JP5668399B2 - 積層体及びプリント配線板用基板 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板用基板の製造に有用な積層体に関し、詳しくは、もう1種の被接着体と熱圧着することにより、カール、ねじれ、反り等を生ずることなく、耐熱性、寸法安定性、接着性、電気的特性等に優れたプリント配線板用基板を与える積層体に関する。
本発明はまた、この積層体を用いたプリント配線板用基板に関する。
近年、電子機器の小型・軽量化、薄型化に伴い、電子機器内に設けられるプリント配線板用基板については更なる高性能化、高密度化が要求され、片面基板から両面基板、さらには多層基板への開発要求が高まっている。
これらのプリント配線板用基板は、通常、絶縁層に接着層を設けた積層体を導体である銅箔等と貼り合わせて製造され、該接着層の接着剤には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)等が使用されている。
また、前記積層体としては、種々の構造の積層体が知られているが、例えば、非熱可塑性ポリイミド(PI)フィルムからなる絶縁層の両面にTPIからなる接着層を設けた積層体の両接着層面に金属箔からなる導体を熱圧着した5層構造の両面プリント配線板用基板(以下、「両面基板」と称す。)が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、この両面基板は、導体と絶縁層との間に接着層が存在するために、耐熱性、難燃性、電気的特性などが低下するという問題があった。また、導体にエッチングを施した際や、基板に何らかの熱処理を施した際の寸法変化率が大きく、その後の工程で支障をきたすという問題があった。
このような問題を解決するために、接着層を介在させることなく導体上に直接PIからなる絶縁層を形成するとともに、絶縁層同士をTPIからなる接着層にて一体化した両面基板が提案されている(例えば特許文献2,3)。
このようなタイプの両面基板は、先ず金属箔からなる導体の片面にPI層、TPI層の順に各ポリイミド層を積層して3層の積層体を製造し、この積層体のTPI層同士を熱圧着して製造される。
特開2001−270034号公報 特開平5−152699号公報 特開2005−329641号公報
前記3層構造の積層体は、例えば両面基板に利用する場合、熱圧着して形成される両面基板の耐熱性、電気的特性、寸法安定性等を確保する観点から、接着層であるTPI層の厚みが出来るだけ薄い方が好ましい。また、TPI層の厚みが厚くなると、積層体がカールしやすくなるため、熱圧着する際に、皺などが入って、操作に支障をきたす場合があり、この観点からもTPI層の厚みは出来るだけ薄い方が好ましいが、一方で、このTPI層の厚みを薄くすると、接着性が低下してしまうという問題があった。
このようなことから、従来技術では接着層であるTPI層の厚みとしては1.5μm程度が限界であり、これ以上TPI層の厚みを薄くすると、形成された両面基板の接着性が低下し、両面基板の導体をエッチング等により回路を形成する工程等ではがれ、ねじれ等が発生し、プリント配線板用基板の製造に支障を来たしてしまうことがあった。
また、プロセス面から接着性を向上させるためには、熱圧着時の温度や圧力を上げたり、圧着時間を長くしたりする必要があったが、このように熱圧着条件を上げると、熱圧着時に材料に皺が発生しやすくなる;接着層に含有されている水分に起因して膨れが発生することがある;といった問題が生じることから、緩和された熱圧着条件で十分な接着強度を実現できる積層体が求められていた。
さらに、熱圧着時の温度を上げると導体を構成する銅箔等の金属箔の表面が酸化しやすくなるという問題もあり、この点からもより緩和された条件で熱圧着できる積層体が求められていた。
本発明は上記課題を解決するものであって、本発明の目的は、TPI層を薄くした場合でも緩和された条件で良好な接着性が確保される積層体と、この積層体を用いたプリント配線板用基板を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、接着層に特定の化学構造を有するTPIを使用した積層体により目的の接着性が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、下記を要旨とするものである。
[1] 金属箔の片面に非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層がこの順で積層された積層体であって、該熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドの末端基が、該熱可塑性ポリイミドの構成ユニットに対して1〜15モル%の割合で1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種で封鎖されており、以下の耐カール特性の評価で測定される曲率半径が50mm以上であり、前記熱可塑性ポリイミド層の厚みが0.1〜1μmであることを特徴とする積層体。
<耐カール特性の評価>
該積層体から縦100mm、横100mmの大きさの試験片を作製し、23℃、60%RHの雰囲気中に24時間放置した後、熱可塑性ポリイミド層面側の曲率半径を測定する
] [1]に記載の積層体を、前記熱可塑性ポリイミド層面を接着面として、他の被接着体に対して熱圧着してなるプリント配線板用基板。
] 前記他の被接着体が[1]に記載の積層体である[]に記載のプリント配線板用基板。
本発明によれば、接着層としてのTPI層を薄くした場合でも優れた接着特性を有する積層体を提供することが出来る。
さらに、この積層体を、もう1種の被接着体と熱圧着することにより、耐熱性、寸法安定性、接着性、電気的特性等に優れたプリント配線板用基板を提供することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
[積層体]
本発明の積層体は、金属箔の片面に、非熱可塑性ポリイミド(PI)層及び熱可塑性ポリイミド(TPI)層がこの順で積層されたものである。
{金属箔}
本発明において、金属箔としては、銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、ニッケル箔等如何なる金属箔も使用することが出来るが、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。これら金属箔の厚みは5〜50μmが好ましく、9〜18μmがより好ましい。また、これらの金属箔の表面は接着性を向上させるための粗面化処理や防錆処理が施されていても良い。
{ポリイミド}
本発明の積層体を構成する非熱可塑性ポリイミド(以下「本発明の非熱可塑性ポリイミド」又は「本発明のPI」と称す場合がある。)もしくは熱可塑性ポリイミド(以下「本発明の熱可塑性ポリイミド」又は「本発明のTPI」と称す場合がある。)のポリイミドとは、下記一般式(1)で示される構造を有するものである。
Figure 0005668399
(ここで、Rは4価の芳香族残基、脂肪族残基、及び脂環族残基から選ばれる残基を表し、Rは2価の芳香族残基、脂肪族残基、脂環族残基から選ばれる残基を表す。nは1以上の整数である。)
即ち、本発明のTPIは、その末端基が、TPI構成ユニットに対して1〜15モル%の割合で1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種で封鎖されているが、ここで、TPIの構成ユニットとは、下記一般式(1a)で示される構造に該当する。
Figure 0005668399
(ここで、R,Rは前記一般式(1)におけると同義である。)
一般式(1),(1a)におけるR,Rの芳香族残基、脂肪族残基、脂環族残基としては、後述のポリイミドの原料酸二無水物及びジアミンから誘導されるものが挙げられる。
本発明の非熱可塑性ポリイミド(PI)とは、400℃未満の温度で熱圧着性を示さないポリイミドを言い、例えばDSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度(Tg)が350℃以上のポリイミドを言う。
本発明の積層体のPI層の厚みとしては1〜50μmが好ましく、5〜25μmがより好ましい。
また、本発明の熱可塑性ポリイミド(TPI)とは400℃未満の温度で熱圧着性を示すポリイミドを言い、例えばDSCによるTgが350℃未満のポリイミドを言うが、本発明のTPIのTgは200〜300℃であることが好ましい。
本発明の積層体で用いられる本発明のTPIは、TPIの末端基が、一般式(1a)で示されるTPI構成ユニットに対し、1〜15モル%、好ましくは6〜10モル%の割合で、1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種により封鎖されていなければならない。以下、TPI構成ユニットに対するTPIの末端基の1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物による封鎖割合を、「末端封鎖率」と称す場合がある。また、1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物を「末端封鎖剤」と称す場合がある。
TPIの末端基が上記の末端封鎖率で1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種により封鎖されることによって、このTPIを接着層として使用した場合、ポリイミドとしての分子量が確保されつつ適度な熱流動性が確保され、緩和された条件での熱圧着が可能とされた上で、高い接着性を得ることができる。
本発明のTPIの末端封鎖率が1モル%未満であると、これを用いた接着層の熱流動性が低下するために、熱圧着時の接着強度が低下する。また、TPI層の熱流動性を上げるために熱圧着時の温度を上げるとTPIの熱分解や金属箔の酸化が起こってしまうおそれがある。また、末端封鎖率が15モル%を超えると、ポリイミドとしての分子量が低下するために接着強度が低下する。
本発明の積層体のTPI層の厚みは0.1〜1μmであることが好ましく、0.4〜0.8μmがさらに好ましい。TPI層の厚みが0.1μm以上であると、この層を接着層として使用したときの接着強度を十分に確保することができ、1μmを超えると接着層の熱収縮が大きくなり、積層体がカールしやすくなる。
{耐カール特性}
本発明の積層体は、上述のように薄いTPI層を形成することによるカールし難さの指標として、下記の耐カール特性の評価で測定される曲率半径が50mm以上であることが好ましく、80mm以上であることがより好ましい。
このような耐カール特性に優れる積層体であれば、これを貼り合わせて良好なプリント配線板用基板を製造することができる。
<耐カール特性の評価>
該積層体から縦100mm、横100mmの大きさの試験片を作製し、23℃、60%RHの雰囲気中に24時間放置した後、熱可塑性ポリイミド層面側の曲率半径を測定する
{製造方法}
本発明の積層体は例えば以下のような方法によって製造することが出来る。
即ち、本発明の積層体は、金属箔の片面にPI前駆体溶液を塗布、乾燥してPI前駆体を形成し、さらにこのPI前駆体層にTPI前駆体溶液を塗布、乾燥してTPI前駆体層を形成し、このPI及びTPI前駆体を熱硬化(イミド化)することにより製造することができる。
<前駆体溶液の調製>
ここでPI前駆体溶液は、原料となる後述の酸二無水物、及びジアミンを溶媒中で反応させて得られるポリアミック酸溶液が好ましく、ポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。このポリアミック酸溶液は部分的にイミド化されていても良い。
このポリアミック酸溶液からなるPI前駆体溶液は実質的に等当量の酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて製造することが出来る。
また、TPI前駆体溶液は、原料となる後述の酸二無水物、ジアミン、及び末端基封鎖剤を溶媒中で反応させて得られるポリアミック酸溶液が好ましく、ポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。このポリアミック酸溶液は部分的にイミド化されていても良い。
このポリアミック酸溶液からなるTPI前駆体溶液は、酸無水物(酸二無水物と末端封鎖剤としての1官能性酸無水物との合計)とジアミンとが実質的に等当量となるように溶媒中で反応させて製造することが出来る。また、このTPI前駆体溶液は、酸二無水物とアミン(ジアミンと末端封鎖剤としての1官能性アミンとの合計)とが実質的に等当量となるように、溶媒中で反応させて製造することも出来る。さらに、このTPI前駆体溶液は、酸無水物(酸二無水物と末端封鎖剤としての1官能性酸無水物との合計)とアミン(ジアミンと1官能性アミンの合計)とが実質的に等当量となるように、溶媒中で反応させて製造することも出来る。
<酸二無水物>
ポリイミド原料としての酸二無水物の具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’
,4,4’−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’ ,4,4’−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1、1、2、2、3、3−ヘキサフルオロ−1、3−トリメチレン−4、4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1、4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’
,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2、2’、5、5’、6、6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’、6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
<ジアミン>
ポリイミド原料としてのジアミンの具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−メチルベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−エチルベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)−5−sec−ブチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)−4−メチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)−4−tert−ブチルフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−3−n−ブチルベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、上記ジアミンの類似物。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
<1官能性酸無水物>
末端封鎖剤としての1官能性酸無水物の具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカロボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
<1官能性アミン>
末端封鎖剤としての1官能性アミンの具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン,m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ニトロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アニリジン、m−アニリジン、p−アニリジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェノールフェニルエーテル、3−アミノフェノールフェニルエーテル、4−アミノフェノールフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェノールフェニルスルフィド、3−アミノフェノールフェニルスルフィド、4−アミノフェノールフェニルスルフィド、2−アミノフェノールフェニルスルホン、3−アミノフェノールフェニルスルホン、4−アミノフェノールフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
<好適原料>
ここで、前記PI前駆体を製造するための好ましい酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物もしくはピロメリット酸二無水物が挙げられ、好ましいジアミンとしてはp−フェニレンジアミンもしくは4,4’−オキシジアニリン挙げられる。これらの好ましい酸二無水物、ジアミンはそれぞれ単独もしくは混合して用いることが出来る。
また前記TPI前駆体を製造するための好ましい酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、及びエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましいジアミンとしては3,4’−オキシジアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及びジェファーミン(ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン)から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの好ましい酸二無水物、ジアミンはそれぞれ単独もしくは混合して用いることが出来る。特に、TPI前駆体の原料ジアミンとしては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンの単独物が好ましい。
また、TPI前駆体を製造するための1官能性酸無水物としては、無水フタル酸が、1官能性アミンとしてはアニリンが好ましく用いられる。
<溶媒>
前記ポリアミック酸溶液を製造するための溶媒の具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、フェノール、クレゾール、クロロフェノール、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
ここで好ましい溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンの単体もしくは混合物が挙げられる。
<反応条件等>
本発明において、前記ポリイミド原料を溶媒中で反応させる際の、反応温度は、−30〜60℃が好ましく、−20〜40℃がより好ましい。
また、この反応において、前記ポリイミド原料及び溶媒の添加順序は特に制限はなく、いかなる順序でもよい。
また、前記ポリイミド前駆体溶液は2種以上を混合して用いることもできる。
また、これらのポリイミド樹脂前駆体の溶液には、上記溶媒に可溶なポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等、他の耐熱性樹脂を混合してもよい。
さらに、接着性(密着性)向上やフィルム物性を向上させるため、シランカップリン剤や各種界面活性剤を微量添加することもできる。
<前駆体溶液の塗布・乾燥・熱硬化>
前記の如くして得られたPI前駆体溶液を金属箔上に塗布、乾燥してPI前駆体層を形成し、さらにこのPI前駆体層の表面にTPI前駆体溶液を塗布、乾燥してTPI前駆体層を形成させる。しかる後、PI前駆体およびTPI前駆体を熱硬化してイミド化することにより、本発明の積層体を製造することが出来る。
これらのポリイミド前駆体溶液は、複数回に分けて塗布してもよい。また、2種類以上のポリイミド前駆体溶液を用いて2層以上のポリイミド前駆体からなる層としてもよい。
ポリイミド前駆体溶液を金属箔へ塗布するに際しては、ロールツーロールにより連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法を採用することが出来、いずれの方法でも良い。
ポリイミド前駆体溶液の塗布に用いられる塗布装置としては、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等が挙げられる。
上記乾燥温度は80℃以上であって、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
また、熱イミド化の為の加熱温度は150℃〜500℃が好ましい。
熱イミド化する際の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、空気雰囲気や真空中で行うこともできる。
[プリント配線板用基板]
本発明の積層体は、そのTPI層を接着層として利用することにより、他の基板用材料等の被接着体と複合化してプリント配線板用基板等の積層板を製造することができる。
例えば、本発明の積層体のTPI層同士を熱圧着することにより接着強度として7N/cm以上の良好な接着特性を有する両面基板とすることが出来る。
また、本発明の積層体の間にガラス織物に耐熱性樹脂を含浸したようなプリプレグやPIフィルムの両面に接着層としてTPI層を設けた積層フィルムを挟んで熱圧着することにより両面基板とすることも可能である。
さらに、本発明の積層体を多層プリント配線板用基板の表層部に使用し、多層プリント配線板用基板とすることも可能である。
本発明の積層体を熱圧着するに際しては、ロールツーロールにより連続的にプレスする方法、枚様でバッチプレスする方法を採用することができ、いずれの方法でも良い。
熱圧着する際の温度条件としては、300〜400℃が好ましく、320〜360℃がより好ましい。
また、圧力としては、バッチプレスの場合、20〜80kg/cmが好ましい。連続プレスの場合は50〜150kg/cmが好ましい。
なお、熱圧着する際の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、空気雰囲気や真空中で行うこともできる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例における、各種特性の評価方法及び用いたポリイミド前駆体溶液の合成方法は、次の通りである。
[評価方法]
(1)耐カール特性の評価
得られた積層体から縦100mm、横100mmの大きさの試験片を作製し、23℃、60%RHの雰囲気中に24時間放置した後、TPI面の曲率半径を測定し、以下の基準で評価した。
◎:曲率半径80mm以上
○:曲率半径50mm以上80mm未満
△:曲率半径20mm以上50mm未満
×:曲率半径20mm未満
(2)接着強度の評価
積層体におけるTPI層同士の接着力を、テンシロンテスター(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用いて測定した。
測定に際しては、得られた両面基板を幅10mm、長さ100mmに切断して試験片を作製し、粘着剤が両面に塗布された両面粘着テープを用いて、試験片の一方の金属箔面をアルミニウム板に固定した。そして、アルミニウム板に固定されていない側の金属箔の側の絶縁層のPI層を180°方向に50mm/分間の速度で引っ張り、他方の絶縁層から剥離して接着強度(剥離強度)を求め、以下の基準で評価した。
○:接着強度7N/cm以上
×:接着強度7N/cm未満
[ポリイミド前駆体溶液の合成方法]
以下の説明において使用した略語は、以下のとおりである。
<ポリイミド原料>
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
TMEG:エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)
PA:無水フタル酸
4,4’ODA:4,4’−オキシジアニリン
PDA:p−フェニレンジアミン
3,4’ODA:3,4’−オキシジアニリン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
<PI前駆体溶液の合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、4,4’ODA30.03g(0.15mol)、PDA91.92g(0.85mol)、及びNMP3329gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA294.22g(1.00mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度11.1質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。
前記PI前駆体溶液を清浄なガラス基板上に熱硬化後の被膜の厚みが10μmになるようにバーコータによって塗布し、130℃で10分間乾燥した。次いで、窒素雰囲気下100℃から400℃まで2時間かけて昇温した後、400℃で2時間熱処理し、PI前駆体を熱硬化させてイミド化した後ガラス基板から剥離してPIフィルムを得た。このPIフィルムは400℃以下の温度で熱可塑性を示さず、非熱可塑性ポリイミド(PI)であることが確認された。
<TPI前駆体溶液aの合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、3,4’ODA200.24g(1.00mol)とNMP1529gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、ODPA294.72g(0.95mol)とPA14.81g(0.10mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度25.0質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。これをTPI前駆体溶液aとする。このTPI前駆体溶液aの末端封鎖率は10モル%である。
<TPI前駆体溶液bの合成>
ODPAを300.92g(0.97mol)、PAを8.89g(0.06mol)としたこと以外はTPI前駆体溶液aの合成と同様にしてポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。これをTPI前駆体溶液bとする。このTPI前駆体溶液bの末端封鎖率は6モル%である。
<TPI前駆体溶液cの合成>
ODPAを285.41g(0.92mol)、PAを23.70g(0.16mol)としたこと以外はTPI前駆体溶液aの合成と同様にしてポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。これをTPI前駆体溶液cとする。このTPI前駆体溶液cの末端封鎖率は16モル%である。
<TPI前駆体溶液dの合成例>
酸無水物成分をODPA310.23g(1.00mol)のみとしてPAを用いなかったこと以外はTPI前駆体溶液aの合成と同様にしてポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。これをTPI前駆体溶液dとする。このTPI前駆体溶液dの末端封鎖率は0モル%である。
<TPI前駆体溶液eの合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、BAPP410.52g(1.00mol)とNMP2657gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA265.53g(0.9025mol)、TMEG194.89g(0.475mol)、及びPA14.81g(0.10mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度25.0質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。これをTPI前駆体溶液eとする。このTPI前駆体溶液eの末端封鎖率は10モル%である。
前記PIフィルムの作成と同様に、TPI前駆体溶液aを清浄なガラス基板上に熱硬化後の被膜の厚みが10μmになるようにバーコータによって塗布し、130℃で10分間乾燥した。次いで、窒素雰囲気下100℃から360℃まで2時間かけて昇温した後、360℃で2時間熱処理し、TPI前駆体を熱硬化させてイミド化した後ガラス基板から剥離してTPIフィルムを得た。このフィルムは400℃以下の温度で熱可塑性を示し、熱可塑性樹脂であることが確認された。
DSCで測定したこのTPIフィルムのTgは225℃であった。また、これと同様にしてTPI前駆体溶液eからTPIフィルムを得た。このフィルムも400℃以下の温度で熱可塑性を示し、DSCで測定したこのポリイミドフィルムのTgは229℃であった。
[実施例1〜8、比較例1〜4]
厚み12μmの電解銅箔(古河電気工業製 F2−WS)上に、前記PI前駆体溶液を熱硬化後の被膜の厚みが11μmになるようにコンマコータを用いて均一に流延塗布し、120℃で3分間連続的に乾燥した。次いで、塗布面にTPI前駆体溶液a〜eのいずれかを熱イミド化後の被膜が所定の厚みになるようにグラビアコータを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥し、銅箔にPI及びTPI前駆体が積層されたロール状積層体を得た。なお、TPI前駆体溶液a〜eは、NMPでポリアミック酸濃度10.0質量%に希釈して用いた。
次に、このロール状の積層体を連続的に窒素ガス雰囲気下で100℃から360℃まで4分かけて昇温した後、360℃で4分熱処理し、ポリアミック酸を熱硬化させてイミド化し、銅箔/PI層/TPI層の3層からなる12種類のロール状積層体(A−1〜3、B−1〜3、E−1〜2、C−1〜2、D−1〜2)を得た。
各積層体のTPI層厚みと耐カール特性の評価結果を表1に示す。
Figure 0005668399
実施例1〜8及び比較例1〜4の結果から、TPI層厚みが薄くなるほど耐カール特性が向上することが分かる。
[実施例9〜17、比較例5〜8]
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた2つのロール状積層体をTPI層同士が向かい合うように、熱間ロール圧合機にて340℃、120kg/cm、ライン速度1.5m/minの条件で連続的に熱圧着することにより接着一体化し、両面基板R−1〜12を得た。
これらの両面基板の外観と接着強度の評価結果を表2に示す。
Figure 0005668399
実施例9〜17及び比較例5〜8の結果から、本発明の積層体はTPI層の厚みを薄くしても、良好な接着性が確保されているのに対し、比較例の積層体は厚みを薄くした場合、接着性が損なわれることがわかる。
また、比較例の積層体では、TPI層の厚みを厚くすると、接着性が確保できる場合もあるが、そのようにすると積層体がカールしてしまうため、結果として両面基板に皺が入ってしまい、外観が損なわれることがわかる。

Claims (3)

  1. 金属箔の片面に非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層がこの順で積層された積層体であって、
    該熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドの末端基が、該熱可塑性ポリイミドの構成ユニットに対して1〜15モル%の割合で1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種で封鎖されており、
    以下の耐カール特性の評価で測定される曲率半径が50mm以上であり、前記熱可塑性ポリイミド層の厚みが0.1〜1μmであることを特徴とする積層体。
    <耐カール特性の評価>
    該積層体から縦100mm、横100mmの大きさの試験片を作製し、23℃、60%RHの雰囲気中に24時間放置した後、熱可塑性ポリイミド層面側の曲率半径を測定する
  2. 請求項1に記載の積層体を、前記熱可塑性ポリイミド層面を接着面として、他の被接着体に対して熱圧着してなるプリント配線板用基板。
  3. 前記他の被接着体が請求項1に記載の積層体である請求項に記載のプリント配線板用基板。
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