JP3318035B2 - フレキシブル両面金属積層板の製造法 - Google Patents

フレキシブル両面金属積層板の製造法

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JP3318035B2
JP3318035B2 JP8043093A JP8043093A JP3318035B2 JP 3318035 B2 JP3318035 B2 JP 3318035B2 JP 8043093 A JP8043093 A JP 8043093A JP 8043093 A JP8043093 A JP 8043093A JP 3318035 B2 JP3318035 B2 JP 3318035B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子工業分野において
普及しつつあるフレキシブル両面金属積層板の製造方法
に関するものであり、特に耐熱性に優れた接着剤層の無
い長尺状のオールポリイミドフレキシブル両面金属積層
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フレキシブル金属積層板は、主として可
撓性を有するプリント配線板用の基材として使用される
が、その他に面発熱体、電磁波シールド材料、フラット
ケーブル、包装材料等に使用される。近年においては、
プリント配線板を使用した電子機器が小型化、高密度化
されるにともない、効率のよい高密度化が達成できるた
め、フレキシブル両面金属積層板利用が増大している。
しかしながら、従来のフレキシブル両面金属積層板は、
エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、ポリイミドフィルム
の両側に金属箔を張り合わせることにより製造されてい
るために、耐熱性・耐薬品性・難燃性・電気特性等の特
性は、使用される接着剤の特性に支配され、ポリイミド
の優れた諸特性が充分に生かされず、特に耐熱性・耐銅
マイグレーション性・耐放射線性の点で到底充分なもの
ではなかった。この接着剤を有する従来のフレキシブル
両面金属積層板の欠点を克服するために、オールポリイ
ミドフレキシブル片面金属積層板のポリイミド層に、直
接金属箔またはもう一枚のオールポリイミドフレキシブ
ル片面金属積層板のポリイミド層を、加熱・加圧して積
層することにより、接着剤を有さないオールポリイミド
フレキシブル両面金属積層板を得ようとする試みがなさ
れているが、ピール強さが低かったり、半田浴浸せき時
にフクレが生じたりして、満足なものが得られていない
のが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた可と
う性・折り曲げ加工性・耐熱性・耐薬品性・難燃性・電
気的特性等を有するポリイミドフィルムの特性を充分に
生かすため、エポキシ樹脂等の接着剤層のないオールポ
リイミドフレキシブル両面金属積層板を提供せんとする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、諸特性低
下の原因であるエポキシ樹脂等の接着剤層を含まない、
オールポリイミドフレキシブル両面金属積層板を製造す
る方法を鋭意検討した結果、金属箔上または金属箔上に
ポリアミック酸ワニスを直接塗布した基材上に、有機溶
媒中に溶解含有させた熱可塑ポリイミドワニスまたは、
熱可塑ポリイミドとポリアミック酸混合物からなるワニ
スを直接塗布し、溶媒除去および/または基材であるポ
リアミック酸のイミド化反応を完結させることにより得
られるオールポリイミドフレキシブル片面金属積層板の
ポリイミド層に、金属箔または上記方法で得られた同様
のオールポリイミドフレキシブル片面金属積層板のポリ
イミド層を加熱加圧して積層することにより耐熱性に優
れたフレキシブル両面金属積層板が得られることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、金属箔上に、または
金属箔上にポリアミック酸ワニスをあらかじめ直接塗布
した基材上に、有機溶媒中に溶解含有させた熱可塑ポリ
イミドワニスを直接塗布し、溶媒除去および/またはポ
リアミック酸のイミド化反応を完結させることによりオ
ールポリイミド片面フレキシブル金属積層板を得、この
ポリイミド層に、金属箔を、または上記方法で得られた
別のオールポリイミドフレキシブル片面金属積層板の熱
可塑ポリイミド層同士を加熱加圧して積層することを特
徴とするフレキシブル両面金属積層板の製造方法、であ
り、とくに、有機溶媒中に溶解含有させた熱可塑ポリイ
ミドワニスが、イミド化反応を完結させず、ポリアッミ
ク酸成分が、0.1から50%の範囲で残存する反応混
合物からなるフレキシブル両面金属積層板の製造方法、
であり、とくに、熱可塑ポリイミド層の2次転移点が1
60℃以上270℃以下であるフレキシブル両面金属積
層板の製造方法、であり、とくに、熱可塑ポリイミド層
のポリマー末端をジカルボン酸無水物および/またはモ
ノアミンで封止したフレキシブル両面金属積層板の製造
方法、である。本発明においては、ポリイミド層のポリ
マー末端を、カルボン酸無水物および/またはモノアミ
ンで封止することによって、2次転移点温度以上におけ
るポリマー流動性を高め、接着性能を高めたものであ
り、また、この熱可塑性のポリイミドワニスは、重合反
応後にポリイミドを単離することなく製造が可能であり
工業的に非常に有用なものである。さらに、通常のポリ
イミドワニスに比較して格段に保存安定性が良い製法で
ある。
【0006】以下、本発明を詳細に述べる。本発明に用
いられる熱可塑ポリイミド層は、ポリマー分子末端が式
(1)、〔化1〕
【0007】
【化1】 (式中、Zは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を表
す)で表されるジカルボン酸無水物で封止され、式
(2)、〔化2〕
【0008】
【化2】 (式中、Yは式(3)、〔化3〕で規定されるものであ
り、
【0009】
【化3】 Xは直接結合、−CO−または−O−の2価の基を示
す)で表される繰り返し単位を有する熱可塑ポリイミド
を、その熱可塑ポリイミドを溶解する溶媒に溶解含有さ
せた熱可塑ポリイミドワニスまたは熱可塑ポリイミドと
そのポリアミック酸の混合物からなるワニスを塗布・乾
燥して得られることを特徴とした熱可塑ポリイミドであ
り、 または、ポリマー分子末端が式(4)、〔化4〕
【0010】
【化4】Q−NH2 (4) (式中、Qは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を表
す)で表されるモノアミンで封止され、上記式(2)で
表される繰り返し単位を有する熱可塑ポリイミドを、そ
の熱可塑ポリイミドを溶解する溶媒に溶解含有させた熱
可塑ポリイミドワニスまたは熱可塑ポリイミドとそのポ
リアミック酸の混合物からなるワニスを塗布・乾燥して
得られることを特徴としたポリイミドである。本発明に
係わる熱可塑ポリイミドは、ジアミン成分として式
(5)、〔化5〕
【0011】
【化5】 で表せる1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
(以下、APBと略記する)と、テトラカルボン酸二無
水物成分として3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラ
カルボン酸二無水物(以下、ODPAと略記する)、3,
3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
(以下、BTDAと略記する)または3,3',4,4'ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと略記
する)からなる群から選ばれる少なくとも一つのテトラ
カルボン酸二無水物とを重縮合させて得られるポリマー
であり、ポリマー分子末端の反応性末端基が式(1)で
表されるジカルボン酸無水物を用いて封止されたポリイ
ミドであり、またはポリマー分子末端の反応性末端基が
式(4)で表せるモノアミンで封止されたポリイミドで
ある。本発明の熱可塑ポリイミドは、上記の芳香族ジア
ミン成分と芳香族テトラカルボンサン二無水物を主たる
成分とするものであるが、本発明における耐熱接着性を
損なわない範囲で式(6)、〔化6〕
【0012】
【化6】 (式中、Wは炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、
単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接
または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香
族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で表され
るテトラカルボン酸二無水物を一部含んでいてもなんら
問題はない。
【0013】即ち、このような、一部代替されうるテト
ラカルボン酸二無水物の例としては、エチレンテトラカ
ルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、
シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキ
サンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテ
トラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,
3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8
−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナ
フタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレ
ンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセン
テトラカルボン酸 二無水物、1,2,7,8−フェナントレン
テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテト
ラカルボン 酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジ
カルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3
−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1
−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水
物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、4,4'−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無
水物、4,4'−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二
無水物等が挙げられ、また、これらは単独あるいは2種
以上混合して使用される。
【0014】また、本発明はAPBをジアミンとして用
いるが、本発明の耐熱接着性を損なわない範囲で他の芳
香族ジアミンを一部含んでもなんら問題はない。一部代
替されうるジアミン化合物としては、例えばo−フェニ
レンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレ
ンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベ
ンジルアミン、2−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、
4−クロロ1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノト
ルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエ
ン、2,6−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、
2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、4−メトキシ
−1,2−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,3−フェ
ニレンジアミン、ベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジ
ン、3,3'−ジメチルベンジジン、3,3'−ジメトキシベン
ジジン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジ
アミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニル
エーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'
−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフ
ェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキ
シド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−
ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフ
ェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベ
ンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−
ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメ
タン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミ
ノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3
−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,
4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベ
ンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベン
ゾイル〕ベンゼン、4,4'−ビス〔3−(4−アミノフェノ
キシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス
〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニル
エーテル、4,4'−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメ
チルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4'−ビ
ス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ
ノキシ〕ジフェニルスルホン、〔ビス4−{4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕ケトン、ビス
〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェ
ニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビ
ス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベ
ンジル〕ベンゼン等があげられ、また、これらは単独あ
るいは2種以上混合して使用される。
【0015】本発明の熱可塑ポリイミドは、前記群のテ
トラカルボン酸成分と前記群のジアミン成分を溶媒中で
ブレンドしたり共重合させることにより、2次転移点を
160℃〜270℃の範囲で制御させることができる。
さらに、この熱可塑ポリイミド層は、異なる2次転移点
を持つ多層構造でも問題はない。また、フレキシブル両
面金属積層板を加熱圧着して積層する際に、熱可塑ポリ
イミド層間で熱硬化反応を伴わないためにポリイミドが
本来持っているやわらかさ、可とう性および折り曲げ加
工性等の特性を損ねることがない。本発明の熱可塑ポリ
イミド層のポリマー末端を封止する目的で使用されるカ
ルボン酸無水物としては、無水フタル酸、2,3−ベンゾ
フェノジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノジカル
ボン酸無水物、2,3−ジカルボキシルフェニルフェニル
エーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水
物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカル
ボキフェニルフェニルスルホン酸無水物、3,4−ジカル
ボキフェニルフェニルスルホン酸無水物、2,3−ジカル
ボキシルフェニルフェニルスルフォイド酸無水物、3,4
−ジカルボキシルフェニルフェニルスルフォイド酸無水
物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタ
レンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン
酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3
−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセ
ンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらのジカル
ボン酸無水物は、アミンまたはジカルボン酸無水物と反
応性を有しない基で置換されても差し支えない。
【0016】本発明の熱可塑ポリイミド層のポリマー末
端を封止する目的で使用されるモノアミンとしては、ア
ニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイ
ジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシ
リジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キ
シリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、
p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモ
アニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、
m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノ
フェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノ
ール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジ
ン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネ
チジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベン
ツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミ
ノベンツニトリル、m−アミノベンツニトリル、p−ア
ミノベンツニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノ
ビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェノー
ルフェノールエーテル、3−アミノフェノールフェノー
ルエーテル、4−アミノフェノールフェノールエーテ
ル、2-アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノ
ン、3−アミノベンゾフェノン、2-アミノフェノールフ
ェニルスルファイド、3-アミノフェノールフェニルスル
ファイド、4-アミノフェノールフェニルスルファイド、
2-アミノフェノールフェニルスルホン、3-アミノフェノ
ールフェニルスルホン、4-アミノフェノールフェニルス
ルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1
−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトー
ル、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフト
ール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフ
トール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアント
ラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセ
ン等が挙げられる。
【0017】これら芳香族モノアミンは、単独または2
種類以上混合して用いても問題はない。また前記群のジ
カルボン酸無水物と芳香族モノアミンを併用しても良
い。熱可塑性ポリイミドの生成反応は、通常、有機溶媒
中で実施する。この反応に用いる溶媒としては、N−メ
チル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン、N,N−ジメエルアセトアミド、
N,N−ジメエルメトキシアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチル
ホスホルアミド、テトラメチル尿素、N−メチルカプロ
ラクタム、プチロラクタム、テトラヒドロフラン、m−
ジオキサン、p−ジオキサン、1,2−ビス(2−メトキシ
エトキシ)エタン、ビス2−(2−メトシエトキシ)エチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、
ピコリン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレ
ゾール、クレゾール酸、p−クロロフェノール、フェノ
ール、アニソール等挙げられる。これらの有機溶媒は、
単独もしくは2種類以上混合して使用される。
【0018】本発明に係わる熱可塑ポリイミドは、ジア
ミン化合物成分として主にAPBと、テトラカルボン酸
二無水物成分として主にBTDAおよび/またはBTD
Aおよび/またはODPAとを、末端封止成分としてジ
カルボン酸無水物および/またはモノアミン存在下で、
有機溶媒中にて合成される。主にジカルボン酸無水物に
て末端を封止する場合のテトラカルボン酸二無水物の使
用量は、ジアミン化合物対モル比で0.8から0.99
9が好ましい。0.8モル未満では、ポリマーの重合度
が充分ではなく、耐熱性が損なわれ、また、0.999
を越えると、ポリマー末端の封止が困難になり、ポリイ
ミドワニスを得られなくなる。また、ジアミン化合物成
分、テトラカルボン酸二無水物成分および末端封止成分
の添加・反応方法に制限はなく、それぞれを同時に添加
しても、分割して添加しても、特定の成分のみ後から添
加・反応させてもなんら問題はない。このポリアミック
酸を製造する際の反応温度は、通常70度以下が好まし
い。また反応圧力に制限はなく常圧で製造可能である。
反応時間は、ポリイミドの種類、溶媒の種類、反応温度
により異なるが、3から24時間で充分である。主にモ
ノアミンにて末端を封止する場合のジアミン化合物の使
用量は、テトラカルボン酸二無水物対モル比で0.8か
ら0.999が好ましい。0.8モル未満では、ポリマ
ーの重合度が充分ではなく、耐熱性が損なわれ、また、
0.999を越えると、ポリマー末端の封止が困難にな
り、ポリイミドワニスを得られなくなる。また、ジアミ
ン化合物成分、テトラカルボン酸二無水物成分および末
端封止成分の添加・反応方法に制限はなく、それぞれを
同時に添加しても、分割して添加しても、特定の成分の
み後から添加・反応させてもなんら問題はない。このポ
リアミック酸を製造する際の反応温度は、通常70度以
下が好ましい。また反応圧力に制限はなく常圧で製造可
能である。反応時間は、ポリイミドの種類、溶媒の種
類、反応温度により異なるが、4から24時間で充分で
ある。この反応によって、熱可塑ポリイミドの前駆体で
あるポリアミック酸ワニスが得られる。このようにして
得られたポリアミック酸を、更に100から350℃に
加熱してイミド化反応を行い熱可塑ポリイミドを得る。
イミド化反応によって生じる水分は、トルエン等の共沸
物を反応系に加え、共沸によって除去しても差し支えな
い。
【0019】上記熱イミド化反応の他に、無水酢酸等の
イミド化剤を用いて化学的にポリイミドを得ても良い。
この時、必要に応じてピリジン、γ−ピコリン、イミダ
ゾール、トリエチルアミン等の第3アミン類を触媒とし
て加えても良い。化学的にイミド化を行う場合の反応温
度は、通常室温から200℃以下であるが好ましくは、
100℃以下である。反応は、常圧下で0.5から24
時間で充分である。なお、この熱可塑ポリイミドを含有
する反応混合物ワニスにおいて、イミド化反応を完結さ
せず0.1から50%の範囲でポリアミック酸を残存さ
せても良い。ワニスの保存安定性を考えた場合0.1か
ら10%の範囲でポリアミック酸が残存した混合物ワニ
スが好ましい。
【0020】本発明に用いられる金属箔の種類には特に
限定はなく、通常は銅、ニッケル、アルミニウム、ステ
ンレス鋼、ベリリウム−銅合金箔、ニッケル−銅合金箔
等が使用されることが多く、銅箔の場合には、圧延銅
箔、電解銅箔のいずれも使用できる。金属箔の厚さは、
特に制限はないが、通常4〜105μmであり、好まし
くは9〜70μmである。また、金属箔に直接接してい
るポリイミドと金属箔との接着力を高めるために金属箔
上に金属単体やその酸化物や合金、例えば金属箔が銅箔
の場合には、銅単体や酸化銅やニッケル−銅合金や亜鉛
−銅合金等の無機物を形成させてもよく、また、無機物
以外にもアミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシ
ラン等のカップリング剤を金属箔上に形成させても良
い。また、脱脂処理、酸またはアルカリによる化学処
理、熱処理、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラス
ト処理、ホーニング処理、紫外線照射、放射線照射等も
可能である。
【0021】また、前記これら金属箔上に、ポリアミッ
ク酸ワニスを直接塗布し、さらにその上に本発明による
熱可塑ポリイミドワニスを塗布しても良い。このポリア
ミック酸は、前記のテトラカルボン酸群およびジアミン
群の組み合わせからなるものであれば特に限定はなく、
ブレンドしたり、共重合させても良い。また、前記のカ
ルボン酸無水物群および/または前記のモノアミン群で
末端が封止されていても問題はない。また、このポリア
ミック酸ワニスは、通常、有機溶媒中で生成され、前記
の有機溶媒群に含まれる溶媒ならば、単独もしくは2種
類以上混合して使用してもワニス生成上なんら問題はな
い。このポリアミック酸ワニスの製造条件は、前記のポ
リイミドワニス製造におけるポリアミック酸製造工程と
同様の条件で製造可能であり、また現在市販されている
のポリアミック酸ワニスを用いても良い。さらにこのポ
リアミック酸層は、単一の層でも、異なる2次転移点を
持った多層構造でも良く、またポリイミドの特性を変化
させる添加剤やフェラー等を含んでいても良い。
【0022】金属箔上に本発明の熱可塑ポリイミドワニ
スを直接塗布する方法、金属箔上にポリアミック酸ワニ
スを直接塗布する方法および金属箔上にポリアミック酸
ワニスを直接塗布した基材上に本発明の熱可塑ポリイミ
ドワニスを直接塗布する方法に、限定はなく従来公知
の、コンマコーター、Tダイ、ロールコーター、ナイフ
コーター、リバースコーター、バーコーター、グラビヤ
コーター等の塗布装置を使用して塗布すれば良い。ま
た、スクリーン印刷法を用いて選択的に熱可塑ポリイミ
ドワニスおよび/またはポリアミック酸ワニスを塗布す
るのも良い。
【0023】熱可塑ポリイミドワニス層とポリアミック
酸ワニス層のイミド化反応およびポリアミック酸ワニス
層の溶媒除去方法には、有機溶媒の沸点以上の加熱がで
きれば良い。金属箔の酸化防止のため、窒素、アルゴン
等の不活性ガス中での加熱が好ましい。この不活性ガス
の密封性を考えた場合、加熱温度は600℃未満が実用
的である。また、加熱時間ついては、ポリイミドの種
類、溶媒の種類、加熱温度により異なるが、通常は10
秒から24時間の範囲で充分である。
【0024】以上の方法で得られた基材もしくはこの得
られた基材と金属からなるフレキシブル両面金属積層板
は、例えば添付図面図1乃至図5に示した構成をとる。
すなわち、(1)図1のように金属箔上に熱可塑ポリイ
ミドワニスを直接塗布後、溶媒除去および/またはイミ
ド化反応を完結させた基材と金属箔を加熱圧着して得ら
れるフレキシブル両面金属積層板、(2)図2のように
金属箔上に熱可塑ポリイミドワニスを直接塗布後、溶媒
除去および/またはイミド化反応を完結させた基材の熱
可塑ポリイミド面同士を加熱圧着して得られるフレキシ
ブル両面金属積層板、(3)図3のように金属箔上にポ
リアミック酸ワニスを直接塗布した上に、さらに熱可塑
ポリイミドワニスを直接塗布後、それらワニスの溶媒除
去および/またはイミド化反応を完結させた基材と金属
箔を加熱圧着して得られるフレキシブル両面金属積層
板、(4)図4のように金属箔上にポリアミック酸ワニ
スを直接塗布した上に、さらに熱可塑ポリイミドワニス
を直接塗布後、それらワニスの溶媒除去および/または
イミド化反応を完結させた基材の熱可塑ポリイミド面同
士を加熱圧着して得られるフレキシブル両面金属積層
板、(5)図5のように金属箔上にポリアミック酸ワニ
スを直接塗布した上に、さらに熱可塑ポリイミドワニス
を直接塗布後、それらワニスの溶媒除去および/または
イミド化反応を完結させた基材と金属箔上に熱可塑ポリ
イミドワニスを直接塗布後、ワニスの溶媒除去および/
またはイミド化反応を完結させた基材の熱可塑イミド面
同士を加熱圧着して得られるフレキシブル両面金属積層
板の構成からなる。
【0025】なお、上記(2)、(4)、(5)の場合
において、図面符号2で表される基材上の熱可塑ポリイ
ミド層の少なくとも片方が本発明に関わる熱可塑ポリイ
ミド層であるならば、他方の熱ポリイミド層は、ポリア
ミック酸ワニスを塗工して形成したものでよく、かかる
基材と熱可塑ポリイミド面同士を加熱圧着して得られる
フレキシブル両面金属積層板の構成からなるものでよ
い。さらに、本発明に関わる熱可塑ポリイミドであるな
らば製造工程や組成が異なった熱可塑ポリイミド間でも
の加熱圧着が可能である。
【0026】また、これらフレキシブル両面金属積層板
において、熱可塑ポリイミド層の両側の金属箔の種類、
厚さ、表面処理状態が同一でも異なっていても問題はな
い。フレキシブル両面金属積層板の加熱圧着による積層
方法には、特に限定はなく、従来公知の真空プレス、熱
ロールプレス、オートクレーブプレス等をどのような方
法を用いても良い。真空プレス法やオートクレーブプレ
ス法の場合、プレス温度は、100℃から400℃、好
ましくは2次転移温度から350℃、またプレス圧力
は、1から1000kgf/cm2、実用上好ましく
は、7から200kgf/cm2、さらに20秒から4
8時間加熱圧着することにより良好なフレキシブル両面
金属積層板を得ることができる。熱ロールプレス法の場
合は、プレス温度は、100℃から400℃、好ましく
は2次転移温度から350℃、またプレス線圧力は、
0.05から2000kgf/cm、実用上好ましくは
0.5から300kgf/cm、さらに0.005から
50m/分の速度で加熱圧着することにより良好なフレ
キシブル両面金属積層板を得ることができる。また、プ
レス前の積層基材の積層面に、脱脂処理、酸またはアル
カリによる化学処理、熱処理、コロナ処理、プラズマ処
理、サンドブラスト処理、ホーニング処理、紫外線照
射、放射線照射等も可能である。
【0027】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例1 APB29.2g(0.1モル)とN,N−ジメチルア
セトアミド245.6gを、室温窒素雰囲気下で撹拌・
溶解した。これに、ODPA30.85g(0.099
5モル)を、分割して加え、50℃で24時間撹拌し
た。その後、無水フタル酸1.184g(0.008モ
ル)を加え、室温で3時間撹拌した。上記のポリアミッ
ク酸溶媒にγ−ピコリン9.31g(0.01モル)と
滴下し、室温窒素雰囲気下で1時間撹拌後、180℃に
昇温し5時間熱イミド化した。この時、生成水および反
応溶媒を一部除去した。その後撹拌しながら2時間で室
温まで冷却しさらに3時間撹拌した。かくして得られた
熱可塑ポリイミドワニスは、対数粘度0.57dl/g
であった。(測定は、N−メチル−2−ピロリドン溶媒
中、0.5%濃度、35℃下で行った)。このワニス
を、厚さ35μm圧延銅箔(日本鉱業( 株) 製商品名:
BHY箔、以下、圧延銅箔と略する)処理面に塗布し、
窒素雰囲気下、250℃で30分間加熱乾燥した。乾燥
後得られたポリイミド層の厚みは、13μmであった。
また、得られたポリイミド層の2次転移点温度が177
℃(DSCによる測定)であった。得られたポリイミド
塗布銅箔と厚さ35μmの圧延銅箔を真空プレスにて加
熱加圧圧着した。この時のプレス条件は、240℃、5
0kgf/cm2で30分間保持した。この両面金属積
層板の加熱圧着界面(銅−ポリイミド界面)の180度
ピール強度は、1.6kgf/cmであった。更に、こ
の両面金属積層板を260℃の半田に1分間浸漬しても
膨れ、はがれや変色等変化はなかった。図1に、本構成
例の層構成の模式図を示す。結果を表1にまとめた。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2 実施例1で得られたポリイミド塗布銅箔のポリイミド面
同士を重ね合わせ、熱ロールプレスにて連続積層した。
プレス条件は、250℃、50kgf/cm、走行速度
0.1m/minであった。このフレキシブル両面金属
積層板の180度ピール強度(銅−ポリイミド界面)も
1.7kgf/cmであった。また、加熱圧着界面(ポ
リイミド−ポリイミド界面)での剥離は、測定不能な程
強固に接着されていた。得られたフレキシブル両面金属
積層板は、外観上実施例1となんら変化は無く、また2
60℃の半田に1分間浸漬しても膨れ、はがれや変色等
変化はなかった。
【0030】比較例1 APB29.2g(0.1モル)とN,N−ジメチルア
セトアミド245.6gを、室温窒素雰囲気下で撹拌・
溶解した。これに、ODPA30.85g(0.099
5モル)を、分割して加え、50℃で24時間撹拌し
た。ここで得られたポリアミック酸ワニスを、実施例1
と同様に圧延銅箔上に塗工し、250℃、30分間乾燥
して、得られたポリイミド層は、2次転移点温度が17
5℃(DSCによる測定)であった。実施例2と同様
に、得られたポリイミド塗布銅箔のポリイミド面同士を
重ね合わせ、熱ロールプレスにて連続積層した。プレス
条件は、250℃、50kgf/cm、走行速度0.1
m/minであった。しかし、加熱圧着界面(ポリイミ
ド−ポリイミド界面)での接着はできなかった。
【0031】実施例3 実施例1におけるテトラカルボン酸二無水物成分を、O
DPAからBPDAに変更して、実施例1と同様の条件
でポリイミドワニス(対数粘度0.77dl/g)を得
た。そして実施例1と同様の条件で35μm厚さの圧延
銅箔とプレスした。評価結果を表1に示す。
【0032】実施例4 実施例1におけるテトラカルボン酸二無水物成分を、O
DPAからBPDAに変更して、実施例1と同様の条件
でポリイミドワニス(対数粘度0.82dl/g)を得
た。そして実施例1と同様の条件で35μm厚さの圧延
銅箔とプレスした。評価結果を表1に示す。
【0033】実施例5 実施例1におけるγ−ピコリン9.31g(0.01モ
ル)の代わりに,3−ナフタレンジカルボン酸無水物
1.585g(0.008モル)を用いた以外は全て実
施例1と同様な操作を行い、対数粘度0.75dl/g
の熱可塑ポリイミドワニスを得た。実施例1と同様に圧
延銅上に塗工後、250℃で30分乾燥して得られたポ
リイミド層の2次転移温度は179℃であった。(DS
C測定)そして実施例1と同様の条件で35μm厚さの
圧延銅箔とプレスした。評価結果を表1に示す。
【0034】実施例6 実施例1におけるγ−ピコリン9.31g(0.01モ
ル)の代わりに、無水マレイン酸0.656g(0.0
08モル)を用いた以外は全て実施例1と同様な操作を
行い、対数粘度0.72dl/gの熱可塑ポリイミドワ
ニスを得た。実施例1と同様に圧延銅箔上に塗工し、2
50℃、30分乾燥して得られたポリイミド層の2転移
温度は181℃であった。(DSC測定)そして実施例
1と同様の条件で35μm厚さの圧延銅箔とプレスし
た。評価結果を表1に示す。
【0035】実施例7 BTDA32.2g(0.1モル)とN,N−ジメチル
アセトアミド245.6gを、室温窒素雰囲気下で撹拌
・溶解した。これに、APB28.9g(0.099モ
ル)を、分割して加え、室温で8時間撹拌した。その
後、アニリン0.745g(0.008モル)を加え、
室温で1時間撹拌した。その後、窒素雰囲気下で撹拌し
ながら、1時間で190℃まで昇温した。昇温中、イミ
ド化反応に伴う生成水を系外に除去した。さらに、19
0℃で4時間熱イミド化をした。その後、10時間かけ
て撹拌冷却した。かくして得られたポリイミドワニス
は、対数粘度0.73dl/gであった。実施例1と同
様に銅箔上に塗工後、250℃、30分乾燥して得られ
たポリイミド層の2転移温度は191℃であった。(D
SC測定)そして実施例1と同様の条件で35μm厚さ
の圧延銅箔とプレスした。評価結果を表1に示す。
【0036】実施例8 実施例7におけるテトラカルボン酸二無水物成分を、B
TDAからBPDAに変更して、実施例1と同様の条件
でポリイミドワニス(対数粘度0.84dl/g)を得
た。そして実施例1と同様の条件で35μm厚さの圧延
銅箔とプレスした。評価結果を表1に示す。
【0037】実施例9 実施例8におけるテトラカルボン酸二無水物成分を、B
TDAからODPAに変更して、実施例1と同様の条件
でポリイミドワニス(対数粘度0.78dl/g)を得
た。そして実施例1と同様の条件で35μm厚さの圧延
銅箔とプレスした。評価結果を表1に示す。
【0038】実施例10 実施例1で得られたポリイミド塗布銅箔のポリイミド面
同士を重ね合わせ、真空プレスにて240℃、50kg
f/cm2で30分間保持した。このフレキシブルフレ
キシブル両面金属積層板のピール強度も1.8kgf/
cmであった。また、加熱圧着界面での剥離は、測定不
能な程強固に接着されていた。得られたフレキシブルフ
レキシブル両面金属積層板は、外観上実施例1となんら
変化は無く、また260℃の半田に1分間浸漬しても膨
れ、はがれや変色等変化はなかった。図2に、本構成例
の層構成の模式図を示す。
【0039】実施例11 実施例1で得られたポリイミド塗布銅箔と35μm厚さ
の圧延銅箔をオートクレーブにて加熱加圧圧着した。こ
の時のプレス条件は、250℃、19kgf/cm2
30分間保持した。このフレキシブル両面金属積層板の
加熱圧着界面の180度ピール強度は、1.5kgf/
cmであった。得られたフレキシブルフレキシブル両面
金属積層板は、外観上実施例1となんら変化は無く、ま
た260℃の半田に1分間浸漬しても膨れ、はがれや変
色等変化はなかった。
【0040】実施例12 p−フェニレンジアミンとBTDAからなるポリアミッ
ク酸のN−メチル−2−ピロリドンワニス(濃度20
%、宇部興産( 株) 製:商品名ユーピレックスS)を1
8μm厚さの圧延銅箔上に塗布し、窒素雰囲気下で12
0℃で5分間乾燥し、更にその上に実施例1で得られた
ワニスを塗布し、窒素雰囲気下、250℃で30分間加
熱し、両ワニスの溶媒除去とポリアミック酸のイミド化
反応を行った。ここで得られたポリイミド層の厚みは各
13μm、計26μmであった。得られたポリイミド塗
布銅箔と35μm厚さの圧延銅箔を真空プレスにて加熱
加圧圧着した。この時のプレス条件は、240℃、50
kgf/cm2で30分間保持した。このフレキシブル
両面金属積層板の加熱圧着界面(銅−ポリイミド界面)
の180度ピール強度は、1.7kgf/cmであっ
た。更に、このフレキシブル両面金属積層板を260℃
の半田に1分間浸漬しても膨れ、はがれや変色等変化は
なかった。図3に、本構成例の層構成の模式図を示す。
【0041】実施例13 実施例12で得られたポリイミド塗布銅箔のポリイミド
面を同士重ね合わせ、熱ロールプレスにて連続積層し
た。プレス条件は、270℃、50kgf/cm、走行
速度0.1m/minであった。また、加熱圧着界面
(ポリイミド−ポリイミド界面)での剥離は、測定不能
な程強固に接着されていた。得られたフレキシブルフレ
キシブル両面金属積層板は、外観上実施例1となんら変
化は無く、また260℃の半田に1分間浸漬しても膨
れ、はがれや変色等変化はなかった。図4に、本構成例
の層構成の模式図を示す。
【0042】実施例14 実施例1で得られたポリイミド塗布銅箔と実施例12で
得られたポリイミド塗布銅箔のポリイミド面を同士重ね
合わせ、真空プレスにて220℃、75kgf/cm2
で20分間保持した。また、加熱圧着界面(ポリイミド
−ポリイミド界面)での剥離は、測定不能な程強固に接
着されていた。得られたフレキシブルフレキシブル両面
金属積層板は、外観上実施例1となんら変化は無く、ま
た260℃の半田に1分間浸漬しても膨れ、はがれや変
色等変化はなかった。図5に、本構成例の層構成の模式
図を示す。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、接着性、可と
う性等に優れた、オールポリイミドフレキシブル両面金
属板を容易に製造でき、その産業上の利用可能性はきわ
めて高いと伝わざるを得ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層構成を示す模式図。
【図2】本発明の積層構成を示す模式図。
【図3】本発明の積層構成を示す模式図。
【図4】本発明の積層構成を示す模式図。
【図5】本発明の積層構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 金属箔 2 ポリイミドワニス塗工後イミド化反応の完結・溶媒
除去したポリイミド層 3 フレキシブル片面金属積層板 4 ポリアミック酸ワニス塗工後にイミド化および溶媒
除去したポリイミド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08G 73/10 C08G 73/10 (72)発明者 高木 繁行 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 及川 英明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 小石 真弓 (56)参考文献 特開 平5−152699(JP,A) 特開 平4−239637(JP,A) 特開 平3−104185(JP,A) 特開 平3−164241(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 H05K 1/03

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属箔上に、または金属箔上にポリアミ
    ック酸ワニスをあらかじめ直接塗布した基材上に、ポリ
    マー末端をジカルボン酸無水物および/またはモノアミ
    ンで封止したポリイミドを有機溶媒中に溶解含有させた
    熱可塑ポリイミドワニスを直接塗布し、溶媒除去および
    /またはポリアミック酸のイミド化反応を完結させるこ
    とによりオールポリイミド片面フレキシブル金属積層板
    を得、このポリイミド層に、金属箔を、または上記方法
    で得られた別のオールポリイミドフレキシブル片面金属
    積層板の熱可塑ポリイミド層同士を加熱加圧して積層す
    ることを特徴とするフレキシブル両面金属積層板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒中に溶解含有させた熱可塑ポリ
    イミドワニスが、イミド化反応を完結させず、ポリアミ
    ック酸成分が、0.1から50%の範囲で残存する反応
    混合物からなる請求項1に記載のフレキシブル両面金属
    積層板の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑ポリイミド層の2次転移点が16
    0℃以上270℃以下である請求項1に記載のフレキシ
    ブル両面金属積層板の製造方法。
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