JP7408370B2 - 加速度センサ - Google Patents

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本発明の実施形態は、静電容量式の加速度センサに関する。
従来、静電容量式の加速度センサとして、特許文献1に示されるような力平衡変換器としての加速度計が知られている。この加速度計は、力平衡装置と、この力平衡装置を挟み込むように支持する上部磁石構造及び下部磁石構造とを備える。
力平衡装置は、全体として略円形板状に形成され、その外縁部が上部磁石構造及び下部磁石構造に固定的に支持される支持リングと、支持リングに対して径方向内方に設けられる可動部材と、支持リングと可動部材とを接続し、支持リングに対して可動部材を可動に支持するヒンジ部材とを有し、可動部材の両面それぞれには上部磁石構造及び下部磁石構造に面するように、板状の電極としての導電材料が設けられる。上部磁石構造及び下部磁石構造は、それぞれ、ボビンに巻回された力復元コイルと、力復元コイルと協働して可動部材を所定の位置に保持する永久磁石とを有する。
このような加速度センサにおいては、力平衡装置が2つの磁石構造のそれぞれに対して間隙を有して支持されることによって、力平衡装置と2つの磁石構造とによりコンデンサが形成される。可動部材の変位によってこの変位に比例した静電容量の変化が得られる。ここで、静電容量の変化は、導電材料の面積に比例するとともに、導電材料と磁石構造との間隙距離に反比例する。よって、導電材料の面積を大きくするか、または、間隙距離を小さくすることによって、可動部材の変位に対する静電容量の検知感度を向上させることができる。
特開昭54-149663号公報
しかしながら、静電容量の検知感度の向上は、可動部材の雑音感度とトレードオフの関係にある。スクイズフィルムダンピング効果の影響で発生するブラウン雑音は、電極の面積を大きくすること、または、電極と磁石構造との間隙距離を小さくすることによって大きくなるため、加速度センサの高感度化を妨げる要因となる。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、スクイズフィルムダンピング効果の影響を低減させることができる加速度センサを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本実施形態の加速度センサは、可動部に電極板を設け、可動部の変位によって変化する静電容量に基づいて加速度を検知する加速度センサにおいて、前記電極板には、面内方向において互いに離間し、前記可動部の変位方向に突出する複数の突出部が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、スクイズフィルムダンピング効果の影響を低減させることができる。
実施形態に係る加速度センサの構成を示す分解斜視図である。 実施形態に係る加速度センサの構成を示す断面図である。 検知部の構成を示す平面図である。 図3のA-A’線断面図である。 変形例に係る検知部の構成を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(加速度センサの構成)
本実施形態に係る加速度センサの構成について説明する。図1、図2は、それぞれ、本実施形態に係る加速度センサの構成を概略的に示す分解斜視図、断面図である。なお、図2は、加速度センサの上下方向及び径方向(後述)に平行する平面により加速度センサが切断された状態を示すものとする。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る加速度センサ1は、全体として略円柱状に形成され、以降の説明においては、加速度センサ1を円柱と見做した場合の高さ方向を上下方向とし、円柱の上面及び底面としての円形の中心点を通り上下方向に直交する方向を径方向とする。
加速度センサ1は、上下に分割された2つの筐体部11a,11bと、2つの磁石12a(図2参照),12bと、2つのコイル部13a,13bと、1つの検知部14とを備える。筐体部11aと筐体部11bとは、上下方向に直交する平面に関して略面対称を成すように形成される。また、磁石12aと磁石12b、コイル部13aとコイル部13bのそれぞれは、互いに同一形状に形成される。なお、以降の説明において、筐体部11a,11b、磁石12a,12b、コイル部13a,13bをそれぞれ総称する場合には、筐体部11、磁石12、コイル部13と呼称する。
2つの筐体部11a,11bは、検知部14を上下から挟み込むように組み合わせられることによって全体として略円柱状の筐体を構成する。筐体部11aには、磁石12a、コイル部13aが収容され、筐体部11bには、磁石12b、コイル部13bが収容される。この際、磁石12aと磁石12b、コイル部13aとコイル部13bのそれぞれは、上下方向に直交する平面に関して略面対称に配される。コイル部13は、磁石12を収容可能に形成されたボビンにコイル131が巻回されたものであり、対応する磁石12と協働して電磁石を構成する。筐体部11は、少なくとも検知部14と対向する面が金属により形成される。
(検知部の構成)
検知部の構成について説明する。図3は、検知部の構成を示す平面図である。図4は、図3のA-A’線断面図である。
図3及び図4に示すように、検知部14は、石英により一体形成された全体として略円盤状に形成され、支持部140と、可動部142と、支持部140と可動部142とを接続する2つの可撓部143とを有する。支持部140は、検知部14の縁部を成すように略円環状に形成され、可動部142は、支持部140に対して径内方向内方に設けられる。2つの可撓部143は、可撓性を有し、支持部140の内周側から径内方向に延在し、一端が支持部140に接続され、他端が可動部142に接続されるように形成される。
支持部140の上下方向を向く両面のそれぞれにおいて、3つの固定部141が設けられ、これら3つの固定部141は、検知部14の周方向に互い離間するように設けられる。支持部140の両面に設けられた6つの固定部141によれば、検知部14は、2つの筐体部11a,11bのそれぞれに対して、僅かな間隙を有した状態で固定される。
可動部142の上下方向を向く両面のそれぞれには、電極板15a,15bが配されており、これら電極板15a,15bのそれぞれは、可動部142よりも小さな径方向幅を有して周方向に所定角度だけ延展する略扇状に形成された板状、より具体的には薄膜状の伝導部材である。電極板15a,15bは、上下方向に直交する平面に関して略面対称となるように形成、配置される。なお、以降の説明において、電極板15a,15bを総称する場合には、電極板15と呼称する。なお、電極板15、コイル部13のそれぞれは、検知部14上に配されるリード(不図示)によって電気的な接続がなされているものとする。
可動部142は、可撓部143により支持部140と接続されることによって、加速度センサ1に与えられる加速度に応じて、コイル部13との距離が変動するように、支持部140に対して上下方向に変位可能に支持される。この際、可動部142に配された電極板15とコイル部13との距離の変位に応じて、筐体部11と電極板15とこれらの間の空気層とによって構成されるコンデンサの静電容量の変化が生じる。磁石12とコイル部13とにより構成される電磁石は、可動部142の上下方向における位置を加速度がゼロである場合の位置となるように動作され、この際の電流が計測されることによって、加速度センサ1に与えられた加速度が検知される。
電極板15には、複数の突出部151を含む突出部群がエッチングにより形成される。突出部群は、周方向に互いに離間するように並ぶ複数の突出部列Lを含む。この際、突出部列Lにおいて、突出部151の径方向幅を距離D1とし、突出部151の径方向の離間距離を距離D2とした場合、距離D1と距離D2とが略同等となるように複数の突出部151が形成、配置される。複数の突出部151のそれぞれは、筐体部11側に突出するように形成される。
複数の突出部列Lのそれぞれに含まれる複数の突出部151のそれぞれは、周方向において、中心角θ1を占める幅に形成され、複数の突出部列Lは、周方向に中心角θ2だけ離間するように配される。ここで、中心角θ1及び中心角θ2は、いずれも、検知部14全体を円盤と見做した場合における円形面の中心点C周りの中心角であり、本実施形態においては、中心角θ1と中心角θ2とが略同等となるように突出部群が形成、配置される。
突出部群は、複数の突出部列Lとして、複数の突出部151の配置パターンが互いに異なる突出部列L1と突出部列L2とを含む。これら突出部列L1と突出部列L2とは、周方向において、互い違いに、即ち、異なる種類の突出部列Lが隣り合うように電極板15に配置される。突出部列L1と突出部列L2とは、径方向における突出部151の配置において異なっており、具体的には、突出部列L1において径方向に隣り合う突出部151の間隙に対して、突出部列L2における突出部151が周方向に中心角θ2だけ離間して隣り合うようになっている。
このように、電極板15において、複数の突出部151を形成することによって、可動部142が筐体部11に近接する際、電極板15と筐体部11とに挟まれる気体を複数の突出部151間の間隙へ流入させることができ、これによって、スクイズフィルムダンピング効果を低減させることができる。また、周方向及び径方向に離間するように複数の突出部115を形成することによって、気体が流入する間隙をより多く形成することができるだけでなく、それぞれの突出部151に端部をより多く形成することができ、延いては、エッジ効果により容量感度の減少を抑制する効果が得られる。
なお、スクイズフィルムダンピング効果を低減させる他の手法として、加速度センサの内部圧力を低下させる方法や、可動部に貫通孔を形成する方法がある。内部圧力を低下させる方法は、低下させた内部圧力を一定の圧力に維持し続けることが困難であるため、経年劣化により性能が悪化してしまう。また、可動部に貫通孔を形成する方法は、例えば、本実施形態に係る加速度センサ1のように可動部142を石英で作製した場合にはエッチングにより小さな貫通孔を形成することが困難であり、貫通孔を形成した可動部に対応した電極板15を形成することもまた困難である。本実施形態に係る加速度センサ1によれば、電極板15に突出部151を形成するだけで良く、これらの手法と比較して、スクイズフィルムダンピング効果を低減させることができる。
(変形例)
変形例として、電極板の構成を異ならせた加速度センサについて説明する。図5は、変形例に係る検知部の構成を示す平面図である。
図5に示す検知部14Aは、電極板15a,15bに代えて、電極板16a,16bが設けられる点においてのみ検知部14とはその構成が異なる。電極板16a,16bは、電極板15a,15bと同様に、上下方向に直交する平面に関して略面対称となるように形成、配置される。よって、以降の説明においては、電極板16a,16bを特に区別せず、これらを総称して電極板16と呼称する。
電極板16には、筐体部11側に突出する複数の突出部161が形成される。複数の突出部161のそれぞれは、電極板16の径方向全域に亘って形成され、複数の突出部161は周方向に互いに離間するように形成される。このような検知部14Aによれば、電極板16に対して径方向に延びる溝を形成するだけで良く、延いては、電極板15が設けられる検知部14と比較して、製造コストをより低減させることができる。
なお、上述した実施形態において、加速度センサ1は全体として略円柱状に形成され、これに伴って、検知部14,14Aが略円盤状に形成されるとともに、電極板15,16が略扇状に形成されるものとしたが、他の形状に形成しても良い。この際、例えば、電極板15に形成される複数の突出部151は、電極板15の面内方向において、一方向に互いに離間するとともに、この離間方向に交差する交差方向に互いに離間するように形成されれば良い。
また、上述した実施形態において、加速度センサ1は、2つの磁石12a,12bと、2つのコイル部13a,13bとを備えるものとしたが、それぞれ1つの磁石12及びコイル部13とこれに対応する1つの電極板15,16を備えるものであれば良い。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 加速度センサ
15a,15b,16a,16b 電極板
142 可動部
151,161 突出部

Claims (2)

  1. 可動部に電極板を設け、可動部の変位によって変化する静電容量に基づいて加速度を検知する加速度センサにおいて、
    前記電極板には、面内方向において互いに離間し、前記可動部の変位方向に突出する複数の突出部が形成され
    前記複数の突出部は、面内方向において、一方向に互いに離間するとともに、該一方向と交差する交差方向に互いに離間するように前記電極板に形成され、
    前記複数の突出部の前記変位方向を向く総表面積は、前記電極板において前記複数の突出部が形成される面における前記複数の突出部が形成されない部分の総表面積より小さく、
    前記複数の突出部は、前記一方向に並ぶ複数の突出部を含む突出部列を複数有し、前記複数の突出部列において、前記交差方向に隣接する突出部列は、前記一方向における複数の突出部の形成位置が互いに異なっていることを特徴とする加速度センサ。
  2. 前記電極板は、径方向に所定幅を有して周方向に延展する略扇状に形成され、
    前記一方向は前記径方向であり、前記交差方向は前記周方向であることを特徴とする請求項に記載の加速度センサ。
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