しかしながら、基本機能と拡張機能との両方を実現するための回路が1つの器体内に収納されている場合、拡張機能を必要としない使用者にとっては、拡張機能が無駄になり、結果的に拡張機能の分だけ映像表示端末Aが不必要に大型、高価になるという問題がある。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、設置スペースを広げることなく拡張機能を付加することができ、且つ、拡張機能を必要としない使用者にとって不必要に大型、高価になることのない映像表示端末を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、壁に取り付けられ、相手側端末から信号線を介して送られる映像信号を受けて映像を表示可能な映像表示端末であって、壁内に後部を収める形で壁に固定される基本モジュールと、基本モジュールの前面側に着脱可能に装着され基本モジュールに電気的に接続される露出パネルとを備え、基本モジュールが、電源線が接続される電源端子部と、信号線が接続される信号端子部と、電源端子部に接続され内部回路および露出パネルに直流電源を供給する電源部とを有し、露出パネルが、映像を表示する映像表示部と、操作入力が可能な操作部と、操作部からの操作入力を受け付けて内部回路の動作を制御する全体制御部とを有し、基本モジュールに装着された状態で基本モジュールと共に基本機能を備えた基本装置を構成し、基本モジュールと露出パネルとの少なくとも一方には、前記基本機能以外の拡張機能を備え電源部から直流電源が供給される拡張モジュールを電気的に接続する接続手段が設けられ、露出パネルの背面側には、拡張モジュールを露出パネルの背面に沿って基本モジュールと並べて配置するための拡張スペースが設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、基本モジュールと露出パネルとの少なくとも一方には、基本機能以外の拡張機能を備え電源部から直流電源が供給される拡張モジュールを電気的に接続する接続手段が設けられ、露出パネルの背面側には、拡張モジュールを露出パネルの背面に沿って基本モジュールと並べて配置するための拡張スペースが設けられているので、拡張機能が必要な場合、拡張モジュールを拡張スペースに配置するとともに接続手段に接続することによって、基本機能に拡張機能を付加することができる。したがって、拡張アダプタを用いた従来構成のように、拡張機能を付加するために設置スペースを広げる必要はない。また、拡張機能を必要としない場合には、基本モジュールおよび露出パネルのみで映像表示端末を構成するようにすればよく、これにより、拡張機能を必要としない使用者にとって映像表示端末が不必要に大型、高価になることもない。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記拡張モジュールが、前記基本モジュールおよび前記露出パネル以外の外部機器を接続するための拡張端子部を有することを特徴とする。
この構成によれば、拡張モジュールを用いることで映像表示端末に外部機器を接続可能となり、映像表示端末の用途を広げることができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記拡張スペースに配置可能であって外部と電気的に接続する手段を持たないダミーモジュールと、前記拡張モジュールとのいずれか一方が、拡張スペースに取り付けられることを特徴とする。
この構成によれば、拡張スペースには、ダミーモジュールと拡張モジュールとのいずれか一方が取り付けられるので、拡張モジュールを使用しない場合でもダミーモジュールによって拡張スペースが確実に確保されることになる。したがって、映像表示端末が設置された後で拡張機能を付加する必要が生じた場合に、ダミーモジュールによって確保されている拡張スペースを利用して拡張モジュールを取り付けることができる。要するに、施工ミスにより拡張スペースが確保されておらず、拡張モジュールを取り付けることができないという事態を回避することができる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記露出パネルが前記基本モジュールを接続する基本用パネルコネクタと前記拡張モジュールを接続する拡張用パネルコネクタとを有し、基本モジュールが基本用パネルコネクタに接続されるパネル用基本コネクタと拡張モジュールを接続する拡張用基本コネクタとを有し、拡張モジュールが拡張用パネルコネクタに接続されるパネル用拡張コネクタと拡張用基本コネクタに接続される基本用拡張コネクタとを有することを特徴とする。
この構成によれば、露出パネルには基本モジュールと拡張モジュールとの両方が直接接続され、且つ基本モジュールと拡張モジュールとも互いに直接接続されることになるので、露出パネルと基本モジュールと拡張モジュールとの間でのデータのやり取りを高速化することができる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記露出パネルが前記基本モジュールを接続する基本用パネルコネクタと前記拡張モジュールを接続する拡張用パネルコネクタとを有し、基本モジュールが基本用パネルコネクタに接続されるパネル用基本コネクタを有し、拡張モジュールが拡張用パネルコネクタに接続されるパネル用拡張コネクタを有することを特徴とする。
この構成によれば、露出パネルには基本モジュールと拡張モジュールとの両方が直接接続され、基本モジュールと拡張モジュールとについては互いに直接接続されていないので、露出パネルと基本モジュールおよび拡張モジュールの各々との間でのデータのやり取りを高速化しつつ、基本モジュールと拡張モジュールとを直接接続するためのコネクタが不要になり低コスト化を図ることができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記基本モジュールが前記露出パネルを接続するパネル用基本コネクタと前記拡張モジュールを接続する拡張用基本コネクタとを有し、露出パネルがパネル用基本コネクタに接続される基本用パネルコネクタを有し、拡張モジュールが拡張用基本コネクタに接続される基本用拡張コネクタを有することを特徴とする。
この構成によれば、基本モジュールには露出パネルと拡張モジュールとの両方が直接接続され、露出パネルと拡張モジュールとについては互いに直接接続されていないので、基本モジュールと露出パネルおよび拡張モジュールの各々との間でのデータのやり取りを高速化しつつ、露出パネルと拡張モジュールとを直接接続するためのコネクタが不要になり低コスト化を図ることができる。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記拡張モジュールが、それぞれ拡張機能に用いる制御信号の入出力を行う信号処理部を複数有し、各信号処理部と前記基本用拡張コネクタとの間に、各信号処理部との間の複数の伝送路を集線し前記基本モジュールとの間の伝送路に接続する集線処理部を具備することを特徴とする。
この構成によれば、拡張モジュールにおける信号処理部の数にかかわらず、基本モジュールと露出パネルとの間の伝送路の数を少なく抑えることができるので、パネル用基本コネクタおよび基本用パネルコネクタのコンタクト数を低減することで、パネル用基本コネクタと基本用パネルコネクタとの間の接触信頼性の向上を図ることができる。また、拡張用基本コネクタおよび基本用拡張コネクタのコンタクト数を低減することで、拡張用基本コネクタと基本用拡張コネクタとの間の接触信頼性の向上も図ることができる。しかも、集線処理部は拡張モジュールに設けられているので、拡張機能を必要としない使用者にとって映像表示端末が集線処理部の分だけ不必要に大型、高価になることもない。
請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記拡張モジュールが前記基本モジュールとの通信用に複数の伝送路を有し、基本モジュールが、拡張モジュールとの間の複数の伝送路を集線し前記露出パネルとの間の伝送路に接続する集線処理部を有し、集線処理部が、拡張モジュールとの間の複数の伝送路に加えて前記相手側端末との通信用の伝送路を集線し露出パネルとの間の伝送路に接続することを特徴とする。
この構成によれば、基本モジュールと拡張モジュールとの間の伝送路の数にかかわらず、基本モジュールと露出パネルとの間の伝送路の数を少なく抑えることができるので、パネル用基本コネクタおよび基本用パネルコネクタのコンタクト数を低減することで、パネル用基本コネクタと基本用パネルコネクタとの間の接触信頼性の向上を図ることができる。しかも、基本モジュールと露出パネルとの間において、拡張モジュールと露出パネルとの通信用の伝送路が、相手側端末と露出パネルとの通信用の伝送路に利用されるので、基本モジュールと露出パネルとの間の伝送路の数をより少なく抑えることができ、パネル用基本コネクタと基本用パネルコネクタとの間の接触信頼性の向上を図ることができる。
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかの発明において、前記基本モジュールと前記拡張モジュールとが、互いに機械的に結合する結合手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、基本モジュールと拡張モジュールとを互いに機械的に結合することができるので、基本モジュールと拡張モジュールとの相対的な位置ずれが生じにくく、基本モジュールに露出パネルを装着したときに、拡張モジュールと露出パネルとの相対的な位置関係も安定するという利点がある。
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記結合手段が、前記基本モジュールと前記拡張モジュールとのいずれか一方に設けられた係合孔と、他方に設けられ係合孔に挿入されて係合孔の開口周縁に係合する係合突起とを有することを特徴とする。
この構成によれば、基本モジュールと拡張モジュールとを互いに機械的に結合するためにねじ等の他部材を用いる必要がないので、拡張モジュールの取付作業が簡単になる。
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかの発明において、前記基本モジュールおよび前記拡張モジュールが、前記壁内に埋設された前面開口の埋込ボックス内に後部を収める形で取り付けられ、埋込ボックスに螺合するねじが挿通される取付片を有することを特徴とする。
この構成によれば、基本モジュールおよび拡張モジュールは、周知の埋込型の配線器具と同様に埋込ボックスを用いて取付可能であるから、周知の埋込型の配線器具と同様、比較的簡単に取り付けられる。
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかの発明において、前記基本モジュールが、前面が矩形状であって、露出パネルを装着する際に露出パネルの一部に引っ掛かることで前面の一辺周りの露出パネルの回転の支点となる支点部を前面側に有し、前面における前記一辺に対向する他辺寄りの位置に、露出パネルと凹凸係合する係止手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、露出パネルの一部を基本モジュールの支点部に引っ掛けた状態で、露出パネルを基本モジュール側に回転させるだけで、係止手段が露出パネルと凹凸係合して露出パネルが基本モジュールに装着されることになる。したがって、基本モジュールに露出パネルを装着するためにねじ等の他部材を用いる必要がなく、露出パネルの取付作業が簡単になる。
本発明は、拡張機能が必要な場合、拡張モジュールを拡張スペースに配置するとともに接続手段に接続することによって、基本機能に拡張機能を付加することができるから、設置スペースを広げることなく拡張機能を付加することができる。また、拡張機能を必要としない場合には、基本モジュールおよび露出パネルのみで映像表示端末を構成するようにすればよく、これにより、拡張機能を必要としない使用者にとって映像表示端末が不必要に大型、高価になることもない。
以下の各実施形態では、宅内の壁に取り付けられ、宅外に設置された相手側端末50としてのドアホン子器に対して図2に示すように信号線6を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、相手側端末50との間で通話可能となるインターホン親機を映像表示端末Aの一例として、本発明の映像表示端末Aの構成を説明する。この映像表示端末Aは映像表示部12を備えており、来訪者を撮像するカメラ部51が設けられた相手側端末50に接続されることにより、相手側端末50のカメラ部51で撮像された映像を表示することができる。なお、相手側端末50は、カメラ部51の他、操作入力が可能な操作部52と、スピーカ53aおよびマイクロフォン53bを具備し映像表示端末Aとの通話時に音声の入出力を行う音声入出力部53と、音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部54と、信号線6が接続される端子部55とを有している。
(実施形態1)
本実施形態の映像表示端末Aは、図1(a)に示すように、壁内に後部を収める形で壁に固定される基本モジュールM1と、基本モジュールM1の前面側に着脱可能に装着される露出パネルPとを備えている。露出パネルPは基本モジュールM1に装着された状態で、相手側端末50との通話や相手側端末50のカメラ部51で撮像された映像の表示などを行う基本機能を備えた基本装置を基本モジュールM1と共に構成する。さらに、露出パネルPの背面側には基本機能以外の拡張機能を備えた拡張モジュールM2が設けられているが、この拡張モジュールM2は必要に応じて選択的に取り付けられるものであって、映像表示端末Aを構成する必須の要素ではない。以下では、映像表示端末Aを壁に取り付けた状態での上下左右を上下左右として映像表示端末Aの構成を説明する。
基本モジュールM1は、図1(a)に示すように、前面に矩形状の開口部を有する箱状に形成されたボディ1と、ボディ1の前面に覆着されるカバー2とで構成される器体3を備え、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)が器体3内に収納された構成を有する。さらに、基本モジュールM1は、ボディ1の後壁の2箇所に端子窓(図示せず)が貫設されており、商用電源供給用の電源線4(図2参照)が接続される電源端子部5(図2参照)を一方の端子窓から器体3の外部に露出させるように備え、信号線6が接続される信号端子部7(図2参照)を他方の端子窓(図示せず)から器体3の外部に露出させるように備えている。ボディ1とカバー2とは、カバー2の上下方向の各端部から後方に突出した結合片8に設けた孔に、ボディ1の上下方向の両端面における前端部に設けた結合爪9をそれぞれ係合させることにより結合される。
露出パネルPは、前面矩形状の薄箱状に形成されたパネルケース10を備え、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)がパネルケース10内に収納された構成を有する。さらに、露出パネルPは、パネルケース10の前壁の一部に透明な表示窓11が配設されており、液晶パネルからなる映像表示部12(図2参照)をパネルケース10内における表示窓11の後方に備えている。ここで、パネルケース10は、前面の左寄りの位置に表示窓11を有しており、表示窓11の右方には小孔が多数形成されたスピーカ取付部13が配設されるとともに、操作部14(図2参照)を構成する操作ハンドル15がスピーカ取付部13の下方に配設されている。さらに、表示窓11の左下方にはマイク用孔16が形成され、マイク用孔16の右方つまり表示窓11の下方には操作部14を構成する押釦17が左右方向に複数個(ここでは2個)列設されている。パネルケース10内において、スピーカ取付部13に対応する位置にはスピーカ18a(図2参照)が設けられ、マイク用孔16に対応する位置にはマイクロフォン18b(図2参照)が設けられ、スピーカ18aおよびマイクロフォン18bは、相手側端末50との通話時に音声の入出力を行う音声入出力部18を構成する。なお、パネルケース10内において各操作ハンドル15および各押釦17に対応する位置には、それぞれ各操作ハンドル15および各押釦17と共に操作部14を構成するスイッチ(図示せず)が設けられる。
また、拡張モジュールM2は、基本モジュールM1と同様にボディ1’とカバー2’とで構成される器体3’を備え、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)が器体3’内に収納された構成を有する。さらに、拡張モジュールM2は、ボディ1’の後壁の1箇所に端子窓(図示せず)が貫設されており、基本モジュールM1および露出パネルP以外の外部機器を接続するための拡張端子部19(図2参照)を端子窓から露出させるように備えている。ボディ1’とカバー2’とは、基本モジュールM1のボディ1およびカバー2と同様に結合片8’および結合爪9’を係合させることにより結合される。
本実施形態の基本モジュールM1および拡張モジュールM2は、図3(a)に示すように、壁内に設置された埋込型の配線器具用の埋込ボックスSBを用いて壁に取り付けられる。埋込ボックスSBは、前面に取付窓が開口した箱状に形成されており、上下方向に対向する一対の内側面には、それぞれ基本モジュールM1および拡張モジュールM2を埋込ボックスSBに固定する取付ねじ(図示せず)用のねじ孔21を有した器具固定突起22が複数個ずつ突設されている。ここで、器具固定突起22は埋込ボックスSBの取付窓からねじ孔21が露出するように、埋込ボックスSBの取付窓内に設けられる。壁面を構成する壁材Wにおいて埋込ボックスSBに対応する部分には矩形状の施工孔23が開設される。施工孔23は、埋込ボックスSBの取付窓より小さく、且つ器具固定突起22に設けたねじ孔21を全て露出させる大きさに形成される。
基本モジュールM1および拡張モジュールM2は、この施工孔23を通して前方から埋込ボックスSBに取り付けられるのであって、器体3、3’が後部を埋込ボックスSB内に収納可能な形状および寸法に形成されている。また、本実施形態では、基本モジュールM1の器体3は1連用の取付枠(図示せず)を2個まで取付可能な埋込ボックスSBに対応する大きさに形成されている。ここでいう1連用の取付枠とは、埋込型の配線器具用に規格化されている単位寸法の配線器具を幅方向(上下方向)に3個並べて取付可能な取付枠を意味しており、以下では、1連用の取付枠が左右方向に2個連接された寸法を「2連用」、3個連接された寸法を「3連用」と呼ぶ。すなわち、本実施形態の基本モジュールM1は、上下方向に対向する一対の内側面にそれぞれ器具固定突起22が2個ずつ設けられた2連用の埋込ボックスSBに取付可能な寸法に設定される。一方、拡張モジュールM2の器体3’は1連用の取付枠(図示せず)を1個取付可能な埋込ボックスSBに対応する大きさに形成されている。すなわち、拡張モジュールM2は、上下方向に対向する一対の内側面にそれぞれ器具固定突起22が1個ずつ設けられた1連用の埋込ボックスSBに取付可能な寸法に設定される。したがって、図3(a)に示す3連用の埋込ボックスSBに対しては、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを左右方向に並べて取付可能である。
より具体的に説明すると、基本モジュールM1のカバー2は、上下方向の各端面のそれぞれから互いに離れる向きに延設された一対の取付片24を連続一体に有する。一対の取付片24は、カバー2の左右方向の略全長にわたって形成される。各取付片24には、埋込型の配線器具を埋込ボックスSBに固定する際に用いられる取付枠と同様に、取付ねじを挿通するボックス用孔25がそれぞれ複数個(ここでは2個)ずつ形成され、かつ上下方向においてボックス用孔25より外側(つまり上側の取付片24においては上方、下側の取付片24においては下方)の部位には、後述する化粧プレート30を固定する固定ねじ(図示せず)用のプレート用孔26が複数個(ここでは2個)ずつ形成されている。なお、各取付片24はカバー2の他の部位に比較して前方に突出している。さらに、各取付片24のうち各ボックス用孔25の周囲は取付片24における他の部位よりも厚肉に形成されており、取付ねじを締め付けた際の器体3の変形を抑制するようにボックス用孔25の周囲を補強している。拡張モジュールM2においても同様に、カバー2’は一対の取付片24’を有し、各取り付け板24’には、ボックス用孔25’、プレート用孔26’がそれぞれ(ここでは1個ずつ)形成されている。
ところで、基本モジュールM1と露出パネルPとのそれぞれには、互いに係合することで基本モジュールM1に露出パネルPを装着する取付手段が設けられている。基本モジュールM1においては、図4(b)のように下側の取付片24の前面から突出した鉤片27と、上側の取付片24に設けた取付孔(図示せず)とが取付手段として設けられている。鉤片27は、取付片24の前面から前方に突出し、先端部が上方に延長されることによりL字状に形成されており、左右方向に複数個並設されている。露出パネルPにおいては、背面側の下端部であって各鉤片27に対応する位置にそれぞれ形成され鉤片27の先端部が挿入されることで鉤片27に引っ掛かる引掛穴29と、背面側の上端部であって各取付孔に対応する位置にそれぞれ突設された取付突起20とが取付手段として設けられている。取付突起20の先端部には上方に突出する係合爪28が設けられており、係合爪28は取付突起20の基端部側ほど取付突起20からの突出量が大きくなるように上面が傾斜している。
この構成により、基本モジュールM1の鉤片27の先端部を露出パネルPの引掛穴29に挿入した状態で、鉤片27を支点部として基本モジュールM1の前面の下辺周りで露出パネルPを回転させるように露出パネルPの上端部を基本モジュールM1側に押し付けて、露出パネルPの取付突起20を基本モジュールM1の取付孔に挿入し、係合爪28を係止手段としての取付孔に係合させれば、露出パネルPが基本モジュールM1に装着されることとなる。なお、拡張モジュールM2にも基本モジュールM1と同様の鉤片および取付孔を設けることにより、基本モジュールM1だけでなく拡張モジュールM2に対しても露出パネルPを装着可能としてもよい。
また、映像表示端末Aを埋込ボックスSBに取り付けただけの状態では、施工孔23内において映像表示端末Aと壁材Wとの間に隙間が生じることになる。そこで、埋込型の配線器具用の化粧プレート30が映像表示端末Aに取り付けられる。化粧プレート30は、図3(a)に示すように、露出パネルPの周囲を包囲する枠状のプレート枠30a、およびプレート枠30aの前面側に取着される化粧カバー30bとで構成される。プレート枠30aは取付片24のプレート用孔26に螺合する固定ねじにより固定され、化粧カバー30bは背面に突設された係止爪(図示せず)をプレート枠30aに設けられた係止穴(図示せず)に係止させることによりプレート枠30aに取り付けられる。これにより、施工孔23は映像表示端末Aおよび化粧プレート30によって塞がれることになる。ここでは3連用の化粧プレート30を用いている。なお、本実施形態では、壁面からの露出パネルPの前面の突出高さを壁面からの化粧プレート30の突出高さに揃えるように、壁面からの映像表示端末Aの突出量を設定している。
また、露出パネルPは前面が3連用の埋込ボックスSBに取付可能な配線器具と同等の大きさに形成され、左右方向の寸法が基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを左右方向に並設した寸法に略一致する。したがって、3連用の埋込ボックスSBに対して、基本モジュールM1と拡張モジュールM2との両方を左右方向に並べて取り付けた状態では、露出パネルPは基本モジュールM1と拡張モジュールM2との両方の前面を覆う形で装着されることになる。言い換えれば、露出パネルPの背面側には、拡張モジュールM2を露出パネルPの背面に沿って基本モジュールM1と並べて配置するための拡張スペースが設けられることになる。露出パネルPは、パネルケース10の上下方向の各端部が、基本モジュールM1に露出パネルPを装着した状態で基本モジュールM1の取付片24に突き合わされる。したがって、基本モジュールM1に露出パネルPを装着した状態では、露出パネルPが取付ねじの前面側を覆うことになる。ただし、プレート用孔26については基本モジュールM1に露出パネルPを装着した状態でも露出するように、露出パネルPは基本モジュールM1の前面に比較して上下方向の寸法が小さく設定されている。露出パネルPの左右両側面にはそれぞれ上下方向に長い係止リブ32が突設されており、露出パネルPは、基本モジュールM1にプレート枠30aを取り付けた状態で係止リブ32をプレート枠30aの左右両側片の各内側面に設けた係止片33に係合させるようにプレート枠30a内に嵌め込まれる。
ところで、映像表示端末Aの基本機能を実現するための内部回路は、基本モジュールM1と露出パネルPとに分割して設けられている。
すなわち、基本モジュールM1は、図2に示すように電源端子部5に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部(AC/DC電源部)34と、信号端子部7に接続され音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部35とを有している。本実施形態では、信号線6に音声信号と映像信号とが多重化されて伝送されており、そのため信号処理部35には多重化された音声信号と映像信号とを分離する多重分離部が設けられている。さらに信号処理部35は、信号線6の回線電圧に基づいて相手側端末50からの呼出を検出する呼出検出機能を備えている。電源部34は電源スイッチSW(図1(a)参照)を具備しており、電源端子部5に電源線4が接続されている状態では、電源スイッチSWのオン時に内部回路に給電し、電源スイッチSWのオフ時に内部回路への給電を停止する。電源スイッチSWは基本モジュールM1の前面側に露出している。
一方、露出パネルPは、図2に示すように少なくとも映像表示部12に接続され少なくとも映像信号を復調し映像表示部12に映像を表示させる全体制御部36を備えている。さらに露出パネルPは、電源部34から供給される直流電源を受電する受電回路部37も備えている。受電回路部37は、全体制御部36に接続されており、電源部34から受けた直流電源を所望の電圧に変換して全体制御部36に出力する。また、全体制御部36は音声入出力部18および操作部14にも接続されており、音声入出力部18での音声の入出力を可能にするとともに、操作部14からの操作入力を受け付けて内部回路の各部の動作を制御する。音声入出力部18は、全体制御部36とスピーカ18aとの間にスピーカ18aへの音声信号を増幅するスピーカアンプ18cを有し、全体制御部36とマイクロフォン18bとの間にマイクロフォン18bからの音声信号を増幅するマイクアンプ18dを有している。
露出パネルPは基本モジュールM1を接続するための基本用パネルコネクタCp1を有しており、基本モジュールM1は基本用パネルコネクタCp1に接続されるパネル用基本コネクタCm1Aを有しており、基本用パネルコネクタCp1とパネル用基本コネクタCm1Aとを互いに接続することにより、基本モジュールM1と露出パネルPとが互いに電気的に接続され、露出パネルPには電源部34から直流電源が供給される。ここに、パネル用基本コネクタCm1Aには基本モジュールM1内で信号処理部35および電源部34が接続されており、基本用パネルコネクタCp1には露出パネルP内で全体制御部36および受電回路部37が接続されている。
パネル用基本コネクタCm1Aは、基本モジュールM1の器体3内の回路基板に実装されており、カバー2に設けた接触端子孔38を通して基本モジュールM1の前面側に露出する。パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1は基本モジュールM1に露出パネルPを装着した状態で互いに突き合わされる位置に配設されており、基本モジュールM1に露出パネルPを装着するだけでパネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1が互いに接触することにより基本モジュールM1と露出パネルPとの電気的接続が完了する。したがって、基本モジュールM1に露出パネルPを装着する作業と基本モジュールM1に露出パネルPを電気的に接続する作業とを別々に行う場合に比べて、作業性が向上する。
ところで、拡張モジュールM2は、それぞれ拡張機能の異なる複数種類の拡張モジュールM2の中から択一的に選択可能であって、基本モジュールM1および露出パネルPからなる基本装置はこれら複数種類の拡張モジュールM2に共用される。すなわち、共通の基本モジュールM1および露出パネルPに対して複数種類の拡張モジュールM2を択一的に選択して装着することにより、映像表示端末Aの基本機能にそれぞれ異なる拡張機能を付加することができる。そのため、複数種類の拡張モジュールM2においては、基本モジュールM1や露出パネルPとの機械的結合手段および電気的接続手段の両方を共通の仕様としてある。拡張モジュールM2が備える拡張機能の例としては、別室に設けられたワイヤレス増設親機との通信を無線で行うワイヤレス機能や、インターネットに接続するためのインターネット接続機能や、電気錠に接続して電気錠の監視・制御を行う施解錠機能などがある。
本実施形態では、施解錠機能を拡張機能として備えた拡張モジュールM2を例示する。この拡張モジュールM2は、図2に示すように外部機器としての電気錠39を上述の拡張端子部19に制御線40を介して接続することにより、露出パネルPに設けた操作部14の操作に応じて電気錠39の施解錠を制御するものである。拡張モジュールM2は、拡張端子部19に接続され電気錠39の制御に用いる制御信号の入出力を行う信号処理部41を有している。さらに拡張モジュールM2は、電源部34から供給される直流電源を受電し所望の電圧に変換して信号処理部41に出力する受電回路部42を備えている。ここにおいて、露出パネルPには拡張モジュールM2を接続する接続手段としての拡張用パネルコネクタCp2が設けられ、拡張モジュールM2には拡張用パネルコネクタCp2に接続されるパネル用拡張コネクタCm2Aが設けられることにより、露出パネルPと拡張モジュールM2とが電気的に接続可能となっている。ここで、拡張用パネルコネクタCp2には露出パネルP内で全体制御部36が接続されており、パネル用拡張コネクタCm2Aには拡張モジュールM2内で信号処理部41が接続されている。
また、拡張モジュールM2の電源は、基本モジュールM1の電源部34から得ており、そのため、基本モジュールM1には拡張モジュールM2を接続する接続手段としての拡張用基本コネクタCm1Bが設けられ、拡張モジュールM2には拡張用基本コネクタCm1Bに接続される基本用拡張コネクタCm2Bが設けられている。ここで、拡張用基本コネクタCm1Bには基本モジュールM1内で電源部34が接続されており、基本用拡張コネクタCm2Bには拡張モジュールM2内で受電回路部42が接続されている。つまり、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとを接続することにより、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを電気的に接続することができ、拡張モジュールM2への電源供給が可能になる。
以上説明した映像表示端末Aの構成によれば、映像表示端末Aに基本機能だけでなく拡張機能(たとえば施解錠機能)が必要な場合、拡張モジュールM2を拡張スペースに配置するとともに露出パネルPおよび基本モジュールM1に接続することによって、基本機能に拡張機能を付加することができる。したがって、拡張アダプタを用いた従来構成のように、拡張機能を付加するために設置スペースを広げる必要はない。そのため、拡張機能を付加したために映像表示端末A周りが煩雑になり部屋の美観を損ねるということもない。一方、映像表示端末Aに拡張機能は不要であって基本機能のみでよい場合には、拡張モジュールM2を用いることなく、基本モジュールM1および露出パネルPのみで映像表示端末Aを構成するようにすればよい。したがって、拡張機能を必要としない使用者にとって映像表示端末Aが不必要に大型、高価になることもない。また、基本モジュールM1および露出パネルPからなる基本装置は複数種類の拡張モジュールM2に共用されるので、既設の映像表示端末Aの拡張機能を変更するだけであれば、既設の基本モジュールM1および露出パネルPを継続して使用することができ、映像表示端末A全体を交換する場合に比べて拡張機能の変更に要するコストを抑えることができるという利点もある。
次に、上述した映像表示端末Aを壁に取り付ける手順について図3を参照して説明する。まず基本モジュールM1に電源線4および信号線6を挿入接続したうえで、埋込ボックスSBに対して基本モジュールM1を取付ねじで固定するとともに、拡張モジュールM2に制御線40を挿入接続したうえで、埋込ボックスSBに対して拡張モジュールM2を取付ねじで固定する。それから、プレート枠30aを固定ねじで基本モジュールM1および拡張モジュールM2に取り付け、その後、露出パネルPを基本モジュールM1に装着する。そして、化粧カバー30bをプレート枠30aに装着すれば、取付作業は完了する。なお、この取付作業は、基本モジュールM1および拡張モジュールM2がスイッチ本体に相当し露出パネルPがスイッチハンドルに相当すると考えれば、埋込型の壁スイッチの取付作業に類似するから、この映像表示端末Aは壁スイッチと同様、比較的簡単に取り付けられる。
上述した構成の映像表示端末Aを相手側端末50と共に用いることにより構築されるインターホンシステムの動作について、以下に簡単に説明する。
映像表示端末Aは、来訪者により相手側端末50からの呼び出しがあった場合に、相手側端末50からの呼出音をスピーカ18aで出力するとともに相手側端末50のカメラ部51で撮像された映像を映像表示部12に表示する。そして、通話用の操作ハンドル15が押操作されると相手側端末50と通話可能な状態になる。このとき、映像表示部12には相手側端末50のカメラ部51で撮像された映像が表示されているので、訪問者を映像で確認しながらの通話が可能となる。通話用の操作ハンドル15が再度押操作されると相手側端末50との通話状態を終了し、映像表示部12での映像の表示も終了する。
拡張機能である施解錠機能についても以下に簡単に説明する。
露出パネルPの操作部14で所望の操作が為されると、全体制御部36は電気錠39を解錠するための解錠コマンドを生成し、拡張モジュールM2の信号処理部41に対して拡張用パネルコネクタCp1およびパネル用拡張コネクタCm2Aを介して前記解錠コマンドを出力する。拡張モジュールM2の信号処理部41は、入力された解錠コマンドを電気錠39に適合した信号形式の制御信号に変換し、この制御信号を電気錠39に対して拡張端子部19を介して送信する。解錠コマンドを受信した電気錠39は解錠状態となるように動作する。
また、上述した説明では、信号処理部41と受電回路部42とを備え、さらに外部と電気的に接続する手段(パネル側拡張コネクタCm2A、基本側拡張コネクタCm2B、拡張端子部19)を備えた拡張モジュールM2を拡張スペースに配置する例を示したが、このような拡張モジュールM2に代えて、外部と電気的に接続する手段を持たず、拡張モジュールM2と同一寸法であって合成樹脂製あるいは金属製の器体3’のみを持つダミーモジュール(図示せず)を、拡張スペースに取り付けるようにしてもよい。つまり、拡張スペースには、ダミーモジュールと拡張モジュールM2とのいずれか一方が取り付けられるのであって、拡張機能を使用しない場合でもダミーモジュールによって拡張スペースが確実に確保されることになる。
したがって、映像表示端末Aの設置当初には拡張機能が不要であったにもかかわらず、後に拡張機能を付加する必要が生じた場合に、ダミーモジュールによって確保されている拡張スペースを利用して拡張モジュールM2を取り付けることができる。要するに、施工ミスにより拡張スペースが確保されておらず、拡張モジュールM2を取り付けることができないという事態を回避することができる。また、将来的に拡張機能を使用する可能性すらなければ拡張スペースを省略することも考えられるが、この場合、壁材Wに形成される施工孔23は、基本モジュールM1を取り付けるためだけに設けられるから、露出パネルPの前面に比べて左右方向の寸法が拡張モジュールM2の分だけ小さくなる。そのため、施工孔23の中心が露出パネルPの中心に一致するものと勘違いして施工孔23を形成してしまうと、実際に露出パネルPを取り付けた際に露出パネルPが所望の取付位置から左右方向にずれて取り付けられてしまうといった施工ミスを生じ得る。これに対して、拡張スペースにダミーモジュールを配置するようにすれば、施工孔23の左右方向の寸法は露出パネルPの前面と略一致するので、露出パネルPの実際の取付位置は施工孔23を形成する際に容易に理解できる。したがって、上述した施工ミスを回避できる。
なお、本実施形態では、映像表示端末Aを壁に取り付けるために埋込ボックスSBを用いる例を示したが、この構成に限るものではなく、埋込ボックスSB以外の専用部材(たとえば埋込型の配線器具用の取付時に用いられる挟み金具)を用いて映像表示端末Aを壁に取り付けるようにしてもよい。
(実施形態2)
本実施形態の映像表示端末Aは、図5に示すように、基本モジュールM1と、露出パネルPと、拡張モジュールM2との間の電気的な接続関係が実施形態1の映像表示端末Aと相違する。
本実施形態では、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを直接接続するための拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとが省略され、拡張モジュールM2の受電回路部42がパネル用拡張コネクタCm2Aに接続されている。さらに、露出パネルPには、基本用パネルコネクタCp1から受電回路部37への給電経路を分岐して拡張用パネルコネクタCp2に給電する分岐配線43が設けられている。
この構成によれば、基本モジュールM1の電源部34から出力される直流電源は、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1を介して露出パネルPに供給される。露出パネルPに供給された直流電源は分岐配線43と拡張用パネルコネクタCp2とパネル用拡張コネクタCm2Aとを介して拡張モジュールM2にも供給される。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
本実施形態の映像表示端末Aは、図6に示すように、基本モジュールM1と、露出パネルPと、拡張モジュールM2との間の電気的な接続関係が実施形態1の映像表示端末Aと相違する。
本実施形態では、露出パネルPと拡張モジュールM2とを直接接続するための拡張用パネルコネクタCp2とパネル用拡張コネクタCm2Aとが省略され、拡張モジュールM2の信号処理部41が基本用拡張コネクタCm2Bに接続されている。さらに、基本モジュールM1には、拡張用基本コネクタCm1Bとパネル用基本コネクタCm1Aとの間をバイパスして拡張モジュールM2の信号処理部41を露出パネルPの全体制御部36に接続するバイパス配線44が設けられている。
この構成によれば、露出パネルPにおいて操作部14で所望の操作が為されると、全体制御部36は電気錠39を解錠するための解錠コマンドを生成し、基本用パネルコネクタCp1およびパネル用基本コネクタCm1Aを介して基本モジュールM1に出力する。基本モジュールM1で受けた解錠コマンドは、バイパス配線44と拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとを介して拡張モジュールM2の信号処理部41に伝達されることになる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態4)
本実施形態の映像表示端末Aは、図7〜9に示すように複数台の外部機器OP1〜OPnが接続され、露出パネルPに設けた操作部14の操作に応じてこれら複数台の外部機器OP1〜OPnをそれぞれ制御する拡張モジュールM2を、電気錠39の施解錠を制御する拡張モジュールM2に代えて採用している点が実施形態3の映像表示端末Aと相違する。
図7に示す拡張モジュールM2は、制御線40を介して外部機器OP1〜OPnが接続される拡張端子部19、および拡張端子部19に接続され外部機器OP1〜OPnの制御に用いる制御信号の入出力を行う信号処理部41を、外部機器OP1〜OPnごとにそれぞれ有している。ここで、各信号処理部41は基本用拡張コネクタCm2Bに対してパラレルに接続されている。各信号処理部41への電源供給は単一の受電回路部42によって行われる。この拡張モジュールM2は、各信号処理部41にそれぞれ対応するように基本モジュールM1との通信用の伝送路を複数有しており、これら複数の伝送路は、基本用拡張コネクタCm2Bと拡張用基本コネクタCm1Bとを接続することで実現される。
ところで、上述したように拡張モジュールM2が複数の信号処理部41を有する場合に、露出パネルPにおいて各信号処理部41と個別に通信可能とするため、露出パネルPと基本モジュールM1との間の伝送路に関しても複数設けることが考えられるが、露出パネルPと基本モジュールM1との間の伝送路の数が多くなると、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1のコンタクト数が多くなり、基本用パネルコネクタCp1とパネル用基本コネクタCm1Aとの間の接触信頼性が低下するという問題がある。
そこで、図7に示す構成例では、基本モジュールM1が、拡張モジュールM2との間の複数の伝送路を集線し露出パネルPとの間の伝送路に接続する集線処理部47を備える構成を採用している。集線処理部47は、たとえばマイコンなどで実現されるものであって、拡張用基本コネクタCm1Bに対しては各信号処理部41にそれぞれ対応する伝送路ごとにそれぞれバイパス配線44bによって個別に接続され、パネル用基本コネクタCm1Aに対してはバイパス配線44aにより接続され、複数のバイパス配線44bを択一的にバイパス配線44aに接続する。なお、信号処理部47をスイッチングハブで構成するようにしてもよい。
上述した構成によれば、集線処理部47を設けない場合に比べて、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1のコンタクト数を低減することができ、パネル用基本コネクタCm1Aと基本用パネルコネクタCp1との間の接触信頼性の向上を図ることができるという利点がある。
さらに、本実施形態では、図8に示すように集線処理部47が拡張モジュールM2との間の複数の伝送路に加えて相手側端末50との通信用の伝送路も集線するようにしてある。図8の例では、集線処理部47は基本モジュールM1内で信号処理部35に接続されており、バイパス配線44aに対して、信号処理部35および複数のバイパス配線44bを択一的に接続する。この構成によれば、基本モジュールM1と露出パネルPとの間において、拡張モジュールM2と露出パネルPとの通信用の伝送路が、相手側端末50と露出パネルPとの通信用の伝送路に兼用されることになるので、図7のように相手側端末50と露出パネルPとの通信用に専用の伝送路を設ける構成に比べて、基本モジュールM1と露出パネルPとの間の伝送路の数を少なく抑えることができ、パネル用基本コネクタCm1Aと基本用パネルコネクタCp1との間の接触信頼性の更なる向上を図ることができる。
また、本実施形態の他の例として、図9に示すように拡張モジュールM2内における基本用拡張コネクタCm2Bと各信号処理部41との間に、基本用拡張コネクタCm2Bに接続する信号処理部41を択一的に選択する集線処理部47’を設けるようにしてもよい。このように集線処理部47’を具備した拡張モジュールM2を用いれば、基本モジュールM1の集線処理部47を省略しても、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1のコンタクト数を低減することができる。すなわち、図9の構成によれば、集線処理部47’を設けたことでパネル用基本コネクタCm1Aと基本用パネルコネクタCp1との間の接触信頼性を向上させながらも、集線処理部47を基本モジュールM1に設けた図7の例のように、拡張機能を必要としない使用者にとって集線処理部47の分だけ映像表示端末Aが不必要に大型、高価になることもない。さらに、図9の構成では、拡張用基本コネクタCm1Bおよび基本用拡張コネクタCm2Bのコンタクト数を低減することで、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとの間の接触信頼性の向上も図ることができる。その他の構成および機能は実施形態3と同様である。
(実施形態5)
本実施形態の映像表示端末Aは、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを機械的に直接結合する結合手段を有する点が実施形態1の映像表示端末Aと相違する。
結合手段は、たとえば図10に示すように基本モジュールM1に設けられた一対の係合突起45と、拡張モジュールM2に設けられ前記一対の係合突起45が係止する係合孔46とを有する。係合突起45は、基本モジュールM1の器体3のうち拡張モジュールM2との対向面に突設されており、係合孔46は、拡張モジュールM2の器体3’のうち係合突起45に対応する各位置に貫設されている。一対の係合突起45は、器体3の表面に直交する向きに突出した突起部45aと、突起部45aの先端部から互いに離れる向き突出した爪部45bとを有しており、爪部45bは、突起部45aの基端部側ほど突起部45aからの突出量が大きくなるように三角形状に形成されている。これにより、基本モジュールM1の係合突起45を拡張モジュールM2の係合孔46に挿入すれば、一対の突起部45aが先端部同士を互いに近づけるように撓みながら係合孔46に挿入され、爪部45bが係合孔46の開口周縁に係合することにより基本モジュールM1と拡張モジュールM2とは機械的に結合されることになる。なお、拡張モジュールM2の器体3’の一部から基本モジュールM1側に突出する嵌合台(図示せず)を設け、この嵌合台に係合孔46を形成してもよい。
本実施形態の構成によれば、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを互いに機械的に結合することができるので、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とがそれぞれ個別に埋込ボックスSBに取り付けられるだけの構成に比べて、基本モジュールM1と拡張モジュールM2との相対的な位置を精度よく定めることができる。その結果、基本モジュールM1と拡張モジュールM2との相対的な位置ずれが生じにくく、基本モジュールM1に露出パネルPを装着したときに、拡張用パネルコネクタCp2とパネル用拡張コネクタCm2Aとの相対的な位置ずれが生じにくく、結果的に拡張用パネルコネクタCp2とパネル用拡張コネクタCm2Aとの電気的な接続状態が安定するという利点がある。
なお、拡張モジュールM2に係合孔46を設ける場合、拡張モジュールM2の器体3’内において係合孔46の周辺に係合突起45との干渉を避けるためのスペースを確保する必要があるので、拡張モジュールM2の器体3’内の容量が小さくなる。そこで、拡張モジュールM2の器体3’内の容量を増やすために、拡張モジュールM2に係合突起45、基本モジュールM1に係合孔46を設けるようにしてもよい。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
ところで、上述した各実施形態では、相手側端末50としてのドアホン子器に対して信号線6を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、相手側端末50との間で通話可能となるインターホン親機を映像表示端末Aの一例として説明したが、本発明は、インターホン親機に限らず、壁に取り付けられ相手側端末から信号線を介して送られる映像信号を受けて映像を表示可能な様々な映像表示端末Aに適用することができる。