JP3827859B2 - ポリイミド−金属積層体及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド−金属積層体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド−金属積層体及びその製造方法に関する。詳しくは、片面が熱可塑性ポリイミド層からなる接着層、他の片面が金属層である6層からなるポリイミド−金属積層体であって、両者の中間4層が、熱可塑性ポリイミド層と非熱可塑性ポリイミド層とで交互に形成されたポリイミド−金属積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリイミド−金属積層体は、回路形成資材として電気、電子工業分野におけるフレキシブル金属箔積層板として広く普及している。具体的には、接着層を有するポリイミド金属積層物として、熱可塑性ポリイミド層と金属層の2層構造の積層体、特開昭61−19352号公報に記載されている、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層及び金属層が順次積層された3層構成の積層体、特公平2−168694号公報に記載されている、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層及び金属層が順次積層された4層構成の積層体が知られている。
【0003】
しかしながら、上記記載の2層乃至4層からなる積層体は、いずれも積層体を形成後、接着層側に反りが発生し、被着体に接合する場合に均一に接合することが困難であった。
【0004】
また、ポリイミド−金属積層体の反りの矯正方法として、特開平4−229260号公報に記載されているように、金属層を鋭利なブレードを使用し鋭角に折り曲げ圧縮荷重を加えることにより、金属層の短縮を行う方法が知られている。しかしながら、この方法ではブレードに接触するために金属層にキズ、すじ等の欠陥が残る為、金属層を加工し微細な配線に利用することが困難であった。
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、片面に接着層を有し、他の片面に金属層を有する積層体であって、反りがなく、且つ、金属層にキズ、すじ等の欠陥のない6層構造の積層体及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、片面に接着層を有し、他の片面に金属層を有する6層構造のポリイミド−金属積層体を形成するに際し、片面の接着層を熱可塑性ポリイミドで形成し、他の片面の金属層を金属箔で形成し、更に、両者の中間の4層を熱可塑性ポリイミド層と非熱可塑性ポリイミド層とで交互に形成することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を提供するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層及び金属層が順次積層された6層からなるポリイミド−金属積層体であって、熱可塑性ポリイミド層が、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び3,3’−ジアミノベンゾフェノンから選ばれた少なくとも一種のジアミン単位、並びに、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物単位を含む繰返し構造単位を有するポリイミドにより形成された、6層からなるポリイミド−金属積層体である。該積層体の好ましい態様として、各熱可塑性ポリイミド層及び各非熱可塑性ポリイミド層の厚みが0.1〜200μm、金属層の厚みが9〜150μm、そして、積層体の総厚みが10〜500μmである6層からなるポリイミド−金属積層体が挙げられる。
【0008】
この積層体は、金属箔(A)の片面に熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(B)を形成し、(B)の表面に非熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を塗布、乾燥して非熱可塑性ポリイミド層(C)を形成し、更に(C)の表面に熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(D1)を形成し、次いで、加熱処理して(A)、(B)、(C)及び(D1)からなる積層体(1)を形成する第1工程、非熱可塑性ポリイミドフィルム(E)の表裏両面に熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(D2)及び(F)を形成し、次いで、加熱処理して(D2)、(E)及び(F)からなる積層体(2)を形成する第2工程、並びに、前記(1)及び(2)両積層体をそれらの(D1)及び(D2)を介して熱融着し、(D)層を形成する第3工程を含むポリイミド−金属積層体の製造方法であって、熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液として、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び3,3’−ジアミノベンゾフェノンから選ばれた少なくとも一種のジアミン、並びに、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物から合成された重縮合物を含む溶液を用い、且つ、第3工程における(D1)と(D2)の熱融着を100〜300℃において実施することにより製造される。
【0009】
本発明の6層からなるポリイミド−金属積層体の特徴は、反りのない積層体である点にある。構造的には、中間層の4層を非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層とで交互に形成することに特徴がある。反りが発生しない理由は定かではないが、中間層の4層の構造が、2層の非熱可塑性ポリイミド層の層間に熱可塑性ポリイミド層が存在する構造であるため、前記第1工程及び第2工程で加熱処理して、乾燥及びイミド化反応を完結させる際の収縮応力が中央の熱可塑性ポリイミド層によって吸収されることとなり、積層体に反りが発生しないものと推定される。
【0010】
本発明のポリイミド−金属積層体は、反りが発生しないものであるため、金属層を鋭利なブレードを使用して鋭角に折り曲げ、圧縮荷重を加える等、金属層の短縮(所謂、カール修正)を行う必要がなく、金属層にキズ、すじ等の欠陥を生じさせることがない。さらに、ポリイミド層耐熱性に優れることから、電気、電子工業分野における集積回路形成資材として有用である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリイミド−金属積層体は、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層及び金属層が順次積層された6層からなる積層体である。
【0012】
金属層は、金属箔で形成される。金属組成としては制限はないが、有効的に利用できる金属として、銅及び銅合金、ステンレススチール及びその合金、ニッケル及びニッケル合金(42合金も含む)、アルミニューム及びその合金が挙げられる。これらの金属箔の表面に、防錆層や耐熱層(例えば、CrやZnなどのメッキ処理)などを形成したものが利用できる。また、ポリイミド樹脂との接着力を改善するために、粗化処理を行ったものも有効に利用できる。金属層の厚みとしては、テープ状にして利用できる厚みであれば制限はないが、9〜150μmのものが好ましく利用できる。
【0013】
熱可塑性ポリイミド層を形成する熱可塑性ポリイミドとしては、特定のジアミンと特定のテトラカルボン酸二無水物により合成されるポリイミドが利用できる。特定のジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBと略す)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル(以下、m−BPと略す)、及び3,3’−ジアミノベンゾフェノン(以下、DABPと略す)から選ばれる少なくとも一種のジアミンが好ましい。
【0014】
特定のテトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下、ODPAと略す)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと略す)、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと略す)および、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと略す)から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0015】
言い換えれば、本発明に用いる熱可塑性ポリイミドは、APB、m−BP、及びDABPからなるジアミン群から選ばれる少なくとも一種のジアミン成分と、ODPA、BTDA、PMDA、及びBPDAからなるテトラカルボン酸二無水物群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物成分から得られる重縮合ポリマーである。ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の反応モル比は、通常、ジアミン成分1モルに対し、テトラカルボン酸二無水物成分0.75〜1.25モルの範囲である。好ましくは0.8〜1.2モルの範囲である。
【0016】
上記したジアミンの一部を他のジアミンで代替えすることができる。代替できるアミン化合物として、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4アミノフェニル)スルホン、 3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン等が挙げられる。
【0017】
これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用しても良い。他のアミン化合物による代替え量は、通常、前記した特定のジアミンの0〜50モル%の範囲である。
【0018】
上記した特定のテトラカルボン酸二無水物と他のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。併用してもよいものとして、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニルスルホン)二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0019】
これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。併用するテトラカルボン酸の代替え量は、通常、前記した特定のテトラカルボン酸二無水物の0〜50モル%の範囲である。
【0020】
本発明では、熱可塑性ポリイミド層に係わる熱可塑性ポリイミドのポリマー末端を封止する目的として、ジカルボン酸無水物を添加しても良い。使用されるジカルボン酸無水物としては、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカロボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0021】
これらのジカルボン酸無水物はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されてもよい。ジカルボン酸無水物の添加量は、通常、主原料である前記特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物の合計量100モルに対して、0.001〜0.5モルの範囲である。好ましくは、0.005〜0.25モルの範囲である。
【0022】
同様に、熱可塑性ポリイミドのポリマー末端を封止する目的でモノアミンを添加してもよい。使用されるモノアミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ニトロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アニリジン、m−アニリジン、p−アニリジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェノールフェニルエーテル、3−アミノフェノールフェニルエーテル、4−アミノフェノールフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェノールフェニルスルフィド、3−アミノフェノールフェニルスルフィド、4−アミノフェノールフェニルスルフィド、2−アミノフェノールフェニルスルホン、3−アミノフェノールフェニルスルホン、4−アミノフェノールフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン等が挙げられる。
【0023】
これらモノアミンは単独でまたは2種以上組み合わせて使用しても良い。モノアミンの添加量は、通常、主原料である前記特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物の合計100モルに対して、0.001〜0.5モルの範囲である。好ましくは0.005〜0.25モルの範囲である。
【0024】
非熱可塑ポリイミド層を形成する非熱可塑ポリイミドは、特定のジアミンと特定のテトラカルボン酸二無水物から合成されるポリイミドが利用できる。特定のジアミンとして、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。これらは、単独または2種類以上使用しても良い。
【0025】
これらの特定のジアミン成分と、熱可塑性ポリイミドを合成する際に用いる前記ジアミン成分を併用することもできる。これらのジアミン成分の内、特定のジアミン成分の使用量は、少なくとも70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
【0026】
特定のテトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸が挙げられる。これらは、単独または2種類以上使用しても良い。これらの特定のテトラカルボン酸二無水物成分と、熱可塑性ポリイミドを合成する際に用いる前記テトラカルボン酸二無水物を併用することもできる。これらのテトラカルボン酸二無水物の内、特定のテトラカルボン酸の使用量は、少なくとも70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
【0027】
言い換えると、本発明に使用できる非熱可塑性ポリイミドは、前記の特定のジアミン成分の少なくとも一種以上を少なくとも70モル%以上を含むジアミン成分と特定のテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一種以上を少なくとも70モル%以上を含むテトラカルボン酸二無水物を用いて得られる重縮合ポリマーである。ジアミン成分とテトラカルボン酸の反応モル比は、通常、ジアミン成分1モルに対し、テトラカルボン酸成分0.75〜1.25モルの範囲である。好ましくは0.8〜1.2モルの範囲内である。
【0028】
また、非熱可塑性ポリイミドとして市販のポリイミドフィルムを使用してもよい。例えば、宇部興産株式会社製、商品名:ユーピレックスS、ユーピレックスSGA、東レデュポン株式会社製、商品名:カプトンH、カプトンV、カプトンE、カプトンEN、カプトンENZT、鐘淵化学工業株式会社製、商品名:アピカルAH、アピカルNPI等が好ましく例示できる。これらの市販フィルムの表面をプラズマ処理、コロナ放電処理等を施したものも好ましい。
【0029】
熱可塑性ポリイミド層の厚みは、目的により選択され特に制限はないが、特に、0.1〜200μmの範囲が好適に利用できる。非熱可塑性ポリイミド層の厚みについても、目的により選択され特に制限はないが、特に、0.1〜200μmの範囲が好適に利用できる。
【0030】
次いで、本発明のポリイミド−金属積層体の層構成の形成方法について説明する。本発明の積層体の層構成の形成方法は、予め、金属層、熱可塑ポリイミド層、非熱可塑ポリイミド層、及び熱可塑ポリイミド層の4層構造体(以下、WF4層と略す)の積層体、並びに、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑ポリイミド層、及び熱可塑ポリイミド層の3層構造体(以下、BP層と略す)の積層体を形成し、次いで、両者の片面を形成する熱可塑ポリイミド層同士を熱融着して張り合わせることにより形成される。
【0031】
基本構成であるWF4層、及びBP層の製造方法について詳細に説明する。WF4層は、先ず、金属箔(A)の片面に熱可塑性ポリイミドの溶液またはその前駆体であるポリアミック酸の溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(B)を形成し、次いで、得られた熱可塑性ポリイミド層(B)の表面に非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の溶液を塗布、乾燥して非熱可塑性ポリイミド層(C)を形成し、更に、非熱可塑性ポリイミド層(C)の表面に熱可塑性ポリイミドの溶液またはその前駆体であるポリアミック酸の溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(D1)を形成することにより製造される。以下、WF4層を形成する工程を第1工程という。また、上記のポリイミド溶液、またはその前駆体であるポリアミック酸の溶液をワニスと略称する。
【0032】
BP層の中間層を形成する非熱可塑性ポリイミド層(E)として、市販の前記非熱可塑性ポリイミドフィルムが用いられる。BP層は、非熱可塑性ポリイミド層(E)の表裏両面に、熱可塑性ポリイミドのワニスを塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(D2)及び(F)を形成することにより製造される。以下、BP層を形成する工程を第2工程という。
【0033】
第1工程で形成されたWF4層、及び、第2工程で形成されたBP層を熱融着して6層からなるポリイミド−金属積層体を形成する。具体的には、WF4層の熱可塑性ポリイミド層(D1)と、BP層の熱可塑性ポリイミド層(D2)とを熱融着して熱可塑性ポリイミド層(D)を形成し、熱可塑性ポリイミド層(F)、非熱可塑性ポリイミド層(E)、熱可塑性ポリイミド層(D)、非熱可塑性ポリイミド層(C)、熱可塑性ポリイミド層(B)及び金属層(A)が順次積層された6層からなる積層体が製造される。以下、この熱融着工程を第3工程という。
【0034】
第1工程におけるWF4層の製造に用いる非熱可塑性ポリイミドを含むワニスは、前記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。また、第1工程におけるWF4層の製造、及び第2工程におけるBP層の製造に用いる熱可塑性ポリイミドまたはその前駆体を含むワニスは、前記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。
【0035】
流涕塗布の作業性を考慮すると、ワニス中のポリイミド、またはその前駆体であるポリアミック酸の含有量は、5〜70重量%であることが好ましい。また、室温における粘度は、1〜100,000cpsが好ましい。ワニスの溶媒としては、ポリアミック酸またはポリイミドが安定して存在し得る溶媒であればどの溶媒も利用できるが、例えば、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルイミダソリジノン、ヘキサメチルホスフォルアミド等が挙げられる。これらは単独でも混合してでも利用できる。
【0036】
上記ワニスを流涕塗布する方法としては、特に制限はないが、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビヤコーター、同時ダイコーター、カーテンコーター、ドクターブレードコーター、スプレーコーター等を用いる公知の塗布方法が採用できる。塗布する厚みは、ワニスの粘度等に応じて適宜選択できるが、乾燥した後、加熱処理して熱可塑性ポリイミド層または非熱可塑性ポリイミド層を形成したときの厚みが、0.1〜200μmとなる量を塗布することが好ましい。上記(D1)層及び(D2)層を形成するときは、両者を熱融着したときの厚みが0.1〜200μmとなる量を塗布すればよい。すなわち、本発明における(B)乃至(F)の各層の厚みは、0.1〜200μmの範囲であり、これら各層と(A)層からなる積層体の総厚みは10〜500μmの範囲である。
【0037】
第1工程及び第2工程において、塗布したワニスを乾燥・キュア(加熱処理)する方法は、通常の加熱乾燥炉が利用できる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが、通常、60〜200℃の温度範囲が好適である。乾燥時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが、15秒〜3時間程度で行うことが好ましい。キュア(加熱処理)は、通常、200〜500℃の温度範囲で、15秒〜3時間程度行うことが好ましい。
【0038】
第2工程において、BP層を製造する場合、BP層の中間層として、上記市販の非熱可塑性ポリイミドフィルム用いることが好ましい。BP層は、市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムの表裏両面に熱可塑性ポリイミドまたはその前駆体を含むワニスを上記方法により、流涕塗布・乾燥・キュアする方法により製造できる。
【0039】
次いで、第3工程における、WF4層とBP層との熱融着について説明する。WF4層の熱可塑性ポリイミド層(D1)とBP層の(D2)とを熱融着して貼り合わせる。熱融着方法としては、特に制限はないが、ロールとロール間に挟み込み貼り合わせを行う方法が好ましい。ロールは、金属ロール、ゴムロール等が利用できる。材質に制限はないが、金属ロールとしては、鋼材やステンレス材料が使用される。表面にクロムメッキ等で処理されたロールを使用することが好ましい。ゴムロールとしては、金属ロールの表面に耐熱性のあるシリコンゴム、フッ素系ゴム等が配設されたものを使用することが好ましい。通常、押圧としては、0.1〜100kg/cm2 程度が好ましい。
【0040】
熱融着温度としては、100〜300℃の温度範囲が好ましい。加熱方式は、ロールの外側を加熱炉とし外部から加熱する方式、または、ロール内部に熱媒体を通し、ロール内部から加熱する方式のどちらでもよい。両者を併用してもよい。加熱方式は、前記の伝導加熱方式の他、遠赤外線等の輻射加熱方式、誘導加熱方式等も利用できる。
【0041】
熱融着する際に、最終的に接着層となる熱可塑性ポリイミド層(F)がロールに接着することを防止する為に、熱可塑性ポリイミド層(F)の表面に保護フィルムを熱ラミネートすることが好ましい。保護フィルムとしては、耐熱性があり剥離性に優れていればどの様なフィルムでも利用できる。ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム等が好ましい。
【0042】
熱融着した後、加熱アニールすることが好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気及びイナートガス(窒素、アルゴン等)が利用できる。加熱方法としては、積層体を連続的に加熱する方法、または積層体をコアに巻いた状態で加熱炉に放置する方法のいずれの方法でもよい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及び併用方式等が好ましい。加熱温度としては、200〜500℃の温度範囲が好ましい。加熱時間としては、15秒〜3時間程度が好ましい。
【0043】
本発明により提供される、接着層を有するポリイミド−金属積層体は、平板性に優れ、また耐熱性、他材料との接着性に優れる。そのため、例えば、本発明のポリイミド−金属積層体の金属層をエッチングして回路を形成し、該回路をニッケル/鉄合金、銅または銅合金の金属製リードフレーム(アウターリード)と集積回路との間の橋渡し用配線(インナーリード)として利用することができる。さらに、本発明のポリイミド−金属積層体の接着層側に金属製放熱板を熱接合し、集積回路の放熱用として利用することができる。リードフレームと該金属層との接合は、金属層の表面に金、銀、ニッケル等のメッキ処理等を行い、リードフレームにも金、銀、ニッケル等のメッキ処理等をして溶着接合することもできる。集積回路と該金属層との接合には、金線等を用いてワイヤーボンディングで接合することができる。本発明により提供されるポリイミド−金属積層体は、平板性に優れていることから、集積回路とリードフレームとの橋渡し配線として、微細な高密度回路の形成が可能となった。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。尚、実施例に示した平板性(反り)は下記方法により測定した。
(1)平板性(mm)
500mm×35mmの長方形試料をランダムに10枚採取する。熱可塑性ポリイミド層側を下にして、試料を平板の上に静置する。試料は、表層の熱可塑性ポリイミド層側を凹部として僅かに反る。平板と表層の熱可塑性ポリイミド層との最大距離を測定し、試料10枚の平均値を求め、平板性(mm)とする。
【0045】
合成例1
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分としてAPB10モル、テトラカルボン酸二無水物成分としてBTDA9.7モルをそれぞれ秤量し、それらをN,N−ジメチルアセトアミド溶媒中で混合し、23℃において4時間反応した。また、反応後の固形分濃度は15重量%であった。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は300cpsであり、塗工に適したものであった。
【0046】
合成例2
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分としてDABP10モル、テトラカルボン酸二無水物成分としてBTDA9.8モルをそれぞれ秤量し、N,N−ジメチルアセトアミド溶媒中で混合し、23℃において4時間反応した。反応後の固形分濃度は15重量%であった。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は350cpsであり、塗工に適したものであった。
【0047】
合成例3
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分としてm−BP10モル、テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDA4.9モル及びPMDA4.9モルをそれぞれ秤量し、N−メチルピロリドン溶媒中で混合し、23℃において4時間反応した。反応後の固形分濃度は23重量%であった。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は20000cpsであり、塗工に適したものであった。
【0048】
合成例4
<非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン7.7モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル1.15モル及びm−BP1.15モルをそれぞれ秤量した。テトラカルボン酸二無水物成分として、BPDA5.4モル及びPMDA 4.45モルをそれぞれ秤量した。N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドン混合溶媒に溶解し混合した。溶媒の比率は、前者23重量%、後者77重量%であった。反応温度と反応時間は、23℃、6時間であった。また、反応後の固形分濃度は20重量%である。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は20000cpsであり、塗工に適したものであった。
【0049】
実施例1
<BP層の製造>
市販の非熱可塑性ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名:ユーピレックスSGA、厚み:50μm)を(E)層として用い、その両面に、コータードライヤー装置を用いて、合成例1のポリアミック酸ワニスを流涕塗布し、60℃から200℃で6分間乾燥し、次いで、200〜270℃で2分間キュアを行い、熱可塑性ポリイミド層(D2)及び(F)層を形成し、BP層を製造した。塗布厚みは、乾燥・キュア後の(D2)及び(F)層の厚みが5μmとなる厚みとした。
【0050】
<WF4層の製造>
市販の銅箔(日本電解製、商品名:SLP−18、厚み:18μm)を(A)層として用い、その片面にコータードライヤーを使用し、合成例2の熱可塑性ポリイミド前駆体ワニスを流涕塗布し、80℃で0.5分間乾燥し、熱可塑ポリイミド層(B)を形成した。(B)層の表面に合成例4のポリアミック酸ワニスを流涕塗布し、115℃で1.5分間乾燥し、非熱可塑ポリイミド層(C)を形成した。次いで、(C)層の表面に合成例1のポリアミック酸ワニスを流涕塗布し、80から190℃で4.5分間乾燥し、熱可塑ポリイミド層(D1)を形成した。さらに、300〜400℃で1.5分間キュアを行いWF4層を製造した。それぞれの塗布厚みは、(B)層が1μm、(C)層が10μm、(D1)層が2μmとなるようにした。尚、乾燥及びキュアの雰囲気ガスとして窒素を使用した。
【0051】
<BP層とWF4層の熱融着>
シリコンゴムラミネートロールを使用し、ロール内部加熱及び外部加熱併用方式のラミネート機を使用した。加熱により、ロール表面温度を240℃に加熱した。BP層の(F)層の表面に保護フィルムとして、非熱可塑性ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名:ユーピレックスS、厚み:25μm)を重ね合わせ、また、BP層とWF3層を熱可塑性ポリイミド層(D2)及び(D1)層を介して重ね合わせ、上記一対の加熱ロールを用いて、温度240℃で熱融着し、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)の6層からなるポリイミド−金属積層体を製造した。保護フィルムを除去した後、上記方法により平板性を実測した結果、幅反りが0.3mmであった。
【0052】
<アニールの実施>
ラミネート後、ラミネートした製品をバッチ式オートクレーブ中で、アニールを実施した。条件は、温度280℃、4時間、雰囲気ガスとして窒素ガス(14kg/cm2 )を使用した。アニール後、保護フィルムを除去した。上記方法により平板性を測定した結果、幅反りが0.3mmであった。平板性に優れることから、配線材料として有効に利用できる積層体であった。
【0053】
実施例2
<BPの製造>
市販の非熱可塑性ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名:ユーピレックスSGA、厚み:50μm)を(E)層として用い、その片面に合成例1のポリアミック酸ワニスを塗布し、反対面に合成例3ポリアミック酸ワニスを塗布した以外は、実施例1と同様の方法でBP層を製造した。
得られたBP層に対し、実施例1で得られたWF4層を実施例1と同様の方法で熱融着して、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)の6層からなるポリイミド−金属積層体を製造した。
【0054】
比較例1
市販の銅箔(日本電解製、商品名:SLP−18、厚み:18μm)に合成例2の熱可塑性ポリイミド、合成例4の非熱可塑性ポリイミド、合成例3の熱可塑性ポリイミドをそれぞれ塗工・乾燥・キュアを行い、各層の厚みが、1μm、40μm、10μmとなる積層構造物を製造した。製造方法は、実施例1のWFの製造と同様の方法で行った。製品の平板性の評価を実施した結果、35mm幅のテープ状、ポリイミド樹脂方向に大きく反りが発生し円筒状になる為、測定が出来なかった。平板性が悪いことから、有効に利用出来ない積層構造体であった。
【0055】
比較例2
比較例1の製品を使用し、特開平4−229260号公報に記載されている方法で、金属層を鋭利なブレードを使用し鋭角に折り曲げ圧縮加重を加えて、金属層の寸法を短縮した。出来た製品の平板性の評価を実施した結果、35mm幅のテープ状で、ポリイミド樹脂方向の幅反りは、2.0mmであった。反りの量としては、該製品の用途には使える量であったが、銅層の表面を観察した結果、ブレードにより多量のスジ、キズが発生していた。該製品の用途である電子回路の配線材料としては不適な状態であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層及び金属層の6層構造からなるポリイミド−金属積層体、及びその製造方法が提供される。製造方法の特徴は、金属層、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層の4層構造の構成物と熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層の3層構造の構成物とを熱融着することにある。層構成が、中間層の4層の構造が、2層の非熱可塑性ポリイミド層の層間に熱可塑性ポリイミド層が存在する構造であるため、反りが発生することがないことから、所謂、カール修正を実施する必要がない。そのため、製造するに際し、金属層にキズ等が付くことがなく、平坦性に優れる。従って、集積回路及びその他電子回路の配線材料として有効に利用できる。

Claims (10)

  1. 熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層、及び金属層が順次積層された6層からなるポリイミド−金属積層体であって、熱可塑性ポリイミド層が、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び3,3’−ジアミノベンゾフェノンから選ばれた少なくとも一種のジアミン単位、並びに、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物単位を含む繰返し構造単位を有するポリイミドにより形成された、6層からなるポリイミド−金属積層体
  2. 非熱可塑性ポリイミド層が、フェニレンジアミン及びジアミノフェニルエーテルから選ばれた少なくとも一種のジアミン単位、並びに、ピロメリット酸二無水物及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物単位を含む繰返し構造単位を有するポリイミドにより形成された請求項1記載のポリイミド−金属積層体。
  3. 金属層が、銅、銅合金、ステンレススチール、ステンレススチール系合金、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選ばれた少なくとも一種の金属箔である請求項1記載のポリイミド−金属積層体。
  4. 各熱可塑性ポリイミド層及び各非熱可塑性ポリイミド層の厚みが0.1〜200μm、金属層の厚みが9〜150μm、積層体の総厚みが10〜500μmである請求項1記載のポリイミド−金属積層体。
  5. 金属箔(A)の片面に熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(B)を形成し、(B)の表面に非熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を塗布、乾燥して非熱可塑性ポリイミド層(C)を形成し、更に(C)の表面に熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(D1)を形成し、次いで、加熱処理して(A)、(B)、(C)及び(D1)からなる積層体(1)を形成する第1工程、非熱可塑性ポリイミドフィルム(E)の表裏両面に熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液を塗布、乾燥して熱可塑性ポリイミド層(D2)及び(F)を形成し、次いで、加熱処理して(D2)、(E)及び(F)からなる積層体(2)を形成する第2工程、並びに、前記(1)及び(2)両積層体をそれらの(D1)及び(D2)を介して熱融着し、(D)層を形成する第3工程を含むポリイミド−金属積層体の製造方法であって、熱可塑性ポリイミド溶液またはその前駆体溶液が、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び3,3’−ジアミノベンゾフェノンから選ばれた少なくとも一種のジアミン、並びに、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物から合成された重縮合物を含む溶液であり、且つ、第3工程における(D1)と(D2)の熱融着を100〜300℃において実施することを特徴とするポリイミド−金属積層体の製造方法。
  6. 第3工程において、積層体(2)の(F)の表面に保護フィルムを同時に熱融着することを特徴とする請求項記載のポリイミド−金属積層体の製造方法。
  7. 第1及び第2工程における一連の乾燥を60〜200℃において15秒〜3時間実施し、第1及び第2工程における加熱処理を200〜500℃において15秒〜3時間実施することを特徴とする請求項記載のポリイミド−金属積層体の製造方法。
  8. 金属箔が、銅、銅合金、ステンレススチール、ステンレススチール系合金、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選ばれた少なくとも一種の金属箔である請求項記載のポリイミド−金属積層体の製造方法。
  9. 非熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液が、フェニレンジアミン及びジアミノフェニルエーテルから選ばれた少なくとも一種のジアミン、並びに、ピロメリット酸二無水物及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物から合成された重縮合物を含む溶液である請求項記載のポリイミド−金属積層体の製造方法。
  10. (B)、(C)、(D)、(E)及び(F)の厚みが0.1〜200μm、(A)の厚みが9〜150μm、積層体の総厚みが10〜500μmである請求項記載のポリイミド−金属積層体の製造方法。
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