以下の各実施形態では、宅内の壁に取り付けられ、宅外に設置された相手側装置50としてのドアホン子器に対して図2に示すように信号線6を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、相手側装置50との間で通話可能となるインターホン親機を情報通信装置Aの一例として、本発明の情報通信装置Aの構成を説明する。この情報通信装置Aは映像表示部12を備えており、来訪者を撮像するカメラ部51が設けられた相手側装置50に接続されることにより、相手側装置50のカメラ部51で撮像された映像を表示することができる。なお、相手側装置50は、カメラ部51の他、操作入力が可能な操作部52と、スピーカ53aおよびマイクロフォン53bを具備し情報通信装置Aとの通話時に音声の入出力を行う音声入出力部53と、音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部54と、信号線6が接続される端子部55とを有している。
(実施形態1)
本実施形態の情報通信装置Aは、図3(a)に示すように、壁内に後部を収める形で壁に固定される基本モジュールM1と、基本モジュールM1の前面側に着脱可能に装着される露出パネルPとを備えている。露出パネルPは基本モジュールM1に装着された状態で、相手側装置50との通話や相手側装置50のカメラ部51で撮像された映像の表示などを行う基本機能を備えた基本装置を基本モジュールM1と共に構成する。さらに、露出パネルPの背面側には基本機能以外の拡張機能を備えた拡張モジュールM2が設けられているが、この拡張モジュールM2は必要に応じて選択的に取り付けられるものであって、情報通信装置Aを構成する必須の要素ではない。以下では、情報通信装置Aを壁に取り付けた状態での上下左右を上下左右として情報通信装置Aの構成を説明する。
基本モジュールM1は、図3(a)に示すように、前面に矩形状の開口部を有する箱状に形成されたボディ1と、ボディ1の前面に覆着されるカバー2とで構成される器体3を備え、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)が器体3内に収納された構成を有する。さらに、基本モジュールM1は、商用電源供給用の電源線4(図2参照)が接続される電源端子部5(図1参照)と、信号線6が接続される信号端子部7(図1参照)とを器体3から露出させるように背面側に備えている。ボディ1とカバー2とは、カバー2の上下方向の各端部から後方に突出した結合片8に設けた孔に、ボディ1の上下方向の両端面における前端部に設けた結合爪9をそれぞれ係合させることにより結合される。
露出パネルPは、前面矩形状の薄箱状に形成されたパネルケース10を備え、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)がパネルケース10内に収納された構成を有する。さらに、露出パネルPは、パネルケース10の前壁の一部に透明な表示窓11が配設されており、液晶パネルからなる映像表示部12(図2参照)をパネルケース10内における表示窓11の後方に備えている。ここで、パネルケース10は、前面の左寄りの位置に表示窓11を有しており、表示窓11の右方には小孔が多数形成されたスピーカ取付部13が配設されるとともに、操作部14(図2参照)を構成する操作ハンドル15がスピーカ取付部13の下方に配設されている。さらに、表示窓11の左下方にはマイク用孔16が形成され、マイク用孔16の右方つまり表示窓11の下方には操作部14を構成する押釦17が左右方向に複数個(ここでは2個)列設されている。パネルケース10内において、スピーカ取付部13に対応する位置にはスピーカ18a(図2参照)が設けられ、マイク用孔16に対応する位置にはマイクロフォン18b(図2参照)が設けられ、スピーカ18aおよびマイクロフォン18bは、相手側装置50との通話時に音声の入出力を行う音声入出力部18を構成する。なお、パネルケース10内において各操作ハンドル15および各押釦17に対応する位置には、それぞれ各操作ハンドル15および各押釦17と共に操作部14を構成するスイッチ(図示せず)が設けられる。
また、拡張モジュールM2は、基本モジュールM1と同様にボディ1’とカバー2’とで構成される器体3’を備え、種々の電気部品が実装されている回路基板(図示せず)が器体3’内に収納された構成を有する。さらに、拡張モジュールM2は、基本モジュールM1および露出パネルP以外の外部機器を接続するための拡張端子部19(図1参照)を器体3’から露出させるように背面側に備えている。ボディ1’とカバー2’とは、基本モジュールM1のボディ1およびカバー2と同様に結合片8’および結合爪9’を係合させることにより結合される。
本実施形態の基本モジュールM1は、壁面からの器体3の突出量を小さく抑え、且つ、一般に普及している埋込型の配線器具との外観上の統一感を出すとともに、取り付けに用いる部材の低コスト化を図るために、壁内に設置された埋込型の配線器具用の埋込ボックスSBを用いて壁に取り付けられる。埋込ボックスSBは、前面開口の箱状に形成されており、上下方向に対向する一対の内側面には、それぞれ基本モジュールM1を埋込ボックスSBに固定する取付ねじ(図示せず)用のねじ孔21を有した器具固定突起22が複数個ずつ突設されている。壁面を構成する壁材Wにおいて埋込ボックスSBに対応する部分には矩形状の施工孔23が開設される。
基本モジュールM1は、この施工孔23を通して前方から埋込ボックスSBに取り付けられるのであって、器体3が後部を埋込ボックスSB内に収納可能な形状および寸法に形成されている。また、本実施形態では、基本モジュールM1の器体3は1連用の取付枠(図示せず)を2個まで取付可能な埋込ボックスSBに対応する大きさに形成されている。ここでいう1連用の取付枠とは、埋込型の配線器具用に規格化されている単位寸法の配線器具を幅方向(上下方向)に3個並べて取付可能な取付枠を意味しており、以下では、1連用の取付枠が左右方向に2個連接された寸法を「2連用」、3個連接された寸法を「3連用」と呼ぶ。すなわち、本実施形態の基本モジュールM1は、上下方向に対向する一対の内側面にそれぞれ器具固定突起22が2個ずつ設けられた2連用の埋込ボックスSBに取付可能な寸法に設定される。
より具体的に説明すると、基本モジュールM1のカバー2は、上下方向の各端面のそれぞれから互いに離れる向きに延設された一対の取付片24を連続一体に有する。一対の取付片24は、カバー2の左右方向の略全長にわたって形成される。各取付片24には、埋込型の配線器具を埋込ボックスSBに固定する際に用いられる取付枠と同様に、取付ねじを挿通するボックス用孔25がそれぞれ複数個(ここでは2個)ずつ形成されている。なお、各取付片24はカバー2の他の部位に比較して前方に突出している。さらに、各取付片24のうち各ボックス用孔25の周囲は取付片24における他の部位よりも厚肉に形成されており、取付ねじを締め付けた際の器体3の変形を抑制するようにボックス用孔25の周囲を補強している。
一方、拡張モジュールM2の器体3’は1連用の取付枠(図示せず)を1個取付可能な埋込ボックスSBに対応する大きさに形成されている。すなわち、拡張モジュールM2は、上下方向に対向する一対の内側面にそれぞれ器具固定突起22が1個ずつ設けられた1連用の埋込ボックスSBに収納可能な寸法に設定される。したがって、図3(a)に示す3連用の埋込ボックスSBに対しては、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを左右方向に並べて取付可能である。
ここにおいて、拡張モジュールM2は基本モジュールM1と機械的に結合されるものであって、拡張モジュールM2には基本モジュールM1の取付片24のように埋込ボックスSBに固定するための構造は適用されていない。つまり、拡張モジュールM2を単独で埋込ボックスSBに対して取り付けることはできず、拡張モジュールM2は基本モジュールM1と結合された状態で基本モジュールM1と共に埋込ボックスSBに対して取り付けられる。拡張モジュールM2と基本モジュールM1との機械的な結合の構造については後述する。
基本モジュールM1と露出パネルPとのそれぞれには、互いに係合することで基本モジュールM1に露出パネルPを装着する取付手段が設けられている。基本モジュールM1においては、下側の取付片24に設けた引掛孔27(図4参照)と、上側の取付片24に設けた取付孔26(図3(a)参照)とが取付手段として設けられている。引掛孔27は左右方向に複数個並設されており、取付孔26は一方のボックス用孔25の両側に貫設されている。露出パネルPにおいては、図4に示すように背面側の下端部であって各引掛孔27に対応する位置からそれぞれ突出し先端部が下方に延長されており、先端部が引掛孔27に挿入されることで引掛孔27に引っ掛かる鉤片29と、背面側の上端部であって各取付孔26に対応する位置にそれぞれ突設された取付突起20(図6参照)とが取付手段として設けられている。取付突起20の先端部には上方に突出する係合爪(図示せず)が設けられており、係合爪は取付突起20の基端部側ほど取付突起20からの突出量が大きくなるように上面が傾斜している。
この構成により、基本モジュールM1の引掛孔27に露出パネルPの鉤片29を引っ掛けた状態で、引掛孔27を支点部として基本モジュールM1の前面の下辺周りで露出パネルPを回転させるように露出パネルPの上端部を基本モジュールM1側に押し付けて、露出パネルPの取付突起20を基本モジュールM1の取付孔26に挿入し、係合爪を取付孔26に係合させれば、露出パネルPが基本モジュールM1に装着されることとなる。
また、露出パネルPは前面が3連用の埋込ボックスSBに取付可能な配線器具と同等の大きさに形成され、上下方向の寸法と左右方向の寸法とのいずれもが基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを左右方向に並設した寸法よりやや大きく設定されている。したがって、拡張モジュールM2を結合した基本モジュールM1を3連用の埋込ボックスSBに対して取り付けた状態では、露出パネルPは基本モジュールM1と拡張モジュールM2との両方の前面を覆う形で装着されることになる。言い換えれば、露出パネルPの背面側には、拡張モジュールM2を露出パネルPの背面に沿って基本モジュールM1と並べて配置するための拡張スペースが設けられることになる。
ここにおいて、情報通信装置Aの基本機能を実現するための内部回路は、基本モジュールM1と露出パネルPとに分割して設けられている。
すなわち、基本モジュールM1は、図2に示すように電源端子部5に接続され内部回路に直流電源を供給するAC/DC電源部(電源回路)34と、情報の授受を行う情報口としての信号端子部7に接続され音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部35とを有している。本実施形態では、信号線6に音声信号と映像信号とが多重化されて伝送されており、そのため信号処理部35には多重化された音声信号と映像信号とを分離する多重分離部が設けられている。さらに信号処理部35は、信号線6の回線電圧に基づいて相手側装置50からの呼出を検出する呼出検出機能を備えている。AC/DC電源部34は電源スイッチSW(図3(a)参照)を具備しており、電源端子部5に電源線4が接続されている状態では、電源スイッチSWのオン時に内部回路に給電し、電源スイッチSWのオフ時に内部回路への給電を停止する。電源スイッチSWは基本モジュールM1の前面側に露出している。
一方、露出パネルPは、図2に示すように、音声入出力部18や映像表示部12や操作部14等、情報の入出力を行う手段(情報入力手段および情報出力手段)の他、映像表示部12に接続され映像信号を復調し映像表示部12に映像を表示させる全体制御部36を備えている。さらに露出パネルPは、AC/DC電源部34から供給される直流電源を受電する受電回路部37も備えている。受電回路部37は、全体制御部36に接続されており、AC/DC電源部34から受けた直流電源を所望の電圧に変換して全体制御部36に出力する。また、全体制御部36は音声入出力部18および操作部14にも接続されており、音声入出力部18での音声の入出力を可能にするとともに、操作部14からの操作入力を受け付けて内部回路の各部の動作を制御する。音声入出力部18は、全体制御部36とスピーカ18aとの間にスピーカ18aへの音声信号を増幅するスピーカアンプ18cを有し、全体制御部36とマイクロフォン18bとの間にマイクロフォン18bからの音声信号を増幅するマイクアンプ18dを有している。
露出パネルPは基本モジュールM1を接続するための基本用パネルコネクタCp1を有しており、基本モジュールM1は基本用パネルコネクタCp1に接続されるパネル用基本コネクタCm1Aを有しており、基本用パネルコネクタCp1とパネル用基本コネクタCm1Aとを互いに接続することにより、基本モジュールM1と露出パネルPとが互いに電気的に接続され、露出パネルPにはAC/DC電源部34から直流電源が供給される。ここに、パネル用基本コネクタCm1Aには基本モジュールM1内で信号処理部35およびAC/DC電源部34が接続されており、基本用パネルコネクタCp1には露出パネルP内で全体制御部36および受電回路部37が接続されている。
パネル用基本コネクタCm1Aは、基本モジュールM1の器体3内の回路基板に実装されており、カバー2に設けた孔を通して基本モジュールM1の前面側に露出する。基本用パネルコネクタCp1は基本モジュールM1に露出パネルPを装着した状態でパネル用基本コネクタCm1Aと突き合わされる位置に配設されており、基本モジュールM1に露出パネルPを装着するだけでパネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1が互いに接触することにより基本モジュールM1と露出パネルPとの電気的接続が完了する。したがって、基本モジュールM1に露出パネルPを装着する作業と基本モジュールM1に露出パネルPを電気的に接続する作業とを別々に行う場合に比べて、作業性が向上する。
ところで、拡張モジュールM2は、それぞれ拡張機能の異なる複数種類の拡張モジュールM2の中から択一的に選択可能であって、基本モジュールM1および露出パネルPからなる基本装置はこれら複数種類の拡張モジュールM2に共用される。すなわち、共通の基本モジュールM1および露出パネルPに対して複数種類の拡張モジュールM2を択一的に選択して装着することにより、情報通信装置Aの基本機能にそれぞれ異なる拡張機能を付加することができる。そのため、複数種類の拡張モジュールM2においては、基本モジュールM1との機械的結合手段および電気的接続手段の両方を共通の仕様としてある。拡張モジュールM2が備える拡張機能の例としては、別室に設けられたワイヤレス増設親機との通信を無線で行うワイヤレス機能や、インターネットに接続するためのインターネット接続機能や、電気錠に接続して電気錠の監視・制御を行う施解錠機能などがある。
本実施形態では、施解錠機能を拡張機能として備えた拡張モジュールM2を例示する。この拡張モジュールM2は、図2に示すように外部機器としての電気錠39を上述の拡張端子部19に制御線40を介して接続することにより、露出パネルPに設けた操作部14の操作に応じて電気錠39の施解錠を制御するものである。拡張モジュールM2は、拡張端子部19に接続され電気錠39の制御に用いる制御信号の入出力を行う信号処理部41を有している。具体的には、露出パネルPの操作部14で所定の操作が為されると、全体制御部36は電気錠39を解錠するための解錠コマンドを生成し、拡張モジュールM2の信号処理部41に出力する。信号処理部41は、入力された解錠コマンドを電気錠39に適合した信号形式の制御信号に変換し、この制御信号を電気錠39に対して拡張端子部19を介して送信する。解錠コマンドを受信した電気錠39は解錠状態となるように動作する。さらに拡張モジュールM2は、AC/DC電源部34から供給される直流電源を受電し所望の電圧に変換して信号処理部41に出力する受電回路部42を備えている。
つまり、拡張モジュールM2の電源は、基本モジュールM1のAC/DC電源部34から得ており、そのため、基本モジュールM1には拡張モジュールM2を接続する接続手段としての拡張用基本コネクタCm1Bが設けられ、拡張モジュールM2には拡張用基本コネクタCm1Bに接続される基本用拡張コネクタCm2Bが設けられている。ここで、拡張用基本コネクタCm1Bには基本モジュールM1内でAC/DC電源部34が接続されており、基本用拡張コネクタCm2Bには拡張モジュールM2内で受電回路部42および信号処理部41が接続されている。さらに、基本モジュールM1には、拡張用基本コネクタCm1Bとパネル用基本コネクタCm1Aとの間をバイパスして拡張モジュールM2の信号処理部41を露出パネルPの全体制御部36に接続するバイパス配線44が設けられている。つまり、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとを接続することにより、拡張モジュールM2は基本モジュールM1と電気的に接続されることとなり、且つバイパス配線44を介して露出パネルPとも電気的に接続される。
次に、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを機械的に結合するための結合手段の構成について説明する。
本実施形態の結合手段は、図5(a)に示すように基本モジュールM1に形成された一対のガイド溝30と、図5(b)に示すように拡張モジュールM2に形成された一対のガイド突部31とを有する。
ガイド溝30は、基本モジュールM1における拡張モジュールM2と突き合わされる側の側面(ここでは右側面)の上下両端部に、それぞれ露出パネルPの背面に直交する方向(前後方向)に延長される形で形成されている。図示例では、各ガイド溝30は、器体3の右側面と上面との間の角部、および器体3の右側面と下面との間の角部のそれぞれに形成されており、ボディ1の前後方向の略全長に亘って延長されている。ガイド突部31は、拡張モジュールM2における基本モジュールM1と突き合わされる側の側面(ここでは左側面)の上下両端部にそれぞれ突設されている。各ガイド突部31は、それぞれガイド溝30に対応する形状に形成されており、ボディ1’の前後方向の略全長に亘って延長されている。
ここにおいて、一対のガイド突部31は、突出方向の先端側ほど互いに近づくように、前後方向に直交する断面が略台形状に形成されており、各ガイド溝30もまた、これらのガイド突起31に対応する形状に形成されている。さらに、ガイド溝30は後方に開放されており、当該ガイド溝30の当該開放端からガイド突部31をガイド溝30内に導入できるようにしてある。しかして、各ガイド突部31がそれぞれガイド溝30内に導入された状態では、ガイド突部31はガイド溝30の延長方向(前後方向)以外への移動が禁止される。
上述の構成により、拡張モジュールM2は、図1(a)に示すようにガイド突部31をガイド溝30に嵌め込むように基本モジュールM1に組み合わされ、この状態でガイド突部31がガイド溝30内に収まる位置まで前方にスライドさせられることで、図1(b)に示すように基本モジュールM1に対して機械的に結合されることとなる。すなわち、ガイド突部31は基本モジュールM1と拡張モジュールM2とが機械的に結合される位置(ガイド突部31がガイド溝30内に収まる位置)と、当該結合が解除される位置(ガイド突部31がガイド溝30から抜ける位置)との間で、ガイド溝30の延長方向に沿って移動可能になっている。
また、本実施形態では、拡張モジュールM2における基本モジュールM1側の側面(ここでは左側面)に、当該側面に直交する方向に進退可能に形成された係止爪32を設けるとともに、基本モジュールM1における拡張モジュールM2側の側面(ここでは右側面)に、係止爪32が係止される係止溝33を設けてある。係止爪32は、基本モジュールM1側に付勢されており、係止溝33は、基本モジュールM1に対して拡張モジュールM2が結合された状態(つまり、ガイド突部31がガイド溝30内に収まった状態)で係止爪32が係止する位置に配置されている。これにより、拡張モジュールM2が基本モジュールM1に結合した状態では、係止爪32が係止溝33に係止されることで、ガイド溝30からのガイド突部31の抜け止めが為されることとなる。なお、拡張モジュールM2を基本モジュールM1から取り外す際には、係止爪32を基本モジュールM1から離れる向きに操作した状態で、拡張モジュールM2を後方にスライドさせればよい。
ここで、基本モジュールM1の背面における拡張モジュールM2側の端部(ここでは右端部)と、拡張モジュールM2の背面における基本モジュールM1側の端部とのそれぞれには凹所45,46が凹設されており、基本モジュールM1に拡張モジュールM2を結合した状態ではこれらの凹所45,46が連通するようになっている。各凹所45,46の底面には、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとがそれぞれ配置されており、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとは図示しない配線部材によって接続される。
さらに、基本モジュールM1における凹所45の底面には、拡張モジュールM2側に開放された結合凹部48が凹設され、拡張モジュールM2における基本モジュールM1側の側面(左側面)には、拡張モジュールM2が基本モジュールM1に結合した状態で結合凹部48に嵌合する結合突起49が突設されている。結合凹部48は、拡張モジュールM2側ほど幅寸法が小さくなる蟻溝形状に形成されており、結合突起49は結合凹部48に対応する形状に形成されている。なお、ここでは結合突起49を結合凹部48に嵌合させた状態で、両凹所45,46の底面と結合突起49の背面とが面一となるようにしてある。
しかして、拡張モジュールM2が基本モジュールM1に結合した状態では、結合突起49が結合凹部48に嵌合することによって拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとの近傍で基本モジュールM1と拡張モジュールM2とが相対的に位置固定されるので、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとの間に相対的な位置ずれが生じにくく、基本モジュールM1と拡張モジュールM2との間の電気的接続の信頼性が高くなるという利点がある。
以上説明した構成によれば、情報通信装置Aに基本機能だけでなく拡張機能(たとえば施解錠機能)が必要な場合、拡張モジュールM2を拡張スペースに配置するとともに基本モジュールM1に接続することによって、基本機能に拡張機能を付加することができる。したがって、拡張アダプタを用いた従来構成のように、拡張機能を付加するために設置スペースを広げる必要はない。そのため、拡張機能を付加したために情報通信装置A周りが煩雑になり部屋の美観を損ねるということもない。一方、情報通信装置Aに拡張機能は不要であって基本機能のみでよい場合には、拡張モジュールM2を用いることなく、基本モジュールM1および露出パネルPのみで情報通信装置Aを構成するようにすればよい。したがって、拡張機能を必要としない使用者にとって情報通信装置Aが不必要に大型、高価になることもない。また、基本モジュールM1および露出パネルPからなる基本装置は複数種類の拡張モジュールM2に共用されるので、既設の情報通信装置Aの拡張機能を変更するだけであれば、既設の基本モジュールM1および露出パネルPを継続して使用することができ、情報通信装置A全体を交換する場合に比べて拡張機能の変更に要するコストを抑えることができるという利点もある。
さらにまた、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とは互いに機械的に結合される結合手段(ガイド溝30およびガイド突部31)を具備しているから、拡張モジュールM2を使用する場合に基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを結合することで1つのモジュールとして扱うことができ、情報通信装置Aの設置作業が容易になる等の利点もある。
また、上述した説明では、信号処理部41と受電回路部42とを備え、さらに外部と電気的に接続する手段(基本側拡張コネクタCm2B、拡張端子部19)を備えた拡張モジュールM2を拡張スペースに配置する例を示したが、このような拡張モジュールM2に代えて、外部と電気的に接続する手段を持たず、拡張モジュールM2と同一寸法であって合成樹脂製あるいは金属製の器体3’のみを持つダミーモジュール(図示せず)を、拡張スペースに取り付けるようにしてもよい。つまり、拡張スペースには、ダミーモジュールと拡張モジュールM2とのいずれか一方が取り付けられるのであって、拡張機能を使用しない場合でもダミーモジュールによって拡張スペースが確実に確保されることになる。
これにより、情報通信装置Aの設置当初には拡張機能が不要であったにもかかわらず、後に拡張機能を付加する必要が生じた場合に、ダミーモジュールによって確保されている拡張スペースを利用して拡張モジュールM2を取り付けることができる。要するに、施工ミスにより拡張スペースが確保されておらず、拡張モジュールM2を取り付けることができないという事態を回避することができる。また、将来的に拡張機能を使用する可能性すらなければ拡張スペースを省略することも考えられるが、この場合、壁材Wに形成される施工孔23は、基本モジュールM1を取り付けるためだけに設けられるから、露出パネルPの前面に比べて左右方向の寸法が拡張モジュールM2の分だけ小さくなる。そのため、施工孔23の中心が露出パネルPの中心に一致するものと勘違いして施工孔23を形成してしまうと、実際に露出パネルPを取り付けた際に露出パネルPが所望の取付位置から左右方向にずれて取り付けられてしまうといった施工ミスを生じ得る。これに対して、拡張スペースにダミーモジュールを配置するようにすれば、施工孔23の中心は露出パネルPの中心と略一致するので、露出パネルPの実際の取付位置は施工孔23を形成する際に容易に理解できる。したがって、上述した施工ミスを回避できる。
なお、本実施形態では、情報通信装置Aを壁に取り付けるために埋込ボックスSBを用いる例を示したが、この構成に限るものではなく、埋込ボックスSB以外の専用部材(たとえば埋込型の配線器具用の取付時に用いられる挟み金具)を用いて情報通信装置Aを壁に取り付けるようにしてもよい。
(実施形態2)
本実施形態の情報通信装置Aは、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを機械的に結合する結合手段の構成が実施形態1の情報通信装置Aと相違する。
結合手段は、図7に示すように基本モジュールM1と拡張モジュールM2との各々に形成され、他部材からなる連結具70をそれぞれ固定可能な連結具取着部を有する。ここでは、長手方向の両端部にそれぞれ透孔(図示せず)が形成された帯状の金属板を連結具70としており、当該連結具70は、基本モジュールM1および拡張モジュールM2の前面側において基本モジュールM1と拡張モジュールM2とに跨るように配置される。連結具取着部は、基本モジュールM1および拡張モジュールM2の器体3,3’の前面側であって連結具70の透孔に対応する位置にそれぞれ形成されたねじ孔(図示せず)からなる。連結具70は、長手方向の両端部がそれぞれ固定ねじ71によって各連結具取着部にねじ止めされることにより、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを機械的に連結する。なお、基本モジュールM1および拡張モジュールM2の器体3,3’の前面であって連結具70が配置される部位は連結具70が収納される溝が凹設されている。
本実施形態の構成によれば、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とは、各々の連結具取着部に連結具70をそれぞれねじ止めすることにより機械的に結合されるから、基本モジュールM1と拡張モジュールM2との間の機械的結合を強固なものとすることができる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
本実施形態の情報通信装置Aは、図8〜10に示すように複数台の外部機器OP1〜OPnが接続され、露出パネルPに設けた操作部14の操作に応じてこれら複数台の外部機器OP1〜OPnをそれぞれ制御する拡張モジュールM2を、電気錠39の施解錠を制御する拡張モジュールM2に代えて採用している点が実施形態1の情報通信装置Aと相違する。
図8に示す拡張モジュールM2は、制御線40を介して外部機器OP1〜OPnが接続される拡張端子部19、および拡張端子部19に接続され外部機器OP1〜OPnの制御に用いる制御信号の入出力を行う信号処理部41を、外部機器OP1〜OPnごとにそれぞれ有している。ここで、各信号処理部41は基本用拡張コネクタCm2Bに対してパラレルに接続されている。各信号処理部41への電源供給は単一の受電回路部42によって行われる。この拡張モジュールM2は、各信号処理部41にそれぞれ対応するように基本モジュールM1との通信用の伝送路を複数有しており、これら複数の伝送路は、基本用拡張コネクタCm2Bと拡張用基本コネクタCm1Bとを接続することで実現される。
ところで、上述したように拡張モジュールM2が複数の信号処理部41を有する場合に、露出パネルPにおいて各信号処理部41と個別に通信可能とするため、露出パネルPと基本モジュールM1との間の伝送路に関しても複数設けることが考えられるが、露出パネルPと基本モジュールM1との間の伝送路の数が多くなると、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1のコンタクト数が多くなり、基本用パネルコネクタCp1とパネル用基本コネクタCm1Aとの間の接触信頼性が低下するという問題がある。
そこで、図8に示す構成例では、基本モジュールM1が、拡張モジュールM2との間の複数の伝送路を集線し露出パネルPとの間の伝送路に接続する集線処理部47を備える構成を採用している。集線処理部47は、たとえばマイコンなどで実現されるものであって、拡張用基本コネクタCm1Bに対しては各信号処理部41にそれぞれ対応する伝送路ごとにそれぞれバイパス配線44bによって個別に接続され、パネル用基本コネクタCm1Aに対してはバイパス配線44aにより接続され、複数のバイパス配線44bを択一的にバイパス配線44aに接続する。なお、信号処理部47をスイッチングハブで構成するようにしてもよい。
上述した構成によれば、集線処理部47を設けない場合に比べて、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1のコンタクト数を低減することができ、パネル用基本コネクタCm1Aと基本用パネルコネクタCp1との間の接触信頼性の向上を図ることができるという利点がある。
さらに、図9に示すように集線処理部47が拡張モジュールM2との間の複数の伝送路に加えて相手側装置50との通信用の伝送路も集線する構成としてもよい。図9の例では、集線処理部47は基本モジュールM1内で信号処理部35に接続されており、バイパス配線44aに対して、信号処理部35および複数のバイパス配線44bを択一的に接続する。この構成によれば、基本モジュールM1と露出パネルPとの間において、拡張モジュールM2と露出パネルPとの通信用の伝送路が、相手側装置50と露出パネルPとの通信用の伝送路に兼用されることになるので、図8のように相手側装置50と露出パネルPとの通信用に専用の伝送路を設ける構成に比べて、基本モジュールM1と露出パネルPとの間の伝送路の数を少なく抑えることができ、パネル用基本コネクタCm1Aと基本用パネルコネクタCp1との間の接触信頼性の更なる向上を図ることができる。
また、本実施形態の他の例として、図10に示すように拡張モジュールM2内における基本用拡張コネクタCm2Bと各信号処理部41との間に、基本用拡張コネクタCm2Bに接続する信号処理部41を択一的に選択する集線処理部47’を設けるようにしてもよい。このように集線処理部47’を具備した拡張モジュールM2を用いれば、基本モジュールM1の集線処理部47を省略しても、パネル用基本コネクタCm1Aおよび基本用パネルコネクタCp1のコンタクト数を低減することができる。すなわち、図10の構成によれば、集線処理部47’を設けたことでパネル用基本コネクタCm1Aと基本用パネルコネクタCp1との間の接触信頼性を向上させながらも、集線処理部47を基本モジュールM1に設けた図8の例のように、拡張機能を必要としない使用者にとって集線処理部47の分だけ情報通信装置Aが不必要に大型、高価になることもない。さらに、図10の構成では、拡張用基本コネクタCm1Bおよび基本用拡張コネクタCm2Bのコンタクト数を低減することで、拡張用基本コネクタCm1Bと基本用拡張コネクタCm2Bとの間の接触信頼性の向上も図ることができる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
ところで、上述した各実施形態では、基本モジュールM1と露出パネルPとを直接接続するとともに、基本モジュールM1と拡張モジュールM2とを直接接続する構成を例示したが、これに限らず、たとえば拡張モジュールM2を基本モジュールM1に代えて露出パネルPに直接接続する構成を採用することなども可能である。また、上記各実施形態では、相手側装置50としてのドアホン子器に対して信号線6を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、相手側装置50との間で通話可能となるインターホン親機を情報通信装置Aの一例として説明したが、本発明は、インターホン親機に限らず様々な情報通信装置Aに適用することができる。
さらにまた、上記各実施形態では、基本モジュールM1並びに拡張モジュールM2を埋込型とした情報通信装置Aについて説明したが、基本モジュールM1並びに拡張モジュールM2は埋込型に限るものではなく、壁面に背面を対向させる形で壁に固定される露出型の基本モジュールM1並びに拡張モジュールM2を備えた情報通信装置Aに本発明を適用してもよい。