JPH08180962A - 面状発熱体 - Google Patents

面状発熱体

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JPH08180962A
JPH08180962A JP32279894A JP32279894A JPH08180962A JP H08180962 A JPH08180962 A JP H08180962A JP 32279894 A JP32279894 A JP 32279894A JP 32279894 A JP32279894 A JP 32279894A JP H08180962 A JPH08180962 A JP H08180962A
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Toshihiko Kabetani
俊彦 壁谷
Yoshitake Kobayashi
喜剛 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属発熱体と絶縁層とが強固に接着された面
状発熱体であって、しかも耐熱性及び被着体への熱融着
性が良好な面状発熱体を提供する。 【構成】 金属発熱体の片面または両面がポリイミド層
によって被覆、絶縁された面状発熱体であって、該面状
発熱体が少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層と少な
くとも1層の非熱可塑性ポリイミド層を有し、該面状発
熱体の少なくとも一部表面が熱可塑性ポリイミド層によ
り形成され、且つ、該ポリイミド層がポリイミド溶液ま
たはポリアミック酸溶液を金属発熱体の片面または両面
に塗布、加熱して得られたポリイミド層であることを特
徴とする面状発熱体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、面状発熱体に関する。
詳しくは、金属発熱体と絶縁層とが強固に接着された面
状発熱体であって、しかも柔軟性及び耐熱性に優れ、被
着体への熱融着が可能な面状発熱体に関する。本発明の
面状発熱体は、電子ジャー、ホットプレート、暖房器等
の家電製品、ドアミラー、リアミラー等の自動車部品、
複写機、プリンター等のOA機器、さらに凍結・着雪防
止用途、医療用器具、食品保温、加熱等の食品加工用途
等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来、面状発熱体は、マイカ等の絶縁基
板に電熱線を巻回した構造のもの等であった、しかしな
がら、これらは、厚さが厚く剛直であるため形状に自由
度がなく、細かな部品には適用できなかった。そこで、
上記の欠点を克服するために、例えば、面状金属発熱体
の片面若しくは両面に絶縁層を接着、貼り合わせて形成
したものが開発されている。
【0003】例えば、特開昭64−57585号公報に
は、面状金属発熱体の片面若しくは両面にシリコンラバ
ー及びポリエーテルイミドフィルムを加圧圧着して一体
成形して成る厚さ0.23mmの面状発熱体が開示され
ている。しかし、この面状発熱体は、接着層としてシリ
コンラバーを使用するため、その分厚さが厚くなる。さ
らに、ポリエーテルイミドフィルムの耐熱性が180℃
程度であり、しかも接着層のシリコンラバーの耐熱性が
低いため、面状発熱体の耐熱性はせいぜい180℃程度
であり、満足し得るものではない。
【0004】また、特開平1−173591号公報に
は、発熱体回路の片面若しくは両面ににポリイミド接着
剤を用いて絶縁層としてのポリイミドフィルムを接着し
た面状金属発熱体が記載されている。そして、好ましい
ポリイミド接着剤として熱可塑性ポリイミド接着剤(三
井東圧化学(株)製、LARC−TPI)が記載され、
また、好ましいポリイミドフィルムとして熱可塑性に乏
しいカプトン200(デュポン社製、ポリイミド)が記
載されている。該面状金属発熱体は、接着剤を用いるた
め接着剤の塗布工程、高温下において接着剤層と発熱体
とを圧着させる工程等が必要であり、製造工程が煩雑と
なる欠点がある。また、絶縁層が非熱可塑性ポリイミド
であるため、被着体と貼り合わせる際には接着剤を使用
する必要がり、この点においても工程が煩雑となる欠点
がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、金属発熱体と絶縁層とが強固に接着され
た面状発熱体であって、しかも柔軟性及び耐熱性に優
れ、被着体への熱融着が可能な面状発熱体を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、金属発熱体の片面または両面にポリイミド溶
液またはポリアミック酸溶液を塗布、加熱して得られた
ポリイミド層が形成された面状発熱体であって、少なく
とも1層の熱可塑ポリイミド層と少なくとも1層の非熱
可塑ポリイミド層が形成され、且つ、一部表面が熱可塑
ポリイミド層により形成された面状発熱体が、上記課題
を解決し得る面状発熱体であることを見出し、本発明に
到った。
【0007】すなわち、本発明は、ステンレススチール
箔、鉄−ニッケル合金箔、ニッケル−クロム合金箔、銅
−ニッケル合金箔及びアルミニウム箔から選ばれた少な
くとも1種の金属箔で形成された金属発熱体の片面また
は両面がポリイミド層によって被覆、絶縁された面状発
熱体であって、該面状発熱体が少なくとも1層の熱可塑
性ポリイミド層と少なくとも1層の非熱可塑性ポリイミ
ド層を有し、該面状発熱体の少なくとも一部表面が熱可
塑性ポリイミド層により形成され、且つ、該ポリイミド
層がポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を金属発
熱体の片面または両面に塗布、加熱して得られたポリイ
ミド層であることを特徴とする面状発熱体である。
【0008】本発明の面状発熱体の第1の特徴は、金属
発熱体にポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を直
接塗布、加熱して、面状発熱体の少なくとも片面に絶縁
層としてポリイミド層を形成した点にある。そのため、
絶縁層が薄く、柔軟性に富むものである。第2の特徴
は、絶縁層として少なくとも1層の熱可塑ポリイミド層
を有し、且つ該熱可塑ポリイミド層が面状発熱体の少な
くとも一部表面を形成している点にある。そのため、接
着剤等を用いることなしに被着体に容易に熱融着するこ
とが可能である。第3の特徴は、絶縁層として少なくと
も1層の非熱可塑ポリイミド層を有することにある。そ
のため、耐熱性に優れ、高温に於いて使用した場合でも
外力により絶縁層が変形等することがなく、絶縁不良を
起こすことがない。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の面状発熱体は、絶縁層として少なくとも1層の熱
可塑性ポリイミド層及び少なくとも1層の非熱可塑性ポ
リイミド層を有し、且つ、該熱可塑ポリイミド層が面状
発熱体の少なくとも一部表面を形成しているものであ
る。かかる構成を図面を示して説明する。
【0010】〔図1〕は、金属発熱体の細線回路11の
片表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成され、次いで
その表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成された面
状発熱体41の一例を示す断面図である。細線回路11
が存在しない部分の熱可塑性ポリイミド層22が被着体
への熱融着面として利用される。
【0011】〔図2〕は、金属発熱体の細線回路11の
片表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成され、次い
でその表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成された面
状発熱体41の一例の断面図である。熱可塑性ポリイミ
ド層21の全表面が被着体への熱融着面として利用され
る。
【0012】〔図3〕は、金属発熱体の細線回路11の
片表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成され、次いで
その表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成され、更
にその表面に熱可塑性ポリイミド層23が形成された面
状発熱体41の一例を示す断面図である。細線回路11
が存在しない部分の熱可塑性ポリイミド層22、及び熱
可塑性ポリイミド層23が被着体への熱融着面として利
用される。
【0013】〔図4〕は、金属発熱体の細線回路11の
片表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成され、次い
でその表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成され、更
に金属発熱体の細線回路11の他の表面に熱可塑性ポリ
イミド層22が形成された面状発熱体41の一例の断面
図である。熱可塑性ポリイミド層21及び22が被着体
への熱融着面として利用される。
【0014】本発明において、面状発熱体の少なくとも
一部表面が熱可塑性ポリイミド層により形成される、と
いう構成は、〔図2〕における熱可塑性ポリイミド層2
1、〔図3〕における熱可塑性ポリイミド層23、〔図
4〕における熱可塑性ポリイミド層21及び22を意味
することは勿論であり、更に、〔図1〕または〔図3〕
における細線回路11が存在しない部分の熱可塑性ポリ
イミド層22をも包含するものである。
【0015】本発明の面状発熱体は、金属箔の片表面に
ポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液のいずれか一
方を逐次塗布、加熱して、熱可塑性ポリイミド層及び/
または非熱可塑性ポリイミド層を形成した後、該金属箔
にエッチング加工等を施して発熱体回路を形成すること
により製造される。
【0016】但し、金属箔の片表面にのみポリイミド層
を形成する場合は、金属箔の表面に第1層として形成す
るポリイミド層または最外層を形成するポリイミド層を
熱可塑性ポリイミド層とし、且つ、それ以外の層の少な
くとも1層を非熱可塑性ポリイミド層で形成する。ま
た、金属箔の両面にポリイミド層を形成する場合は、少
なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層及び/または少な
くとも1層の非熱可塑性ポリイミド層が金属箔の表裏い
ずれかの面に形成され、且つ、いずれかの一方の最外層
を熱可塑性ポリイミド層とする。この場合、先ず金属箔
の片面に単層または複層のポリイミド層を形成し、該金
属箔にエッチング加工等を施して発熱体回路を形成した
後、他の面にポリイミド層を形成する。
【0017】本発明に用いる金属箔として、ステンレス
スチール箔、鉄−ニッケル合金箔、ニッケル−クロム合
金箔、銅−ニッケル合金箔、アルミニウム箔等の金属箔
が挙げられる。好ましくは、ステンレススチール箔であ
る。面状発熱体は、装置の小型化、薄肉化が進むなかで
可能な限り薄い方が好ましい。かかる観点から、金属箔
の厚さは5〜150μm程度であることが好ましい。さ
らに好ましくは10〜50μm程度である。金属箔とポ
リイミド層との接着力を向上させるために、金属箔の表
面を粗化する等の前処理を行うことが好ましい。
【0018】本発明において、熱可塑ポリイミド層を形
成するために主成分として用いる芳香族テトラカルボン
酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等
が挙げられる。
【0019】主成分である上記芳香族テトラカルボン酸
二無水物は単独で使用してもよいし、また2種以上を混
合して使用してもよい。さらにその他公知の芳香族テト
ラカルボン酸二無水物を併用してもよい。他の公知の芳
香族テトラカルボン酸二無水物と併用する場合には、全
芳香族テトラカルボン酸二無水物の内、上記主成分の芳
香族テトラカルボン酸二無水物を50モル%以上用いる
ことが好ましい。
【0020】併用してもよいその他公知の芳香族テトラ
カルボン酸二無水物として、エチレンテトラカルボン酸
二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペ
ンタンカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、
2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカ
ルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,
3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1
−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無
水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル
酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジ
フタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテ
トラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラ
センテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェ
ナントレンテトラカルボン酸二無水物等を例示すること
ができる。これらは2種以上を混合して併用してもよ
い。
【0021】また、熱可塑ポリイミド層を形成するため
に主成分として用いる芳香族ジアミンとして、1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジ
アミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)ビフェニル等が挙げられる。これらの主成分
として用いる芳香族ジアミンは単独で使用してもよい
し、また2種以上を混合して使用してもよい。さらにそ
の他公知の芳香族ジアミンを併用してもよい。他の公知
の芳香族ジアミンを併用する場合には、全芳香族ジアミ
ンの内、上記主成分の芳香族ジアミンを50モル%以上
用いることが好ましい。
【0022】併用してもよいその他公知の芳香族ジアミ
ンとして、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジル
アミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノ
フェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−
アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニ
ル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキ
シド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)
スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、
(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホ
ン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−
ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフ
ェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエー
テル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、
1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2
−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロ
パン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビ
フェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(アミ
ノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテ
ル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
ーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス
〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニ
ルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノ
キシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビ
ス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フ
ェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4
−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジ
フェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、ビス〔4−
{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニ
ル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3
−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメ
チルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独
または2種以上を混合して併用してもよい。
【0023】本発明に使用する熱可塑性ポリイミドは、
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミ
ンとを重縮合して得られたものであるが、面状発熱体の
被着体への熱融着性を良好となすためには、ガラス転移
温度が300℃以下である熱可塑性ポリイミドが好まし
い。
【0024】本発明において、非熱可塑ポリイミド層を
形成するために主成分として用いる芳香族テトラカルボ
ン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
及び2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物等が挙げられる。これらは単独または複数種を
混合して使用してもよい。また、他の公知の酸二無水物
と混合して使用してもよい。他の公知の芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物と混合して使用する場合には、全芳香
族テトラカルボン酸二無水物の内、上記主成分の芳香族
テトラカルボン酸二無水物を70モル%以上用いること
が好ましい。さらに好ましくは80モル%以上である。
【0025】また、非熱可塑ポリイミド層を形成するた
めに主成分として用いる芳香族ジアミンとして、o−フ
ェニレンジアミン,m−フェニレンジアミン,p−フェ
ニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,
4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。こ
れらは単独または複数種を混合して使用してもよい。ま
た、他の公知の芳香族ジアミンと混合して使用してもよ
い。他の公知の芳香族ジアミンと混合して使用する場合
には、全芳香族ジアミンの内、上記主成分の芳香族ジア
ミンを70モル%以上用いることが好ましい。さらに好
ましくは80モル%以上である。
【0026】上記主成分の芳香族テトラカルボン酸二無
水物、または上記主成分の芳香族ジアミンと併用しても
よい他の芳香族テトラカルボン酸二無水物、または他の
芳香族ジアミンは、熱可塑性ポリイミドを製造する場合
に、主成分と混合、併用されるものの中から適宜選択さ
れる。
【0027】本発明に用いるポリアミック酸溶液または
ポリイミド溶液(以下、これらの溶液を単にワニスと称
する)は、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物及び上
記芳香族ジアミンの中から熱可塑性ポリイミドまたは非
熱可塑性ポリイミドを生成するものを適宜選択し、それ
らを有機溶媒中で重合して得られた溶液である。塗布工
程での作業性を考慮すると、ワニス濃度はポリアミック
酸またはポリイミドの含有率が5〜40重量%であるこ
とが好ましい。さらに好ましくは10〜30重量%であ
る。また、同様の観点から、室温におけるワニスのB型
粘度は、10〜100,000cpsにあることが好ま
しい。さらに好ましくは100〜50,000cpsで
ある。
【0028】上記ワニスに用いる有機溶媒としては、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,
N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルイミ
ダゾリジノン、ヘキサメチルホスフォルアミド等のアミ
ド系有機溶媒、あるいはそれらを主成分とする混合溶媒
を挙げることができる。その他にも、例えば、フェノー
ル系溶媒等のポリアミック酸及びポリイミドを溶解する
溶媒であれば、適宜使用することができる。特に好まし
くはN,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−
2−ピロリドンである。
【0029】芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族
ジアミンを重合してワニスを得る方法は、両者を略等モ
ル混合し、室温〜60℃において、1〜24時間、撹拌
下に反応する方法が挙げられる。尚、ワニスがポリイミ
ド溶液である場合、さらに温度を80〜250℃の範囲
で0.5〜24時間、撹拌下でイミド化反応を行う。こ
の時、イミド化を進めるための反応促進剤または反応抑
制剤等の添加剤を加えても構わない。
【0030】本発明の面状発熱体の製造方法として、熱
可塑ポリイミドまたは熱可塑ポリイミドを生成するワニ
ス、非熱可塑ポリイミドまたは非熱可塑ポリイミドを生
成するワニスのそれぞれを前記金属箔の片面に同時また
は逐次に直接塗布、乾燥し、各塗布層全てが乾燥終了
後、さらに加熱、硬化させて該金属箔の表面に熱可塑ポ
リイミド層及び/または非熱可塑ポリイミド層を形成す
る。次いで、該金属箔の一部をエッチング処理等して発
熱体回路を形成する方法が挙げられる。さらに、必要に
応じて、該発熱体回路の他の表面に同様の操作によって
熱可塑ポリイミド層及び/または非熱可塑ポリイミド層
を形成する方法も挙げられる。
【0031】金属箔の表面または金属箔で形成された発
熱体回路の表面にワニスを塗布する方法としては、ダイ
コーター、コンマコーター、ロールコーター、バーコー
ター、グラビアコーター、同時多層ダイ、カーテンコー
ター、スプレーコーター等の公知の方法が採用できる。
これらの内から、塗布するワニスの粘度、塗布層の厚み
等に応じて適宜選択される。
【0032】金属箔の表面または金属箔で形成された発
熱体回路の表面に塗布するワニスの厚さは、得られる面
状発熱体の柔軟性を考慮すると、それらを乾燥、硬化を
行なった後の絶縁層としてのポリイミド層の総厚が1〜
200μm、好ましくは3〜100μm程度、さらに好
ましくは5〜50μmとなるように塗布を行うことが望
ましい。また、塗布層を乾燥する温度は、60〜200
℃、好ましくは100〜160℃程度であり、その乾燥
時間は、0.5〜60分間程度である。また、乾燥方法
としては、ピンテンター方式、ロールサポート方式、エ
アーフロート方式が挙げられ、熱源とし熱風乾燥、電気
ヒーター乾燥等の公知のものが挙げられる。
【0033】乾燥後の硬化方法は、オーブン中における
バッチ式加熱でも、専用の硬化炉による連続式加熱でも
よく、その他公知の方法を用いても差支えない。また、
硬化時の雰囲気は、空気雰囲気中でも、窒素、アルゴン
等の不活性ガス雰囲気中、または空気とそれら不活性ガ
スとの混合ガス雰囲気中でもよく、適宜選択できる。硬
化温度は150〜600℃程度の温度範囲、所要時間は
0.5〜60分間程度で行うことが望ましい。
【0034】金属箔の表面をエッチング処理等して発熱
体回路を形成する方法には特に制限はなく、公知の方法
が採用される。本発明の面状発熱体は、打抜き加工、切
断加工、切込み加工、エッチング加工、研磨加工、メッ
キ加工、曲げ加工、絞り加工等、必要に応じ行うことが
でき、その時の条件、加工方法に特に限定はない。
【0035】本発明の面状発熱体は、少なくとも一部表
面が熱可塑性ポリイミド層で形成されている。この熱可
塑性ポリイミド層を接着層とし、被着体と容易に加熱圧
着することができる。加熱圧着温度は熱可塑性ポリイミ
ド層のガラス転移温度以上であることが好ましい。
【0036】本発明の面状発熱体は、金属発熱体と絶縁
層とが強固に接着された面状発熱体であって、しかも柔
軟性及び耐熱性に優れ、被着体への熱融着が可能な面状
発熱体である。そのため、薄肉化、小型化を要する被着
体の加熱、保温用部材として好適に使用され得る。代表
的被着体として金属、プラスチック、ガラス、セラミッ
クス、またはそれら複合体が挙げられる。具体的用途と
しては、電子ジャー、ホットプレート、電気ポット、電
気カーペット、足温器、電気ヒーター、エアコン、アイ
ロン等の家庭電化機器、加熱が必要なトラック、タンク
ローリー等、曇り止めまたは水滴付着防止等の機能を要
する自動車等のミラー、ガラス、プラスチック類、複写
機等に使用される定着用ロール、プリンターヘッド等の
OA機器、医療用チューブの切断または医療用器具の滅
菌等の医療機器、写真現像機器、印刷機器等脱溶剤除去
装置関連、食品等の保温または加熱等の食品加工、凍結
・着雪防止を要する線路、道路、ドアノブ、鍵穴等の加
熱、保温用部材が挙げられる。
【0037】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
詳細に説明する。尚、実施例に示したポリイミドのガラ
ス転移温度、被着体との接着強度、面状発熱体の室温、
250℃及び400℃での処理後の外観検査は下記方法
により評価した。
【0038】(1)ガラス転移温度(℃) <ポリイミドフィルムの調製>得られたワニスを硝子板
上に硬化後のフィルム厚みが25μmになるように塗布
し、130℃にて10分間乾燥させ、その後、150〜
400℃の温度範囲を5℃/minの昇温速度にて加熱
し硬化させた。その後、硝子板からフィルムを剥がし、
測定用フィルムとする。 <ガラス転移温度測定>自動動的粘弾性測定器〔(株)
東洋ボールドウィン社製、REOVIBRON、形式:
DDV−II−EP〕を用いて、昇温速度:2℃/mi
n、測定温度範:30〜400℃において、動的粘弾性
の温度依存性を示す曲線を求め、その曲線の変曲点をポ
リイミドフィルムのガラス転移温度(℃)とする。
【0039】(2)被着体との接着強度 <測定用試料作成>実施例1、2及び4では、得られた
面状発熱体の金属発熱回路をエッチングにより除去し、
ポリイミド層のみを試料とする。実施例3では、得られ
た面状発熱体を試料とする。尚、被着体として厚み30
μmのSUS304薄板を用る。 <測定方法>被着体に試料を重ね合わせて、300℃、
20kg/cm2において1時間加熱圧着した後、米国
基準IPC−TM−650、メソード2.4.9の方法
に従って被着体との接着強度を測定する。ここで、米国
基準IPCとは、米国のInstitute for Interconecting
and Packaging Electronic Circuits により定められ
た規格を意味する。
【0040】(3)面状発熱体の外観 <測定用試料作成>:10cm×10cm角の面状発熱
体を試料とする。 <外観検査> 室温(温度23±3℃、相対湿度50±5%)での外
観検査 試料を目視により観察して、しわ、膨れ、剥がれの有無
を検査する。 250℃、1000時間加熱後の外観検査 250℃において1000時間加熱処理した後、と同
様の検査を行う。 400℃、1000時間加熱後の外観検査 400℃において1000時間加熱処理した後、と同
様の検査を行う。 <外観検査判定> ○:しわ、膨れ、剥がれが無いことを意味する。 ×:しわ、膨れ、剥がれが有ることを意味する。
【0041】(4)総合判定 ○:上記評価を勘案して、0.2kgf/cm以上の接
着強度を有し、且つ、各条件における外観検査全てが合
格であるものを意味する。×:上記以外のものを意味す
る。
【0042】合成例1 撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN,
N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)7
79.3gを加え、これにp−フェニレンジアミン(P
PDA)40.5g、及び、4,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテル(以下、ODAという)25.0gを加え
て、撹拌しながら50〜60℃に加熱して溶解させた。
その後、氷で約30℃になるまで冷却した後、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
(以下、BPDAという)78.0gを加え60℃に加
熱し約2時間撹拌を行った。その後、ピロメリット酸二
無水物(以下、PMDAという)51.3gを加え60
℃で2時間撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得
られたポリアミック酸溶液は、ポリアミック酸の含有率
が20重量%であり、25℃でのB型粘度は24000
cpsであった。使用した溶媒、芳香族テトラカルボン
酸、芳香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃
度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス
転移温度を〔表1〕に示す。
【0043】合成例2 撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてDM
Ac805.0gを加え、これにPPDA40.5g、
及び、ODA17.5gを加え、撹拌しながら50〜6
0℃に加熱して溶解させた。その後、氷で約30℃にな
るまで冷却した後、BPDA78.0gを加え60℃に
加熱し約2時間撹拌を行った。さらに、4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニル(以下、m−BP
という)13.8gを加え60℃に温度を保ちながら撹
拌を行った。最後にPMDA51.3gを加え60℃で
2時間撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られ
たポリアミック酸溶液はポリアミック酸の含有率が20
重量%であり、25℃でのB型粘度は25000cps
であった。使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳
香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及び
B型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温
度を〔表1〕に示す。
【0044】合成例3 撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)92
5.4gを加え、これに1,3−ビス(3−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン(以下、APBという)146.2g
を加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物(以下、BTDAという)161.1gを加
え、60℃において撹拌を行った。その後、200℃ま
で加熱して12時間撹拌し、イミド化を行ってポリイミ
ド溶液を得た。得られたポリイミド溶液はポリイミドの
含有率が25重量%であり、25℃でのB型粘度は12
500cpsであった。使用した溶媒、芳香族テトラカ
ルボン酸、芳香族ジアミン、得られたポリイミド溶液の
濃度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラ
ス転移温度を〔表1〕に示す。
【0045】合成例4 撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてDM
Ac803.1gを加え、これに3,3’−ジアミノベ
ンゾフェノン(以下、DABPという)106.2gを
加えて溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、B
TDA161.1gを4回に別けて加え、60℃におい
て撹拌を行ってポリアミック酸溶液を得た。得られたポ
リアミック酸溶液はポリアミック酸の含有率が25重量
%であり、25℃でのB型粘は10500cpsであっ
た。使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジ
アミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及びB型粘
度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を
〔表1〕に示す。
【0046】合成例5 撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてNM
P1258gを加え、これにm−BP184.2gを加
え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、BP
DA80.9gを加え、60℃において撹拌を行った。
その後、さらにPMDA49.1gを加え60℃におい
て1時間撹拌を行ってポリアミック酸溶液を得た。得ら
れたポリアミック酸溶液はポリアミック酸の含有率が2
0重量%であり、25℃でのB型粘は16300cps
であった。使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳
香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及び
B型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温
度を〔表1〕に示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1バーコーターを用いて、合成例4
で得たワニスをステンレス箔(SUS304 、厚さ30μm、以下、SUSという)の片表面に硬化
後の厚さが3μmになるようにバーとSUSとの隙間を
調整し流延塗布を行った。この積層板を熱風乾燥炉内で
80〜100℃の範囲で2分間乾燥し、第1層目(熱可
塑性ポリイミド層)を形成した。次いで、第1層目の熱
可塑性ポリイミド層の表面に合成例1で得たのワニスを
バーコーターを用いて、硬化後の厚さが20μmになる
ようにバーと樹脂層との隙間を調整し流延塗布を行っ
た。該積層板を熱風乾燥炉内で120〜140℃の範囲
で10分間乾燥し、第2層目(非熱可塑性ポリイミド
層)を形成した。さらに、第2層目の非熱可塑性ポリイ
ミド層の表面に合成例3で得たワニスをバーコーターを
用いて硬化後の厚さが4μmになるようにバーと樹脂層
との隙間を調整し流延塗布を行った。該積層板を第1層
目と同様にして乾燥を行い、第3層目(熱可塑性ポリイ
ミド層)を形成した。上記のように3層の塗布、乾燥が
終了した後、硬化炉を用いて約150〜450℃まで段
階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間、硬化を
行ない、ポリイミド絶縁層を形成した。次いで、この積
層板のSUS面を発熱体形成個所を残すような形でエッ
チングすることにより発熱体回路を形成し、〔図3〕に
示したような片面に3層のポリイミド絶縁層を有する面
状発熱体を得た。得られた面状発熱体は、ポリイミド層
の厚みが25μm、総厚みが55μmと薄く、容易に曲
げ加工、絞り加工等の加工が可能であった。また、最外
層の熱可塑性ポリイミド層と被着体との接着強度は大で
あった。被着体との接着強度、外観検査及び総合評価を
上記方法により実施し、その結果を〔表2〕に示す。
【0049】実施例2 バーコーターを用いて、SUSの片表面に合成例2で得
たワニスを硬化後の厚さが15μmになるようにバーと
SUSとの隙間を調整し流延塗布を行った。該積層板
を、熱風乾燥炉内で120〜140℃の範囲で10分間
乾燥し、第1層目(非熱可塑性ポリイミド層)を形成し
た。次いで、第1層目の表面に合成例5で得たワニスを
バーコーターを用いて硬化後の厚さが5μmになるよう
にバーと樹脂との隙間を調整し流延塗布を行い、上記と
同様にして乾燥して第2層目(熱可塑性ポリイミド層)
を形成した。上記のように2層の塗布、乾燥が終了した
後、硬化炉を用いて約150〜450℃までの段階的に
昇温しながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行ない、ポ
リイミド絶縁層を形成した。次いで、この積層板のSU
S面を発熱体形成個所を残すような形でエッチングする
ことにより発熱体回路を形成し、〔図2〕に示したよう
な片面に2層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体を
得た。得られた面状発熱体は、樹脂厚みが20μm、総
厚みが50μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の
加工が可能であった。また、最外層の熱可塑性ポリイミ
ド層と被着体との接着強度は大であった。被着体との接
着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施
し、その結果を〔表2〕に示す。
【0050】実施例3 実施例2で得られたものと同一構成の絶縁層を有する面
状発熱体の発熱体回路の他の表面に、合成例3で得たワ
ニスをバーコーターを用いて硬化後の厚さが5μmにな
るように調整し流延塗布を行った。該積層板を、熱風乾
燥炉内で120〜140℃の範囲で10分間乾燥した
後、硬化炉を用いて約150〜450℃までの段階的に
昇温させながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行ない、
熱可塑性ポリイミド層を形成し、〔図4〕に示したよう
な両面にポリイミド絶縁層を有する面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体は、樹脂厚みが25μm、総厚みが
55μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が
可能であった。また、また、最外層の熱可塑性ポリイミ
ド層と被着体との接着強度は大であった。被着体との接
着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施
し、その結果を〔表2〕に示す。
【0051】実施例4 合成例4で得られたワニスを濃度が15重量%になるよ
うにDMAcによって希釈したものを、メイヤーバーコ
ーターを用いて、SUSの片表面に硬化後の厚さが2μ
mになるようにメイヤーバーピッチを調整し塗布を行っ
た。該積層板を、熱風乾燥炉内で80〜100℃の範囲
で1分間乾燥し、第1層目(熱可塑性ポリイミド層)を
形成した。次いで、第1層目の樹脂層表面に合成例2で
得たワニスをダイコーターを用いて硬化後の厚さが23
μmになるようにワニスの塗出量を調整し流延塗布を行
った。該積層板を、熱風乾燥炉にて100〜150℃の
温度範囲で6分間乾燥を行い、第2層目(非熱可塑性ポ
リイミド層)を形成した。上記のように2層の塗布、乾
燥が終了した後、硬化炉を用いて約150〜450℃ま
での段階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間硬
化を行ない、ポリイミド絶縁層を形成した。次いで、こ
の積層板のSUS面を発熱体形成個所を残すような形で
エッチングすることにより発熱体回路を形成し、〔図
1〕に示したような片面に2層のポリイミド絶縁層を有
する面状発熱体を得た。得られた面状発熱体は、樹脂厚
みが25μm、総厚みが55μmと薄く、容易に曲げ加
工、絞り加工等の加工が可能であった。また、発熱体回
路がない部分に現れた熱可塑性ポリイミド層と被着体と
の接着強度は大であった。被着体との接着強度、外観検
査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果を
〔表2〕に示す。
【0052】比較例1 ダイコーターを用いて、合成例2で得たワニスをSUS
の片表面に硬化後の厚さが25μmになるようにワニス
の塗出量を調整し流延塗布を行い、次いで、熱風乾燥炉
内で100〜150℃の温度範囲で6分間乾燥を行っ
た。その後、硬化炉を用いて約150〜450℃まで段
階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行
ない、ポリイミド絶縁層(非熱可塑性ポリイミド層)を
形成した。さらに、この積層板のSUS面を発熱体形成
個所を残すような形でエッチングすることにより発熱体
回路を形成し、片面にポリイミド絶縁層(非熱可塑性ポ
リイミド層)を有する面状発熱体を得た。得られた面状
発熱体は、樹脂厚みが25μm、総厚みが55μmと薄
く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が可能であっ
た。また、ポリイミド絶縁層は耐熱性(250℃及び4
00℃における処理後の外観)が良好であっが、被着体
との熱圧着性を示さなかった。被着体との接着強度、外
観検査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果
を〔表2〕に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の面状発熱体は、少なくとも1層
の熱可塑性ポリイミド層及び少なくとも1層の非熱可塑
ポリイミド層を含む絶縁層を有するため、耐熱性及び熱
融着性を兼ね備えている。熱可塑性ポリイミド層が被着
体への接着層として機能し、非熱可塑性ポリイミド層が
耐熱層として機能する。そのため、被着体に貼付する際
に、接着剤を塗布する必要がなく、また接着剤を硬化さ
せる必要もない。また、250〜400℃程度の高温で
使用された場合に外力が加わっても、非熱可塑性ポリイ
ミド層が変形しないため、絶縁不良を起こすことがな
い。また、金属発熱体の表面にポリイミド溶液またはポ
リアミック酸溶液を塗布、加熱して形成されたポリイミ
ド層を絶縁層とするため、金属発熱体と絶縁層とが強固
に接着されている。別途成形されたポリイミドフィルム
を積層する方法に比べてより薄くすることができ、その
ため柔軟性に富んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、金属発熱体の片面に2層のポリイミド絶縁
層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【図2】は、金属発熱体の片面に2層のポリイミド絶縁
層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【図3】は、金属発熱体の片面に3層のポリイミド絶縁
層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【図4】は、金属発熱体の片面に2層のポリイミド絶縁
層を有し、且つ、金属発熱体の他の面に1層のポリイミ
ド絶縁層を有する面状発熱体の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】 11 金属発熱体の細線回路 21 熱可塑性ポリイミド層 22 熱可塑性ポリイミド層 23 熱可塑性ポリイミド層 31 非熱可塑性ポリイミド層 41 面状発熱体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 壁谷 俊彦 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 小林 喜剛 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレススチール箔、鉄−ニッケル合
    金箔、ニッケル−クロム合金箔、銅−ニッケル合金箔及
    びアルミニウム箔から選ばれた少なくとも1種の金属箔
    で形成された金属発熱体の片面または両面がポリイミド
    層によって被覆、絶縁された面状発熱体であって、該面
    状発熱体が少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層と少
    なくとも1層の非熱可塑性ポリイミド層を有し、該面状
    発熱体の少なくとも一部表面が熱可塑性ポリイミド層に
    より形成され、且つ、該ポリイミド層がポリイミド溶液
    またはポリアミック酸溶液を金属発熱体の片面または両
    面に塗布、加熱して得られたポリイミド層であることを
    特徴とする面状発熱体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリイミド層が、300℃以下
    のガラス転移温度を有するポリイミド層であることを特
    徴とする請求項1記載の面状発熱体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリイミド層が、1,3−ビス
    (3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス
    (3−アミノフェニキシ)ビフェニル及び3,3’−ジ
    アミノベンゾフェノンから選ばれた少なくとも1種の芳
    香族ジアミンを50モル%以上含む芳香族ジアミン、及
    び、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカ
    ルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノ
    ンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−
    ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少な
    くとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物を50モ
    ル%以上含む芳香族テトラカルボン酸二無水物を重縮合
    させたポリイミドから得られた層であることを特徴とす
    る請求項1または2のいずれかに記載の面状発熱体。
  4. 【請求項4】 該非熱可塑性ポリイミドが、ピロメリッ
    ト酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
    カルボン酸二無水物及び2,2’,3,3’−ビフェニ
    ルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも1
    種の芳香族テトラカルボン酸二無水物を70モル%以上
    含む芳香族テトラカルボン酸二無水物、及び、フェニレ
    ンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
    3,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,3’−
    ジアミノジフェニルエーテルから選ばれた少なくとも1
    種の芳香族ジアミンを70モル%以上含む芳香族ジアミ
    ンとを重縮合させたポリイミドから得られた層であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の面状発熱体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20100090220A (ko) * 2009-02-05 2010-08-13 엠알엘 인더스트리즈, 인크. 스트립 가열요소
US9239555B2 (en) 2012-12-21 2016-01-19 Fuji Xerox Co., Ltd. Method for manufacturing sheet heating element, fixing device, and image forming apparatus
KR102001441B1 (ko) * 2018-11-01 2019-07-18 (주)아이피아이테크 궐련형 전자담배용 필름 히터 및 이를 갖는 궐련형 전자담배 및 그 제조 방법

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