JP2013145189A - ジャイロセンサー及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジャイロセンサー1は、基板10と、基板10の上方(+Z側)であって、基板10の主面10aに沿ったX軸方向に並んで配置された2つの質量部20,21と、2つの質量部20,21の間に配置され、2つの質量部20,21のそれぞれとバネ部30,31を介して連結された支持部40と、2つの質量部20,21をX軸方向に沿って互いに逆方向へ振動させる駆動部50,51と、2つの質量部20,21の、印加される角速度によりX軸方向と交差するY軸方向へ変位する検出質量部20b,21bの変位量を検出する検出部60,61と、を備え、支持部40が平面視で2つの質量部20,21に挟まれた基板10の固定領域C内に固定されている。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、角速度印加時に発生するコリオリ力を利用して、ヨーレート(Z軸周りの角速度、例えば、車両の旋回方向への回転角が変化する速度のこと)を検出するための振動式ジャイロの振動子(以下、ジャイロセンサーという)が開示されている。
このジャイロセンサーは、支持体と、連結質量体と振動ばねとから成る連結範囲(以下、連結部という)と、2つの振動質量体と、を備え、2つの振動質量体が、逆位相的に駆動振動するように、連結部を介して互いに機械的に結合されている。加えて、ジャイロセンサーは、少なくとも2つの懸吊ばねが設けられ、各懸吊ばねの一方の端部が支持体と結合され、他方の端部が各振動質量体と結合された構成となっている。
これにより、特許文献1のジャイロセンサーは、振動質量体(懸吊ばね)と支持体との熱膨張率の違いによる周辺温度の変化に伴う両者の膨張あるいは収縮の差によって、両者の間に熱応力が発生することとなる。
この熱応力に起因した振動質量体(懸吊ばね)や支持体の歪(ねじれ、そりなど)により、特許文献1のジャイロセンサーは、振動質量体の離調周波数(共振点、共振周波数)や、角速度が加わったときの変位量が本来の値から変化し、検出感度、検出精度などの検出特性が劣化する虞がある。
これにより、ジャイロセンサーは、支持部と基板との固定範囲が従来構成(例えば、特許文献1)よりも狭くなることから、支持部と基板との熱膨張率の違いによる周辺温度の変化に伴う両者の膨張あるいは収縮の差が小さくなり、熱応力の発生を抑制することができる。
この結果、本構成のジャイロセンサーは、この熱応力に起因した各構成要素の歪が低減することから、従来構成のジャイロセンサーと比較して、検出感度、検出精度などの検出特性を向上させることができる(特に検出感度温度特性、検出精度温度特性などを向上させることができる)。
なお、ジャイロセンサーは、基板に絶縁材料として、例えば、ガラスを用いれば、上記適用例2の、質量部、バネ部、支持部となるシリコン板と基板としてのガラス板とを陽極接合することができる。
これにより、ジャイロセンサーは、他部材を介さずに支持部を基板に強固に固定することができる。
また、ジャイロセンサーは、熱膨張率が異なるシリコン及びガラスを支持部及び基板に用いても、支持部が基板の限られた範囲(固定領域)内に固定されていることから、シリコンとガラスとの熱膨張率の違いによる周辺温度の変化に伴う両者の膨張あるいは収縮の差が小さくなり、熱応力の発生を抑制することができる。
これにより、ジャイロセンサーは、上述した陽極接合時や、外部からの衝撃時などにおける2つの質量部と基板との貼り付きを回避することができる。
これにより、ジャイロセンサーは、例えば、交流電圧の印加によって駆動用可動電極と駆動用固定電極との間に生じる静電引力を用いて、2つの質量部を互いに逆方向へ安定して振動させることができる。
最初に、ジャイロセンサーの一例について説明する。
図1は、第1実施形態のジャイロセンサーの概略構成を示す模式図である。図1(a)は、模式平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線での模式断面図である。図2は、図1(a)のB−B線での模式断面図である。なお、図1(a)では、蓋体を省略してある。また、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
なお、各図では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸及びZ軸を図示している。また、以下では、X軸(第1軸)に平行な方向をX軸方向、Y軸に平行な方向をY軸方向、Z軸に平行な方向をZ軸方向という。
さらに、ジャイロセンサー1は、質量部20,21をX軸に沿って互いに逆方向へ振動させる駆動部50,51と、Z軸回りに印加される角速度によりX軸方向と交差する方向(ここでは、Y軸方向)へ変位する質量部20,21の変位量を検出する検出部60,61と、上記各構成要素を覆う蓋体70と、を備えている。
基板10には、絶縁性を有する高抵抗なシリコン材料、ガラス材料を用いるのが好ましく、特に、アルカリ金属イオン(可動イオン)を含むガラス材料(例えば、硼珪酸ガラス)を用いるのが好ましい。
バネ部32,33は、検出質量部20b,21bがY軸方向へ変位し易いように、X軸方向へ折り返した形状に形成され、Z軸方向の厚みによりZ軸方向へは容易に変位しない形状となっている。
図示のように、駆動部50,51は、質量部20,21の+Y側寄りの位置と−(マイナス)Y側寄りの位置とに設けられている(各一対ずつ設けられている)。
駆動用可動電極50a,51aと駆動用固定電極50b,51bとは、静電引力を効率的に生じさせるべく、複数の電極指が互いに噛み合うようにしてX軸方向に延びることにより櫛歯状に形成されている。
なお、検出用固定電極60b,61bのY軸方向に幅広の部分は、検出用固定電極60b,61bと基板10との接合面積を確保して、検出用固定電極60b,61bを基板10へ強固に固定するために設けられている。
質量部20,21と支持部40とを連結するバネ部30,31は、質量部20,21(駆動質量部20a,21a)がX軸方向へ変位し易いように、Y軸方向へ複数回折り返した形状に形成され、Z軸方向の厚みによりZ軸方向へは容易に変位しない形状となっている。なお、バネ部30,31は、質量部20,21のY軸方向に対する傾斜を抑制するために、質量部20,21のY軸方向の両端部に連結されていることが好ましい。
詳述すると、凸部12は、基板10における駆動質量部20a,21aのそれぞれの、+Y側に位置するX軸方向に沿って延びる枠部分の駆動部50,51寄りの部位に対向する位置と、駆動質量部20a,21aのそれぞれの、−Y側に位置するX軸方向に沿って延びる枠部分の駆動部50,51寄りの部位に対向する位置とに1つずつ設けられている。
なお、図1(a)では、凸部12の平面形状は、矩形となっているが、多角形、円形、楕円形などでもよい。
なお、凸部12と駆動質量部20a,21aとの間には、駆動質量部20a,21aのX軸方向に沿った振動に対して支障がないように隙間が設けられている。
詳述すると、ジャイロセンサー1は、ガラス材料(ガラス板)を用いて凹部11、凸部12などが形成済みの基板10とシリコン板とを陽極接合し、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてシリコン板をエッチングすることにより、質量部20,21、バネ部30,31、支持部40、駆動部50,51、検出部60,61を形成する。
これにより、支持部40、駆動用固定電極50b,51b、検出用固定電極60b,61bは、基板10へ確実に接合(固定)された状態で形成され、質量部20,21、バネ部30,31、駆動用可動電極50a,51a、検出用可動電極60a,61aは、基板10の凹部11(逃げ部)によって変位可能な状態で形成される。
なお、シリコン板には、リン、ボロンなどの不純物がドープされていることが好ましい。これにより、ジャイロセンサー1は、シリコン板(駆動部50,51、検出部60,61)の導電性を優れたものとすることができる。
これにより、基板10の凹部11と蓋体70の凹部71とを含んで構成されている内部空間は、気密に封止されている。なお、この内部空間は、質量部20,21などがスムーズに振動(変位)可能なように、真空状態(真空度が高い状態)となっている。
蓋体70には、シリコン材料、ガラス材料などが用いられている。なお、蓋体70にシリコン材料を用いた場合には、ガラス材料を用いた基板10と陽極接合することができる。
なお、駆動部50,51及び検出部60,61からは、図示しない配線が基板10の外周部分まで引き出されている。これにより、ジャイロセンサー1は、外部からの駆動信号の入力や外部への検出信号の出力が可能となっている。
図3は、ジャイロセンサーの動作について説明する模式図である。図3(a)は、駆動振動状態を示す模式平面図であり、図3(b)は、検出振動状態を示す模式平面図である。なお、説明の便宜上、一部の形状は省略してある。
詳述すると、駆動部50と駆動部51とでは、位相が逆になる(静電引力が逆方向に生じる)交流電圧の駆動信号が印加され、質量部20,21は、X軸方向において、図3(a)で黒矢印、白矢印で示すように、互いに離れる方向と、互いに近づく方向との変位を交互に繰り返す。つまり、質量部20,21は、X軸方向に沿って互いに逆方向(逆相)に所定の周波数で振動している。
詳述すると、検出質量部20b,21bは、Y軸方向において、図3(b)で黒矢印、白矢印で示すように、互いに逆方向(逆相)となる白矢印方向及び黒矢印方向の変位を交互に繰り返す。つまり、検出質量部20b,21bは、駆動振動の周波数に応じた周波数で、Y軸方向に沿って互いに逆方向に振動する。なお、検出質量部20b,21bのY軸方向に沿った振動の振幅は、コリオリ力(角速度ω)の大きさに応じて変化する。
ジャイロセンサー1は、この検出用可動電極60a,61aと検出用固定電極60b,61bとの間隔の変化により、検出用可動電極60a,61aと検出用固定電極60b,61bとの間に生じる静電容量の変化量を、例えば、電圧値の変化に置き換えた検出信号として出力し、この検出信号によって角速度ωが検出可能な構成となっている。なお、この検出信号の大きさは、コリオリ力の大きさ(検出質量部20b,21bの変位の大きさ)に応じて変化する。
これにより、ジャイロセンサー1は、支持部40と基板10との固定範囲が従来構成(例えば、特許文献1)よりも狭くなることから、支持部40と基板10との熱膨張率の違いによる周辺温度の変化に伴う両者の膨張あるいは収縮の差が小さくなり、両者の固定部分における熱応力の発生を抑制することができる。
この結果、ジャイロセンサー1は、この熱応力に起因した質量部20,21、支持部40などの各構成要素のねじれ、そりなどの歪が低減することから、従来構成(例えば、特許文献1)のジャイロセンサーと比較して、検出感度、検出精度などの検出特性を向上させることができる(特に温度−検出感度特性、温度−検出精度特性などの温度変化に関わる特性を向上させることができる)。
これにより、ジャイロセンサー1は、他部材を介さずに支持部40を基板10に強固に固定することができる。また、ジャイロセンサー1は、駆動部50,51の駆動用固定電極50b,51b及び検出部60,61の検出用固定電極60b,61bを、支持部40と同様に、基板10に強固に固定することができる。
加えて、ジャイロセンサー1は、質量部20,21、バネ部30,31、支持部40などがシリコンを含んで一体で形成されていることから、例えば、エッチングなどにより1枚のシリコン板から上記の各構成要素を精度よく一括して形成することができる。
これにより、ジャイロセンサー1は、上述した陽極接合時や、外部からの衝撃時などにおける質量部20,21と基板10との貼り付きを回避することができる。
これにより、ジャイロセンサー1は、例えば、電子機器などの実装基板の細長いスペースでも搭載することが可能となり、スペースの有効利用を図ることができる。
これにより、ジャイロセンサー1は、交流電圧の駆動信号の印加によって駆動用可動電極50a,51aと駆動用固定電極50b,51bとの間に生じる静電引力を用いて、質量部20,21をX軸方向に沿って互いに逆方向へ、所定の周波数で安定して振動させることができる。
これにより、ジャイロセンサー1は、検出部60,61がコリオリ力による質量部20,21の検出質量部20b,21bの変位(振動)に伴う検出用可動電極60a,61aと、検出用固定電極60b,61bとの間に生じる静電容量の変化量を検出することによって、印加される角速度ωを感度及び精度よく検出することができる。
なお、ジャイロセンサー1は、この2つの質量部20,21を設けることにより、検出部60,61のそれぞれで検出した静電容量の変化量の差分を算出することで、この差分が0となる質量部20,21のそれぞれに同一方向から加わる加速度などの、角速度ω以外の物理量の検出をキャンセルすることができる。
なお、本実施形態では、駆動部50,51が、各2箇所に設けられているが、これに限定されるものではなく、各1箇所に設けられていてもよい。また、駆動部50,51は、質量部20,21をY軸方向に挟むように、質量部20,21の+Y側及び−Y側に1箇所ずつ設けられていてもよい。この場合でも、駆動部50,51は、+Y側または−Y側の1箇所のみに設けられていてもよい。
また、凸部12は、質量部20,21に設けられていてもよく、基板10と質量部20,21との両方に設けられていてもよい。
次に、第2実施形態として上述したジャイロセンサー1を備えた電子機器について説明する。
図4は、ジャイロセンサーを備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
図4に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1101を有する表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、ジャイロセンサー1が内蔵されている。
図5に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204及び送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1201が配置されている。
このような携帯電話機1200には、ジャイロセンサー1が内蔵されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面(図中手前側)には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中奥側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
また、このデジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。更に、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
このようなデジタルスチルカメラ1300には、ジャイロセンサー1が内蔵されている。
なお、上記ジャイロセンサー1を備えた電子機器は、図4のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図5の携帯電話機、図6のデジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーターなどに適用することができる。
Claims (7)
- 基板と、
前記基板上に配置された支持部と、
前記支持部にバネ部を介して接続され、且つ、前記基板上方の第1軸の方向に並んで配置された2つの質量部と、
前記2つの質量部を前記第1軸に沿って互いに逆方向へ振動させる駆動部と、
前記2つの質量部のそれぞれに設けられ、印加される角速度により前記第1軸と交差する方向へ変位する検出部と、を備え、
前記支持部は、平面視で前記2つの質量部に挟まれた前記基板の固定領域内に固定されていることを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1に記載のジャイロセンサーにおいて、
前記2つの質量部、前記バネ部、及び前記支持部は、シリコンを含み、且つ一体となっていることを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1に記載のジャイロセンサーにおいて、
前記基板は、絶縁材料であることを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のジャイロセンサーにおいて、
前記質量部及び前記基板の互いに対向する側の少なくとも一方に、対向する相手方と平面視で重なる位置に凸部が設けられていることを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のジャイロセンサーにおいて、
前記駆動部は、前記2つの質量部を挟んで前記支持部とは反対側に配置されていることを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のジャイロセンサーにおいて、
前記駆動部は、前記2つの質量部のそれぞれに設けられた駆動用可動電極と、
前記基板上に設けられ、且つ、前記駆動用可動電極と対向して配置された駆動用固定電極と、を含むことを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のジャイロセンサーを備えたことを特徴とする電子機器。
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