JPH04314648A - エアーバッグ収納用カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両衝突時にその衝撃、
変形等を感知することにより、動作膨張して展開するエ
アーバッグを収納するためのカバーに関するものである
。

【０００２】

【従来の技術】この種のカバーとしては、エアーバッグ
動作（膨張）時に、それを収納しているカバーが破砕さ
れ、その破片が飛散して乗員の顔又は目等に当って怪我
をさせる危険があることから、従来のものは、破片飛散
防止を目的として補強材（ネット等）がインサートされ
ているのが一般的であった（特開昭６２−２３４７６４
、特開昭５０−１２７３３６、実開昭５２−８０９２８
、実開昭５０−４３４５４、実開昭５１−２５３４２号
公報等）。

【０００３】このようなネット状インサートを入れたカ
バーは、通常、発泡ポリウレタン等の比較的低温強度の
材料でカバー全体を作り、補強材ネットをこのカバー全
体にインサートして製造されるが、この際エアーバッグ
膨張時にこれがスムーズに展開してカバーが容易に破壊
されるべく該補強材ネットをインサートしないラインを
設けるのが一般的である。

【０００４】一方、実開昭５２−７６０４２号公報には
、表面をきれいに仕上げるための硬質ウレタン発泡体か
らなる表皮層と、カバー全体を柔らかくするため低密度
（高倍率発泡）ウレタン発泡体のコア層との２層からな
り、該コア層から表皮の一部に達するスリット（エアー
バッグ膨張時にスムーズに展開させるためのライン）を
備えたエアーバッグ収納用カバーが提案されている。

【０００５】上記従来のエアーバッグ収納用カバーのう
ち、ネット状インサートを入れたエアーバッグ収納用カ
バーは、ネット状補強材をインサートするため、製作工
数が多く煩雑であり、また、たとえウレタン発泡成形（
ＲＩＭ）を用いても高い精度で製造するのが困難であり
、歩留まりが低く、かつコスト高であるという問題があ
った。

【０００６】また、実開昭５２−７６０４２号公報に開
示されるていカバーは、表皮が硬質ウレタン発泡体（Ａ
ＳＴＭ−Ｄ２２４０，ショア硬度が３０〜４０）で特に
補強材等が施されていないため、特に−４０℃のエアー
バッグ動作時破片飛散を完全に防止できず、実用安全上
問題があった。

【０００７】このような問題点に対し、特開平１−２０
２５５０、特開平２−１７１３６２、特開平２−２００
９４６号公報が提案されている。

【０００８】これらの提案において、ソフト感を与える
表皮層と形状保持性を与える硬いコア層とからなり、コ
ア層にはエアーバッグ動作開始時容易に開裂できる部分
、例えばミシン目状のスリット等が施されているもので
、表皮層、コア層とも熱可塑性材料を使用し、その製造
はインサート又は２色射出成形法によることが示されて
いる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなエ
アーバッグ収納用カバーは、ソフト感及び低温（−４０
℃）から高温（＋８０℃）までの展開性能は優れている
ものの、次のような２つの欠点を有するものであった。 １つはまずコア層を成形するための金型と表皮層を成形
するため、１つの成形品（完成品）を得るのに２つの金
型を必要とすること、このことは成形機が特殊なものを
要したり、成形サイクルが長いこともあり経済的に問題
があった。２つ目の欠点としては、成形収縮等の異なる
材料を多層成形した場合、製品に変形等が生じることは
防ぎようがなく、また、コア材に施された開裂部分（例
　　ミシン目状のスリット）から折れが発生し、表皮材
を通しても肉眼で判別できる。このことはエアーバッグ
の装着がハンドル中央や助手席の前といった人目につく
部分であり、内装用として厳しい外観性能が要求される
ことに対して不十分なものであった。

【００１０】本発明は、上記従来のエアーバッグ収納用
カバーの問題点を解決し、カバー全体で適度な柔らかさ
と外圧に耐える強度を有し、かつエアーバッグ動作膨張
時には破片の飛散がなく、容易に開裂されるエアーバッ
グ収納用カバーを提供することを目的とする。

【００１１】また、本発明は、射出成形のような簡易な
成形法により、不良品のでない方法で高い歩留りにて、
高精度に、かつ高い生産性、良好な経済性をもって供給
することができるエアーバッグ収納用カバーを提供する
ことを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１のエア
ーバッグ収納用カバーは、内面にエアーバッグ動作開始
のとき容易に開裂するための肉薄部分が施されているエ
アーバッグ収納用カバーにおいて、該カバーの構成材料
が、ＪＩＳ　　Ｋ６３０１のＪＩＳ　　Ａ硬度が７０以
上でＪＩＳ　　Ｋ７２０３の曲げ弾性率が５０００ｋｇ
／ｃｍ２　以下のオレフィン系及び／又はスチレン系熱
可塑性エラストマー（ＴＰＥ）であることを特徴とする
ものである。

【００１３】請求項２のエアーバッグ収納用カバーは、
請求項１において、該カバーが前記構成材料の一色射出
成形品であって、且つ、その表面に塗装が施されたもの
であることを特徴とするものである。

【００１４】即ち、本発明者等は、前記の目的を達成す
べく鋭意検討を重ねた結果、特定の熱可塑性エラストマ
ーからなり、カバー内面に開裂用の肉薄部分を施すこと
によって上記目的が達成されることを見出し、本発明を
完成させた。

【００１５】以下に本発明を図面を参照して詳細に説明
する。

【００１６】第１図は本発明の実施例に係るエアーバッ
グ収納用カバーがエアーバッグに装着された状態を示す
概略的な部分断面正面図であり、第２図はエアーバッグ
収納用カバーの背面図であり、容易に開裂させるための
肉薄部分の一例が示されている。

【００１７】図中、１はエアーバッグ収納用カバー、２
はエアーバッグ、３はインフレーター、４はリングリテ
ーナ、５はベースリテーナ、６は金属プレート、７はリ
ベットである。

【００１８】本発明のエアーバッグ収納用カバー１は、
ＪＩＳ　　Ｋ６３０１のＪＩＳ　　Ａ硬度が７０以上で
ＪＩＳ　　Ｋ７２０３の曲げ弾性率が５０００ｋｇ／ｃ
ｍ２　以下のスチレン系及び／又はオレフィン系ＴＰＥ
の単一層からなり、カバー内面にはエアーバッグ開裂開
始のとき容易に開裂するための肉薄部分１Ｃが施されて
いるものである。

【００１９】本発明において使用されるスチレン系ＴＰ
Ｅは、スチレン−共役ジエンブロックポリマー及びその
水素添加ブロックポリマーをベースとし、オレフィン系
樹脂、スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂や石油炭化水素
系ゴム用軟化剤（オイル等）、合成軟化剤（ポリブテン
等）等の各種ゴム用軟化剤や無機フィラー、ワックス類
、その他各種添加剤の中から選ばれる成分を配合したコ
ンパウンド材料である。

【００２０】該スチレン−共役ジエンブロックポリマー
において、共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレ
ン等が好ましく、さらに本発明においてその水素添加さ
れたブロックポリマーが長期耐久性能（耐熱性、耐候性
）及び加工安定性の点から好ましいものである。

【００２１】また、本発明に使用できるオレフィン系Ｔ
ＰＥとしては、エチレンとＣ３　〜Ｃ６　のα−オレフ
ィンとからなる共重合体ゴム及び軟質ポリマーをベース
とし、上記スチレン系ＴＰＥと同様の各種樹脂、軟化剤
、無機フィラー、ワックス類、各種添加剤の中から選ば
れる成分を配合したコンパウンド材料である。

【００２２】エチレン−αオレフィン共役ジエンゴムに
ついては、さらにジシクロペンタジエンやエチリデンノ
ルボルネン等のジエン成分を若干量共重合したものも使
用できる。αオレフィンとしては、Ｃ３　：プロピレン
、Ｃ４　：ブテン−１を用いたものが広く市販されてお
り、性能、コスト面から好ましい。

【００２３】オレフィン系ＴＰＥについては、有機過酸
化物、ゴム用加硫剤、各種架橋助剤等を加え、バンバリ
ーミキサーや押出機等で溶融混練時に、動的にエチレン
−αオレフィン共重合体ゴムをメインに部分または完全
に近い所まで架橋したものも使用される。特に、ＪＩＳ
　　Ａ硬度が７０〜９５の範囲のものは、このようなタ
イプが耐熱性、感触の点から好ましいものである。

【００２４】また、前述のスチレン系ＴＰＥとオレフィ
ン系ＴＰＥは、それぞれ単独又は両者を適当な割合で混
合して使用することも本発明では可能である。

【００２５】具体的には現在上市されているものでスチ
レン系ＴＰＥとしては、 シエルケミカル社「クレイトン」 三菱油化社「ラバロン」 アロン化成社「エラストマーＡＲ」 住友化学社「住友ＴＰＥ−ＳＢ」 旭化成社「タフテック」 等が挙げられる。

【００２６】オレフィン系ＴＰＥとしては、三菱油化社
「サーモラン」、「ＳＰＸ」、「ユカロンセル」 住友化学社「住友ＴＰＥ」 三井石油化学社「ミラストマー」、「グッドマー」三菱
モンサント社「サントプレン」 日本石油化学社「ソフトレックス」 昭和電工社「オレフレックス」 ハイモント社「ハイファックス」 等が挙げられる。

【００２７】本発明で使用されるオレフィン系及び／又
はスチレン系ＴＰＥの硬さは、ソフト感、形状保持性及
び−４０℃〜＋８０℃での安定したエアーバッグ展開性
能を示す必要から、ＪＩＳ　　Ｋ６３０１のＪＩＳ　　
Ａ硬度が７０以上でＪＩＳ　　Ｋ７２０３の曲げ弾性率
が５０００ｋｇ／ｃｍ２　以下のものが選定される。

【００２８】好ましくはＪＩＳ　　Ａ硬度が７５以上で
曲げ弾性率３０００ｋｇ／ｃｍ２　以下、さらに好まし
くはＪＩＳ　　Ａ硬度が８０以上で曲げ弾性率２０００
ｋｇ／ｃｍ２　以下の範囲にするのが望ましい。

【００２９】ＪＩＳ　　Ａ硬度が７０未満のものはソフ
ト感に富むが、形状保持性、リベット取付け性に問題が
あるだけでなく、高温（＋８０℃）下でのエアーバッグ
展開性能に問題が生じる。また、硬い方については、曲
げ弾性率が５０００ｋｇ／ｃｍ２　を超えるものについ
ては、ソフト感及び低温（−４０℃）下でのエアーバッ
グ展開性能に劣り、実用的でないという欠点を有する。

【００３０】本発明の収納用カバーの平均肉厚（表面積
の６０％以上の部分を占める肉厚平均）は、通常の場合
、０．５〜５ｍｍ程度であるが、全体にわたって均一で
あることはない。例えば、リベット取付け部は厚めに、
開裂部分は平均肉厚の５０％以下程度に薄めに設計する
のが適当である。

【００３１】このような本発明のエアーバッグ収納用カ
バーの成形加工法としては、熱可塑性樹脂に用いる一般
的成形加工法が挙げられるが、デザイン等の点から、一
色成形法が特に良い方法として挙げられる。

【００３２】なお、本発明のエアーバッグ収納用カバー
は、車両室内の豪華さ、他の内装部品との色合せ、フィ
ーリング等を向上させるために、塗装を施す方が好まし
い。塗装はほこりの付着による汚れや耐傷性の点からも
好ましい。この塗装としては、従来よりこの種のカバー
に施されている各種のものを採用できる。

【００３３】

【作用】本発明のエアーバッグ収納用カバーは、カバー
全体としてソフト感を有するため、カバーに体が当たっ
ても不快に感ずることはなく、外力により変形、損壊し
たりすることもない。

【００３４】また、本発明のカバーは、車両衝突時にカ
バー内のエアーバッグが膨張する際に、予め内面に設け
られた開裂用の薄肉形状に沿ってカバーが開裂するので
あるが、このカバーの開裂時にカバーの破損、破片の飛
散することがない。

【００３５】このカバーに塗装を施すことにより、車両
室内の豪華さ、他の内装部品との色合せ、フィーリング
等が向上されると共に、ほこりの付着による汚れ防止や
耐傷性向上が図れる。

【００３６】

【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されない。

【００３７】実施例１〜３，比較例１〜２型締圧３５０
トンのインラインスクリュータイプ射出成形機を用い、
表１に示すコア材料にて開裂用肉薄部分（肉厚１ｍｍ）
がＨ型に施され、全体の平均肉厚が３ｍｍ、リベット取
付け部分肉厚が５ｍｍの製品を成形した。また、実施例
１，２、比較例１，３は塗装を施した。

【００３８】塗装は、カバーの射出成形後に表面をイソ
プロピルアルコールで拭き、次いで坂井化学社製のプラ
イマー（ＭＥＸ５４４０とメチルエチルケトン＝１：１
）を７〜１０μｍスプレー塗布、室温にて１０分乾燥後
、坂井化学社製ウレタントップコート（ＭＥＸ６０４７
：硬化剤Ｆ−３，シンナー５８μ＝１００：１０：５０
）を２０〜２５μｍスプレー塗布、室温にて１０分乾燥
後、８０℃で３０〜４５分焼き付けることにより行なっ
た。

【００３９】比較例３は補強ネットを設けたエアーバッ
グ収納カバーを製造した。このネット入りウレタンリム
成形では、ポリエステルネットをカバー開裂部分を除き
、取付け金具（フック）を取り付け、これをＲＩＭ金型
に装着し、ウレタンリム成形した。この時発泡剤として
はフロンガスを使用し、脱型した後、１００℃で３０分
キュアさせた。この方法では、ネットをインサートする
ことによって安定した性能を有するカバーを作ることが
難しく、成形サイクルは上がらず、ロスも多いものであ
った。

【００４０】なお、表１に示す使用材料は下記の通りで
ある。

【００４１】 ＴＰＳ−１；水添ＳＢＳベースのスチレン系ＴＰＥ三菱
油化社製「ラバロンＭＪ８３００Ｃ」ＪＩＳ　　Ａ硬度
　　８５ 密　　度　　　　　　　　　　０．９０ｇ／ｃｍ３ＴＰ
Ｓ−１；水添ＳＢＳベースのスチレン系ＴＰＥ三菱油化
社製「ラバロンＳＪ５４００Ｂ」ＪＩＳ　　Ａ硬度　　
５５ 密　　度　　　　　　　　　　１．１ｇ／ｃｍ３ＴＰＯ
−１；エチレンフ゜ロヒ゜レンコ゛ムヘ゛ースのオレフ
ィン系ＴＰＥ（部分架橋タイプ） 三菱油化社製「サーモラン３９８０Ｂ」ＪＩＳ　　Ａ硬
度　　９３ 密　　度　　　　　　　　　　０．８９ｇ／ｃｍ３ＴＰ
Ｏ−２；エチレンフ゜ロヒ゜レンコ゛ム／ホ゜リフ゜ロ
ヒ゜レン／ホ゜リエチレンヘ゛ーオレフィン　系ＴＰＥ
（架橋なし） 三菱油化社製「サーモラン２９２０Ｂ」曲げ弾性率　　
２０００ｋｇ／ｃｍ２ 密　　度　　　　　　０．９０ｇ／ｃｍ３ＴＰＯ−３；
三菱油化社製ポリプロピレンＢＣ８Ｄ　　ＭＦＲ１．８
ｇ／１０分（２３０℃，２．１６ｋｇ）　　比重０．９
０ｇ／ｃｍ３　に対し、日本合成ゴム社製ＥＰ０２Ｐ ムーニー粘度２４（ＭＬ　１＋４１００）プロピレン含
量２６％を１０％溶融混練により配合曲げ弾性率　　７
０００ｋｇ／ｃｍ２ 密　　度　　　　　　０．９ｇ／ｃｍ３［評価方法］ （１）ソフト感 第１図の如く、エアーバッグ２とエアーバッグ収納用カ
バー１及びリテーナー（取付金具）４，５とインフレー
タ３を組み付けたモジュールカバー又はカバー１単品を
−１．０℃〜６０℃中にサンプルが雰囲気温度に達する
まで放置し、その時のカバーを１０人の人間による手の
感触で評価。ソフト感良好と感じたものが１０人中７人
以上であれば○、１０人中６人以下であれば×とした。

【００４２】（２）形状保持性 上記と同様のアッセンブリーされたエアーバッグモジュ
ールケースを１１０℃，１０００時間及び−４０℃〜１
００℃の熱サイクルで１０サイクルテストし、変形の殆
どないものは○、著しい変形の認められるものは×とし
た。

【００４３】（３）展開テスト （１）と同様のアッセンブリーされたエアーバッグモジ
ュールケースをステアリングに取付け、−４０℃，＋８
０℃にて展開テストを実施し、その時割れて飛散したり
、カバーが鋭利な形状に割れてバッグとして正常な動作
ができなかったり、又はリテーナーとの取付けリベット
部より引きちぎられたりした場合を不適とし、×とした
。以上の不具合がなく、正常な展開動作がなされたもの
は好適とし、○とした。

【００４４】［製品外観］射出成形して得られたカバー
をそのまま、又は塗装したものについて、フローマーク
、デラミネーション、艶ムラ、肉薄部の変形等の点から
チェックし、著しく不良のあるものは×、その他は○と
した。

【００４５】［生産性］連続２０個の製品を製造し、成
形品の外観、寸法をチェックし、全数合格レベルなら○
とし、不合格レベルの製品が発生した場合は×とした。

【００４６】

【表１】

【００４７】

【発明の効果】以上の実施例からも明らかな通り、本発
明のエアーバッグ収納用カバーは、身体の一部に当って
も柔らかみがあるため、快適感が高い。また、適度の剛
性を有するため形状保持性に優れ、エアーバッグ動作時
にはカバー開裂用の脆弱形状により、カバーは速やかに
開裂する。しかも、その外観は内面の肉厚部分の影響も
少なく、良好なものであった。

【００４８】本発明のエアーバッグ収納用カバーは、射
出成形という合理化された加工法により、簡便かつ高精
度で、不良品の発生も殆どなく、高歩留りにて確実かつ
効率的に製造することが可能であり、製品の大幅コスト
ダウンを図ることが可能なものである。

【００４９】なお、カバーに塗装を施すことにより、車
両室内の豪華さ、他の内装部品との色合せ、フィーリン
グ等が向上されると共に、ほこりの付着による汚れ防止
や耐傷性向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１図は本発明の実施例に係るエアーバッグ収
納用カバーがエアーバッグに装着された状態を示す概略
的な部分断面正面図である。

【図２】第２図はエアーバッグ収納用カバーの背面図で
ある。

【符号の説明】

１　　エアーバッグ収納用カバー ２　　エアーバッグ ３　　インフレータ ４，５　　リテーナー ６　　金属プレート ７　　リベット １Ｃ　　開裂のための肉薄部分

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　内面にエアーバッグ動作開始のとき容
   易に開裂するための肉薄部分が施されているエアーバッ
   グ収納用カバーにおいて、該カバーの構成材料が、ＪＩ
   Ｓ　　Ｋ６３０１のＪＩＳ　　Ａ硬度が７０以上でＪＩ
   Ｓ　　Ｋ７２０３の曲げ弾性率が５０００ｋｇ／ｃｍ２
   　以下のオレフィン系及び／又はスチレン系熱可塑性エ
   ラストマーであることを特徴とするエアーバッグ収納用
   カバー。
2. 【請求項２】　　請求項１において、該カバーが前記構
   成材料の一色射出成形品であって、且つ、その表面に塗
   装が施されたものであることを特徴とするエアーバッグ
   収納用カバー。