JP4827598B2 - 内視鏡の湾曲保持機構 - Google Patents

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Description

この発明は内視鏡の湾曲保持機構に関する。
内視鏡には一般に、挿入部の先端付近に設けられた湾曲部を遠隔操作により屈曲させるための湾曲操作機構が操作部に回転自在に配置され、内視鏡の挿入部先端を目標患部等に向けた状態を維持するために、湾曲操作機構の回転動作に摩擦抵抗を付与する湾曲保持状態と摩擦抵抗が付与されない湾曲フリー状態とを湾曲保持操作ノブの回転操作により任意に切り換えることができる湾曲操作機構が設けられている。
そして、湾曲保持操作ノブが湾曲保持状態に移行する際又は湾曲フリー状態に移行する際の少なくとも一方の際に、そのことを操作者が手の感覚で把握することができるように、湾曲保持操作ノブの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材が設けられている(例えば、特許文献1)。
特開平10−286220
図13は、上述のような従来の内視鏡の湾曲保持機構を示しており、操作部に軸線Xの周りに回転自在に配置された湾曲操作ノブ90を任意の回転位置で静止させることができるように、湾曲操作ノブ90の回転動作に摩擦抵抗を付与する湾曲保持状態と摩擦抵抗が付与されない湾曲フリー状態とを任意に切り換えるための湾曲保持操作ノブ91が、軸線Xの周りに回転操作自在に操作部に配置されている。
そして、湾曲保持操作ノブ91の回転操作範囲中の所定位置で湾曲保持操作ノブ91の回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材として、湾曲保持操作ノブ91が回転操作された際に湾曲保持操作ノブ91と共に回動するクリックピン92と、そのクリックピン92が回動する際に圧接されるように操作部の固定部に取り付けられたクリック用板バネ93とが設けられている。
しかし、図13に示されるように、従来の内視鏡の湾曲保持機構においては、クリック用板バネ93が軸線Xを囲む筒状体の一部分の様な形状に形成されて、クリックピン92の側面がクリック用板バネ93の板面に圧接されるようになっていた。
そのため、従来の内視鏡の湾曲保持機構は軸線X方向の厚みが大きくなってしまうことになり、湾曲保持機構を湾曲操作ノブ内の空間に配置すると湾曲操作ノブが大型になって操作性を損なったり、湾曲操作ノブ内に他の機構(例えば、一定以上の操作トルクが加えられた場合の安全確保のためのトルクリミット機構等)を組み込みたい時にそれが困難になってしまう場合等があった。
そこで本発明は、機構の厚みを薄く小型に構成することができ、その結果、湾曲操作ノブを小型化して操作性を向上させたり湾曲操作ノブ内に他の機構を組み込むことが可能になる機能性の高い内視鏡の湾曲保持機構を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の湾曲保持機構は、湾曲部を遠隔操作で屈曲させるために操作部に回転自在に配置された湾曲操作機構を任意の回転位置で静止させることができるように、湾曲操作機構の回転動作に摩擦抵抗を付与する湾曲保持状態と摩擦抵抗が付与されない湾曲フリー状態とを湾曲保持操作ノブの回転操作により任意に切り換えることができるようにした内視鏡の湾曲保持機構において、湾曲保持操作ノブが湾曲保持状態に移行する際又は湾曲フリー状態に移行する際の少なくとも一方の際に湾曲保持操作ノブの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材として、板厚の方向が湾曲保持操作ノブの回転軸線方向であって湾曲保持操作ノブの回転軸線を中心とする円弧状に形成されて部分的に板厚方向に凸凹部分が形成されたクリック用板バネと、クリック用板バネの板面に向かって突出形成された突起とを、その一方が操作部に対して固定されて他方が湾曲保持操作ノブと共に回転する状態に設け、突起の突端面がクリック用板バネの凸凹部分に沿って相対的に移動する際にクリック用板バネを弾性変形させることによりクリック感が発生するようにしたものである。
なお、クリック用板バネが略C字状に形成されていて、その切れ目部分の近傍位置に凸凹部分が形成されていてもよく、クリック用板バネの凸凹部分が複数形成されると共に、突起が複数設けられていて、複数の突起がクリック用板バネの凸凹部分を同時に乗り越えるようにしてもよい。
また、湾曲保持操作ノブの回転操作範囲中の複数箇所において、突起がクリック用板バネを弾性変形させながらクリック用板バネの凸凹部分を乗り越えてクリック感が発生するようにしてもよい。
本発明によれば、板厚の方向が湾曲保持操作ノブの回転軸線方向であって湾曲保持操作ノブの回転軸線方向になる状態に配置されたクリック用板バネと、クリック用板バネの板面に向かって突出形成された突起とで、湾曲保持操作ノブの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材が形成されていることにより、機構の厚みを薄く小型に構成することができ、その結果、湾曲操作ノブを小型化して操作性を向上させたり湾曲操作ノブ内に他の機構を組み込むことが可能になる高い機能性を得ることができる。
湾曲部を遠隔操作で屈曲させるために操作部に回転自在に配置された湾曲操作機構を任意の回転位置で静止させることができるように、湾曲操作機構の回転動作に摩擦抵抗を付与する湾曲保持状態と摩擦抵抗が付与されない湾曲フリー状態とを湾曲保持操作ノブの回転操作により任意に切り換えることができるようにした内視鏡の湾曲保持機構において、湾曲保持操作ノブが湾曲保持状態に移行する際又は湾曲フリー状態に移行する際の少なくとも一方の際に湾曲保持操作ノブの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材として、板厚の方向が湾曲保持操作ノブの回転軸線方向であって湾曲保持操作ノブの回転軸線を中心とする円弧状に形成されて部分的に板厚方向に凸凹部分が形成されたクリック用板バネと、クリック用板バネの板面に向かって突出形成された突起とを、その一方が操作部に対して固定されて他方が湾曲保持操作ノブと共に回転する状態に設け、突起の突端面がクリック用板バネの凸凹部分に沿って相対的に移動する際にクリック用板バネを弾性変形させることによりクリック感が発生するようにする。
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は内視鏡の全体構成を示しており、可撓性の挿入部1の先端付近には遠隔操作により屈曲する湾曲部2が形成され、図示されていない観察窓等が配置された先端部本体3が湾曲部2の先端に連結されている。
挿入部1の基端に連結された操作部4には、湾曲部2を屈曲させる操作を行うための上下方向用湾曲操作ノブ5UDと左右方向用湾曲操作ノブ5RLとが、同軸に重ね合わせた状態で各々回転自在に配置されている。
上下方向用湾曲操作ノブ5UDを反時計回り方向に回転操作すると、挿入部1内に挿通配置された上方向用操作ワイヤ6Uが牽引されて、湾曲部2が二点鎖線で示されるように上方向(即ち、観察画面の上方向であり、操作部4の前方向にあたる方向)に屈曲し、上下方向用湾曲操作ノブ5UDを時計回り方向に回転操作すると、下方向用操作ワイヤ6Dが牽引されて湾曲部2が下方向に屈曲する。
また、左右方向用湾曲操作ノブ5RLを反時計回り方向に回転操作すると、挿入部1内に挿通配置された図示されていない左方向用操作ワイヤが牽引されて湾曲部2が左方向に屈曲し、時計回り方向に回転操作すると図示されていない右方向用操作ワイヤが牽引されて湾曲部2が右方向に屈曲する。このようにして、湾曲部2は遠隔操作により任意の方向に任意の角度だけ屈曲させることができる。
7UDは、上下方向用湾曲操作ノブ5UDを任意の回転位置で静止させる操作を行うための上下方向用湾曲保持操作ノブ、7RLは、左右方向用湾曲操作ノブ5RLを任意の回転位置で静止させる操作を行うための左右方向用湾曲保持操作ノブであり、各々上下方向用湾曲操作ノブ5UD及び左右方向用湾曲操作ノブ5RLと同軸線周りに回転操作することができるように配置されている。
図3は、湾曲部2を上下方向に屈曲させるために操作部4に回転自在に配置された湾曲操作機構を示している。上下方向用湾曲操作ノブ5UDは、操作輪の内側部分が大きな空間になっており、湾曲操作機構全体の支軸10が、操作部4内のメインフレーム50に固定的に立設されて上下方向用湾曲操作ノブ5UDの中心軸線位置に配置されている。
9UDは、上方向用操作ワイヤ6Uと下方向用操作ワイヤ6Dとが各々外周溝に半周ないし一周程度巻き付けられて引き出された上下方向用駆動プーリ、9RLは左右方向用駆動プーリである。
左右方向用駆動プーリ9RLに回転駆動力を伝達するように、支軸10を囲む筒状に形成されて一端が左右方向用駆動プーリ9RLに連結された左右方向用回転駆動筒11の他端側と、一端が上下方向用駆動プーリ9UDに連結された上下方向用回転駆動筒12の他端側とは各々操作部4の外部に突出している。
そして、上下方向用回転駆動筒12が軸線回りに回転自在に嵌合する上下方向用回転軸受13は、基部において支軸10の台座部分と固定され、各プーリ9UD,9RLの外周から操作ワイヤ6U,6D,6R,6Lが外れるのを規制するためのプーリカバーも兼ねている。
そして、上下方向用回転駆動筒12を軸線周りに回転させれば上下方向用駆動プーリ9UDが回転し、その回転方向に対応して上方向用操作ワイヤ6Uと下方向用操作ワイヤ6Dのどちらか一方が牽引操作される。同様に、左右方向用回転駆動筒11を軸線周りに回転させれば左右方向用駆動プーリ9RLが回転し、その回転方向に対応して右方向用操作ワイヤ6Rと左方向用操作ワイヤ6Lのどちらか一方が牽引操作される。
そして、上下方向用湾曲操作ノブ5UDと一体に形成された金属製の円盤状の座板16が、上下方向用湾曲操作ノブ5UDの内側空間部の外面側端部を塞ぐ状態に配置されていて、上下方向用回転駆動筒12と一体に形成された金属製の凹溝付回転板17の外端面が座板16の内面に対して軸線回りに回転自在に摺接している。
図3におけるIV−IV断面を図示する図4に示されるように、外周が全体として円形に形成された凹溝付回転板17の外周面の一部には凹溝21が形成されている。そして、基端が固定ネジ19で座板16に固定されたバネ性を有する部材からなるバネ性係合アーム18が、凹溝付回転板17の外周に沿って円弧状に配置されて、自由端であるバネ性係合アーム18の先端部分に凹溝21と係脱自在に噛み合う係合爪22が突出形成されている。
バネ性係合アーム18は、外力が作用していない状態では係合爪22が凹溝21と噛み合う状態にセットされていて、そのようなバネ性係合アーム18は座板16と一体的に軸線周りに回動自在であり、上下方向用湾曲操作ノブ5UDに加えられる回転トルクが所定トルク以下の時は係合爪22が凹溝21に噛み合った状態を維持する。
したがって、上下方向用湾曲操作ノブ5UDが回転操作されるとバネ性係合アーム18が座板16と共に回動してそれにより凹溝付回転板17が回転させられ、上下方向用湾曲操作ノブ5UDに加えられた回転操作力が上下方向用回転駆動筒12等を経由して操作ワイヤ6U,6D側に伝達される。
そして、上下方向用湾曲操作ノブ5UDに回転トルクが所定トルクを超えるような無理な操作力が加えられた時は、凹溝21に対する係合爪22の噛み合いが外れる状態にバネ性係合アーム18が弾性変形することにより、凹溝付回転板17が座板16に追従して回転しなくなり、上下方向用回転駆動筒12が上下方向用湾曲操作ノブ5UDにより回転駆動されなくなる。
このようにして、上下方向用湾曲操作ノブ5UDに一定以上の操作トルクが加えられた場合の安全確保のためのトルクリミット機構が、凹溝付回転板17、バネ性係合アーム18、凹溝21及び係合爪22等により構成されて上下方向用湾曲操作ノブ5UD内の空間に配置されている。
図3に示される30〜38は、上下方向用湾曲操作ノブ5UDとそれに連結された上下方向用回転駆動筒12及び上下方向用駆動プーリ9UD等からなる上下方向用の湾曲操作機構を任意の回転位置で静止させるために、湾曲操作機構の回転動作に摩擦抵抗を付与するための湾曲保持機構であり、上下方向用湾曲操作ノブ5UD内の空間に収納配置されていて、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDにより摩擦力の付与と解除の操作を行うことができる。
メインフレーム50に対して固定された状態になっている上下方向用回転軸受13の上端部付近には、角穴/角軸係合する不動台座30が固定ネジ31により固定されている。上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDは上下方向用回転軸受13の外面に軸線周りに回転自在に嵌着されていて、その上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDと角穴/角軸係合して一体に回転する雄ネジ環32の外周に雄ネジが形成されている。
上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDと雄ネジ環32の回転動作範囲は、雄ネジ環32に形成された円弧状溝33と、その円弧状溝33内に沿うように不動台座30から突設されたストッパピン34により一定に規制されている。
雄ネジ環32の外周の雄ネジと螺合する雌ネジが、雌ネジ環35の下半側(図3において左側)の内周部に形成されている。Nが螺合部である。そして、雌ネジ環35の上半側の内周側に、金属円盤37が固定ネジ36で一体的に連結固定されている。
金属円盤37は例えば黄銅又はステンレス鋼等により形成されていて、図3におけるV−V断面を図示する図5に示されるように、金属円盤37の内周面は固定部材である不動台座30の外周面に対して、軸線周りには回転しないが軸線方向には移動自在に角穴/角軸係合している。したがって、金属円盤37と一体に動作する雌ネジ環35も、軸線周りには回転することができないが軸線方向には移動自在である。
図3に示される38は、図6に単体の斜視図が示されるように、環状部38aの周囲にそれと一体に複数の放射状突出爪38bが形成された例えばバネ用ステンレス鋼板材等のようなバネ性のある金属板材からなる摩擦用板バネであり、全体として平面状に形成されて、環状部38aの内側部分は角穴になっている。
摩擦用板バネ38の角穴部分は、図3に示されるように上下方向用回転駆動筒12の上端部近傍に係合していて、上下方向用回転駆動筒12と一体に軸線周りに回転するように組み付けられて、環状部38aの裏面側(図3において左方の面)が不動台座30の上端面に当接して保持されている。
そして、摩擦用板バネ38の放射状突出爪38bに対向する位置にある金属円盤37の面が、放射状突出爪38bの板面に対して斜め向きに圧接される圧接面37aになっている。より具体的には、金属円盤37の圧接面37aは内周側より外周側が放射状突出爪38bに接近した傘状の斜面(円錐面)に形成されている。
このような構成により、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが回転操作されると、それと一体に雄ネジ環32が軸線周りに回転し、螺合部Nで雄ネジ環32と螺合する雌ネジ環35及びそれと一体の金属円盤37が、軸線周りに回転することなく軸線方向に移動し、摩擦用板バネ38と金属円盤37の圧接面37aとの間の間隔が変化する。
そして、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが操作範囲の一端側(フリー側)にあるときは、図3に示されるように、摩擦用板バネ38と金属円盤37の圧接面37aとの間に僅かに隙間が形成されていて、摩擦用板バネ38と金属円盤37とが摺接せず、したがって、上下方向の操作ワイヤ6U,6Dを牽引操作するための湾曲操作機構(上下方向用湾曲操作ノブ5UD、上下方向用回転駆動筒12、上下方向用駆動プーリ9UD等)の回転動作に対して金属円盤37と摩擦用板バネ38による摩擦抵抗が加わらない。
上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが回転操作されて、操作範囲の他端側(ロック側)に移動すると、図7に示されるように、金属円盤37が矢印Aで示されるように移動することにより、金属円盤37の圧接面37aが摩擦用板バネ38に押し付けられて摩擦用板バネ38と金属円盤37とが摺接し、そこで発生する摩擦抵抗が、上下方向の操作ワイヤ6U,6Dを牽引操作するための湾曲操作機構の回転動作に対して作用する湾曲保持状態になる。
そして、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDを図3に示されるフリー側に戻せば、摩擦用板バネ38が元の平面状態に戻って金属円盤37に圧接されない湾曲フリー状態に戻る。このようにして摩擦用板バネ38の放射状突出爪38bと金属円盤37の圧接面37aとが圧接してその時の湾曲状態が保持される湾曲保持状態と、放射状突出爪38bと圧接面37aとが分離する湾曲フリー状態とを任意に切り換え操作することができ、その間において、摩擦用板バネ38の放射状突出爪38bと金属円盤37との圧接量を連続的に可変することができる。
なお、摩擦用板バネ38に形成された放射状突出爪38bの少なくとも金属円盤37が圧接される稜線部分は全てアール面取りされて、金属円盤37との摺接が滑らかに行われるようになっており、金属円盤37が必ず摩擦用板バネ38の最外周側から摺接するので、発生する摩擦抵抗の大きさにバラツキが発生せず適正な摩擦抵抗が安定的に付与される。
図3に戻って、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが湾曲フリー状態から湾曲保持状態に移行する際と、逆に湾曲保持状態から湾曲フリー状態に移行する際に上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材として、クリック用板バネ40と、四個の突起41〜44とが設けられている。クリック用板バネ40は不動台座30にビス止め固定され、突起41〜44は雄ネジ環32にねじ込み固定されている。
図1はそのようなクリック用板バネ40と突起41〜44の斜視図、前出の図5は、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが湾曲フリー状態にある時の図3におけるV−V断面図であり、クリック用板バネ40は、板厚の方向が上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転軸線方向であって上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転軸線を中心とする円弧状に形成されていて、部分的に板厚方向に凸凹部分(40a,40b)が形成されている。
この実施例のクリック用板バネ40は略C字状に形成されていて、その切れ目40c部分を挟んでその近傍の両側位置に各々一つずつ、突起41〜44の方に向けて滑らかな弧状の凸部40a,40bが形成されており、クリック用板バネ40は、不動台座30に3本のビスでビス止め固定されているのでメインフレーム50に固定されたのと同じ状態になっている。なお、この実施例の上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回動範囲を規制するためのストッパピン34は、クリック用板バネ40を固定するためのビスの中の一本の頭部によって形成されている。
短円柱状に形成された突起41〜44は各々、突端面が平面状に形成されてその外縁稜線が滑らかに面取りされている。ただし、突端面を滑らかなアール面状等に形成してもよい。
四個の突起41〜44は、全部がクリック用板バネ40の板面に対向するように円弧状に等間隔に配列されており各突起41〜44間の間隔は二つの凸部40a,40b間の間隔のちょうど半分である。
各突起41〜44は雄ネジ環32に固定されているので、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが回転操作されると、上下方向用湾曲操作ノブ5UDの回転軸線(即ち、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転軸線)を中心に回動し、各突起41〜44の突端面がクリック用板バネ40の板面に対向する状態を保つ。
図8は、図5と同様に、内視鏡の湾曲保持機構の上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが図3に示される湾曲フリー状態にある時の、クリック用板バネ40と突起41〜44の状態を示す側面断面展開図であり、第1の突起41が第1の凸部40aの右側に位置していて、第2と第3の突起42,43の間に第2の凸部40bが位置している。
その状態から、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが湾曲保持状態方向に回転操作されると、まず図9に示されるように、第1の突起41の突端面がクリック用板バネ40を弾性変形させながら第1の凸部40aに乗り上げると同時に、第3の突起43の突端面がクリック用板バネ40を切れ目40cの他方側で弾性変形させながら第2の凸部40bに乗り上げる。
そしてその直後に、図10に示されるように、第1と第2の突起41,42の間に第1の凸部40aが落ち込むと同時に、第3と第4の突起43,44の間に第2の凸部40bが落ち込んで、クリック用板バネ40が弾性変形する前の元の状態に戻る。
その結果、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転操作に対しその位置でカチッという感触が操作者の手に伝わっていわゆるクリックが入った静止状態になる。この状態では、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDは回転操作範囲の中間位置にあって、上下方向用湾曲操作ノブ5UDの回転操作に対して軽い摩擦抵抗が付与される。
そこで、さらに上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが湾曲保持状態方向に操作範囲の端部まで回転操作されると、第2の突起42の突端面がクリック用板バネ40を弾性変形させながら第1の凸部40aを乗り越え、第4の突起44の突端面がクリック用板バネ40を弾性変形させながら第2の凸部40bを乗り越えて、図11に示されるように、第2と第3の突起42,43の間に第1の凸部40aが落ち込むと同時に、第4の突起44が第2の凸部40bの左側に移動する。
その結果、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転操作に対してその位置で2回目のクリックが入った状態になり、この状態では上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが湾曲保持状態にあって、上下方向用湾曲操作ノブ5UDに対してその回転操作状態を保持するだけの摩擦抵抗が付与される。
そして、その状態から上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDを逆に湾曲フリー状態方向に回転操作すれば、上述の場合と同様にして、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが回転操作範囲の中間位置にある時と、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDが湾曲フリー状態方向に操作範囲の端部まで回転操作された時の2回、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転操作に対してクリックが入った状態になる。
このようにして、板厚の方向が上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転軸線方向(即ち、上下方向用湾曲操作ノブ5UDの回転軸線方向)に配置されたクリック用板バネ40と、クリック用板バネ40の板面に向かって突出形成された突起41〜44のみで、上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材が形成されていることにより、湾曲保持機構を薄型に構成して湾曲操作機構の上下方向用湾曲操作ノブ5UD内の空間に配置することができる。
その結果、上下方向用湾曲操作ノブ5UDを小型化して操作性を向上させたり、上下方向用湾曲操作ノブ5UDを大型にすることなくトルクリミット機構(凹溝付回転板17、バネ性係合アーム18、凹溝21、係合爪22)等を上下方向用湾曲操作ノブ5UD内の空間に組み込むことができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図12に示されるように、二つの凸部40a,40bの間に突起41〜43が一個だけ位置するように配置すれば、突起41〜43を三個配置するだけで上記の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施例では凸部40a,40bを二つ設けることにより、板厚が薄くて装置の小型化に寄与することができるクリック用板バネ40で充分なクリック力を得ることができるようにしているが、クリック用板バネ40の板厚を厚くすれば、クリック用板バネ40の凸部40aを一つだけにすることもできる。
また、上記実施例では上下方向用湾曲保持操作ノブ7UDの回転操作範囲中の2箇所でクリックが入るようにしたが、1箇所のみでもよく、或いは3箇所以上にしても差し支えない。
本発明の実施例の内視鏡の湾曲保持機構のクリック部材の斜視図である。 本発明の実施例の内視鏡の全体構成を示す外観図である。 本発明の実施例の上下方向用湾曲操作機構の湾曲フリー状態の側面断面図である。 本発明の実施例のトルクリミット機構の断面図(図3におけるIV−IV断面図)である。 本発明の実施例の内視鏡の湾曲保持機構の図3におけるV−V断面図である。 本発明の実施例の内視鏡の湾曲保持機構の摩擦用板バネの斜視図である。 本発明の実施例の上下方向用湾曲操作機構の湾曲保持状態の側面断面図である。 本発明の実施例のクリック動作を順に略示するクリック部材の側面断面展開図である。 本発明の実施例のクリック動作を順に略示するクリック部材の側面断面展開図である。 本発明の実施例のクリック動作を順に略示するクリック部材の側面断面展開図である。 本発明の実施例のクリック動作を順に略示するクリック部材の側面断面展開図である。 本発明の他の実施例のクリック部材の側面断面展開図である。 従来の内視鏡の湾曲保持機構の側面断面略示図である。
符号の説明
1 挿入部
2 湾曲部
4 操作部
5UD 上下方向用湾曲操作ノブ(湾曲操作機構)
7UD 上下方向用湾曲保持操作ノブ
30〜38 湾曲保持機構
40 クリック用板バネ
40a,40b 凸部(凸凹部分)
40c 切れ目
41 第1の突起
42 第2の突起
43 第3の突起
44 第4の突起

Claims (2)

  1. 湾曲部を遠隔操作で屈曲させるために操作部に回転自在に配置された湾曲操作機構を任意の回転位置で静止させることができるように、上記湾曲操作機構の回転動作に摩擦抵抗を付与する湾曲保持状態と上記摩擦抵抗が付与されない湾曲フリー状態とを湾曲保持操作ノブの回転操作により任意に切り換えることができるようにした内視鏡の湾曲保持機構であって
    上記湾曲保持操作ノブが上記湾曲保持状態に移行する際又は上記湾曲フリー状態に移行する際の少なくとも一方の際に上記湾曲保持操作ノブの回転動作に対してクリック感を付与するためのクリック部材として、板厚の方向が上記湾曲保持操作ノブの回転軸線方向であって上記湾曲保持操作ノブの回転軸線を中心とする円弧状に形成されて部分的に板厚方向に凸凹部分が形成されたクリック用板バネと、上記クリック用板バネの板面に向かって突出形成された突起と、その一方が上記操作部に対して固定されて他方が上記湾曲保持操作ノブと共に回転する状態に設けられて、上記突起の突端面が上記クリック用板バネの凸凹部分に沿って相対的に移動する際に上記クリック用板バネを弾性変形させるように上記クリック用板バネとを係合することにより上記クリック感が発生するようにされたものにおいて、
    上記クリック用板バネが略C字状に形成されて、その切れ目部分の近傍位置であって上記切れ目部分を挟んでその両側の位置に各々上記凸凹部分の凸部が形成されると共に、
    上記突起が上記クリック用板バネに対向するように同一円弧状の位置に等間隔に複数設けられていて、上記湾曲保持操作ノブが回転操作されると上記クリック用板バネの二箇所の凸部が上記複数の突起を同時に乗り越えることを特徴とする内視鏡の湾曲保持機構。
  2. 上記湾曲保持操作ノブの回転操作範囲中の複数箇所において、上記突起が上記クリック用板バネを弾性変形させながら上記クリック用板バネの凸凹部分を乗り越えて上記クリック感が発生する請求項1記載の内視鏡の湾曲保持機構。
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