JP4829927B2 - 4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル類及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類は、それ自体、液晶表示素子、半導体等のフォトレジスト等の原料、液晶ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の合成樹脂原料として有用であり、その化合物性能の改良が種々要求されてきているが、これらの中でも、液晶性に優れ、同時に他の特性の改良もできる4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類の提供が望まれている。
一般式(1)
(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
一般式(2)
(式中、R及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
一般式(3)
(式中、R及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
一般式(1)
(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
上記炭素数1〜3のアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基等を挙げることができる。これらの中ではイソプロピル基が好ましい。
一般式(2)
(式中、R及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
上記炭素数1〜3のアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基等を挙げることができる。これらの中ではイソプロピル基が好ましい。
一般式(3)
(式中、R及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
上記一般式(3)で表される4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、触媒の不存在下に行ってもよいが、好ましくは、アルカリ触媒の存在下に行われる。このアルカリ触媒としては、特に、限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド等のアルカリ金属フェノキシド、水酸化マグネシウム又は水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を挙げることができる。これらの中では、特に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましく用いられる。
上記4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、好ましくは、溶媒の存在下に行われる。
また、市販の有機熱媒体である「サームエス」(新日鉄化学株式会社製)又は「SK−OIL」(綜研化学株式会社製)等も用いられる。
このような溶媒は、用いるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類100重量部に対して、通常、20〜2000重量部、好ましくは、100〜800重量部の範囲で用いられる。
4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、通常、150〜300℃の範囲、好ましくは、180〜250℃の範囲の温度で行われる。
このような反応条件において、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、通常、1〜6時間程度で終了する。熱分解反応は、例えば、分解反応によって生成するアルキルフェノール類の溜出がなくなった時点をその終点とすることができる。
本発明の製造方法において、原料として使用することができる、一般式(2)で表される4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類は、精製した高純度のものでもよく、また、上記4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解によって得られた反応混合物を、熱分解においてアルカリ触媒を用いた場合には、得られた反応混合物に酸を加えてアルカリを中和した後、反応混合物に晶析濾過等の精製を施すことなく、中和後の反応混合物から水相を分離して得られた油相をそのまま脱水素反応の原料として用いてもよい。反応工程の簡略化の観点からは後者の方法が好ましい。
上記脱水素反応においては、水素受容体を共存させても良く,また共存させなくても良いが、より高収率にて目的物を得るためには、水素受容体を共存させることが好ましい。このような水素受容体としては,特に限定されるものではないが,例えば、α―メチルスチレン等のスチレン類、ニトロベンゼン、メチルイソブチルケトン、フェノール等が好ましく用いられる。
溶媒の量は、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類100重量部に対し、通常10〜1000重量部、好ましくは、100〜300重量部の範囲で用いられる。また、脱水素反応の反応温度は、通常、100〜250℃の範囲であり、好ましくは、130〜200℃の範囲である。反応は、好ましくは、常圧下で行われる。
4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類に対する収率は,通常80%ないしそれ以上である。また、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類をアルカリの存在下に熱分解し、得られた4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類を含む反応混合物を中和し、又は触媒を分離した後、精製せずに、これを原料として、引き続いて、脱水素反応を行った場合は、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類に対する収率は、通常、70%又はそれ以上である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成(化合物6);
4,4,4’,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン(化合物1)235.5g、テトラエチレングリコール256.9g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.7gを反応容器(1L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度198℃で2時間30分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水128gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリーを得た。
このようにして得られた上記スラリー液にメタノール202gを加え、晶析し、次いで濾過を行って、淡赤黄色固体を69.4gを得た。
次いで、500mlの四つ口フラスコに、得られた淡赤黄色固体69.4gと水277gを仕込み、窒素置換した後、温度82℃において、2時間攪拌した後、スラリー液を冷却、濾過、次いで乾燥を行い、純度98.0%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3(化合物6)51.5gを淡黄灰白色固体として得た。
原料の4,4,4’ ,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサンに対する収率は77.2モル%であった。
分子量:375(M+H)+(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒 DMSO-d)
δ(ppm):2.20(s,6H,a〜b), 1.38〜2.52(m,14H,c〜j), 6.01(s,2H,k〜l), 6.74〜7.17 (d,s,6H,m〜r), 8.07(s,2H,s,t)
化合物1
化合物6
分子量:366(M+)(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz,溶媒DMSO−d6)
化合物7
4,4’−ジ(3−イソプロピルー4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成(化合物8);
4,4,4’,4’−テトラ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン(化合物2)175.9g、テトラエチレングリコール175.9g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.9gを反応容器(1L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度198℃で3時間40分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水140gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリー液を得た。
このようにして得られた上記スラリー液にトルエン141gを加え、60℃に昇温して結晶を溶解し、次いでこれを水洗した後、水層を分離して、目的物を含む油層を得た。得られた油層にメチルイソブチルケトンと水を加えて、洗浄し、その後、水層を分液して、再度油層を得た。得られた油層を冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度98.3%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の淡黄色固体39.2gを得た。
原料の4,4,4’,4’−テトラ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサンに対する収率は56.7モル%であった。
分子量:431(M+H)+(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒 DMSO-d)
δ(ppm):1.26〜1.31(d,12H,a〜b), 1.36〜2.52(m,14H,e〜l), 3.14〜3.25(m,2H,m〜n), 4.65(s,2H,o〜p), 6.03(s,2H,q〜r), 6.68〜7.25(d,s,6H,s〜x)
化合物2
化合物8
分子量:422(M+)(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒DMSO−d6)
化合物9
4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成(化合物10);
4,4,4’,4’−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン(化合物3)295.1g、テトラエチレングリコール401.5g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.0gを反応容器(2L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度199℃で2時間30分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水200gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリーを得た。
このようにして得られた上記スラリー液にメタノール332gを加え、晶析し、次いで濾過を行って、黄色固体を131.2gを得た。
次いで、1000mlの四つ口フラスコに、得られた黄色固体131.2gと水524gを仕込み、実施例1と同様にして、純度98.9%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3(式10の化合物)112.3gを黄色固体として得た。
原料の4,4,4’,4’−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサンに対する収率は84.5モル%であった。
分子量:403(M+H)+(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒 DMSO-d)
δ(ppm):2.12(s,12H,a〜d), 1.27〜2.43(m,14H,e〜l), 5.95(s,2H,m〜n), 6.94(s,4H,o〜r),8.10(s,2H,s〜t)
化合物3
化合物10
次いで、反応終了混合物にテトラヒドロフラン750.0gを加え、63℃において濾過して、触媒を徐いた。さらに、この触媒を濾過した溶液を、温度94℃まで加温して、溶媒を一部留去した後、24℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度99.7%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の目的物である3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル(化合物11)39.4gを淡黄色白色固体として得た。原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する収率は81.0モル%であった。
分子量:394(M+)(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒DMSO−d6)
化合物11
3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルの合成;
実施例3において、テトラエチレングリコール100.0gに替えてクメン100.0gを使用した以外は、実施例3と同様にして、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は10.2モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。
3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルの合成;
実施例3において、テトラエチレングリコール100.0gに替えてジフェニルエーテル100.0gを使用した以外は、実施例3と同様にして、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は33.4モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。
3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルの合成;
実施例3において、テトラエチレングリコール100.0gに替えてN,N−ジメチルホルムアミド100.0gを使用し、反応温度を約161℃に替えて150℃とした以外は、実施例3と同様にして、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は60.8モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。
Claims (3)
- 一般式(1)
(式中、nは1〜3の整数を示し、nが1の場合はRは炭素原子数2〜3のアルキル基を表し、nが2又は3の場合はRは炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。)
で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォ―ターフェニル類 - 3,3’’’−ジイソプロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル
- 3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル
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