JP3194191B2 - 組成物 - Google Patents

組成物

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JP3194191B2
JP3194191B2 JP10143999A JP10143999A JP3194191B2 JP 3194191 B2 JP3194191 B2 JP 3194191B2 JP 10143999 A JP10143999 A JP 10143999A JP 10143999 A JP10143999 A JP 10143999A JP 3194191 B2 JP3194191 B2 JP 3194191B2
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−グリコシル
ルチンを有効成分とする、ビタミンP強化剤、黄色着色
剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤およ
び劣化防止剤から選ばれる組成物に関し、更に詳細に
は、高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有
液に糖転移酵素を作用させてα−グリコシル ルチンを
生成せしめ、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン
換算で約1.0w/v%以上の高濃度に溶解含有させた
α−グリコシル ルチンを有効成分とする、ビタミンP
強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、
紫外線吸収剤および劣化防止剤から選ばれる組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】ルチンは、下記の化1で表される化学構
造を有し、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整などの
生理作用を持つビタミンPとして、また、黄色色素とし
て古くから知られ、食品、医薬品、化粧品などに利用さ
れている。
【0003】
【化1】
【0004】ビタミンPは、生体内で、ビタミンCの生
理活性、例えば、生体結合組織の主成分であるコラーゲ
ンの合成に必要なプロリンやリジンのヒドロキシル化反
応に関与し、また、例えば、チトクロームCのFe++
+を還元してFe++にするなどの酸化還元反応に関与
し、更には、白血球増加による免疫増強作用に関与する
など、それらの反応を増強することが知られており、生
体の健康維持、増進に重要な役割をなしている。
【0005】ルチンの用途は、単に栄養素としてのビタ
ミンP強化剤にとどまらず、その化学構造、生理作用か
ら、単独でまたは他のビタミンなどと併用して、例え
ば、黄色着色剤、酸化防止剤、安定剤、品質改良剤、紫
外線吸収剤などとして、飲食物などに、また、ウィルス
性疾患、細菌性疾患、循環器疾患、悪性腫瘍など感受性
疾患の予防剤、治療剤すなわち抗感受性疾患剤に、更に
は、黄色着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
メラニン生成抑制剤などの美肌剤、色白剤などとして化
粧品にまで及び、その範囲は極めて広い。
【0006】しかしながら、ルチンは水に難溶性で、室
温では8Lの水にわずか1g程度(約0.01w/v
%)しか溶けず、使用上困難を極めている。これを改善
する方法としては、例えば、特公昭25−1677号公
報に示されるごとく、ルチンにアミノ基を有する脂肪族
化合物を加えて水溶性を増大する方法、また特公昭26
−2724号公報に示されるごとく、ルチンにモノハロ
ゲン酢酸を作用させ酢酸ソーダ化合物にして水溶性を増
大する方法、また、特公昭29−1285号公報に示さ
れるごとく、ルチンにロンガリットを作用させ亜硫酸化
合物にして水溶性を増大する方法などが知られていた。
【0007】しかしながら、これらの方法は、いずれも
アミノ化合物、モノハロゲン酢酸、亜硫酸化合物などが
用いられ、生成物質に他の生理活性、毒性が懸念され、
またその精製も困難である。
【0008】そこで、本発明者等は、先に、特公昭54
−32073号公報で、より安全性の高い水溶化の方法
として、生合成反応を利用した糖転移酵素の作用による
α−グリコシル ルチンの製造法を提案した。この方法
で得られるα−グリコシルルチンは、毒性の懸念もな
く、原料のルチンと同じ生理活性を有し、水への溶解性
も高く、取り扱い上極めて好都合で、より広範な用途が
期待され、その実現が鶴首されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、α−
グリコシル ルチンは、種々の長所を有しており、その
工業化が待たれている。
【0010】しかしながら、従来、その生合成反応にお
ける仕込濃度がルチンとして約0.1w/v%程度に過
ぎず、製品のα−グリコシル ルチンに対する使用水
量、精製処理水量、エネルギーコストなどが過大とな
り、その工業化を困難にしている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の欠点を
解決するためになされたものであって、とりわけ、仕込
時のルチン濃度を高めた反応法と反応後のα−グリコシ
ル ルチンの精製法について鋭意研究した。
【0012】その結果、高濃度のルチンと澱粉質とを含
有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させることに
より、望ましくは、ルチンを高濃度懸濁状、または、ア
ルカリ側pHで溶解させた高濃度溶液状で含有せしめ、
その仕込濃度をルチンとして約1.0乃至20.0w/
v%、換言すれば、従来技術の約10乃至200倍にも
高めた状態で糖転移酵素を作用させることにより、α−
グリコシル ルチンがよく生成され、室温下、中性付近
の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上も
の高濃度に溶解含有させうることを見いだし、その製造
法を確立するとともに、この製造法により得られるα−
グリコシル ルチン高含有物を含有せしめた飲食物、感
受性疾患の予防剤、治療剤、化粧品などへの用途を確立
して本発明を完成した。
【0013】また、この反応により生成したα−グリコ
シル ルチンを精製するに際しては、その反応溶液と多
孔性合成吸着剤とを接触させ、その吸着性の違いを利用
することにより、容易に精製できることを見いだした。
【0014】従って、本発明のα−グリコシル ルチン
の製造法は、従来方法の欠点を一挙に解消し、使用水
量、精製処理水量、エネルギーコストを大幅に低減でき
ることが判明し、その工業化の実現を極めて容易にする
ものである。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明に用いるルチンは、高度に精製され
たルチンに限る必要はなく、ルチンと、例えば、シトロ
ニン、ナリンジン、ヘスペリジンなどのフラボノイド配
糖体との混合物、更には、ルチンを含有している各種植
物由来の抽出物、またはその部分精製物などが適宜使用
できる。
【0017】植物組織としては、例えば、ソバの葉茎、
エンジュのつぼみ(槐花)、エニシダのつぼみ、ユーカ
リの葉茎、イチョウの葉茎、柑橘類果実などが有利に利
用できる。
【0018】本発明に用いる澱粉質は、同時に用いる糖
転移酵素によってルチンからα−グリコシル ルチンを
生成することのできるものであればよく、例えば、アミ
ロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトオ
リゴ糖などの澱粉部分加水分解物、更には、液化澱粉、
糊化澱粉などが適宜選ばれる。
【0019】従って、α−グリコシル ルチンの生成を
容易にするためには、糖転移酵素に好適な澱粉質が選ば
れる。
【0020】例えば、糖転移酵素として、α−グルコシ
ダーゼ(EC 3.2.1.20)を用いる際には、マ
ルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなど
のマルトオリゴ糖、またはDE約10乃至70の澱粉部
分加水分解物などが好適であり、シクロマルトデキスト
リン グルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.
1.19)を用いる際には、シクロデキストリンまたは
DE1以下の澱粉糊化物からDE約60の澱粉部分加水
分解物などが好適であり、α−アミラーゼ(EC3.
2.1.1)を用いる際には、DE1以下の澱粉糊化物
からDE約30のデキストリン、澱粉部分加水分解物な
どが好適である。
【0021】また、反応時の澱粉質濃度は、ルチンに対
して約0.5乃至50倍の範囲が好適である。
【0022】本発明でいうルチン高含有液とは、ルチン
を、例えば、懸濁状で、または、pH7.0を越えるア
ルカリ側pHで溶解させた溶液状で高濃度に含有する溶
液が適しており、その濃度は、約0.5w/v%以上の
高濃度、望ましくは、約1.0乃至20.0w/v%含
有している溶液を意味する。
【0023】本発明に用いる糖転移酵素は、ルチンとこ
の酵素に好適な性質の澱粉質とを含有するルチン高含有
液に作用させる時、ルチンを分解せずにα−グリコシル
ルチンを生成するものであればよい。例えば、α−グ
ルコシダーゼは、ブタの肝臓、ソバの種子などの動植物
組織由来の酵素、または、ムコール(Mucor)属、
ペニシリウム(Penicillium)属などに属す
るカビ、またはサッカロミセス(Saccharomy
ces)属などに属する酵母などの微生物を栄養培地で
培養し得られる培養物由来の酵素が、シクロマルトデキ
ストリン グルカノトランスフェラーゼは、バチルス
(Bacillus)属、クレブシーラ(Klebsi
ella)属などに属する細菌培養物由来の酵素が、α
−アミラーゼは、バチルス属などに属する細菌、また
は、アスペルギルス(Aspergillus)属など
に属するカビ培養物由来の酵素などが適宜選択できる。
【0024】これらの糖転移酵素は、前記の条件を満足
しさえすれば、必ずしも精製して使用する必要はなく、
通常は、粗酵素で本発明の目的を達成することができ
る。必要ならば、公知の各種方法で精製して使用しても
よい。また、市販の糖転移酵素を利用することもでき
る。使用酵素量と反応時間とは、密接な関係があり、通
常は、経済性の点から約5乃至80時間で反応を終了す
るように酵素量が選ばれる。また、固定化された糖転移
酵素をバッチ式で繰り返し、または連続式で反応に利用
することも適宜選択できる。
【0025】本発明の反応法は、高濃度のルチンと澱粉
質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させ
ればよい。例えば、ルチンを高濃度懸濁状で反応せしめ
る場合には、約1.0乃至5.0w/v%の懸濁状ルチ
ンと適量の澱粉質とを含有するルチン高含有液を、pH
約4.5乃至6.5とし、糖転移酵素の作用しうるでき
るだけ高温、具体的には、約70乃至90℃に維持し、
これに糖転移酵素を作用させると、ルチンがα−グリコ
シル ルチンに変換するにつれて懸濁状ルチンが徐々に
溶解し、同時に、α−グリコシル ルチンが容易に高濃
度に生成する。このようにして得られるα−グリコシル
ルチン含有溶液は、ルチン換算で60w/w%以上の
大量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンと
を溶解含有しており、室温下、中性付近の水溶液条件
で、その合計溶解量がルチン換算で約1.0乃至5.0
w/v%にも達することが判明した。
【0026】また、例えば、ルチンをpH7.0を越え
るアルカリ側で溶解させた高濃度溶液状で反応せしめる
場合には、pH約7.5乃至10.0の水に約1.0乃
至5.0w/v%のルチンを加熱溶解し、これに適量の
澱粉質を溶解して得られるルチン高含有液を、糖転移酵
素の作用しうるできるだけ高pH、高温、具体的には、
pH約7.5乃至10.0、温度約50乃至80℃に維
持し、これに糖転移酵素を作用させるとα−グリコシル
ルチンが容易に高濃度に生成する。この際、アルカリ
性溶液中のルチンは、分解を起しやすいので、これを防
ぐため、できるだけ遮光、嫌気下に維持するのが望まし
い。必要ならば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸
などの抗酸化剤を共存させてもよい。
【0027】このようにして得られるα−グリコシル
ルチン含有溶液は、ルチン換算で60w/w%以上の大
量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンとを
溶解含有しており、室温下、中性付近の水溶液条件で、
その合計溶解量がルチン換算で約1.0乃至5.0w/
v%にも達することが判明した。更に、前記条件を組み
合せる方法、例えば、約2.0乃至20.0w/v%の
懸濁状ルチンと適量の澱粉質とを含有するルチン高含有
液をpH約7.5乃至10.0、温度約50乃至80℃
に維持し、これに糖転移酵素を作用させると、α−グリ
コシル ルチンが容易に高濃度に生成溶解する。また、
ルチンとして、例えば約0.1乃至1.0規定のカセイ
ソーダ水溶液、カセイカリ水溶液、炭酸ソーダ水溶液、
水酸化カルシウム水、アンモニア水などの強アルカリ性
水溶液に約5.0乃至20.0w/v%の高濃度に溶解
させたものを用い、これに塩酸、硫酸などの酸性水溶液
を加えて酵素の作用しうるpHに調整するとともに澱粉
質を加え、直ちに糖転移酵素を作用させることは、α−
グリコシル ルチンを容易に高濃度に生成させることと
なるので極めて好都合である。この際、せっかく高濃度
に溶解させたルチン溶液も、酸性水溶液でpH調整する
ことによりルチンが析出を起し易いので、そのpH調整
前に、澱粉質や少量のα−グリコシル ルチンなどを共
存させてルチンの析出を抑制しつつ糖転移反応を開始す
ることも有利に実施できる。このようにして得られるα
−グリコシル ルチン含有溶液は、ルチン換算で60w
/w%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少量の未
反応ルチンとを溶解含有しており、室温下、中性付近の
水溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約5.0
乃至20.0w/v%にも達することが判明した。
【0028】また、更に必要ならば、反応前のルチンの
溶解度を高め、ルチンへの糖転移反応を容易にするため
に、ルチン高含有液に水と互いに溶解しうる有機溶媒、
例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
iso−プロパノール、n−ブタノール、アセトール、
アセトンなどの低級アルコール、低級ケトンなどを共存
させることも適宜選択できる。
【0029】以上述べたように、本発明の方法は、ルチ
ンの仕込濃度を従来の約10乃至200倍にも高めて反
応させることができ、α−グリコシル ルチンを容易に
高濃度に生成しうることが判明した。すなわち、本発明
の高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液
に糖転移酵素を作用させる方法は、高濃度にもかかわら
ず反応終了時点において、ルチン換算で60w/w%以
上の大量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチ
ンとを溶解含有することとなり、室温下、中性付近の水
溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約1.0w
/v%以上、望ましくは、約1.0乃至20.0w/v
%にもなり、従来技術の約10乃至200倍もの高濃度
に高めうることが判明した。
【0030】このようにしてα−グリコシル ルチンを
生成せしめた反応溶液は、そのままでα−グリコシル
ルチン製品にすることもできる。通常は、反応溶液を濾
過、濃縮してシラップ状の、更には、乾燥、粉末化して
粉末状のα−グリコシル ルチン製品にする。
【0031】本製品は、ビタミンP強化剤としてばかり
でなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、
安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤な
どとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患
剤、化粧品、プラスチック製品などの用途に有利に利用
できる。更に、精製されたα−グリコシル ルチン製品
を製造する場合には、多孔性合成吸着剤による吸着性の
差を利用してα−グリコシル ルチンと澱粉質などの夾
雑物とを分離して精製すればよい。
【0032】本発明でいう多孔性合成樹脂とは、多孔性
で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン−
ジビニルベンゼン重合体、フェノール−ホルマリン樹
脂、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂などの合
成樹脂であり、例えば、市販されているRohm &
Haas社製造の商品名アンバーライトXAD−1、ア
ンバーライトXAD−2、アンバーライトXAD−4、
アンバーライトXAD−7、アンバーライトXAD−
8、アンバーライトXAD−11、アンバーライトXA
D−12、三菱化成工業株式会社製造の商品名ダイヤイ
オンHP−10、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオ
ンHP−30、ダイヤイオンHP−40、ダイヤイオン
HP−50、IMACTI社製造の商品名イマクティS
yn−42、イマクティSyn−44、イマクティSy
n−46などがある。
【0033】本発明のα−グリコシル ルチンを生成せ
しめた反応液の精製法は、反応液を、例えば、多孔性合
成吸着剤を充填したカラムに通液すると、α−グリコシ
ルルチンおよび比較的少量の未反応ルチンが多孔性合成
吸着剤に吸着するのに対し、多量に共存する澱粉質、水
溶性糖類は吸着されることなくそのまま流出する。
【0034】必要ならば、糖転移酵素反応終了後、多孔
性合成吸着剤に接触させるまでの間に、例えば、反応液
を加熱して生じる不溶物を濾過して除去したり、ケイ酸
アルミン酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウムなど
で処理して反応液中の蛋白性物質などを吸着除去した
り、強酸性イオン交換樹脂(H型)、中塩基性または弱
塩基性イオン交換樹脂(OH型)などで処理して脱塩す
るなどの精製法を組み合せて利用することも随意であ
る。
【0035】前述のようにして、多孔性合成吸着剤カラ
ムに選択的に吸着したα−グリコシル ルチンと比較的
少量の未反応ルチンとは、希アルカリ、水などで洗浄し
た後、比較的少量の有機溶媒または有機溶媒と水との混
合液、例えば、メタノール水、エタノール水などを通液
すれば、まず、α−グリコシル ルチンが溶出し、通液
量を増すか有機溶媒濃度を高めるかすれば未反応ルチン
が溶出してくる。
【0036】このα−グリコシル ルチン高含有溶出液
を蒸溜処理して、まず有機溶媒を溜去した後、適当な濃
度にまで濃縮すればα−グリコシル ルチンを主成分と
するシラップ状製品が得られる。更に、これを乾燥し粉
末化することによって、α−グリコシル ルチンを主成
分とする粉末状製品が得られる。
【0037】この有機溶媒によるα−グリコシル ルチ
ンおよび未反応ルチンの溶出操作は、同時に、多孔性合
成吸着剤の再生操作にもなるので、この多孔性合成吸着
剤の繰り返し使用を可能にする。
【0038】また、本発明の多孔性合成吸着剤による精
製は、澱粉質、水溶性糖類だけでなく、水溶性の塩類な
どの夾雑物も同時に除去できる特長を有している。この
ようにして得られるα−グリコシル ルチンは、次の特
長を有している。
【0039】(1)ルチンと比較してα−グリコシル
ルチンは、水溶性が極めて大きい。 (2)ルチンと比較してα−グリコシル ルチンは、耐
光性、安定性が大きい。 (3)α−グリコシル ルチンは、体内の酵素によりル
チンとグルコースとに加水分解され、ルチン本来の生理
活性(ビタミンP)を示す。また、ビタミンCとの併用
により、それらの持つ生理活性を増強することができ
る。 (4)澱粉質を含有する製品の場合には、α−グリコシ
ル ルチンの効果を発揮するのみならず、澱粉質が賦
形、増量効果や、甘味効果を発揮することができ、ま
た、澱粉質を除去した精製製品の場合には、ほとんど賦
形、増量することなくα−グリコシル ルチンの効果を
発揮することができ、また、実質的に無味、無臭なので
自由に調味、調香することができる。
【0040】これらの特長から、α−グリコシル ルチ
ンは安全性の高い天然型のビタミンP強化剤としてばか
りでなく、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良
剤、ウィルス性疾患、細菌性疾患、循環器疾患、悪性腫
瘍など感受性疾患の予防剤、治療剤、紫外線吸収剤など
として、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患
剤、美肌剤、色白剤など化粧品、更には、プラスチック
製品などに有利に利用することができる。
【0041】またα−グリコシル ルチンは、酸味、塩
から味、渋味、旨味、苦味などの呈味を有する各種物質
ともよく調和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、普通一
般の飲食物、嗜好物、例えば、調味料、和菓子、洋菓
子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶
詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野
菜加工品、果実加工品など広範に利用することができ
る。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物の
ための飼料、餌料などにビタミンP強化剤、嗜好性向上
などの目的で配合して利用することも好都合である。
【0042】その他、タバコ、トローチ、肝油ドロッ
プ、複合ビタミン剤、口中清涼剤、口中香錠、うがい
薬、経管栄養剤、内服薬、注射剤、練歯みがき、口紅、
リップクリーム、日焼け止めなど各種固状、ペースト
状、液状の嗜好物、感受性疾患の予防剤、治療剤すなわ
ち抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤などの化粧品などに
配合して利用することも有利に実施でき、更には、紫外
線吸収剤、劣化防止剤などとしてプラスチック製品など
に配合して利用することも有利に実施できる。
【0043】また、本発明でいう感受性疾患とは、α−
グリコシル ルチンによって予防され、若しくは治療さ
れる疾患であり、それが、例えばウイルス性疾患、細菌
性疾患、外傷性疾患、免疫疾患、リューマチ、糖尿病、
循環器疾患、悪性腫瘍などであってもよい。α−グリコ
シル ルチンの感受性疾患予防剤、治療剤は、その目的
に応じてその形状を自由に選択できる。例えば、噴霧
剤、点眼剤、点鼻剤、うがい剤、注射剤などの液剤、軟
膏、はっぷ剤、クリームのようなペースト剤、粉剤、顆
粒、カプセル剤、錠剤などの固剤などである。製剤に当
たっては、必要に応じて、他の成分、例えば、治療剤、
生理活性物質、抗生物質、補助剤、増量剤、安定剤、着
色剤、着香剤などの1種また2種以上と併用することも
随意である。
【0044】投与量は、含量、投与経路、投与頻度など
によって適宜調節することができる。通常、α−グリコ
シル ルチンとして、成人1日当り、約0.001乃至
10.0グラムの範囲が好適である。また、化粧品の場
合も、大体、前述の予防剤、治療剤に準じて利用するこ
とができる。
【0045】α−グリコシル ルチンを利用する方法と
しては、それらの製品が完成するまでの工程で、例え
ば、混和、混捏、溶解、浸漬、浸透、散布、塗布、噴
霧、注入など公知の方法が適宜選ばれる。
【0046】以下、本発明のα−グリコシル ルチンの
無毒性を実験で説明する。
【0047】(実験)7周齢のdd系マウスを使用し
て、後述する実施例3の方法で調製したα−グリコシル
ルチンを経口投与して急性毒性テストをしたところ、
体重1kg当たり、5gまで死亡例は見られなかった。
従って、本物質の毒性は極めて低い。
【0048】また、後述する実施例2の方法で調製した
α−グルコシル ルチンを用いて本テストを行ったとこ
ろ、同様の結果を得、毒性の極めて低いことが判明し
た。
【0049】以下、本発明の実施例について述べる。
【0050】(実施例1) <α−グリコシル ルチン>ルチン3重量部およびデキ
ストリン(DE18)15重量部を80℃の熱水9重量
部に混合して懸濁状のルチン高含有液とし、これにバチ
ルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus s
tearothermophilus)由来のシクロマ
ルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼ(株式
会社林原生物化学研究所販売)をデキストリングラム当
り20単位加え、pH6.0、75℃に維持し攪拌しつ
つ64時間反応させた。反応液をペーパークロマトグラ
フィーで分析したところ、ルチンの約85%が、α−グ
ルコシル ルチン、α−マルトシル ルチン、α−マル
トトリオシル ルチン、α−マルトテトラオシル ルチ
ン、α−マルトペンタオシル ルチンなどのα−グリコ
シル ルチンに転換していた。反応液を加熱して酵素を
失活させ、濾過し、濾液を濃縮してシラップ状の澱粉質
を含有するα−グリコシル ルチン製品を、固形物当り
原料重量に対して約90%の収率で得た。
【0051】本品は、ビタミンP強化剤としてばかりで
なく、安全性の高い天然型の黄色着剤、抗酸化剤、安定
剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などと
して、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、
化粧品、プラスチック製品などの用途に有利に利用でき
る。
【0052】(実施例2) <α−グルコシル ルチン>実施例1の方法に準じて調
製したシラップ状の澱粉質を含有するα−グリコシル
ルチン製品1重量部を水4重量部に溶解し、これにグル
コアミラーゼ(EC3.2.1.3、生化学工業株式会
社販売)をα−グリコシル ルチン製品固形物グラム当
り100単位加え、50℃、5時間反応させた。反応液
をペーパークロマトグラフィーで分析したところ、α−
グリコシル ルチンは、α−グルコシル ルチンに転換
していた。
【0053】反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過
し、濾液を多孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP
−10(三菱化成工業株式会社販売)のカラムにSV2
で通液した。その結果、溶液中のα−グルコシル ルチ
ンと未反応ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着し、グル
コース、塩類などは吸着することなく流出した。次い
で、カラムを水で通液、洗浄した後、エタノール水溶液
濃度を段階的に高めながら通液し、α−グルコシル ル
チン画分を採取し、減圧濃縮し、粉末化して、粉末状の
α−グルコシル ルチンを固形物当り原料のルチン重量
に対して約80%の収率で得た。
【0054】α−グルコシル ルチンを酸で加水分解し
たところ、ケルセチン1モルに対し、L−ラムノース1
モル、D−グルコース2モルを生成し、また、α−グル
コシル ルチンに、ブタの肝臓から抽出し部分精製した
α−グルコシダーゼを作用させると、ルチンとD−グル
コースとに加水分解されることが判明した。
【0055】本α−グルコシル ルチンは、高度に精製
された水溶性の高いビタミンP強化剤として、また、黄
色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治
療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、抗感
受性疾患剤、化粧品などに有利に利用できる。
【0056】(実施例3) <α−グリコシル ルチン>ルチン4重量部を水90重
量部にpH9.5で加熱溶解し、別にデキストリンDE
8)20重量部を水10重量部に加熱溶解し、次いで、
これら溶液を混合して溶液状のルチン高含有液とし、こ
れにシクロマルトデキストリン グルカノトランスフェ
ラーゼをデキストリングラム当り30単位加え、pH
8.2、65℃に維持して攪拌しつつ40時間反応させ
た。
【0057】反応液をペーパークロマトグラフィーで分
析したところ、ルチンの約90%がα−グリコシル ル
チンに転換していた。反応液を加熱して酵素を失活さ
せ、濾過し濾液を多孔性合成吸着剤、商品名アバーライ
トXAD−7(Rohm &Haas社製造)のカラム
にSV1.5で通液した。
【0058】その結果、溶液中のα−グリコシル ルチ
ンと未反応ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着し、デキ
ストリン、オリゴ糖、塩類などは吸着することなく流出
した。このカラムを水で通液、洗浄した後、50v/v
%メタノールを通液して、α−グリコシル ルチンおよ
びルチンを溶出し、これを濃縮し、粉末化して、粉末状
α−グリコシル ルチン製品を原料のルチン重量に対し
て約140%の収率で得た。
【0059】本品は、水溶性の高いビタミンP強化剤と
してばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、
抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外
線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜好物、飼
料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチック製品
などの用途に有利に利用できる。
【0060】(実施例4) <α−グリコシル ルチン>ルチン1重量部を1規定カ
セイソーダ溶液4重量部で溶解し、これに0.01規定
塩酸溶液を加えて中和するとともにデキストリン(DE
10)5重量部を加え、直ちにシクロマルトデキストリ
ン グルカノトランスフェラーゼをデキストリングラム
当り10単位加え、pH6.0、70℃に維持しつつ4
0時間反応させた。反応液をペーパークロマトグラフィ
ーで分析したところ、ルチンの約80%がα−グリコシ
ル ルチンに転換していた。反応液を実施例3と同様に
精製し、濃縮、粉末化して粉末状α−グリコシル ルチ
ン製品を原料のルチン重量に対して約120%の収率で
得た。
【0061】本品は、実施例3の場合と同様に、水溶性
の高いビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の
高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良
剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、各種用
途に利用できる。
【0062】(実施例5) <α−グリコシル ルチン> (1)α−グルコシダーゼ標品の調製 マルトース4w/v%、リン酸1カリウム0.1w/v
%、硝酸アンモニウム0.1w/v%、硫酸マグネシウ
ム0.05w/v%、塩化カリウム0.05w/v%、
ポリペプトン0.2w/v%、炭酸カルシウム1w/v
%(別に乾熱滅菌して植菌時に無菌的に添加)および水
からなる液体培地500重量部にムコール ジャバニカ
ス(Mucor javanicus)IFO 457
0を温度30℃で44時間振盪培養した。培養終了後、
菌糸体を採取し、その湿菌糸体48重量部に対し、0.
5M酢酸緩衝液(pH5.3)に溶解した4M尿素液5
00重量部を加え、30℃で40時間静置した後、遠心
分離した。この上清を流水中で一夜透析した後、硫安
0.9飽和とし、4℃で一夜放置して生成した塩析物を
濾取し、0.01M酢酸緩衝液(pH5.3)50重量
部に懸濁溶解した後、遠心分離して上清を採取し、α−
グルコシダーゼ標品とした。
【0063】(2)α−グリコシル ルチンの調製 ルチン5重量部を0.5規定カセイソーダ溶液40重量
部に加熱溶解し、これを5規定塩酸溶液でpH9.5に
調整し、別にデキストリン(DE30)20重量部を水
10重量部に加熱溶解し、次いで、これら溶液を混合し
て懸濁状のルチン高含有液とし、これに(1)の方法で
調製したα−グルコシダーゼ標品10重量部を加え、p
H8.5に維持して攪拌しつつ55℃で40時間反応さ
せた。反応液をペーパークロマトグラフィーで分析した
ところ、ルチンの約60%がα−グリコシル ルチンに
転換していた。反応液を実施例3と同様に精製し、濃
縮、粉末化して粉末状α−グリコシル ルチン製品を原
料のルチン重量に対して約110%の収率で得た。
【0064】本品は、実施例3の場合と同様に、水溶性
の高いビタミンP強化剤としてかりでなく、安全性の高
い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良
剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、各種用
途に利用できる。
【0065】(実施例6) <ハードキャンディー>還元麦芽糖水飴(林原商事株式
会社販売、登録商標マビット)1,500重量部を加熱
し、減圧下で水分約2%以下になるまで濃縮し、これに
クエン酸15重量部および実施例3の方法で得た粉末状
α−グリコシル ルチン1重量部および少量のレモン香
料を混和し、次いで常法に従って、成形、包装してハー
ドキャンディーを得た。
【0066】本品は、ビタミンPを強化した黄色のレモ
ンキャンディーであって、低う蝕性、低カロリーであ
る。
【0067】(実施例7) <フキの水煮>フキを皮むきし、適当な長さに切断し
て、薄い食塩水に数時間浸し、これを実施例1の方法で
得たシラップ状α−グリコシル ルチンと青色1号とを
配合して調製した緑色着色料を含有する液で煮込んで、
緑色の鮮かなフキの水煮を得た。
【0068】本品は、各種和風料理の材料として色どり
を添えるとともに、食物繊維としての生理効果をも発揮
する。
【0069】(実施例8) <求肥>モチ種澱粉1重量部に水1.2重量部を混合
し、加熱糊化しつつ、これに砂糖.5重量部、結晶性β
−マルトース(林原株式会社製造、登録商標サンマル
ト)0.7重量部、水飴0.3重量部および実施例1の
方法で得たシラップ状α−グリコシル ルチン0.2重
量部を混和し、以後、常法に従って、成形、包装して求
肥を製造した。
【0070】本品は、風味、口当りとも良好な求肥で、
きびだんご風の和菓子である。
【0071】(実施例9) <混合甘味料>はちみつ100重量部、異性化糖50重
量部、黒砂糖2重量部および実施例5の方法で得た粉末
状α−グリコシル ルチン1重量部を混合して混合甘味
料を得た。
【0072】本品はビタミンPを強化した甘味料で健康
食品として好適である。
【0073】(実施例10) <サンドクリーム>結晶性α−マルトース(林原株式会
社製造、登録商標ファイントース)1,200重量部、
ショートニング1,000重量部、実施例4の方法で得
た粉末状α−グリコシル ルチン10重量部、レシチン
1重量部、レモンオイル1重量部、バニラオイル1重量
部を常法により混和してサンドクリームを製造した。
【0074】本品は、ビタミンP強化、黄色着色したサ
ンドクリームで、油脂の酸化が抑制され、口当り、溶け
具合、風味とも良好である。
【0075】(実施例11) <錠剤>L−アスコルビン酸20重量部に結晶性β−マ
ルトース13重量部、コーンスターチ4重量部および実
施例2方法で得た粉末状α−グルコシル ルチン3重量
部を均一に混合した後、直径12mm、20R杵を用い
て、打錠し錠剤を得た。
【0076】本品は、L−アスコルビン酸とα−グルコ
シル ルチンとの複合ビタミン剤で、アスコルビン酸の
安定性もよく、飲み易い錠剤である。
【0077】(実施例12) <カプセル剤>酢酸カルシウム・一水塩10重量部、L
−乳酸マグネシウム・三水塩50重量部、マルトース5
7重量部、実施例2の方法で得たα−グルコシル ルチ
ン20重量部及びエイコサペンタエン酸20%含有γ−
シクロデキストリン包接化合物12重量部を均一に混合
し、顆粒成形機にかけて顆粒とした後、常法に従って、
ゼラチンカプセルに封入して、一カプセル150mg入
のカプセル剤を製造した。
【0078】本品は、血中コレステロール低下剤、免疫
賦活剤、美肌剤などとして、感受性疾患の予防剤、治療
剤、健康増進用食品などとして有利に利用できる。
【0079】(実施例13) <軟膏>酢酸ナトリウム・三水塩1重量部、DL−乳酸
カルシウム4重量部をグリセリン10重量部と均一に混
合し、この混合物を、ワセリン50重量部、木ロウ10
重量部、ラノリン10重量部、ゴマ油14.5重量部、
実施例4の方法で得たα−グリコシル ルチン1重量部
及びハッカ油0.5重量部の混合物に加えて、更に均一
に混和して軟膏を製造した。
【0080】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤など
として、更には外傷、火傷の治癒促進剤などとして有利
に利用できる。
【0081】(実施例14) <注射剤>実施例2の方法で得たα−グルコシル ルチ
ンを水に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイロゲ
ンフリーとし、この溶液を20mL容アンプルにα−グ
ルコシル ルチン200mgになるように分注し、これ
を減圧乾燥し、封入して注射剤を製造した。
【0082】本注射剤は、単体で、または、他のビタミ
ン、ミネラルなどと混合して筋肉内又は静脈内に投与で
きる。また、本品は、低温貯蔵の必要もなく、使用に際
しての生理食塩水などへの溶解性は極めて良好である。
【0083】(実施例15) <注射剤>塩化ナトリウム6重量部、塩化カリウム0.
3重量部、塩化カルシウム0.2重量部、乳酸ナトリウ
ム3.1重量部、マルトース45重量部及び実施例2の
方法で得たα−グルコシル ルチン2重量部を水1,0
00重量部に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイ
ロゲンフリーとし、この溶液を滅菌したプラスチック容
器に250mLずつ充填して注射剤を製造した。
【0084】本品は、ビタミンP補給としてだけでな
く、カロリー補給、ミネラル補給のための注射剤で、病
中、病後の治療促進、回復促進などに有利に利用でき
る。
【0085】(実施例16) <経管栄養剤>結晶性α−マルトース20重量部、グリ
シン1.1重量部、グルタミン酸ナトリウム0.18重
量部、食塩1.2重量部、クエン酸1重量部、乳酸カル
シウム0.4重量部、炭酸マグネシウム0.1重量部、
実施例3の方法で得たα−グリコシル ルチン0.1重
量部、チアミン0.01重量部及びリボフラビン0.0
1重量部からなる配合物を調製する。この配合物24g
ずつをラミネートアルミ製小袋に充填し、ヒートシール
して経管栄養剤を調製した。
【0086】本経管栄養剤は、一袋を約300乃至50
0mLの水に溶解し、経管方法により鼻腔、胃、腸など
への経口的又は非経口的栄養補給液としても有利に利用
できる。
【0087】(実施例17) <浴用剤>DL−乳酸ナトリウム21重量部、ピルビン
酸ナトリウム8重量部、実施例1の方法で得たα−グリ
コシル ルチン5重量部及びエタノール40重量部を、
精製水26重量部及び着色料、香料の適量と混合し、浴
用剤を製造した。
【0088】本品は、美肌剤、色白剤として好適であ
り、入浴用の湯に100乃至10,000倍に希釈して
利用すればよい。本品は、入浴用の湯の場合と同様に、
洗顔用水、化粧水などに希釈して利用することも有利に
実施できる。
【0089】(実施例18) <乳液>ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重
量部、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトー
ル1重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量
部、ピルビン酸0.5重量部、ベヘニルアルコール0.
5重量部、アボガド油1重量部、実施例3の方法で得た
α−グリコシル ルチン1重量部、ビタミンE及び防腐
剤の適量を、常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸
ナトリウム1重量部、1,3−ブチレングリコール5重
量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部及び精製
水85.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化
し、更に香料の適量を加えて攪拌混合し乳液を製造し
た。
【0090】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤など
として有利に利用できる。
【0091】(実施例19) <クリーム>モノステアリン酸ポリオキシエチレングリ
コール2重量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリ
ン5重量部、実施例2の方法で得たα−グルコシル ル
チン2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン
酸グリセリル10重量部及び防腐剤の適量を、常法に従
って加熱溶解し、これにL−乳酸2重量部、1,3−ブ
チレングリコール5重量部及び精製水66重量部を加
え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加
えて攪拌混合しクリームを製造した。
【0092】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤など
として有利に利用できる。
【0093】
【発明の効果】本文で述べたごとく、本発明は、α−グ
リコシル ルチンの製造に際して、高濃度のルチンと澱
粉質とを含有するルチン高含有液に、糖転移酵素を作用
させて糖転移反応を行うことにより、望ましくは、ルチ
ンを高濃度懸濁状、または、アルカリ側pHで溶解させ
た高濃度溶液状で含有せしめて糖転移反応を行うことに
より、ルチンの仕込濃度を従来技術の約10乃至200
倍にも高めて反応させることができ、α−グリコシル
ルチンを容易に高濃度に生成し、室温下、中性付近の水
溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上もの高
濃度溶液を生成しうることを見いだし、更に、この反応
液の精製に際して、反応液を多孔性合成吸着剤と接触さ
せてα−グリコシル ルチンを精製できることを見いだ
し、α−グリコシル ルチンの製造に要する使用水量、
精製処理水量、エネルギーコストを大幅に低減できるこ
ととなり、その工業化の実現を極めて容易にするもので
ある。
【0094】このようにして得られるα−グリコシル
ルチンは、水溶性良好、耐光性・安定性良好、体内の酵
素によりルチンとグルコースとに加水分解されてルチン
本来の生理活性を発揮するなどの特長を有しており、安
全性の高い天然型のビタミンP強化剤としてばかりでな
く、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防
剤、治療剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲
食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、
色白剤など化粧品、更には、プラスチック製品などに有
利に利用される。
【0095】従って、飲食品、化粧品、医薬品、プラス
チック産業に与える本発明の工業的意義は極めて大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 31/7048 A61K 31/7048 // C12P 19/60 C12P 19/60 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/27 - 1/302 A23L 3/3562 A61K 31/7048 A61K 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1.0w/v%以上の高濃度ルチンと澱
    粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用さ
    せてα−グリコシル ルチンを生成せしめ、室温下、中
    性付近の水溶液条件で、α−グリコシル ルチンと未反
    応ルチンとを、ルチン換算で合計約1.0w/v%以上
    の高濃度溶解含有するα−グリコシル ルチン含有シ
    ラップ又はこれを乾燥して得られる粉末を含有せしめた
    黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤および劣化
    防止剤から選ばれる組成物。
  2. 【請求項2】 高濃度のルチンが、高濃度懸濁状ルチン
    であるか、または、アルカリ側pHで溶解させた高濃度
    溶液状ルチンであることを特徴とする請求項1記載の組
    成物。
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