JP3568261B2 - 面状発熱体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、面状発熱体に関する。詳しくは、金属発熱体と絶縁層とが強固に接着された面状発熱体であって、しかも柔軟性及び耐熱性に優れ、被着体への熱融着が可能な面状発熱体に関する。本発明の面状発熱体は、電子ジャー、ホットプレート、暖房器等の家電製品、ドアミラー、リアミラー等の自動車部品、複写機、プリンター等のOA機器、さらに凍結・着雪防止用途、医療用器具、食品保温、加熱等の食品加工用途等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、面状発熱体は、マイカ等の絶縁基板に電熱線を巻回した構造のもの等であった、しかしながら、これらは、厚さが厚く剛直であるため形状に自由度がなく、細かな部品には適用できなかった。そこで、上記の欠点を克服するために、例えば、面状金属発熱体の片面若しくは両面に絶縁層を接着、貼り合わせて形成したものが開発されている。
【0003】
例えば、特開昭64−57585号公報には、面状金属発熱体の片面若しくは両面にシリコンラバー及びポリエーテルイミドフィルムを加圧圧着して一体成形して成る厚さ0.23mmの面状発熱体が開示されている。しかし、この面状発熱体は、接着層としてシリコンラバーを使用するため、その分厚さが厚くなる。さらに、ポリエーテルイミドフィルムの耐熱性が180℃程度であり、しかも接着層のシリコンラバーの耐熱性が低いため、面状発熱体の耐熱性はせいぜい180℃程度であり、満足し得るものではない。
【0004】
また、特開平1−173591号公報には、発熱体回路の片面若しくは両面ににポリイミド接着剤を用いて絶縁層としてのポリイミドフィルムを接着した面状金属発熱体が記載されている。そして、好ましいポリイミド接着剤として熱可塑性ポリイミド接着剤(三井東圧化学(株)製、LARC−TPI)が記載され、また、好ましいポリイミドフィルムとして熱可塑性に乏しいカプトン200(デュポン社製、ポリイミド)が記載されている。該面状金属発熱体は、接着剤を用いるため接着剤の塗布工程、高温下において接着剤層と発熱体とを圧着させる工程等が必要であり、製造工程が煩雑となる欠点がある。また、絶縁層が非熱可塑性ポリイミドであるため、被着体と貼り合わせる際には接着剤を使用する必要がり、この点においても工程が煩雑となる欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、金属発熱体と絶縁層とが強固に接着された面状発熱体であって、しかも柔軟性及び耐熱性に優れ、被着体への熱融着が可能な面状発熱体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、金属発熱体の片面または両面にポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を塗布、加熱して得られたポリイミド層が形成された面状発熱体であって、少なくとも1層の熱可塑ポリイミド層と少なくとも1層の非熱可塑ポリイミド層が形成され、且つ、一部表面が熱可塑ポリイミド層により形成された面状発熱体が、上記課題を解決し得る面状発熱体であることを見出し、本発明に到った。
【0007】
すなわち、本発明は、ステンレススチール箔、鉄−ニッケル合金箔、ニッケル−クロム合金箔、銅−ニッケル合金箔及びアルミニウム箔から選ばれた少なくとも1種の金属箔で形成された金属発熱体の片面または両面がポリイミド層によって被覆、絶縁された面状発熱体であって、該面状発熱体が少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層と少なくとも1層の非熱可塑性ポリイミド層を有し、該面状発熱体の少なくとも一部表面が熱可塑性ポリイミド層により形成され、且つ、該ポリイミド層がポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を金属発熱体の片面または両面に塗布、加熱して得られたポリイミド層であることを特徴とする面状発熱体である。
【0008】
本発明の面状発熱体の第1の特徴は、金属発熱体にポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を直接塗布、加熱して、面状発熱体の少なくとも片面に絶縁層としてポリイミド層を形成した点にある。そのため、絶縁層が薄く、柔軟性に富むものである。第2の特徴は、絶縁層として少なくとも1層の熱可塑ポリイミド層を有し、且つ該熱可塑ポリイミド層が面状発熱体の少なくとも一部表面を形成している点にある。そのため、接着剤等を用いることなしに被着体に容易に熱融着することが可能である。第3の特徴は、絶縁層として少なくとも1層の非熱可塑ポリイミド層を有することにある。そのため、耐熱性に優れ、高温に於いて使用した場合でも外力により絶縁層が変形等することがなく、絶縁不良を起こすことがない。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の面状発熱体は、絶縁層として少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層及び少なくとも1層の非熱可塑性ポリイミド層を有し、且つ、該熱可塑ポリイミド層が面状発熱体の少なくとも一部表面を形成しているものである。かかる構成を図面を示して説明する。
【0010】
〔図1〕は、金属発熱体の細線回路11の片表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成され、次いでその表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成された面状発熱体41の一例を示す断面図である。細線回路11が存在しない部分の熱可塑性ポリイミド層22が被着体への熱融着面として利用される。
【0011】
〔図2〕は、金属発熱体の細線回路11の片表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成され、次いでその表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成された面状発熱体41の一例の断面図である。熱可塑性ポリイミド層21の全表面が被着体への熱融着面として利用される。
【0012】
〔図3〕は、金属発熱体の細線回路11の片表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成され、次いでその表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成され、更にその表面に熱可塑性ポリイミド層23が形成された面状発熱体41の一例を示す断面図である。細線回路11が存在しない部分の熱可塑性ポリイミド層22、及び熱可塑性ポリイミド層23が被着体への熱融着面として利用される。
【0013】
〔図4〕は、金属発熱体の細線回路11の片表面に非熱可塑性ポリイミド層31が形成され、次いでその表面に熱可塑性ポリイミド層21が形成され、更に金属発熱体の細線回路11の他の表面に熱可塑性ポリイミド層22が形成された面状発熱体41の一例の断面図である。熱可塑性ポリイミド層21及び22が被着体への熱融着面として利用される。
【0014】
本発明において、面状発熱体の少なくとも一部表面が熱可塑性ポリイミド層により形成される、という構成は、〔図2〕における熱可塑性ポリイミド層21、〔図3〕における熱可塑性ポリイミド層23、〔図4〕における熱可塑性ポリイミド層21及び22を意味することは勿論であり、更に、〔図1〕または〔図3〕における細線回路11が存在しない部分の熱可塑性ポリイミド層22をも包含するものである。
【0015】
本発明の面状発熱体は、金属箔の片表面にポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液のいずれか一方を逐次塗布、加熱して、熱可塑性ポリイミド層及び/または非熱可塑性ポリイミド層を形成した後、該金属箔にエッチング加工等を施して発熱体回路を形成することにより製造される。
【0016】
但し、金属箔の片表面にのみポリイミド層を形成する場合は、金属箔の表面に第1層として形成するポリイミド層または最外層を形成するポリイミド層を熱可塑性ポリイミド層とし、且つ、それ以外の層の少なくとも1層を非熱可塑性ポリイミド層で形成する。また、金属箔の両面にポリイミド層を形成する場合は、少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層及び/または少なくとも1層の非熱可塑性ポリイミド層が金属箔の表裏いずれかの面に形成され、且つ、いずれかの一方の最外層を熱可塑性ポリイミド層とする。この場合、先ず金属箔の片面に単層または複層のポリイミド層を形成し、該金属箔にエッチング加工等を施して発熱体回路を形成した後、他の面にポリイミド層を形成する。
【0017】
本発明に用いる金属箔として、ステンレススチール箔、鉄−ニッケル合金箔、ニッケル−クロム合金箔、銅−ニッケル合金箔、アルミニウム箔等の金属箔が挙げられる。好ましくは、ステンレススチール箔である。面状発熱体は、装置の小型化、薄肉化が進むなかで可能な限り薄い方が好ましい。かかる観点から、金属箔の厚さは5〜150μm程度であることが好ましい。さらに好ましくは10〜50μm程度である。金属箔とポリイミド層との接着力を向上させるために、金属箔の表面を粗化する等の前処理を行うことが好ましい。
【0018】
本発明において、熱可塑ポリイミド層を形成するために主成分として用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0019】
主成分である上記芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独で使用してもよいし、また2種以上を混合して使用してもよい。さらにその他公知の芳香族テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。他の公知の芳香族テトラカルボン酸二無水物と併用する場合には、全芳香族テトラカルボン酸二無水物の内、上記主成分の芳香族テトラカルボン酸二無水物を50モル%以上用いることが好ましい。
【0020】
併用してもよいその他公知の芳香族テトラカルボン酸二無水物として、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等を例示することができる。これらは2種以上を混合して併用してもよい。
【0021】
また、熱可塑ポリイミド層を形成するために主成分として用いる芳香族ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル等が挙げられる。これらの主成分として用いる芳香族ジアミンは単独で使用してもよいし、また2種以上を混合して使用してもよい。さらにその他公知の芳香族ジアミンを併用してもよい。他の公知の芳香族ジアミンを併用する場合には、全芳香族ジアミンの内、上記主成分の芳香族ジアミンを50モル%以上用いることが好ましい。
【0022】
併用してもよいその他公知の芳香族ジアミンとして、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して併用してもよい。
【0023】
本発明に使用する熱可塑性ポリイミドは、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミンとを重縮合して得られたものであるが、面状発熱体の被着体への熱融着性を良好となすためには、ガラス転移温度が300℃以下である熱可塑性ポリイミドが好ましい。
【0024】
本発明において、非熱可塑ポリイミド層を形成するために主成分として用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独または複数種を混合して使用してもよい。また、他の公知の酸二無水物と混合して使用してもよい。他の公知の芳香族テトラカルボン酸二無水物と混合して使用する場合には、全芳香族テトラカルボン酸二無水物の内、上記主成分の芳香族テトラカルボン酸二無水物を70モル%以上用いることが好ましい。さらに好ましくは80モル%以上である。
【0025】
また、非熱可塑ポリイミド層を形成するために主成分として用いる芳香族ジアミンとして、o−フェニレンジアミン,m−フェニレンジアミン,p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは単独または複数種を混合して使用してもよい。また、他の公知の芳香族ジアミンと混合して使用してもよい。他の公知の芳香族ジアミンと混合して使用する場合には、全芳香族ジアミンの内、上記主成分の芳香族ジアミンを70モル%以上用いることが好ましい。さらに好ましくは80モル%以上である。
【0026】
上記主成分の芳香族テトラカルボン酸二無水物、または上記主成分の芳香族ジアミンと併用してもよい他の芳香族テトラカルボン酸二無水物、または他の芳香族ジアミンは、熱可塑性ポリイミドを製造する場合に、主成分と混合、併用されるものの中から適宜選択される。
【0027】
本発明に用いるポリアミック酸溶液またはポリイミド溶液(以下、これらの溶液を単にワニスと称する)は、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物及び上記芳香族ジアミンの中から熱可塑性ポリイミドまたは非熱可塑性ポリイミドを生成するものを適宜選択し、それらを有機溶媒中で重合して得られた溶液である。塗布工程での作業性を考慮すると、ワニス濃度はポリアミック酸またはポリイミドの含有率が5〜40重量%であることが好ましい。さらに好ましくは10〜30重量%である。また、同様の観点から、室温におけるワニスのB型粘度は、10〜100,000cpsにあることが好ましい。さらに好ましくは100〜50,000cpsである。
【0028】
上記ワニスに用いる有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスフォルアミド等のアミド系有機溶媒、あるいはそれらを主成分とする混合溶媒を挙げることができる。その他にも、例えば、フェノール系溶媒等のポリアミック酸及びポリイミドを溶解する溶媒であれば、適宜使用することができる。特に好ましくはN,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンである。
【0029】
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを重合してワニスを得る方法は、両者を略等モル混合し、室温〜60℃において、1〜24時間、撹拌下に反応する方法が挙げられる。尚、ワニスがポリイミド溶液である場合、さらに温度を80〜250℃の範囲で0.5〜24時間、撹拌下でイミド化反応を行う。この時、イミド化を進めるための反応促進剤または反応抑制剤等の添加剤を加えても構わない。
【0030】
本発明の面状発熱体の製造方法として、熱可塑ポリイミドまたは熱可塑ポリイミドを生成するワニス、非熱可塑ポリイミドまたは非熱可塑ポリイミドを生成するワニスのそれぞれを前記金属箔の片面に同時または逐次に直接塗布、乾燥し、各塗布層全てが乾燥終了後、さらに加熱、硬化させて該金属箔の表面に熱可塑ポリイミド層及び/または非熱可塑ポリイミド層を形成する。次いで、該金属箔の一部をエッチング処理等して発熱体回路を形成する方法が挙げられる。さらに、必要に応じて、該発熱体回路の他の表面に同様の操作によって熱可塑ポリイミド層及び/または非熱可塑ポリイミド層を形成する方法も挙げられる。
【0031】
金属箔の表面または金属箔で形成された発熱体回路の表面にワニスを塗布する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、同時多層ダイ、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が採用できる。これらの内から、塗布するワニスの粘度、塗布層の厚み等に応じて適宜選択される。
【0032】
金属箔の表面または金属箔で形成された発熱体回路の表面に塗布するワニスの厚さは、得られる面状発熱体の柔軟性を考慮すると、それらを乾燥、硬化を行なった後の絶縁層としてのポリイミド層の総厚が1〜200μm、好ましくは3〜100μm程度、さらに好ましくは5〜50μmとなるように塗布を行うことが望ましい。また、塗布層を乾燥する温度は、60〜200℃、好ましくは100〜160℃程度であり、その乾燥時間は、0.5〜60分間程度である。また、乾燥方法としては、ピンテンター方式、ロールサポート方式、エアーフロート方式が挙げられ、熱源とし熱風乾燥、電気ヒーター乾燥等の公知のものが挙げられる。
【0033】
乾燥後の硬化方法は、オーブン中におけるバッチ式加熱でも、専用の硬化炉による連続式加熱でもよく、その他公知の方法を用いても差支えない。また、硬化時の雰囲気は、空気雰囲気中でも、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中、または空気とそれら不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でもよく、適宜選択できる。硬化温度は150〜600℃程度の温度範囲、所要時間は0.5〜60分間程度で行うことが望ましい。
【0034】
金属箔の表面をエッチング処理等して発熱体回路を形成する方法には特に制限はなく、公知の方法が採用される。本発明の面状発熱体は、打抜き加工、切断加工、切込み加工、エッチング加工、研磨加工、メッキ加工、曲げ加工、絞り加工等、必要に応じ行うことができ、その時の条件、加工方法に特に限定はない。
【0035】
本発明の面状発熱体は、少なくとも一部表面が熱可塑性ポリイミド層で形成されている。この熱可塑性ポリイミド層を接着層とし、被着体と容易に加熱圧着することができる。加熱圧着温度は熱可塑性ポリイミド層のガラス転移温度以上であることが好ましい。
【0036】
本発明の面状発熱体は、金属発熱体と絶縁層とが強固に接着された面状発熱体であって、しかも柔軟性及び耐熱性に優れ、被着体への熱融着が可能な面状発熱体である。そのため、薄肉化、小型化を要する被着体の加熱、保温用部材として好適に使用され得る。代表的被着体として金属、プラスチック、ガラス、セラミックス、またはそれら複合体が挙げられる。具体的用途としては、電子ジャー、ホットプレート、電気ポット、電気カーペット、足温器、電気ヒーター、エアコン、アイロン等の家庭電化機器、加熱が必要なトラック、タンクローリー等、曇り止めまたは水滴付着防止等の機能を要する自動車等のミラー、ガラス、プラスチック類、複写機等に使用される定着用ロール、プリンターヘッド等のOA機器、医療用チューブの切断または医療用器具の滅菌等の医療機器、写真現像機器、印刷機器等脱溶剤除去装置関連、食品等の保温または加熱等の食品加工、凍結・着雪防止を要する線路、道路、ドアノブ、鍵穴等の加熱、保温用部材が挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。尚、実施例に示したポリイミドのガラス転移温度、被着体との接着強度、面状発熱体の室温、250℃及び400℃での処理後の外観検査は下記方法により評価した。
【0038】
(1)ガラス転移温度(℃)
<ポリイミドフィルムの調製>
得られたワニスを硝子板上に硬化後のフィルム厚みが25μmになるように塗布し、130℃にて10分間乾燥させ、その後、150〜400℃の温度範囲を5℃/minの昇温速度にて加熱し硬化させた。その後、硝子板からフィルムを剥がし、測定用フィルムとする。
<ガラス転移温度測定>
自動動的粘弾性測定器〔(株)東洋ボールドウィン社製、REOVIBRON、形式:DDV−II−EP〕を用いて、昇温速度:2℃/min、測定温度範:30〜400℃において、動的粘弾性の温度依存性を示す曲線を求め、その曲線の変曲点をポリイミドフィルムのガラス転移温度(℃)とする。
【0039】
(2)被着体との接着強度
<測定用試料作成>
実施例1、2及び4では、得られた面状発熱体の金属発熱回路をエッチングにより除去し、ポリイミド層のみを試料とする。実施例3では、得られた面状発熱体を試料とする。尚、被着体として厚み30μmのSUS304薄板を用る。
<測定方法>
被着体に試料を重ね合わせて、300℃、20kg/cmにおいて1時間加熱圧着した後、米国基準IPC−TM−650、メソード2.4.9の方法に従って被着体との接着強度を測定する。ここで、米国基準IPCとは、米国のInstitute for Interconecting and Packaging Electronic Circuits により定められた規格を意味する。
【0040】
(3)面状発熱体の外観
<測定用試料作成>:10cm×10cm角の面状発熱体を試料とする。
<外観検査>
▲1▼室温(温度23±3℃、相対湿度50±5%)での外観検査
試料を目視により観察して、しわ、膨れ、剥がれの有無を検査する。
▲2▼250℃、1000時間加熱後の外観検査
250℃において1000時間加熱処理した後、▲1▼と同様の検査を行う。
▲3▼400℃、1000時間加熱後の外観検査
400℃において1000時間加熱処理した後、▲1▼と同様の検査を行う。
<外観検査判定>
○:しわ、膨れ、剥がれが無いことを意味する。
×:しわ、膨れ、剥がれが有ることを意味する。
【0041】
(4)総合判定
○:上記評価を勘案して、0.2kgf/cm以上の接着強度を有し、且つ、各条件における外観検査全てが合格であるものを意味する。
×:上記以外のものを意味する。
【0042】
合成例1
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)779.3gを加え、これにp−フェニレンジアミン(PPDA)40.5g、及び、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAという)25.0gを加えて、撹拌しながら50〜60℃に加熱して溶解させた。その後、氷で約30℃になるまで冷却した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAという)78.0gを加え60℃に加熱し約2時間撹拌を行った。その後、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAという)51.3gを加え60℃で2時間撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液は、ポリアミック酸の含有率が20重量%であり、25℃でのB型粘度は24000cpsであった。
使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を〔表1〕に示す。
【0043】
合成例2
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてDMAc805.0gを加え、これにPPDA40.5g、及び、ODA17.5gを加え、撹拌しながら50〜60℃に加熱して溶解させた。その後、氷で約30℃になるまで冷却した後、BPDA78.0gを加え60℃に加熱し約2時間撹拌を行った。さらに、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル(以下、m−BPという)13.8gを加え60℃に温度を保ちながら撹拌を行った。最後にPMDA51.3gを加え60℃で2時間撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液はポリアミック酸の含有率が20重量%であり、25℃でのB型粘度は25000cpsであった。
使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を〔表1〕に示す。
【0044】
合成例3
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)925.4gを加え、これに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBという)146.2gを加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAという)161.1gを加え、60℃において撹拌を行った。その後、200℃まで加熱して12時間撹拌し、イミド化を行ってポリイミド溶液を得た。得られたポリイミド溶液はポリイミドの含有率が25重量%であり、25℃でのB型粘度は12500cpsであった。
使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジアミン、得られたポリイミド溶液の濃度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を〔表1〕に示す。
【0045】
合成例4
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてDMAc803.1gを加え、これに3,3’−ジアミノベンゾフェノン(以下、DABPという)106.2gを加えて溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、BTDA161.1gを4回に別けて加え、60℃において撹拌を行ってポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液はポリアミック酸の含有率が25重量%であり、25℃でのB型粘は10500cpsであった。
使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を〔表1〕に示す。
【0046】
合成例5
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてNMP1258gを加え、これにm−BP184.2gを加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、BPDA80.9gを加え、60℃において撹拌を行った。その後、さらにPMDA49.1gを加え60℃において1時間撹拌を行ってポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液はポリアミック酸の含有率が20重量%であり、25℃でのB型粘は16300cpsであった。
使用した溶媒、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジアミン、得られたポリアミック酸溶液の濃度及びB型粘度、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を〔表1〕に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003568261
【0048】
実施例1
バーコーターを用いて、合成例4で得たワニスをステンレス箔(SUS304、厚さ30μm、以下、SUSという)の片表面に硬化後の厚さが3μmになるようにバーとSUSとの隙間を調整し流延塗布を行った。この積層板を熱風乾燥炉内で80〜100℃の範囲で2分間乾燥し、第1層目(熱可塑性ポリイミド層)を形成した。
次いで、第1層目の熱可塑性ポリイミド層の表面に合成例1で得たのワニスをバーコーターを用いて、硬化後の厚さが20μmになるようにバーと樹脂層との隙間を調整し流延塗布を行った。該積層板を熱風乾燥炉内で120〜140℃の範囲で10分間乾燥し、第2層目(非熱可塑性ポリイミド層)を形成した。
さらに、第2層目の非熱可塑性ポリイミド層の表面に合成例3で得たワニスをバーコーターを用いて硬化後の厚さが4μmになるようにバーと樹脂層との隙間を調整し流延塗布を行った。該積層板を第1層目と同様にして乾燥を行い、第3層目(熱可塑性ポリイミド層)を形成した。
上記のように3層の塗布、乾燥が終了した後、硬化炉を用いて約150〜450℃まで段階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間、硬化を行ない、ポリイミド絶縁層を形成した。次いで、この積層板のSUS面を発熱体形成個所を残すような形でエッチングすることにより発熱体回路を形成し、〔図3〕に示したような片面に3層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体は、ポリイミド層の厚みが25μm、総厚みが55μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が可能であった。また、最外層の熱可塑性ポリイミド層と被着体との接着強度は大であった。被着体との接着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果を〔表2〕に示す。
【0049】
実施例2
バーコーターを用いて、SUSの片表面に合成例2で得たワニスを硬化後の厚さが15μmになるようにバーとSUSとの隙間を調整し流延塗布を行った。該積層板を、熱風乾燥炉内で120〜140℃の範囲で10分間乾燥し、第1層目(非熱可塑性ポリイミド層)を形成した。次いで、第1層目の表面に合成例5で得たワニスをバーコーターを用いて硬化後の厚さが5μmになるようにバーと樹脂との隙間を調整し流延塗布を行い、上記と同様にして乾燥して第2層目(熱可塑性ポリイミド層)を形成した。
上記のように2層の塗布、乾燥が終了した後、硬化炉を用いて約150〜450℃までの段階的に昇温しながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行ない、ポリイミド絶縁層を形成した。次いで、この積層板のSUS面を発熱体形成個所を残すような形でエッチングすることにより発熱体回路を形成し、〔図2〕に示したような片面に2層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体は、樹脂厚みが20μm、総厚みが50μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が可能であった。また、最外層の熱可塑性ポリイミド層と被着体との接着強度は大であった。被着体との接着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果を〔表2〕に示す。
【0050】
実施例3
実施例2で得られたものと同一構成の絶縁層を有する面状発熱体の発熱体回路の他の表面に、合成例3で得たワニスをバーコーターを用いて硬化後の厚さが5μmになるように調整し流延塗布を行った。該積層板を、熱風乾燥炉内で120〜140℃の範囲で10分間乾燥した後、硬化炉を用いて約150〜450℃までの段階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行ない、熱可塑性ポリイミド層を形成し、〔図4〕に示したような両面にポリイミド絶縁層を有する面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体は、樹脂厚みが25μm、総厚みが55μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が可能であった。また、また、最外層の熱可塑性ポリイミド層と被着体との接着強度は大であった。被着体との接着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果を〔表2〕に示す。
【0051】
実施例4
合成例4で得られたワニスを濃度が15重量%になるようにDMAcによって希釈したものを、メイヤーバーコーターを用いて、SUSの片表面に硬化後の厚さが2μmになるようにメイヤーバーピッチを調整し塗布を行った。該積層板を、熱風乾燥炉内で80〜100℃の範囲で1分間乾燥し、第1層目(熱可塑性ポリイミド層)を形成した。次いで、第1層目の樹脂層表面に合成例2で得たワニスをダイコーターを用いて硬化後の厚さが23μmになるようにワニスの塗出量を調整し流延塗布を行った。該積層板を、熱風乾燥炉にて100〜150℃の温度範囲で6分間乾燥を行い、第2層目(非熱可塑性ポリイミド層)を形成した。
上記のように2層の塗布、乾燥が終了した後、硬化炉を用いて約150〜450℃までの段階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行ない、ポリイミド絶縁層を形成した。次いで、この積層板のSUS面を発熱体形成個所を残すような形でエッチングすることにより発熱体回路を形成し、〔図1〕に示したような片面に2層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体は、樹脂厚みが25μm、総厚みが55μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が可能であった。また、発熱体回路がない部分に現れた熱可塑性ポリイミド層と被着体との接着強度は大であった。被着体との接着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果を〔表2〕に示す。
【0052】
比較例1
ダイコーターを用いて、合成例2で得たワニスをSUSの片表面に硬化後の厚さが25μmになるようにワニスの塗出量を調整し流延塗布を行い、次いで、熱風乾燥炉内で100〜150℃の温度範囲で6分間乾燥を行った。その後、硬化炉を用いて約150〜450℃まで段階的に昇温させながら窒素雰囲気中で16分間硬化を行ない、ポリイミド絶縁層(非熱可塑性ポリイミド層)を形成した。さらに、この積層板のSUS面を発熱体形成個所を残すような形でエッチングすることにより発熱体回路を形成し、片面にポリイミド絶縁層(非熱可塑性ポリイミド層)を有する面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体は、樹脂厚みが25μm、総厚みが55μmと薄く、容易に曲げ加工、絞り加工等の加工が可能であった。また、ポリイミド絶縁層は耐熱性(250℃及び400℃における処理後の外観)が良好であっが、被着体との熱圧着性を示さなかった。被着体との接着強度、外観検査及び総合評価を上記方法により実施し、その結果を〔表2〕に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0003568261
【0054】
【発明の効果】
本発明の面状発熱体は、少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層及び少なくとも1層の非熱可塑ポリイミド層を含む絶縁層を有するため、耐熱性及び熱融着性を兼ね備えている。熱可塑性ポリイミド層が被着体への接着層として機能し、非熱可塑性ポリイミド層が耐熱層として機能する。そのため、被着体に貼付する際に、接着剤を塗布する必要がなく、また接着剤を硬化させる必要もない。また、250〜400℃程度の高温で使用された場合に外力が加わっても、非熱可塑性ポリイミド層が変形しないため、絶縁不良を起こすことがない。
また、金属発熱体の表面にポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を塗布、加熱して形成されたポリイミド層を絶縁層とするため、金属発熱体と絶縁層とが強固に接着されている。別途成形されたポリイミドフィルムを積層する方法に比べてより薄くすることができ、そのため柔軟性に富んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、金属発熱体の片面に2層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【図2】は、金属発熱体の片面に2層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【図3】は、金属発熱体の片面に3層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【図4】は、金属発熱体の片面に2層のポリイミド絶縁層を有し、且つ、金属発熱体の他の面に1層のポリイミド絶縁層を有する面状発熱体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
11 金属発熱体の細線回路
21 熱可塑性ポリイミド層
22 熱可塑性ポリイミド層
23 熱可塑性ポリイミド層
31 非熱可塑性ポリイミド層
41 面状発熱体

Claims (4)

  1. ステンレススチール箔、鉄−ニッケル合金箔、ニッケル−クロム合金箔、銅−ニッケル合金箔及びアルミニウム箔から選ばれた少なくとも1種の金属箔で形成された金属発熱体の片面または両面がポリイミド層によって被覆、絶縁された面状発熱体であって、該面状発熱体が少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド層と少なくとも1層の非熱可塑性ポリイミド層を有し、該面状発熱体の少なくとも一部表面が熱可塑性ポリイミド層により形成され、且つ、該ポリイミド層がポリイミド溶液またはポリアミック酸溶液を金属発熱体の片面または両面に塗布、加熱して得られたポリイミド層であることを特徴とする面状発熱体。
  2. 熱可塑性ポリイミド層が、300℃以下のガラス転移温度を有するポリイミド層であることを特徴とする請求項1記載の面状発熱体。
  3. 熱可塑性ポリイミド層が、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェニキシ)ビフェニル及び3,3’−ジアミノベンゾフェノンから選ばれた少なくとも1種の芳香族ジアミンを50モル%以上含む芳香族ジアミン、及び、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物を50モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸二無水物を重縮合させたポリイミドから得られた層であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の面状発熱体。
  4. 該非熱可塑性ポリイミドが、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物を70モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸二無水物、及び、フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,3’−ジアミノジフェニルエーテルから選ばれた少なくとも1種の芳香族ジアミンを70モル%以上含む芳香族ジアミンとを重縮合させたポリイミドから得られた層であることを特徴とする請求項1記載の面状発熱体。
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