JP4757282B2 - 4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類 - Google Patents

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本発明は、分子の一方の末端のヒドロキシフェニル基にのみ、低級アルキル基を有する非対称構造の新規な4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類に関する。本発明によるそのような4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類は、液晶ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の合成樹脂原料、表示素子、半導体等のフォトレジスト原料等として有用性が期待できる。
従来、4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類については、例えば、特開平1−168632号公報に、1,4−シクロヘキサンジオンとフェノールとから1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを製造し、これを分解脱水素することによって、4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニルを得ることができることが記載されている。また、特開平2−212449号公報には、4−メトキシ−4’−ブロモビフェニルと4−メトキシ−3−フェニルマグネシウムブロミドをグリニヤールカップリングさせ、次いで、脱メチルすることによって、4,4”−ジヒドロキシ−3−フェニル−p−ターフェニルを得ることができることが記載されている。
しかし、4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニルのように、分子構造が対称のジヒドロキシターフェニルや、また、上記4,4”−ジヒドロキシ−3−フェニル−p−ターフェニルのように、分子構造が非対称であっても、従来より知られているジヒドロキシターフェニル類は、合成樹脂原料、フォトレジスト原料等の分野に使用する場合、例えば、溶剤への溶解性に制限がある等の問題点がある。従って、近年、溶剤への溶解性にすぐれた特性を有して、合成樹脂原料、フォトレジスト原料等、種々の分野において、一層、有効に利用することができる新規な4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類の開発が強く要望されている。
本発明は、上述した要望に応えるためになされたものであって、分子の一方の末端のヒドロキシフェニル基にのみ、低級アルキル基を有する非対称の分子構造を有し、かくして、例えば、有機溶剤への溶解性にすぐれることが期待される新規な4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
Figure 0004757282
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数である。)で表される4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類が提供される。
本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類は、分子の一方の末端のヒドロキシフェニル基にのみ、低級アルキル基が置換されている非対称構造を有し、かくして、このような非対称構造の4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類は、対称構造の4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類に比べて、例えば、有機溶媒への溶解性にすぐれていることが期待され、液晶ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、等の合成樹脂原料、表示素子、半導体等のフォトレジスト原料等として、一層の有用性が期待される。
本発明による新規な4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類は、一般式(I)
Figure 0004757282
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数である。)で表される。
上記一般式(I)で表される4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、プロピル基又はブチル基は直鎖状でも分岐状でもよい。また、nは1〜3の整数である。
従って、本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類の好ましい具体例として、例えば、4,4”−ジヒドロキシ−3”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−エチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−エチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−n−プロピル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−n−プロピル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−イソプロピル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−イソプロピル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−n−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−n−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−イソブチル−p−ターフェニル、4、4”−ジヒドロキシ−2”−イソブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−s−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−s−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−t−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”−t−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,6”−ジメチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,5”−ジメチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”,3”,6”−トリメチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−2”,3”,5”−トリメチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−イソプロピル−6”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−イソプロピル−5”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−t−ブチル−6”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−t−ブチル−5”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,5”−ジ−t−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,5”−ジ−イソプロピル−p−ターフェニル等を挙げることができる。
これらのなかでも、特に好ましい具体例として、4,4”−ジヒドロキシ−3”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−エチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−イソプロピル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−t−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,5”−ジメチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”−イソプロピル−5”−メチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,5”−ジ−t−ブチル−p−ターフェニル、4,4”−ジヒドロキシ−3”,5”−ジ−イソプロピル−p−ターフェニル等を挙げることができる。
このような、本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類は、例えば、一般式(II)
Figure 0004757282
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数である。)で表されるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類を、好ましくはアルカリ触媒の存在下に、熱分解し、次いで、得られた反応混合物を脱水素反応に付することによって得ることができる。
このような方法において、出発原料である上記一般式(II)で表されるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類中、Rは、前記一般式(I)におけるものと同一である。
従って、上記一般式(II)で表されるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の具体例として、例えば、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−イソプロピル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3,5−ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類の製造の出発原料である上記一般式(II)で表されるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、例えば、特開2000−63308号公報に記載されているように、酸触媒の存在下に、4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノンに置換フェノール類を反応させることによって容易に得ることができる。
上記ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解は、触媒の不存在下に行ってもよいが、好ましくは、アルカリ触媒の存在下に行われる。このアルカリ触媒としては、特に、限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド等のアルカリ金属フェノキシド、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましく用いられる。
このように、アルカリ触媒を用いる場合は、アルカリ触媒は、ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類100重量部に対して、通常、0.01〜30重量部、好ましくは、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。触媒の使用形態は、特に制限はないが、仕込み操作が容易である点から、好ましくは、10〜50重量%の水溶液として用いられる。
上記ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解は、原料であるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類及び/又はその熱分解による反応生成物の融点が高いので、上記ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解温度において、その液状性の改善を図るため、更には、その熱分解による反応生成物の熱重合を防止するために、好ましくは、反応溶媒の存在下に行われる。
上記反応溶媒としては、熱分解温度において不活性であり、しかも、反応混合物から留出しない溶媒であれば、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等のポリエチレングリコール類、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類、グリセリン等の多価アルコール類が用いられる。また、市販の有機熱媒体である「サームエス」(新日鉄化学(株)製)や「SK−OIL」(綜研化学(株)製)等も用いられる。
このような溶媒は、用いるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類100重量部に対して、通常、10〜150重量部、好ましくは、30〜100重量部の範囲で用いられる。
ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解は、通常、150〜300℃の範囲、好ましくは、180〜250℃の範囲の温度で行われる。熱分解温度が低すぎるときは、反応速度が遅すぎ、他方、熱分解温度が高すぎるときは、望ましくない副反応が多くなるからである。また、熱分解の反応圧力は、特に、限定されるものではないが、通常、常圧乃至減圧下の範囲であり、例えば、1〜760mmHgゲージの範囲、好ましくは、30〜50mmHgゲージの範囲である。
このような反応条件において、ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解は、通常、1〜6時間程度で終了する。熱分解反応は、例えば、分解反応によって生成するアルキルフェノール類の留出がなくなった時点をその終点とすることができる。
好ましい態様によれば、ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解反応は、例えば、反応容器にヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類とアルカリ触媒とテトラエチレングリコール等の溶媒を仕込み、温度190〜220℃、圧力30〜50mmHgゲージで3〜6時間程度、分解反応によって生成したアルキルフェノール類を留去しながら、撹拌することによって行われる。
このようにして、ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類を熱分解し、次いで、得られた反応混合物を脱水素反応に付することによって、本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類を得ることができる。
ここに、ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解において、アルカリ触媒を用いた場合には、得られた反応混合物に酸を加えてアルカリを中和した後、反応混合物に晶析濾過等の精製を施すことなく、上記中和後の反応混合物を脱水素反応に付することが、反応工程の簡略化の観点から好ましい。
このようなヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解によって得られた反応混合物は、通常、脱水素触媒の存在下に、これを脱水素処理する。この脱水素触媒としては、従来より知られている脱水素触媒を用いることができる。従って、例えば、ラネーニッケル、還元ニッケル、ニッケル担持触媒等のニッケル触媒、ラネーコバルト、還元コバルト、コバルト担持触媒等のコバルト触媒、ラネー銅等の銅触媒、酸化パラジウム、パラジウム黒、パラジウム/カーボン等のパラジウム触媒、プラチナ黒、プラチナ/カーボン等のプラチナ触媒、ロジウム触媒、クロム触媒、銅クロム触媒等が用いられる。これらのなかでは、特に、パラジウム等の白金族触媒が好ましく、特に、パラジウム触媒が好ましく用いられる。
このような脱水素触媒は、通常、出発原料であるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは、0.2〜10重量部の範囲で用いられる。
この脱水素処理においては、水素受容体を共存させても、させなくてもよいが、より高収率にて目的物を得るためには、水素受容体を共存させることが好ましい。このような水素受容体としては、特に、限定されるものではないが、例えば、α−メチルスチレン等のスチレン類、ニトロベンゼン、メチルイソブチルケトン、フェノール等が好ましく用いられる。
ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解によって得られた反応混合物の脱水素処理は、通常、100〜250℃の範囲の温度、好ましくは、130〜200℃の範囲の温度で行われる。
ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解によって得られた反応混合物の脱水素処理は、気相においても行うことができるが、操作性の点から、好ましくは、溶液状で行うのが好ましく、その際、反応溶媒を用いるのが好ましい。この反応溶媒としては、工程の簡略化の観点から、前記ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解反応において用いた溶媒をそのまま用いることが好ましい。また、反応は、好ましくは、常圧下で行われる。
このような反応条件において、ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解によって得られた反応混合物の脱水素処理は、通常、3〜6時間程度で終了して、本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類を、通常、出発原料であるヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類に基づいて、約75%又はそれ以上の収率で与える。
ヒドロキシフェニル置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の熱分解によって得られた反応混合物の脱水素処理の終了後、得られた反応混合物から、常法に従って、触媒を分離した後、晶析濾過等の方法にて、本発明による4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類の粗製品を得ることができ、これを、更に必要に応じて、再度、晶析濾過等の方法にて精製すれば、高純度品を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(4−ヒドロキシ−3”−メチル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニルの製造)
熱分解工程
1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン50.2g(0.129モル)と48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gとテトラエチレングリコール26.3gとを反応容器(300mL容量四つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を圧力50mmHgの減圧とし、温度210℃程度において、約4時間、熱分解反応を行った。留出物の留出がなくなった時点を反応の終点とした。
反応終了後、得られた反応混合物に50%酢酸水溶液を加えて、pH6程度に中和した後、含水油状の反応混合物64.7gを得た。
脱水素工程
上記含水油状の反応混合物64.7gにα−メチルスチレン60.0gと5%パラジウム/カーボン担持触媒(50重量%含水品)3.5gを追加添加し、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度165℃に昇温して、攪拌下に3時間反応させた。
反応終了後、得られた反応混合物にジメチルホルムアミド50gを加え、混合した。この後、この混合物からパラジウム/カーボン触媒を濾別し、更に、溶媒を蒸留により留去して、目的物を含む蒸留残渣を得た。この蒸留残渣にメタノールを加え、残渣を溶解させ、更に、水を加えた後、晶析濾過し、得られた固体を乾燥して、純度99.1%(高速液体クロマトグラフィー分析による。)の4,4”−ジヒドロキシ−3”−メチル−p−ターフェニル30.5gを白色結晶として得た。1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに対する収率は85.8モル%であった。
融点:251.4℃
分子量:277(M+) (質量分析による。)
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d)(δ(ppm):
2.19(s,3H),6.86(dd,3H,J=8.0Hz,J=3.2Hz),7.32(dd,1H,J=10.2Hz,J=2.4Hz),7.41(d,1H,J=2.4Hz),7.50(d,2H,J=8.8Hz),7.58(s,4H),9.48(brs.2H)
実施例2
(4−ヒドロキシ−3”,5”−ジメチル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニルの製造)
熱分解工程
1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン83.2g(0.200モル)と48%水酸化ナトリウム水溶液0.4gとテトラエチレングリコール32gとを反応容器(300mL容量四つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を圧力40mmHgの減圧とし、温度210℃程度において、約4時間、熱分解反応を行った。留出物の留出がなくなった時点を反応の終点とした。反応終了後、得られた反応混合物に50%酢酸水溶液を加えて、pH6程度に中和した後、含水油状の反応混合物88.0gを得た。
脱水素工程
上記油状の反応混合物88.0gにα−メチルスチレン90.0gと5%パラジウム/カーボン担持触媒(50重量%含水品)0.56gを追加添加し、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度160℃に昇温して、攪拌下に6時間反応させた。
反応終了後、得られた反応混合物にジメチルホルムアミド96gを加え、混合した。この後、この混合物からパラジウム/カーボン触媒を濾別し、更に、溶媒を蒸留により留去して、目的物を含む蒸留残渣を得た。この蒸留残渣に水を加え、晶析濾過し、得られた固体にイソプロパノールを加えてスラリーとした後、再度、晶析濾過し、乾燥して、純度98.1%(高速液体クロマトグラフィー分析による。)の4−ヒドロキシ−3”,5”−ジメチル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニル47.4gを白色結晶として得た。1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに対する収率は81.7モル%であった。
融点:231℃(DSC法)
分子量:291(M+) (質量分析による。)
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d)(δ(ppm):
2.25(s,6H),6.88(d,2H,J=8.0Hz),7.25(s,2H),7.50(d,2H,J=8.8Hz),7.58(s,4H),8.80(brs,2H)
実施例3
(4−ヒドロキシ−3”−イソプロピル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニルの製造)
熱分解工程
1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン29.3g(0.0660モル)と48%水酸化ナトリウム水溶液0.2gとテトラエチレングリコール12.0gとを反応容器(300mL容量四つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を圧力40mmHgの減圧とし、温度210℃程度において、約3時間、熱分解反応を行った。留出物の留出がなくなった時点を反応の終点とした。反応終了後、得られた反応混合物に50%酢酸水溶液を加えて、pH6程度に中和した後、含水油状の反応混合物33.6gを得た。
脱水素工程
上記含水油状の反応混合物33.6gにα−メチルスチレン31.2gと5%パラジウム/カーボン担持触媒(50重量%含水品)0.2gを反応容器に追加添加し、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度160℃に昇温して、攪拌下に4時間反応させた。
反応終了後、得られた反応混合物にジメチルホルムアミド31.2gを加え、混合した。この後、この混合物からパラジウム/カーボン触媒を濾別し、更に、溶媒を蒸留により留去して、目的物を含む蒸留残渣を得た。この蒸留残渣にメチルイソブチルケトンと水とを加え、水層を分液除去し、得られた油層から溶媒を留去した後、トルエンを加えて晶析濾過し、乾燥して、純度99.0%(高速液体クロマトグラフィー分析による。)の4−ヒドロキシ−3”−イソプロピル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニル16.5gを白色結晶として得た。目的物の原料1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに対する反応収率は81.2モル%であった。
融点:179℃(DSC法)
分子量:305(M+) (質量分析による。)
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d)(δ(ppm):
1.24(d,6H,J=6.8Hz),3.25〜3.29(m,1H),6.87〜6.90(m,3H),7.33(dd,1H,J=8.4Hz,J=2.0Hz),7.43(d,1H,J=2.4Hz),7.52(d,2H,J=8.8Hz),7.61(s,4H),9.46(brs,1H),9.56(brs.1H)
実施例4
(4−ヒドロキシ−3”−t−ブチル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニルの製造)
熱分解工程
1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン25.0g(0.0508モル)と48%水酸化ナトリウム水溶液0.2gとテトラエチレングリコール10.0gとを反応容器(300mL容量四つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を圧力40mmHgの減圧とし、温度210℃程度において、約3時間、熱分解反応を行った。留出物の留出がなくなった時点を反応の終点とした。
反応終了後、得られた反応混合物に50%酢酸水溶液を加えて、pH6程度に中和した後、含水油状の反応混合物27.3gを得た。
脱水素工程
上記含水油状の反応混合物27.3gにα−メチルスチレン24.5gと5%パラジウム/カーボン担持触媒(50重量%含水品)0.2gを追加添加し、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度160℃に昇温して、攪拌下に4時間反応させた。
反応終了後、得られた反応混合物にジメチルホルムアミド50gを加え、混合した。この後、この混合物からパラジウム/カーボン触媒を濾別し、更に、溶媒を蒸留により留去して、目的物を含む蒸留残渣を得た。この蒸留残渣にメチルイソプロピルケトンと水とを加え、水層を分液除去し、得られた油層から溶媒を留去した後、トルエン/シクロヘキサン混合溶媒を加えて晶析濾過し、得られた固体を乾燥して、純度97.1%(高速液体クロマトグラフィー分析による。)の4,4”−ジヒドロキシ−3”−t−ブチル−p−ターフェニル7.7gを白色結晶として得た。1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに対する収率は46.5モル%であった。
融点:180.5℃(DSC法)
分子量:317(M-) (質量分析による。)
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d)(δ(ppm):
1.42(s,9H),6.89(t,3H,J=8.4Hz),7.34(dd,1H,J=8.4Hz,2.1Hz),7.44(d,1H,J=2.1Hz),7.52(d,2H,J=8.4Hz),7.61(s,4H),9.52(s,1H),9.57(s,1H)

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  1. 一般式(I)
    Figure 0004757282
    (式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3である。)で表される4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類。
  2. 一般式(I)
    Figure 0004757282
    (式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2を示し、2つのRはいずれもヒドロキシ基のo−位にある。)
    で表される4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル類。
  3. 4−ヒドロキシ−3”,5”−ジメチル−4”−ヒドロキシ−p−ターフェニル。
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