JP2018104584A - 熱可塑性エラストマー組成物、及びこれを用いたエアバッグ収納カバー - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、及びこれを用いたエアバッグ収納カバー Download PDF

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Abstract

【課題】 低温耐衝撃性のみならず、高温での引張破壊強度及び引張破壊伸びにおいても優れた性能を有し、これらが高次元でバランスした高性能なエアバッグ収納カバー向け熱可塑性エラストマー組成物等を提供する。【解決手段】 下記成分(A)、成分(B)及び成分(X)を少なくとも含有し、前記成分(A)100質量部に対し前記成分(B)を100〜150質量部含有し、前記成分(A)及び(B)の総量に対して前記成分(X)を0.1〜5.0質量%含有する、熱可塑性エラストマー組成物。成分(A):プロピレン含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系(共)重合体成分(B):110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体成分(X):オレフィン系ポリマービーズ【選択図】 なし

Description

本発明は、低温耐衝撃性のみならず、高温での引張破壊強度及び引張破壊伸びに優れる、熱可塑性エラストマー組成物、及びこれを用いたエアバッグ収納カバーに関する。
自動車用エアバッグシステムは、自動車等の衝突の際に運転手や搭乗者を保護するシステムであり、衝突の際の衝撃を感知する装置とエアバッグ装置とからなる。このエアバッグ装置は、一般に、エアバッグ、これを収納するエアバッグ収納カバー、カバー取り付け部等から構成されている。そして、エアバッグ装置は、ステアリングホイール、助手席前方のインストルメントパネル、運転席及び助手席のシート、フロント及びサイドピラー等に設置されている。
エアバッグ装置におけるエアバッグ収納カバーは、エアバッグ膨脹時に、それを収納しているカバーの破壊による破片の飛散や、カバー取り付け部の破壊によるカバーの飛散が懸念される。このため、低温から高温までの幅広い温度範囲において、カバーが異常な破壊をして飛散するのを防止することを目的として、その構造や材質において種々の提案がなされている。
エアバッグ収納カバー向けの材料として、本出願人らは、既に種々のグレードの熱可塑性エラストマー組成物を提案している。例えば、特許文献1(特開2014−077128号公報)には、ポリプロピレン系樹脂及び特定のエチレン・α−オレフィン共重合体を特定量含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。また、特許文献2(特開2015−193821号公報)には、特定のプロピレン系重合体成分、特定のオレフィン系ブロック共重合体、スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物を特定量含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特開2014−077128号公報 特開2015−193821号公報
近年、自動車の高級化によるインストルメントパネルの柔軟化により、高温での展開試験時にエアバッグ収納カバーとインストルメントパネルが変形する不具合や、エアバッグ展開出力向上による、低温域での助手席用エアバッグ収納カバーの破損が懸念されている。そのため、安全性の強化、設計の自由度、金属プレートやナイロン生布をインサート成形工程削減によるコストダウン等の観点から、エアバッグ収納カバー、特に助手席用エアバッグ収納カバーにおいて、低温耐衝撃性及び高温強度がさらに強化された材料の開発が望まれる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものである。その目的は、低温耐衝撃性、高温での引張破壊強度、及び高温での引張破壊伸びの3性能が高次元でバランスした、新規な熱可塑性エラストマー組成物、及びこれを用いたエアバッグ収納カバーを提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリプロピレン系(共)重合体、非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体、及びオレフィン系ポリマービーズを含有する熱可塑性エラストマー組成物が、上述した3性能を高次元で兼ね備えたものとなることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1]下記成分(A)、成分(B)及び成分(X)を少なくとも含有し、前記成分(A)100質量部に対し前記成分(B)を100〜150質量部含有し、前記成分(A)及び(B)の総量に対して前記成分(X)を0.1〜5.0質量%含有する、熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):プロピレン含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系(共)重合体
成分(B):110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体
成分(X):オレフィン系ポリマービーズ
[2]前記成分(A)が、メルトフローレート(JIS K7210準拠、測定温度230℃、測定荷重21.18N)が10〜200g/10分であるポリプロピレン系(共)重合体である[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3]前記成分(A)が、プロピレン単独重合体と、プロピレン・エチレン共重合体とのポリプロピレン系ブロック共重合体である[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4]前記成分(B)が、メルトフローレート(ASTM D1238準拠、測定温度190℃、測定荷重21.18N)が0.01〜10g/10分であるオレフィン系熱可塑性エラストマーである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5]前記成分(B)が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとを含むエチレン・α−オレフィン共重合体を含む[1]〜[4]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6]前記成分(X)中の前記オレフィン系ポリマービーズが、両親媒性ポリプロピレン系ポリマービーズである[1]〜[5]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7]メルトフローレート(JIS K7210準拠、測定温度230℃、測定荷重21.18N)が0.5〜3g/10分である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[8]1000%以上の引張破壊伸び(JIS K6251準拠、85℃)を有する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[9]4.5MPa以上の引張破壊強度(JIS K6251準拠、85℃)を有する[1]〜[8]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[10]70kJ/m以上のノッチ付きアイゾット衝撃強度(JIS K7110準拠、温度−40℃)を有する[1]〜[9]のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[11]下記成分(A)、成分(B)及び成分(X)を少なくとも含有し、前記成分(A)100質量部に対し前記成分(B)を100〜150質量部含有し、前記成分(A)及び(B)の総量に対して前記成分(X)を0.1〜5.0質量%含有する熱可塑性エラストマー組成物を含む、エアバッグ収納カバー。
成分(A):プロピレン含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系(共)重合体
成分(B):110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体
成分(X):オレフィン系ポリマービーズ
本発明によれば、低温耐衝撃性のみならず、高温での引張破壊強度及び引張破壊伸びにおいても優れた性能を有し、これらが高次元でバランスした高性能なエアバッグ収納カバー向け熱可塑性エラストマー組成物が提供される。本発明によるエアバッグ収納カバー向け材料は、高温環境や低温環境でも、より安全に使用可能であり、信頼性がより高められている。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。また、本明細書において“質量%”と“重量%”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。さらに、(共)重合体とは、1のみ重合成分からなる単独重合体、2以上の共重合成分からなる共重合体の双方を包含する意味である。
[エアバッグ収納カバー]
本実施形態のエアバッグ収納カバーは、下記成分(A)、成分(B)及び成分(X)を少なくとも含有し、前記成分(A)100質量部に対し前記成分(B)を100〜150質量部含有し、前記成分(A)及び(B)の総量に対して前記成分(X)を0.1〜5.0質量%含有する、熱可塑性エラストマー組成物を含む。
成分(A):プロピレン含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系(共)重合体
成分(B):110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体
成分(X):オレフィン系ポリマービーズ
なお、本明細書において、「エアバッグ収納カバー」とは、エアバッグを収納する容器全般を意味するものであり、例えば、エアバッグが収納されている容器において、エアバッグが展開する際の開口部、又はこの開口部と一体となっている容器全体を包含する概念である。
本実施形態のエアバッグ収納カバーは、前記特許文献1〜2等で知られている従来の熱可塑性エラストマーを用いたものと比較して、低温でのアイゾッド衝撃強度、高温での引張破壊強度、及び、高温での引張破壊伸びのバランスに優れるという特長を有する。本発明者らの知見によれば、成分(A)及び成分(B)に成分(C)をさらに含有させることにより、成分(A)中への成分(B)のより均一な微分散配合を促進させることができ、低温でのアイゾッド衝撃強度及び高温での引張破壊強度を過度に損なうことなく、高温での引張破壊伸びが高められる傾向にあることが見出された。以下、各成分について詳述する。
<成分(A)>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)のポリプロピレン系(共)重合体を含む。成分(A)を含むことにより、良好な射出成形性が付与されるのみならず、かかる熱可塑性エラストマー組成物を所望形状に成形して得られるエアバッグ収納カバーに高温強度の向上、剛性向上等の効果が付与される。なお、成分(A)の「ポリプロピレン系(共)重合体」とは、その構成単位としてプロピレン単位の含有量が85〜100質量%であるものを意味する。なお、成分(A)は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
成分(A)は、プロピレン単位の含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系樹脂であり、プロピレンの単独重合体であっても、プロピレン単位に加えて、プロピレン以外のα−オレフィン単位(ただし、ここでいう「α−オレフィン」には、エチレンも含むものとする。)やα−オレフィン以外の単量体単位を15質量%以下含有するプロピレン系共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。また、成分(A)は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。プロピレン以外のα−オレフィン単位としては、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンを挙げることができる。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、エチレン、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましく、より好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
成分(A)の具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテン共重合体等を例示することができる。好ましくは、プロピレン単独重合体、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体とプロピレンとの共重合体である。また、成分(A)のポリプロピレン系(共)重合体は、ポリプロピレンブロック共重合体であってもよく、成分(A)として低温耐衝撃性及び高温強度の観点から特に好ましいのは、第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるポリプロピレンブロック共重合体である。
成分(A)中のプロピレン単位の含有割合は、成分(A)全体に対し、85〜100質量%であり、好ましくは90〜100質量%であり、より好ましくは95〜100質量%であり、さらに好ましくは98〜100質量%である。成分(A)のプロピレン単位の含有量が前記下限値以上であることにより、エアバッグ収納カバーの耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。なお、成分(A)中のプロピレン単位の含有割合は、赤外分光法により求めることができる。
成分(A)のメルトフローレートは、特に限定されないが、通常0.1g/分以上であり、成形体の外観の観点から、好ましくは10g/10分以上であり、より好ましくは20g/10分以上であり、さらに好ましくは30g/10分以上である。また、成分(A)のメルトフローレートの上限値は、特に限定されないが、通常200g/10分以下であり、引張破壊強度の観点から、好ましくは150g/10分以下であり、さらに好ましくは100g/10分以下である。なお、本明細書において、成分(A)のメルトフローレートは、JIS K7210(1999年)に準拠して、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される値とする。
成分(A)の製造方法としては、特に限定されないが、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法を用いることができる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法を挙げることができる。該多段重合法においては、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせてもよい。
また、成分(A)は市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレン系(共)重合体としては、下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。入手容易な市販品としては、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
<成分(B)>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(B)として、110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体を含む。成分(B)において、110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満であることは、成分(B)の結晶性が低く、非晶性であることを表すものである。成分(B)は、110〜125℃に結晶融解ピークを有さないものが好ましい。成分(B)を含むことにより、本実施形態の熱可塑性エラストマーは、低温でのアイゾッド衝撃強度及び高温での引張破壊強度が高められる傾向にある。
成分(B)は、少なくともエチレン単位とα−オレフィン単位とを含む共重合体である。成分(B)のα−オレフィンの具体例としては、上述した成分(A)と同様であり、特に限定されないが、好ましくは1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、より好ましくは、1−プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の末端の炭素原子に炭素間二重結合を有する炭素数3〜8のα−オレフィンが挙げられる。なお、成分(B)におけるα−オレフィンは、1種のみがエチレンと共重合したものであっても、2種以上がエチレンと共重合したものであってもよい。なお、成分(B)は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
成分(B)中のエチレン単位の含有割合は、特に限定されないが、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計に対し、50質量%以上80質量%以下であることが好ましい。成分(B)中のエチレン単位の含有割合は、成分(B)のブロッキングによる融着防止の観点からは多い方が好ましく、熱可塑性エラストマーの成形後の低温耐衝撃性の観点からは少ない方が好ましい。成分(B)のエチレン単位の含有割合は、より好ましくは55質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。また、エチレン単位の含有割合の上限値は、より好ましくは75質量%以下である。なお、成分(B)中のエチレン単位の含有量及びα−オレフィン単位の含有割合は、それぞれ赤外分光法により求めることができる。
成分(B)の非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン単位及びα−オレフィン単位に加え、非共役ジエンに基づく単量体単位(非共役ジエン単位)等の他の単量体単位を有していてもよい。該非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン等が挙げられるが、これらに特に限定されない、好ましくは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
また、成分(B)が、エチレン単位及びα−オレフィン単位以外の、非共役ジエン単位等の他の単量体単位を有する場合、成分(B)中の他の単量体単位の含有割合は、特に限定されないが、成分(B)全体に対して、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。非共役ジエン単位やプロピレン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(B)の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム、エチレン・1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン・1−オクテン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1−オクテン共重合体ゴム等を例示することができる。これらの中でも、エチレンからなる重合体とエチレン・1−オクテン共重合体のブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体が好ましく、より好ましくはエチレン・1−ブテン共重合体ゴム、エチレン・1−オクテン共重合体ゴムが好ましい。
成分(B)のメルトフローレート(測定温度190℃、測定荷重21.18N)は、特に限定されないが、通常10g/10分以下であり、強度の観点から、好ましくは8g/10分以下であり、より好ましくは5g/10分以下であり、さらに好ましくは3g/10分以下である。また、成分(B)のメルトフローレートは、通常0.01g/10分以上であり、流動性の観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、さらに好ましくは0.10g/10分以上である。成分(B)のメルトフローレートは、ASTM D1238に従い、測定温度190℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
成分(B)の密度は、特に限定されないが、低温耐衝撃性の観点から、0.88g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.87g/cm以下である。一方、その下限については、特に制限されないが、0.85g/cm以上が好ましい。
成分(B)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、オレフィン重合用触媒として、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体等の錯体系触媒を用いることができ、重合方法としてはスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。市販の該当品としては例えばダウ・ケミカル社製Engage(登録商標)シリーズ、三井化学社製タフマー(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
成分(B)の含有量は、成型体の低温耐衝撃性の観点から、成分(A)100質量部に対し、100質量部以上であり、好ましくは105質量部以上、より好ましくは110質量部以上である。また、成分(B)の含有量は、成型体の剛性の観点から、成分(A)100質量部に対し、150質量部以下であり、好ましくは145質量部以下であり、より好ましくは140質量部以下である。
<成分(X)>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(X)として、オレフィン系ポリマービーズを含む。成分(X)を含むことにより、本実施形態の熱可塑性エラストマーは、成分(A)中への成分(B)のより均一な微分散配合を促進させることができ、低温でのアイゾッド衝撃強度及び高温での引張破壊強度を過度に損なうことなく、高温での引張破壊伸びが高められたものとなる。
成分(X)のオレフィン系ポリマービーズとしては、エチレン(共)重合体、プロピレン(共)重合体等のポリオレフィンの微粒子が挙げられる。成分(X)は、透明、半透明、不透明のいずれでも用いることができ、また、発泡微粒子や多孔質粒子であっても構わない。成分(X)の具体例としては、ポリエチレンビーズ、発泡ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ、発泡ポリプロピレンビーズ等が挙げられる。これらの中でも、成分(X)は、ポリプロピレンビーズ、発泡ポリプロピレンビーズが好ましい。これらは、1種を単独で用いることができ、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
また、成分(A)中への成分(B)の均一な微分散配合を促進させる観点から、成分(X)は、両親媒性オレフィン系ビーズが好ましく用いられる。オレフィン系ビーズに両親媒性を付与する方法としては、ポリオレフィンビーズの合成時にカルボン酸、無水カルボン酸、スルホン酸等の酸性基を含有する共重合単位を重合させたり、ポリオレフィンビーズの表面にカルボン酸やスルホン酸等の酸性基を含有する表面改質剤や両親媒性のシロキサン化合物又はポリシロキサン化合物を付与する方法が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、ポリプロピレンビーズ又はこれを両親媒性に改質乃至変性した両親媒性ポリプロピレンビーズがより好ましい。なお、成分(X)は市販の該当品を用いることも可能である。例えば、市販のポリプロピレンビーズとしては、出光興産社のエルモーデュ(登録商標)、三洋化成工業社のユーメックス(登録商標)、ビックケミー・ジャパン社のBYK−P4200等がある。
成分(X)の含有量は、高温での引張破壊伸びの観点から、成分(A)及び(B)の総量に対し、0.1〜5.0質量%であり、好ましくは0.2〜3.0質量%であり、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。
<その他の成分>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、上述した成分(A)及び(B)以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と称する。)や、上述した成分(X)以外の各種添加剤等を必要に応じて任意成分として含有していてもよい。
その他の樹脂としては、上述した成分(A)及び(B)以外のエチレン(共)重合体やプロピレン(共)重合体、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系(共)重合体、ポリアミド系(共)重合体、スチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、ポリカーボネート系(共)重合体、ポリ塩化ビニル系(共)重合体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの樹脂は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。なお、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いる場合には、さらに炭化水素系ゴム用軟化剤を用いることが好ましい。なお、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物がその他の樹脂を含有する場合、特に限定されないが、成分(A)及び(B)の総量に対し、1〜100質量%が好ましく、より好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
各種添加剤としては、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、離形剤(滑材)、シリカやタルク等の無機フィラー、鉱物油、防雲剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物を挙げることができる。例えば、酸化防止剤の含有割合は、成分(A)及び(B)の合計量100質量部に対し、0.01〜0.5質量部の範囲で用いることが好ましい。
なお、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、上記の通りシリカやタルク等の無機フィラーを含有していても構わないが、低温でのアイゾッド衝撃強度、高温での引張破壊強度、及び高温での引張破壊伸びの3性能をより高次元でバランスさせる観点から、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、無機フィラーを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、本明細書において、実質的に含有しないとは、無機フィラーの含有割合が、成分(A)及び(B)の合計量100質量部に対し、0〜5.0質量部であることを意味し、好ましくは0〜3.0質量部、より好ましくは0〜1.0質量部であり、さらに好ましくは0〜0.5質量部であり、特に好ましくは0〜0.1質量部である。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)及び(B)、並びに必要に応じて成分(C)及び/又はその他の成分を、通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。これらの製造方法の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を押出機等で混練して製造する際には、通常160〜240℃、好ましくは180〜220℃に加熱した状態で溶融混練することによって製造することができる。さらに、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物に、下記の架橋剤や架橋助剤を配合して動的に熱処理することにより、部分的に架橋させてもよい。
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を部分的に架橋させるための架橋剤としては、有機過酸化物を用いることが好ましい。有機化酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド等を挙げることができる。
これらの有機過酸化物により部分的に架橋させる際に用いることのできる架橋助剤としては、例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等を有する化合物、P−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等ラジカル重合性の炭素間二重結合を有する化合物等と、成分(B)及び/又は成分(C)の炭素直鎖の部分と反応する官能基をもった化合物を挙げることができる。
<物性>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、上述した成分(A)、(B)及び(X)を特定量含有することにより、低温でのアイゾッド衝撃強度、高温での引張破壊強度、及び高温での引張破壊伸び等に優れるものである。
本明細書において、JIS K7110(1999年)による−40℃におけるアイゾット衝撃強度を、低温耐衝撃性の指標とする。アイゾット衝撃強度は、好ましくは70kJ/m以上であり、より好ましくは80kJ/m以上である。なお、アイゾット衝撃強度の上限は、特に制限されないが、通常150kJ/m以下である。
また、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、高温強度、より具体的にはエアバッグ収納カバーの高温展開性等の観点から、JIS K6251(1993年)を参照した85℃での引張破壊強度(Tensile Strength at Break)が、4.5MPa以上が好ましく、より好ましくは5.0MPa以上である。
さらに、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、高温強度、より具体的にはエアバッグ収納カバーの高温展開性等の観点から、JIS K6251(1993年)を参照した85℃での引張破壊伸び(Elongation at Break)が、1000%以上であることが好ましく、より好ましくは1050%以上である。なお、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、従来のエアバッグ収納カバー用途の熱可塑性エラストマー組成物に比べ、低温耐衝撃性や高温での引張破壊強度に加えて、引張破壊伸びにおいても高性能である点に特長がある。すなわち、引張破壊強度と引張破壊伸びとは、高負荷が印加されたときにはトレードオフの関係にある、低温耐衝撃性を高く維持しつつも、引張破壊強度と引張破壊伸びの双方を高性能化することが特に重要である。
なお、取扱性や成形性の観点からは、熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7210(1999年)に準拠した温度230℃、測定荷重21.18Nでのメルトフローレート(MFR)が、0.5〜3g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.6〜2g/10分であり、さらに好ましくは0.7〜1g/10分である。
また、本明細書においては、JIS K7203(1995年)を参照した−35℃での曲げ弾性率を弾性率の指標とする。本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物の成形体の−35℃での曲げ弾性率は、特に限定されないが、100MPa以上であることが好ましく、より好ましくは200MPa以上、さらに好ましくは300MPa以上である。一方、−35℃での曲げ弾性率は、1,000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは950MPa以下、さらに好ましくは900MPa以下である。低温曲げ弾性率が、上記範囲であると弾性率の観点から好ましく、特にエアバッグ収納カバーとした際に低温展開性能が良好となる傾向にあるために好ましい。
上記熱可塑性エラストマー組成物を用いて、一般に、通常の射出成形法、又は、必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法を用いて成形体とすることによりエアバッグ収納カバーとして用いることができる。特に、本実施形態のエアバッグ収納カバーは射出成形により製造することが好ましく、射出成形を行う際の成形条件は以下の通りである。エアバッグ収納カバーを射出成形する際の成形温度は一般に150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。射出圧力は通常、5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。また、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。このようにして得られるエアバッグ収納カバーは、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨張展開によって乗員を保護するエアバッグシステムのエアバッグ収納カバーとして好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<原料>
成分(A):ポリプロピレンブロック共重合体(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン−プロピレン共重合体を重合して得られたもの。)
MFR(JIS K7210(1999年)):60g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N(2.16kgf))、ポリプロピレンブロック共重合体中、プロピレン単独重合の含有量:92質量%、エチレン−プロピレン共重合の含有量:8質量%、エチレン−プロピレン共重合におけるエチレン単位含有量:43質量%、融解温度:163℃。
成分(B):ダウ・ケミカル社製 Engage(登録商標)8180(エチレン−オクテン共重合体)
結晶融解ピーク:110℃〜125℃にピークなし、結晶融解熱量:0、MFR(ASTM D1238):0.5g/10分(測定条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))(カタログ値)、密度:0.86g/cm
<評価方法>
1)密度:
JIS K6758に準拠して測定した。
2)メルトフローレート(単位:g/10分):
JIS K7210(1999年)に従って、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
3)曲げ弾性率(−35℃)
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、低温曲げ弾性率の試験片(厚さ4mm×幅10mm×長さ90mm)を成形した後にJIS K7203(1995年)を参照して、低温曲げ弾性率を−35℃雰囲気下にて測定した。
4)高温強度:引張破壊試験(JIS−3号ダンベル、引張速度500mm/min)
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、引張り試験の試験片はシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を成形した後にJIS K6251(1993年)準拠(JIS−3号ダンベル)で打ち抜いた。JIS K6251(1993年)を参照して、引張破壊強度(単位:MPa)と引張破壊伸び(単位:%)を23℃及び85℃雰囲気下にてそれぞれ測定した。引張破壊強度及び引張破壊伸びのそれぞれの値が大きいほど高温強度に優れるものと評価した。
5)低温耐衝撃性:アイゾット衝撃強度(単位:kJ/m
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、アイゾット衝撃強度用の試験片をノッチの付いた厚さ4mm×幅12.7mm×長さ64mmとした試験片に成形した。JIS K7110(1999年)に従って、温度−40℃で測定した。アイゾット衝撃強度の値が大きいものほど、低温耐衝撃性に優れるものと評価した。
<実施例/比較例>
[実施例1]
(A)47.5質量%及び(B)52.5質量%を含有する熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して、酸化防止剤(BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010)0.1質量部、離形剤(日本精化社製、商品名ニュートロン(登録商標))0.1質量部、及び両親媒性オレフィン系ポリマービーズ(ビックケミー・ジャパン社製、商品名BYK(登録商標)−P4200)0.5質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドし、同方向2軸押出機(神戸製鋼製「TEX30α」、L/D=45、シリンダブロック数=13)へ20kg/hの速度で投入し、180−210℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、実施例1のエアバッグ収納カバー用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られたペレットについて、前記1)〜5)の評価を行った。配合組成及び評価結果を表1に示す。
[実施例2〜3及び比較例1]
表1に示す配合にする以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3及び比較例1のエアバッグ収納カバー用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られたペレットについて、実施例1と同様に、前記1)〜5)の評価をそれぞれ行った。これらの配合組成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2018104584
[評価結果]
表1から明らかなとおり、本発明に該当する実施例1〜3はいずれも、常温近辺においては従来処方である比較例1と同等以上の性能を有し、低温耐衝撃性においても同等以上の性能を有しながらも、高温での引張破壊強度及び引張破壊伸びが大きく向上したものとなっていることが示された。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、低温でのアイゾッド衝撃強度、高温での引張破壊強度、及び高温での引張破壊伸びの3性能が高次元でバランスしたものであり、各種用途に好適に用いることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、エアバッグ収納カバー、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル等の自動車内装部品、マッドガード・クロメット等の自動車外装部品、家電部品、建材、家具等として有用である。これらの中でも、本発明の熱可塑性エアストマー組成物は、エアバッグ収納カバーとして特に有用である。エアバッグ収納カバーの中でも、例えば、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨張展開によって乗員を保護するエアバッグシステムのエアバッグ収納カバーとして殊に有用である。

Claims (11)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(X)を少なくとも含有し、前記成分(A)100質量部に対し前記成分(B)を100〜150質量部含有し、前記成分(A)及び(B)の総量に対して前記成分(X)を0.1〜5.0質量%含有する、熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):プロピレン含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系(共)重合体
    成分(B):110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体
    成分(X):オレフィン系ポリマービーズ
  2. 前記成分(A)が、メルトフローレート(JIS K7210準拠、測定温度230℃、測定荷重21.18N)が10〜200g/10分であるポリプロピレン系(共)重合体である
    請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記成分(A)が、プロピレン単独重合体と、プロピレン・エチレン共重合体とのポリプロピレン系ブロック共重合体である
    請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記成分(B)が、メルトフローレート(ASTM D1238準拠、測定温度190℃、測定荷重21.18N)が0.01〜10g/10分であるオレフィン系熱可塑性エラストマーである
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記成分(B)が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとを含むエチレン・α−オレフィン共重合体を含む
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記成分(X)中の前記オレフィン系ポリマービーズが、両親媒性ポリプロピレン系ポリマービーズである
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. メルトフローレート(JIS K7210準拠、測定温度230℃、測定荷重21.18N)が0.5〜3g/10分である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 1000%以上の引張破壊伸び(JIS K6251準拠、85℃)を有する
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 4.5MPa以上の引張破壊強度(JIS K6251準拠、85℃)を有する
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 70kJ/m以上のノッチ付きアイゾット衝撃強度(JIS K7110準拠、温度−40℃)を有する
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(X)を少なくとも含有し、前記成分(A)100質量部に対し前記成分(B)を100〜150質量部含有し、前記成分(A)及び(B)の総量に対して前記成分(X)を0.1〜5.0質量%含有する熱可塑性エラストマー組成物を含む、エアバッグ収納カバー。
    成分(A):プロピレン含有量が85〜100質量%であるポリプロピレン系(共)重合体
    成分(B):110〜125℃の結晶融解熱量が20J/g未満である非晶性エチレン・α−オレフィン共重合体
    成分(X):オレフィン系ポリマービーズ
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014077128A (ja) * 2012-09-19 2014-05-01 Mitsubishi Chemicals Corp エアバッグ収納カバー

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