JP4836196B2 - リパーゼの活性測定用組成物および活性測定法 - Google Patents

リパーゼの活性測定用組成物および活性測定法 Download PDF

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Description

本発明は臨床検査薬分野における膵臓由来リパーゼ、又は非膵臓由来リパーゼ(肝性リパーゼ、又はリポプロテインリパーゼ等)の活性測定用組成物および活性測定方法に関する。
血中の膵臓由来リパーゼは急性膵炎等の膵臓疾患の診断マーカーとして重要であり日常の臨床検査に採り入れられている。
また肝性リパーゼやリポプロテインリパーゼ(以下合わせて非膵臓由来リパーゼという)は、肝疾患の診断やリポプロテインの脂質代謝において重要な酵素である。非膵臓由来リパーゼは肝臓や各種臓器・血管壁の酸性糖タンパクに結合して存在して生体中で機能している。非膵臓由来リパーゼはヘパリンを静脈注射又は透析中のヘパリンの使用等により血中に出現するがその活性はかなり低い。
従来より血中の膵臓由来リパーゼ活性測定及び/又は非膵臓由来リパーゼ活性測定において、その基質としてトリグリセリドが用いられてきた。該トリグリセリドはアラビアゴムやポリビニルアルコール等と強制撹拌させることにより緩衝液中に乳化分散したいわゆるエマルジョンの形態で使用されてきた。この基質を用いてリパーゼ活性を測定する際はリパーゼ反応により生成した脂肪酸をアルカリ滴定により定量することにより行われてきた。このリパーゼ基質からリパーゼ反応で遊離される脂肪酸を酵素法により測定する試みもなされてきたが、トリグリセリド基質はエマルジョンに起因する強い濁度のために酵素共役系を用いて分光学的に該リパーゼ活性を測定することは不可能であった。またエマルジョン基質は保存により相分離を起こしやすい欠点があり、再現性良く該リパーゼ活性を測定することは困難であった。さらに非膵臓由来リパーゼ活性測定に関しては、血中では膵臓由来リパーゼ活性に比較して非膵臓由来リパーゼは活性が低いために実務上は放射性化合物で標識したトリグリセリドが基質に用いられ、リパーゼ反応で生成される遊離脂肪酸と基質であるトリグリセリドとを分離した後、遊離脂肪酸の放射活性を測定することでリパーゼ活性が測定されてきた(非特許文献1)が、放射性化合物の取り扱い操作には制約が多く日常の臨床検査には不向きであった。
こうしたトリグリセリド基質を用いる方法の課題解決を目的としてジグリセリドを基質に用いる方法が開発されてきている(特許文献1、特許文献2)。これらの特許文献にはリパーゼの基質としては主に1,2−ジグリセリドが使用されている。1,2−ジグリセリドは分子内でエステル結合の転移反応により1,3−ジグリセリドへ変化することが知られており、この変化が極力起きないようにして使用されてきた。
これまでに知られている非イオン性界面活性剤に溶解したジグリセリド溶液は、安定性が悪く、長期保存することは不可能であった。このためジグリセリドを基質として用いる試薬やキットにおいては、実質上、該基質を凍結乾燥することが必須であり、使用前に溶解操作が必要となり使用上煩雑であった。
また、前述のように血液検体中の非膵臓由来リパーゼの酵素活性を測定するのは困難であるため、近年モノクロナル抗体を用いて免疫学的手法によりリパーゼの蛋白量を測定する方法が臨床検査の分野で行われるようになってきているが(非特許文献2)、免疫学的手法はリパーゼの蛋白量を定量するものであり、リパーゼの機能としての酵素活性を表すものではないという欠点がある。こうした状況下、膵臓由来リパーゼ又は非膵臓由来リパーゼ活性を正確、且つ高感度、さらに簡便に測定する技術開発が望まれていた。
特開昭59−91898号公報 特開昭63−245672号公報 J.Clin.Invest, 1986,78巻、6号、1523〜1528ページ 臨床病理第52巻補冊/臨床化学第33巻補冊3号、2004年、220ページ
本発明は、液状で長期安定性に優れたリパーゼ活性測定用組成物を提供することを目的とする。さらには、簡便なリパーゼ活性測定用試薬、リパーゼ活性測定用キット、及びリパーゼ活性測定方法を提供することを目的とする。具体的には臨床検査薬分野における膵臓由来リパーゼの活性測定用組成物として、従来の組成物よりも優れた組成物を提供すること、及び該組成物を用いた膵臓由来リパーゼ活性測定方法を目的とする。さらには検体中、特に血液検体中の非膵臓由来リパーゼに高感度且つ特異性の高い非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を提供すること及び該組成物を用いた簡便且つ精度の高い非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、まず安定した膵臓由来リパーゼ活性を測定するために現在、原料として使用されている1,2−ジグリセリドの安定性に着目した結果、長期間にわたって保存すると1,2−ジグリセリドは試薬中で徐々に加水分解されリパーゼ活性に変動をきたすことを見出し、該変化によって安定して正確な膵臓由来リパーゼ活性を測定することが困難であることを見出した。この課題を解決するために、優れた安定性を示すジグリセリドを見出す事に留意して鋭意検討した結果、低濃度のアルカリ性のpH緩衝液中で1,2−ジグリセリドを処理することにより予め大量の1,3−ジグリセリドに変換したジグリセリドを用いることで安定したリパーゼ活性を測定できる試薬を調製することができることを見出した。
また、該ジグリセリドが非膵臓由来リパーゼの基質として有用であることをも見出し、非膵臓由来リパーゼ反応測定時に使用するリパーゼ基質を澄明な溶液に調製することでリパーゼ反応の生成物を酵素法により測定する新規な非膵臓由来リパーゼ活性測定法を確立し、これにより高感度且つ簡便な測定方法を見出した。さらに、非膵臓由来リパーゼ活性の測定に影響を及ぼす成分を含有する検体、例えば、高い膵臓由来リパーゼ活性を示す検体であっても全く膵臓由来リパーゼ活性の影響を受けない特異性に優れた非膵臓由来リパーゼ反応用組成物、および非膵臓由来リパーゼの新規な活性測定法を見出した。
そして本発明者は、上記目的を達成するためにジグリセリドの水溶液中における長期保存安定性の向上に着目して鋭意検討した結果、低濃度のpH緩衝剤を共存させると長期保存安定性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成から成る。
〔A−1〕低濃度のpH緩衝液、及び非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液;
〔A−2〕ジグリセリドが1,3−ジグリセリド及び1,2−ジグリセリド混合物である前記〔A−1〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液;
〔A−3〕前記〔A−1〕又は〔A−2〕に記載のジグリセリドからリパーゼ反応により生成されるモノグリセリドを、遊離のグリセロールを経由してグリセロール−3−リン酸に変換する酵素類を含有することを特徴とするリパーゼ活性測定用組成物;
〔A−4〕1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、及びペルオキシダーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔A−1〕又は〔A−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;〔A−5〕1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NAD又は酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔A−1〕又は〔A−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−6〕1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、及びラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔A−1〕又は〔A−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−7〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現せず非膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現する濃度である、前記〔A−4〕〜〔A−6〕のいずれかに記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−8〕試薬1及び/又は試薬2が液状である、前記〔A−4〕〜〔A−7〕のいずれかに記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−9〕1)少なくとも前記〔A−1〕又は〔A−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、及びペルオキシダーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度の緩衝液及び胆汁酸又はその塩を含有する試薬2;から構成される膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−10〕1)少なくとも請求項1項又は2項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NAD又は酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度の緩衝液及び胆汁酸又はその塩を含有する試薬2;から構成される膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−11〕1)少なくとも前記〔A−1〕又は〔A−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、及びラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度の緩衝液及び胆汁酸又はその塩を含有する試薬2;から構成される膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−12〕非イオン性界面活性剤の濃度が、非膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現せず膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現する濃度である、前記〔A−9〕〜〔A−11〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−13〕試薬1及び/又は試薬2が液状である、前記〔A−9〕〜〔A−12〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−14〕前記〔A−4〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い、540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−15〕前記〔A−5〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでグルコース存在下にADP−へキソキナーゼでグルコース−6−リン酸に変換し、更に酸化型NAD又はNADP存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NAD又は還元型NADPの340nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−16〕前記〔A−6〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NADの340nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−17〕リパーゼ活性測定用組成物における非イオン界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現せず非膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現する濃度である、前記〔A−14〕〜〔A−16〕のいずれかに記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−18〕前記〔A−9〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い、540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−19〕前記〔A−10〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでグルコース存在下にADP−へキソキナーゼでグルコース−6−リン酸に変換し、更に酸化型NAD又はNADP存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NAD又は還元型NADPの340nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−20〕前記〔A−11〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NADの340nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−21〕リパーゼ活性測定用組成物における非イオン界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現非膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現しない濃度である、前記〔A−18〕〜〔A−20〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔A−22〕リパーゼ活性測定用組成物における試薬1及び/又は試薬2が液状である、前記〔A−14〕〜〔A−21〕のいずれかに記載のリパーゼ活性測定方法;
〔A−23〕少なくとも非イオン性界面活性剤、及び1,3−ジグリセリド並びに1,2−ジグリセリド混合物を含有することを特徴とする膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−24〕少なくともジグリセリドを含有することを特徴とする非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔A−25〕低濃度のpH緩衝液、及び非イオン性界面活性剤存在下で実質的に1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの平衡状態の濃度分布となっているジグリセリドから構成されるリパーゼ活性測定用基質;
〔A−26〕1,2−ジグリセリド及び1,3−ジグリセリドの平衡化方法;
〔B−1〕低濃度のpH緩衝液、及び非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液;
〔B−2〕非イオン性界面活性剤存在下でアルカリ処理を施したジグリセリドを用いることを特徴とする前記〔B−1〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド液;
〔B−3〕1)少なくとも高濃度のpH緩衝剤、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔B−1〕又は〔B−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成されるリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−4〕1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NADまたは酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔B−1〕又は〔B−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成されるリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−5〕1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔B−1〕又は〔B−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成されるリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−6〕1)少なくとも低濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、前記〔B−1〕又は〔B−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度のpH緩衝液を含有する試薬2;から構成されるリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−7〕1)少なくとも低濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NADまたは酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、前記〔B−1〕又は〔B−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度のpH緩衝液を含有する試薬2;から構成されるリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−8〕1)少なくとも低濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、前記〔B−1〕又は〔B−2〕に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度のpH緩衝液を含有する試薬2;から構成されるリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−9〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現しない濃度である前記〔B−3〕〜〔B−8〕のいずれかに記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔B−10〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現する濃度である前記〔B−3〕〜〔B−8〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔B−11〕前記〔B−3〕又は〔B−6〕に記載のリパーゼ活性測定用組成物と検体とを接触させた後、可視部の波長における吸光度の増加速度を測定するリパーゼ活性測定方法;
〔B−12〕前記〔B−9〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物と検体とを接触させた後、可視部の波長における吸光度の増加速度又は340nm付近の波長における吸光度の増加速度あるいは減少速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔B−13〕前記〔B−10〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物と検体とを接触させた後、可視部の波長における吸光度の増加速度又は340nm付近の波長における吸光度の増加速度あるいは減少速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法;
〔B−14〕さらにジグリセリドからリパーゼ反応により生成されるモノグリセリドを、遊離のグリセロールを経由してグリセロール−3−リン酸に変換する酵素類を含有することを特徴とする前記〔B−3〕又は〔B−6〕に記載のリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−15〕さらに、トリンダー試薬及びカップラーを含有することを特徴とする前記〔B−14〕に記載のリパーゼ活性測定用組成物;
〔B−16〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現しない濃度である前記〔B−14〕又は〔B−15〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔B−17〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現する濃度である前記〔B−14〕又は〔B−15〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔B−18〕さらに、コリパーゼ、及び胆汁酸又はその塩を含有することを特徴とする前記〔B−17〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔B−19〕前記〔B−3〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロ−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、過酸化水素の増加速度を測定するリパーゼ活性の測定方法;
〔B−20〕前記〔B−5〕に記載のリパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ還元型NADの300〜400nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定するリパーゼ活性の測定方法;
〔B−21〕前記〔B−15〕に記載のリパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロ−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定するリパーゼ活性の測定方法;
〔B−22〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現しない濃度である前記〔B−19〕〜〔B−21〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔B−23〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現する濃度である前記〔B−19〕〜〔B−21〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔C−1〕少なくとも非イオン性界面活性剤存在下でアルカリ処理を施したジグリセリドを含有することを特徴とする膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−2〕さらにジグリセリドから膵臓由来リパーゼ反応により生成されるモノグリセリドを、遊離のグリセロールを経由してグリセロール−3−リン酸に変換する酵素類を含有することを特徴とする前記〔C−1〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−3〕酵素類としてモノグリセリドリパーゼ、グリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼを含有し、さらにATP、ホスフェノールピルビン酸、還元型NADを含有することを特徴とする前記〔C−2〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−4〕酵素類としてモノグリセリドリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシターゼを含有し、さらにATPを含有することを特徴とする前記〔C−2〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−5〕さらにペルオキシターゼ、トリンダー試薬及びカップラーを含有することを特徴とする前記〔C−4〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−6〕さらに緩衝液を含有することを特徴とする前記〔C−1〕〜〔C−5〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−7〕さらにコリパーゼ、及び胆汁酸又はその塩を含有することを特徴とする前記〔C−1〕〜〔C−6〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−8〕2つ以上の試薬に分けたことを特徴とする前記〔C−1〕〜〔C−7〕のいずれかに記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−9〕1の試薬にグリセロールオキシターゼを添加し、他のいずれかの試薬にグリセロールキナーゼ、アデノシン−3−リン酸のどちらか又は両方を添加したことを特徴とする前記〔C−8〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔C−10〕前記〔C−3〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ還元型NADの300〜400nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔C−11〕前記〔C−4〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、過酸化水素の増加速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔C−12〕前記〔C−5〕に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−1〕少なくともジグリセリドを含有することを特徴とする非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−2〕さらにジグリセリドから非膵臓由来リパーゼ反応により生成されるモノグリセリドを、遊離のグリセロールを経由してグリセロール−3−リン酸に変換する酵素類を含有することを特徴とする前記〔D−1〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−3〕酵素類としてモノグリセリドリパーゼ、グリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼを含有し、さらに非イオン性界面活性剤、ATP、ホスフォエノールピルビン酸、還元型NADを含有することを特徴とする前記〔D−2〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−4〕酵素類としてモノグリセリドリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼを含有し、さらに非イオン性界面活性剤、ATPを含有することを特徴とする前記〔D−2〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−5〕さらにペルオキシダーゼ、トリンダー試薬及びカップラーを含有することを特徴とする前記〔D−4〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−6〕非イオン性界面活性剤の濃度が、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現しない濃度である前記〔D−3〕〜〔D−5〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−7〕さらに緩衝液を含有することを特徴とする前記〔D−1〕〜〔D−6〕のいずれかに記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−8〕2つ以上の試薬に分割したことを特徴とする前記〔D−1〕〜〔D−7〕のいずれかに記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−9〕1の試薬にグリセロールオキシダーゼを添加し、他のいずれかの試薬にグリセロールキナーゼ、アデノシン−3−リン酸のどちらか又は両方を添加することを特徴とする前記〔D−8〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物;
〔D−10〕前記〔D−1〕〜〔D−2〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、非膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、該グリセロールを定量することを特徴とする非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−11〕前記〔D−3〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、非膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ還元型NADの300〜400nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−12〕前記〔D−4〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、非膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、過酸化水素の増加速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−13〕前記〔D−5〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、非膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−14〕非膵臓由来リパーゼと膵臓由来リパーゼを含有する検体中の非膵臓由来リパーゼ活性を測定する方法であって、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性の発現を抑制するように非イオン性界面活性剤の濃度を調整することを特徴とする非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−15〕前記〔D−1〕〜〔D−9〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−16〕前記〔D−3〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、非膵臓由来リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ還元型NADの減少速度を測定する、非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法;
〔D−17〕前記〔D−5〕に記載の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物中のジグリセリドを基質とし、非膵臓由来リパーゼ反応で該ジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い、該発色の増加速度を測定する、非膵臓由来リパーゼ活性の測定方法。
取り扱いが簡便であり再現性及び正確性に優れたリパーゼ活性測定試薬、リパーゼ活性測定用組成物を提供すること、及び長期保存安定性に優れたジグリセリドの水溶液を提供することが可能になる。また、再現性よく、正確性に優れた膵臓由来リパーゼ活性を測定することが可能になる。さらに検体中、特に、血液検体中の非膵臓由来リパーゼ活性を、感度よく簡便に、且つ精度よく特異性高く測定することが可能になる。
本発明の実施例1−5に基づく膵臓由来リパーゼの希釈直線性の結果である。 本発明の実施例1−6に基づく非膵臓由来リパーゼの希釈直線性の結果である。 本発明の実施例2−5に基づく非膵臓由来リパーゼの稀釈直線性の結果である。 本発明の実施例2−6に基づく非イオン性界面活性剤の膵臓由来リパーゼ、非膵臓由来リパーゼ活性への影響を示す結果である。図中●印は非膵臓由来リパーゼを示し、■印は膵臓由来リパーゼを示す。 反応式1に基づく膵臓由来リパーゼ反応のタイムコースである。 反応式1に基づく膵臓由来リパーゼの稀釈直線性の結果である。 反応式3に基づく膵臓由来リパーゼの稀釈直線性の結果である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の長期保存安定性に優れたジグリセリド水溶液、ジグリセリド水溶液の長期保存安定化方法、ジグリセリド水溶液の安定な流通保存方法は、該溶液を用いる各種製品、例えば、長期保存安定性に優れたリパーゼ活性測定用組成物やリパーゼ活性測定用試薬に有用である。また、リパーゼ活性測定用組成物やリパーゼ活性測定用試薬の長期保存安定化方法、リパーゼ活性測定用組成物やリパーゼ活性測定用試薬の流通時及び/又は保存時の長期保存安定化方法に有用である。
本発明のリパーゼ活性測定用組成物、リパーゼ活性測定用試薬、及びリパーゼ活性測定方法は、検体のリパーゼ活性の測定を正確且つ簡便に行うのに有用であり、特に、臨床検査分野における血中の膵臓由来リパーゼ又は非膵臓由来リパーゼ活性測定を正確且つ簡便に行うのに有用である。
本発明のリパーゼ活性測定用組成物は、非イオン性界面活性剤に溶解したジグリセリド基質の長期安定性を向上させるために低濃度のpH緩衝液を共存させて、流通時及び/又は保存時等の長期保存安定性を著しく向上させたジグリセリド溶液を用いることを特徴とする簡便性の高いリパーゼ活性測定用組成物である。さらには、非イオン性界面活性剤存在下でアルカリ処理を施したジグリセリド基質を低濃度のpH緩衝液と共存させることも特徴とする。さらには、測定対象のリパーゼの種類(膵臓由来リパーゼ又は非膵臓由来リパーゼ)に応じて、非イオン性界面活性剤の濃度を適正化してあることも特徴とする。
本発明のリパーゼ活性測定方法は、この基質に膵臓由来リパーゼあるいは非膵臓由来リパーゼが作用して遊離するモノグリセリドを酵素的に検出することを特徴とする。
本発明に用いることができるリパーゼの基質は、例えば、1,2−ジオレオルグリセリルコリン、1−パルミトイル−2−オレイルグリセリルコリン、卵黄由来精製レシチン、又は大豆由来精製レシチン等のリン脂質を予め調製し、これらのリン脂質にホスフォリパーゼCを作用して得ることができるが、レシチン等のリン脂質にホスフォリパーゼCを反応させることによって得られる1,2−ジグリセリドが好ましい例として挙げられる。また、該1,2−ジグリセリドを、非イオン界面活性剤存在下でアルカリ処理を施して一部1,3−ジグリセリドに変換させたジグリセリド(1、2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの混合物)も本発明のリパーゼ反応の基質として用いることができる。より安定したリパーゼ活性を得ることができる点で、該1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリド混合物の方がリパーゼ基質として好ましく、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリド平衡状態付近の混合物であることが好ましい態様もある。このジグリセリド混合物は非イオン性界面活性剤を含有する緩衝液を用い温度と加温時間を変えてアルカリ処理を施すことで得ることができる。アルカリ処理温度とアルカリ処理時間は、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率を測定して適宜設定できる。具体的には1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率が2:1〜2:3の範囲になるようにするのが好ましく、1:1から2:3の範囲になるようにするのも好ましい。また、2:1〜1:1の範囲になるようにするのが好ましい別の態様もある。さらに、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率が70:30〜30:70の範囲になるようにするのが好ましく、50:50〜30:70の範囲になるようにするのも好ましい。また、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率が70:30〜50:50の範囲になるようにするのが好ましい別の態様もある。さらに1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率が50:50〜35:65の範囲になるようにするのが好ましい別の態様もある。1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの平衡状態を達成する条件としては、例えばpH8〜pH9の場合には37℃で5〜8時間、30℃で10〜20時間程度加温する方法、又、pH9〜pH11の場合には37℃で1時間程度加温する等の方法が挙げられる。pH9〜pH11の場合に37℃で1時間程度加温する方法がより好ましい。また、pH8〜pH9の場合に37℃で5〜8時間、30℃で10〜20時間程度加温する方法がより好ましい別の態様もある。pH8〜pH9の場合においては、pHの上限としてはpH9.0未満であることが好ましく、pH8.7以下であることがより好ましく、pH8.5以下であることがさらに好ましく、またpHの下限としてはpH8.0以上であることが好ましく、pH8.1以上であることがより好ましく、pH8.3以上であることがさらに好ましく、pH8.4以上であることが特に好ましい。又、pH9〜pH11の場合においてはpHの上限としてはpH11.0以下であることが好ましく、pH10.7以下であることがより好ましく、pH10.5以下であることがさらに好ましく、pH10.3以下であることが特に好ましく、pH10.25以下であることが最も好ましく、またpHの下限としてはpH9.0以上であることが好ましく、pH9.4以上であることがより好ましく、pH9.5以上であることがさらに好ましく、pH9.7以上であることが特に好ましく、pH9.8以上であることが最も好ましい。このようにして調製した基質溶液は長期保存するために冷蔵保存することが好ましい。この基質を後述するリパーゼ反応液に供する。
また、本発明により、低濃度のpH緩衝液、及び非イオン性界面活性剤存在下で実質的に1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの平衡状態の濃度分布となっているジグリセリドを含有した液状であるリパーゼ活性測定用基質が提供される。平衡状態の濃度分布とは、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率が一定温度条件下変化しない時点での1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの割合であれば特に限定されないが、具体的にはジグリセリド混合物に対して上記アルカリ処理を行い、その後4℃〜8℃で保存した状態が挙げられる。4〜8℃で保存した場合、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率は変化しない。冷蔵保存する時のpHは5から9.5範囲で使用することができるが、上限としてはpH9.5以下であることが好ましく、pH9.0以下であることがより好ましく、pH8.5以下であることがさらに好ましく、pH8.3以下であることが特に好ましく、pH8.1以下であることが最も好ましく、下限としてはpH5.0以上であることが好ましく、pH6.0以上であることがより好ましく、pH7.0以上であることがさらに好ましく、pH7.5以上であることが特に好ましく、pH7.8以上であることが最も好ましい。また冷蔵保存時のpHとして、pH8付近が好ましい別の態様もある。
なお、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの割合を測定する方法としては、薄層クロマトにより展開(展開溶媒;クロロホルム95:アセトン5)した後ヤトロスキャン法(検出はFID;フレームイオナイズスキャン法による)を用いて分析を行った。
リパーゼ反応に最適な基質濃度は0.25mM〜2mMの範囲であるが0.5mM程度が安定性およびリパーゼに対する特異性を考慮した場合特に好ましい。本発明で用いる原料ジグリセリドの濃度としては、下限値は0.25mM以上が好ましく、0.30mM以上がさらに好ましく、0.32mM以上が特に好ましく、0.34mM以上が最も好ましい。また、上限値は0.5mM以下が好ましく、0.4mM以下がさらに好ましく、0.38mM以下が特に好ましく、0.36mM以下が最も好ましい。特に、0.35mM程度が安定性および膵臓由来リパーゼに対する特異性を考慮した場合に好ましい。本発明で用いるジグリセリドの濃度としては、非膵臓由来リパーゼ反応に最適な濃度を選択すればよく、下限値は0.25mM以上が好ましく、0.30mM以上がさらに好ましく、0.32mM以上が特に好ましく、0.5mM以上が最も好ましい。また、上限値は2mM以下が好ましく、1mM以下がさらに好ましく、0.8mM以下が特に好ましく、0.6mM以下が最も好ましい。特に、0.5mM程度が安定性および膵臓由来リパーゼに対する特異性を考慮した場合に好ましい。一般的に酵素活性を測定するための基質としては酵素に対する親和性が高い方が、基質が保存中に減少した場合でも一定の酵素活性が得られる点で好ましい。この親和性を表す指標はKm値である。膵臓由来リパーゼの1,2−ジグリセリドに対するKm値は1.1×10−3Mであるのに対し、1,2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの比率が1:1の基質に対するKm値は2.3×10−3Mであり1,3−ジグリセリドを含有する基質の方が好ましい。さらには1,3−ジグリセリドを多く含有する基質の方が好ましい。
ジグリセリドにおける高級脂肪酸残基としての脂肪酸としては炭素数12以上の高級脂肪酸であればよく、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和高級脂肪酸やパルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和高級脂肪酸が挙げられる。これらの高級脂肪酸は1種類だけでもよく2種類の異なる高級脂肪酸の組み合わせであってもよいが、不飽和高級脂肪酸を含有するジグリセリドが基質として調製した際の溶液の澄明度が高くより好ましい。特に好ましいジグリセリドとしては1,2−ジオレイルグリセロール、1−パルミトイル−2−オレイルグリセロールを挙げることができる。これらのジグリセリドを得るには1,2−ジオレオルグリセリルコリン、1−パルミトイル−2−オレイルグリセリルコリン、卵黄由来精製レシチン、大豆由来精製レシチン等のリン脂質を予め調製し、これらのリン脂質にホスフォリパーゼCを作用させればよい。
本発明において、液状で長期安定性に優れたリパーゼ活性測定用組成物を得るために用いる非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレン(POE)高級アルコールエーテル、POE第2級アルコールエトキシレート、POEアルキルフェニルエーテル、POE脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル等から選択することができるが、溶解性、安定性の面でPOEアルキルフェニルエーテル系非イオン性界面活性剤が好ましい。POEアルキルフェニルエーテル系非イオン性界面活性剤としては、例えば、POEノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の使用濃度は、膵臓由来リパーゼの場合には膵臓由来リパーゼ活性を最大に発現させ且つ阻害しない濃度範囲、すなわち原料ジグリセリドに対して1.5〜2.5倍モル比の範囲で使用できるが特に2倍モル比が好ましい。非膵臓由来リパーゼの場合には、検体中に非膵臓由来リパーゼの活性を測定する上で影響を及ぼす成分が存在しない場合には通常の濃度設定でよく、具体的には、ジグリセリドに対して1.5倍モル比以上であればよい。検体中に非膵臓由来リパーゼの活性を測定する上で影響を及ぼす成分として膵臓由来リパーゼ等が存在する場合には、膵臓由来リパーゼのリパーゼ活性が発現しない濃度、且つ、非膵臓由来リパーゼのリパーゼ反応を阻害しない濃度に調整することが好ましい。該調整のためには、ジグリセリドに対する非イオン性界面活性剤のモル比として1.5〜2倍モル付近を回避すればよく、2.5倍モル以上が好ましく、3倍モル以上がより好ましく、4倍モル以上がさらに好ましく、5倍モル以上が特に好ましい。実作業の観点からの具体的な下限値としては、0.08%(重量%)以上が好ましく、0.10%以上がより好ましく、0.15%以上がさらに好ましく、0.20%以上が特に好ましい。また、実作業の観点からの具体的な上限値としては、2%(重量%)以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.3%以下が特に好ましい。好適な範囲の一例としては、0.15%〜2%、特に0.2〜0.3%が挙げられる。
本質的には、ジグリセリドと非イオン性界面活性剤のモル比によって形成される水に可溶性のミセル構造に着目し、ジグリセリド:非イオン性界面活性剤=1:2付近で形成されるミセル構造と異なるミセル構造を形成するのに必要な量以上の非イオン性界面活性剤を用いればよい。また、膵臓由来リパーゼ活性が発現せず非膵臓由来リパーゼ活性を発現する10〜30倍モル比の範囲で使用することができるが、特に15〜20倍モル比で使用することが好ましい。
本発明において、界面活性剤に溶解したジグリセリドの長期保存安定性を得るために用いるpH緩衝液としては、例えばトリス−塩酸、TES、HEPES、TAPSO、POPSO、Tricine、Bicine等のグッドの緩衝液やグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液等を使用することができるが、中でも、試薬ブランクが低いTricine、Bicineがより好ましく、Bicineが特に好ましい。使用する濃度はジグリセリド濃度と同倍モル〜2倍モル程度でよい。
界面活性剤に溶解したジグリセリドの長期保存安定性は、共存するpH緩衝液の濃度に依存するためpH緩衝液濃度の選択は極めて重要である。非イオン性界面活性剤に溶解したジグリセリドに添加するpH緩衝液の濃度が、例えば10mM以上の高濃度条件では、ジグリセリドは室温において不安定であり冷蔵保存を行ったときですら長期保存により加水分解を受ける。ジグリセリドの長期保存安定性を維持するためには0.5〜9mMの範囲で使用することが好ましい。より好ましくは2〜7mM、特に好ましくは3〜5mMである。従って、リパーゼ測定用組成物においては、ジグリセリド、界面活性剤を含有する溶液の長期安定性や、測定対象リパーゼの種類等を考慮して、必要に応じて試薬を分割する等の工夫を施すことが大変に好ましい。
本発明のリパーゼ活性測定用組成物は下記の6つの形態がある。
A)1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記〔A−1〕又は〔A−2〕記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される。
前述したようにリパーゼ基質のジグリセリドは低濃度の緩衝液で使用することが好ましいが、基質を含有しない方の試薬の緩衝液の濃度は自由に選択することができる。高濃度のpH緩衝液はリパーゼ反応の再現性を確保するためには必須である。使用する濃度の下限値としては、50mM以上が好ましく、100mM以上がより好ましく、150mM以上が更に好ましく、180mM以上が特に好ましい。また上限値としては、500mM以下が好ましく、300mM以下がより好ましく、250mM以下が更に好ましく、220mM以下が特に好ましい。200mM付近が最も好ましい。
緩衝液のpHは膵臓由来リパーゼの場合には最適pHは7.8〜8.1であり、非膵臓由来リパーゼの最適pHは7.7〜8.3であり、このpH範囲にpH緩衝能のある緩衝液、例えばトリスー塩酸、TES、HEPES、TAPSO、POPSO、Tricine、Bicine等のグッドの緩衝液を使用することができるが、中でも、試薬ブランクが低いTricine、Bicineがより好ましく、Bicineが特に好ましい。
B)少なくとも低濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、前記記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度の緩衝液を含有する試薬2;から構成される。尚、組成物の中のモノグリセリドリパーゼ、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼその他の構成成分の最良の形態は後記の反応式3で詳細に説明する。
C)1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NADまたは酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される。
D)1)少なくとも低濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NADまたは酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、前記記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬1と;2)少なくともを高濃度の緩衝液を含有する試薬2;から構成される。尚、本発明で使用する酵素のモノグリセリドリパーゼ、グリセロキナーゼ、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼの最良の形態については後記の反応式2で詳細に説明する。
E)1)少なくとも高濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも前記記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される。
F)1)少なくとも低濃度のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、前記記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬1と;2)少なくとも高濃度の緩衝液を含有する試薬2;から構成される。尚、E)、F)で使用する酵素のモノグリセリドリパーゼ、グリセロキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼの最良の形態については後記の反応式1で詳細に説明する。
ジグリセリドを基質にした際のリパーゼ反応の生成物は遊離脂肪酸とモノグリセリドである。遊離脂肪酸もしくはモノグリセリドを酵素反応を共役させて分光学的手法でこれらの生成速度を測定することによりリパーゼ活性を測定することができるが遊離脂肪酸は血中に存在しており特にヘパリン静注後又は透析後の血清中では高濃度になる。このためモノグリセリドを酵素法により測定する方が好ましい。該モノグリセリドを定量する際は、関与する共役酵素を用いた酵素法を用いて測定するのが好ましい。
モノグリセリドを酵素法により定量する方法として下記反応式に示す3つの方法がある。
下記反応式中MGLPはモノグリセリドリパーゼ、GKはグリセロールキナーゼ、ATPはアデノシン−3−リン酸、ADPはアデノシン−2−リン酸、PEPはホスフォエノールピルビン酸、NADHは還元型βジホスフォピリジンヌクレオチド、NADは酸化型βジホスフォピリジンヌクレオチド、ADP−HKはADP依存性のヘキソキナーゼ、G6PDHはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼである。GPOはグリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、PODはペルオキシダーゼ、4−AAは4−アミノアンチピリン、TOOSはエチル−N−(2−ヒドロオキシ−3−スルフォプロピル)−m−トルイジンナトリウムである。
Figure 0004836196
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Figure 0004836196
まず反応式1の場合について述べる。
本発明で用いるモノグリセリドリパーゼとしては、ジグリセリドに作用せずモノグリセリドに特異的に作用する酵素であれば特に起源は問わないが安定供給の点で微生物由来酵素が好ましい。中でもバチルス属由来酵素が好ましい。リパーゼ反応における共役酵素として使用する濃度の下限値としては、0.5U/ml以上が好ましく、0.6U/ml以上がより好ましく、0.7U/ml以上がさらに好ましく、0.72U/ml以上が特に好ましく、0.74U/ml以上が大変に好ましい。上限値としては、5U/ml程度あれば充分であり、3U/ml以下が好ましく、1.13U/ml以下がより好ましく、1U/ml以下がさらに好ましく、0.8U/ml以下が特に好ましく、0.78U/ml以下が大変に好ましく、0.76U/ml以下が特に大変に好ましい。最も好ましいのは0.75U/ml付近である。
本発明で用いるグリセロキナーゼは特にその起源は問わないが安定性に優れた酵素の使用が好ましい。中でもフラボバクテリウム属由来酵素が好ましい。膵臓由来リパーゼ反応における共役酵素として使用する濃度は、下限値としては0.1U/ml以上が好ましく、0.15U/ml以上がより好ましく、0.18U/ml以上がさらに好ましく、0.2U/ml以上が特に好ましい。また、上限値としては2U/ml程度あれば充分であり、1U/ml以下が好ましく、0.5U/ml以下がより好ましく、0.3U/ml以下がさらに好ましく、0.22U/ml以下が特に好ましい。最も好ましいのは0.2U/ml付近である。
本発明で用いるピルビン酸キナーゼは、臨床検査試薬の原料として汎用される動物筋肉由来酵素を使用することができる。膵臓由来リパーゼ反応における共役酵素としてのピルビン酸キナーゼは0.5〜10U/ml程度あればよく、1〜2U/mlの範囲が好ましく、0.8〜1.2U/mlの範囲が特に好ましい。最も好ましいのは1U/ml付近である。ピルビン酸キナーゼの基質である、本発明で用いるホスフォエノールピルビン酸は0.3〜2mMの範囲、好ましくは0.3〜0.4mM、或いは0.48〜0.52mMで使用することができるが好ましくは0.5mM付近である。
本発明で用いるラクテートデヒドロゲナーゼは、その起源は特に問わないが安定性に優れたトリ心臓由来酵素の使用がより好ましい。膵臓由来リパーゼ反応における共役酵素としての本酵素は0.15〜1.5U/ml程度あればよく、好ましくは0.3〜0.4U/ml、或いは0.28〜0.32U/mlの範囲が挙げられる。好ましくは0.3U/ml付近である。
ラクテートデヒドロゲナーゼの基質である、本発明で用いる還元型NADは0.2〜0.4 mMの範囲が好ましく、0.2〜0.35mMの範囲がさらに好ましく、0.28〜0.32mMの範囲が特に好ましい。好ましくは0.3mM付近である。0.3〜0.4 mMの範囲が好ましい態様もある。
グリセロキナーゼおよびピルビン酸キナーゼの活性化剤であるマグネシウムイオンを、本発明の組成物にさらに添加した組成物も大変に好ましい。該マグネシウムイオンは1.5〜4mMの範囲、好ましくは1.8〜2.2mMの範囲で使用することができるが、特に好ましくは2mM付近である。マグネシウムイオンは塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等の塩を使用することができるが中でも硫酸マグネシウムが特に好ましい。
リパーゼ反応のpHを一定に保つために緩衝液を使用することは大変に好ましい。膵臓由来リパーゼの場合はpH7.7〜8.1、非膵臓由来リパーゼの最適pHは7.7〜8.3であり、このpH範囲に緩衝能のある緩衝液、例えばトリス−塩酸、TES、HEPES、TAPSO、POPSO、Tricine、Bicine等のグッドの緩衝液を使用することができるが、中でも、試薬ブランクが低いTricine、Bicineがより好ましく、Bicineが特に好ましい。使用する濃度の下限値としては、50mM以上が好ましく、100mM以上がより好ましく、150mM以上が更に好ましく、180mM以上が特に好ましい。また上限値としては、500mM以下が好ましく、300mM以下がより好ましく、250mM以下が更に好ましく、220mM以下が特に好ましい。200mM付近が最も好ましい。
次に反応式2について述べる。
反応式2を用いるリパーゼの測定試薬組成の中で緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、グリセロールキナーゼおよびATPは、前記反応式1の内容と同一である。グリセロールキナーゼの生成物のひとつであるADPは、グルコース存在下ADP依存性へキソキナーゼ(ADP-HK)によりグルコース−6−リン酸に変換できる。ADP-HKは特にその起源は問わないが、安定供給の点で微生物由来が好ましい。中でも保存安定性に優れたパイロコッカス属やサーモコッカス属等の高度好温菌由来酵素が特に好ましい。ADP-HKの基質であるグルコースは2〜50mMの範囲で使用することができるが中でも10〜30mM特に15〜25mMが特に好ましい。リパーゼ反応の共役酵素としての本酵素の濃度は0.2〜3U/mlの範囲で使用できるが0.4〜1U/mlが特に好ましい。本酵素の生成物であるグルコース−6−リン酸は酸化型NADまたはNADP存在下でグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼによって還元型NADまたはNADPに変換できる。グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼは特にその起源は問わないが安定供給の点で微生物由来酵素が好ましい。なかでもロイコノストック属由来酵素が特に好ましい。リパーゼ反応の共役酵素としての本酵素の濃度は0.2〜3U/mlの範囲で使用できるが0.4〜1U/mlが特に好ましい。
次に反応式3について述べる。
反応式1を用いるリパーゼの測定試薬組成の中で緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、グリセロールキナーゼおよびATPは前記反応式1の内容と同一である。グリセロールキナーゼの生成物のひとつであるグリセロール−3−リン酸はこれを特異的に酸化するグリセロ−3−リン酸オキシダーゼにより過酸化水素に変換することができる。グリセロ−3−リン酸オキシダーゼは特にその起源は問わないが、安定供給の点で微生物由来が好ましい。中でも乳酸菌由来酵素が特に好ましい。膵臓由来リパーゼ反応の共役酵素としての本酵素の濃度は2〜50U/mlの範囲で使用できるが5〜20U/mlが特に好ましい。グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ反応で生成される過酸化水素はペルオキシダーゼとトリンダー試薬の色原体とカップラーとの酸化縮合により色素を生成する。トリンダー型試薬の色原体としては、フェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等が使用可能であり、具体例としてN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,4−ジクロロフェノール、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS )、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−アニリン(HALPS)(以上同人化学研究所社製)等が挙げられる。膵臓由来リパーゼ活性測定試薬中での濃度は0.02〜0.5%の範囲で使用することができるが0.05〜0.1%の範囲が特に好ましい。カップラーとしては4−アミノアンチピリン若しくは3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラーを使用することができる。膵臓由来リパーゼ活性測定試薬中での濃度は0.02〜0.5%の範囲で使用することができるが0.05〜0.1%の範囲が特に好ましい。
また過酸化水素はパーオキシダーゼ存在下ロイコ型試薬を用いて発色することができる。この試薬の具体例としては、o−ジアニシジン、o−トリジン、3,3−ジアミノベンジジン、3,3,5,5−テトラメチルベンジジン;以上同人化学研究所社製、N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67);以上和光純薬社製等が挙げられる。
本発明で使用するペルオキシダーゼはその起源は特に問わないが、既に安定供給されている西洋わさび大根由来の酵素が特に好ましい。リパーゼ反応の共役酵素としては2〜50U/mlの範囲で使用できるが5〜20U/mlが特に好ましい。
また過酸化水素は蛍光法、化学発光を利用した分析法、アルコールから生じたアルデヒドを定量する方法、又は電極法でも定量することができる。蛍光法には、酸化によって蛍光を発する化合物、例えばホモバニリン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフルオレスシン誘導体等を、化学発光法には、触媒としてルミノール、ルシゲニン、イソルミノール、ピロガロール等を用いることが出来る。カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒドを定量する方法としては、ハンチ反応を用いる方法や、MBTHとの縮合反応により発色させる方法、若しくはアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いる方法等が挙げられる。
また過酸化水素を電極を用いて測定する場合、電極には、過酸化水素との間で電子を授受する事の出来る材料である限り特に制限されないが、例えば白金、金若しくは銀等が挙げられ、電極測定方法としてはアンペロメトリー、ポテンショメトリー、クーロメトリー等の、公知の方法を用いることが出来、さらにオキシダーゼまたは基質と電極との間の反応に電子伝達体を介在させ、得られる酸化、還元電流或いはその電気量を測定しても良い。電子伝達体としては電子伝達機能を有する任意の物質が使用可能であり、例えばフェロセン誘導体、キノン誘導体等の物質が挙げられる。またオキシダーゼ反応により生成する過酸化水素と電極の間に電子伝達体を介在させ得られる酸化、還元電流またはその電気量を測定しても良い。
本発明のリパーゼ活性測定用組成物は、全てを含有する1つの試薬として用いてもよいが、試薬1(R1)と試薬2(R2)の2つに分けて使用することが好ましい。反応式1の場合、R1としては、例えば、ATP、ホスフォエノールピルビン酸、モノグリセリドリパーゼ、グリセロキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬が好ましく、さらにカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン、グッドの緩衝液等を含有してもよい。反応式1〜3のR1あるいはR2には共通してリパーゼの基質であるジグリセリドを非イオン性界面活性剤に溶解させて使用する。ジグリセリドを変性させないで水溶液状で長期保存安定性を確保するためにはR2中の緩衝液濃度が極めて重要である。緩衝液の種類としては酢酸バッファー、クエン酸バッファー、トリス塩酸バッファー、MES、Bis-Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPS等のグッドのバッファーの中から選択することができる。その濃度は0.5〜10mMの範囲で使用することができるが好ましくは1〜5mM、特に好ましくは1.5〜2mMである。またR2には膵臓由来リパーゼを測定する際には胆汁酸又はその塩、還元型NADを含有する試薬が好ましく、さらにグッドの緩衝液等を含有してもよい。胆汁酸としては、デオキコール酸、タウロデオキシコール酸、又はグリコデオキシコール酸が好ましく、デオキシコール酸がより好ましい。これらのタウロデオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、及びデオキシコール酸についてはナトリウム塩の方が水への溶解度が高いため特に好ましい。胆汁酸の塩としてはナトリウム塩に限定されることはなく、カリウム塩等も好ましい例として挙げられる。
血清等の生体成分中には遊離のグリセロールが存在することがあり正誤差を生じる危険性が考えられるため検体中の遊離のグリセロールを消去することが好ましい。消去する方法は反応式1、2と反応式3とでは異なる。反応式1、2を利用する場合R1に遊離のグリセロールを消去する目的でグリセロールに作用する酸化酵素(グリセロールオキシダーゼ)を添加し遊離のグリセロールをアルデヒドに変換することで遊離のグリセロールの影響を回避することができる。この際にはグリセロールキナーゼ、ATPのどちらかまたは両方をR2に添加すればよい。該グリセロールオキシダーゼとしては、アスペルギルス属、ノイロスポラ属、ペニシリウム属由来のグリセロールオキシダーゼ等の公知のグリセロールオキシダーゼを使用することができる(アグリカルチャル・バイオロジカル・ケミストリー 44巻、2号、399〜406頁、1980年を参照)。
反応式3を利用する場合のグリセロールは、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、カタラーゼあるいはパーオキシダーゼとフェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等のトリンダー試薬の色原体とを含有する試薬1(R1)に被験液を添加し予め加温することでこの成分を消去することができる。トリンダー型試薬の色原体としては、反応式1で説明した色原体が挙げられる。
試薬2(R2)は4アミノアンチピリン若しくは3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラーからなる成分で構成される。R1とR2が混合されると同時にグリセロ−3−リン酸オキシダーゼ反応で生成される過酸化水素はトリンダー試薬の色原体とカップラーとの酸化縮合により色素を生成する。この色素の吸光度を分光学的に測定することができる。
反応式1、2および反応式3を使用してリパーゼ活性測定試薬を調製する際には必要に応じて酵素の安定化剤、例えばシュクロース、マンニトール、ソルビトール、マルトース、ラクトース、サイクロデキストリン、トレハロース等の糖類、EDTA等のキレート剤を適宜添加してもよい。添加する糖類の濃度は1〜20%の範囲で使用できるが好ましくは3〜15%特に好ましくは4〜8%である。キレート剤を使用する場合にはその濃度範囲は0.02mM〜1mMであり、好ましくは0.05mM〜0.5mM、特に好ましくは0.1〜0.3mMである。更に各種の防腐剤、例えばアジ化ナトリウムの0.01〜10%、好適には0.05〜1%を適宜添加してもよい。さらに必要に応じて、3つ以上の試薬に分割して使用することも可能である。
また、本発明のリパーゼの測定用試薬は溶液状で安定であるため凍結乾燥法での製剤化が必要でなく試薬を取り扱う上では極めて簡便で操作性に優れている。またこれらのリパーゼ活性測定方法は、正確さや再現性に優れている。具体的には、反応式1の場合にはリパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ還元型NADの吸光度の減少速度を測定する、リパーゼ活性の測定方法である。還元型NADの吸光度を測定する際の波長としては、試料中の膵臓由来リパーゼ活性を正確に測定できる波長であれば何を用いてもよい(ある1波長でもよいし、ある範囲の波長の積算でもよい)が、例えば、300〜400nmから選択することが好ましく、320〜360nmから選択することがより好ましく、330〜350nmから選択することがさらに好ましく、340nm付近を選択することが大変に好ましい。340nm付近とは例えば、340nmに設定し、その誤差範囲が10nm以下であることが好適な例として挙げられ、その誤差範囲が5nm以下であることがより好適な例として挙げられ、その誤差範囲が3nm以下であることがさらに好適な例として挙げられ、その誤差範囲が1nm以下であることが大変に好適な例として挙げられる。
反応式2の場合にはリパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでグルコース存在下にADP依存性へキソキナーゼでグルコース−6−リン酸に変換し、更に酸化型NADまたは酸化型NADP存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させ還元型NADまたは還元型NADPの吸光度の増加速度を測定する、リパーゼ活性の測定方法である。還元型NADの吸光度を測定する際の波長としては、試料中の膵臓由来リパーゼ活性を正確に測定できる波長であれば何を用いてもよい(ある1波長でもよいし、ある範囲の波長の積算でもよい)が、例えば、300〜400nmから選択することが好ましく、320〜360nmから選択することがより好ましく、330〜350nmから選択することがさらに好ましく、340nm付近を選択することが大変に好ましい。340nm付近とは例えば、340nmに設定し、その誤差範囲が10nm以下であることが好適な例として挙げられ、その誤差範囲が5nm以下であることがより好適な例として挙げられ、その誤差範囲が3nm以下であることがさらに好適な例として挙げられ、その誤差範囲が1nm以下であることが大変に好適な例として挙げられる。
反応式3の場合にはリパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、次いでこれをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いで生成される過酸化水素をペルオキシダーゼとトリンダー試薬、カップラー試薬とにより可視部の波長をもつキノン色素に変換できる。波長は使用するトリンダー試薬によって異なるが540〜700nm付近の波長を選択すればよい。生成される色素の増加速度をレート法によって測定してもよく、または一定時間反応を行った後ラウリル硫酸ナトリウムのような酵素変性剤で反応を停止した後540〜700nm付近の波長でその吸光度を測定してもよい。
ヘパリン静注後又は透析中のヘパリン使用中において、血中に出現するリパーゼは肝臓由来のリパーゼとリポプロテインリパーゼであり上記のリパーゼ測定用組成物ではこれらの両者の酵素を同時に測定されることになるが、どちらか一方のリパーゼを特異的に測定する必要がある場合には他方のリパーゼを特異的に阻害する阻害剤や抗体を用いてリパーゼ特異性を出すこともできる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
[実施例1−1]リパーゼ基質ジグリセリドの調製
卵黄レシチン由来ホスファチジルコリン(旭化成ファーマ社製)1.5gを10mlのクロロホルムに溶解する。400UnitのホスフォリパーゼC(旭化成ファーマ社製)を溶解した5mlの0.5MPIPES−NaOH緩衝液(pH7.5)を加え37℃で攪拌しながら加水分解反応を行った。2時間後溶媒層と水槽とを分離しクロロホルム層を集め、予めクロロホルムに懸濁したシリカゲルカラム(3ml)に通しクロロホルムで展開しジグリセリド画分を得た。
ロータリーエバポレーターでクロロホルムを完全に留去しオイル状のジグリセリド1.1gを得た。
[実施例1−2]前記反応式2における膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物の調製
1)試薬1(R1)の調製
200mMBicine-NaOH(pH8.0),2mM塩化カルシウム、2mM硫酸マグネシウム、20mM塩化アンモニウム、3mMアデノシン3リン酸、30mMグルコース、3mMNADP、モノグリセリドリパーゼ(旭化成ファーマ社製)1125U/L、グリセロキナーゼ(旭化成ファーマ社製)600U/L、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(東洋紡社製)600U/L、ADP−HK(旭化成ファーマ社製)900U/L、コリパーゼ(旭化成ファーマ社製)15000U/Lから成る試薬を調製した。
2)試薬2(R2)の調製
実施例1−1で得たジグリセリドを一定量秤量し、0.4mMになるように0.04%POEノニルフェニルエーテル(1.5mM MES−NaOH緩衝液、pH5.5)を一定量加え、37℃で30分間攪拌して完全に澄明な基質溶液を得た。この基質溶液にデオキシコール酸を8mMになるように添加し溶解して調製した。
[実施例1−3]前記反応3における非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物の調製
1)試薬1(R1)の調製
300mMトリス塩酸バッファー(pH8.5),2mM塩化カルシウム、3mM硫酸マグネシウム、アデノシン−3−リン酸3mM、モノグリセリドリパーゼ(旭化成ファーマ社製)1125U/L、グリセロキナーゼ(旭化成ファーマ社製)600U/L、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ社製)30000U/L、ペルオキシダーゼ(シグマ社)5000U/L、0.2%TOOSから構成される試薬を調製した。
2)試薬2(R2)の調製
実施例1−2記載の方法で調製したジグリセリド基質液(ジグリセリド濃度が1.5mM、POE−ノニルフェニルエーテル濃度が0.3%)1mM Bicine-NaOH(pH8.0)、0.2%4−アミノアンチピリンで構成される試薬を調製した。
[実施例1−4]リパーゼ基質ジグリセリドの保存安定性
実施例1−1で得たジグリセリドを一定量秤量し、ジグリセリド濃度が0.6mMになるように0.06%POEノニルフェニルエーテルを含有する0.5〜200mMのBicine-NaOH緩衝液(pH8)を添加し37℃で3日間加温し、残存するジグリセリド濃度を酵素法により測定した(防腐剤として0.1%アジ化ナトリウムを使用)。
結果を表1に示した。表1に示した結果から、緩衝液濃度が高くなるとジグリセリド基質残存率が低下することが明らかである。
Figure 0004836196
[実施例1−5]膵臓由来リパーゼ活性測定
実施例1−2に示した組成の試薬1(R1)1000マイクロリットルに検体0〜50マイクロリットルの酵素液を加え、37℃で3分間反応を行った後、実施例1−2に示した組成の試薬2(R2)500マイクロリットルを添加し37℃で反応をスタートさせた。340nmにおける吸光度を連続的に測定した。酵素量に対する吸光度変化の直線性を図1に示した。
[実施例1−6]非膵臓由来リパーゼ活性測定
実施例1−3に示した組成の試薬1(R1)1000マイクロリットルにヘパリンを静注後15分後の血漿検体を添加し37℃で5分間保温した。その後R2を500マイクロリットル添加し発色反応をスタートさせ550nmにおける吸光度を連続的に測定した。酵素量に対する吸光度変化の直線性を図2に示した。
[実施例2−1]非膵臓由来リパーゼ反応液用基質ジグリセリドの調製
卵黄レシチン由来ホスファチジルコリン(旭化成ファーマ社製)1.5gを10mlのクロロホルムに溶解した。400UnitのホスフォリパーゼC(旭化成ファーマ社製)を溶解した5mlの0.5M PIPES−NaOH緩衝液(pH7.5)を加え37℃で攪拌しながら加水分解反応を行った。2時間後、溶媒層と水層とを分離し溶媒層を集め、予めクロロホルムに懸濁して調製した湿式のシリカゲルカラム(3ml)にチャージし、クロロホルムで展開して、標題のジグリセリド画分を得た。
[実施例2−2−1]非膵臓由来リパーゼ反応用基質溶液の調製
実施例2−1で得たジグリセリドのクロロホルム溶液を一定量とり、減圧下で溶媒を完全に溜去した。10mMになるように2%POE−ノニルフェニルエーテル(10mM MES−NaOH緩衝液、pH5.5)を一定量加え、37℃で30分間攪拌して、標題の基質溶液を完全に澄明な基質溶液として得た。本基質溶液は冷蔵(約4℃)で保存した。
[実施例2−2−2]アルカリ処理を施した非膵臓由来リパーゼ反応用基質溶液の調製
実施例2−2−1において、pHが5.5の緩衝液を用いる代わりにpHが7.97である緩衝液(トリス−塩酸)を用いる以外は実施例2−2−1と同様に行なって、標題の基質溶液を完全に澄明な基質溶液として得た。本基質溶液は冷蔵(約4℃)で保存した。
[実施例2−3]反応式1を共役酵素系とした例
非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物の調製
標題の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物として、試薬1(R1)と試薬2(R2)からなる試薬を調製した。
1)試薬1(R1)の調製
300mM Bicine-NaOH(pH8.0)、実施例2記載の方法で調製したジグリセリド基質液(ジグリセリド濃度が1.5mM、POE−ノニルフェニルエーテル濃度が0.3%)、3mM硫酸マグネシウム、3mMアデノシン−3−リン酸、1.5mMホスフォエノールピルビン酸、モノグリセリドリパーゼ(旭化成ファーマ社製)1125U/L、グリセロ−ルキナーゼ(旭化成ファーマ社製300U/L、ピルビン酸キナーゼ(オリエンタル酵母社製)3000U/L、ラクテートデヒドロゲナーゼ(オリエンタル酵母社製)600U/Lから構成される試薬を調製した。
2)試薬2(R2)の調製
10mM Bicine-NaOH(pH8.5)、1mM還元型NADで構成される試薬を調製した。
[実施例2−4]反応式3を共役酵素系とした例
非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物の調製
標題の非膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物として、試薬1(R1)と試薬2(R2)からなる試薬を調製した。
1)試薬1(R1)の調製
300mM Bicine-NaOH(pH8.0)、実施例2−2−1及び2−2−2に記載の方法で調製したジグリセリド基質液(ジグリセリド濃度が1.5mM、POE−ノニルフェニルエーテル濃度が0.3%)、3mM硫酸マグネシウム、30mM塩化アンモニウム、アデノシン−3−リン酸3mM、モノグリセリドリパーゼ(旭化成ファーマ社製)1125U/L、グリセロ−ルキナーゼ(旭化成ファーマ社製)300U/L、グリセロリン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ社製)15U/ml、ペルオキシダーゼ(シグマ社)1500U/L、0.2%TOOSから構成される試薬を調製した。
2)試薬2(R2)の調製
10mM Bicine-NaOH(pH8.0)、0.2%4−アミノアンチピリンで構成される試薬を調製した。
[実施例2−5]非膵臓由来リパーゼ活性測定
実施例2−4に示した組成の試薬1(R1)800マイクロリットルに検体0〜50マイクロリットルの酵素液を加え、37℃で3分間反応を行った後、実施例2−4に示した組成の試薬2(R2)400マイクロリットルを添加し37℃で正確に5分間発色反応を行い0.5%SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)500マイクロリットルを添加し反応を止めた後、550nmにおける吸光度を測定した。
酵素量(非膵臓由来リパーゼ量)に対する吸光度変化の希釈直線性を図3に示した。
[実施例2−6]非イオン性界面活性剤の膵臓由来リパーゼ、非膵臓由来リパーゼ活性への影響
膵臓由来リパーゼとしては日本臨床検査標準協議会で認証されたERMロット1を用い、非膵臓由来リパーゼとしてはヘパリンを静注後の血漿からヘパリンセファロースカラムで精製したリパーゼ画分(0.8MNaCl溶出)を用いて非イオン性界面活性剤の影響について調べた。結果を図4に示した。非膵臓由来リパーゼ活性が最大に活性化を受ける0.2%の非イオン性界面活性剤領域では、膵臓由来リパーゼ活性は全くリパーゼ活性は発現しないことがわかった。
[実施例3−1]膵臓由来リパーゼ反応液用基質ジグリセリドの調製
卵黄由来の精製ホスファチジルコリン(旭化成ファーマ社製)1.5gを10mlのクロロホルムに溶解した。400UnitのホスフォリパーゼC(旭化成ファーマ社製)を溶解した5mlの0.5M PIPES−NaOH緩衝液(pH7.5)を加え37℃で攪拌しながら加水分解反応を行った。2時間後、溶媒層と水層とを分離し溶媒層を集め、予めクロロホルムに懸濁して調製した湿式のシリカゲルカラム(3ml)にチャージし、クロロホルムで展開して、標題のジグリセリド画分を得た。
[実施例3−2]膵臓由来リパーゼ反応用基質溶液の調製
実施例3−1で得たジグリセリドのクロロホルム溶液を一定量とり、減圧下で溶媒を完全に溜去した。7mMになるように0.7%POE−ノニルフェニルエーテル(15mMの各種緩衝液)を一定量加え、各種pH条件下、37℃で10時間加温して標題の基質溶液を得た。本基質溶液は冷蔵(約4℃)で保存した。
[実施例3−3]本基質を用いた膵臓由来リパーゼ活性の測定実験
得られた基質中の1,3−DG生成量と、該基質を用いて実施例3−5に記載の組成(反応式1)の試薬を用い、実施例3−5に記載の方法により膵臓由来リパーゼ活性を測定した結果を表2に示す。
表2に示されるとおり、pHが7以下では1,3−ジグリセリドは生成せず、膵臓由来リパーゼの活性値も低かった。
Figure 0004836196
[実施例3−4]本基質の調製方法
実施例3−1で得たジグリセリドのクロロホルム溶液を一定量とり、減圧下で溶媒を完全に溜去した。7mMになるように0.7%POE−ノニルフェニルエーテル(表3に記載した2.5mMのpH緩衝液)を一定量加え、37℃で1時間および4時間静置加温した。ヤトロスキャン法により1,3-ジグリセリドの含量を分析した。表3に示される通りpHが10以上では1時間で平衡に達した。pH7.88からpH9.33の範囲では加温時間と共に1,3-ジグリセリドの含量が増加した。
Figure 0004836196
[実施例3−5]本基質の安定性実験
従来の調製法、即ち、15mMのMES−NaOH(pH5.5)、0.053%POE−ノニルフェニルエーテルを含有する溶液で可溶化した1.05mM卵黄ホスファチジルコリン由来ジグリセリドで1時間加温処理した膵臓由来リパーゼ基質液(pH5.5)と実施例3−2のpH7.97の条件で調製した基質溶液を原料にして実施例3−7に記載の方法で調製した(反応式3)の試薬を15℃で試薬を保存した。実施例3−7に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定法に従い測定した結果を表4に示す。
表4に示されるとおり、本基質の活性は従来のものと比べ非常に安定していた。
Figure 0004836196
[実施例3−6]反応式1を共役酵素系とした例
(1)膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物の調製
標題の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物として、試薬1(R1)と試薬2(R2)からなる試薬を調製した。
1)試薬1(R1)の調製
300mM Bicine-NaOH(pH8.0)、15mMのBicine-NaOH(pH8.0)、0.053%POE−ノニルフェニルエーテルを含有する溶液で可溶化した1.05mM卵黄ホスファチジルコリン由来ジグリセリドを37℃で10時間加温処理した膵臓由来リパーゼ基質、3mM硫酸マグネシウム、塩化アンモニウム30mM、コリパーゼ(旭化成ファーマ社製)4500U/L、アデノシン−3−リン酸3mM、ホスフォエノールピルビン酸1.5mM、モノグリセリドリパーゼ(旭化成ファーマ社製)1125U/L、グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ社製)300U/L、ピルビン酸キナーゼ(オリエンタル酵母社製)3000U/L、ラクテートデヒドロゲナーゼ(オリエンタル酵母社製)600U/Lから構成される試薬を調製した。
2)試薬2(R2)の調製
10mM Bicine-NaOH(pH8.5)、21mMデオキシコール酸ナトリウム、1mM還元型NADで構成される試薬を調製した。
(2)自動分析機器での膵臓由来リパーゼ活性測定
(1)に示した組成の試薬1(R1)200マイクロリットルに検体15マイクロリットル(日本臨床検査標準協議会で認証されたERMロット1)を加え37℃で5分経過した後、試薬2(R2)100マイクロリットルを添加し37℃で反応を行い340nmにおける吸光度(Abs)を連続的に測定した。
R2添加後3分から5分の吸光度変化量から次式により膵臓由来リパーゼ活性を求めた。反応のタイムコースを図5、希釈直線性を図6に示す。
リパーゼ活性(U/L)=340nmにおける1分間あたりの吸光度変化x1/6.3x315/15x1000
[実施例3−7]反応式3を共役酵素系とした例
(1)膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物の調製
標題の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物として、試薬1(R1)と試薬2(R2)からなる試薬を調製した。
1)試薬1(R1)の調製
300mM Bicine-NaOH(pH8.0),15mMのBicine-NaOH(pH8.0)、0.053%POE−ノニルフェニルエーテルを含有する溶液で可溶化した1.05mM卵黄ホスファチジルコリン由来ジグリセリドを37℃で10時間加温処理した膵臓由来リパーゼ基質、3mM硫酸マグネシウム、30mM塩化アンモニウム、コリパーゼ(旭化成ファーマ社製)4500U/L、アデノシン−3−リン酸3mM、モノグリセリドリパーゼ(旭化成ファーマ社製)1125U/L、グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ社製)300U/L、グリセロリン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ社製)15U/ml、ペルオキシダーゼ(シグマ社)1500U/L、0.2%TOOSから構成される試薬を調製した。
2)試薬2(R2)の調製
10mM Bicine-NaOH(pH8.0)、21mMデオキシコール酸ナトリウム、0.2%4−アミノアンチピリンで構成される試薬を調製した。
(2)マニュアルでの膵臓由来リパーゼ活性測定
(1)に示した組成の試薬1(R1)800マイクロリットルに検体50マイクロリットル(日本臨床検査標準協議会で認証されたERMロット1)を加え、37℃で3分間反応を行った後、実施例3−6に示した組成の試薬2(R2)400マイクロリットルを添加し37℃で正確に5分間発色反応を行い0.5%SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)500マイクロリットルを添加し反応を止めた後、550nmにおける吸光度を測定し、希釈直線性を図7に示す。
本発明のリパーゼ活性測定用組成物は、正確なリパーゼ活性を測定することができ、血中のリパーゼ活性の診断薬用として好適である。

Claims (26)

  1. 0.5−9mMかつpH5−9.5の範囲のpH緩衝液、及び非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液。
  2. ジグリセリドが1,3−ジグリセリド及び1,2−ジグリセリド混合物である請求項1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液。
  3. pH5〜9.5の範囲のpH緩衝液が、グッドの緩衝液又はグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液である請求項1または2に記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液。
  4. グッドの緩衝液が、トリス−塩酸、TES、HEPES、TAPSO、POPSO、Tricine、若しくはBicineである請求項3記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液。
  5. グッドの緩衝液が、MESである請求項3記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液。
  6. グッドの緩衝液が、PIPESである請求項3記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液。
  7. 請求項1項〜6項のいずれか1項に記載のジグリセリドからリパーゼ反応により生成されるモノグリセリドを、遊離のグリセロールを経由してグリセロール−3−リン酸に変換する、モノグリセリドリパーゼ、及びグリセロキナーゼを含有することを特徴とするリパーゼ活性測定用組成物。
  8. 1)少なくとも、50−500mMかつpH7.7−8.3のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、及びペルオキシダーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも請求項1項〜6項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物。
  9. 1)少なくとも、50−500mMかつpH7.7−8.3のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NAD又は酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも請求項1項〜6項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物。
  10. 1)少なくとも、50−500mMかつpH7.7−8.3のpH緩衝液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、及びラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも請求項1項〜6項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液を含有する試薬2;から構成される肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物。
  11. 非イオン性界面活性剤の濃度が、ジグリセリドに対する非イオン界面活性剤のモル比として3.0倍モル以上の濃度である、請求項8項〜10項のいずれか1項記載の肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物。
  12. 試薬1及び/又は試薬2が液状である、請求項8項〜11項のいずれか1項記載の肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物。
  13. 1)少なくとも請求項1項〜6項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、及びペルオキシダーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも、50−500mMかつpH7.8−8.1の緩衝液及び胆汁酸又はその塩を含有する試薬2;から構成される膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物。
  14. 1)少なくとも請求項1項〜6項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、酸化型NAD又は酸化型NADP、グルコース、ADP−ヘキソキナーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも、50−500mMかつpH7.8−8.1の緩衝液及び胆汁酸又はその塩を含有する試薬2;から構成される膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物。
  15. 1)少なくとも請求項1項〜6項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定用ジグリセリド溶液、モノグリセリドリパーゼ、ATP、グリセロキナーゼ、還元型NAD、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、及びラクテートデヒドロゲナーゼを含有する試薬1と;2)少なくとも、50−500mMかつpH7.8−8.1の緩衝液及び胆汁酸又はその塩を含有する試薬2;から構成される膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物。
  16. 非イオン性界面活性剤の濃度が、ジグリセリドに対する非イオン界面活性剤のモル比として1.5〜2.5倍モル比の濃度である、請求項13項〜15項のいずれか1項記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物。
  17. 試薬1及び/又は試薬2が液状である、請求項13項〜16項のいずれか1項記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物。
  18. 請求項項に記載の肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い、
    540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定方法。
  19. 請求項項に記載の肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでグルコース存在下にADP−へキソキナーゼでグルコース−6−リン酸に変換し、更に酸化型NAD又はNADP存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NAD又は還元型NADPの340nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定方法。
  20. 請求項10項に記載の肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NADの340nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定する肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定方法。
  21. リパーゼ活性測定用組成物における非イオン界面活性剤の濃度が、ジグリセリドに対する非イオン界面活性剤のモル比として3.0倍モル以上の濃度である、請求項18項〜20項のいずれか1項記載の肝臓由来リパーゼ及び/又はリポプロテインリパーゼ活性測定方法。
  22. 請求項13項に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりグリセロール−3−リン酸に変換し、次いでグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素に変換し、更に過酸化水素発色色素存在下にペルオキシダーゼを作用させ発色反応を行い、540〜700nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法。
  23. 請求項14項に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでグルコース存在下にADP−へキソキナーゼでグルコース−6−リン酸に変換し、更に酸化型NAD又はNADP存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NAD又は還元型NADPの340nm付近の波長における吸光度の増加速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法。
  24. 請求項15項に記載の膵臓由来リパーゼ活性測定用組成物を用いた、リパーゼ反応でジグリセリドから遊離されるモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼの作用によりグリセロールに変換し、これをATP存在下にグリセロールキナーゼによりADPに変換し、次いでホスフォエノールピルビン酸存在下にピルビン酸キナーゼでピルビン酸に変換し、更に還元型NAD存在下にラクテートデヒドロゲナーゼを作用させ、還元型NADの340nm付近の波長における吸光度の減少速度を測定する膵臓由来リパーゼ活性測定方法。
  25. リパーゼ活性測定用組成物における非イオン界面活性剤の濃度が、ジグリセリドに対する非イオン界面活性剤のモル比として1.5〜2.5倍モル比の濃度である、請求項22項〜24項のいずれか1項記載の膵臓由来リパーゼ活性測定方法。
  26. リパーゼ活性測定用組成物における試薬1及び/又は試薬2が液状である、請求項18項〜25項のいずれか1項記載のリパーゼ活性測定方法。
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