JP6189709B2 - 痒み抑制剤 - Google Patents
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Description
(1)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを有効成分とする老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
(2)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであることを特徴とする(1)記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
(3)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モルであることを特徴とする(1)記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
(4)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの25℃における粘度が2,500〜4,500mPa・sであることを特徴とする(1)または(2)に記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
(5)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを5〜30質量%含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
(6)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを10〜20質量%含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
本発明のダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルはダイマージリノール酸とジエチレングリコールをエステル化して得られる。
ダイマージリノール酸は、一般的にはダイマー酸と呼ばれる2塩基酸で、2分子のリノール酸[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン酸]等の不飽和脂肪酸を重合させたリノール酸の2量体である。リノール酸の重合反応の生成物にはリノール酸の2量体の他に、未反応のリノール酸や3量体、さらに高重合のリノール酸重合体が含まれる。分子蒸留によりリノール酸の2量体の含有量を90質量%以上に高めることができる。また、得られたリノール酸の2量体の不飽和結合に水素を添加して安定化させることができる。これらのリノール酸の2量体を水素添加したものは、一般的には水添ダイマー酸と呼ばれている。本発明のダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの合成に用いるダイマージリノール酸としては、これらのダイマー酸、及び、水添ダイマー酸の何れをも使用することができるが、酸化安定性の観点から水添ダイマー酸を使用することがより好ましい。水添ダイマー酸は市販品、例えばユニケマ社PRIPOL1006、PRIPOL1009、PRIPOL1025等を用いることが可能である。
ジエチレングリコールはO(CH2CH2OH)2の化学式で表される化合物であり、有機合成原料として市販されている。
いずれにしてもダイマージリノール酸と比べてジエチレングリコールが過剰なので、カルボキシル基はほとんど残存せず、オリゴマーの末端に残存する官能基はほとんど水酸基となる。ダイマージリノール酸とジエチレングリコールのモル比が1に近づくと重合度が増大し、油剤の粘性が増大し好ましくない。また、ジエチレングリコールと比べてダイマージリノール酸のモル濃度が過剰になると、残存する官能基がカルボキシル基となり、安全性の点で好ましくない。
皮膚外用剤には、2価のアルコールを配合することが好ましい。
本発明の皮膚外用剤に配合する2価のアルコールとしては、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、プロピレングリコール等が挙げられる。
皮膚外用剤の調製に当たってはダイマージリノール酸ジエチレングリコールの物理化学的特性から皮膚外用剤にしばしば用いられるオイルゲルを利用した軟膏製剤とすることが好ましい。
オイルゲル製剤は、油性ゲルとも呼ばれ、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含む油剤を油性増粘剤でゲル化して調製することができる。
皮膚外用剤の調製に当たっては、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールを界面活性剤により乳化することにより、乳液、スキンクリームとすることが好ましい。
高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等があげられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等があげられる。
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体があげられる。
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等をあげることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩をあげることができる。
べたつきを抑えたり、色を付けたりするために、粉末成分として、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等のタール色素をあげることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等をあげることができる。
薬効成分として、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類をあげることができる。
さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を配合することができる。
<参考例1>
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル)を参考例1とし、その製造を示す。
攪拌機、温度計、ガス導入管を備えた1Lの反応器に、ダイマージリノール酸(ユニケマ社製、PRIPOL1025)349g(0.6モル)及びジエチレングリコール127g(1.2モル)を仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら12時間エステル化反応を行い、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5:1.0)416gを淡黄色高粘度油状物として得た。
得られた3ロットの油剤の物性値を以下の表1に示す。
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.8モル:1.0モル)を参考例2とし、その製造を示す。
攪拌機、温度計、ガス導入管を備えた1Lの反応器に、ダイマージリノール酸(ユニケマ社製、PRIPOL1025)372g(0.64モル)及びジエチレングリコール84.8g(0.8モル)を仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら14時間エステル化反応を行い、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.8:1.0)375gを淡黄色高粘度油状物として得た。
得られた油剤の物性値を以下の表2に示す。
試験方法
1.対象
被験者は、軽度、中程度のアトピー性皮膚炎または皮脂欠乏症と診断された男女とした。重篤な基礎疾患がなく、担当医師が本試験に適当と判断し、かつ試験開始前に本試験内容及び目的について十分に説明を受け、対象者本人が自発的に参加を希望する者とした。
連続した14日で評価した。
3−1 被験品
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを35%含有するオイルゲル剤(実施例1)、対照として白色ワセリン(日本薬局方)を用いた。
下記表3の組成のオイルゲル剤を調製した。
被験者は、乾燥症状が見られる顔面及び身体の右半身にオイルゲル剤、左半身にワセリンを使用した。被験品を1日2回(朝/夕)連続2週間使用した。
試験前後の被験品の、「痒み」の程度についてVAS法を用いて評価した。結果は、Wilcoxonの符号付き順位和検定を用いて解析した。
1. 被験者背景
被験者は、男性3例、女性25例の合計28例で、被験品による重篤な副反応は認められなかった。
被験者のうち1名は試験後のデータが未解答のため解析対象から除去し、27例を結果として用いた。試験前後の推移をWilcoxonの符号付順位検定を用いて検定した結果、かゆみの程度が有意に減少した。結果を図1に示す。
試験方法
1.対象
被験者は、老人性乾皮症と診断され、下腿に痒み、乾燥を申告する50歳以上の男女とした。重篤な基礎疾患がなく、担当医師が本試験に適当と判断し、かつ試験開始前に本試験内容及び目的について十分に説明を受け、対象者本人が自発的に参加を希望する者とした。
連続した25日で評価した。
3−1 被験品
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを10%及び20%含有するクリーム、白色ワセリン(日本薬局方)
無処置 5例、白色ワセリン 5例、10%D/DCクリーム(実施例2) 20例、20%D/DCクリーム(実施例3)40例とした。
表3に示す組成のクリーム製剤を調製した。
被験者は、下腿全体に朝、昼、入浴後の1日3回、2 finger tip unit:約1gを塗布した。
評価部位を下腿とし、担当医師は、試験開始時、試験終了時に被験者を診察し、掻破痕の程度を「4:重度」「3:中等度」「2:軽度」「1:軽微」「0:なし」の5段階で判定した。
試験前後の被験品の、「痒み」の程度についてVAS法を用いて評価した。群間比較はBonferroniの多重比較検定を用いて解析した。
1.被験者背景
被験者は、男性24例、女性26例の合計50例で、平均年齢は57.3歳であった。4週間の連続使用を完遂し、試験品による重篤な副反応は認められなかったため、全被験者を解析対象とした。
掻破痕について、試験開始時(0週)、試験終了時(4週)の各々5段階評価の平均スコアを被験品ごとに示す(図2)。10%及び20%D/DCクリーム群で、0週と比較し、4週で平均スコアが有意に減少した。掻破痕における群間比較では、無処置群と比較して10%及び20%D/DCクリーム群で有意に症状が改善した。10%D/DCクリーム群では掻破痕スコアは0であったことから、痒みをほぼ完全に抑制できたものと評価できる。
痒みのVASスコアの経時変化を図3に示す。
各被験者の評価部位における痒みの平均VASスコアについて、痒みは、20%D/DCクリーム群において、試験開始1週目から、無処置群と比較して有意にVASスコアが低下した。そして、10%D/DCクリーム群では3週目から、有意にVASスコアが低下した。
Claims (6)
- ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを有効成分とする老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
- ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであることを特徴とする請求項1記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
- ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モルであることを特徴とする請求項1記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
- ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの25℃における粘度が2,500〜4,500mPa・sであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
- ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを5〜30質量%含有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
- ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを10〜20質量%含有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の老人性乾皮症によって発生する痒みの抑制剤。
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