JP5737888B2 - アトピー性皮膚炎治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、環状ホスファチジン酸を有効成分とするアトピー性皮膚炎治療剤に関する。
アトピー性皮膚炎は、アトピー素因と呼ばれるアレルギー体質、例えばアレルギー喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚炎の蕁麻疹を起こしやすい体質の上に、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患である。日本皮膚科学会の診断基準では、増悪・寛解を繰り返す、痒みを伴う湿疹を主とする皮膚疾患とアトピー性皮膚炎を定義し、患者の多くはアトピー素因を持つが、アトピー素因を持つことを必要としていない。従って、広義には、接触性皮膚炎なども含めて診断上「アトピー性皮膚炎」とされる場合がある。一般には、広範囲にわたって慢性湿疹の症状を呈し、強い痒みを伴う。患者によっては、赤い湿疹、結節などができ、激しい痒みを伴ったり、湿潤した局面から組織液が浸出して、激しい痛みを伴う。
アトピー性皮膚炎のアレルギー症状を根本治療する方法はなく、基本的には、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤などによる対症療法により症状を緩和することを目標としている。外用又は内用ステロイド剤の投与により過剰な免疫を抑制したり、ワセリンなどの保湿剤により乾燥部分を保護する治療が主流である。また天然保湿因子であるヒアルロン酸、セラミド、リン脂質などを使用することも試みられている。
しかし、最も治療効果が高いと言われているステロイド剤の使用は、本来の症状よりもさらに強くぶり返すリバウンドと呼ばれる現象を起こしたり、長期連続使用により効果の減弱を起こすこともある。また、ステロイド外用剤の長期使用による、皮膚萎縮、皮膚感染症の誘発、毛細血管拡張などの副作用も知られており、ステロイドに代わる副作用が少ない治療薬の開発が求められてきた。
例えば、特許文献1には、低分子ヒアルロン酸を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎の治療薬が開示されている。特許文献2には、大豆レシチン由来のポリエニルホスファチジルコリン(PPC)がステロイド抵抗性の湿疹の治療に有効であると記載されているが、5%と高濃度のPPCを含有するものである。また、特許文献3にはグリセリンなどの保湿剤と、細胞内のヒアルロン酸産生を促進する物質とを有効成分とする皮膚外用剤がアトピー性皮膚炎に伴う肌荒れ症状の改善に効果があると記載されているが、特定の植物抽出物を配合したものであり、有効成分の化学構造は特定されておらず、保湿成分の相乗効果によるものと考えられている。
一方、特許文献4には、特定の環状リン脂質が細胞内のヒアルロン酸産生を顕著に促進し、創傷治癒後の皮膚瘢痕形成防止に有用であると記載されている。また、特許文献5には、特定の環状リン脂質を配合した浴用剤が開示されているが、いずれもアトピー性皮膚炎に対する有効性については言及されていない。
WO2008/047779号公報 特表2003−530330号公報 特開平9−176034号公報 特開2002−363081号公報 特開平11−158057号公報
本発明は、アトピー性皮膚炎の治療においてステロイド剤に代替できる、治療効果の高いアトピー性皮膚炎治療剤を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者は、特定の環状リン脂質のヒアルロン酸産生促進作用に着目し、アトピー性皮膚炎の治療薬としての可能性について検討した結果、環状ホスファチジン酸がアトピー性皮膚炎による炎症を抑える効果を有し、低濃度の投与においてもアトピー性皮膚炎の症状を軽減することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、環状ホスファチジン酸又はその塩を有効成分とするアトピー性皮膚炎治療剤が提供される。
好ましくは、環状ホスファチジン酸は、下記式(I)で示される環状ホスファチジン酸である。
Figure 0005737888
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
好ましくは、環状ホスファチジン酸は、リゾホスファチジルコリンから誘導される環状ホスファチジン酸である。
好ましくは、本発明のアトピー性皮膚炎治療剤は、局所適用製剤である。
好ましくは、局所適用製剤は皮膚外用剤である。
好ましくは、本発明のアトピー性皮膚炎治療剤は、環状ホスファチジン酸を0.001〜1重量%含有する。
好ましくは、本発明のアトピー性皮膚炎治療剤は、アトピー性皮膚炎における掻痒感の改善剤として使用する。
本発明によれば、副作用が極めて少ないか副作用がない、治療効果が高いアトピー性皮膚炎治療剤を提供することができる。
図1は、DNFB誘発マウス耳介浮腫におけるcPAの作用を調べた結果を示す。各値は、平均値±SDを示す(n=10)。***:p<0.001vsビヒクル群(Dunnett multiple comparison test)。 図2は、アトピー性皮膚炎モデルマウスにおけるcPAの作用を調べた結果を示す。各値は、平均値±SDを示す(n=10)。*:p<0.05vsAD群(Dunnett multiple comparison test)。
本発明の薬剤は、アトピー性皮膚炎の治療のために使用することができ、環状ホスファチジン酸又はその塩を有効成分として含む。環状ホスファチジン酸としては本発明の効果を示すものであれば特に限定されないが、好ましくは、下記式(I)で示される環状ホスファチジン酸を使用することができる。
Figure 0005737888
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
式(I)において、置換基Rが示す炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基の具体例としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基などが挙げられる。
置換基Rが示す炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基の具体例としては、例えば、アリル基、ブテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデカジエニル基、ヘキサデカトリエニル基などが挙げられ、より具体的には、8−デセニル基、8−ウンデセニル基、8−ドデセニル基、8−トリデセニル基、8−テトラデセニル基、8−ペンタデセニル基、8−ヘキサデセニル基、8−ヘプタデセニル基、8−オクタデセニル基、8−イコセニル基、8−ドコセニル基、ヘプタデカ−8,11−ジエニル基、ヘプタデカ−8,11,14−トリエニル基、ノナデカ−4,7,10,13−テトラエニル基、ノナデカ−4,7,10,13,16−ペンタエニル基、ヘニコサ−3,6,9,12,15,18−ヘキサエニル基などが挙げられる。
置換基Rが示す炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基の具体例としては、例えば、8−デシニル基、8−ウンデシニル基、8−ドデシニル基、8−トリデシニル基、8−テトラデシニル基、8−ペンタデシニル基、8−ヘキサデシニル基、8−ヘプタデシニル基、8−オクタデシニル基、8−イコシニル基、8−ドコシニル基、ヘプタデカ−8,11−ジイニル基などが挙げられる。
上記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基に含有されうるシクロアルカン環の具体例としては、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環などが挙げられる。シクロアルカン環は、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、そのような例としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、N−メチルプロリジン環などが挙げられる。
上記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基に含有されうる芳香環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環などが挙げられる。
従って、置換基Rがシクロアルカン環によって置換されたアルキル基である場合の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルエチル基、8,9−メタノペンタデシル基などが挙げられる。
置換基Rが芳香環によって置換されたアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、p−ペンチルフェニルオクチル基などが挙げられる。
式(I)で示される環状ホスファチジン酸(cPA)中のMは、水素原子又は対カチオンである。Mが対カチオンである場合の例としては、例えば、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換若しくは無置換アンモニウム基が挙げられる。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。置換アンモニウム基としては、例えば、ブチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基などが挙げられる。
本発明で用いられる式(I)で示されるcPA誘導体の具体例としては、Rがペンタデシル基である、パルミトイルcPA, Rがヘプタデシル基である、ステアロイルcPAが好ましく、Rがこれらの混合物からなるリゾホスファチジルコリンから誘導されるcPAが特に好ましい。
式(I)で示されるcPAは、例えば、特開平5−230088号公報、特開平7−149772号公報、特開平7−258278号公報、特開平9−25235号公報に記載の方法等に準じて化学的に合成することができる。
あるいは、式(I)で示されるcPAは、特願平11−367032号明細書(特開2001−178489号公報)に記載の方法に準じてリゾ型リン脂質にホスホリパーゼDを作用させることによって合成することもできる。ここで用いるリゾ型リン脂質は、ホスホリパーゼDを作用しうるリゾ型リン脂質であれば特に限定されない。リゾ型リン脂質は多くの種類が知られており、脂肪酸種が異なるもの、エーテル又はビニルエーテル結合をもった分子種などが知られており、これらは市販品として入手可能である。ホスホリパーゼDとしては、キャベツや落花生などの高等植物由来のものやStreptomyces chromofuscus, Actinomadula sp.などの微生物由来のものが市販試薬として入手可能であるが、Actinomadula sp. No.362由来の酵素によって極めて選択的にcPAが合成される(特開平11−367032号明細書)。リゾ型リン脂質とホスホリパーゼDとの反応は、酵素が活性を発現できる条件であれば特に限定されないが、例えば、塩化カルシウムを含有する酢酸緩衝液(pH5〜6程度)中で室温から加温下(好ましくは37℃程度)で1から5時間程度反応させることにより行う。生成したcPA誘導体は、常法に準じて、抽出、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)などにより精製することができる。
本発明において有効成分として用いる環状ホスファチジン酸は、アトピー性皮膚炎の症状を緩和又は治療することができる。従って、本発明によれば、当該環状ホスファチジン酸を有効成分として含むアトピー性皮膚炎治療剤が提供される。即ち、本発明のアトピー性皮膚炎治療剤は環状ホスファチジン酸を有効成分とするものであり、その有効量をヒトを含む哺乳動物に投与することによって、生体に悪影響を与えることなくアトピー性皮膚炎の症状を改善することができる。
本発明の薬剤は、1又は2以上の製剤学的に許容される製剤用添加物と有効成分である環状ホスファチジン酸とを含む医薬組成物の形態で提供することが好ましい。
本発明の薬剤は、種々の形態で投与することができ、経口投与でも非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は皮内等への注射、直腸内投与、経粘膜投与など)でもよい。経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤などを挙げることができる。
本発明の薬剤の製造に用いられる製剤用添加物の種類は特に限定されず、当業者が適宜選択可能である。例えば、賦形剤、崩壊剤又は崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、基剤、溶解剤又は溶解補助剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、抗酸化剤、湿潤剤、粘稠剤、吸着剤、防腐剤、等張化剤、pH調節剤、溶剤、安定化剤、界面活性剤などを用いることができ、これらの目的で使用される個々の具体的成分は当業者に周知されている。
好ましくは、本発明のアトピー性皮膚炎治療剤では、環状ホスファチジン酸又はその塩を、そのまままたは必要に応じて担体、賦形剤、その他の添加物と共に患部及びその周囲の皮膚に塗布することができる。
皮膚に塗布する薬剤の剤形としては、軟膏、ローション剤、クリーム剤、乳液剤、液剤等が例示できる。これらの皮膚外用剤の基剤としては、一般に外用製剤中に均一に融解、配合又は分散し得る基剤であれば特に限定は無い。例えば、ワセリン、ひまし油、シリコン、スクワラン、アクリル酸ナトリウム、ベヘニルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、ステアリルアルコール、エタノール、バチルアルコール、フェノキシエタノール、1,3−ブチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸、レシチン、精製水等が例示できるが、これらに限定されない。
投与量としては、環状ホスファチジン酸を0.001〜1%程度含有する軟膏剤の適量を、患部及びその周辺部に1日数回塗布することができる。
本発明のアトピー性皮膚炎治療剤は、患部に塗布することによりアトピー性皮膚炎の症状の進行を抑えたり、症状を緩和したりするための治療薬として使用することができる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
cPAの抗アレルギー効果について、DNFB誘発耳介浮腫およびダニ誘発によるアトピー性皮膚炎モデルを用いた評価(非特許文献1、2)を行った(実施例5、6)。ステロイド剤が効果を示すDNFB誘発耳介浮腫モデルに対しては濃度依存傾向はあるが有意の効果は認められなかった。一方、図2に示すように、ダニ誘発によるアトピー性皮膚炎モデルcPA投与群(0.004%濃度)は基剤群に対し明確な効果が認められたので、アトピー性皮膚炎の症状を呈するボランティア(7名)に、製造例1又は製造例2の処方からなる外用剤を、1日2〜3回、1ヶ月間、毎日塗布してもらったところ、全例に症状の軽快、改善が認められた(実施例1〜4)。
製造例1:乳化剤処方
成分 含有割合(重量%)
水 71.85
エタノール 3
ミリスチン酸オクチルドデシル 5
ペンチレングリコール 5
PEG−32 5
ステアリン酸グリセリル 5
グリセリン 5
環状フォスファチジン酸 0.05
フェノキシエタノール 0.1
製造例2:クリーム剤処方
成分 含有割合(重量%)
水 48.85
エタノール 3
ミリスチン酸オクチルドデシル 7
ペンチレングリコール 7
PEG−32 7
ステアリン酸グリセリル 7
グリセリン 5
環状フォスファチジン酸 0.05
フェノキシエタノール 0.1
白色ワセリン 15
上記の処方において用いた環状ホスファチジン酸は、特願平11−367032(特開2001−178489号公報)明細書実施例1に記載の方法に準じて調整した。
実施例1:
女性61歳、毎年春に目の周りに痒みと湿疹のアトピー性皮膚炎を惹起する成人女性について、本剤(製造例2のクリーム剤で、環状ホスファチジン酸を含有)を毎日、朝、昼、夜と塗布し1ヶ月間観察した。本剤を使用していなかった過去には、毎年上記症状のアレギー症状が出現していた。1ヶ月の観察後に、症状は徐々に軽快し、ほぼ正常な皮膚層に回復していた。
実施例2:
女性45歳、暖かい季節において首のまわりにアトピー性の湿疹が出るため、本剤(製造例1の乳化剤で、環状ホスファチジン酸を含有)を毎日、朝と晩に塗布して約1ヶ月観察した。ほぼ観察期間終了時に、劇的に症状は消えてまた不日における湿疹や痒みも症状は治まり、そう痒感はの改善が認められた。
上記実施例以外に3例のアトピー性皮膚炎患者に皮膚乾燥時に塗布して治療したところ、全員にそう痒感の改善が認められた。
実施例3:
女性30歳、手のアレルギー性湿疹があり、製造例1の乳化剤を朝、昼、夜と毎日塗布した。塗布後2週間で症状は軽減した。更に1ヵ月後には回復した。
実施例4:
女性28歳、アトピー性皮膚炎で、製造例2のクリーム剤を朝、昼、夜と毎日塗布した。塗布後2週間で痒みの低減が認められた。また、症状は極めて良好状態に回復し、1ヶ月後にほぼ全快した。
実施例5:DNFB(ジニトロフルオロベンゼン)誘発耳介浮腫に対する影響
エーテルにてマウスを麻酔し、剪毛した背部に0.5%DNFB/アセトン:オリーブ油(4:1)の100μl塗布を2日間連続行った(感作)。最初の感作から5日後と6日後に、0.2%DNFB/アセトン:オリーブ油(4:1)を右耳に20μl塗布した。被験物質としては、ビヒクル(50%エタノール)、0.004%cPA(式(I)においてRがペンタデシル基であるパルミトイルcPAと、 Rがヘプタデシル基であるステアロイルcPAとの混合物からなる、リゾホスファチジルコリンから誘導されるcPA)、0.04%cPA(上記)、又は0.025%デキサメタゾン(DEX)(陽性対照)を使用した。被験物質の投与は、惹起直後に、右耳介の両面に20μl(片耳10μl)塗布した。DNFB塗布前と惹起の3,24時間に耳介厚をマイクロメーター(ミツトヨ)を用いて測定した。この処理を3週間繰り返し行った。惹起後、経時的に耳の厚さを測り、惹起前の厚さと比較して浮腫率を算出した。
結果を図1に示す。cPAは濃度依存的に耳介浮腫を抑制する傾向が認められた。
実施例6:ダニ誘発アトピー性皮膚炎に対する影響
シェーバーで除毛した後、4%SDS水溶液150μlをマイクロピペットでBalb/c系雄性マウスの背部に滴下しながら、マイクロピペットのチップ裏部で均一に塗布した。約2〜3時間自然乾燥させ、アトピー性皮膚炎誘発試薬ビオスタAD(コナヒョウダニ由来)(100mg)をマイクロピペット裏部で、マウス背部に均一に塗布した。この処理を1週間に2〜3回のペースで行った。3週間、計9回の処理でアトピー性皮膚炎マウスを作製し、適時、水分蒸発量を測定した。
0.004%cPA投与群では、試験開始日より、0.004%cPA(式(I)においてRがペンタデシル基であるパルミトイルcPAと, Rがヘプタデシル基であるステアロイルcPAとの混合物からなる、リゾホスファチジルコリンから誘導されるcPA)を塗布投与した。また、基剤投与群では、試験開始日より、cPAを含まない基剤を投与した。
試験開始25日目において水分蒸発量の値が10μS以下のマウスを除外し、1群10匹を試験に用いた。水分蒸発量を測定した結果を図2に示す。基剤投与群では、試験開始18日目頃から皮膚症状の悪化が認められ、水分蒸発量の上昇が認められた。一方、0.004%cPA投与群では、皮膚表面の状態が良好で、基剤投与群と比較すると水分蒸発量が有意に減少した。上記の通り、0.004%cPA投与群では、皮膚炎の発症及び水分蒸発量の抑制が認められた。従って、cPAは、アトピー性皮膚炎を抑制する効果を有することが実証された。
YAKUGAKUZASSI、121(10)753−759(2001) 日薬理誌、127:109−115
本発明の、環状ホスファチジン酸を有効成分とするアトピー性皮膚炎治療剤はステロイド剤が有する抗炎症作用などと異なり、細胞内のヒアルロン酸産生を促進し皮膚バリアー機能を正常化することによって効果をあらわすものと考えられ、アトピー性皮膚炎治療剤としてきわめて有用である。

Claims (5)

  1. パルミトイル基を有する環状ホスファチジン酸又はその塩と、ステアロイル基を有する環状ホスファチジン酸又はその塩との混合物を有効成分とするアトピー性皮膚炎治療剤であって、環状ホスファチジン酸を0.001%〜0.004%含有し、アトピー性皮膚炎における掻痒感の改善剤として使用するアトピー性皮膚炎治療剤。
  2. 環状ホスファチジン酸が、下記式(I)で示される環状ホスファチジン酸である、請求項1に記載のアトピー性皮膚炎治療剤。
    Figure 0005737888
    (式中、Rは、ペンタデシル基又はヘプタデシル基である。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
  3. 環状ホスファチジン酸が、リゾホスファチジルコリンから誘導される環状ホスファチジン酸である、請求項1又は2に記載のアトピー性皮膚炎治療剤。
  4. 局所適用製剤である、請求項1から3の何れかに記載のアトピー性皮膚炎治療剤。
  5. 局所適用製剤が皮膚外用剤である請求項4に記載のアトピー性皮膚炎治療剤。
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