JP2007077231A - ポリイミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れた、素材の表面平滑性が著しく損なわれることのない回路形成などに有効に使用できるスティフネスに優れたポリイミドベンゾオキサゾ−ルフィルムを提供する。
【解決手段】ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミド(A)30〜98質量部と、体積平均粒子径が1.2〜15.0μmの体質顔料(B)2〜70質量部とを主成分とするポリイミドフィルム、又はこのポリイミドフィルムの少なくとも一方の面の表層に体質顔料を含まないポリイミド(C)の層が形成されたポリイミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、体質顔料を含有してなるポリイミドフィルム(又はシート)であって、高い弾性率と実用上十分な機械的強度を有し、スティフネスの改善された耐熱フィルムとしてのポリイミドフィルムないしポリイミドシートに関する。
ポリイミドフィルムはフレキシブルプリント配線板、COF、TAB、LOCテープなど電気、電子分野において、耐熱性があり、なおかつ柔軟な絶縁材料として広く用いられている。また、最近では携帯電話などの小型機器に用いられる小型薄型のコネクタ端子などに、比較的厚手のポリイミドフィルムが補強材として用いられている。
一般に高分子素材は圧縮弾性率が低いため、曲げ応力が加わった場合に曲がりやすく、柔軟性がある反面、高い剛性、スティフネスが必要な場合には、厚みによりコシの強さを出すという選択をせざるを得ない。
材料の強度や弾性率を上げるために粉体を配合し粉体補強複合材料する手法は一般に知られている。ポリイミド樹脂に粉体を配合するアイデア(特許文献1参照)も、提案されている。当該文献には、ポリイミド基板がフィラーを混合したポリイミド系樹脂からなることを特徴とするポリイミド基板を有した電子部品が開示され、フィラーとしては高熱伝導材料、低線膨張係数材料、磁性体材料、誘電体材料が例示されているが、具体的な例示はない。フィラーを配合した液状樹脂を何らかの基板上にスクリーン印刷し、乾燥、熱処理、硬化させるもので、フィラーを含むポリイミド樹脂のフィルムを意図したものではなく、材料の強度に関する開示もされていない。
特開平07−335440号公報
粉体、特に体質顔料を含むポリイミド樹脂をフィルム化し、高いスティフネスを実現する試みについて過去十分に検討されてきたとは云えない。スティフネスを上げようとして高濃度に体質顔料を配合すると、硬くなると同時に脆くなる。顔料の分散が不均一でかえってフィルムの強度が下がる。特に製膜プロセス中において、熱風処理などの際に破断などが生じやすく生産性が高くない。フィラーを高濃度に配合した場合、フィルム表面の平滑性が低下し、メタライズ時に欠点が生じやすい。
従来の高耐熱性のポリイミドやアラミドでは、延伸により配向性をあげて強度を出しており、高濃度にフィラーを配合した系では、フィラー近傍で構造破壊が生じ、配向が進まないため高強度のフィルムは得られがたい。さらにはフィラー部分から破断が生じやすく、生産性に大きな問題があった。
顔料の分散が不均一でかえってフィルムの強度が下がるという従来のポリイミドやアラミドに対して、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミドをマトリクスに使用することにより、このポリイミドフィルムは自己組織化的に配向するため、強度が出やすく、フィラーを高濃度に配合してもフィルム強度を保つことが出来ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミド(A)30〜98質量部と、体質顔料(B)2〜70質量部とを主成分とするポリイミドフィルム。
2.体質顔料の体積平均粒子径が1.2〜15.0μmである1.記載のポリイミドフィルム。
3.上記1.又は2.記載のポリイミドフィルムの少なくとも一方の面の表層に体質顔料を含まないポリイミド(C)の層が形成されたポリイミドフィルム。
先に述べたように、高分子フィルムのスティフネスや機械的特性を改善するために粉体フィラーを配合することは効果的であるが、フィラーがフィルム欠点としても作用するために、フィラー部分を開始点として微小クラックが入りやすく、フィルム破断が生じやすいなどの問題があった。本発明において使用される特定構造のポリイミド樹脂は製膜過程において自己組織化的に配向が進む特性を有している。特にフィラー近傍に於いてはフィラーと樹脂の界面に沿って配向が進むため、フィラーを開始点とした破壊が生じにくく、結果、高濃度にフィラーを配合した場合でも、比較的靱性の高い取り扱い性の良いフィルムを得ることができる。
本発明のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合(以下、重合ともいう)して得られるポリイミドを主成分とするフィルムは、例えばベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを溶媒中で重縮合して得られるポリアミド酸の溶液を、支持体上に流延して乾燥し、ポリアミド酸の自己支持性であるフィルム(グリーンフィルム又は前駆体フィルム)とし、これを高温処理してイミド化してポリイミドフィルムとする方法などで得られるものである。
ポリアミド酸溶液に体質顔料を添加含有せしめる方法は、特に限定されず例えば溶媒に体質顔料を添加含有せしめ、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを添加して重縮合せしめてもよく、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを溶媒中で重縮合して得られるポリアミド酸の溶液に体質顔料を添加含有せしめる方法であってもよい。
本発明のポリイミドフィルムに用いられるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりポリイミドフィルムの前駆体フィルム(以下グリーンフィルムともいう)を得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、ポリイミドフィルム表裏面の表面面配向度の差が小さいポリイミドフィルムを得るためには、熱閉環法が好ましい。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。 またスティフナーとして使用する場合には15〜150μm、さらには25〜150μm、なおさらには60〜150μmの厚みが好ましい。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明に使用される体質顔料としては、フィルムにスティフネスを付与するものであれば特に限定されないが、例えば、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、石英、アルミナ、マグネシア、カルシア、水酸化アルミニウム、ガラス、チタン白、バライト粉、ホワイトカーボン、ベンガラ、カーボンブラック、鉄黒、ガラスバルーン、プラスチックバルーンなどを例示することができる。これらは1種又は2種以上併用して使用できる。本発明ではこれらの内、体積平均粒子径が1.2〜15.0μmの物を好ましく用いることが出来る。さらに1.5〜12.0μm、なおさらに2.0〜8.0μmの物を好ましく用いることができる。体積平均粒子径がこの範囲に満たないと十分なスティフネス性が発現しない場合がある。また体積平均粒子径がこの範囲を超えるとフィルムの欠点が多くなり、フィルムの機械的強度が低下する。
本発明のフィラー形状は特に限定されず、球形、不定形、鱗片状形態などを用いることができる、特にスティフナーとしての用途に用いる場合には鱗片状形態が好ましい。
また、本発明における体質顔料の配合量は、ポリイミド(A)が30〜98質量部と、体質顔料(B)が2〜70質量部とを主成分とする場合が好ましく、配合量がこの範囲に満たないと十分なスティフネスが得られず、この範囲を超えるとフィルムの強度が著しく低くなり、ハンドリングが困難となる。
体質顔料配合量は、ポリイミド(A)が40〜95質量部と、体質顔料(B)が5〜60質量部が好ましく、さらにはポリイミド(A)が50〜90質量部と、体質顔料(B)が10〜50質量部が好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明のポリイミドフィルムの表層(少なくとも一面)に形成されるポリイミドの層(C)は、体質顔料を含まないポリイミドの層であり、このポリイミドはベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミド(A)であってもよく、他の公知のポリイミドであってもよいが、好ましくは前記(A)のポリイミドである。
表層への形成(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなくて、かつ他の層例えば接着剤層などを介することなく密着するものであればよく、例えば、共押し出しによる方法、一方の層であるポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を流延してこれをイミド化する方法、体質顔料を含むフィルム(以下、(b)層ともいう)上に、体質顔料を含まないポリイミド層(以下、(a)層ともいう)のポリアミド酸溶液をスプレーコートなどで塗布してイミド化する方法などが挙げられる。
多層の構成は、少なくとも(a)層、(b)層が積層されておれば良いが、(b)層上に(a)層が積層されたもの、(a)/(b)/(a)の構成である(b)層の両面に(a)層が積層されたものが好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は特に限定されないが、本発明の主旨からして(a)/(b)の厚さの比(三層構成の場合においても(a)は単層での計算である)は0.001〜0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。(a)/(b)の厚さの比が0.5を超えるとスティフネスや機械的強度が不足したり線膨張係数が大きくなりすぎる場合がある。一方0.001未満の場合、表面特性特に表面平滑性の改良効果が不足する場合がある。
本発明の多層ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、フレキシブルプリント回路板の基材として用いる場合は、機械的強度を主に担う(b)層の厚さが10〜150μmであると好適である。
本発明のポリイミドフィルムの応用例であるプリント配線基板用ベース基板を説明する。
ここで、「プリント配線基板用ベース基板」とは、絶縁板の少なくとも片面に金属層を積層してなる構成の略平板状の基板である。積層される金属層は、エッチング等の加工によって回路を形成することが意図される回路用の金属層であってもよいし、特に後加工をせずに絶縁板と一緒になって放熱等の目的に用いられる金属層であってもよい。
「プリント配線基板用ベース基板」の用途としては、FPC、TAB用キャリアテープ、COF用基材、CSP用基材などが好ましい。
ポリイミドフィルムの少なくとも片面に積層される金属は特に限定はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ステンレス鋼などである。積層手段は特に問わず、以下のような手段が例示される。
・接着剤を用いて、ポリイミドフィルムに金属板を貼り付ける手段、
・ポリイミドフィルムに蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空コーティング技術を用いて金属層を形成する手段、
・無電解めっき、電気めっきなどの湿式メッキ法により金属層をポリイミドフィルムに形成する手段。
これらの手段を単独で、あるいは組み合わせることによってポリイミドフィルムの少なくとも片面に金属層を積層することができる。
なかでも、金属層を積層する方法としては、スパッタリングにより下地金属層を形成し、電気めっきにて厚付けする方法が好ましい態様として挙げられる。
この場合、下地金属としてはCu、Ni、Cr、Mo、Zn、Ti、Ag、Au、Fe等の単体又は合金を用いることができる。また、下地金属の上に導電化層としてCu等の良導体をさらにスパッタリングにて付着させてもよい。
下地層および導電化層の厚みは、好ましくは100〜5000Åである。
電気めっきする金属としては、Cuが好ましい。
金属層の厚さは特に制限はないが、当該金属層を回路用(導電性)とする場合には、その金属層の厚さは好ましくは1〜175μmであり、より好ましくは3〜105μmである。金属層を貼合わせたポリイミドフィルムを放熱基板として用いる場合には、金属層の厚さは、好ましくは50〜3000μmである。この金属層のポリイミドと接着される表面の表面粗さについては特に限定されないが、JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)における、中心線平均粗さ(以下Raと記載する)および十点平均粗さ(以下Rzと記載する)で表示される値が、Raについては0.1μm以下、Rzについては1.00μm以下であるものがフィルムと金属層との接着性向上の効果が大きく好ましい。その中でも特にこれらの条件を同時に満足するものが好ましい。なお、RaおよびRzは小さいほど好ましいが、入手・加工の容易さからRaの下限は0.0001μm、Rzの下限は0.001μmが例示される。
本発明で使用する金属層の表面には、金属単体や金属酸化物などといった無機物の塗膜を形成してもよい。また金属層の表面を、カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)による処理、サンドプラスト処理、ホ−リング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。同様に、ポリイミドフィルムの表面をホ−ニング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は、前記したもの以外は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
3.体質顔料の体積平均粒子径
測定対象の体質顔料を分散媒に分散し、堀場製作所社製のレーザー散乱式粒度分布計LB−500により粒子径分布を求め、体積平均粒子径を求めた。
4.ポリイミドフィルムの融点、ガラス転移温度
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温終了温度 ; 600℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.ポリイミドフィルムの熱分解温度
測定対象のポリイミドフィルムを充分に乾燥したものを試料として、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、試料の質量が5%減る温度を熱分解温度とみなした。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90℃〜100℃、100℃〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(平均値)として算出した。
なお、MD方向、TD方向の意味は、流れ方向(MD方向;長尺フィルムの長さ方向)および幅方向(TD方向;長尺フィルムの幅方向)を示すものである。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
7.引張破断強度、引張弾性率、引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、MD方向およびTD方向にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
〔参考例1〕
(体質顔料の予備分散)
タルク粉末250質量部、N−メチル−2−ピロリドン750質量部を混合し、5分間超音波照射を行い、さらにホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で5分間攪拌した後、15分間静置し、底に沈降した粗大粒子が入らないようにデカンテーションして別の容器をあけかえた。この操作を二回繰り返し、N−メチル−2−ピロリドンにて濃度を調整し、体質顔料粒子濃度20質量%のスラリーを得た。得られたスラリー中のタルクの体積平均粒子径は5.8μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、先のスラリー2090質量部を加えて完全に溶解させてから、217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、白褐色の粘調な体質顔料分散ポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
〔参考例2〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え,25℃の反応温度で36時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液bが得られた。このもののηsp/Cは5.2dl/gであった。
得られたポリアミド酸溶液Bに硫酸バリウム975質量部を加え、さらに12時間攪拌を継続し、白褐色の体質顔料分散ポリアミド酸溶液Bを得た。得られた体質顔料分散ポリアミド酸溶液をN,N−ジメチルアセトアミドにて希釈し、測定した硫酸バリウムの体積平均粒子径は7.3μmであった。
〔参考例3〕
(体質顔料の予備分散)
タルク924質量部、N−メチル−2−ピロリドン2000質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、2190質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、白褐色の粘調な体質顔料分散ポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.1dl/gであった。
〔参考例4〕
(体質顔料の予備分散)
アルミナ粉末887質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、白褐色の粘調な体質顔料分散ポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
〔実施例1、2、比較例1、2〕
参考例1〜4で得た体質顔料分散ポリアミド酸溶液を、24時間減圧脱泡した後、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑材面上に、定量ギアポンプ用いて搬送し、コンマコーターを用いてコーティング(ギャップは、860μm、塗工幅1240mm)後、110℃にて30分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ43μm、幅1200mmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンテンターに通し、第1段が200℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として450℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。熱処理炉内の最大風速は送風ノズル直下のフィルム面(表面から3cm程度上にて2.5m/秒とした。
なお風速の測定は「アネモマスター(登録商標)24−6111」(日本カノマックス株式会社製)を用いて風吹出し口の直下において該風速計の検出部を置いて測定したものである。なお、風速の測定は常温において送風系、駆動系を運転状態にして測定した値を充当したものである。これは風速検出部の耐熱性から高温での使用に問題があるためであり、送風系の制御をこの常温測定時の制御に相応して制御し、実風速を前記常温測定時の送風系制御値からの値を充当したものである。得られたフィルムの特性、製膜中の状態、目視観察したフィルムの表面状態を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例2で得られたグリーンフィルムの表面に参考例2で得られたポリアミド酸溶液bをコンマコーターを用いて乾燥厚みが7μmとなるように、塗布乾燥し、次いでグリーンフィルムを支持体より剥がし、剥がした面に同様に乾燥厚みが7μmとなるようにポリアミド酸溶液bを塗布乾燥した。
得られたグリーンフィルムは体質顔料を含むグリーンフィルムが、体質顔料を含まない厚さ7μmのポリアミド酸層にて挾まれた構造となる。さらにかかるグリーンフィルムを実施例2と同様の条件にて熱処理を行い、表面平滑な体質顔料フィラー含有フィルムを得た。得られたフィルムの特性、製膜中の状態、目視観察したフィルムの表面状態を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例1においてタルク粉末250質量部の代わりに鱗片状のマイカ粉末280質量部を用い、コンマコーターギャップを280ミクロン、乾燥時間を20分にした以外は同様に操作し、薄物体質顔料含有フィルムを得た。マイカの分散径は7.2μmであった。得られたフィルムの特性、製膜中の状態、目視観察したフィルムの表面状態を表1に示す。
〔比較例3)
参考例2で得られた体質顔料無添加のポリアミド酸溶液bを用いた他は実施例1と同様に操作し、体質顔料を含まないポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性、製膜中の状態、目視観察したフィルムの表面状態を表1に示す。
Figure 2007077231
実施例においては、比較例3に比較して引張弾性率が向上し、CTEも低くなっていることが分る。引張破断強度がやや低下しているが実用上問題ない程度である。それに比較し、比較例1、比較例2では明らかに引張破断強度が低下し、また製膜中でのトラブルも増加していることが分る。
以上述べてきたように、本発明の体質顔料含有フィルムは、高い弾性率と実用上十分な機械的強度を有し、スティフネスの改善された耐熱フィルムとして、多層配線板の基板材料、あるいは半導体パッケージや小型コネクタなどのスティフナー等として広く応用できる。

Claims (3)

  1. ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミド(A)が30〜98質量部と、体質顔料(B)が2〜70質量部とを主成分とするポリイミドフィルム。
  2. 体質顔料の体積平均粒子径が1.2〜15.0μmである請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. 請求項1又は2記載のポリイミドフィルムの少なくとも一方の面の表層に体質顔料を含まないポリイミド(C)の層が形成されたポリイミドフィルム。
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