JP4441017B2 - 携帯型飛翔害虫防除装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯型飛翔害虫防除装置に関し、さらに詳しくは、キャンプや釣り、海水浴などのアウトドアレジャーや災害時のような電源のない場所や場面において、蚊や蝿といった双翅目の飛翔害虫からの被害を長時間に亘って回避することを可能とした、安全性の高い、小型で携帯可能な飛翔害虫防除装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、双翅目の飛翔害虫、なかでも蚊を防除対象とした製剤として広く一般に用いられているものは、蚊取線香、加熱燻蒸マット、液体式加熱燻蒸器、直接空間噴霧エアゾール、人体塗布製剤などである。
これらの製剤のうち、加熱燻蒸マットと液体式加熱燻蒸器は、家庭用コンセントが必要であり、電源のない場所や場面で使用することができない。一方、直接空間噴霧エアゾールは、電源がなくても使用できるが、効果の持続性が期待できない。人体塗布製剤は、肌に直接塗らなければならないので、体質に合わない場合に皮膚に痒みやかぶれを生ずるといった問題や、幼児に使い難いという問題がある。蚊取線香は、火を使うので、屋外はまだしも災害時などに屋内で使い難いという問題がある。また、煙がでるので周囲への迷惑を考えた場合、全てのレジャー施設で手軽に使用できるわけではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
また、化学発熱組成物、所謂使い捨てカイロを熱源として害虫防除剤を蒸散させる方法も既に提案されており、例えば特開昭56−75411号、特開昭56−97201号、実開昭58−87801号、実開平3−43973号などの公報に記載されている。ただし、使い捨てカイロを用いる場合には留意しなければならない項目が幾つか存在し、発案から長期間経過しているにもかかわらず未だ商品化されていない。その理由は、本発明の如き留意事項を注視しなかったためであろうと推測される。
【0004】
使い捨てカイロの発熱機構は金属の酸化反応を利用したものであるが、発熱温度が上昇し過ぎた場合や、薬剤有効成分の蒸気圧が適合したものでない場合、短時間で蒸散してしまい、長時間安定した効力が得られないという問題がある。また、金属の酸化反応のためには空気及び水分が不可欠であり、一般に鉄粉等の金属粉末、反応助剤としての塩類、水、触媒的な働きをする活性炭、及びバーミキュライト、珪藻土、木粉等の保水剤粉末などを透気性の袋に収納して用いられるが、雨天時に屋外で使用したときに雨水等が入り込むと所望の発熱温度が得られない等の問題も生じる場合があるため、これを収容する容器にも工夫が必要となる。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記したような問題がなく、安全性と利便性を兼ね備え、蚊や蝿といった双翅目の飛翔害虫からの被害を長時間に亘って回避できる小型で携帯可能な飛翔害虫防除装置を提供することにある。
さらに本発明の目的は、雨天時に屋外で使用したときに雨水等が入り込み難く、また有効成分を効率的に蒸散させることができ、長時間に亘って安定した効力を発揮できる携帯型飛翔害虫防除装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、一側面が透気性シート、他側面が有効成分を保持・蒸散させる蒸散層と有効成分の浸透移行を防止するバリア層の少なくとも2層からなる有効成分保持シートから構成され、上記透気性シートと有効成分保持シートのバリア層側の各周縁部を接合して構成される袋内に、平均表面温度が40〜70℃となるように設定された化学発熱組成物が収納されていると共に、上記蒸散層に、30℃における蒸気圧が1.0×10 −4 mmHg以上のピレスロイド系殺虫剤が有効主成分として含有・保持されており、上記透気性シートの透気度が、JIS−P−8117に従って測定したときに、5.0×10 3 〜1.5×10 4 秒/100cc(但し、1.5×10 4 秒/100ccを除く)であることを特徴とする携帯型飛翔害虫防除装置が提供される。
実際の商品形態においては、上記有効成分保持体は、発熱体と共にもしくは別々に、又はそれらの間にバリア性シートを介挿した状態で、高ガスバリア性フィルムの外袋内に封入され、使用時に該外袋を破って用いるように構成される。
【0007】
また、上記有効成分保持シートの蒸散層とバリア層を構成するフィルムは、水性接着剤を用い、又は接着剤を用いないで加熱もしくは非加熱圧着によりラミネートされていることが好ましい。
【0008】
さらに、雨天時に屋外で使用したときに雨水等が入り込み難く、長期間に亘って安定した効力を発揮できる携帯に便利な態様においては、空気取入れ用の通気孔又は有効成分蒸散用の蒸散孔の少なくともいずれかとして機能する2つ以上の通気孔を形成した容器をさらに備え、該容器内に収容して用いる。
好適な態様においては、上記通気孔及び/又は蒸散孔は、容器壁の少なくとも一部の壁面が断面凹凸状に形成され、該凹部と凸部の間の側部に形成された開口からなる。より好適には、容器の上壁と底壁に、それらの少なくとも一部の壁面がそれぞれ断面凹凸状に形成され、該凹部と凸部の間の側部に形成された複数の開口からなる蒸散孔と通気孔が形成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者は、安全性と利便性を兼ね備え、前述の全ての問題を解決した害虫防除方法を鋭意研究した結果、問題解決のポイントが蒸散システムの効率化にあることを見出し、さらにそれを達成するためには有効主成分の条件と蒸散方法を特定する必要があった。
すなわち、本発明に使用可能な有効主成分の条件としては、30℃における蒸気圧が1.0×10-4mmHg以上であり、かつ双翅目に対して特に防除活性の高いことである。
【0010】
双翅目に対する防除活性は、通常、代表的な昆虫としてアカイエカとイエバエを実験に用いて評価される。本発明における防除活性とは、有効成分を蒸散させたときの活性を意味する。本発明においては、便宜上、有効成分を定量蒸散するように調整した液体式加熱燻蒸器によって直径20cm、高さ43cm、容積13.5リットルの円筒型ガラスシリンダー内に60秒間蒸散させたときのノックダウン効果をもって「活性」と定義する。さらに具体的に定義すると、本発明で言うところの「高い防除活性」とは、アカイエカ及び/又はイエバエに対するノックダウン効果、すなわちプロビット法によるKT50値が10分以下を達成するのに必要な蒸散量が5mg/hr以下であることである。これは、有効成分を空気中に蒸散させた場合の安全性と、屋内外のあらゆる環境下における有効性を考慮し、本発明者が長年の研究によって定めた新規な基準である。
【0011】
有効主成分に関する物性と活性の両条件を満たす例としては、以下のピレスロイド系殺虫剤などが挙げられ、後述する試験例1に示されるような、トランスフルスリン、テラレスリン、フラメトリン、アレスリン、エンペンスリンが好ましく、これらの中でも蒸散性の点からトランスフルスリンが特に好ましい。また、今後開発される新規化合物も、本発明を利用することで製剤の早期開発が可能となる。
・一般名;化学名(商品名、メーカー)
*トランスフルスリン;d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*テラレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−d1−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカンボキシラート(ノックスリン、住友化学工業(株))
*d・d−T80−プラレトリン;(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (+)−シス/トランス−クリサンテマート(エトック、住友化学工業(株))
*フラメトリン;5−プロパギル−2−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンD、住友化学工業(株))
*アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
*dl・d−T−アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(バイオアレスリン)*d・d−T−アレスリン;d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(エスビオール)
*エンペンスリン;1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジメチルビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(ベーパースリン、住友化学工業(株))
【0012】
これらの有効主成分と共に、従来から害虫駆除剤(殺虫剤、殺ダニ剤)、殺菌剤、防虫剤、忌避剤、消臭・芳香剤(香水、ハーブなど)、防カビ剤、医薬品(メントール、ユーカリオイル等、気管、風邪等の吸入用薬剤)等の目的で使用されている各種の薬剤を、目的に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。通常、30℃における蒸気圧が1.0×10-6〜1.0×10-3mmHgの範囲内にある薬剤が用いられ、その中でも、30℃における蒸気圧が1.0×10-4mmHg以上の化合物が好ましい。
【0013】
他のピレスロイド系殺虫剤としては以下のものが挙げられる。
*レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロンフォルテ、住友化学工業(株))
*フタルスリン;N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチルdl−シス/トランス−クリサンテマート(ネオピナミン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−フタルスリン;(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−インドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ネオピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
*ペルメトリン;3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(エクスミン、住友化学工業(株))
*フェノトリン;3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート(スミスリン、住友化学工業(株))
*イミプロスリン;2,4−ジオキソ−1−(プロプ−2−イニル)−イミダゾリジン−3−イルメチル(1R)−シス/トランス−クリサンテマート(プラール、住友化学工業(株))
*フェンバレレート;α−シアノ−3−フェノキシベンジル−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート(スミサイジン、住友化学工業(株))
*シペルメトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(アグロスリン、住友化学工業(株))
*シフェノトリン;(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマート(ゴキラート、住友化学工業(株))
*エトフェンプロックス;2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル(トレボン)
*テフルスリン;2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*フェンプロパトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート
*フェンフルスリン;2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
【0014】
有機リン系殺虫剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*ダイアジノン;(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)
*フェニトロチオン、MEP;O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート(スミチオン)
*ピリダフェンチオン;O,O−ジメチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(オフナック)
*マラチオン;ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート(マラソン)
*ディプテレックス;O,O−ジメチル−2,2,2−トリクロロ−1−ハイドロオキシエチル ホスホネイト
*クロルピリホス;O,O−ジエチル−O−(3,5,6−トリクロル−2−ピリジル)−ホスホロチオエート
*フェンチオン;O,O−ジエチル−O−(3−メチル−4−メチルチオフェニル)−ホスホロチオエート(バイテックス)
*ジクロルボス;O,O−ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)
*プロペタンホス;O−[(E)−2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルビニル]−O−メチルエチルホスホラミドチオエート(サフロチン)
*アベイト;O,O,O´,O´−テトラメチル−O,O´−チオジ−P−フェニレン ホスホロチオエート
*プロチオホス;ジチオリン酸O−2,4−ジクロロフェニル O−エチル S−プロピルエステル(トヨチオン)
*ホキシム;O,O−ジエチル−O−(α−シアノベンジリデンアミノ)チオホスフェート
【0015】
昆虫成長阻害剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*ピリプロキシフェン;2−[1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ]ピリジン(スミラブ)
*メトプレン;11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノイックアシド−1−メチルエチルエステル
*フェノキシカルブ;エチル[2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル]カーバメート
*ジフルベンズロン;1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフロロベンゾイル)ウレア
*シロマジン;2−シクロプロピルアミノ−4,6−ジアミノ−s−トリアジン
*テフルベンズロン;N−[[(3,5−ジクロロ−2,4−ジフロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,6−ジフロロベンズアミド
【0016】
オキサジアゾール系殺虫剤としては次のものが挙げられる。
*メトキサジアゾン;5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−O−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(エレミック)
クロロニコチン系殺虫剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*イミダクロプリド;1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(ハチクサン)
*アセタミプロリド;(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトンアミジン(モスピラン)
【0017】
殺菌剤の具体例としては以下のものが挙げられる。
*トリフルミゾール;(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン−O−トルイジン)*ヘキサコナゾール;(R,S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール(アンピル)
*硫黄(S)
*TPN;テトラクロロイソフタロニトリル(ダコニール)
*カルベンダゾール;2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾイミダゾール(MBC)
*チオファメートメチル;1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(トップジンM)
*プロシミドン;N−(3,5−ジクロロフェニル)−12−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシミド(スミレックス)
*ミクロブタニル;2−P−クロロフェニル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ヘキサンニトリル(ラリー)
*イソプロチオラン;ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イソデン−マロネート(フジワン)
【0018】
殺ダニ剤としては以下のものが挙げられる。
*ケルセン;1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール
*キノメチオネート;6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカ−ボネート*ヘキサチアゾクス;トランス−5−(4−クロロフェニル)−N−シクロヘキシル−4−メチル−2−オキソチアゾリジン−3−カルボキサミド
【0019】
さらに、殺菌・防カビ剤としては、o−フェニルフェノール、イソプロピルメチルフエノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、チモール等、香料としては、天然及び人工の各種香料を使用でき、例えば動物性、植物性の天然香料、あるいは炭化水素、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オキシド、エステル類等の人工香料などが挙げられる。
【0020】
忌避剤の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
*N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)
*ジメチルフタレート
*ジブチルフタレート
*2−エチル−1,3−へキサンジオール
*1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド
*ジ−n−プロピル イソシンコメロネート
*p−ジクロロベンゼン
*ジ−n−ブチルサクシネート
*カプリン酸ジエチルアミド
*N−プロピルアセトアニリド
*β−ナフトール
*カンファー
【0021】
天然精油及び/又はその成分としては以下のものが挙げられる。
*シトラール、シトロネラール、シトロネロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ゲラニオール、シンナミックアルデヒド、リナロール、ペリラアルデヒド、ネペタリック酸、メチルヘプテノン、デシルアルデヒド、ミルセン、酢酸ゲラニオール、チモール、リモネン、シネオール、ピネン、シメン、テルピネン、サビネン、エレメン、セドレン、エレモール、ビドロール、セドロール、ヒノキチオール、ツヤプリシン、トロポロイド、ヒノキチン、ツヨプセン、ボルネオール、カンフェン、テルピネオール、テルピニルエステル、ジペンテン、ファランドレン、シネオール、カリオレフィン、バニリン、フルフラール、フルフリルアルコール、ピノカルベオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルベノン、カルボン、オイデスモール、ピペリトン、ツエン、ファンキルアルコール、メチルアンスラニレート、ビサボレン、ベンガプトール、ノニルアルデヒド、ノニルアルコール、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、ネロリドール、オシメン、アンスラニル酸メチル、インドール、ジャスモン、ベンツアルデヒド、プレゴン等
*上記の異性体及び/又は誘導体
*上記から選ばれる少なくとも1つ以上を含有する精油
【0022】
さらに、下記のような共力剤を他の薬剤と混合して使用できる。
*ブチルカービトル 6−プロピル−ピペロニル エーテル(商品名ピペロニルブトキサイド)
*オクタクロロジプロピルエーテル(商品名S−421)
*イソボルニルチオシアナアセテート(商品名IBTA)
*N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名サイネピリン222)
(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名サイネピリン500)
【0023】
また、薬剤の分解やそれに伴う薬剤保持材の目詰り防止のために酸化防止剤を併用することができる。本発明に適する酸化防止剤としては、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2,6−ジーt−ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタン、BHT、BHA、3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカブトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム;ポリエチレンワックス、オクチル化ジフェニルアミン、トリス[2−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジ−エチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキザスピロ[5.5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3´−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3´−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3´−チオジプロピオネート等の化合物が挙げられる。
【0024】
上記のような酸化防止剤は、単独でも、また2種以上を組み合わせて混合使用することもできる。また添加方法としては、薬液中に添加することや、得られた有効成分保持体に添加することが考えられるが任意である。さらに、過酸化物分解剤と一般に呼ばれる酸化防止剤として、ジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)やジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)を前記酸化防止剤と組み合わせて混合使用することもできる。さらには蒸散性を調節するために、パラフィン類、グリコール類、エーテル類及びワックス類が使用できる。
【0025】
さらに、紫外線吸収阻害剤としてパラアミノ安息香酸類、桂皮酸類、サリチル酸類、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることができる。
【0026】
薬液を調製するためには、必要に応じて溶剤を用いることもできる。溶剤としては、水性、油性どちらでもよく、水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、さらにエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類を例示できる。
【0027】
次に、本発明を構成するために重要な要件である蒸散方法について記載する。その方法とは、面積を500cm2以下に調整し、かつ有効成分保持体表面の平均温度を40〜70℃となるよう設定した発熱体を利用する低エネルギー蒸散システムである。この温度域であれば、家庭用の商用電源であるAC100Vを利用しなくとも、電池と低消費電力の発熱体の組み合わせで1時間以上の効力持続は達成可能である。また、金属の酸化反応を利用する発熱システム、すなわち使い捨てカイロなどのシステムも有効な手段である。
【0028】
金属の酸化反応を応用した使い捨てカイロには、前記したように、酸化を促進するための塩水と活性炭などが配合されている。このような化学発熱組成物と有効成分が接触すると、有効成分は活性炭に吸着されて空気中に放出されなくなる危険性があるため、混合することができない。すなわち、有効成分と発熱体は分離しなければならない。
また、塩水を易破裂式の袋に入れ、使用開始直前に破って使用する方法を用いれば、有効成分の安定性はさらに向上する。
分離するための方法としては、発熱体である使い捨てカイロの原粉を封入する内袋の片側を透気性のシートとし、もう片側を有効成分保持シートとする方法がある。以下、添付図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明の携帯型飛翔害虫防除装置の好適な形態の基本構成を示しており、有効成分保持シート1と透気性シート5の各周縁部をヒートシール等の適当な方法により接合して構成される袋内に、カイロ原粉(化学発熱組成物)4を収納してなるものである。
有効成分保持シート1は、有効成分を保持・蒸散させる蒸散層2と、有効成分の浸透移行を防止するためのバリア層3の少なくとも2層が必要である。また、この2層をラミネートする際に用いる接着方法としては、水性の接着剤を用いるか、又はラミネートする際に接着剤を用いない加熱もしくは非加熱接着(もしくは圧着)としなければならない。その際、有効成分を保持・蒸散させる蒸散層2とバリア層3の間にポリエチレン(PE)フィルムを介挿することが好ましい。ラミネート方法を注視する理由は、ウレタン系もしくは有機ゴム系といった油性接着剤を使用した場合、有効成分が接着剤に吸着されて効率よく空気中に放出されないためである。
蒸散層2の材料としては、紙や不織布などの繊維質のものが適しており、なかでも繊維が細く目付の小さいもの、例えば濾紙などが好ましい。バリア層3の材料としては、ポリエステル系のフィルムや、親水性のセロファンなどが好ましい。
【0030】
透気性シート5は、袋内に透過させる酸素の量をコントロールする役割、すなわち発熱温度をコントロールする役割を担うため重要である。この透気性シート5は、通常、基材と透気性シーラントの少なくとも2層で構成されており、基材が透気性の非常に高い不織布などの場合、透気性能は主に透気性シーラントで決まる。透気性シーラントの材質としては、一般のシーラントと同様に、ヒートシールすることを考慮してポリエチレン等を用いるが、大きな違いは、シーラントに数ミクロンの細孔を多数開けていることである。また、シーラントを厚くして基材を兼ね、ラミネート構成を単純化することもよく行なわれる。さらに、基材が透気性のないフィルムである場合には、シーラントごと細孔を開ける場合もある。この細孔は300μm以下が好ましい。これ以上の孔径の細孔を開けた場合、カイロ原粉が袋外にもれ出るという危険性がある。
透気性シート5の透気度は、JIS−P−8117に則って行なった試験において、5.0×103〜1.5×104秒/100cc(但し、1.5×10 4 秒/100ccを除く)であることが所定の効果を得るために必要である。このことは、後述する試験例2から明らかである。
【0031】
図2は、本発明の別の好適な形態を示しており、化学発熱組成物のうち、塩水だけを易破裂性の袋に入れた塩水袋6が他のカイロ原粉4と共に収納されており、有効成分保持シート1や透気性シート5などの他の構成は図1に示す場合と同様である。
使用に際しては、塩水袋6を破ることにより、漏れ出た塩水がカイロ原粉4と接触して発熱反応を生起する。このように、使用直前まで塩水がカイロ原粉と接触しないようにしておくことにより、発熱反応を阻止し、有効成分やカイロ原粉をより安定して保持しておくことができる。
易破裂性の袋としては、特許第2649280号に記載のアクリルニトリル系熱可塑性熱フィルム、例えば商品名:ゼクロン[三井化学(株)製]を好適に用いることができる。
【0032】
前記したいずれの形態においても、使用開始前まで金属粉の酸化を開始させる酸素との接触を断つ必要があるため、ガスバリア性能の高いシリカ蒸着やフィルムなどを外袋として用いて包装して保管するのが通例である。その際、有効成分保持シート1がこの外袋の内面に接触していると、通常、外袋内面にラミネートされているヒートシール用のポリオレフィン系フィルムに、有効成分が移行する危険性がある。これを回避するためには、有効成分保持シートと発熱体(化学発熱組成物)を別々の外袋で包装するか、有効成分保持シートと外袋内面の間にもう一枚ポリエステル系やナイロン系のフィルムなどを介挿して浸透移行を防止するか、有効成分保持シートを内側に折り畳んだ状態で包装するといった工夫が必要である。
【0033】
さらに、有効成分保持体と発熱体又は発熱体のみを、空気取入れ用の通気孔又は有効成分蒸散用の蒸散孔の少なくともいずれかとして機能する2つ以上の通気孔を設けた容器に入れることで、保温効果が期待でき、有効成分蒸散の効率化を図ることが可能である。その際、有効成分保持シートを内側に畳んで容器に収納することにより、保温効果はさらに高まる。
容器内には加熱による上昇気流が発生するので、その気流に有効成分を乗せて空気中に放出することが効率的である。そのためには、有効成分保持シートに対して平行方向に気流が生ずるよう通気孔を設けることが好ましい。すなわち、通気孔は有効成分保持シート面に対して平行方向に、少なくとも入口と出口の2つを設けるとよい。また、通気孔は、化学発熱組成物の発熱に必要な酸素を供給する役割も果たすため、通気孔の面積による温度コントロールも可能である。
このような容器の好適な形態の一例を図3乃至図6に示す。
【0034】
図3は、容器10の斜視図、図4はその右側面図、図5は容器本体11の底部の部分縦断面図、図6は上蓋12の上部の部分縦断面図である。
上蓋12は、細長いヒンジ部13により容器本体11の一側部上端に開閉自在に接続されており、他側部においてスナップ式の留め具14により留められる。
容器本体11の底壁は、図3及び図5に示されるように、断面凹凸状に形成され、凹部16aと凸部17aの間の側部に形成された複数の開口18aからなる通気孔15aを有している。同様に、上蓋12の上壁も、図3及び図6に示されるように、断面凹凸状(但し、上面を基準にして見た場合には複数凹状)に形成され、凹部16bと凸部17bの間の側部に形成された複数の開口18bからなる蒸散孔15bを有している。なお、容器本体11の両側上部には、吊下げ用紐を通すためのリング状掛止部19が形成されている。
【0035】
前記したような有効成分保持シート及び発熱体は容器10内に縦方向に配置され、また容器内には加熱による上昇気流が発生するので、空気は通気孔15aから容器内に入り、有効成分保持シートと平行な上昇気流が発生し、この気流に乗って有効成分が蒸散孔15bから放出される。従って、有効成分の蒸散を効率的に行なうことができる。
また、上蓋12の上部に形成された蒸散孔15bは、断面凹凸状の段違い構造の側部の開口18bから成り、上方から見て直に容器内に貫通する透孔ではないため、雨天時に屋外で使用しても雨水が直に容器内の有効成分保持体や発熱体にかかり難く、安定した効力を発揮することができる。
なお、容器の内容積は、大きすぎると保温効率が低下するので、有効成分保持体と発熱体を合わせた体積が内容積の5〜8割程度とするのが好ましい。
【0036】
図7は、本発明の別の実施形態の概略構成を示し、外側が蒸散層2a、内側がバリア層3aからなる有効成分保持筒体1a内にカイロ原粉4を収納した後、メッシュ状の蒸散・通気孔20を有する内蓋19を被着したものを、メッシュ状容器21内に収容し、同様にメッシュ状蒸散・通気孔20を有する上蓋22で蓋をして用いる例を示している。
なお、この実施形態でも、保管時にはガスバリア性の高いフィルムで外装される。
【0037】
図8は、カイロ原粉を固めてシート状にし、簡単に折り畳めるようにした本発明のさらに別の実施形態を示している。
すなわち、透気性シート5の上に、カイロ原粉を固めてシート状にしたシート状発熱体4aを2個並置し、この上から蒸散層2とバリア層3がラミネートされた有効成分保持シート1をヒートシールして貼り合わせたものである。この場合、ヒートシール後に蒸散層2に薬液が含浸・保持される。
この製品の保管時には、同様にガスバリア性の高いフィルムで外装され、好ましくは折れ線23から有効成分保持シート1が内側になるように二つ折りにして外装される。
【0038】
なお、本発明の携帯型飛翔害虫防除装置は、有効成分の蒸散に伴ってその終点を表示する機能を備えることができる。このような終点表示方法としては、アントラキノン系色素を使用する方法、あるいは電子供与性呈色性有機化合物及び減感剤、又は電子供与性呈色性有機化合物、減感剤及び顕色剤からなる可変色色素を利用した方法などが例示できる。例えば、有効成分保持層が、有効成分の蒸散と共に顕色する色素を利用したインジケーター機能を有する場合、その色調変化で終点を直接判断することができる。また、例えば電子供与性呈色性有機化合物(色素)と顕色剤とさらに蒸散性減感性薬剤が共存している場合、蒸散性減感性薬剤が充分に残存している間は上記薬剤の減感作用が顕色剤の作用に勝り、発色を抑えるが、上記薬剤が蒸散して残存率が低くなると、顕色剤と電子供与性呈色性有機化合物との反応が始まり、呈色し始め、さらに上記薬剤が完全に蒸散して残存しなくなった時に電子供与性呈色性有機化合物特有の色調を呈する。従って、上記反応過程と蒸散性減感性薬剤の蒸散過程とが対応し、上記組成物の色調の変化により視覚的に蒸散性減感性薬剤の薬効残存状態及びその終点を正確に知ることができる。このような薬効指示性組成物は既に公知であり、常温蒸散性減感性の殺虫剤や防虫剤等の種々の分野で応用されているので、その詳細な説明は省略する(例えば、特許第2607361号参照)。
【0039】
【実施例】
以下、試験例及び実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。
【0040】
試験例1
表1に示す各有効成分をノルマルパラフィンに溶解させた液体式蚊取製剤を作製し、安定蒸散するまで約100時間予備燻蒸させた後、加熱温度を変化させることによってそれぞれ3段階の蒸散量にサンプルを調製した。
アカイエカとイエバエに対する効力試験は、直径20cm、高さ43cmの円筒形ガラスシリンダーを用いて行なった。装置中に供試虫を約15個体放した後、予め装置外で1時間以上予備燻蒸させて蒸散量を安定させたサンプルを装置底面より10秒間燻蒸し、時間経過に伴うノックダウン虫数を観察し、プロビット法によりKT50を求めた。繰り返しは各蒸散量につき3回とした。
結果を表1に併せて示す。
【表1】
【0041】
試験例2
JIS−P−8117に従った測定した透気度が5.0×103〜1.5×104秒/100ccとなるように調製したフィルムと、PETフィルムによって、10×13cmの袋を作製し、その中に使い捨てカイロ原粉として還元鉄粉、活性炭、塩水などを封入した。
25℃恒温環境下において、自記録式表面温度計(安立社製AM−7002)によってPETフィルム側の表面温度を経時的に測定した。
その結果を表2に示す。
【表2】
【0042】
試験例3
表3に示す設定に従って、図1に示すような構造のものを図3〜6に示す容器に入れた飛翔害虫防除装置を作製し、屋外において蚊の吸血被害状況を観察した。
その結果を表3に示す。
【表3】
上記表3に示されるように、本発明の規定に従った飛翔害虫防除装置は、吸血被害もなく、安定して害虫防除効果を発揮したが、No.3のように表面温度が低すぎた場合及びNo.5のように表面温度は本発明の範囲内であっても防除活性を得るために必要な有効成分量が蒸散しなかった場合、吸血被害を生じた。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の携帯型飛翔害虫防除装置によれば、30℃における蒸気圧が1.0×10-4mmHg以上であり、かつ双翅目に対して防除活性を有する物質を有効主成分として保持する有効成分保持体を、面積500cm2以下かつ平均表面温度が40〜70℃となるように設定された発熱体によって加熱して有効主成分を空気中に放出することにより、キャンプや釣り、海水浴などのアウトドアレジャーや災害時のような電源のない場所や場面において、蚊や蝿といった双翅目の飛翔害虫からの被害を長時間に亘って回避することができ、安全かつ便利なシステムとして利用可能となった。
【0044】
また、一側面が透気性シート、特にJIS−P−8117に従って測定した透気度が5.0×103〜1.5×104秒/100cc(但し、1.5×10 4 秒/100ccを除く)の透気性シート、他側面が有効成分を保持・蒸散させる蒸散層と有効成分の浸透移行を防止するバリア層の少なくとも2層からなる有効成分保持シートから構成され、上記透気性シートと有効成分保持シートのバリア層側の各周縁部を接合して構成される袋内に、平均表面温度が40〜70℃となるように設定された化学発熱組成物が収納されていると共に、上記蒸散層に前記のような有効主成分が含有・保持されている場合、有効成分を長時間に亘って効率的に蒸散させることができ、またより小型化し易く、携帯に便利な飛翔害虫防除装置が提供される。
【0045】
さらに、空気取入れ用の通気孔又は有効成分蒸散用の蒸散孔の少なくともいずれかとして機能する2つ以上の通気孔を形成した容器、例えば容器壁の少なくとも一部の側壁が凹凸状に形成され、該凹部と凸部の間の側部に形成された開口からなり、より好適には、容器の上壁及び底壁の少なくとも一部の壁面がそれぞれ凹凸状に形成され、該凹部と凸部の間の側部に形成された複数の開口からなる蒸散孔と通気孔が形成されている容器内に収容して用いることにより、雨天時に屋外で使用したときに雨水等が入り込み難く、さらに容器内の保温効果や加熱上昇気流により有効成分の蒸散が効率的に行なわれ、長時間に亘って安定した効力を発揮できると共に、携帯にも便利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯型飛翔害虫防除装置の好適な基本構成を示す部分断面斜視図である。
【図2】本発明の携帯型飛翔害虫防除装置の別の好適な基本構成を示す部分断面斜視図である。
【図3】本発明の携帯型飛翔害虫防除装置に用いる容器の斜視図である。
【図4】図3に示す容器の右側面図である。
【図5】図3に示す容器の容器本体底部の部分縦断面図である。
【図6】図3に示す容器の上蓋上部の部分縦断面図である。
【図7】本発明の携帯型飛翔害虫防除装置の他の形態の概略構成を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の携帯型飛翔害虫防除装置のさらに他の形態の概略構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 有効成分保持シート
1a 有効成分保持筒体
2,2a 蒸散層
3,3a バリア層
4 カイロ原粉
4a シート状発熱体
5 透気性シート
6 塩水袋
10 容器
11 容器本体
12,22 上蓋
15a 通気孔
15b 蒸散孔
16a,16b 凹部
17a,17b 凸部
18a,18b 開口
20 メッシュ状蒸散・通気孔
21 メッシュ状容器
Claims (10)
- 一側面が透気性シート、他側面が有効成分を保持・蒸散させる蒸散層と有効成分の浸透移行を防止するバリア層の少なくとも2層からなる有効成分保持シートから構成され、上記透気性シートと有効成分保持シートのバリア層側の各周縁部を接合して構成される袋内に、平均表面温度が40〜70℃となるように設定された化学発熱組成物が収納されていると共に、上記蒸散層に、30℃における蒸気圧が1.0×10 −4 mmHg以上のピレスロイド系殺虫剤が有効主成分として含有・保持されており、上記透気性シートの透気度が、JIS−P−8117に従って測定したときに、5.0×10 3 〜1.5×10 4 秒/100cc(但し、1.5×10 4 秒/100ccを除く)であることを特徴とする携帯型飛翔害虫防除装置。
- 有効成分保持シートと発熱体が分離されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 前記有効成分保持シートと発熱体を、共にもしくは別々に、又はそれらの間にバリア性シートを介挿した状態で、高ガスバリア性フィルムの外袋内に封入され、使用時に該外袋を破って用いるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 前記有効成分保持シートの蒸散層とバリア層を構成するフィルムが、水性接着剤を用い、又は接着剤を用いないで加熱もしくは非加熱接着によりラミネートされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 前記袋内に収容されている化学発熱組成物が、金属粉末を含む主原料粉体と、易破裂性袋内に収容された塩水とからなり、使用開始前に該易破裂性袋を破って塩水と主原料粉体とが接触するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 前記化学発熱組成物がシート状に固められたシート状発熱体であり、前記有効成分保持シートと透気性シートの間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 高ガスバリア性フィルムの外袋内に封入され、使用時に該外袋を破って用いるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 前記有効成分保持シートを内側にして折り畳んだ状態で外袋内に収容されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 前記有効主成分が、トランスフルスリン、テラレスリン、プラレトリン、フラメトリン、アレスリン、エンペンスリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
- 空気取入れ用の通気孔又は有効成分蒸散用の蒸散孔の少なくともいずれかとして機能する2つ以上の通気孔を形成した容器をさらに備え、該容器内に収容して用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の携帯型飛翔害虫防除装置。
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