図3(a)には本出願人が提案している外力検知センサである角速度センサが上面図により示され、また、図3(b)には上記図3(a)に示すA−A部分の断面図が示されている。この図3(a)、(b)に示す角速度センサを構成するセンサ素子1は、例えばガラスの支持基板2に接合される素子基板(例えば単結晶のシリコン基板等の半導体基板)3をドライエッチング加工して予め定めた設定の形状としたものである。
図3(a)、(b)に示すように、上記支持基板2のX−Y平面方向の面である表面2aの上方には、振動体5が上記支持基板2から浮いた状態で配置されている。この振動体5は四角形状の枠体5aの内側におもり5bが設けられた構成と成している。この振動体5を囲むように複数(図3の例では4個)の固定部6が互いに間隔を介して支持基板2上に固定配設されており、上記振動体5は上記各固定部6にそれぞれL字形状の支持梁(梁)7によってX方向およびY方向に振動可能に支持されている。
振動体5の図の左右両側にはそれぞれ横方向(X方向)の外側に向かって櫛歯状の可動電極10(10a,10b)が形成されており、この可動電極10と間隔を介して噛み合う固定櫛歯電極11(11a,11b)が固定部12から横方向の内側に向かって伸長形成されている。
上記固定櫛歯電極11a,11bにはそれぞれ図示しない導電パターンが接続されており、該導電パターンを介して上記各固定櫛歯電極11a,11bにそれぞれ外部から電圧を印加することができるように形成されている。例えば、上記可動電極10a,10bを設定の定電圧(例えば零V)の状態にして、固定櫛歯電極11a,11bに上記各導電パターンを介してそれぞれ互いに位相が180°異なる交流電圧を印加すると、可動電極10aと固定櫛歯電極11a間と、可動電極10bと固定櫛歯電極11b間とにそれぞれ逆向きの静電力が発生し、この静電力により振動体5は、X方向に励振振動するようになっている。
また、振動体5の図の上下両側にはそれぞれ縦方向(Y方向)の外側に向かって可動電極13(13a,13b)が伸長形成されており、この可動電極13と間隔を介して対向する固定電極14(14a,14b)が固定部15から縦方向の内側に向かって伸長形成されている。
上記構成の角速度センサ(外力検知センサ)では、上記したように振動体5がX方向に励振振動している状態で、外力検知センサが上記X−Y平面方向に直交するZ軸を回転軸として回転すると、Y方向にコリオリ力が発生する。このコリオリ力が振動体5に加えられ、振動体5はコリオリ力の方向に振動する。このコリオリ力に起因した振動体5のY方向の振動によって上記可動電極13と固定電極14間の間隔が変化して、可動電極13と固定電極14間の静電容量が変化する。この静電容量変化を利用して、上記コリオリ力による振動体5のY方向の振動振幅の大きさに対応する電気信号を検出することで、回転の角速度の大きさを検知することができる。このように、図3に示す角速度センサのセンサ素子1は振動体5や支持梁7等の可動部を有する可動素子と成している。
次に、上記図3に示す角速度センサの製造方法の一例を図4(a)〜(e)に示す断面図を用いて簡単に説明する。例えば、まず、図4(a)に示すように、素子基板3の裏面3bにRIE(反応性イオンエッチング)等のドライエッチング技術によって凹部16を形成して、例えば、厚みdが60〜70μmのメンブレン(ダイヤフラム)17を形成する。
次に、図4(b)に示すように、上記凹部16の天面16aにCVD(化学気相成長)等の成膜技術を用いて、酸化シリコンから成るエッチングストップ層18を形成する。
そして、図4(c)に示すように、上記素子基板3の裏面3b側に支持基板2を配置して、支持基板2および素子基板3を高温に加熱し高電圧を印加して支持基板2と素子基板3を陽極接合する。
然る後に、フォトリソグラフィ法およびRIEを利用して上記支持基板2のメンブレン17を加工して、図4(d)に示すように、素子基板3の表面3aから上記エッチングストップ層18に達する貫通部20を複数形成し、これら複数の貫通部20によって、振動体5と支持梁7と可動電極10と固定櫛歯電極11と可動電極13と固定電極14等を形作ってセンサ素子1を形成する。なお、この明細書では、上記のように、基板の表面から裏面に貫通する貫通部を形成するためのドライエッチング技術を貫通ドライエッチングと述べている。
上記のように、センサ素子1が形作られた後には、図4(e)に示すように、上記エッチングストップ層18をバッファフッ酸水溶液を用いてウエットエッチング除去する。以上のようにして、図3に示すような角速度センサを製造することができる。
特開平9−330892号公報
特開平10−1400号公報
特開平10−242483号公報
ところで、上記のように、従来では、角速度センサ等の外力検知センサの製造中に形成されるエッチングストップ層18は、層形成の容易さや、外力検知センサの製造プロセスの簡素化を図る観点から、酸化シリコン等の絶縁体により構成されていた。ところが、上記のように、エッチングストップ層18が絶縁体により形成されているために、図4(e)に示すように貫通部20の側壁面の下部側(つまり、エッチングストップ層18が形成されている側)にノッチ(欠け)nが形成されることに本発明者は気付いた。
それというのは次に示すような理由に因るものと考えられる。例えば、センサ素子1を形作るために、素子基板3を貫通ドライエッチングにより加工しているとき(ドライエッチング中)には、図3(a)に示す振動体5の枠体5aとおもり5b間の貫通部(エッチング孔)20aのようなエッチング除去面積が広い部分は、マイクロローディング効果によって、可動電極10と固定櫛歯電極11間の貫通部(エッチング溝)20bのようなエッチング除去面積が狭い部分よりも速くエッチング除去が達成される。
このように、貫通ドライエッチングを開始してからエッチング除去がエッチングストップ層18まで達成されて貫通部20の形成が完了するに要する時間は上記エッチング除去面積の違い等によって各貫通部20毎に異なる。上記貫通ドライエッチングは全ての貫通部20の形成が完了するまで継続的に行われるため、エッチング除去が完了したのにも拘わらずエッチングガスに晒され続ける貫通部20(以下、このような貫通部をオーバーエッチング中の貫通部と記す)が生じてしまう。
このようなオーバーエッチング中の貫通部20では、エッチング除去が完了しているのにエッチングガスが継続的に入り込んで、貫通部20の底部のエッチングストップ層18は、エッチングガス中のプラスイオンの衝突によって、プラス(正)に帯電する。
そして、そのように、エッチングストップ層18がプラスに帯電した以降にも引き続きエッチングが継続されてエッチングガスが貫通部20の内部に入り込み続ける場合には、そのエッチングガス中のプラスイオンは、貫通部20の内部をエッチングストップ層18に向かって真っ直ぐに直進するが、エッチングストップ層18に達する直前で、上記エッチングストップ層18のプラス電荷に反発する。しかも、上記貫通部20の側壁面はエッチングガス中の電子の衝突によってマイナス(負)に帯電していることから、上記プラスイオンは、エッチングストップ層18に達する直前で、貫通部20の側壁面に引き寄せられてプラスイオンの進路は大きく湾曲する。その結果、上記エッチングガス中のプラスイオンは貫通部20の側壁面の底部側(エッチングストップ層18の形成側)に衝突して、前記図4(e)に示すようなノッチnを形成してしまう。
また、エッチングストップ層18が絶縁体により構成されているために、次に示すような問題発生の虞があることも分かった。その問題とは、貫通部20を形成するために貫通ドライエッチングを行っている最中に、図5(a)に示すように、何れの貫通部20も形成完了していないときには、図の矢印に示すような熱移動があり、例えばエッチングガス中の電子が衝突して貫通部20の側壁面に発生した熱はメンブレン17中に拡散していき、メンブレン17等のドライエッチング加工対象領域はほぼ全領域に亙り同程度の温度となっている。
ところが、図5(b)に示すようにオーバーエッチング中の貫通部20Aが生じてくると、そのオーバーエッチング中の貫通部20Aによって挟み込まれた部分(例えば図5(b)の符号21に指し示された部分)の温度が上昇してくる。つまり、エッチングガス中の電子がオーバーエッチング中の貫通部20Aの側壁面に衝突して熱を発生させたときに、エッチングストップ層18は絶縁体により構成されて熱伝導が非常に悪いので、上記部分21は熱的に他の領域と独立した状態となっており、その部分21の側壁面に熱が籠もって該部分21の温度が他の領域よりも上昇する。このため、その部分21は他の領域よりもエッチング除去され易い状況となり、図5(c)の点線に示すような寸法で形成されるべきところが、実線に示すようにエッチング除去が過剰に成されてしまい、設計通りの寸法で形成されないという過剰エッチングの問題が生じる。
上記のように、従来では、エッチングストップ層18を絶縁体により形成していたために、貫通部20の側壁面のエッチングストップ層18側にノッチnが形成されたり、過剰エッチング発生して、設計寸法通りに精度良くセンサ素子1を形成することができない事態が発生していることに本発明者は気付いた。そのように、寸法精度良くセンサ素子1を形成することができないことによって、例えば、外力検知センサの安定的な出力感度を得ることができないという問題が生じる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、設計寸法通りに精度良くセンサ素子を形成することができる外力検知センサの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明における外力検知センサの製造方法は、シリコンにより形成された素子基板の裏面側に凹部を形成すると共にこの裏面側の凹部に対応した表面側にメンブレンを形成する工程と、前記素子基板の凹部の天面に導電性材料から成るエッチングストップ層を設ける工程と、前記素子基板の裏面側をガラス材料の支持基板に陽極接合する工程と、前記素子基板のメンブレンを表面側から前記エッチングストップ層に達するまで貫通ドライエッチングして、センサ素子を形成する工程と、を含む構成をもって前記課題を解決する手段としている。
第2の発明における外力検知センサの製造方法は、前記第1の発明の構成を備えた上で、凹部は素子基板の裏面中央部に形成することを特徴として構成されている。
第3の発明における外力検知センサの製造方法は、シリコンにより形成された素子基板のセンサ素子形成領域に表裏両面側から凹部を形成加工してメンブレンを形成し、メンブレンの裏面側の凹部の天面に導電性材料から成るエッチングストップ層を形成し、その後に、素子基板の裏面側にガラス材料の支持基板を陽極接合し、メンブレンを表面側から前記エッチングストップ層に達するまで貫通ドライエッチングにより加工してセンサ素子を形成することを特徴として構成されている。
第4の発明における外力検知センサの製造方法は、上記第1〜第3の発明の何れか1つの発明の構成を備え、エッチングストップ層のドライエッチング速度に対する素子基板のドライエッチング速度の比である選択比が1以上となる導電性材料によってエッチングストップ層が形成されていることを特徴として構成されている。
第5の発明における外力検知センサの製造方法は、上記第1〜第4の発明の何れか1つの発明を構成するセンサ素子は可動素子であることを特徴として構成されている。
この発明によれば、エッチングストップ層を導電性材料により構成したので、貫通ドライエッチングによって素子基板に貫通部を形成している最中に、オーバーエッチング中の貫通部の内部に入り込んだエッチングガスのプラスイオンがエッチングストップ層に衝突してエッチングストップ層をプラスに帯電させても、そのエッチングストップ層のプラス電荷は、瞬時に、貫通部の側壁面のマイナス電荷と電気的に中和してエッチングストップ層のプラス帯電状態は解消されて継続しないこととなる。
このことから、エッチングストップ層はプラスに帯電し続けることが無くなり、従来の問題、つまり、オーバーエッチング中の貫通部の内部に入り込んだエッチングガスのプラスイオンが、エッチングストップ層の継続的なプラス帯電状態によって、エッチングストップ層に達する直前で、その進路を変えて貫通部の側壁面に湾曲して衝突し、これにより、貫通部の側壁面のエッチングストップ層側にノッチを形成してしまうという問題を防止することができる。つまり、オーバーエッチング中の貫通部の内部に入り込んだエッチングガス中のプラスイオンはほぼ全て真っ直ぐにエッチングストップ層に向かって直進し、貫通部の側壁面に衝突するのを防止することができる。これにより、貫通部の側壁面にノッチが形成されるのを回避することができる。
また、導電性材料のエッチングストップ層は熱伝導が良いために、素子基板の熱はそのエッチングストップ層を介して伝搬することが容易であることから、オーバーエッチング中の貫通部に囲まれている領域が他の領域よりも温度上昇することを回避することができる。これにより、所定のエッチング除去が終了しているのにも拘わらず、温度上昇に起因してエッチングが過剰に行われてしまうという過剰エッチング問題を防止することができる。つまり、エッチングストップ層は導電性材料により構成されて熱伝導率が良いことから、熱伝搬通路として機能することができ、貫通ドライエッチング中に、エッチング加工対象領域をほぼ全領域に亙り同程度の温度にすることができ、温度不均一に起因した過剰エッチングを防止することができる。
上記のように、エッチングストップ層を導電性材料により構成することによって、貫通部の側壁面におけるノッチ形成と、過剰エッチングとを共に回避することが可能である。このことにより、センサ素子を設計通りに寸法精度良く製造することができる。このため、感度に優れ、かつ、出力感度が安定して、品質の信頼性が高い、性能の良い外力検知センサを提供することができる。
素子基板の裏面側に凹部を設けてメンブレンを形成し、貫通ドライエッチングにより上記メンブレンを加工してセンサ素子を形成して外力検知センサを製造するものや、素子基板の表裏両面側に凹部を設けてメンブレンを形成し、貫通ドライエッチングにより上記メンブレンを加工してセンサ素子を形成して外力検知センサを製造するものにあっては、センサ素子は非常に微細なものであり、寸法精度良くセンサ素子を形成するのは容易ではないが、この発明を用いることによって、そのような微細な素子であっても、設計通りに寸法精度良くセンサ素子を製造することが容易となり、小型かつ性能に優れた外力検知センサを製造するのに非常に有効である。
また、素子基板がシリコンにより構成され、支持基板がガラス材料により構成されて素子基板と支持基板を陽極接合するので、素子基板と支持基板を強固に接合することができ、外力検知センサの機械的な信頼性を高めることができる。
また、センサ素子が可動素子であるものにあっては、より厳密な寸法精度が要求されるが、この発明を用いることにより、その厳しい要求に対しても十分に応えることができ、特性が良い可動素子であるセンサ素子を製造することが可能となり、より感度に優れ、かつ、出力感度の安定性が良い外力検知センサを提供することができる。
さらに、エッチングストップ層のドライエッチング速度に対する素子基板のドライエッチング速度の比である選択比が1以上となる導電性材料によってエッチングストップ層が形成されているものにあっては、ドライエッチング加工中に、エッチングストップ層に穴が開いてしまうという事態を確実に回避することができる。
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
図1(a)〜(e)には本発明に係る外力検知センサの製造方法の第1の実施形態例が示されている。なお、この第1の実施形態例の説明において、前記従来例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
この第1の実施形態例において特徴的なことは、外力検知センサを構成するセンサ素子1の製造中に形成されるエッチングストップ層18を導電性材料により構成することである。それ以外の構成は前記従来例と同様である。
ところで、近年では、角速度センサ等の外力検知センサのより高い感度が要求されるようになってきているために、センサ素子1をより一層寸法精度良く製造することが望まれている。このことから、前述したような貫通部20の側壁面に形成されるノッチnや過剰エッチングが大きな問題となってきている。従来では、前述したように、エッチングストップ層18は、層形成の容易さや、製造プロセスの簡素化の観点から、絶縁体により形成しており、他の材料によりエッチングストップ層18を形成することは考えられなかったが、上記問題を解決するために、本発明者は、上記エッチングストップ層18を導電性材料により構成することを考えた。
すなわち、この第1の実施形態例では、図1(a)に示すように、素子基板3の裏面3bに凹部16を形成して、設定の厚みd(例えば、70μm)のメンブレン17を形成する。そして、図1(b)に示すように、上記凹部16の天面16a(メンブレン17の裏面側)にエッチングストップ層18を形成する。この第1の実施形態例では、上記したように、エッチングストップ層18は導電性材料により構成されており、例えば、電子ビーム蒸着法や、スパッタ等の成膜形成技術によって上記凹部16の天面16aにエッチングストップ層18を形成する。また、この第1の実施形態例では、エッチングストップ層18を形成する導電性材料は、エッチングストップ層としての機能を確実に果たすために、選択比(つまり、エッチングストップ層18のドライエッチング速度に対する素子基板3のドライエッチング速度の比)が1以上となるものである。
次に、図1(c)に示すように、上記支持基板2を素子基板3の裏面3b側に配置して、上記支持基板2と素子基板3を陽極接合する。そして、図1(d)に示すように、フォトリソグラフィと、RIE等のドライエッチング技術とを利用して、素子基板3の上記メンブレン17を表面3a側から貫通ドライエッチングして上記エッチングストップ層18に達する貫通部20を複数個形成し、これら複数の貫通部20によって、図3に示すようなセンサ素子1を形作る。
上記貫通ドライエッチング中には、オーバーエッチング中の貫通部20において、該貫通部20の内部にエッチングガスが入り込んで該エッチングガス中のプラスイオンがエッチングストップ層18に衝突してエッチングストップ層18がプラスに帯電するが、エッチングストップ層18は導電性材料によって形成されているために、そのエッチングストップ層18のプラス電荷は、瞬時に、貫通部20の側壁面のマイナス電荷と電気的に中和されて、エッチングストップ層18のプラス帯電状態は解消される。
これにより、オーバーエッチング中の貫通部20では、内部に入り込んだエッチングガス中のプラスイオンは真っ直ぐエッチングストップ層18に向かって直進してエッチングストップ層18に衝突することとなり、従来のようにプラスに帯電し続けるエッチングストップ層18に起因してプラスイオンの進路が湾曲して貫通部20の側壁面に衝突して該側壁面にノッチnを形成してしまうという問題を防止することができる。
また、この第1の実施形態例では、エッチングストップ層18は上記の如く導電性材料により構成されて熱伝導が良いものであることから、熱伝搬通路として機能することができるものである。これにより、オーバーエッチング中の貫通部20によって囲まれている部分がエッチングガスの衝突によって発熱しても、その熱はエッチングストップ層18を通って他の領域に伝搬することとなり、エッチング加工対象領域のほぼ全領域の温度を同程度にすることができる。これにより、温度不均一に起因した過剰エッチングを回避することができることとなる。
上記のように、エッチングストップ層18を導電性材料により構成することによって、貫通部20の側壁面のノッチn防止効果と、温度不均一に起因した過剰エッチング回避効果とを共に奏することができる。特に、本発明者の実験により得られたところによると、上記エッチングストップ層18を構成する材料として、導電率が1×106Ω−1・m−1以上、かつ、熱伝導率が0.1W・cm−1・K−1以上である導電性材料を用いた場合に、上記効果が顕著となり、望ましい。例えば、エッチングストップ層18をチタン(導電率1.7×106Ω−1・m−1、熱伝導率0.219W・cm−1・K−1)や、アルミニュウム(導電率3.8×107Ω−1・m−1、熱伝導率2.37W・cm−1・K−1)により構成することが最適である。
また、もちろん、エッチングストップ層18の導電性材料として、ニッケルや銅等を用いてもよいものである。なお、エッチングストップ層18の厚みは、該エッチングストップ層18を構成する導電性材料の種類やメンブレン17の厚み等を考慮して適宜設定されるものであり、例えば、エッチングストップ層18をチタンあるいはアルミニュウムにより構成する際には、そのエッチングストップ層18を例えば約300nmの厚みに形成する。
上記貫通ドライエッチングによって所定の全ての貫通部20の形成が終了した後に、上記導電性材料から成るエッチングストップ層18を例えばフッ化水素酸水溶液によって図1(e)に示すようにウエットエッチング除去する。なお、上記フッ化水素酸水溶液は、導電性材料のエッチングストップ層18をウエットエッチング除去するが、素子基板3には損傷を与えないものである。
上記の如く、エッチングストップ層18をウエットエッチング除去した後に、必要に応じて、図1(e)の点線に示すような蓋部30を設けてもよい。この場合には、例えば、凹部31が形成された蓋部30であるガラス基板を上記図1(e)に示す素子基板3の表面側に配置し、上記ガラス基板30の凹部31を素子基板3のセンサ素子1に対向させて素子基板3とガラス基板30を重ね合わせ陽極接合する。このように、蓋部30が設けられる場合には、センサ素子1は支持基板2と蓋部30によって形成される内部空間内に収容封止されることとなり、その内部空間内は、センサ素子1の動作特性に応じて、減圧されることもある。
この第1の実施形態例では、上記のような製造手法により、外力検知センサを製造する。
この第1の実施形態例によれば、エッチングストップ層18を導電性材料により構成したので、上記の如く、貫通ドライエッチング中に、オーバーエッチング中の貫通部20の底部におけるエッチングストップ層18がプラスに帯電し続けるのを防止することができ、エッチングストップ層18の継続的なプラス帯電に起因した貫通部20の側壁面のノッチn形成を回避することができる。また、この導電性材料から成るエッチングストップ層18は熱伝搬通路として機能することができるので、このエッチングストップ層18を介して熱が伝搬してエッチング加工対象領域のほぼ全領域に亙り、温度をほぼ同程度に維持することができ、温度不均一に起因した過剰エッチングを防止することができる。
上記のように、ノッチn形成と過剰エッチングを共に防止することができるので、センサ素子1を寸法精度良く製造することができ、感度が良く、かつ、出力感度が安定した外力検知センサを提供することができて、外力検知センサの品質の信頼性を高めることが可能となる。
また、この第1の実施形態例では、エッチングストップ層18は前記選択比が1以上となる導電性材料によって構成されているので、貫通ドライエッチング中に、エッチングストップ層18がエッチング除去されてしまってエッチングストップ層18に穴が開くという問題は殆ど発生しない。また、仮に、エッチングストップ層18に穴が開いてしまっても、この第1の実施形態例では、凹部16の天面16aのほぼ全面にエッチングストップ層18が形成されているので、上記エッチングストップ層18の穴から凹部16の内部に入り込んだエッチングガスによって、凹部16の天面16aが損傷されるのを防止することができる。
なお、上記第1の実施形態例に示したように、エッチングストップ層18を導電性材料によって構成することによって、従来の製造プロセスに様々な変更を加えなければならず、当然に、本発明者は、エッチングストップ層18を導電性材料によって形成した場合に適切な製造プロセスを検討しているが、ここでは、その詳細な説明は省略する。
以下に、第2の実施形態例を説明する。なお、この第2の実施形態例の説明において、前記第1の実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
以下に、第2の実施形態例を説明する。なお、この第2の実施形態例の説明において、前記第1の実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
図2(a)〜(e)には外力検知センサの製造方法の第2の実施形態例が示されている。この第2の実施形態例では、まず、図2(a)に示すように、半導体の素子基板3の表面3aと裏面3bの両面における設定のセンサ素子形成領域Rにそれぞれ凹部27,28を形成してメンブレン17を形成する。
次に、図2(b)に示すように、上記メンブレン17の裏面側にエッチングストップ層18を形成する。この第2の実施形態例においても前記第1の実施形態例と同様に、上記エッチングストップ層18は導電性材料により構成する。
そして、然る後に、図2(c)に示すように、素子基板3の裏面3b側にガラスの支持基板2を陽極接合し、図2(d)に示すように、上記メンブレン17を表面側から貫通ドライエッチングして複数の貫通部20を形成して図3に示すようなセンサ素子1を形作る。次に、図2(e)に示すように、エッチングストップ層18を前記第1の実施形態例と同様の手法により除去してセンサ素子1が形成される。この後に、必要に応じて、前記第1の実施形態例と同様に素子基板3の表面側に蓋部30を設けてもよい。以上のようにして、外力検知センサを製造することができる。
この第2の実施形態例においても、前記第1の実施形態例と同様に、エッチングストップ層18を導電性材料により構成することによって、貫通部20の側壁面におけるノッチnの形成および過剰エッチングを共に回避することができ、これにより、センサ素子1を設計寸法通りに形成することができて外力検知センサの感度および出力感度の安定性を向上させることができる。
なお、この発明は上記各実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記各実施形態例では、ドライエッチング中に素子基板3を冷却しなかったが、ドライエッチング中に、素子基板3を冷却するようにしてもよい。従来の如くエッチングストップ層18が絶縁体により構成されている場合には、貫通ドライエッチング中に素子基板3全体を冷却しても、前記したような温度不均一問題が生じる。これに対して、上記各実施形態例と同様に、エッチングストップ層18を導電性材料によって形成することにより、貫通ドライエッチング中に素子基板3を冷却する場合においても、上記各実施形態例と同様の効果を奏することができることとなる。
さらに、上記各実施形態例では、エッチングストップ層18は、選択比が1以上となる導電性材料によって構成されていたが、エッチングストップ層18の厚みを厚くする等の場合には、選択比が1未満となる導電性材料によって構成してもよい。
さらに、上記各実施形態例では、図3に示すような角速度センサを例にして説明したが、もちろん、この発明は、図3に示す角速度センサ以外の角速度センサや、角速度センサ以外の例えば加速度センサ等の様々な外力検知センサにも適用することができるものである。