JP3177892B2 - α―グリコシルルチンの製造法とその用途 - Google Patents

α―グリコシルルチンの製造法とその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、α−グリコシル ルチンとその製造法とそ
の用途に関し、更に詳細には、高濃度のルチンと澱粉質
とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させて
α−グリコシル ルチンを生成せしめ、室温下、中性付
近の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0W/V%以上の高濃
度に溶解含有させたα−グリコシル ルチンとその製造
法、並びに、このα−グリコシル ルチンを含有せしめ
た飲料、加工食品などの飲食物、感受性疾患の予防剤、
治療剤すなわち抗感受性疾患剤、美肌剤、白色剤などの
化粧品の製造法に関する。
[従来の技術] ルチンは、次に示す化学構造を有し、毛細血管の強
化、出血予防、血圧調整などの生理作用を持つビタミン
Pとして、また、黄色色素として古くから知られ、食
品、医薬品、化粧品などに利用されている。
ビタミンPは、生体内で、ビタミンCの生理活性、例
えば、生体結合組織の主成分であるコラーゲンの合成に
必要なプロリンやリジンのヒドロキシル化反応に関与
し、また、例えば、チトクロームのCのFe+++を還元し
てFe++にするなどの酸化還元反応に関与し、更には、白
血球増加による免疫増強作用に関与するなど、それらの
反応を増強することが知られており、生体の健康維持、
増進に重要な役割をなしている。
ルチンの用途は、単に栄養素としてのビタミンP強化
剤にとどまらず、その化学構造、生理作用から、単独で
または他のビタミンなどと併用して、例えば、黄色着色
剤、酸化防止剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤な
どとして、飲食物などに、また、ウィルス性患者、細菌
性患者、循環器疾患、悪性腫瘍など感受性疾患の予防
剤、治療剤すなわち抗感受性疾患剤に、更には、黄色着
色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、メラニン生
成抑制剤などの美肌剤、白色剤などとして化粧品にまで
及び、その範囲は極めて広い。
しかしながら、ルチンは水に難溶性で、室温では8
の水にわずか1g程度(約0.01W/V%)しか溶けず、使用
状困難を極めている。
これを改善する方法としては、例えば、特公昭25−16
77号公報に示されるごとく、ルチンにアミノ基を有する
脂肪族化合物を加えて水溶性を増大する方法、また特公
昭26−2724号公報に示されるごとく、ルチンにモノハロ
ゲン酢酸を作用させ酢酸ソーダ化合物にして水溶性を増
大する方法、また、特公昭29−1285号公報に示されるご
とく、ルチンにロンガリットを作用させ亜硫酸化合物に
して水溶性を増大する方法などが知られていた。
しかしながら、これらの方法は、いずれもアミノ化合
物、モノハロゲン酢酸、亜硫酸化合物などが用いられ、
生成物質に他の生理活性、毒性が懸念され、またその精
製も困難である。
そこで、本発明者等は、先に、特公昭54−32073号公
報で、より安全性の高い水溶化の方法として、生合成反
応を利用した糖転移酵素の作用によるα−グリコシル
ルチンの製造法を提案した。
この方法で得られるα−グリコシル ルチンは、毒性
の懸念もなく、原料のルチンと同じ生理活性を有し、水
へ溶解生も高く、取り扱い上極めて好都合で、より広範
な用途が期待され、その実現が鶴首されている。
[発明が解決しようとする課題] 上記したように、α−グリコシル ルチンは、種々の
長所を有しており、その工業化が待たれている。
しかしながら、従来、その生合成反応における仕込濃
度がルチンとして約0.1W/V%程度に過ぎず、製品のα−
グリコシル ルチンに対する使用水量、精製処理水量、
エネルギーコストなどが過大となり、その工業化を困難
にしている。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記の欠点を解決するためになされたもの
であって、とりわけ、仕込時のルチン濃度を高めた反応
法と反応後のα−グリコシル ルチンの精製法について
鋭意研究した。
その結果、高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチ
ン高含有液に糖転移酵素を作用させることにより、望ま
しくは、ルチンを高濃度懸濁状、または、アルカリ側pH
で溶解させた高濃度溶液状で含有せしめ、その仕込濃度
をルチンとして約1.0乃至20.0W/V%、換言すれば、従来
技術の約10乃至200倍にも高めた状態で糖転移酵素を作
用させることにより、α−グリコシル ルチンがよく生
成され、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン換算
で約1.0W/V%以上もの高濃度に溶解含有させうることを
見いだし、その製造法を確立するとともに、この製造法
により得られるα−グリコシル ルチン高含有物を含有
せしめた飲食物、感受性疾患の予防剤、治療剤、化粧品
などへの用途を確立して本発明を完成した。
また、この反応により生成したα−グリコシル ルチ
ンを精製するに際しては、その反応溶液と多孔性合成吸
着剤とを接触させ、その吸着性の違いを利用することに
より、容易に精製できることを見いだした。
従って、本発明のα−グリコシル ルチンの製造法
は、従来方法の欠点を一挙に解消し、使用水量、精製処
理水量、エネルギーコストを大幅に低減できることが判
明し、その工業化の実現を極めて容易にするものであ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるルチンは、高度に精製されたルチンに
限る必要はなく、ルチンと、例えば、シトロニン、ナリ
ンジン、ヘスペリジンなどのフラボノイド配糖体との混
合物、更には、ルチンを含有している各種植物由来の抽
出物、またはその部分精製物などが適宜使用できる。
植物組織としては、例えば、ソバの葉茎、エンジュの
つぼみ(槐花)、エニシダのつぼみ、ユーカリの葉茎、
イチョウの葉茎、柑橘類果実などが有利に利用できる。
本発明に用いる澱粉質は、同時に用いる糖転移酵素に
よってルチンからα−グリコシル ルチンを生成するこ
とのできるものであればよく、例えば、アミロース、デ
キストリン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖など
の澱粉部分加水分解物、更には、液化澱粉、糊化澱粉な
どが適宜選ばれる。
従って、α−グリコシル ルチンの生成を容易にする
ためには、糖転移酵素に好適な澱粉質が選ばれる。
例えば、糖転移酵素として、α−グリコシダーゼ(EC
3.2.1.20)を用いる際には、マルトール、マルトトリ
オース、マルトテトラオースなどのマルトオリゴ糖、ま
たはDE約10乃至70の澱粉部分加水分解物などが好適であ
り、シクロマルトデキストリン グルカノトランスフェ
ラーゼ(EC 2.4.1.19)を用いる際には、シクロデキス
トリンまたはDE1以下の澱粉糊化物からDE約60の澱粉部
分加水分解物などが好適であり、α−アミラーゼ(EC
3.2.1.1)を用いる際には、DE1以下の澱粉糊化物からDE
約30のデキストリン、澱粉部分加水分解物などが好適で
ある。
また、反応時の澱粉質濃度は、ルチンに対して約0.5
乃至50倍の範囲が好適である。
本発明でいうルチン高含有液とは、ルチンを、例え
ば、懸濁状で、または、pH7.0を越えるアルカリ側pHで
溶解させた溶液状で高濃度に含有する溶液が適してお
り、その濃度は、約0.5W/V%以上の高濃度、望ましく
は、約1.0乃至20.0W/V%含有している溶液を意味する。
本発明に用いる糖転移酵素は、ルチンとこの酵素に好
適な性質の澱粉質とを含有するルチン高含有液に作用さ
せる時、ルチンを分解せずにα−グリコシル ルチンを
生成するものであればよい。
例えば、α−グリコシダーゼは、ブタの肝臓、ソバの
種子などの動植物組織由来の酵素、または、ムコール
(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属などに属
するカビ、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属
などに属する酵母などの微生物を栄養培地で培養し得ら
れる培養物由来の酵素が、シクロマルトデキストリン
グルカノトランスフェラーゼは、バチルス(Bacillus)
属、クレブシーラ(Klebsiella)属などに属する細菌培
養物由来の酵素が、α−アミラーゼは、バチルス属など
に属する細菌、または、アスペルギルス(Aspergillu
s)属などに属するカビ培養物由来の酵素などが適宜選
択できる。
これらの糖転移酵素は、前記の条件を満足しさえすれ
ば、必ずしも精製して使用する必要はなく、通常は、粗
酵素で本発明の目的を達成することができる。
必要ならば、公知の各種方法で精製して使用してもよ
い。また、市販の糖転移酵素を利用することもできる。
使用酵素量と反応時間とは、密接な関係があり、通常
は、経済性の点から約5乃至80時間で反応を終了するよ
うに酵素量が選ばれる。
また、固定化された糖転移酵素をバッチ式で繰り返
し、または連続式で反応に利用することも適宜選択でき
る。
本発明の反応法は、高濃度のルチンと澱粉質とを含有
するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させればよい。
例えば、ルチンを高濃度懸濁状で反応せしめる場合に
は、約1.0乃至5.0W/V%の懸濁状ルチンと適量の澱粉質
とを含有するルチン高含有液を、pH約4.5乃至6.5とし、
糖転移酵素の作用しうるできるだけ高温、具体的には、
約70乃至90℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させる
と、ルチンがα−グリコシル ルチンに変換するにつれ
て懸濁状ルチンが徐々に溶解し、同時に、α−グリコシ
ル ルチンが容易に高濃度に生成する。このようにして
得られるα−グリコシル ルチン含有溶液は、ルチン換
算で60W/V%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少
量の未反応ルチンとを溶解含有しており、室温下、中性
付近の水溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約
1.0乃至5.0W/V%にも達することが判明した。
また、例えば、ルチンをpH7.0を越えるアルカリ側で
溶解させた高濃度溶液状で反応せしめる場合には、pH約
7.5乃至10.0の水に約1.0乃至5.0W/V%のルチンを加熱溶
解し、これに適量の澱粉質を溶解して得られるルチン高
含有液を、糖転移酵素の作用しうるできるだけ高pH、高
温、具体的には、pH約7.5乃至10.0、温度約50乃至80℃
に維持し、これに糖転移酵素を作用させるとα−グリコ
シル ルチンが容易に高濃度に生成する。
この際、アルカリ性溶液中のルチンは、分解をしやす
いので、これを防ぐため、できるだけ遮光、嫌気下に維
持するのが望ましい。必要ならば、L−アスコルビン
酸、エリソルビン酸などの抗酸化剤を共存させてもよ
い。
このようにして得られるα−グリコシル ルチン含有
溶液は、ルチン換算で60W/W%以上の大量のα−グリコ
シル ルチンと少量の未反応ルチンとを溶解含有してお
り、室温下、中性付近の水溶液条件で、その合計溶解量
がルチン換算で約1.0乃至5.0W/V%にも達することが判
明した。
更に、前記条件を組み合せる方法、例えば、約2.0乃
至20.0W/V%の懸濁状ルチンと適量の澱粉質とを含有す
るルチン高含有液をpH約7.5乃至10.0、温度50乃至80℃
に維持し、これに糖転移酵素を作用させると、α−グリ
コシル ルチンが容易に高濃度に生成溶解する。
また、ルチンとして、例えば約0.1乃至1.0規定のカセ
イソーダ水溶液、カセイカリ水溶液、炭酸ソーダ水溶
液、水酸化カルシウム水、アンモニア水などの強アルカ
リ性水溶液に約5.0乃至20.0W/V%の高濃度に溶解させた
ものを用い、これに塩酸、硫酸などの酸性水溶液を加え
て酵素の作用しうるpHに調整するとともに澱粉質を加
え、直ちに糖転移酵素を作用させることは、α−グリコ
シル ルチンを容易に高濃度に生成させることとなるの
で極めて好都合である。この際、せっかく高濃度に溶解
させたルチン溶液も、酸性水溶液でpH調整することによ
りルチンが析出を起し易いので、そのpH調整前に、澱粉
質や少量のα−グリコシル ルチンなどを共存させてル
チンの析出を抑制しつつ糖転移反応を開始することも有
利に実施できる。このようにして得られるα−グリコシ
ル ルチン含有溶液は、ルチン換算で60W/W%以上の大
量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンとを
溶解含有しており、室温下、中性付近の水溶液条件で、
その合成溶解量がルチン換算で約5.0乃至20.0W/V%にも
達することが判明した。
また、更に必要ならば、反応前のルチンの溶解度を高
め、ルチンへの糖転移反応を容易にするために、ルチン
高含有液に水と互いに溶解しうる有機溶媒は、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、アセトール、アセトンな
どの低級アルコール、低級ケトンなどを共存させること
も適宜選択できる。
以上述べたように、本発明の方法は、ルチンの仕込濃
度を従来の約10乃至200倍にも高めて反応させることが
でき、α−グリコシル ルチンを容易に高濃度に生成し
うることが判明した。
すなわち、本発明の高濃度のルチンと澱粉質とを含有
するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させる方法は、
高濃度にもかかわらず反応終了時点において、ルチン換
算で60W/W%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少
量の未反応ルチンとを溶解含有することとなり、室温
下、中性付近の水溶液条件で、その合計溶解量がルチン
換算で約1.0W/V%以上、望ましくは、約1.0乃至20.0W/V
%にもなり、従来技術の約10乃至200倍もの高濃度に高
めうることが判明した。
このようにしてα−グリコシル ルチンを生成せしめ
た反応溶液は、そのままでα−グリコシル ルチン製品
にすることもできる。通常は、反応溶液を濾過、濃縮し
てシラップ状の、更には、乾燥、粉末化して粉末状のα
−グリコシル ルチン製品にする。
本製品は、ビタミンP強化剤としてばかりでなく、安
全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品
質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、
飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧
品、プラスチック製品などの用途に有利に利用できる。
更に、精製されたα−グリコシル ルチン製品を製造す
る場合には、多孔性合成吸着剤による吸着性の差を利用
してα−グリコシル ルチンと澱粉質などの夾雑物とを
分離して精製すればよい。
本発明でいう多孔性合成樹脂とは、多孔性で広い吸着
表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン−ジビニルベ
ンゼン重合体、フェノール−ホルマリン樹脂、アクリレ
ート樹脂、メタアクリレート樹脂などの合成樹脂であ
り、例えば、市販されているRohm & Haas社製造の商品
名アンバーライトXAD−1、アンバーライトXAD−2、ア
ンバーライトXAD−4、アンバーライトXAD−7、アンバ
ーライトXAD−8、アンバーライトXAD−11、アンバーラ
イトXAD−12、三菱化成工業株式会社製造の商品名ダイ
ヤイオンHP−10、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオンHP
−30、ダイヤイオンHP−40、ダイヤイオンHP−50、IMAC
TI社製造の商品名イマクティSyn−42、イマクティSyn−
44、イマクティSyn−46などがある。
本発明のα−グリコシル ルチンを生成せしめた反応
液の精製法は、反応液を、例えば、多孔性合成吸着剤を
充填したカラムに通液すると、α−グリコシル ルチン
および比較的少量の未反応ルチンが多孔性合成吸着剤に
吸着するのに対し、多量に共存する澱粉質、水溶性糖類
は吸着されることなくそのまま流出する。
必要ならば、糖転移酵素反応終了後、多孔性合成吸着
剤に接触させるまでの間に、例えば、反応液を加熱して
生じる不溶物を濾過して除去したり、ケイ酸アルミン酸
マグネシウム、アルミン酸マグネシウムなどで処理して
反応液中の蛋白性物質などを吸着除去したり、強酸性イ
オン交換樹脂(H型)、中塩基性または弱塩基性イオン
交換樹脂(OH型)などで処理して脱塩するなどの精製法
を組み合せて利用することも随意である。
前述のようにして、多孔性合成吸着剤カラムに選択的
に吸着したα−グリコシル ルチンと比較的少量の未反
応ルチンとは、希アルカリ、水などで洗浄した後、比較
的少量の有機溶媒または有機溶媒と水との混合液、例え
ば、メタノール水、エタノール水などを通液すれば、ま
ず、α−グリコシル ルチンが溶出し、通液量を増すか
有機溶媒濃度を高めるかすれば未反応ルチンが溶出して
くる。
このα−グリコシル ルチン高含有溶出液を蒸溜処理
して、まず有機溶媒を溜去した後、適当な濃度にまで濃
縮すればα−グリコシル ルチンを主成分とするシラッ
プ状製品が得られる。更に、これを乾燥し粉末化するこ
とによって、α−グリコシル ルチンを主成分とする粉
末状製品が得られる。
この有機溶媒によるα−グリコシル ルチンおよび未
反応ルチンの溶出操作は、同時に、多孔性合成吸着剤の
再生操作にもなるので、この多孔性合成吸着剤の繰り返
し使用を可能にする。
また、本発明の多孔性合成吸着剤による精製は、澱粉
質、水溶性糖類だけでなく、水溶性の塩類などの夾雑物
も同時に除去できる特長を有している。
このようにして得られるα−グリコシル ルチンは、
次の特長を有している。
(1)ルチンと比較してα−グリコシル ルチンは、水
溶性が極めて大きい。
(2)ルチンと比較してα−グリコシル ルチンは、耐
光性、安定性が大きい。
(3)α−グリコシル ルチンは、体内の酵素によりル
チンとグルコースとに加水分解され、ルチン本来の生理
活性(ビタミンP)を示す。また、ビタミンCとの併用
により、それらの持つ生理活性を増強することができ
る。
(4)澱粉質を含有する製品の場合には、α−グリコシ
ル ルチンの効果を発揮するのみならず、澱粉質が賦
形、増量効果や、甘味効果を発揮することができ、ま
た、澱粉質を除去した精製製品の場合には、ほとんど賦
形、増量することなくα−グリコシル ルチンの効果を
発揮することができ、また、実質的に無味、無臭なので
自由に調味、調香することができる。
これらの特長から、α−グリコシル ルチンは安全性
の高い天然型のビタミンP強化剤としてばかりでなく、
黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、ウィルス
性疾患、細菌性疾患、循環器疾患、悪性腫瘍など感受性
疾患の予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食
物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色
白剤など化粧品、更には、プラスチック製品などに有利
に利用することができる。
またα−グリコシル ルチンは、酸味、塩から味、渋
味、旨味、苦味などの呈味を有する各種物質ともよく調
和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、普通一般の飲食
物、嗜好物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、
飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加
工物、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、
果実加工品など公判に利用することができる。また、家
畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料、
餌料などにビタミンP強化剤、嗜好性向上などの目的で
配合して利用することも好都合である。
その他、タバコ、トローチ、肝油ドロップ、複合ビタ
ミン剤、口中清涼剤、口中香錠、うがい薬、経管栄養
剤、内服薬、注射剤、練歯みがき、口紅、リップクリー
ム、日焼け止めなど各種固状、ペースト状、液状の嗜好
物、感受性疾患の予防剤、治療剤すなわち抗感受性疾患
剤、美肌剤、色白剤などの化粧品などに配合して利用す
ることも有利に実施でき、更には、紫外線吸収剤、劣化
防止剤などとしてプラスチック製品などに配合して利用
することも有利に実施できる。
また、本発明でいう感受性疾患とは、α−グリコシル
ルチンによって予防され、若しくは治療される疾患で
あり、それが、例えばウイルス性疾患、細菌性疾患、外
傷性疾患、免疫疾患、リューマチ、糖尿病、循環器疾
患、悪性腫瘍などであってもよい。α−グリコシル ル
チンの感受性疾患予防剤、治療剤は、その目的に応じて
その形状を自由に選択できる。例えば、噴霧剤、点眼
剤、点鼻剤、うがい剤、注射剤などの液剤、軟膏、はっ
ぷ剤、クリームのようなペースト剤、粉剤、顆粒、カプ
セル剤、錠剤などの固剤などである。製剤に当たって
は、必要に応じて、他の成分、例えば、治療剤、生理活
性剤、抗生成物、補助剤、増量剤、安定剤、着色剤、着
香剤などの1種または2種以上と併用することも随意で
ある。
投与量は、含量、投与経路、投与頻度などによって適
宜調節することができる。通常、α−グリコシル ルチ
ンとして、成人1日当り、約0.001乃至10.0グラムの範
囲が好適である。
また、化粧品の場合も、大体、前述の予防剤、治療剤
に準じて利用することができる。
α−グリコシル ルチンを利用する方法としては、そ
れらの製品が完成するまでの工程で、例えば、混和、混
捏、溶解、親子、浸透、散布、塗布、噴霧、注入などの
公知の方法が適宜選ばれる。
以下、本発明のα−グリコシル ルチンの無毒性を実
験で説明する。
実 験 7周令のdd系マウスを使用して、後述する実施例A−
3の方法で調製したα−グリコシル ルチンを経口投与
して急性毒性テストをしたところ、体重1kg当たり、5g
まで死亡例は見られなかった。従って、本物質の毒性は
極めて低い。
また、後述する実施例A−2の方法で調製したα−グ
リコシル ルチンを用いて本テストを行ったところ、同
様の結果を得、毒性の極めて低いことが判明した。
以下、本発明の実施例として、α−グリコシル ルチ
ンの製造例を実施例Aで、α−グリコシル ルチンの用
途例を実施例Bで述べる。
実施例 A−1 α−グリコシル ルチン ルチン3重量部およびデキストリン(DE18)15重量部
を80℃の熱水97重量部に混合して懸濁状のルチン高含有
液とし、これにバチルス・ステアロサーモフィルス(Ba
cillus stearothermophilus)由来のシクロマルトデキ
ストリン グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原
生物化学研究所販売)をデキストリングラム当り20単位
加え、pH6.0、75℃に維持し攪拌しつつ64時間反応させ
た。反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したと
ころ、ルチンの約85%が、α−グリコシル ルチン、α
−マルトシル ルチン、α−マルトトリオシル ルチ
ン、α−マルトテトラオシル ルチン、α−マルトペン
タオシル ルチンなどのα−グリコシル ルチンに転換
していた。反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し、
濾液を濃縮してシラップ状の澱粉質を含有するα−グリ
コシル ルチン製品を、固形物当り原料重量に対して約
90%の収率で得た。
本品は、ビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全
性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質
改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、飲
食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、
プラスチック製品などの用途に有利に利用できる。
実施例 A−2 α−グリコシル ルチン 実施例A−1の方法に準じて調製したシラップ状の澱
粉質を含有するα−グリコシル ルチン製品1重量部を
水4重量部に溶解し、これにグルコアミラーゼ(EC 3.
2.1.3、生化学工業株式会社販売)をα−グリコシル
ルチン製品固形物グラム当り100単位加え、50℃、5時
間反応させた。反応液をペーパークロマトグラフィーで
分析したところ、α−グリコシル ルチンは、α−グリ
コシル ルチンに転換していた。
反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液を多
孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP−10(三菱化成
工業株式会社販売)のカラムにSV2で通液した。その結
果、溶液中のα−グリコシル ルチンと未反応ルチンと
が多孔性合成吸着剤に吸着し、グルコース、塩類などは
吸着することなく流出した。次いで、カラムを水で通
液、洗浄した後、エタノール水溶液濃度を段階的に高め
ながら通液し、α−グリコシル ルチン画分を採取し、
減圧濃縮し、粉末化して、粉末化のα−グリコシル ル
チンを固形物当り原料のルチン重量に対して約80%の収
率で得た。
α−グリコシル ルチンを酸で加水分解したところ、
ケルセチン1モルに対し、L−ラムノース1モル、D−
グルコース2モルを生成し、また、α−グリコシル ル
チンに、ブタの肝臓から抽出し部分調製したα−グリコ
シダーゼを作用させると、ルチンとD−グルコースとに
加水分解されることが判明した。
本α−グリコシル ルチンは、高度に精製された水溶
性の高いビタミンP強化剤として、また、黄色着色剤、
抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外
線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、抗感受性疾患
剤、化粧品などに有利に利用できる。
実施例 A−3 α−グリコシル ルチン ルチン4重量部を水90重量部にpH9.5で加熱溶解し、
別にデキストリン(DE8)20重量部を水10重量部に加熱
溶解し、次いで、これら溶液を混合して溶液状のルチン
高含有液とし、これにシクロマトデシクトリン グルカ
ノトランス フェラーゼをデキストリングラム当り30単
位加え、pH8.2、65℃に維持して攪拌しつつ40時間反応
させた。
反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、ルチンの約90%がα−グリコシル ルチンに転換し
ていた。
反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し濾液を多孔
性合成吸着剤、商品名アンバーライトXAD−7(Rohm &
Haas社製造)のカラムにSV1.5で通液した。
その結果、溶液中のα−グリコシル ルチンと未反応
ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着し、デキストリン、
オリゴ糖、塩類などは吸着することなく流出した。
このカラムを水で通液、洗浄した後、50V/V%メタノ
ール通液して、α−グリコシル ルチンおよびルチンを
溶出し、これを濃縮し、粉末化して、粉末状α−グリコ
シル ルチン製品を原料をルチン重量に対して約140%
の収率で得た。
本品は、水溶性の高いビタミンP強化剤としてばかり
でなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、
安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤、
劣化防止剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、
抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチック製品などの用途
に有利に利用できる。
実施例 A−4 α−グリコシル ルチン ルチン1重量部を1規定カセイソーダ溶液4重量部で
溶解し、これに0.01規定塩酸溶液を加えて中和するとと
もにデキストリン(DE10)5重量部を加え、直ちにシク
ロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼを
デキストリングラム当り10単位加え、pH6.0、70℃に維
持しつつ40時間反応させた。
反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、ルチンの約80%がα−グリコシル ルチンに転換し
ていた。
反応液を実施例A−3と同様に精製し、濃縮、粉末化
して粉末状α−グリコシル ルチン製品を原料のルチン
重量に対して約120%の収率で得た。
本品は、実施例A−3の場合と同様に、水溶性の高い
ビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の高い天
然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予
防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、各種用途に利
用できる。
実施例 A−5 α−グリコシル ルチン (1)α−グルコシダーゼ標品の調製 マルトース4W/V%、リン酸1カリウム0.1W/V%、硝酸
アンモニウム0.1W/V%、硫酸マグネシウム0.05W/V%、
塩化カルウム0.05W/V%、ポリペプトン0.2W/V%、炭酸
カルシウム1W/V%(別に乾熱滅菌して植菌時に無菌的に
添加)および水からなる液体培地500重量部にムコール
ジャバニカス(Mucor javanicus)IFO 4570を温度30
℃で44時間振盪培養した。培養終了後、菌糸体を採取
し、その湿菌糸体48重量部に対し、0.5M酢酸緩衝液(pH
5.3)に溶解した4M尿素液500重量部を加え、30℃で40時
間静置した後、遠心分離した。この上清を流水中で一夜
透析した後、硫安0.9飽和とし、4℃で一夜放置して生
成した塩析物を濾取し、0.01M酢酸緩衝液(pH5.3)50重
量部に懸濁溶解した後、遠心分離して上清を採取し、α
−グルコシダーゼ標品とした。
(2)α−グリコシル ルチンの調製 ルチン5重量部を0.5規定カセイソーダ溶液40重量部
に加熱溶解し、これを5規定塩酸溶液でpH9.5に調整
し、別にデキストリ(DE30)20重量部を水10重量部に加
熱溶解し、次いで、これら溶液を混合して懸濁状のルチ
ン高含有液とし、これに(1)の方法で調製したα−グ
ルコシダーゼ標品10重量部を加え、pH8.5に維持して攪
拌しつつ55℃で40時間反応させた。
反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、ルチンの約60%がα−グリコシル ルチンに転換し
ていた。
反応液を実施例A−3と同様に精製し、濃縮、粉末化
して粉末状α−グリコシル ルチン製品を原料のルチン
重量に対して約110%の収率で得た。
本品は、実施例A−3の場合と同様に、水溶性の高い
ビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の高い天
然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予
防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、各種用途に利
用できる。
実施例 B−1 ハードキャンディー 還元麦芽糖水飴(林原商事株式会社販売、登録商標マ
ビット)1,500重量部を加熱し、減圧下で水分約2%以
下になるまで濃縮し、これにクエン酸15重量部および実
施例A−3の方法で得た粉末状α−グリコシル ルチン
1重量部および少量のレモン香料を混和し、次いで常法
に従って、成形、包装してハードキャンディーを得た。
本品は、ビタミンPを強化した黄色のレモンキャンデ
ィーであって、低う蝕性、低カロリーである。
実施例 B−2 フキの水煮 フキを皮むきし、適当な長さに切断して、薄い食塩水
に数時間浸し、これを実施例A−1の方法で得たシラッ
プ状α−グリコシル ルチンと青色1号とを配合して調
製した緑色着色料を含有する液で煮込んで、緑色の鮮か
なフキの水煮を得た。
本品は、各種和風料理の材料として色どりを越えると
ともに、食物繊維としての生理効果をも発揮する。
実施例 B−3 求 肥 モチ種澱粉1重量部に水1.2重量部を混合し、加熱糊
化しつつ、これに砂糖1.5重量部、結晶性β−マルチト
ース(林原株式会社製造、登録商標サンマルト)0.7重
量部、水飴0.3重量部および実施例A−1の方法で得た
シラップ状α−グリコシル ルチン0.2重量部を混和
し、以後、常法に従って、成形、包装して求肥を製造し
た。
本品は、風味、口当りとも良好な求肥で、きびだんご
風の和菓子である。
実施例 B−4 混合甘味料 はちみつ100重量部、異性化糖50重量部、黒砂糖2重
量部および実施例A−5の方法で得た粉末状α−グリコ
シル ルチン1重量部を混合して混合甘味料を得た。
本品はビタミンPを強化した甘味料で健康食品として
好適である。
実施例 B−5 サンドクリーム 結晶性α−マルトース(林原株式会社製造、登録商標
ファイントース)1,200重量部、ショートニング1,000重
量部、実施例A−4の方法で得た粉末状α−グリコシル
ルチン10重量部、レシチン1重量部、レモンオイル1
重量部、バニラオイル1重量部を常法により混和してサ
ンドクリームを製造した。
本品は、ビタミンP強化、黄色着色したサンドクリー
ムで、油脂の酸化が抑制され、口当り、溶け具合、風味
とも良好である。
実施例 B−6 錠 剤 L−アスコルビン酸20重量部に結晶性β−マルチトー
ス13重量部、コーンスターチ4重量部および実施例A−
2の方法で得た粉末状α−グリコシル ルチン3重量部
を均一に混合した後、直径12mm、20R杵を用いて、打錠
し錠剤を得た。
本品は、L−アスコルビン酸とα−グリコシル ルチ
ンとの複合ビタミン剤で、アスコルビン酸の安定性もよ
く、飲み易い錠剤である。
実施例 B−7 カプセル剤 酢酸カルシウム・一水塩10重量部、L−乳酸マグネシ
ウム・三水塩50重量部、マルトース57重量部、実施例A
−2の方法で得たα−グリコシル ルチン20重量部及び
エイコサペンタエン酸20%含有γ−シクロデキストリン
包接化合物12重量部を均一に混合し、顆粒成形機にかけ
て顆粒とした後、常法に従って、ゼラチンカプセルに封
入して、一カプセル150mg入のカプセル剤を製造した。
本品は、血中コレステロール低下剤、免疫賦活剤、美
肌剤などとして、感受性疾患の予防剤、治療剤、健康増
進用食品などとして有利に利用できる。
実施例 B−8 軟 膏 酢酸ナトリウム・三水塩1重量部、DL−乳酸カルシウ
ム4重量部をグリセリン10重量部と均一に混合し、この
混合物を、ワセリン50重量部、木ロウ10重量部、ラノリ
ン10重量部、ゴマ油14.5重量部、実施例A−4の方法で
得たα−グリコシル ルチン1重量部及びハッカ油0.5
重量部の混合物に加えて、更に均一に混和して軟膏を製
造した。
本品を、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして、更
には外傷、火傷の治癒促進剤などとして有利に利用でき
る。
実施例 B−9 注 射 剤 実施例A−2の方法で得たα−グリコシル ルチンを
水に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイロゲンフ
リーとし、この溶液を20mL容アンプルにα−グリコシル
ルチン200mgになるように分注し、これを減圧乾燥
し、封入して注射剤を製造した。
本注射剤は、単体で、または、他のビタミン、ミネラ
ルなどと混合して筋肉内又は静脈内に投与できる。ま
た、本品は、低温貯蔵の必要もなく、使用に際しての生
理食塩水などへの溶解性は極めて良好である。
実施例 B−10 注 射 剤 塩化ナトリウム6重量部、塩化カリウム0.3重量部、
塩化カルシウム0.2重量部、乳酸ナトリウム3.1重量部、
マルトース45重量部及び実施例A−2の方法で得たα−
グリコシル ルチン2重量部を水1,000重量部に溶解
し、常法に従って、精製濾過してパイロゲンフリーと
し、この溶液を滅菌したプラスチック容器に250mLずつ
充填して注射剤を製造した。
本品は、ビタミンP補給としてだけでなく、カロリー
補給、ミネラル補給のための注射剤で、病中、病後の治
療促進、回復促進などに有利に利用できる。
実施例 B−11 経管栄養剤 結晶性α−マルトース20重量部、グリシン1.1重量
部、グルタミン酸ナトリウム0.18重量部、食塩1.2重量
部、クエン酸1重量部、乳酸カルシウム0.4重量部、炭
酸マグネシウム0.1重量部、実施例A−3の方法で得た
α−グリコシル ルチン0.1重量部、チアミン0.01重量
部及びリボフラビン0.01重量部からなる配合物を調製す
る。この配合物24gずつをラミネートアルミ製小袋に充
填し、ヒートシールして経管栄養剤を調製した。
本経管栄養剤は、一袋を約300乃至500mLの水に溶解
し、経管方法により鼻腔、胃、腸などへの経口的又は非
経口的栄養補強液としても有利に利用できる。
実施例 B−12 浴 用 剤 DL−乳酸ナトリウム21重量部、ピルビン酸ナトリウム
8重量部、実施例A−1の方法で得たα−グリコシル
ルチン5重量部及びエタノール40重量部を、精製水26重
量部及び着色料、香料の適量と混合し、浴用剤を製造し
た。
本品は、美肌剤、色白剤として好適であり、入浴用の
湯に100乃至10,000倍に希釈して利用すればよい。本品
は、入浴用の湯の場合と同様に、洗顔用水、化粧水など
に希釈して利用することも有利に実施できる。
実施例 B−13 乳 液 ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重量部、テ
トラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール1重量
部、親油型モノステアリング酸グリセリン1重量部、ピ
ルビン酸0.5重量部、ベヘニルアルコール0.5重量部、ア
ボガド油1重量部、実施例A−3の方法で得たα−グリ
コシル ルチン1重量部、ビタミンE及び防腐剤の適量
を、常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸ナトリウ
ム1重量部、1,3−ブチレングリコール5重量部、カル
ボキシビニルポリマー0.1重量部及び精製水85.3重量部
を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量
を加えて攪拌混合し乳液を製造した。
本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利
に利用できる。
実施例 B−14 クリーム モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2重
量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5重量
部、実施例A−2の方法で得たα−グリコシル ルチン
2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン酸グ
リセリル10重量部及び防腐剤の適量を、常法に従って加
熱溶解し、これにL−乳酸2重量部、1,3−ブチレング
リコール5重量部及び精製水66重量部を加え、ホモゲナ
イザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて攪拌混合
しクリームを製造した。
本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利
に利用できる。
[発明の効果] 本文で述べたごとく、本発明は、α−グリコシル ル
チンの製造に際して、高濃度のルチンと澱粉質とを含有
するルチン高含有液に、糖転移酵素を作用させて糖転移
反応を行うことにより、望ましくは、ルチンを高濃度懸
濁状、または、アルカリ側pHで溶解させた高濃度溶液状
で含有せしめて糖転移反応を行うことにより、ルチンの
仕込濃度を従来技術の約10乃至200倍にも高めて反応さ
せることができ、α−グリコシル ルチンを容易に高濃
度に生成し、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン
換算で約1.0W/V%以上もの高濃度溶液を生成しうること
を見いだし、更に、この反応液の精製に際して、反応液
を多孔性合成吸着剤と接触させてα−グリコシル ルチ
ンを精製できることを見いだし、α−グリコシル ルチ
ンの製造に要する使用水量、精製処理水量、エネルギー
コストを大幅に低減できることとなり、この工業化の実
現を極めて容易にするものである。
また、このようにして得られるα−グリコシル ルチ
ンは、水溶性良好、耐光性・安定性良好、体内の酵素に
よりルチンとグルコースとに加水分解されてルチン本来
の生理活性を発揮するなどの特長を有しており、安全性
の高い天然型のビタミンP強化剤としてばかりでなく、
黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、
治療剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食
物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色
白剤など化粧品、更には、プラスチック製品などに有利
に利用される。
従って、本発明によるα−グリコシル ルチンの工業
的製造法とその用途の確立は、飲食品、化粧品、医薬
品、プラスチック産業における工業的意義が極めて大き
い。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/60 C07H 17/07

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ側pHで溶解させた1.0w/v%以上の
    高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に
    糖転移酵素を作用させてα−グリコシル ルチンを生成
    せしめ、室温下、中性付近の水溶液条件で、α−グリコ
    シル ルチンと未反応ルチンとを、ルチン換算で合計約
    1.0w/v%以上の高濃度で溶解含有するα−グリコシル
    ルチン含有シラップと、このシラップ又はこれを乾燥し
    て得られる粉末を採取することを特徴とするα−グリコ
    シル ルチン含有シラップ又は粉末の製造法。
  2. 【請求項2】糖転移酵素を作用させて得られるα−グリ
    コシル ルチン含有シラップに、更に、グルコアミラー
    ゼを作用させてα−グリコシル ルチンを生成せしめ、
    得られるα−グリコシル ルチン含有溶液を多孔性合成
    吸着剤に接触させて精製することを特徴とする請求項1
    に記載のα−グリコシル ルチン含有シラップ又は粉末
    の製造法。
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