JP6280665B1 - カラメル色素を含有する飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、カラメル色素を含有する飲料であって、カラメル色素に起因する苦味が低減された飲料を提供することを目的とする。【解決手段】カラメル色素含有飲料に、0.005〜1.5mg/100mLの濃度のティリロサイドを含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、カラメル色素及びティリロサイドを含有する飲料に関する。
カラメル色素は、苦味物質に分類されることもある成分である(特許文献1)。飲料にカラメル色素を配合した場合、微量配合しただけでもこの特有の苦味を呈する場合が多く、飲料が飲みにくくなるという問題がある。そこで、カラメル色素を配合した飲料の苦味を低減する方法が種々提案されている。例えば、特許文献2には、辛味成分であるスピラントールと、苦味成分であるクワシン及びネオクワシンを用いてカラメル色素含有飲料におけるカラメル色素が有する味の問題、特に、苦味や、舌触りの悪さ又はザラツキを改善する方法が提案されている。また、水素添加されたカラメル色素を使用して調製した飲料は、カラメル色素に関連する不快な風味や臭いが低減されることも知られている(特許文献3)。
特開2016−082895号公報 特開2016−144435号公報 特許3483849号公報
上記のとおり、飲料におけるカラメル色素の苦味低減方法が種々提案されている。飲料自体の風味に影響を及ぼすことがあったり、煩雑な工程が必要であったりすることから、カラメル色素の苦味を低減する、より簡便な方法が求められていた。
本発明は、カラメル色素を含有する飲料であって、カラメル色素に起因する苦味が低減された飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、飲料におけるカラメル色素由来の苦味の低減に関して、特定量のティリロサイドが有効であることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)0.005〜1.5mg/100mLの濃度のティリロサイドを含有する、カラメル色素含有飲料。
(2)カラメル色素の含有量が固形分換算で0.005%以上0.5%未満である、(1)に記載の飲料。
(3)カラメル色素がクラスIVのカラメル色素である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4)非アルコール飲料である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の飲料。
本発明によって、カラメル色素に起因する苦味が低減された飲料を提供することが可能となる。また、本発明では、カラメル色素に起因する苦味を低減することにより、風味の良い飲料を提供することもできる。
本発明の一態様は、0.005〜1.5mg/100mLの濃度のティリロサイドを含有する、カラメル色素含有飲料である。
(カラメル色素)
本発明の飲料は、カラメル色素を含有する。カラメル色素とは、糖類を加熱重合して得られる高分子の褐色色素をいう。本発明のカラメル色素としては、食用に適する公知のカラメル色素を使用することができ、例えば、砂糖もしくはブドウ糖に代表される食用炭水化物を熱処理して得られるもの、又は酸もしくはアルカリを加えて食用炭水化物を熱処理して得られるもの等をカラメル色素として用いることができる。また、果汁や野菜汁に含まれる糖分をカラメル化して使用することもでき、この場合、加熱処理、酸やアルカリ処理などによって糖分をカラメル化することができる。
カラメル色素は、製法によりクラスI、II、III、IVに分類される。本発明では、そのいずれを用いてもよく、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。コスト、入手の容易性および効果の顕著さの観点から、クラスIVのカラメル色素を用いることが好ましい。
本発明の飲料におけるカラメル色素の含有量は、カラメル色素の固形分含量として測定される値で示される(本明細書中、固形分換算と表記する)。ここで、固形分含量として測定される値とは、第8版食品添加物公定書(厚生労働省)に記載されているカラメルIVの純度試験(4)に準じて測定される値を意味する。
飲料の組成や飲用する人の感度にもよるが、一般に、飲料全量に対して固形分換算として0.005%以上のカラメル色素を配合すると、その苦味が知覚される傾向にある。したがって、本発明の飲料は、好ましくは0.005%以上のカラメル色素を含有する。より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上、特に好ましくは0.1%以上である。なお、本明細書において「%」とは、特に断りがない限り、重量/重量(w/w)の%を意味する。
本発明の飲料におけるカラメル色素の含有量の上限は、飲料全量に対して固形分換算として0.5%未満である。カラメル色素の含有量が0.5%以上となると、ティリロサイドを多量に配合しなければならず、ティリロサイドの呈する味が飲料の風味に影響を及ぼすことがある。本発明の飲料におけるカラメル色素の含有量は、飲料全量に対する固形分換算として、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.25%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
確認のために記載するが、上述したクラスI〜IVの複数種類のカラメル色素が飲料に含まれている場合には、上記のカラメル色素の含有量は、全てのカラメル色素の含有量の合計を意味する。
本発明者の検討によると、飲料中のカラメル色素の含有量は、便宜的に吸光度(420nm)を指標として推測することができる。具体的な方法を以下に示す。
まずカラメル色素含有飲料500μLを遠心分離(14000G、60分)し、フィルターに捕捉物を取得する。次にこの捕捉物を200μLの水にて溶出し、逆相カラムにて遠心分離(5000G、2分)をして取得した溶液部分に1200μLの水を添加したものを調製し、この試料について波長420nmでの吸光度を測定する。この方法によると、飲料中のカラメル色素固形量が0.01%以上0.5%未満の場合、吸光度(420nm)は約0.5〜1.5として表される。
(ティリロサイド)
本発明の飲料に含まれるティリロサイド(Tiliroside)は、フラボノイド配糖体に分類される有機化合物の一種であって、下式(1)の構造を有している。ティリロサイドの別名はKaempferol-3-O-glucoside-6''-E-coumaroylとも称され、そのCAS登録番号は20316−62−5である。構造名・構造式から自明な通り、ティリロサイドは、ケンフェロール、クマル酸、グルコースから構成されている。
Figure 0006280665
このようにティリロサイドは、他のフラボノイドや配糖体にはない特徴的な構造を持つ。ティリロサイドがカラメル色素の苦味を低減することは、このユニークな構造からは容易に想像できるものではない。
本発明の飲料は、0.005〜1.5mg/100mLのティリロサイドを含有する。飲料中のティリロサイドの含有量が上記の範囲内であれば、カラメル色素に由来する苦味を効果的に低減することができる。飲料中のティリロサイド含量が0.005mg/100mL未満であると、上記の苦味低減効果が発揮されないおそれがある。また、飲料中のティリロサイド含有量が1.5mg/100mLを超えると、ティリロサイドの呈する味が飲料自体に影響を及ぼし、飲用しがたくなることがある。
本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量は、好ましくは0.008mg/100mL以上であり、より好ましくは0.01mg/100mL以上である。また、本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量の上限値としては、好ましくは1mg/100mL以下、より好ましくは0.5mg/100mL以下、さらに好ましくは0.3mg/100mL以下、特に好ましくは0.1mg/100mL以下、最も好ましくは0.08mg/100mL以下である。本発明者らは、0.05mg/100mLのティリロサイドでコーラ飲料のカラメル色素に起因する苦味を低減することも確認している。したがって、本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量は0.05mg/100mL以下であってもよい。
ティリロサイドの含有量は、HPLCを用いて測定することができる。ここで、HPLCによる測定条件を以下に示す。
・溶離液:37.5%アセトニトリル
・流速:1 mL
・検出:UV 254 nm
・カラム:資生堂CAPCELL PAK C18 (4.6 × 250 mm)
ティリロサイドは、市販されている既知の化合物である。本発明では、ティリロサイドは純品又は植物抽出物の形態で用いることができる。ティリロサイドの市販品としては、フナコシより販売されているもの、Merck KGaAによって販売されているもの等が挙げられる。
(ティリロサイド含有植物抽出物)
ティリロサイドは、ローズヒップの他、リンデンの花または葉、イチゴの果実または種子、ハマナスの偽果または花、ラズベリーの葉または果実、ナニワイバラの偽果(金櫻子)、ウスベニアオイの全草等の植物に含まれている。本発明では、これらのティリロサイドを含む植物から、従来公知の方法で抽出して得られる抽出物を、ティリロサイド含有植物抽出物として用いることができる。なかでも、本発明の飲料では、ローズヒップ由来のティリロサイド含有抽出物が好ましく用いられる。
ティリロサイドを含有する植物からティリロサイドを抽出する方法としては、例えば、US2008193569号、特開2013−35786号等に記載された方法を採用することができる。ローズヒップからティリロサイドを抽出する場合を例に挙げて説明すると、例えば、種子を含む果実を細かく砕いた上で種々の抽出溶媒を用いて抽出する方法が挙げられる。具体的には、ローズヒップに対して10〜40倍量程度の溶媒を添加し、0〜70℃程度の温度条件下で5分〜3日間程度かけて抽出を行うことができる。抽出に用いる溶媒は、エタノール等の炭素数5以下の低級アルコール、酢酸エチル等の炭素水5以下の低級アルキルエステル、水等の極性溶媒が好ましく用いられる。これら溶媒は、2またはそれ以上を混合して用いてもよい。得られた抽出物はそのまま用いてもよく、或いはろ過処理等によって固形分を除去してもよい。また、抽出物は、必要に応じて希釈又は濃縮して用いてもよい。
また、ティリロサイド含有植物抽出物は、商業的に入手可能なものであってもよい。ローズヒップ由来のティリロサイド含有植物抽出物(ローズヒップ抽出物)であれば、例えば、森下仁丹製のものが、イチゴ種子由来のティリロサイド含有植物抽出物(イチゴ種子抽出物)であればオリザ油化製のものが挙げられる。
本発明においてティリロサイド含有植物抽出物を用いた場合、本発明の飲料におけるその含有量は、飲料中のティリロサイドの含有量が上記の範囲内にある限り特に限定されず、抽出物の種類や製造条件等に応じて適宜設定することができる。
(その他の成分)
本発明の飲料には、通常の飲料と同様、上記の成分以外に、甘味料や酸味料、果汁、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
使用できる甘味料としては、例えば、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、カンゾウ抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料、ペプチド系甘味料(例えばアスパルテーム、アリテーム、ネオテーム等)、配糖体系甘味料(例えばステビア甘味料(ステビア抽出物、ステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビア、およびステビアの甘味成分の中で最も甘味質のよいレバウディオサイドAを含む)、グリチルリチン等)、蔗糖誘導体、合成甘味料(例えばアセスルファムカリウム(「アセスルファムK」ともいう)、サッカリン、シクラメート、ネオヘスペリジン−ジヒドロカルコン、スクラロース)などが挙げられる。なかでも本発明の効果の顕著さの観点から、特に、アセスルファムカリウム、スクラロース等の合成甘味料を用いることが好ましい。これら甘味料は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アリテーム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、シクラメートおよびスクラロースから成る群から選択される高甘味度甘味料とカラメル色素とを使用した飲料は、保存中に不快な臭いが発生することが知られている(例えば、特表2001−520873号参照)。ティリロサイドとカラメル色素とを含有する本発明の飲料は、上記のような高甘味度甘味料を含んだ場合においても、保存中における不快な臭い及び苦味の発生がない。したがって、高甘味度甘味料を配合し、保存の形態に供される容器詰め飲料は、本発明の好適な態様の一つである。
本発明の飲料で使用できる酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、グルコン酸、リン酸、酒石酸、酢酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸、またはレモン、グレープフルーツ、オレンジ、ミカン等の果汁などが挙げられる。本発明者らは、本発明の飲料が特に酸性飲料である場合に、苦味低減効果が得られるとともに飲料の飲みやすさが向上することを見出している。したがって、本発明の飲料において好ましいpHは2以上4.5未満であり、より好ましいpHは2.5以上4.0以下である。なかでもクエン酸及びリン酸を含有する本発明の飲料は、苦味低減効果が顕著に発現するため好ましい。
(飲料)
本発明の飲料は、非アルコール飲料であることが好ましい。アルコールを含む飲料では、アルコールの刺激感がカラメル色素の苦味により増長され、飲用後に刺激感として強く知覚される場合がある。ここで、非アルコール飲料とは、エタノールが1質量%(v/v)未満の飲料を意味する。例えば、食品表示基準で規定される清涼飲料、炭酸飲料が挙げられる。
また、炭酸飲料は、炭酸による刺激と相俟ってカラメル色素の苦味がより強く知覚されやすい飲料であり、本発明の苦味低減効果をより大きく発揮できる飲料であることから、本発明の好ましい態様の一つである。炭酸飲料としては、例えば、コーラ、ダイエットコーラ、ジンジャーエール、及び果汁風味が付与された炭酸飲料等が挙げられる。炭酸飲料のガス圧は、温度20℃において、例えば1.0〜5.0kgf/cm、好ましくは3.0〜4.8kgf/cm、より好ましくは3.5〜4.5kgf/cmとすることができる。炭酸ガスの添加は、当業者に公知の方法を用いて行うことができ、飲料中の炭酸ガス圧は、例えば、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定することができる。なお、本発明の飲料は、ティリロサイドを含むことから、その生理活性を表示した飲料(例えば栄養飲料、機能性飲料)の形態であってもよい。
上述したとおり、高甘味度甘味料を配合し、保存の形態に供される容器詰め飲料は、本発明の好適な態様の一つである。この保存の形態に供される容器詰め飲料は、特に限定されるわけではないが、本発明の飲料の製造時において殺菌工程を経て得ることができる。具体的には、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。容器の種類は特に限定されず、PETボトル、缶、瓶、紙パックなどを挙げることができる。
(飲料の製造方法)
本発明において、別の観点からは、飲料の製造方法が提供される。当該方法は、飲料の製造方法であって、飲料にカラメル色素とティリロサイド0.005〜1.5mg/100mLとを配合する工程を含む、上記製造方法である。
本発明においては、ティリロサイド及びカラメル色素を添加する形態や方法は特に限定されず、これらを原料として製造工程の任意のタイミングで添加することができる。これらの成分は、飲料中の含有量が上記に示した量となるように飲料に配合することができる。また、本発明の製造方法は、カラメル色素及びティリロサイド以外にも、上記に示した各種成分及び材料を配合する工程やそれらの含有量を調整する工程も含むことができる。
本発明の飲料の製造方法では、原料を配合する方法は限定されない。例えば、公知の方法を用いて原料を飲料中に配合することができる。本発明の製造方法では、必要に応じて、殺菌、容器詰めなどの工程を適宜設けることができる。好ましい態様において、本発明の飲料は、飲料の充填工程を経て容器詰め飲料とすることができ、殺菌された容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌などの加熱殺菌を行う方法や、飲料を殺菌して容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。また、本発明の製造方法では、飲料を発泡性とするために、必要に応じて炭酸ガスを注入する工程を設けることができる。その際のガス圧は、上述した通りである。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
(実験1:カラメル色素含有飲料の評価)
カラメル色素として、仙波糖化工業株式会社製のZ−80(カラメル色素固形分:65%、クラスIV)を使用した。飲料の最終形態でのカラメル色素含有量が固形分換算で0.005%及び0.3%となるようにこのカラメル色素を、水(pH7のイオン交換水)に溶かした。5名のパネラーによりカラメル色素に由来する苦味の有無について評価した。評価は、各自が実施し、その後協議して苦味の有無を決定した。結果を表1に示す。カラメル色素を0.005%以上の濃度で含有する飲料が、苦味を有することが明らかになった。
また、試料3に関して、吸光度(420nm)を測定した。測定方法としては、カラメル色素含有試料500μLを遠心分離(14000G、60分)し、フィルターに捕捉物を取得した。次にこの捕捉物を200μLの水にて溶出し、逆相カラムにて遠心分離(5000G、2分)をして取得した溶液部分に1200μLの水を添加したものを調製した。この調製物について波長420nmでの吸光度を測定した。その結果、試料3の吸光度(420nm)は1.379であった。
Figure 0006280665
(実験2:ティリロサイドによるカラメル色素含有飲料の苦味低減作用)
実験1と同様にして、カラメル色素含有量が固形分換算で0.15%となる飲料を調製した(試料4)。これに表2の値となるようにティリロサイドを適宜添加及び混合してティリロサイド濃度の異なる飲料を調製した(試料5〜11)。得られた飲料のpHはいずれも7.0であった。なお、ティリロサイドにはフナコシ製の純度99%のものを使用した。得られたティリロサイド濃度が異なる飲料について、5名のパネラーにより飲料の苦味の強さと飲用適性について評価した。評価は、以下の基準に基づいて各自が実施し、その後協議して評価点を決定した。
・5点:苦味を感じず、とても飲みやすい
・4点:苦味はほとんどなく、飲用できる
・3点:苦味はあまりなく、飲用できる
・2点:苦味を少々感じ、飲みにくい
・1点:苦味を強く感じ、とても飲みにくい
結果を表2に示す。ティリロサイドを0.005〜1.5mg/100mlの濃度で配合することによってカラメル色素に由来する苦味を効果的に低減することができた。1.5mg/100mlより多量のティリロサイドを配合すると、ティリロサイドに起因する苦味が強く感じられ、飲用に適さなかった。
Figure 0006280665
(実験3:カラメル色素含有飲料の評価)
実験2と同様にして、カラメル色素含有量及びティリロサイド濃度が表3の値となるように、カラメル色素及びティリロサイドを適宜添加及び混合して、カラメル色素固形分量及びティリロサイド濃度の異なる飲料を調製した(試料12〜26)。得られた飲料のpHを測定したところ、いずれも7.0であった。得られた飲料について、実験2と同様に評価した。
結果を表3に示す。カラメル色素含有量が0.01%以上0.5%未満の濃度範囲では、0.008mg/100ml以上3mg/100ml未満の濃度のティリロサイドを配合することによって、カラメルに由来する苦味を効果的に低減することができた。実験2と同様に吸光度(420nm)を測定したところ、試料19、20の吸光度(420nm)はいずれも0.896であった。
Figure 0006280665
(実験4:酸性飲料での評価(1))
飲料の最終形態でのカラメル色素含有量及びティリロサイド濃度が表4の値となるように、水(pH7のイオン交換水)にカラメル色素及びティリロサイドを適宜添加及び混合した。これらの飲料について、クエン酸およびクエン酸三ナトリウムを用いてpH3.0に調整した。得られた酸性のカラメル色素含有飲料(試料27〜33)について、実験2と同様に評価した。
結果を表4に示す。酸性条件下においても中性条件下と同様、カラメル色素含有量が0.01以上0.5%未満の濃度範囲では、特定濃度のティリロサイドを配合することによって、カラメル色素に由来する苦味を効果的に低減することができた。
Figure 0006280665
さらに、カラメル色素及びティリロサイドの含有量が同じでpHが異なる試料、すなわち、試料30(pH3.0)と試料17(pH7.0)、試料31(pH3.0)と試料7(pH7.0)、試料32(pH3.0)と試料19(pH7.0)について、飲み比べを行った。評価点はいずれも5点であり、苦味を感じず飲みやすい飲料であると判断したが、パネラー全員が、pH3.0の飲料の方がより風味が良く、特に飲みやすいと答えた。
(実験5:酸性飲料での評価(2))
表5に示す処方にて、酸性(pH2.5、ガス圧3.6kgf/cm)の容器詰め炭酸飲料を製造した。得られた2種類の飲料(試料34,35)について、実験2と同様に官能評価を行った。
結果を表5に示す。各種の糖又は合成甘味料や酸味料、カフェイン等の添加物を含有することの緩衝作用も相俟って、カラメル色素の苦味がティリロサイドにより効果的に低減された。特に、炭酸飲料では炭酸ガスと相俟ってカラメル色素の苦味はより強く感じられるが、本実験における飲料では、そのような強い苦味はティリロサイドを含有させることにより効果的に低減された。さらに、これらを保存試験(加速試験)に供した。45℃で5日間保管を行った試料について、不快な臭い及び苦味の発生がないかどうかの評価を行ったところ、いずれの試料も不快な臭いや苦味は感じられなかった。
Figure 0006280665

Claims (4)

  1. 0.008〜1.5mg/100mLの濃度のティリロサイドを含有する、カラメル色素含有飲料。
  2. カラメル色素の含有量が固形分換算で0.01%以上0.3%以下である、請求項1に記載の飲料。
  3. カラメル色素がクラスIVのカラメル色素である、請求項1又は2に記載の飲料。
  4. 非アルコール飲料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料。
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