸またはクロム酸エッチング、ナトリウム処理、オゾン処理、火炎処理、UV照射、およびプラズマ処理を含むがこれらに限定されない表面処理方法を適用してもよい。
TPOエアバッグ組み立て体は、モジュール式筐体と爆薬または推進剤の反応物とを組み合わせた他の用途にも適合する場合があることもまた想定される。実例として、TPOエアバッグ組み立て体は、膨張式の筏、滑り台、または他の浮揚装置を収容するように修正されてもよく、または外部から衝突する際の衝撃を限定するよう車両の外側に押し出されるように適合させてもよい。別の実施形態では、TPOエアバッグ組み立て体は、花火、紙吹雪、消火剤、または特殊効果用の物質、例えばフェイクスノー(fake snow)を含むがこれらに限定されない、分散させることの可能な物質を保持するように修正されてもよい。
図1は、自動車の前部にある公知のインストルメント・パネル1を示す。公知のとおり、自動車パネル1の前部車室部分は、ステアリング・ホイールの中心のところの運転席前部エアバッグ10と、運転席ニー・エアバッグ11と、助手席前部エアバッグ12と、助手席ニー・エアバッグ13とを含む、少なくとも4つのエアバッグを有する場合がある。加えて、自動車によっては、歩行者システム・エアバッグを有する場合もある。これらの場所のいずれかまたはすべてにおける公知のエアバッグ組み立て体を、本発明によるエアバッグ組み立て体に置き換えてもよい。
図2Aの断面図によって示される助手席側エアバッグ・システムおよびインストルメント・パネル組み立て体100は、本発明の一実施形態を表している。参考として、矢印201は、車の前方向を表し、矢印202は、車の後方向を表す。この例では、TPOモジュール筐体102とTPOエアバッグ・シュート103の両方が採用されている。これらの2つの部分は、一方が他方の中に挿入され、PP(ポリプロピレン)系の硬質の最上層101または硬質のPP系基材(ラッピング式または発泡式のソフト・インストルメント・パネル用のもの)と組み合わされており、継ぎ目のないハードおよびソフト・インストルメント・パネル用の「全TPOエアバッグ・システム」または「全TPOエアバッグ組み立て体」を表している。最上部のハード・インストルメント・パネル101は例えば、20%タルク充填TPO硬質樹脂から作られてもよい。エアバッグ・シュート103の上端は、様々な製造方法によって、インストルメント・パネル層101に接続されてもよく、そうした製造方法には、振動溶着、超音波溶着、赤外線溶着、トップロード式の設計、スナップフィットまたはスナップイン式の設計、接着剤による結合、機械的な締結、例えばボルト締結、クリップ、またはエアバッグ・シュートをインストルメント・パネルに取り付けるのに使用されるその他の現状の方法などが挙げられるが、これらには限定されない。いくつかの実施形態では、インストルメント・パネル層またはインストルメント・パネル基材は、ガラス充填PPまたは他のガラス充填された変形例を含んでもよく、そうした変形例では、ガラスが、ガラス繊維、タルク充填PP、未充填PP、または他の非晶質樹脂基材タイプであってもよい。一実施形態では、インストルメント・パネル層またはインストルメント・パネル基材は、ガラスを含有しない、および/またはタルクを含有しない。
一実施形態では、ガラス-PPを含むインストルメント・パネル基材は、インストルメント・パネルとエアバッグ・シュートとの間に取り付けられてもよい。ここで、インストルメント・パネルは、軟質材料、例えば表皮および発泡体を含んでもよい。エアバッグ筐体の直上にあるインストルメント・パネルは、シュートの扉によってさらに支持されてもよい。インストルメント・パネル基材およびソフト・インストルメント・パネルのそのような一実施形態を、図17および図18に示す。
継ぎ目のないインストルメント・パネルに使用されている現状のエアバッグ・システムはすべて、金属または複合材(ガラス-ナイロンまたは長ガラス繊維強化ポリオレフィン)のいずれかのエアバッグ・モジュール筐体を採用しているが、これは、局所的な強度と剛性とが高いフックの必要性、次いでTPOシュートの開口した窓との係合の必要性に起因する。本発明の独自の特徴は、窓と突起部との機械的噛合部110をさらに多く備えたTPOモジュール筐体102であり、機械的噛合部は、展開の内圧を利用することにより、そしてインストルメント・パネル1を通ってバッグ(図示せず)が展開する間ずっと係合を維持しつつ、負荷/応力を分散させるように設計されたものである。
図2Aの例では、エアバッグ・シュートの長壁は、そのシュート103の長壁上の中央領域に、3/8インチ、1/2インチ、または5/8インチの間隔といった距離だけ互いに離間した複数(例えば4、6、または8)の深い控え板131を有してもよい。シュート103の端部壁はまた、その端部壁の外側から延在する複数(例えば4、6、または8)の控え板151を有してもよい。シュート103はまた、長壁に複数(例えば4、6、または8)の縦リブ171(浅い控え板)を含んでもよい。長壁はまた、各長壁に複数(例えば4、6、または8)の内部筐体控え板161を含んでもよい。図2Aの例では、シュートの長壁上の中央の2つの内部筐体控え板161は、中央から各側の残りの控え板(例えば1インチの間隔)よりも近接している(例えば1/2インチの間隔)。
さらに図2Aの例では、エアバッグ・モジュール筐体102の底部は好ましくは、複数のリブ141を含む。リブは、4~10mm、5~9mm、または約8mmなどの深さを有してもよい。本明細書でさらに記載のシミュレーションにおけるリブ141の下には、エアバッグ・モジュール筐体に封入されたパンケーキ・インフレータ(pancake inflator)を模擬した金属板120が配置されている。この金属板120は、専用の穴442を通ってエアバッグ・モジュール筐体の底部を通過するボルトまたはネジを用いて固定してもよい。
図2Aの例でも見られるとおり、シュート103の2つの長壁は異なる高さを有しており、車の前方向201に最も近い壁の高さは、車の後方向202の長いシュート壁の高さよりも短い。この高さの違いにより、インストルメント・パネルの平面とエアバッグ・シュートの底部(またはエアバッグ・モジュール筐体の底部)の平面との間に角度が生じ、この角度は、5°~30°、好ましくは10°~28°、より好ましくは15°~25°、または約18°であってもよい。高さの同様の違いは、エアバッグ・モジュール筐体の2つの長壁の間にも見いだされる場合があるが、しかし図2Aに示すとおり、エアバッグ・モジュール筐体の最上部は、エアバッグ・シュートの最上部との角度付き間隙を形成する。換言すると、エアバッグ・モジュール筐体の最上部を含む平面と、エアバッグ・シュートの最上部を含む平面とが、1°~15°、好ましくは3°~10°、より好ましくは5°~8°、または約7°の角度で交差する。図2Aの例からさらに分かるとおり、エアバッグ・モジュール筐体102の長壁と端部壁との高さは、シュート103の長壁と端部壁との高さよりも低い。
図2Aから明らかなとおり、エアバッグ・モジュール筐体102は、エアバッグ・シュート103と接続されてエアバッグ組み立て体とされた場合に、エアバッグ・シュート内部に完全に収容される。換言すると、エアバッグ・モジュール筐体は、エアバッグ・シュートに完全に挿入される。よって、エアバッグ・モジュール筐体側壁面積の100%が二重壁を形成する、すなわち、エアバッグ・シュートの内壁と重なり合う。この構造上の特徴により、エアバッグの展開の最中における全TPOエアバッグ組み立て体の強度が向上する場合があり、そしてまた、エアバッグ・モジュール筐体の周方向張力がエアバッグ・シュートの周方向張力と完全に結合する。一実施形態では、エアバッグ・モジュール筐体側壁が二重壁を形成することにより、側壁厚さを低減させることができる。代替設計では、エアバッグ・モジュール筐体は、1つまたは複数の側壁の有する厚さが増加している場合には、強度を高めるためにシュートに完全に挿入する必要はない場合がある。他の設計では、エアバッグの展開の最中における強度を高めるために、1つまたは複数の周方向張力リングを、エアバッグ・モジュール筐体またはエアバッグ・シュートの周りに配置してもよい。あるいは、1つまたは複数の周方向張力リングを、モールド成形工程またはフォーミング加工工程の最中に、エアバッグ・モジュール筐体またはエアバッグ・シュート内に配置してもよい。一実施形態では、1つまたは複数の周方向張力リングは、金属、例えばアルミニウムを含んでもよい。
また、図2Aから明らかなとおり、エアバッグ・シュート内壁の全面積の100%未満が、エアバッグ・モジュール筐体の側壁との二重壁を形成してもよい。実例としては、エアバッグ・シュート内壁の全面積の60~98%、好ましくは70~97%、より好ましくは75~95%、さらに好ましくは80~90%が、側壁との二重壁を形成する。よって、エアバッグ・モジュール筐体側壁面積の90~100%が、側壁との二重壁を形成する。
図2Bは、この組み立て体の噛合機構110の平面図を示しており、この機構は、シュート103の縦リブ171と横リブ181とによって画定される窓180を含む。窓180は、噛合機構110をともに形成する実質的に一致した形状の突起部111を受容する。他の実施形態では、噛合機構は、スナップフィットが考えられる場合がある。
図3Aおよび図3Bは、本発明に準拠する運転席または助手席エアバッグ組み立て体の実施形態の例を示す。この例では、エアバッグ・シュート303の長壁は、一列の窓380を含み、モジュール筐体302の長壁は、窓380の数に一致する複数の突起部311を含む。車室に面するパネル301は、ニー・エアバッグ・カバーを形成し、エアバッグ・シュート303の最上部に取り付けられる。図3Aおよび図3Bに関連する他の実施形態が、図2Aおよび図2Bに記載のものと同様の控え板および/またはリブ構造を含んでもよい。また、突起部311および窓380が2列以上に配置されること、または千鳥状に配置されてもよいことも想定される。
図4A~図4Cは、ステアリング・ホイールの中心部に典型的に見られる運転席側上部エアバッグ組み立て体400の実施形態の例を示す。図4Aは、組み立て体の平面図を示しており、この組み立て体は、運転者から遠ざかる方向を向いた、エアバッグ・モジュール筐体403の側に複数のリブ441を含む。図4Bは、組み立て体の側面図を示しており、エアバッグ・シュート402は、エアバッグ・モジュール筐体の突起部411との機械的噛合を形成する千鳥状配列の窓480を有する。ステアリング・ホイール・カバー401は、エアバッグ組み立て体の、運転者に面する側を形成する。この組み立て体の単一の機械的噛合部の側面図が図4Cに示されており、矢印は、モジュール筐体がシュートに挿入されて押し込まれる際の突起部の動きを示す。図4Aおよび図4Bから明らかなとおり、モジュール筐体の4つの側面のそれぞれは、シュートの4つの側面のそれぞれにある同数の窓と噛合する5つの突起部を有する。関連する実施形態では、さらに少ないまたはさらに多くの機械的噛合部が使用されてもよく、または機械的噛合部は、2列に千鳥状に配置されるのではなく、直線状にまたは別のパターンの形に配置されてもよい。他の実施形態では、運転席側上部エアバッグ組み立て体は、図2Aに記載のものと同様に、シュートの側面に複数の浅い控え板、深い控え板、内部控え板、および/またはリブを含んでもよい。TPOエアバッグ組み立て体は、自動車または車両の内部のいずれのエアバッグ位置にも、例えば、ニー・エアバッグ、運転席および助手席エアバッグ、ルーフ・レール・エアバッグ、カーテン・エアバッグ、前列サイド・インパクト・エアバッグ、2列目サイド・エアバッグ、リア・センター・エアバッグ、シート・クッション・エアバッグ、ツイン・チャンバー・エアバッグ、外付けエアバッグ、歩行者エアバッグ、または何らかの他の場所にも適合させてもよいことも、等しく想定される。また、ゴンドラ、観覧車、飛行機、列車、ボート、および宇宙カプセルを含むがこれらに限定されない、一般的に車両としては理解されていない他のキャビンやカプセルを、TPOエアバッグ組み立て体とともに作り上げることもまた想定される。
図5Aおよび図5Bに、図2Aに示される助手席側エアバッグ組み立て体で使用されてもよい、機械的噛合機能110の一実施形態の詳細図を提供する。この噛合機能110は、モジュール筐体102の一部として一体モールド成形されており、いったんシュート103とともに組み立てられると、エアバッグ・シュートの壁上の開口した窓180の周りの一体モールド成形されたリブ171、181によって補強される。本明細書に記載される好ましいTPOを用いて成形されていること起因する、両部分のコンプライアンスと低弾性率により、エアバッグの展開の最中におけるシュートとモジュール筐体の壁が変形して曲がることができ、よって、機械的噛合部の突起部がTPOシュートの長壁における窓の側に押し付けられる。この機械的噛合部と、長い側ごとに13箇所、合計26箇所の噛合部場所により生じる広い噛合領域との結果、負荷が分散され、応力は、エアバッグTPOにより安全に吸収できるものにまで低減される。好ましい一実施形態では、噛合構成要素と窓はTPOから作られる。換言すると、この機械的噛合機能は、鋼または複合材(ガラス-ナイロンまたは長ガラス-PP)などの他の材料でのさらに強力なフックに取って代わることができる。これができるのは、噛合構成要素の数と、負荷を分散させて局所的な応力を低減させるやり方とが、その理由である。この設計概念は、バッグの急膨張の内圧を利用して、展開の最初から最後まで噛合機能の係合を維持する(シュートとモジュール筐体の壁の分離を防ぐ)。さらなる実施形態では、図15Aに示すとおり、エアバッグ・シュートとモジュール筐体が、エアバッグの展開の最中に実質的に変形して、エアバッグがインストルメント・パネルを吹き抜ける状態となる場合があるが、それでも窓と突起部との機械的噛合は、バッグの急膨張による内圧を利用して機械的噛合部の係合を維持することができる。これは、機械的噛合部を含め、エアバッグ・シュートとモジュール筐体を、単一の組み合わせ型具を使用してTPOの射出成形により形成できるという利点を有する。しかし、いくつかの実施形態では、エアバッグ・シュートとモジュール筐体が同一材料から作られているか否かに関わらず、エアバッグ・シュートとモジュール筐体を個別の型具において形成してもよい。
より詳細には、図5Aは、機械的噛合機能110の一実施形態の側面図を示す。ここで、エアバッグ・モジュール筐体102は、1.8~3.2mm、好ましくは2.0~3.0mm、または約2.5mmの側壁厚さ(すなわち壁厚)を有する。エアバッグ・シュートの窓180内では、強度を高めるために、側壁厚さを0.5~1.5mm、好ましくは0.7~1.2mm、または約1.0mmだけ増加させてもよい。エアバッグ・モジュール筐体の全厚さは、突起部111から測定して6.0~8.0mm、好ましくは6.5~7.5mm、または約7.0mmであってもよい。加えて、突起部自体が、内部リブ構造581を有してもよい。ここでは、リブ構造581は横方向であるが、機械的噛合用の突起部の他の実施形態では、突起部は、リブを有さなくとも、縦リブを有しても、または縦および横の両方のリブの組み合わせ(実例としては、窓枠形状を形成するもの)を有してもよい。エアバッグ・シュート103は、1.8~3.2mm、好ましくは2.0~3.0mm、または約2.5mmの側壁厚さ(すなわち壁厚)を有してもよい。窓に近いほど、エアバッグ・シュートの側壁厚さは、0.2~0.7mm、または約0.5mmだけ増加してもよい。また、エアバッグ・シュートのリブは、エアバッグ・シュート側壁の表面から2.0~3.0mm、好ましくは2.2~2.8mm、または約2.5mmの高さを有してもよい。加えて、図5Aは、エアバッグ・シュート103とエアバッグ・モジュール筐体102との間の間隙584を示す。いくつかの実施形態では、組み立て体の特定の場所で、エアバッグ・シュート103とモジュール筐体102との間に、1.0mm未満、好ましくは0.8mm未満、より好ましくは0.6mm未満の間隙が存在してもよい。組み立て体の他の場所では、間隙が存在せずにモジュール筐体の外面とシュートの内面が直接接触していてもよい。
図5Bは、図5Aの平面図を示す。機械的噛合部110の窓180は、6.0~11.0mm、好ましくは6.5~10.5mm、より好ましくは7.5~9.5mm、または約8.5mmの幅を有してもよい。窓180は、10~20mm、好ましくは12~18mm、より好ましくは15~16mmの高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、窓は、ほぼ正方形であってもよく、他の実施形態では、窓の長軸(長さ)は、横方向に配置されてもよい。突起部111のこの図は、内部に配置された横リブ581を示しており、これは、丸みを帯びた正方形の縁を有する突起部内に2つの穴を形成している。しかし、他の実施形態での突起部は、リブを有さなくてもよく、その場合、突起部は、単一の細長い穴を有してもよい。加えて、図5Bの平面図は、窓180を囲むエアバッグ・シュートのリブ構造171、181を示す手助けとなる。縦リブ582の区分が各窓の下にあるようにして、エアバッグ・モジュール筐体突起部111とエアバッグ・シュートとの間で力を伝達する手助けをさせてもよい。図5Bはまた、窓180が、突起部用の開口した窓であり、2つの閉じた窓583の間にあることを示している。この実施形態では、リブ構造は、開口した窓と閉じた窓とを交互に配置させており、閉じた窓は、開口した窓と実質的に同一の高さと幅を有する。他の実施形態では、開口した窓と閉じた窓が、異なる幅を有してもよいし、またはシュートが、開口した窓のみを有し、閉じた窓を有さなくてもよい。他の実施形態では、エアバッグ組み立て体は、突起部を取り囲まない開口した窓を有してもよい。
TPOモジュール筐体上の一体型機械的噛合部は、図6Aにも見ることができる。突起部111は、エアバッグ・モジュール筐体の長い側に2列に配置されてもよい。ここでは、6つの突起部が最上列に、7つの突起部が最下列に配置されており、列は互いに千鳥状になっている。しかし、いくつかの実施形態では、異なる数の列または突起部を使用してもよく、または突起部は千鳥状でなくてもよく、もしくは異なる配置であってもよい。図6Aでは、エアバッグ・モジュール筐体の端部は突起部を有さないが、いくつかの実施形態、例えば図4Aおよび図4Bに示されるエアバッグ組み立て体では、シュートとモジュール筐体の4つの側面すべてが、突起部および窓を有してもよい。代替実施形態では、エアバッグ・モジュール筐体は、エアバッグ・シュートからの突起部を受容する1つまたは複数の開口した窓を有してもよい。
また、全TPOエアバッグ組み立て体において、他の設計の機械的噛合部を使用して、エアバッグ・モジュール筐体をシュート内に固定してもよいことも想定される。実例としては、稜線部、ラチェット、丸みを帯びた突出部、角度のついた突出部、ピン、トレッド、タブ、フック、溝、または他の締結機構の形態の機械的噛合部を使用してもよい。いくつかの実施形態では、単一のエアバッグ組み立て体内部で、異なる種類の機械的噛合部を使用してもよい。
一実施形態では、エアバッグ・モジュール筐体とエアバッグ・シュートとを取り付ける1つまたは複数の締結機構は、モジュール筐体またはシュートと一体に形成されてもよい。他の実施形態では、締結機構は、TPOまたは他の材料から作られた他の部分を含んでもよい。実例としては、締結機構は、ナットおよびボルト、ネジ、バンド、ストラップ、ベルト、バックル、結束バンド、ラッチ、またはヒンジ付きコネクタを含んでもよい。別の実施形態では、モジュール筐体とシュートは、機械的噛合部もしくは他の締結具を用いて、または用いずに、接着剤によって、または溶接によって取り付けてもよい。
また、図6Aは、エアバッグ・モジュール筐体102の内部を示す。ここでは、内部は、パンケーキ・インフレータ、または他の何らかのインフレータを収容する開口部443を有しており、4つのボルト孔442のうちの1つが見えていて、これらの孔を使用して、インフレータまたは他の何らかの構造体をエアバッグ・モジュール筐体に取り付けてもよい。図6Aはまた、内部控え板161の図を提供する。前述のとおり、各長壁は、中央の2つを除いて等間隔に離間した8つの内部控え板を有し、中央のものはさらに密に離間している。実例としては、中央の2つの控え板は、約1/2インチだけ離間させてもよい一方、それら中央の2つの両側の他の3つの控え板は、約1インチだけ離間させてもよい。代替実施形態では、長壁のうち1つだけが、内部控え板を有してもよいし、または異なる数の控え板または異なる間隔の控え板を有してもよい。内部控え板は、図6Aのように実質的に類似した形状のものであってもよいし、または2つ以上の控え板が異なる形状を有してもよい。好ましくは、内部控え板は、側壁厚さすなわち壁厚について前述したものなどの厚さを有する。
エアバッグ・シュート103上の補強されたリブを有する開口した窓180はまた、図6Bおよび図6Cの図にも見ることができる。ここでは、エアバッグ・シュート両端部のそれぞれにある4つの控え板131は、等しい間隔を有し、シュートの角度とともに変化する高さを有する。他の実施形態では、シュートの両端部は、異なる数または間隔の控え板を有してもよいし、または実質的に同じ形状の控え板を有してもよい。加えて、浅い控え板、または縦リブ171は、長壁上で互いに等間隔に離間しており、複数の横リブ181と交差している。開口した窓180と閉じた窓181は、この枠組みの中にある。図6Cは、エアバッグ・シュート103の内部が、リブ、控え板、または他の突出した特徴を有さないことを示している。開口した窓180もまた見えている。図6Bおよび図6Cは両方とも、縦リブ171および控え板131が、エアバッグ・シュートの外側をつば付き表面601に接続させていることを示している。このつば付き表面内、またはそうでなければエアバッグ・シュートの最上部には、膨張するエアバッグの圧力の下で開くインストルメント・パネル扉602がある。これらの扉602は、リビングヒンジ603を用いてエアバッグ・シュートに取り付けられてもよいが、他の実施形態では、リビングヒンジを必要としないほど表面が充分に薄くても、または可撓性であってもよい。これらの扉は、展開するエアバッグが、飛び出してくるインストルメント・パネルの内側に当たって裂けないように保護する機能を有してもよい。他の実施形態では、扉は、破ることのできる表面によって連結されていてもよく、この表面は、線に沿って強度が弱めてあってもよいものであり、実例としては、この線は、厚さが減少するようにした切り込み線であってもよい。代替実施形態では、エアバッグが、引き裂かれることなくそれ自体の上にあるインストルメント・パネルを通り抜けて安全に展開できる場合には、扉は必要ない場合があり、他の実施形態では、エアバッグの展開を支援するために、インストルメント・パネル自体に、線に沿った切り込みを入れたり、または特定の領域で強度を弱めたりしてもよい。一実施形態では、インストルメント・パネル上および/または扉の間の、切り込みの入った表面または切り込みの入った継ぎ目は、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%減少した厚さを有してもよい。切り込みの入った表面または切り込みの入った継ぎ目は、0.5~3.0mm、好ましくは1.0~2.5mm、より好ましくは1.2~2.0mm、1.3~1.7mm、または約1.5mmの範囲の平均厚さを有してもよい。示されているリビングヒンジ603は、シュートの一体化した部分としてモールド成形されており、TPOシュートに通常使用されるヒンジのタイプとして包括的に示されている。他の実施形態では、ヒンジは、ヒンジ機能を実行するインサート成形されたスクリムまたは布地からなっていてもよい。あらゆる確立されたヒンジタイプ(一体モールド成形されたプラスチックまたは挿入された布)、およびインストルメント・パネルの構造(ハードおよびソフト)を、全TPOシュートおよびモジュール筐体組み立て体に適用されるこの概念とともに使用することができる。
図7Aおよび図7Bは、エアバッグ・シュート103とモジュール筐体102との間の組み立てを示しており、これは、モジュール筐体をシュートの底部に摺動させて入れることによって達成される。つば付き表面601に接続されたエアバッグ・シュート103の上に、インストルメント・パネル1の一部分が表されている。この組み立て体は典型的には、シュートのフランジ601を振動溶着することによって、インストルメント・パネル1に締結される。関連する実施形態では、エアバッグ・シュートは、インストルメント・パネル・リテーナ(通常はガラス-PP)にシュートをトップロード式で入れた(スナップインした)後、リテーナと表皮との間でインモールド発泡させることによってインストルメント・パネル1に締結してもよく、特に表皮と発泡式インストルメント・パネルとの場合にはそうである。本発明のTPOモジュール筐体は、あらゆるタイプのインストルメント・パネルに使用してもよく、こうしたパネルには、ハード・インストルメント・パネル、現場発泡(表皮および発泡)インストルメント・パネル、および、ハードIP構造に始まり、次いで、ハイエンドのインストルメント・パネルおよび車両を意図してラッピングされる、皮革ラッピング式のハード・インストルメント・パネルなどが挙げられる。前述のとおり、インストルメント・パネル1もまた、TPOを含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアバッグ・モジュール筐体102は、接着剤または機械的噛合によって、インストルメント・パネル1に取り付けられても、または固定されてもよい。実例としては、エアバッグ・シュート103が、つばではなく、可撓性のタブまたは突出部を有してもよく、これが、インストルメント・パネルの底面となるように形成されたフレームへのスナップフィットを形成する。
図8および図9は、負荷または内圧を加える前の、組み立てられたエアバッグ・シュート103とモジュール筐体102の実施形態を例示する。インストルメント・パネルおよびインストルメント・パネル扉は示されていない。図8および図9の実施形態を用いて、過渡的非線形応力解析を行い、本発明のエアバッグ組み立て体の構造設計が、モジュール筐体102とシュート103の両方ともTPOから作られているにもかかわらず、エアバッグの展開の最中、そして上昇した温度下で受ける力と同様の力に耐えられることを証明した。
TPOエアバッグ組み立て体の重要な材料特性は、その固有の靭性および低温での延性である。TPOは熱可塑性樹脂であり、高温になると強度が低下し剛性が低下する結果、バルーニング(ballooning)などの実質的な変形が生じる可能性がある。しかし、85℃までの高温でも、TPOエアバッグ組み立て体は、エアバッグの展開の最中に故障や亀裂の原因となるようなレベルの変形または材料歪みをまったく示さない。
図10および図11は、この特定タイプのTPOについて、基本的な設計上の応力-歪み曲線と真の応力-歪み曲線をそれぞれ提供しており、10m/秒または約1000/秒の材料歪み速度の高速試験速度、そして85℃の温度で作成したものである。設計上の応力-歪み曲線は、張力下にある間、断面積が一定であると仮定して計算されており、真の応力-歪み曲線は、歪みを計算する際に断面積の収縮を考慮している。これらの基本的な材料特性を過渡的非線形応力解析に用いることで、材料や環境条件が「最悪の場合」を表している場合での、エアバッグの展開の下でのエアバッグ組み立て体の構造的な復元力を保証した。室温やさらに低温での展開性能は、TPOの高い強度、剛性、および歪み能力のおかげで、いかなる問題も生じさせないと期待される。実際、室温やさらに低温では、全TPOエアバッグ組み立て体は、その性能がさらに堅牢になる。図10および図11の作成に使用されたTPOはTT969NUとして定義されており、自動車産業におけるエアバッグ・シュートに一般的に使用されているが、ただし、他の製品グレードを使用してもよい。前述のとおり、エアバッグ組み立て体を試験するための臨界機能温度は85℃であるが、これは、こうした全TPOエアバッグ組み立て体に向けた強度および剛性の低下と、実際の展開の最中にはこの温度を超えることはないであろうという予想とに因るものである。よって、エアバッグ組み立て体を85℃にして、動的応力解析を実行した。
図12Aは、応力解析の内圧の例示であり、矢印で表される。モジュール筐体102とシュート103のあらゆる内面は、内圧を受けており、応力解析の場合には、金属板120をモジュール筐体102の底部に取り付けて、パンケーキ・インフレータ筐体をシミュレートしている。このパンケーキ・インフレータはまた、展開事象の最中にさらなる支持をなすように、そしてエアバッグへの乗員の負荷に反応するのに役立つように、鋼製ブラケットを介して自動車のクロスビームに固定される。パンケーキ・インフレータ筐体と自動車のクロスビームへのその取り付けはいずれも、助手席側エアバッグ・システムの典型的なものである。
図12Bは、応力解析に適用した負荷サイクルを示しており、この解析は典型的な展開をシミュレートするもので、この場合、内圧は5ミリ秒で0から150psiまで増加する。この圧力は、さらに5ミリ秒間、保持された後、直ちに0psiに下降する。この10ミリ秒は概して、エアバッグがインストルメント・パネルを吹き抜け始めるには、そしてTPOエアバッグ組み立て体にかかる内圧が分散し始めるようにするには、充分な時間である。
展開シミュレーションの結果は、図13A~図13C、図14A~図14C、および15に示される開口部のスナップショットによって最もよく例示されている。図15Bは、0.0ミリ秒でのエアバッグ組み立て体の等角図を示しており、図15Aは、8~9ミリ秒での展開後のエアバッグ組み立て体の図を示している。図13A~図13Cは、応力解析に入って6.5ミリ秒後でのエアバッグ組み立て体の図を示しており、図14A~図14Cは、応力解析に入って7.5ミリ秒後の同一図を示している。この応力解析では、負荷サイクルの最初から最後まで、内面の圧力が持続されていた。換言すると、圧力は、低減することまたは内面から除去されることはなく、インストルメント・パネル1を通り抜けてエアバッグが展開し完全に急膨張する主原因となった。
図16は、応力解析で得られた累積接触力を示している。これは、加圧時に、そしてインストルメント・パネル扉602が開いた際に、TPOエアバッグ・システムの内面に蓄積される全負荷を図示しており、インストルメント・パネル面1を吹き抜けるバッグをシミュレートしている。この負荷曲線と様々な時間間隔での変形モデル(図13A~図13Cおよび図14A~図14C)から分かるとおり、エアバッグ・システムは負荷サイクルを通してその組み立てと係合を維持することができており、これは、モジュール筐体102が、エアバッグ・シュート103内で接続された状態を維持することができて、どちらの側壁も破断または破損しなかったことを意味する。これは、5ミリ秒の時点で9016.15Nの最大力に遭遇したにもかかわらずそうであった。一実施形態では、エアバッグ組み立て体は、60~150psi、60~90psi、90~120psi、120~150psi、または120~180psiの内圧に耐えられる場合がある。一実施形態では、エアバッグ組み立て体は、最高40℃まで、好ましくは最高55℃まで、より好ましくは最高85℃まで、さらに好ましくは最高90℃までの温度にある間、最高60psiまで、好ましくは最高90psiまで、より好ましくは最高120psiまで、さらに好ましくは最高150psiまでの内圧に耐えることができる。一実施形態では、エアバッグ組み立て体は、80~90℃、好ましくは82~88℃、より好ましくは84~86℃、または約85℃の温度にある間、60~150psi、60~90psi、好ましくは65~87psi、より好ましくは70~85psi、または約80psiの内圧に耐えることができる。一実施形態では、それらの内圧は、2ミリ秒(ms)~10s、好ましくは5ms~1s、より好ましくは8ms~50msの時間の間、印加される場合がある。他の実施形態では、内圧は、少なくとも5ms、好ましくは少なくとも10msの間、印加される場合がある。いくつかの実施形態では、エアバッグ組み立て体は、エアバッグの展開の結果生じる内圧の不均等な分布に耐えられる場合がある。前述のとおり、エアバッグ組み立て体は、低温であるほど強度が高くなる。一実施形態では、エアバッグ組み立て体は、4~80℃、または15~40℃、または20~30℃の温度で、60~150psi、60~90psi、90~120psi、120~150psi、120~180psi、または180psiより高い内圧に耐えられる場合がある。ここで定義されるとおり、エアバッグ組み立て体が内圧に耐えられるということは、モジュール筐体102がエアバッグ・シュート103内で接続された状態のままであること、そして内圧の印加の最中にモジュール筐体およびシュートの側壁が破断または破損しなかったことを意味する。いくつかの実施形態では、エアバッグ組み立て体は、内圧の印加に耐えた後、わずかに変形する場合があり、例えば引き伸ばされたり、歪んだりする場合がある。いくつかの実施形態では、「内圧の印加」は、エアバッグの展開に起因する。エアバッグ組み立て体は、エアバッグ組み立て体の異なる側面に印加される、同程度の温度範囲の下での同程度の大きさの外力に耐えることができることも、等しく想定される。
図17および図18は、モジュール筐体102とシュート103がやはりTPOから作られたエアバッグ組み立て体100の別の実施形態を示す。図17は、インストルメント・パネル1が完全な状態にある、閉じたエアバッグ組み立て体を示しており、図18は、実例としてエアバッグを展開させた後の、開いたエアバッグ組み立て体を示している。ここでは、先の実施形態で示されたとおり、モジュール筐体102はシュート103に挿入されていない。代わりに、モジュール筐体102は、ボルトまたはネジ802によってシュート103に締結され、シュートは、インストルメント・パネル1の直下に取り付けられたインストルメント・パネル基材800に締結される。ボルトは、エアバッグ・シュート103を固定するネジ込みインサート810と、モジュール筐体102を固定するつば付きナット814とを使用してもよい。この実施形態では、窓と突起部との噛合機構は必要ない場合がある。先の実施形態のとおり、シュート103の側面とモジュール筐体102の側面は、インストルメント・パネル1の平面に対して直角からずれていてもよい。車の前方部分を矢印707で示す。
さらに詳細には、図17および図18は、最上層のフィルムまたは表皮806、および最下層の発泡体808を具備するインストルメント・パネル1を示している。インストルメント・パネル1は代わりに、先に記載のものと同様であってもよい。インストルメント・パネル1は、インストルメント・パネル基材800によって支持されており、この基材もまた、リブ構造801を有する。インストルメント・パネル基材800の上面図を図19Aおよび図19Bに示す。インストルメント・パネル基材の最上部は、10本のボルトまたはネジを収容するボルト孔818を有するが、しかし、エアバッグ組み立て体によっては、さらに少ない、例えば4~8本のボルトを使用するように設計されている場合もある。インストルメント・パネル基材800の側面図が図21Aに示されており、図21は対応する下面図を示す。
関連する部分品を有するボルト802の上面図を図20Aに示し、側面図を図20Bに示す。ボルトは、1.0~3.5インチ、好ましくは1.3~2.0インチ、より好ましくは1.5~1.8インチ、または約1.75インチの範囲の全高を有してもよい。また、ボルトの頭部は、0.2~1.5インチ、0.3~0.7インチ、または約0.5インチの直径を有してもよい。一実施形態では、緩みを防止するために、ボルトおよび/またはナットを互いに接着したり、またはラチェットまたは何らかの他の構造によって不可逆的に締結したりしてもよい。
図17、図18、および図24に示すとおり、シュート103は、実質的に平坦な表面を有しており、その表面でシュートがインストルメント・パネル基材800と接する。しかし、いくつかの実施形態では、シュート103は、インストルメント・パネル基材800に相補的な隆起した表面または窪んだ表面を有してもよい。シュート103およびインストルメント・パネル基材800は、ネジ込みインサート810またはボルト802上の中間ナットによって定位置に保持されてもよい。図22Aは、シュート103内のネジ込みインサートの詳細図を示しており、図22Bは、シュート103の対応する下面図を示している。
加えてシュート103は、実質的に平坦な表面を有しており、その表面でシュートがモジュール筐体102と接する。しかしながら、シュートとモジュール筐体は、相補的な篏合形状を有してもよく、図17および図18に示されるとおり、シュート103は、ボルト802の近位にある、モジュール筐体102の窪んだ表面内に篏合する、隆起した表面を有する。一実施形態では、隆起した表面および窪んだ表面を有するエアバッグ組み立て体は、つば付きナット814を締結する前に、これらの部分を固定または確認できるようにする場合がある。図23Aは、モジュール筐体102のボルト孔818の側面図を示しており、図23Bは、モジュール筐体102の対応する下面図を示している。図17および図18は、ボルト816およびナット814を用いてモジュール筐体の底部に固定されたパンケーキ・インフレータ804をさらに示しており、好ましくは、パンケーキ・インフレータ804は、4本のボルトを用いて固定される。図21B、図22B、および図23Bの下面図はすべて、インストルメント・パネル基材800、シュート103、およびモジュール筐体102が、構造支持用の控え板およびリブとともに成形されてもよいことを示している。
一実施形態では、エアバッグ組み立て体は、追加の周辺補強構造を含んでもよい。実例としては、1つまたは複数の周方向張力リング812を、シュートおよび/またはモジュール筐体の周囲に配置してもよい。図19Bは、インストルメント・パネル基材800の開口部に関連する1つの周方向張力リング812の一般的な周辺構造を示している。いくつかの実施形態では、周方向張力リング812もまた、ボルト孔818を有してもよい。図17、図18、および図20Aの周方向張力リング812の側面図によって示されるとおり、周方向張力リング812は、実質的に平坦な表面を有してもよく、そしてつば付きナット814によって定位置に保持されて、ワッシャとしても機能してよい。好ましくは、周方向張力リングは、エアバッグ・モジュール筐体の底部に配置されるが、他の実施形態では、周方向張力リングは、エアバッグ・モジュール筐体とシュートとの間、または、シュートとインストルメント・パネル基材との間に配置されてもよい。加えて、複数の周方向張力リングを、その厚さやボルトの全長に応じて追加してもよい。好ましくは、周方向張力リングはアルミニウムを含むが、他の金属または非金属を使用してもよい。
図24は、図17と同様のエアバッグ・シュート103の側面図である。エアバッグ・シュートの最上部は、リビングヒンジ603によって取り付けられた、破ることのできる扉を有する。
上記の説明は、本発明を当業者が作製し使用できるようにするために提示されるものであり、特定の用途およびその要件の文脈において提供されている。好ましい実施形態への様々な修正例は、当業者には容易に明らかになるであろうし、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用してもよい。よって、本発明は、示された実施形態に限定されると意図されるものではなく、本明細書に開示された原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられることが意図される。これに関して、本発明の範囲内の特定の実施形態は、本発明の広義に考慮されたあらゆる利点を示しているわけではない場合がある。

Claims (41)

  1. インストルメント・パネルに取り付けられるように構成されるエアバッグ・シュートと、
    前記エアバッグ・シュートに取り付けられたエアバッグ・モジュール筐体と、
    を具備するエアバッグ組み立て体であって、
    前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む、エアバッグ組み立て体。
  2. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、50wt%以下のガラスフィラーを含む、請求項1に記載のエアバッグ組み立て体。
  3. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体が、ガラスフィラーを実質的に含まない、請求項1に記載のエアバッグ組み立て体。
  4. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、同一材料から形成される、請求項1に記載のエアバッグ組み立て体。
  5. 前記エアバッグ・モジュール筐体が、1.0~3.5mmの範囲内の平均厚さを有する側壁を具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  6. インストルメント・パネルをさらに具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  7. 前記インストルメント・パネルが、第2の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む、請求項6に記載のエアバッグ組み立て体。
  8. 前記エアバッグ・シュートが、振動溶着、超音波溶着、赤外線溶着、トップロード式の設計、スナップフィット式の設計、接着剤による結合、および/または機械的な締結によって、前記インストルメント・パネルに取り付けられる、請求項6に記載のエアバッグ組み立て体。
  9. 前記熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーが、ポリオレフィン系ポリプロピレン・マトリクス中に分散されたエラストマー・ドメインを含む、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  10. 前記エアバッグ・シュートが、1つまたは複数の側壁上にリブを具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  11. 前記エアバッグ・モジュール筐体と前記エアバッグ・シュートが、両方とも射出成形される、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  12. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体が、ボルトまたはネジによって取り付けられる、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  13. 前記エアバッグ・シュートが、ボルトまたはネジに、ネジ込みインサートにより取り付けられる、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  14. 前記エアバッグ・シュートおよび/または前記エアバッグ・モジュール筐体の周囲に配置された周方向張力リングをさらに具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  15. 前記インストルメント・パネルと前記エアバッグ・シュートとの間に取り付けられたインストルメント・パネル基材をさらに具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  16. 前記インストルメント・パネル基材が、ガラス-ポリプロピレン、ポリプロピレン、ガラス-ナイロン、タルク、ガラスフィラー、および/または熱可塑性ポリオレフィンを含む、請求項15に記載のエアバッグ組み立て体。
  17. 前記エアバッグ・シュートが側壁を具備し、各側壁が複数の窓を形成し、前記エアバッグ・モジュール筐体が、前記エアバッグ・シュートの各窓に対応する突起部を備えた少なくとも2つの側壁を具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  18. 前記突起部が前記窓内に突出する場合に、前記エアバッグ・シュートの側壁と、前記エアバッグ・モジュール筐体の少なくとも2つの側壁とが二重壁を形成する、請求項17に記載のエアバッグ組み立て体。
  19. エアバッグの展開によって生じる内圧により、前記エアバッグの展開の最初から最後まで、前記突起部と窓との係合が維持される、請求項18に記載のエアバッグ組み立て体。
  20. 前記エアバッグ・モジュール筐体が、前記エアバッグ・シュート内に完全に挿入される、請求項18記載のエアバッグ組み立て体。
  21. 前記熱可塑性オレフィンまたは前記熱可塑性エラストマーが、以下の構成成分(A)および(B)を含み、100重量部の構成成分(A)あたり10から300重量部の構成成分(B)を含有し、測定温度230℃、測定負荷21.18Nでのメルトフローレートが0.5から50g/10分であり、
    構成成分(A)がポリプロピレン系樹脂であり、
    構成成分(B)が、エチレンから構成されるポリマー・ブロックと、エチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロックとを含有するオレフィン系ブロック・コポリマーである、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  22. 構成成分(B)が、110から125℃のところに結晶融解ピークを有するオレフィン系ブロック・コポリマーであり、前記ピークでの結晶融解熱量が20から60J/gである、請求項21に記載のエアバッグ組み立て体。
  23. 構成成分(B)のエチレン・α-オレフィン・コポリマー・ブロック中のα-オレフィンの炭素数が4から8である、請求項21に記載のエアバッグ組み立て体。
  24. 構成成分(B)が、エチレンから構成されるポリマー・ブロックと、エチレン-1-オクテン・コポリマー・ブロックとを含有するオレフィン系ブロック・コポリマーである、請求項21記載のエアバッグ組み立て体。
  25. 構成成分(A)が、第1のステップでプロピレン・ホモポリマーを重合させ、次いで第2のステップでプロピレン-エチレン・コポリマーを重合させることにより得られるポリプロピレン・ブロック・コポリマーである、請求項21に記載のエアバッグ組み立て体。
  26. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、少なくとも80wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む、請求項21に記載のエアバッグ組み立て体。
  27. 60~150psiの内圧に耐えられる、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  28. 16から32個の間の窓と突起部とを具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  29. 前記シュートが複数のリブを具備する、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  30. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体が、単一の組み合わせ型具において形成される、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
  31. エアバッグ・モジュール筐体の全重量に対して少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む、エアバッグ・モジュール筐体。
  32. 50wt%以下のガラスフィラーを含む、請求項31に記載のエアバッグ・モジュール筐体。
  33. ガラスフィラーを実質的に含まない、請求項31に記載のエアバッグ・モジュール筐体。
  34. 1.0~3.5mmの範囲の平均厚さを有する側壁をさらに具備する、請求項31、32、または33に記載のエアバッグ・モジュール筐体。
  35. 複数の突起部をさらに具備する、請求項31、32、または33に記載のエアバッグ・モジュール筐体。
  36. 少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含み、側壁を具備するエアバッグ・シュートであって、
    各側壁が複数の窓を形成し、
    各側壁が外面を有し、少なくとも2つの側壁がリブを有する、エアバッグ・シュート。
  37. エアバッグ・シュートとエアバッグ・モジュール筐体とを製造する方法であって、
    前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ筐体を、単一の組み合わせ型具において射出成形により同時に形成することを含む方法。
  38. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、少なくとも50wt%の熱可塑性オレフィンまたは熱可塑性エラストマーを含む、請求項37に記載の方法。
  39. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、50wt%以下のガラスフィラーを含む、請求項37または38に記載の方法。
  40. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体が、ガラスフィラーを実質的に含まない、請求項37または38に記載の方法。
  41. 前記エアバッグ・シュートと前記エアバッグ・モジュール筐体がそれぞれ、インサート成形された布またはスクリム(scrim)をさらに含む、請求項1、2、3、または4に記載のエアバッグ組み立て体。
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