JP2005320279A - 薬剤保持体 - Google Patents

薬剤保持体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005320279A
JP2005320279A JP2004139347A JP2004139347A JP2005320279A JP 2005320279 A JP2005320279 A JP 2005320279A JP 2004139347 A JP2004139347 A JP 2004139347A JP 2004139347 A JP2004139347 A JP 2004139347A JP 2005320279 A JP2005320279 A JP 2005320279A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drug
transpiration
layer
adhesive
medicine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004139347A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoko Ishizuka
朋子 石塚
Satoshi Yamazaki
聡 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fumakilla Ltd
Original Assignee
Fumakilla Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fumakilla Ltd filed Critical Fumakilla Ltd
Priority to JP2004139347A priority Critical patent/JP2005320279A/ja
Publication of JP2005320279A publication Critical patent/JP2005320279A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Catching Or Destruction (AREA)

Abstract

【課題】 油溶性接着剤使用に伴う問題がなく、また製品の運送時又は使用時に接合部の剥離の問題もなく、所定の構造を長期間安定して保持でき、蒸散性の薬剤を長期間に亘って有効に且つ安定して蒸散できる薬剤保持体を提供する。
【解決手段】 複数の単層シートを接合した複層シートから構成される薬剤保持材からなり、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体、又は単層シート又は複数の単層シートを接合した複層シートから構成され、かつ、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持材と、該薬剤保持材を支持シートに接合してなる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含み、上記接合に用いる接着剤が(メタ)アクリル酸エステル系接着剤である。好適な薬剤保持体は、1枚又は複数枚の単層シートを局所的に接合して多層化及び/又は立体化した構造体である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、殺虫、防虫、害虫忌避、昆虫成長阻害、芳香・消臭等を目的として、主に風力蒸散方式、70℃以下の加温(もしくは微加熱)蒸散方式、自然蒸散方式から選ばれる一種以上の蒸散方式によって油溶性の蒸散性薬剤を空気中に放出する薬剤保持体に関し、さらに詳しくは、該薬剤を保持及び/又は蒸散させる構造体を形成するための接着方法の選定技術に関する。
現在市販されている害虫防除剤の蒸散システムとしては、代表的なものに液化ガスなどの噴射剤を推進力として薬剤を空気中に放出するエアゾール剤があるが、必要な薬剤以外に多量の噴射剤や溶剤を空気中に放出することとなり、昨今、環境破壊の面から問題視されている。一方、エアゾール剤ほど余分な成分を放出することのない製剤として、蚊取り線香や、マット式又は液体式電気蚊取り剤に代表される加熱蒸散製剤があるが、これらの製剤は、火災の危険性や、AC電源の存在する場所でしか使えないなどの問題を有する。
従って、今後の害虫防除剤に求められる機能としては、これら諸問題を解決した製剤、すなわち余分なものを空気中に放出せず、使用する場所を限定しないことが挙げられる。そのためには、難蒸散性の薬剤を低エネルギーで放出するシステムが求められ、そのエネルギー源としては、人為的な装置を用いず自然のエネルギーのみを利用したもの、低電力式ファンによる風力エネルギーを利用したもの、微加熱による熱エネルギーを利用したものなどが、実用的な技術として挙げられる。
具体的にこれらのエネルギー源を利用した公知の技術としては、貫通穴を有し、表面積/体積が1〜20cm-1の範囲内にある担体に、常温揮散性の防虫性化合物を保持させてなる防虫材(特許文献1参照)や、折り畳み可能な紙製の穴を多数有する筒状材に、常温揮散性の防虫性化合物を保持させてなる防虫材(特許文献2参照)がある。
また、ファンによって薬剤を空気中に放出する方式の製剤(特許文献3〜6参照)や、加温(微加熱)によって薬剤を空気中に放出する方式の製剤(特許文献7〜9参照)も知られている。
前記のような薬剤を空気中に放出して所望の効果を発揮させる方式の製剤においては、エネルギーを如何に効率よく利用するかが技術の核となり、実施する場合、薬剤を保持及び/又は蒸散させる構造体を如何に効率良く広い面積を持った形状とするかが大きなポイントとなる。そして、このような保持体を形成するためには、保持体素材の接着が必要不可欠である。
一般に、接着剤に求められる性能の一つは、「接着剤によって形作られた製品が、身の回りに存在するあらゆる化学物質や溶剤などによって、軟化や破壊等による接着強度の低下が生じない」ことである。そして、身の回りに存在する化学物質や溶剤は、概して油性系のものが多く、結果として一般的に使用されている接着剤は耐水性能を有するものが多い。
これに対し、殺虫、防虫、害虫忌避、昆虫成長阻害等を目的として用いられる薬剤は油系であり、なおかつ該薬剤を保持及び/又は蒸散させる担体は、蒸散面積の確保や薬剤の移行防止といった様々な機能が要求されるため、接着剤の使用や接着剤を使用しない接着方法の採用が必要不可欠であることから、該薬剤を耐水性能を有する一般的な油溶性接着剤と併用した場合、以下の如き重大な問題を引き起こす。
(a)接着剤の溶解、破壊による被着体の剥離、脱落、強度低下。
(b)接着剤の膨潤、軟化による被着体の強度低下、剥離、脱落。
(c)接着剤への移行、吸着による薬剤の損失。
(d)接着剤との化学反応による薬剤の分解、変性。
前記のような問題を解決するために、本発明者らは、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体において、シート間の接合に従来用いられている油溶性接着剤に代えて、デンプン系、にかわ系、カゼイン系、ポリビニルアルコール系等の天然又は合成の水溶性接着剤を用いるか、あるいはシート自身同士の溶着もしくはホットメルト接着剤による溶着を行うことにより、油溶性接着剤を用いた場合の移行や吸着による薬剤の損失がなく、また接着剤との化学反応による薬剤の分解、変性等もなく、薬剤の有効蒸散率に優れる薬剤保持体を開発し、既に特許出願している(特許文献10参照)。
特開平9−289855号公報(特許請求の範囲) 特開平9−308421号公報(特許請求の範囲) 実開昭61−182273号公報(実用新案登録請求の範囲) 特開平5−68459号公報(特許請求の範囲) 特開平7−111850号公報(特許請求の範囲) WO96/04786公報(請求の範囲) 特開昭56−75411号公報(特許請求の範囲) 特開昭56−97201号公報(特許請求の範囲) 特開昭58−21601号公報(特許請求の範囲) 特開2000−204005号公報(特許請求の範囲)
前記したように、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体において、シート間の接合に従来用いられている油溶性接着剤に代えて、デンプン系、にかわ系、カゼイン系、ポリビニルアルコール系等の天然又は合成の水溶性接着剤を用いるか、あるいはシート自身同士の溶着もしくはホットメルト接着剤による溶着を行うことにより、前記したような従来の油溶性接着剤使用による問題は解決される。しかしながら、一般に水溶性接着剤は紙質材料との接着強度は高いが、樹脂材料との接着強度が若干低いため、単層シート又は複数の単層シートを接合した複層シートから構成される薬剤保持材を支持シートに接合してなる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含む薬剤保持体においては、製品の運送時又は使用時に薬剤保持材が支持シートから剥離したり、あるいは薬剤保持材を構成する複層シートの層間が剥離する場合がある。また、シート自身同士の溶着もしくはホットメルト接着剤による溶着では、シート材の選択が制限され、また油溶性の蒸散性薬剤を含浸・保持するシート材の場合、接着強度が低くなるという問題がある。
従って、本発明の目的は、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体において、油溶性接着剤使用に伴う問題、即ち油溶性接着剤への移行や吸着による薬剤の損失がなく、また接着剤との化学反応による薬剤の分解、変性等もないという水溶性接着剤使用による利点を保持すると共に、薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含む場合でも、製品の運送時又は使用時に、薬剤保持材が支持シートから剥離したり、あるいは薬剤保持材を構成する複層シートの層間が剥離するという問題がなく、所定の構造を長期間安定して保持でき、従って蒸散性の薬剤を充分な薬量で使用初期から長期間に亘って有効に且つ安定して蒸散できる薬剤保持体を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、接合部の接着に(メタ)アクリル酸エステル系接着剤を用いた薬剤保持体が提供され、その第一の態様は、複数の単層シートを接合した複層シートから構成される薬剤保持材からなり、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材が合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含み、上記接合に用いる接着剤が(メタ)アクリル酸エステル系接着剤であることを特徴としている。
本発明の薬剤保持体の第二の態様は、単層シート又は複数の単層シートを接合した複層シートから構成され、かつ、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持材と、該薬剤保持材を支持シートに接合してなる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含み、上記接合に用いる接着剤が(メタ)アクリル酸エステル系接着剤であることを特徴としている。
前記いずれの態様においても、好適には、上記(メタ)アクリル酸エステル系接着剤は、一般式:CH2=C(R1)COOR2(但し、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はシアノ基を表わす。)で示される化合物の1種又は2種以上を含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
好適な態様においては、前記薬剤保持材は、1枚又は複数枚の単層シートを局所的に接合して多層化及び/又は立体化した構造体である。
また、前記複層シート間の薬剤の移行や、多層化及び/又は立体化した構造体の或る領域から他の領域への薬剤の移行を防止するために、これらを構成する複数のシートの少なくとも1層に、油溶性の薬剤の移行を阻止又は抑制できるバリアー性材料を用いることもできる。これによって、薬剤面への接触を抑制することのみならず、複層シートの表裏シートに異なる薬剤を含浸・保持させたり、また多層化及び/又は立体化した構造体の一部領域と他の領域に異なる薬剤を含浸・保持させたりする態様とすることができる。
本発明に係る薬剤保持体においては、前記油溶性の蒸散性薬剤を蒸散させる手段として、風力蒸散方式、70℃以下の加温(微加熱)蒸散方式もしくは自然蒸散方式、又はこれらの組合せを採用することができる。
本発明に係る薬剤保持体は、複数の単層シートを接合した複層シートから構成される薬剤保持材からなり、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体、あるいは、単層シート又は複数の単層シートを接合した複層シートから構成され、かつ、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持材と、該薬剤保持材を支持シートに接合してなる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含むが、上記接合に用いる接着剤が(メタ)アクリル酸エステル系接着剤であるため、製品の運送時又は使用時に、薬剤保持材が支持シートから剥離したり、あるいは薬剤保持材を構成する複層シートの層間が剥離するという問題がなく、所定の構造を長期間安定して保持できる。従って、蒸散性の薬剤を使用初期から長期間に亘って有効に且つ安定して蒸散できる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系接着剤は水溶性接着剤であるため、従来の油溶性接着剤使用に伴う問題、即ち薬剤の接着剤中への移行や吸着あるいは接着剤との化学反応による分解、変性等を有効に阻止又は抑制できる。そのため、接合部分の接合強度低下や剥離等の問題を生ずることがなく、特に1枚又は複数枚の単層シートを接着剤によって局所的に接着して多層化及び/又は立体化した構造体の場合、使用初期から長期間に亘って充分な薬量で薬剤を蒸散することができる。また、薬剤保持材を種々の装飾品に加工することができるため、携帯用や室内のインテリア等にも使用することができ、製品設計が飛躍的に行い易くなる。
前記したように、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体においては、接着剤と用いる薬剤との組合せや選択性が存在し、従来一般に用いられている油溶性接着剤を用いた場合には、薬剤の接着剤中への移行や吸着あるいは接着剤との化学反応による分解、変性等の問題を生ずる。このような問題は、油溶性の薬剤と相溶性がない水溶性接着剤を用いることによって阻止又は抑制できる。しかしながら、一般に水溶性接着剤は紙質材料との接着強度は高いが、樹脂材料との接着強度が若干低いため、前記薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含む薬剤保持体においては、製品の運送時又は使用時に薬剤保持材が支持シートから剥離したり、あるいは薬剤保持材を構成する複層シートの層間が剥離する場合がある。
本発明者らは、このような材料構成の薬剤保持体の接合部分の接着性についてさらに研究した結果、接着剤として(メタ)アクリル酸エステル系接着剤を用いれば、薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含む場合でも、接合強度低下や剥離等の問題を生ずることがなく、また、(メタ)アクリル酸エステル系接着剤は水溶性接着剤であるため、前記のような油溶性接着剤を用いた場合の問題もなく、所定の構造を長期的安定して維持でき、また使用初期から長期間に亘って薬剤を有効に且つ安定して蒸散することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
以下、本発明に従って油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させるための具体的な構造体の形状と、本発明で用いる具体的な油溶性薬剤と接着剤を例示し、本発明についてさらに具体的に説明する。
まず、油溶性薬剤を保持及び/又は蒸散させるための具体的な構造体としては、2枚以上のシートを接着剤によって貼り合わせた複層のラミネートシート状構造体、単層又は複層のシートの両端を接着剤によって貼り合わせた円筒、角筒、星型筒などの筒状構造体、2枚のシートの片側、又は3枚のシートの真ん中のシートを波形に折り曲げて山折りの稜線部分だけに接着剤を付けて他のシートに貼り合わせたダンボール状構造体、開いたときに多数のセルを形成するよう、平行に一定の間隔で接着剤を塗布した多数のシートを一枚ずつ交互にずらしつつ接着したハニカム状構造体などが例示できる。薬剤保持体の他の立体的な構造体の例については、後に図面を参照しながら説明する。
本発明に使用する接着剤は、前記したように(メタ)アクリル酸エステル系接着剤であるが、好ましくは、一般式:CH2=C(R1)COOR2(但し、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はシアノ基を表わす。)で示される化合物、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、シアノ(メタ)アクリル酸等の1種又は2種以上を含有する。
接着剤の適用形態としては、フィラメント状、ウェブ状、ネット状、ポイント状、散点状、全面塗布などが例示でき、所望の接着面積と接着強度に応じて選択すればよい。
本発明に使用するシート、すなわち油溶性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体を構成する部材としては、該薬剤を適度に保持及び/又は蒸散させることのできるものであり、具体的には紙、パルプ、リンター、シルクなどの天然繊維及び/又はプラスチックを原料とした不織布、同じくパルプやリンターやシルクなどの天然繊維及び/又はプラスチックを原料とした織編物、ドライフラワーなどの乾燥植物体が例示できる。プラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、レーヨン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、メタアクリル樹脂等が挙げられる。
また、油溶性薬剤を含浸・保持する薬剤保持体の複層シート間の薬剤の移行や、多層化及び/又は立体化した構造体の一部領域から他の領域への薬剤の移行を阻止又は抑制するために用いるバリアー性材料としては、アルミ蒸着フィルムやセラミック蒸着フィルム、エチレンビニールアルコール(EVOH)フィルムといったバリアー性プラスチックフィルムや、アルミなどの金属箔、紙コップ原紙などのサイズ剤やコートによって耐水耐油処理を施した厚紙などを挙げることができる。
本発明において用いられる油溶性の蒸散性薬剤としては、従来から害虫駆除剤(殺虫剤、殺ダニ剤)、殺菌剤、防虫剤、忌避剤、消臭・芳香剤(香水、ハーブなど)、防カビ剤、医薬品(メントール、ユーカリオイル等、気管、風邪等の吸入用薬剤)等の目的で使用されている各種の薬剤を、目的に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。通常、20℃における蒸気圧が1.0×10-6〜1.0×10-3mmHgの範囲内にある薬剤が用いられる。
例えば殺虫を目的として使用する場合、従来より用いられている各種蒸散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられており、特に以下のものが好ましい。
・一般名;化学名(商品名、メーカー)
*アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
*dl・d−T−アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(バイオアレスリン)
*d・d−T−アレスリン;d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(エスビオール)
*d・d−T80−プラレトリン;(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (+)−シス/トランス−クリサンテマート(エトック、住友化学工業(株))
*レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロンフォルテ、住友化学工業(株))
*エンペントリン;1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジメチルビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(ベーパースリン、住友化学工業(株))
*テラレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−d1−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカンボキシラート(ノックスリン、住友化学工業(株))
*トランスフルスリン;d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*メトフルトリン;2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
*2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
*2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
*2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
*プロフルトリン;2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
*1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
上記化合物及び/又はこれらの異性体及び/又は類縁体から選ばれた少なくとも1種以上を用いることが好ましいが、必要に応じて以下の害虫防除成分を単独で又は組み合わせて用いることになんら制限はされない。
他のピレスロイド系殺虫剤としては以下のものが挙げられる。
*フタルスリン;N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ネオピナミン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−フタルスリン;(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−インドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ネオピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
*フラメトリン;5−プロパギル−2−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンD、住友化学工業(株))
*ペルメトリン;3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(エクスミン、住友化学工業(株))
*フェノトリン;3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート(スミスリン、住友化学工業(株))
*イミプロスリン;2,4−ジオキソ−1−(プロプ−2−イニル)−イミダゾリジン−3−イルメチル(1R)−シス/トランス−クリサンテマート(プラール、住友化学工業(株))
*フェンバレレート;α−シアノ−3−フェノキシベンジル−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート(スミサイジン、住友化学工業(株))
*シペルメトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(アグロスリン、住友化学工業(株))
*シフェノトリン;(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマート(ゴキラート、住友化学工業(株))
*エトフェンプロックス;2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル(トレボン)
*テフルスリン;2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*フェンプロパトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート
*フェンフルスリン;2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
有機リン系殺虫剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*ダイアジノン;(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)
*フェニトロチオン、MEP;O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート(スミチオン)
*ピリダフェンチオン;O,O−ジメチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(オフナック)
*マラチオン;ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート(マラソン)
*ディプテレックス;O,O−ジメチル−2,2,2−トリクロロ−1−ハイドロオキシエチル ホスホネイト
*クロルピリホス;O,O−ジエチル−O−(3,5,6−トリクロル−2−ピリジル)−ホスホロチオエート
*フェンチオン;O,O−ジエチル−O−(3−メチル−4−メチルチオフェニル)−ホスホロチオエート(バイテックス)
*ジクロルボス;O,O−ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)
*プロペタンホス;O−[(E)−2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルビニル]−O−メチルエチルホスホラミドチオエート(サフロチン)
*アベイト;O,O,O´,O´−テトラメチル−O,O´−チオジ−P−フェニレン ホスホロチオエート
*プロチオホス;ジチオリン酸O−2,4−ジクロロフェニル O−エチル S−プロピルエステル(トヨチオン)
*ホキシム;O,O−ジエチル−O−(α−シアノベンジリデンアミノ)チオホスフェート
昆虫成長阻害剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*ピリプロキシフェン;2−[1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ]ピリジン(スミラブ)
*メトプレン;11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノイックアシド−1−メチルエチルエステル
*フェノキシカルブ;エチル[2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル]カーバメート
*ジフルベンズロン;1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフロロベンゾイル)ウレア
*シロマジン;2−シクロプロピルアミノ−4,6−ジアミノ−s−トリアジン
*テフルベンズロン;N−[[(3,5−ジクロロ−2,4−ジフロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,6−ジフロロベンズアミド
オキサジアゾール系殺虫剤としては次のものが挙げられる。
*メトキサジアゾン;5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−O−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(エレミック)
クロロニコチン系殺虫剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*イミダクロプリド;1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(ハチクサン)
*アセタミプロリド;(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトンアミジン(モスピラン)
殺菌剤の具体例としては以下のものが挙げられる。
*トリフルミゾール;(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン−O−トルイジン)
*ヘキサコナゾール;(R,S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール(アンピル)
*硫黄(S)
*TPN;テトラクロロイソフタロニトリル(ダコニール)
*カルベンダゾール;2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾイミダゾール(MBC)
*チオファメートメチル;1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(トップジンM)
*プロシミドン;N−(3,5−ジクロロフェニル)−12−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシミド(スミレックス)
*ミクロブタニル;2−P−クロロフェニル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ヘキサンニトリル(ラリー)
*イソプロチオラン;ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イソデン−マロネート(フジワン)
殺ダニ剤としては以下のものが挙げられる。
*ケルセン;1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール
*キノメチオネート;6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカ−ボネート
*ヘキサチアゾクス;トランス−5−(4−クロロフェニル)−N−シクロヘキシル−4−メチル−2−オキソチアゾリジン−3−カルボキサミド
さらに、殺菌・防カビ剤としては、o−フェニルフェノール、イソプロピルメチルフエノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、チモール等、香料としては、天然及び人工の各種香料を使用でき、例えば動物性、植物性の天然香料、あるいは炭化水素、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オキシド、エステル類等の人工香料などが挙げられる。
忌避剤の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
*N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)
*ジメチルフタレート
*ジブチルフタレート
*2−エチル−1,3−へキサンジオール
*1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド
*ジ−n−プロピル イソシンコメロネート
*p−ジクロロベンゼン
*ジ−n−ブチルサクシネート
*カプリン酸ジエチルアミド
*N−プロピルアセトアニリド
*β−ナフトール
*カンファー
天然精油及び/又はその成分としては以下のものが挙げられる。
*シトラール、シトロネラール、シトロネロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ゲラニオール、シンナミックアルデヒド、リナロール、ペリラアルデヒド、ネペタリック酸、メチルヘプテノン、デシルアルデヒド、ミルセン、酢酸ゲラニオール、チモール、リモネン、シネオール、ピネン、シメン、テルピネン、サビネン、エレメン、セドレン、エレモール、ビドロール、セドロール、ヒノキチオール、ツヤプリシン、トロポロイド、ヒノキチン、ツヨプセン、ボルネオール、カンフェン、テルピネオール、テルピニルエステル、ジペンテン、ファランドレン、シネオール、カリオレフィン、バニリン、フルフラール、フルフリルアルコール、ピノカルベオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルベノン、カルボン、オイデスモール、ピペリトン、ツエン、ファンキルアルコール、メチルアンスラニレート、ビサボレン、ベンガプトール、ノニルアルデヒド、ノニルアルコール、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、ネロリドール、オシメン、アンスラニル酸メチル、インドール、ジャスモン、ベンツアルデヒド、プレゴン等
*上記の異性体及び/又は誘導体
*上記から選ばれる少なくとも1つ以上を含有する精油
さらに、下記のような共力剤を他の薬剤と混合して使用できる。
*ブチルカービトル 6−プロピル−ピペロニル エーテル(商品名ピペロニルブトキサイド)
*オクタクロロジプロピルエーテル(商品名S−421)
*イソボルニルチオシアナアセテート(商品名IBTA)
*N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名サイネピリン222)
*(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名サイネピリン500)
また、薬剤の分解やそれに伴う薬剤保持材の目詰り防止のために酸化防止剤を併用することができる。本発明に適する酸化防止剤としては、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2,6−ジーt−ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタン、BHT、BHA、3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカブトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム;ポリエチレンワックス、オクチル化ジフェニルアミン、トリス[2−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジ−エチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキザスピロ[5.5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3´−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3´−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3´−チオジプロピオネート等の化合物が挙げられる。
上記のような酸化防止剤は、単独でも、また2種以上を組み合わせて混合使用することもできる。また添加方法としては、害虫駆除液中に添加することや、得られた保持材に添加することが考えられるが任意である。さらに、過酸化物分解剤と一般に呼ばれる酸化防止剤として、ジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)やジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)を前記酸化防止剤と組み合わせて混合使用することもできる。さらには蒸散性を調節するために、パラフィン類、グリコール類、エーテル類及びワックス類が使用できる。
さらに、紫外線吸収阻害剤としてパラアミノ安息香酸類、桂皮酸類、サリチル酸類、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることができる。
薬液を調製するためには、必要に応じて溶剤を用いることもできる。溶剤としては、水性、油性どちらでもよく、水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、さらにエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、動植物由来の各種油脂類を例示できる。
本発明の薬剤蒸散剤を害虫駆除剤として調製した場合、使用した薬剤に応じて、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ、シナハマダラカなどの蚊類、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、ヤマトゴキブリなどのゴキブリ類、イエバエ、ヒメイエバエ、センチニクバエ、ケブカクロバエ、キイロショウジョウバエ、ノミバエなどのハエ類、オオチョウバエ、ホシチョウバエなどのチョウバエ類、ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミなどのノミ類、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシなどの衣料害虫、ノシメマダラメイガ、コクヌストモドキ、コクゾウなどの貯穀害虫、マルカメムシ、チャバネアオカメムシ、スコットカメムシなどのカメムシ類、シラミ類などの様々な害虫に対して有効であり、使用場面としても一般家庭、倉庫、工場、飲食店など多様な場面に使用が可能である。
薬剤保持材に対する蒸散性薬剤の塗布方法は特に限定されるものではないが、滴下塗布、含浸塗布、スプレー塗布などの液状塗布方法、液状印刷、はけ塗り等の方法などを採用できる。また、蒸散性薬剤を液体用ボトルに収納し、薬剤保持材の一部を薬液中に浸漬して薬液を吸液させ、蒸散部へ供給することも可能である。さらに、使用に際して、使用者が容器から蒸散性薬剤を滴下、塗布、スプレー等により薬剤保持材に供給する使用態様も可能である。
薬剤保持体の形態としては、先に例示した複層シート状構造体及びダンボール状構造体、ハニカム状構造体などの立体状構造の他、複層シート状構造体に格子状、網目状等の任意の模様となる多数の透孔を形成することもできる。また、三次元構造としては、断面がハニカム状、格子状、網目状等のセル壁で構成される球状、楕円球状、円柱状、円筒状、円錐状、四角錐状(ピラミッド状)、立方体状、直方体状等の立体状構造体の他に、シート材を造花、折り鶴、吹流し等に加工した立体状構造体などが挙げられる。
以下、立体状構造体の幾つかの例を添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2はハニカム構造体の一実施態様を示し、図1はハニカム構造体1を2分割した状態、図2は全体外観を示している。
ハニカム構造体1は、セル壁2によって囲まれる各セル3が、中心軸線Xに対して垂直に、球体外周面に向って平行に配列された全体的に球状の構造体に構成され、かつ、その中央部に内部空間Sが形成されている。従って、各セル3の殆ど大部分が内部空間Sと連通状態にあり、空気の流れが抑制されないようにされている。薬剤は、スプレー法、浸漬法等の任意の方法により、セル壁2に含浸・保持される。
このように、薬剤を含浸・保持できる材料から作製されたハニカム状(又は格子状、網目状等)のセル壁で立体状構造体を構成すると共に、その内部に空間を形成することによって、一つ一つのセルへの通気が促進され、それによって有効成分の蒸散量が増大し、長期間に亘って有効成分を安定して蒸散させることができる。
前記図1及び図2に示すハニカム構造体1の製造は、半分割したリング状のシート(図1の中心軸線Xの右側(又は左側)のリング状部分)を積層する際に、帯状の接着部分Aを各セルの所望の大きさに応じた適宜の間隔で平行に、しかも先の層間と後の層間で段違い状態となるように順次接着しながら多数枚積層し、得られた積層体の中心軸線X側の端縁を接着した後、積層体を拡げて両側のシートを接着することにより行うことができ、図2に示すような全体的に球状のハニカム構造体が得られる。あるいは、半円形のシート(又は矩形のシート)を上記と同様に接着しながら積層し、得られた積層体の内部空間に相当する半円形部分(矩形のシートを用いた場合には、さらに外周より外の部分)を打抜き除去することによって、半分割リング状の積層体を製造することもできる。また、帯状の接着部分Aが球の中心から放射状になるように配列することにより、各セルが全て内部空間と連通し、かつ、内部空間から球状外周面に向って放射状に配列されたハニカム構造体とすることもできる。なお、接着剤としては、前記した(メタ)アクリル酸エステル系接着剤を用いる。
本発明による立体状構造の薬剤保持体は、図1及び図2に示すようなハニカム構造に限定されるものではなく、種々の構造、形態に構成することができる。例えば、前記図1において接着部分Aを細くした場合には格子状のセルとなる。また、格子状、網目状等任意の模様となるように多数の透孔を形成したシートを積層することもできる。さらに、立体状構造体の外観も、図示のような球状に限られず、円柱体、立方体、ピラミッド形、その他の多角体など任意の立体形状とすることができる。
また、前記ハニカム構造体1を作製する際に、多数のシートを積層した積層体の中に、薬剤の移行を阻止又は抑制する1枚又は複数枚のバリアー性材料のシートを挟み、又は積層体の両側のシートとしてバリアー性材料のシートを配し、このバリアー性材料のシートの両側に配された積層体部分に異なる薬剤を含浸・保持させるようにすることもできる。これによって、積層体を拡げて球状のハニカム構造体としたときに、バリアー性材料のシートによって球が縦方向に2分割又は多分割された各部分に異なる薬剤が含浸・保持された構造となり、異なる薬効を同時に発揮させることができる。この方法は、後述する多重ハニカム構造体にも適用できる。
さらに、常温蒸散性薬剤を保持する多数のセル壁を有する立体状構造体は、所定の間隔をあけて互いに離間した少なくとも二層の多重構造に構成したり、使用利便性に優れた折り畳み自在に構成することもできる。
特に、互いに接することのないように所定の間隔をあけて互いに離間した少なくとも内外二層の多重構造の立体状構造体とすることにより、種々の形態で利用することが可能となる。
第一の利用形態は、薬剤保持体の最外層を、有効成分を保持させない保護層とすることである。これによって、最外層の保護層は、内部の有効成分保持層に光が直接照射されたり埃が付着するのを防止するバリヤー層として機能し、有効成分の分解や蒸散抑制といった現象が著しく低減する。また、最外層を保護層とすることにより、薬剤保持体に含浸・保持されている薬剤が手などに付着することもなく、有効成分の損失防止や安全性の向上の点でも有利である。このような効果は、薬剤保持体を折り畳み自在に構成することによっても得ることができる。
第二の利用形態は、多重構造の各層にそれぞれ作用又は蒸気圧の異なる常温蒸散性薬剤を保持させ、数種の効力を同時に発揮させることである。
本発明のこのような保持体構造が有利な点は、有効成分保持層が互いに接することのない多重構造であるため、異なった作用又は蒸気圧を有する有効成分を保持させ、各々の作用を充分に発揮させることが可能な点である。単一構造の保持体に多種の有効成分を保持させた場合、例えば蒸気圧の異なる複数種の物質を混合して用いると、蒸気圧の高い易蒸散性物質の蒸散が蒸気圧の低い難蒸散性物質によって抑制されるといった現象が起こり、性能を充分に発揮することができない。それに対し、多重構造の各層にそれぞれ作用又は蒸気圧の異なる常温蒸散性薬剤を保持させた保持体構造であれば、長期にわたって安定して効力を発揮する持続成分と、使用初期を中心に大きな効力を発揮する即効性成分の双方を確実に蒸散させることが可能である。また、複数の有効成分保持層を構造体中心から同心円上に配する構造とした場合、内部ほど通気が悪く蒸散量が低下するので、内部に易蒸散性成分を、通気のよい外部に難蒸散性成分を保持させ、双方の成分の蒸散量を調整することが可能となる。これにより効力を長期にわたって持続させることが可能となるほか、数種の効果を同時に発揮させ、効力の増強を図ることが可能となる。なお、このような利用形態においても、例えば少なくとも三層の多重構造の立体状構造体からなり、最外層を常温蒸散性薬剤を保持しない保護層とし、内部の各層にそれぞれ作用又は蒸気圧の異なる常温蒸散性薬剤を保持させることもできるが、最外層に蒸気圧の高い易蒸散性成分を保持させ、この成分が蒸散した後に保護層として利用する態様も可能である。
多重構造のハニカム構造体の一実施態様を図3及び図4に示す。図3はハニカム構造体1を2分割した状態、図4は折り畳んだ状態を示している。なお、全体外観は図2と同じである。
ハニカム構造体1は、セル壁2によって囲まれる各セル3が、中心軸線Xに対して垂直に、球体外周面に向って平行に配列された全体的に球状の構造体に構成されているが、外層4と内層5の二重構造であり、内外層間には所定間隔の空隙部6が形成されて互いに直に接しないようにされ、かつ、その中央部に内部空間Sが形成されている。従って、各セル3の殆ど大部分が内部空間Sと連通状態にあり、空気の流れが抑制されないようにされている。
薬剤はスプレー法、浸漬法等の任意の方法により内層5のセル壁2に含浸・保持される。一方、外層4は無処理で薬剤を保持しておらず、有効成分保持層である内層5の保護層として機能するが、前記したように、内層5に保持される有効成分と作用や蒸気圧の異なる有効成分を含浸・保持するようにしてもよい。
前記図3及び図4に示すハニカム構造体1の製造は、半円形の支持シート7の上に、内層5及び外層4を構成するそれぞれ半分割した小リング状及び大リング状の複数枚の薬剤保持シート(図1の中心軸線Xの右側(又は左側)の大小リング状部分)を図3に示すような所定の間隔で配置・積層する際に、帯状の接着部分Aを各セルの所望の大きさに応じた適宜の間隔で平行に、しかも先の薬剤保持シート間と後の薬剤保持シート間で段違い状態となるように順次(メタ)アクリル酸エステル系接着剤で接着しながら多数枚積層し、得られた積層体の中心軸線X側の端縁を接着し、最後に他方の表面の支持シート8を接着することにより行い、これによって図4に示すような積層体が得られる。使用に際しては、両側の支持シート7、8を開いて積層体を拡げ、両側の支持シート7、8を接合することにより、図2に示すような全体的に球状のハニカム構造体を組み立てることができる。両側の支持シート7、8の接合は、一方の支持シート(7又は8)の先端辺縁部所定箇所に両面粘着テープを貼着したり、接着剤を塗布するなど、適宜の方法により行うことができる。なお、帯状の接着部分Aが球の中心から放射状になるように配列することにより、各セルが全て内部空間Sと連通し、かつ、内部空間から球状外周面に向って放射状に配列されたハニカム構造体とすることもできる。
薬剤の蒸散を促進するためには、目付けの小さい薬剤保持シートを用いるのが好ましく、その場合、シートは概してコシの弱いものとなることが多い。従って、保持体全体の形状を維持するためには、支持シートにコシの強い材質を選択する方が好ましい。コシの強い支持シートは、概して目付けが大きく、薬剤が移行した場合、蒸散量が抑えられる可能性がある。それを回避するための手段としては、支持シートと薬剤保持シートとの間にバリア層を設けることが考えられ、具体的には、支持シートにガスバリア性のフィルムやアルミ箔等をラミネートするといった方法が好ましい。
図5は、前記図3及び図4に示すハニカム構造体の変形例を示す。このハニカム構造体1aは、外層4aと内層5aとの間の空隙部6aと、内部空間Sとの間を連通する空隙部11が、中心軸線Xに対して垂直方向に内層5a全体に形成され、内層5aが12−1層と12−2層に二分割されている点において、図3及び図4に示すハニカム構造体1と異なるが、他の構成は同様である。なお、図5は両側の支持シート7a、8aを180度開いた状態で示している。
一方、図6は三層構造のハニカム構造体1bの実施態様を示している。すなわち、外層4bと内層5bの間に中間層13が配設された多重構造を有し、各層間にそれぞれ空隙部6b、14が形成されている点において、図3及び図4に示すハニカム構造体と異なる。なお、図6も両側の支持シート7b、8bを180度開いた状態で示している。このハニカム構造体1bの場合、外層4bは有効成分を保持しない保護層とし、中間層13及び内層5bに作用もしくは蒸気圧の異なる2種の有効成分を含浸・保持させることが好ましい。
図7乃至図9は、本発明の薬剤保持体の他の実施態様を示している。このハニカム構造体1cは、空隙部6cにより互いに直に接しないように離間されたハニカム構造の外層4cと内層5cを有し、全体的に略楕円球状の立体形状を有するが、折り畳んだ状態を示す図8からわかるように、前記図1乃至図6に示すハニカム構造体とは異なり内部には空間は形成されない。また、両側の支持シート7c、8cの一端部は突出されて把持部15が形成されている。
このハニカム構造体1cは、含浸・保持されている有効成分の蒸散量を多くしたい場合には、図7に示すように組み立てた後、把持部15を握って振って用いることもできるが、図10に示すように把持部15に弾性線状部材16の一端部を固定し、他端部を支持台17の支持部18に嵌め込み、図10に示すように支持されているハニカム構造体1cを押して首振り運動させ、全体的にゆっくり振動させながら用いることができる。あるいはまた、把持部15を必要に応じて適当な連結部材を介して振動装置もしくは開閉装置(図示せず)に取り付け、ハニカム構造体1cを振動もしくは開閉させながら用いることもできる。
図11及び図12は、それぞれ前記図7乃至図9に示すハニカム構造体の変形例を示し、それぞれ折り畳んだ状態で示している。
前記図7乃至図9に示すハニカム構造体1cの場合、組み立てられた状態では2枚の支持シート7c、8cが重ね合わされるので(図9参照)、この部分で空隙部6cの連通状態が遮断されることになり、各セル3の通気状態が充分でない場合がある。そこで、図11に示すハニカム構造体1dでは、両側の支持シート7d(8dは図示せず)の空隙部6dと対応する箇所に複数(図示の例では各3個)の通気孔19を形成して、重ね合わされる支持シート7d、8dの両側を連通するように構成されている。
一方、図12に示すハニカム構造体1eでは、上記通気孔19の他に、両側の支持シート7e(8eは図示せず)及びそれらの間に積層されるセル壁を構成する多数のシートの一辺(中心軸線)中間部に略半円形状の切欠き20を設け、この切欠き20部分により、組み立てたときにハニカム構造体1eの中心部に内部空間が形成されるように構成されている。
なお、多重構造体の目付けを10g/m2から200g/m2の範囲で調整することで、構造すなわち含浸部位による有効成分の蒸散量をさらに任意にコントロールすることが可能となる。例えば図4に示す構造の保持体で、蒸気圧の異なる有効成分を含浸させ同量蒸散させたい場合、難蒸散性成分の保持部(例えば12−1の部分)には目付け20g/m2のシート状部材を用い、易蒸散性成分の保持部(例えば12−2の部分)には目付け70g/m2のシート状部材を用いることで、面積を変更することなく同じ蒸散量を得ることが可能となる。
また、前記したような薬剤保持体は、使用箇所に放置(折り畳み自在な薬剤保持体の場合には開いた状態で放置)して、保持される常温蒸散性の有効成分が常温で自然に蒸散させるにまかせた状態で使用することもできるが、強制的に有効成分の蒸散を促進する態様で用いることもできる。すなわち、前記したような薬剤保持体を振動もしくは開閉させ、有効成分の蒸散を促進することもできるし、内部空間が形成される立体状構造体の場合、薬剤保持体の内部空間にファンを設け、有効成分の蒸散を促進することもできる。
このような薬剤蒸散方法を実施するための装置の幾つかの例を図面を参照しながら説明する。
図13は、通気を促進するためにハニカム構造体を全体的に振動させる態様の例を示している。
この薬剤蒸散装置は、図3及び図4に示すハニカム構造体と同様に、空隙部6fを介して離間された外層4fと内層5fの二重構造からなり、内部に空間Sが形成されたハニカム構造体1fと、上記内部空間7fに配設される駆動装置21とからなる。なお、ハニカム構造体1fは、両側の支持シート7f、8fを180度開いた状態で示されている。
駆動装置21は、図14に示すように、駆動軸22と、一端部が該駆動軸22に回動自在に取り付けられ、他端部に永久磁石24が取り付けられた振子23と、該振子23の揺動軌跡に近接して配設される電磁石25とから構成される。符号26は電磁石25を励磁するための乾電池である。駆動軸22は、図13に示されるように、ハニカム構造体1fの相対する支持シート7f、8fの中心軸線側端縁部間の隙間に配座され、両支持シート7f、8fを接合することにより駆動装置は内部空間S内に収容される。
この薬剤蒸散装置の場合、電磁石25の励磁と消磁が繰り返されることにより、振子23が揺動運動を行い、それによってハニカム構造体1fが全体的に駆動し、通気が促進されることによってセル壁に含浸・保持されている有効成分の蒸散が促進される。なお、振動装置21のスイッチ(図示せず)をハニカム構造体1fの外部に導出することにより、所望の時にハニカム構造体1fを振動させるようにすることもできる。
薬剤保持体全体を駆動する動力源としては、上記実施態様のように電磁石と永久磁石を利用した振り子の他、モーター、ゼンマイ、ゴムなどが考えられるが、長期に亘る使用を考えた場合の利便性の点ではモーターか電磁石の振り子が好ましく、電池等を利用する場合は消費電力の点で電磁石振り子が好ましい。
図15は、強制的に通気を促進させるためにファンを用いた薬剤蒸散装置の一実施態様を示している。
図15に示す強制通気方式(風力蒸散方式)の薬剤蒸散装置は、内部空間Sを有する中空円柱状のハニカム構造体1gを用いた例を示している。容器36上に配設されたハニカム構造体1gは、セル壁2によって囲まれるハニカム状の各セル3が内部空間Sから外周にかけて連通するように構成されており、その内部空間Sにはファン30が回転自在に配設されている。ファン30は、対称的に平行に配列された4枚の羽根31の上端にリング状の羽根固定部材32が、また下端に回転板33が固定された構造を有し、回転板33の中心は容器36内に収容されているモーター35の回転軸34に取り付けられている。モーター35への電力供給方式は、例えば乾電池を容器36内に収容する内部電源方式や、配線コードを接続する外部電源方式のいずれでもよい。
上記薬剤蒸散装置の場合、スイッチ(図示せず)を入れてモーター35を駆動させ、ファン30を回転させると、上部より流入した空気を、ファン30により内部空間Sから外周に向って各セル3内を強制的に通気させることができるので、ハニカム構造体1gに含浸されている有効成分の蒸散を促進することができ、また有効成分の蒸散量はファンの風力(回転数、羽根のサイズ、数、形状等)によって任意に調節できる。なお、実施の際には、ファン及び薬剤保持体への接触及び異物混入を避けるため、一つ以上の通気口を設けた外殻容器が必要である。また、ファンへの接触回避のため器具全体を逆転させ、下部より空気を取り入れる方法も考えられる。
図16は、強制的に通気を促進させるためにファンを用いた薬剤蒸散装置の他の実施態様を示している。
図16に示す強制通気方式(風力蒸散方式)の薬剤蒸散装置は、空隙部6hを介して離間された外層4hと内層5hの二重構造からなり、内部空間Sを有する中空円柱状のハニカム構造体1hを用いた例を示している。容器36上に配設されたハニカム構造体1hは、外層4hと内層5hの各層において、セル壁2によって囲まれるハニカム状の各セル3が内部空間Sから外周にかけて連通するように構成されており、その内部空間Sには図15に示す実施態様と同様にファン30が回転自在に配設されている。
強制的に通気を促進させる薬剤蒸散方式は、前記図15及び図16に示すものに限られるものではなく、種々の構造とすることができる。例えば、前記ハニカム構造体1g,1hは、中空の円柱状体の他、立方体、五角柱状、六角柱状等の任意の多角柱状体とすることができる。また、前記図1乃至図6に示す球状のハニカム構造体を半分割した半球状の構造とし、これを内部空間内にファンが配置されるように、例えば図15及び図16に示すファン30を覆うように容器36上に配置したドーム状構造とすることもできる。この場合、下方からハニカム構造体の内部空間内に空気が流入するように容器36あるいはさらに下部回転板33に吸気孔を形成すればよい。また、ハニカム構造体1g,1hを、格子状、網目状等任意の模様となるように多数の透孔を形成したシートから作製することもできる。
前記のようにハニカム構造体の内部に設けた空間内にファンを設置する場合、有効成分の蒸散量は、設ける内部空間の体積やセルの開口面積以上に、ファンの風力に左右される。高い有効成分蒸散量を確保する場合、立体状構造体の風の出口部での風速は、0.1m/秒以上であることが好ましい。そして、ファンを駆動する動力源としては、モーター、ゼンマイ、ゴム等が考えられるが、長期に亘って安定した効力を得るためにはモーターを使用することが好ましい。ファンの材質としては、プラスチックや厚紙等、特に限定されるものではないが、軽量な材質を選択したほうがエネルギー効率の向上の点で好ましい。
薬剤保持材の構成材質としては、前記したように合成樹脂及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を密度0.05〜1.0g/cm3、厚さ0.02〜1mmに加工したものが好適に使用できるが、有効成分に応じて適宜選択すればよい。特に、最外層の材質を透明にすることで、内部の有効成分保持層を見易くすることができる。例えば、有効成分保持層が、有効成分の蒸散と共に顕色する色素を利用したインジケーター機能を有する場合、その色調変化を見易くすることができる。このようなインジケーター機能を有する薬効指示性組成物は、例えば電子供与性呈色性有機化合物(色素)と顕色剤とにさらに蒸散性減感性薬剤を存在せしめることによって、蒸散性減感性薬剤が充分に残存している間は上記薬剤の減感作用が顕色剤の作用に勝り、発色を抑えるが、上記薬剤が蒸散して残存率が低くなると、顕色剤と電子供与性呈色性有機化合物との反応が始まり、呈色し始め、さらに上記薬剤が完全に蒸散して残存しなくなった時に電子供与性呈色性有機化合物特有の色調を呈する発色原理を薬効表示に応用したものである。従って、上記反応過程と蒸散性減感性薬剤の蒸散過程とが対応し、上記組成物の色調の変化により視覚的に蒸散性減感性薬剤の薬効残存状態及びその終点を正確に知ることができる。このような薬効指示性組成物は既に公知であり、常温蒸散性減感性の殺虫剤や防虫剤等の種々の分野で応用されているので、その詳細な説明は省略する(例えば、特許第2607361号参照)。
図17は、自動巻取ロールスクリーン方式の薬剤蒸散装置の一実施態様を示している。
この装置40は、中空円筒体41内に回転自在に配設されたロール42に、蒸散性薬剤を含浸・保持するシート状の薬剤保持材45が巻回された構造を有し、薬剤保持材45の下端縁は中空円筒体41の下部に軸線方向に形成されたスリット状開口部(図示せず)から突出している。薬剤保持材45の下端縁には支持シート(補強シート)46が貼着されており、薬剤保持材45が全体的に中空円筒体41内部に収納されたときに、支持シート46がスリット状開口部に密接・シールして、薬剤蒸散が起こらないように構成されている。
ロール42の一端部(図17の左側端部)は、支持シート(補強シート)46に取り付けられた把持部材47を持って薬剤保持材45を下方に所定長さ引き下げたときに、薬剤保持材45が元に戻らないように、ラチェット機構を介して中空円筒体41に取り付けられており、ラチェット解除ボタン43を押したときに薬剤保持材45は自動巻取機構によりロール42に全体的に巻回された元の状態に戻る。従って、使用しないときは薬剤保持材45を中空円筒体41内に収納することで薬剤蒸散を遮断することに加え、所望の蒸散量に応じた長さ分だけ、薬剤保持材45を引き下げて露出するようにするといった蒸散調整が可能となる。これは、蒸散調整が難しい本製剤にとって非常に重要な機能の一つである。なお、符号44は上記装置を壁等に吊り下げるための掛止部材である。
上記薬剤保持材45としては、前記したような複層シート材、又は波形シート材の片面又は両側面に不織布を貼り合わせたダンボール状シート材などを用いることができる。
図18は、風力蒸散方式による薬剤蒸散装置の別の実施態様を示している。
この薬剤蒸散装置50は、枠体51の後側に軸流ファン52を備えており、この軸流ファン52はモータ53により回転される。符号54はモータ駆動用のAC電源である。薬剤を保持する薬剤保持材55は枠体51の前面に取り付けられ、軸流ファン52の回転による送風によって強制的に薬剤の蒸散が行われる。ここで用いられる薬剤保持材としても、前記したような複層シート材、又は波形シート材の片面又は両側面に不織布を貼り合わせたダンボール状シート材などを用いることができる。
以下、本発明の効果を確認した実施例及び比較例を示して具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1,2
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートした厚紙を台紙(支持シート)とし、紙を薬剤保持材とするか、あるいは(2)厚紙を台紙(支持シート)とし、紙を薬剤保持材として、各実施例の場合にはそれぞれ表1に示す成分を主成分として含有する接着剤を用いて接着し、各比較例の場合にはホットメルト接着し、J1S K6854に従ってサンプルを作成した(サンプルの幅:2.5cm、接着面:サンプルの一端から1.5cmの長さ分)。
各サンプルの薬剤保持材に、薬剤としてメトフルトリン(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート)又はプロフルトリン(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート)、酸化防止剤としてBHT、溶剤としてn−パラフィンを混合した溶液を塗布した。塗布後、40℃、75%R.H.の条件下で1ヶ月放置した後、J1S K6854に従って接着強度を測定した。判定基準は以下の通りである。結果を表1に併せて示す。
○:接着強度の低下は認められなかった。
△:接着強度の低下が若干認められた。
×:接着強度の低下が明らかに認められた(容易に剥離)。
Figure 2005320279
表1に示されるように、紙(台紙)−紙(薬剤保持材)及びPET/紙(台紙)−紙(薬剤保持材)いずれの場合でも、アクリル酸エステル系接着剤の場合には充分な接着強度が得られたが、PE(ポリエチレン)によるホットメルト接着の場合には接着強度が明らかに低下し、容易に剥離した。
本発明の薬剤保持体の一実施態様である球状ハニカム構造体の断面図である。 図1に示す球状ハニカム構造体の斜視図である。 本発明の薬剤保持体の他の実施態様である球状多重ハニカム構造体の断面図である。 図3に示す球状多重ハニカム構造体の組立前の積層状態を示す側面図である。 本発明の球状多重ハニカム構造体の他の実施態様を180度開いた状態で示す平面図である。 本発明の球状多重ハニカム構造体の別の実施態様を180度開いた状態で示す平面図である。 本発明の薬剤保持体の別の実施態様である楕円状多重ハニカム構造体の斜視図である。 図7に示す楕円状多重ハニカム構造体の組立前の積層状態を示す平面図である。 図7に示す楕円状多重ハニカム構造体の組立前の積層状態を示す側面図である。 図7に示す楕円状多重ハニカム構造体の使用例を示す斜視図である。 本発明の楕円状多重ハニカム構造体の他の実施態様の組立前の積層状態を示す平面図である。 本発明の楕円状多重ハニカム構造体の別の実施態様の組立前の積層状態を示す平面図である。 本発明の薬剤保持体を用いた薬剤蒸散装置の一実施態様を示す概略構成図である。 図12に示す薬剤蒸散装置に用いた振動装置の概略構成図である。 本発明の薬剤保持体を用いた強制通気方式の薬剤蒸散装置の一実施態様を示す部分破断概略斜視図である。 本発明の薬剤保持体を用いた強制通気方式の薬剤蒸散装置の他の実施態様を示す部分破断概略斜視図である。 本発明の薬剤保持体を用いた自動巻取ロールスクリーン方式の薬剤蒸散装置の一実施態様を示す概略斜視図である。 本発明の薬剤保持体を用いた風力蒸散方式の薬剤蒸散装置の別の実施様態を示す概略構成図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h ハニカム構造体
2 セル壁
3 セル
4,4a,4b,4c,4d,4e,4f,4h 外層
5,5a,5b,5c,5d,5e,5f,5h 内層
6,6a,6b,6c,6d,6e,6f,6h,11,14 空隙部
7,7a,7b,7c,7d,7e,7f,8,8a,8b,8c,8f 支持シート
13 中間層
15 把持部
16 弾性線状部材
19 通気孔
20 切欠き部
21 駆動装置
23 振子
25 電磁石
30 ファン
31 羽根
32 羽根固定部材
33 回転板
35 モーター
40 自動巻取ロールスクリーン方式薬剤蒸散装置
41 中空円筒体
43 ラチェット解除ボタン
45,55 薬剤保持材
50 送風装置
A 接着部分
S 内部空間
X 中心軸線

Claims (6)

  1. 複数の単層シートを接合した複層シートから構成される薬剤保持材からなり、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材が合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含み、上記接合に用いる接着剤が(メタ)アクリル酸エステル系接着剤であることを特徴とする薬剤保持体。
  2. 単層シート又は複数の単層シートを接合した複層シートから構成され、かつ、油溶性の蒸散性薬剤を保持及び/又は蒸散させる薬剤保持材と、該薬剤保持材を支持シートに接合してなる薬剤保持体であって、上記薬剤保持材及び/又は支持シートが合成樹脂材料から作製されているか又は合成樹脂層を含み、上記接合に用いる接着剤が(メタ)アクリル酸エステル系接着剤であることを特徴とする薬剤保持体。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル系接着剤が、一般式:CH2=C(R1)COOR2(但し、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はシアノ基を表わす。)で示される化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤保持体。
  4. 前記薬剤保持材が、1枚又は複数枚の単層シートを局所的に接合して多層化及び/又は立体化した構造体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬剤保持体。
  5. 前記油溶性の蒸散性薬剤を蒸散させる手段が、風力蒸散方式、70℃以下の加温蒸散方式もしくは自然蒸散方式、又はこれらの組合せからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薬剤保持体。
  6. 前記薬剤保持材の複数のシートの少なくとも1層が、油溶性の蒸散性薬剤の移行を阻止又は抑制できるバリア−性材料からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の薬剤保持体。
JP2004139347A 2004-05-10 2004-05-10 薬剤保持体 Pending JP2005320279A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139347A JP2005320279A (ja) 2004-05-10 2004-05-10 薬剤保持体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139347A JP2005320279A (ja) 2004-05-10 2004-05-10 薬剤保持体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005320279A true JP2005320279A (ja) 2005-11-17

Family

ID=35467803

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004139347A Pending JP2005320279A (ja) 2004-05-10 2004-05-10 薬剤保持体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005320279A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009207429A (ja) * 2008-03-05 2009-09-17 Fumakilla Ltd 着用型薬剤拡散装置
WO2012102344A1 (ja) * 2011-01-27 2012-08-02 住友化学株式会社 害虫防除ネット、害虫防除方法及び害虫防除ネットの設置方法
JP2014509889A (ja) * 2011-02-09 2014-04-24 フイルメニツヒ ソシエテ アノニム 揮発性液体用の発散器エレメント及び揮発性液体用の発散器エレメントを有する装置
JP2014162546A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Daio Paper Corp 香り付き包装フィルム、香り付き包装袋及び香り付きラベル
JP2015527897A (ja) * 2012-06-25 2015-09-24 クセダ・アンテルナシオナル・エス・ア 液体を蒸発する装置及び関連する方法
KR20200012873A (ko) * 2017-05-30 2020-02-05 피르메니히 에스아 악취 중화 및 향기 전달 시스템

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49132119A (ja) * 1972-07-20 1974-12-18
JPS50124940A (ja) * 1974-03-22 1975-10-01
JPH0753924A (ja) * 1993-08-06 1995-02-28 Three Bond Co Ltd α−シアノアクリレート接着剤組成物
JP2000204005A (ja) * 1999-01-14 2000-07-25 Fumakilla Ltd 薬剤保持体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49132119A (ja) * 1972-07-20 1974-12-18
JPS50124940A (ja) * 1974-03-22 1975-10-01
JPH0753924A (ja) * 1993-08-06 1995-02-28 Three Bond Co Ltd α−シアノアクリレート接着剤組成物
JP2000204005A (ja) * 1999-01-14 2000-07-25 Fumakilla Ltd 薬剤保持体

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009207429A (ja) * 2008-03-05 2009-09-17 Fumakilla Ltd 着用型薬剤拡散装置
WO2012102344A1 (ja) * 2011-01-27 2012-08-02 住友化学株式会社 害虫防除ネット、害虫防除方法及び害虫防除ネットの設置方法
JP2014509889A (ja) * 2011-02-09 2014-04-24 フイルメニツヒ ソシエテ アノニム 揮発性液体用の発散器エレメント及び揮発性液体用の発散器エレメントを有する装置
JP2015527897A (ja) * 2012-06-25 2015-09-24 クセダ・アンテルナシオナル・エス・ア 液体を蒸発する装置及び関連する方法
JP2014162546A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Daio Paper Corp 香り付き包装フィルム、香り付き包装袋及び香り付きラベル
KR20200012873A (ko) * 2017-05-30 2020-02-05 피르메니히 에스아 악취 중화 및 향기 전달 시스템
KR102612429B1 (ko) 2017-05-30 2023-12-08 피르메니히 에스아 악취 중화 및 향기 전달 시스템

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW592632B (en) Fan type chemicals diffusing device
JP4870925B2 (ja) 揮発性物質の制御放出用ディスペンサー
JP5488971B2 (ja) 害虫忌避積層シート状物
US20070243239A1 (en) Patch capable of dispensing a scent
CN1447648A (zh) 昆虫抑制袋
US4979673A (en) Methods and devices for controlled release
WO2003099343A1 (fr) Appareil de volatilisation
US20130111802A1 (en) Self-opening insect trap and lure
JP2000189032A (ja) 薬剤蒸散剤
KR20040090991A (ko) 적층형 살충제 디스펜서
US6605292B1 (en) Sheets with a volatile compound
JP2005320279A (ja) 薬剤保持体
JP3955151B2 (ja) 常温蒸散性薬剤の薬剤保持体並びにそれを用いた薬剤蒸散方法及び装置
JP2005298362A (ja) 防殺虫蒸散体
JP4445459B2 (ja) 薬剤蒸散装置
JP2012254963A (ja) 飲食材収容体の害虫忌避方法
JP2002003313A (ja) 飛翔害虫防除方法
JP4160844B2 (ja) 薬剤収納体
JPH0372833A (ja) 吸液芯並びに薬剤蒸散方法
WO2006088139A1 (ja) 防虫用具及び防虫用具の製造方法
JP3907813B2 (ja) 常温蒸散式製剤の薬剤保持体及び薬剤蒸散方法
JPH09308421A (ja) 防虫材
JP2000204005A (ja) 薬剤保持体
JP2000247807A (ja) 害虫の飛来及び/又は吸血行動抑制剤
JP4441017B2 (ja) 携帯型飛翔害虫防除装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111011