JP4853530B2 - 可動部を有するマイクロデバイス - Google Patents
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Description
可動部を有するマイクロデバイスでは、可動部が支持基板に固着することを防止する必要がある。例えば特許文献1−4に、可動部が支持基板に固着することを防止する技術が開示されている。
特許文献2には、半導体装置が開示されている。この半導体装置は、第1の構造層と、第1の構造層に隙間を介して対向する第2の構造層を備えている。第2の構造層は、第1の構造層に対して相対変位可能に支持された可動部となっている。この半導体装置では、第1の構造層と第2の構造層の互いに対向する表面が、レーザによって互いに異なる粗さで粗面化されている。
特許文献4には、インクジェットヘッドが開示されている。このインクジェットヘッドは、固定電極と、固定電極に隙間を介して対向する可動電極を備えている。可動電極は、固定電極に対して相対変位可能に支持された可動部となっている。このインクジェットヘッドでは、可動電極と固定電極の互いに対向する表面の少なくとも一方に、絶縁性を有する複数の突起が設けられている。
それに対して、特許文献4に開示された技術のように、可動部と支持基板の互いに対向する表面に突起する手法であれば、突起が完全に摩耗しないかぎり、可動部と支持基板の固着を長期に亘って防止できるように思われる。しかしながら、可動部と支持基板が接触を繰り返せば、突起そのものが可動部又は支持基板から剥離してしまい、その結果、可動部と支持基板が固着してしまうことがある。
以上のように、特許文献1−4に開示された技術では、可動部と支持基板が固着することを、長期に亘って防止することができないという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決する。本発明は、可動部と支持基板が固着することを、長期に亘って防止することができる技術を提供する。
前記突起は、支持基板又は可動部に埋設された基礎部によって、強固に保持されている。従って、支持基板と可動部が突起を介して衝突を繰り返しても、突起が剥離することが防止される。
このマイクロデバイスによると、支持基板と可動部が固着することを、長期に亘って防止することができる。
この構成によると、可動部と支持基板が突起を介して衝突したときに、突起や突起に衝突した可動部又は支持基板に生じる応力を、低く抑えることができる。それにより、突起や可動部又は支持基板の損傷が防止され、異物の発生に起因する誤作動なども防止される。
この構成によると、突起は、基礎部によって保持されるだけでなく、支持基板又は可動部の表面にも接合される。それにより、突起の剥離がより確実に防止される。
ポリシリコンを用いると、微小な突起及び基礎部を、高い強度で形成することができる。また、ポリシリコンは高い電気抵抗率を有するので、可動部と支持基板が電気的にショートすることも防ぐことができる。
本発明に係る製造方法は、基板とバルク層の少なくとも一方に、犠牲層に達する貫通孔を形成する工程と、貫通孔を通して犠牲層の一部をエッチングし、貫通孔に連なる空洞部を犠牲層内に形成する工程と、貫通孔と空洞部の内部に前記突起を形成する材料を充填する工程と、バルク層を前記可動部の形状に加工する工程と、可動部と基板の間の犠牲層をエッチングによって除去する工程を、備えている。
上記した製造方法によれば、可動部と支持基板の接触を防止する突起を、可動部と支持基板の間の犠牲層を除去するのに先立って、予め形成しておくことができる。可動部と支持基板の間の犠牲層を除去すれば、可動部と支持基板は隙間を介して対向することになり、両者は互いに接触し得る状態となる。このとき、可動部と支持基板の間に突起が既に形成されていれば、可動部と支持基板が直接的に接触することが防止される。この製造方法によると、マイクロデバイスを製造する段階から、可動部と支持基板が固着することを防止することができる。
貫通孔を通して犠牲層を等方性エッチングした場合、犠牲層のエッチングは貫通孔の位置を起点にして放射状に進行する。従って、犠牲層には、略半球状の空洞部が形成される。空洞部の形状が略半球状であれば、その後に形成される突起の形状も略半球状となる。この場合、突起の先端における表面は曲面となり、突起と基礎部の接続位置では、突起の断面積の方が、基礎部の断面積よりも大きくなる。即ち、先に説明した好適な突起及び基礎部を、比較的に簡単に構成することができる。
(形態1) 本発明の技術は、加速度センサ又は角速度センサに適用することができる。加速度センサや角速度センサは、支持基板と、支持基板に隙間を介して対向するとともに、支持基板に対して相対変位可能に支持された可動マスを備えている。この場合、可動マスと支持基板の少なくとも一方に、本発明に係る突起及び基礎部を形成するとよい。それにより、支持基板と可動マスの固着を長期に亘って防止することができる。
(形態2) 本発明の技術は、ミラーアレイデバイスに適用することができる。ミラーアレイデバイスは、支持基板と、支持基板に隙間を介して対向するとともに、支持基板に対して相対変位可能に支持された可動ミラーを備えている。この場合、本発明に係る突起及び基礎部を、可動ミラーと支持基板の少なくとも一方に形成するとよい。それにより、支持基板と可動ミラーの固着を長期に亘って防止することができる。
(形態3) 本発明の技術は、例えば半導体材料で形成されたマイクロデバイスに適用することができる。ただし、マイクロデバイスを構成する材料によって、その適用が制限されるものではなく、半導体材料以外の材料で形成されたマイクロデバイスにも、本発明に係る突起及び基礎部を同様に設けることができる。
支持基板15は、単結晶シリコンによって形成されている。支持基板15を形成する単結晶シリコンには、導電性の不純物が添加されており、導電性を有している。同様に、アンカー部9と可動マス2と支持梁3も、単結晶シリコンのバルク基板を加工することによって一体に形成されている。アンカー部9、可動マス2、支持梁3を形成する単結晶シリコンも、導電性の不純物が添加されており、導電性を有している。ただし、支持基板15を形成する単結晶シリコンと、アンカー部9、可動マス2、支持梁3を形成する単結晶シリコンは、絶縁層14によって電気的に絶縁されている。
一方、支持基板15には、第1固定電極12aと、第2固定電極12bが設けられている。第1固定電極12aと第2固定電極12bは、不純物が添加された単結晶シリコンによって形成されており、十分な導電性を有している。第1固定電極12aと第2固定電極12bは、絶縁層14を介して支持基板15に固定されており、支持基板15とは電気的に絶縁されている。
第2固定電極12bは、可動マス2に対して、y軸負方向に位置している。第2固定電極12bには、複数の第2固定櫛歯電極6が形成されている。各々の第2固定櫛歯電極6は、可動マス2の第2可動櫛歯電極7と平行にx軸方向へ伸びており、第2可動櫛歯電極7に対してy軸方向から対向している。
ここで、電極パッド11は、例えば金属材料で形成することができ、アルミニウムに代表される単一金属材料、アルミニウムとシリコンと銅の混合材料、クロムとニッケルと金からなる積層材料、チタンと白金と金からなる積層材料などによって形成することができる。
一方、二軸加速度センサ1にy軸負方向の加速度が印加されると、第1検出キャパシタ13aの静電容量は−ΔCのように減少し、第2検出キャパシタ13bの静電容量は+ΔCのように増加する。この場合、各々の静電容量の変化量−ΔC、+ΔCを差動増幅すると、全体として、負の変化量−ΔC×2を得ることができる。この負の変化量−ΔC×2に基づいて、印加されたy軸負方向の加速度についても、正確に計測することができる。
一方、二軸加速度センサ1にz軸負方向の加速度が印加された場合は、第3検出キャパシタ17の静電容量は、−ΔCのように減少する。従って、印加されたz軸負方向の加速度についても、検出された静電容量の減少量−ΔCに基づいて、正確に計測することができる。
また、突起19と基礎部18の接続位置(可動マス2の下面2aの位置)では、突起19の断面積の方が、基礎部18の断面積よりも大きくなっている。そのことから、突起19は、基礎部18によって保持されているだけでなく、可動マス2の下面2aにも接合されている。それにより、可動マス2の剥離が効果的に防止されている。
最初に、この製造プロセスでは、SOI(Silicon on Insulator)基板から、二軸加速度センサ1を製造する。SOI基板は、単結晶シリコンの支持基板15に、単結晶シリコンのバルク基板20が、酸化シリコンの絶縁層14を介して積層された積層材料である。支持基板15とバルク基板20は、導電性の不純物が添加されており、導電性を有している。絶縁層14は、支持基板15とバルク基板20を電気的に絶縁している。
DRIEによって貫通孔24を形成した場合、貫通孔24は、深さ方向に沿って断面積が略一定のストレート形状となる。しかしながら、貫通孔24はストレート形状に限られず、深部に向って断面積が減少する順テーパ形状であってもよいし、深部に沿って断面積が拡大する逆テーパ形状であってもよい。貫通孔24を形成する手法は特に限定されないが、加工条件を適宜調整すれば、DRIEによっても順テーパ形状や逆テーパ形状の貫通孔24を形成することができる。
また、DRIEで貫通孔24を形成すると、貫通孔24の側面には、数十から数百ナノメートル程度の凹凸が深さ方向に沿って形成される。この凹凸は、スキャロップと呼ばれる。貫通孔24の側面にスキャロップが形成されていると、後の工程で形成される突起19の基礎部18が、貫通孔24に強固に固定される。
図10に示すように、工程4では、貫通孔24を通じて絶縁層14を等方性エッチングし、絶縁層14内に空洞部25を形成する。具体的には、BHF(バッファードフッ酸)の溶液を、貫通孔24を通じて絶縁層14に送り、絶縁層14を等方性エッチングする。その結果、絶縁層14には、半球状の空洞部25が形成される。なお、別の手法として、フッ酸のガスを用いたベーパーHFにより、気相エッチングを行うこともできる。この場合でも、絶縁層14は等方性エッチングされ、半球状の空洞部25が形成される。
図14に示すように、工程8では、第2レジスト23を酸素プラズマ又は剥離液によって除去し、基板を洗浄する。
工程9の犠牲層エッチングによって、可動マス2は、支持基板15に隙間を介して対向するとともに、支持基板15に対して相対変位可能に支持された状態となる。このとき、可動マス2の支持基板15に対向する2aには、複数の突起19が既に形成されている。従って、可動マス2と支持基板15の間の絶縁層14が除去されても、可動マス2と支持基板15が直接的に接触することが禁止される。
また、二軸加速度センサ1は、シリコンに限られず、他の半導体材料が絶縁層を介して積層された積層材料から形成することもできる。さらに、二軸加速度センサ1は、必ずしも半導体材料を用いて形成する必要はなく、他の導電性材料が絶縁層を介して積層された積層材料から形成することもできる。
貫通孔24の断面形状は円形であるとし、その直径をWとする。また、絶縁層14の厚さをDとする。工程4の等方性エッチングでは、エッチャント(BHF)が貫通孔24を通って絶縁層14に到達し、絶縁層14のエッチングが等方的に進行する。絶縁層14のエッチングは放射状に進行することから、空洞部25の高さがdであるとすれば、面内方向にも距離dだけエッチングが進行している。即ち、バルク基板20と絶縁層14との界面において、空洞部25の断面形状は、W+2dの直径を有する円形状となり、貫通孔24の径Wよりも2dだけ大きくなる。即ち、空洞部25は扁平の半球状に形成され、空洞部25の底面は曲率半径Rで湾曲する曲面となる。
実施例2の突起19を形成する場合は、実施例1で説明した製造プロセスの工程4において、絶縁層14に異方性エッチングを行うとよい。具体的には、貫通孔24を通じて、絶縁層14にRIEを行うとよい。それにより、図19に示す形状の空洞部25を形成することができる。この空洞部25は、弾丸の先端のような形状を有する。貫通孔24の径をWとすると、空洞部25の貫通孔24との接続部における径も、ほぼ同じ寸法Wとなる。
実施例3の突起19を形成する場合は、実施例1で説明した製造プロセスの工程4において、BHF溶液による絶縁層14の等方性エッチングを行う。このとき、処理時間を比較的に長く設定することによって、図21(a)に示すように、空洞部25を横方向に拡大させるとともに、支持基板15の表面が露出するまで、絶縁層14をエッチングする。
次に、工程5では、図21(b)に示すように、貫通孔24及び空洞部25にポリシリコンを充填する。このとき、空洞部25内では、バルク基板20の露出面に突起19が形成されると同時に、支持基板15の露出面にも第2の突起27が形成される。バルク基板20に形成された突起19の先端は、曲率半径Rで湾曲する曲面となる。また、支持基板15に形成された第2の突起27の先端も、異なる曲率半径で湾曲する曲面となる。なお、本実施例のように空洞部25を大きく形成した場合、空洞部25の全体にポリシリコンが充填される前に、貫通孔24がポリシリコンによって閉塞されてしまう。
上記のような空隙29は、ポリシリコンに限られず、例えば突起19及び基礎部18を金属で形成した場合にも生じ得る。即ち、貫通孔24及び空洞部25に金属を充填した場合でも、充填した金属に空隙29が生じることがある。ただし、この場合でも、基礎部18が貫通孔24の側面に密着していれば、基礎部18が簡単に抜けるようなことはない。即ち、突起19の剥離は確実に防止され、可動マス2と支持基板15の固着が長期に亘って防止される。
図26に示すように、突起19を支持基板15に形成する場合は、支持基板15に貫通孔24を形成する。貫通孔24は、バルク基板20に形成する場合と同じく、絶縁層14に達する深さで形成する。そして、貫通孔24を通じて絶縁層14をエッチングすることにより、貫通孔24に連なる空洞部25を絶縁層14内に形成する。各部の寸法W、d、Dは、例えば実施例1と同一とすることができる。その後、貫通孔24及び絶縁層14にポリシリコンを充填することによって、図27に示すように、突起19及び基礎部18を一体に形成することができる。
なお、突起19及びその基礎部18は、可動マス2と支持基板15の一方だけでなく、その両方に形成することも有効である。
本実施例の二軸角速度センサ30では、各々の支持梁3は、x軸方向に伸びる部分と、y軸方向に伸びる部分を備えている。それにより、可動マス2は、支持基板15に対してx軸方向、y軸方向、z軸方向のそれぞれに移動可能であり、かつ、x軸、y軸、z軸のそれぞれの軸回りに回転可能に支持されている。
本実施例の二軸角速度センサ30においても、可動マス2に設けられた突起19よって、可動マス2と支持基板15が直接的に接触することが禁止され、可動マス2と支持基板15の固着が防止される。さらに、各々の突起19は、基礎部18によって強固に保持されているので、支持基板15との衝突を繰り返した場合でも、可動マス2から剥離することが防止される。それにより、可動マス2と支持基板15の固着が、長期に亘って防止される。
ミラー基板34には、6つの可動ミラー35が設けられている。6つの可動ミラー35は、3×2のマトリクス状に配置されている。各々の可動ミラー35は、一対のねじり梁36を介してミラー基板34に接続されており、一対のねじり梁36の中心軸37を回転軸に回動可能に支持されている。
ミラーアレイデバイス33では、可動ミラー35の回転角を制限するストッパとして、突起19が設けられている。即ち、突起19が支持基板15に当接することによって、可動ミラー35の過度な回転が禁止される。可動ミラー35と支持基板15は、突起19を介して衝突し、両者が直接的に接触することはない。それにより、可動ミラー35と支持基板15が固着するようなことが防止される。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:可動マス
2a:可動マスの下面
2b:可動マスの上面
3:支持梁
14:絶縁層
15:支持基板
18:基礎部
19:突起
20:バルク基板
24:貫通孔
25:空洞部
30:二軸角速度センサ
33:ミラーアレイデバイス
35:可動ミラー
Claims (6)
- 基板と、
基板に隙間を介して対向しているとともに、基板に対して相対変位可能に支持されている可動部を備え、
基板と可動部の互いに対向する表面の少なくとも一方には、少なくとも一つの突起が設けられており、
前記突起には、その突起が設けられた基板又は可動部の内部へ伸びる基礎部が、一体に設けられていることを特徴とするマイクロデバイス。 - 前記突起の少なくとも先端における表面は、曲面であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロデバイス。
- 前記突起と前記基礎部の接続位置では、突起の断面積の方が、基礎部の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロデバイス。
- 前記突起及びその基礎部は、ポリシリコンによって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロデバイス。
- 基板に犠牲層を介してバルク層が積層された積層材料から、基板と、基板に隙間を介して対向するとともに、基板に対して相対変位可能に支持された可動部を備え、基板と可動部の互いに対向する表面の少なくとも一方に、少なくとも一つの突起が設けられたマイクロデバイスを製造する製造方法であって、
基板とバルク層の少なくとも一方に、犠牲層に達する貫通孔を形成する工程と、
貫通孔を通して犠牲層の一部をエッチングし、貫通孔に連なる空洞部を犠牲層内に形成する工程と、
貫通孔と空洞部の内部に、前記突起を形成する材料を充填する工程と、
バルク層を前記可動部の形状に加工する工程と、
可動部と基板の間の犠牲層をエッチングによって除去する工程と、
を備えるマイクロデバイスの製造方法。 - 前記空洞部は、犠牲層の等方性エッチングによって形成されることを特徴とする請求項5に記載のマイクロデバイスの製造方法。
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