JP4876334B2 - ヒアルロン酸産生能増強剤およびその用途 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のホスフェート誘導体(環状リン酸エステル)を用いる動物細胞におけるヒアルロン酸の産生増強能作用を有する産生増強剤、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の発現促進剤及び皮膚外用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒアルロン酸は、脊椎動物のあらゆる組織に認められ、コラーゲンやエラスチンなどとともに細胞外にマトリックスを構築している。その役割は十分に解明されていないが、組織の弾力性や伸縮性の他に細胞増殖や遊走性の制御(R.Kosak,et al.,Cancer Res.,59,5,1141−5頁,1999年)やヒアルロン酸と結合するコンドロイチンやフィブリノーゲン、I型・VI型コラーゲンとの会合状態の制御(C.A.McDevitt,et al.,FEBS Lett.,294,3,167−70頁,1991年)など多彩で生理的にも重要な役割を担っていることが知られている。
暦的加齢において強調される皮膚の硬化あるいは弾力性の低下なども皮膚の真皮線維芽細胞によるヒアルロン酸などのグリコサミノグリカン量の低下がその原因の一つとして挙げられる(L.J.Meyer,et al.,J.Invest.Dermatol.,102,3,385−9頁,1994年)。そのような観点から、これまで、皮膚の暦的加齢を軽減する手段として、皮膚のヒアルロン酸産生能を回復させる細胞賦活剤の開発が試みられてきた。
【0003】
これまで、インターロイキン類やプロスタノイド類などがヒアルロン酸産生能を増強する物質として報告されているが、炎症系のメディエーターでもあることから安全性などの面で実際に前記の化合物を使用することは困難となっていた。また、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)や血小板由来成長因子(PDGF)などの成長因子もヒアルロン酸の産生を増強させることが報告されている(P.Heldin,et al.,Biochem.J.,258,3,919−22頁,1989年)。しかし、これらの成長因子は、一般に調製および精製が困難な上に安定性にも乏しく、分子量の点から無傷皮膚内へ浸透することも期待できず、実用性の点からは問題が多い。
そのため、皮膚の暦的加齢を軽減する他の手段として、卵白酵素分解物(特開平5−271049号公報)やリゾリン脂質(特開平8−67619号公報、特開平8−67620号公報、特開平8−67621号公報)、シソ科植物(特開平10−95735号公報)、クワ科植物(特開平11−60496号公報)あるいはデヒドロアンドロステロン(特開平11−193236号公報)が開示されてきた。しかしながら、皮膚においてヒアルロン酸産生能を増強する可能性および機序については依然として未解明な部分もある。したがって、安全で、より効果的なヒアルロン酸産生を亢進する新規な化合物が望まれている。
【0004】
ヒアルロン酸の減少は、前述したように暦的加齢に伴って認められるが、ヒアルロン酸含有率の著しく高い胎児や幼児では皮膚の創傷治癒後の瘢痕形成は極めて軽微であり、この原因の一つとしてヒアルロン酸の関与が広く認められている。ヒアルロン酸の減少は、皮膚の暦的加齢以外にステロイドの反復投与などによっても引き起され、皮膚の萎縮などの外観上好ましくない問題を伴う(R.M.Lavker,et al.,J.Am.Acad.Dermatol.,26,4,535−44頁,1992年)。したがって、美容上の観点から成人皮膚の創傷治療の際に瘢痕の形成を回避するため、あるいはステロイドの反復投与による皮膚の萎縮の軽減のため、皮膚細胞によるヒアルロン酸産生を増強させる何らかの手段が望まれている。このために例えば、リゾホスファチジン酸を使用することが考えられ、顕著なヒアルロン酸産生増強作用が確認されているが、これは、細胞培養実験において腸間膜由来の中皮細胞への腹水肝がんの浸潤を亢進する恐れがあることが報告されている(F.Imamura,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,193,2,497−503頁,1993年)。したがって、このような問題のないヒアルロン酸産生増強能を有するアナログ体が望まれていた。
【0005】
一方、リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルは、DNAポリメラーゼα阻害剤(特開平7−258278号公報)やがん転移抑制剤(特開平9−25235号公報)として開示されているが、ヒアルロン酸産生能を増強させる細胞賦活剤としての働きは全く知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、皮膚の暦的加齢やステロイドの反復投与などによる皮膚の萎縮および創傷治癒後の瘢痕形成を防止するため、細胞を賦活化しヒアルロン酸の産生分泌を亢進させる特定のリン化合物であるヒアルロン酸産生増強剤を提供することにある。
また本発明の第2の目的は、従来のヒアルロン酸産生増強剤より使用が簡便かつ、より優れた効果を有する特定のリン化合物であるヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤を提供することにある。
さらに本発明の第3の目的は、皮膚の萎縮および瘢痕形成を防止する皮膚外用剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み、動物細胞においてヒアルロン酸の産生能を増強する物質について検討した結果、特定の構造のリゾホスファチジン酸の環状リン酸エステルが動物細胞におけるヒアルロン酸の産生を効果的に促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、下記式[I]
【0008】
【化7】
【0009】
(式中ROは、炭素数16〜22のアルコール残基または脂肪酸残基を示す。Mはアルカリ金属原子を表す。)で表されるホスフェート誘導体を有効成分とする動物細胞培養用のヒアルロン酸産生能増強剤が提供される。
また本発明によれば、下記式[I]
【0010】
【化8】
【0011】
(式中ROは、炭素数16〜22のアルコール残基または脂肪酸残基を示す。Mはアルカリ金属原子を表す。)で表されるホスフェート誘導体を有効成分とする動物細胞培養用のヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の発現促進剤が提供される。
更に本発明によれば、組成物100g当り、下記式[I]
【0012】
【化9】
【0017】
(式中ROは、炭素数16〜22のアルコール残基または脂肪酸残基を示す。Mはアルカリ金属原子を表す。)で表されるホスフェート誘導体0.1mg以上と、塩基性繊維芽細胞成長因子0.001mg以上とを含む皮膚外用組成物が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるホスフェート誘導体は、下記式[I]で表されるリゾホスファチジン酸環状リン酸エステル(以下、cPA誘導体と略す。)である。
【0021】
【化13】
【0022】
式中ROは、炭素数16〜22のアルコール残基、炭素数16〜22の脂肪酸残基を示す。ここで、炭素数16〜22のアルコール残基、炭素数16〜22の脂肪酸残基としては、いかなる基でもよいが、好ましくは、(1)炭素数16〜22の直鎖状の飽和アシル残基、(2)炭素数16〜22の分岐鎖状の飽和アシル残基、(3)炭素数16〜22の直鎖状で1〜6個の不飽和結合を有する不飽和アシル残基、(4)炭素数16〜22の直鎖状の飽和アルキル残基、(5)炭素数16〜22の分岐鎖状の飽和アルキル残基、(6)炭素数16〜22の直鎖状で1〜6個の不飽和結合を有する不飽和アルキル残基である。前記(1)の炭素数16〜22の直鎖状の飽和アシル残基としては、パルミチン酸(C16:0)、マルガリン酸(C17:0)、ステアリン酸(C18:0)、ノナデカン酸(C19:0)、アラキジン酸(C20:0)、ヘネイコサン酸(C21:0)、ベヘニン酸(C22:0)等に由来する残基が挙げられる。前記(2)の炭素数16〜22の分岐鎖状の飽和アシル残基としてはイソバレリアン酸、イソ酸、アンテイソ酸等に由来する残基が挙げられる。前記(3)の炭素数16〜22の直鎖状で1〜6個の不飽和結合を有する不飽和アシル残基としては、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸(C18:1)、バクセン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、アラキドン酸(C20:4)、イコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C22:1)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)等の不飽和脂肪酸に由来する残基が挙げられる。前記(4)の炭素数16〜22の直鎖状の飽和アルキル残基としては、ヘキサデカノール(C16:0)、ヘプタデカノール(C17:0)、オクタデカノール(C18:0)、ノナデカノール(C19:0)、イコサノール(C20:0)、ヘネイコサノール(C21:0)、ドコサノール(C22:0)等のアルコール類に由来する残基が挙げられる。前記(5)の炭素数16〜22の分岐鎖状の飽和アルキル残基としてはイソバレリアノール、イソノール、アンテイソノール等のアルコール類に由来する残基が挙げられる。前記(6)の炭素数16〜22の直鎖状で1〜6個の不飽和結合を有する不飽和アルキル残基としては、ヘキサデセノール(C16:1)、オクタデセノール(C18:1)、イコセノール(C20:1)、ドコセノール(C20:1)、リノール(C18:2)、リノレノール(C18:3)、エイコセノール(C20:4)、イコサペンタエノール(C20:5)、エルカノール(C22:1)、ドコサヘキサノール(C22:6)等に由来する残基が挙げられる。これらのうち、炭素数16〜22の炭化水素基としては、ホスフェート誘導体としての取扱いのしやすさ、および活性の強さなどの点からパルミチン酸(C16:0)、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、アラキドン酸(C20:4)、イコサペンタエン酸(C20:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)に由来する残基が最も好ましい。
【0023】
式中Mは、アルカリ金属原子を表す。前記アルカリ金属原子としてはナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0024】
前記式[I]で表されるホスフェート誘導体は、リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルとして総称される化合物である。本発明に用いる前記式[I]で表されるリゾホスファチジン酸環状リン酸エステルは、通常、1−アシル−グリセロ−2,3−ホスフェート誘導体または1−O−アルキル−グリセロ−2,3−ホスフェート誘導体とも呼ばれる物質である。
【0025】
本発明で使用する前記式[I]で表されるホスフェート誘導体としては、いかなる手段によって入手されてもよいが、例えば、1−アシル−グリセロ−2,3−ホスフェート誘導体は市販のものであってよく、あるいは市販のホスファチジルコリンやフォスファチジン酸などのリン脂質を酵素処理して入手することもできる。また、1−アシル−グリセロ−2,3−ホスフェート誘導体は種々の生物資源を原料とし、抽出などの処理により得ることができる。また、1−アシル−グリセロ−2,3−ホスフェート誘導体を、ジシクロヘキシルカルボジイミド存在下に脂肪酸と2,3−イソプロピリデン−sn−グリセロールから化学合成して得る方法が、特開平6−228169号公報、特開平7−25827号公報、特開平9−25235号公報に示されており、それらの方法で合成して得ることもできる。
また、1−O−アルキル−グリセロ−2,3−ホスフェート誘導体は市販のものであってもよく、あるいは合成あるいは生体より抽出した血小板活性化因子、プラスマローゲンあるいはその他の1−O−アルキルリゾリン脂質をホスホリパーゼDやホスホリパーゼA2で酵素処理して得ることもできる。あるいは1−O−アルキル−2,3−ホスフェート誘導体は市販の1−O−アルキル−グリセロールをピリジン溶媒中でオキシ塩化リンと化学反応させて得る方法が、US005238965Aに示されており、それらの方法で合成して得ることもできる。
【0026】
本発明で使用する前記式[I]で表されるホスフェート誘導体は、これを有効成分とすることにより、動物細胞培養用のヒアルロン酸産生能増強剤として使用することができる。また、本発明で使用する前記式[I]で表されるホスフェート誘導体は、これを有効成分とすることにより、動物細胞培養用のヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤としても使用することができる。即ち、前記式[I]で表されるホスフェート誘導体は、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤として働くことにより、動物細胞のヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現を促進してヒアルロン酸産生を増強することができるものである。
【0027】
本発明のヒアルロン酸産生能増強剤、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤は、培養動物細胞に適用されるが、この対象となる培養動物細胞としては、いかなる培養動物細胞であってよく、好ましくはヒト、牛、馬、豚、綿羊、山羊、犬、猫、猿、モルモット、鼠、ウサギ、鶏などの動物細胞が挙げられる。ヒアルロン酸産生能増強剤、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤は、それぞれの効果が十分発揮される程度の濃度で培養動物細胞に適用することにより、ヒアルロン酸産生増強剤、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤として作用するものである。本発明の化合物の使用量は、化合物の種類および細胞培養条件や培養動物細胞の組織など条件により最適量が異なるので限定できないが、例えば、培養液100ml当り10μg以上が好ましく、さらに好ましくは0.1mg〜0.5mg含有させるとよい。
【0028】
本発明のヒアルロン酸産生能増強剤、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤は、前記式[I]で表されるホスフェート誘導体を、単独で使用してもよいし、また2種類以上を配合しても使用してもよい。
【0029】
前記cPAは、細胞成長因子およびその他の成分とあわせて、動物細胞におけるヒアルロン酸産生の促進に十分な濃度で含有されることにより、皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物とすることができる。前記cPAを皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物に配合して含有させる場合、皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物100g当り、cPAを0.1mg以上好ましくは1mg〜10g含有させるとよい。組成物中、cPAの含有率が0.1mg未満ではヒアルロン酸産生増強の目的を十分には発揮しえず、10gを大幅に越える含有率においては使用量に見合う著しい効果が期待できない。また、細胞成長因子の配合量は適宜選択されてよいが、製剤100g当り、0.001mg以上含有させるのが好ましく、さらに好ましくは0.01mg〜5g含有させるとよい。
【0030】
本発明に用いられる細胞成長因子は、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)である。他の基礎生物学領域や臨床医学領域で細胞成長因子としては、例えば、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、インシュリン様成長因子、VEGF、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長因子、神経成長因子等の成長因子類が挙げられる。本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物は、細胞成長因子を添加するのに加え、本発明の効果を損なわない範囲において、当該分野で既知の他の成分を併用してもよい。本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物は、水溶液、油液、その他の溶液、乳液、クリーム、ゲル、懸濁液、マイクロカプセル、粉末、顆粒、固形などの形態をとることができる。また、皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物は、前記形態にそれ自体既知の方法で調製した上で、ローション製剤、乳液剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ハップ剤、エアゾール剤等として、身体に塗布、貼付、噴霧することができる。これらの製剤形の中でもローション製剤、乳液剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ハップ剤、エアロゾール剤、固形物等の形態が、本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物に適する製剤形である。本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物は、医薬品、医薬部外品、化粧料として使用できる。
【0031】
本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物には、それらを調製する際に常用されている賦形剤、香料等をはじめ、油脂類、界面活性剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子、増粘剤、粉末成分、紫外線防御剤、保湿剤、薬効成分、酸化防止剤、pH調整剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤等を適宜配合できる。
【0032】
本発明の効果を損なわない範囲内で、前記組成物に油脂類を配合してもよい。前記油脂類としては、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、リン脂質、スフィンゴ脂質、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン類がある。具体的には、液体油脂として、例えば、アボガド油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。ロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ペイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸へキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POE(以下、ポリオキシエチレンを同様に略す。)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プウスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の油分が挙げられる。リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、フォスファチジン酸やこれらを酵素処理したもの等が挙げられる。スフィンゴ(糖)脂質としてはスフィンゴシン、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド等が挙げられる。
【0033】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、べへン(べヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、イコサペンタエン酸(IPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられ、さらに置換基を有する高級脂肪酸としては、α−ヒドロキシ酸(例えば、2−ハイドロキシデカン酸、2−ハイドロキシドデカン酸、2−ハイドロキシテトラデカン酸、2−ハイドロキシヘキサデカン酸、2−ハイドロキシオクタデカン酸、2−ハイドロキシイコ酸)、分岐鎖α−ヒドロキシ酸(例えば、メチル2−ハイドロキシデカン酸、メチル2−ハイドロキシドデカン酸、メチル2−ハイドロキシテトラデカン酸、メチル2−ハイドロキシヘキサデカン酸、メチル2−ハイドロキシオクタデカン酸、メチル2−ハイドロキシイコ酸)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレィルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フイトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分岐鎖アルコール等が挙げられる。
【0034】
合成エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸プチル、ラウリン酸へキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、1,2−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−へキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸プチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
シリコーン類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;デカメチルポリシロキサン、テトラメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどの環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0035】
本発明で使用する前記式[I]で表される化合物は、それら自体界面活性を示すが、組成物によって他のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を併用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、さらに混合脂肪酸等の塩(やし脂肪酸セッケン、牛脂脂肪酸セッケン)あるいは前記脂肪酸のカリウム塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸等の高級アルキル硫酸エステル塩;POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸化油;POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフインスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0036】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ−2−ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−へプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0037】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルへキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、リンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベへニルエステル、POE−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;プルロニツク等のプルアロニツク型類、POE− POP(ポリオキシプロピレンの略、以下同じ。)セチルエーテル、POE−POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE−POPモノブチルエーテル、POE−POP水添ラノリン、POE−POPグリセリンエーテル等のPOE−POPアルキルエーテル類;テトロニツク等のテトラPOE−テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ−ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0038】
前記防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等が挙げられる。
前記金属イオン封鎖剤としては、エデト酸ナトリウム塩等が挙げられる。
前記水溶性高分子としては、天然の高分子、半合成の高分子、合成の高分子、無機の高分子が挙げられる。
天然の水溶性高分子としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キヤロブガム、カラヤガム、カラギーナン、タマリンドガム、キサンタンガム、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、コレステリルプルラン等の微生物系高分子および誘導体;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。 半合成の水溶性高分子としては、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、硫酸セルロースジメチルジアルキル(12〜20)アンモニウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース未等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
【0039】
合成水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)等の(メタ)アクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0040】
無機の水溶性高分子としては、べントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
前記粉末成分としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等の無機粉末;金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号などのジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素等、チタンイエロー、カーサミン、紅花赤等の色剤等が挙げられる。
【0041】
前記紫外線防御剤としては、化学的に紫外線を吸収する物質である「紫外線吸収剤」と、物理的作用によって紫外線を散乱および反射させる物質である「紫外線遮断剤」の両者を含む。
前記紫外線吸収剤の長波長紫外線(UVA)吸収剤としては、具体的には例えば、メチルアントラニレート、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレニト等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン塩酸、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルへキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−a−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2− (2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2 (2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル) ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタン等が挙げられる。
これらの長波長紫外線吸収剤の中でも、4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4’メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン誘導体、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩が安全性および有効性に優れた長波長紫外線吸収剤であり、好ましいものとして挙げられる。
【0042】
またさらに、前記紫外線吸収剤の中波長紫外線(UVB)吸収剤としては、パラアミノ安息香酸(以下、PABAという。)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、 N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAアミルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ジプロピレングリコールサリシレート、エチレングリコールサリシレート、ミリスチルサリシレート、メチルサリシレート、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2, 5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイルージパラメトキシシンナメート、メトキシケイ皮酸オクチル、3,4,5−トリメトキシケイ皮酸−3−メチル−4−[メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル]ブチル、p−ジメトキシケイ皮酸モノエチルエステル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−a,1−カンフアー、3−ベンジリデン−dl−カンフアー、5− (3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン) −3−ペンチン−2−オン等のカンフアー誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−メチルベンゾオキサゾール、ジベンザラジン等を挙げることができる。
【0043】
さらに、紫外線遮断剤としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、タルク(MgSiO2)、カルミン(FeO2)、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛(ZnO)等を挙げることができる。
前記保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレスチリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ラミニン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0044】
前記薬効成分としては、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体、コウジ酸、胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤;グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤;ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出物、牛脳抽出物、胎盤抽出物等の賦活剤;ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールへキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;多様な目的から、アケビ抽出物、キッピ抽出物、ブナ抽出物、あんず抽出物、れんげ草抽出物、コンフリー抽出物、タイム抽出物、ラベンダー抽出物、マジョラム抽出物、テンチャ抽出物、バラ抽出物、オオバク抽出物、オウレン抽出物、シソ抽出物、サルビア抽出物、エンメイ草抽出物、オウゴン抽出物、シコン抽出物、シヤクヤク抽出物、センブリ抽出物、バーチ抽出物、セージ抽出物、ビワ抽出物、ニンジン抽出物、アロエ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アイリス抽出物、ブドウ抽出物、ヨクイニン抽出物、ヘチマ抽出物、ユリ抽出物、サフラン抽出物、センキュウ抽出物、ショウキョウ抽出物、オトギリソウ抽出物、オノニス抽出物、ローズマリー抽出物、ニンニク抽出物、トウガラシ抽出物、木通抽出物、桑抽出物などの植物抽出物;アオサ抽出物、オゴノリ抽出物、テングサ抽出物、コンブ抽出物、ホンダワラ抽出物、ヒバマタ抽出物、アオサイン抽出物などの海草抽出物;アガリスク抽出物、ケロウジ抽出物、マンネンタケ抽出物、イボタケ抽出物、タモギタケ抽出物、ハラタケ抽出物などのきのこ類抽出物;チンピ、トウキ等;レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類;リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類;ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロ−ル−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類;パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類;ビタミンP、ビオチン等のビタミン類;デヒドロエピアンドロステロンやデヒドロエピアンドロステロン硫酸などのステロイド類;プロスタグランジンF2α、プロスタグランジンE1、ロイコトリエンB4などプロスタノイド類;エストロジェン、デヒドロ(エピ)アンドロステロン等のホルモン類を挙げることができる。
【0045】
なお、その薬剤成分に関しては、本発明の効果が損なわれない範囲において、広く配合することができる。
本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物の製造方法は、通常の方法により前記のような成分を適宜配合する。
【0046】
次に皮膚外用剤の製造方法の一例を記載する。
<皮膚外用剤の製造方法>
白色ワセリン(250g)、ステアリルアルコール(200g)、プロピレングリコール(130g)、パラオキシ安息香酸エチル(0.23g)、パラオキシ安息香酸プロピル(0.12g)等の油性成分を秤取り、加熱溶解した。一方、ラウリン酸ナトリウム(18g)、リゾホスファチジン酸環状エステル(2g)精製水(残分:全量1000gから他の成分を除いた残分)とを配合して、水性成分として、これに前記の油性成分を徐々に加温下に加えて均一とした。その後冷却して前記の組成の軟膏を得る。
このようにして得られた本発明の皮膚外用組成物、皮膚萎縮改善用組成物、または皮膚の瘢痕形成防止用組成物は、動物細胞におけるヒアルロン酸の産生を促進し、他の増殖因子に対する反応性を亢進するなど、動物細胞の賦活化を促進する作用を有する。
【0047】
次にそれぞれの用法について記載する。
<皮膚外用剤の用法>
本発明の皮膚外用組成物の用量は、有効成分の種類や組成、性状、用法、患者の年齢、性別やその他の条件、意図する疾患の種類や程度などにより必ずしも限定されないが、通常、皮膚外用剤として使用する場合、製剤100g当り、cPAを1mg以上配合することが好ましく、10mg〜50gに調節することがさらに好ましい。患部に直接または間接的に塗布、スプレーすることによりcPA量として1cm2および1日当り0.1μg〜10mg、好ましくは1μg〜1mgであり、この量を1日1回または2回〜4回使用することが好ましい。
【0048】
【発明の効果】
本発明のヒアルロン酸産生能増強剤、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現促進剤は、単独で動物細胞を賦活化し、炎症に関与するヒアルロン酸合成酵素1ではなくヒアルロン酸合成酵素2の発現が顕著に亢進し、ヒアルロン酸の産生が顕著に増強される。さらにcPAと線維芽細胞成長因子の共存で相乗的な効果が得られる。また、本願発明によればヒアルロン酸産生の増強はステロイドによるヒアルロン酸産生の抑制を部分的に回復させることから、ステロイドの反復使用による皮膚の萎縮を改善することができる。本発明によれば、ヒアルロン酸含量の低下を回復させ、創傷治癒後の瘢痕形成するような病態を改善することができる。
【0049】
【実施例】
以下、具体例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
次に用いた試料および測定方法を示す。
合成例1;16:1−cPAの合成
アルゴン雰囲気下にトリアゾール(0.2g、3mmol)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解させ、0℃でオキシ塩化リン(0.1ml、1.1mmol)、トリエチルアミン(0.71ml、5.1mmol)を加え、さらに5分間攪拌し、ホスホリルトリストリアゾリドを調製した。さらに1−O−ヘキサデカノイルグリセロール(0.3g、0.9mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5.5ml)を加え、室温下に20分間攪拌した後、反応液を氷冷した2%塩酸(50ml)に注ぎ、エーテルで抽出した。エーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。別途、水素化ナトリウム(60%鉱油、0.07g、0.9mmol)をペンタンで洗浄して鉱油を除き、エーテルに懸濁したものを上記エーテル溶液に加えた。蒸留水(8ml)で1−ヘキサデカノイルグリセロール−2,3−ホスフェートのナトリウム塩(0.25g)を得た。
得られた化合物は、1H−NMR、IR、化学分析などにより目的の構造であることを確認した。
【0050】
合成例2〜5;各種cPAの合成
以下同様にして表1に示した実施例2〜5に用いた各種の1−O−アシル−グリセロ−2,3−フォスフェートを得た。
【0051】
合成例6;16:0−O−cPAの合成
アルゴン雰囲気下にトリアゾール(0.2g、3 mmol)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解させ、0℃でオキシ塩化リン(0.1ml、1.2mmol)、トリエチルアミン(0.85ml、6.1mmol)を加え、さらに5分間攪拌し、ホスホリルトリストリアゾリドを調製した。さらに1−O−ヘキサデシルグリセロール(0.29g、0.9mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5.7ml)を加え、室温下に20分間攪拌した後、反応液を氷冷した2%塩酸(50ml)に注ぎ、エーテルで抽出した。エーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。別途、水素化ナトリウム(60%鉱油、0.07g、0.9mmol)をペンタンで洗浄して鉱油を除き、エーテルに懸濁したものを上記エーテル溶液に加えた。蒸留水(8ml)で1−O−ヘキサデシルグリセロール−2,3−ホスフェートのナトリウム塩(0.23g)を得た。
得られた化合物は、1H−NMR、IR、化学分析などにより目的の構造であることを確認した。
【0052】
合成例7〜10;各種1−O−cPAの合成
以下同様にして表1に示した実施例2〜5に用いた各種の1−O−アシル−グリセロ−2,3−フォスフェートを得た。
実施例および比較例に用いた構造名を表1に示す。また化学式を以下に示す。
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】
【化16】
【0056】
【化17】
【0057】
【化18】
【0058】
【化19】
【0059】
【化20】
【0060】
【化21】
【0061】
【化22】
【0062】
【化23】
【0063】
【表1】
【0064】
次にこれらのリゾホスファチジン酸環状リン酸エステル類を用いて、その効果を評価する実験を次のように行った。
(I)ヒアルロン酸産生増強効果
実施例1;16:0−cPA
(1)リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルとして1−O−ヘキサデカノイルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(以下16:0−cPAと略)を用いて行った。
(2)ヒアルロン酸産生能の評価
(2−1)細胞培養:ヒアルロン酸産生増強評価に使用した細胞は、ヒト新生児皮膚線維芽細胞NB 1RGBで、理研細胞銀行から入手した。この細胞は、従来からこの種の試験で多用されており、ヒアルロン酸産生増強評価試験に用いる細胞として適するものである理由から選択し、試験に用いた。また、本試験では、ヒト由来の細胞を用いることから、人体への応用を考慮した薬物評価法としてもより適当である。当該細胞を牛胎児血清(FCS)を10%添加したダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM)にて培養した。細胞はサブコンフルーエントになるまで培養後、0.25%トリプシン−EDTA処理によって接着細胞を浮遊させ、均ーな細胞懸濁液を得た。遠心分離によって細胞を集め、DMEM−10% FCSに再懸濁後、底面積2cm2の24穴培養プレートに105個/ウェルとなるように播種した。37℃で培養を2日継続し、十分に稠密とした上で、DMEM−0.5% FCSに培地交換後、さらに1日培養した。この培養液中に培地中濃度が10μMとなるようにリゾホスファチジン酸環状リン酸エステルを添加し、6、12、24および48時間目に、培養液をサンプリングした。
【0065】
(2−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量:
体外診断用ヒアルロン酸プレート(商品名 体外診断用ヒアルロン酸プレート「中外」、中外製薬社製)を用いて、固相にヒアルロン酸結合タンパク質を用い、液相にパーオキシダーゼを標識したヒアルロン酸結合タンパク質を用いたサンドイッチELISA分析法により前記(2−1)で得られた培養液中のヒアルロン酸を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0066】
実施例2〜10;
(1)リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルとして表1に示した各種のcPA;1−O−ヘキサデケニオイルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例2;以下16:1−cPAと略)、1−O−オクタデケニオイルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例3;以下18:1−cPAと略)、1−O−エイコサペンタエニルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例4;以下20:5−cPAと略)、1−O−ドコサヘキサエニオイルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例5;以下22:6−cPAと略)、1−O−ヘキサデカノイルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例6;以下16:0−O−cPAと略)、1−O−ヘキサデケニルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例7;以下16:1−O−cPAと略)、1−O−オクタデケニルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例8;以下18:1−O−cPAと略)、1−O−エイコサペンタエニルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例9;以下20:5−O−cPAと略)、1−O−ドコサヘキサエニルグリセロール2,3−ホスフェートのナトリウム塩(実施例10;以下22:6−O−cPAと略)を用いて実施例1と同様にして細胞培養し、ヒアロン酸産生能の評価を行った。
【0067】
比較例1
(1)ヒアルロン酸産生能の評価
(2−1)細胞培養:リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルを用いない以外は実施例1と同様にして培養を行い、所定時間に培養液を得た。
(2−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量: 実施例1と同様にして培地中のヒアルロン酸を測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
比較例2
リゾホスファチジン酸として1−O−オクタデセノイル−sn−グリセロール3−フォスフォニックアシド(以下18:1−LPAと略)のナトリウム塩(シグマ社製)を用いて、ヒアルロン酸産生能の評価を行った。
(2)ヒアルロン酸産生能の評価
(2−1)細胞培養:リゾホスファチジン酸として10μMの18:1−LPAを用いた以外は実施例1と同様にして培養を行い、所定時間に培養液を得た。
(2−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量を実施例1と同様にして培地中のヒアルロン酸を測定した。その結果を表2に示す。
【0069】
比較例3
ヒアルロン酸産生を著しく亢進することが知られている成長因子として塩基性線維芽細胞成長因子(シグマ社製)を用いて、ヒアルロン酸産生能の評価を行った。
(2)ヒアルロン酸産生能の評価
(2−1)細胞培養は産生促進因子として塩基性線維芽細胞成長因子10ng/mlを用いた以外は実施例1と同様にして培養を行い、所定時間に培養液を得た。
(2−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量を実施例1と同様にして培地中のヒアルロン酸を測定した。その結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
なお、表2の( )内の数値は、比較例1の48時間培養後のヒアルロン酸産生量を1.0とした時の倍率である。
以上の結果、表2より1−O−アシル−グリセロ−2,3−ホスフェート類および1−O−アルキル−グリセロ−2,3−ホスフェート類によりヒアルロン酸量産生が著しく促進されたことがわかる。また、48時間後の数値より、このヒアルロン酸の蓄積量はヒアルロン酸の合成促進作用が知られるLPAやbFGFと比較しても2倍近いヒアルロン酸の蓄積が認められ、著しい効果があることがわかる。
以上の結果をグラフ化したのが、図1、2である。
図1および2の縦軸はヒアルロン酸産生量、横軸はサンプリングした時間を示す。
図1および2より、各種のcPAを用いた実施例1〜10は、比較例1〜3に比べて、ヒアルロン酸産生量が著しく高くなることがわかる。
【0072】
(II)デキサメタゾンのヒアルロン酸産生抑制に対するリゾホスファチジン酸環状リン酸エステルの回復効果
実施例11
(1)ヒアルロン酸産生能の評価
(1−1)細胞培養:デキサメタゾンのヒアルロン酸合成抑制に対するリゾホスファチジン酸環状リン酸エステル(cPA)の回復効果を確認するためDMEM−0.5% FCSに培地交換した後に0、1、10nMのデキサメタゾンとリゾホスファチジン酸環状リン酸エステルとして実施例3で用いたC18:1−cPAを100μMで共存させた以外は実施例1と同様にして培養を行い、24時間目に培養液を得た。
(1−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量:実施例1の(2−2)と同様に実施した。
【0073】
比較例4
1)ヒアルロン酸産生能の評価
(1−1)細胞培養:リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルを用いない以外は、実施例11と同様にして培養を行い、24時間目に培養液を得た。
(1−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量:実施例1の(2−2)と同様に実施し、得られた測定結果を表3に示す。
なおこの数値を図3に示す。ここで、縦軸はヒアルロン酸産生量、横軸はデキサメタゾン量を示す。−(黒塗り四角印)−は、C18:1−cPAを100μMの共存の実施例11の場合、−□(白抜き四角印)−は、デキサメタゾンのみの場合である。
【0074】
【表3】
【0075】
なお、表3の( )内の数値は、比較例4のデキサメタゾン添加なしの時のヒアルロン酸産生量を1.00とした時の倍率である。
以上の結果、表3の比較例4のヒアルロン酸産生量がデキサメタゾン10nM添加ではブランクの0.72倍に抑制されたことがわかる。また、ヒアルロン酸産生がリゾホスファチジン酸環状エステルの共存している系(デキサメタゾン1nM共存)である実施例11の24時間後のデータでは、デキサメタゾンを加えていない比較例4のブランクに比べて1.16倍(デキサメタゾン1nM共存)、1.18倍(デキサメタゾン10nM共存)になっており、デキサメタゾンによるヒアルロン酸の産生抑制を改善していることがわかる。
【0076】
(III)塩基性線維芽細胞成長因子との相乗効果の確認
実施例12
(1−1)細胞培養:細胞培養:DMEM−0.5%FCSに培地交換した後に塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)0、1、10ng/ml共存下にリゾホスファチジン酸環状リン酸エステルとして実施例3で用いた18:1−cPAを10μM加えた以外は実施例1の(2)と同様に培養した。
(1−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量:実施例1の(2)と同様に実施した。測定結果を表4に示す。
【0077】
比較例5
(1−1)細胞培養:細胞培養:DMEM−0.5% FCSに培地交換した後にリゾホスファチジン酸環状リン酸エステルを加えず塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)0、1、10 ng/mlを単独で添加した以外は実施例12と同様に培養した。
(1−2)サンドイッチELISAによるヒアルロン酸の定量:実施例1の(2)と同様に実施した。測定結果を表4に示す。なおこの数値を図4に示す。ここで、縦軸はヒアルロン酸産生量、横軸はbFGF量を示す。
【0078】
【表4】
【0079】
なお、表4の( )内の数値は、比較例5のbFGF添加なしの時のヒアルロン酸産生量を1.00とした時の倍率である。
以上の結果、bFGF単独で10ng/ml添加した場合のヒアルロン酸の産生量が2214ng/ml(無添加時に比較して1.65倍)であるのに対して、また、cPA単独の場合のヒアルロン酸の産生量が、1807ng/ml(実施例11のbFGF 0)に対して、cPAを共存させた実施例12のbFGF1ng/mlでは産生量が3275ng/ml(2.44倍)、bFGF 10ng/mlでは産生量が3741ng/ml(2.79倍)と2倍を上回っており相乗的に亢進していることがわかる。
【0080】
(IV)リゾホスファチジン酸環状リン酸エステル(cPA)によるヒアルロン酸合成酵素発現の誘導
実施例13
(1−1)細胞培養:ヒアルロン酸合成酵素(HAS2)発現の評価にも上述のNB1RGB細胞を使用した。牛胎児血清(FCS)を10%添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用い、直径9cmのシャーレ中でコンフルーエントになるまで培養後、DMEM−0.5%FCSに培地交換後さらに1日培養した。リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルとして実施例3で用いた18:1−cPAを培地中濃度が25μMとなるように添加し、8時間培養を継続した。
(1−2)RT−PCR法によるヒアルロン酸合成酵素発現量の半定量:培養液を吸引除去後、商品名アイソジェン(ニッポンジーン社製)2mlを添加し、添付プロトコールにしたがって全RNA画分を回収した。このRNAを0.2〜20μg/μlとなるように希釈、調製済みRT−PCR試薬(商品名 Ready・To・Go、アマシャムファルマシアバイオテク社製)用いて5'−TCGCTTCGTAGGTCATCCAC−3'および5'−ATGTACACAGCCTTCAGAGC−3'をHAS2のプライマー、5'−ACCACAGTCCATGCCATCAC−3'および5'−TCCACCACCCTGTTGCTGTA−3'をハウスキーピング遺伝子であるGAPDHのプライマーとして抽出した全RNA中の目的遺伝子産物の増幅を行った。RT−PCRの反応条件:42℃で30分逆転写反応後、95℃、5分加温して一旦反応停止し、95℃で1分、55℃で1分、72℃で1分の増幅操作を35回くり返し、最後に72℃で10分処理した。このPCR反応産物を分析するため、反応液を正確に1μlとり、エチジウムブロミド含有2%アガロース電気泳動にかけた。UVトランスイルミネータで泳動後のパターンを検出した結果を図5に示す。
【0081】
比較例6
(1−1)細胞培養:培地に18:1−cPAを添加しない以外は実施例13と同様に培養した。
(1−2)RT−PCR法によるヒアルロン酸合成酵素発現量の半定量:実施例13と同様に半定量を行った。UVトランスイルミネータで泳動後のパターンを検出した。結果を図5に示す。図5の右3個がGAPDHの量についての半定量の結果であり、左3個がHAS2の量についての半定量の結果である。
【0082】
以上の結果から、発現量が一定と考えられるグリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のバンドが一定に観察される電気泳動条件下において、1−O−オクタデケニオイルグリセロール2,3−ホスフェート(1−オレイルグリセロール2,3−ホスフェート)を用いた実施例13では、いずれのリゾホスファチジン酸誘導体をも用いない比較例6や1−O−オクタデケニル−グリセロホスフェート(1−オレイルグリセロール3リン酸)を用いた比較例7に比べ、ヒアルロン酸合成酵素2(HAS2)のバンドが濃く観察されることからその発現がより強力に亢進していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リゾホスファチジン酸環状リン酸エステルアシル誘導体によるヒアルロン酸合成促進効果を示す図である。
【図2】 リゾホスファチジン環状リン酸エステルアルキル誘導体によるヒアルロン酸合成促進効果を示す図である。
【図3】 デキサメタゾンのヒアルロン酸合成抑制に対する回復効果を示す図である。
【図4】 bFGFとの相乗効果を示す図である。
【図5】 ヒアルロン酸合成酵素2の発現亢進効果を示す図である。
Claims (5)
- 皮膚萎縮改善用である請求項3記載の皮膚外用組成物。
- 皮膚の瘢痕形成防止用である請求項3記載の皮膚外用組成物。
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