JP4811897B2 - 燻煙殺虫剤及びこれを用いた燻煙方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、改良された燻煙殺虫剤の燻煙方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
室内に生息するゴキブリ、ナンキンムシ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類などの害虫、ダニ類の駆除や防除のために燻煙剤が使用されてきた。燻煙剤は短時間高濃度空間処理剤に該当し、手間をかけずに広い空間を処理できる長所がある反面、効力、人体に対する安全性、火災に対する安全性など十分な配慮が要求される。現在市販されている燻煙剤には二つのタイプがあり、一つは可燃物と酸素遊離物質、例えば硝酸塩、クロム酸塩、過塩素酸塩などを含むもので、点火した位置から適宜の速度で燃焼し、その燃焼部にある揮散されるべき物質が空中に揮散するものである。他方は、殺虫成分と有機発泡剤、更に必要に応じて増量剤(有機物または無機物)を加えて調製したものであり、有機発泡剤の熱分解の際発生するガスの力を利用して殺虫成分を揮散させるものである。
一方、燻煙剤の内容物と関連して燻煙を開始させる発熱手段も多様化しており、従来のマッチによる点火方式の他、酸化カルシウムに水を加えて発熱させる方法も実用化されているが、燻煙が開始するまでに1分以上時間がかかったり、燻煙開始後の容器内の急激な圧力上昇に対して十分な配慮がなされていないという問
題等を有している。
【0003】
本発明者らは先に、特開平11−92312号公報において、ピレスロイド系殺虫成分およびカーバメート系殺虫成分から選ばれた1種又は2種を2〜15重量%と、有機発泡剤としてのアゾジカルボンアミドを70〜97重量%と、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれた1種又は2種を1〜15重量%含有する燻煙剤組成物を、緩燃焼性材料からなる点火具を接触させた時その接触させた部分に噴孔が形成される合成樹脂製フィルム袋に封入した燻煙殺虫剤、及びこれを用いた燻煙方法を開示した。
また、特開2000−327503号公報では、上記緩燃焼性材料からなる点火具の替わりに、火薬類に属さない棒状発熱剤を発熱剤収納管に入れ、棒状発熱剤の先端部にマッチ頭薬等の発火薬を付着させた燻煙剤用点火具を提示し、着火性の改良を行った。
【0004】
これらの燻煙殺虫剤、及び燻煙方法は、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛がアゾジカルボンアミドの分解温度を下げ、簡便かつ効率よく殺虫成分を燻煙せしめるシステムを提供するものであったが、例えば、特開2000−327503号公報の方法では、点火具の発熱エネルギーが不足して着火の不都合を招いたり、殺虫成分の揮散率が条件によっては70%に至らない場合もあり、改良の余地が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便かつ燻煙の開始が確実で、燻煙開始までの時間を使用者にとって最も適当な10〜30秒とし、しかも燻煙開始後、筒体内の急激な圧力上昇を緩和させることができ、更に殺虫成分の揮散率が常に70%以上になるような燻煙殺虫剤、及びこれを用いた燻煙方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、ならびに発明の実施の形態】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、粉状の殺虫剤組成物が合成樹脂製フィルム袋に封入された燻煙殺虫剤袋を用い、特定の容器に収納された加水発熱物質に給水して燻煙を開始せしめることにより、目的の燻煙システムを達成できることを知見し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち請求項1の発明は、合成樹脂製フィルム袋に、殺虫成分を2〜20重量%と、有機発泡剤のアゾジカルボンアミドを75〜97重量%と、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれた1種又は2種を1〜5重量%含有する粉状の殺虫剤組成物が封入された燻煙殺虫剤袋と、その下に加水発熱物質を段状に重ねて天面が開口している筒体に収納し、該筒体の上方周壁外面で0〜2cmの距離を移動可能に係合固定される蓋体を前記天面から嵌着させるとともに、該燻煙殺虫剤袋と該蓋体の間には該燻煙殺虫剤袋の押止部材を装着してなり、前記加水発熱物質に給水することにより、燻煙を給水後10〜30秒以内に開始せしめる構成となした燻煙殺虫剤に係るものである。
【0008】
本発明で用いる殺虫成分としては、ピレスロイド系殺虫成分、カーバメート系殺虫成分、有機リン系殺虫成分、あるいは、フルフェノクスロン、エトキサゾールやピリプロキシフェンで代表される昆虫成長阻害剤等があげられるが、好ましくはピレスロイド系殺虫成分及びカーバメート系殺虫成分から選ばれた1種又は2種が用いられる。ピレスロイド系殺虫成分としては、フェノトリン、ぺルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、レスメトリン、エトフェンプロックス等があげられ、害虫に対して速効性でかつ人畜に対して安全性が高いので、家屋内に生息するゴキブリ、ナンキンムシ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類の駆除または防除に好適である。なお、化学構造中に不斉炭素あるいは二重結合等を含みこれに基づく光学異性体や幾何異性体等が存在する場合は、これらの各々または任意の混合物も本発明に含まれることはもちろんである。特に好ましい化合物は、より残効性が期待されるフェノトリン、ぺルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリンである。また、カーバメート系殺虫剤としては、メトキサジアゾン等があげられ、例えばピレスロイド抵抗性ゴキブリの駆除を目的とする場合は、この化合物を配合するのが好ましい。
【0009】
前記殺虫成分は、殺虫剤組成物中に2〜20重量%配合される。2重量%未満では所望の効果が得られないし、一方20重量%を超えると有機発泡剤の噴出力に影響を及ぼすので好ましくない。
【0010】
本発明では、前記殺虫成分のほかに、他のタイプの殺ダニ剤、カビ類、菌類などを対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、あるいはピレスロイド系殺虫剤の共力剤などを配合してもよい。殺ダニ剤としては、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があり、一方、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミドが使用され、殺虫剤組成物中に75〜97重量%配合される。熱分解により主として窒素ガスを発生するアゾジカルボンアミドは、ガス量が多く優れた発泡性能を示す一方、発泡剤固有の臭いが少ないので好ましい有機発泡剤である。75重量%未満では発泡剤の噴出力が不足し、殺虫成分が十分拡散しない。一方、97重量%を超えると他の成分、例えば殺虫成分が少なくなり所望の殺虫効果が得られない等の問題がある。
【0012】
本発明で用いる殺虫剤組成物には、アゾジカルボンアミドの分解温度を下げ、燻煙効率を高めるために、補助剤として、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれた1種又は2種が、全体量あたり1〜5重量%配合される。1重量%未満では補助剤としての効果が得られず、一方、5重量%を超えると、噴出力が強まるものの燻煙後の補助剤沈降による汚染が目立つようになり好ましくない。なお、燻煙性能に支障をきたさない限りにおいて、ステアリン酸亜鉛、オクチン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、尿素、メラミン、グアニジン等の発泡補助剤を更に適宜添加してもよい。
【0013】
前記殺虫剤組成物は、必要ならば更に安定剤、香料、賦形剤等を添加して粉状に調製され、更に内容物が保存中に加水発熱物質と接触しないように合成樹脂製フィルム袋に封入されることを必須とする。例えば、顆粒状や円柱状であると製造コストがかさむだけでなく、燻煙開始までの時間が遅れるので好ましくない。かかる内容物の燻煙殺虫剤袋への封入量は、容器の大きさや処理する部屋の広さ等を考慮して決定される。
【0014】
前記合成樹脂製フィルム袋の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル等が一般的に使用できるが、噴煙を効率よく持続せしめるべく検討した結果、厚さは20〜50ミクロン程度がよく、またポリエチレンと他の合成樹脂製フィルムとをラミネートしたもの、例えばポリエチレンラミネートセロハン、ポリエチレンラミネートポリプロピレン等が特に有効であった。
【0015】
本発明の燻煙殺虫剤の燻煙方法は、上記構成に加え、発熱手段として、特定の容器に収納された加水発熱物質に給水して燻煙を開始せしめる方法を組み合わせたことに特徴を有する。すなわち、例えば、火薬類に属さない棒状発熱剤の先端部にマッチ頭薬等の発火薬を付着させた燻煙剤用点火具に替えて、発熱エネルギーの大きい加水反応加熱、好ましくは酸化カルシウムを用いた反応を利用することによって、簡便かつ燻煙の開始が確実で、しかも燻煙開始までの時間を使用者にとって最も適当な10〜30秒とし、更に殺虫成分の揮散率を常に70%以上にすることが可能となったものである。
【0016】
本発明で用いる容器は、天面が開口し底面が実質閉鎖された燻煙筒体と、筒体の上方周壁外面で係合固定され天面にかぶせる蓋体から構成される。これらの材質としては、強固性と気密性が要求されるので、金属アルミニウム缶や二重プラスチック缶等が適している。また、容器の大きさは、使用用途や使用空間の広さによって適宜決定されるが、例えば6〜8畳の部屋用の場合、直径が5〜6cm程度で、高さが5〜7cm程度の筒体と、直径が筒体と略同等で、高さが3〜4cm程度の蓋体を組み合わせるのが適当である。筒体は、燻煙殺虫剤袋とその下に加水発熱物質を収納し、両者の間には保存中に両者が接触するのを避けるため、周縁が筒体の内面に接する支持板を挿入させるのが好ましい。なお、支持板は周縁部が上方に幾分曲折した皿状であってもよい。支持板の材質としては、燻煙開始後発熱エネルギーの熱伝導性が妨げられないように、熱溶融性のプラスチック、例えばポリプロピレンなどが適している。
【0017】
蓋体の上面には、直径が5〜10mm程度の噴口が複数個設けられる。そして、噴口は通常使用時までフィルムでシールされており、噴煙の圧力と熱でシールが破れるようになっている。また、本発明の特徴の一つとして、燻煙開始後の筒体内の圧力上昇を緩和するため、蓋体が筒体の周壁外面上を上方へ0〜2cm移動できるように設計したことがあげられる。その方法として例えば、筒体の周壁外周面に上下2段の凹条を設け、一方蓋体の周壁内周面に設けた一段の凸条を、使用前は前記下段の凹条に係合固定させ、内圧が上昇した場合には上段までスライド可能な構造を例示できる。逆に、筒体の周壁外周面に一段の凹条を設け、一方蓋体の周壁内周面に上下2段の凸条を設ける構造も可能であるが、もちろんこれらに限定されない。
【0018】
本発明は、燻煙殺虫剤袋の揺動を押えるため、燻煙殺虫剤袋と蓋体の間に押止部材を装着したことに更なる特徴を有する。押止部材の形状としては、燻煙殺虫剤袋を損傷させず、また筒体内の噴煙の上昇を妨げない限り適宜採用可能であり、例えば、バネ圧を利用した幅の狭い金属片あるいはプラスチック片で十字の逆ドーム状に形成したものがあげられる。かかる押止部材の作用により、燻煙殺虫剤袋は揺動せず、加水発熱物質の発熱エネルギーを効率よく伝導する。
【0019】
本発明では好適な加水発熱物質として酸化カルシウムが用いられ、燻煙殺虫剤袋の下に、好ましくは粒径1.5〜4.0mmの大きさのものが使用用途にあわせて筒体内に10〜50g程度充填される。筒体の底面には給水孔が設けられているが、通常底面に不織布などを敷設し、酸化カルシウムの漏出を防止する。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、加水発熱物質として、酸化カルシウムを用いたものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1又は2の構成において、燻煙殺虫剤袋と加水発熱物質の間に、熱溶融性のプラスチック製支持板を備えたものである。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成において、押止部材として、十字の逆ドーム状に形成された金属片を用いたものである。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1の燻煙殺虫剤を用いた燻煙方法に関するものである。すなわち、合成樹脂製フィルム袋に、殺虫成分を2〜20重量%と、有機発泡剤のアゾジカルボンアミドを75〜97重量%と、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれた1種又は2種を1〜5重量%含有する粉状の殺虫剤組成物が封入された燻煙殺虫剤袋と、その下に加水発熱物質を段状に重ねて天面が開口している筒体に収納し、該筒体の上方周壁外面で0〜2cmの距離を移動可能に係合固定される蓋体を前記天面から嵌着させるとともに、該燻煙殺虫剤袋と該蓋体の間には該燻煙殺虫剤袋の押止部材を装着してなる燻煙殺虫剤を用い、前記加水発熱物質に給水することにより、燻煙を給水後10〜30秒以内に開始せしめ、しかも該燻煙を殺虫成分の揮散率が70%以上の高水準に達するものとした燻煙殺虫剤の燻煙方法に係るものである。
【0024】
請求項6の発明は、請求項5の構成において、加水発熱物質として、酸化カルシウムを用いたものである。
【0025】
かかる燻煙殺虫剤容器は、使用前に加水発熱物質が吸湿して劣化しないようにアルミニウム製袋に密封し、使用時に破袋後所定量の水を注入した外缶に入れるか、もしくは、あらかじめ燻煙殺虫剤容器を水注入用外缶に固定させてプルトップ方式とし、使用時に水を注入するようにしてもよい。
いずれの方式であっても、注入された水が筒体の給水孔から浸入して加水発熱物質と接触し速やかに発熱反応を開始するので、本発明は、処理が簡便かつ燻煙の開始が確実で、しかも燻煙開始までの時間を使用者にとって最も適当な10〜30秒とし、更に殺虫成分の揮散率が常に70%以上である燻煙システムを提供する。そして、家屋内に生息するゴキブリ、ナンキンムシ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類に対してすぐれた駆除あるいは防除効果を奏するものである。なお、本発明では、計量カップなどの付属品を適宜装填してもよいことはもちろんである。
【0026】
【実施例】
つぎに具体的実施例ならびに試験例に基づいて、本発明の燻煙殺虫剤の燻煙方法を更に詳細に説明する。なお、図1は、本発明の一実施形態の参考平面図を、図2はその参考断面図を示す。また、図3は、本発明の一実施形態の筒体と蓋体の係合状態を示す。
【0027】
実施例1.
フェノトリン1.0g(全体量に対して8.3重量%)、メトキサジアゾン0.8g(全体量に対して6.7重量%)、アゾジカルボンアミド9.84g(全体量に対して82重量%)、及び酸化亜鉛0.36g(全体量に対して3.0重量%)を混合してなる粉状の殺虫剤組成物12gを、ポリエチレンラミネートセロハンフィルム袋に封入して本発明で用いる燻煙殺虫剤袋(1)を調製した。
天面が開口している金属アルミニウム製の燻煙筒体(2:直径5cm、高さ6cm)に、加水発熱物質である粒径2.0〜3.5mmの酸化カルシウム(3)を約40gを充填し、その上に直径5cmで厚さが0.5mmの熱溶融性を有するポリプロピレン製支持板(4)を載せ、更にその上に前記燻煙殺虫剤袋(1)を収納した。なお、燻煙筒体(2)の底面には給水孔(5)が数個設けられているが、その上に直径4.5cmで厚さが約1mmの不織布(6)を敷設して底面は実質的に閉鎖されている。燻煙殺虫剤袋(1)の上部空間に、幅10mmで長さ70mmの短冊状金属片を2枚、十字の逆ドーム状に形成した押止部材(7)を載せた後、上面の直径が5cmで周壁の高さが3cmの蓋体(8)をかぶせた。蓋体(8)の上面に、直径8mmの噴口(9、保存時はフィルムでシール)が6個放射状に設けられており、また燻煙筒体(2)の周壁外周面に設けた上下2段の凹条(10)と、蓋体(8)の周壁内周面に形成した一段の凸条(11)を係合させた。すなわち、使用前は凸条(11)を前記下段の凹条(10)で係合固定させ、燻煙後に内圧が上昇した場合には上段の凹条(10)までスライド可能な構造とした。そして、これらの構成部材は、使用前に酸化カルシウム(3)が吸湿して劣化するのを防止するため、アルミニウム製袋で密封した(図示せず)。
使用に際しては、まず閉め切った6畳の部屋の中央に所定量の水(12)を満た
した外缶(13)を置いた。前記アルミニウム製袋を破袋して、燻煙殺虫剤袋(1
)を含む燻煙筒体(2)を取り出し、外缶(13)に設置したところ、21秒後に
燻煙が確実に開始し、燻煙は約5分間継続した。その後の調査で、フェノトリン及びメトキサジアゾンの揮散率がそれぞれ、82%、78%であり、ゴキブリや屋内塵性ダニに対して高い防除効果を示すことが認められた。
【0028】
実施例2.
ペルメトリン2.4g(全体量に対して10重量%)、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート1.2g(全体量に対して5.0重量%)、アゾジカルボンアミド19.42g(全体量に対して80.9重量%)、炭酸亜鉛0.96g(全体量に対して4.0重量%)、及び香料0.02g(全体量に対して0.1重量%)を混合してなる粉状の殺虫剤組成物24gを、ポリエチレン製フィルム袋に封入して本発明で用いる燻煙殺虫剤袋(1)を調製した。これを、実施例1と同様に、燻煙筒体(2:直径5cm、高さ9cm)に収納した。但し、酸化カルシウム(3)の充填量は60gとし、また燻煙筒体(2)はあらかじめ水注入用外缶(13)に固定させてプルトップ方式とした。
閉め切った15畳の部屋で実施例1と同様に燻煙処理を行ったところ、27秒後に燻煙が開始し、燻煙は約6分間継続した。噴煙は部屋全体に拡散し、ペルメトリン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの揮散率は、それぞれ、74%、75%であった。また、処理前後のゴキブリ、屋内塵性ダニ、及びカビ類の密度の推移を調べた結果、処理後においていずれの密度も著しく減少していることが認められた。
【0029】
試験例1.
実施例1に準じて表1に示す合成樹脂製フィルム袋入りの各種燻煙殺虫剤袋(12g)を調製した。これを、実施例1に準じた燻煙筒体(直径5cm、高さ6cm)に収納し、種々の発熱手段を用いて下記の燻煙試験を行った。試験結果も併せて表1に示す。
▲1▼燻煙の開始時間;発熱手段が加水反応加熱の場合は給水後、また棒状発熱剤の先端部にマッチ頭薬等の発火薬を付着させた燻煙剤用点火具の場合は着火後、燻煙開始までの時間を測定した。
▲2▼殺虫成分の揮散率;噴煙を捕集し、これに含まれる殺虫成分量を分析して燻煙前初期量に対する揮散率を求めた。なお、表1中、「a」、「b」とあるのは殺虫成分の項に示された殺虫成分の揮散率である。
▲3▼殺虫効力;空間の4隅に、ピレスロイド感受性チャバネゴキブリ、及びピレスロイド抵抗性チャバネゴキブリをそれぞれ10匹ずつ含むシリンダーを置き、燻煙48時間後に死虫率を調べた。なお、表1中、「感」は感受性ゴキブリを、そして「抵」は抵抗性ゴキブリを示す。
▲4▼総合判定;上記試験項目、ならびに筒体内の内圧上昇を含む燻煙時の状況、処理後の汚染状況等を斟酌して評価した。良好な場合を○、不良の場合を×で示し、特別な所見がある場合それを加えた。
【0030】
【表1】
Figure 0004811897
【0031】
試験の結果、本発明の燻煙殺虫剤の燻煙方法によれば、処理が簡便かつ燻煙の開始が確実で、しかも燻煙開始までの時間が使用者にとって最も適当な10〜30秒であった。また、殺虫成分の揮散率、殺虫効力はもちろん、内圧上昇を緩和できるなど使用性の点でもすぐれ、極めて実用性の高いことが明らかとなった。
これに対し、比較例1〜2のように、殺虫剤組成物を円柱状(直径5mm、長さ10mm)に成形した場合、酸化亜鉛の配合の有無にかかわらず、燻煙開始までの時間が遅れ、殺虫成分の揮散率も低下傾向にあった。また、粉状の殺虫剤組成物をフィルム袋に封入しても酸化亜鉛を所定量配合しない場合(比較例3〜4)、実施例に比べて燻煙開始までの時間が遅れ、殺虫成分の揮散率が幾分低かった。更に比較例5のように、押止部材を用いないと燻煙殺虫剤袋が揺動して不都合が生じ、また比較例6の如く、蓋体を筒体の周壁外面に完全固定すると、燻煙開始後筒体内の急激な内圧上昇を緩和できないという問題があった。なお、発熱手段として、棒状発熱剤の先端部にマッチ頭薬等の発火薬を付着させた燻煙剤用点火具を用いた場合(比較例8)、発熱エネルギーが低く、揮散率や着火の確実性の点で改良の余地があった。
以上の試験結果から、酸化亜鉛を含む粉状の殺虫剤組成物がフィルム袋に封入された燻煙殺虫剤袋を、加水反応加熱と組み合わせる本発明の燻煙殺虫剤及びこれを用いた燻煙方法が最もすぐれた燻煙システムを提供することが明らかである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の燻煙殺虫剤及びこれを用いた燻煙方法によれば、簡便かつ燻煙の開始が確実で、燻煙開始までの時間を使用者にとって最も適当な10〜30秒とし、しかも燻煙開始後、筒体内の急激な圧力上昇を緩和させることができ、更に殺虫成分の揮散率が常に70%以上になるような燻煙システムが提供される。そして、家屋内に生息するゴキブリ、ナンキンムシ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類に対してすぐれた駆除あるいは防除効果を示し、極めて実用的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の参考断面図を示す。
【図2】 その参考断面図を示す。
【図3】 本発明の一実施形態の筒体と蓋体の係合状態を示す。
【符号の説明】
1.燻煙殺虫剤袋
2.燻煙筒体
3.加水発熱物質(酸化カルシウム)
4.支持板
5.給水孔
6.不織布
7.押止部材
8.蓋体
9.噴口
10. 凹条
11. 凸条
12. 水
13. 外缶

Claims (6)

  1. 合成樹脂製フィルム袋に、殺虫成分を2〜20重量%と、有機発泡剤のアゾジカルボンアミドを75〜97重量%と、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれた1種又は2種を1〜5重量%含有する粉状の殺虫剤組成物が封入された燻煙殺虫剤袋と、その下に加水発熱物質を段状に重ねて天面が開口している筒体に収納し、該筒体の上方周壁外面で0〜2cmの距離を移動可能に係合固定される蓋体を前記天面から嵌着させるとともに、該燻煙殺虫剤袋と該蓋体の間には該燻煙殺虫剤袋の押止部材を装着してなり、前記加水発熱物質に給水することにより、燻煙を給水後10〜30秒以内に開始せしめる構成となしたことを特徴とする燻煙殺虫剤。
  2. 加水発熱物質が酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の燻煙殺虫剤。
  3. 燻煙殺虫剤袋と加水発熱物質の間に、熱溶融性のプラスチック製支持板を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の燻煙殺虫剤。
  4. 押止部材が、十字の逆ドーム状に形成された金属片であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燻煙殺虫剤。
  5. 合成樹脂製フィルム袋に、殺虫成分を2〜20重量%と、有機発泡剤のアゾジカルボンアミドを75〜97重量%と、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれた1種又は2種を1〜5重量%含有する粉状の殺虫剤組成物が封入された燻煙殺虫剤袋と、その下に加水発熱物質を段状に重ねて天面が開口している筒体に収納し、該筒体の上方周壁外面で0〜2cmの距離を移動可能に係合固定される蓋体を前記天面から嵌着させるとともに、該燻煙殺虫剤袋と該蓋体の間には該燻煙殺虫剤袋の押止部材を装着してなる燻煙殺虫剤を用い、前記加水発熱物質に給水することにより、燻煙を給水後10〜30秒以内に開始せしめ、しかも該燻煙を殺虫成分の揮散率が70%以上の高水準に達するものとしたことを特徴とする燻煙殺虫剤の燻煙方法。
  6. 加水発熱物質が酸化カルシウムであることを特徴とする請求項5に記載の燻煙殺虫剤の燻煙方法。
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