JP7211878B2 - リン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物及びリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造 - Google Patents
リン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物及びリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7211878B2 JP7211878B2 JP2019075778A JP2019075778A JP7211878B2 JP 7211878 B2 JP7211878 B2 JP 7211878B2 JP 2019075778 A JP2019075778 A JP 2019075778A JP 2019075778 A JP2019075778 A JP 2019075778A JP 7211878 B2 JP7211878 B2 JP 7211878B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- calcium phosphate
- mass
- component
- firing furnace
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Furnace Housings, Linings, Walls, And Ceilings (AREA)
Description
しかし、本発明者らによる試験によると、この高アルミナ耐火物はリン酸カルシウムに対する耐浸潤性が不十分であり、その結果、リン酸カルシウムの浸潤を抑制できず、健全層と浸潤層との強度差により亀裂が生じる構造的スポーリング等のスポーリングを生じやすいことがわかった。
(1)
リン酸カルシウム焼成炉の内張りに適用される不定形耐火物であって、
Al2O3成分を76質量%以上96質量%以下、CaO成分を3質量%以上14質量%以下含有し、SiO2成分の含有量は5質量%以下(0を含む。)であるリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
(2)
Al2O3成分の含有量が85質量%以上92質量%以下、CaO成分の含有量が5質量%以上11質量%以下、SiO2成分の含有量が2質量%以下(0を含む。)である(1)に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
(3)
Al2O3成分、CaO成分及びSiO2成分以外の残部が、不可避的不純物成分のみからなる(1)又は(2)に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
(4)
アルミナ原料及びアルミナセメントのみからなる(1)から(3)のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
(5)
リン酸カルシウム焼成炉の内張りれんが間に、(1)から(4)のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物からなる目地材を設けたリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造であって、
前記目地材のAl2O3成分含有量が、前記内張りれんがのAl2O3成分含有量よりも多いリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造。
また、不定形耐火物は煉瓦よりも気孔率が高く、開放気孔が多く存在する。リン酸カルシウム焼成炉内に存在するCaO-P2O5は不定形耐火物の開放気孔に噛み込んで物理的に付着する。この物理的な付着によってもCaO-P2O5系のコーティング層が形成され、リン酸カルシウムに対する耐浸潤性向上に寄与すると考えられる。
リン酸カルシウム焼成炉はロータリーキルン形式であるため、その目地材は化学的なスポーリングだけでなく、機械的なスポーリング(炉体の変形、ねじれ、振動)を大きく受ける。したがって、目地材の充填性が悪いと稼動中に剥落するなどして、目地材としての機能を発揮できないことになる。このため、目地材には十分な充填性を確保する必要があり、そのためには、十分な添加水分で混錬を行い、施工を行う必要がある。そうすると必然的に目地材は、内張りれんがに比べて気孔率が高くなってしまう。したがって、化学組成的に目地材の耐火度が内張りれんがよりも低いと、前述のとおりペンシリングを生じる。そこで本発明の内張り構造では、目地材の耐火度を高くするために内張りれんがよりもAl2O3含有量を多くする。これにより、前述のリン酸カルシウムに対する耐浸潤性向上効果と相まって、ペンシリングを抑制でき、内張り構造の耐用性が向上する。
表1に、本発明の不定形耐火物をプレキャストブロックとしてリン酸カルシウム焼成炉の内張りに適用することを想定した実施例と比較例の材料構成及び成分構成(化学成分)、並びに耐用性の評価結果を示している。表2には、表1の材料構成中、アルミナセメントA~Cの化学成分を示している。なお、アルミナセメントA~Cはいずれも市販品で、このうちアルミナセメントAは、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ、クエン酸及び炭酸ソーダを含有するものである。また、表1中の「その他原料」とは、マグネシア原料、爆裂防止剤、粘土、珪酸ソーダ等であり、「その他成分」とは、MgO、Na2O、ZrO2、TiO2、Al(OH)3、AlPO4等である。
<溶損量>
表1に示す材料構成の配合物に所定量の水を加えて混練し、型枠内に流し込んで乾燥させることで試験片を作製し、回転侵食試験法により評価した。その際、リン酸カルシウム焼成炉を想定した下記に示す化学成分を有する侵食剤を使用し、試験は1550℃の温度で30分毎の侵食剤の排出と、新たな侵食剤の投入作業を20回繰り返すことで行った。試験終了後に試験片を切断し、最大溶損量を寸法測定した。この最大溶損量が少ないほど耐溶損性(耐食性)が良好であることを表す。表1では、最大溶損量が0.5mm未満の場合を◎(優)、0.5mm以上1mm未満の場合を○(良)、1mm以上の場合を×(不良)と表記した。
侵食剤の化学成分:SiO2 2.6質量%,Al2O3 0.7質量%,CaO 43.3質量%,Na2O 5.4質量%,P2O5 42質量%,その他 6質量%
前述の回転侵食試験後の試験片を切断した断面から、リン酸カルシウムが試験片表面に付着した付着厚みを測定した。付着厚みが多いほどコーティング層形成効果が発揮され、耐用性向上が期待できる。表1では、付着厚みが3mm以上の場合を◎(優)、2mm以上3mm未満の場合を○(良)、2mm未満の場合を×(不良)と表記した。
前述の回転侵食試験後の試験片を切断した断面から、亀裂の有無を目視で確認した。表1では、亀裂がない場合を◎(優)、ヘアークラックのような微亀裂が確認された場合を○(良)、目視で容易に確認可能な大亀裂が確認された場合を×(不良)と表記した。
前述の各評価結果が全て◎の場合を◎(優)、各評価結果に×がなく○を含む場合を○(良)、各評価のいずれか1つに×がある場合を×(不良)とした。
比較例2はCaO成分の含有量が多い例である。CaO成分が過剰となって耐火度が低下した結果、溶損量が多くなった。
表3に、本発明の不定形耐火物を目地材としてリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造に適用することを想定した実施例と比較例の材料構成及び成分構成(化学成分)、並びに溶損量の評価結果を示している。溶損量の評価方法は次のとおりである。
一方、化学成分が本発明の範囲から外れている不定形耐火物を目地材として使用した比較例では溶損量が大幅に多くなり、ペンシリングが生じた。
Claims (5)
- リン酸カルシウム焼成炉の内張りに適用される不定形耐火物であって、
Al2O3成分を76質量%以上96質量%以下、CaO成分を3質量%以上14質量%以下含有し、SiO2成分の含有量は5質量%以下(0を含む。)であるリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。 - Al2O3成分の含有量が85質量%以上92質量%以下、CaO成分の含有量が5質量%以上11質量%以下、SiO2成分の含有量が2質量%以下(0を含む。)である請求項1に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
- Al2O3成分、CaO成分及びSiO2成分以外の残部が、不可避的不純物成分のみからなる請求項1又は2に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
- アルミナ原料及びアルミナセメントのみからなる請求項1から3のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物。
- リン酸カルシウム焼成炉の内張りれんが間に、請求項1から4のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物からなる目地材を設けたリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造であって、
前記目地材のAl2O3成分含有量が、前記内張りれんがのAl2O3成分含有量よりも多いリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019075778A JP7211878B2 (ja) | 2019-04-11 | 2019-04-11 | リン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物及びリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019075778A JP7211878B2 (ja) | 2019-04-11 | 2019-04-11 | リン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物及びリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020172413A JP2020172413A (ja) | 2020-10-22 |
JP7211878B2 true JP7211878B2 (ja) | 2023-01-24 |
Family
ID=72829915
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019075778A Active JP7211878B2 (ja) | 2019-04-11 | 2019-04-11 | リン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物及びリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7211878B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007125605A (ja) | 2005-11-07 | 2007-05-24 | Kobe Steel Ltd | 溶鋼処理用取鍋 |
JP4827598B2 (ja) | 2006-04-26 | 2011-11-30 | Hoya株式会社 | 内視鏡の湾曲保持機構 |
US20130309308A1 (en) | 2011-01-27 | 2013-11-21 | Sirim Berhad | Method of converting limestone into tri-calcium phosphate and tetra-calcium phosphate powder simultaneously |
JP5543424B2 (ja) | 2011-12-19 | 2014-07-09 | 東芝テック株式会社 | 貨幣出金処理装置およびプログラム |
JP2018108902A (ja) | 2016-12-28 | 2018-07-12 | 品川リフラクトリーズ株式会社 | 軽量断熱不定形耐火物 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4827598B1 (ja) * | 1969-07-21 | 1973-08-23 | ||
JPS5543424B2 (ja) * | 1972-11-22 | 1980-11-06 | ||
JP3587871B2 (ja) * | 1994-02-18 | 2004-11-10 | 黒崎播磨株式会社 | 調整アルミナセメント含有不定形耐火物 |
JP4323732B2 (ja) * | 2001-06-19 | 2009-09-02 | 黒崎播磨株式会社 | 断熱性キャスタブル耐火物 |
-
2019
- 2019-04-11 JP JP2019075778A patent/JP7211878B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007125605A (ja) | 2005-11-07 | 2007-05-24 | Kobe Steel Ltd | 溶鋼処理用取鍋 |
JP4827598B2 (ja) | 2006-04-26 | 2011-11-30 | Hoya株式会社 | 内視鏡の湾曲保持機構 |
US20130309308A1 (en) | 2011-01-27 | 2013-11-21 | Sirim Berhad | Method of converting limestone into tri-calcium phosphate and tetra-calcium phosphate powder simultaneously |
JP2014509294A (ja) | 2011-01-27 | 2014-04-17 | シリム バーハド | 石灰石をリン酸三カルシウム及びリン酸テトラカルシウム粉末に同時に転化する方法 |
JP5543424B2 (ja) | 2011-12-19 | 2014-07-09 | 東芝テック株式会社 | 貨幣出金処理装置およびプログラム |
JP2018108902A (ja) | 2016-12-28 | 2018-07-12 | 品川リフラクトリーズ株式会社 | 軽量断熱不定形耐火物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020172413A (ja) | 2020-10-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3255024B1 (en) | Heat-insulating monolithic refractory material | |
JP7211878B2 (ja) | リン酸カルシウム焼成炉用不定形耐火物及びリン酸カルシウム焼成炉の内張り構造 | |
JP7052664B2 (ja) | キャスタブル耐火物 | |
US5506181A (en) | Refractory for use in casting operations | |
JP6756794B2 (ja) | 熱間用乾式吹付材及び熱間乾式吹付施工方法 | |
JP7202245B2 (ja) | リン酸カルシウム焼成炉用内張りれんが | |
WO2023013284A1 (ja) | 焼成炉用の乾式吹付材 | |
JPH082975A (ja) | 流し込み施工用耐火物 | |
JP6503798B2 (ja) | 耐爆裂性キャスタブル | |
JP4576367B2 (ja) | 廃棄物溶融炉用クロムフリー不定形耐火物およびこれを内張りに使用した廃棄物溶融炉 | |
JP2021084115A (ja) | タンディッシュコーティング材 | |
JP2021147275A (ja) | マグネシア−スピネル質耐火れんが | |
JPH08157267A (ja) | 流し込み施工用不定形耐火物 | |
JPH07315913A (ja) | マグネシア質耐火煉瓦 | |
JPH07291715A (ja) | スピネル質耐火煉瓦 | |
JP2014024689A (ja) | マグネシア質不定形耐火物 | |
JP7510557B1 (ja) | 焼成炉用流し込み材 | |
JPH06144939A (ja) | 塩基性不定形耐火物 | |
JP4205926B2 (ja) | 廃棄物溶融炉用不定形耐火物およびそれを内張りした廃棄物溶融炉 | |
JP3157310B2 (ja) | 耐火物 | |
JPH02141480A (ja) | キャスタブル耐火物 | |
JP2004123501A (ja) | 耐火れんが | |
JP4445256B2 (ja) | 廃棄物溶融炉用クロムフリー不定形耐火物およびこれを内張りした廃棄物溶融炉 | |
JP2016069219A (ja) | アルミナ−マグネシア質流し込み材 | |
JP2004307293A (ja) | 不定形耐火組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220204 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221215 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221220 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230112 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7211878 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |