JP4838669B2 - 風味改善剤、これを用いた風味改善方法及び飲食品 - Google Patents

風味改善剤、これを用いた風味改善方法及び飲食品 Download PDF

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本発明は、風味改善剤、これを用いた風味改善方法及び飲食品に関する。
食品を口にしたとき、我々は多様な風味を感じる。食品の多様な風味は、基本味と呼ばれる、味覚の質を表す基本的な要素に加え、その他の種々の要素が複合したものである。現在、生理学的な見地から、甘味、塩味、苦味、酸味、うま味の5種類を基本味とすることが一般的である。これらの基本味の他に、辛味、渋味、青臭味、エグ味、いがらっぽい味、金属味、アルカリ味等が味の表現として用いられている。
食品の風味のうち、好ましい風味と感じられるものとそうではないものとがある。例えば、甘味、塩味、うま味は一般的に食品の好ましい風味と考えられ、これらは食品に積極的に付加されることが多い。これに対し、苦味、渋味、青臭味、エグ味、いがらっぽい味、金属味、アルカリ味などは一般的に好ましくない風味、すなわち、異味又は嫌味として扱われることが多い。
ただし、コーヒーやビールは苦味を、茶は淡い渋味を特徴とする嗜好品である。これらの苦味や渋みは好ましい風味と扱われる。また、辛味は、食品に意識的に付加することが多いため、異味と扱わないことが一般的である。一方、酸味に関しては、さわやかな酸味は好ましい風味として扱われるが、一般に舌を刺すような刺激のある酸味は異味として扱われる。
また、直接的には風味とはいえないが、レトルト食品の場合、加工処理の過程で袋や容器の臭いが食品に移り、食品の嫌味(いわゆるレトルト臭)が問題となる場合がある。特に、トマトや肉を食材として使用しているレトルト食品は、レトルト臭が強調され、食材本来の風味が損なわれてしまうおそれがある。
上記のような好ましくない風味を低減するため、種々の有効成分が配合された添加剤がこれまで開発されている。例えば、特許文献1には、飲食品の苦味、渋味、酸味、青臭味、エグ味を改善する呈味改善剤として、ヘスペリジン配糖体を単独で、あるいはヘスペリジン配糖体とヘスペリジンとを組み合わせて使用することが記載されている。特許文献2には、テアニンを有効成分とする風味改善組成物が記載されている。更に、特許文献3には、塩類の苦味やエグ味、魚肉の生臭み、植物性タンパクの臭いをマスキングする効果のある酵母エキス組成物が記載されている。特許文献4には、γ−アミノ酪酸によるアミノ酸及び/又は核酸の味質改善方法が記載されている。
特開平11−318379号公報 特開平9−313129号公報 特開昭61−249362号公報 特開2004−275098号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1〜4に記載されている呈味改善剤等は、食品の種々の好ましくない味を必ずしも十分に低減することができないことが判明した。
そこで、本発明は、少ない使用量で飲食品の好ましくない風味を低減できる風味改善剤を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる風味改善剤を用いた風味改善方法及び飲食品を提供することを目的とする。
本発明の風味改善剤は、飲食品の風味改善のために使用されるものであって、ヒマワリ種子抽出物、γ−アミノ酪酸、テアニン、ルチン、ルチン誘導体、ヘスペリジン及びヘスペリジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも二種の成分(以下、「風味改善成分」という。)を含有する。
本発明者らは、複数の風味改善成分を併用し、これらを飲食品に添加することで、少ない使用量であっても、好ましくない風味(以下、単に「異味」という。)を十分に低減できることを見出した。本発明の風味改善剤が異味を十分に低減できる主因は以下のような作用によるものと考えられる。
複数の風味改善成分を併用することにより、それぞれの風味改善成分に係る種々の作用(例えば、酸化防止作用、消臭作用)が、互いの作用を打ち消し合うのではなく、相乗効果を発揮すると考えられる。したがって、二種以上の風味改善成分を併用することで、それぞれを単独で使用した場合の使用量と比較し、少ない合計使用量であっても、飲食品の異味に対して優れた効果を発揮すると考えられる。
本発明の風味改善剤は、苦味、酸味、渋味、エグ味、いがらっぽい味、青臭味、金属味及びレトルト食品特有の臭いからなる群より選ばれる少なくとも一つの風味を低減するためのものである。本発明の風味改善剤によれば、飲食品のこれらの異味を低減することができる。
本発明の風味改善剤においては、本発明の効果を確実かつ効果的に得る観点から、γ−アミノ酪酸、ヘスペリジン及びヘスペリジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分を必須成分として含有することが好ましく、γ−アミノ酪酸及び/又はヘスペリジン誘導体を必須成分として含有することがより好ましい。
本発明の風味改善方法は、本発明に係る上記風味改善剤を、飲食品に添加する工程を備える。風味改善剤を飲食品に直接ふりかけたり、染み込ませたりすることにより、飲食品の異味の低減を高水準に達成できる。かかる効果は、従来の呈味改善剤等を使用した場合と比較し、十分に少ない添加量で発揮される。
本発明の飲食品は、本発明に係る上記風味改善剤が添加されたものである。本発明の飲食品は、風味改善剤の効果により、異味が低減されている。
本発明によれば、少ない使用量で飲食品の好ましくない風味を低減できる風味改善剤、これを用いた風味改善方法及び飲食品を提供することができる。
本発明に係る風味改善剤は、飲食品の風味改善のために使用されるものであって、ヒマワリ種子抽出物、γ−アミノ酪酸、テアニン、ルチン、ルチン誘導体、ヘスペリジン及びヘスペリジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも二種の風味改善成分を含有する。以下、風味改善成分のそれぞれについて説明する。
(ヒマワリ種子抽出物)
ヒマワリ種子抽出物は、例えば、粉砕したヒマワリ種子を水又は含水アルコールで抽出処理して得られるものである。ヒマワリ種子抽出物としては、この抽出処理により得られた抽出液を減圧濃縮し、ペースト状又は乾燥して粉末化したものを使用する。抽出処理に使用するアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びこれらの混合物などが挙げられる。ヒマワリ抽出物は酸化防止剤として食品に利用されており、有効成分はクロロゲン酸及びイソクロロゲン酸である。ヒマワリ種子抽出物として、市販品(ヘリアントS−100(商品名)、大日本インキ化学工業株式会社)を用いてもよい。
(γ−アミノ酪酸)
γ−アミノ酪酸は、生物界に微量ながら広く存在する非タンパク質構成アミノ酸であり、生理的に重要な働きをする物質である。例えば、ヒトでは脳内に局在し、脳内神経伝達物質として働いていることが分かっている。また、γ−アミノ酪酸は、血圧上昇抑制作用をはじめとして、中性脂肪増加抑制作用、更年期障害症状緩和、脳機能改善作用、精神安定作用、記憶能促進など様々な機能性を有することが知られている。
γ−アミノ酪酸の製造法は、種々の方法があり、いずれの方法を採用してもよい。γ−アミノ酪酸の製造法としては、化学合成法、グルタミン酸脱炭酸酵素やその酵素を含有する動植物を用いる生産法、グルタミン酸脱炭酸酵素を生産する微生物を用いた発酵法などがある。また、γ−アミノ酪酸として、市販品(オリザギャバエキスHC−90(商品名)、オリザ油化株式会社製)を用いてもよい。
(テアニン)
テアニンは、グルタミン酸の誘導体(γ−グルタルエチルアミド)であり、天然には茶葉に多く含まれるアミノ酸成分である。テアニンの製造法は、種々の方法があり、いずれの方法を採用してもよい。テアニンの製造法としては、例えば、茶葉から抽出する方法、有機合成による方法、グルタミンとエチルアミンとの混合物にグルタミナーゼを作用させてテアニンを得る方法、エチルアミンを含有する培地で茶の培養細胞群を培養し、培養細胞群中のテアニン蓄積量を増加させつつ培養細胞群の増殖促進を図る方法、また、エチルアミンをエチルアミン塩酸塩などのエチルアミン誘導体に置き換えてL−テアニンを得る方法などがある。なお、テアニンの製造に使用可能な茶葉としては、緑茶葉、ウーロン茶葉、紅茶葉などが挙げられる。
テアニンは、L−テアニン、D−テアニン、DL−テアニンのいずれも使用可能である。ただし、これらのうち、L−テアニンは、食品添加物として食品等に使用することが認められていると共に、コストの点からも利用しやすいため、L−テアニンを使用することが好ましい。また、テアニンの形態としては、精製品、粗精製品、抽出エキスなど、いずれの形態でもよい。テアニンとして、市販品(サンテアニン(商品名)、太陽化学株式会社製)を用いてもよい。
(ルチン)
ルチンは、マメ科エンジュ(Sophora japonica L.)の花や蕾、又はタデ科ソバ(Fagopyrum esculentum MOENCH)の全草、又はマメ科アズキ(Phaseolus angularis CW. WIGHT)の全草を、水又はエタノールで抽出して得られるものである。ルチンは、淡黄色から淡黄緑色を呈する結晶性の粉末であり、ほとんど無味である。ルチンは、着色料(黄色)、酸化防止剤として食品等に使用することが認められており、その構造は、フラボノールの1種であるケルセチンに、ルチノース(L−ラムノース+D−グルコース)がα−結合した、配糖体(グリコシド)である。
(ルチン誘導体)
ルチン誘導体としては、酵素によってルチンにグルコース、フラクトース、ガラクトース、キシロースなどの糖質を、ルチンに対して等モル以上付加したグリコシルルチン;ルチンのフェノール性水酸基に、2,3−ジヒドロキシプロピル基又はホスフェート基又は2−ヒドロキシエチル基を導入したもの(例えばトロキセルチン等)が挙げられる。なお、グリコシルルチンの具体例としては、グルコシルルチン(グルコース2モル以上が付加した、例えばマルトシルルチンなども含む)、ガラクトシルルチン等が挙げられる。
ルチン誘導体は、酸化防止剤や着色料として食品、医薬品、化粧品など極めて広い範囲で利用されており、その安全性が認められているものが多い。風味改善成分としてルチン誘導体を使用する場合は、無味又は無味に近い(例えば、弱い苦味を持つ)ものであると共に、食品等への添加が認められているものを採用することが好ましい。ルチン誘導体として、市販品(αGルチンP、東洋精糖株式会社製)を用いてもよい。
(ヘスペリジン)
ヘスペリジンは、ミカン科グレープフルーツ(Citrusparadisi MACF.)などの果皮、果汁又は種子を、水−エタノール又は有機溶剤で抽出し精製して得られるものである。ヘスペリジンは、微細樹枝状結晶物質であり、天然栄養強化剤としても使用されている。なお、ヘスペリジンは、ほとんど無味である。
(ヘスペリジン誘導体)
風味改善成分としてヘスペリジン誘導体を使用する場合は、無味又は無味に近い(例えば、弱い苦味を持つ)ものであり、ヘスペリジンにメチル基、エチル基、糖類などを付加したものを採用することが好ましい。かかるヘスペリジン誘導体としては、例えば、メチルヘスペリジン、糖転位酵素によってヘスペリジンにグルコース、フラクトース、ガラクトース、キシロースなどの糖類の1以上を、ヘスペリジンに対して等モル以上付加したもの(例えばグルコシルヘスペリジン等)を挙げることができる。これらのうちでも、特にメチルヘスペリジン又は糖転移ヘスペリジンが好ましい。なお、高甘味度甘味料であるネオヘスペリジンジヒドロカルコンや苦味剤であるネオヘスペリジンは、風味改善成分として採用しないことが好ましい。
ヘスペリジンはビタミンPとして、メチルヘスペリジンは水溶性ビタミンPとして古くから知られ、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整などの生理作用を持つビタミンとして、又黄色色素として食品、医薬品、化粧品など極めて広い範囲で利用されており、その安全性が確認されている。市販品(αGヘスペリジンPA、東洋精糖株式会社製)を用いてもよい。
本発明の効果を一層確実かつ効率的に得る観点から、風味改善剤は以下の(a)〜(e)のいずれかの組成からなるものが好ましい。
(a)ヒマワリ種子抽出物及びヘスペリジン誘導体、
(b)ルチン誘導体及びヘスペリジン誘導体、
(c)ヒマワリ種子抽出物及びγ−アミノ酪酸、
(d)γ−アミノ酪酸及びルチン誘導体、
(e)γ−アミノ酪酸及びヘスペリジン誘導体。
上記の(a)〜(e)の組成のうち、本発明の効果を更に一層確実かつ効率的に得る観点から、(a)、(c)、(d)又は(e)の組成が特に好ましく、(a)、(c)又は(e)の組成が更に好ましく、(e)の組成が最も好ましい。なお、ヘスペリジン誘導体の具体例としては、糖転移ヘスペリジンが挙げられ、ルチン誘導体の具体例としては、グルコシルルルチンが挙げられる。
ヘスペリジン及び/又はその誘導体を必須成分として含有する場合、ヘスペリジン及びその誘導体とその他の風味改善成分の好適な混合比率は、本発明の効果を確実かつ効率的に得る観点から、風味改善剤に含まれるヘスペリジン及びその誘導体の合計含有量を100質量部としたとき、その他の風味改善成分の合計含有量は、10〜10000質量部であることが好ましく、10〜1000質量であることがより好ましい。
γ−アミノ酪酸を必須成分として含有する場合、γ−アミノ酪酸とその他の風味改善成分の好適な混合比率は、本発明の効果を確実かつ効率的に得る観点から、風味改善剤に含まれるγ−アミノ酪酸を100質量部としたとき、その他の風味改善成分の合計含有量は、10〜10000質量部であることが好ましく、10〜1000質量であることがより好ましい。
なお、本発明の効果をより確実かつ効率的に得る観点から、風味改善剤に含有せしめる風味改善成分の種類は、2〜4種であることが好ましく、2種又は3種であることがより好ましく、2種であることが更に好ましい。
風味改善剤の形状は、特に限定されるものではないが、保管の容易性や使いやすさの点から、液状又は粉末状であることが好ましい。風味改善剤は、通常用いられる製剤用担体を使用して固形製剤又は液体製剤としてもよい。製剤化する方法としては、従来公知の方法を適宜採用することができる。風味改善剤が液状である場合、腐敗防止の観点から、固形分20質量%以上に濃縮することが好ましい。液状の風味改善剤は冷蔵保存することが好ましい。
なお、風味改善剤を固形製剤とする場合、液状の風味改善剤に、コーンスターチ又はデキストリンなどを混和して固形製剤を調製してもよい。また、風味改善剤の使用対象となる飲食品に合わせて従来公知の製剤化方法を採用してもよい。
上述した風味改善剤を飲食品に添加することによって、飲食品の異味を十分に低減することができる。本発明の「風味改善」における「風味」とは、味及び臭いの各々、味と臭いとが複合的に存在するときに感じる感覚、並びに、味とのどへの刺激とが複合的に存在するときに感じる感覚の全てを包含する。
本発明でいう「風味改善」とは、飲食品の苦味、渋味、酸味、エグ味、いがらっぽい味、その他の異味(ビタミンの味、ペプチドの味、野菜の青臭味、酵母の味、魚の生臭い味等)等の呈味、酸臭、青臭み、その他の特異臭(薬臭、魚の生臭み、魚臭、イソ臭、酵母臭、ニラ・ニンニクの臭み、ビタミン臭、納豆の臭み、乳臭さなど)等の臭み、調理・容器臭(レトルト臭、缶臭、乾燥臭、醗酵臭、加熱臭など)及びフレーバーを包含する味と臭いとの複合的な風味の改善をいう。
上記の異味のうち、本発明の風味改善剤は、特に苦味、酸味、渋味、エグ味、いがらっぽい味、青臭味、金属味及びレトルト食品特有の臭いを十分に低減化することができる。これらの異味は、それぞれ下記のような味もしくは臭いをいう。
苦味は、基本味の一つであり、キニーネやカフェインに代表されるような苦い味である。好ましくない苦味として扱われるものとしては、例えば、高甘味度の甘味料の甘味と共に存在する苦味、野菜の苦味、健康食品素材(例えば、高麗人参、プロポリス)特有の苦味が挙げられる。酸味は、基本味の一つであり、クエン酸や酒石酸に代表されるようなすっぱい味である。
渋味は、収斂味ともいわれ、渋柿のタンニンなどを代表とする物質によって口内で引き起こされる味である。好ましくない渋味として扱われるものとしては、例えば、渋柿に代表される強い渋味である。エグ味は、いわゆる灰汁に代表されるような味であり、苦味と渋味を複合したような不快味である。いがらっぽい味は、飲食品を口に入れたときに舌で感じる味ではなく、飲み込んだ時又は飲み込んだ後にのどを刺激する味であり、異味である。青臭味は、野菜の茎や葉由来の植物臭、大豆特有の臭いに代表されるような臭いに由来する風味であり、野菜の持つ植物臭と渋味・エグ味とが複合した不快味である。
金属味は、食品に溶解した金属イオンの呈する味であるが、電気的な味ともいわれる場合がある。金属イオン以外の物質で金属味を呈するものとしては、例えば高甘味度の甘味料や糖アルコールなどが挙げられる。
レトルト食品特有の臭い(いわゆるレトルト臭)は、レトルト食品の加工処理過程で袋又は成型容器の臭いが食品に移り、食品の嫌味として知覚されるものである。なお、レトルト食品とは、合成樹脂フィルム、アルミ箔などを積層して遮光性の材質の袋又は成型容器に飲食品を詰めて密封し、これを加圧殺菌及び/又は加熱殺菌したものをいう。
上記の異味以外に知覚される異味としては、アルカリ味が挙げられる。アルカリ味は飲食品のpHが7付近から少しアルカリ側になるとアミノ酸類と食塩の味に締まりがなくなり、ぼけたように感じることによる味である。ただし、飲食品がこのような高pHになることは一般的ではないため、アルカリ味はあまり問題視されていないのが実情である。
この風味改善剤は、それ自体若干の臭い及び味を有するが、食材に添加されて使用されると十分に希釈されるため、その臭い及び味はほとんど感じられなくなる。また、風味改善剤は、無色又は淡黄色透明であるため、飲食品の色に影響を及ぼすことはない。
本発明に係る風味改善剤によって風味が改善される飲食品としては、柑橘類加工品、野菜加工品、健康飲食品、カカオ製品、ハチミツ製品、乳製品、コーヒー・茶もしくはそれらを含有する飲食品、ビール、高甘味度甘味料、糖アルコール、レトルト製品、缶詰を含む飲食品等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記飲食品のうち、本発明の風味改善剤が特に十分効果を発揮できるものは、柑橘類加工品、野菜加工品、生薬含有飲食品、カカオ製品、ハチミツ製品、発酵乳、コーヒー、茶、高甘味度甘味料及びレトルト製品である。本発明の風味改善剤の添加量及び添加方法は、添加される飲食品の種類によって適宜選択することができる。風味改善剤の添加量は、飲食品に対して0.1〜100質量ppmであることが好ましく、0.2〜50質量ppmであることがより好ましい。この範囲の添加量で十分な風味改善効果を得ることができる。添加量が0.1質量ppm未満であると、目的とする風味改善効果が不十分となりやすく、他方、100質量ppmを超えると飲食品本来の味が損なわれる傾向がある。
<風味改善方法>
本発明の風味改善方法は、風味の改善を必要とする飲食品に風味改善剤を添加する工程を備える。加工食品の場合、風味の改善を必要とする原料に直接混合することが望ましい。ただし、混合が困難であるときには、風味の改善を必要とする原料の表面に風味改善剤の溶液を噴霧したり、このような溶液に原料を浸漬したりしてもよい。あるいは風味改善の対象食品と風味改善剤を含む粉末食品又はシート状食品とを接触させてもよい。
本発明の風味改善剤による飲食品の風味改善としては、例えば次のようなものが挙げられる。
1.柑橘類加工品の風味改善(苦味及び酸味等の低減)
柑橘類加工品とは、例えばグレープフルーツ、夏みかん、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、甘夏、ハッサク、伊予柑、スウィーティー、ザボン、ライム、レモン等の原料柑橘類を加工した飲食品である。その加工形態としては、果汁、果汁含有飲料、ゼリー、ピューレ、ジャム、マーマレード、缶詰、冷菓、キャンディー、果皮の砂糖漬け、フルーツソース等が挙げられる。これらの柑橘類加工品は、原料となる柑橘類に由来する苦味や酸味等が強いが、本発明の風味改善剤を添加することによりこれらの嫌味を低減することができる。
2.野菜加工品の風味改善(苦味、渋味、青臭味、酸味などの低減)
野菜加工品とは、例えばトマトジュース、ニンジンジュース、野菜ジュース、及び豆乳などの飲料や、これらの素材を含むゼリー、ジャム等の加工品、及び漬け物、納豆、総菜のような野菜加工・調理品が挙げられる。これらの野菜加工品は原料野菜由来の青臭味、苦味、渋味、豆臭、納豆の臭み等を有するが、本発明の風味改善剤を添加することによりこれらの嫌味を低減することができる。
3.健康飲食品の風味改善(青臭味、苦味、渋味、薬臭、エグ味などの低減)
健康飲食品とは、例えば生薬、ビタミン、ミネラル、その他の天然成分を含む健康食品及び健康飲料などが挙げられる。このような健康飲食品の機能性素材は青臭味、苦味、渋味、薬臭等を有する。また、素材の苦味や薬臭を改善するために砂糖、ハチミツ、高甘味度甘味料などを添加し調味を行っているが、添加量によっては調味のために添加したハチミツのエグ味や高甘味度甘味料の苦味、渋味等が発現し、期待した改善効果が望めない場合もある。また、プロポリスやビタミンEの様な脂溶性の天然成分を配合する場合、乳化剤を添加するが、この乳化剤の薬臭も苦味を増強し、嫌味の原因となる。本発明の風味改善剤を添加することにより、これらの健康飲食品の持つ、青臭味、苦味、渋味、薬臭、エグ味等を低減することができる。
4.カカオ製品の風味改善(苦味、渋味、酸味等の低減)
カカオ製品とは、例えばチョコレート、ココア及びこれらを利用した製品が挙げられる。本発明の風味改善剤を添加することにより、原料のカカオ豆に由来する苦味、渋味または酸味を低減することができる。
5.ハチミツ製品(エグ味及びいがらっぽい味の低減)
ハチミツ製品とは、例えばハチミツ、ハチミツ入りソース、ハチミツ入りシロップ、ハチミツ入り飲料などが挙げられる。本発明の風味改善剤を添加することにより、これらハチミツ入り製品のハチミツ由来のエグ味及びいがらっぽい味を低減することができる。
6.乳製品の風味改善(乳臭さ、発酵臭及び発酵により生じるいがらっぽい味、加工臭の低減)
乳製品としては、発酵乳、発酵乳含有飲料、粉乳などが挙げられる。発酵乳や発酵乳含有飲料は発酵臭や、舌やのどを刺激するいがらっぽい味を有する。また、粉乳を調製する際には、乳臭さが増強され、また加工臭が付加される。本発明の風味改善剤を添加することにより、このような発酵臭、いがらっぽい味、加工臭、乳臭さを低減することができる。
7.コーヒーの風味改善(渋味、苦味及び酸味等の低減)
コーヒーまたはコーヒー含有飲料としては、例えばコーヒー牛乳、缶入りコーヒー、缶入りミルクコーヒー、コーヒーゼリー、コーヒー入り菓子などが挙げられる。これらはコーヒー由来の苦味、渋味及び酸味を有する。本発明の風味改善剤を添加することにより、これらの渋味、苦味及び酸味を低減することができる。また、添加量を抑えることにより、ミルクコーヒーなどの乳化剤入りコーヒー製品の乳化剤の風味を低減することができる。
8.茶の風味改善(渋味及び苦味の低減)
本発明の風味改善剤を添加することにより、茶または茶含有飲食品の渋味、苦味を低減することができる。
9.高甘味度甘味料及び糖アルコール(苦味、金属味の低減)
本発明の風味改善剤を添加することにより、ステビア甘味料、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、グリチルリチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンなどの高甘味度甘味料、及びキシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、エリスリトール、還元パラチノース、還元水飴、還元麦芽糖水飴などの糖アルコールのもつ苦味、金属味を低減することができる。
10.レトルト製品及び缶詰製品(レトルト臭及び缶臭の低減)
本発明の風味改善剤を添加することにより、レトルト製品及び缶詰製品のレトルト臭及び缶臭を低減できる。また、レトルト及び缶詰のトマト製品及び肉製品特有の異味を低減することができる。
下記に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
風味改善成分として、ヒマワリ種子抽出物(ヘリアントS−100、大日本インキ化学工業株式会社製、ヒマワリ種子抽出物20質量%含有)、γ−アミノ酪酸(オリザギャバエキスHC−90、オリザ油化株式会社製)、グルコシルルチン(αGルチンP、東洋精糖株式会社製)、糖転移ヘスペリジン(αGヘスペリジンPA、東洋精糖株式会社製)をそれぞれ準備した。
<グレープフルーツジュースの風味改善例>
(実施例1a〜1e及び比較例1f〜1j)
グレープフルーツジュース(販売元:雪印乳業株式会社、商標:ドール100%ジュースグレープフルーツ)100mlに対して、上記の風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を混合して被検液を調製した。他方、対照としてグレープフルーツジュースに蒸留水を少量添加した被検液を調製した。そして、味覚について訓練された10人の被験者によって、グレープフルーツジュース特有の苦味及び酸味について官能検査を行った。風味の改善効果についての評価は、表1に示す5段階の評価基準に基づき行った。
Figure 0004838669

本風味改善例における風味改善成分の添加量(グレープフルーツジュース質量基準、単位:質量ppm)を表2に示した。表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例1a〜1eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例1f〜1iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例1jに該当する。
官能試験の結果、対照は柑橘類、特にグレープフルーツ特有の苦味、酸味が強いのに対し、風味改善剤を添加したものは苦味がかなり減少し、酸味も減少した。表3にグレープフルーツジュースについての官能試験の評価結果を示した。表3中の数値は10人の被験者の評価を平均した値を示すものである。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても柑橘類特異の苦味及び酸味の両方を十分に低減できることが分かった。
Figure 0004838669

<青汁(ケール)の風味改善例>
(実施例2a〜2e及び比較例2f〜2j)
グレープフルーツジュースの代わりに、フリーズドライの青汁(オリヒロ株式会社製、商標:青汁スーパー)1包(2.5g)を100mlの蒸留水に溶かした青汁溶液を用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。青汁溶液を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例2a〜2eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例2f〜2iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例2jに該当する。本風味改善例においては、青汁の青臭味及び苦味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は青汁特有の青臭味及び苦味が強いのに対し、風味改善剤を添加したものは青汁特有の青臭味及び苦味が減少し、対照と比較してかなり飲みやすくなった。また、表3に青汁特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても青汁特異の青臭味及び苦味を十分に低減できることが分かった。
<豆乳の風味改善例>
(実施例3a〜3e及び比較例3f〜3j)
グレープフルーツジュースの代わりに、調製豆乳(マルサンアイ株式会社製)50mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。調製豆乳を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例3a〜3eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例3f〜3iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例3jに該当する。本風味改善例においては、豆乳の大豆臭及び青臭味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は大豆臭、青臭味が強いのに対し、風味改善剤を添加したものは大豆臭、青臭味が減り、まろやかな味になった。表3に豆乳特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても豆乳特異の大豆臭及び青臭味を十分に低減できることが分かった。
<ローヤルゼリー含有栄養ドリンク剤の風味改善例>
(実施例4a〜4e及び比較例4f〜4j)
グレープフルーツジュースの代わりに、ローヤルゼリー含有栄養ドリンク剤(各種ビタミン、カフェイン、ローヤルゼリー、各種漢方エキス、ハチミツ配合、ローヤル薬品工業株式会社製、商標:ローヤルゼリンゴールド、医薬品)30mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。ローヤルゼリー含有栄養ドリンク剤を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例4a〜4eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例4f〜4iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例4jに該当する。本風味改善例においては、ローヤルゼリー含有栄養ドリンク剤のビタミンの味、エグ味及び刺激味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は甘味が強く、強い甘味で呈味改善しようとしているように感じられ、またビタミンB群の臭いと味が強く、そこに漢方由来のエグ味と刺激のある味が存在していた。これに対し、風味改善剤を添加したものはビタミンの味と臭いが低減し、きついエグ味が減少し、またのどへの刺激が減り飲みやすくなった。表3にローヤルゼリー含有栄養ドリンク剤特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもローヤルゼリー含有栄養ドリンク剤特異のビタミンの味、エグ味及び刺激味を十分に低減できることが分かった。
Figure 0004838669

<高麗人参含有液の風味改善例>
(実施例5a〜5e及び比較例5f〜5j)
グレープフルーツジュースの代わりに、高麗人参濃縮液(韓国産、高麗人参製造株式会社製)0.2gに蒸留水を添加して48mlとした高麗人参含有液を用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。高麗人参濃縮液を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例5a〜5eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例5f〜5iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例5jに該当する。本風味改善例においては、高麗人参含有液の苦味、渋味、嫌味及び高麗人参臭について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は苦味、渋味、嫌味、高麗人参臭が強いが、風味改善剤を添加したものは飲み込んだ直後までの苦味、渋味、嫌味が低減すると共に、人参特有の臭いも低減した。表4に高麗人参含有液特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても高麗人参含有液特異の苦味、渋味、嫌味及び高麗人参臭を十分に低減できることが分かった。
<プロポリスエキス溶液の風味改善例>
(実施例6a〜6e及び比較例6f〜6j)
グレープフルーツジュースの代わりに、プロポリスエキス(オリヒロ株式会社製、商標:プロポリスエキスリキッド)1mlを蒸留水で1000mlに希釈したプロポリスエキス溶液50mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。プロポリスエキス溶液を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例6a〜6eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例6f〜6iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例6jに該当する。本風味改善例においては、プロポリスエキス溶液の苦味、嫌味、薬品臭及び刺激味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。なお、プロポリスエキスは水に不溶性であるため、通常プロポリス製品はエタノールと乳化剤とを含有する。特に、本風味改善例において用いたプロポリスエキスはエキス濃度が20%(質量/体積)であるため、高いエタノール含量(56%(体積/体積))と乳化剤の含有による苦味、嫌味が強いものである。
官能試験の結果、対照は乳化剤の薬品臭及び刺激味が強く、またプロポリス由来の苦味、嫌味、刺激味が口中に広がったのに対し、風味改善剤は乳化剤の薬品臭と刺激味及びプロポリス由来の苦味、嫌味が低減した。表4にプロポリスエキス溶液特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもプロポリスエキス溶液特異の苦味、嫌味、薬品臭及び刺激味を十分に低減できることが分かった。
Figure 0004838669

<ココア飲料の風味改善例>
(実施例7a〜7e及び比較例7f〜7j)
グレープフルーツジュースの代わりに、純ココア(発売元:片岡物産株式会社、商標:バンホーテンココア)4gを熱湯120mlで溶かした後、冷却して得たココア飲料100mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。ココア飲料を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例7a〜7eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例7f〜7iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例7jに該当する。本風味改善例においては、ココア飲料の苦味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は苦味が強かったが、風味改善剤を添加したものは苦味が十分に低減し、しかもカカオの風味が残っている。表5にココア飲料特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもココア飲料特異の苦味を十分に低減できることが分かった。
<ハチミツの風味改善例>
(実施例8a〜8e及び比較例8f〜8j)
グレープフルーツジュースの代わりに、ハチミツ(株式会社加藤美蜂園本舗製)30gを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。ハチミツを質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例8a〜8eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例8f〜8iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例8jに該当する。本風味改善例においては、ハチミツのエグ味、渋味及びいがらっぽい味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照はエグ味、渋味があり、のどにいがらっぽさが残るが、風味改善剤を添加したものはエグ味、渋味、いがらっぽい味が十分に低減し、さっぱりした味になった。表5にハチミツ特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもハチミツ特異のエグ味、渋味及びいがらっぽい味を十分に低減できることが分かった。
<乳酸菌飲料の風味改善例>
(実施例9a〜9e及び比較例9f〜9j)
グレープフルーツジュースの代わりに、乳酸菌飲料(カルピス株式会社製、商標:アミールS)100mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。乳酸菌飲料を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例9a〜9eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例9f〜9iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例9jに該当する。本風味改善例においては、乳酸菌飲料のとげとげしい酸味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は酸味が強く、特にのどを刺激するとげとげしい酸味が目立ち、またやや乳臭く、のどに乳っぽさが残った。これに対し、風味改善剤を添加したものは舌ですぐに感じる酸味は残るが、のどを刺激するとげとげしい酸味は十分に低減し、ややまろやかな味になった。表5に乳酸菌飲料特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても乳酸菌飲料特異のとげとげしい酸味を十分に低減できることが分かった。
<発酵乳の風味改善例>
(実施例10a〜10e及び比較例10f〜10j)
グレープフルーツジュースの代わりに、発酵乳((東洋醗酵乳株式会社製、商標:キュート(プレーン))50mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。発酵乳を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例10a〜10eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例10f〜10iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例10jに該当する。本風味改善例においては、発酵乳のいがいがする酸味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照はのどを刺激するいがいがする酸味及びのどに張り付くような酸味が気になった。これに対し、風味改善剤を添加したものは舌ですぐに感じるすっきりした酸味は残るが、のどを刺激するいがいがする酸味は低減され、すっきりした味になった。表5に発酵乳特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても発酵乳特異のいがいがする酸味を十分に低減できることが分かった。
Figure 0004838669

<無糖コーヒーの風味改善例>
(実施例11a〜11e及び比較例11f〜11j)
グレープフルーツジュースの代わりに、無糖コーヒー(サントリー株式会社製、商標:ボス・ブラック)100mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。無糖コーヒーを質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例11a〜11eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例11f〜11iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例11jに該当する。本風味改善例においては、無糖コーヒーの苦味及び渋味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は苦味と渋味を感じるが、風味改善剤を添加したものは苦味と渋味が低減された。表6に無糖コーヒー特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても無糖コーヒー特異の苦味及び渋味を十分に低減できることが分かった。
<緑茶の風味改善例>
(実施例12a〜12e及び比較例12f〜12j)
グレープフルーツジュースの代わりに、緑茶4gに対して沸騰した蒸留水150mlを添加し、3分間抽出した後、これを茶こしでこして得られた緑茶抽出液50mlを冷却したものを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。緑茶抽出液を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例12a〜12eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例12f〜12iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例12jに該当する。本風味改善例においては、緑茶抽出液の苦味及び渋味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は苦味と渋味を強く感じるが、風味改善剤を添加したものは茶の苦味、渋味が低減されていた。表6に緑茶特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても緑茶特異の苦味及び渋味を十分に低減できることが分かった。
<アスパルテームの風味改善例>
(実施例13a〜13e及び比較例13f〜13j)
グレープフルーツジュースの代わりに、アスパルテームの0.025質量%水溶液100mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。なお、このアスパルテーム0.025質量%水溶液は、蔗糖の5質量%溶液と等甘味度である。このアスパルテーム水溶液を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例13a〜13eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例13f〜13iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例13jに該当する。本風味改善例においては、アスパルテーム水溶液の後味、苦味及び金属味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は飲み込んだ後にもわっとした後味、苦味、金属味のような嫌味があるのに対し、風味改善剤を添加したものは後味、苦味、金属味が減少した。表6にアスパルテーム特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもアスパルテーム特異の後味、苦味及び金属味を十分に低減できることが分かった。
<ステビア甘味料の風味改善例>
(実施例14a〜14e及び比較例14f〜14j)
グレープフルーツジュースの代わりに、ステビア甘味料(守田化学工業株式会社製、商標:SKスイートZ3)の0.033質量%水溶液100mlを用いたことの他は、上記のグレープフルーツジュースの風味改善例と同様にして、被検液を調製した。なお、このステビア甘味料0.033質量%水溶液は、蔗糖の5質量%溶液と等甘味度である。このステビア甘味料水溶液を質量基準として、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例14a〜14eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例14f〜14iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例14jに該当する。本風味改善例においては、ステビア甘味料水溶液の後味、苦味及び金属味について、10人の被験者による官能試験を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は飲み込んだ後にじわっと広がる苦味、後味、金属味があるのに対し、風味改善剤を添加したものは苦味、後味、金属味が減少した。表6にステビア甘味料特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもステビア甘味料特異の後味、苦味及び金属味を十分に低減できることが分かった。
Figure 0004838669

<ニガウリの風味改善例>
(実施例15a〜15e及び比較例15f〜15j)
ニガウリを用意し、これを縦半分に切断した。種の部分を取り除いた後、2〜3mmの厚さとなるように斜め切りにした。斜め切りにしたニガウリを軽く塩でもみ、10分間ほどおいた。その後、ニガウリをサラダオイル大さじ2/3で炒め、しんなりしたとことでしょうゆ大さじ1、酒大さじ1で味付けし、仕上げに鰹節(5g)で和えた。更に、風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を添加して、被検サンプルとした。他方、対照として鰹節で和えた後に蒸留水を少量添加した被検サンプルを準備した。
このニガウリの料理の全質量基準をとして、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例15a〜15eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例15f〜15iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例15jに該当する。ニガウリ特有の苦味について、10人の被験者による官能検査を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照はニガウリ特有の苦味が強いのに対し、風味改善剤を添加したものは苦味が完全に無くなりはしないが低減しており、ニガウリを食べたことのない人にも食べやすくなった。表7にニガウリ特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもニガウリ特異の苦味を十分に低減できることが分かった。
<納豆の風味改善例>
(実施例16a〜16e及び比較例16f〜16j)
市販の小分けされた納豆(タカノフーズ株式会社製、商標:おかめ納豆)1カップ(30g)を準備した。この納豆に対して風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を添加した。また、当該納豆に対して蒸留水を少量添加したものを対照として準備した。納豆の全質量基準をとして、表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例16a〜16eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例16f〜16iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例16jに該当する。納豆特有の納豆臭について、10人の被験者による官能検査を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照は納豆臭が気になるのに対し、被検サンプルは納豆臭がやや減り、あっさりした納豆になった。表7に納豆特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても納豆特異の納豆臭を十分に低減できることが分かった。
<レトルト食品(ジャガイモのスープ)の風味改善例>
(実施例17a〜17e及び比較例17f〜17j)
レトルト食品のスープ(ハインツ日本株式会社製、商標:冷たいジャガイモのスープ)を用い、冷えたレトルト食品のレトルト臭などに対する風味改善剤の効果を調べた。なお、本風味改善例は、既にレトルト臭が発生している市販のレトルト食品に対して風味改善剤を添加し、これを加熱処理するものであり、風味改善剤の熱安定性について確認することも目的とする。
レトルト食品のスープ100mlに対して、風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を添加した。また、当該スープ100mlに対して蒸留水を少量添加したものを対照として準備した。これらをそれぞれ耐熱性バイアルに入れ、蓋をして、オートクレーブで121℃、15分間の加熱殺菌処理を行い、その後冷却した。
表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例17a〜17eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例17f〜17iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例17jに該当する。レトルト食品(ジャガイモのスープ)特有の乳臭さ、後味、レトルト臭及びアミノ酸の味について、10人の被験者による官能検査を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照はクリーミーだが乳臭く、レトルト臭が気になった。また、アミノ酸の味が強く、特にグルタミン酸ソーダの味が気になった。一方、風味改善剤を添加したものは重たい感じのクリームの風味が低減し、さっぱりした味になった。また、乳臭さが低減すると共に強い風味や後味が全体的に減り、アミノ酸の味もかなり減った。表7にレトルト食品(ジャガイモのスープ)特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であっても冷えたレトルト食品のスープの特異の乳臭さ、後味、レトルト臭及びアミノ酸の味を十分に低減できることが分かった。また、風味改善剤は十分な熱安定性を有しており、レトルト食品の製造工程の熱処理を経ても十分にその効果を発揮できることが示された。
<レトルト食品(おかゆ)の風味改善例>
(実施例18a〜18e及び比較例18f〜18j)
レトルト食品のおかゆ(味の素株式会社製、商標:ちゃんとごはん白がゆ)を用い、シンプルな素材のレトルト食品のレトルト臭に対する風味改善剤の効果を調べた。なお、本風味改善例は、既にレトルト臭が発生している市販のレトルト食品に対して風味改善剤を添加し、これを加熱処理するものであり、風味改善剤の熱安定性について確認することも目的とする。
製品の表示通りに温めたおかゆ100gに対して、風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を添加した。また、当該おかゆ100gに対して蒸留水を少量添加したものを対照として準備した。これらをそれぞれ耐熱性バイアルに入れ、蓋をして、オートクレーブで121℃、15分間の加熱殺菌処理を行った。
表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例18a〜18eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例18f〜18iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例18jに該当する。レトルト食品(おかゆ)特有のレトルト臭について、10人の被験者による官能検査を表1の評価基準に基づき行った。
官能試験の結果、対照はレトルト臭が強く、特におかゆの液部分のレトルト臭が顕著であった。これに対し、風味改善剤を添加したものはレトルト臭が減り、味もあっさりしたものになり、対象と比較して食べやすくなった。表7にレトルト食品(ジャガイモのスープ)特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもレトルト食品のおかゆの特異のレトルト臭を十分に低減できることが分かった。また、風味改善剤は十分な熱安定性を有しており、レトルト食品の製造工程の熱処理を経ても十分にその効果を発揮できることが示された。
Figure 0004838669

<レトルト食品(ミートソース)の風味改善例>
(実施例19a〜19e及び比較例19f〜19j)
レトルト食品のミートソース(日清製粉株式会社製、商標:ママーミートソース)を用い、トマトを素材として使用しているレトルト食品に対する風味改善剤の効果を調べた。なお、本風味改善例は、既にレトルト臭が発生している市販のレトルト食品に対して風味改善剤を添加し、これを加熱処理するものであり、風味改善剤の熱安定性について確認することも目的とする。
製品の表示通りに温めたミートソース100gに対して、風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を添加した。また、当該ミートソース100gに対して蒸留水を少量添加したものを対照として準備した。これらをそれぞれ耐熱性バイアルに入れ、蓋をして、オートクレーブで121℃、15分間の加熱殺菌処理を行った。
表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例19a〜19eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例19f〜19iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例19jに該当する。レトルト食品(ミートソース)特有のレトルト臭、とげとげした酸味及び合成的なうま味について、10人の被験者による官能検査を表1の評価基準に基づき行った。なお、官能試験はミートソースが温かいうちに実施した。
官能試験の結果、対照は調味料の味、特にグルタミン酸ソーダの味が強く、トマトのとげとげした酸味がのどを刺激した。これに対し、風味改善剤を添加したものは対照と比較して食べやすくなった。また、酸味全体は強調されるがとげとげした酸味が十分に低減すると共に、合成的なうま味も低減し、マイルドな味になった。表8にレトルト食品(ミートソース)特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもレトルト食品のミートソースの特異のレトルト臭、とげとげした酸味及び合成的なうま味を十分に低減できることが分かった。また、風味改善剤は十分な熱安定性を有しており、レトルト食品の製造工程の熱処理を経ても十分にその効果を発揮できることが示された。
<レトルト食品(ハヤシソース)の風味改善例>
(実施例20a〜20e及び比較例20f〜20j)
レトルト食品のハヤシソース(明治製菓株式会社製、商標:銀座ハヤシ)を用い、肉を素材として使用しているレトルト食品に対する風味改善剤の効果を調べた。なお、本風味改善例は、既にレトルト臭が発生している市販のレトルト食品に対して風味改善剤を添加し、これを加熱処理するものであり、風味改善剤の熱安定性について確認することも目的とする。
製品の表示通り温めたハヤシソース100gに対して、風味改善成分から選ばれる成分1種又は2種を添加した。また、当該ハヤシソース100gに対して蒸留水を少量添加したものを対照として準備した。これらをそれぞれ耐熱性バイアルに入れ、蓋をして、オートクレーブで121℃、15分間の加熱殺菌処理を行った。
表2に示す添加成分組成a〜eを添加した風味改善例が実施例20a〜20eにそれぞれ該当し、添加成分組成f〜iを添加した風味改善例が比較例20f〜20iにそれぞれ該当する。更に、対照として蒸留水を添加したものが比較例20jに該当する。レトルト食品(ハヤシソース)特有のレトルト臭及びとげとげした酸味について、10人の被験者による官能検査を表1の評価基準に基づき行った。なお、官能試験はハヤシソースが温かいうちに実施した。
官能試験の結果、対照はコクのある深い味でおいしいが、トマトのとげとげした酸味がややあり、レトルト臭もあった。これに対し、風味改善剤を添加したものは、トマトのとげとげした酸味が低減し、まろやかな味になると共に、レトルト臭も減り、食べやすい味になった。表8にレトルト食品(ハヤシソース)特異の風味についての官能試験の評価結果(被験者10人の評価の平均値)を示した。以上のことから、複数の風味改善成分が併用された風味改善剤を使用することで、少ない添加量であってもレトルト食品のハヤシソースの特異のレトルト臭及びとげとげした酸味を十分に低減できることが分かった。また、風味改善剤は十分な熱安定性を有しており、レトルト食品の製造工程の熱処理を経ても十分にその効果を発揮できることが示された。
Figure 0004838669

Claims (5)

  1. 飲食品の風味改善のために使用される風味改善剤であって、
    γ−アミノ酪酸と、
    ヒマワリ種子抽出物及びヘスペリジン誘導体の少なくとも一方と、
    を含有する風味改善剤。
  2. 前記ヘスペリジン誘導体は糖転移ヘスペリジンである、請求項1に記載の風味改善剤。
  3. 前記飲食品の風味改善は、苦味、酸味、渋味、エグ味、いがらっぽい味、青臭味、金属味及びレトルト食品特有の臭いからなる群より選ばれる少なくとも一つの風味の低減である、請求項1又は2に記載の風味改善剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の風味改善剤を、飲食品に添加する工程を備える風味改善方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の風味改善剤が添加された飲食品。
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