JP3163502B2 - α−グリコシル フラボン類とその製造方法並びに用途 - Google Patents

α−グリコシル フラボン類とその製造方法並びに用途

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JP3163502B2 JP10522191A JP10522191A JP3163502B2 JP 3163502 B2 JP3163502 B2 JP 3163502B2 JP 10522191 A JP10522191 A JP 10522191A JP 10522191 A JP10522191 A JP 10522191A JP 3163502 B2 JP3163502 B2 JP 3163502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規α−グリコシル
フラボン類とその製造方法並びに用途に関し、更に詳細
には、フラボン類アグリコンとα−グルコシル糖化合物
とを含有する溶液に糖転移酵素を作用させて得られる新
規α−グリコシル フラボン類と、その作用によってα
−グリコシル フラボン類を生成せしめ、これを採取す
ることを特徴とするα−グリコシル フラボン類の製造
方法、並びに、この方法で得られるα−グリコシル フ
ラボン類を含有せしめた飲食物、抗感受性疾患剤、化粧
品などの組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】フラボン類は、フラボン骨格またはフラ
ボノール骨格を有し、これに、通常、グルコース、ラム
ノースなどの糖類がβ−結合した配糖体として、植物界
に広く分布しており、フラボン類アグリコンは、これら
植物から抽出、分離して得たこの配糖体を酸または酵素
で加水分解し、糖を分離して調製される。
【0003】フラボン類アグリコンは、化学構造上、大
きな共鳴構造を有しており、黄色着色性、酸化防止作
用、ビタミンP作用、紫外線吸収作用などを有し、飲食
物、医薬品、化粧品などへの応用が期待されている。
【0004】しかしながら、フラボン類アグリコンは、
親水性有機溶媒に溶けるものの、通常、水に難溶または
不溶で、その取扱いは極めて困難である。
【0005】一方、フラボン類アグリコンが天然に多量
に存在する例として、プロポリス(propolis)
がある。プロポリスは、「プロポリス・イン・ナチュラ
ル・テラピューティクス(Propolis in n
atural therapeutics)」、マルワ
ーヌ・エディテール・エス・アー(MaloineEd
iteur S. A.)、パリ、フランス(1983
年)、フレグランスジャーナル、第83号、第36〜3
9頁(1987年)などにも記載されているように、蜜
蜂が巣箱内に貯蔵する樹脂状物で、これには樹脂、ミツ
ロウ、精油、花粉、フラボノイドなどが含まれており、
古くから種々の民間療法薬として利用されてきた。
【0006】近年、プロポリス中のフラボノイドは、ク
リシン(chrysin)、アピゲニン(apigen
in)などのフラボンアグリコン、ケンフェロール(k
aempferol)、ガランギン(galangi
n)、ケルセチン(quercetin)、ラムネチン
(rhamnetin)などのフラボノールアグリコン
からなるフラボン類アグリコンを主成分としていること
が判明し、プロポリスの中心的薬効成分として注目され
ている。
【0007】プロポリスからのフラボン類アグリコンの
調製は、メタノール、エタノールなどの親水性有機溶媒
で抽出して行なわれ、現在では、この抽出液がプロポリ
スエキス(またはプロポリス チンキ)として市販され
るようになってきた。
【0008】しかしながら、このフラボン類アグリコン
も、前述のフラボン類アグリコンの場合と同様に、親水
性有機溶媒には溶解するものの、水には難溶または不溶
であって、使用上、大きな制限を余儀なくされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のフラボン類アグ
リコンの欠点を解消し、水溶性に優れ、毒性の懸念もな
く、加えて、生体内で生理活性を充分発揮しうるフラボ
ン類アグリコン誘導体の実現が強く望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記欠点を解
消するためになされたものであって、とりわけ、生化学
的手法を利用して、新規フラボン類アグリコン誘導体を
目指して鋭意研究した。
【0011】その結果、フラボン類アグリコンとα−グ
ルコシル糖化合物とを含有する溶液に糖転移酵素を作用
させることにより、水溶性に優れ、毒性の懸念もなく、
生体内で容易に加水分解され、フラボン類アグリコン本
来の生理活性を発揮しうる新規α−グリコシル フラボ
ン類が生成しうることを見い出し、その製造方法並びに
飲食物、感受性疾患の予防剤、治療剤、化粧品などへの
用途を確立して本発明を完成した。
【0012】また、この糖転移反応により生成したα−
グリコシル フラボン類を精製するに際しては、その反
応溶液と多孔性合成吸着剤とを接触させ、その吸着性の
違いを利用することにより、容易に精製できることも見
い出し本発明を完成した。
【0013】従って、本発明のα−グリコシル フラボ
ン類の製造方法は、従来技術の欠点を一挙に解消し、そ
の工業化の実現を極めて容易にするものである。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明でいうフラボン類アグリコンとは、
化学構造上、2位の炭素と3位の炭素間の結合をも含め
て、その骨格全域に及ぶ共鳴構造を有しているフラボン
アグリコンまたはフラボノールアグリコンをいう。
【0016】本発明で使用されるフラボン類アグリコン
としては、とりわけ、1分子につき2個以上のOH基を
有しているアグリコンが適しており、例えば、クリシ
ン、アピゲニン、ルテオリン(luteolin)など
のフラボンアグリコン、ケンフェロール、ガランギン、
ケルセチン、ラムネチン、ミリセチン(myricet
in)、ゴシペチン(gossypetin)などのフ
ラボノールアグリコンから選ばれる一種または二種以上
のアグリコンが好適である。また、これらのフラボン類
アグリコンを、通常、数種以上含有しているプロポリス
由来のフラボン類アグリコン混合物も有利に使用でき
る。
【0017】プロポリス由来のフラボン類アグリコンと
しては、高度に精製したものばかりでなく、プロポリス
を親水性有機溶媒で抽出して得たエキス、または、これ
から脱ロウした部分精製物、更には、プロポリスを煎じ
出した懸濁液、プロポリスをアリカリ性溶液で抽出して
得たエキスなどが適宜使用できる。また、必要に応じ
て、フラボン類アグリコンの市販品を用いることも、更
には、化学的に合成して用いることも随意である。
【0018】本発明に用いるα−グルコシル糖化合物
は、同時に用いる糖転移酵素によってフラボン類アグリ
コンからα−グリコシル フラボン類を生成することの
できるものであればよく、例えば、アミロース、デキス
トリン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖などの澱
粉部分加水分解物、更には、液化澱粉、糊化澱粉などが
適宜選ばれる。
【0019】従って、α−グリコシル フラボン類の生
成を容易にするためには、糖転移酵素に好適なα−グル
コシル糖化合物が選ばれる。
【0020】例えば、糖転移酵素として、α−グルコシ
ダーゼ(EC 3.2.1.20)を用いる際には、マ
ルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなど
のマルトオリゴ糖、またはDE約10乃至70の澱粉部
分加水分解物などが好適であり、シクロマルトデキスト
リン グルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.
1.19)を用いる際には、シクロデキストリンまたは
DE1以下の澱粉糊化物からDE約60の澱粉部分加水
分解物などが好適であり、α−アミラーゼ(EC3.
2.1.1)を用いる際には、DE1以下の澱粉糊化物
からDE約30のデキストリン、澱粉部分加水分解物な
どが好適である。
【0021】また、反応時のα−グルコシル糖化合物濃
度は、フラボン類アグリコンに対して約0.5乃至10
0倍、望ましくは約2乃至20倍の範囲が好適である。
【0022】反応時のフラボン類アグリコン含有液は、
フラボン類アグリコンをできるだけ高濃度に含有するも
のが望ましく、例えば、フラボン類アグリコンを、懸濁
状で、または、高温で溶解させた、有機溶媒存在下で溶
解させた、もしくはpH7.0を越えるアルカリ側pH
で溶解させた溶液状で高濃度に含有する溶液が適してお
り、その濃度は約1W/V%以上の高濃度、望ましく
は、約2乃至20.0W/V%含有している溶液を意味
する。
【0023】本発明に用いる糖転移酵素は、フラボン類
アグリコンとこの酵素に好適な性質のα−グルコシル糖
化合物とを含有する溶液に作用させる時、フラボン類ア
グリコンを分解せずにα−グリコシル フラボン類を生
成するものであればよい。
【0024】例えば、α−グルコシダーゼは、ブタの肝
臓、ソバの種子などの動植物組織由来の酵素、または、
ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penic
illium)属などに属するカビ、またはサッカロミ
セス(Saccharomyces)属などに属する酵
母などの微生物を栄養培地で培養し得られる培養物由来
の酵素が、シクロマルトデキストリングルカノトランス
フェラーゼは、バチルス(Bacillus)属、クレ
ブシーラ(Klebsiella)属などに属する細菌
培養物由来の酵素が、α−アミラーゼは、バチルス属な
どに属する細菌、または、アスペルギルス(Asper
gillus)属などに属するカビ培養物由来の酵素な
どが適宜選択できる。
【0025】これらの糖転移酵素は、前記の条件を満足
しさえすれば、必ずしも精製して使用する必要はなく、
通常は、粗酵素で本発明の目的を達成することができ
る。
【0026】必要ならば、公知の各種方法で精製して使
用してもよい。また、市販の糖転移酵素を利用すること
もできる。
【0027】使用酵素量と反応時間とは、密接な関係が
あり、通常は、経済性の点から約5乃至80時間で反応
を終了するように酵素量が選ばれる。
【0028】また、固定化された糖転移酵素をバッチ式
で繰り返し、または連続式で反応に利用することも適宜
選択できる。
【0029】また、反応溶液中のフラボン類アグリコン
の分解を防ぐために、反応はできるだけ遮光、嫌気下条
件で行なうのが望ましい。
【0030】このようにしてα−グリコシル フラボン
類を生成せしめた反応溶液は、そのままでα−グリコシ
ル フラボン類製品にすることもできる。通常は、反応
溶液を濾過、濃縮してシラップ状の、更には、乾燥、粉
末化して粉末状のα−グリコシルフラボン類製品にす
る。
【0031】本製品は、ビタミンP強化剤としてばかり
でなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、酸化防止
剤、消臭剤、安定剤、品質改良剤、抗菌剤、予防剤、治
療剤、紫外線吸収剤などとして、他の原材料などと配合
して、食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化
粧品、プラスチック製品などの用途に有利に利用でき
る。
【0032】更に、精製されたα−グリコシル フラボ
ン類製品を製造する場合には、多孔性合成吸着剤による
吸着性の差を利用してα−グリコシル フラボン類とα
−グルコシル糖化合物などの夾雑物とを分離して精製す
ればよい。
【0033】本発明でいう多孔性合成吸着剤とは、多孔
性で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン
−ジビニルベンゼン重合体、フェノール−ホルマリン樹
脂、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂などの合
成樹脂であり、例えば、市販されているRohm &
Haas社製造の商品名アンバーライトXAD−1、ア
ンバーライトXAD−2、アンバーライトXAD−4、
アンバーライトXAD−7、アンバーライトXAD−
8、アンバーライトXAD−11、アンバーライトXA
D−12、三菱化成工業株式会社製造の商品名ダイヤイ
オンHP−10、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオ
ンHP−30、ダイヤイオンHP−40、ダイヤイオン
HP−50、IMACTI社製造の商品名イマクティS
yn−42、イマクティSyn−44、イマクティSy
n−46などがある。
【0034】本発明のα−グリコシル フラボン類を生
成せしめた反応液の精製方法は、反応液を、例えば、多
孔性合成吸着剤を充填したカラムに通液すると、α−グ
リコシル フラボン類および比較的少量の未反応フラボ
ン類アグリコンが多孔性合成吸着剤に吸着するのに対
し、多量に共存するα−グルコシル糖化合物、水溶性糖
類は吸着されることなくそのまま流出する。
【0035】必要ならば、糖転移酵素反応終了後、多孔
性合成吸着剤に接触させるまでの間に、例えば、反応液
を中和するか、または加熱して生じる不溶物を濾過して
除去したり、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミン
酸マグネシウムなどで処理して反応液中の蛋白性物質な
どを吸着除去したり、イオン交換樹脂(H型およびOH
型)などで処理して脱塩するなどの精製方法を組み合せ
て利用することも随意である。
【0036】前述のようにして、多孔性合成吸着剤カラ
ムに選択的に吸着したα−グリコシル フラボン類と比
較的少量の未反応フラボン類アグリコンとは、水などで
洗浄した後、比較的少量の有機溶媒または有機溶媒と水
との混合液、例えば、メタノール水、エタノール水など
を通液すれば、まず、α−グリコシル フラボン類が溶
出し、通液量を増すか有機溶媒濃度を高めるかすれば未
反応フラボン類アグリコンが溶出してくる。
【0037】このα−グリコシル フラボン類高含有溶
出液を蒸溜処理して、まず有機溶媒を溜去した後、適当
な濃度にまで濃縮すればα−グリコシル フラボン類を
主成分とするシラップ状製品が得られる。更に、これを
乾燥し粉末化することによって、α−グリコシル フラ
ボン類を主成分とする粉末状製品が得られる。
【0038】この有機溶媒によるα−グリコシル フラ
ボン類および未反応フラボン類アグリコンの溶出操作
は、同時に、多孔性合成吸着剤の再生操作にもなるの
で、この多孔性合成吸着剤の繰り返し使用を可能にす
る。
【0039】また、本発明の多孔性合成吸着剤による精
製は、α−グルコシル糖化合物、水溶性糖類だけでな
く、水溶性の塩類などの夾雑物も同時に除去できる特長
を有している。このようにして得られるα−グリコシル
フラボン類は、次の特長を有している。
【0040】(1)フラボン類アグリコンと比較してα
−グリコシル フラボン類は、水溶性が極めて大きい。
【0041】(2)フラボン類アグリコンと比較してα
−グリコシル フラボン類は、耐光性、安定性が大き
い。
【0042】(3)α−グリコシル フラボン類は、フ
ラボン類アグリコンと実質的に同等、若しくは、やや弱
い程度の黄色着色性を有する。
【0043】(4)α−グリコシル フラボン類は、体
内の酵素によりフラボン類アグリコンとグルコースとに
加水分解され、フラボン類アグリコン本来の生理活性
(ビタミンP)を示す。また、ビタミンCとの併用によ
り、それらの持つ生理活性を増強させることができる。
【0044】(5)α−グルコシル糖化合物を含有する
製品の場合には、α−グリコシルフラボン類の効果を発
揮するのみならず、α−グルコシル糖化合物が賦形、増
量効果や、甘味効果を発揮することができ、また、α−
グルコシル糖化合物を除去した精製製品の場合には、ほ
とんど賦形、増量することなくα−グリコシル フラボ
ン類の効果を発揮することができる。
【0045】これらの特長から、α−グリコシル フラ
ボン類は安全性の高い天然型のビタミンP強化剤として
ばかりでなく、黄色着色剤、酸化防止剤、消臭剤、安定
剤、品質改良剤、抗菌剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収
剤などとして、他の原材料などと配合して、飲食物、嗜
好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤な
ど化粧品、更には、プラスチック製品などに有利に利用
することができる。
【0046】とりわけ、本発明のα−グリコシル フラ
ボン類は、近年、バイオフラボノイドとして注目されて
いるルチン、ヘスペリジン、ナリンジンなどのフラボノ
イド配糖体、更には、これら配糖体のα−グリコシル糖
誘導体などと併用して、ビタミンP作用を更に強化する
ことも有利に実施できる。
【0047】またα−グリコシル フラボン類の呈味
は、酸味、塩から味、渋味、苦味、旨味などを呈する各
種物質ともよく調和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、
普通一般の飲食物、嗜好物、例えば、調味料、和菓子、
洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビ
ン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工
品、野菜加工品、果実加工品、穀類加工品、など広範に
利用することができる。更に、α−グリコシル フラボ
ン類をステビオシド、α−グリコシル ステビオシド、
レバウディオシドA、グリチルリチン、α−グリコシル
グリチルリチン、ジヒドロカルコン類など植物由来の
甘味料、グリシン、アラニン、L−アスパラチル フェ
ニルアラニンメチルエステルなどアミノ酸系甘味料、シ
ュクロース、水飴、砂糖結合水飴、ブドウ糖、異性化
糖、フラクトース、蜂蜜、マルトース、ソルビトール、
マルチトール、ラクトースなど糖類甘味料などから選ば
れる甘味料の一種または二種以上と併用して呈味改善、
風味向上などの目的で利用することも有利に実施でき
る。また、α−グリコシル フラボン類が、果汁中のフ
ラボノイド化合物の晶出、沈澱を阻害するので、果汁飲
料、果汁入りゼリーなどのにごり防止剤、曇防止剤など
として利用することも有利に実施できる。更に、家畜、
家禽、蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料、餌料
などにビタミンP強化剤、嗜好性向上などの目的で配合
して利用することも好都合である。
【0048】その他、タバコ、トローチ、肝油ドロッ
プ、複合ビタミン剤、舌下剤、口中清涼剤、口中香錠、
うがい薬、経管栄養剤、生薬、内服薬、注射剤、練歯み
がき、口紅、リップクリーム、日焼け止めなど各種固
状、ペースト状、液状の嗜好物、感受性疾患の予防剤、
治療剤、すなわち、抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤、
育毛剤などの化粧品などに配合して利用することも有利
に実施でき、更には、紫外線吸収剤、劣化防止剤などと
してプラスチック製品などに配合して利用することも有
利に実施できる。
【0049】また、本発明でいう感受性疾患とは、α−
グリコシル フラボン類によって予防され若しくは治療
される疾患であり、それが、例えば、ウィルス性疾患、
細菌性疾患、外傷性疾患、免疫疾患、リューマチ、糖尿
病、循環器疾患、悪性腫瘍、神経性疾患などであっても
よい。α−グリコシル フラボン類の感受性疾患予防
剤、治療剤は、その目的に応じてその形状を自由に選択
できる。例えば、噴霧剤、点眼剤、点鼻剤、うがい剤、
注射剤などの液剤、軟膏、パップ剤、クリームのような
ペースト剤、粉剤、顆粒、カプセル剤、錠剤などの固剤
などである。製剤に当たっては、必要に応じて、他の成
分、例えば、治療剤、生理活性物質、抗生物質、補助
剤、増量剤、安定剤、着色剤、着香剤などの1種また2
種以上と併用することも随意である。
【0050】投与量は、含量、投与経路、投与頻度など
によって適宜調節することができる。通常、α−グリコ
シル フラボン類として、成人1日当り、約0.001
乃至10.0グラムの範囲が好適である。
【0051】また、化粧品の場合も、大体、前述の予防
剤、治療剤に準じて利用することができる。
【0052】α−グリコシル フラボン類を利用する方
法としては、それらの製品が完成するまでの工程で、例
えば、混和、混捏、溶解、浸漬、浸透、散布、塗布、噴
霧、注入など公知の方法が適宜選ばれる。
【0053】以下、本発明のα−グリコシル フラボン
類の一例としてα−グリコシル ケルセチンを実験で詳
細に説明する。
【0054】
【実験1】α−グリコシル ケルセチンの調製 (1)糖転移反応 ケルセチン1重量部およびデキストリン(DE20)6
重量部に水500重量部を加え、pH9.5に調整した
後、嫌気下で加熱溶解し、60℃に冷却後、これにバチ
ルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus s
tearothermophilus)由来のシクロマ
ルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼ(株式
会社林原生物化学研究所販売)をデキストリングラム当
り40単位加え、pH8.5以上、60℃に維持して嫌
気下で18時間反応させた後、加熱失活させ、α−グリ
コシル ケルセチン含有液を得た。
【0055】(2)精製 (1)の方法で得た反応液を濾過し、濾液を中和後、多
孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP−10(三菱
化成工業株式会社販売)を充填したカラムにSV2で通
液した。このカラムを水で洗浄後、50V/V%エタノ
ールを通液し、この溶出液を濃縮して溶媒を溜去し、粉
末化して黄褐色のα−グリコシル ケルセチン標品
[I]を原料のケルセチン重量に対して約220%の収
率で得た。
【0056】(3)アミラーゼによる加水分解 (2)の方法で得たα−グリコシル ケルセチン標品
[I]を水に1W/V%に溶解し、これにグルコアミラ
ーゼ(EC 3.2.1.3、生化学工業株式会社販
売)を該標品グラム当り100単位加え、pH5.0、
55℃に維持して5時間反応させた。反応液を加熱して
酵素を失活させ、濾過し、濾液を多孔性合成吸着剤、商
品名ダイヤイオンHP−10(三菱化成工業株式会社販
売)のカラムにSV2で通液した。その結果、溶液中の
α−グリコシル ケルセチンと未反応ケルセチンとが多
孔性合成吸着剤に吸着し、グルコース、塩類などは吸着
することなく流出した。次いで、カラムを水で通液、洗
浄した後、エタノール水溶液濃度を段階的に高めながら
通液し、α−グリコシル ケルセチン画分を採取し、減
圧濃縮し、粉末化して、黄褐色のα−グリコシル ケル
セチン標品[II]を固形物当り原料のケルセチン重量に
対して約50%の収率で得た。
【0057】
【実験2】α−グリコシル ケルセチンの理化学的性質 (1)溶剤に対する溶解性 α−グリコシル ケルセチン標品は、水、0.1規定カ
セイソーダに易溶、メタノール、エタノールに微溶、エ
ーテル、ベンゼン、クロロホルムに不溶。
【0058】(2)呈味 ケルセチン、α−グリコシル ケルセチン標品[I]お
よび標品[II]のそれぞれを直接口に含んでその呈味を
比較したところ、ケルセチンは溶けないため砂を噛む時
のように無味であるのに対し、標品[I]および標品
[II]は、どちらも温和な甘味を示すことが判明した。
【0059】(3)紫外線吸収スペクトル α−グリコシル ケルセチン標品をケルセチンの場合と
比較するため、メタノール溶液を用いて紫外線吸収スペ
クトルを調べた。標品[I]および標品[II]は、いず
れも、ケルセチンの場合と同様に、吸収の強さの順に2
53nmおよび373nm付近に吸収極大を有してい
た。
【0060】(4)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法によって、α−グリコシル ケルセチン標
品の赤外線吸収スペクトルを調べた。α−グリコシル
ケルセチン標品[II]の結果を第1図に示す。対照とし
てケルセチンの結果を第2図に示す。
【0061】(5)加水分解に対する安定性 (a)α−グリコシル ケルセチン標品は、ブタの肝臓
由来のα−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20)
により加水分解され、ケルセチンとD−グルコースとを
生成する。
【0062】(b)β−グルコシダーゼによっては加水
分解されない。
【0063】(6)高速液体クロマトグラフィー (a)分析方法 装置;ウォーターズ社製、モデルM−6000A カラム;(株)島津テクノリサーチ製、商品名ODS−
M カラム温度;53℃ 溶離液;水:メタノール:酢酸=60:30:1 流速;0.5mL/分 検出;255nm
【0064】(b)分析結果 α−グリコシル ケルセチン標品を分析したところ、標
品[I]の場合には、保持時間62分のケルセチンのピ
ーク以外に、新たに54分、44分、38分、33分、
30分、26分、25分、23分、21分、19分など
多数のピークが認められ、標品[II]の場合には、保持
時間62分のケルセチンに相当する小さなピーク以外に
54分、38分の大きな2つのピークが認められた。
【0065】以上の結果から、標品[I]に含まれる新
たなピークを示す物質は、ケルセチンにD−グルコース
残基が等モル以上α−結合したα−グリコシル ケルセ
チンと判断される。
【0066】標品[II]に含まれる新たなピークを示す
2つの物質は、ケルセチン骨格の異なる部位にD−グル
コース残基が結合したα−グルコシル ケルセチンと判
断される。
【0067】このように、本願発明のα−グリコシル
ケルセチンはケルセチンにD−グルコース残基が等モル
以上α−結合した水溶性良好な新規ケルセチン糖誘導体
であって、生体内に摂取されると、α−グルコシダーゼ
によって容易に加水分解され、ケルセチン本来の生理活
性を発揮する。
【0068】(7)抗酸化作用 濃度約1%のリノール酸エタノール溶液10ml、50
mMリン酸緩衝液10ml、および水5mlを混合し、
その混合液の5mlずつを5ml容フラスコに分注し
た。次いで、各々のフラスコに濃度が200ppmとな
るようにα−グリコシル ケルセチン標品[I]及び
[II]を添加して密封した後、50℃で遮光下に放置し
た。対照として、従来から代表的な抗酸化剤として使用
されているdl−α−トコフェロールを用いた。各々の
フラスコから所定の間隔をおいて0.5mlずつ試料を
採取し、それら試料中に含まれるリノール酸の酸化に起
因するヒドロペルオキシドを高速液体クロマトグラフィ
ーにより分析した。その分析は下記の条件で行った。
【0069】 装置;ウォーターズ社製、モデルM−6000A カラム;(株)島津テクノリサーチ製、商品名ODS−
M カラム温度;35℃ 溶離液;アセトニトリル:水:酢酸=75:25:0.
1 流速;0.5ml/分 検出;235nm
【0070】その分析結果を以下に示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1に示す結果から、α−グリコシル ケ
ルセチン標品[I]および[II]は、dl−α−トコフ
ェロールより遙かに優れた抗酸化作用を示した。
【0073】
【実験3】急性毒性 7週令のdd系マウスを使用して、実験1(2)の方法
で調製したα−グリコシル ケルセチン標品[I]を経
口投与して急性毒性テストをしたところ、体重1kg当
たり、5gまで死亡例は見られず、これ以上の投与は困
難であった。
【0074】従って、本物質の毒性は極めて低い。な
お、実験1(3)の方法で調製したα−グリコシル ケ
ルセチン標品[II]を用いて本テストを行ったところ、
同様の結果を得、毒性の極めて低いことが判明した。
【0075】以下、本発明の実施例として、α−グリコ
シル フラボン類の製造例を実施例Aで、α−グリコシ
ル フラボン類の用途例を実施例Bで述べる。
【0076】
【実施例A−1】α−グリコシル ケルセチン ケルセチン1重量部およびデキストリン(DE10)4
重量部を水200重量部に加え、pH9.8に調整した
後、嫌気下で加熱溶解し、60℃に冷却後直ちにバチル
ス・ステアロサーモフィルス由来のシクロマルトデキス
トリン グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生
物化学研究所販売)をデキストリングラム当り40単位
加え、pH8.5以上、55℃に維持し撹拌しつつ嫌気
下で24時間反応させた。反応液を高速液体クロマトグ
ラフィーで分析したところ、ケルセチンの約50%が、
α−グルコシル ケルセチン、α−マルトシル ケルセ
チン、α−マルトトリオシル ケルセチンなどのα−グ
リコシル ケルセチンに転換していた。反応液を中和後
加熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液を、常法に従っ
て、イオン交換樹脂(H型およびOH型)で脱塩精製
し、濃縮してシラップ状のα−グルコシル糖化合物を含
有するα−グリコシル ケルセチン製品を、固形物当り
原料重量に対して約80%の収率で得た。
【0077】本品は、ビタミンP強化剤としてばかりで
なく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、酸化防止剤、
安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤な
どとして、他の原材料などと配合して、飲食物、嗜好
物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチッ
ク製品などの用途に有利に利用できる。
【0078】
【実施例A−2】α−グルコシル ケルセチン 実施例A−1の方法に準じて調製したシラップ状のα−
グルコシル糖化合物を含有するα−グリコシル ケルセ
チン製品1重量部を水4重量部に溶解し、これにグルコ
アミラーゼ(EC 3.2.1.3、生化学工業株式会
社販売)をα−グリコシル ケルセチン製品固形物グラ
ム当り100単位加え、50℃、5時間反応させた。反
応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、
α−グリコシル ケルセチンは、結合部位の異なる2種
のα−グルコシル ケルセチンに転換していた。
【0079】反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過
し、濾液を多孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP
−10(三菱化成工業株式会社販売)のカラムにSV2
で通液した。その結果、溶液中のα−グルコシル ケル
セチンと未反応ケルセチンとが多孔性合成吸着剤に吸着
し、グルコース、塩類などは吸着することなく流出し
た。次いで、カラムを水で通液、洗浄した後、エタノー
ル水溶液濃度を段階的に高めながら通液し、α−グルコ
シル ケルセチン画分を採取し、減圧濃縮し、粉末化し
て、粉末状のα−グルコシル ケルセチンを固形物当り
原料のケルセチン重量に対して約50%の収率で得た。
【0080】α−グルコシル ケルセチンを酸で加水分
解したところ、ケルセチン1モルに対し、D−グルコー
ス1モルを生成し、また、α−グルコシル ケルセチン
に、ブタの肝臓から抽出し部分精製したα−グルコシダ
ーゼを作用させると、ケルセチンとD−グルコースとに
加水分解されることが判明した。
【0081】本品は、高度に精製された水溶性の高いビ
タミンP強化剤として、また、黄色着色剤、酸化防止
剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収
剤などとして、他の原材料などと配合して、飲食物、嗜
好物、抗感受性疾患剤、化粧品などの用途に有利に利用
できる。
【0082】
【実施例A−3】α−グリコシル フラボン類混合物 プロポリスのエタノール抽出物を公知の方法で脱ロウし
て得たクリシン、ガランギンおよびケルセチンを含むフ
ラボン類アグリコン混合物1重量部およびデキストリン
(DE8)10重量部を水200重量部に加え、pH
9.8に調整し、嫌気下で加熱溶解し、60℃に冷却
し、これにシクロマルトデキストリン グルカノトラン
スフェラーゼをデキストリングラム当り50単位加え、
pH8.5以上、55℃に維持して撹拌しつつ嫌気下で
40時間反応させた。
【0083】反応液を高速液体クロマトグラフィーで分
析したところ、フラボン類アグリコンのそれぞれは、約
50%がα−グリコシル フラボン類に転換していた。
【0084】反応液を中和後加熱して酵素を失活させ、
濾過し濾液を実施例A−1と同様に、常法に従って、精
製、濃縮し、更に噴霧乾燥して粉末状のα−グルコシル
糖化合物を含有するα−グリコシル フラボン類混合物
製品を固形物当り原料重量に対して約85%の収率で得
た。
【0085】本品は、水溶性良好なビタミンP強化剤と
してばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、
酸化防止剤、消臭剤、安定剤、品質改良剤、抗菌剤、予
防剤、治療剤、紫外線吸収剤などと配合して、飲食物、
嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラス
チック製品などの用途に有利に利用できる。
【0086】
【実施例A−4】α−グリコシル フラボン類混合物 実施例A−3の方法に準じて調製した反応終了後の濾液
を、多孔性合成吸着剤、商品名アンバーライトXAD−
7(Rohm & Haas社製造)のカラムにSV
1.5で通液した。
【0087】その結果、溶液中のα−グリコシル フラ
ボン類混合物と未反応フラボン類アグリコン混合物とが
多孔性合成吸着剤に吸着し、デキストリン、オリゴ糖、
塩類などは吸着することなく流出した。
【0088】このカラムを水で通液、洗浄した後、50
V/V%メタノールを通液して、α−グリコシル フラ
ボン類混合物およびフラボン類アグリコン混合物を溶出
し、これを濃縮し、粉末化して、粉末状α−グリコシル
フラボン類混合物製品を原料のフラボン類アグリコン
混合物重量に対して約55%の収率で得た。
【0089】本品は、水溶性の高いビタミンP強化剤と
してばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、
酸化防止剤、消臭剤、安定剤、品質改良剤、抗菌剤、予
防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、他の原材料な
どと配合して、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性
疾患剤、化粧品、プラスチック製品などの用途に有利に
利用できる。
【0090】
【実施例A−5】α−グリコシル クリシン クリシン1重量部およびデキストリン(DE8)5重量
部を水200重量部に加え、pH9.5に調整し、嫌気
下で加熱溶解し、60℃に冷却し、以後、実施例A−1
と同様にシクロマルトデキストリン グルカノトランス
フェラーゼを作用させて反応させた。反応液を高速液体
クロマトグラフィーで分析したところ、クリシンの約2
0%がα−グリコシル クリシンに転換していた。以
後、実施例A−1と同様に、反応液を濾過し、濾液を精
製、濃縮して、シラップ状のα−グルコシル糖化合物を
含有するα−グリコシル クリシン製品を、固形物当り
原料重量に対して約80%で得た。
【0091】本品は、ビタミンP強化剤としてばかりで
なく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、酸化防止剤、
安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤な
どとして、他の原材料などと配合して、飲食物、嗜好
物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチッ
ク製品などの用途に有利に利用できる。
【0092】
【実施例A−6】α−グリコシル ケンフェロール 実施例A−5のクリシンをケンフェロールに代えて実施
例A−5と同様に反応させた。
【0093】反応液を高速液体クロマトグラフィーで分
析したところ、ケンフェロールの約30%がα−グリコ
シル ケンフェロールに転換していた。以後、実施例A
−1と同様に反応液を濾過し、濾液を精製して、シラッ
プ状のα−グルコシル糖化合物を含有するα−グリコシ
ル ケンフェロール製品を固形物当り原料重量に対して
約65%で得た。
【0094】本品は、ビタミンP強化剤としてばかりで
なく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、酸化防止剤、
安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤な
どとして、他の原材料などと配合して、飲食物、嗜好
物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチッ
ク製品などの用途に有利に利用できる。
【0095】
【実施例A−7】α−グリコシル ケルセチン (1)α−グルコシダーゼ標品の調製 マルトース4W/V%、リン酸1カリウム0.1W/V
%、硝酸アンモニウム0.1W/V%、硫酸マグネシウ
ム0.05W/V%、塩化カリウム0.05W/V%、
ポリペプトン0.2W/V%、炭酸カルシウム1W/V
%(別に乾熱滅菌して植菌時に無菌的に添加)および水
からなる液体培地500重量部にムコール・ジャバニカ
ス(Mucor javanicus)IFO 457
0を温度30℃で44時間振盪培養した。培養終了後、
菌糸体を採取し、その湿菌糸体48重量部に対し、0.
5M酢酸緩衝液(pH5.3)に溶解した4M尿素液5
00重量部を加え、30℃で40時間静置した後、遠心
分離した。この上清を流水中で一夜透析した後、硫安
0.9飽和とし、4℃で一夜放置して生成した塩析物を
濾取し、0.01M酢酸緩衝液(pH5.3)50重量
部に懸濁溶解した後、遠心分離して上清を採取し、α−
グルコシダーゼ標品とした。
【0096】(2)α−グリコシル ケルセチンの調製 ケルセチン3重量部およびデキストリン(DE30)2
0重量部を5V/V%エタノール水500重量部に加
え、pH9.5に調整し、嫌気下で加熱溶解し、55℃
に冷却後直ちに(1)の方法で調製したα−グルコシダ
ーゼ標品15重量部を加え、pH8.5以上に維持して
撹拌しつつ50℃で40時間反応させた。
【0097】反応液を高速液体クロマトグラフィーで分
析したところ、ケルセチンの約30%がα−グリコシル
ケルセチンに転換していた。
【0098】反応液を実施例A−3と同様に精製し、濃
縮、粉末化してα−グルコシル糖化合物を含有する粉末
状α−グリコシル ケルセチン製品を約80%の収率で
得た。
【0099】本品は、実施例A−3の場合と同様に、水
溶性の高いビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全
性の高い天然型の黄色着色剤、酸化防止剤、安定剤、品
質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、
他の原材料などと配合して各種用途に利用できる。
【0100】
【実施例B−1】ハードキャンディー 還元麦芽糖水飴(株式会社林原商事販売、登録商標マビ
ット)1,500重量部を加熱し、減圧下で水分約2%
以下になるまで濃縮し、これに実施例A−4の方法で得
た粉末状α−グリコシル フラボン類混合物1重量部お
よび適量のクエン酸を混和し、次いで常法に従って、成
形、包装してハードキャンディーを得た。
【0101】本品は、ビタミンPを強化したキャンディ
ーであって、低う蝕性、低カロリーである。
【0102】
【実施例B−2】フキの水煮 フキを皮むきし、適当な長さに切断して、薄い食塩水に
数時間浸し、これを実施例A−1の方法で得たシラップ
状のα−グリコシルケルセチンと青色1号とを配合して
調製した緑色着色料を含有する液で煮込んで、緑色の鮮
かなフキの水煮を得た。
【0103】本品は、野趣に富んだ風味を有しており、
各種和風料理の材料としても好適である。
【0104】
【実施例B−3】求肥 モチ種澱粉1重量部に水1.2重量部を混合し、加熱糊
化しつつ、これに砂糖1.5重量部、結晶性β−マルト
ース(株式会社林原製造、登録商標サンマルト)0.7
重量部、水飴0.3重量部および実施例A−5の方法で
得たシラップ状α−グリコシル クリシン0.02重量
部を混和し、以後、常法に従って、成形、包装して求肥
を製造した。
【0105】本品は、野趣に富んだ風味で、口当りも良
好なきびだんご風の和菓子である。
【0106】
【実施例B−4】混合甘味料 はちみつ100重量部、異性化糖50重量部、α−グリ
コシル ステビオシド(東洋精糖株式会社製造、商品名
α−Gスィート)1重量部および実施例A−4の方法
で得た粉末状α−グリコシル フラボン類混合物0.0
2重量部を混合して混合甘味料を得た。
【0107】本品はビタミンPを強化した味質良好な甘
味料で、その甘味度は砂糖の約2倍で健康食品として好
適である。
【0108】
【実施例B−5】サンドクリーム 結晶性α−マルトース(株式会社林原製造、登録商標フ
ァイントース)1,200重量部、ショートニング1,
000重量部、カカオマス50重量部、実施例A−2の
方法で得た粉末状α−グルコシルケルセチン3重量部お
よびレシチン1重量部を常法により混和してサンドクリ
ームを製造した。
【0109】本品は、ビタミンPを強化し、チョコレー
ト風味のサンドクリームで、口当り、溶け具合とも良好
である。
【0110】
【実施例B−6】錠剤 L−アスコルビン酸10重量部に結晶性α−マルトース
19重量部、実施例A−3の方法で得た粉末状α−グリ
コシル フラボン類混合物10重量部およびα−グリコ
シル ルチン(東洋精糖株式会社製造、商品名αGルチ
ン)1重量部を均一に混合した後、直径12mm、20
R杵を用いて、打錠し錠剤を得た。
【0111】本品は、Lーアスコルビン酸、α−グリコ
シル フラボン類混合物およびα−グリコシル ルチン
との複合ビタミン剤で、L−アスコルビン酸の安定性も
よく、飲み易い錠剤である。
【0112】
【実施例B−7】カプセル剤 酢酸カルシウム・一水塩10重量部、L−乳酸マグネシ
ウム・三水塩50重量部、マルトース57重量部、実施
例A−4の方法で得た粉末状α−グリコシルフラボン類
混合物20重量部及びエイコサペンタエン酸20%含有
γ−シクロデキストリン包接化合物12重量部を均一に
混合し、顆粒成形機にかけて顆粒とした後、常法に従っ
て、ゼラチンカプセルに封入して、一カプセル150m
g入のカプセル剤を製造した。
【0113】本品は、血中コレステロール低下剤、免疫
賦活剤、美肌剤などとして、感受性疾患の予防剤、治療
剤、健康増進用食品などとして有利に利用できる。
【0114】
【実施例B−8】軟膏 酢酸ナトリウム・三水塩1重量部、DL−乳酸カルシウ
ム4重量部をグリセリン10重量部と均一に混合し、こ
の混合物を、ワセリン50重量部、木ロウ10重量部、
ラノリン10重量部、ゴマ油14.5重量部、実施例A
−4の方法で得た粉末状α−グリコシル フラボン類混
合物1重量部及びハッカ油0.5重量部の混合物に加え
て、更に均一に混和して軟膏を製造した。
【0115】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤など
として、更には外傷、火傷の治癒促進剤などとして有利
に利用できる。
【0116】
【実施例B−9】注射剤 実施例A−2の方法で得た粉末状α−グルコシル ケル
セチンを水に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイ
ロゲンフリーとし、この溶液を20mL容アンプルにα
−グルコシル ケルセチン10mgになるように分注
し、これを減圧乾燥し、封入して注射剤を製造した。
【0117】本注射剤は、単体で、または、他のビタミ
ン、ミネラルなどと混合して筋肉内又は静脈内に投与で
きる。また、本品は、低温貯蔵の必要もなく、使用に際
しての生理食塩水などへの溶解性は極めて良好である。
【0118】
【実施例B−10】注射剤 塩化ナトリウム6重量部、塩化カリウム0.3重量部、
塩化カルシウム0.2重量部、乳酸ナトリウム3.1重
量部、マルトース45重量部及び実施例A−2の方法で
得た粉末状α−グルコシル ケルセチン1重量部を水
1,000重量部に溶解し、常法に従って、精製濾過し
てパイロゲンフリーとし、この溶液を滅菌したプラスチ
ック容器に250mLずつ充填して注射剤を製造した。
【0119】本品は、ビタミンP補給としてだけでな
く、カロリー補給、ミネラル補給のための注射剤で、病
中、病後の治療促進、回復促進などに有利に利用でき
る。
【0120】
【実施例B−11】経管栄養剤 結晶性α−マルトース20重量部、グリシン1.1重量
部、グルタミン酸ナトリウム0.18重量部、食塩1.
2重量部、クエン酸1重量部、乳酸カルシウム0.4重
量部、炭酸マグネシウム0.1重量部、実施例A−3の
方法で得た粉末状α−グリコシル フラボン類混合物
0.01重量部、チアミン0.01重量部及びリボフラ
ビン0.01重量部からなる配合物を調製する。この配
合物24gずつをラミネートアルミ製小袋に充填し、ヒ
ートシールして経管栄養剤を調製した。
【0121】本経管栄養剤は、一袋を約300乃至50
0mLの水に溶解し、経管方法により鼻腔、胃、腸など
への経口的又は非経口的栄養補給液としても有利に利用
できる。
【0122】
【実施例B−12】浴用剤 DL−乳酸ナトリウム21重量部、ピルビン酸ナリトウ
ム8重量部、実施例A−5の方法で得たシラップ状α−
グリコシル クリシン5重量部及びエタノール40重量
部を、精製水26重量部及び着色料、香料の適量と混合
し、浴用剤を製造した。
【0123】本品は、美肌剤、色白剤として好適であ
り、入浴用の湯に100乃至10,000倍に希釈して
利用すればよい。本品は、入浴用の湯の場合と同様に、
洗顔用水、化粧水などに希釈して利用することも有利に
実施できる。
【0124】
【実施例B−13】乳液 ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重量部、テ
トラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール1重量
部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ピル
ビン酸0.5重量部、ベヘニルアルコール0.5重量
部、アボガド油1重量部、実施例A−6の方法で得たシ
ラップ状α−グリコシル ケンフェロール1重量部、ビ
タミンE及び防腐剤の適量を、常法に従って加熱溶解
し、これにL−乳酸ナトリウム1重量部、1,3−ブチ
レングリコール5重量部、カルボキシビニルポリマー
0.1重量部及び精製水85.3重量部を加え、ホモゲ
ナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混
合し乳液を製造した。
【0125】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤など
として有利に利用できる。
【0126】
【実施例B−14】クリーム モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2重量
部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5重量部、
実施例A−7の方法で得た粉末状α−グリコシル ケル
セチン2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタ
ン酸グリセリル10重量部及び防腐剤の適量を、常法に
従って加熱溶解し、これにL−乳酸2重量部、1,3−
ブチレングリコール5重量部及び精製水66重量部を加
え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加
えて撹拌混合しクリームを製造した。
【0127】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤など
として有利に利用できる。
【0128】
【発明の効果】本文で述べたごとく、本発明は、フラボ
ン類アグリコンとα−グルコシル糖化合物とを含有する
溶液に、糖転移酵素を作用させる生化学的手法により、
α−グリコシル フラボン類を容易に生成できること、
このα−グリコシル フラボン類は、フラボン類アグリ
コンの持つ水に難溶または不溶性である欠点を解消でき
ること、加えて、フラボン類アグリコンと同様の黄色着
色性を示し、毒性の懸念もなく、生体内で容易にフラボ
ン類アグリコンとD−グルコースとに加水分解され、フ
ラボン類アグリコン本来の生理活性を発揮することなど
の特長を有する。
【0129】従って、本発明のα−グリコシル フラボ
ン類は、安全性の高い天然型のビタミンP強化剤として
ばかりでなく、黄色着色剤、酸化防止剤、消臭剤、安定
剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤、劣化
防止剤などとして、他の原材料などと配合して、飲食
物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色
白剤など化粧品、更には、プラスチック製品など各種組
成物に有利に利用される。
【0130】従って、本発明によるα−グリコシル フ
ラボン類の工業的製造法とその用途の確立は、飲食品、
化粧品、医薬品、プラスチック産業における工業的意義
が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のα−グリコシル フラボン類の一例と
してのα−グリコシル ケルセチン標品[II]の赤外線
吸収スペクトル図。
【図2】対照としてのケルセチンの赤外線吸収スペクト
ル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 19/18 A23D 9/00 518 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 17/06 C07D 311/26 C12P 19/00 - 19/18 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケルセチンを除くフラボン類アグリコン
    とα−グルコシル糖化合物とを含有する溶液に糖転移酵
    素を作用させて得られるα−グリコシル フラボン類。
  2. 【請求項2】 フラボン類アグリコンとα−グルコシル
    糖化合物とを含有する溶液に糖転移酵素を作用させてα
    −グリコシル フラボン類を生成せしめ、これを採取す
    ることを特徴とするα−グリコシル フラボン類の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 フラボン類アグリコンが、化学構造上、
    1分子につき2個以上のOH基を有するフラボンアグリ
    コンまたはフラボノールアグリコンであることを特徴と
    する請求項2記載のα−グリコシル フラボン類の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 フラボン類アグリコンとα−グルコシル
    糖化合物とを含有する溶液に糖転移酵素を作用させてα
    −グリコシル フラボン類を生成せしめ、次いで、この
    溶液を多孔性合成吸着剤に接触させて精製し、α−グリ
    コシル フラボン類を採取することを特徴とするα−グ
    リコシル フラボン類の製造方法。
  5. 【請求項5】 ケルセチンを除くフラボン類アグリコン
    とα−グルコシル糖化合物とを含有する溶液に糖転移酵
    素を作用させて得られるα−グリコシル フラボン類を
    含有せしめた組成物。
  6. 【請求項6】 組成物が飲食物または化粧品であること
    を特徴とする請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 ケルセチン骨格の異なる部位にD−グル
    コース残基が等モル以上α−結合したα−グリコシル
    ケルセチン。
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