JP5556416B2 - ポリイミドボード、金属積層ポリイミドボード、およびプリント配線板 - Google Patents

ポリイミドボード、金属積層ポリイミドボード、およびプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、寸法安定性、接着性に優れ、厚さ方向に微細な貫通孔を有するポリイミドボードに関するものであり、さらに詳しくは、前記貫通孔の壁面に金属層を積層した際、冷熱衝撃サイクル試験後においても金属層の剥離が生じないポリイミドボードに関するものである。
ポリイミドフィルムは、−269℃〜300℃までの広い温度範囲での物性変化が極めて少ないために、電気・電子分野での応用、用途が拡大している。電気分野では、例えば車両用モーターや産業用モーター等のコイル絶縁、航空機電線および超導電線の絶縁等に使用されている。一方、電子分野では、例えばフレキシブルプリント基板や、半導体実装用フィルムキャリヤーのベースフィルム等に利用されている。このようにポリイミドフィルムは、種々の機能性ポリマーフィルムの中でも極めて信頼性の高いものとして、電気・電子分野で広く利用されている。
ポリイミドフィルムは、主として流延による溶液製膜で製造されており、その製法上厚いフィルムを作ることは困難であったり、またはその生産性が極度に劣ったりしていた。
その改善手法として、ガラス転移点が比較的低い熱可塑性ポリイミドフィルム同士を、接着剤を介さずに直接加熱圧着したポリイミドボードが提案されている。このポリイミドボードは、電気・電子分野、例えば多層プリント配線板のコア材として用いる際に要求される耐熱性、寸法安定性、接着性、孔あけ加工性、耐マイグレーション性、耐冷熱衝撃サイクル性を満足するものではなかった。さらに、厚みを大きくしようとすると、ますます接着性が低下し、しかも反りが大きくなるという問題点も指摘されている。(特許文献1参照)
この問題を解決するため、複数枚の非熱可塑性ポリイミドフィルムをアクリル樹脂系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤で積層したポリイミドボードが提案されている。このポリイミドボードは、接着性は十分であるものの、耐熱性が著しく低下するため実用的ではなかった。さらに、寸法安定性も十分とは言えなかった。
また、複数枚の非熱可塑性ポリイミドフィルムをポリイミドシロキサンとエポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、あるいはアクリレート樹脂の少なくとも1種からなる熱可塑性接着剤で積層したポリイミドボードが提案されている。このポリイミドボードは、接着性、耐熱性は十分であるものの、寸法安定性を満足するものではなかった。(特許文献2参照)
また、2枚以上の熱圧着性多層ポリイミドフィルム(表層:熱可塑性ポリイミド、基体層:非熱可塑性ポリイミド)を加熱圧着したポリイミドボードが提案されている。このポリイミドボードも同様に、寸法安定性を満足するものではなかった。(特許文献3参照)
これらの改良として、プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ね、接着剤を介さずに直接加熱圧着したポリイミドボードが提案されている。このポリイミドボードは、層間の接着材を介さないため、耐熱性、寸法安定性、接着性は十分であるものの、例えば、厚さ方向に貫通孔をあけ、その壁面に銅メッキを施した際に、ポリイミドボードの厚さ方向での線膨張係数と、銅の線膨張係数(16ppm/℃)の乖離が大きいため、使用中に剥離が生じる恐れがあった。(特許文献4参照)
特公平5−59815号公報 特許第4168562号公報 特許第4123665号公報 特開2002−234126号公報
本発明は、耐熱性、寸法安定性、接着性に優れ、厚さ方向に微細な貫通孔を有し、前記貫通孔の壁面に金属層を積層した際、冷熱衝撃サイクル試験後においても金属層の剥離が生じないポリイミドボードを提供することをその課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.複数枚の(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムが、(B)熱可塑性樹脂を介して交互に積層され、かつ厚さ方向に直径が10μm〜200μmの貫通孔を有するポリイミドボードにおいて、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜15ppm/℃、厚さが50μm〜3000μm、かつ前記(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比{(A)層を貫通する孔の直径(平均値)/(B)層を貫通する孔の直径(平均値)}が75%〜99%であるポリイミドボード。
2.(A)層と(B)層の5%重量減少温度の差{(A)層の5%重量減少温度−(B)層の5%重量減少温度}が5℃〜100℃である1.のポリイミドボード。
3.(A)層の全体に対する厚さ比[(A)層の合計厚さ/{(A)層の合計厚さ+(B)層の合計厚さ}]が40%〜98%である1.または2.のポリイミドボード。
4.(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムが、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られたポリイミドフィルムであり、面方向での線膨張係数が−10ppm/℃〜10ppm/℃、かつ厚さが5μm〜75μmである1.〜3.いずれかのポリイミドボード。
5.(B)熱可塑性樹脂が、ポリアリールケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドからなる群より選ばれた一種以上の樹脂であり、厚さが0.1μm〜50μmである1.〜4.いずれかのポリイミドボード。
6.(A)(B)層間の剥離強度が3N/cm以上である1.〜5.いずれかのポリイミドボード。
7.レーザーにより貫通孔が形成されてなることを特徴とする1.〜6.いずれかのポリイミドボード。
8.ドリルにより貫通孔が形成されてなることを特徴とする1.〜6.いずれかのポリイミドボード。
9.1.〜8.いずれかのポリイミドボードに金属層を積層した、金属積層ポリイミドボード。
10.金属が、銅または銅を主成分とする金属である9.の金属積層ポリイミドボード。
11.1.〜8.いずれかのポリイミドボード、または9.〜10.いずれかの金属積層ポリイミドボードを用いたプリント配線板。
12.1.〜8.いずれかのポリイミドボード、9.〜10.いずれかの金属積層ポリイミドボード、または11.のプリント配線板をコア材として用いた多層プリント配線板。
後述の実施例等の結果からも明らかなように、以上の手段により、従来のポリイミドボードでは不可能であった、耐熱性、寸法安定性、接着性に優れ、さらには厚さ方向に貫通孔をあけ、その壁面に金属層を積層した際、冷熱衝撃サイクル試験後においても金属層の剥離が生じないポリイミドボードを得ることができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明で用いる(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムは、例えば、芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)と芳香族ジアミン類(アミン、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を流延、乾燥、熱処理(イミド化)して得られるポリイミドフィルムである。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、(1)ポリマー鎖中の繰り返し単位中のイミド単位の濃度が高い、および(2)平面状の芳香族イミド基が直線的または平面的に配列し剛直分子鎖を形成する、ことにより、分子が強い会合状態にあるため、明確な融点およびガラス転移温度を示さないものを意味する。
前記ポリイミドは、特に限定されるものではないが、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との組み合わせ。
B.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.ジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
中でもA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイミドフィルムが好ましい。
前記のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。これらのジアミンは全ジアミンの70モル%〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは80モル%〜100モル%である。
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
さらに、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記の芳香族テトラカルボン酸無水物類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には、以下のものが挙げられる。これらの酸無水物は全酸無水物の70モル%〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは80モル%〜100モル%である。
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記の芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5重量%〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは10重量%〜30重量%である。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0℃〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、10Pa・s〜2000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは100Pa・s〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり0.001モル〜1.0モルであることが好ましい。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸を乾燥してグリーンシートを得る条件は特に限定はなく、温度としては70℃〜150℃が例示され、乾燥時間としては、5分〜180分が例示される。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱等を挙げることができる。次いで、得られたグリーンシートから目的のポリイミドフィルムを得るために、イミド化反応を行わせる。その具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、必要により延伸処理を施した後に、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)が挙げられる。この場合の加熱温度は100℃〜500℃が例示され、フィルム物性の点から、より好ましくは、150℃〜250℃で3分〜20分処理した後に350℃〜500℃で3分〜20分処理する2段階熱処理が挙げられる。
別のイミド化反応の例として、ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることもできる。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100℃〜200℃による3分〜20分の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200℃〜400℃による3分〜20分の熱処理である。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さは、5μm〜75μmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜75μm、さらに好ましくは20μm〜75μmである。膜厚が75μmより厚いと、製膜・乾燥工程において、フィルム表面と内部の残存溶媒量にバラツキが生じ、品位、および物性が低下する恐れがある。一方、膜厚が5μmより薄いと、ハンドリングが困難である。また、本発明の厚さが100μm〜1000μmのポリイミドボードを得るために、多くの枚数を積層する必要が有り、工程が煩雑化する恐れがある。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数(MD方向での値と、TD方向での値の平均値)は、−10ppm/℃〜10ppm/℃であることが好ましく、より好ましくは−7.5ppm/℃〜7.5ppm/℃、さらに好ましくは−5ppm/℃〜5ppm/℃である。線膨張係数がこの範囲を超えると、半田付け等の高温暴露において寸法が膨張または収縮するため、歪みや皺が発生する恐れがある。
MD方向での線膨張係数と、TD方向での線膨張係数の差は、なるべく小さいことが好ましい。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さ方向での線膨張係数は、特に限定されないが、10ppm/℃〜200ppm/℃であることが好ましく、より好ましくは15ppm/℃〜175ppm/℃、さらに好ましくは20ppm/℃〜150ppm/℃である。厚さ方向の線膨張係数が大き過ぎると、プリント配線板加工した際に、導電層間の接続信頼性が低下する場合がある。
本来、厚さ方向での線膨張係数と面方向での線膨張係数の差は、なるべく小さいことが好ましいが、非熱可塑性ポリイミドフィルムは、面方向に配向しているため、厚さ方向での線膨張係数は一般的に大きくなる。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの5%重量減少温度は、特に限定されず、前記組成の非熱可塑性ポリイミドを用いれば、一般的に550℃〜650℃の値を取ることが知られている。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの引張破断強度(MD方向での値と、TD方向での値の平均値)は、特に限定されないが、200MPa以上であることが好ましく、より好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは400MPa以上である。引張破断強度が200MPaより低いと、搬送中にフィルム破断が起こりやすくなり、歩留まりが低下する恐れがある。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの引張破断伸度(MD方向での値と、TD方向での値の平均値)も、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。引張破断伸度が10%より低いと、搬送中にフィルム破断が起こりやすくなり、歩留まりが低下する恐れがある。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの引張弾性率(MD方向での値と、TD方向での値の平均値)も、特に限定されないが、6.0GPa以上であることが好ましく、より好ましくは6.5GPa以上、さらに好ましくは7.0GPa以上である。引張弾性率が6.0GPaより低いと、必然的に本発明のポリイミドボードの引張弾性率も低くなるため、例えば多層プリント配線板のコア材として用いる際には、補強効果が十分でなくなる恐れがある。
MD方向での引張破断強度、引張破断伸度、および引張弾性率と、TD方向での引張破断強度、引張破断伸度、および引張弾性率の差は、なるべく小さいことが好ましい。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムには、接着性を向上させるために必要に応じてカップリング剤(アミノシラン、エポキシシラン等)による処理、サンドブラスト処理、ウェットブラスト処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、イオンガン処理、エッチング処理、フレーム処理等に供してもよい。中でも大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理が好ましく、より好ましくは真空プラズマ処理である。これらの処理は単独で行ってもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムのプラズマ処理は、内部電極型低温プラズマ発生装置中で、電極間に少なくとも1,000ボルト以上の放電電圧を与えてグロー放電を行い、ポリイミドフィルム表面を低温プラズマ雰囲気と接触させる方法が好ましい。低温プラズマ処理のためのプラズマ用ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、酸素、空気、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、水蒸気、水素、亜硫酸ガス、シアン化水素等が例示され、これらは単独または二種以上のものを混合して使用することができる。中でも、含酸素無機ガスの使用が好ましく、より好ましくは二酸化炭素と水蒸気である。装置内におけるガス雰囲気の圧力は0.001トール〜10トールの範囲が好ましく、より好ましくは0.1トール〜1.0トールである。このようなガス圧力下で放電電極間に例えば、周波数10KHz〜2GHzの高周波で、10W〜100KWの電力を与えることにより安定なグロー放電を行わせることができ、放電周波数帯域は、高周波以外に低周波、マイクロ波、直流等を用いることができる。低温プラズマ発生装置としては、内部電極型であることが好ましいが、場合によって外部電極型であってもよいし、またコイル炉等の容量結合、誘導結合のいずれであってもよい。電極の形状については特に限定されるものではなく、それらは平板状、リング状、棒状、シリンダー状等種々可能であり、さらには処理装置の金属内壁を一方の電極としてアースした形状のものであってもよい。電極間に1,000ボルト以上の電圧を印加し、安定な低温プラズマ状態を維持するには、入力電極にかなりの耐電圧を持った絶縁被覆を施す必要がある。このようにしてポリイミドフィルムをプラズマ表面処理する場合、そのプラズマ処理するフィルム面は、片面でもよいが、その両面をプラズマ表面処理するのが好ましい。
本発明で用いる(B)熱可塑性樹脂は、例えば、ポリアリールケトン{ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)等}、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、フッ素樹脂{テトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエテレン・エチレン共重合体(ECTFE)等}、スルホン系樹脂{ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルフォン(PSU)、ポリエーテルスルフォン(PES)等}、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。
中でも、非熱可塑性ポリイミドフィルムとの高い接着性を有する、ポリアリールケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドが好ましく、より好ましくは熱可塑性ポリイミドである。また、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記(B)熱可塑性樹脂の厚さは、0.1μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜50μm、さらに好ましくは1μm〜50μmである。膜厚が50μmより厚いと、一般的に非熱可塑性ポリイミドフィルムより、面方向での線膨張係数が大きい、熱可塑性樹脂の厚さ比が増加するため、本発明のポリイミドボードの面方向での線膨張係数が大きくなる恐れや、反りが発生する恐れがある。一方、膜厚が0.1μmより薄いと、十分な接着性が得られない恐れがある。
前記(B)熱可塑性樹脂が非晶性高分子である場合のガラス転移温度は、特に限定されないが、200℃〜450℃であることが好ましく、より好ましくは225℃〜450℃、さらに好ましくは250℃〜450℃である。ガラス転移温度が200℃より低いと、半田付け等の高温暴露において熱可塑性樹脂が軟化するため、位置ズレや剥離が発生する恐れがある。一方、ガラス転移温度が450℃より高いと、加熱圧着には450℃〜500℃の加工温度が必要となり、非熱可塑性ポリイミドが熱分解する恐れがある。
前記(B)熱可塑性樹脂が結晶性高分子である場合の融点は、特に限定されないが、250℃〜450℃であることが好ましく、より好ましくは275℃〜450℃、さらに好ましくは300℃〜450℃である。融点が250℃より低いと、半田付け等の高温暴露において熱可塑性樹脂が流動するため、位置ズレや剥離が発生する恐れがある。一方、融点が450℃より高いと、加熱圧着には450℃〜500℃の加工温度が必要となり、非熱可塑性ポリイミドが熱分解する恐れがある。
前記(B)熱可塑性樹脂の5%重量減少温度は、400℃〜600℃であることが好ましく、より好ましくは450℃〜650℃、さらに好ましくは500℃〜600℃である。5%重量減少温度が400℃より低いと、本発明のポリイミドボードの耐熱性が著しく低下するため実用的ではない。一方、5%重量減少温度が600℃以上で、かつ熱可塑性、接着性を有する樹脂の製造は、現実的に困難である。
前記(B)熱可塑性樹脂には、必要に応じてカップリング剤(アミノシラン、エポキシシラン等)による処理、サンドブラスト処理、ウェットブラスト処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、イオンガン処理、エッチング処理、フレーム処理等に供してもよい。中でも大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理が好ましく、より好ましくは真空プラズマ処理である。これらの処理は単独で行ってもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムを(B)熱可塑性樹脂を介して交互に積層する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(B)熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリイミド樹脂の場合は、以下のような方法が考えられる。
・(A)のポリアミド酸溶液、(B)のポリアミド酸溶液を共押し出しすることで得られる(A)(B)多層ポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)を共にイミド化し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリアミド酸溶液、(B)のポリイミド溶液を共押し出しすることで得られる(A)(B)多層ポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)をイミド化し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリイミドフィルム表面に、(B)のポリアミド酸溶液を流延し、乾燥後イミド化し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリイミドフィルム表面に、(B)のポリイミド溶液を流延し、乾燥し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリアミド酸フィルム表面に、(B)のポリアミド酸溶液を流延し、共に乾燥後イミド化し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリアミド酸フィルム表面に、(B)のポリイミド溶液を流延し、乾燥後イミド化し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリイミドフィルム、(B)のポリイミドフィルムを加熱圧着する方法
中でも、得られるポリイミドボードの物性、品位、コストの観点から
・(A)のポリイミドフィルム表面に、(B)のポリアミド酸溶液を流延し、乾燥後イミド化し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリイミドフィルム表面に、(B)のポリイミド溶液を流延し、乾燥し、その後加熱圧着する方法
・(A)のポリイミドフィルム、(B)のポリイミドフィルムを加熱圧着する方法
が好ましい。
これらの手段を単独で、あるいは組み合わせることによって、本発明のポリイミドボードを得ることができる。
(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムを(B)熱可塑性樹脂を介して交互に積層する際に用いる加熱圧着装置も、被積層材料を加熱して圧力を加えてラミネートする装置であれば特に限定されるものではなく、例えば、単動プレス装置、多段プレス装置、単動真空プレス装置、多段真空プレス装置、オートクレーブ装置、熱ロールラミネート機、ダブルベルトプレス機などが挙げられる。中でも、得られる積層体に気泡等の欠点が生じにくい点から単動真空プレス装置、多段真空プレス装置が好ましい。また面内の圧力むらの軽減のために、鏡面板、クッション板等をポリイミドボードの上下または内部に用いても差し支えない。
前記装置における加熱方法についても、所定の温度で加熱することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、熱媒循環方式、熱風加熱方式、誘電加熱方式等が挙げられる。また、加圧方式についても、所定の圧力を加えることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等が挙げられる。
熱圧着条件は、用いる熱可塑性樹脂の種類により、任意の条件が選択可能ではあるが、雰囲気温度250℃の半田リフロー炉を通過する用途に供される場合には、それに応じたガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂を使用するため、加熱温度は250℃〜500℃、圧力は1MPa〜20MPa、加熱時間は5分〜120分、が好ましい。
本発明のポリイミドボードの厚さは、50μm〜3000μmが好ましく、より好ましくは75μm〜2000μm、さらに好ましくは100μm〜1000μmである。本発明の方法で膜厚が3000μmより厚いポリイミドボードを製造するのは、コスト面で現実的ではない。一方、膜厚が50μmより薄いと、従来からある一般的な溶液製膜で非熱可塑性ポリイミドフィルムが製膜できるため、本発明のポリイミドボードを用いる効果は少ない。
前記ポリイミドボードにおける(A)層の全体に対する厚さ比[(A)層の合計厚さ/{(A)層の合計厚さ+(B)層の合計厚さ}]は、40%〜98%が好ましく、より好ましくは50%〜95%、さらに好ましくは55%〜90%である。厚さ比が40%より小さいと、一般的に(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムより、面方向での線膨張係数が大きい(B)熱可塑性樹脂の体積比率が増加するため、本発明のポリイミドボードの面方向での線膨張係数が大きくなる恐れや、反りが発生する恐れがある。一方、厚さ比が98%より大きいと、必然的に(B)熱可塑性樹脂の膜厚が薄くなるため、十分な接着性が得られない恐れがある。
前記ポリイミドボードの面方向での線膨張係数(MD方向での値と、TD方向での値の平均値)は、−5ppm/℃〜15ppm/℃であることが好ましく、より好ましくは−2.5ppm/℃〜12.5ppm/℃、さらに好ましくは0ppm/℃〜10ppm/℃である。線膨張係数がこの範囲を超えると、半田付け等の高温暴露において寸法が膨張または収縮するため、歪みや皺が発生する恐れがある。
MD方向での線膨張係数と、TD方向での線膨張係数の差は、なるべく小さいことが好ましい。
前記ポリイミドボードの厚さ方向での線膨張係数は、特に限定されないが、10ppm/℃〜300ppm/℃であることが好ましく、より好ましくは15ppm/℃〜250ppm/℃、さらに好ましくは20ppm/℃〜200ppm/℃である。
本来、厚さ方向での線膨張係数と面方向での線膨張係数の差は、なるべく小さいことが好ましいが、非熱可塑性ポリイミドフィルムは、面方向に配向しているため、厚さ方向での線膨張係数は一般的に大きくなる。そのため、非熱可塑性ポリイミドフィルムを積層してなる本発明のポリイミドボードも、必然的に厚さ方向での線膨張係数>面方向での線膨張係数となる。
前記ポリイミドボードにおける(A)(B)層間の剥離強度は、3N/cm以上であることが好ましく、より好ましくは4N/cm、さらに好ましくは5N/cm以上である。
剥離強度が3N/cmより小さいと、製造プロセス時(特に、ドリルやレーザーによる孔あけ加工時)や、使用時に剥離が発生する恐れがある。
本発明のポリイミドボードは、前記物性の他に、厚さ方向に貫通孔を有することが必要である。
前記貫通孔の直径は、10μm〜200μmであることが好ましく、より好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは30μm〜100μmである。直径が10μmより小さいと、レーザーおよびドリルでの孔あけ加工が困難となる。一方、直径が200μmより大きいと、多層基板に使用される際の性能(設計ルール)を満足しない。
なお、ここで言う貫通孔の直径は、貫通孔によりポリイミドボードの表面に形成される空隙(円形)の直径と、ポリイミドボードの裏面に形成される空隙(円形)の直径の平均値である。
前記貫通孔の内壁には、スルーホールメッキに対する接着性向上のため、マクロな凹凸(竹状の構造体)を形成することが必要である。
前記(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比{(A)層を貫通する孔の直径(平均値)/(B)層を貫通する孔の直径(平均値)}は、75%〜99%であることが好ましく、より好ましくは80%〜99%、さらに好ましくは85%〜99%である。直径比が前記の範囲内であれば、ポリイミドボードの厚さ方向の線膨張係数と、貫通孔の内壁に金属層を形成した際の金属層の線膨張係数との間に不整合が生じた場合でも、貫通孔の内壁に形成されたマクロな凹凸(竹状の構造体)によるアンカー効果により、冷熱衝撃サイクル試験後においても、剥離,亀裂が生じない。直径比が75%より小さいと、多層基板作製時に、スルーホール間で短絡が生じ、基板加工ができない。一方、直径比が99%より大きいと、前記貫通孔の内壁に明確な凹凸が形成されず、アンカー効果による接着性向上効果が期待できない。
前記ポリイミドボードにおける(A)層と(B)層の5%重量減少温度の差{(A)層の5%重量減少温度−(B)層の5%重量減少温度}は、5℃〜100℃であることが好ましく、より好ましくは5℃〜90℃、さらに好ましくは5℃〜80℃である。5%重量減少温度の差が5℃より小さいと、前記貫通孔の内壁に明確な凹凸が形成されず、アンカー効果による接着性向上効果が期待できない。一方、100℃より大きいと、基板として必要な耐熱性を保有しておらず、リフロープロセスに適さない。
前記貫通孔の形成法は、特に限定されるものではなく、プラズマエッチングなどの放電処理、アルカリエッチングなどの薬液処理、ブラストまたはレーザーなどの物理処理、ドリルなどの機械加工などが挙げられる。中でも、微細孔加工に適している点から、ドリル加工やレーザー加工が好ましく、微細加工性と加工コストを両立する点から、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、エキシマーレーザーがより好ましい。
前記貫通孔の孔表面および内壁には、バリやスミアなどの変質層がないものが好ましい。レーザーまたはドリル加工後の貫通孔の表面および内壁には、バリや変質層が生成するが、これは一般的なデスミアプロセスで取り除くことが可能である。デスミアプロセスは、特に限定されるものではなく、プラズマエッチングなどの放電処理、アルカリエッチングなどの薬液処理、ブラストなどの物理処理が挙げられる。これらのプロセスを行うことで、バリやスミアは完全に除去することが可能となる。
前記貫通孔のテーパーとは、前記ポリイミドボードの{(表面孔直径―裏面孔直径)/ポリイミドボードの厚さ}である。テーパーは、多層基板に使用する際には信頼性の観点から、小さい方が好ましい。ただし、使用目的に応じて制御することが一般的であり、その程度は特に限定されない。
本発明で用いる金属は、導電性である金属であれば特に限定されないが、例えば銀、銅、金、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロム、亜鉛、錫、黄銅、白銅、青銅、モネル、モリブデン、タングステン、錫鉛系半田、錫銅系半田、錫銀系半田、等の単独、またはそれらの合金が用いられる。中でも、銅を用いるのが性能と経済性のバランスにおいて好ましい実施態様である。これらの金属は、内壁面を被覆することはもちろんであるが、スルーホール内を完全に充填してもよい。また、貫通孔内壁を銅などで被覆した後にさらに半田で埋める実施態様も好ましい。
前記金属層の厚さは、特に限定されないが、1μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜25μm、さらに好ましくは1μm〜18μmである。
本発明の金属積層ポリイミドボードの金属積層方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法が考えられる。
・ポリイミドボードと金属箔を、加熱圧着する方法。
・ポリイミドボードに蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空コーティング技術を用いて金属層を形成する方法。
・ポリイミドボードに無電解メッキ、電解メッキなどの湿式メッキ法により金属層を形成する方法。
これらの手段を単独で、あるいは組み合わせることによって、本発明の金属積層ポリイミドボードを得ることができる。
本発明の金属積層ポリイミドボードは、通常の方法によって、例えば導電性の金属層、または必要に応じてその上に形成される後付けの厚膜金属層側にフォトレジストを塗布し乾燥後、露光、現像、エッチング、フォトレジスト剥離の工程により、配線回路パターンを形成し、さらに必要に応じてソルダーレジスト塗布、可塑および無電解スズメッキを行い、フレキシブルプリント配線板、それらを多層化した多層プリント配線板、また半導体チップを直接この上に実装したプリント配線板が得られる。これら回路の作成、多層化、半導体チップの実装における方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方式から適宜選択し実施すればよい。
前記金属層、または必要に応じてその上に形成される後付けの厚膜金属層の表面には、金属単体や金属酸化物などといった無機物の塗膜を形成してもよい。また、必要に応じてカップリング剤(アミノシラン、エポキシシラン等)による処理、サンドブラスト処理、ウェットブラスト処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、イオンガン処理、エッチング処理、フレーム処理等に供してもよい。これらの処理は単独で行ってもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイミドボードの用途は特に限定されるものではないが、主として多層プリント配線板のコア材として用いられるものである。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(または、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルム、ポリイミドボードの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルム、ポリイミドボードの引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸
下記条件で引張破壊試験を行い、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、それぞれ引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸度を測定した。
装置名 : 島津製作所社製 オートグラフ AG−5000A
サンプル長さ : 100mm
サンプル幅 : 10mm
引張り速度 : 50mm/min
チャック間距離 : 40mm
4.ポリイミドフィルム、ポリイミドボードの面方向での線膨張係数(CTE)
下記条件でMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、40〜50℃、50〜60℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、50℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(ppm/℃)として算出した。
装置名 : ブルカーAXS社製 TMA4000S
サンプル長さ : 10mm
サンプル幅 : 2mm
初荷重 : 34.5g/mm
昇温開始温度 : 30℃
昇温終了温度 : 350℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : アルゴン
5.ポリイミドフィルム、ポリイミドボードの厚さ方向での線膨張係数(CTE)
下記条件で厚さ方向の伸縮率を測定し、40〜50℃、50〜60℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、50℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(ppm/℃)として算出した。
装置名 : TA instruments社製 Q400
サンプル長さ : 10mm
サンプル幅 : 10mm
初荷重 : 0.1N
昇温開始温度 : −55℃
昇温終了温度 : 350℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : 窒素
6.ポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂のガラス転移温度
下記条件で動的粘弾性測定(DMA)を行い、tanδピークが最大値となる温度をガラス転移温度とした。
装置名 : ユービーエム社製 Rheogel−E4000
冶具 : 伸張冶具
サンプル長さ : 14mm
サンプル幅 : 5mm
周波数 : 10Hz
昇温開始温度 : 30℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : 窒素
7.ポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂の融点
下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(Tm)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 : MACサイエンス社製 DSC3100S
パン : アルミパン(非気密型)
サンプル質量 : 4mg
昇温開始温度 : 30℃
昇温終了温度 : 400℃
昇温速度 : 20℃/min
雰囲気 : アルゴン
8.ポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂の5%重量減少温度
下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、150℃におけるサンプルの質量を100%とし、その点からサンプルの質量が5%減る温度を5%重量減少温度とした。
装置名 : MACサイエンス社製 TG−DTA2000S
パン : アルミパン(非気密型)
サンプル質量 : 10mg
昇温開始温度 : 30℃
昇温速度 : 20℃/min
雰囲気 : 窒素
9.ポリイミドボードの剥離強度測定
作製した直後とPCT処理後(121℃、100%、2atom、96時間)、および熱処理後(150℃、168時間)の剥離強度を、下記の条件で180度剥離試験を行うことで求めた。
装置名 : 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
サンプル長さ : 100mm
サンプル幅 : 3mm
測定温度 : 25℃
剥離速度 : 50mm/min
雰囲気 : 大気
《基板の評価》ドリル孔あけ加工性
各金属積層ポリイミドボードにつき、ドリル加工機(ND−6N210、日立ビアメカニクス社製)にて、ドリル(SSD、京セラ社製)を用い、2000回/秒の回転数、100m/秒の送り速度で、直径75μmの貫通孔を4000箇所あけ、孔あき金属積層ポリイミドボードを作製した。
得られた孔あき金属積層ポリイミドボードについて、AOI(AI−328、オプティマ社製)にて加工孔の全数検査を行い、設計孔に対する加工不良(孔サイズ、位置ずれ、バリ、切削詰まり)の個数を計測し、歩留り(1)(加工不良のない比率)を算出した。ここでの加工不良の判断基準は、設計値の直径75μmに対して、孔の直径が2μm以上もしくは−2μm以下、位置ずれが3μm以上もしくは−3μm以下、バリが5μm以上もしくは−5μm以下、切削詰まりが5μm以上もしくは−5μm以下、である。得られた歩留り(1)が、99%以上を○、90%以上99%未満△、90%未満を×として評価した。
また、前記の4000個の貫通孔からランダムに選んだ20個の貫通孔について、貫通孔により各金属積層ポリイミドボードの表裏面に形成される空隙(円形)の両方の中心点を通るよう、ミクロトームを用い、厚さ方向に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影を行った。得られた断面SEM画像から、歩留り(2){(A)(B)層間に剥離,亀裂のない比率}を算出した。得られた歩留り(2)が、95%以上を○、85%以上95%未満△、85%未満を×として評価した。
さらに、得られた断面SEM画像から、(A)層を貫通する孔の直径{ポリイミドボード中の(A)層の層数×10個の貫通孔の平均値}、(B)層を貫通する孔の直径{ポリイミドボード中の(B)層の層数×10個の貫通孔の平均値}を計測した。得られた値より、(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比{(A)層を貫通する孔の直径(平均値)/(B)層を貫通する孔の直径(平均値)}を算出した。
《基板の評価》レーザー孔あけ加工性
各金属積層ポリイミドボードにつき、レーザー加工機(HIPPO、Spectra−Physics社製)を用い、波長:355nm、周波数:50kHz、ショット数:3500、出力:2.5W、エネルギー密度:0.72J/cmの加工条件で、直径75μmの貫通孔を4000箇所あけ、孔あき金属積層ポリイミドボードを作製した。
得られた孔あき金属積層ポリイミドボードについて、AOI(AI−328、オプティマ社製)にて加工孔の全数検査を行い、設計孔に対する加工不良(孔サイズ、位置ずれ、バリ、切削詰まり)の個数を計測し、歩留り(1)(加工不良のない比率)を算出した。ここでの加工不良の判断基準は、設計値の直径75μmに対して、孔の直径が2μm以上もしくは−2μm以下、位置ずれが3μm以上もしくは−3μm以下、バリが5μm以上もしくは−5μm以下、切削詰まりが5μm以上もしくは−5μm以下、である。得られた歩留り(1)が、99%以上を○、90%以上99%未満△、90%未満を×として評価した。
また、前記の4000個の貫通孔からランダムに選んだ20個の貫通孔について、貫通孔により各金属積層ポリイミドボードの表裏面に形成される空隙(円形)の両方の中心点を通るよう、ミクロトームを用い、厚さ方向に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影を行った。得られた断面SEM画像から、歩留り(2){(A)(B)層間に剥離,亀裂のない比率}を算出した。得られた歩留り(2)が、95%以上を○、85%以上95%未満△、85%未満を×として評価した。
さらに、得られた断面SEM画像から、(A)層を貫通する孔の直径{ポリイミドボード中の(A)層の層数×10個の貫通孔の平均値}、(B)層を貫通する孔の直径{ポリイミドボード中の(B)層の層数×10個の貫通孔の平均値}を計測した。得られた値より、(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比{(A)層を貫通する孔の直径(平均値)/(B)層を貫通する孔の直径(平均値)}を算出した。
《基板の評価》耐湿熱性
各金属積層ポリイミドボードにつき、レーザー加工機(HIPPO、Spectra−Physics社製)を用い、波長:355nm、周波数:50kHz、ショット数:3500、出力:2.5W、エネルギー密度:0.72J/cmの加工条件で、直径75μmの貫通孔を4000箇所あけ、孔あき金属積層ポリイミドボードを作製した。得られた、孔あき金属積層ポリイミドボードを、デスミア工程(表1)、無電解銅メッキ工程(表2)、電解銅メッキ工程(表3)により、厚さ10μmのスルーホールメッキを作成した。
得られたスルーホールメッキ孔あき金属積層ポリイミドボードを、JEDEC−STD020−Cに準拠し、オーブン(DKM300、ヤマト科学社製)にて125℃で24時間のベーキング、恒温恒湿槽(SH−221、エスペック社製)にて30℃−60%RHで192時間の調湿、リフロー炉(FT05、CIF社製)にて260℃で30秒間のリフローを3回、の処理を行った。試験後の外観を検査し、膨れ,皺,反り,変色の全く見られないものを○、膨れ,皺,反り,変色が僅か見られるものを△、膨れ,皺,反り,変色が見られるものを×として評価した。
また、前記の4000個の貫通孔からランダムに選んだ20個の貫通孔について、貫通孔により各金属積層ポリイミドボードの表裏面に形成される空隙(円形)の両方の中心点を通るよう、ミクロトームを用い、厚さ方向に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影を行った。得られた断面SEM画像から、スルーホールメッキの剥離,断線がないものを○、スルーホールメッキの剥離,断線があるものを×として評価した。
Figure 0005556416
Figure 0005556416
Figure 0005556416
《基板の評価》耐冷熱衝撃サイクル性
各金属積層ポリイミドボードにつき、レーザー加工機(HIPPO、Spectra−Physics社製)を用い、波長:355nm、周波数:50kHz、ショット数:3500、出力:2.5W、エネルギー密度:0.72J/cmの加工条件で、直径75μmの貫通孔を4000箇所あけ、孔あき金属積層ポリイミドボードを作製した。得られた、孔あき金属積層ポリイミドボードを、デスミア工程(表1)、無電解銅メッキ工程(表2)、電解銅メッキ工程(表3)により、厚さ10μmのスルーホールメッキを作成した。
得られたスルーホールメッキ孔あき金属積層ポリイミドボードを、JEDEC−STD020−Cに準拠し、オーブン(DKM300、ヤマト科学社製)にて125℃で24時間のベーキング、恒温恒湿槽(SH−221、エスペック社製)にて30℃−60%RHで192時間の調湿、リフロー炉(FT05、CIF社製)にて260℃で30秒間のリフローを3回、冷熱衝撃装置(TSE−11−A、エスペック社製)にて−55℃で15分間〜125℃で15分間を1サイクルとして1000サイクル、の処理を行った。試験後の外観を検査し、膨れ,皺,反り,変色の全く見られないものを○、膨れ,皺,反り,変色が僅か見られるものを△、膨れ,皺,反り,変色が見られるものを×として評価した。
また、前記の4000個の貫通孔からランダムに選んだ20個の貫通孔について、貫通孔により各金属積層ポリイミドボードの表裏面に形成される空隙(円形)の両方の中心点を通るよう、ミクロトームを用い、厚さ方向に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影を行った。得られた断面SEM画像から、スルーホールメッキの剥離,断線がないものを○、スルーホールメッキの剥離,断線があるものを×として評価した。
〔参考例1〜3〕
(非熱可塑性ポリイミドフィルムA1〜A3の作成)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度は3.9dl/gであった。
このポリアミド酸溶液Aを、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、110℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、それぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるようにピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンにさしこむ事により把持し、フィルムが破断しないように、かつ不必要なタルミ生じないようにピンシート間隔を調整し、最終ピンシート間隔が1140mm、となるように搬送し、1段目が170℃で2分、2段目が230℃で2分、3段目が485℃で4分の条件で加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する非熱可塑性ポリイミドフィルムA1〜A3を得た。
得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムA1〜A3の物性値を表4に示す。
次いで、非熱可塑性ポリイミドフィルムA1〜A3をプラズマ処理機にセットし、真空に排気した後、酸素ガスを導入し、放電を起こして、両面プラズマ処理非熱可塑性ポリイミドフィルムA1〜A3を得た。なお、処理条件は、真空度30Pa、ガス流量1.5SLM、印加電圧110kHz、放電電力密度300Wmin/mである。
〔参考例4〕
(非熱可塑性ポリイミドフィルムBの作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、パラフェニレンジアミン108質量部、N−メチル−2−ピロリドン4000質量部を加えて完全に溶解させた後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物292.5質量部を加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度は4.2dl/gであった。
このポリアミド酸溶液Bを、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、110℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、それぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるようにピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンにさしこむ事により把持し、フィルムが破断しないように、かつ不必要なタルミ生じないようにピンシート間隔を調整し、最終ピンシート間隔が1140mm、となるように搬送し、1段目が150℃で2分、2段目が220℃で2分、3段目が460℃で4分の条件で加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する非熱可塑性ポリイミドフィルムBを得た。
得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムBの物性値を表4に示す。
次いで、非熱可塑性ポリイミドフィルムBをプラズマ処理機にセットし、真空に排気した後、酸素ガスを導入し、放電を起こして、両面プラズマ処理非熱可塑性ポリイミドフィルムBを得た。なお、処理条件は、真空度30Pa、ガス流量1.5SLM、印加電圧110kHz、放電電力密度300Wmin/mである。
〔製造例5〕
(非熱可塑性ポリイミドフィルムCの作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、ジアミノジフェニルエーテル200質量部、N−メチル−2−ピロリドン4170質量部を加えて完全に溶解させた後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度は3.6dl/gであった。
このポリアミド酸溶液Cを、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、110℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、それぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるようにピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンにさしこむ事により把持し、フィルムが破断しないように、かつ不必要なタルミ生じないようにピンシート間隔を調整し、最終ピンシート間隔が1140mm、となるように搬送し、1段目が150℃で2分、2段目が220℃で2分、3段目が400℃で4分の条件で加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する非熱可塑性ポリイミドフィルムCを得た。
得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムCの物性値を表4に示す。
次いで、非熱可塑性ポリイミドフィルムCをプラズマ処理機にセットし、真空に排気した後、酸素ガスを導入し、放電を起こして、両面プラズマ処理非熱可塑性ポリイミドフィルムCを得た。なお、処理条件は、真空度30Pa、ガス流量1.5SLM、印加電圧110kHz、放電電力密度300Wmin/mである。
Figure 0005556416
以下、非熱可塑性ポリイミドフィルムA1をPI−A1、非熱可塑性ポリイミドフィルムA2をPI−A2、非熱可塑性ポリイミドフィルムA3をPI−A3、非熱可塑性ポリイミドフィルムBをPI−B、非熱可塑性ポリイミドフィルムCをPI−Cと、それぞれ略す。
〔参考例6〜16〕
(B)熱可塑性樹脂として、以下のものを使用した。

・TPIフィルムD : ミドフィルNS、クラボウ社製
・TPIワニスE : リカコートPN20A、新日本理化社製
・TPI前駆体ワニスF : スカイボンド705、IST社製
・PEIフィルムG : Ultem1000、ゼネラルエレクトリック社製
・PAIワニスH : バイロマックス HR16NN、東洋紡績社製
・PAIワニスI : バイロマックス HR14ET、東洋紡績社製
・PEEKフィルムJ : APTIV、ビクトレックス社製
・PEEK+PEIフィルムK : IBUKI、三菱樹脂社製
・PFAフィルムL : ネオフロンPFA、ダイキン工業社製
・FEPフィルムM : ネオフロンFEP、ダイキン工業社製
・ETFEフィルムN : ネオフロンETFE、ダイキン工業社製


ここで、TPIは熱可塑性ポリイミド、PEIはポリエーテルイミド、PAIはポリアミドイミド、PEEKはポリエーテルエーテルケトン、PFAはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、FEPはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ETFEはテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体 をそれぞれ示す。
また、ガラス転移温度、融点、5%重量減少温度の評価は、ワニス状のサンプルはフィルム状に成形した後、測定を行った。その製膜条件は下記の通りである。
・TPIワニスE : TPIワニスEを、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(A−4100、東洋紡績社製)の無滑剤面上に、ベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いてコーティングし、100℃で10分の乾燥後、ポリエチレンテレフタレート製フィルムからTPIフィルムを剥離した。得られたTPIフィルムを、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ20μmのTPIフィルムEを得た。

・TPI前駆体ワニスF : TPI前駆体ワニスFを、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(A−4100、東洋紡績社製)の無滑剤面上に、ベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いてコーティングし、100℃で10分の乾燥後、ポリエチレンテレフタレート製フィルムからTPI前駆体フィルムを剥離した。得られたTPI前駆体フィルムを、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて120℃で60分、200℃で10分、250℃で60分、350℃で30分の熱処理を行い、厚さ20μmのTPIフィルムFを得た。

・PAIワニスH、I : PAIワニスH、Iを、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(A−4100、東洋紡績社製)の無滑剤面上に、ベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いてコーティングし、100℃で10分の乾燥後、ポリエチレンテレフタレート製フィルムからPAIフィルムを剥離した。得られたPAIフィルムを、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ20μmのPAIフィルムH、Iを得た。

得られた熱可塑性樹脂の物性値を表5、表6に示す。
Figure 0005556416
Figure 0005556416
以下、TPIフィルムDをTPI−D、TPIワニスEをTPI−E、TPI前駆体ワニスFをTPI−F、PEIフィルムGをPEI−G、PAIワニスHをPAI−H、PAIワニスIをPAI−I、PEEKフィルムJをPEEK−J、PEEK+PEIフィルムKをPEEK−K、PFAフィルムLをPFA−L、FEPフィルムMをFEP−M、ETFEフィルムNをETFE−Nと、それぞれ略す。
〔実施例1〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dを、D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/Dとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ225μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ249μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表7に示す。
〔実施例2〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dを、A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ225μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボードをスパッタリング装置にセットし、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧0.4Paの条件で、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ7nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成した。次いで、スパッタリングを行い、厚さ0.25μmの銅薄膜を形成させ、下地金属薄膜形成ポリイミドボードを得た。ここで、銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。得られた下地金属薄膜形成ポリイミドボードを、硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ5μmの銅層を形成した。電解めっき条件は電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬、電気を1.5Adm流した。引き続き120℃で10分間熱処理乾燥し、厚さ235μmの金属層積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表7に示す。
〔実施例3〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、TPI−Eをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが5μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ35μmのTPI−E/PI−A2/TPI−Eの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ210μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ234μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表7に示す。
〔実施例4〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、TPI−Fをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが5μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて120℃で60分、200℃で10分、250℃で60分、350℃で30分の熱処理を行い、厚さ35μmのTPI−F/PI−A2/TPI−Fの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ210μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ234μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表7に示す。
〔実施例5〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A3と、厚さ50μmのPEI−Gを、G/A3/G/A3/Gとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ250μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ50μmのPEI−Gと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/G/A3/G/A3/G/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ274μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表7に示す。
〔実施例6〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、PAI−Hをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが5μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ35μmのPAI−H/PI−A2/PAI−Hの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ210μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ234μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表7に示す。
Figure 0005556416
〔実施例7〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A3と、厚さ50μmのPEEK−Jを、J/A3/J/A3/Jとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ250μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A3と、厚さ50μmのPEEK−Jと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/J/A3/J/A3/J/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ274μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表8に示す。
〔実施例8〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A3と、厚さ50μmのPEEK−Kを、K/A3/K/A3/Kとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ250μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A3と、厚さ50μmのPEEK−Kと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/K/A3/K/A3/K/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ274μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表8に示す。
〔実施例9〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ12.5μmのPFA−Lを、L/A2/L/A2/L/A2/L/A2/L/A2/Lとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、2MPaにて30分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ200μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ12.5μmのPFA−Lと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/L/A2/L/A2/L/A2/L/A2/L/A2/L/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、2MPaにて30分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ224μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表8に示す。
〔実施例10〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ12.5μmのPFA−Mを、M/A2/M/A2/M/A2/M/A2/M/A2/Mとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、2MPaにて30分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ200μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ12.5μmのPFA−Mと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/M/A2/M/A2/M/A2/M/A2/M/A2/M/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、2MPaにて30分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ224μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表8に示す。
〔実施例11〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dを、D/A2/D/A2/Dとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ95μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/D/A2/D/A2/D/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ119μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表8に示す。
〔実施例12〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dを、D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/Dとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ1015μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ15μmのTPI−Dと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/A2/D/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ1039μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表8に示す。
Figure 0005556416
〔実施例13〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、TPI−Eをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが0.5μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ26μmのTPI−E/PI−A2/TPI−Eの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを8枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ208μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを8枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ232μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表9に示す。
〔実施例14〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、TPI−Eをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが1μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ27μmのTPI−E/PI−A2/TPI−Eの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを7枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ189μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを7枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ213μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表9に示す。
〔実施例15〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、TPI−Eをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが2μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ29μmのTPI−E/PI−A2/TPI−Eの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを7枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ203μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを7枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ227μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表9に示す。
〔実施例16〕多層プリント配線板
実施例1で得られた金属積層ポリイミドボードを用い、6層プリント配線板を作製した。

金属積層ボードを2枚準備し、各々に位置決めピン用の孔加工を行った後、各々の両面にドライフィルムレジストをラミし、露光、現像、エッチング、レジスト剥離工程を経て、所定の回路パターンを形成した。各々を便宜上パターン形成された金属積層ポリイミドボードA、パターン形成された金属積層ポリイミドボードBとする。次いで

銅箔(厚さ12μm)
TPIフィルムD(厚さ20μm)
パターン形成された金属積層ポリイミドボードA
TPIフィルムD(厚さ40μm)
パターン形成された金属積層ポリイミドボードB
TPIフィルムD(厚さ20μm)
銅箔(厚さ12μm)

の順に位置決めして重ね合わせ、真空プレスして貼り合わせた。さらにレーザーにて所定位置に直径400μm狙いの貫通孔を開け、定法に従って無電解銅メッキにより貫通孔壁面の導電化を行い、電気銅メッキによりスルーホールを厚付けした後に、ドライフィルムレジストを用いたテンティング法により最外層の銅箔にパターン形成を行い導体層6層を有する多層プリント配線板を得た。得られたプリント配線板は、ソリのない良好な外観と十分なスティッフネスを示した。得られたプリント配線板のクロスセクションを観察したところ、孔径は、ポリイミドA2部分で398μm、TPIフィルムD部分で407μmであった。
〔実施例17〕ビルドアップ多層プリント配線板
実施例16で得られた6層の多層プリント配線板をコア層とし、さらに両面に2層のビルドアップ層を形成した。
具体的には、まず実施例16で得られた6層の多層プリント配線板の貫通スルーホール部分にエポキシ系の孔埋め材を充填して硬化させた後、両面に味の素ファインテクノ社のエポキシ系ビルドアップ材料ABFをラミネートし、レーザービア孔明けの後、無電解メッキによる下地導体形成、ドライフィルムレジストによるネガパターン形成、電気銅メッキによる厚付け、レジスト剥離と下地導体のクイックエッチングにて第一ビルドアップ層を形成した。次いで第一ビルドアップ層の銅箔表面を黒化処理した後、同様にセミアディティブ法により第2ビルドアップ層を形成、最後に感光性ソルダーレジストを形成し、層数10層のピルドアッププリント配線板を得た。得られたプリント配線板は、ソリのない良好な外観と十分なスティッフネスを示した。
〔比較例1〕
両面プラズマ処理PI−A2の代わりに両面プラズマ処理PI−Bを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表9に示す。
(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が大きいと、得られるポリイミドボードの面方向での線膨張係数も大きくなり、高温暴露において寸法が膨張または収縮するため、膨れ,皺,反りが発生した。
〔比較例2〕
両面プラズマ処理PI−A2の代わりに両面プラズマ処理PI−Cを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表9に示す。
(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が大きいと、得られるポリイミドボードの面方向での線膨張係数も大きくなり、高温暴露において寸法が膨張または収縮するため、膨れ,皺,反りが発生した。さらに、(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムと(B)熱可塑性樹脂の5%重量減少温度の差がなくなるため、貫通孔の内壁に明確な凹凸が形成されず、耐湿熱試験後、および冷熱衝撃サイクル試験後に、スルーホールメッキの剥離,断線が発生した。
Figure 0005556416
〔比較例3〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、PAI−Iをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが5μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ35μmのPAI−I/PI−A2/PAI−Iの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ210μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを6枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、330℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ234μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表10に示す。
(B)熱可塑性樹脂の耐熱性が低いと、得られるポリイミドボードの耐熱性も低くなり、高温暴露において、膨れ,皺,反り,変色が発生した。さらに、(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムと(B)熱可塑性樹脂の5%重量減少温度の差も大きくなるため、(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比は小さくなり、スルーホールメッキの剥離,断線がかえって多発する結果となった。
〔比較例4〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ12.5μmのPFA−Nを、N/A2/N/A2/N/A2/N/A2/N/A2/Nとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、300℃、2MPaにて30分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ200μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A2と、厚さ12.5μmのPFA−Nと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/N/A2/N/A2/N/A2/N/A2/N/A2/N/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、300℃、2MPaにて30分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ224μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表10に示す。
(B)熱可塑性樹脂の耐熱性が低いと、得られるポリイミドボードの耐熱性も低くなり、高温暴露において、膨れ,皺,反り,変色が発生した。さらに、(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムと(B)熱可塑性樹脂の5%重量減少温度の差も大きくなるため、(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比は小さくなり、スルーホールメッキの剥離,断線がかえって多発する結果となった。
〔比較例5〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A1と、厚さ15μmのTPI−Dを、D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/Dとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ215μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A1と、厚さ15μmのTPI−Dと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ239μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表10に示す。
(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムと(B)熱可塑性樹脂の厚さ比が小さいと、得られるポリイミドボードの面方向での線膨張係数は大きくなり、高温暴露において寸法が膨張または収縮するため、膨れ,皺,反りが発生した。
〔比較例6〕
150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A1と、厚さ25μmのTPI−Dを、D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/Dとなるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ200μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した、両面プラズマ処理PI−A1と、厚さ25μmのTPI−Dと、厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を、銅箔/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/A1/D/銅箔となるよう配した後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、5MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ224μmの金属積層ポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表10に示す。
(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムと(B)熱可塑性樹脂の厚さ比が小さいと、得られるポリイミドボードの面方向での線膨張係数は大きくなり、高温暴露において寸法が膨張または収縮するため、膨れ,皺,反りが発生した。
〔比較例7〕
両面プラズマ処理PI−A2の両面に、TPI−Eをベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業社製)を用いて、乾燥後の厚みが0.05μmになるようコーティングし、100℃で10分の乾燥後、イナートオーブン(DN6101、ヤマト科学社製)にて150℃で30分、200℃で30分、250℃で30分の熱処理を行い、厚さ25.1μmのTPI−E/PI−A2/TPI−Eの3層フィルムを得た。150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを8枚重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ200.8μmのポリイミドボードを得た。
一方、150mm□のサイズに切り出した3層フィルムを8枚重ね、さらにその表裏面に厚さ12μmの電解銅箔(U−WZ、古河電工社製)を重ねた後、小型真空プレス機(IMC−11FD、井元製作所社製)を用い、380℃、10MPaにて15分間、真空加熱加圧成形を行い、厚さ224.8μmのポリイミドボードを得た。
得られたポリイミドボード、金属積層ポリイミドボードの評価結果を表10に示す。
(B)熱可塑性樹脂の厚さが薄いと、(A)(B)層間の剥離強度は小さくなるため、ドリルやレーザーによる孔あけ加工時に剥離が生じた。そのため、以降の耐湿熱性、耐冷熱衝撃サイクル性の評価は未実施である。
Figure 0005556416
本発明の複数枚の(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムが、(B)熱可塑性樹脂を介して交互に積層され、かつ厚さ方向に直径が10μm〜200μmの貫通孔を有するポリイミドボードにおいて、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜15ppm/℃、厚さが50μm〜3000μm、かつ前記(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比{(A)層を貫通する孔の直径(平均値)/(B)層を貫通する孔の直径(平均値)}が75%〜99%であるポリイミドボードは、耐熱性、寸法安定性、接着性に優れ、さらには厚さ方向に貫通孔をあけ、その壁面に金属層を積層した際、冷熱衝撃サイクル試験後においても金属層の剥離が生じないため、例えば、配線の高密度化に対応すると共に、高信頼性の得られる多層プリント配線板用コア材になるという利点がある。さらには、機械的治具や部品、センサー、プローブ、集積回路、およびこれらの複合デバイスなどにも有効に使用でき、産業界への寄与は大きい。

Claims (12)

  1. 複数枚の(A)非熱可塑性ポリイミドフィルムが、(B)熱可塑性樹脂を介して交互に積層され、かつ厚さ方向に直径が10μm〜200μmの貫通孔を有するポリイミドボードにおいて、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜15ppm/℃、厚さが50μm〜3000μm、かつ前記(A)層と(B)層を貫通する孔の直径比{(A)層を貫通する孔の直径(平均値)/(B)層を貫通する孔の直径(平均値)}が75%〜99%であることを特徴とするポリイミドボード。
  2. (A)層と(B)層の5%重量減少温度の差{(A)層の5%重量減少温度−(B)層の5%重量減少温度}が5℃〜100℃である請求項1に記載のポリイミドボード。
  3. (A)層の全体に対する厚さ比[(A)層の合計厚さ/{(A)層の合計厚さ+(B)層の合計厚さ}]が40%〜98%である請求項1または2に記載のポリイミドボード。
  4. (A)非熱可塑性ポリイミドフィルムが、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られたポリイミドフィルムであり、面方向での線膨張係数が−10ppm/℃〜10ppm/℃、かつ厚さが5μm〜75μmである請求項1〜3いずれかに記載のポリイミドボード。
  5. (B)熱可塑性樹脂が、ポリアリールケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドからなる群より選ばれた一種以上の樹脂であり、厚さが0.1μm〜50μmである請求項1〜4いずれかに記載のポリイミドボード。
  6. (A)(B)層間の剥離強度が3N/cm以上である請求項1〜5いずれかに記載のポリイミドボード。
  7. レーザーにより貫通孔が形成されてなることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリイミドボード。
  8. ドリルにより貫通孔が形成されてなることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリイミドボード。
  9. 請求項1〜8いずれかに記載のポリイミドボードに金属層を積層した、金属積層ポリイミドボード。
  10. 金属が、銅または銅を主成分とする金属である請求項9に記載の金属積層ポリイミドボード。
  11. 請求項1〜8いずれかに記載のポリイミドボード、または請求項9〜10いずれかに記載の金属積層ポリイミドボードを用いたプリント配線板。
  12. 請求項1〜8いずれかに記載のポリイミドボード、または請求項9〜10いずれかに記載の金属積層ポリイミドボード、または請求項11記載のプリント配線板をコア材として用いた多層プリント配線板。
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