以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用される内視鏡装置の一実施の形態である超音波内視鏡1の全体図である。
同図における超音波内視鏡1(以下、単に内視鏡1という)は、被検体の体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端側に連設され、術者が把持して各種操作を行う操作部12と、操作部12に連設され、内視鏡システムを構成する不図示のプロセッサ装置、光源装置等のシステム構成装置に内視鏡1を接続するためのユニバーサルコード14とから構成される。
挿入部10は、全体が細径で長尺状に形成されており、基端側から先端側に向けて順に可撓性を有する軟性部30、操作部12の操作により湾曲可能な湾曲部32、及び、撮像装置や超音波トランスデューサ(electromagnetic acoustic transducer)等が配置される先端部34が連設されて構成される。
操作部12には、術者によって操作される各種操作部材が設けられており、後述のように湾曲操作ノブである左右アングルノブ70及び上下アングルノブ72、起立操作部材である起立操作レバー74、送気・送水ボタン80、吸引ボタン82等が設けられている。
また、操作部12には、挿入部10内を挿通する処置具挿通路(処置具挿通チャンネル)に処置具を挿入する処置具導入口24が設けられる。
ユニバーサルコード14は、内部に電気ケーブル、ライトガイド、流体チューブを内包する。このユニバーサルコード14の不図示の端部にはコネクタが設けられる。そのコネクタをプロセッサ装置、光源装置等の内視鏡システムを構成する所定のシステム構成装置に接続することによって、システム構成装置から内視鏡1に内視鏡1の運用に必要な電力、制御信号、照明光、液体・気体等が供給され、また、先端部34の撮像装置により取得される観察画像のデータや超音波トランスデューサにより取得された超音波画像のデータが内視鏡1からシステム構成装置に伝送される。なお、システム構成装置に伝送された観察画像や内視鏡画像はモニタに表示される。
図2は、先端部34を拡大して示した斜視図である。同図に示すように先端部34は、基端側に配置される基部40と、基部40から先端側に延設された延設部42とを有する。
延設部42には、超音波を送受する多数の超音波振動子が円弧状の超音波送受面に沿って配列されたコンベックス型の超音波トランスデューサ50が配置される。これにより、挿入部10の軸に平行な走査面における超音波画像(断層画像)が超音波トランスデューサ50により取得され、その超音波画像のデータが、挿入部10、操作部12、及びユニバーサルコード14の内部を挿通する信号ケーブルを介してユニバーサルコード14に接続されたシステム構成装置に伝送される。
基部40には、先端側斜め上方を向く左側斜面41Lに観察窓44、送気・送水ノズル48、及び照明窓46Lが設けられ、先端側斜め上方を向く右側斜面41Rに照明窓46Rが設けられる。左側斜面41Lと右側斜面41Rとの間の中央部には、処置具導出部58が設けられる。
観察窓44の基端側となる基部40の内部には、結像光学系及び固体撮像素子が一体的に組み立てられた撮像装置が配置される。これにより、撮像部の視野範囲となる被観察部位からの光が観察窓44から取り込まれて結像光学系により被観察部位の光像が結像され、その光像が固体撮像素子により電気信号に変換される。そして、その電気信号に変換された観察画像のデータが、挿入部10、操作部12、及びユニバーサルコード14の内部を挿通する信号ケーブルを介してユニバーサルコード14に接続されたシステム構成装置に伝送される。
照明窓46R、46Lの各々の基端側となる基部40の内部には、光出射部が配置される。光出射部には、挿入部10、操作部12、及びユニバーサルコード14の内部を挿通するライトガイドを介してユニバーサルコード14に接続されたシステム構成装置から照明光が導光され、その照明光が光出射部から出射されて照明窓46R、46Lを介して被観察部位に照射される。
送気・送水ノズル48は、挿入部10、操作部12、及びユニバーサルコード14の内部を挿通する流体チューブを介して、ユニバーサルコード14に接続されたシステム構成装置に接続され、システム構成装置から供給された気体又は水が送気・送水ノズル48から観察窓44に向けて噴射されて観察窓44の洗浄等が行われる。
処置具導出部58は、凹状の処置具起立空間62を有し、その処置具起立空間62の基端側に処置具導出口64が配置される。
処置具導出口64は、挿入部10内に挿通された処置具挿通路(処置具挿通チャンネル)を通じて操作部12の処置具導入口24(図1参照)に連結されており、処置具導入口24から挿入された処置具が処置具導出口64から処置具起立空間62へと導出される。
また、処置具起立空間62には、処置具導出口64よりも先端側に処置具起立台60(以下、単に起立台60という)が配置される。
起立台60は、上面側に基端側から先端側に向かって上方に湾曲する凹面状のガイド面60aを有し、処置具導出口64から導出された処置具は、その起立台60のガイド面60aに当接して上向きに湾曲する。これによって、先端部34の処置具導出部58から導出された処置具、即ち、処置具起立空間62の開口部66から導出された処置具は、起立台60によって、先端部34の中心を通る中心軸(挿入部10の長手軸)に対して基端側から先端側に向って上向きの斜め方向に沿って突出配置される。
図3、図4は、操作部12を拡大して示した側面図及び下面図である。
これらに図に示すように、操作部12は、操作部12の内部と外部とを画定する操作部本体である筐体13で囲まれており、その筐体13により形成される操作部12の右側面13Rには、左右アングルノブ70、上下アングルノブ72、起立操作レバー74、左右ロックつまみ76、及び上下ロックレバー78等が設けられる。
なお、通常、術者(操作者)は、内視鏡1の操作を行う際に図32に示すように操作部12の先端側(挿入部10側)を下、その反対の基端側を上に向けて左手で操作部12を把持すると共に、左右アングルノブ70等が配置される右側面13Rに対して反対側の左側面13L側を左手の手の平に対向させて親指以外の指を上面13Uに掛かるようにし、親指を下面13Dに掛かるようにして操作部12を把持する。この場合に、術者から見て操作部12の上面13Uは前方側に向き、操作部12の下面13Dは後方側(操作者側)を向く。
操作部12の左右アングルノブ70、上下アングルノブ72、起立操作レバー74、左右ロックつまみ76、及び上下ロックレバー78は、右側面13Rに略直交する軸の周りに回転自在に設けられており、左右アングルノブ70を左右アングルノブ70と上下アングルノブ72を回転操作すると、湾曲部32が左右方向と上下方向とに湾曲する。左右ロックつまみ76と上下ロックレバー78とを回転操作すると、左右アングルノブ70と上下アングルノブ72の回転位置がロックされ、又は、そのロックが解除される。
起立操作レバー74は、回転操作すると、詳細を後述するように先端部34の起立台60が起立する方向又は倒伏する方向に動作し、起立台60の角度位置(起立角度)が変更される。これによって、先端部34(処置具導出部58)から導出される処置具の導出方向(導出角度)が変更される。
なお、起立操作レバー74は、図32及び図33に示すように親指で操作される。
また、図3のように操作部12の上面13Uには、送気・送水ボタン80及び吸引ボタン82等が設けられており、送気・送水ボタン80を操作することで、先端部34の送気・送水ノズル48からの気体又は水の噴射がオン又はオフされ、吸引ボタン82を操作することで、処置具挿通路に連結された吸引チャンネルを通じて処置具導出部58からの吸引をオン又はオフすることができる。
次に、先端部34の起立台60を操作部12の起立操作レバー74の操作により起立又は倒伏させる起立台駆動機構について説明する。なお、本明細書において、起立台60が起立する動作及び倒伏する動作を含めて起立動作という。
図5は、起立台駆動機構の全体構成を簡易的に示した構成図である。
同図に示すように、操作部12において、起立操作レバー74には、操作部12内に配置された後述の操作部内動力伝達機構90を介してクランク部材92の一端が回転自在に連結され、クランク部材92の他端には、スライドガイド94により進退移動可能に支持されたスライダ96がクランク部材92に対して回転自在に連結される。これによって、起立操作レバー74の操作(移動)によってスライダ96が進退移動する。
スライダ96には、操作ワイヤ98の基端が固定され、操作ワイヤ98は、操作部12の内部から挿入部10の内部に延在され先端部34まで挿通配置される。なお、操作ワイヤ98は、挿入部10の内部において密着コイル等のワイヤガイド管99の内部を進退移動可能に挿通して配置される。
そして、先端部34において、操作ワイヤ98の先端には、後述の先端部内動力伝達機構100を介して、起立台60が連結される。起立台60は、基端側が先端部34に対して回転自在に支持される。
これによって、スライダ96の進退移動により操作ワイヤ98が進退移動すると、起立台60が基端側を中心にして先端側が回転動作し、起立台60の起立動作が行われる。
以上のように、操作者の操作により起立操作レバー74に加えられた動力が、操作部内動力伝達機構90、クランク部材92、操作ワイヤ98、及び先端部内動力伝達機構100を介して起立台60に伝達して起立台60が起立動作するように構成される。
続いて、図5における先端部内動力伝達機構100の一実施の形態について説明する。図6は、先端部内動力伝達機構100を簡易的に示した構成図である。先端部34には図2に示した処置具導出部58の処置具起立空間62の右側の壁面に面した位置に、その右側の壁面の一部を形成する図6のレバー収容体120が設置される。
レバー収容体120は、その処置具起立空間62の右側の壁面を形成する壁部を有しており、その壁部を貫通して回転軸部材122が回転自在に軸支される。その回転軸部材122の一方の端部は処置具起立空間62に突出し、他方の端部は、レバー収容体120の内部に形成されたレバー収容空間部124に突出する。
そして、回転軸部材122の処置具起立空間62に突出する端部には、起立台60の基端側の端部が固定される(図5参照)。一方、回転軸部材122のレバー収容空間部124に突出する端部には、レバー収容空間部124に収容配置された起立レバー126の基端側の端部が固定され、起立レバー126の先端側の端部には、操作ワイヤ98の先端が回転自在に(起立レバー126に対して回転自在な連結ピンを介して)連結される(図5参照)。
これにより、操作部12の起立操作レバー74の操作により操作ワイヤ98が進退移動すると、起立レバー126が回転軸部材122の中心を通る軸122x周りに回転軸部材122と共に回転する。そして、その回転軸部材122の回転により起立台60が軸122x周りに回転軸部材122と共に回転して起立動作する。
なお、図6において、レバー収容体120の基端側には操作ワイヤ98が挿通される図5に示したワイヤガイド管99の先端が固定される。また、同図における管部材130は、処置具挿通チャンネルを形成する部材であり、処置具導入口24(図2参照)に連通するように接続されている。
また、操作ワイヤ98の進退移動による動力を、起立台60を起立動作させる動力として伝達する先端部内動力伝達機構100は、上記実施の形態の構成に限らず、任意の構成とすることができる。例えば、操作ワイヤ98の先端を直接的に起立台60に連結した構成としてもよいし、上記実施の形態と相違する構成により操作ワイヤ98を間接的に起立台60に連結した構成としてもよい。
次に、図5における操作部内動力伝達機構90の一実施の形態について説明する。図7は、操作部内動力伝達機構90を簡易的に示した構成図である。同図に示すように、操作部12の操作部本体である筐体13の右側面13R(図3、図4参照)を形成する部分には、筐体13の内部と外部とを連通させる貫通孔13aが形成される。その貫通孔13aには、筐体13の内部から外部へと延在し、かつ、右側面13Rに略直交する円柱状の主軸150と円筒状の固定軸152(図5参照)とが軸150xに沿って同軸上に設けられる。
これらの主軸150と固定軸152とは、一方の端部(基端側の端部)が筐体13の内部において、筐体13の一部分である、又は、筐体13に固定された部材の一部分である支持部13bに固定される。
なお、主軸150の外周面と固定軸152の内周面との間は離間しており、それらの間には、図3及び図4に示した左右アングルノブ70と上下アングルノブ72の各々の回転操作による動力を、湾曲部32を左右方向に湾曲させる左右操作ワイヤと上下方向に湾曲させる上下操作ワイヤの各々に伝達する不図示の動力伝達機構が配置される。
例えば、固定軸152は、基端側が先端側より拡径されて太径部152aと細径部152bとからなり、太径部152aの内周面側に、主軸150の周りを回転し、左右操作ワイヤと上下操作ワイヤの各々を巻回して牽引する2つのプーリーが配置される。そして、それらのプーリーの各々に円筒状の2重の回転軸の各々が連結され、それらの回転軸が主軸150の外周面と固定軸152の内周面との間を挿通して左右アングルノブ70と上下アングルノブ72の各々に連結される。なお、左右アングルノブ70及び上下アングルノブ72は軸150x周りに回転可能に支持される。
固定軸152の細径部152bの外周部には、円筒状の回転ドラム154(図5参照)が固定軸152の周り(軸150x周り)に回転自在に支持される。回転ドラム154の外周面と筐体13の貫通孔13aの内周面との間には、筐体13に固定された環状の枠部材160が配置され、枠部材160の内周面と外周面に装着されたOリング(O-ring、オーリング)が回転ドラム154の外周面と貫通孔13aの内周面に圧接し、回転ドラム154と筐体13との間が密閉される。なお、枠部材160は筐体13の一部として筐体13に一体形成された部分であってもよい。
この回転ドラム154の一方の端部(先端側の端部)には、環状の固定部156aと、固定部156aの一部から径方向に延設された腕部156b(図5参照)とからなる連結部材156がネジ等により固定される。その連結部材156の腕部156bの先端部分には指掛け部158(図5参照)が固定され、腕部156bと指掛け部158とにより起立操作レバー74が形成される。これにより、起立操作レバー74が操作部12の外側の右側面13Rに沿った位置において軸150x周りに回転自在に配置される。
なお、起立操作レバー74の指掛け部158は、屈曲した形状を有し、操作部12(筐体13)の右側面13Rに対向する位置から下面13Dに対向する位置に及んで配置される。
一方、回転ドラム154の他方の端部(基端側の端部)には、径方向に突出する凸部155が設けられており、その凸部155に上述のクランク部材92(図5参照)の一端が回転自在に連結される。
これによって、起立操作レバー74が軸150x周りに回転操作されると、回転ドラム154と共にクランク部材92の端部が軸150x周りに回転する。このクランク部材92の端部の回転により、図5のスライダ96が進退移動して、操作ワイヤ98及び先端部内動力伝達機構100を介して起立台60が起伏動作する。
なお、起立操作レバー74に加えられた動力を操作ワイヤ98に伝達する機構は、本実施の形態における操作部内動力伝達機構90及びクランク部材92等により構成されるものでなくてもよい。また、本実施の形態の起立操作レバー74は、左右アングルノブ70及び上下アングルノブ72と同軸上に回転自在に配置され、回転移動するものであるが、起立操作レバー74を直進移動自在に設け、その直進移動の動力を操作ワイヤ98に伝達する機構としてもよい。
次に、起立操作レバー74の操作範囲と、起立台60の起立動作範囲との関係について説明する。
図5及び図7に示すように、回転ドラム154の内側には、固定軸152に固定された円筒状の規制ドラム162が配置されており、その規制ドラム162には、外周面から突出するストッパ部材164が固定される。このストッパ部材164は、回転ドラム154の周壁部の一部の範囲に周方向に沿って形成された長溝166に挿入配置される。
これによって、回転ドラム154の軸150x周りに回転自在な回転角度範囲は、長溝166の一方の端部166a(図5参照)がストッパ部材164に当接したときの回転角度から他方の端部166b(図5参照)がストッパ部材164に当接したときの回転角度までの回転角度範囲に制限される。
そして、起立操作レバー74の回転操作可能な回転角度範囲、即ち、起立操作レバー74の操作可能な操作範囲も回転ドラム154の回転自在な回転角度範囲に対応した範囲に制限される。
ここで、起立操作レバー74が軸150x周りの回転角度θ1の位置に移動したときの起立操作レバー74の位置を角度位置θ1と表す。また、起立操作レバー74の回転自在な回転角度範囲、即ち、操作可能な操作範囲を全操作範囲というものとすると、回転ドラム154の端部166aがストッパ部材164に当接したときの起立操作レバー74の角度位置θ1を全操作範囲のうちの最小角度位置としてθ1minで表し、回転ドラム154の端部166bがストッパ部材164に当接したときの起立操作レバー74の角度位置θ1を全操作範囲のうちの最大角度位置としてθ1max(>θ1min)で表す。
このとき、図4と同様に操作部12を下面13Dから示した図8の拡大図のように起立操作レバー74(指掛け部158)は、角度位置θ1が最小角度位置θ1minのときに全操作範囲の最も基端側の基端位置となり、角度位置θ1が最大角度位置θ1maxのときに全操作範囲の最も先端側の先端位置となり、基端位置から先端位置までの範囲内で移動する。
また、起立操作レバー74が全操作範囲の基端位置(最小角度位置θ1min)のときに、即ち、図5において回転ドラム154の長溝166の端部166aがストッパ部材164に当接しているときに、操作ワイヤ98が最も先端側に前進し、起立操作レバー74が全操作範囲の先端位置(最大角度位置θ1max)のときに、即ち、図5において回転ドラム154の長溝166の端部166bがストッパ部材164に当接しているときに操作ワイヤ98が最も基端側に後退する。
したがって、起立操作レバー74を全操作範囲の基端位置から先端位置に向けて移動させて、起立操作レバー74の角度位置θ1を大きくすることで、操作ワイヤ98を基端側に後退させることができる。
なお、起立操作レバー74の操作範囲の制限は、操作部12におけるどのような手段によるものでもよく、本実施の形態のように回転ドラム154の長溝166にストッパ部材164を当接させて制限させるものに限らない。例えば、起立操作レバー74に当接するストッパ部材等で起立操作レバー74の操作範囲を直接的に制限する形態することもできる。また、任意の形態の操作部内動力伝達機構90において起立操作レバー74と連動して移動する任意の部材の動作範囲を制限することにより起立操作レバー74の操作範囲を制限する形態とすることもできる。
一方、図6において、起立台60に回転軸部材122を介して連結された起立レバー126は、回転軸部材122の中心を通る軸122x周りに回転し、起立レバー126の軸122x周りに回転自在な回転角度範囲は、起立レバー126が、レバー収容体120のレバー収容空間部124を画定する先端側の壁面124aに当接したときの回転角度からレバー収容空間部124を画定する基端側の壁面124bに当接したときの回転角度までの回転角度範囲に制限される。
これによって、起立台60の回転自在な回転角度範囲、即ち、起立台60の起立動作範囲は、起立レバー126の回転自在な回転角度範囲に制限される。
ここで、起立台60が軸122x周りの回転角度θ2の位置に設定されているときの起立台60の位置を角度位置θ2と表す。また、起立台60の回転自在な回転角度範囲、即ち、起伏動作可能な動作範囲を起立動作範囲というものとすると、起立レバー126がレバー収容空間部124の壁面124aに当接したときの起立台60の角度位置θ2を起立動作範囲のうちの最小角度位置としてθ2minで表し、起立レバー126がレバー収容空間部124の壁面124bに当接したときの起立台60の角度位置θ2を起立動作範囲のうちの最大角度位置としてθ2max(>θ2min)で表す。
このとき、起立台60全体を側面側から示した図9に示すように起立台60は、角度位置θ2が最小角度位置θ2minのときに起立動作範囲の最も倒伏した最大倒伏位置となり、角度位置θ2が最大角度位置θ2maxのときに起立動作範囲の最も起立した最大起立位置となり、最大倒伏位置から最大起立位置までの範囲内で起立動作する。
また、操作ワイヤ98が先端側に前進するときには、起立レバー126がレバー収容空間部124の先端側の壁面124aに当接する方向に回転するため、起立台60が倒伏する方向に回転して起立台60の角度位置θ2が小さくなる。操作ワイヤ98が基端側に後退するときには、起立レバー126がレバー収容空間部124の基端側の壁面124bに当接する方向に回転するため、起立台60が起立する方向に回転して起立台60の角度位置θ2が大きくなる。
したがって、上述のように操作部12の起立操作レバー74が全操作範囲の基端位置から先端位置に向けて操作されて、起立操作レバー74の角度位置θ1が大きくなると、操作ワイヤ98が基端側に後退して先端部34の起立台60が起立する方向に起立動作し、起立台60の角度位置θ2が大きくなる。
なお、起立台60の起立動作範囲の制限は、先端部34内におけるどのような手段によるものでもよく、本実施の形態のように起立レバー126の動作範囲の制限によるものに限らない。例えば、起立台60に当接するストッパ部材等で起立台60の起立動作範囲を直接的に制限する形態することもできる。また、任意の形態の先端部内動力伝達機構100において起立台60と連動して移動する任意の部材の動作範囲を制限することにより起立台60の起立動作範囲を制限する形態とすることもできる。
続いて、図10に、先端部34(処置具導出部58)から処置具が導出されていない状態における起立操作レバー74の操作範囲と起立台60の起立動作範囲との関係図を示す。起立操作レバー74の操作範囲と起立台60の起立動作範囲との関係は、起立操作レバー74の操作範囲と起立台60の起立動作範囲の各々の大きさと操作ワイヤ98の長さ等により決まり、本実施の形態では、図10のような関係となるようにそれらの値が設定されて構成されている。
同図に示すように起立操作レバー74の角度位置θ1が全操作範囲のうちの最小角度位置θ1minである場合、起立台60の角度位置θ2は起立動作範囲のうちの最小角度位置θ2minとなる。即ち、起立操作レバー74が全操作範囲の基端位置にある場合には、起立台60は最も倒伏した最大倒伏位置となる。
そして、起立操作レバー74が起立台60を起立させる方向に操作されて起立操作レバー74の角度位置θ1が徐々に大きくなると、それに伴って起立台60が徐々に起立して角度位置θ2も徐々に大きくなる。ただし、起立操作レバー74の角度位置θ1が最小角度位置θ1minから所定角度分変化するまでの範囲において、起立台60の角度位置θ2に変化が生じない構成としてもよい。たとえば、起立レバー126に若干のあそびを設けるときは、実質的に、起立操作レバー74の角度位置θ1がθminよりも大きい角度位置において、起立台60の角度位置θ2が最小角度位置θ2minとなる。
なお、起立操作レバー74の操作方向(移動方向)において、起立台60を起立させる方向を起立側、起立台60を倒伏させる方向を倒伏側というものとする。
続いて、起立操作レバー74の角度位置θ1が、全操作範囲のうちの最大角度位置θ1maxよりも小さい所定の角度位置θ1aに移動したときに、起立台60の角度位置θ2が起立動作範囲のうちの最大角度位置θ2maxとなる。
これによれば、処置具導出部58から処置具が導出されていない状態において、起立操作レバー74は、起立台60の起立動作範囲内で操作ワイヤ98を牽引する最小角度位置θ1minから角度位置θ1aまでの第1の操作範囲を有する。そして、起立操作レバー74が第1の操作範囲よりも起立側に大きく操作された場合に操作ワイヤ98を更に牽引する角度位置θ1aから最大角度位置θ1maxまでの第2の操作範囲を有する。起立操作レバー74が第2の操作範囲で操作されているときには、起立台60は最大角度位置θ2maxに維持される。
このように起立操作レバー74が第2の操作範囲を有することにより、処置具挿通チャンネルを介して先端部34から導出する処置具の曲げ剛性が大きい場合(曲がり難い場合)であっても、起立操作レバー74を第1の操作範囲よりも起立側に大きく操作して第2の操作範囲に操作することで、起立台60を最大角度位置θ2maxまで起立させることできる。
例えば、被検体の体内の目的部位から細胞組織を採取する場合に、図11のように、目的部位Tの近傍の壁面S(体壁)に先端部34の超音波トランスデューサ50の超音波送受面を当接又は近接させ、超音波トランスデューサ50により取得される超音波画像により目的部位Tの位置を確認する。そして、処置具として穿刺針180(組織採取装置)を、処置具挿通チャンネルを挿通させて先端部34の処置具導出部58から導出させる。なお、穿刺針180は、例えば筒状の鞘部材182と鞘部材182内に挿通配置される針管184とから構成され、穿刺針180を処置具導出部58から導出させる際には針管184は鞘部材182の内部に収容されている。
続いて、起立操作レバー74の操作により起立台60の角度位置θ2を調整して処置具導出部58からの穿刺針180の導出方向(導出角度)を調整し、穿刺針180を目的部位Tの方向に向ける。そして、穿刺針180の操作部の操作により針管184の先端を鞘部材182から導出させてその先端を壁面Sから目的部位Tまで刺し込む。これによって、針管184の先端の内部に目的部位Tの細胞組織を取り込むことができ、穿刺針180を処置具挿通チャンネルから抜き取った後、針管184から目的部位Tの細胞組織を採取することができる。
このような手技において、穿刺針180は一般的に外径が大きくなるほど曲げ剛性も大きくなり、曲げ剛性が大きいと操作ワイヤ98の伸びやワイヤガイド管99の短縮が生じる。そのため、処置具導出部58から処置具を導出していない場合と比べると、起立操作レバー74の角度位置θ1に対する起立台60の角度位置θ2が小さくなる場合がある。なお、起立操作レバー74の角度位置θ1に対して起立台60の角度位置θ2が処置具導出部58から処置具を導出していない場合と同様の角度位置に初期において設定された場合であっても、穿刺針180の直線状に戻ろうとする復元力により起立台60の角度位置θ2が徐々に小さくなる場合もある。
そのような場合に、例えば、起立操作レバー74が上述の第1の操作範囲(図10参照)のみを全操作範囲とするときには、起立台60の起立動作範囲が小さくなり、本来の最大角度位置θ2maxまで起立させることができない。
一方、起立台60の角度位置θ2が小さいほど、即ち、穿刺針180の導出角度が小さいほど、超音波画像内に写る被観察部位のうち、処置具導出部58から導出させた穿刺針180を穿刺できる部位が、小さくなり、かつ、超音波トランスデューサ50に近い位置に制限される。そのため、起立台60の起立動作範囲が小さいと、目的部位Tが壁面Sから遠い場合等において、目的部位Tを超音波画像内に写り込むように、かつ、穿刺針180が目的部位Tの方向に向くように、先端部34の位置や向き等の調整を行うことが難しい場合もある。したがって、先端部34の位置や向きの調整を容易にするため起立台60は最大角度位置θ2maxまで起立させることができる状態であることが望ましい。
特に、起立台60を最大角度位置θ2maxに起立させて使用する場合には、処置具導出部58から導出される穿刺針180の向きを事前に特定することができため、超音波画像等に写る穿刺針180の向きを確認することなく、超音波画像上において穿刺針180(針管184)が通過する位置を予想することができる。したがって、超音波画像等に写る穿刺針180の向き確認することなく、超音波画像に写る目的部位Tの位置を確認するだけで、穿刺針180の向きに目的部位Tが存在するように先端部34の位置や向き等を調整することができる。また、起立台60の角度位置θ2の微調整を不要にすることができ、起立台60の操作を容易にすることができる。なお、処置具として穿刺針180以外のものを使用する場合においても同様のことがいえる。
このようなことから、本実施の形態の起立操作レバー74には、図10に示したように先端部34から処置具が導出されていない状態において起立台60の起立動作範囲内で操作ワイヤ98を牽引する第1の操作範囲と、第1の操作範囲よりも大きく操作された場合に操作ワイヤを更に牽引する第2の操作範囲が設けられている。
図12は、先端部34(処置具導出部58)から曲げ剛性の大きな処置具が導出されている状態における起立操作レバー74の操作範囲と起立台60の起立動作範囲との関係図を示す。
これによれば、起立操作レバー74が起立側に操作されて起立操作レバー74の角度位置θ1が最小角度位置θ1minから徐々に大きくなると、起立台60が徐々に起立して起立台60の角度位置θ2と共に処置具の導出角度も徐々に大きくなる。ただし、起立操作レバー74の角度位置θ1が最小角度位置θ1minから所定角度分変化するまでの範囲において、起立台60の角度位置θ2に変化が生じない場合もある。
そして、起立操作レバー74の角度位置θ1が、上述の第1の操作範囲と第2操作範囲との境界となる角度位置θ1aになったときには、起立台60の角度位置θ2が起立動作範囲のうちの最大角度位置θ2maxとはならず、最大角度位置θ2maxよりも小さい角度位置θ2aとなる。
したがって、起立操作レバー74が第1の操作範囲のみで操作可能な場合には、起立台60を最大角度位置θ2maxまで起立させることができず、角度位置θ2aまでの起立に制限される。
一方、起立操作レバー74は、上述のように第1の操作範囲よりも起立側に第2の操作範囲を有しているため、起立操作レバー74が更に起立側に操作されて起立操作レバー74の角度位置θ1が角度位置θ1aから徐々に大きくなると、起立台60が更に起立して起立台60の角度位置θ2と共に処置具の導出角度も徐々に大きくなる。
そして、起立操作レバー74の角度位置θ1が、最大角度位置θ1max以下である所定の角度位置θ1bになると、起立台60の角度位置θ2が起立動作範囲のうちの最大角度位置θ2maxとなる。
これによれば、処置具導出部58から曲げ剛性の大きな処置具が導出されている状態において、起立操作レバー74の第1の操作範囲だけでは起立台60が最大角度位置θ2maxまで起立しない場合であっても、起立操作レバー74を第1の操作範囲よりも大きな第2の操作範囲の角度位置θ1b又は角度位置θ1bよりも大きな角度位置に移動させることで、起立台60を起立動作範囲の最大角度位置θ2maxまで起立させることができる。
なお、起立操作レバー74の第2の操作範囲の使用が必要な場合と不要な場合とを考慮すると、操作性の点から、起立操作レバー74の第1の操作範囲は、全操作範囲に対して40%以上で70%以下であることが望ましく、更には50%以上で70%以下であることが望ましい。
次に、上記図1〜図12に示した実施の形態の内視鏡1において、起立操作レバー74の操作範囲(角度位置θ1)が、最小角度位置θ1minか否か、及び、第1の操作範囲と第2の操作範囲のいずれであるかを識別する指標を設けた場合の形態について説明する。
図13は、操作部12(筐体13)の下面13Dにおいて、起立操作レバー74の指掛け部158が対向して配置される部分を拡大して示した図である。なお、指掛け部158は一点鎖線で示す。
同図に示すように、操作部12の下面13Dには、下面13Dと異なる色の指標200が設けられる。指標200は、例えば、下面13Dに塗料等によって直接的に記されたものであってもよいし、下面13Dに固定される板部材であってもよく、下面13Dに指標を設ける手段はどのようなものでもよい。
また、指標200は、起立操作レバー74の移動方向である操作部12の基端側から先端側に向かう方向(前後方向)に沿って長尺状の形状を有し、基端側に幅の小さい小幅部200aと、先端側に幅の大きい大幅部200bを有する。
この指標200は、起立操作レバー74が図中(A)で示す全操作範囲の基端位置(最小角度位置θ1min)に設定されている状態において、起立操作レバー74の指掛け部158により遮蔽される位置に設けられる。なお、起立操作レバー74が基端位置に設定されている状態は、上述のように起立台60が起立動作範囲の最小角度位置θ2minに設定されているときの状態に相当する。
そして、その状態における起立操作レバー74の指掛け部158の基端158eに対して、指標200の小幅部200aの基端200eが略一致(前後方向に略一致)する位置に配置される。
したがって、起立操作レバー74が起立側に操作されて基端位置よりも先端側の角度位置に設定され、起立台60が最小角度位置θ2minから起立した状態に設定されているときには、指標200の小幅部200aが露呈して操作者によって視認可能な状態に設定される。
また、指標200の大幅部200bの基端200mは、起立操作レバー74が同図(B)で示すように第1の操作範囲と第2の操作範囲との境界となる角度位置θ1aに設定されている状態のときの指掛け部158の基端158eに対して略一致(前後方向に略一致)する位置に配置される。
したがって、起立操作レバー74が第1の操作範囲よりも起立側に大きく操作され、起立操作レバー74の角度位置θ1が角度位置θ1aよりも大きい第2の操作範囲の角度位置となっているときに、指標200の大幅部200bが露呈して操作者によって視認可能な状態となる。なお、同図(C)の起立操作レバー74は、角度位置θ1が最大角度位置θ1maxとなったときのものを示す。
これによれば、指標200の小幅部200aが露呈されているか否か、即ち、小幅部200aが視認されるか否かによって、起立操作レバー74の角度位置θ1が最小角度位置θ1minであるか否かを知ることができ、起立台60が最小角度位置θ2minから起立しているか否かを知ることができる。
これによって、挿入部10の体内に対する挿抜時において、操作者は起立台60が倒伏している状態か否かを容易に知ることができ、起立台60が起立した状態で挿入部10の挿抜操作や湾曲部32の湾曲操作などを行うことを防止することができる。また、操作部12に指標200を設けるだけであり、簡易かつ安価に実現できる。
また、指標200の大幅部200bが露呈されているか否か、即ち、大幅部200bが視認されるか否かによって、操作者は、起立操作レバー74が第2の操作範囲に移動したか否かを知ることができ、先端部34(処置具導出部58)から処置具が導出されていない状態、又は、曲げ剛性の小さい処置具が導出されている状態においては、起立台60が最大角度位置θ2maxに設定されているか否かを知ることができる。
以上、図13に示した実施の形態の指標200は、一例であって、起立操作レバー74の角度位置θ1が、最小角度位置θ1minか否か、及び、第1の操作範囲と第2の操作範囲のいずれであるかを識別できるようにしたものであれば他の形態であってもよい。
例えば、指標200は、起立操作レバー74が最小角度位置θ1minに設定されている状態において全体が起立操作レバー74により遮蔽されていなくてもよく、先端側が露呈していてもよい。また、小幅部200aと大幅部200bとは、幅の大小関係が逆でもよいし、同じ幅又は異なる幅で、異なる形態(色、模様等)としてもよい。
また、図14に示すように、図13の指標200において小幅部200aの基端部分と大幅部200bの基端部分のみを残して構成される指標202と指標204とからなる指標としてもよい。指標202と指標204とは同じ幅であってもよい。
また、指標は、起立操作レバー74の角度位置θ1が、最小角度位置θ1minか否か、及び、第1の操作範囲と第2の操作範囲のいずれであるか、のうちのいずれか一方のみを識別できるようにしたものであってもよく、図13の指標200においては、小幅部200aと大幅部200bのいずれか一方のみからなるものであってもよいし、図14の指標においては、指標202と指標204のいずれか一方のみからなるものであってもよい。
さらに、起立操作レバー74が第2の操作範囲を有せず、第1の操作範囲のみを有する場合であっても、起立操作レバー74の角度位置θ1が最小角度位置θ1minであるか否かを示す指標を上記実施の形態と同様に設けることは有効である。
次に、上記図1〜図12に示した実施の形態の内視鏡1、又は、上記図13及び図14に示した指標を設けた実施の形態の内視鏡1において、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されたときに起立操作レバー74の移動(回転)を係止する係止機構(負荷発生手段)を設けた場合の形態について説明する。
図15は、図7の操作部内動力伝達機構90における起立操作レバー74、連結部材156、回転ドラム154、及び固定軸152を示した図であり、図16は、操作部内動力伝達機構90に設けられた係止機構を拡大して示した斜視図である。
これらの図に示すように、起立操作レバー74の回転操作と共に軸150x周りに回転する回転ドラム154と、支持部13bを介して筐体13に固定される固定軸152との間に、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されたときに起立操作レバー74の移動を係止する係止機構210が設けられる。
係止機構210は、固定軸152に固定されることで操作部12(筐体13)に設けられる固定部212と、回転ドラム154に固定されることで起立操作レバー74と一体に設けられ、固定部212に対して移動する可動部214とから構成される。
固定部212は、中央部に貫通孔213aを有する円板状の板状部材213からなり、貫通孔213aに固定軸152の細径部152bが挿通されて、固定軸152の太径部152aと細径部152bとの連結部分である段差部152cにネジ等で固定される。なお、固定部212の中心軸は、軸150xと同軸上に配置される。
また、固定部212には、図16に示すように外周縁部において、平坦な板面213bから可動部214側に突出する係止ピン220が設けられる。係止ピン220は、軸150x周り方向に対して山型形状を有する。
一方、可動部214は、図16に示すように弾性変形可能な長細い2枚の板状部材240、242を重ね合わせて構成されており、それらの板状部材240、242の両端部は、回転ドラム154の基端側の端部から径方向に突出する2つの凸部155にネジ等により固定される。そして、それらの板状部材240、242からなる可動部214は、固定部212の外周縁部に対向した位置に配置される。
また、板状部材240、242のうち、固定部212側に配置される板状部材240には、平坦な板面240aから固定部212側に突出する係止突起244が設けられる。係止突起244は、軸150x周り方向に対して山型形状を有する。
これによって、板状部材240、242が弾性変形する弾性支持部材として係止突起244を支持する。なお、可動部214は1枚の板状部材240のみによって構成されていてもよく、以下において、可動部214は板状部材240のみによって構成されているものとして説明する。
このように構成される固定部212の係止ピン220と可動部214の係止突起244とは、軸150xに対して同一径の円筒面と交差する位置に配置され、また、起立操作レバー74の回転操作により回転ドラム154と共に可動部214が軸150x周りに回転すると、係止ピン220と係止突起244とが接触する距離に固定部212と可動部214が配置される。
図17は、固定部212と可動部214との周方向(軸150x周り方向)に沿った構成を平面上に展開して簡易的に示した図であり、起立操作レバー74の角度位置θ1との関係を示した図である。
まず、可動部214の係止突起244(係止突起244の中心)が軸150x周りの回転角度θ3の位置に設定されているときの係止突起244の位置を角度位置θ3と表し、固定部212の係止ピン220(係止ピン220の中心)が軸150x周りの回転角度θ4の位置に設置されているときの係止ピン22の位置を角度位置θ4と表す。また、係止突起244の回転自在な回転角度範囲、即ち、移動可能な移動範囲を全移動範囲というものとすると、起立操作レバー74の角度位置θ1が全操作範囲のうちの最小角度位置θ1minに設定されているときの係止突起244の角度位置θ3を全移動範囲のうちの最小角度位置としてθ3minで表し、起立操作レバー74の角度位置θ1が全操作範囲のうちの最大角度位置θ1maxに設定されているときの係止突起244の角度位置θ3を全移動範囲のうちの最大角度位置としてθ3max(>θ3min)で表す。
このとき、係止突起244の角度位置θ3は、同図に示すように起立操作レバー74の角度位置θ1が最小角度位置θ1minのときに、全移動範囲のうちの最小角度位置θ3minとなり、起立操作レバー74の角度位置θ1が最大角度位置θ1maxのときに全移動範囲のうちの最大角度位置θ3maxとなる。
そして、起立操作レバー74の最小角度位置θ1minから最大角度位置θ1maxまでの範囲での移動と共に係止突起244が最小角度位置θ3minから最大角度位置θ3maxまでの範囲で移動する。
一方、係止ピン220は、起立操作レバー74の角度位置θ1が少なくとも第2の操作範囲に設定されているときの係止突起244の角度位置θ3の範囲内に設置される。即ち、起立操作レバー74が第1の操作範囲と第2の操作範囲の境界である角度位置θ1aであるときの係止突起244の角度位置θ3をθ3aとすると、係止ピン220は、角度位置θ4が、少なくとも角度位置θ3a以上で、角度位置θ3max以下の角度位置であるθ3bとなる位置に設置される。
なお、同図は、係止突起244が起立操作レバー74に対して軸150x周り方向の同じ回転角度の位置に設置されていることを意味するものではなく、係止突起244と起立操作レバー74との相対的な位置関係は特定のものに限定されない。
このような係止突起244と係止ピン220との配置によれば、起立操作レバー74が最小角度位置θ1minから起立側に操作され、起立操作レバー74の角度位置θ1が大きくなると、係止突起244も起立側に移動し、係止突起244の角度位置θ3が最小角度位置θ3minから徐々に大きくなる。なお、係止突起244に関する起立側とは、固定部212(係止ピン220)に対する可動部214(係止突起244)の移動方向において、起立台60を起立させる方向をいい、倒伏側とは、起立台60を倒伏させる方向をいう。
そして、起立操作レバー74が第2の操作範囲に移動し、係止突起244が角度位置θ3bまで移動すると、係止突起244の起立側の傾斜面224uが係止ピン220の倒伏側の傾斜面220dに当接して係合する。これによって、係止突起244と係止ピン220とが倒伏側で係合し、起立側への係止突起244の移動に対して負荷が与えられ、起立側への起立操作レバー74の移動が係止される。
なお、係止突起244と係止ピン220との倒伏側での係合とは、係止突起244の起立側の傾斜面244uが係止ピン220の倒伏側の傾斜面220dに当接しているとき、即ち、係止突起244が係止ピン220に対して倒伏側にあるときの係合を意味する。反対に、起立側での傾倒とは、係止突起244の倒伏側の傾斜面244dが係止ピン220の起立側の傾斜面220uに当接しているとき、即ち、係止突起244が係止ピン220に対して起立側にあるときの係合を意味する。
このとき、操作者の起立操作レバー74の操作により係止突起244(可動部214)に対して係合を解除する起立側への一定以上の力量が加えられると、係止突起244を支持する板状部材240が弾性変形して係止突起244が係止ピン220を乗り越える。これによって、係止突起244と係止ピン220との倒伏側での係合が解除される。
なお、以下において、係合が解除される旨の記載は、倒伏側での係合であれば、係止突起244の起立側への移動により係止突起244が係止ピン220を乗り越えることを意味し、起立側での係合であれば、係止突起244の倒伏側への移動により係止突起244が係止ピン220を乗り越えることを意味するものとする。
係止突起244と係止ピン220との倒伏側での係合が解除された後、更に起立操作レバー74が起立側に操作され、係止突起244が起立側に移動すると、係止突起244の角度位置θ3が角度位置θ3bから大きくなる。そして、起立操作レバー74が最大角度位置θ3maxになると、係止突起244の角度位置θ3が角度位置θ3maxとなる。
一方、係止突起244と係止ピン220との倒伏側での係合が解除された後は、係止突起244の倒伏側の傾斜面244dが係止ピン220の起立側の傾斜面220uに当接するときの起立操作レバー74の角度位置θ1c(図17参照)において、係止突起244と係止ピン220とが起立側で係合し、倒伏側への係止突起244の移動に対して負荷が与えられる。これによって、倒伏側への起立操作レバー74の移動が係止される。
なお、係止突起244と係止ピン220とが起立側で係合している場合と倒伏側で係合している場合とでは、それらの場合の係止突起244の角度位置θ3及び起立操作レバー74の角度位置θ1とが正確には異なる。しかしながら、その差は小さいため、以下において、係止突起244と係止ピン220とが係合している場合に、起立側と倒伏側のいずれの係合であっても、係合しているときの係止突起244の角度位置を係止ピン220の角度位置とし、係合しているときの起立操作レバー74の角度位置を、その係合しているときの係止突起244の角度位置に対応した起立操作レバー74の角度位置とする。
係止突起244と係止ピン220とが起立側で係合している場合において、操作者の起立操作レバー74の操作により係止突起244(可動部214)に対して係合を解除する倒伏側への一定以上の力量が加えられると、即ち、係止突起244と係止ピン220との起立側での係合を解除するために必要な力量以上の力量が倒伏側への係止突起244の移動に対して与えられると、上述の場合と同様にして係止突起244と係止ピン220との起立側で係合が解除される。そして、更に起立操作レバー74が倒伏側に操作されると、起立操作レバー74と共に係止突起244が倒伏側に移動し、起立操作レバー74が最小角度位置θ3minになると、係止突起244の角度位置θ3が最小角度位置θ3minとなる。
ところで、先端部34(処置具導出部58)から処置具が導出されている場合には、処置具の直線状態に戻ろうとする復元力が起立台60に加わり、操作ワイヤ98、スライダ96、及び回転ドラム154を介して可動部214に対して倒伏側への力が加わる。一方、係止突起244と係止ピン220の起立側での係合は、そのような処置具からの加えられる力量では容易に解除できないように構成される。
したがって、起立操作レバー74を起立側に操作し、第2の操作範囲において、係止突起244が係止ピン220と係合する角度位置θ3bよりも起立側に移動させれば、操作者が起立操作レバー74から指を放しても、又は、大きな保持力で起立操作レバー74の位置を保持していなくても、係止突起244と係止ピン220とが起立側で係合するときの位置に起立操作レバー74を係止することができ、起立台60の角度位置及び処置具の導出角度を維持することができる。
特に、図32及び図33に示すように、起立操作レバー74は、左手の親指により操作すると共に、処置具の曲げ剛性が大きい場合に起立台60を最大角度位置θ2maxまで起立させるときには、図33のように親指の関節を大きく曲げて起立操作レバー74を第2の操作範囲まで操作する必要がある。そして、係止機構210がない場合には、処置具の直線状態に戻ろうとする復元力に対抗して起立操作レバー74に対して起立側への力を加え続ける必要があるため指に負担がかかる。しかしながら、本実施の形態の係止機構210により係止突起244と係止ピン220とを起立側で係合させることで、操作者が起立操作レバー74は親指を起立操作レバー74から放すことができ,又は、大きな力で起立操作レバー74に加え続ける必要がなく、操作負担が軽減される。
続いて、固定部212の係止ピン220の設置位置について説明する。図17に示した係止ピン220の設置位置は、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されているときに可動部214の係止突起244が移動する角度位置の範囲内、即ち、角度位置θ3aから角度位置θ3maxまでの範囲内の任意の角度位置θ3bであることを示したもので、特定の位置を設置位置とする場合に限られないが、以下のように特徴的な角度位置に設置してもよい。
図18は、図17と同様に固定部212と可動部214との周方向に沿った構成を起立操作レバー74の角度位置θ1との関係と共に示した図である。同図における係止ピン220は、係止突起244の最大角度位置θ3maxと略一致する角度位置に設置される。これによれば、起立操作レバー74が最大角度位置θ1maxまで操作されたときに係止突起244と係止ピン22とが起立側で係合する。したがって、起立操作レバー74の倒伏側への移動を最大角度位置θ1maxにおいて係止することができる。
このように起立操作レバー74を最大角度位置θ1maxにおいて係止することは、先端部34から導出された処置具が想定外のものである場合を除いて、処置具の曲げ剛性の大小にかかわらず、起立台60を最大角度位置θ2max(最大起立位置)で保持することができる。
図19は、図17と同様に固定部212と可動部214との周方向に沿った構成を起立操作レバー74の角度位置θ1との関係と共に示した図である。
同図における係止ピン220は、係止突起244の角度位置θ3aと略一致する角度位置に設置される。係止突起244の角度位置θ3aは、上述のように起立操作レバー74が第1の操作範囲と第2の操作範囲との境界である角度位置θ1aのときの係止突起244の角度位置である。
これによれば、起立操作レバー74が第1の操作範囲と第2の操作範囲との境界である角度位置θ1aまで操作されたときに係止突起244と係止ピン22とが起立側で係合する。したがって、起立操作レバー74の倒伏側への移動を角度位置θ1aにおいて係止することができる。
このように起立操作レバー74を最大角度位置θ1aにおいて係止することは、先端部34から導出された処置具の曲げ剛性の通常の大きさのものであれば、起立台60を最大角度位置θ2max(最大起立位置)で保持することができる。
また、係止突起244と係止ピン220とが起立側で係合する前に、それらは倒伏側で係合し、操作者が起立操作レバー74を操作して係止突起244に対して起立側への一定以上の力量を加えることで、倒伏側の係合が解除されて、起立側での係合となる。したがって、操作者は、起立操作レバー74の起立側への操作に要する力量の急激な変化により、起立操作レバー74の操作が第1の操作範囲から第2の操作範囲に移行したことを知ることができる。
以上、上記実施の形態の係止機構210の固定部212と可動部214は、互いに係合する部分である係止ピン220と係止突起244とを有していればよく、又は、これらに加えて係止突起244を支持する弾性支持部材を有していればよく、他の部分は任意の構成に変更できる。例えば、係止ピン220は、円板状の板状部材213に形成されたものではなく、係止ピン220が設置される位置の周辺のみの大きさの板状部材に形成して、その板状部材を固定軸152の段差部152cに固定してもよい。また、固定部212は、固定軸152の段差部152cではなく、操作部12の筐体13に固定された任意の部材に固定してもよいし、可動部214は、回転ドラム154の基端側の端部から径方向に突設された凸部155ではなく、回転ドラム154の任意の位置、又は、起立操作レバー74に連結された任意の部材の任意の位置に固定してもよい。また、可動部214の係止突起244を支持する弾性支持部材は、上述のように中央部が弾性変形可能に両端部が固定された板状部材240、242ではなく、バネ等の任意の弾性部材によって係止突起244を支持するものであればよく、全体が平面に面して回転ドラム154等の部材に固定されるものであってもよい。
更に、係止機構210として、固定部212と可動部214とは互いに他方の構成を採用した形態とすることもできる。即ち、任意の構成の固定部212と可動部214とを有する係止機構210に対して、その固定部212の構成を可動部の構成とし、可動部214の構成を固定部の構成とした形態の係止機構も採用することができる。
これらの係止機構210の固定部212と可動部214とに関する変更可能な事項は、下記で示す実施の形態においても該当する。
次に、上述の係止機構210及びその周辺部の変形例について説明する。なお、以下の説明においては主に上記実施の形態に対して変更を加える部分について説明し、上記実施の形態と同様に構成される部分の構成要素については上記実施の形態と同一符号を付して説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、適宜組み合わせて採用することができる。
まず、係止機構210の可動部214の変形例について説明する。
図15〜図19に示した係止機構210では、固定部212の係止ピン220と、可動部214の係止突起244との凸部同士の係合により起立操作レバー74の移動を係止するものであったが、可動部214として摩擦板を用いて摩擦による係合により起立操作レバー74の移動を係止するようにしてもよい。
図20は、その場合の係止機構210の周方向に沿った構成を示した図である。同図に示すように、可動部214は、摩擦板260と、摩擦板260を支持する板バネ262とから構成される。これによれば、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されたときに固定部212の係止ピン220が摺接部材として摩擦板260に摺接(係合)し、かつ、板バネ262により摩擦板260に圧接して摩擦力を発生させる。これにより、起立操作レバー74の移動が係止される。なお、本形態において係止ピン220の代わりに摩擦板260と摺接して摩擦力を発生させる任意形状の摺接部材を用いることができる。
次に、係止機構210の固定部212の変形例について説明する。
図15〜図19に示した係止機構210の固定部212は、1つの係止ピン220を備えた構成としたが、複数の係止ピンを備えた構成として、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されたときに複数の位置で起立操作レバー74の移動を係止できるようにしてもよい。
図21は、その場合の係止機構210の周方向に沿った構成を図17と同様にして示した図である。同図に示すように、固定部212は、可動部214の移動方向に沿って異なる角度位置θ4a、θ4b、θ4cに配置された3つの係止ピン220a、220b、220cを有する。これによれば、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されたときに、可動部214の係止突起244が角度位置θ4a、θ4b、θ4cのいずれかの位置に移動すると、係止ピン220a、220b、220cのいずれかと係合する。これにより、第2の操作範囲の3箇所の位置において起立操作レバー74の移動が係止される。なお、固定部212が有する係止ピンは、3つでなくても、2つ、又は、4つ以上の複数個としてもよく、また、複数の係止ピンを設置する角度位置は等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。
また、固定部212における複数の係止ピンは、図21の形態のように離散的に配置するのではなく、図22に示すように係止ピン220eを連続的に配置したものであってもよい。その場合に、それらの係止ピン220eはラッチ歯272に相当し、図23に示すようなラッチ板270により形成することができる。これによって、起立操作レバー74の第2の操作範囲の連続的な位置において起立操作レバー74の移動を係止することができる。なお、ラッチ歯272は、第2の操作範囲内の全体に対応する範囲(角度位置θ3a〜角度位置θ3max)に配置してもよいし、一部の範囲に配置してもよい。
更に、起立操作レバー74の第2の操作範囲の全体又は一部範囲において起立操作レバー74の移動を無段階に係止できるようにしてもよい。その場合の固定部212の形態を図24に示す。同図に示す固定部212は、可動部214の移動方向に沿って配置された摩擦板280と、摩擦板280を支持する板バネ282とから構成される。そして、起立操作レバー74が第2の操作範囲に操作されたときに可動部214の係止突起244が摺接部材として摩擦板280に摺接し、かつ、板バネ282により摩擦板280に圧接して摩擦力を発生させる。これにより、起立操作レバー74の第2の操作範囲において起立操作レバー74の移動が無段階の位置において係止される。なお、本形態において係止突起244の代わりに摩擦板280と摺接して摩擦力を発生させる任意形状の摺接部材を用いることができる。また、摩擦板280は、第2の操作範囲内の全体に対応する範囲(角度位置θ3a〜角度位置θ3max)に配置してもよいし、一部の範囲に配置してもよい。
以上の図21〜図24に示した構成の固定部212は、起立操作レバー74の第2の操作範囲に対応する範囲(角度位置θ3a〜角度位置θ3max)だけに設けるのではく、起立操作レバー74の第1の操作範囲(角度位置θ3min〜角度位置θ3a)にも設けるようにしてもよい。また、起立操作レバー74が第1の操作範囲のみを有する形態であっても図21〜図24に示した構成の固定部212を有する係止機構を設けることができる。
次に、上記任意の実施の形態の係止機構210において、固定部212と可動部214との相対距離を変化させて、固定部212と可動部214とを係合状態と非係合状態とで切り替える切替機構を設ける場合について説明する。
まず、起立操作レバー74の操作により可動部214を動かして固定部212と可動部214との相対距離を変化させる形態について説明する。
図25には、図7における筐体13、枠部材160、起立操作レバー74、連結部材156、回転ドラム154、固定軸152、及び枠部材160と、図15における係止機構21の固定部212及び可動部214が示されている。同図に示すように、回転ドラム154の外周面には周方向に沿って2つの溝290、292が形成される。一方、筐体13に固定された環状の枠部材160の内周面には複数の位置にボールプランジャ296が固定される。ボールプランジャ296は、その先端部に先端方向に付勢されて一部が外部に露出した出没可能なボールを有しており、そのボールプランジャ296の先端部から露出したボールが回転ドラム154の2つの溝290、292のうちのいずれか一方の溝に係合する。
また、回転ドラム154は、固定軸152に対して軸150x方向に移動可能に支持されると共に、溝290がボールプランジャ296に係合する位置と、溝292がボールプランジャ296に係合する位置とに移動可能に支持されている。これによって、係止機構210の固定部212と可動部214との相対距離が変化し、回転ドラム154の溝292がボールプランジャ296に係合しているときには、係止機構210の固定部212と可動部214が係合した係合状態となり、回転ドラム154の溝290がボールプランジャ296に係合しているときには、係止機構210の固定部212と可動部214が係合しない非係合状態となる。なお、係止機構210の固定部212と可動部214が係合した係合状態、及び係合しない非係合状態とは、図17に示した形態のように係止機構210が係止ピン(220)と係止突起(244)から構成されるような場合には、それらが係合する状態(係合可能な状態)、及び係合しない状態(係合不能な状態)のことを意味する。図20に示した形態のように係止機構210が摩擦板(260)と摺接部材(係止ピン220)から構成されるような場合には、それらが摺接する状態(摺接可能な状態)、及び摺接しない状態(摺接不能な状態)を意味する。
これによれば、起立台60を起立動作させるために起立操作レバー74を回転操作するとき等において、起立操作レバー74を主軸150の先端側に押し出すと、図26に示すように回転ドラム154の溝290がボールプランジャ296に係合する位置に回転ドラム154を移動させて係止機構210の固定部212と可動部214とを非係合状態にすることができる。これによって、係止機構210により起立操作レバー74の移動が係止されていた場合であっても大きな力量を加えることなく起立操作レバー74の操作を行うことができる。また、係止機構210による負荷なく起立操作レバー74を操作することができる。
一方、起立操作レバー74を主軸150の基端側に押し込むと、図25のように回転ドラム154の溝292がボールプランジャ296に係合する位置に回転ドラム154を移動させて係止機構210の固定部212と可動部214とを係合状態にすることができる。これによって、係止機構210により起立操作レバー74の移動を係止させることができる。
次に、固定部212を動かして固定部212と可動部214との相対距離を変化させる形態について説明する。
図27には、図15における起立操作レバー74、連結部材156、回転ドラム154、固定軸152、係止機構21の固定部212及び可動部214が示されている。同図に示すように、係止機構210の固定部212は、支持部材300に固定される。支持部材300は、中央部に貫通孔を有する円形状の板状部材であり、その貫通孔に固定軸152が挿通されて主軸150と同軸上に配置されている。また、支持部材300には、切替レバー302が延設されており、その切替レバー302が不図示の筐体(上記筐体13)の外部に延在されている。そして、その切替レバー302を軸150xに沿った方向に進退操作することにより、または、軸150x周りに回転操作することにより、不図示の機構により支持部材300が軸150xに沿った方向に進退移動し、係止機構210の固定部212と可動部214との相対距離が変化するように構成される。これによって、切替レバー302の操作により、係止機構210の固定部212と可動部214とを係合状態と非係合状態とに切り替えることができる。
これによれば、係止機構210により起立操作レバー74の移動が係止されていた場合であっても、切替レバー302の操作により、係止機構210の固定部212と可動部214とを非係合状態とすることで、大きな力量を加えることなく起立操作レバー74の操作を行うことができる。また、係止機構210による負荷なく起立操作レバー74を操作することができる。
一方、切替レバー302の操作により、係止機構210の固定部212と可動部214とを係合状態とすることで、係止機構210により起立操作レバー74の移動を係止させることができる。
次に、上記任意の実施の形態の係止機構210において、可動部214(係止突起244)の起立側への移動に対する力量(第1の力量)と、倒伏側への移動に対する力量(第2の力量)とを相違させる場合について説明する。
まず、第1の力量を第2の力量よりも小さくする場合の形態について説明する。
図17等に示したように係止機構210は、固定部212が第1の突起として山型形状の係止ピン220を有し、可動部214が第2の突起として山型形状の係止突起244を有するものとする。また、係止突起244(可動部214)は、起立台60が起立する際に係止ピン220を押圧する第1の面として起立側の傾斜面244uと、起立台60が倒伏する際に係止ピン220を押圧する第2の面として倒伏側の傾斜面244dを有するものとする。
このような形態において、その係止突起244は、図28に示すように係止突起244の起立側の傾斜面244uの傾斜角度(係止突起244の移動方向に対する傾斜角度)が、倒伏側の傾斜面244dよりも小さく、非対称の山型形状に構成される。これによって、係止突起244は、倒伏側への移動によって係止ピン220を乗り越えるときよりも、起立側への移動によって固定部212の係止ピン220を乗り越えるときの方が容易となる。
即ち、係止突起244が、起立側への移動によって係止ピン220を乗り越える際の力量を第1の力量とし、係止突起244が、倒伏側への移動によって係止ピン220を乗り越える際の力量を第2の力量とすると、第2の力量の方が第1の力量よりも大きくなる。なお、第1の力量は、係止ピン220が係止突起244の起立側の傾斜面244uを乗り越える際の力量と言い換えることができ、第2の力量は係止ピン200が係止突起244の倒伏側の傾斜面244dを乗り越える際の力量と言い換えることができる。
また、起立台60を起立させる方向に起立操作レバー74を操作するときに起立操作レバー74に加える力量を第1の操作力量とし、起立台60を倒伏させる方向に起立操作レバー74を操作するときに起立操作レバー74に加える力量を第2の操作力量とすると、この形態の係止機構210の採用することで、第1の操作力量が第2の操作力量よりも小さくなる。
反対に、第1の力量を第2の力量よりも大きくする場合には、図29に示すように係止突起244の倒伏側の傾斜面244dの傾斜角度が、起立側の傾斜面244uよりも小さく構成される。
この場合には、起立台60を倒伏させる際に起立操作レバー74に加える第2の操作力量が起立台60を起立させる際に起立操作レバー74に加える第1の操作力量よりも小さくなる。
例えば、本実施の形態の超音波トランスデューサ50を備えた内視鏡1の場合、例えば、図11に示したように目的部位Tに穿刺針180を穿刺して組織採取を行う際に使用される。このとき、穿刺針180として曲げ剛性の大きいものを使用する場合があり、その場合には、倒伏側への係止突起244の移動に対して大きな力が加わる。そのため、その力に抗して倒伏側への起立操作レバー74の移動を係止する第2の力量を大きくし、起立側への起立操作レバー74の移動を係止する第1の力量を小さくして操作負担を軽減すること、即ち、図28のように第2の力量を第1の力量よりも大きくすることが望ましい。
一方、十二指腸鏡のように挿入部の先端部の側面に照明部及び観察部からなる側視型の内視鏡観察手段を備えた内視鏡においては、ERCPの手技においてガイドワイヤを使用する場合に、上述の係止機構210による倒伏側への起立操作レバー74の移動に対する係止を、ガイドワイヤのロックとして利用することが考えられる。その場合に、ガイドワイヤを起立台60により大きく湾曲させる位置をロック位置とする場合に柔軟性の低い処置具を使用する際にもロック位置でロックすると破損する可能性がある。そこで、起立側への起立操作レバー74の移動を係止する第1の力量を大きくしてガイドワイヤのロック位置になること、即ち、通常の操作範囲ではなくなることを操作者に知らせ、倒伏側への起立操作レバー74の移動を係止する第2の力量を小さくして操作者の操作負担を軽減することが望ましい。即ち、図29のように第1の力量を第2の力量よりも大きくすることが望ましい。
なお、図28及び図29においては、固定部212における係止ピン220を1つのみ示したが、図21、図22に示した形態のように係止ピン220(係止ピン220e)が複数設けられる形態に対しても図28及び図29に示した形態を適用できる。
また、これらの形態は、起立操作レバー74が第1の操作範囲のみを有する場合に、その第1の操作範囲に対して上記実施の形態と同様の係止機構を適用する際にも有効である。
また、第1の力量と第2の力量とを相違させる係止機構の他の形態として図30のように構成とすることもできる。同図における係止機構210は、図17等に示したように可動部214が第1の突起として山型形状の係止突起244を有する。
一方、固定部212は、凹部312aが形成された支持部材312を有し、その凹部312aには、第2の突起として係止ピン310が軸314により回転自在に支持される。
係止ピン310は、一部が凹部312aから突出して配置されており、その突出した部分(突出部310t)には、起立台60が起立する際に係止突起244を押圧する(係止突起244の起立側の傾斜面244uが当接する)第1の面310dと、起立台60が倒伏する際に係止突起244を押圧する(係止突起244の倒伏側の傾斜面244dが当接する)第2の面310uが形成される。
また、係止ピン310には、凸部310aが設けられており、その凸部310aが凹部312aの内部においてバネ316により軸314を中心とする図中反時計回り方向(突出部310tが倒伏側に傾く方向)に付勢される。一方、凸部310aは、凹部312aの開口部分に突出形成された係止部312bに当接することで、図中反時計回り方向への回転が規制されている。
これによれば、同図に示すように可動部214が倒伏側に移動する際には、係止突起244の倒伏側の傾斜面244dが、係止ピン310の起立側の第2の面310uに当接する。このとき、係止ピン310の突出部310tが倒伏側に押圧されて係止ピン310が図中反時計回り方向に押圧される。しかしながら、その方向への回転は係止部312bにより規制されるため、このときの係止ピン310の回転量(第2の回転量)は少ない。
一方、起立操作レバー74が起立側に操作されて可動部214が起立側に移動する際には、図31に示すように、係止突起244の起立側の傾斜面244uが、係止ピン310の倒伏側の第1の面310dに当接する。これによって、係止ピン310の突出部310tが起立側に押圧されて係止ピン310が図中時計回り方向に押圧される。このときの回転は係止部312bにより規制されないため、係止ピン310の回転量(第1の回転量)は第2の回転量よりも大きくなる。
したがって、係止突起244が係止ピン310を乗り越えるときの高さは、起立操作レバー74が起立側に操作されたときの方が小さくなる。
即ち、係止突起244が、起立側への移動によって係止ピン310の倒伏側の第1の面310dを乗り越える際の力量を第1の力量とし、係止突起244が、倒伏側への移動によって係止ピン310の起立側の第2の面310uを乗り越える際の力量を第2の力量とすると、第2の力量の方が第1の力量よりも大きくなる。
図30、図31と同様の構成により第1の力量を第2の力量よりも大きくする場合には、図30における固定部212の構成を左右反転した構成とすれば良い。
以上の図28〜図31に示した係止機構210は、固定部212に配置する突起の構成と可動部214に配置する突起の構成とを入れ替えたものに変更することができる。即ち、第1の突起と第2の突起のうち、いずれか一方を固定部212に配置し、他方を可動部214に配置した構成することができる。
以上、上記実施の形態の係止機構210は、特定の種類の内視鏡に限らず、任意の種類の内視鏡に適用できる。