JP6064041B2 - ヒト膵リパーゼ活性の測定方法 - Google Patents

ヒト膵リパーゼ活性の測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、臨床検査分野における試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法及びキットに関する。
ヒト膵リパーゼは急性膵炎等の膵臓疾患の診断マーカーとして重要であり、血清中の酵素活性を測定する試薬が臨床検査薬として市販されている。その酵素活性測定時の至適水素イオン指数(pH)は用いる基質や反応条件により異なるものの、概ね7.5から10の範囲であると報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。ヒト膵リパーゼの酵素学的特徴として、反応が基質を含むエマルジョンやミセルの界面で起こること、酵素の活性化に、胆汁酸と、コリパーゼと呼ばれる分子量約1lkDaの蛋白質と、を必要とすることが挙げられる。胆汁酸及びコリパーゼが存在しないと、膵リパーゼの活性中心は、蓋を意味するリッド(lid)と呼ばれるドメインに覆われ、基質と接触できない。胆汁酸はエマルジョンやミセルの形成に影響を与えるが、更にコリパーゼが存在することによりヒト膵リパーゼの立体構造が変化し、ヒト膵リパーゼの活性中心に基質が結合することができるようになり、ひいてはヒト膵リパーゼが活性を示すようになる。このようにヒト膵リパーゼは、疎水性の基質、胆汁酸塩、そしてコリパーゼからなる複合体の界面で作用することが知られている。
従来、試料中のヒト膵リパーゼ活性測定において、その基質としてトリグリセリドが用いられている。トリグリセリドは、アラビアゴムやポリビニルアルコール等と強制撹拌させることにより緩衝液中に乳化分散した、いわゆるエマルジョンの形態で使用されている。トリグリセリド基質を用いてリパーゼ活性を測定する際には、例えば、リパーゼ反応により生成した脂肪酸をアルカリ滴定法で定量する。また、トリグリセリド基質からリパーゼ反応で遊離される脂肪酸を酵素法により測定する試みもなされているが、トリグリセリド基質はエマルジョンに起因する強い濁度を有するために、酵素共役系を用いて分光学的にリパーゼ活性を測定することは困難である。またエマルジョン基質は保存により相分離を起こしやすい欠点があり、再現性良くリパーゼ活性を測定することは困難である。こうしたトリグリセリド基質を用いる方法の課題の解決を目的として、ジグリセリドを基質に用いる方法(例えば、特許文献1、2参照。)や、合成基質を用いる方法(例えば、非特許文献2参照。)が開発され、これらは現在、日常検査法に用いられている。
ジグリセリドを基質に用いることの利点としては、トリグリセリドよりも親水性が高い為、界面活性剤と組み合わせることにより基質の澄明化につながり、汎用の自動分析装置に適応できるという利便性が挙げられる。
ジグリセリド基質としては主に1,2−ジグリセリドが使用されている。1,2−ジグリセリドは分子内でエステル結合の転移反応により1,3−ジグリセリドへ変化することが知られており、この変化が極力起きないようにして使用されている。また、1,2−ジグリセリドの一部を1,3−ジグリセリドに変換させ、この混合物を液状で安定化し、これをヒト膵リパーゼ測定の基質として用いることが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。ここで、ジグリセリド基質を用いる測定方法は、リポプロテインリパーゼ、及び肝性リパーゼ等の非膵リパーゼの影響を受けることが報告されている。また、ジグリセリド基質を用いる測定方法では、血液中のリポプロテインリパーゼなどの非膵リパーゼやエステラーゼの影響を受けるため、膵リパーゼへの特異性が低下しやすいなどの弊害がある、との報告がある(例えば、特許文献4参照。)。ヒトのリポプロテインリパーゼ、肝性リパーゼ等の非膵リパーゼは、ヘパリンによって血中へ放出される。そのため、ヘパリン投与検体では血中の膵リパーゼ活性を正確に測定できない。一方、合成基質を用いたヒト膵リパーゼ活性測定用の日常検査試薬では、リポプロテインリーゼ、肝性リパーゼ等の非膵リパーゼの影響を受けないとされているが(例えば、非特許文献2参照。)、リパーゼの至適pHである弱アルカリ性領域での合成基質の安定性に難がある。
非膵リパーゼの影響を回避する方法として、ジグリセリドである1,2−ジリノレオイルグリセロールを基質に用いたリパーゼ活性測定用の市販キットにおいて、胆汁酸塩として使用されているデオキシコール酸ナトリウムをグリココール酸ナトリウムに置換えることにより、非膵リパーゼの影響が軽減されたとの報告があるが(例えば、非特許文献3参照。)、その詳細は不明である。また、ジグリセリドを基質に用いるリパーゼ活性の測定方法のみならず、トリグリセリドを基質に用いるリパーゼ活性の測定方法においても、非膵リパーゼの影響を受けるが、この場合もデオキシコール酸をグリココール酸に変えることで、非膵リパーゼの影響が回避されたとの報告がある(例えば、非特許文献4参照。)。ただし、上述したように、トリグリセリド基質は分光学的に測定できないことや保存により相分離を起こしやすい欠点があることから、再現性良くリパーゼ活性を測定することは困難である。
特開昭59−91898号公報(特許第1607890号公報) 特開昭63−245672号公報 特許第4836196号公報 特開2008−307048号公報
Clinical Chemistry,39:p746−756,1993 医学と薬学、41巻3号、p489−496、1999 Clinical Chemistry,38:288−292,1992 Clinical Chemistry,35:p1688−1693,1989 Agricultural Biology and Chemistry,44(2),399−406,1980
ジグリセリドを基質に用いる試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法は、トリグリセリドを用いる測定方法に比べて再現性の面で優れるものの、相対的にリポプロテインリパーゼや肝性リパーゼの影響を受けやすい。したがって、ジグリセリドを基質に用いながら、これらの影響を回避した、より膵リパーゼへの特異性が高いヒト膵リパーゼ活性の測定方法が求められている。
前述のように、一般に、ヒトの膵リパーゼ活性の測定時の至適pHは、用いる基質や反応条件により異なるが、概ね7.5から10の範囲にあると報告されている。本発明者らは鋭意検討した結果、ジグリセリドを基質に用いる、試料中のヒト膵リパーゼの活性測定において、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを酸性側へ移動させ、従来報告されているよりも低いpH条件にて胆汁酸及びコリパーゼを共存させてヒト膵リパーゼ反応を行うことで、意外にも、ヘパリン投与などにより試料中に混在することがあるリポプロテインリパーゼや肝性リパーゼ等の非膵リパーゼの影響を軽減できることを見出した。
すなわち、本発明は、特定の抱合型胆汁酸を単独又は他の胆汁酸と組み合わせて用いることにより、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHが7.7未満となるように設定せしめ、更にpH7.4以下にて試料中のヒト膵リパーゼ活性を測定することを特徴とする、非膵リパーゼの影響を軽減したヒト膵リパーゼ活性の測定方法である。
なお、「抱合型胆汁酸」とは、胆汁酸に例えばグリシン、又はタウリン等のアミノ酸が抱合したものをいい、「非抱合型胆汁酸」とは、抱合型胆汁酸以外の胆汁酸を意味する。また、「至適pH」とは、膵リパーゼ活性が最大となる時の測定pHを意味する。
本発明の態様は、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法であって、1)ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼと、試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、2)試料中のヒト膵リパーゼ活性に応じて変化するシグナル量を検出する検出工程と、を含む方法であり、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸が、a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸;及び/又はb)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せ;を含む胆汁酸である、測定方法である。
例えば、pHに対してヒト膵リパーゼの活性をプロットした場合、上に凸の曲線が描かれた場合、活性の最大値とは、活性のピークを意味する。また、通常の条件下において、ヒト膵リパーゼ活性が最大となる時の測定pHを意味する「至適pH」に対して、上記の胆汁酸が存在する時にヒト膵リパーゼ活性が最大となる時の測定pHを「見かけの至適pH」という場合もある。
例えば、接触工程において、a型胆汁酸が用いられ場合、a型胆汁酸の添加割合が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である。
ジグリセリドと共に、非イオン界面活性剤が存在していてもよい。非イオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン2級アルコールエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである。
例えば、検出工程において、比色法が用いられる。また、例えば、接触工程において、全胆汁酸の濃度がモル比でジグリセリドに対して10倍以上である。さらに、例えば、接触工程において、pHが7.2以下である。
本発明の構成の一例は以下の通りである。
(1)
試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法であって、
1)前記ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼと、前記試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、
2)前記試料中の前記ヒト膵リパーゼ活性に応じて変化するシグナル量を検出する検出工程と、
を含む測定方法であり、
前記胆汁酸が、
a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸;及び/又は
b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せ;
を含む胆汁酸である、
測定方法。
(2)
前記試料が、ヒト非膵リパーゼの混在することがある試料、あるいはヒト非膵リパーゼを含むことができる試料である、(1)に記載の測定方法。
(3)
前記接触工程において、前記a)の胆汁酸が用いられる、(1)又は(2)に記載の測定方法。
(4)
前記a)の胆汁酸を用いる場合において、前記a型胆汁酸の添加割合が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である、(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の測定方法。
(5)
前記接触工程において、前記b)の胆汁酸が用いられる、(1)又は(2)に記載の測定方法。
(6)
前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の測定方法。
(7)
前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である、(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の測定方法。
(8)
前記a型胆汁酸が、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の測定方法。
(9)
前記ジグリセリドと共に、非イオン界面活性剤が存在する、(1)ないし(8)のいずれか1つに記載の測定方法。
(10)
前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン2級アルコールエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、(9)に記載の測定方法。
(11)
前記検出工程において、比色法が用いられる、(1)ないし(10)のいずれか1つに記載の測定方法。
(12)
前記接触工程において、全胆汁酸の濃度がモル比で前記ジグリセリドに対して10倍以上である、(1)ないし(11)のいずれか1つに記載の測定方法。
(13)
前記接触工程において、pHが7.2以下である、(1)ないし(12)のいずれか1つに記載の測定方法。
(14)
ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼを少なくとも含む、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定用キットであって、
前記ヒト膵リパーゼ活性の測定時のpHが7.4以下となるよう調製されており、
前記胆汁酸が、
a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸;及び/又は
b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せ;
を含む胆汁酸である、
キット。
(15)
前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料、あるいはヒト非膵リパーゼを含むことができる試料である、(14)に記載のキット。
(16)
色原体を更に含む、(14)又は(15)に記載のキット。
(17)
活性測定時のpHが7.2以下となるように調整された、(14)ないし(16)に記載のキット。
(18)
内容物が複数の容器に分けて保存されている、(14)ないし(17)のいずれか1つに記載のキット。
(19)
試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法であって、
1)胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼと、前記試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、
2)前記試料中の前記ヒト膵リパーゼ活性に応じて変化するシグナル量を検出する検出工程と、
を含む測定方法であり、
前記ジグリセリドの濃度が0.35〜2.5mmol/Lであり、前記胆汁酸の濃度がモル比で前記ジグリセリドの濃度の10〜20倍であり、
前記胆汁酸が、
a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸を含む胆汁酸であって、前記a型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である胆汁酸;及び/又は
b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せを含む胆汁酸であって、前記b−1型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して30〜70%である胆汁酸;
である、
測定方法。
(20)
前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料、あるいはヒト非膵リパーゼを含むことができる試料である、(19)に記載の測定方法。
(21)
前記接触工程において、前記a)の胆汁酸が用いられる、(19)又は(20)に記載の測定方法。
(22)
前記接触工程において、前記b)の胆汁酸が用いられる、(19)又は(20)に記載の測定方法。
(23)
前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、(19)ないし(21)のいずれか1つに記載の測定方法。
(24)
前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である、(19)ないし(21)のいずれか1つに記載の測定方法。
(25)
前記a型胆汁酸が、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、(19)ないし(21)のいずれか1つに記載の測定方法。
(26)
前記ジグリセリドと共に、非イオン界面活性剤が存在する、(19)ないし(25)のいずれか1つに記載の測定方法。
(27)
前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン2級アルコールエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、(26)に記載の測定方法。
(28)
前記検出工程において、比色法が用いられる、(19)ないし(27)のいずれか1つに記載の測定方法。
(29)
前記接触工程において、pHが7.2以下である、(19)ないし(28)のいずれか1つに記載の測定方法。
(30)
胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼを少なくとも含む、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定用キットであって、
前記ヒト膵リパーゼ活性の測定時のpHが7.4以下となるよう調製されており、かつ少なくとも前記胆汁酸、前記ジグリセリド、及び前記コリパーゼと、前記試料と、を接触させる反応液中の前記ジグリセリドの濃度が0.35〜2.5mmol/Lであり、前記胆汁酸の濃度がモル比で前記ジグリセリドの濃度の10〜20倍となるよう調製されており、
前記胆汁酸が、
a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸を含む胆汁酸であって、前記a型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である胆汁酸;及び/又は
b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せを含む胆汁酸であって、前記b−1型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して30〜70%である胆汁酸;
である、
キット。
(31)
前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料、あるいはヒト非膵リパーゼを含むことができる試料である、(30)に記載の測定方法。
(32)
色原体を更に含む、(30)又は(31)に記載のキット。
(33)
活性測定時のpHが7.2以下となるように調整された、(30)ないし(32)のいずれか1つに記載のキット。
(34)
内容物が複数の容器に分けて保存されている、(30)ないし(33)のいずれか1つに記載のキット。
本発明の他の態様は、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼを少なくとも含む、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定用キットであって、ヒト膵リパーゼ活性の測定時のpHが7.4以下となるよう調製されており、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸が、a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸;及び/又はb)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せ;を含む胆汁酸である、キットである。
キットは、色原体を更に含んでいてもよい。キットは、例えば、活性測定時のpHが7.2以下となるように調整されている。キットにおいて、内容物は、複数の容器に分けて保存されていてもよい。
あるいは、本発明の態様は、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法であって、
1)少なくとも、下記i)に示された条件下、ii)ジグリセリド及びiii)コリパーゼと、試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、
なお上記i)は、下記のa)及び/又はb)を表す:
a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上の抱合型胆汁酸(a型胆汁酸)を含有し、且つヒト膵リパーゼ活性測定における見かけの至適pHが測定可能であり、その見かけ至適pHが7.7未満となる条件で接触工程時に存在すること。
b)下記b−1)に示される抱合型胆汁酸(b−1型胆汁酸)と、下記b−2)に示される非抱合型胆汁酸(b−2型胆汁酸)と、が共に存在し、且つ全ての胆汁酸(その塩を含む)に対するb−1型胆汁酸の存在比率(モル比)が30%以上70%以下となる条件で、少なくとも接触工程測定時に存在すること。
b−1)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上のb−1型胆汁酸。
b−2)デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上のb−2型胆汁酸。
2)試料中のヒト膵リパーゼ活性に対応して変化するシグナル量を検出する工程と、
を含む測定方法である。
例えば、i)はa)である。また、例えば、a)において、a型胆汁酸の添加割合は胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である。あるいは、i)はb)である。
例えば、a型胆汁酸は、グリコデオキシコール酸(GDCA)である。あるいは、a型胆汁酸は、グリコデオキシコール酸(GDCA)及びタウロデオキシコール酸(TDCA)である。
例えば、ii)は非イオン界面活性剤との混合物である。非イオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテルである。
例えば、2)は、比色法である。
例えば、i)の濃度がモル比でジグリセリドに対して10倍以上である。
例えば、試料は、pH7.2以下で接触せしめる。
またあるいは、本発明の態様は、少なくとも、下記i)、ii)ジグリセリド及びiii)コリパーゼを含む試料中ヒトリパーゼ活性測定用組成物であって、活性測定時のpHが7.4以下となるよう調整した組成物である。
なお上記i)は、下記のa)及び/又はb)を示す。
a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上のa型胆汁酸を含有し、かつ、膵リパーゼ活性測定における測定可能な見かけの至適pHが7.7未満である胆汁酸。
b)下記b−1)に示されるb−1型胆汁酸と、下記b−2)に示される、b−2型胆汁酸がともに存在し、且つ全ての胆汁酸(その塩を含む)に対するb−1型胆汁酸の存在比率(モル比)が30%以上70%以下である胆汁酸。
b−1)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上のb−1型胆汁酸。
b−2)デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上のb−2型胆汁酸。
例えば、組成物は色原体を含有する。また、例えば、組成物は、活性測定時のpHが7.2以下となるように調整されている。組成物が複数に分割されたキットであってもよい。
本発明により、ジグリセリドを基質に用いる、試料中のヒト膵リパーゼの活性測定方法において、リポプロテインリパーゼ及び肝性リパーゼ等の非膵リパーゼの影響を軽減し、再現性の良い測定方法を提供することができる。
実施例1に係る抱合型胆汁酸のナトリウム塩存在下のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例1の比較例に係る非抱合型胆汁酸のナトリウム塩存在下のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例2に係るb−1型胆汁酸とb−2型胆汁酸のナトリウム塩存在下のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例2に係るa−1型胆汁酸の存在下、b−1型胆汁酸を添加した場合のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例3に係るタウロデオキシコール酸のナトリウム塩(NaTDCA)とデオキシコール酸のナトリウム塩(NaDCA)の混合比率(モル比)を変化させた場合のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例3に係るNaTDCAとNaDCAの混合比率とヒト膵リパーゼの活性pHとの関係を示すグラフである。 実施例4に係るグリココール酸のナトリウム塩(NaGCA)とデオキシコール酸のナトリウム塩(NaDCA)の混合比率(モル比)を変化させた場合の膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例4に係るNaGCAとNaDCAの混合比率とヒト膵リパーゼの活性pHとの関係を示すグラフである。 実施例5に係るヒト膵リパーゼ活性の測定値と、「リキテック リパーゼカラーII」によるヒト膵リパーゼ活性の測定値と、の相関を示すグラフである。 実施例8に係る結果を示す表である。 実施例9に係る結果を示す表である。 実施例10に係る結果を示す表である。 実施例12に係るNaGDCA使用時のヘパリン投与の有無による検体中のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例12に係るNaGCA/NaDCA使用時のヘパリン投与の有無による検体中のリパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例12の比較対照例に係るNaDCA使用時のヘパリン投与の有無による検体中のヒト膵リパーゼ活性のpH依存性を示すグラフである。 実施例13に係る胆汁酸とジグリセリドの比(モル比)と、ヒト膵リパーゼ活性と、の関係図である。 実施例16の比較対照例に係るヒト膵リパーゼ活性の測定値と、「リキテック リパーゼカラーII」によるヒト膵リパーゼ活性の測定値と、の相関図である。 実施例16−3に係るヒト膵リパーゼ活性の測定値と、「リキテック リパーゼカラーII」によるヒト膵リパーゼ活性の測定値と、の相関図である。 実施例19に係る非抱合胆汁酸とそのナトリウム塩の違いが、ヒト膵リパーゼ活性のpH依存性へ影響しないことを示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下の実施の形態が本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
実施の形態に係る試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法は、1)ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満、好ましくは7.4以下にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼと、試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、2)試料中のヒト膵リパーゼ活性に応じて変化するシグナル量を検出する検出工程と、を含む方法である。
ここで、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満、好ましくは7.4以下にする胆汁酸は、a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上の抱合型胆汁酸であるa型胆汁酸を含む胆汁酸である。
あるいは、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満、好ましくは7.4以下にする胆汁酸は、b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上の抱合型胆汁酸であるb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上の非抱合型胆汁酸であるb−2型胆汁酸と、の組合せを含む胆汁酸である。
またあるいは、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満、好ましくは7.4以下にする胆汁酸は、a型胆汁酸と、b−1型胆汁酸及びb−2型胆汁酸の組合せと、を含む胆汁酸である。
ヒト膵リパーゼ活性の測定対象となる試料としては、ヒト膵リパーゼを含む試料であればいずれも用いることができるが、ヒト血液が好ましく、ヒト血清がより好ましい。
a型胆汁酸は、好ましくは、グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である。あるいは、a型胆汁酸は、好ましくは、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である。
またあるいは、a型胆汁酸は、好ましくは、グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である。さらにあるいは、a型胆汁酸は、好ましくは、タウロデオキシコール酸(TDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である。
a型胆汁酸は、より好ましくは、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である。したがって、より好ましいa型胆汁酸としては、グリコデオキシコール酸(GDCA)又はその塩と、タウロデオキシコール酸(TDCA)又はその塩との組み合わせ;グリコデオキシコール酸(GDCA)又はその塩;タウロデオキシコール酸(TDCA)又はその塩;が挙げられる。a型胆汁酸は、より更に好ましくは、グリコデオキシコール酸(GDCA)及びその塩から選択される1種又は2種、並びにタウロデオキシコール酸(TDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である。
a型胆汁酸は、他の胆汁酸と併用してもよい。この場合、a型胆汁酸の存在比率(モル比)が、胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上であることが好ましい。a型胆汁酸の存在比率(モル比)が40%を下回ると、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを酸性側に移動させる効果が減少する傾向にある。
b−1型胆汁酸及びb−2型胆汁酸の組合せを用いる場合、全ての胆汁酸(その塩を含む)に対するb−1型胆汁酸の存在比率(モル比)が、30%以上70%以下であることが好ましい。b−1型胆汁酸の存在比率(モル比)が30%を下回ると、コリパーゼ添加による膵リパーゼの活性化率が低下する傾向にあり、また、70%を越えると、活性測定の感度が低下する傾向にある。
試料中のヒト膵リパーゼ活性を測定する際、反応液における胆汁酸の総量は、例えば、8mmol/L以上である。また、それらの塩を含む全ての胆汁酸の濃度は、ジグリセリド濃度に対して、モル比で10倍以上20倍以下であることが好ましく、より好ましくは12倍以上20倍以下である。10倍未満であると、リパーゼ活性の強度が不足する傾向にある。20倍を超えると、一定濃度のジグリセリドに対し、総胆汁酸塩濃度と感度との関係が飽和曲線を示すので、感度が徐々に低下する傾向にある。a型胆汁酸、b−1型胆汁酸、及びb−2型胆汁酸は、例えばシグマ−アルドリッチ社等から入手可能である。なお上記ジグリセリドの濃度は、後述されている濃度が好ましい。
リパーゼ活性測定時のpHは7.4以下であり、好ましくは7.2以下である。pHが7.4を超えると、非膵リパーゼの影響を受けやすくなる傾向にある。またpHは、好ましくは6.0以上である。pHが6.0未満であると、十分なリパーゼ活性の強度が得られない傾向にある。pHは、より好ましくは、6.0以上7.2以下である。
ジグリセリドにおける高級脂肪酸残基としては、炭素数12以上の高級脂肪酸であればよい。また、これらの高級脂肪酸は、1種類だけでもよく2種類の異なる高級脂肪酸の組み合わせであってもよい。例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びアラキジン酸等の飽和高級脂肪酸や、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びアラキドン酸等の不飽和高級脂肪酸が、ジグリセリドを基質として調製した際の溶液の澄明度の高さから、好ましく用いられる。
好ましい脂肪酸のジグリセリドとしては、1,2−ジオレイルグリセロール、1−パルミトイル−2−オレイルグリセロール、並びに卵黄由来精製レシチン又は大豆由来精製レシチンに由来するジグリセリド等を挙げることができるが、これらに限定されない。
ジグリセリド基質には、市販品を使用可能である。また、例えば、1,2−ジオレイルグリセリルコリン、1−パルミトイル−2−オレイルグリセリルコリン、卵黄由来精製レシチン、又は大豆由来精製レシチン等のリン脂質を予め調製し、これらのリン脂質にホスフォリパーゼCを作用してジグリセリド基質を得てもよい。あるいは、1,2−ジグリセリドを、非イオン界面活性剤存在下でアルカリ処理を施して一部1,3−ジグリセリドに変換させたジグリセリド(1、2−ジグリセリドと1,3−ジグリセリドの混合物)も、ヒト膵リパーゼ反応の基質として用いることができる。
ヒト膵リパーゼ反応に最適なジグリセリドの濃度は、好ましくは0.35〜2.5mmol/Lの範囲であり、より好ましくは0.5〜1.5mmol/Lであるが、これらに限定されない。
接触工程においては、ジグリセリドと共に非イオン性界面活性剤が存在すると好ましい。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(POE)高級アルコールエーテル、POE第2級アルコールエトキシレート、POEアルキルフェニルエーテル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、及びPOEソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、POEアルキルフェニルエーテル系非イオン性界面活性剤、又はPOEアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤である。POEアルキルフェニルエーテル系非イオン性界面活性剤の具体例としては、POEノニルフェニルエーテルが挙げられる。また、POEアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤の具体例としては、POEトリデシルエーテルが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の使用濃度は特に限定されないが、膵由来リパーゼ活性を好適に発現させ且つ阻害しない濃度範囲、すなわちジグリセリド基質に対してモル比で1.1〜2.5倍の範囲で使用するのが好ましく、1.2〜2.0倍がより好ましい。非イオン性界面活性剤の濃度が、ジグリセリド基質に対してモル比で2.5倍を超えると、ヒト膵リパーゼの活性が低下するとともに、非膵リパーゼに対する活性が上昇する傾向にある(例えば、特許文献3参照。)。
ジグリセリド基質と、非イオン界面活性剤と、は、両者が混合されたジグリセリド溶液として用意されてもよい。ジグリセリド溶液は、例えば、ジグリセリドに非イオン性界面活性剤を含有する緩衝液を加え、35℃〜46℃、好ましくは37℃〜44℃で1時間から7時間、好ましくは1.5から4時間撹拌するか、もしくは上記温度で30分程度超音波処理をすることで得られる。ただし、ジグリセリド溶液を得る方法は、これらに限定されない。ジグリセリドの溶解に用いる緩衝液としては、pH5〜9.5の範囲で緩衝能のある緩衝液を適宜選択すればよい。
コリパーゼの具体例としては、ブタ膵臓由来コリパーゼ等が挙げられるが、これに限定されない。コリパーゼの濃度は、一般的にリパーゼ酵素活性に対して飽和曲線を示し、ある濃度以上でリパーゼ活性は一定に達することが知られている。したがって、ヒト膵リパーゼの活性測定におけるコリパーゼの適当な濃度は、実験的に容易に決定することができる。例えば、旭化成ファーマ製のコリパーゼを用いる場合、コリパーゼの濃度は、例えば8〜250U/Lであり、好ましくは10〜150U/Lであり、更に好ましくは10〜120U/Lであるが、これらに限定されない。
接触工程において、pHを7.4以下に保つためには緩衝液を使用することが好ましい。ただし、これに限定されず、塩酸等の酸、あるいは水酸化ナトリウム等の塩基を用いてpHを調整してもよい。緩衝液を使用する場合は、pH7.4以下で緩衝能のある緩衝液、例えば、TES、HEPES、TAPSO、POPSO、Tricine、Bicine、BES等のグッドの緩衝液を使用することができる。
実施の形態に係る試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法において、物質を混合する順番等の手順に特に限定はないが、例えば実用性の面から、物質を2種類の構成試薬に分け、これらを組み合わせて反応を起こさせてもよい。この場合、2種類の試薬のpHが同一である必要はなく、リパーゼ活性測定時、すなわち2種類の試薬を混合する時のpHが7.4以下となるようにすればよい。緩衝液の濃度は特に限定されないが、10mmol/L以上250mmol/Lの範囲が好ましい。
また、この場合、例えば、1)ジグリセリドを一の試薬に含有させ、他方の試薬に胆汁酸塩を含有させるか、あるいは2)ジグリセリドを一の試薬に含有させ、他方の試薬にコリパーゼを含有させればよい。1)の場合、コリパーゼはどちらに加えても、また両方の試薬に分配して加えてもよく、2)の場合、胆汁酸塩はどちらに加えても、また両方の試薬に分配して添加してもよい。
検出工程において用いられる方法としては、例えば、比色法とそれ以外の方法があり、ヒト膵リパーゼ反応により生じる生成物を適宜、既知の反応系を組み合わせて測定すればよい。例えば、比色法としてはジグリセリド基質から生成したモノグリセリドを、モノグリセリドリパーゼを用いて脂肪酸とグリセロールに変換させる場合、遊離したグリセロールを、グリセロールキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、及びペルオキシダーゼを用いて最終的に生成した過酸化水素を4−アミノアンチピリンなどのカップラーの存在下に水素供与体と組み合わせ、発色した色素を分光学的に検出する方法がある。また、比色法以外の方法としては、遊離したグリセロールを、グリセロールキナーゼ、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼと組み合わせ、還元型NAD(P)に基づく吸光度変化を340nmにて検出する紫外線(UV)法などがある。したがって、検出工程において用いられる方法は、これらの比色法や、それ以外の方法から適宜選択すればよい。
比色法で用いられるモノグリセリドリパーゼとしては、ジグリセリドに作用せずモノグリセリドに特異的に作用する酵素であれば特に起源は問わないが、安定供給の点で、微生物由来酵素が好ましく、バチルス属由来酵素がより好ましい。リパーゼ反応における共役酵素として使用する濃度の下限値としては、0.5U/ml以上が好ましく、また、上限値としては、5U/ml以下であることが好ましいが、これに限定されない。
グリセロキナーゼは特にその起源は問わないが、安定性に優れた酵素の使用が好ましく、フラボバクテリウム属由来酵素がより好ましい。グリセロ−3−リン酸オキシダーゼは特にその起源は問わないが、安定供給の点で微生物由来が好ましく、乳酸菌由来酵素がより好ましい。
グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ反応で生成される過酸化水素は、ペルオキシダーゼと、トリンダー試薬の色原体と、カップラーと、の酸化縮合により色素を生成する。ペルオキシダーゼはその起源は特に問わないが、既に安定供給されている西洋わさび大根由来の酵素が好ましい。また、水素供与体としては、フェノール誘導体、アニリン誘導体、及びトルイジン誘導体等が好ましい。水素供与体の具体例としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,4−ジクロロフェノール、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS )、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−アニリン(HALPS)、N,N−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン2ナトリウム(TODB)(以上同仁化学研究所社製)等が挙げられる。
過酸化水素の存在は、パーオキシダーゼ存在下ロイコ型試薬の発色により確認することができる。この試薬の具体例としては、o−ジアニシジン、o−トリジン、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;以上同仁化学研究所社製、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67);以上和光純薬社製等が挙げられる。更に、過酸化水素の検出及び定量は、分光学的な方法のみならず、例えば蛍光法、化学発光法、及び電極法等でも実施することができる。
また、UV法で用いられるグリセロールキナーゼの生成物のひとつであるADPは、グルコース存在下ADP依存性へキソキナーゼ(ADP−HK)によりグルコース−6−リン酸に変換できる。ADP−HKは特にその起源は問わないが、安定供給の点で微生物由来が好ましく、保存安定性に優れたパイロコッカス属やサーモコッカス属等の高度好温菌由来酵素がより好ましい。ADP−HKの基質であるグルコースは2〜50mmol/Lの範囲で使用することができる。ADP−HKによる生成物であるグルコース−6−リン酸は酸化型NAD又はNADP存在下でグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼによって還元型NAD又はNADPに変換できる。グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼは特にその起源は問わないが、安定供給の点で、微生物由来酵素が好ましい。なかでもロイコノストック属由来酵素が好ましい。
例えば、試料としての血清等の生体成分中には、遊離のグリセロールが存在することがある。そのため、比色法であれ、UV法であれ、遊離のグリセロールによって、膵リパーゼ活性の測定に正誤差が生じうる。よって、試料中の遊離のグリセロールを、膵リパーゼ反応に先立ち消去することが好ましい。
比色法を用いる場合、グリセロキナーゼ、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ、カタラーゼあるいはパーオキシダーゼとフェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等のトリンダー試薬の色原体とを含有する第1の比色法試薬を用意し、第1の比色法試薬に被験液を添加し、予め加温することで、被験液中に遊離していたグリセロールを消去することができるが、この方法に限定されない。トリンダー型試薬の色原体としては、先に挙げた色原体が挙げられるが、これらに限定されない。また、比色法を用いる場合、4アミノアンチピリン若しくは3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラーからなる成分で構成される第2の比色法試薬を用意する。ここで、第1の比色法試薬でカタラーゼを使用する場合には、窒化ナトリウムなどのカタラーゼ阻害剤を第2の比色法試薬に含有させればよい。第1の比色法試薬と、第2の比色法試薬と、が混合されると同時に、グリセロ−3−リン酸オキシダーゼ反応で生成される過酸化水素は、トリンダー試薬の色原体と、カップラーと、の酸化縮合により色素を生成するので、この色素の増加速度を分光学的に測定することができる。
UV法を用いる場合、遊離グリセロールの影響を回避する方法として、予め、グリセロールキナーゼ、ADP−ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びグルコース、NAD(P)を含有させた第1のUV法試薬を用意し、第1のUV法試薬に被験液を添加し、遊離グリセロールを還元型NAD(P)に変換させておけばよい。また、グリセロールに作用する酸化酵素(グリセロールオキシダーゼ)を第1のUV法試薬に添加し、遊離のグリセロールをアルデヒドに変換することで、遊離のグリセロールの影響を回避することができる。ただし、この場合、第1のUV法試薬でグリセロールキナーゼ反応が起こらないように、グリセロールキナーゼ及び/又はATPを第2のUV法試薬に添加する。グリセロールオキシダーゼとしては、例えばアスペルギルス属、ノイロスポラ属、ペニシリウム属由来のグリセロールオキシダーゼ等の公知のグリセロールオキシダーゼを使用することができるが、これらに限定されない(例えば、非特許文献5参照。)。
UV法で、還元型NAD(P)に基づく吸光度変化を測定する場合、ある種の検体においては試薬との混合によって濁りが生じ、その濁りが測定波長である340nmの吸光度に影響を与えることがある。このような場合、検体毎に、検体ブランクを測定すれば濁りの影響を回避することができる。測定感度を上げるためには、分子吸光係数の高い検出系を用いることが好ましい。この場合、還元型NAD(P)の分子吸光係数に比べ、より大きな分子吸光係数を有する色素、例えばチオNAD(P)などを選択することで、還元型NAD(P)による検出に優る感度を得ることができる。
検出工程において用いられる方法は、比色法及びUV法に限られず、その他の既存の方法やそれらを組み合わせた方法を用いてもよく、測定の煩雑さ、測定精度、測定感度などの観点から、実用的なものを適宜選択すればよい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
(実施例1)胆汁酸の種類と膵リパーゼの活性pH
・ジグリセリド原液の調製
溶解後の濃度が9.32mmol/Lになるよう1,2−ジオレオイルグリセロール(DODG)(日本精化製)を秤量しこれに1.66mmol/LのMES(同仁化学)を含有する1%ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル(NPE)(和光純薬工業株式会社)を加え、37度2時間撹拌し溶解させ、その後氷中に2時間以上静置した。この溶液を基質原液として用いた。
・反応液の調製
上記ジグリセリド原液を用い、下記の組成で「基質ストック液」を調製した。
5.6 mol/L 1,2−ジオレオイルグリセロール
0.6% NPE
1mmol/L MES
3.2 mmol/L 硫酸マグネシウム
下記の組成で「第1の反応液(R−1)」を調製した。
75mmol/L 緩衝液
4mmol/L 塩化カルシウム
後述する濃度 胆汁酸塩
3mmol/L ATP
3mmol/L NADP
3000U/L グリセロールキナーゼ(GKZ) (旭化成ファーマ製)
7500U/L ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP−HKPII)(旭化成ファーマ製)
3000U/L グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)(東洋紡製)
3mmol/L グルコース
3mmol/L 塩化マグネシウム
下記の組成で「第2の反応液(R−2)」を調製した。
50mmol/L 緩衝液
10,000U/L モノグリセライドリパーゼ(MGLPII)(旭化成ファーマ)
60,000U/L コリパーゼ(CoLP)(旭化成ファーマ)
下記の組成で「検体ブランク用第2の反応液(R−2)」を調製した。
50mmol/L 緩衝液
60,000U/L コリパーゼ(CoLP)(旭化成ファーマ)
・測定操作
基質ストック液と、R−1と、を1対2の比率で混合したものを第一試薬として用いた。第二試薬はR−2をそのまま用いた。検体としては、プール血清あるいは管理試料(膵リパーゼを含むコントロール)を用いた。検体量、第一試薬、第二試薬の比率は、検体量:第一試薬:第二試薬=0.01ml:0.18ml:0.06mlとした。第一試薬に検体を加え37度5分間加温後、第二試薬を加え37度にて第二試薬添加後の3分後から4分後までの還元型NADPに基づく340nmにおける吸光度変化速度を求め、還元型NADPの分子吸光係数6300L/mol・cmを用いてリパーゼ活性を算出した。また、検体ブランクとして、検体の変わりに生理的食塩水を用い、第二試薬からMGLPIIを除いた検体ブランク用試薬を用いて吸光度を測定し、二つの測定値の差を酵素活性値とした。測定には日立自動分析装置H7170型もしくはH7080を用いた。
・測定
R−1に添加する抱合型胆汁酸として、それぞれ40mmol/Lのタウロデオキシコール酸ナトリウム(NaTDCA)、グリコデオキシコール酸ナトリウム(NaGDCAと)、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム(NaGCDCA)、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム(NaTCDCA)、グリココール酸ナトリウム(NaGCA)タウロコール酸ナトリウム(NaTCA)及びタウロウルソデオキシコール酸ナトリウム(NaTUDCA)を選択し、R−1のpHをBES(同仁化学製)を用いて、それぞれ6.8、7.0、7.2、7.4、7.8、8.0に調整し、ヒト膵リパーゼ活性を測定した。R−2のpHは、それぞれR−1のpHに合わせた。
プール血清におけるヒト膵リパーゼ活性の測定結果を図1に示す。NaTDCAを用いた場合の活性の最大値を与えるpHは7付近であり、NaGDCAを用いた場合の活性の最大値を与えるpHは7.2〜7.4付近であり、NaGCDCA又はNaTCDCAを用いた場合の活性の最大値を与えるpHは6.8未満であった。よって、いずれの場合も、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)は7.5未満であった。NaGCA、NaTCA及びNaTUDCAについては、活性化の程度が極めて低く検出限界以下であった。
比較例として、非抱合型胆汁酸であるコール酸ナトリウム(NaCA)、デオキシコール酸ナトリウム(NaDCA)、ケノデオキシコール酸ナトリウム(NaCDCA)及びウルソデオキシコール酸ナトリウム(NaUDCA)につき、種々のpHで同様の操作を行った。なお、非抱合型胆汁酸の濃度はR−1で各々24mmol/Lとなるようにした。また、pH7.2,7.6,7.8,8.0はBESを、pH8.2,8.5はBicineを用いた。
比較例に係るプール血清におけるヒト膵リパーゼ活性の測定結果を図2に示す。NaDCAを用いた場合の活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)は8.2付近であり、NaCDCAを用いた場合の活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)は7.7付近であった。NaUDCAについてはR−1反応液に濁りが生じたため測定できなかった。また、NaCAについては、NaDCAに比べてわずかなシグナルしか得られなかった。
(実施例2)NaTUDCA、NaGCA、NaTCAの組合せ効果
・反応液の調製
下記の組成で「基質ストック液」を調製した。
5.6 mol/L 1,2−ジオレオイルグリセロール
0.6% NPE
1mmol/L MES
3.2 mmol/L 硫酸マグネシウム
下記の組成で「第1の反応液(R−1)」を調製した。
75mmol/L 緩衝液
4mmol/L 塩化カルシウム
後述する濃度 胆汁酸塩
4mmol/L ATP
3mmol/L NADP
3000U/L GKZ
8000U/L ADP−HKPII
3000U/L G6PD
3mmol/L グルコース
3mmol/L 塩化マグネシウム
下記の組成で「第2の反応液(R−2)」を調製した。
50mmol/L 緩衝液
10,000U/L MGLPII
60,000U/L CoLP
・測定操作
実施例1と同様、基質ストック液とR−1を1対2の比率で混合したものを第一試薬として用いた。その他は実施例1に準じた。
・測定
実施例1で、単独では十分なヒト膵リパーゼの活性化を示さなかった抱合型胆汁酸塩の中のNaGCA、NaTCA及びNaTUDCAについて、それぞれ非抱合胆汁酸であるNaDCAと組み合わせた場合にヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)を調べた。また、NaTCAについては、抱合型胆汁酸であるNaTDCAと組み合わせた場合にヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)も調べた。なお、pH6.9,7.2,7.7はBES緩衝液を、pH7.95,8.2はBicine緩衝液を用いた。NaGCA/NaDCA、NaTCA/NaDCA、NaTUDCA/NaDCA及びNaTCA/NaTDCAそれぞれの組合せについて各々の胆汁酸の濃度はR−1中で20mmol/Lとした。NaTCAとNaTDCAの組合せに対しては、対照として40mmol/LNaTDCAを置いた。
図3に、NaGCA/NaDCA、NaTCA/NaDCA及びNaTUDCA/NaDCAの組合せの結果を示す。実施例1の比較例で示したNaDCA単独の至適pHが8.2付近であったのに対して、NaGCAとの組み合わせではヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)が7.2付近に、NaTCAでは6.9付近に、またNaTUDCAでは7.4付近に変化していた。また、図4に示すように、実施例1の結果と同様、至適pHが7.1付近であったNaTDCAの場合、TCAと併用することによりヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpH(見かけの至適pH)は更に酸性側へ移動した。これらの結果から、単独ではヒト膵リパーゼの活性化が不十分であったNaGCA、NaTCA及びNaTUDCAともに、特定の胆汁酸と併用して用いれば、ヒト膵リパーゼの活性化が十分に達成されると共に、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを酸性側へ移動させる効果が認められることがわかった。
(実施例3)NaTDCAとNaDCAの混合比率と活性pH
試薬組成、測定操作は実施例2と同じとした。単独でヒト膵リパーゼの至適pHを7付近にする抱合胆汁酸NaTDCAと、単独でヒト膵リパーゼの至適pHを8.2付近にする非抱合型胆汁酸NaDCAについて、その混合比率(モル比)を変えてヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHがどのようになるかプール血清を用いて調べた。pH6.9,7.1,7.55,7.75はBES緩衝液を、pH7.95,8.15,8.4はBicine緩衝液を用いた。
図5に示すように、NaTDCAの含量が67%の時、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHは7.55付近であり、33%の時、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHは8付近であった。また、この結果を基に、横軸に添加した総胆汁酸に対するNaTDCAの割合を、縦軸にヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHをプロットすると、図6に示すように、ほぼ直線的になり、胆汁酸の混合比によりヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHが予測できることが示された。
(実施例4)NaGCAとNaDCAの混合比率と活性pH
試薬組成、測定操作は実施例2と同じとした。単独では十分なヒト膵リパーゼの活性化を示さなかった抱合型胆汁酸の中からNaGCAを選択し、非抱合型胆汁酸で、単独でヒト膵リパーゼの至適pHを8.2付近にするNaDCAとの混合比率(モル比)NaDCA/NaGCAを終濃度で24mmol/L/0、16mmol/L/8mmol/L、12mmol/L/12mmol/L、8mmol/L/16mmol/L、6mmol/L/18mmol/Lと変化させ、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHがどう変動するか管理試料(膵リパーゼを含むコントロール)を用いて調べた。pH7.2,7.6はBES緩衝液を、pH8.0,8.5はBicine緩衝液を用いた。
結果を図7に示す。NaGCA量の増加と共に、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHは酸性側へ移行したが、同時に感度も低下した。この結果を基に、図8に示すように、横軸に添加した総胆汁酸に対するNaGCAの割合を、縦軸にヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHをプロットするとほぼ直線的になり、胆汁酸の混合比によりヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHが予測できることが示された。
(実施例5)抱合型胆汁酸単独使用と非膵リパーゼ影響度の軽減
試薬組成、測定操作は実施例2と同じとした。
・測定
ヘパリン投与によって血中に出現するリポプロテインリパーゼや肝性リパーゼ等の非膵リパーゼの影響を受けないとされている、1,2−O−ジラウリル−rac−グリセロール−3−グルタル酸−(6−メチルレゾルフィン)エステル(DGGR)を用いたレゾルフィン比色法市販試薬であるロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製「リキテック リパーゼカラーII」を本実施例の効果を確認するために用いた。「リキテック リパーゼカラーII」については添付文書に従い、また専用キャリブレーターを用い、酵素活性を算出した。比較対照例として、胆汁酸がNaDCA(R−1中の濃度40mmol/L)を用い反応液のpHが8.15(Bicine緩衝液)、本実施例の試薬組成として(1)R−1、R−2の緩衝液がMOPS(pH7.0)、胆汁酸としてNaTDCA、(2)R−1、R−2の緩衝液がMOPS(pH7.0)で胆汁酸がNaGDCA、(3)R−1、R−2の緩衝液がBES(pH7.0)で胆汁酸がNaGCDCAである試薬をそれぞれ調製した。本実施例の胆汁酸濃度は、比較対照例と同じとした。
試料はコントロール、ヘパリン非投与検体(通常検体)、ヘパリン投与検体を用いた。結果を表1に示す。まず、NaTDCAを用いた場合、コントロール及び通常検体の測定値が比較対照例に比べて、77〜112%であったのに対し、ヘパリン投与検体では28〜52%に、NaGDCAの場合はそれぞれ76〜121%と、32〜55%に、NaGCDCAの場合はそれぞれ70〜98%と26〜48%に、いずれの胆汁酸についても比較対照例に比べてヘパリン投与検体の活性が著しく低下し、主にリポプロテインリパーゼや肝性リパーゼからなる非膵リパーゼの影響が軽減されていることが示された。図9にリキテック リパーゼカラーIIによる結果と、NaTDCAを胆汁酸として添加した本実施例による結果と、の相関を示す。ヘパリン投与検体はヘパリン非投与検体(通常検体)とほぼ同一線上に散布しており、本実施例の効果が確認された。
(実施例6)胆汁酸組合せと非膵リパーゼ影響度の軽減
試薬組成は実施例2と同じとした。比較対照例として、胆汁酸にNaDCA(R−1中の濃度40mmol/L)を用い、反応液のpHを8.15(Bicine緩衝液)として、ヘパリン投与検体を測定した。また、本実施例の抱合型胆汁酸として、単独では充分な活性化効果の認められなかったNaGCA、NaTCA及びNaTUDCAをそれぞれ非抱合型胆汁酸としてNaDCA又はNaCDCAと組み合わせて、また単独でも充分な活性化を示すNaGCDCA、NaTCDCAを用いてヘパリン投与検体を測定した(BES(pH7.1)、胆汁酸はR−1中で40mmol/L(組合せの場合は等量混合))。
なお、ヒト膵組換えリパーゼが含まれているCRM−001bを蒸留水の代わりにプール血清で溶解したものをキャリブレーターに用いて、リパーゼ活性を算出した。その結果、表2に示すように、比較対照例に比べて、本実施例では、ヘパリン投与検体の活性値が激減していた。したがって、本実施例によれば、非膵リパーゼの影響を軽減可能なことが示された。
(実施例7)非膵リパーゼの影響の定量評価(pH依存性):NaTDCA
本実施例及び参考例の胆汁酸として、NaTDCAを選択し、反応液のpHを6.2〜7.6の範囲で変化させたときのpH依存性について調べた。なお、pHが7.6の場合を参考例とした。pH6.2,6.4はMES緩衝液でその他はBES緩衝液を用いた。試料は管理試料(膵リパーゼを含むコントロール)(6種)とヘパリン投与検体(9種)である。比較対照例として、胆汁酸がNaDCA(R−1中の濃度40mmol/L)を用い反応液のpHが8.15(Bicine緩衝液)のものを用いた。また、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製「リキテック リパーゼカラーII」を本実施例の効果を確認するために用いた。「リキテック リパーゼカラーII」については添付文書に従い、また専用キャリブレーターを用い、酵素活性を算出した。結果を表3に示す。
次に、非膵リパーゼ活性の影響度を、リキテック試薬が非膵リパーゼの影響を受けないという前提で、以下のようにして求めた。まず、ヘパリン投与検体を除いた酵素活性の測定値につき、回帰式(独立変数X:リキテックによる酵素活性、従属変数Y:比較対照例もしくは本実施例による酵素活性)を求めた。次に、各ヘパリン投与検体についてリキテックによる酵素活性の測定値を回帰式のXに代入し、Yの値を理論値として算出した。その後、ヘパリン投与検体について、比較対照例もしくは本実施例による酵素活性の実測値をYの理論値で除したものを相対%として算出した。結果を表4に示す。なお、影響度の許容範囲としては、「リキテック リパーゼカラーII」の添付文書の記載として、正確性が既知活性の±15%以内、となっていることを参考に暫定的に±20%以内とした。
結果を表4に示す。表4から明らかなように、pH7.4以下では、理論値に対して実測値は平均120.0%未満であり、許容範囲内であったのに対して、pH7.6では平均212.1%と、の2倍以上の値を示した。したがって、pH7.4以下であれば、非膵リパーゼの影響を軽減可能なことが示された。


(実施例8)非膵リパーゼの影響軽減効果の定量評価(pH7.1,7.4,7.6)):NaGDCA/NaDCA
本実施例では抱合型胆汁酸として、NaGDCAを選択し、非抱合胆汁酸NaDCAと組み合わせ(等量混合)て、反応液のpHを7.1、7.4、7.6と変化させたときのヘパリン投与検体の挙動を調べた。緩衝液にはBES緩衝液を用いた。試料としては、管理試料(膵リパーゼを含むコントロール)(4種)、通常検体(10種)、及びヘパリン投与検体(9種)を用いた。比較対照例では、胆汁酸としてNaDCA(R−1中で30mmol/L)及びNaTDCA(同10mmol/L)を用い、反応液のpHを7.95 (Bicine緩衝液)とした。また、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製「リキテック リパーゼカラーII」を本実施例の効果を確認するために用いた。「リキテック リパーゼカラーII」については添付文書に従い、また専用キャリブレーターを用い、酵素活性を算出した。その後、実施例7と同様に、ヘパリン投与検体について、比較対照例もしくは本実施例による酵素活性の実測値を理論値で除したものを相対%として算出した。非膵リパーゼ活性の影響度、及び影響度の許容範囲も、実施例7と同様とした。
結果を図10に示す。図10から明らかなように、ヘパリン投与検体につき、pH7.4、pH7.1では、理論値に対し実測値は平均120%以内であり、許容範囲内であった。これに対し、参考例としてpH7.6では194.7%であり、比較対照例では198%と理論値のほぼ2倍の値を示した。したがって、NaGDCAとNaDCAを組合せて、pHを7.4以下とすれば、非膵リパーゼの影響を軽減可能なことが示された。
(実施例9)胆汁酸組合せによる非膵リパーゼの影響軽減効果の定量評価
比較対照例として、胆汁酸にNaDCAとNaTDCA(R−1中の濃度でそれぞれ30mmol/L、10mmol/L)を用い、反応液のpHが7.95となるよう、Bicine緩衝液を用いて、ヘパリン投与検体を測定した。また、本実施例として、抱合型胆汁酸にNaTDCA、NaGDCA、NaGCA、NaTCAを用い、非抱合型胆汁酸にNaDCAを用い、表6に示すように非抱合型と抱合型胆汁酸の組合せ、抱合型胆汁酸同士の組合せ、並びに抱合型胆汁酸2種類と非抱合型胆汁酸の組合せ各々につき、ヘパリン投与検体を測定した(BES(pH6.9)。胆汁酸はR−1中で計40mmol/L(2種類の場合は各20mmol/L、3種類の場合は各13.3mmol/L)とした。また、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製「リキテック リパーゼカラーII」を本実施例の効果を確認するために用いた。「リキテック リパーゼカラーII」については添付文書に従い、また専用キャリブレーターを用い、酵素活性を算出した。比較対照例、及び本実施例においては、還元型NADPの分子吸光係数6300L/mol・cmを用いてリパーゼ活性を算出した。その後、実施例7と同様に、ヘパリン投与検体について、比較対照例もしくは本実施例による酵素活性の実測値を理論値で除したものを相対%として算出した。非膵リパーゼ活性の影響度、影響度の許容範囲も、実施例7と同様の方法により算出した。
その結果、図11に示すように、比較対照例では、理論値に対し、ヘパリン投与検体4種の実測値は平均204.5%だったのに対し、本実施例では、いずれの組合せにおいても100±15%以内と許容範囲内であり、非膵リパーゼの影響が著しく軽減していた。
(実施例10)界面活性剤の種類と非膵リパーゼの影響軽減効果の定量評価
実施例1に記載のジグリセリド原液の調製時に、界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル(NPE)の代わりにポリオキシエチレントリデシルエーテル(アデカトール TN−100)(アデカ)を用いてジグリセリド原液を調製し、NPEを用いて調製したものと比較した。なお、界面活性剤の濃度は同じとした。本実施例の抱合型胆汁酸としてNaGDCAとNaTDCA(等量混合)を選択し、それぞれの界面活性剤につきpH7.2の反応液とpH7.4の反応液を調製した。また、比較対照例においては、胆汁酸としてNaDCA(R−1中で30mmol/L)及びNaTDCA(同10mmol/L)を用い、反応液のpHが7.95となるよう、Bicine緩衝液を用いた。さらに、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製「リキテック リパーゼカラーII」を用い、実施例7と同様の方法で非膵リパーゼ活性の影響度を調べた。
ヘパリン投与検体のみの結果を図12に示す。この結果から、2種の界面活性剤ともに、実測値は理論値の±120%以内であり、非膵リパーゼの影響を受けなかったのに対して、NPEを用いた比較対照例では150%、210%と非膵リパーゼの影響を受けた。
(実施例11)pH7.5以上、以下の比較
比較対照例として、胆汁酸にNaDCAとNaTDCA(R−1中の濃度でそれぞれ30mmol/L、10mmol/L)を用い、反応液のpHが7.95となるよう、Bicine緩衝液を用いた。また、抱合型胆汁酸としてNaGCDCAを選択し(R−1中で40mmol/L)、本実施例としてpH7.0、参考例としてpH7.95について、2種類のヘパリン投与検体につき、その効果を調べた。まず、組換え膵LP添加血清でキャリブレーションを実施し、比較対照例のヘパリン投与検体の測定値が、ヒト膵リパーゼと非膵リパーゼを合計した活性を表しており、本実施例の測定値が、ヒト膵リパーゼのみの活性を表しているという前提で、非膵リパーゼの総リパーゼに対する混入率を算出した。
分子吸光係数から求めた比較対照例の測定値から、本実施例及び参考例について、それぞれのヘパリン投与検体を除いた場合の相関式を用い、ヒト膵リパーゼ活性の理論値Yを次のように計算した。なお、Xは比較対照例の測定値を代入する変数であり、aは傾き、bは切片を表す。

膵リパーゼ活性(理論値)=(1−非膵リパーゼの混入率) x (aX +b)
結果を表5に示す。まず、pH7.0の本実施例に比べてpH7.95の参考例では、感度が約40%程度に低下していた。更に、ヘパリン投与検体中の非膵リパーゼの至適pHはpH7.0よりpH7.95に近い為、酵素活性の測定値が膵リパーゼの理論値に対して、311.8%、492.8%と大きな値を示した。これに対してpH7.0の本実施例においては、測定値が膵リパーゼの理論値に対して、98.4%、98.5%であり、非膵リパーゼの影響が大きく回避されていることが示された。
(実施例12)膵リパーゼ、非膵リパーゼの活性pH比較
反応液のpHを7.4から8.4の間で変化させ、ヒトプール血清とヘパリン投与血清につき、リパーゼ活性を測定した。pH7.4,7.55はBES緩衝液を、その他のpHはBicine緩衝液を用いた。本実施例において、抱合型胆汁酸としてはNaGDCAとNaGCAを(NaGCAは非抱合型胆汁酸NaDCAとの組み合わせ(等量、R−1中で計40mmol/L))用いた。また比較対照例において、NaDCA(Bicine pH8.15)を用いた。その結果を図13、図14、及び図15に示す。図15に示すように、比較対照例において、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHは8.2付近であったのに対して、図13及び図14に示すように、本実施例においてはpH7.4を少し下回る付近であった。一方、ヘパリン投与検体については、両方法において、いずれもpHの上昇と共に活性も上昇するという結果であった。この結果より、本実施例に係る胆汁酸は、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを酸性側へ移行させるものの、非膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを変化させないことが示された。なお、実験にはそれぞれ異なるヘパリン投与検体を用いた。
(実施例13)胆汁酸と基質の比率
本実施例に係る抱合型胆汁酸としてNaTDCAを用い、pH7.2(BES緩衝液)において、胆汁酸濃度の影響を調べた。基質ジグリセリドには1,2−ジオレオイルグリセロールを用い、基質を溶解させるための非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業)をジグリセリドに対するモル比として1.74になるようにして用いた。また、基質濃度としては終濃度で1.40mmol/L及び1.63mmol/Lに設定した。結果を図16に示す。リパーゼ活性が最大になる胆汁酸の基質に対する比率は、基質濃度が1.40mmol/Lの時は約17、また1.63mmol/Lの時は約15であった。また比率が20を超えると感度は低下する傾向にあった。
(実施例14)市販カラー法試薬(卵黄レシチン由来ジグリセリド)を用いた効果の確認
卵黄レシチンから調製された1,2−ジグリセリドを基質に用いた市販試薬「リパーゼカラーオートテストワコー」(和光純薬工業株式会社)を用い、効果の確認を行った。「リパーゼカラーオートテストワコー」は、酵素基質剤(凍結乾燥バイアル)、溶解液(グッド緩衝液)及び活性化溶液(グッド緩衝液pH8.7、4−アミノアンチピリン、デオキシコール酸)から構成され、酵素基質剤を溶解液で溶解したものを酵素基質液として第一試薬とし、活性化溶液を第二試薬として用いる。
効果を調べるため、溶解液に粉末でNaTDCA及びNaGDCAを、溶解液中の濃度として12mmol/Lとなるように加え、更に水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した。また、6mmol/Lの4−アミノアンチピリンを含む150mmol/LBES緩衝液(pH7.0)を調製し活性化溶液の代わりに用いた。すなわち、キットの活性化溶液に含まれている胆汁酸であるデオキシコール酸を除き、代わりにNaTDCA及びNaGDCAを用いた。この反応液を用い、加工前の試薬との測定結果を比較した。検体としては、ヘパリン投与のもの9種、並びに非投与のもの5種を用いた。
結果を表6に示す。ヘパリン非投与の検体において、胆汁酸塩の種類を変えた本実施例(加工試薬)は、加工前の市販試薬の94〜108%の活性の測定値を示した。また、ヘパリン投与検体において、本実施例は、加工前の市販試薬の40%から62%の活性の測定値を示した。したがって、ヘパリン投与検体において、本実施例は、非膵リパーゼの影響を軽減可能なことが示された。
(実施例15)
実施例2のR−1、R−2のpHをBicine(pH8.0)に、またR−1の胆汁酸を27mmol/Lデオキシコール酸ナトリウム(NaDCA)と13mmol/Lタウロデオキシコール酸ナトリウム(NaTDCA)としたものを比較対照例(NaTDCAの胆汁酸に占める比率33%)とした。また、本実施例の試薬組成として(1)R−1、R−2の緩衝液をBES(pH7.2)とし、胆汁酸として20mmol/Lタウロデオキシコール酸ナトリウム(NaTDCA)と20mmol/Lグリコデオキシコール酸ナトリウム(NaGDCA)を添加した。さらに、本実施例の別の試薬組成として(2)R−1の緩衝液をBES(pH7.2)とし、胆汁酸無添加、R−2の緩衝液をBES(pH7.2)とし、胆汁酸として40mmol/LのNaTDCAと40mmol/LのNaGDCAを添加した。このように、(2)においては胆汁酸をR−2に添加した。なお、胆汁酸の終濃度は(1)と同じである。
・測定操作
活性計算以外は実施例2と同じとした。本実施例及び比較対照例において、ヒト膵組換えリパーゼが含まれているCRM−001bを蒸留水の代わりにプール血清で溶解したものをキャリブレーターに用いて、リパーゼ活性を算出した。
・検体
プレチパス、プレチノルム、ヘパリン非投与検体10種、ヘパリン投与検体5種。
・測定
結果を表7に示す。表から明らかなように、本実施例(1)、(2)において、ヘパリン非投与検体については比較対照例で測定したリパーゼ活性の90−110%の活性を示したが、ヘパリン投与検体については比較対照例で測定したリパーゼ活性の52−69%の活性値となった。本実施例から、胆汁酸をR−1、R−2のどちらに添加しても効果が認められることが示された。
(実施例16)カラー法
・基質の調製
溶解後の濃度が13.95mmol/Lになるよう1,2−ジオレオイルグリセロール(DODG)(日本精化製)を秤量しこれに2.5mmol/LのMES(同仁化学)を含有する1.2%ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル(NPE)(和光純薬工業株式会社)を加え、37度4時間撹拌し溶解させ、その後氷中に2時間以上静置した。
・試薬組成
比較対照例
(R−1)
1.5mmol/L MES (pH6.05)
1.5mmol/L 塩化カルシウム
3 mmol/L 硫酸マグネシウム
3 mmol/L ATP
1.05mmol/L 1,2−ジオレオイルグリセロール
0.09% NPE
0.045% N,N−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン2ナトリウム(TODB)(同仁化学製)
90 U/L グリセロキナーゼ(GKZ)(旭化成ファーマ製)
90 U/L モノグリセリドリパーゼ(MGLPII) (旭化成ファーマ製)
3200 U/L グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(GPOM)(旭化成ファーマ製)
2250 U/L パーオキシダーゼ (シグマ製)
(R−2)
150 mmol/L TAPS(pH8.1)
3 mmol/L 4−アミノアンチピリン
30 mmol/L デオキシコール酸ナトリウム
36000 U/L コリパーゼ
本実施例として、3通りの試薬を調製した。上記の比較対照例からの変更点のみを下記に示す。
実施例16−1
(R−1)
比較対照例の(R−1)にさらに下記成分を追加した。
12mmol/Lタウロデオキシコール酸ナトリウム
12mmol/L グリコデオキシコール酸ナトリウム
(R−2)
150 mmol/L BES(pH7.0)
3 mmol/L 4−アミノアンチピリン
36000 U/L コリパーゼ
実施例16−2
(R−1)比較対照例と同じ。
(R−2)
150 mmol/L BES(pH7.0)
3 mmol/L 4−アミノアンチピリン
36000 U/L コリパーゼ
15mmol/L タウロデオキシコール酸ナトリウム
15mmol/L グリコデオキシコール酸ナトリウム
実施例16−3
(R−1)
比較対照例の(R−1)にさらに下記成分を追加した。
18000 U/L コリパーゼ
(R−2)
150 mmol/L BES(pH7.0)
3 mmol/L 4−アミノアンチピリン
15mmol/L タウロデオキシコール酸ナトリウム
15mmol/L グリコデオキシコール酸ナトリウム
・検体
プレチパス、プレチノルム、セロノルムLIPID、ヘパリン非投与検体5種、ヘパリン投与検体9種。
・測定
実施例16−1に係る組成(1)、実施例16−2に係る組成(2)、及び実施例16−3に係る組成(3)の簡単な比較表を下記の表8に示す。なお、検体、R−1、R−2の混合比は3、160、80とした。
1,2−O−ジラウリル−rac−グリセロール−3−グルタル酸−(6−メチルレゾルフィン)エステル(DGGR)を用いたレゾルフィン比色法の市販試薬であるロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製「リキテック リパーゼカラーII」を効果を確認するために用いた。なお、本実施例に係る試薬及び比較対照例においては、暫定的なキャリブレーターを用いて活性を算出した。結果を表9に示す。ヘパリン非投与検体について、本実施例により測定したヒト膵リパーゼ活性が、比較対照例により測定した活性の87〜108%とほぼ同等の値を示したのに対して、ヘパリン投与検体については、47〜68%の範囲で活性が低下し、非膵リパーゼの影響が軽減したことが示された。本実施例においては、ジグリセリドとコリパーゼが別々の試薬に含まれている場合は、組成(1)、組成(2)での結果が示すように、胆汁酸は第一試薬、第二試薬のどちらに添加してもよい。また、ジグリセリドと胆汁酸が別々の試薬に含まれている場合、コリパーゼはどちらに添加してもよい(組成(2)と組成(3)の結果)。
また、「リキテック リパーゼカラーII」と、比較対照例と、の相関を図17に示す。リキテックに比べてヘパリン投与検体の測定値が、ヘパリン非投与検体の回帰直線から大きく逸脱していることがわかる。これに対し、図18に示すように、「リキテック リパーゼカラーII」と、本実施例と、の相関では、この点が改善され、ヘパリン投与検体の測定値は、ほぼヘパリン非投与検体の回帰直線上にあった。したがって、ヘパリン投与検体において、本実施例は、非膵リパーゼの影響を軽減可能なことが示された。
(実施例17)ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHと活性測定時のpHとの関係
抱合型胆汁酸としてNaGDCAを、非抱合胆汁酸としてNaCDCAを選択し、実施例2と同様の反応液を用いた。R−1中でのNaGDCA濃度は16mmol/L、NaCDCA濃度は24mmol/Lとし、この時のヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを求めたところ、7.6付近であった。
次に、この組成を用いpHを7.1及び7.6に調整し、ヘパリン投与検体2種を含む管理試料(膵リパーゼを含むコントロール)を測定した。同時にNaGDCAとNaTDCA(R−1中でそれぞれ20mmol/L)を含む本実施例の組成(MES緩衝液、pH6.2)についても測定を実施した。還元型NADPの分子吸光係数を用い、酵素活性を算出した。ヒト膵LP遺伝子組換え体を添加したプール血清の感度は、NaGDCAとNaCDCAの組合せでは、至適pHであるpH7.6の時を100%とするとpH7.1では約80%であった。NaGDCAとNaTDCAの組合せでpH6.2の反応液を用いて測定したヘパリン投与血清の測定値を、非膵リパーゼ活性の影響を受けていないヒト膵リパーゼ活性値を反映していると仮定し、NaGDCAとNaCDCAの組合せ組成のpH7.1、7.6それぞれの測定値をキャリブレーターで換算し、非膵リパーゼの影響度を評価した。
結果を表10に示す。ヘパリン投与検体のリパーゼ測定値はpH7.6では、相対値として182%、137%であったが、pH7.1においては、118%、100%と、非膵リパーゼの影響が軽減されていた。これらの結果から、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHと、リパーゼ活性測定時のpHと、が一致していなくとも、リパーゼ活性測定時のpHが7.4以下であれば、本実施例の効果が認められることが示された。また、リパーゼ活性測定時のpHが7.6の場合、相対値(%)は120%を超えていたことから、非膵リパーゼの影響を20%以上受けていることが示された。
(実施例18)ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHと活性測定時のpHとの関係
本実施例においては、抱合型胆汁酸としてNaTDCAを、また非抱合胆汁酸としてNaDCAを選択し、実施例2と同様の反応液を用いた。R−1中でのNaTDCA濃度は27mmol/L、NaDCA濃度は13mmol/Lとし、この時のヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを求めたところ、pH7.55付近であった。
次に、この組成を用いpHを7.1、7.55、及び7.75に調整し、ヘパリン投与検体2種を含む管理試料(膵リパーゼを含むコントロール)を測定した。実施例17と同様にNaGDCAとNaTDCA(R−1中でそれぞれ20mmol/L)を含む本実施例の組成(MES緩衝液、pH6.2)について測定したものを対象として、実施例17に従い、感度、影響度を評価した。
結果を表11に示す。ヒト膵LP遺伝子組換え体を添加したプール血清の感度は、NaTDCAとNaDCAの2対1混合では、至適pHであるpH7.55の時を100%とするとpH7.1では83%であった。一方、ヘパリン投与検体のリパーゼ測定値はpH7.75及び7.55では、相対値としてそれぞれ258.9%、244.5%及び156.3%、168.2%であったが、pH7.1においては、109.4%、103.0%と、非膵リパーゼの影響が軽減されていた。
実施例17の結果と同様これらの結果から、ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHと、リパーゼ活性測定時のpHと、が一致していなくとも、リパーゼ活性測定時のpHが7.4以下であれば、本実施例の効果が認められることが示された。また、リパーゼ活性測定時のpHが7.55の場合、相対値(%)は120%を超えていたことから、非膵リパーゼの影響を20%以上受けていることが示された。
(実施例19)非抱合型胆汁酸とその塩の比較
タウロデオキシコール酸とデオキシコール酸の組合せにつき、実施例3で用いたデオキシコール酸ナトリウム塩の代わりに、非抱合型胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA)を用いて試薬を調製した。タウロデオキシコール酸としてはナトリウム塩に固定した。図19に示すように、タウロデオキシコール酸とデオキシコール酸の比率を24/12mmol/Lとした時、及び0/36mmol/Lについて、ナトリウム塩を用いた場合と非抱合型の酸を用いた場合で、結果に差は認められなかった。したがって、胆汁酸が塩であるか否かは、本実施例に係るヒト膵リパーゼの活性測定に影響しないことが示された。
本発明により、非膵リパーゼの影響を軽減した再現性の良い、試料中のヒト膵リパーゼ活性測定方法を提供することができ、例えば、急性膵炎等の膵臓疾患の診断マーカーとしてのヒト膵パーゼ測定に利用可能である。

Claims (34)

  1. 試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法であって、
    1)前記ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼと、前記試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、
    2)前記試料中の前記ヒト膵リパーゼ活性に応じて変化するシグナル量を検出する検出工程と、
    を含む測定方法であり、
    前記胆汁酸が、
    a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸;及び/又は
    b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せ;
    を含む胆汁酸である、
    測定方法。
  2. 前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料である請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記接触工程において、前記a)の胆汁酸が用いられる、請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. 前記a)の胆汁酸を用いる場合において、前記a型胆汁酸の添加割合が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の測定方法。
  5. 前記接触工程において、前記b)の胆汁酸が用いられる、請求項1又は2に記載の測定方法。
  6. 前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の測定方法。
  7. 前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の測定方法。
  8. 前記a型胆汁酸が、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の測定方法。
  9. 前記ジグリセリドと共に、非イオン界面活性剤が存在する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の測定方法。
  10. 前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン2級アルコールエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項9に記載の測定方法。
  11. 前記検出工程において、比色法が用いられる、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の測定方法。
  12. 前記接触工程において、全胆汁酸の濃度がモル比で前記ジグリセリドに対して10倍以上である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の測定方法。
  13. 前記接触工程において、pHが7.2以下である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の測定方法。
  14. ヒト膵リパーゼの活性の最大値を与えるpHを7.7未満にする胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼを少なくとも含む、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定用キットであって、
    前記ヒト膵リパーゼ活性の測定時のpHが7.4以下となるよう調製されており、
    前記胆汁酸が、
    a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸;及び/又は
    b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せ;
    を含む胆汁酸である、
    キット。
  15. 前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料である、請求項14に記載のキット。
  16. 色原体を更に含む、請求項14又は15に記載のキット。
  17. 活性測定時のpHが7.2以下となるように調整された、請求項14ないし16のいずれか1項に記載のキット。
  18. 内容物が複数の容器に分けて保存されている、請求項14ないし17のいずれか1項に記載のキット。
  19. 試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定方法であって、
    1)胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼと、前記試料とを、pH7.4以下で接触せしめる接触工程と、
    2)前記試料中の前記ヒト膵リパーゼ活性に応じて変化するシグナル量を検出する検出工程と、
    を含む測定方法であり、
    前記ジグリセリドの濃度が0.35〜2.5mmol/Lであり、前記胆汁酸の濃度がモル比で前記ジグリセリドの濃度の10〜20倍であり、
    前記胆汁酸が、
    a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸を含む胆汁酸であって、前記a型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である胆汁酸;又は
    b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せを含む胆汁酸であって、前記b−1型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して30〜70%である胆汁酸;
    である、
    測定方法。
  20. 前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料である、請求項19に記載の測定方法。
  21. 前記接触工程において、前記a)の胆汁酸が用いられる、請求項19又は20に記載の測定方法。
  22. 前記接触工程において、前記b)の胆汁酸が用いられる、請求項19又は20に記載の測定方法。
  23. 前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、請求項19ないし21のいずれか1項に記載の測定方法。
  24. 前記a型胆汁酸が、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項19ないし21のいずれか1項に記載の測定方法。
  25. 前記a型胆汁酸が、タウロデオキシコール酸(TDCA)及びその塩から選択される1種又は2種である、請求項19ないし21のいずれか1項に記載の測定方法。
  26. 前記ジグリセリドと共に、非イオン界面活性剤が存在する、請求項19ないし25のいずれか1項に記載の測定方法。
  27. 前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン2級アルコールエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項26に記載の測定方法。
  28. 前記検出工程において、比色法が用いられる、請求項19ないし27のいずれか1項に記載の測定方法。
  29. 前記接触工程において、pHが7.2以下である、請求項19ないし28のいずれか1項に記載の測定方法。
  30. 胆汁酸、ジグリセリド、及びコリパーゼを少なくとも含む、試料中のヒト膵リパーゼ活性の測定用キットであって、
    前記ヒト膵リパーゼ活性の測定時のpHが7.4以下となるよう調製されており、かつ少なくとも前記胆汁酸、前記ジグリセリド、及び前記コリパーゼと、前記試料と、を接触させる反応液中の前記ジグリセリドの濃度が0.35〜2.5mmol/Lであり、前記胆汁酸の濃度がモル比で前記ジグリセリドの濃度の10〜20倍となるよう調製されており、
    前記胆汁酸が、
    a)グリコデオキシコール酸(GDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のa型胆汁酸を含む胆汁酸であって、前記a型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して40%以上である胆汁酸;又は
    b)グリココール酸(GCA)、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)、タウロコール酸(TCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−1型胆汁酸と、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びそれらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上のb−2型胆汁酸と、の組合せを含む胆汁酸であって、前記b−1型胆汁酸のモル比が、全ての胆汁酸及び/又はその塩の総量に対して30〜70%である胆汁酸;
    である、
    キット。
  31. 前記試料がヒト非膵リパーゼの混在することがある試料である請求項30に記載のキット。
  32. 色原体を更に含む、請求項30又は31に記載のキット。
  33. 活性測定時のpHが7.2以下となるように調整された、請求項30ないし32のいずれか1項に記載のキット。
  34. 内容物が複数の容器に分けて保存されている、請求項30ないし33のいずれか1項に記載のキット。
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