JP4901125B2 - ポリイミド接着シート、その製造方法並びに該シートからなるポリイミド金属積層体 - Google Patents

ポリイミド接着シート、その製造方法並びに該シートからなるポリイミド金属積層体 Download PDF

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Description

本発明は、フレキシブル配線基板、ハードディスクドライブのワイアレスサスペンション、フレキシブル配線基板用カバーレイフィルム等に広く使用されている、ポリイミド接着シート及びその製造方法に関するものである。詳しくは、ポリイミドの表面の欠陥が少なく、かつ、耐熱性が良好である、高密度回路基板用の材料に適するポリイミド接着シート及びその製造方法に関するものである。
現在フレキシブル配線基板において、ポリイミドフィルムの上にポリイミド系接着剤を形成したポリイミド接着シートを用いて銅箔等の金属と張り合わせ、フレキシブル配線基板を得る方法が、耐熱性の向上、寸法安定性の向上を目的として、広く用いられている。このポリイミド接着シートより得られるフレキシブル配線基板は、2層フレキシブル配線基板と呼ばれている。
このようなポリイミド接着シートについては、例えば特許文献1に、ポリイミド系接着剤の分子末端に酸無水物による末端封止することにより、高温での接着性能を改善できることが開示されている。この手法によれば、高温での、金属に代表される被接着体とポリイミド系接着剤との接着強度を向上することはできるが、ポリイミド系接着剤を塗布する際の塗布面の均一性等、接着剤の表面形状を考慮していないため、部分的には、接着性能が確保されても、全体的には、接着不良が起こる不具合を含有するものであった。
さらに、このポリイミド接着シートにおいて、従来より、ポリイミドフィルムの上に、ポリイミド系接着剤を形成する際に、ポリイミドフィルムとポリイミド系接着剤の密着強度を確保することを目的として、ポリイミドフィルムの表面を、プラズマ処理により表面改質を行い、密着を向上させる手法が、用いられている。例えば、特許文献2には、特定の構造を有するポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理により表面改質し、熱可塑性ポリイミド樹脂との接着強度を向上する手法が開示されている。
また、特許文献3には、吸水率の低いポリイミドフィルムと熱可塑性ポリイミドの接着強度を向上させるには、遠赤外線による高温処理も、プラズマ処理と同様に、効果があることが開示されている。
しかし、これらの文献には、ポリイミド系接着剤の密着強度向上にのみ着目してプラズマ処理等に代表される、表面改質を施しており、密着強度向上には、確かに効果があるものの、ポリイミド系接着剤をポリイミドフィルム上に形成する際の、欠陥や、塗工の厚みムラには、特に着目しておらず、接着シートの品質、接着シートと銅箔等の金属と張り合わせることにより製造される2層フレキシブル配線基板の品質上、問題を有するものであり、解決が望まれていた。
特開平06−200218号公報 特許第2889976号公報 特開2002−317159号公報
前述の問題点に鑑み、本発明の目的は、ポリイミドフィルム上にポリイミド系接着剤を形成する際の、ポリイミド系接着剤の品質の安定性、特に形成面における欠陥、厚みムラ、抜け等を向上させることにある。
また、ポリイミド接着シート及びポリイミド金属積層体には、鉛フリー半田の適用、部品実装のタクトタイムの短縮による部品実装の高温化により、高温耐熱性が求められており、ポリイミド系接着剤自体の耐熱性を向上させることが急務となっている。本発明においては、耐熱性を有するポリイミド系接着剤を用いて、欠陥が少なく品質が安定したポリイミド接着シート、ポリイミド金属積層体、およびその製造方法を提供することも、目的としている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリイミドフィルムにポリイミド系接着剤を形成する際の、ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力が、形成面の欠陥の形成に大きな影響を及ぼしていることを見出した。具体的には、特定の値以上のぬれ張力を有するポリイミドフィルムを使用した場合、格段に形成面の欠陥が抑制できるようになることを見出し、即ち本発明者らはこの臨界点を見出したのである。また、特に耐熱性のある、換言すれば、300℃における貯蔵弾性率が5×105Pa〜5×108Paとなるポリイミド系樹脂において、形成面の欠陥抑制にはポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力を制御することが重要であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)ポリイミドフィルムの少なくとも片面にポリイミド系接着剤が形成されてなるポリイミド接着シートにおいて、ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上のものであり、且つポリイミド系接着剤の300℃における貯蔵弾性率が5×105Pa〜5×108Paであることを特徴とするポリイミド接着シート。
(2)(1)記載のポリイミド接着シートの少なくとも片面に、金属箔を形成したポリイミド金属積層体。
(3)金属箔が銅箔、銅合金箔、ステンレス箔から選ばれた少なくとも1つである(2)記載のポリイミド金属積層体。
(4)ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上のものを選択して用い、該ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、300℃における貯蔵弾性率が、5×105Pa〜5×108Paとなるポリイミド系接着剤を塗工・乾燥することを特徴とするポリイミド接着シートの製造方法。
(5)ポリイミドフィルムは、プラズマ表面処理及び/又はアルカリエッチング処理することにより23℃におけるぬれ張力を64mN/m以上にしたものである(4)記載の製造方法。
(6)300℃における貯蔵弾性率が、5×105Pa〜5×108Paとなるポリイミド系接着剤は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドであって、使用するテトラカルボン酸二無水物に、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含むものから製造されるものである(4)又は(5)記載の製造方法。
(7)300℃における貯蔵弾性率が、5×105Pa〜5×108Paとなるポリイミド系接着剤は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドであって、使用するジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)−2,2-ジメチルプロパン、4,4’-ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルから選ばれた少なくとも一種のジアミンを含むものから製造されるものである(4)〜(6)記載の製造方法。
(8)(2)又は(3)記載のポリイミド金属積層体から製造されるハードディスクドライブ用サスペンションに関するものである。
本発明によれば、欠陥がなく、耐熱性に優れるポリイミド接着シートおよびポリイミド金属積層体が得られる。従って、本発明の積層体を用いることにより、高温での部品実装に対応でき、超微細加工が可能となる。よって、特に、ハードディスクドライブのサスペンション材料として好適に使用される。
以下に本発明のポリイミド接着シート、ポリイミド金属積層体およびその製造方法を詳細に説明する。
本発明のポリイミド接着シートは、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、ポリイミド系接着剤が形成されているものである。用いるポリイミドフィルムは、特に限定はなく、市販のポリイミドフィルム、例えば東レ・デュポン(株)社製:KaptonV(登録商標)、KaptonEN(登録商標)、(株)カネカ製:ApicalNPI(登録商標)、ApicalAH(登録商標)、ApicalHP(登録商標)等を用いることができる。また、公知のポリイミドを例えばステンレス箔などの金属上に前駆体であるワニスを塗布、乾燥し、得られるフィルムを用いても良い。また、ポリイミドフィルムの厚みにも指定はなく、例えば、5μmの薄いフィルムから、250μmの厚いフィルムまで使用することができる。但し、近年の2層フレキシブル基板の薄型化に適用するため、7μm〜25μmの薄いフィルムが好適に使用される。
上述のポリイミドフィルムを用いて、少なくとも片面にポリイミド系接着剤を形成し、ポリイミド接着シート、ポリイミド金属積層体を製造していくが、ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力を64mN/m以上にすることが、ポリイミド系接着剤の厚みムラ、抜け等の欠陥を抑制するために必要である。ここで、ポリイミドの23℃におけるぬれ張力とは、1999年改訂のJIS K6768「プラスチック-フィルム及びシート- ぬれ張力試験方法」に開示されている方法にて、測定したものである。ポリイミド系接着剤の欠陥を減少させるためには、ポリイミドフィルムのぬれ張力の値は、大きければ大きいほどよく、好ましくは、70mN/m以上である。さらに好ましくは、73mN/m以上である。水のぬれ張力が73mN/mであり、ポリイミド系樹脂を形成する際に、ポリイミド系樹脂が、大気中の水分を吸収する等のことが考えられ、かかる場合には、ポリイミド系接着剤が、水のぬれ張力に近い値になっていき、欠陥が起こりやすくなり、欠陥撲滅のためには、ポリイミドフィルムのぬれ張力を水の23℃におけるぬれ張力よりも大きな値としておくことが必要だからである。尚、何も処理しないポリイミドフィルムのぬれ張力は、通常56〜59mN/m程度である。
ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力を増大させる方法としては、プラズマ表面処理、アルカリエッチング処理等の方法を用いることができる。
プラズマ表面処理としては、グロー放電などの公知の手法を用いることができる。グロー放電処理を用いる場合、ぬれ張力が本発明の範囲になる条件として、処理電力密度は、処理を行うポリイミドフィルムの種類により、適正化を行う必要があるが、100W・min/m2〜10000W・min/m2の範囲にすることが好ましい。処理電力密度が小さい場合は、この処理をおこなってもぬれ張力を向上させる効果が十分ではなく、また、処理電力密度が大きすぎると、ぬれ張力を向上させるだけでなく、ポリイミドの化学分解も誘発してしまう可能性があるからである。雰囲気ガスとしては、窒素、アルゴン、二酸化炭素、キセノン、ヘリウム、ネオンのうち、少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。より好ましくは、アルゴンガスである。プラズマ処理効果を安定化させることができるからである。雰囲気の圧力としては、0.1〜1000Torrの範囲が好ましい。真空状態から幅広い範囲にて処理が可能である。
尚、前述の特許文献2には、プラズマ処理に関し、グロー放電の条件が開示されている。この公報に開示の条件を用いて、ポリイミドフィルムの表面を処理した場合には、ポリイミドのフィルムの23℃におけるぬれ張力を向上させる効果はあることが確認できた。しかし、該公報に記載のグロー放電の放電出力では、23℃におけるぬれ張力向上の十分な効果は得られないものであり、62mN/m程度であった。言い換えると、ポリイミドフィルムの上に形成するポリイミド系接着剤が、フィルム上を良く濡らし、形成面の欠陥を抑制できるぬれ張力にするには十分ではなかった。従って、本発明のポリイミド接着シートを得るためには、前記条件程度で処理する必要がある。
アルカリエッチング処理を用いる場合は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等公知のものを使用することができ、例えば、好ましい例として水酸化カリウム、モノエタノールアミン、水の混合液等を例示することができる。その場合、混合液中における水酸化カリウムの割合は、3wt%〜73wt%程度であることが好ましい。ポリイミドフィルムのエッチングの面形状が均一化され、表面の荒れが抑えられるからである。また、モノエタノールアミンの割合は、10wt%〜80wt%であることが好ましい。モノエタノールの比率が多すぎると、ポリイミドフィルムのエッチングにより生成する、アミック酸塩の溶解量が少なくなるからである。また、市販のエッチング液も使用可能であり、例えば東レエンジニアリング(株)製のTPE-3000等を使用することができる。混合液にポリイミドフィルムを浸漬する時間は、エッチング液やポリイミドフィルムの組成によるが、通常10秒〜10分間程度が好ましい。ポリイミドフィルム表面の形状均一性が保たれるからである。混合液の液温は、15℃〜90℃程度が好ましい。エッチング量を制御するためには、かかる温度範囲が適しているからである。温度が15℃よりも低ければ、エッチング量が少ないため、制御が実質困難となる可能性があり、温度が90℃よりも高ければ、エッチング量が多いために、ポリイミドフィルムの膜厚減少が急激に起こるため、所望の厚みを保つことが困難になる場合がある。ぬれ張力を大きくするのに、長時間のエッチングは必要なく、ポリイミドフィルムの最表層が均一にエッチングされればよい。ぬれ張力制御のためにはエッチング液組成を規定することが重要である。エッチングの均一性が問題であるので、時間、温度よりも、水酸化カリウムとモノエタノールアミンの比率を調整することが重量である。尚、ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力を向上させるためには、上述の2種類の方法を単独で用いても良く、また、併用して用いても良い。
本発明においてポリイミドフィルム上に形成するポリイミド系接着剤としては、300℃における貯蔵弾性率が5×105Pa〜5×108Paであるものを用いることが重要である。300℃における貯蔵弾性率の値は、市販の動的粘弾性測定装置により、測定される300℃における貯蔵弾性率の値であり、例えば、ティーエイインスツルメンツ社製DMA Q800、レオメトリックス社製RSA-2を用いて貯蔵弾性率を測定することができる。
300℃における貯蔵弾性率が5×105Pa〜5×108Paであるポリイミド系接着剤の化学構造には、特に限定は無いが、好ましくは、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドであって、使用するテトラカルボン酸二無水物に、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含むものから製造されるものである。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物は、ジアミンの末端アミンと、イミン構造を形成する架橋反応を起こし、高温における貯蔵弾性率を上昇させる効果を持つため、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を使用することにより製造されたポリイミド接着剤がこの範囲を有することが容易である。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物は特性を損なわない範囲内において、適宜用いることができ、例えば、ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。これらの酸二無水物の使用割合としては、90モル%まで含有させることができる。
ポリイミド系接着剤として用いる熱可塑性ポリイミドの原料のジアミンとしては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)−2,2-ジメチルプロパン、4,4’-ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルから選ばれた少なくとも一種のジアミンを含むものが好ましい。より好ましいジアミンは、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンである。これらのジアミンを用いることにより、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度の制御が容易となり、ガラス転移温度を300℃未満にすることが可能となる。これらのジアミンは特性を速なわない範囲内において、他のジアミンと混合することができる。他のジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3ーアミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン等を用いることができる。
上記の組み合わせのうち、好適に使用できるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を組み合わせたものであり、該熱可塑性ポリイミドの耐熱性を確保する観点から、分子内および分子間のアミノ基とイミン架橋反応を起こす酸二無水物である3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を少なくとも10モル%以上、より好ましくは15モル%以上含むことが求められる。
ポリイミド系接着剤は、耐熱性を確保する観点より、300℃における貯蔵弾性率の値が、5×105Pa〜5×108Paであることが重要である。5×105Pa以上であることにより、接着剤の変形量が少なくなり、銅箔等の金属とポリイミド接着シートが張り合わされた場合に、300℃以上の温度における、基材の膨れが抑えられる効果をもつ。また、貯蔵弾性率が5×108Pa未満であることによって、接着剤の流動性が確保され、300℃における、加熱圧着での金属箔との接着強度が高くなり、例えば1.0kN/m以上の剥離強度を有することになり好ましい。すなわち、ポリイミド系接着剤の、300℃における貯蔵弾性率の値が、5×105Pa〜5×108Paであることにより、金属箔との接着強度が高く、且つ耐熱性の良好なポリイミド金属積層体を得ることができる。
本発明のポリイミド接着シートの少なくとも片面側に、金属箔を形成することにより、ポリイミド金属積層体を得ることができる。金属の種類としては、特に限定されず、公知の金属箔が使用可能であるが、好ましくは銅箔、銅合金箔、ステンレス箔から選ばれる一種を用いることができる。金属箔を形成する場合は、片面側、両面側どちらに形成しても構わない。金属箔の厚みは、特に限定はないが、例えば銅箔、銅合金箔を使用する場合は、ポリイミド金属積層体を加工する場合に、回路用の導体とされることが多く、かかる場合には、高密度な細線加工を行うことが好ましく、銅箔、銅合金箔の厚みは、18μm〜3μmであることが望ましい。また、さらに望ましくは、12μm〜5μmである。ステンレス箔を金属箔として用いる場合は、ステンレス箔は、構造体やハードディスクドライブのサスペンション材料に代表されるバネ性部材として好適に使用されるため、100μm〜15μmの厚みが好ましい。さらに好ましくは、75μm〜18μmである。
次に、本発明のポリイミド接着シート及びポリイミド金属積層体の製造方法について説明する。後述する製造方法は、本発明の代表例であり、この製造法に何ら限定されるものではない。まず、ポリイミドフィルムとして、市販のポリイミドフィルム、例えばApical(登録商標) 12.5 NPIを準備する。このApical(登録商標) 12.5 NPIを公知の方法、例えばグロー放電によりプラズマ表面処理により、表面の改質を行う。プラズマ表面処理以外の手法としては、コロナ放電処理、アルカリエッチング処理を行うことができる。それぞれの条件は前述したとおりである。表面の改質を行ったポリイミドフィルムを、JIS K 6768に開示されている方法により23℃におけるぬれ張力の測定を行う。得られたぬれ張力が64mN/m以上であるものだけを選別し、ポリイミド系接着剤の形成を行う。
ポリイミド系接着剤としては、前述のジアミンと酸二無水物より合成される熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることができる。熱可塑性ポリイミド樹脂の合成は、一般的にはN−メチルピロリドン(NMP)、メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、硫酸ジメチル、スルフォラン、ブチロラクトン、クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライムなどの溶媒中において、上記テトラカルボン酸二無水物と上記ジアミンを所定の割合で混合し、反応温度0〜100℃の範囲内で反応させることにより、熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体溶液が得られ、さらに、この溶液を200℃〜500℃の高温雰囲気で熱処理して、イミド化することにより熱可塑性ポリイミド樹脂を得ることができる。
この熱可塑性ポリイミド樹脂の溶液、および/または前駆体溶液をポリイミドフィルムに塗布したあと、乾燥することによりポリイミド接着シートを製造することができる。熱可塑性ポリイミド樹脂の溶液は、前記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られたものである。
ポリイミドフィルム上に直接ポリイミド接着剤を塗布する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が採用できる。塗布する厚み、ワニスの粘度等に応じて適宜利用できる。
塗布した溶液を乾燥・キュアする方法は、通常の加熱乾燥炉が利用できる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥の温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが、60〜600℃の温度範囲が好適に利用される。乾燥の時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが0.05〜500分程度で行なうのが望ましい。この方法により得られるポリイミド接着シートは、塗工欠陥のない、熱可塑性ポリイミドの厚みの交差が所望の厚みの10%以内の範囲に入る、厚みの均一性が確保されたものである。
また、このポリイミド接着シートを金属箔と張り合わせることにより、ポリイミド金属積層体を製造するには、張り合わせる方法として加熱圧着を用いることができる。加熱圧着する方法について制限はない。但し、ポリイミド系樹脂と金属箔を加熱圧着する前に、ポリイミドの吸湿率を0.1%/RH以下に乾燥することが好ましい。吸湿したまま加熱圧着をするとポリイミド中に水分が含まれた状態で金属積層体となるため、加熱膨れがポリイミドの中に発生しやすくなるという問題点がある。吸湿率を0.1%RH以下にしておけば、加熱膨れが発生しなくなり、特性が安定化する。加熱圧着前にポリイミドを乾燥させる方法としては、特に制限は無いが、80℃以上に加熱したオーブン中に長時間、例えば、10時間以上、ポリイミドを放置し、乾燥させる方法が挙げられる。また、IRヒーターや、加熱ロールによりポリイミドを乾燥させる方法が挙げられる。吸湿率の測定には、カールフィッシャー法による測定や、熱重量減少法による測定で行うことができる。
加熱圧着する方法としては、例えば、代表的方法として、加熱プレス法及び/又は熱ラミネート法が挙げられる。加熱プレス法としては、例えば、ポリイミド系樹脂と金属箔をプレス機の所定のサイズに切りだし、重ね合わせを行ない加熱プレスにより加熱圧着することにより製造できる。加熱温度としては、150〜600℃の温度範囲が望ましい。加圧力としては、制限は無いが、好ましくは0.1〜500kg/cmで製造できる。加圧時間としては、特に制限はない。
熱ラミネート方法としては、特に制限は無いが、ロールとロール間に挟み込み、張り合わせを行なう方法が好ましい。ロールは金属ロール、ゴムロール等が利用できる。材質に制限はないが、金属ロールとしては、鋼材やステンレス材料が使用される。表面にクロムメッキ等が処理されたロールを使用することが好ましい。ゴムロールとしては、金属ロールの表面に耐熱性のあるシリコンゴム、フッ素系のゴムを使用することが好ましい。ラミネート温度としては、100〜300℃の温度範囲が好ましい。加熱方式は、伝導加熱方式の他、遠赤外等の輻射加熱方式、誘導加熱方式等も利用できる。
熱ラミネート後、加熱アニールすることも好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。加熱方法としては、フィルムを連続的に加熱する方法またはフィルムをコアに巻いた状態で加熱炉に放置する方法のどちらの方法も好ましい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及び、これらの併用方式等が好ましい。加熱温度は、200〜600℃の温度範囲が好ましい。加熱時間は、0.05〜5000分の時間範囲が好ましい。
このようにして得られるポリイミド金属積層体の用途として、HDD用サスペンションがある。サスペンション上には銅がエッチング加工された配線回路が形成される。銅の回路形成には、まず、感光性樹脂を銅箔上に塗布し、所望の回路パターンが描かれている露光用のフィルムを用意し、このフィルムの上から、感光性樹脂を、紫外光線を露光することにより、感光させる。その後、弱アルカリ溶液用いて、感光性樹脂の現像を行い、銅のエッチングを、塩化第二鉄液の溶液により、行う。その後、感光性樹脂を溶解させ、所望の銅回路がサスペンション上に得られる。本発明のポリイミド金属積層体の場合、接着層として用いている熱可塑性ポリイミドに欠陥がなく、また積層した銅箔と熱可塑性ポリイミドとの界面においても、密着不良などの欠陥がないため、銅回路のエッチングの際に、銅と熱可塑性ポリイミド層の間にエッチング溶液がもぐり込むことがなく、銅回路の品質、特に、銅回路を一定の幅にエッチングすることが容易となる。また、この銅回路が所望のパターンのとおりにエッチングされているかを検査する場合に、銅と熱可塑性ポリイミド樹脂との間に、密着不良部が存在すると、この密着不良部の熱可塑性ポリイミド表面は、銅の表面の凹凸が転写されないこととなり、熱可塑性ポリイミドの本来の平滑な表面形状になる。このような平滑な表面形状が存在すると、銅回路の検査の際、銅回路は金属であり、光を反射し明るく見えるが、平滑な熱可塑性ポリイミドフィルムの表面も、光を反射するため、明るく見えてしまう。したがって、銅回路の検査において、密着不良部が、銅回路のように見えてしまい、検査を困難にすることになってしまう。とりわけ、自動で回路を検査できる、光学的自動外観検査装置を用いるときに、この問題が顕著となる。銅回路をエッチングにより加工したあと、この配線回路を保護するためのカバー材として、近年、ポリイミドを主成分としたカバー材が、耐熱性、クリーン度の観点から好適に使用されるようになってきた。このポリイミドカバー材は、ポリイミド金属積層体にカバーコートした後に、300℃以上の高温キュアが必須の工程として不可欠である。また、サスペンション上にICやピエゾ素子等の部品実装を行うことも多くなっている。この実装においても、鉛フリー半田が使用されるようになり、高温での実装が不可欠となっている。これらの理由により金属と接するポリイミド層の300℃における耐熱性、すなわち耐熱性に直接影響を及ぼす貯蔵弾性率に関しても、制御することが必要となっている。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各種特性の評価は以下の方法による。
[23℃におけるぬれ張力の測定]
JIS K 6768の方法に則り測定を行った。試験用の混合液は、和光純薬工業株式会社製のぬれ張力試験用混合液を用いた。ぬれ張力試験用混合液の成分は、ホルムアミドと水を任意の割合にて混合した液である。ポリイミドフィルムの表面を濡らすことができる、最も大きなぬれ張力試験用混合液のぬれ張力の値を、ぬれ張力とした。
[ポリイミド接着シートの欠陥評価]
ポリイミド接着シートを10cmの正方形に切り出し、250倍の光学顕微鏡にて、ポリイミド接着シートのポリイミド系接着剤が形成されている表面を観察する。50μm以上の長さを有する欠陥部の個数を数える。
〔ポリイミド金属積層体の欠陥評価〕
ポリイミド金属積層体の金属箔を塩化第二鉄溶液にて、金属箔を溶解し、ポリイミド系接着剤の表面を観察する。10cmの正方形に切り出し、250倍の光学顕微鏡にて、ポリイミド系接着剤が形成されている表面を観察する。50μm以上の長さを有する欠陥部の個数を数える。
[ポリイミド金属積層体の耐熱性評価]
ポリイミド金属積層体を、10cmの正方形に切り出し、300℃に加熱したオーブンの中に60分間放置する。ポリイミド金属積層体に5mm以上の膨れが生じなかったものを良好、5mm以上の膨れが生じたものを不良とした。
[ポリイミド系接着剤の貯蔵弾性率の測定]
ポリイミド系接着剤の単層フィルムは、市販のステンレス箔(新日鐵株式会社製、商品名:SUS304H-TA、厚み:20μm)上に、ポリイミド系接着剤の前駆体である、ポリアミック酸ワニスを塗布し、乾燥を行った。塗布・乾燥後のポリイミド系接着剤層の厚みは50μmであった。尚、乾燥条件は100℃、150℃、200℃、250℃、300℃で各5分間段階的に熱処理を行なった。ステンレス箔をエッチングにより除去し、ポリイミド系接着剤の単層フィルムを得た。得られた単層フィルムの貯蔵弾性率は、レオメトリックス社製RSA-2を用い、引張りモードで測定を行うことにより計算した。昇温速度は毎分3℃、測定温度は100℃〜400℃、印加周波数は1Hzで行った。粘弾性解析を行い、300℃における貯蔵弾性率を算出した。
また、実施例等に用いた溶剤、酸二無水物、ジアミンの略称は以下の通りである。
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PPD:p−フェニレンジアミン
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
m−BP:4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
APB5:1,3―ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン
DABP:3,3’−ジアミノベンゾフェノン
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
TPE−Q:1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
DANPG:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)−2,2-ジメチルプロパン
DADMB:4,4’−ジアミノ−2,2’-ジメチルビフェニル
BAPP:2,2―ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
合成例1
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
表1に記載したテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを秤量し、1000mlのセパラブルフラスコの中でDMAc630gに窒素気流下にて溶解させた。溶解後、6時間攪拌を続けて重合反応を行ない、熱可塑性ポリイミド前駆体ワニスA〜Cを得た。得られたワニスA〜Cを用いて、熱可塑性ポリイミドの単層フィルムを前述の方法にて作成、動的粘弾性の測定を行い、300℃における貯蔵弾性率を計算した。300℃における貯蔵弾性率は、5×105Pa〜5×108Paの範囲内にあり、耐熱性が良好なものであった。
Figure 0004901125
合成例2
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
表2に記載したテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを秤量し、1000mlのセパラブルフラスコの中でDMAc630gに窒素気流下にて溶解させた。溶解後、6時間攪拌を続けて重合反応を行ない、熱可塑性ポリイミド前駆体ワニスD〜Fを得た。得られたワニスD〜Fを用いて、熱可塑性ポリイミドの単層フィルムを前述の方法にて作成、動的粘弾性の測定を行い、300℃における貯蔵弾性率を計算した。300℃における貯蔵弾性率は、5×105Pa〜5×108Paの範囲内にはなく、耐熱性が不十分なものであった。
Figure 0004901125
実施例1
<ポリイミドフィルムのアルカリエッチング処理>
市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名Kapton(登録商標)EN、厚み:25μm)を用いて、表3の条件にてアルカリエッチング処理を実施した。23℃におけるぬれ張力の値も表3に併せて示す。
Figure 0004901125
<片面接着シートの製造>
アルカリエッチング処理した市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名Kapton(登録商標)EN、厚み:25μm)の片面に合成例1のA〜Cのポリアミック酸ワニスを塗布・乾燥し、片面接着シートA’〜C’を作製した。合成例1の熱可塑性ポリアミック酸ワニスの塗布には、リバースロールコーターを使用し、塗布・乾燥後のポリイミド層の総厚みは15μmであった。尚、乾燥条件は100℃、150℃、200℃、250℃、300℃で各5分間段階的に熱処理を行なった。
<片面接着シートの評価>
得られた片面接着シートを用いて、欠陥の評価を前述の方法により行なった。結果を表4に示す。欠陥のない、接着シートが得られた。
Figure 0004901125
実施例2
<ポリイミドフィルムのプラズマ表面処理>
市販のポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名Apical(登録商標) NPI、厚み:12.5μm)を用いて、表5の条件にてプラズマ表面処理を実施した。23℃におけるぬれ張力の値も表5に併せて示す。
Figure 0004901125
<両面接着シートの製造>
プラズマ処理した市販のポリイミドフィルム(鐘淵化学工業社製、商品名:アピカル(登録商標)12.5NPI、厚み:12.5μm)の両面に合成例1のA〜Cのポリアミック酸ワニスを塗布・乾燥し、片面接着シートを作製した。合成例1の熱可塑性ポリアミック酸ワニスの塗布には、リバースロールコーターを使用し、塗布・乾燥後のポリイミド層の総厚みは18μmであった。尚、乾燥条件は100℃、150℃、200℃、250℃、300℃で各5分間段階的に熱処理を行なった。
<熱プレスの実施>
金属として、銅合金箔(オーリン社製、商品名:C7025(特注銘柄)、厚み:18μm)とステンレス箔(新日鐵株式会社製,商品名:SUS304H−TA、厚み:20μm)を使用した。両面接着シートにC7025とSUS304H−TA箔を各々重ね合わせたものをクッション材(金陽株式会社製、商品名:キンヨーボードF200)ではさみ、加熱プレス機で250℃、70kg/cm2の条件下で、60分間加熱圧着して、SUS304H−TA/熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミド/熱可塑性ポリイミド/C7025の5層からなるポリイミド金属積層体A''〜C''を作製した。
<ポリイミド金属積層体の評価> 得られたポリイミド金属積層体を用いて、欠陥と耐熱性の評価を前述の方法により行なった。結果を表6に示す。欠陥のない耐熱性の優れる、ポリイミド金属積層体が得られた。
Figure 0004901125
実施例1〜2のポリイミド金属積層体をハードディスク用サスペンションとして加工した場合、ポリイミドと金属の界面に欠陥がなく、ポリイミドの耐熱性が良く、カバー材のキュア後においても配線剥離が見られない、高生産性・高品質のサスペンションを製造可能であった。
比較例1
<ポリイミド接着シートの製造及び評価>
熱可塑性ポリイミドとして合成例2のD〜Fの熱可塑性ポリイミド前駆体を用い、ポリイミドフィルムには表面改質を施していないKapton(登録商標)ENを用いた以外、実施例1と同様の方法で、ポリイミド接着シートD’〜F’を製造し、評価を行なった。結果を表7に示す。
Figure 0004901125
比較例2
<ポリイミド金属積層体の製造及び評価>
熱可塑性ポリイミドとして合成例2のD〜Fの熱可塑性ポリイミド前駆体を用い、ポリイミドフィルムには表面改質を施していないApical(登録商標)NPIを用いた以外、実施例2と同様の方法で、ポリイミド金属積層体D’’〜F’’を製造し、評価を行なった。結果を表8に示す。
Figure 0004901125
比較例3
<ポリイミド金属積層体の製造及び評価>
熱可塑性ポリイミドとして合成例1のA〜Cの熱可塑性ポリイミド前駆体を用い、ポリイミドフィルムにはプラズマ処理による表面改質を施していないか、あるいは、表面改質が十分でないApical(登録商標)NPIを用いた以外、実施例2と同様の方法で、ポリイミド金属積層体A’’’〜C’’’を製造し、評価を行なった。プラズマ表面処理の条件を表9に、ポリイミド金属積層体の評価の結果を表10に示す。
Figure 0004901125
Figure 0004901125
比較例1〜3のポリイミド金属積層体をハードディスク用サスペンションとして使用した場合、ポリイミドの耐熱性が悪く、カバーコート材のキュア後において配線剥離等が起こり、サスペンションとして望まれる特性のものが製造できなかった。
本発明によれば、耐熱性に優れたポリイミド金属積層体が得られる。そのため、本発明のポリイミド金属積層板は、特にハードディスク用サスペンションとして好適に使用される。

Claims (12)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも片面にポリイミド系接着剤(但し、ポリイミドの原料ジアミンが、珪素含有ジアミンを含有する場合を除く)が形成されてなるポリイミド接着シートにおいて、
    ポリイミドフィルムの、前記ポリイミド系接着剤と接する面の23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上のものであり、且つポリイミド系接着剤の300℃における貯蔵弾性率が5×10Pa〜5×10Paであることを特徴とする、ポリイミド接着シート。
  2. 前記ポリイミド系接着剤は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドであって、前記テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含む、請求項1に記載のポリイミド接着シート。
  3. 前記テトラカルボン酸二無水物が、前記3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を10モル%以上含む、請求項2に記載のポリイミド接着シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド接着シートのポリイミド系接着剤の表面に、金属箔を形成したポリイミド金属積層体。
  5. 金属箔が銅箔、銅合金箔、ステンレス箔から選ばれた少なくとも1つである請求項に記載のポリイミド金属積層体。
  6. ポリイミドフィルムの23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上のものを選択して用い、該ポリイミドフィルムの少なくとも片面であって、23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上の表面に、300℃における貯蔵弾性率が、5×10Pa〜5×10Paとなるポリイミド系接着剤(但し、ポリイミドの原料ジアミンが、珪素含有ジアミンを含有する場合を除く)を塗工・乾燥することを特徴とするポリイミド接着シートの製造方法。
  7. ポリイミドフィルムは、プラズマ表面処理及び/又はアルカリエッチング処理することにより23℃におけるぬれ張力を64mN/m以上にしたものである請求項に記載のポリイミド接着シートの製造方法。
  8. 前記ポリイミド系接着剤は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドであって、前記テトラカルボン酸二無水物が、前記3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含む、請求項6または7に記載のポリイミド接着シートの製造方法。
  9. 前記テトラカルボン酸二無水物が、前記3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を10モル%以上含む、請求項に記載のポリイミド接着シートの製造方法。
  10. 前記ポリイミド系接着剤は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドであって、前記ジアミンが、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)−2,2-ジメチルプロパン、4,4’-ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルから選ばれた少なくとも一種のジアミンを含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリイミド接着シートの製造方法。
  11. 請求項4または5に記載のポリイミド金属積層体の製造方法であって、
    ポリイミドフィルムの少なくとも片面の23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上のものを選択するステップと、
    該ポリイミドフィルムの、前記23℃におけるぬれ張力が64mN/m以上の表面に、300℃における貯蔵弾性率が5×10Pa〜5×10Paであるポリイミド系接着剤を塗工・乾燥してポリイミド系接着剤からなる層を形成するステップと、
    前記ポリイミド系接着剤からなる層と、金属箔とを加熱圧着するステップと、
    を含む、ポリイミド金属積層体の製造方法。
  12. 請求項4または5に記載のポリイミド金属積層体から製造されるハードディスクドライブ用サスペンション。
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