JP4162615B2 - 4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォ―ターフェニル類の製造方法。 - Google Patents

4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォ―ターフェニル類の製造方法。 Download PDF

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本発明は、両末端のヒドロキシフェニル基に共に低級アルキル基を有する新規な4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類及びその製造方法に関する。
従来、4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類に関しては、そのアルキル置換体は、殆ど知られていず、僅かにJournal of Chemical Research,Synopses(7) 318-3191996 に、3,5,3’’’,5’’’−テトラ−t−ブチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルが記載されているに過ぎない。また、その製造方法もハロゲノビフェニル化合物の2量化であり、高純度の化合物を収率良く工業的に製造する方法としては、満足すべきものではない。
一方、4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類は、それ自体、液晶表示素子、半導体等のフォトレジスト等の原料、液晶ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の合成樹脂原料として有用であり、その化合物性能の改良が種々要求されてきているが、これらの中でも、液晶性に優れ、同時に他の特性の改良もできる4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類の提供が望まれている。
従って、本発明は、液晶性に優れ、同時に他の特性の改良もできる新規な4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類を提供することを課題とする。また、これらの4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類を、高純度に、収率良く、工業的に製造できる方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明者らは、液晶性に優れ、同時に他の特性の改良もできる新規な4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類を鋭意検討した結果、両末端のヒドロキシフェニル基に共に低級アルキル置換基を有する4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類は、液晶性に優れ、同時に低融点、溶媒への溶解性向上等の特性の改良もできることを見出した。さらに、これらは、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類を、溶媒の存在下に、熱分解して得られる4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン類を触媒の存在下に、好ましくは多価フェノール溶媒中で、脱水素することにより、高純度に、収率良く工業的に製造できることを見出した。
すなわち、本発明によれば、下記一般式(1)で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類が提供される。
一般式(1)
(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を示し、但し、nが1の場合、Rが3,3’’’−位に置換したメチル基である場合を除く。)
また、本発明によれば、下記一般式(2)で表される、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3を溶媒中、触媒の存在下に、脱水素することを特徴とする、一般式(3)で表される、4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類の製造方法が提供される。
一般式(2)
(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
一般式(3)
(式中、R、nは上記一般式(2)のそれと同じである。)
さらに、本発明によれば、下記一般式(4)で表される、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサンを、溶媒の存在下に、熱分解して、上記一般式(2)で表される、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3を得、次いで、これを溶媒中、触媒の存在下に脱水素することを特徴とする上記一般式(3)で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類の製造方法が提供される。
一般式(4)
(式中、R及びnは一般式(2)のそれと同じである。)
以上のように、本発明によれば、液晶性に優れ、同時に低融点、溶媒への溶解性向上等の特性の改良もできる新規な4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類が提供される。また、本発明によれば、これらの4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類を、高純度に、収率良く、工業的に製造できる方法が提供される。
本発明の4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類は下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
上記一般式(1)で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類において、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、nは1〜3の整数である。
上記炭素数1〜3のアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基等を挙げることができる。これらの中ではイソプロピル基が好ましい。
従って、上記一般式(I)で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類としては、具体的には、例えば、2,2’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,2’’’−ジエチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,2’’’−ジn−プロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,2’’’−ジイソプロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,3’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,3’’’−ジエチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,3’’’−ジn−プロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,3’’’−ジイソプロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,5,3’’’,5’’’−テトラエチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、3,5,3’’’,5’’’−テトラn−プロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,5,2’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,5,2’’’,5’’’−テトラエチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,3,5,2’’’,3’’’,5’’’−ヘキサメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,3,6,2’’’,3’’’, 6’’’−ヘキサメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,2 ’’’−ジメチル−5,5’’’−ジエチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、2,2’’’−ジメチル−5,5’’’−ジn−プロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル、等が挙げられる。
このような、本発明における一般式(1)で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類は、本発明においては、下記一般式(2)で表される、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類を溶媒中、触媒の存在下に、脱水素することによって製造することができる。
一般式(2)
(式中、R及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
上記一般式(2)において、R及びnは一般式(1)のそれと同じであり,従って、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、nは1〜3の整数である。
上記炭素数1〜3のアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基等を挙げることができる。これらの中ではイソプロピル基が好ましい。
従って、上記一般式(2)で表される4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類としては、具体的には、例えば、4,4’−ジ(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(2、3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(2、3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、4,4’−ジ(2−メチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3、等を挙げることができる。
このような、一般式(2)で表される4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類は、例えば、下記一般式(3)で表される、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類を、溶媒中、好ましくはアルカリの存在下に、熱分解することにより得ることができる。この場合、原料4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類に対応した、熱分解生成物の上記4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類を得ることができる。
一般式(3)
(式中、R及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
上記一般式(3)で表される4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類としては、具体的には、例えば、4,4,4’,4’−テトラ(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(3,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン、4,4,4’,4’−テトラ(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン等を挙げることができる。
上記一般式(3)で表される4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類は、例えば、特開2000−34248号公報に記載されているように、酸触媒の存在下に、4,4’−ビシクロヘキサノンと置換フェノール類を反応させることにより容易に得ることができる。
上記一般式(3)で表される4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、触媒の不存在下に行ってもよいが、好ましくは、アルカリ触媒の存在下に行われる。このアルカリ触媒としては、特に、限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド等のアルカリ金属フェノキシド、水酸化マグネシウム又は水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を挙げることができる。これらの中では、特に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましく用いられる。
このように、アルカリ触媒を用いる場合は、アルカリ触媒は、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類100重量部に対して、通常、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜15重量部の範囲で用いられる。触媒の使用形態は、特に制限はないが、仕込み操作が容易である点から、好ましくは、10〜50重量%の水溶液として用いられる。
上記4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、好ましくは、溶媒の存在下に行われる。
上記溶媒としては、熱分解温度において不活性であり、しかも、反応混合物から溜出しない溶媒であれば、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等のポリエチレングリコール類、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール類、グリセリン等の多価アルコール類が用いられる。
また、市販の有機熱媒体である「サームエス」(新日鉄化学株式会社製)又は「SK−OIL」(綜研化学株式会社製)等も用いられる。
このような溶媒は、用いるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類100重量部に対して、通常、20〜2000重量部、好ましくは、100〜800重量部の範囲で用いられる。
4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、通常、150〜300℃の範囲、好ましくは、180〜250℃の範囲の温度で行われる。
また、熱分解の反応圧力は、特に限定されるものではないが、通常、常圧ないし減圧下の範囲であり、例えば、1〜760mmHgゲージの範囲、好ましくは、10〜50mmHgゲージの範囲である。
このような反応条件において、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解は、通常、1〜6時間程度で終了する。熱分解反応は、例えば、分解反応によって生成するアルキルフェノール類の溜出がなくなった時点をその終点とすることができる。
好ましい態様によれば、例えば、反応容器にヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類、テトラエチレングリコール等の溶媒を仕込み、温度190〜220℃、圧力10〜50mmHgゲージで3〜6時間程度、分解反応によって生成したアルキルフェノール類を溜去しながら、撹拌することによって行われる。このようにして、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類を熱分解することによって一般式(2)で表される4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類を、通常、90%程度の反応収率にて得ることができる。
例えば、上記の方法で得られた、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類を、溶媒中、脱水素触媒の存在下に、これを脱水素処理することにより、本発明における一般式(1)で表される4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類を高純度に、収率良く製造することができる。
本発明の製造方法において、原料として使用することができる、一般式(2)で表される4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類は、精製した高純度のものでもよく、また、上記4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解によって得られた反応混合物を、熱分解においてアルカリ触媒を用いた場合には、得られた反応混合物に酸を加えてアルカリを中和した後、反応混合物に晶析濾過等の精製を施すことなく、中和後の反応混合物から水相を分離して得られた油相をそのまま脱水素反応の原料として用いてもよい。反応工程の簡略化の観点からは後者の方法が好ましい。
脱水素触媒としては、従来より知られている脱水素触媒を用いることができる。従って、例えば、ラネーニッケル、還元ニッケル、ニッケル坦持触媒等のニッケル触媒、ラネーコバルト、還元コバルト、コバルト坦持触媒等のコバルト触媒、ラネー銅等の銅触媒、酸化パラジウム、パラジウム黒、パラジウム/カーボン等のパラジウム触媒、プラチナ黒、プラチナ/カーボン等のプラチナ触媒、ロジウム触媒、クロム触媒、銅クロム触媒等が用いられる。これらの中では、特にパラジウム等の白金族触媒が好ましく、特にパラジウム触媒が好ましく用いられる。
このような脱水素触媒は,原料である4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類100重量部に対し、通常、1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部の範囲で用いられる。
上記脱水素反応においては、水素受容体を共存させても良く,また共存させなくても良いが、より高収率にて目的物を得るためには、水素受容体を共存させることが好ましい。このような水素受容体としては,特に限定されるものではないが,例えば、α―メチルスチレン等のスチレン類、ニトロベンゼン、メチルイソブチルケトン、フェノール等が好ましく用いられる。
4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類の脱水素反応は、気相においても行うことができるが、操作性の点から、好ましくは、溶液状で行うのが好ましく、その際、反応を円滑に進行させるため、溶媒を用いるのが好ましい。この溶媒としては、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等のポリエチレングリコール類、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール類、グリセリン等の多価アルコール類が用いられる。これらの中でも特に、エチレングリコール類が好ましい。工程の合理化の点からは、例えば、上記4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類の熱分解反応において溶媒としてテトラエチレングリコールを用いた場合は、これをそのまま用いることが好ましい。
溶媒の量は、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類100重量部に対し、通常10〜1000重量部、好ましくは、100〜300重量部の範囲で用いられる。また、脱水素反応の反応温度は、通常、100〜250℃の範囲であり、好ましくは、130〜200℃の範囲である。反応は、好ましくは、常圧下で行われる。
このような反応条件において、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類の脱水素反応は,通常、5〜10時間程度で完結し、本発明の目的物である4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類を得ることができる。
4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類に対する収率は,通常80%ないしそれ以上である。また、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類をアルカリの存在下に熱分解し、得られた4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン−3類を含む反応混合物を中和し、又は触媒を分離した後、精製せずに、これを原料として、引き続いて、脱水素反応を行った場合は、4,4,4’,4’−テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサン類に対する収率は、通常、70%又はそれ以上である。
脱水素反応で得られた反応混合物は、常法に従って、触媒を分離した後、晶析濾過等の方法によって、本発明の4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル類の粗製品を得ることができる。これを更に必要に応じて、再度、晶析濾過等の方法にて精製すれば,高純度品を得ることができる。
「実施例」
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
「参考例1」
4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成(化合物6);
4,4,4’,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン(化合物1)235.5g、テトラエチレングリコール256.9g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.7gを反応容器(1L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度198℃で2時間30分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水128gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリーを得た。
このようにして得られた上記スラリー液にメタノール202gを加え、晶析し、次いで濾過を行って、淡赤黄色固体を69.4gを得た。
次いで、500mlの四つ口フラスコに、得られた淡赤黄色固体69.4gと水277gを仕込み、窒素置換した後、温度82℃において、2時間攪拌した後、スラリー液を冷却、濾過、次いで乾燥を行い、純度98.0%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3(化合物6)51.5gを淡黄灰白色固体として得た。
原料の4,4,4’ ,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサンに対する収率は77.2モル%であった。
融点:227℃(示差熱分析法)
分子量:375(M+H)+(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒 DMSO-d)
δ(ppm):2.20(s,6H,a〜b), 1.38〜2.52(m,14H,c〜j), 6.01(s,2H,k〜l), 6.74〜7.17 (d,s,6H,m〜r), 8.07(s,2H,s,t)
化合物1
化合物6
上記参考例1で得られた、4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を80.0g、5%カーボン坦持パラジウム触媒(含水率50%品)8.0g、α−メチルスチレン202.3g及びテトラエチレングリコール160.0gを反応容器に(3L容量の4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、昇温して、温度約160℃で6時間、脱水素反応を行った。反応終了後、反応終了混合物にジメチルホルムアミド1146.9gを加え、67℃において濾過して、触媒を徐いた。次いで、この触媒を濾過した溶液を20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度99.6%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の3,3’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル(化合物7)54.8gを淡黄色白色固体として得た。原料4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3 に対する収率は71.1モル%であった。
融点:213.2℃、293.3℃(示差熱分析法)
分子量:366(M)(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz,溶媒DMSO−d6)
化合物7
「参考例2」
4,4’−ジ(3−イソプロピルー4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成(化合物8);
4,4,4’,4’−テトラ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン(化合物2)175.9g、テトラエチレングリコール175.9g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.9gを反応容器(1L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度198℃で3時間40分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水140gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリー液を得た。
このようにして得られた上記スラリー液にトルエン141gを加え、60℃に昇温して結晶を溶解し、次いでこれを水洗した後、水層を分離して、目的物を含む油層を得た。得られた油層にメチルイソブチルケトンと水を加えて、洗浄し、その後、水層を分液して、再度油層を得た。得られた油層を冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度98.3%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の淡黄色固体39.2gを得た。
原料の4,4,4’,4’−テトラ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサンに対する収率は56.7モル%であった。
融点:165℃(示差熱分析法)
分子量:431(M+H)+(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒 DMSO-d)
δ(ppm):1.26〜1.31(d,12H,a〜b), 1.36〜2.52(m,14H,e〜l), 3.14〜3.25(m,2H,m〜n), 4.65(s,2H,o〜p), 6.03(s,2H,q〜r), 6.68〜7.25(d,s,6H,s〜x)

化合物2
化合物8
上記参考例2で得られた、4,4’−ジ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を54.2g、5%カーボン坦持パラジウム触媒(含水率50%品)5.4g、α−メチルスチレン117.8g及びテトラエチレングリコール108.4gを反応容器に(1L容量の4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、昇温して、温度約157℃で9時間、脱水素反応を行った。反応終了後、反応終了混合物にメタノール94.3gを加え、21℃において濾過して、触媒を徐いた。次いで、この触媒を濾過した溶液を、温度130℃まで加温して、溶媒を一部留去し濃縮した後、これにトルエン、メチルイソブチルケトンを加え、次いで水を加えて、80℃において水洗後、水層を分離した。得られた油相を内温127℃まで濃縮し、これにトルエンを加えた後、17℃まで冷却して、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度96.6%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の3,3’’’−ジイソプロピル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル(化合物9)39.7gを白色固体として得た。原料4,4’−ジ(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する収率は73.3モル%であった。
融点:230.5℃(示差熱分析法)
分子量:422(M)(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒DMSO−d6)

化合物9

「参考例3」
4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成(化合物10);
4,4,4’,4’−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン(化合物3)295.1g、テトラエチレングリコール401.5g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.0gを反応容器(2L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度199℃で2時間30分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水200gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリーを得た。
このようにして得られた上記スラリー液にメタノール332gを加え、晶析し、次いで濾過を行って、黄色固体を131.2gを得た。
次いで、1000mlの四つ口フラスコに、得られた黄色固体131.2gと水524gを仕込み、実施例1と同様にして、純度98.9%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3(式10の化合物)112.3gを黄色固体として得た。
原料の4,4,4’,4’−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサンに対する収率は84.5モル%であった。
融点:233℃(示差熱分析法)
分子量:403(M+H)+(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒 DMSO-d)
δ(ppm):2.12(s,12H,a〜d), 1.27〜2.43(m,14H,e〜l), 5.95(s,2H,m〜n), 6.94(s,4H,o〜r),8.10(s,2H,s〜t)
化合物3
化合物10
上記参考例3で得られた、4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を50.0g、5%カーボン坦持パラジウム触媒(含水率50%品)5.0g、α−メチルスチレン117.5g及びテトラエチレングリコール100.0gを反応容器に(2L容量の4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、昇温して、温度約161℃で6時間、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は、92.7モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。
次いで、反応終了混合物にテトラヒドロフラン750.0gを加え、63℃において濾過して、触媒を徐いた。さらに、この触媒を濾過した溶液を、温度94℃まで加温して、溶媒を一部留去した後、24℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度99.7%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の目的物である3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル(化合物11)39.4gを淡黄色白色固体として得た。原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する収率は81.0モル%であった。
融点:265.5℃(示差熱分析法)
分子量394(M+)(質量分析法)
プロトンNMR分析(400MHz、溶媒DMSO−d6)
化合物11
「製法比較例1」
3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルの合成;
実施例3において、テトラエチレングリコール100.0gに替えてクメン100.0gを使用した以外は、実施例3と同様にして、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は10.2モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。
「製法比較例2」
3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルの合成;
実施例3において、テトラエチレングリコール100.0gに替えてジフェニルエーテル100.0gを使用した以外は、実施例3と同様にして、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は33.4モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。
「製法比較例3」
3,5,3’’’,5’’’−テトラメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニルの合成;
実施例3において、テトラエチレングリコール100.0gに替えてN,N−ジメチルホルムアミド100.0gを使用し、反応温度を約161℃に替えて150℃とした以外は、実施例3と同様にして、脱水素反応を行った。反応終了後の原料4,4’−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3に対する目的物の反応収率は60.8モル%(高速液体クロマトグラフィー分析による)であった。



Claims (3)

  1. 下記一般式(2)
    一般式(2)
    (式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
    で表される、4,4’−ジヒドロキシフェニル−ビシクロヘキセン類を溶媒中、触媒の存在下に、脱水素することを特徴とする下記一般式(3)で表される4, 4’’’−ジヒ ドロキシ−P−クォ―ターフェニル類の製造方法。
    一般式(3)
    (式中、R、nは上記一般式(2)のそれと同じである。)
  2. 溶媒として多価アルコールを用いることを特徴とする請求項1記載の4, 4’’’− ジヒドロキシ−P−クォ―ターフェニル類の製造方法。
  3. 下記一般式(4)で表される、4,4,4’,4’テトラヒドロキシフェニル−ビシクロヘキサンを、溶媒の存在下に熱分解して、請求項1記載の一般式(2)で表される化合物を得、ついで、これを溶媒中、触媒の存在下に脱水素することを特徴とする請求項 1記載の4, 4’’’−ジヒドロキシ−P−クォ―ターフェニル類の製造方法。
    一般式(4)
    (式中、Rおよびnは一般式(2)のそれと同じである)
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