JP2009272583A - ポリイミド多層基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温高湿度下においてもポリイミドフィルムと無機基板との接着を維持でき、無機基板との線膨張係数差が小さく、接続信頼性が高い多層基板を提供する。
【解決手段】 ポリイミドフィルムが熱可塑性樹脂層を介して無機基板に積層された多層基板において、前記熱可塑性樹脂層がフッ素樹脂及びサーモトロピック型の液晶高分子を含有し、該熱可塑性樹脂層中におけるフッ素樹脂の含有率が20〜80質量%、サーモトロピック型の液晶高分子の含有率が20〜80質量%である前記熱可塑性樹脂層が少なくともフッ素樹脂と、サーモトロピック型の液晶高分子とを主成分とする樹脂であることを特徴とするポリイミド多層基板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラス層やセラミック層などの無機基板をコアなどに用いた多層構造を有する多層基板に関し、さらに詳しくは、ガラス層やセラミック層などの無機基板と耐熱フィルムを、接着性樹脂層を介して積層する事により絶縁層を形成してなる多層基板に関する。
ポリイミドフィルムは、その卓越した耐熱性や電気特性・機械的物性・寸法安定性などを有しているために、フレキシブルプリント配線板、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、半導体実装のための基材をはじめとする各種電子材料や産業機器、航空機などの高性能部品として広範な分野で用いられている。特に、昨今の高密度実装に伴う回路基板や半導体パッケージ用基材においては、信号伝送の高速化を図るために誘電率の低い絶縁樹脂を層間絶縁膜と使用することが主流となってきているが、ポリイミドはその代表的な絶縁材料の一つである。
通常、ポリイミドフィルムは、接着性樹脂層を介して銅箔と貼り合わせたり、蒸着法、メッキ法、スパッタ法、又はキャスト法によりフィルム層と銅箔からなる積層板(銅貼りポリイミドフィルム)に加工されたりして、フレキシブルプリント多層回路基板のベースフィルム(外層材や内層材)として使用される。
多層基板の層間絶縁材として用いられる場合には、ポリイミドフィルム自体は、エポキシの半硬化シートのように接着性を持たないため、なんらかの接着剤と組み合わせて用いられるが、接着性樹脂層を介して多層積層を行う場合、層間の接着信頼性が乏しく、製品不良が生じる原因となっていた。このため、ポリイミドフィルムの接着性を改善することを目的に、コロナ処理(特許文献1など)やプラズマ処理(特許文献2など)を施して使用することが提案されてきた。また、接着剤の選択が重要であり、接着剤として熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂の組み合わせなどが提案されている(例えば、特許文献3、4など)。
上記技術などの利用により、ポリイミドフィルムと銅箔との接着性は実用レベルが確保できるようになったが、近年は、多層基板の半導体パッケージ用基材用途への要求特性が高くなっており、従来のリードフレームを用いたICパッケージ同様の信頼性が求められるようになってきている。半導体パッケージの信頼性試験では高温高湿試験や冷熱衝撃試験など過酷な環境下での安定性が要求され、従来品ではこれらの要求をクリアできないことが問題になってきている。
また、今日半導体チップの配線は微細化しており、セラミック基板やガラス基板などの無機基板と接続する場合、微細パターンが描ける再配線層があることが望まれている。しかし、無機基板と物性の違う材料を貼りあわせた場合、この貼り合わせ部分での接続信頼性の低下、剥がれや浮き上がりなどが問題となり、実用となるものは無かった。
特開平07−149929号公報 特開平08−003338号公報 特開平09−289229号公報 特開平09−298220号公報
本発明は、高温高湿度下においてもポリイミドフィルムと無機基板との接着を維持でき、無機基板との線膨張係数差が小さく、ベアチップ実装時の接続信頼性が高い多層基板を提供することを課題とするものである。
すなわち本発明は、下記の構成によるものである。
1. ポリイミドフィルムが熱可塑性脂層を介して無機基板に積層された多層基板において、前記熱可塑性樹脂層がフッ素樹脂及びサーモトロピック型の液晶高分子を含有し、該熱可塑性樹脂層中におけるフッ素樹脂の含有率が20〜80質量%、サーモトロピック型の液晶高分子の含有率が20〜80質量%であることを特徴とするポリイミド多層基板。
2. サーモトロピック型の液晶高分子が、全芳香族ポリエステルである前記1.記載のポリイミド多層基板。
3. フッ素樹脂が、少なくとも水酸基を有する含フッ素エチレン性単量体と水酸基を有さないエチレン性単量体とを用いて共重合して得られる熱可塑性フッ素樹脂である前記1.又は2.記載のポリイミド多層基板。
4. フッ素樹脂の水酸基を有さないエチレン性単量体が少なくともテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルの中から選ばれた1種以上である前記1.〜3.のいずれかに記載のポリイミド多層基板。
5. 非熱可塑性ポリイミドフィルムが、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との重縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とし、かつ線膨張係数が−10〜10ppm/℃である前記1.〜4.のいずれかに記載のポリイミド多層基板。
6. 無機基板が、セラミック基板及び/又はガラス基板である前記1.〜5.のいずれかに記載のポリイミド多層基板。
本発明のポリイミド多層基板において、熱可塑性樹脂層がフッ素樹脂とサーモトロピック型の液晶高分子とを含むことにより、フッ素樹脂とサーモトロピック型の液晶高分子は海島型の相分離構造を取り、海成分のフッ素樹脂が接着効果と、島成分のサーモトロピック型の液晶高分子によるフッ素樹脂の補強効果により、成形加工性、接着性、および耐熱性を兼ね備えた優れた効果を発現する。
本発明におけるポリイミドフィルムと無機基板とが、上記の特有の熱可塑性樹脂層を介して積層された構成を有する多層基板であるため、高温高湿時における層間の剥離や剥がれなどが発生しない多層基板となる。さらに多層基板そのものの温度変化に対する安定性と、多層基板間の線膨張係数の違いに基づく剥がれに対する耐久性が共に満足するものとなる。
以下、本発明を詳述する。
本発明で用いるポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミドフィルムであり、例えば芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)と芳香族ジアミン類(アミン、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を流延、乾燥、熱処理(イミド化)してフィルムとなす方法で得られるポリイミドフィルムである。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは(1)ポリマー鎖中の繰り返し単位中のイミド単位の濃度が高い、及び(2)平面状の芳香族イミド基が直線的または平面的に配列し剛直分子鎖を形成する、ことにより、分子が強い会合状態にあるため、明確な融点およびガラス転移温度を示さないものを意味する。
前記のポリイミドフィルムは、特に限定されるものではないが、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との組み合わせ。
B.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.ジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイ
ミドフィルムが好ましい。
前記のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。これらのジアミンは全ジアミンの70モル%以上することが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。
Figure 2009272583
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
さらに、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記の芳香族テトラカルボン酸無水物類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には、以下のものが挙げられる。これらの酸無水物は全酸無水物の70モル%以上することが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。
Figure 2009272583
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
さらに、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記の芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸を乾燥してグリーンシートを得る条件は特に限定はなく、温度としては70〜150℃が例示され、乾燥時間としては、5〜180分間が例示される。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。次いで、得られたグリーンシートから目的のポリイミドフィルムを得るために、イミド化反応を行わせる。その具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、必要により延伸処理を施した後に、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)が挙げられる。この場合の加熱温度は100〜500℃が例示され、フィルム物性の点から、より好ましくは、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
別のイミド化反応の例として、ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることもできる。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
前記のポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、電子部品の軽小化という目的からして、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜25μmである。また、これらのフィルムの厚さ斑も20%以下であることが好ましく、これらのフィルムを使用することで、電子部品の軽小短薄に大きく貢献できる。
前記のポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)が−10〜10ppm/℃であるものを基材フィルムとして使用することが前記した理由により好ましく、より好ましくは−5〜10ppm/℃、さらに好ましくは、−5〜5ppm/℃である。
本発明の熱可塑性樹脂層に用いられるフッ素樹脂は、熱可塑性であることが好ましく、より好ましくは水酸基を有する熱可塑性フッ素樹脂であり、具体的には水酸基を有する含フッ素エチレン性単量体と水酸基を有さない含フッ素エチレン性単量体とを共重合することによって製造されたものが例示できる。
水酸基を有する含フッ素エチレン性単量体としては、
CX2=CX1−Rf−CH2OH
を挙げることができる。式中X、X1は同一または異なり、いずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す。
水酸基を有する含フッ素エチレン性単量体としては、より具体的には
CF2=CF−Rf 1−CH2OH
を挙げることができる。式中、Rf 1は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または−ORf 2、ただし、Rf 2は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基である。
また、
CF2=CFCF2−ORf 3−CH2OH
を挙げることができる。式中、−Rf 3は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表わす。
また、
CH2=CFCF2−Rf 4−CH2OH
を挙げることができる。式中、−Rf 4は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基、または−ORf 5(Rf 5は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす。
また、
CH2=CH−Rf 6−CH2OH
を挙げることができる。式中、Rf 6は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基である。
一方、水酸基を含まない含フッ素単量体としては、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライドなどが挙げられ、好ましくはテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、およびテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体である。
本発明における熱可塑性樹脂層中に占めるフッ素樹脂の含有率は、20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。フッ素樹脂の含有率が20質量%未満であると、溶融成形することが困難になる、接着性が低下する等の理由から好ましくない。また、フッ素樹脂の含有率が80質量%を超えると、サーモトロピック型の液晶高分子による補強効果が充分ではなく、耐熱性にも劣るため好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂層に用いられるサーモトロピック型の液晶高分子は、液晶ポリエステル系樹脂、液晶ポリアミド系樹脂、液晶ポリエステルアミド系樹脂などが挙げられるが、特に、液晶ポリエステル系樹脂が好ましい。ここでサーモトロピック型の液晶高分子とは、加熱溶融することによって、液晶(結晶と液体の中間状態のうち、粒子方向に何らかの秩序は保っているものの、3次元的な位置の秩序を失った状態)になる高分子を意味する。液晶ポリエステル系樹脂は、p−置換芳香族環、直鎖状ビフェニル基、置換ナフチル基などのメソーゲン基(液晶形成能を有する基)を構造単位として有するポリエステル系樹脂であってもよい。具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸の単量体、およびp−ヒドロキシ安息香酸とジオール(ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコールなどのC2−6アルカンジオールなど)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)および芳香族ヒドロキシカルボン酸(オキシナフトエ酸など)から選択された少なくとも一種の単量体との共重合体などが例示できる。より具体的には、ポリp−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸と4,4′−ジヒドロキシビフェニルとの共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸と4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸との共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸単位とエチレンテレフタレート単位との共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸と2−オキシ−6−ナフトエ酸との共重合体などが挙げられる。
サーモトロピック型の液晶高分子は、熱や圧力によって粒子方向に何らかの秩序は保っているもの、3次元的な位置の秩序を失った状態を取り得ることから、高い機械的特性を有しているにも拘わらず、溶融流動性に優れる。
本発明における熱可塑性樹脂層中に占めるサーモトロピック型の液晶高分子の含有率は、20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。サーモトロピック型の液晶高分子の含有率が80質量%を超えると、溶融成形することが困難になる、接着性が低下する等の理由から好ましくない。また、サーモトロピック型の液晶高分子の含有率が20質量%未満であると、補強効果が充分ではなく、耐熱性にも劣るため好ましくない。
サーモトロピック型の液晶高分子フッ素樹脂への配合は、フッ素樹脂を溶融して液晶高分子を混合することができ、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂のペレットや粉末に所定量の液晶高分子を混合して、2軸あるいは単軸の押出機を用いて混合する方法や、高濃度のフィラーマスターバッチを予め作り、成形時に混合させる方法を用いることができる。
本発明に用いるフッ素樹脂とサーモトロピック型の液晶高分子を含む熱可塑性樹脂は、合成樹脂フィルムの製造に利用されているフィルム成形方法が応用・利用できる。例えば、Tダイ成形法、インフレーション成形法、インサイドマンドレル法、真空フオーマー成形法等によって製造することができる。
本発明においては、熱可塑性樹脂層がフッ素樹脂とサーモトロピック型の液晶高分子を含むことで、フッ素樹脂とサーモトロピック型の液晶高分子は海島型の相分離構造を取り、海成分のフッ素樹脂が接着性に寄与し、島成分のサーモトロピック型の液晶高分子がフッ素樹脂を補強するという機構を持つため、成形加工性、接着性、および耐熱性を兼ね備えた優れた効果を発現する。
本発明における熱可塑性樹脂層中には、本発明の効果を阻害しない範囲において、フッ素樹脂とサーモトロピック型の液晶高分子以外に、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、分散剤、安定剤などを含有させることができる。
本発明で用いる無機基板としては、ガラス基板やセラミック基板を挙げることができる。ガラス基板としては、従来公知のガラス基板が使用できるが、好ましくは感光性ガラスを用いた基板が使用できる。セラミック基板としては従来公知のセラミック基板が使用でき、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コディライト、ステアタイト、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックスからなるものが挙げられる。
また無機基板にスルーホール、導体回路や抵抗やインダクタ、コンデンサを設けたものであってもよい。
本発明で用いるポリイミド多層基板の積層方法は、特に限定されるものではないが、例えば、
(1)ポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂、無機基板を貼り合わせたうえで、熱プレスによって溶着させる方法
(2)共押し出しによる方法、ポリイミドフィルム上に熱可塑性樹脂を流延する方法、ポリイミドフィルムの前駆体フィルム上に熱可塑性樹脂を流延しイミド化する方法などして得た熱可塑性接着層付きポリイミドフィルムを無機基板に積層する方法
(3)無機基板に前記の接着剤を設けた後にポリイミドフィルムを積層する方法
などが挙げられる。
本発明のポリイミド多層基板には、さらに、金属層を積層することができる。
積層することができる金属は、導電性である金属であれば特に限定されるものではないが、銀、銅、金、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロム、亜鉛、錫、黄銅、白銅、青銅、モネル、モリブデン、タングステン、錫鉛系半田、錫銅系半田、錫銀系半田、等の単独又はそれらの合金が用いられるが、銅を用いるのが性能と経済性のバランスにおいて好ましい実施態様である。
本発明のポリイミド多層基板に金属層を積層する方法は特に問わず、以下のような方法が例示される。
・ポリイミド多層基板と金属箔を、熱可塑性樹脂層を介して熱プレスによって溶着させる方法。
・ポリイミド多層基板に蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空コーティング技術を用いて金属層を形成する手段。
・ポリイミド多層基板に無電解メッキ、電気メッキなどの湿式メッキ法により金属層を形成する手段。
これらの手段を単独で、あるいは組み合わせることによってポリイミド多層基板の少なくとも片面に金属層を積層することができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムの厚さ
測定対象のポリイミドフィルムについて、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの厚さ斑
測定対象のポリイミドフィルムについて、幅方向(TD方向)については、幅方向1cm間隔で全幅測定し、その間の平均厚さおよび最大厚さ、最小厚さを出し、下式を用いて計算した。また、長手方向(MD方向)については、長手方向5cm間隔で5m分測定し、その間の平均厚さおよび最大厚さ、最小厚さを出し、下式を用いて計算した。
厚さ斑(%)=((最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ)×100
4.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度、および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件で引張破壊試験を行い、MD方向について、引張弾性率、引張破断強度、および引張破断伸度を測定した。
装置名 : 島津製作所社製 オートグラフ
サンプル長さ : 100mm
サンプル幅 : 10mm
引貼り速度 : 50mm/min
チャック間距離 : 40mm
5.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90〜100℃、100〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(平均値)として算出した。
装置名 : MACサイエンス社製 TMA4000S
サンプル長さ : 10mm
サンプル幅 : 2mm
昇温開始温度 : 25℃
昇温終了温度 : 400℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : アルゴン
6.融点
測定対象の熱可塑性樹脂について、下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(Tm)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 : MACサイエンス社製 DSC3100S
パン : アルミパン(非気密型)
試料質量 : 4mg
昇温開始温度 : 30℃
昇温終了温度 : 400℃
昇温速度 : 20℃/min
雰囲気 : アルゴン
7.剥離強度
ポリイミドフィルム/金属箔間の剥離強度は下記条件でT字剥離試験を行うことで求めた。
装置名 : 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
サンプル長さ : 100mm
サンプル幅 : 10mm
測定温度 : 25℃
剥離速度 : 50mm/min
雰囲気 : 大気
《基板の評価》耐湿熱性
ポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂、金属箔から成る各金属貼りポリイミド積層板につき、ステンレスメッシュ性の籠に入れ、PCT装置(PC242−III、平山製作所社製)を用いて121℃×2気圧の飽和蒸気圧中で96時間、加圧加熱処理を行い、試験後の剥離強度を評価した。また、試験後の外観検査により、剥がれ、膨れ、変色の全く見られないものを○、剥がれ、膨れ、変色が僅か見られるものを△、剥がれ、膨れ、変色が見られるものを×とした。
《基板の評価》耐熱性
ポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂、金属箔から成る各金属貼りポリイミド積層板につき、ステンレスメッシュ性の籠に入れ、N雰囲気下で400℃で1時間、加熱処理を行い試験後の剥離強度を評価した。また、試験後の外観検査により、剥がれ、膨れ、変色の全く見られないものを○、剥がれ、膨れ、変色が僅か見られるものを△、剥がれ、膨れ、変色が見られるものを×とした。
《基板の評価》耐マイグレーション性
40μmピッチの櫛形パターンを形成したポリイミドフィルム、熱可塑性樹脂、金属箔から成る櫛形パターン付金属貼りポリイミド積層体に電圧(DC60V)を印荷し、85℃・85%RHの恒温恒湿槽(FX412Pタイプ、エタック社製)の中に入れ電圧負荷状態のまま5分毎に絶縁抵抗値を測定し、線間の抵抗値が100MΩ以下に達する時間を測定し、1000時間以上を○、500時間以上1000時間未満を△、500時間未満を×として評価した。
〔製造例1〕
(ポリイミドフィルムAの作成)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度は3.9dl/gであった。
このポリアミド酸溶液Aを、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分間、2段目220℃×2分間、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、ポリイミドフィルムAを得た。
得られたポリイミドフィルムAの物性値を表1に示す。
〔製造例2〕
(ポリイミドフィルムBの作成)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、ジアミノジフェニルエーテル200質量部、N−メチル−2−ピロリドン4170質量部を加えて完全に溶解させた後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度は3.6dl/gであった。
このポリアミド酸溶液Bを、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分間、2段目220℃×2分間、3段目400℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、ポリイミドフィルムBを得た。
得られたポリイミドフィルムBの物性値を表1に示す。
〔製造例3〕
(ポリイミドフィルムCの作成)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、フェニレンジアミン108質量部、N−メチル−2−ピロリドン4010質量部を加えて完全に溶解させた後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)と、ジフェニルテトラカルボン酸二無水物292.5質量部を加え、25℃の反応温度で12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度は4.3dl/gであった。
このポリアミド酸溶液Cを、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分間、2段目220℃×2分間、3段目460℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、厚さ25μmのポリイミドフィルムCを得た。
得られたポリイミドフィルムCの物性値を表1に示す。
Figure 2009272583
〔製造例4〕
(熱可塑性樹脂フィルムAの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)40質量部、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンPFA RAP、ダイキン工業社製)60質量部を配合し、二軸押出成形機(KZW20−25G)を用いて溶融混練した。得られた混練原料を、直径40mm押出機の先端に600mmのTダイを取り付けたフィルム成形機で、厚さ15μmのフィルムを成形した。
得られた樹脂フィルムAの物性値を表2に示す。
〔製造例5〕
(熱可塑性樹脂フィルムBの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)の代わりに、4,4−ジヒドロキシビフェノール、テレフタル酸、およびパラヒドロキシ安息香酸との共重合体である液晶高分子(スミカスーパーS1000、住友化学工業社製)を使用する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムBを得た。
得られた樹脂フィルムBの物性値を表2に示す。
〔製造例6〕
(熱可塑性樹脂フィルムCの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)の代わりに、2,6−ヒドロキシナフトエ酸とパラヒドロキシ安息香酸との共重合体である液晶高分子(ベクトラA950、ポリプラスチック社製)を使用する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムCを得た。
得られた樹脂フィルムCの物性値を表2に示す。
〔製造例7〕
(熱可塑性樹脂フィルムDの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)の代わりに、エチレングリコール、テレフタル酸、およびパラヒドロキシ安息香酸との共重合体である液晶高分子(ノバキュレート、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を使用する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムDを得た。
得られた樹脂フィルムDの物性値を表2に示す。
〔製造例8〕
(熱可塑性樹脂フィルムEの作成)
テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンPFA RAP、ダイキン工業社製)の代わりに、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンFEP、ダイキン工業社製)を使用する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムEを得た。
得られた樹脂フィルムEの物性値を表2に示す。
〔製造例9〕
(熱可塑性樹脂フィルムFの作成)
テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンPFA RAP、ダイキン工業社製)の代わりに、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンETFE、ダイキン工業社製)を使用する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムFを得た。
得られた樹脂フィルムFの物性値を表2に示す。
〔製造例10〕
(熱可塑性樹脂フィルムGの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)を配合しない以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムGを得た。
得られた樹脂フィルムGの物性値を表3に示す。
〔製造例11〕
(熱可塑性樹脂フィルムHの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)20質量部、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンPFA RAP、ダイキン工業社製)80質量部を配合する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムHを得た。
得られた樹脂フィルムHの物性値を表3に示す。
〔製造例12〕
(熱可塑性樹脂フィルムIの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)80質量部、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンPFA RAP、ダイキン工業社製)20質量部を配合する以外は、製造例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムIを得た。
得られた樹脂フィルムIの物性値を表3に示す。
〔製造例13〕
(熱可塑性樹脂フィルムJの作成)
テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂(ネオフロンPFA RAP、ダイキン工業社製)を配合しない以外は、製造例4と同様にして、樹脂フィルムJを得ようとしたが、品位の良いフィルムを製造することは不可能であった。
〔製造例14〕
(熱可塑性樹脂フィルムKの作成)
ポリパラヒドロキシ安息香酸である液晶高分子(スミカスーパーE101、住友化学工業社製)の代わりに、エチレングリコールとテレフタル酸との共重合体であるPET樹脂(東洋紡社製)を使用する以外は、製造例4と同様にして、樹脂フィルムKを得た。
得られた樹脂フィルムKの物性値を表3に示す。
〔製造例15〕
(熱可塑性樹脂フィルムLの作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル368.4g(1.0モル)、無水フタル酸59.24g(0.4モル)、無水ピロメリット酸174.5g(0.8モル)およびm−クレゾール2,172gを仕込み、攪拌下200℃まで加熱し、200℃にて6時間保温した。次いで反応溶液にトルエンを仕込み、析出物を濾別し、さらにトルエンにて洗浄を数回行った後、窒素雰囲気下250℃で6時間乾燥を行い、510gのポリイミド粉を得た。ポリイミド粉を、二軸押出機を用いて380〜410℃において混練、溶融して押出して造粒しペレットとした。得られたペレットを径50mmの単軸押出機(成形温度420℃)に供給し、Tダイ前部に装着した10μmのリーフディスクタイプのフィルターを通過させ、1100mm幅Tダイより押出し、熱可塑性樹脂フィルムLを得た。
得られた樹脂フィルムLの物性値を表4に示す。
〔製造例16〕
(熱可塑性樹脂フィルムMの作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、トリメリット酸無水物192g、o−トリジンジイソシアネート211g(80モル%)、2,4−トリレンジイソシアネート35g、およびトリエチレンジアミン1gを仕込み、さらにN−メチル−2−ピロリドンをポリマー濃度が40%となるように仕込んだ。120℃で約1時間反応させた後、さらに180℃で5時間攪拌しながら反応させた。次に加熱を止め、冷却しながら、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加え希釈して、固形分濃度が20%のポリアミドイミド溶液を得た。
このポリアミドイミド溶液を、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(A−4100、東洋紡績社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、120℃にて3分間乾燥後、支持体から剥がし、3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目320℃×2分間、2段目320℃×2分間、3段目320℃×2分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、熱可塑性樹脂フィルムMを得た。
得られた樹脂フィルムMの物性値を表4に示す。
なお表中含有率は、液晶高分子の熱可塑性樹脂フィルム中の質量%を表す。
Figure 2009272583
Figure 2009272583
Figure 2009272583
〔加工例1〜3〕
(ポリイミドフィルムA〜Cのスパッタリング、めっき)
ポリイミドフィルムA〜CをA4サイズに切り取り、開口部を有するステンレス製の枠に挟んで固定した。この枠をスパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと、ポリイミドフィルムは密着するように固定する。このため、基板ホルダー内に冷媒を流すことによってポリイミドフィルムの温度を設定できる。次いで、ポリイミドフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はアルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10−3Torrであり、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10−3Torrの条件、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ7nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成した。その後、基板の温度を2℃に設定するよう、基板のスパッタ面の裏面を2℃に温度コントロールした冷媒を中に流した。次いで、基板ホルダーのSUSプレートと接する状態でスパッタリングを行い、厚さ0.25μmの銅薄膜を形成させ、下地金属薄膜形成ポリイミドフィルムA〜Cを得た。ここで、銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。
得られた下地金属薄膜形成ポリイミドフィルムA〜Cをプラスチック製の枠に固定し、硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ5μmの銅層を形成した。電解めっき条件は電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬、電気を1.5Adm流した。引き続き120℃で10分間熱処理乾燥し、金属積層ポリイミドフィルムA〜Cを得た。
〔加工例4〜6〕
(ポリイミドフィルムA〜Cのパターン作成)
金属積層ポリイミドフィルムA〜Cを使用し、フォトレジスト(FR−200、シプレー社製)を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cmのスプレー圧でエッチングし、評価試験に必要な図1に示すような「櫛形パターン」である、導体幅と導体間隔は40μm/40μm、パターン本数は片側20本のテストパターンを形成後、洗浄、125℃、1時間のアニール処理を行い、パターン付金属張りポリイミドフィルムA〜Cを得た。
〔実施例1〕
150mm×150mmのサイズに切り出したパターン付金属張りポリイミドフィルムA上のパターンの無い片面に、熱可塑性樹脂フィルムA、セラミック基板(日本カーバイド工業社製、商品名:アルミナセラミック、厚さ1.0mm)をこの順に配し、熱可塑性樹脂フィルムの融点以上である330℃、5MPaにて30分間加熱加圧成形を行い、テスト用多層基板1を得た。得られたテスト用多層基板1の評価結果を表5に示す。
〔実施例2〜3〕
パターン付金属張りポリイミドフィルムAの代わりにパターン付金属張りポリイミドフィルムB、Cを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板2〜3の評価結果を表5に示す。
〔実施例4〜6〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムB〜Dを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板4〜6の評価結果を表5に示す。
〔実施例7、8〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムE、Fを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板7、8の評価結果を表6に示す。
〔実施例9、10〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムH、Iを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板9、10の評価結果を表6に示す。
〔実施例11〕
セラミック基板(日本カーバイド工業社製、商品名:アルミナセラミック、厚さ1.0mm)の代わりにガラス基板(コーニング社製、商品名:1737ガラス、厚さ1.0mm)を使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板11の評価結果を表6に示す。
〔比較例1〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムGを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板12の評価結果を表7に示す。
〔比較例2〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムKを使用する以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板13の評価結果を表7に示す。
〔比較例3〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムLを使用し、熱可塑性樹脂フィルムの融点以上である390℃、10MPaにて15分間加熱加圧成形を行う以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られテスト用多層基板14の評価結果を表7に示す。
〔比較例4〕
熱可塑性樹脂フィルムAの代わりに熱可塑性樹脂フィルムMを使用し、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度以上である330℃、10MPaにて15分間加熱加圧成形を行う以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作成し、評価した。
得られたテスト用多層基板15の評価結果を表7に示す。
Figure 2009272583
Figure 2009272583
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本発明のポリイミド多層基板は、高温高湿の環境下に曝されてもポリイミドフィルムと無機基板との剥がれがない接続信頼性の高い基板であり、従来の回路基板より高い耐熱性を持ち、かつ充分な接着力も得られ、微細な配線、環境安定性、高信頼性を有する多層基板となる。また、無機基板を有するため、ガスバリア性を必要とする用途にも最適であり、高信頼性、高品質の電子部品用に好適であり、産業上寄与すること大である。
櫛型パターンの一例を示す概略図である。

Claims (6)

  1. ポリイミドフィルムが熱可塑性樹脂層を介して無機基板に積層された多層基板において、前記熱可塑性樹脂層がフッ素樹脂及びサーモトロピック型の液晶高分子を含有し、該熱可塑性樹脂層中におけるフッ素樹脂の含有率が20〜80質量%、サーモトロピック型の液晶高分子の含有率が20〜80質量%である前記熱可塑性樹脂層が少なくともフッ素樹脂と、サーモトロピック型の液晶高分子とを主成分とする樹脂であることを特徴とするポリイミド多層基板。
  2. サーモトロピック型の液晶高分子が、全芳香族ポリエステルである請求項1記載のポリイミド多層基板。
  3. フッ素樹脂が、少なくとも水酸基を有する含フッ素エチレン性単量体と水酸基を有さないエチレン性単量体とを用いて共重合して得られる熱可塑性フッ素樹脂である請求項1又は2記載のポリイミド多層基板。
  4. フッ素樹脂の水酸基を有さないエチレン性単量体が少なくともテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルの中から選ばれた1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド多層基板。
  5. 非熱可塑性ポリイミドフィルムが、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との重縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾール成分を有し、かつ線膨張係数が−10〜10ppm/℃である請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド多層基板。
  6. 無機基板が、セラミック基板及び/又はガラス基板である請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド多層基板。
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